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特許7539233機械または設備を保護するための改良されたアクセス保護システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】機械または設備を保護するための改良されたアクセス保護システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/02 20060101AFI20240816BHJP
   G05B 9/03 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G05B9/02 A
G05B9/03
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020008178
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2020129364
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】10 2019 102 004.2
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セズジン ユムック
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-042101(JP,A)
【文献】特開昭62-163102(JP,A)
【文献】特表2016-510382(JP,A)
【文献】特許第3929156(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/00 - 9/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全領域(12)に位置する機械または設備(14)へのアクセスポイント(20)を保護するためのアクセス保護システム(10)であって、
当該アクセス保護システム(10)は、センサ機器(16)、インターロッキング装置(40)および制御器(18)を含み、
前記センサ機器(16)は、前記アクセスポイント(20)の第1の側にある第1のハウジングに配置された光送信器(22)および前記アクセスポイント(20)の第2の側にある第2のハウジングに配置された光受信器(24)を含み、
前記インターロッキング装置(40)は基体(42)およびその上に配置される遮断要素(44)を備え、
前記光送信器(22)は、光パルスを光受信器(24)に発信するように構成され、
前記センサ機器(16)は、前記光受信器(24)が光パルスを受信したことに基づいてセンサ信号を生成するように構成され、
前記制御器(18)は、センサ信号を評価して、センサ信号に基づいて安全領域(12)に位置する機械または設備(14)を制御するように構成され、
前記遮断要素(44)は、開放位置(48)から遮断位置(50)まで、前記基体(42)に対して、相対的に移動可能であり、
前記遮断要素(44)は、遮断位置にある間、光パルスの受信を阻止するために、前記光送信器(22)と前記光受信器(24)との間の光パルスの光路(28)内に位置するように構成され、
前記インターロッキング装置(40)は、固定要素(46)によって、遮断位置(50)に係止可能であり、
前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの一方は第1の方向に延び、かつ当該第1の方向に延びる溝(124)を有し、
前記インターロッキング装置(40)の前記基体(42)は、連結要素(122)によって前記溝(124)に連結されている、アクセス保護システム(10)。
【請求項2】
前記遮断要素(44)は、回転軸(54)を中心にして回転方向(52)に、開放位置(48)から遮断位置(50)まで、基体(42)に対して相対的に機械的回動が可能である、請求項1に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項3】
前記回転軸(54)は、光パルスの光路(28)に対して、平行または垂直に配置されている、請求項2に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項4】
前記固定要素(46)は、前記基体(42)および前記遮断要素(44)を、遮断位置(50)の中で回転方向(52)への回転が固定された態様で、互いに固定接続するように構成されている、請求項2または請求項3に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項5】
前記遮断要素(44)は、前記回転軸(54)の周りに前記遮断要素(44)を手動で回動させるために操作要素(104)を有し、前記操作要素(104)は、前記回転軸(54)に実質的に平行して延び、かつ前記回転軸(54)に沿って延びている、請求項2または請求項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項6】
前記遮断要素(44)が、前記回転軸(54)に沿って配置されるばね要素を介して前記基体(42)に連結され、
前記ばね要素は、前記遮断要素(44)が開放位置(48)および/または遮断位置(50)にあるとき、弾性力を付勢し、前記基体(42)に対して前記遮断要素(44)を押し込む、請求項2または請求項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項7】
前記遮断要素(44)が、開放位置(48)および/または遮断位置(50)で前記基体に係合可能である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項8】
前記基体(42)は第1の凹部(112)および第2の凹部(120)を含み、前記遮断要素(44)は、第1の凹部(112)の配置によって開放位置(48)に係止可能であり、前記遮断要素は、第2の凹部(120)の配置によって遮断位置(50)に係止可能である、請求項7に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項9】
前記インターロッキング装置(40)は、前記固定要素(46)のための受容部を含み、前記固定要素(46)は施錠可能であり、前記固定要素(46)は前記受容部に挿入されたときに前記遮断要素(44)を遮断位置(50)に保持する、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項10】
前記固定要素(46)のための受容部が、前記遮断要素(44)の孔(106)として設計されている、請求項9に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項11】
前記基体(42)は凹部(108)を含み、該凹部(108)は、前記遮断要素(44)遮断位置(50)にあるとき、前記遮断要素(44)前記孔(106)に少なくとも部分的に合わせられるように構成されている、請求項10に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項12】
前記遮断要素(44)は、施錠可能な前記固定要素(46)の受容部として2つの孔を有し、前記基体(42)に2つの凹部(108)を有し、
前記2つの凹部(108)は、前記遮断要素(44)の遮断位置(50)において前記遮断要素(44)の各孔(106)に少なくとも部分的に合わせられ、
前記固定要素(46)は、それぞれの受容部に挿入されたときに、前記遮断要素(44)をその遮断位置に保持する、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項13】
前記基体(42)は、前記光送信器(22)または前記光受信器(24)に接続可能であり、前記基体(42)は、前記基体(42)は前記光送信器(22)または前記光受信器(24)に配置されている、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項14】
前記センサ機器(16)は、複数の光送信器(22)および対応する光受信器(24)を備え、
前記遮断要素(44)は、前記光送信器(22)と前記光受信器(24)との間に光パルスの最低2本の光路(28)の遮断位置(48)に配置される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項15】
前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、前記アクセスポイント(20)のそれぞれ逆の側に、かつ離れて設置されている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項16】
前記第1の方向は、前記光パルスのビームに垂直である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のアクセス保護システム(10)。
【請求項17】
全領域(12)に配置された機械または設備(14)へのアクセスポイント(20)を監視するように構成されたセンサ機器のためのインターロッキング装置(40)であって、前記センサ機器は光パルスを互いにやりとりしてセンサ信号を生成するように構成された光送信器(22)と光受信器(24)とを有し、
前記インターロッキング装置(40)は、基体(42)とその上に配置される遮断要素(44)と、結合要素(122)とを備え、
前記遮断要素(44)は、開放位置(48)から遮断位置(50)に、前記基体(42)に対して相対的に移動可能であり、
前記遮断要素(44)は、遮断位置(50)にある間、光送信器(22)と光受信器(24)との間でやりとりされる光パルスの光路(28)に配置され
前記遮断要素(44)は、遮断位置(50)にある間、光送信器(22)と光受信器(24)とのやりとりを防止し、
前記インターロッキング装置(40)は、遮断位置(50)において、固定要素(46)によって係止可能であり、
前記光送信器(22)および前記光受信器(24)のうちの少なくとも1つは、光ビームの光路に垂直に延びる溝(124)を持つ柱の形をしたハウジング内に配置されており、
前記結合要素(122)は、前記基体(42)を前記柱の形をしたハウジングに連結させるために、前記溝(124)に係合するように構成されている、インターロッキング装置(40)。
【請求項18】
安全領域(12)に位置する機械または設備(14)へのアクセスポイント(20)を保護する方法(60)であって、
前記アクセスポイント(20)の第1の側にある第1のハウジング内に光送信器(22)を配置するステップと、
前記アクセスポイント(20)の第2の側にある第2のハウジング内に光受信器(24)を配置するステップであって、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの一方が第1の方向に延び、当該第1の方向に延びる溝(124)を有する、ステップと、
前記光送信器(22)から前記光受信器(24)まで光パルスを伝送するステップ(64)と、
前記光受信器(24)による光パルスの受信に基づき、センサ機器(16)によってセンサ信号を生成するステップ(66)と、
制御器(18)によって、前記センサ信号を評価するステップ(68)と、
前記センサ信号に基づいて、前記制御器(18)によって、前記安全領域(12)に位置する機械または設備(14)を制御するステップ(70)と、
インターロッキング装置(40)の基体(42)を、連結要素(122)を用いて前記溝(124)に接続するステップと、
前記インターロッキング装置(40)の遮断要素(44)を、光送信器(22)と光受信器(24)との間の光パルスの光路(28)の外になる開放位置(48)に配置するステップ(74)と、
前記遮断要素(44)を、開放位置から、当該遮断要素が光パルスの受信を阻止するために光送信器と光受信器との間の光パルスの光路にある遮断位置まで移動させるステップと、
固定要素(46)によって、前記インターロッキング装置(40)を遮断位置(50)に係止させるステップ(78)とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全領域に位置する機械または設備へのアクセスポイントを保護するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクセス保護システムは、センサ機器を有し、制御器を有する。センサ機器は光送信器と光受信器とを含む。光送信器は、光受信器に光パルスを送り、センサ機器は、光受信器による光パルスの受信に基づいてセンサ信号を生成するように構成される。制御器は、センサ信号を評価して、センサ信号に基づいて安全領域に位置する機械または設備を制御するように構成される。
【0003】
上述したこの種のアクセス保護システムおよび方法は一般に公知である。
【0004】
例えば、特許文献1は、互いに離れて配置された光送信器および光受信器を備える、危険な領域を保護するための光電式保護装置を開示する。
【0005】
一般に公知なように、光カーテンが、危険な領域または安全領域へのアクセスを保護するために用いられている。
【0006】
特にそれらは、危険な領域へのアクセスポイントにおける非分離の(non-separating)保護装置として使用される。人または物体が光カーテンの検知範囲において検知されるか、または人または物体が保護領域を中断した場合、光カーテンから、例えば光カーテン上のOSSD出力のスイッチを切ることによって、「信号が送られる」。
【0007】
例えば保護領域から走り出て危険な領域へ入った場合のように、保護領域を去った後に、システムは、安全な状態(OFF)のままでなければならない。これは、光カーテンの、または、安全制御器の中のソフトウェア・インターロックで実現することができる。リセット信号または再起動信号が明示的に用意された場合のみ、そこからの再起動が可能となる。
【0008】
リセット信号を出力するための再起動ボタンは、危険な領域が視認でき、そして、システムが問題なく再開できることを操作者が確認できるような方法で、配置されることが重要である。
【0009】
実際には、無許可の場合でもシステムを再開するために再起動ボタンが押されることができるということが問題である。
【0010】
特にこの問題は、システムの保守、修復、検証または調整時に、システムが特別動作モードになっている場合に存在する。
【0011】
例えば、特別動作モードで、第1の人がまだ危険な領域に居て、それがシステムの一部によって隠されていて、そして外側から視認できないときに、第2の人が再起動ボタンを押すことができる。例えば、第1の人が、修理または保守目的のため、地面にまたは機械の内部に居るときである。
【0012】
第1の人は危険な領域にもはやいないが、他の人がユーザを捜すために危険な領域に入った場合に、システムの再起動が、第三者によって、または、前記第1の人によって行われることもあり得る。
【0013】
関連技術において、上記の問題の解決法として、危険な領域の人を検知するための付加装置を提供することが公知である。例えば、離れた電気感受性保護器材を用いることが可能である。これらは、特に光グリッドを平らにもしくは水平に配置して、危険な領域のスキャナ、追加して置かれた安全マットまたは安全なカメラシステムを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】独国特許出願公開第10 2012 111 433 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上の背景技術に対して、拡張された安全機能および操作のさらなる保護を伴うアクセス保護システムおよび方法を提供することが本発明の目的である。
【0016】
特に、高レベルの安全を確実に維持するとともに、より少ないプログラミングおよび配線の手間で済み、製造およびアプリケーションの費用が安価で済みかつ環境に優しく、簡単な集積化および処理を許容する、アクセス保護システムおよびさらに改良された方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、アクセス保護システムは、基体およびそこに設置された遮断要素を含むインターロッキング装置をさらに備えることにより、さらに優れたものとなる。当該遮断要素は、開放位置から、光パルスの受信を阻止するために送信器と受信器との間の光パルスの光路に配置される遮断位置まで、基体に対して相対的に移動可能である。インターロッキング装置は、固定要素(securing element)によって、遮断位置に係止されることが可能である。
【0018】
第2の態様によれば、安全領域に位置する機械または設備へのアクセスポイントを保護するためのセンサ機器が提案される。当該センサ機器は、光送信器および光受信器を備え、光送信器は光パルスを光受信器に発信するように構成され、センサ機器は光受信器による光パルスの受信に基づいてセンサ信号を生成するように構成される。それに基づいて、安全領域に位置する機械または設備が制御され、特にスイッチが開かれるように制御される。
【0019】
基体およびその上に配置される遮断要素を有しているインターロッキング装置がセンサ機器上に配置され、遮断要素は開放位置から、光ビームの受信を阻止するために送信器と受信器との間の光パルスの光路に配置される遮断位置まで、基体に対して移動可能である。そしてインターロッキング装置は、固定要素によって、遮断位置に係止されることが可能である。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、光パルスを交換することにより相互に作用してしてセンサ信号を生成できる光送信器と光受信器との組を用いて、安全領域に配置された機械または設備へのアクセスポイントを監視するセンサ機器のためのインターロッキング装置が提案される。
【0021】
インターロッキング装置は、基体を有し、その上に配置される遮断要素を有する。遮断要素は開放位置から、送信器と受信器との間の光パルスの光路に配置されて、それらのインタラクションを阻止する遮断位置まで、基体に対して移動することが可能である。そして遮断要素は、固定要素によって、遮断位置においてロックされることが可能である。
【0022】
本発明の第4の態様によれば、安全領域に配置された機械または設備へのアクセスポイントを保護するための方法が提案される。当該方法は次の工程(a)~(i)を含む。
【0023】
(a)光送信器および光受信器を含むセンサ機器を用意すること、(b)光送信器から光受信器まで光パルスを伝送すること、(c)受信器による光パルスの受信に基づいてセンサ機器によってセンサ信号を生成すること、(d)制御器によってセンサ信号を評価すること、(e)センサ信号を考慮し、制御器によって安全領域に位置する機械または設備を制御すること、(f)基体およびその上に配置された遮断要素を有するインターロッキング装置を用意すること、(g)送信器と受信器との間の光パルスの光路外である開放位置に前記遮断要素を配置すること、(h)遮断要素を、開放位置から、遮断要素が光パルスの受信を阻止するために送信器と受信器との間の光パルスの光路にある遮断位置まで移動させること、ならびに(i)固定要素により、インターロッキング装置を係止位置にロックすること。
【0024】
「安全領域」とは、この明細書では、設備または機械を囲んでいる領域であってセンサ機器により保護される領域として理解される。安全領域とは、機械または設備がその自動運転のために危険な領域の中にいる人に危険を及ぼすので、機械または設備の運転中に人が立ち入ることが許されない危険な領域のことである。
【0025】
安全領域は、例えば、アクセスポイントを通してのみ入ることができる、基本的に囲まれた領域として理解できる。センサ機器は、アクセス制御の目的でこのアクセスポイントに配置されてもよい。安全領域は、2つまたはそれ以上のアクセスポイントを有することもでき、この場合各アクセスポイントは別々に保護される。例えば、センサ機器は、各アクセスポイントごとに提供されてもよい。
【0026】
受信器で光パルスを受信することによって、センサ機器は、人または物体が安全領域のアクセスポイントにいるかどうか、あるいはアクセスポイントを通過したかどうかを、検知できる。もし人または物体がアクセスポイントにいる場合、光パルスの受信は阻止される(すなわち光パルスが受信器に届かない)。これによってセンサ機器は、人か物体がアクセスポイントにおいているかどうか決定することができる。
【0027】
生成された光パルスは、送信器から受信器まで光路に沿って進行する。換言すれば 光パルスは、光路に沿って光ビームを形成する。センサ機器はまた、時間をずらして、すなわち繰り返しながら、複数の光パルスを順次送るように構成されてもよい。
【0028】
センサ機器は、光パルスの受信に基づいて、センサ信号を生成する。センサ信号は、例えば、受信器が送信された光パルスを受信したかどうかに関する情報を含むことができる。センサ信号はまた、人または物体がアクセスポイントにおいて検知されたかどうかに関する情報を含むこともできる。
【0029】
本発明は、特に機械または設備が「特別のモード」である場合に、安全領域を保護することができる追加のインターロッキング装置を提供するというアイデアに基づく。特に、機械または設備が特別のモードにある全ての期間の間、インターロッキング装置が安全領域を保護するように定めることができる。インターロッキング装置は、この目的のために遮断要素を備えている。当該遮断要素は、光パルスの受信を阻止するために、送受信器の間の光パルスの光路に配置されることができる。これにより、例えば特別のモードの間、機械または設備の無許可のまたは独立した始動を防止できる。
【0030】
遮断要素は、開放位置から、機械または設備を保護するべき遮断位置まで移動可能である。開放位置において、遮断要素は光パルスの光路の外に位置する。遮断位置において、遮断要素は光パルスの光路の中に位置する。
【0031】
用語「移動可能」とは、基体に対して、遮断要素の位置または方向を変えることができることを意味する。例えば、遮断要素は、基体に対して回転することができ、および/または移動できる。特に、遮断要素が旋回中心の周りに回転するか、またはレールに沿って移動するように設定することができる。例えば、基体は旋回中心を定義することができ、および/または、レールは基体の上に形成されることができる。
【0032】
加えて、インターロッキング装置は、固定要素によって、遮断位置において係止可能である。
【0033】
用語「係止可能」(lockable)とは、遮断要素が遮断位置から移動するのを防止するために設けられているを意味するとして理解される。
【0034】
用語「係止可能」は特に、それが係止(block)されることを意味する。例えば、南京錠を、ロッキングの手段として設けることができる。南京錠は、遮断要素をその遮断位置に係止するかまたは固定する。
【0035】
固定要素によってインターロッキング装置を係止することによって、固定要素により提供される係止を解除しない限り、遮断要素は遮断位置から開放位置まで移動することができない。換言すれば、ユーザは、機械または設備の再起動を有効にするために意識的な動作を実行しなければならない。例えば、ユーザが特別のモードの間、安全領域にいる限り、第三者が機械または設備を意図せずに再開できることを防止できる。機械設計により、係止装置を操作することを困難にする。
【0036】
この発明の構成によって、従来技術で提案された保護装置に対して、費用対効果の良い単純な代替構造が提供される。またインターロッキング装置が単に機械的に作動するだけであるので、操作を保護し高度の安全性を確保するとともに、追加的なプログラミングまたは配線は必要とされない。
【0037】
インターロッキング装置は、その製造および使用において、環境に優しい。さらにまた、インターロッキング装置は、特に既存のシステムに一体化するのが容易で、取扱いが容易である。
【0038】
上に述べた本発明の目的は、このように完全にして解決される。
【0039】
本発明の第1の改良において、遮断要素を開放位置から回転軸を中心として回転させた遮断位置まで、基体に対して機械的に回転可能なように設定してもよい。
【0040】
原理的に、遮断要素が開放位置から遮断位置まで、回動の代わりに直線的な変位によって移動することも考えられる。
【0041】
遮断要素は、自動的な、例えば電動機による押釦により、あるいは手動による機械的な押釦により、移動および回動することができる。手による機械的な回動は、単純なかつ費用対効果に優れたソリューションである。遮断要素は、開放位置からその遮断位置まで、またはその逆の遮断位置から開放位置まで移動するために90度回転することが好ましい。
【0042】
したがって、遮断要素の遮断位置における長手方向は、開放位置の長手方向から、好ましくは約90度の角度となる。
【0043】
本発明のさらなる改良において、回転軸は、光パルスの光路と直角、あるいは平行であるように配置されてもよい。
【0044】
回転軸が光パルスの光路と平行である場合、遮断要素は光パルスの光路に入るため回転軸の周りに回転する。回転軸は基体から離れて延びていることが好ましい。
【0045】
もし、回転軸が光パルスの光路と直角に配置される場合、遮断要素は光パルスの光路に入るために、回転軸の周りに傾斜していることが好ましい。
【0046】
回転軸は望ましくは基体に対して平行に、または、それに沿って配置されている。回転軸の配置は、利用できる設置スペース上の特定の仕様に従う。その理由は、開放位置の遮断要素は回転軸の配置に応じて基体から異なった各方向へ延びるからである。
【0047】
本発明のさらなる改良において、固定要素が、基体と遮断位置の遮断要素とを、回転方向に固定された形で連結することが可能である。
【0048】
これは、遮断要素が基体に対して、遮断位置から離れて移動すること防止する。
【0049】
本発明のさらなる改良において、手によって、回転軸に沿って遮断要素を回転させるために、遮断要素に操作要素が設けられていてもよい。特に、操作要素が回転軸に実質的に平行に延びることが好ましく、回転軸に沿って延びていることが特に好ましい。
【0050】
この操作要素の助けを借りて、遮断要素を、比較的容易に回転させることができる。
【0051】
この操作要素は、簡単で快適な操作のために、人間工学的に形づくられることもできる。
【0052】
ロックレバーの水平回転軸(swivel axis)に沿って操作要素を接続することによって、回動または回転のために必要とされる力は、非常に容易に遮断要素へ移される。
【0053】
遮断要素そのものは好ましくはプレート形である。その結果、遮断位置で、それは送信器と受信器との間に光パルスの光路において、できるだけ大きな面積を配置されることができる。
【0054】
本発明のさらなる改良において、遮断要素が回転軸に沿って配置されるばね要素を介して基体に連結されていてもよい。そして、開放位置および/または遮断位置で、それは遮断要素を基体に対して押圧する弾性力を提供する。
【0055】
例えば、機械式圧縮スプリングが、ばね要素として用いられることが可能である。原理的には、空気ばねもしくは油圧ばね要素も考えられる。
【0056】
遮断要素上のばね要素によって弾性力を与える主要な目的は、その開放位置からのおよび/またはその遮断位置からの、遮断要素の意図的でない動きを妨げることである。それは遮断要素を、インターロッキング装置の筐体に対して押圧する。遮断要素を遮断位置から開放位置までまたはその逆の開放位置から遮断位置まで回転させるために、操作者は、弾性力に逆らって、遮断要素を最初わずかに持ち上げなければならない。従って、ばね要素によって働く弾性力は、あまり大きくてはいけない。
【0057】
本発明のさらなる改良において、遮断要素は、開放位置でおよび/または遮断位置で基体に係止可能であってもよい。
【0058】
好ましくは、遮断要素は、開放位置と遮断位置の両方で、基体に係止可能である。上述のばね要素に加えて、この種の遮断要素のラッチングは、遮断位置または開放位置からの意図的でない回動に対して遮断要素の保護を提供する。開放位置および遮断位置における遮断要素の位置も、正確に定められる。これは操作者のための処理を簡単化する。
【0059】
本発明のさらなる改良において、第1の凹部および第2の凹部が基体に設けられていてもよい。遮断要素は、第1の凹部の配置によって開放位置に固定され、第2の凹部の配置によって遮断位置に固定される。
【0060】
これらの凹部は、機械的に単純な、しかし安定した遮断要素のロッキングを許容する。特に、すでに前述したばね要素と組み合わせて、遮断要素は、遮断位置または開放位置に達したときに、弾性力のため自動的にそれぞれの凹部に嵌まる。
【0061】
勘合を分離することは、弾性力に逆らって遮断要素を持ち上げることによって可能である。基体に設けられている2つの凹部は、望ましくは各々直交方向に配列される。
【0062】
本発明のさらなる改良において、インターロッキング装置は、固定要素のための受容部をさらに備えていてもよい。固定要素は、受容部に受け入れられた状態で、遮断要素をその遮断位置に保持する。特に、固定要素はロック可能であることが望ましい。
【0063】
これによって、遮断要素がその遮断位置に容易にロックされることが可能である。
【0064】
好ましくは、固定要素は、南京錠(padlock)として設計される。遮断要素を遮断位置に固定するために、南京錠のシャックルは、遮断要素の受容部を通過できる。
【0065】
本発明のさらなる実施例において、係止可能な固定要素の受容部が遮断要素の孔として設計されてもよい。
【0066】
ロック可能な固定要素として使用する南京錠は、このように遮断要素に設けられている孔に、直接嵌入されることができる。孔は、遮断要素が遮断位置にあるときにのみ、アクセス可能なことが好ましい。従って南京錠は、遮断要素が遮断位置にあるときにのみ、インターロッキング装置に接続されることができる。
【0067】
なお、南京錠が孔に嵌入されたときに、遮断要素が遮断位置から開放位置まで移動または回動することができないように、孔の位置は選択されなければならない。レバーを揺動させる試みが実行されたときに、南京錠がインターロッキング装置の基体と衝突することによって、これは防止される。このために、上述した孔は、板形の遮断要素の一方の端に位置することが好ましい。
【0068】
本発明のさらなる改良において、遮断要素の遮断位置において、遮断要素に設けられた孔に少なくとも部分的に整列した基体に、凹部が設けられていてもよい。
【0069】
この凹部は、孔(hole)であってもよく、または基体に形成された一種の刻み目(notch)であってもよい。この凹部が遮断要素の遮断位置に設けられている孔に軸が合っている(aligned)場合、南京錠が孔に嵌入されるときに、基体の凹部と同様に、南京錠のシャックルと遮断要素の孔との間で一種の形の一致(form fit)が形成される。遮断要素のロック位置において、従って、南京錠は、遮断要素の孔に挿入されるだけでなく、基体の凹部にも嵌入される。もし孔および凹部が遮断位置で正確に互いの上にある場合、南京錠またはインターロッキング装置を破壊せずに、南京錠が挿入された遮断要素を回転させることがもはやできない。インターロッキング装置により提供される本追加の安全装置は、意図せずに操作されることができない。
【0070】
本発明のさらなる改良において、遮断要素に2つの孔が、各場合の固定要素用の受容部として設けられ、2つの凹部が基体に設けられていてもよい。それらは、遮断要素の遮断位置では、遮断要素に設けられている孔に少なくとも部分的に合わせられる。固定要素は、それぞれの受容部に嵌入されるときに、その遮断位置に遮断要素を保持する。
【0071】
この改良によれば、ロックレバーは、いわば、各々1つの南京錠のための2つのスロットを有する。機械または設備の数人の操作者がいる場合、この種の改良は特に有利である。
【0072】
人が安全領域に入るときに、第1の操作者は第1の南京錠でアクセス保護システムを固定する。それから2人目が安全領域に入る場合、この人も遮断要素の第2の孔に第2の南京錠を嵌入するかまたは掛けることによって、遮断要素を遮断位置に固定することができる。それから第1の操作者が安全領域を離れる場合、第2の南京錠を見て、他の人が安全領域にあると直ちに認める。
【0073】
従って2人の操作者が遮断要素から両方の南京錠を解除する場合にのみ、遮断要素をその開放位置の方へ動かすことができる。
【0074】
これは、2人の操作者がいる場合であっても、彼らのいずれもが、機械または設備が運転に戻された安全領域に居ないことを、確実にする。
【0075】
言うまでもなく、操作者の数に応じて、インターロッキング装置に南京錠用の2つ以上の孔または受容部を設けることができる。
【0076】
本発明のさらなる実施例において、基体が、送信器上または受信器上に配置されていてもよく、特に、基体が送信器または受信器にしっかりと固定されていることが好ましい。
【0077】
換言すれば、基体は送信器または受信器の側に配置される。送信器または受信器との強固な接続のため、遮断要素は、特に送信器または受信器に関連して、すなわち光パルスの光路に関連して移動可能である。好ましくは、送信器および/または受信器は、アクセスポイントの対向側に位置している。アクセスポイントの両側に柱があり、送信器および受信器は、各柱に配置されることが可能である。
【0078】
インターロッキング装置の基体は、直接、または、結合要素を介して、各1本の柱に結合されてもよい。
【0079】
本発明のさらなる改良において、センサ機器が複数の光送信器および対応する光受信器を含むものであってもよい。その遮断位置にある遮断要素は、送信器と受信器との間の、光パルスの少なくとも2本の光路に配列されていてもよい。
【0080】
多数の送信器および受信器が、安全領域に入ることに対してアクセスポイントの安全性を改善するために提供される。
【0081】
2本の光路を遮断することは、誤りが生じた場合に冗長な安全が保たれるという効果がある。例えば、遮断要素が対応する光路をブロックしている場合であっても、ブロックされた受信器が光信号を誤って検知することがある。さらにまた、ブロックされた受信器が、その欠陥のためまたは過った操作のため、制御器に間違った信号を送ることもある。
【0082】
前述の特徴および以下で説明される内容は、各場合において示される組合せだけで使用されるものではなく、他の組合せでも、または、本発明の範囲を離れない限り、単独の状況で適用が可能なものと理解される。
【0083】
本発明の実施例は、図面に示され、以下に、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】アクセス保護システムの第1の実施形態を示す概略図である。
図2図1のアクセス保護システムの詳細ブロック図である。
図3】安全領域にある機械または設備を保護する方法の実施形態の第1部分を示す概略フローチャートである。
図4図3の方法の第2部分を示す概略フローチャートである。
図5】開放位置にあるアクセス保護システムの第2の実施形態を示す斜視図である。
図6】ブロック位置にある図5のアクセス保護システムを示す斜視図である。
図7図5のアクセス保護システムの第1側面図である。
図8図5のアクセス保護システムの第2側面図である。
図9図5のアクセス保護システムの正面図である。
図10図5のアクセス保護システムの上面図である。
図11図5のアクセス保護システムの背面図である。
図12図6のアクセス保護システムの第1側面図である。
図13図6のアクセス保護システムの第2側面図である。
図14図6のアクセス保護システムの正面図である。
図15図6のアクセス保護システムの上面図である。
図16図6のアクセス保護システムの背面図である。
図17】アクセス保護システムの第3の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1および図2に、アクセス保護システム10の第1実施例を示す。
【0086】
図1はアクセス保護システム10の基本設計を示す。図2はアクセス保護システム10の詳細図を示す。図2において、アクセス保護システム10のさらなる安全のための相互ロッキング機構が示される。
【0087】
アクセス保護システム10は、安全領域12に置かれた機械または設備14を保護するために設計されている。安全領域12に対するアクセスポイント20は、アクセス保護システム10によって監視される。人が安全領域12に入った場合、アクセス保護システム10によって検知され、安全領域12に置かれた機械または設備14は、人にとって安全である状態へと変化させられる。
【0088】
例えば、特に電源を中断することによって、機械または設備14は非駆動になることが可能である。
【0089】
アクセス保護システム10は、センサ機器16を備えている。センサ機器16は、安全領域12へのアクセスポイント20に位置する。センサ機器16は、光送信器22と光受信器24とを有する。光送信器22および光受信器24は、互いの距離26だけ離れて配置されている。送信器22および受信器24は望ましくはアクセスポイント20の対向側に位置している。
【0090】
光送信器22は光パルスを発生させて、光路28に沿って光受信器24にそれを送る。換言すれば、光パルスは光路28に沿った光ビームを形成する。
【0091】
センサ機器16は、受信器24からの光パルスの受信に基づいてセンサ信号を生成するように構成される。センサ信号は、このように、光パルスが受信器24に達したかどうかの情報を含む。好ましくは、光送信器22は、時間間隔で光パルスを発生させ、光路28に沿って光受信器24にそれらを送る。
【0092】
センサ機器16は通常、複数の光送信器22および対応する光受信器24を備えている。
【0093】
複数の送信器22および複数の受信器24は、それぞれ柱(bar)に配置されていてもよい。2本の柱は、アクセスポイント20の対向側に配置されることができる。
【0094】
各送信器22は光路28に沿って対応する受信器24に光パルスを送る。換言すれば、光パルスは、それぞれの送信器22と受信器24との間に光ビームを形成する。
【0095】
個々の光ビームは、送信器22と受信器24との間にいわゆる光グリッドを張る。光グリッドは、安全領域に入っている人が少なくとも1本の光ビーム、すなわち送信器22と対応する受信器24との間の見通し線を、安全領域に入っている時間、中断するように、安全領域12へのアクセスポイントに配置される。
【0096】
センサ機器16は、送受信器対ごとに別々のセンサ信号を生成できる。
【0097】
あるいはセンサ機器16は、多数の受信器を含む受信器24が、対応する光パルスを受信しなかったかどうかの情報を含むセンサ信号を生成できる。
【0098】
アクセス保護システム10は、制御器18を備えている。
【0099】
制御器18は、回線30を経て光送信器22に、そして、回線32を経て光受信器24に接続している。複数の送信器22および受信器24がある場合、回線30、32は各送信器22および受信器24のために用意される。あるいは、回線30は、すべての送信器22のために、および回線32はすべての受信器のために用意されてもよい。
【0100】
制御器18は、センサ信号を評価して、センサ信号に基づいて安全領域12に位置する機械または設備14を制御するように構成される。例えば制御器18は、光パルスが妨げられた場合、システムまたは機械14を停止できる。あるいは、制御器18は、機械または設備14を安全な状態に変えることができる。
【0101】
例えば、機械または設備14を停止するために、制御器18は、機械または設備14への電源36を中断できる。このために、制御器18は、電源36と機械または設備14との間の配電回路に配置された接触器34に接続されている。光ビームが中断された場合、制御器18は、接触器34を用いて、機械または設備14の電源36を中断する。このようにして、機械または設備14を静止させる。
【0102】
この実施形態では、接触器34の制御は、現在の保安基準に従って冗長に設計されている。
【0103】
制御器18は、光送信器22を制御する。例えば、制御器18がテスト信号を生成して、光送信器22にそれを送る、という設定をしてもよい。送信器22はそれぞれのパルス光ビームを使用して受信器24に試験信号を送る。試験信号は、例えば、各受信器24に対するパルス光ビーム上へ変調されて送られる。受信器24はテスト信号を受信して、それを制御器18に送り返す。制御器18は、受信したテスト信号をもとのテスト信号と比較する。
【0104】
人が安全領域に入ると、パルス光ビームは短時間遮断され、テスト信号が受信器24に到達しないか、もしくは完全にそこに到達しない。もし不完全な信号が受信器24に入った場合、制御器18は出て行った信号と入力された信号とを比較することによりこれを検知し、接触器34を用いて機械または設備14の電源36を切る。
【0105】
あるいは、テスト信号の生成および評価は、センサ機器で実行されることもできる。センサ信号は送受信一対の光ビームが中断されたかどうかの情報のみを含む。
【0106】
アクセス保護システム10は、図2に示すようにインターロッキング装置40を備えている。
【0107】
インターロッキング装置40は、安全領域12のアクセスポイント20に、または、その中に配置される追加的な機構部品である。インターロッキング装置40は、アクセス保護システム10のさらなる安全のための追加的な相互ロッキング機構を形成する。例えば、相互ロッキング機構は、機械または設備14の「特別動作モード」中の安全領域12を保護するために用いることができる。
【0108】
図2は、インターロッキング装置40の2つの実施例(A)、(B)を示す。実施例(A)および(B)は基本的に同じ部品で構成され、基本的にロック機構の移動においてのみ異なる。
【0109】
両実施例のインターロッキング装置40は、基体42および遮断要素44を有する。遮断要素44は、特に移動可能で、基体42上に配置される。基体42は、安全領域12へのアクセスポイント20に位置する。特に、基体42は、送信器22と受信器24との間の光パルスの光路28の外に位置する。基体42は、送信器22上もしくは受信器24上に、または送信側もしくは受信側に、配置されることができる。
【0110】
特に、基体42は、送信器22または受信器24に強固に接続されていてもよい。あるいは、基体42の、送信器22および/または受信器24に対する相対位置を決定(fix)しても良い。
【0111】
遮断要素44は、開放位置(release position)48と遮断位置(blocking position)50との間で、基体42に対して相対的に移動可能である。
【0112】
特に、遮断要素44は、開放位置48から遮断位置50まで、または、遮断位置50から開放位置48まで、基体42に対して相対的に移動可能である。
【0113】
開放位置48において、遮断要素44は、送信器22と受信器24との間の光パルスの光路28の外に位置する。遮断位置50において、遮断要素44は、送信器22と受信器24との間の光パルスの光路28中にある。このようにして、遮断位置50の遮断要素44は、送信器22と受信器24との間で光パルスの伝送を妨げる。換言すれば、遮断位置50の遮断要素44は、光パルスの受信を阻止する。
【0114】
複数の送信器22およびそれらに対応する受信器24がある場合、遮断要素44は、遮断位置50において、それが光パルスの少なくとも2本の光路28において、送信器と受信器との間に配置されるというような状態で設定できる。
【0115】
さらにまた、ロック位置50においてインターロッキング装置40を係止(ロッキング)できる固定要素46が設けられていてもよい。
【0116】
遮断要素44が遮断位置50においてブロックされると、遮断要素44は基体42の方へ相対的に移動することができない。ロッキングを解止することによってのみ、遮断要素44は、再び基体42の方へ相対的に移動できる。
【0117】
固定要素46は、例えば、ロック可能な固定要素46として、特に南京錠(padlock)として設計されることができる。
【0118】
遮断要素44は、例えば、直線運動によって、特にスラスト方向(thrust direction)にシフトすることによって開放位置と遮断位置との間で移動可能である。または回転運動によって、特に回転軸を中心とした回転方向への回動によって開放位置と遮断位置との間で移動可能である。
【0119】
図2の実施例(A)において、遮断要素44は、回転運動によって、開放位置48と遮断位置50との間で移動可能である。
【0120】
遮断要素44は、開放位置48と遮断位置50との間で、回転軸54の周りで回転方向52に回動可能である。換言すれば、遮断要素44は、開放位置48から遮断位置50まで、基体42に対して、回転軸54の周りで回転方向52に回転できる。
【0121】
この目的のために、遮断要素44は、例えば、基体42に回転可能に載置される。特に、基体42は、遮断要素44のための回転軸として機能するピンもしくはロッドを備えることができる。
【0122】
原理的には、回転軸54は、光パルスの光路28の、0度と180度との間の角度を含む。
【0123】
好ましくは、回転軸54は、光パルスの光路28と平行であるか、またはこれと直角をなすように配置される。
【0124】
図2の実施例(A)において、回転軸54は、光パルスの光路28に対して垂直に配置されている。
【0125】
本実施例における固定要素46は、当該回転を固定するため、基体42と回転方向52の先の遮断位置50にある遮断要素44とを接続するように設計されている。
【0126】
図2の実施例(B)において、遮断要素44は、開放位置48と遮断位置50との間の直線運動によって移動可能である。すなわち遮断要素44は、開放位置48と遮断位置50との間で、直線的なスラスト方向56において摺動可能である。この目的のために、基体42は、遮断要素44がスラスト方向56に移動することができるように、例えば、レールを備えていてもよい。
【0127】
図3および図4は、安全領域12に位置する機械または設備14を保護する方法60の実施例を示す。当該方法60に係る、図1および図2のアクセス保護システム10の機能を以下に説明する。
【0128】
方法60のステップ62において、センサ機器16を設ける。
【0129】
方法60のさらなるステップ64において、光パルスが、光送信器22から光受信器24まで伝送される。
【0130】
方法60のさらなるステップ66において、センサ機器16によって、受信器24が光パルスを受信したことに基づいて、センサ信号が生成される。
【0131】
手順60のさらなるステップ68において、センサ信号は、制御器18により評価される。
【0132】
方法60のさらなるステップ70において、制御器18によって、センサ信号を考慮して、安全領域12に位置する機械または設備14が制御される。
【0133】
方法60のさらなるステップ72において、インターロッキング装置40は、それに配置される基体42および遮断要素44を、装備している。
【0134】
方法60のさらなるステップ74において、遮断要素44は、開放位置48に配置される。そこにおいて遮断要素44は、送信器22と受信器24との間で光パルスの光路28の外に配置される。
【0135】
方法60のさらなるステップ76において、遮断要素44は、開放位置48から遮断位置50まで移動する。そこにおいて遮断要素44は、光パルスの受信を阻止するために、送信器22と受信器24との間で光パルスの光路28に配置される。
【0136】
方法60のさらなるステップ78において、インターロッキング装置40は、固定要素46によって、遮断位置50において固定(ロック)される。
【0137】
好ましくは、ロッキングのステップ78で、ロック可能な固定要素46は、遮断要素44をその遮断位置50に保持するために、インターロッキング装置40の受容部に嵌入される。
【0138】
図5図16は、アクセス保護システム100の第2実施例を示す。
【0139】
アクセス保護システム100は、基本的に、図1および図2のアクセス保護システム10と同じ部品を備えている。同じ部品は、従って同じ参照符号により参照され、ここでは詳細に説明しない。
【0140】
図5および図7図11は、遮断要素44が開放位置48に配置された開放状態のアクセス保護システム100の諸図を示す。図6および図12図16は、遮断位置50のアクセス保護システム100の諸図を示す。
【0141】
アクセス保護システム100は、1つ以上の送信器22または1つ以上の受信器24が配置される柱102を備えている。柱102は送信器22または受信器24用のハウジングをこのように形成する。また、柱102はアクセス20一方の側に設置される。
【0142】
加えて、アクセス保護システム100は、柱102および基体42を強固に接続する結合要素122を備えている。このために、柱102は第1の溝124を有する。それは柱102が延びる方向において延びている。
【0143】
好ましくは、第1の溝の延長の方向は、光パルスの光路28および回転軸54と直角をなす。基体42は、前記延長の方向と同じ方向に延びる第2の溝を有する。結合要素122も、前記延長の方向に延びて、基体42および柱102を固く接続するために、第1の溝および2本目の溝に係合している。
【0144】
代わりに、または加えて、基体42は、さらなる留め金具、例えば1つ以上のネジによって、柱102に接続されることもできる。
【0145】
図5図16の実施例の遮断要素44は、図2の実施例(A)のように、それが回転軸54に関して回転または回動できるように、基体42に載置される。しかし図2の実施例(A)とは対照的に、回転軸54は、センサ機器16の光パルスの光路28と平行になる。
【0146】
アクセス保護システム100は、基体42対して遮断要素44を手で回転させる操作要素104をさらに備える。
【0147】
アクチュエータによる遮断要素44の回動も、原則的に考えられる。しかしながら、手で遮断要素44を回転させることは、容易な操作を提供し、さらに別に設けなければならないアクチュエータのための経費を節約する。ここで示される操作要素104は、好ましくは回転軸54と同軸かそれと平行に設置される。そしてその周りで、遮断要素44は回転できる。
【0148】
遮断要素は、回転軸54に沿って配置されたばね要素(図示せず)を介して、基体42に連結できる。このばね要素は、基体44の上面に対して遮断要素44を押圧する弾性力を印加することができる。さらにスペーサを、安定のために追加してもよい。
【0149】
インターロッキング装置40は、固定要素46のための受容部を備えていてもよい。固定要素46が受容部に嵌入されると、遮断要素44はその遮断位置50に保持される。
【0150】
本実施例の固定要素46は、南京錠として設計される。固定要素は、シャックル110を有しており、それによって係止可能である。すなわち、シャックル110は、固定要素の基体に対して係止されることができる。
【0151】
遮断要素44は、固定要素46のための孔(hole)106を提供することもできる。孔106は、インターロッキング装置40の受容部を形成する。操作者が遮断要素44を遮断位置50の方へ動かすとすぐに、彼は、追加的に、固定要素46のシャックル110を孔106に嵌入できる。そうなると、遮断要素44をその遮断位置50から回転させることが、もはやできない。
【0152】
遮断要素44を回転させるための試みが実行されると、固定要素46はインターロッキング装置48の基体42と衝突する。その結果、ロックレバー52はその遮断位置50において阻止(block)される。
【0153】
さらにまた、基体42は、遮断要素44の遮断位置50において、遮断要素44の孔106に少なくとも部分的に合致する凹部(recess)108を有することができる。基体42の凹部108は、孔として設計することもできる。
【0154】
インターロッキング装置40を係止するために、固定要素46のシャックル110は、孔106および凹部108を通過できる。その結果、回転軸54のまわりの回転方向52に遮断要素44が基体42に接続され、遮断要素44が遮断位置50に角度固定される。
【0155】
図5図16の本実施例において、遮断要素44は、係止可能な固定要素46のための受容部として、2つの孔106を有する。2つの孔は、いくつかの(例えば2つの)南京錠を挿入することができるという効果がある。このようにして、各操作者は、彼個人の南京錠を2つの孔のうちの1つに挿入できる。
【0156】
したがって、基体42は2つの凹部108を有することもできる。凹部108は、遮断要素44の遮断位置50において、遮断要素44に設けられている孔106に、少なくとも部分的に合わせられる。これらの凹部108は、原則、孔として設計されることもできる。それらは、南京錠が嵌入されるときに、それは遮断要素44がその遮断位置50から回動するのを妨げるという、機械的な保護を提供する。
【0157】
好ましくは凹部108が正確に孔106に合わせられるので、南京錠が2つの開口部のうちの1つに嵌入されたときに、形状の一致(form fit)が、南京錠のシャックル110とそれぞれの孔106または凹部108との間に形成される。
【0158】
遮断要素44は、好ましくは、開放位置48および遮断位置50の両方において、基体42にラッチ係合されることができる。このために、基体42はその上側に2つの凹部112、120を有する。当該上側において、遮断要素44は、同じ高さに配置される。これにより、遮断要素44と凹部112または120との間に、一種の形状の一致を形成する。
【0159】
第1の凹部112は、開放位置48に割り当てられる。第2の凹部120は、遮断位置50に割り当てられる。両方の凹部112、120は、2つのウェブによって、横に制限される。ウェブは、遮断要素44が、開放位置48において、または、遮断位置50において、滑動(slip)もしくは回動するのを防止するための横壁として役立つ。
【0160】
基体42は、第1のウェブ114および第2のウェブ116を有する。それらは第1の凹部112の横壁として役立つ。第2のウェブ116も、2つの突部(lug)118’、118”を有する。それらはウェブとして設計されて、第2の凹部120の横方向の壁として役立つ。好ましくは、第1および第2の凹部112、120は、互いに90度の角度で配置される。
【0161】
開放位置48から遮断位置50まで、または、遮断位置50から開放位置48まで、遮断要素44を、操作要素104を用いて回転させるために、遮断要素44は、すなわち基体42から離れて、回転軸54に沿って、ウェブ114、116、118’、118”の上で、上方向に引かれなければならない。操作者は、ばね要素の弾性力に打ち勝たなければならない。そうすることで、遮断要素44を、他の位置に回転させることができる。
【0162】
図17は、アクセス保護システム100’の第3の変形例を示す。示されるアクセス保護システム100’は、遮断要素44’が遮断位置50に配置されたブロッキング状態にある。
【0163】
アクセス保護システム100’は、図5図16に示されたアクセス保護システム100と、基本的に同じ部品を含む。同じ部品は、従って、同じ参照符号により示され、詳細には説明されない。
【0164】
アクセス保護システム100’は、インターロッキング装置40’の回転軸54’が、センサ機器16の光パルスの光路28と平行でなくて、直角をなすという点で、アクセス保護システム100と異なる。
【0165】
特に、回転軸54’は、柱102が延びる方向と平行になる。その結果、遮断要素44’は、開放位置48と遮断位置50との間で回転軸54’の周りに回転するかまたは傾けられる。
【0166】
この目的のために、基体42’は、回転軸54’に沿って配置されたピンもしくはロッド128を有する。遮断要素44’は、ピンもしくはロッド128を利用して、基体42’に、回転可能に設置される。
【0167】
遮断要素44’も2つの孔106’を有する。基体42’は、遮断位置50において孔106に合わせられる、対応する凹部108’を有する。凹部108’は、孔としても設計される。遮断位置50において、固定要素46は、遮断位置50の遮断要素44’をブロックするために、2つの孔106’および凹部108’を通過できる。
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