(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と組み合わせてCCR1アンタゴニストを投与することによる腫瘍負荷の低減
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240816BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240816BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/4178 20060101ALN20240816BHJP
A61K 31/4192 20060101ALN20240816BHJP
A61K 31/437 20060101ALN20240816BHJP
A61K 31/496 20060101ALN20240816BHJP
A61K 31/519 20060101ALN20240816BHJP
【FI】
A61K39/395 M
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P15/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K31/4178
A61K31/4192
A61K31/437
A61K31/496
A61K31/519
(21)【出願番号】P 2019503632
(86)(22)【出願日】2017-04-06
(86)【国際出願番号】 US2017026290
(87)【国際公開番号】W WO2017176965
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-31
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-07
(32)【優先日】2016-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518355319
【氏名又は名称】ケモセントリクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャロ,イスラエル
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ヘイヨン
(72)【発明者】
【氏名】シャール,トーマス,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ペンリエ
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】光本 美奈子
【審判官】田村 直寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-501246(JP,A)
【文献】Mol.CancerTher.(2015)vol.14,issue12,suppl.2,Abstract:A90,<https://mct.aacrjournals.org/content/14/12_Supplement_2/A90>
【文献】J Immunother Cancer,2015,vol.3,suppl.2,Abstract:P227,https://jitc.bmj.com/content/jitc/3/Suppl_2/P227.full.pdf
【文献】Int J Clin Oncol,Feb 2016,vol.21,issue3,p.462-473
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 39/00-39/44
A61K45/00
PubMed
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と組み合わせて使用されるための、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストを含む、トリプルネガティブ乳がんを有する被験体を治療するための医薬組成物であって
、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが以下の式:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を有し、PD-1阻害剤若しくはPD-L1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ
、TSR-042、REGN-2810、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される、医薬組成物。
【請求項2】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化3】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ
、TSR-042、及びREGN-2810からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
PD-L1阻害剤が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とが、同時に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とが、逐次的に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤の投与前に投与される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤の投与後に投与される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが経口的に投与され、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤が静脈内に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
被験体が、ヒト被験体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、トリプルネガティブ乳がんを有する被験体を治療するための組成物であって、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下の式:
【化4】
又はその薬学的に許容される塩を有し、PD-1阻害剤若しくはPD-L1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ
、TSR-042、REGN-2810、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される、組成物。
【請求項13】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化5】
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化6】
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ
、TSR-042、及びREGN-2810からなる群から選択される、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
PD-L1阻害剤が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを、効果的な投与のための説明書と共に含む、トリプルネガティブ乳がんを有する被験体を治療するためのキットであって、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下の式:
【化7】
又はその薬学的に許容される塩を有し、PD-1阻害剤若しくはPD-L1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ
、TSR-042、REGN-2810、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される、キット。
【請求項18】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化8】
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化9】
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項17に記載の
キット。
【請求項20】
PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ
、TSR-042、及びREGN-2810からなる群から選択される、請求項17~19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
PD-L1阻害剤が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、及びアベルマブからなる群から選択される、請求項17~19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項22】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とが、同時投与用に製剤化される、請求項17~21のいずれか一項に記載のキット。
【請求項23】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤及び/又はPD-L1阻害剤とが、逐次投与用に製剤化される、請求項17~21のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月7日に出願された米国仮出願第62/319,689号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の35 U.S.C§119(e)に基づく利益を主張する出願である。
【0002】
連邦支援研究開発の下でなされた発明に対する権利に関する記載
適用なし
【0003】
コンパクトディスクで提出される「配列表」、表又はコンピュータープログラムリスト添付資料の参照
適用なし
【背景技術】
【0004】
がん性腫瘍は、腫瘍が免疫系によって許容されるように、身体の生来の細胞傷害性免疫応答を回避するための多数のメカニズムを利用する。これらのメカニズムは、通常は適応免疫応答の強度をダウンレギュレートし、健康な組織を付随的損傷から保護するために機能する、機能不全のT細胞シグナル伝達、抑制的制御性細胞、及び免疫チェックポイントを含む。例えば、腫瘍は、腫瘍及びその周囲の微小環境に骨髄由来抑制細胞(MDSC)を動員することによって、特に腫瘍抗原に特異的なT細胞に対する免疫耐性を発達させる。
【0005】
MDSCは、ケモカイン受容体、例えば、ケモカイン受容体CCR1を発現し、免疫抑制機能を有する。MDSCは、免疫応答を抑制する腫瘍の能力において重要な役割を果たす。この抑制に対するもう一つの重要な要素は、免疫チェックポイントの活性化であり、これは次に、T細胞の活性化、及び腫瘍への浸潤を制限する。免疫チェックポイントは、付随的組織損傷を最小限にするために自己寛容を維持し、末梢組織における免疫応答を制御するのに必須の免疫系の阻害経路を指す。
【0006】
プログラム死-1(Programmed Death-1、PD-1)は、活性化されたT細胞によって発現され、免疫抑制を媒介する多数の免疫チェックポイント受容体の1つである。PD-1のリガンドは、抗原提示細胞及び多くのヒトがん細胞上で発現されるプログラム死リガンド-1(Programmed Death Ligand-1、PD-L1)及びプログラム死リガンド-2(Programmed Death Ligand-2、PD-L2)を含む。PD-L1及びPD-L2は、PD-1へ結合するとT細胞活性化及びサイトカイン分泌をダウンレギュレートすることができる。
【0007】
PD-1/PD-L1相互作用阻害剤は、強力な抗腫瘍活性を媒介することができ、いくつかのがんの治療に有効であることが示されている。CCR1の阻害は、骨髄腫骨疾患のマウスモデルにおける腫瘍負荷の低減に関連している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Dairaghi et al., Blood, 2012, 12(7):1449-1457
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
がん、例えば、固形腫瘍(solid tumor cancer)の有効な治療に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
一態様では、固形腫瘍を有する被験体を治療する方法が、本明細書で提供される。本方法は、それを必要とする被験体に、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを投与することを含む。
【0011】
別の態様では、固形腫瘍を有する被験体を治療するための組成物が、本明細書で提供される。本組成物は、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む。
【0012】
さらに別の態様では、固形腫瘍を有する被験体を治療するためのキットが、本明細書で提供される。本キットは、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを、効果的な投与のための説明書と共に含む。
【0013】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1A~1Eは、乳がん患者由来のサンプル中のケモカイン受容体CCR1に対するリガンド(CCL3、CCL5、及びCCL7)、PD-L1、及びCCR1の発現レベルを示す。CCL5(RANTES;
図1A)、CCL7(MCP-3;
図1B)、及びPD-L1(
図1D)の有意に上昇した発現が、トリプルネガティブ乳がん患者において見られた。CCL3(MIP-1α)の発現レベルを
図1Cに示す。
図1Eは、CCR1及びPD-L1の発現が、ヒト乳がん患者サンプルにおいてよく相関したことを示す。
【
図2】
図2は、マウストリプルネガティブ乳がんモデルとして使用することができる、4T1乳がんマウスモデルを示す。
【
図3】
図3A~3Eは、CCR1アンタゴニストと抗PD-L1抗体との併用療法が、侵襲性の転移性腫瘍(例えば、樹立された4T1腫瘍)の進行を減少させることを示す。4T1乳がんマウスに、ビヒクル(
図3A)、CCR1アンタゴニスト単独(
図3B)、PD-L1抗体単独(
図3C)、又はCCR1アンタゴニストとPD-L1抗体の組み合わせ(
図3D)を投与した。
図3Eにおける最終腫瘍重量の比較は、併用療法が、腫瘍進行を最小化又は低減させるのに有効であったことを示す。
【
図4】
図4A及び4Bは、CCR1アンタゴニストが、4T1腫瘍担持マウスにおいて肺転移を減少させたことを示す。
図4Aは、CCR1アンタゴニストを投与されたマウスが、ビヒクルを投与された同様のマウスと比較して、肺1個あたり、より少ない転移性節を有したことを示す。
図4Bは、肺における転移性節の画像を提供する。
【
図5】
図5A~5Cは、顆粒球系骨髄由来抑制細胞(G-MDSC)が、4T1腫瘍担持マウスに存在することを示す。G-MDSCは、これらのマウスの血液(
図5A)及び脾臓(
図5B)において劇的に増加する。単球系骨髄由来抑制細胞(M-MDSC)のわずかな増加も、血液及び脾臓で見られた。4T1腫瘍に浸潤する免疫細胞の大部分は、G-MDSCである(
図5C)。
【
図6】
図6A及び6Bは、4T1腫瘍担持マウスの脾臓におけるCCR1発現細胞の大部分が、G-MDSCであることを示す。フローサイトメトリー分析を
図6Aに提供する。
図6Bは、CCR1発現細胞の最も高いパーセンテージが、G-MDSCであることを示す。
【
図7】
図7A及び7Bは、腫瘍重量と、G-MDSC及びCD8陽性T細胞の割合との間の相関を示す。
図7Aは、腫瘍浸潤免疫細胞におけるG-MDSCのパーセンテージと、腫瘍重量とを比較する。
図7Bは、腫瘍浸潤免疫細胞におけるCD8
+T細胞のパーセンテージと、腫瘍重量とを比較する。
【
図8】
図8A及び8Bは、CCR1アンタゴニスト及びPD-L1 mAbの併用療法が、4T1腫瘍担持マウスの血液中のG-MDSCレベルを減少させる(
図8A)が、M-MDSCレベルを減少させない(
図8B)ことを示す。
【
図9】
図9A~9Dは、ビヒクル、CCR1アンタゴニスト、PD-L1 mAb、及び併用療法の投与後の4T1腫瘍に浸潤するG-MDSC、M-MDSC、CD8 T細胞、及びB細胞のレベルを示す。
図9Aは、CCR1アンタゴニストが、4T1腫瘍へのG-MDSC浸潤を減少させることを示す。
図9Bは、処置したマウスにおける4T1腫瘍におけるM-MDSC浸潤のレベルを示す。
図9Cは、CCR1アンタゴニスト単独、又はPD-L1 mAbとの組み合わせで処置したマウスにおける4T1腫瘍へのCD8 T細胞浸潤の増加を示す。
図9Dは、処置したマウスの4T1腫瘍へのB細胞浸潤のレベルを示す。
【
図10】
図10は、腫瘍微小環境へのCCR1媒介G-MDSC動員の概略図を示す。
図10はまた、この経路が腫瘍進行をどのように促進し得るかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
I. 序論
本明細書では、CCR1アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤のいずれかとの併用療法を投与することによって、がんの治療を必要とする被験体において、がん、例えば、固形腫瘍を治療するための方法、組成物、及びキットが提供される。本発明は、腫瘍負荷、腫瘍進行、及び/又は転移を低下又は減少させる、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤のいずれかと組み合わせたCCR1アンタゴニストの相乗効果に部分的に基づく。いくつかの場合には、CCR1アンタゴニスト単独を含む療法は、転移、例えば、肺転移を低減させることができる。
【0016】
II. 定義
用語「一つの(a)」、「一つの(an)」、又は「その(the)」は、本明細書で使用される場合、1つのメンバーを有する態様を含むだけでなく、2つ以上のメンバーを有する態様も含む。例えば、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、そのような複数の細胞を含み、「その薬剤(the agent)」への言及は、当業者に公知の1種以上の薬剤への言及を含む、等である。
【0017】
用語「約」及び「およそ」は、一般に、測定の性質又は精度を考慮して、測定された量に対する許容可能な程度の誤差を意味するものとする。典型的な誤差の程度の例は、所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。あるいは、特に生物系において、用語「約」及び「およそ」は、所与の値の10倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内の値を意味し得る。本明細書に記載の数量は、他に記載されていない限り、大体のものであり、用語「約」又は「およそ」が明示的に記載されていない場合に推測できることを意味する。
【0018】
用語「アルキル」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、他に記載されていない限り、指定された数の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基を意味する(すなわち、C1-8は、1~8個の炭素を意味する)。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられる。用語「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を有する不飽和アルキル基を指す。同様に、用語「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を有する不飽和アルキル基を指す。このような不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、並びに高級同族体及び異性体が挙げられる。用語「シクロアルキル」は、示された数の環原子を有し(例えば、C3-6シクロアルキル)、完全に飽和しているか、又は環頂点間に1つを超えない二重結合を有する炭化水素環を指す。「シクロアルキル」はまた、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどの二環式及び多環式炭化水素環を指すことが意図される。用語「ヘテロシクロアルカン」又は「ヘテロシクロアルキル」は、N、O、及びSから選択される1~5個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル基を指し、窒素及び硫黄原子は場合により酸化され、窒素原子(複数可)は場合により四級化されている。ヘテロシクロアルカンは、単環式、二環式、又は多環式環系であってもよい。ヘテロシクロアルカン基の非限定的な例としては、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどが挙げられる。ヘテロシクロアルカン基は、環炭素又はヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。
【0019】
用語「アルキレン」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、-CH2CH2CH2CH2-で例示されるようなアルカンから誘導される二価の基を意味する。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は1~24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有する基が本発明において好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」は、一般に4個以下の炭素原子を有する、より短い鎖のアルキル又はアルキレン基である。同様に、「アルケニレン」及び「アルキニレン」は、それぞれ、二重結合又は三重結合を有する「アルキレン」の不飽和形態を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、本明細書中に記載される任意の化学構造における単結合、二重結合、又は三重結合を横切る波線「
」は、分子の残部への単結合、二重結合、又は三重結合の結合点を表す。
【0021】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)は、それらの従来の意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して分子の残部に結合したアルキル基を指す。さらに、ジアルキルアミノ基については、アルキル部分は同じであっても異なっていてもよく、また、組み合わされて、それぞれが結合している窒素原子と共に3~7員環を形成してもよい。したがって、ジアルキルアミノ又は-NRaRbと表される基は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどを含むことが意図される。
【0022】
用語「ジ-(C1-4アルキル)アミノ-C1-4アルキル」は、同じであっても異なっていてもよい2個のC1-4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチル)を有し、C1-4アルキル基(炭素1~4個のアルキレン連結基)を介して分子の残部に結合しているアミノ基を指す。ジ-(C1-4アルキル)アミノ-C1-4アルキル基の例としては、ジメチルアミノメチル、2-(エチル(メチル)アミノ)エチル、3-(ジメチルアミノ)ブチルなどが挙げられる。
【0023】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、それ自体で又は別の置換基の一部として、他に記載されていない限り、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことが意図される。例えば、用語「C1-4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことが意図される。
【0024】
用語「アリール」は、他に記載されていない限り、単環、又は一緒に縮合しているか若しくは共有結合している多環(3つまでの環)であり得る多価不飽和の、典型的には芳香族の炭化水素基を意味する。用語「ヘテロアリール」は、N、O、及びSから選択される1~5個のヘテロ原子を含有するアリール基(又は環)を指し、窒素及び硫黄原子は場合により酸化され、窒素原子(複数可)は場合により四級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。アリール基の非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられ、一方、ヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどが挙げられる。上記のアリール及びヘテロアリール環系のそれぞれの置換基は、以下に記載される許容される置換基の群から選択される。
【0025】
用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合している基(例えば、ベンジル、フェネチルなど)を含むことが意図される。同様に、用語「ヘテロアリール-アルキル」は、ヘテロアリール基がアルキル基に結合している基(例えば、ピリジルメチル、チアゾリルエチルなど)を含むことが意図される。
【0026】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」)は、いくつかの実施形態では、示された基の置換型及び非置換型の両方を指す。各タイプの基の好ましい置換基は、以下に提供される。
【0027】
アルキル基(アルキレン、アルケニル、アルキニル、及びシクロアルキルとしばしば呼ばれる基を含む)の置換基は、0から(2m'+1)の範囲の数の、-ハロゲン、-OR'、-NR'R''、-SR'、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O)2R'、-NH-C(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-NR'S(O)2R''、-CN、及び-NO2から選択される様々な基であってよく、m'はこのような基中の炭素原子の総数である。R'、R''、及びR'''は、それぞれ独立して、水素;非置換C1-8アルキル;非置換アリール;1~3個のハロゲン、非置換C1-8アルキル、C1-8アルコキシ若しくはC1-8チオアルコキシ基で置換されたアリール;又は非置換アリール-C1-4アルキル基を表す。R'及びR''が同じ窒素原子に結合している場合、それらは窒素原子と組み合わされて、3、4、5、6、又は7員環を形成することができる。例えば、-NR'R''は、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことが意図される。
【0028】
同様に、アリール及びヘテロアリール基の置換基は、多様であり、一般に、0から芳香族環系上の開放原子価(open valence)の総数までの範囲の数の、-ハロゲン、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R''、-SR'、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-CONR'R''、-C(O)R'、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR''C(O)2R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NH-C(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-NR'S(O)2R''、-N3、ペルフルオロ(C1-C4)アルコキシ、及びペルフルオロ(C1-C4)アルキルから選択され; R'、R''、及びR'''は、独立して、水素、C1-8アルキル。C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、非置換アリール及びヘテロアリール、(非置換アリール)-C1-4アルキル、及び非置換アリールオキシ-C1-4アルキルから選択される。他の適切な置換基としては、炭素原子1~4個のアルキレンテザー(tether)によって環原子に結合した上記アリール置換基のそれぞれが挙げられる。
【0029】
アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、場合により、式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基で置き換わっていてもよく、式中、T及びUは、独立して、-NH-、-O-、-CH2-、又は単結合であり、qは0~2の整数である。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、場合により、式-A-(CH2)r-B-の置換基で置き換わっていてもよく、式中、A及びBは、独立して、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-、又は単結合であり、rは1~3の整数である。このようにして形成された新しい環の単結合の1つは、場合により、二重結合で置き換わっていてもよい。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、場合により、式-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基で置き換わっていてもよく、式中、s及びtは、独立して、0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、又は-S(O)2NR'-である。-NR'-及び-S(O)2NR'-中の置換基R'は、水素又は非置換C1-6アルキルから選択される。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、及びケイ素(Si)を含むことが意図される。
【0031】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載の化合物上に見られる特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸又は塩基で調製される活性化合物の塩を含むことが意図される。本発明の化合物が比較的酸性の官能性を有する場合、塩基付加塩は、このような化合物の中性形態を、純粋な状態の又は適切な不活性溶媒中のいずれかの、十分な量の所望の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される無機塩基から誘導される塩の例としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。薬学的に許容される有機塩基から誘導される塩としては、置換アミン、環状アミン、天然に存在するアミンなどを含めた第一級、第二級、及び第三級アミン、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能性を有する場合、酸付加塩は、このような化合物の中性形態を、純粋な状態の又は適切な不活性溶媒中のいずれかの、十分な量の所望の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸(monohydrogencarbonic acid)、リン酸、一水素リン酸(monohydrogenphosphoric acid)、二水素リン酸(dihydrogenphosphoric acid)、硫酸、一水素硫酸(monohydrogensulfuric acid)、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸などの無機酸から誘導されるもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸から誘導される塩が挙げられる。また、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、並びにグルクロン酸若しくはガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge, S.M., et al, "Pharmaceutical Salts", Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照)。本発明のある特定の化合物は、化合物が塩基付加塩又は酸付加塩のいずれにも変換されることを可能にする塩基性及び酸性の両方の官能性を有する。
【0032】
化合物の中性形態は、塩を塩基又は酸と接触させ、親化合物を従来の方法で単離することによって、再生することができる。化合物の親形態は、特定の物理的性質、例えば、極性溶媒への溶解性において様々な塩形態とは異なるが、他の点では、塩は、本発明の目的において化合物の親形態と等価である。
【0033】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて、本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、ex vivo環境において化学的又は生化学的方法によって本発明の化合物に変換することができる。例えば、プロドラッグを、適切な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザーバー中に配置した場合、本発明の化合物にゆっくりと変換させることができる。
【0034】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態及び溶媒和形態、例えば水和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明の特定の化合物は、複数の結晶又は非晶質形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明によって企図される用途について等価であり、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0035】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し; ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、及び個々の異性体(例えば、分かれた鏡像異性体)は、全て本発明の範囲内に包含されることが意図される。立体化学的描写が示されている場合、異性体の1つが存在し、他の異性体が実質的に存在しない化合物を指すことが意図される。別の異性体が「実質的に存在しない」とは、2つの異性体の少なくとも80/20の比、より好ましくは90/10、又は95/5若しくはそれを超える比を示す。いくつかの実施形態では、異性体の1つが、少なくとも99%の量で存在する。
【0036】
本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子の1つ以上に原子同位体の非天然の割合を含有してもよい。同位体の非天然の割合は、自然界に見出される量から、問題の原子が100%を構成する量までの範囲と定義することができる。例えば、化合物は、放射性同位体、例えばトリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、若しくは炭素-14(14C)、又は非放射性同位体、例えば重水素(2H)若しくは炭素-13(13C)を組み込んでもよい。このような同位体バリエーションは、本出願の他の箇所に記載されたものに追加の有用性を提供することができる。例えば、本発明の化合物の同位体バリアントは、追加の有用性、例えば以下に限定されないが、診断及び/若しくは画像化試薬として、又は細胞傷害性/放射性毒性治療剤としての有用性を見出すことができる。さらに、本発明の化合物の同位体バリアントは、治療中の安全性、忍容性、又は効力の増強に寄与し得る変化した薬物動態特性及び薬力学特性を有することができる。本発明の化合物の全ての同位体バリエーションは、放射性であろうとなかろうと、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0037】
式I~Vを有する本発明の化合物は、様々な異性体形態で存在することができる。本明細書で使用される場合、シス又はトランスという用語は、化学分野におけるそれらの従来の意味で使用され、すなわち、基準面(例えば、二重結合、又は環系、例えばデカリン型環系又はヒドロキノロン環系)に対する互いの置換基の位置を指し; シス異性体では、置換基は基準面の同じ側にあり、トランス異性体では、置換基は反対側にある。さらに、異なる配座異性体及び別個の回転異性体が、本発明によって企図される。配座異性体は、1つ以上のσ結合の周りの回転によって異なり得る構造異性体である。回転異性体は、単一のσ結合のみの周りの回転によって異なる配座異性体である。
【0038】
用語「がん」は、異常細胞の制御されていない増殖を特徴とする疾患を指す。がん細胞は、局所的に、又は血流及びリンパ系を通して体の他の部分に広がることができる。様々ながんの例は本明細書に記載され、以下に限定されないが、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膵臓がん、大腸がん、腎がん、肝臓がん、脳腫瘍、リンパ腫、白血病、肺がんなどを含む。用語「腫瘍」及び「がん」は、本明細書において互換的に使用され、例えば、両方の用語は、固形腫瘍及び液性腫瘍、例えば、びまん性腫瘍又は循環性腫瘍を包含する。本明細書で使用される場合、用語「がん」又は「腫瘍」は、前悪性及び悪性のがん及び腫瘍を含む。
【0039】
用語「PD-1」又は「PD-1受容体」は、T細胞共阻害剤であるプログラム死-1(programmed death-1)タンパク質(CD279としても知られている)を指す。ヒト全長PD-1タンパク質のアミノ酸配列は、例えば、GenBankアクセッション番号NP_005009.2に記載されている。PD-1は、IgV様である細胞外N末端ドメイン、膜貫通ドメイン、並びに免疫受容体チロシンベースの阻害性(ITIM)モチーフ及び免疫受容体チロシンベースのスイッチ(ITSM)モチーフを含む細胞内ドメインを有する288個のアミノ酸のタンパク質である(Chattopadhyay et al., Immunol Rev, 2009, 229(1):356-386)。用語「PD-1」は、組換えPD-1若しくはそのフラグメント、又はそれらのバリアントを含む。PD-1受容体は、PD-リガンド-1(PD-L1)及びPD-リガンド-2(PD-L2)の2つのリガンドを有する。
【0040】
用語「PD-L1」又は「プログラム死リガンド1」は、CD274及びB7H 1としても知られているPD-1受容体のリガンドを指す。ヒト全長PD-L1タンパク質のアミノ酸配列は、例えば、GenBankアクセッション番号NP_054862.1に記載されている。PD-L1は、細胞外IgV様ドメイン、膜貫通ドメイン、及びおよそ30個のアミノ酸の高度に保存された細胞内ドメインを有する290個のアミノ酸のタンパク質である。PD-L1は、多くの細胞、例えば、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞)、並びに造血細胞及び非造血細胞(例えば、血管内皮細胞、膵島、及び免疫特権部位)上で構成的に発現される。PD-L1はまた、多様な腫瘍、ウイルス感染細胞、及び自己免疫組織上で発現される。
【0041】
プログラム死1(programmed death 1)(PD-1/PD-L1)経路は、T細胞媒介免疫応答を制限するチェックポイントとして機能する。PD-L1及びPD-L2の両方のPD-1リガンドは、PD-1受容体にかみ合い、PD-1シグナル伝達、並びにT細胞活性化及び増殖の可逆的阻害を誘導することができる。PD-1リガンドが表面又はがん細胞又は隣接細胞上に存在する場合、これらのリガンドは、PD-1受容体陽性免疫エフェクター細胞に結合し、PD-1経路を利用して免疫応答を回避する。
【0042】
用語「免疫チェックポイント阻害剤」又は「免疫チェックポイント遮断薬」は、統計学的に、臨床的に、又は生物学的に意義のある様式で、免疫系の阻害経路を遮断又は阻害する、任意の薬剤、分子、化合物、化学物質、タンパク質、ポリペプチド、高分子などを指す。そのような阻害剤は、小分子阻害剤を含み得るか、あるいは免疫チェックポイント受容体又は免疫チェックポイント受容体リガンドに結合し、それを遮断又は阻害する抗体に結合し、それを遮断又は阻害する、抗体又はその抗原結合フラグメントを含み得る。遮断又は阻害の標的となり得る免疫チェックポイント分子の例としては、以下に限定されないが、CTLA-4、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、PDLl、PDL2、PD-l、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、全てのNK、γδ、及びメモリーCD8+(αβ)T細胞上で発現される)、CD160(BY55とも称される)及びCGEN-15049が挙げられる。免疫チェックポイント阻害剤の例としては、デュルバルマブ(抗PD-L1抗体; MEDI4736)、ペムブロリズマブ(抗PD-1モノクローナル抗体)、ニボルマブ(抗PD-1抗体)、ピジリズマブ(CT-011; ヒト化抗PD-1モノクローナル抗体)、AMP224(組換えB7-DC-Fc融合タンパク質)、BMS-936559(抗PD-L1抗体)、アテゾリズマブ(MPLDL3280A; ヒトFc最適化抗PD-L1モノクローナル抗体)、アベルマブ(MSB0010718C; ヒト抗PD-L1抗体)、イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、及び抗OX40が挙げられる。
【0043】
用語「CCR1アンタゴニスト」及び「CCR1ケモカイン受容体アンタゴニスト」は、互換的に使用され、ケモカイン受容体CCR1と、そのリガンドのいずれか1つとの相互作用に拮抗する小分子を指す。そのような化合物は、受容体リガンド相互作用によって通常引き起こされるプロセスを阻害し得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「完全応答」又は「CR」は、全ての標的病変の消失を指し; 「部分応答」又は「PR」は、標的病変の最長直径の合計(SLD)における少なくとも30%の減少(ベースラインSLDを基準として)を指し; 「安定疾患」又は「SD」は、PRとみなすのに十分な標的病変の縮小がなく、またPDとみなすのに十分な増加もないこと(治療開始以降の最小SLDを基準として)を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」又は「PD」は、標的病変のSLDにおける少なくとも20%の増加(治療開始以降に記録された最小SLD又は1つ以上の新たな病変の存在を基準として)を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存」(PFS)は、治療されている疾患(例えば、がん)が悪化しない、治療中及び治療後の時間の長さを指す。無増悪生存は、患者が完全応答若しくは部分応答を経験した時間の量、並びに患者が安定疾患を経験した時間の量を含み得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「全奏効率」(ORR)は、完全応答(CR)率と部分応答(PR)率の合計を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「全生存」は、特定の持続時間後に生存している可能性が高い、ある群における個体のパーセンテージを指す。
【0049】
III. 実施形態の詳細な説明
一態様では、本発明は、固形腫瘍を有する被験体を治療する方法を提供する。この方法は、それを必要とする被験体に、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを投与することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、この方法は、それを必要とする被験体に、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤とを投与することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、この方法は、それを必要とする被験体に、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-L1阻害剤とを投与することを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、下記の式I~Vの化合物から選択され、より詳細には化合物1.001、3.002、4.005、5.005、及び3.001、又はそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0053】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、BL-5923、UCB-35625、BX-471、BI-638683、PS-031291、MLN-3701、AZD-4818、MLN-3897、CP-481715、F-18-CCR1、AOP-RANTES、PS-375179、及びNSC-651016からなる群から選択される。
【0054】
いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0055】
いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、及びSTI-1110からなる群から選択される。
【0056】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0057】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、STI-1014、及びKY-1003からなる群から選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、US2015291549、WO16039749、WO15034820、及びUS2014294898(BRISTOL MYERS SQUIBB CO)に開示される化合物から選択される。
【0061】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO14151634、WO15160641、WO16039749、WO16077518、WO16100608、WO16149351、WO2016057624、WO2016100285、US2016194307、US2016222060、及びUS2014294898(BRISTOL MYERS SQUIBB CO)に開示される化合物から選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/355,119号又は同第62/440,100号に開示される化合物から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、以下:
【化1】
からなる群から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO16142886、WO16142894、WO16142852、WO16142833、WO15033301、WO15033299、WO11161699、WO12168944、WO13132317、WO13144704、WO15033303、WO15036927、WO15044900、WO16142835、US2015073024、US8907053、US9044442、US9096642、US9233940、及びUS2016194295(Aurigene discovery tech ltd)に開示される化合物から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、AP-106、AP-105、MSB-2311、CBT-501、アベルマブ、AK-105、IO-102、IO-103、PDR-001、CX-072、SHR-1316、JTX-4014、GNS-1480、組換えヒト化抗PD1 mAb(Shanghai Junshi Biosciences)、REGN-2810、ペラレオレプ(pelareorep)、SHR-1210、PD1/PDL1阻害剤ワクチン(THERAVECTYS)、BGB-A317、組換えヒト化抗PD-1 mAb(Bio-Thera Solutions)、プロボディ(Probody)標的化PD-1(CytomX)、XmAb-20717、FS-118、PSI-001、SN-PDL01、SN-PD07、PD-1改変TILs(Sangamo Therapeutics)、PRS-332、FPT-155、ジエヌオ(jienuo)mAb(Genor Biopharma)、TSR-042、REGN-1979、REGN-2810、レスミノスタット、FAZ-053、PD-1/CTLA-4二重特異性抗体(MacroGenics)、MGA-012、MGD-013、M-7824、PD-1ベースの二重特異性抗体(Beijing Hanmi Pharmaceutical)、AK-112、AK-106、AK-104、AK-103、BI-754091、ENUM-244C8、MCLA-145、MCLA-134、抗PD1腫瘍溶解性モノクローナル抗体(Transgene SA)、AGEN-2034、IBI-308、WBP-3155、JNJ-63723283、MEDI-0680、SSI-361、CBT-502、抗PD-1二重特異性抗体、二重標的化抗PD-1/LAG-3 mAbs(TESARO)、二重標的化抗PD-1/TIM-3 mAbs(TESARO)、PF-06801591、LY-3300054、BCD-100、STI-1110、ペムブロリズマブバイオシミラー、ニボルマブバイオシミラー、PD-L1-TGF-ベータ療法、KY-1003、STI-1014、GLS-010、AM-0001、GX-P2、KD-033、PD-L1/BCMA二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、PD-1/Ox40標的化二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、BMS-936559、抗PD-1/VEGF-A DARPins(Molecular Partners)、mDX-400、ALN-PDL、PD-1阻害剤ペプチド(Aurigene)、siRNAロード樹状細胞ワクチン(Alnylam Pharmaceuticals)、GB-226、PD-L1標的化CAR-TNKベースの免疫療法(TNK Therapeutics/NantKwest)、INSIX RA、INDUS-903、AMP-224、抗CTLA-4/抗PD-1二重特異性ヒト化抗体(Akeso Biopharma)、B7-H1ワクチン(State Key Laboratory of Cancer Biology/Fourth Military Medical University)、及びGX-D1からなる群から選択される。
【0066】
CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とは、同時に投与され得る。いくつかの場合には、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤とが、同時に投与される。いくつかの場合には、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-L1阻害剤とが、同時に投与される。いくつかの場合には、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とは、組み合わせ製剤において投与される。CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤とが、組み合わせ製剤において投与され得る。場合により、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-L1阻害剤とが、組み合わせ製剤において投与される。
【0067】
他の実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とは、逐次的に投与される。いくつかの場合には、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤とが、逐次的に投与される。いくつかの場合には、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-L1阻害剤とが、逐次的に投与される。CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤の投与前に投与され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、PD-L1阻害剤の投与前に投与され得る。CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤の投与後に投与され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、PD-L1阻害剤の投与後に投与され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、被験体は、ヒト被験体である。
【0071】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、脳腫瘍、乳がん、膀胱がん、骨がん、大腸がん、肺がん、腎臓がん、肝臓がん、胃がん、前立腺がん、肉腫、メラノーマ、がん腫、及びリンパ腫であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、乳がんである。
【0073】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、トリプルネガティブ乳がんである。
【0074】
第二の態様では、本発明は、固形腫瘍を有する被験体を治療するための組成物を提供する。この組成物は、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、この組成物は、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-L1阻害剤と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、下記の式I~Vから選択される化合物である。
【0077】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、1.001、3.002、4.005、5.005、及び3.001、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0078】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、BL-5923、UCB-35625、BX-471、BI-638683、PS-031291、MLN-3701、AZD-4818、MLN-3897、CP-481715、F-18-CCR1、AOP-RANTES、PS-375179、及びNSC-651016からなる群から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、及びSTI-1110からなる群から選択される。
【0081】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0082】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、STI-1014、及びKY-1003からなる群から選択される。
【0084】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO14151634、WO15160641、WO16039749、WO16077518、WO16100608、WO16149351、WO2016057624、WO2016100285、US2016194307、US2016222060、US2014294898、US2015291549、及びUS2016194307(BRISTOL MYERS SQUIBB CO)に開示される化合物から選択される。
【0085】
いくつかの実施形態では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/355,119号又は同第62/440,100号に開示される化合物から選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、以下:
【化2】
からなる群から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO16142886、WO16142894、WO16142852、WO16142833、WO15033301、WO15033299、WO11161699、WO12168944、WO13132317、WO13144704、WO15033303、WO15036927、WO15044900、WO16142835、US2015073024、US8907053、US9044442、US9096642、US9233940、及びUS2016194295(Aurigene discovery tech ltd)に開示される化合物から選択される。
【0088】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、AP-106、AP-105、MSB-2311、CBT-501、アベルマブ、AK-105、IO-102、IO-103、PDR-001、CX-072、SHR-1316、JTX-4014、GNS-1480、組換えヒト化抗PD1 mAb(Shanghai Junshi Biosciences)、REGN-2810、ペラレオレプ(pelareorep)、SHR-1210、PD1/PDL1阻害剤ワクチン(THERAVECTYS)、BGB-A317、組換えヒト化抗PD-1 mAb(Bio-Thera Solutions)、プロボディ(Probody)標的化PD-1(CytomX)、XmAb-20717、FS-118、PSI-001、SN-PDL01、SN-PD07、PD-1改変TILs(Sangamo Therapeutics)、PRS-332、FPT-155、ジエヌオ(jienuo)mAb(Genor Biopharma)、TSR-042、REGN-1979、REGN-2810、レスミノスタット、FAZ-053、PD-1/CTLA-4二重特異性抗体(MacroGenics)、MGA-012、MGD-013、M-7824、PD-1ベースの二重特異性抗体(Beijing Hanmi Pharmaceutical)、AK-112、AK-106、AK-104、AK-103、BI-754091、ENUM-244C8、MCLA-145、MCLA-134、抗PD1腫瘍溶解性モノクローナル抗体(Transgene SA)、AGEN-2034、IBI-308、WBP-3155、JNJ-63723283、MEDI-0680、SSI-361、CBT-502、抗PD-1二重特異性抗体、二重標的化抗PD-1/LAG-3 mAbs(TESARO)、二重標的化抗PD-1/TIM-3 mAbs(TESARO)、PF-06801591、LY-3300054、BCD-100、STI-1110、ペムブロリズマブバイオシミラー、ニボルマブバイオシミラー、PD-L1-TGF-ベータ療法、KY-1003、STI-1014、GLS-010、AM-0001、GX-P2、KD-033、PD-L1/BCMA二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、PD-1/Ox40標的化二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、BMS-936559、抗PD-1/VEGF-A DARPins(Molecular Partners)、mDX-400、ALN-PDL、PD-1阻害剤ペプチド(Aurigene)、siRNAロード樹状細胞ワクチン(Alnylam Pharmaceuticals)、GB-226、PD-L1標的化CAR-TNKベースの免疫療法(TNK Therapeutics/NantKwest)、INSIX RA、INDUS-903、AMP-224、抗CTLA-4/抗PD-1二重特異性ヒト化抗体(Akeso Biopharma)、B7-H1ワクチン(State Key Laboratory of Cancer Biology/Fourth Military Medical University)、及びGX-D1からなる群から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とは、同時投与用に製剤化される。
【0090】
他の実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とは、逐次投与用に製剤化される。
【0091】
さらに別の態様では、固形腫瘍を有する被験体を治療するためのキットが、本明細書で提供される。このキットは、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを、効果的な投与のための説明書と共に含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、このキットは、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-L1阻害剤とを、効果的な投与のための説明書と共に含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、1.001、3.002、4.005、5.005、及び3.001、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0094】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、BL-5923、UCB-35625、BX-471、BI-638683、PS-031291、MLN-3701、AZD-4818、MLN-3897、CP-481715、F-18-CCR1、AOP-RANTES、PS-375179、及びNSC-651016からなる群から選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0096】
いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、及びSTI-1110からなる群から選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0098】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0099】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、STI-1014、及びKY-1003からなる群から選択される。
【0100】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO14151634、WO15160641、WO16039749、WO16077518、WO16100608、WO16149351、WO2016057624、WO2016100285、US2016194307、US2016222060、US2015291549、US2016194307、及びUS2014294898(BRISTOL MYERS SQUIBB CO)に開示される化合物から選択される。
【0101】
いくつかの実施形態では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/355,119号又は同第62/440,100号に開示される化合物から選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、以下:
【化3】
からなる群から選択される。
【0103】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO16142886、WO16142894、WO16142852、WO16142833、WO15033301、WO15033299、WO11161699、WO12168944、WO13132317、WO13144704、WO15033303、WO15036927、WO15044900、WO16142835、US2015073024、US8907053、US9044442、US9096642、US9233940、及びUS2016194295(Aurigene discovery tech ltd)に開示される化合物から選択される。
【0104】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、AP-106、AP-105、MSB-2311、CBT-501、アベルマブ、AK-105、IO-102、IO-103、PDR-001、CX-072、SHR-1316、JTX-4014、GNS-1480、組換えヒト化抗PD1 mAb(Shanghai Junshi Biosciences)、REGN-2810、ペラレオレプ(pelareorep)、SHR-1210、PD1/PDL1阻害剤ワクチン(THERAVECTYS)、BGB-A317、組換えヒト化抗PD-1 mAb(Bio-Thera Solutions)、プロボディ(Probody)標的化PD-1(CytomX)、XmAb-20717、FS-118、PSI-001、SN-PDL01、SN-PD07、PD-1改変TILs(Sangamo Therapeutics)、PRS-332、FPT-155、ジエヌオ(jienuo)mAb(Genor Biopharma)、TSR-042、REGN-1979、REGN-2810、レスミノスタット、FAZ-053、PD-1/CTLA-4二重特異性抗体(MacroGenics)、MGA-012、MGD-013、M-7824、PD-1ベースの二重特異性抗体(Beijing Hanmi Pharmaceutical)、AK-112、AK-106、AK-104、AK-103、BI-754091、ENUM-244C8、MCLA-145、MCLA-134、抗PD1腫瘍溶解性モノクローナル抗体(Transgene SA)、AGEN-2034、IBI-308、WBP-3155、JNJ-63723283、MEDI-0680、SSI-361、CBT-502、抗PD-1二重特異性抗体、二重標的化抗PD-1/LAG-3 mAbs(TESARO)、二重標的化抗PD-1/TIM-3 mAbs(TESARO)、PF-06801591、LY-3300054、BCD-100、STI-1110、ペムブロリズマブバイオシミラー、ニボルマブバイオシミラー、PD-L1-TGF-ベータ療法、KY-1003、STI-1014、GLS-010、AM-0001、GX-P2、KD-033、PD-L1/BCMA二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、PD-1/Ox40標的化二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、BMS-936559、抗PD-1/VEGF-A DARPins(Molecular Partners)、mDX-400、ALN-PDL、PD-1阻害剤ペプチド(Aurigene)、siRNAロード樹状細胞ワクチン(Alnylam Pharmaceuticals)、GB-226、PD-L1標的化CAR-TNKベースの免疫療法(TNK Therapeutics/NantKwest)、INSIX RA、INDUS-903、AMP-224、抗CTLA-4/抗PD-1二重特異性ヒト化抗体(Akeso Biopharma)、B7-H1ワクチン(State Key Laboratory of Cancer Biology/Fourth Military Medical University)、及びGX-D1からなる群から選択される。
【0105】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とは、同時投与用に製剤化される。
【0106】
他の実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とは、逐次投与用に製剤化される。
【0107】
A. CCR1アンタゴニスト
本明細書で提供される方法、組成物、及びキットは、CCR1アンタゴニストを含む。いくつかの実施形態では、CCR1アンタゴニストは、以下に記載される式I、II、III、IV、及びV、並びに提供される下位式から選択される。いくつかの実施形態では、CCR1アンタゴニストは、以下に記載される化合物1.001、3.002、4.005、5.005、若しくは3.001、又はそれらの薬学的に許容される塩から選択される。いくつかの場合には、CCR1アンタゴニストは、ケモカイン受容体CCR1に拮抗する又はこれを阻害することができる任意の化合物であってよく、以下に限定されないが、例えば、米国特許第7,524,845号; 同第7,576,106号; 同第7,629,344号; 同第8,343,975号; 同第9,169,248号; 並びに米国特許出願第2014/0171420号及び同第2014/0179733号(それらの開示内容は、全ての目的のためにその全体において参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、CCR1の1つ以上の機能を阻害する化合物を、固形腫瘍を治療するために被験体に投与してもよい。他の実施形態では、CCR1の1つ以上の機能を阻害する化合物は、免疫応答を刺激(誘導又は増強)するために投与され、抗がん応答の有益な刺激をもたらす。
【0109】
いくつかの実施形態では、CCR1アンタゴニスト単独療法を投与することによって、肺転移を減少させる方法が本明細書で提供される。CCR1アンタゴニストは、本明細書に開示されるいずれか1つであってよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、CCR1アンタゴニストは、式:
【化4】
又はその薬学的に許容される塩、回転異性体、若しくは光学異性体を有する。
【0111】
式Iにおいて、下付きのnは0~3の整数であり; 各R1a及びR1bは、H、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、-CORa、-CO2Ra、-CONRaRb、-NRaRb、-NRaCORb、-ORa、-X1CORa、-X1CO2Ra、-X1CONRaRb、-X1NRaCORb、-X1NRaRb、及び-X1ORaからなる群から独立して選択されるメンバーであり、X1は、C1-4アルキレンからなる群から選択されるメンバーであり、各Ra及びRbは、独立して、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、及びC3-6シクロアルキルからなる群から選択され、場合により、隣接する炭素原子上の2つのR1a基は、一緒になって、5、6、又は7員の炭素環又は複素環を形成し; R2a及びR2bのそれぞれは、H、ヒドロキシル、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C1-8アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルキル、C1-8ヒドロキシアルキル、C1-4アルコキシ-C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキル-C1-4アルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル-C1-4アルキル、-X1CO2Ra、-X1CONRaRb、-X1NRaCORb、-X1NRaRbからなる群から独立して選択されるメンバーであり、X1、Ra、及びRbは、上に定義される。
【0112】
記号Ar1は、6若しくは10員の単環式若しくは縮合二環式アリール環、又は5~10員の単環式若しくは縮合二環式ヘテロアリール環を表し; これらのそれぞれは、H、ハロゲン、-ORc、-OC(O)Rc、-NRcRd、-SRc、-Re、-CN、-NO2、-CO2Rc、-CONRcRd、-C(O)Rc、-OC(O)NRcRd、-NRdC(O)Rc、-NRdC(O)2Re、-NRc-C(O)NRcRd、-NH-C(NH2)=NH、-NReC(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NRe、-NH-C(NHRe)=NH、-S(O)Re、-S(O)2Re、-NRcS(O)2Re、-S(O)2NRcRd、-N3、-X2ORc、-O-X2ORc、-X2OC(O)Rc、-X2NRcRd、-O-X2NRcRd、-X2SRc、-X2CN、-X2NO2、-X2CO2Rc、-O-X2CO2Rc、-X2CONRcRd、-O-X2CONRcRd、-X2C(O)Rc、-X2OC(O)NRcRd、-X2NRdC(O)Rc、-X2NRdC(O)2Re、-X2NRcC(O)NRcRd、-X2NH-C(NH2)=NH、-X2NReC(NH2)=NH、-X2NH-C(NH2)=NRe、-X2NH-C(NHRe)=NH、-X2S(O)Re、-X2S(O)2Re、-X2NRcS(O)2Re、-X2S(O)2NRcRd、-X2N3、-NRd-X2ORc、-NRd-X2NRcRd、-NRd-X2CO2Rc、及び-NRd-X2CONRcRdからなる群から独立して選択される1~5個の置換基R3、R3a、R3b、R4、及びR4aで置換され、各X2は、C1-4アルキレンからなる群から独立して選択されるメンバーであり、各Rc及びRdは、独立して、水素、C1-8アルキル、C1-8ヒドロキシアルキル、C1-8ハロアルキル、及びC3-6シクロアルキルから選択され、又は場合により、Rc及びRdは、同じ窒素原子に結合している場合、その窒素原子と組み合わされて、環メンバーとして0~2個の追加のヘテロ原子を有する5又は6員環を形成することができ; 各Reは、独立して、C1-8アルキル、C1-8ヒドロキシアルキル、C1-8ハロアルキル、及びC3-6シクロアルキルからなる群から選択される。
【0113】
記号Ar2は、6若しくは10員の単環式若しくは縮合二環式アリール環、又は5~10員の単環式若しくは縮合二環式ヘテロアリール環を表し; これらのそれぞれは、H、ハロゲン、-ORf、-OC(O)Rf、-NRfRg、-SRf、-Rh、-CN、-NO2、-CO2Rf、-CONRfRg、-C(O)Rf、-OC(O)NRfRg、-NRgC(O)Rf、-NRgC(O)2Rh、-NRf-C(O)NRfRg、-NH-C(NH2)=NH、-NRhC(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NRh、-NH-C(NHRh)=NH、-S(O)Rh、-S(O)2Rh、-NRfS(O)2Rh、-S(O)2NRfRg、-NRfS(O)2NRfRg、-N3、-X3ORf、-X3OC(O)Rf、-X3NRfRg、-X3SRf、-X3CN、-X3NO2、-X3CO2Rf、-X3CONRfRg、-X3C(O)Rf、-X3OC(O)NRfRg、-X3NRgC(O)Rf、-X3NRgC(O)2Rh、-X3NRf-C(O)NRfRg、-X3NH-C(NH2)=NH、-X3NRhC(NH2)=NH、-X3NH-C(NH2)=NRh、-X3NH-C(NHRh)=NH、-X3S(O)Rh、-X3S(O)2Rh、-X3NRfS(O)2Rh、-X3S(O)2NRfRg、-Y、-X3Y、-S(O)2Y、-C(O)Y、-X3N3、-O-X3ORf、-O-X3NRfRg、-O-X3CO2Rf、-O-X3CONRfRg、-NRg-X3ORf、-NRg-X3NRfRg、-NRg-X3CO2Rf、及び-NRg-X3CONRfRgからなる群から独立して選択される1~5個の置換基R5、R6、R7、R8、及びR9で置換され、Yは、ハロゲン、-ORf、-OC(O)Rf、-NRfRg、-Rh、-SRf、-CN、-NO2、-CO2Rf、-CONRfRg、-C(O)Rf、-NRgC(O)Rf、-NRgC(O)2Rh、-S(O)Rh、-S(O)2Rh、-NRfS(O)2Rh、-S(O)2NRfRg、-X3ORf、X3SRf、-X3CN、-X3NO2、-X3CO2Rf、-X3CONRfRg、-X3C(O)Rf、-X3OC(O)NRfRg、-X3NRgC(O)Rf、-X3NRgC(O)2Rh、-X3NRf-C(O)NRfRg、-X3OC(O)Rf、-X3S(O)Rh、-X3S(O)2Rh、-X3NRfRg、-X3NRfS(O)2Rh、-X3S(O)2NRfRg、-O-X3ORf、-O-X3NRfRg、-O-X3CO2Rf、-O-X3CONRfRg、-NRg-X3ORf、-NRg-X3NRfRg、-NRg-X3CO2Rf、及び-NRg-X3CONRfRgからなる群から選択される1~3個の置換基で場合により置換される、5又は6員のアリール、ヘテロアリール、又は複素環であり、各X3は、独立して、C1-4アルキレンからなる群から選択され、各Rf及びRgは、独立して、水素、C1-8アルキル、C1-8ヒドロキシアルキル、C1-8ハロアルキル、及びC3-6シクロアルキルから選択され、又は同じ窒素原子に結合している場合、その窒素原子と組み合わされて、環メンバーとして0~2個の追加のヘテロ原子を有する5又は6員環を形成することができ、各Rhは、独立して、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、C1-8ヒドロキシアルキル、C1-8ハロアルキル、及びC3-6シクロアルキルからなる群から選択され; 又はR5、R6、R7、R8、及びR9のうちの2つが、Ar2の隣接する環頂点に結合している場合、場合により、組み合わされて、環メンバーとしてO及びNから選択される0、1、又は2個のヘテロ原子を有する5又は6員環を形成する。
【0114】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、Ar1が、フェニル、ナフチル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、及びプリニル(これらのそれぞれは、場合により、R3、R3a、R3b、R4、及びR4aで置換される)からなる群から選択されるものである。
【0115】
他の実施形態では、式Iの化合物は、Ar1が、フェニル、ナフチル、及びピリジル(これらのそれぞれは、場合により、R3、R3a、R3b、R4、及びR4aで置換される)からなる群から選択されるものである。
【0116】
さらなる他の実施形態では、式Iの化合物は、Ar2が、フェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサチアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピラゾロ[3,4-b]ピリジン、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、イミダゾ[4,5-b]ピリジン、イミダゾ[1,5-a]ピリジン、及びピロロ[2,3-b]ピリジン(これらのそれぞれは、場合により、R5、R6、及びR7で置換される)からなる群から選択されるものである。
【0117】
さらなる他の実施形態では、式Iの化合物は、Ar2が、ピラゾリル、イミダゾリル、及びトリアゾリル(これらのそれぞれは、R5、R6、及びR7で置換される)からなる群から選択されるものである。
【0118】
特定の実施形態では、式Iの化合物は、Ar1が、フェニル、ナフチル、及びピリジル(これらのそれぞれは、1~5個の置換基R3、R3a、R3b、R4、及びR4aで置換される)からなる群から選択され; Ar2が、ピラゾリル、イミダゾリル、及びトリアゾリル(これらのそれぞれは、R5、R6、及びR7で置換される)からなる群から選択されるものである。
【0119】
選択された実施形態では、式Iの化合物は、Ar1が、フェニル(1~5個の置換基R3、R3a、R3b、R4、及びR4aで置換される)であり、Ar2が、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ピラゾロ[3,4-b]ピリジン、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、イミダゾ[4,5-b]ピリジン、イミダゾ[1,5-a]ピリジン、及びピロロ[2,3-b]ピリジン(これらのそれぞれは、場合により、R5、R6、及びR7で置換される)からなる群から選択されるものである。
【0120】
本発明のさらなる他の実施形態は、式Ia、Ia1、Ia2、Ib、Ic、Id、II、IIa、IIb、IIb1、IIb2、IIb2a、IIb2b、IIb2c、IIc、IIb3、IIb2d、IIb2e、IIb2f、III、IIIa、IIIb、IIIc、IIb1、IIIb1a、IIIb1b、IIIb1c、IIIb2、IIIb3a、IIIb3b、IIIb3c、IV、IVa、IVb、IVc、IVd、V、Va、及びVbの化合物である。
【0121】
したがって、いくつかの実施形態では、化合物は、式Ia:
【化5】
[式中、R
3及びR
4は、独立して、H、ハロゲン、-R
e、-CN、及び-SO
2R
eからなる群から選択され; 基R
1a、R
2a、及びAr
2は、上記式I又は提供される他の実施形態に関して提供される意味を有する]
のもの、又はその薬学的に許容される塩、回転異性体、若しくは光学異性体である。
【0122】
式I又はIaのさらなる他の実施形態では、Ar
2は、ヘテロアリール基であり; 他の実施形態では、Ar
2は、場合により置換され、窒素原子環頂点を介して分子の残部に結合しているヘテロアリール基であり; さらなる他の実施形態では、Ar
2は、式:
【化6】
[式中、R
5、R
6、及びR
7は、独立して、H、ハロゲン、-R
h、-CN、-SO
2R
h、-CO
2R
f、-CONR
fR
g、及びYからなる群から選択され、-R
h、R
f、R
g、及びYは、式Iに関して上に提供される意味を有する]
を有する。
【0123】
選択された実施形態の1つの群では、化合物は、式:
【化7】
[式中、R
4は、F及びClからなる群から選択され; 基R
1a、R
2a、R
3、及びAr
2は、上記式I若しくはIa又は提供される他の実施形態に関して提供される意味を有する]
又はその薬学的に許容される塩、回転異性体、若しくは光学異性体を有する。
【0124】
選択された実施形態の別の群では、化合物は、式:
【化8】
[式中、R
3は、H、ハロゲン、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、及びC
1-8アルコキシからなる群から選択され; R
1a及びR
2aは、独立して、H、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルコキシ、及びC
1-8ヒドロキシアルキルからなる群から選択され; Ar
2は、上記式I若しくはIa又は提供される実施形態に関して提供される意味を有する]
又はその薬学的に許容される塩、回転異性体、若しくは光学異性体を有する。
【0125】
選択された実施形態のさらなる別の群では、化合物は、式:
【化9】
[式中、R
1a及びR
2aは、独立して、H、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルコキシ、及びC
1-8ヒドロキシアルキルからなる群から選択され; R
5、R
6、及びR
7は、独立して、H、ハロゲン、-R
h、-CN、-SO
2R
h、-CO
2R
f、-CONR
fR
g、及びYからなる群から選択され、-R
h、R
f、R
g、及びYは、式Iに関して上に提供される意味を有する]
又はその薬学的に許容される塩、回転異性体、若しくは光学異性体を有する。
【0126】
選択された実施形態のさらなる別の群では、化合物は、式:
【化10】
[式中、R
1a及びR
2aは、独立して、H、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルコキシ、及びC
1-8ヒドロキシアルキルからなる群から選択され; R
5、R
6、及びR
7は、独立して、H、ハロゲン、-R
h、-CN、-SO
2R
h、-CO
2R
f、-CONR
fR
g、及びYからなる群から選択され; -R
h、R
f、R
g、及びYは、式Iに関して上に提供される意味を有する]
又はその薬学的に許容される塩、回転異性体、若しくは光学異性体を有する。
【0127】
選択された実施形態の別の群では、化合物は、式:
【化11】
[式中、R
1a及びR
2aは、それぞれ独立して、H、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルコキシ、及びC
1-8ヒドロキシアルキルからなる群から選択され; R
5及びR
7は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-R
h、-CN、-SO
2R
h、-CO
2R
f、-CONR
fR
g、及びYからなる群から選択され; -R
h、R
f、R
g、及びYは、式Iに関して上に提供される意味を有する]
又はその薬学的に許容される塩、回転異性体、若しくは光学異性体を有する。
【0128】
上記実施形態のいずれかについて、Yが存在する場合、選択された実施形態は、Yが、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、イミダゾリニル、及びピラゾリルからなる群から選択されるものである。
【0129】
いくつかの実施形態では、CCR1アンタゴニストは、以下:
【化12】
又はそれらの薬学的に許容される塩から選択される化合物である。
【0130】
特定の実施形態では、CCR1アンタゴニストは、化合物1.001:
【化13】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0131】
さらなる他の実施形態では、CCR1アンタゴニストは、式IIの化合物:
【化14】
又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、N-酸化物、若しくは回転異性体である。式IIでは、
各Aは、独立して、N及びCHからなる群から選択され;
X及びZは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される:
(i)単環式又は縮合二環式アリール及びヘテロアリール、ここで、ヘテロアリール基は、N、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を環メンバーとして有する;
(ii)シクロアルカン及びヘテロシクロアルカンからなる群から選択される単環式の4、5、6、又は7員環、ここで、ヘテロシクロアルカン環は、N、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環メンバーとして有する;
ここで、(i)及び(ii)における環のそれぞれは、場合により、ハロゲン、CN、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-OR
a、-CO
2R
a、-SO
2R
a、-NR
aR
b、-CONR
aR
b、アリール、5若しくは6員ヘテロアリール、並びに3、4、5、若しくは6員ヘテロシクロアルカンから選択される1~5個の置換基で置換され、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルカン環の環頂点として存在するヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、置換基のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルカン部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換され; 場合により、隣接する環頂点上の2つの置換基は、連結されて、C、O、N、及びSから選択される環頂点を有する飽和、不飽和、又は芳香族である追加の5又は6員環を形成し;
R
3は、H、ハロゲン、CN、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-OR
a、-CO
2R
a、-NR
aR
b、-CONR
aR
b、アリール、5若しくは6員ヘテロアリール、並びに3、4、5、若しくは6員複素環からなる群から選択されるメンバーであり、ヘテロアリール及び複素環の環頂点として存在するヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、R
3のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換され;
R
4は、H、-OR
a、及び-OR
a又は-NR
aR
bで場合により置換されているC
1-8アルキルからなる群から選択されるメンバーであり; 又はR
4は、Xと組み合わされて、二環式縮合環系を形成し; 及び
各R
a及びR
bは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C
1-8アルキル、C
1-8アルコキシ、C
1-8ハロアルキル、C
3-6シクロアルキル、C
3-6シクロアルキルアルキル、アミノ、C
1-8アルキルアミノ、ジC
1-8アルキルアミノ、カルボキサミド、カルボキシC
1-4アルキルエステル、カルボン酸、及び-SO
2-C
1-8アルキルからなる群から選択される。
【0132】
当業者は、置換基の記載が、一般に安定であるもの(例えば、保存時に20%未満の分解)のみを指すことを理解し、基-ORaは、Raがアルコキシである成分(ペルオキシ又は-OO-アルキル基をもたらす)を含むことは意図されない。
【0133】
いくつかの選択された実施形態では、式IIの化合物は、式IIa:
【化15】
[式中、A
1は、N又はC(R
5)であり; A
2は、N又はC(R
7)であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-OR
a、-CO
2R
a、-NR
aR
b、-CONR
aR
b、アリール、5若しくは6員ヘテロアリール、並びに3、4、5、若しくは6員ヘテロシクロアルカンから選択され、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルカン環の環頂点として存在するヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、R
5、R
6、R
7、及びR
8のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルカン部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換され; 場合により、R
4及びR
5、R
4及びR
8、又はR
5、R
6、R
7、及びR
8の隣接するメンバーは、連結されて、C、O、N、及びSから選択される環頂点を有する飽和、不飽和、又は芳香族である追加の5又は6員環を形成する]
又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、回転異性体、若しくはN-酸化物によって表される。
【0134】
他の選択された実施形態では、式IIaの化合物は、R8がH以外であるものである。
【0135】
他の選択された実施形態では、式IIaの化合物は、式IIb:
【化16】
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-OR
a、-CO
2R
a、-SO
2R
a、-NR
aR
b、-CONR
aR
b、並びに3、4、5、若しくは6員ヘテロシクロアルカンから選択され、ヘテロシクロアルカン環の環頂点として存在するヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、R
1及びR
2のアルキル、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルカン部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換される]
によって表される。
【0136】
式IIbの選択された実施形態では、各R1及びR2は、独立して、H、ハロゲン、CN、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、-CO2Ra、及び-SO2Raから選択される。
【0137】
式IIbの化合物についての他の選択された実施形態では、化合物は、構造:
【化17】
によって表される。
【0138】
式IIb及びIIb1の化合物についての他の選択された実施形態では、環頂点としてN、A
1、及びA
2を有する環部分は、以下:
【化18】
から選択される。
【0139】
式IIb及びIIb1の化合物についてのさらなる他の選択された実施形態では、環頂点としてN、A
1、及びA
2を有する環部分は、以下:
【化19】
[式中、R
7は、H又はClであり、R
8は、1又は2個のR
aで場合により置換されているC
1-8アルキルである]
から選択される。
【0140】
式IIb又はIIb1のさらなる他の選択された実施形態では、R4は、H又はCH3である。
【0141】
式IIに戻って、いくつかの選択された実施形態は、式IIb2:
【化20】
[式中、R
1は、Cl又はFであり; R
3は、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキルからなる群から選択され、R
3のアルキル部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換され; R
7及びR
8は、一緒になって環を形成しない]
によって表される化合物である。
【0142】
さらなる他の選択された実施形態では、式II、IIb、IIb1、及びIIb2の化合物は、式IIb2a、IIb2b、及びIIb2cによって表される。
【化21】
【0143】
いくつかの選択された実施形態では、化合物は、式IIc:
【化22】
[式中、下付きのnは、0又は1である]
によって表される。
【0144】
いくつかの選択された実施形態では、化合物は、式IIb3:
【化23】
によって表される。
【0145】
式IIbのいくつかの選択された実施形態では、化合物は、式IIb2d、IIb2e、及びIIb2fによって表される。
【化24】
【0146】
式II、IIa、IIb、IIb1、IIb2、IIb2a、IIb2b、IIb2c、IIb2d、IIb2e、IIb2f、IIb3、及びIIcのいずれかの選択された実施形態では、R3は、C1-8アルキルである。
【0147】
他の実施形態では、本明細書における方法及び組成物に有用なCCR1アンタゴニストは、式III:
【化25】
又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、N-酸化物、若しくは回転異性体によって表される。式IIIでは、文字nは、0~3の整数であり;
各Aは、独立して、N及びCHからなる群から選択され;
X及びZは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される:
(i)単環式又は縮合二環式アリール及びヘテロアリール、ここで、ヘテロアリール基は、N、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を環メンバーとして有する;
(ii)シクロアルカン及びヘテロシクロアルカンからなる群から選択される単環式の4、5、6、又は7員環、ここで、ヘテロシクロアルカン環は、N、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環メンバーとして有する;
ここで、(i)及び(ii)における環のそれぞれは、場合により、ハロゲン、CN、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-OR
a、-CO
2R
a、-SO
2R
a、-NR
aR
b、-CONR
aR
b、アリール、5若しくは6員ヘテロアリール、並びに3、4、5、若しくは6員ヘテロシクロアルカンから選択される1~5個の置換基で置換され、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルカン環の環頂点として存在するヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、置換基のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルカン部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換され; 場合により、隣接する環頂点上の2つの置換基は、連結されて、C、O、N、及びSから選択される環頂点を有する飽和、不飽和、又は芳香族である追加の5又は6員環を形成し;
R
3は、H、ハロゲン、CN、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-OR
a、-CO
2R
a、-NR
aR
b、-CONR
aR
b、アリール、5若しくは6員ヘテロアリール、並びに3、4、5、若しくは6員複素環からなる群から選択されるメンバーであり、ヘテロアリール及び複素環の環頂点として存在するヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、R
3のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換され;
R
4は、H、-OR
a、及び-OR
aで場合により置換されているC
1-8アルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
R
9は、H及び-OR
aで場合により置換されているC
1-8アルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
各R
a及びR
bは、独立して、水素、ヒドロヒドロキシルキシル、ハロゲン、シアノ、C
1-8アルキル、C
1-8アルコキシ、C
1-8ハロアルキル、C
3-6シクロアルキル、C
3-6シクロアルキルアルキル、アミノ、C
1-8アルキルアミノ、ジC
1-8アルキルアミノ、カルボキサミド、カルボキシC
1-4アルキルエステル、カルボン酸、及び-SO
2-C
1-8アルキルからなる群から選択される。
【0148】
いくつかの選択された実施形態では、式IIIの化合物は、式IIIa:
【化26】
[式中、A
1は、N又はC(R
5)であり; A
2は、N又はC(R
7)であり; R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-OR
a、-CO
2R
a、-NR
aR
b、-CONR
aR
b、アリール、5若しくは6員ヘテロアリール、並びに3、4、5、若しくは6員ヘテロシクロアルカンから選択され、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルカン環の環頂点として存在するヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、R
5、R
6、R
7、及びR
8のアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルカン部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換され; 場合により、R
5、R
6、R
7、及びR
8の隣接するメンバーは、連結されて、C、O、N、及びSから選択される環頂点を有する飽和、不飽和、又は芳香族である追加の5又は6員環を形成する]
又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、回転異性体、若しくはN-酸化物によって表される。
【0149】
他の選択された実施形態では、式IIIaの化合物は、R8がH以外であるものである。
【0150】
他の選択された実施形態では、式IIIaの化合物は、式IIIb:
【化27】
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-OR
a、-CO
2R
a、-SO
2R
a、-NR
aR
b、-CONR
aR
b、並びに3、4、5、若しくは6員ヘテロシクロアルカンから選択され、ヘテロシクロアルカン環の環頂点として存在するヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、R
1及びR
2のアルキル、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルカン部分は、場合により、1~3個のR
aでさらに置換される]
によって表される。
【0151】
式IIIbの選択された実施形態では、各R1及びR2は、独立して、H、ハロゲン、CN、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、-CO2Ra、及び-SO2Raから選択される。
【0152】
式IIIbの化合物についての他の選択された実施形態では、環頂点としてN、A
1、及びA
2を有する環部分は、以下:
【化28】
から選択される。
【0153】
式IIIbの化合物についてのさらなる他の選択された実施形態では、環頂点としてN、A
1、及びA
2を有する環部分は、以下:
【化29】
[式中、R
7は、H又はClであり、R
8は、1又は2個のR
aで場合により置換されているC
1-8アルキルである]
から選択される。
【0154】
式IIIbのさらなる他の選択された実施形態では、R9は、H又はCH3である。
【0155】
式IIIに戻って、いくつかの選択された実施形態は、式IIIc:
【化30】
[式中、文字nは、1、2、又は3である]
によって表される化合物である。他の選択された実施形態は、nが1であるものである。
【0156】
さらなる他の選択された実施形態では、式IIIbの化合物は、式IIIb1:
【化31】
[式中、R
1は、Cl又はFである]
によって表されるものである。
【0157】
さらなる他の選択された実施形態では、式IIIb1の化合物は、式IIIb1a、IIIb1b、及びIIIb1cによって表される。
【化32】
【0158】
式IIIbのいくつかの選択された実施形態では、化合物は、式IIIb2:
【化33】
[式中、R
1は、Cl又はFである]
によって表される。
【0159】
式IIIbのいくつかの選択された実施形態では、化合物は、式IIIb3a、IIIb3b、及びIIIb3cによって表される。
【化34】
【0160】
式III、IIIa、IIIb、IIIc、IIIb1、IIIb1a、IIIb1b、IIIb1c、IIIb2、IIIb3a、IIIb3b、及びIIIb3cのいずれかの選択された実施形態では、R3は、H、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキル、及びC2-8アルケニルから選択される。
【0161】
いくつかの選択された実施形態では、CCR1アンタゴニストは、以下:
【化35】
から選択される。
【0162】
いくつかの選択された実施形態では、CCR1アンタゴニストは、以下:
【化36】
である。
【0163】
いくつかの選択された実施形態では、CCR1アンタゴニストは、以下:
【化37】
である。
【0164】
他の実施形態では、本明細書における方法及び組成物に有用なCCR1アンタゴニストは、式IV:
【化38】
又はその薬学的に許容される塩、水和物、又はN-酸化物によって表される。式IVでは、R
1は、C
1-4アルキル又はC
1-4ハロアルキルであり、下付きのmは、0~1の整数である。式IVでは、R
2a、R
2c、R
2dは、それぞれ、水素、ハロゲン、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル、-O-C
1-4ハロアルキル、及びC
1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択されるメンバーであり; R
3は、水素及びC
1-4アルキルからなる群から選択されるメンバーであり; R
4はC
1-4アルキルであり; 下付きのnは0~2の整数である。一実施形態では、R
3は、水素である。
【0165】
別の実施形態では、R3は水素であり、下付きのnは0である。
【0166】
別の実施形態では、式IV中のR1は、メチル、トリフルオロメチル、又はエチルであり、下付きのmは1である。
【0167】
別の実施形態では、下付きのmは0である。
【0168】
さらなる別の実施形態では、R2a、R2c、及びR2dは、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、及び2-フルオロエトキシからなる群から選択される。
【0169】
さらなる別の実施形態では、R2aは水素であり、R2c及びR2dは、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、及び2-フルオロエトキシからなる群から選択される。
【0170】
1つの好ましい実施形態では、CCR1アンタゴニストは、式IVa又はIVbのものである。
【化39】
【0171】
一実施形態では、式IVa又はIVb中のR2a及びR2cは、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードからなる群から選択され; R2dは、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、及び2-フルオロエトキシからなる群から選択される。
【0172】
具体的な実施形態では、式IVa又はIVbの化合物は、以下:
【化40】
からなる群から選択される。
【0173】
別の具体的な実施形態では、本発明の化合物は、式IVc又はIVd:
【化41】
のものである。
【0174】
式IVc及びIVdにおいて、特定の実施形態では、R2cは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードからなる群から選択され; R2dは、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、及び2-フルオロエトキシからなる群から選択される。
【0175】
具体的な実施形態では、式IVc又はIVdの化合物は、以下:
【化42】
からなる群から選択される。
【0176】
本発明のさらなる別の実施形態では、式IVdの化合物は、以下の構造:
【化43】
を有する。
【0177】
他の実施形態では、本明細書における方法及び組成物に有用なCCR1アンタゴニストは、式V:
【化44】
又はその薬学的に許容される塩、水和物、又はN-酸化物によって表される。式Vでは、R
1a及びR
1bは、それぞれ独立して、H及びCH
3からなる群から選択され; R
2aは、H及びFからなる群から選択され; R
2dは、H、C
1-4アルコキシ、及びC
1-4ハロアルコキシからなる群から選択される。一実施形態では、R
2aは、水素である。
【0178】
別の実施形態では、R1a及びR1bは、それぞれHである。
【0179】
別の実施形態では、R1bはメチルであり、R1aはHである。
【0180】
さらなる別の実施形態では、R1a及びR1bは、それぞれメチルである。
【0181】
さらなる別の実施形態では、R2aは水素であり、R2dは、メトキシ、エトキシ、及びトリフルオロメトキシからなる群から選択される。
【0182】
1つの好ましい実施形態では、化合物は、式Va又はVb:
【化45】
[式中、R
2aは、H及びFからなる群から選択され; R
2dは、メトキシ、エトキシ、及びトリフルオロメトキシからなる群から選択される]
のものである。
【0183】
具体的な実施形態では、CCR1アンタゴニスト化合物は、以下:
【化46】
からなる群から選択される。
【0184】
別の具体的な実施形態では、CCR1アンタゴニスト化合物は、以下:
【化47】
からなる群から選択される。
【0185】
さらなる別の実施形態では、CCR1アンタゴニスト化合物は、構造5.005:
【化48】
又はその薬学的に許容される塩を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、BL-5923、UCB-35625、BX-471、BI-638683、PS-031291、MLN-3701、AZD-4818、MLN-3897、CP-481715、F-18-CCR1、AOP-RANTES、PS-375179、及びNSC-651016からなる群から選択される。
【0187】
B. PD-1阻害剤及びPD-L1阻害剤
本明細書で提供される方法、組成物、及びキットは、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、PD-1/PD-L1経路阻害剤(薬剤)を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、PD-1経路阻害剤は、PD-1アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、小分子PD-1アンタゴニスト、PD-1阻害剤、抗PD-1生物学的製品(例えば、PD-1に特異的に結合する抗体又はそのフラグメント)、PD-L1アンタゴニスト、小分子PD-L1アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-L1阻害剤、抗PD-L1生物学的製品(例えば、PD-L1に特異的に結合する抗体又はそのフラグメント)などであり得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ又はアテゾリズマブ又はアベルマブ又はBMS-936559(MDX-1105)又はALN-PDL又はTSR-042又はKD-033又はCA-170又はCA-327又はSTI-1014又はMEDI-0680又はKY-1003であり得る。
【0190】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ又はアテゾリズマブ又はアベルマブ又はBMS-936559(MDX-1105)又はALN-PDL又はTSR-042又はKD-033又はCA-170又はSTI-1014又はMEDI-0680又はKY-1003であり得る。デュルバルマブ(MEDI4736)は、PD-L1に対するヒトモノクローナル抗体である。アトレキソリズマブ(Atrexolizumab)(MPDL3280A)は、PD-L1に対する完全にヒト化され、操作されたIgG1モノクローナル抗体である。アベルマブ(MSB0010718C)は、PD-L1に対する完全にヒト化され、操作されたIgG1モノクローナル抗体である。BMS-936559(MDX-1105)は、PD-L1に対する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。ALN-PDLは、PD-L1を標的とする阻害性RNA(RNAi)である。TSR-042は、PD-1/PD-L1経路に向けられた操作されたキメラ抗体を指す。KD-033は、抗PD-L1抗体がIL-15受容体のスシドメインによってサイトカインIL-15にその末尾で結合している、二機能性抗PD-L1/IL-15融合タンパク質を指す。CA-170は、PD-L1及びVISTAの小分子アンタゴニストを指す。STI-1014は、抗PD-L1抗体を指す。KY-1003は、PD-L1に対するモノクローナル抗体である。CA-327は、PD-L1及びTIM3の小分子アンタゴニストを指す。
【0191】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、AP-106、AP-105、MSB-2311、CBT-501、アベルマブ、AK-105、IO-102、IO-103、PDR-001、CX-072、SHR-1316、JTX-4014、GNS-1480、組換えヒト化抗PD1 mAb(Shanghai Junshi Biosciences)、REGN-2810、ペラレオレプ(pelareorep)、SHR-1210、PD1/PDL1阻害剤ワクチン(THERAVECTYS)、BGB-A317、組換えヒト化抗PD-1 mAb(Bio-Thera Solutions)、プロボディ(Probody)標的化PD-1(CytomX)、XmAb-20717、FS-118、PSI-001、SN-PDL01、SN-PD07、PD-1改変TILs(Sangamo Therapeutics)、PRS-332、FPT-155、ジエヌオ(jienuo)mAb(Genor Biopharma)、TSR-042、REGN-1979、REGN-2810、レスミノスタット、FAZ-053、PD-1/CTLA-4二重特異性抗体(MacroGenics)、MGA-012、MGD-013、M-7824、PD-1ベースの二重特異性抗体(Beijing Hanmi Pharmaceutical)、AK-112、AK-106、AK-104、AK-103、BI-754091、ENUM-244C8、MCLA-145、MCLA-134、抗PD1腫瘍溶解性モノクローナル抗体(Transgene SA)、AGEN-2034、IBI-308、WBP-3155、JNJ-63723283、MEDI-0680、SSI-361、CBT-502、抗PD-1二重特異性抗体、二重標的化抗PD-1/LAG-3 mAbs(TESARO)、二重標的化抗PD-1/TIM-3 mAbs(TESARO)、PF-06801591、LY-3300054、BCD-100、STI-1110、ペムブロリズマブバイオシミラー、ニボルマブバイオシミラー、PD-L1-TGF-ベータ療法、KY-1003、STI-1014、GLS-010、AM-0001、GX-P2、KD-033、PD-L1/BCMA二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、PD-1/Ox40標的化二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、BMS-936559、抗PD-1/VEGF-A DARPins(Molecular Partners)、mDX-400、ALN-PDL、PD-1阻害剤ペプチド(Aurigene)、siRNAロード樹状細胞ワクチン(Alnylam Pharmaceuticals)、GB-226、PD-L1標的化CAR-TNKベースの免疫療法(TNK Therapeutics/NantKwest)、INSIX RA、INDUS-903、AMP-224、抗CTLA-4/抗PD-1二重特異性ヒト化抗体(Akeso Biopharma)、B7-H1ワクチン(State Key Laboratory of Cancer Biology/Fourth Military Medical University)、及びGX-D1からなる群から選択される。
【0192】
いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ又はニボルマブ又はIBI-308又はmDX-400又はBGB-108又はMEDI-0680又はSHR-1210又はPF-06801591又はPDR-001又はGB-226又はSTI-1110であり得る。ニボルマブ(OPDIVO(商標)、MDX-1106、BMS-936558、及びONO-4538としても知られている)は、PD-1に対するヒトIgG4モノクローナル抗体である。ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、ラムブロリズマブ、及びMK-34としても知られている)は、PD-1に対するヒト化IgG4カッパアイソタイプモノクローナル抗体である。IBI-308は、PD-1に対するモノクローナル抗体を指す。mDX-400は、PD-1に対するマウス抗体を指す。BGB-108は、PD-1に対するヒト化モノクローナル抗体である。MEDI-0680(AMP-514)は、PD-1に対するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。SHR-1210は、PD-1に対するモノクローナル抗体を指す。PF-06801591は、PD-1に対するモノクローナル抗体である。PDR-001は、PD-1に対するモノクローナル抗体を指す。GB-226は、PD-1に対するモノクローナル抗体を指す。STI-1110は、PD-1に対するモノクローナル抗体を指す。
【0193】
本明細書に記載の抗PD-1抗体及び抗体フラグメントは、記載された抗体のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するが、PD-1に結合する能力を保持するタンパク質を包含する。
【0194】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、二重特異性抗体及び抗体様治療タンパク質、例えば、DARTs(登録商標)、DUOBODIES(登録商標)、BITES(登録商標)、XmAbs(登録商標)、TandAbs(登録商標)、PD-1に結合するFab誘導体などを含む。
【0195】
本明細書に記載の抗PD-L1抗体及び抗体フラグメントは、記載された抗体のアミノ酸配列とは異なるが、PD-L1に結合する能力を保持するアミノ酸配列を有するタンパク質を包含する。そのようなバリアント抗体及びそのフラグメントは、親配列と比較した場合、アミノ酸の1つ以上の付加、欠失、又は置換を含むことができるが、記載された抗体の生物学的活性と本質的に等価又は本質的に生物学的に等価な生物学的活性を示すことができる。
【0196】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、二重特異性抗体及び抗体様治療タンパク質、例えば、PD-L1に結合するDARTs(登録商標)、DUOBODIES(登録商標)、BITES(登録商標)、XmAbs(登録商標)、TandAbs(登録商標)、Fab誘導体などを含む。
【0197】
さらなるPD-1/PD-L1経路阻害剤の非限定的な例は、例えば、Chen and Han, Jour Clin Invest, 2015, 125(9):3384-3391、米国特許第8,168,757号; 同第8,354,509号; 同第8,552,154号; 同第8,741,295号; 及び同第9,212,224号; 米国特許出願公開第2014/0341917号; 同第2015/0203580号及び同第2015/0320859号; 国際特許出願公開第WO2015/026634号に記載される。
【0198】
生物学的製品、例えば、抗体又はそのフラグメントは、例えば、その生物学的製品が、参照製品として知られる、既にFDAによって承認された生物学的製品と非常に類似している場合、バイオシミラーとみなされる。バイオシミラーは、参照製品と、安全性及び有効性の点で臨床的に意味のある差を有しない。バイオシミラーはまた、その参照製品と同じ作用機序、投与経路、剤形、及び強度を有することができる。
【0199】
2つの生物学的製品、例えば、抗体又はそのフラグメントは、例えば、それらが、単回投与又は複数回投与のいずれかで同等の実験条件下で同じモル用量で投与された場合に、吸収速度及び吸収の程度が顕著な差を示さない、薬学的等価物又は薬学的代替物である場合、バイオイクイバレントとみなされる。いくつかの抗体は、それらの吸収の程度において等価であるが、それらの吸収の速度において等価ではない場合、等価物又は薬学的代替物とみなされ、依然としてバイオイクイバレントとみなされ得る。なぜならば、吸収の速度におけるそのような差が、意図的であり、ラベルに反映され、例えば慢性的使用に対する有効な身体薬物濃度の達成に必須ではなく、研究される特定の薬物製品について医学的に重要ではないと考えられるためである。
【0200】
いくつかの実施形態では、2つの生物学的製品(例えば、2つの抗体又はそのフラグメント)は、それらの安全性、純度、又は効力において臨床的に意味のある差がない場合、バイオイクイバレントである。
【0201】
他の実施形態では、2つの生物学的製品(例えば、2つの抗体又はそのフラグメント)は、切り替えのない継続的療法と比較して、有害作用、例えば、免疫原性における臨床的に意義のある変化、又は有効性の低減のリスクにおける予測される増加なしに、参照製品と生物学的製品との間で患者を1回以上切り替えることができる場合、バイオイクイバレントである。
【0202】
さらに他の実施形態では、2つの生物学的製品(例えば、2つの抗体又はそのフラグメント)は、両者が使用状態について共通の作用機序によって作用する場合、そのような機序が公知である限り、バイオイクイバレントである。
【0203】
バイオイクイバレンスは、in vivo及び/又はin vitroの方法によって実証することができる。バイオイクイバレンス測定は、例えば、(a)抗体又はその代謝産物の濃度が血液、血漿、血清、又は他の生物学的液体中で時間の関数として測定される、ヒト又は他の哺乳動物におけるin vivo試験; (b)ヒトin vivoバイオアベイラビリティデータと相関し、これに合理的に予測的である、in vitro試験; (c)抗体(又はその標的)の適切な急性薬理学的効果が時間の関数として測定される、ヒト又は他の哺乳動物におけるin vivo試験; 及び(d)抗体の安全性、効力、又はバイオアベイラビリティ若しくはバイオイクイバレンスを確立する、十分に管理された臨床試験、を含む。
【0204】
本明細書に記載される抗体のバイオベターバリアントは、例えば、その標的抗原に対してより高い結合親和性を有する、並びに/又は参照抗体とは異なるエピトープに結合する、又はより望ましい治療効力、発現、及び/若しくは生物物理学的特性を有するように変化を受けた、標的抗原、例えばPD-1又はPD-L1に特異的な既存の参照抗体に基づくものであり得る。
【0205】
C. 医薬組成物
本明細書で提供される医薬組成物、例えば、CCR1活性を調節するための化合物及びPD-1/PD-L1経路を遮断するための薬剤を含む医薬組成物は、医薬担体又は希釈剤を含有し得る。
【0206】
用語「組成物」は、本明細書で使用される場合、特定量の特定成分を含む生成物、及び特定量の特定成分の組み合わせから直接又は間接的に得られる任意の生成物を包含することが意図される。「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤、又は賦形剤が、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害ではないものでなければならないことを意味する。
【0207】
本発明の抗体などの生物学的製品は、1種以上の抗体若しくはそのフラグメント並びに薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物で構成されてもよい。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合する任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄、又は表皮投与(例えば、注射又は注入による)に適している。本発明の医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される塩、抗酸化剤、水性及び非水性担体、並びに/又はアジュバント、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤を含んでもよい。
【0208】
本発明の化合物及び薬剤の投与のための医薬組成物は、好都合には単位剤形で提供することができ、薬学及び薬物送達の技術分野において周知の任意の方法によって調製することができる。全ての方法は、活性成分を、1種以上の補助成分を構成する担体と接触させるステップを含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化固体担体又はその両方と均一かつ密接に接触させ、次いで必要に応じて生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。医薬組成物において、活性な対象化合物は、疾患のプロセス又は状態に所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。
【0209】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態であってもよく、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性若しくは油性懸濁液、分散性の粉末若しくは顆粒、エマルジョン及び米国特許第6,451,339号に記載されるような自己乳化剤、ハード若しくはソフトカプセル、シロップ、エリキシル、溶液、バッカルパッチ、経口ゲル、チューインガム、チュアブル錠剤、発泡性粉末、並びに発泡性錠剤であってもよい。経口使用のために意図される組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、薬学的に高質で味の良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、酸化防止剤、及び保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えばセルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム; 顆粒化剤及び崩壊剤、例えばコーンスターチ又はアルギン酸; 結合剤、例えばPVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン、又はアカシア、並びに平滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、あるいは、胃腸管における崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたって持続的な作用を提供する公知技術によって、腸溶的に又は他のやり方でコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延物質を使用してもよい。それらはまた、制御放出のための浸透圧治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号; 同第4,166,452号; 及び同第4,265,874号に記載された技術によってコーティングされてもよい。
【0210】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されているハードゼラチンカプセルとして、又は活性成分が水又は油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合されているソフトゼラチンカプセルとして提供してもよい。さらに、エマルジョンは、油などの非水混和性成分を用いて調製し、モノ-ジグリセリド、PEGエステルなどの界面活性剤で安定化させることができる。
【0211】
水性懸濁液は、活性物質を水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して含有する。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、トラガカントガム、及びアカシアガムであり; 分散剤又は湿潤剤は、天然ホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシ-エチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁液はまた、1種以上の保存剤、例えばエチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシベンゾエート、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤、及び1種以上の甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンを含有してもよい。
【0212】
油性懸濁液は、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、若しくはココナツ油、又は鉱油、例えば流動パラフィンの中に活性成分を懸濁させることによって製剤化し得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、硬質パラフィン、又はセチルアルコールを含有してもよい。味の良い経口調製物を提供するために、上記のような甘味剤、及び香味剤を添加してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存してもよい。
【0213】
水の添加によって水性懸濁液を調製するのに適した分散性の粉末及び顆粒は、活性成分を分散剤若しくは湿潤剤、懸濁化剤、及び1種以上の保存剤と混合して提供する。適切な分散剤若しくは湿潤剤並びに懸濁化剤は、既に上で言及したものによって例示される。さらなる賦形剤、例えば甘味剤、香味剤、及び着色剤もまた存在し得る。
【0214】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油若しくはラッカセイ油、又は鉱油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシアガム又はトラガカントガム、天然ホスファチド、例えば大豆、レシチン、及び脂肪酸とヘキシトール無水物に由来するエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、並びに前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。エマルジョンはまた、甘味剤及び香味剤を含有してもよい。
【0215】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースを用いて製剤化することができる。そのような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、並びに香味剤及び着色剤を含有してもよい。経口溶液は、例えば、シクロデキストリン、PEG、及び界面活性剤と組み合わせて調製することができる。
【0216】
医薬組成物は、滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上に言及されている適切な分散剤若しくは湿潤剤並びに懸濁化剤を用いて、公知技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用することができる許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンガー溶液、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む、任意の低刺激性(bland)固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0217】
本発明の化合物及び薬剤はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、薬物を、常温で固体であるが直腸温度で液体である適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができ、したがって直腸内で溶解して薬物を放出する。このような物質は、カカオバター及びポリエチレングリコールを含む。さらに、化合物は、溶液又は軟膏を用いた眼への送達によって投与することができる。さらにまた、対象化合物の経皮送達は、イオン導入パッチなどによって達成することができる。局所使用のために、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、又は懸濁液などが使用される。本明細書で使用される場合、局所適用はまた、口腔洗浄剤及びうがい剤の使用も含むことが意図される。
【0218】
本発明の化合物はまた、標的化可能な薬物担体として適切なポリマーである担体に結合していてもよい。このようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルトアミド-フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジンを含むことができる。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラスである担体、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、並びにヒドロゲルの架橋若しくは両親媒性ブロックコポリマーに結合していてもよい。ポリマー及び半透過性ポリマーマトリックスは、成形品、例えばバルブ、ステント、管系、人工装具などに形成されていてもよい。本発明の一実施形態では、本発明の化合物は、ステント又はステント移植デバイスとして形成されるポリマー又は半透過性ポリマーマトリックスに結合される。
【0219】
本発明の化合物及び薬剤は、医療デバイスへの沈着のために製剤化されてもよく、これは様々な従来のグラフト、ステントのいずれかを含んでよく、例えば、ステントグラフト、カテーテル、バルーン、バスケット、又は体腔内に配置若しくは永久的に埋め込まれ得る他のデバイスがある。特定の例として、介入技術によって治療された身体の領域に本発明の化合物を送達することができるデバイス及び方法を有することが望ましい。例えば、化合物及び薬剤は、腫瘍又は腫瘍を取り囲む微小環境に送達することができる。
【0220】
いくつかの実施形態では、化合物及び薬剤は、ステントなどの医療デバイス内に沈着され、身体の一部の治療のために治療部位に送達し得る。ステントは、治療剤の送達媒体として使用されている。血管内ステントは、一般に、冠状動脈又は末梢血管に永久的に埋め込まれる。ステントの設計は、米国特許第4,733,655号; 同第4,800,882号; 及び同第4,886,062号のものを含む。このような設計は、金属及びポリマーの両方のステント、並びに自己拡張及びバルーン拡張可能なステントを含む。ステントはまた、例えば、米国特許第5,102,417号及び国際特許出願第WO 91/12779号及び同第WO 90/13332号、米国特許第5,419,760号及び同第5,429,634号に開示されているように、脈管構造との接触部位に治療剤を送達するために使用してもよい。
【0221】
用語「沈着される」は、化合物及び薬剤が、当技術分野で公知の方法によって、デバイスにコーティングされ、吸着され、配置され、又は他の方法で組み込まれることを意味する。例えば、化合物及び薬剤は、医療デバイスをコーティングするか又は医療デバイスに広がるポリマー材料内に埋め込まれ、そこから放出されてもよく(「マトリックスタイプ」)、あるいは、該ポリマー材料によって取り囲まれ、それを通して放出されてもよい(「リザーバタイプ」)。後の例では、化合物及び薬剤は、当技術分野で公知のそのような材料を生成するための1つ以上の技術を用いて、ポリマー材料内に閉じ込められてもよく、又はポリマー材料に結合されてもよい。他の製剤では、化合物及び薬剤は、外すことができる結合によって、コーティングを必要とすることなく、医療デバイスの表面に結合され、時間と共に放出されてもよく、積極的な機械的若しくは化学的プロセスによって除去されてもよく、又は移植部位に阻害剤を提示する永久的固定化形態である。
【0222】
一実施形態では、化合物及び薬剤は、ステントなどの医療デバイスのための生体適合性コーティングの形成中にポリマー組成物に組み込まれてもよい。これらの成分から生成されたコーティングは、典型的には均質であり、移植用に設計される多くのデバイスをコーティングするのに有用である。
【0223】
ポリマーは、所望の放出速度又は所望のポリマー安定性の程度に依存して、生体安定性ポリマー又は生体吸収性ポリマーのいずれかであってよいが、生体吸収性ポリマーは、生体安定性ポリマーとは異なり、何らかの有害な慢性的局所的応答を引き起こすほど移植後に長く存在しないため、この実施形態にとって好ましい。使用することができる生体吸収性ポリマーとしては、以下に限定されないが、ポリ(L-乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D-乳酸)、ポリ(L-乳酸)、ポリ(D,L-乳酸)、ポリ(D,L-ラクチド)(PLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、コポリ(エーテル-エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、及び生体分子、例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、及びヒアルロン酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、ヒドロゲルの架橋若しくは両親媒性ブロックコポリマー、並びに当技術分野で公知の他の適切な生体吸収性ポポリマー(popolymer)が挙げられる。また、比較的低い慢性組織応答を有する生体安定性ポリマー、例えば、ポリウレタン、シリコーン、及びポリエステルを使用することができ、医療デバイス上で溶解、硬化、又は重合できれば、他のポリマーも使用することができ、例えば、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、及びエチレン-アルファオレフィンコポリマー; アクリルポリマー及びコポリマー、ビニルハライドポリマー及びコポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル; ポリビニルピロリドン; ポリビニルエーテル、例えば、ポリビニルメチルエーテル; ポリビニリデンハライド、例えば、ポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリデン; ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン; ポリビニル芳香族化合物、例えば、ポリスチレン、ポリビニルエステル、例えば、ポリ酢酸ビニル; ビニルモノマー同士のコポリマー及びビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー、例えばエチレン-メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、及びエチレン-酢酸ビニルコポリマー; ピランコポリマー; ポリヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミド-フェノール; ポリヒドロキシエチル-アスパルトアミド-フェノール; パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジン; ポリアミド、例えば、ナイロン66(Nylon 66)及びポリカプロラクタム; アルキド樹脂、ポリカーボネート; ポリオキシメチレン; ポリイミド; ポリエーテル; エポキシ樹脂、ポリウレタン; レーヨン; レーヨン-トリアセテート; セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース; 酢酸酪酸セルロース; セロファン; 硝酸セルロース; プロピオン酸セルロース; セルロースエーテル; 及びカルボキシメチルセルロースがある。
【0224】
いくつかの実施形態では、化合物及び薬剤は、ポリマーコーティングから医療デバイスが置かれる環境への放出のために製剤化される。好ましくは、化合物及び薬剤は、溶出を制御するポリマー担体又は層を伴ういくつかの周知技術のうちの少なくとも1つを使用して、延長された時間枠(例えば、数週間又は数ヶ月)にわたって制御された様式で放出される。これらの技術のいくつかは、以前に米国特許出願公開第20040243225号に記載されている。
【0225】
D. 固形腫瘍の治療方法
いくつかの態様では、本発明は、固形腫瘍の治療を必要とする被験体における固形腫瘍を治療する方法であって、がんを有する被験体に、治療有効量のCCR1アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを投与することによって治療する方法を提供する。被験体に、CCR1アンタゴニスト及びPD-1阻害剤を投与することができる。あるいは、被験体に、CCR1アンタゴニスト及びPD-L1阻害剤を投与することができる。
【0226】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCCR1アンタゴニストと、PD-1又はPD-L1阻害剤とは、1種以上の追加の治療剤又は治療的処置(放射線療法を含むが、これに限定されない)と共に使用するか、又はこれと組み合わせてもよい。
【0227】
「被験体」は、ヒト、他の霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むがこれらに限定されない哺乳動物などの動物を含むと本明細書において定義される。本明細書に記載の化合物、薬剤、及び組成物は、固形腫瘍を含む多様ながんの治療に有用である。
【0228】
本明細書に記載の組成物、方法、及びキットは、がん又は腫瘍と診断された被験体を治療するために使用することができる。
【0229】
いくつかの実施形態では、腫瘍は、いずれのサイズの悪性又は潜在的に悪性の新生物又は組織塊であってもよく、原発腫瘍及び二次新生物を含む。固形腫瘍は、嚢胞又は液体領域を含有しない異常増殖又は組織塊であってもよい。
【0230】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物、薬剤、及び組成物を投与することにより、被験体における腫瘍負荷、腫瘍ロード、腫瘍サイズ、及び/又は腫瘍数を減少又は低下させることができる。いくつかの場合には、化合物、薬剤、及び組成物は、腫瘍転移を予防又は最小化することができる。他の場合には、化合物、薬剤、及び組成物は、腫瘍の壊死を促進する又は増加させることができる。
【0231】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物、薬剤、及び組成物を投与することにより、部分応答又は完全応答(無増悪生存)をもたらし、進行性疾患を遅延させ、及び/又は全生存を改善することができる。いくつかの場合には、化合物、薬剤、及び組成物は、治療に対する全体的な応答の持続性を高め、腫瘍退縮、がん退縮、若しくは疾患安定化を促進し、並びに/又は臨床的恩恵を提供することができる。他の場合には、化合物、薬剤、及び組成物は、少なくとも1つの疾患症状の重篤度を減少させ、疾患症状のない期間の頻度及び持続期間を増加させ、又はがんによる損傷若しくは能力障害を予防することができる。いくつかの場合には、がんの発症又はがんの再発を減少させることができる。
【0232】
治療を必要とする被験体は、がん又は固形腫瘍、例えば、以下に限定されないが、腺がん、膀胱がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、大腸がん、結腸がん、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小腸のがん、腎がん、腎細胞がん腫、食道のがん、肉腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、骨がん、膵臓がん、前立腺がん、胃がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚又は眼内悪性メラノーマ、胃部のがん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、精巣がん、子宮がん、卵管のがん腫、子宮内膜のがん腫、頸部のがん腫、膣のがん腫、陰門のがん腫、転移性メルケル細胞がん腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、小児の固形腫瘍、腎盂のがん腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、膠芽腫、神経膠腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍(spinal axis tumor)、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮細胞がん、T細胞リンパ腫、環境に誘導されるがん、前記がんの任意の組み合わせ、前記がんの転移性病変、進行したがん若しくは悪性腫瘍、並びに進行した固形腫瘍を有し得る。
【0233】
固形腫瘍のさらなる例としては、以下に限定されないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん腫、扁平上皮細胞がん腫、基底細胞がん腫、汗腺がん腫、皮脂腺がん腫、乳頭がん腫、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん腫、気管支原性がん腫、腎細胞がん腫、ヘパトーマ、胆管がん腫、絨毛がん腫、セミノーマ、胎児性がん腫、ウィルムス腫瘍、精巣腫瘍、肺がん腫、小細胞肺がん腫、膀胱がん腫、上皮がん腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽腫、及び網膜芽腫が挙げられる。
【0234】
いくつかの実施形態では、CCR1アンタゴニストと、PD-1又はPD-L1阻害剤とは、1種以上の追加の治療剤又は治療的処置(化学療法、放射線療法、及び他のがん治療を含むが、これらに限定されない)と共に使用するか、又はこれと組み合わせてもよい。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCCR1アンタゴニストと、PD-1又はPD-L1阻害剤とは、化学療法剤、抗がん剤、抗血管新生剤、抗増殖剤/抗有糸分裂剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤、DNA損傷剤、例えば白金薬物、抗線維化剤、抗ホルモン剤、免疫療法剤、治療抗体、二重特異性抗体、「抗体様」治療タンパク質(例えば、DARTs(登録商標)、Duobodies(登録商標)、Bites(登録商標)、XmAbs(登録商標)、TandAbs(登録商標)、Fab誘導体)、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、放射線療法剤、抗新生物剤、抗増殖剤、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子モディファイヤー又はエディター、例えば、CRISPR(CRISPR/Cas9を含む)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ又は合成ヌクレアーゼ(TALENs)、CAR(キメラ抗原受容体)T細胞免疫療法剤、又はそれらの任意の組み合わせの1つ以上と共に使用するか、又はこれと組み合わせてもよい。
【0236】
いくつかの実施形態では、これらの治療剤は、化合物、抗体、ポリペプチド、又はポリヌクレオチドの形態である。
【0237】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCCR1アンタゴニストと、PD-1又はPD-L1阻害剤とは、以下のものの阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、調節因子、刺激因子、ブロッカー、アクチベーター、又はサプレッサーの1種以上と組み合わされる: ヘッジホッグ(Hedgehog)タンパク質、FGF受容体、胎盤成長因子、チロシンキナーゼ(Axl、MET、Abl、Bcrタンパク質、EPHファミリー、Fyn、Kit、Ltk、Lck、Src、Yes、Flt3、RET、Raf、Erbb、Erbb4、Erbb2、Jak、Jak1、Jak2、Btk、EGFRを含むがこれらに限定されない)、DHFR、上皮成長因子、サイクリン依存性キナーゼ、インターフェロンベータ、VEGFリガンド、PDGF-Bリガンド、VEGF、CSF-1、チューブリン、mTOR、HDAC、PARP、ポリADPリボースポリメラーゼ、プロテアソーム、シクロオキシゲナーゼ2、GNRH、エストロゲン受容体、ソマトスタチン受容体、アロマターゼ、チミジル酸シンターゼ、トランスフェラーゼ、細胞傷害性Tリンパ球タンパク質-4、マクロファージマンノース受容体1、MEK-1プロテインキナーゼ、MEK-2プロテインキナーゼ、チミジル酸シンターゼ、GCSF受容体、CSF2遺伝子、レチノイドX受容体、DNAポリメラーゼ、トポイソメラーゼII、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ、オロト酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ、DNAジャイレース、シトシンDNAメチルトランスフェラーゼ、トポイソメラーゼI、絨毛性ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン受容体、インターロイキン-2リガンド、インターロイキン-2、エストラジオール17ベータデヒドロゲナーゼ、グルココルチコイド、プロゲステロン受容体、ドーパミンD2受容体、IL17遺伝子、インターロイキン17E、ニューロキニン受容体、レチノイドX受容体、オルニチンデカルボキシラーゼ、インターフェロンアルファ2、インターロイキン-2リガンド、インターロイキン-2、アルブミン、微小管、サイクリンG1チミジル酸シンターゼ、チェックポイント阻害剤、CTLA-4、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160(BY55とも称される)、CGEN-15049、OX40、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0238】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCCR1アンタゴニストと、PD-1又はPD-L1阻害剤とは、ソニデジブ、ニンテダニブ、アフリベルセプト、ソラフェニブ、エリブリンメシル酸塩、プララトレキサート、セツキシマブ、パルボシクリブ、ベバシズマブ、組換えインターフェロンベータ-1a、ダサチニブ、ラムシルマブ、パゾパニブ、トラスツズマブエムタンシン、エベロリムス、スニチニブ、ペルフルブタン、ゾレドロン酸、ルキソリチニブ、イブルチニブ、パノビノスタット、ラパチニブ、オラパリブ、ボルテゾミブ、セレコキシブ、ゲフィチニブ、ゴセレリン酢酸塩、ラロキシフェン、オクトレオチド酢酸塩、オクトレオチド、アナストロゾール、ゲムシタビン、レトロゾール、ペメトレキセド二ナトリウム、カボザンチニブ、イピリムマブ、テクネチウムTc 99mチルマノセプト、コビメチニブ、パクリタキセル、ペルツズマブ、カペシタビン、エルロチニブ、フィルグラスチム、タリモゲンラヘルパレプベック(talimogene laherparepvec)、トラスツズマブ、バゼドキシフェン、ニモツズマブ、トラベクテジン、ベキサロテン、ドキソルビシン、ドセタキセル、CS-055、アビラテロン、ボリノスタット、アファチニブ、ロイプロリド酢酸塩、バンデタニブ、トリプトレリンパモ酸塩、テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム、ピキサントロン、カルボプラチン、エキセメスタン、ミトキサントロン、テクネチウムTc 99mテトロフォスミン、ガニレリクス酢酸塩、デシタビン、イリノテカン、ボスチニブ、エピルビシン、アパチニブ、テムシロリムス、コリオゴナドトロピンアルファ、ビノレルビン、タモキシフェン、トリプトレリン酢酸塩、トリプトレリン、アルデスロイキン、ミフェプリストン、ビンフルニン、ガドブトロール、オクタフルオロプロパン、タラポルフィン、ミルテフォシン、ブロモクリプチン、DaunoXome、セトロレリクス、パミドロネート、ビルリジン(Virulizin)、DLBS-1425、99mTc-セスタミビ、アルシツモマブ、ナファレリン、アリトレチノイン、ホルメスタン、トリロスタン、ピラルビシン、エフロルニチン、ヒストレリン、111In-サツモマブペンデチド(satumomab pendetide)、インターフェロンアルファ-2b、インターロイキン-2、組換えヒトインターロイキン-2、ガドホスベセット、グルトキシム(Glutoxim)、レキシン-G(Rexin-G)、ドキシフルリジン、プロソルバ(Prosorba)、ファドロゾール、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN-1884、ADC-1015、PSI-001、JHL-1155、及びロバプラチン、又はそれらの任意の組み合わせの1つ以上と共に使用するか、又はこれと組み合わせてもよい。
【0239】
いくつかの実施形態では、本発明のCCR1アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤のいずれかとは、他の適切な抗がん治療剤、例えば、化学療法剤、放射線、生物製剤、免疫療法などと組み合わせて投与することができる。併用療法における使用のための適切な薬剤の選択は、従来の製薬原則に従って、当業者によって行われ得る。治療剤の組み合わせは、相乗的に作用して、様々な障害、例えばがんの治療又は予防をもたらすことができる。このアプローチを使用して、より低投与量の各薬剤を用いて治療効力を達成し、したがって有害な副作用の可能性を低下させることができる。
【0240】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCCR1アンタゴニストと、PD-1又はPD-L1阻害剤と、1種以上の追加の治療剤とが、同時に、別々に、又は逐次的に投与される。
【0241】
E. 投与方法
がん、並びに被験体の状態若しくは疾患状態に応じて、本発明の化合物、薬剤、及び組成物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射若しくは注入、皮下注射、又はインプラント)により、(例えば、化合物がステントデバイスに結合されるときのような)移植により、吸入スプレー、鼻、膣、直腸、舌下、又は局所投与経路により、投与することができ、各投与経路に適した従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、及びビヒクルを含有する適切な投与単位製剤において、単独又は一緒に製剤化することができる。
【0242】
がん、例えばケモカイン受容体調節を必要とする固形腫瘍の治療において、CCR1アンタゴニストの適切な投与量レベルは、一般に、単回又は複数回投与で投与することができる、1日あたり患者体重1kgあたり約0.001~100mgである。好ましくは、投与量レベルは、1日あたり約0.01~約25mg/kg、より好ましくは1日あたり約0.05~約10mg/kgである。適切な投与量レベルは、1日あたり約0.01~25mg/kg、1日あたり約0.05~10mg/kg、又は1日あたり約0.1~5mg/kgであり得る。この範囲内で、投与量は、1日あたり0.005~0.05、0.05~0.5、又は0.5~5.0mg/kgであり得る。経口投与の場合、組成物は、好ましくは、治療すべき患者に対する投与量の対症調整(symptomatic adjustment)のために、1.0~1000ミリグラムの活性成分、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。化合物は、1日あたり1~4回、好ましくは1日あたり1回又は2回のレジメンで投与し得る。
【0243】
PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤の適切な投与量レベルは、一般に、被験体の体重1kgあたり約0.0001~約100mg、通常約0.001~約20mg、より通常には約0.01~約10mgである。好ましくは、投与量は、0.1~10mg/kg体重の範囲内である。例えば、投与量は、0.1、0.3、1、3、5、又は10mg/kg体重、より好ましくは0.3、1、3、又は10mg/kg体重であり得る。投与スケジュールは、典型的には、抗体の典型的な薬物動態特性に基づく持続的受容体占有率(RO)をもたらす曝露を達成するように設計することができる。例示的な治療レジームは、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、1ヶ月に1回、3ヶ月毎に1回、又は3~6ヶ月毎に1回の投与を伴う。投与量及びスケジューリングは、治療経過中に変化し得る。例えば、投与スケジュールは、(i)6週間サイクルで2週間毎; (ii)6回の投与については4週間毎、次いで3ヶ月毎; (iii)3週間毎; (iv)3~10mg/kg体重で1回、次いで1mg/kg体重で2~3週間毎に、抗体を投与することを含み得る。IgG4抗体が典型的には2~3週間の半減期を有することを考慮すると、抗PD-1又は抗PD-L1抗体の好ましい投与レジメンは、静脈内投与による0.3~10mg/kg体重、好ましくは3~10mg/kg体重、より好ましくは3mg/kg体重を含み、抗体は、完全応答まで、又は進行性疾患が確認されるまで、6週間又は12週間までのサイクルで14日毎に投与される。
【0244】
いくつかの実施形態では、異なる結合特異性を有する2つ以上の抗体が同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投与量は、示される範囲内に入る。抗体は、複数回投与することができる。単回投与間の間隔は、例えば、毎週、2週間毎、3週間毎、毎月、3ヶ月毎、又は毎年であってもよい。間隔は、患者における標的抗原に対する抗体の血中レベルを測定することによって示される場合、不規則であってもよい。いくつかの方法では、投与量は、約1~1000mg/ml、いくつかの方法では約25~300mg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調整される。
【0245】
あるいは、抗体は、徐放性製剤として投与することができ、この場合、必要とされる投与頻度はより低い。投与量及び頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変化する。一般に、ヒト抗体は、最も長い半減期を示し、ヒト化抗体、キメラ抗体、及び非ヒト抗体が続く。投与量及び投与頻度は、治療が予防的であるか治療的であるかに応じて変化し得る。予防的適用では、比較的低い投与量が、長期間にわたって比較的低い頻度の間隔で投与される。一部の患者は、余生にわたって処置を受け続ける。治療的適用では、疾患の進行が低下又は終了するまで、好ましくは、患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで、比較的短い間隔での比較的高い投与量が必要とされることがある。その後、患者には予防的レジームを投与することができる。
【0246】
医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に過度の毒性を与えることなく、特定の患者、組成、及び投与様式について所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分量を得るように変化させてもよい。選択された投与量レベルは、様々な薬物動態学的因子、例えば、使用される本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排出速度、治療期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/若しくは物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態、及び以前の病歴、並びに医学分野において周知の同様の因子に依存する。組成物は、当技術分野で周知の様々な方法のうちの1つ以上を用いて1つ以上の投与経路によって投与することができる。当業者によって理解されるように、投与の経路及び/又は様式は、所望の結果に依存して変化する。
【0247】
本明細書に開示される併用療法における治療化合物及び薬剤は、単独で、又は治療化合物及び薬剤と、1種以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、及び希釈剤とを含む医薬組成物中のいずれかで投与してもよい。
【0248】
いくつかの実施形態では、治療化合物及び薬剤は、単独で又は他のものなしに提供される場合に治療量未満である量でそれぞれ提供される。当業者は、「組み合わせ」が、処置における組み合わせを含み得ることを理解するであろう(すなわち、2つ以上の薬物を混合物として、又は少なくとも同時に投与することができるか、又は少なくとも異なる時間に被験体に導入するが両者が同時に被験体中に存在するようにすることができる)。
【0249】
同様に、本発明の化合物、薬剤、及び組成物は、がんの治療、予防、抑制、又は改善に使用される他の薬物と組み合わせて使用してもよい。そのような他の薬物は、それについて一般に使用される経路及び量で、本発明の化合物、薬剤、又は組成物と同時に又は逐次的に投与し得る。本発明の化合物、薬剤、又は組成物が1種以上の他の薬物と同時に使用される場合、本発明の化合物、薬剤、又は組成物に加えてそのような他の薬物を含有する医薬組成物が好ましい。したがって、医薬組成物は、本発明の化合物、薬剤、又は組成物に加えて、1種以上の他の活性成分又は治療剤も含有する医薬組成物を含むことができる。
【0250】
本明細書に開示される化合物、薬剤、及び組成物は、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と組み合わせたCCR1アンタゴニストの相乗効果を提供する投与量レベル及び投与頻度で提供することができる。
【0251】
しかし、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベル及び投与頻度は変化してもよく、様々な因子、例えば、使用される具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、被験体の年齢、体重、遺伝的特徴、全般的な健康状態、性別、及び食事、並びに投与の様式及び時間、排出速度、薬物の組み合わせ、及び療法を受ける被験体の特定の状態の重篤度に依存することが理解されるであろう。
【0252】
併用療法は、CCR1アンタゴニストとPD-1又はPD-L1経路阻害剤との同時投与、CCR1アンタゴニストとPD-1又はPD-L1経路阻害剤との逐次的投与、CCR1アンタゴニストとPD-1又はPD-L1経路阻害剤とを含有する組成物の投与、又は1つの組成物がCCR1アンタゴニストを含有し、別の組成物がPD-1又はPD-L1経路阻害剤を含有するような別々の組成物の同時投与を含む。
【0253】
F. キット
いくつかの態様では、本明細書に記載のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、本明細書に記載のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤のいずれかとを含有するキットが本明細書で提供される。このようなキットは、がん、例えば、固形腫瘍を有する被験体を治療するために有用である。キットは、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを含有する医薬組成物を含有することができる。キットは、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストとPD-1阻害剤とを含有する医薬組成物を含有することができる。キットは、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストとPD-L1阻害剤とを含有する医薬組成物を含有することができる。CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、1.001、3.002、4.005、5.005、又は3.001、それらの類似体、又はそれらの誘導体であり得る。
【0254】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、BL-5923、UCB-35625、BX-471、BI-638683、PS-031291、MLN-3701、AZD-4818、MLN-3897、CP-481715、F-18-CCR1、AOP-RANTES、PS-375179、及びNSC-651016からなる群から選択される。PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、又はそれらのバイオイクイバレントであり得る。PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、又はSTI-1110であり得る。PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、又はそれらのバイオイクイバレントであり得る。PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、STI-1014、又はKY-1003であり得る。PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、又はそれらのバイオイクイバレントであり得る。PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、又はKY-1003であり得る。
【0255】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO14151634、WO15160641、WO16039749、WO16077518、WO16100608、WO16149351、WO2016057624、WO2016100285、US2016194307、US2016222060、US2015291549、US2016194307、及びUS2014294898(BRISTOL MYERS SQUIBB CO)に開示される化合物から選択される。
【0256】
いくつかの実施形態では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/355,119号又は同第62/440,100号に開示される化合物から選択される。
【0257】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、以下:
【化49】
からなる群から選択される。
【0258】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO16142886、WO16142894、WO16142852、WO16142833、WO15033301、WO15033299、WO11161699、WO12168944、WO13132317、WO13144704、WO15033303、WO15036927、WO15044900、WO16142835、US2015073024、US8907053、US9044442、US9096642、US9233940、及びUS2016194295(Aurigene discovery tech ltd)に開示される化合物から選択される。
【0259】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、AP-106、AP-105、MSB-2311、CBT-501、アベルマブ、AK-105、IO-102、IO-103、PDR-001、CX-072、SHR-1316、JTX-4014、GNS-1480、組換えヒト化抗PD1 mAb(Shanghai Junshi Biosciences)、REGN-2810、ペラレオレプ(pelareorep)、SHR-1210、PD1/PDL1阻害剤ワクチン(THERAVECTYS)、BGB-A317、組換えヒト化抗PD-1 mAb(Bio-Thera Solutions)、プロボディ(Probody)標的化PD-1(CytomX)、XmAb-20717、FS-118、PSI-001、SN-PDL01、SN-PD07、PD-1改変TILs(Sangamo Therapeutics)、PRS-332、FPT-155、ジエヌオ(jienuo)mAb(Genor Biopharma)、TSR-042、REGN-1979、REGN-2810、レスミノスタット、FAZ-053、PD-1/CTLA-4二重特異性抗体(MacroGenics)、MGA-012、MGD-013、M-7824、PD-1ベースの二重特異性抗体(Beijing Hanmi Pharmaceutical)、AK-112、AK-106、AK-104、AK-103、BI-754091、ENUM-244C8、MCLA-145、MCLA-134、抗PD1腫瘍溶解性モノクローナル抗体(Transgene SA)、AGEN-2034、IBI-308、WBP-3155、JNJ-63723283、MEDI-0680、SSI-361、CBT-502、抗PD-1二重特異性抗体、二重標的化抗PD-1/LAG-3 mAbs(TESARO)、二重標的化抗PD-1/TIM-3 mAbs(TESARO)、PF-06801591、LY-3300054、BCD-100、STI-1110、ペムブロリズマブバイオシミラー、ニボルマブバイオシミラー、PD-L1-TGF-ベータ療法、KY-1003、STI-1014、GLS-010、AM-0001、GX-P2、KD-033、PD-L1/BCMA二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、PD-1/Ox40標的化二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、BMS-936559、抗PD-1/VEGF-A DARPins(Molecular Partners)、mDX-400、ALN-PDL、PD-1阻害剤ペプチド(Aurigene)、siRNAロード樹状細胞ワクチン(Alnylam Pharmaceuticals)、GB-226、PD-L1標的化CAR-TNKベースの免疫療法(TNK Therapeutics/NantKwest)、INSIX RA、INDUS-903、AMP-224、抗CTLA-4/抗PD-1二重特異性ヒト化抗体(Akeso Biopharma)、B7-H1ワクチン(State Key Laboratory of Cancer Biology/Fourth Military Medical University)、及びGX-D1からなる群から選択される。
【0260】
いくつかの場合には、キットは、書面の材料、例えば、化合物、薬剤、抗体、又はその医薬組成物の使用説明書を含む。限定するものではないが、キットは、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び添付文書を、本明細書に開示された任意の方法を実施するための説明書と共に含み得る。
【0261】
G. 転移
いくつかの実施形態では、固形腫瘍を有する被験体における転移を減少させるか又は予防する方法であって、それを必要とする被験体に、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストを投与することを含む方法が提供される。
【0262】
いくつかの実施形態では、転移は、肺転移である。
【0263】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、式(IIIb1a):
【化50】
[式中、各Aは、N又はCHであり、少なくとも1つのAは、Nであり; R
1は、ハロゲンであり; R
3は、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、及びC
2-8アルケニルからなる群から選択され; R
8は、C
1-8アルキルである]
又はその薬学的に許容される塩を有する。
【0264】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、以下:
【化51】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0265】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、以下:
【化52】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0266】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、以下:
【化53】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0267】
いくつかの実施形態では、CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストは、BL-5923、UCB-35625、BX-471、BI-638683、PS-031291、MLN-3701、AZD-4818、MLN-3897、CP-481715、F-18-CCR1、AOP-RANTES、PS-375179、及びNSC-651016からなる群から選択される。
【0268】
いくつかの実施形態では、被験体は、ヒト被験体である。
【0269】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、脳腫瘍、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、膀胱がん、骨がん、大腸がん、肺がん、腎臓がん、肝臓がん、胃がん、前立腺がん、肉腫、メラノーマ、がん腫、及びリンパ腫からなる群から選択される。
【0270】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、トリプルネガティブ乳がんである。
【0271】
いくつかの実施形態では、CCR1アンタゴニストは、1種以上の追加の治療剤と共に投与される。
【0272】
いくつかの実施形態では、1種以上の追加の治療剤は、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤である。
【0273】
いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0274】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される。
【0275】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO14151634、WO15160641、WO16039749、WO16077518、WO16100608、WO16149351、WO2016057624、WO2016100285、US2016194307、US2016222060、及びUS2014294898(BRISTOL MYERS SQUIBB CO)に開示される化合物から選択される。
【0276】
いくつかの実施形態では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/355,119号又は同第62/440,100号に開示される化合物から選択される。
【0277】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、以下:
【化54】
からなる群から選択される。
【0278】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれる、WO16142886、WO16142894、WO16142852、WO16142833、WO15033301、WO15033299、WO11161699、WO12168944、WO13132317、WO13144704、WO15033303、WO15036927、WO15044900、WO16142835、US2015073024、US8907053、US9044442、US9096642、US9233940、及びUS2016194295(Aurigene discovery tech ltd)に開示される化合物から選択される。
【0279】
いくつかの実施形態では、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、AP-106、AP-105、MSB-2311、CBT-501、アベルマブ、AK-105、IO-102、IO-103、PDR-001、CX-072、SHR-1316、JTX-4014、GNS-1480、組換えヒト化抗PD1 mAb(Shanghai Junshi Biosciences)、REGN-2810、ペラレオレプ(pelareorep)、SHR-1210、PD1/PDL1阻害剤ワクチン(THERAVECTYS)、BGB-A317、組換えヒト化抗PD-1 mAb(Bio-Thera Solutions)、プロボディ(Probody)標的化PD-1(CytomX)、XmAb-20717、FS-118、PSI-001、SN-PDL01、SN-PD07、PD-1改変TILs(Sangamo Therapeutics)、PRS-332、FPT-155、ジエヌオ(jienuo)mAb(Genor Biopharma)、TSR-042、REGN-1979、REGN-2810、レスミノスタット、FAZ-053、PD-1/CTLA-4二重特異性抗体(MacroGenics)、MGA-012、MGD-013、M-7824、PD-1ベースの二重特異性抗体(Beijing Hanmi Pharmaceutical)、AK-112、AK-106、AK-104、AK-103、BI-754091、ENUM-244C8、MCLA-145、MCLA-134、抗PD1腫瘍溶解性モノクローナル抗体(Transgene SA)、AGEN-2034、IBI-308、WBP-3155、JNJ-63723283、MEDI-0680、SSI-361、CBT-502、抗PD-1二重特異性抗体、二重標的化抗PD-1/LAG-3 mAbs(TESARO)、二重標的化抗PD-1/TIM-3 mAbs(TESARO)、PF-06801591、LY-3300054、BCD-100、STI-1110、ペムブロリズマブバイオシミラー、ニボルマブバイオシミラー、PD-L1-TGF-ベータ療法、KY-1003、STI-1014、GLS-010、AM-0001、GX-P2、KD-033、PD-L1/BCMA二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、PD-1/Ox40標的化二重特異性抗体(Immune Pharmaceuticals)、BMS-936559、抗PD-1/VEGF-A DARPins(Molecular Partners)、mDX-400、ALN-PDL、PD-1阻害剤ペプチド(Aurigene)、siRNAロード樹状細胞ワクチン(Alnylam Pharmaceuticals)、GB-226、PD-L1標的化CAR-TNKベースの免疫療法(TNK Therapeutics/NantKwest)、INSIX RA、INDUS-903、AMP-224、抗CTLA-4/抗PD-1二重特異性ヒト化抗体(Akeso Biopharma)、B7-H1ワクチン(State Key Laboratory of Cancer Biology/Fourth Military Medical University)、及びGX-D1からなる群から選択される。
【実施例】
【0280】
IV. 実施例
以下の実施例は、特許請求する発明を例示するために提供されるものであって、限定するものではない。
【0281】
使用した小分子CCR1アンタゴニストは、化合物3.002であり、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BioLegend(登録商標)10F.9G2である。
【0282】
[実施例1. ケモカイン受容体阻害+PD-L1遮断の併用療法は、乳がんのマウスモデルにおける抗腫瘍効果を増強する]
骨髄由来抑制細胞(MDSC)の輸送及び拡大は、腫瘍の免疫抑制において主要な役割を果たす。MDSCは、腫瘍微小環境へのそれらの動員を媒介する可能性のあるケモカイン受容体を発現する。T細胞の抑制はまた、プログラム死-1(PD-1)と、がん細胞及び免疫浸潤物(MDSCを含む)において豊富に発現されるそのリガンドとの相互作用によって媒介される。
【0283】
乳がんは、がん関連死の主要な原因の1つである。2015年に推定231,840件の新たな症例があった。標的化療法は、乳がんのいくつかのサブタイプについて成功しており、例えば、HER2+サブタイプについてのトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、並びにエストロゲン受容体(ER)+若しくはプロゲステロン受容体(PR)+サブタイプについてのホルモン療法がある。残念ながら、トリプルネガティブ乳がん(TNBC; HER2-ER-PR-)に対する有効な標的化療法は存在しない。TNBCは、他のタイプより免疫原性が高い。トリプルネガティブ乳がんは、変異原性が高く、免疫応答を誘導し得るネオアンチゲンを産生する。免疫調節療法は、このがん及び同様のがんの治療に有効であり得る。
【0284】
本実施例は、小分子ケモカイン受容体アンタゴニスト(CCR1を遮断する化合物3.002)及び抗PD-L1モノクローナル抗体(BioLegend(登録商標)10F.9G2)の投与により両経路を標的化することにより、同所性乳がんマウスモデルにおける腫瘍負荷が顕著に低下したことを示す。
【0285】
The Cancer Genome Atlas(TCGA)データベースからのヒト乳がん患者サンプルの分析により、CCR1リガンドであるMCP-7(CCL7)及びRANTES(CCL5)が、乳がんにおいて、正常乳房組織と比較して、顕著に高いレベルで存在することが明らかになった。さらに、CCR1及びそのリガンド並びにPD-L1は、トリプルネガティブ乳がんサンプルにおいて、他の乳がんサブタイプにおけるよりも顕著に高い。
【0286】
ケモカイン受容体CCR1リガンドであるCCL5(RANTES;
図1A)及びCCL7(MCP-3;
図1B)、並びにPD-1リガンド(PD-L1;
図1D)は、トリプルネガティブ乳がんを有するヒト患者由来の組織サンプルにおいて、正常組織のサンプル及び全ての他のタイプの乳がん由来の組織サンプルと比較して、より高い発現レベルで検出された。上昇した発現は統計学的に有意であった。CCR1リガンドであるCCL3(MIP-1α;
図1C)のmRNA発現は、乳がんサンプル、例えばトリプルネガティブ乳がんサンプルでは上昇しなかった。
【0287】
CCR1及びPD-L1の発現は、ヒト乳がん患者サンプルにおいてよく相関した(
図1E)。グラフの各点は、乳がんを有する個々の患者由来の乳房腫瘍サンプルを表す。
図1Eにおいて、「r」はピアソン相関係数を表す。
【0288】
本研究では、マウストリプルネガティブ乳がんモデル(4T1乳がんマウスモデル)を用いて、PD-L1モノクローナル抗体と組み合わせたCCR1遮断の治療効果を調べた。
【0289】
5×10
4個の4T1乳がん細胞を、6~8週齢の雌性BALB/Cマウスの乳腺に同所的に注射した。移植13日後に、各群が同様の平均体積約150mm
3を有するように、マウスを腫瘍体積に基づいて無作為化した。腫瘍体積は、キャリパー測定によって測定し、幅×(長さ)
2/2によって計算した。移植後13日目に、CCR1アンタゴニスト3.002を、その後の10日間、経口強制投与により15mg/kgで1日2回投与した。抗PD-L1モノクローナル抗体(BioLegend、10F.9G2)を、13、17、及び20日目に腹腔内に、マウス1匹あたり200μg投与した。ビヒクル群のマウスに、同体積のビヒクル(PEG400)及び同量のアイソタイプ対照抗体(ラットIgG、BioLegend)を投与した。移植後23日まで週3回、腫瘍体積を測定した(
図3A~3D)。併用治療を受けたマウスは、CCR1アンタゴニスト単独を投与されたマウス(
図3B)、PD-L1 mAbを投与されたマウス(
図3C)、及びビヒクルを投与されたマウス(
図3A)と比較して、腫瘍進行の低減を示した(
図3D)。
【0290】
移植後23日目に、マウスを屠殺し、腫瘍及び肺を採取した。腫瘍の総湿重量を測定した。
図3Eは、抗PD-L1モノクローナル抗体と共にCCR1アンタゴニストを含む療法を施されたマウスが、最も低い腫瘍重量を有したことを示す。
【0291】
原発腫瘍の増殖は、いずれかの薬剤単独によって顕著に変化しなかった(
図3B及び3C)が、CCR1阻害剤+抗PD-L1抗体の組み合わせ(
図3D)は、顕著に低下した腫瘍負荷をもたらした。併用療法を受けたマウスで、腫瘍重量が有意に低下した(
図3E)。
【0292】
肺をブアン液で一晩固定し、表面転移節の数を肉眼で数えた(
図4A)。統計学的分析のためにスチューデントのt検定を行った。*; p<0.05、**; p<0.005、****; p<0.0001。CCR1アンタゴニスト単独を投与したマウスは、ビヒクルで処置したマウスと比較して、肺1個あたり、より少ない転移性節を有した(
図4B)。
【0293】
肺転移は、CCR1アンタゴニスト単独を4T1マウスモデルに投与すると統計学的に減少した。
図4Aは、CCR1アンタゴニスト処置を受けたマウスにおいて、ビヒクルと比較して、肺1個あたりの転移性節の数が低減したことを示す。
【0294】
骨髄由来抑制細胞(MDSC)は、炎症、感染、及びがんの間に急速に拡大し、免疫応答を阻害する。MDSCは、腫瘍誘導免疫応答の抑制に強く関与している。表1に示すように、MDSCには2つの主要なタイプがある。
【0295】
【0296】
同所性乳がん細胞移植は、CD11b
陽性Ly6G
高Ly6C
高 MDSC又はG-MDSCの頑強な拡大を誘導し、その亜集団はCCR1を発現する。
図5Aは、4T1腫瘍担持マウスの血液(
図5A)及び脾臓(
図5B)中のG-MDSCの劇的な増加を示す。4T1腫瘍に浸潤する免疫細胞の大部分は、G-MDSCであった(
図5C)。また、4T1腫瘍マウスの脾臓におけるCCR1発現細胞の大部分は、G-MDSCであった。
図6Aに示されるFACS分析は、脾臓からの集団CD45
陽性及びCCR1
陽性細胞を示す。この集団をさらに分析して、これらの細胞における、G-MDSC(CD11b
陽性Ly6G
高Ly6C
高)、M-MDSC(CD11b
陽性Ly6G
陰性Ly6C
高)、及びマクロファージ(CD11b
陽性Ly6G
陰性Ly6C
陰性F4/80
陽性)のパーセンテージを決定した。この分析はまた、より多くのC-MDSC及びより少ないT細胞浸潤を有する腫瘍が、より大きいことを明らかにした。例えば、
図7Aは、腫瘍重量が、腫瘍浸潤免疫細胞中のG-MDSCの増加する割合と相関したことを示す。
図7Bは、腫瘍重量が、腫瘍浸潤免疫細胞中のCD8+ T細胞の低下したパーセンテージとも相関したことを示す。
【0297】
4T1腫瘍マウスの血液の腫瘍浸潤細胞中のG-MDSCの数又はパーセンテージは、小分子CCR1アンタゴニスト(3.002)及びPD-L1 mAbの併用療法でマウスを処置した後、劇的に減少した(
図8A)。併用療法は、血液中のM-MDSCの数又はパーセンテージに影響しなかった(
図8B)。
【0298】
腫瘍浸潤細胞の分析により、3.002単独又はPD-L1 mAbとの組み合わせが、原発腫瘍におけるG-MDSCの数を有意に低下させることが明らかになった(
図9A)。この結果は、G-MDSC輸送のCCR1遮断が、腫瘍負荷の低下につながることを示す。治療レジメンは、原発腫瘍におけるM-MDSCの数又はパーセンテージを変化させなかった(
図9B)。CCR1アンタゴニスト単独又はPD-L1 mAbとの組み合わせによる処置は、CD8+ T細胞のパーセンテージを有意に増加させた(
図9C)。いくつかの4T1腫瘍において、3.002単独又はPD-L1 mAbとの組み合わせはまた、B細胞浸潤を増加させた。
【0299】
要約すると、データは、CCR1が、腫瘍又は腫瘍微小環境へのG-MDSC動員を媒介し、腫瘍進行を促進することを示す(
図10)。CCR1受容体リガンド及びPD-L1発現は、ヒト乳がん腫瘍において、特にトリプルネガティブ乳がんにおいて顕著に上昇する。G-MDSCは、4T1トリプルネガティブ乳房腫瘍を担持するマウスにおいて増加し、より大きな腫瘍と正に相関する。PD-L1 mAbと組み合わせた小分子CCR1アンタゴニスト3.002の投与は、原発腫瘍の進行を顕著に低減させる。小分子CCR1アンタゴニスト3.002の投与は、肺転移を顕著に低減させる。また、CCR1アンタゴニスト及びPD-L1 mAbは、循環及び腫瘍浸潤G-MDSCを減少させ、4T1トリプルネガティブ腫瘍においてCD8 T細胞及びB細胞浸潤を増加させる。この併用療法は、抗腫瘍免疫応答を増強する。したがって、CCR1アンタゴニスト及びPD-L1 mAbを含む併用療法は、トリプルネガティブ乳がんを有するヒト患者の治療において治療的効力を有し得る。
【0300】
上記の発明は、理解を明確にするために、例示及び実施例によって多少詳細に記載されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲内で特定の変更及び改変を実施できることを理解するであろう。さらに、本明細書中に提供される各参考文献は、各参考文献が個別に参照により組み込まれる場合と同程度にその全体が参照により組み込まれる。
本発明は、以下を提供する。
1. 固形腫瘍を有する被験体を治療する方法であって、それを必要とする被験体に、治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを投与することを含む、方法。
2. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤とが投与される、上記1に記載の方法。
3. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-L1阻害剤とが投与される、上記1に記載の方法。
4. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、式(IIIb1a):
【化55】
[式中、各Aは、N又はCHであり、少なくとも1つのAは、Nであり; R
1は、ハロゲンであり; R
3は、C
1-8アルキル、C
3-8シクロアルキル、及びC
2-8アルケニルからなる群から選択され; R
8は、C
1-8アルキルである]
又はその薬学的に許容される塩を有する、上記1~3のいずれかに記載の方法。
5. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化56】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、上記1~3のいずれかに記載の方法。
6. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化57】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、上記1~3のいずれかに記載の方法。
7. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化58】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、上記1~3のいずれかに記載の方法。
8. PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される、上記1、2又は4~7のいずれかに記載の方法。
9. PD-L1阻害剤が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される、上記1、3又は4~7のいずれかに記載の方法。
10. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とが、同時に投与される、上記1~9のいずれかに記載の方法。
11. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とが、組み合わせ製剤において投与される、上記10に記載の方法。
12. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とが、逐次的に投与される、上記1~9のいずれかに記載の方法。
13. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤の投与前に投与される、上記12に記載の方法。
14. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤の投与後に投与される、上記12に記載の方法。
15. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが経口的に投与され、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤が静脈内に投与される、上記1~14のいずれかに記載の方法。
16. 被験体が、ヒト被験体である、上記1~15のいずれかに記載の方法。
17. 固形腫瘍が、脳腫瘍、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、膀胱がん、骨がん、大腸がん、肺がん、腎臓がん、肝臓がん、胃がん、前立腺がん、肉腫、メラノーマ、がん腫、及びリンパ腫からなる群から選択される、上記1~16のいずれかに記載の方法。
18. 固形腫瘍が、トリプルネガティブ乳がんである、上記1~16のいずれかに記載の方法。
19. 治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、固形腫瘍を有する被験体を治療するための組成物。
20. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、上記19に記載の組成物。
21. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-L1阻害剤と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、上記19に記載の組成物。
22. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化59】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、上記19~21のいずれかに記載の組成物。
23. PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される、上記19、20又は22のいずれかに記載の組成物。
24. PD-L1阻害剤が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される、上記19、21又は22のいずれかに記載の組成物。
25. 治療有効量のCCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、治療有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とを、効果的な投与のための説明書と共に含む、固形腫瘍を有する被験体を治療するためのキット。
26. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤とを、効果的な投与のための説明書と共に含む、上記25に記載のキット。
27. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-L1阻害剤とを、効果的な投与のための説明書と共に含む、上記25に記載のキット。
28. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストが、以下:
【化60】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、上記25~27のいずれかに記載のキット。
29. PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される、上記25、26又は28のいずれかに記載のキット。
30. PD-L1阻害剤が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、ALN-PDL、TSR-042、KD-033、CA-170、CA-327、STI-1014、KY-1003、それらのバイオシミラー、それらのバイオベター、及びそれらのバイオイクイバレントからなる群から選択される、上記25、27又は28のいずれかに記載のキット。
31. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤とが、同時投与用に製剤化される、上記25~30のいずれかに記載のキット。
32. CCR1ケモカイン受容体アンタゴニストと、PD-1阻害剤及び/又はPD-L1阻害剤とが、逐次投与用に製剤化される、上記25~30のいずれかに記載のキット。