(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】冷菓
(51)【国際特許分類】
A23G 9/44 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A23G9/44
(21)【出願番号】P 2020057604
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】岩井 大
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-290154(JP,A)
【文献】特開2004-000074(JP,A)
【文献】特開2011-182765(JP,A)
【文献】特表2012-504945(JP,A)
【文献】実公昭47-034796(JP,Y1)
【文献】実公昭48-011191(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 9/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状で、第1の冷菓材料からなる海部中に、第2の冷菓材料からなる島部を
2~4個有し、
厚さ方向の端面を平面視したとき、前記島部は内方から外方へ延びつつ、
前記端面の中央部を通り前記厚さ方向に平行な軸を回転軸とする一回転方向に曲がる曲線をなしており、
厚さ方向の一方の端面と他方の端面とで、前記島部は前記一回転方向にずれており、
前記島部は前記厚さ方向に対して斜めに延在する連続層であり、
前記第1の冷菓材料の凍結点が-5.0超-1.5℃以下であり、前記第2の冷菓材料の凍結点が-5.0℃以下である、冷菓。
【請求項2】
前記海部の体積V1と前記島部の総体積V2の比を表すV1:V2が100:8~100:30である、請求項1に記載の冷菓。
【請求項3】
厚さが10~30mmである、請求項1又は2に記載の冷菓。
【請求項4】
前記第2の冷菓材料の、B型粘度計、ローターNo.4を使用し、測定温度5℃で測定した粘度が、回転数6rpmにおいて18~130Pa・sであり、かつ回転数6rpmにおける粘度η1と回転数30rpmにおける粘度η2との比を表すη1/η2が2~6である、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷菓。
【請求項5】
前記一回転方向において、前記厚さ方向の一方の端面から他方の端面まで前記島部が移動した軌跡の中心角αが30~200°である、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷菓。
【請求項6】
前記厚さ方向の一方の端面又は他方の端面を平面視したとき、前記一回転方向において、前記島部が存在する領域の中心角βの合計が360°以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の冷菓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷菓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる材料で形成された2層以上を有する複層冷菓が知られている。特許文献1には、モールドを用いて凹部を有する冷菓外層を形成した後、その凹部にソースを充填して凍結した複層冷菓が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の複層冷菓は、冷菓外層の内部にソース層が存在する構造であるため、ソース層を広範囲で味わうことができない。
本発明は、複層冷菓でありながら、それぞれの層を広範囲で味わうことができる冷菓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の構成を有する。
[1] 平板状で、第1の冷菓材料からなる海部中に、第2の冷菓材料からなる島部を有し、厚さ方向の端面を平面視したとき、前記島部は内方から外方へ延びつつ、任意の位置を回転軸とする一回転方向に曲がる曲線をなしており、厚さ方向の一方の端面と他方の端面とで、前記島部は前記一回転方向にずれており、前記第1の冷菓材料の凍結点が-5.0超-1.5℃以下であり、前記第2の冷菓材料の凍結点が-5.0℃以下である、冷菓。
[2] 前記海部の体積V1と前記島部の総体積V2の比を表すV1:V2が100:8~100:30である、[1]の冷菓。
[3] 厚さが10~30mmである、[1]又は[2]の冷菓。
[4] 前記第2の冷菓材料の、B型粘度計、ローターNo.4を使用し、測定温度5℃で測定した粘度が、回転数6rpmにおいて18~130Pa・sであり、かつ回転数6rpmにおける粘度η1と回転数30rpmにおける粘度η2との比を表すη1/η2が2~6である、[1]~[3]のいずれかの冷菓。
[5] 前記一回転方向において、前記厚さ方向の一方の端面から他方の端面まで前記島部が移動した軌跡の中心角αが30~200°である、[1]~[4]のいずれかの冷菓。
[6] 前記厚さ方向の一方の端面又は他方の端面を平面視したとき、前記一回転方向において、前記島部が存在する領域の中心角βの合計が360°以上である、[1]~[5]のいずれかの冷菓。
【発明の効果】
【0006】
本発明の冷菓は、複層冷菓でありながら、それぞれの層を広範囲で味わうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の製造装置を用いて製造される冷菓の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の冷菓の製造装置の一実施形態を示す正面図である。
【
図7】連続式フリーザーの例を示す概略構成図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)中のB-B線に沿う横断面図である。
【
図8】第2のノズルの変形例を下方から見た一部断面平面図である。
【
図9】表側端面の平滑性の評価方法を説明するための側面図である。
【
図10】スティックの平行性の評価方法を説明するための側面図である。
【
図11】試験例で用いたソース組成物の粘度の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
本発明における冷菓は、一般的な「冷菓」に分類されるもの、及びフローズンヨーグルトを含む。「冷菓」は、具体的には、アイスクリーム類(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス)、氷菓を挙げることができる。
アイスクリーム類とは、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって乳固形分3.0%以上を含むもの(はっ酵乳を除く)をいう。アイスクリーム類は、含まれる乳固形分と乳脂肪分の量によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの3つに分類される。
一方、乳固形分3.0%未満のものは、前記アイスクリーム類ではなく、食品衛生法に基づく厚生省告示「食品、添加物等の規格基準」により、氷菓として規定されている。
また、フローズンヨーグルトは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令により、種類別「発酵乳」に分類される。発酵乳は「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの又はこれらを凍結したものをいう」と定められ、成分規格は、「無脂乳固形分8.0%以上、乳酸菌数又は酵母数1000万/ml以上」と規定されている。フローズンヨーグルトは、凍結した発酵乳に該当する。
本発明における冷菓は、氷菓、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、フローズンヨーグルトのいずれであってもよい。
【0009】
凍結点は、液状にした冷菓材料を雰囲気温度-25℃で冷却しながら、品温を経時的に測定し、液体が固体になる際の発熱反応により温度が下降しないポイント(凝固点)における温度である。
Brixは、屈折計(例えばATAGO社製品名RX-5000)を用い、測定温度20℃で測定した値である。3回測定した平均値をBrixの測定値とする。
密度は、試料を5℃に温度調節し、100cm3の容器に入れて、重量(単位:g)を測定し、重量g/100cm3で算出される値(単位:g/cm3)である。
【0010】
成分等の含有量の測定方法は以下の方法を用いる。
(1)水分
常圧加熱乾燥法(乾燥助剤添加法)により測定する。
(2)固形分
固形分(質量%)=100-水分(質量%)で算出する。
【0011】
(3)脂肪分・乳脂肪
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」に記載の、アイスクリーム類の乳脂肪分の定量法に準拠する方法で測定する。
具体的には、試料4gを小型ビーカーに採り、水3mLを加えてよく混ぜ合わせ、レーリッヒ管に移す。前記ビーカーは、水3mLでよく洗い、その洗液を前記レーリッヒ管に加え、振り混ぜる。次に、アンモニア水(アンモニアの25~30%水溶液、無色透明なもの)2mLを加え、静かに混合する。次に、前記レーリッヒ管を60℃の水浴中につけ、時々振り混ぜながら20分間加温する。さらに2mLエタノール(95~96%水溶液)10mLを加えてよく混ぜ合わせる。
次いで、前記レーリッヒ管にエーテル25mLを加え静かに回転し、均一の色調となったときエーテルガスを抜き、管を水平にして30秒間激しく振り混ぜる。次に石油エーテル(沸点60℃以下)25mLを加え、同様に30秒間振り混ぜて栓を緩め、上澄液が透明になるまで直立して2時間以上静置する。上澄液を、予め恒量を求めたビーカーに入れる。
前記レーリッヒ管に、上記と同様の手順で、エーテル25mL及び石油エーテル25mLを加えて混ぜ、上澄液を前記ビーカーに入れる。側管の先端を、エーテルと石油エーテルの等量混合液で洗浄して前記ビーカーに加える。
前記ビーカーを、約75℃に加熱して溶剤を揮発させ、雰囲気温度100~105℃の乾燥器中で1時間乾燥した後、秤量する。ビーカーの恒量からの増加分を脂肪分とする。
試料が乳脂肪以外の他の脂肪分を含まない場合は、上記で求めた脂肪分を乳脂肪の含有量とする。
試料が乳脂肪以外の他の脂肪分を含む場合は、上記で求めた脂肪分から他の脂肪分を差し引いた値を乳脂肪の含有量とする。
【0012】
(4)無脂乳固形分
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」に記載の、発酵乳及び乳酸菌飲料の無脂乳固形分の定量法に準拠する方法で測定する。
具体的には、試料(凍結状のものにあっては、40℃以下の温度でなるべく短時間に全部融解させたもの)約50gを精密に量り、フェノールフタレイン溶液数滴を加える。これをかき混ぜながら10%水酸化ナトリウム溶液を徐々に加えて微アルカリ性とし、メスフラスコに採る。水を加えて100mLとし、その5mLを正確に150mLのケルダール分解フラスコに採る。これに硫酸カリウム9gと硫酸銅1gの混合粉末0.2gを加え、更にフラスコの内壁を伝わらせて硫酸10mLを加える。次に、このフラスコを徐々に加熱し、亜硫酸ガスの白煙が生じたとき少し加熱を強める。泡末の大部分が消失した後、強熱し、中の液が透明な淡青色を呈し、かつ、フラスコの内壁に炭化物を認めなくなったとき加熱を止める。放冷後、注意しながら水30mLを加え、再び冷却した後フラスコを蒸留装置に連結する。この場合、200mLの吸収フラスコ中には0.05mol/L硫酸30mL及びメチルレッド溶液数滴を入れ、冷却器の下端が液中につかるようにする。
次に、ケルダール蒸留装置の漏斗から30%水酸化ナトリウム溶液40mLを入れ、水10mLで洗い込み、ピンチコックを閉じ、直ちに蒸留をはじめる。留出液が80mL~100mLの量に達したとき冷却器の下端を液面から離し、更に留出液の数mLを採る。蒸留終了後、冷却器の液に浸った部分を少量の水で洗い、その洗液を吸収フラスコ中の液に合し、これを0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。
無脂乳固形分(単位:質量%)は、次式によって計算する。
無脂乳固形分={0.0014×(A-B)}/試料の採取量(単位:g)×6.38×2.82×100
A:0.05mol/Lの硫酸30mLを中和するのに要する0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の量(単位:mL)
B:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の量(単位:mL)
標示薬:メチルレッド溶液(メチルレッド1gをエタノール50mLに溶かし、これに水を加えて100mLとし、必要があればろ過する。
(5)乳固形分
前記(3)の方法で求めた乳脂肪分と、前記(4)の方法で求めた無脂乳固形分との合計を乳固形分とする。
【0013】
<冷菓>
図1、2は冷菓の一実施形態である。
図1は斜視図、
図2は平面図である。
本実施形態の冷菓1は、平板状の冷菓本体2にスティック3が挿入されたアイスバー状の製品である。冷菓本体2は、第1の冷菓材料からなる海部4と、第2の冷菓材料からなる3個の島部5a、5b、5cとからなる。海部4及び島部5a、5b、5cは、それぞれZ方向に連続して存在する連続層であり、島部5a、5b、5cは海部4中に存在する。
以下、冷菓本体2の厚さ方向をZ方向、Z方向に垂直かつスティック3の挿入方向に平行な方向をX方向、X方向及びZ方向に垂直な方向をY方向とする。冷菓本体2は押出成形法で成形されたものであり、Z方向は押出方向に平行である。
本実施形態において、後述のトレイ上に押出成形した際に、トレイに接していた端面を他方の端面2bとする。以下、一方の端面2aを表側端面(トレイに接していた端面とは反対側の端面)、他方の端面2bを裏側端面ということもある。
【0014】
冷菓本体2の、Z方向の端面2a、2bを平面視したとき、島部5a、5b、5cはそれぞれ内方から外方へ延びつつ、回転軸Pを中心とする一回転方向(以下、Q1方向ともいう)に曲がる曲線をなしている。
本明細書において「一回転方向」とは、所定の回転軸を中心として回転する2つの回転方向(時計回り方向と反時計回り方向)のうちの一方の回転方向を意味する。
図1において、Q1方向は上から見て反時計回り方向を示す。回転軸Pの位置は特に限定されないが、冷菓本体2のX-Y平面における中央部を通ることが好ましい。3個の島部5a、5b、5cの形状は互いに同じでもよく、異なってもよい。冷菓本体2の平面形状(設計値)及び回転軸Pの位置は、後述の排出部11dの内面形状及び幹管部12bの回転軸の位置によって調整できる。
【0015】
Z方向の一方の端面2aと他方の端面2bとで、島部5a、5b、5cはそれぞれQ1方向にずれている。すなわち、島部5a、5b、5cはZ方向に対して斜めに延在する。
本明細書において、「Z方向の一方の端面と他方の端面とで島部(例えば島部5a)が特定の方向(例えばQ1方向)にずれている」とは、一方の端面における島部5aと、他方の端面における島部5aを、Z方向に垂直な1つの投影面に、Z方向から平行投影したときに、投影面における両者の位置がQ1方向にずれていることを意味する。
冷菓本体2において、海部4中の島部5a、5b、5cがZ方向に対して斜めに延在すると良好な形状安定性が得られやすい。例えば、トレイ上に押出成形する際の、海部4の流動性と島部5a、5b、5cの流動性とに差があっても、流下速度の不均一が緩和され、表側端面2aの平滑性が得られやすい。
また、第2の冷菓材料からなる連続層である島部5a、5b、5cが、Z方向に対して斜めに延在すると、第2の冷菓材料を広範囲に存在させやすい。第2の冷菓材料が広範囲に存在すると、冷菓1を喫食する際に、第2の冷菓材料の風味を広範囲で味わうことができる。また、第2の冷菓材料が広範囲に存在すると、冷菓全体に対する第2の冷菓材料の含有量を増大しやすい。
【0016】
Q1方向において、一方の端面2aから他方の端面2bに至るまでに、島部5a、5b、5cが移動した軌跡の中心角αは30~200°が好ましく、50~160°がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、島部5a、5b、5cがZ方向に対して斜めに延在することによる効果が充分に得られやすい。上限値以下であると、多数個の冷菓1を連続製造する際の、島部5a、5b、5cの形状安定性に優れる。
【0017】
端面2a、2bを平面視したとき、Q1方向において、島部5a、5b、5cのそれぞれが存在する領域の中心角βは、互いに同じでもよく、異なってもよい。
端面2a、2bの少なくとも1つにおいて、各島部5a、5b、5cの中心角βの合計は360°以上が好ましい。前記下限値以上であると、第2の冷菓材料(島部5a、5b、5c)の風味を広範囲で充分に味わうことができる。また、冷菓全体に対する第2の冷菓材料の含有量を増大しやすい。
【0018】
冷菓本体2において、海部4の体積V1と島部5a、5b、5cの総体積V2との比を表すV1:V2は、100:8~100:30が好ましい。本実施形態においてV2は3個の島部5a、5b、5cの各体積の合計である。V2の比率が上記範囲の下限値以上であると第2の冷菓材料の風味を充分に味わうことができる。上限値以下であると表側端面2aにおいて良好な平滑性が得られやすい。V1:V2は100:10~100:30がより好ましく、100:10~100:25がさらに好ましい。
【0019】
冷菓本体2の、Z方向の厚さは10~30mmが好ましい。厚さが小さい方が、表側端面2aの平滑性が不充分になりやすいが、本実施形態によれば前記平滑性を向上できる。
本実施形態を適用することによる効果が大きいという観点から、Z方向の厚さは10~25mmがより好ましい。
海部4と島部5a、5b、5cの体積の合計、すなわち冷菓本体2の体積は特に限定されないが、例えば30~120mLが好ましい。
【0020】
第1の冷菓材料及び第2の冷菓材料は特に限定されず、アイスクリーム類及び氷菓において公知の材料を使用できる。
第1の冷菓材料の凍結点は-5.0超-1.5℃以下であり、第2の冷菓材料の凍結点が-5.0℃以下である。両者の凍結点に差があると、表側端面2aの平滑性が不充分になりやすいが、本実施形態によれば前記平滑性を向上できる。本実施形態を適用することによる効果が大きいという観点からは、第1の冷菓材料の凍結点と第2の冷菓材料の凍結点の差の絶対値が0.5℃以上であることが好ましい。
【0021】
冷菓本体2を押出成形法で成形する場合、凍結する前の第2の冷菓材料の粘度が高い方が、表側端面2aの平滑性が良好になりやすい。一方、前記粘度が高すぎるとノズルから第2の冷菓材料を押出し難く、製造安定性が低下しやすい。表面の平滑性と製造安定性を両立しやすい点で、第2の冷菓材料がシュードプラスチック性(擬塑性)を有する流体であることが好ましい。具体的には、B型粘度計、ローターNo.4を使用し、測定温度5℃で測定した粘度について、回転数6rpmにおける粘度をη1、回転数30rpmにおける粘度をη2とすると、η1が18~130Pa・sであり、かつη2に対するη1の比を表すη1/η2が2~6であると好ましい。前記η1が25~100Pa・sであり、かつ前記η1/η2が2.5~5であるとより好ましい。前記η1が30~80Pa・sであり、かつ前記η1/η2が2.8~4であるとさらに好ましい。
【0022】
第2の冷菓材料は、凍結点が-5.0℃以下であるソース組成物が好ましい。ソース組成物の凍結点は-20.0~-6.0℃以下が好ましく、-17.0~-6.5℃がより好ましく、-15.0~-7.0℃がさらに好ましい。
第1の冷菓材料の凍結点とソース組成物の凍結点との差の絶対値は14℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、7℃以下がさらに好ましい。
【0023】
ソース組成物の凍結点が、上記範囲の上限値以下であると、ソース組成物特有の柔らかい組織が得られやすく、とろりとした食感が得られやすい。上記範囲の下限値以上であると、製造時の硬化工程でソース組成物の硬化不良を防止しやすい。また保存時にソース組成物だけが融解するという現象が生じ難い。ソース組成物の硬化不良や、ソース組成物だけの融解が生じるとソース組成物の染み出しが生じるなど、製品の形状や外観を損なう。
【0024】
ソース組成物は、例えば、水と、甘味料と、増粘剤及びゲル化剤からなる群から選ばれる1種以上を含む組成物が好ましい。
ソース組成物の例としては、フルーツソース、フルーツプレザーブ、カラメルソース、コーヒーソース、ヨーグルトソース、練乳、チョコレート類、蜂蜜類等が挙げられる。
ソース組成物の20℃におけるBrixは10~70が好ましく、20~65がより好ましい。上記範囲の下限値以上であるとソース組成物特有の柔らかい組織となり、とろりとした食感を味わうことができる。一方、Brixが高いほど凍結点が低く融解しやすい傾向がある。Brixが上記範囲の上限値以下であると、製造時の硬化工程でソース組成物の硬化不良を防止しやすい。また保存時にソース組成物だけが融解するという現象が生じ難い。ソース組成物の硬化不良や、ソース組成物だけの融解が生じるとソース組成物の染み出しが生じるなど、製品の形状や外観を損なう。
また、脂肪分を多く含む(例えば、脂肪分1質量%以上)ソース組成物など、Brixの測定値が安定しない材料は、Brixに代えて固形分を指標とすることができる。固形分の含有量が高いほど凍結点が低く融解しやすい傾向がある。上記Brixと同様の理由で、固形分は10~70質量%が好ましく、20~65質量%がより好ましく、25~60質量%がさらに好ましい。
【0025】
ソース組成物の密度は0.4~1.4g/cm3が好ましく、0.6~1.3g/cm3がより好ましい。密度が上記範囲の下限値以上であるとソース組成物の風味が充分に得られやすい。一方、密度が高いほど凍結点が低く融解しやすい傾向がある。密度が上限値以下であると、保存時にソース組成物だけが融解するという現象が生じ難い。
ソース組成物に空気を含有させてもよい。空気を含有させると、粘度が上昇し、保形性が高まるため、V1に対するV2の比率をより高めやすい。また食感が軽くなりやすい。
例えば、ソース組成物の凍結物のオーバーラン値(容量基準)は、40%以下が好ましく、30%以下が好ましい、ゼロでもよい。
ソース組成物に空気を含有させることによる効果が充分に得られやすい点では、ソース組成物の凍結物のオーバーラン値(容量基準)は、10~40%が好ましく、10~30%がより好ましい。
ソース組成物の凍結物のオーバーラン値は、空気を含有させる前のソース組成物の容量に対する、ソース組成物の凍結物の含有空気容量の百分率で表される。
【0026】
第1の冷菓材料は、水及び甘味料を含み凍結点が-5.0超-1.5℃以下である組成物(以下、アイス原料ミックスともいう。)の凍結物が好ましい。
アイス原料ミックスの凍結点が上記範囲の下限値以上であると、多数個の冷菓1を連続製造する際の形状安定性に優れる。上限値以下であると、後述の連続式フリーザーでフリージングする際にシリンダーが凍りつき難く、製造安定性に優れる。
【0027】
アイス原料ミックスの凍結物のオーバーラン値(容量基準)は特に限定されない。アイス原料ミックスの凍結物のオーバーラン値が低いと、表側端面2aの平滑性が不充分になりやすいが、本実施形態によれば前記平滑性を向上できる。本実施形態を適用することによる効果が大きいという観点から、アイス原料ミックスの凍結物のオーバーラン値は120%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。オーバーラン値の下限はゼロでもよい。
第1の冷菓材料がアイス原料ミックスの凍結物であり、第2の冷菓材料がソース組成物である場合、ソース組成物との食感の差が充分に得られやすい点からは、アイス原料ミックスのオーバーラン値はソース組成物のオーバーラン値より高く、その差の絶対値は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。
アイス原料ミックスの凍結物のオーバーラン値は、空気を含有させる前のアイス原料ミックスの容量に対する、アイス原料ミックスの凍結物の含有空気容量の百分率で表される。例えばオーバーラン値が100%の場合、アイス原料ミックスの凍結物は、アイス原料ミックスと同容量の空気を含むことを意味する。
【0028】
アイス原料ミックスに含まれる甘味料としては、砂糖(上白糖、グラニュー糖、三温糖、黒砂糖)、水あめ、粉飴、砂糖混合異性化糖、異性化糖、乳糖、ぶどう糖、麦芽糖、果糖、転化糖、還元麦芽水あめ、蜂蜜、トレハロース、パラチノース、D-キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチロール、エリスリトール等の糖アルコール類;サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料;等が挙げられる。甘味料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに乳成分を含んでもよい。乳成分の例としては生乳、牛乳、クリーム、バター、脱脂粉乳、脱脂濃縮乳、練乳、チーズ、ホエイ、ホエイ蛋白濃縮物等の乳製品が挙げられる。乳成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、卵成分、植物油脂、食物繊維、安定剤、乳化剤、果汁、食塩、酸味料、香料、着色料、酒類、種実類、抹茶、コーヒー、紅茶、チョコ類、その他の食品添加剤を含んでもよい。
アイス原料ミックスとして、例えば、アイス原料ミックスの総質量に対して、甘味料の含有量が1~40質量%、乳脂肪の含有量が0~17質量%、無脂乳固形分が0~13質量%、乳固形分が0~30質量%、固形分が5~55質量%である組成物が挙げられる。
【0029】
本実施形態の冷菓は、表側端面2aの平滑性が良好であることが好ましい。例えば、
図9に例示するように、冷菓本体2の表側端面2aが上側となるように、X-Y平面上に冷菓1を置き、Z方向における高さが最も高い位置と最も低い位置における高低差Gを測定したとき、高低差Gが0~4.0mm未満であることが好ましく、0~3.0mm未満であることがより好ましく、0~2.0mm未満であることがさらに好ましい。
【0030】
<製造装置>
図3、4は、本実施形態の冷菓の製造に好適な装置の一実施形態であり、
図3は正面図、
図4は側面図である。本実施形態の装置は、押出成形法で
図1、2に示す冷菓を製造する押出し成形装置である。
本実施形態の装置は、概略、冷菓材料の未硬化物を下方に向けて排出する押出部10と、押出部10から排出された未硬化物を押出方向(Z方向)に対して垂直に切断する切断部20を備える。切断部20では、例えばワイヤ等で未硬化物を切断して、平板状に成形する。切断する直前の未硬化物にスティック3を刺すスティック挿入装置(図示略)が設けられており、アイスバー状の成形物22がトレイ30上に自然落下する。
【0031】
押出部10は、第1のノズル11と、第1のノズル11の内部に設けられた第2のノズル12を有する。
第1のノズル11は、上側から順に、第1の供給部11aと、円筒状の主筒部11bと、縮径部11cと、排出部11dを有する。第1のノズル11の外側にエアノズル11eが設けられている。
第1の供給部11aは、第1のノズル11と第2のノズル12との間の空間に第1の冷菓材料を供給する。排出部11dは筒状であり、その内面形状は得ようとする成形物22の平面形状(設計値)と同じである。
以下において、径方向は特に断りが無い限り、主筒部11bの半径方向である。
【0032】
第2のノズル12は、上側から順に、第2の供給部12aと、幹管部12bを有する。
第2の供給部12aは、第2のノズル12内に第2の冷菓材料を供給する。
幹管部12bは、主筒部11bと同軸であり、主筒部11bの中心軸を回転軸Pとして回転する。幹管部12bは、径方向外方に突出する枝管部12dを有し、枝管部12dより下側に先端部12cを有する。先端部12cは、下方に向かって縮径する円錐状である。
Z方向において、枝管部12dは主筒部11bと縮径部11cとの境界近傍に位置し、幹管部12bの先端は、縮径部11cと排出部11dとの境界近傍に位置する。
【0033】
枝管部12dは、幹管部12bの回転方向(以下、Q2方向ともいう)において等間隔に3個設けられている。
図3において、Q2方向は上から見て時計回り方向を示す。3個の枝管部12dは同一のX-Y平面上に存在する。
各枝管部12dの周面のうち、幹管部12bがQ2方向に回転したときに進行方向となる側とは反対側の面に吐出孔12eが設けられている。
吐出孔12eの形状は、幹管部12bから遠ざかるにしたがって、開口面積が大きくなる形状である。例えば
図5に示すようなスリット状でもよく、
図6に示すような開口径が異なる複数の孔であってもよい。
【0034】
図5に例示するように、吐出孔12eがスリット状である場合、Z方向におけるスリット幅wは、幹管部12bから遠ざかるにしたがって漸次拡大する。1個の吐出孔12eにおけるスリット幅wの最大値と最小値との差は0.5~8mmが好ましく、1~5mmがより好ましい。上記範囲内であると、主筒部11bの径方向における吐出量の均一性に優れる。
例えば、スリット幅wの最大値は1~9mmが好ましく、2~6mmがより好ましい。スリットの形状は特に限定されない。例えば、三角形、台形、扇形等が挙げられる。これらの形状の角が丸みを帯びていてもよい。
【0035】
図6に例示するように、吐出孔12eが複数の孔である場合、最も大きい孔の開口面積と、最も小さい開口面積との差は5~80mm
2が好ましく、10~60mm
2がより好ましい。上記範囲内であると、主筒部11bの径方向における吐出量の均一性に優れる。
例えば、最も大きい孔の開口面積10~80mm
2が好ましく、20~70mm
2がより好ましい。孔の形状は特に限定されない。例えば円形、楕円形、又は卵形等が挙げられる。
【0036】
回転軸Pから径方向外方へ向かう方向において、吐出孔12eが存在する位置は、回転軸Pから主筒部11bの内壁までの距離Dの20~90%の領域内が好ましい。距離Dの0%は回転軸Pの位置、100%は主筒部11bの内壁の位置である。より好ましくは23~88%の領域内であり、さらに好ましくは25~85%の領域内である。吐出孔12eが前記領域内に存在すると、主筒部11bの径方向における吐出量の均一性に優れる。
本実施形態において、3個の枝管部12dにそれぞれ存在する吐出孔12eの、位置及び形状は互いに同じである。
【0037】
エアノズル11eは、必要に応じて、第1のノズル11の外面に気体を吹き付ける。本実施形態において、エアノズル11eは、排出部11dの下端(排出口)の近傍と、主筒部11bの外側の2箇所に設けられている。
エアノズル11eは、管状のエアノズル本体に、孔状の吹出口11fが複数形成されている。エアノズル本体は押出ノズル11の周方向に沿って、押出ノズル11から離間して設けられている。吹出口11fは、押出ノズル11と向かい合う面に形成されている。エアノズル本体の中心軸はX-Y平面上に存在し、複数の吹出口11fは、X-Y平面に沿って設けられている。
排出口近傍のエアノズル11eは、排出部11dの全周のうち、未硬化物21にスティック3を刺すための部位を除く領域に設けられている。
主筒部11bの外側のエアノズル11eは、主筒部11bの全周に気体が接触するように、設けられている。
【0038】
<製造方法>
本実施形態の装置を用いて冷菓1を製造するには、第1のノズル11に第1の冷菓材料の未硬化物(以下、第1の未硬化物ともいう)を連続的に供給し、第2のノズル12に第2の冷菓材料の未硬化物(以下、第2の未硬化物ともいう)を連続的に供給する。第1のノズル11から第1の未硬化物を押出しつつ、第2のノズル12をQ2方向に回転させながら、吐出孔12eから第2の未硬化物を押出す。トレイ30はY方向に所定の速度で移動させる。
第1のノズル11内では、第1の未硬化物が、主筒部11bから縮径部11cを経て排出部11dから押出される途中で、第1の未硬化物の内部に、第2のノズル12の吐出孔12eから押出された第2の未硬化物が注入される。排出部11dからは、第1の未硬化物と第2の未硬化物とが合一した複合未硬化物がZ方向に排出される。
所定量の複合未硬化物が流下した時点で、切断部20で切断すると、平板状の成形物22がトレイ30上に自然落下する。切断直前の複合未硬化物に対してX方向にスティック3を刺す。これら操作を繰り返して、多数個の成形物22を連続製造する。
得られた成形物22を冷却し硬化させて冷菓1を得る。硬化は常法で行うことができる。例えば、成形物22を、-45~-30℃で20分間~1時間保持する方法で硬化させる。
【0039】
第1の未硬化物を、第1のノズル11に供給する際の供給温度は、第1の冷菓材料の凍結点より低い温度とする。第1の冷菓材料の凍結点と第1の未硬化物の供給温度との温度差の絶対値は1℃以上が好ましく、2℃以上がより好ましく、3℃以上がさらに好ましい。この温度差の絶対値が前記下限値以上であると、排出部11dから排出される複合未硬化物の保形性を高めて、表側端面2aの平滑性を高めやすい。一方、この温度差の絶対値は、10℃以下が好ましく、8℃以下がより好ましく、6℃以下がさらに好ましい。前記上限値以下であると、第1の未硬化物中に脂肪球が形成され難く、成形物22の形状安定性に優れる。第1の未硬化物中に脂肪球が形成されると、排出部11dから排出された複合未硬化物を切断する際に、切断治具(ワイヤ等)が脂肪球に当たり、成形物22の形状が不安定になりやすい。
【0040】
第2の未硬化物を、第2のノズル12に供給する際の供給温度は、第2の冷菓材料の凍結点より高い温度とする。第2の冷菓材料の凍結点と第2の未硬化物の供給温度との温度差の絶対値は5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましい。この温度差の絶対値が前記下限値以上であると、枝管部12dから押出された第2の未硬化物が、第1の未硬化物中に広がりやすい。
一方、第2の未硬化物の供給温度の上限は、表側端面2aの良好な平滑性が得られやすい点で、10℃以下が好ましく、8℃以下がより好ましく、5℃以下がさらに好ましく、0℃以下が特に好ましい。
【0041】
第1の冷菓材料がアイス原料ミックスの凍結物である場合、第1の未硬化物として、アイス原料ミックスの部分凍結品を第1のノズル11に供給することが好ましい。アイス原料ミックスの部分凍結品は、例えば
図7に示す連続式フリーザーを用いて調製できる。
図7は連続式フリーザーの概略構成図であり(a)は縦断面図、(b)は(a)中のB-B線に沿う横断面図である。
シリンダー51は、内部を流れるアイス原料ミックス中の水分を凍結させる。ダッシャー52は、シリンダー51の内壁上の付着物を掻き取りながらシリンダー51内を撹拌する。ダッシャー52の内部には同軸のビーター53が設けられている。ダッシャー52の外面上に設けられたブレード52aは、シリンダー51の内壁上の付着物を掻き取る。シリンダー51の外側の冷媒ジャケット54は、シリンダー51の内容物を冷却する。
【0042】
シリンダー51の一端部から、シリンダー51内に、アイス原料ミックスと空気の混合物を供給すると、該混合物が他端部に向かって流れる。ダッシャー52は略円筒形で貫通穴が設けられており、ダッシャー52の内側と外側とは連通している。
シリンダー51の外側は冷媒が循環しており、該冷媒がシリンダー51内のアイス原料ミックスと熱交換することにより、アイス原料ミックスに凍結が生じ、シリンダー51の内壁上に凍結物(付着物)の層が形成される。該凍結物(付着物)はブレード52aによって掻き取られて細片となり、ダッシャー52およびビーター53によって、未凍結のアイス原料ミックスおよび空気とともに均一に撹拌され、これらの均一な混合物である部分凍結品となる。
【0043】
冷菓における海部4の体積V1と島部5a、5b、5cの総体積V2の比(V1:V2)は、単位時間当たりに、第1のノズル11から押出される第1の未硬化物の体積V1と、第2のノズル12の吐出孔12eから押出される第2の未硬化物の総体積V2との比(V1:V2)と同じになる。本実施形態において、V2は3個の吐出孔12eから押出される第2の未硬化物の合計である。
【0044】
冷菓本体2の一方の端面2aから他方の端面2bに至るまでに、島部5a、5b、5cがQ1方向に移動した軌跡の中心角αは、第2のノズル12の回転数によって調整できる。表側端面2aにおいて、島部5a、5b、5cが内方から外方へ延びながら曲がる方向Q1は、第2のノズル12の回転方向Q2と逆向きである。
【0045】
成形物22のZ方向の厚さは、排出部11dから排出される複合未硬化物21の流下速度と、切断部20のカットスピードによって調整できる。
例えば、冷菓本体2の厚さが10~30mmである冷菓1を連続製造する場合、良好な製造安定性が得られやすい点で、1分間に得られる成形物22の数で表される成形速度は、100~200個/分が好ましく、120~200個/分がより好ましい。成形速度が前記範囲の下限値以上であると、トレイ30上に落下した成形物22の形状が安定しやすい。例えば、第2の冷菓材料がソース組成物の場合、排出部11dから排出された複合未硬化物21が切断されるまでの間の、第2の未硬化物と第1の未硬化物との流下量の差が大きくなり難く、成形物22の形状が安定しやすい。
一方、成形速度が前記範囲の上限値以下であると、複合未硬化物21を切断する速さが速すぎず、切断された成形物22が直下に落ちやすいため、トレイ30上に落下した成形物22の形状が安定しやすい。
【0046】
冷菓本体2の端面2a、2bにおいて、島部5a、5b、5cのそれぞれが存在する領域の中心角βは、吐出孔12eの形状、第2の未硬化物の吐出速度、第2のノズル12の回転数、第1の未硬化物中に押出された第2の未硬化物の広がりやすさによって、調整できる。
例えば、第2のノズル12の回転数を上げると、第2の未硬化物が広がりやすくなり、中心角βが増大する傾向がある。
【0047】
成形物22の形状安定性が不充分である場合は、エアノズル11eから、第1のノズル11の外面へ気体を吹き付ける。例えば、第1のノズル11の外面へ気体を吹き付けることによって、トレイ30上に落下した成形物22のゆがみを改善又は防止できる。また、排出部11dから排出される複合未硬化物21において、第1の未硬化物の流下速度より、第2の未硬化物の流下速度が高い場合は、エアノズル11eから、第1のノズル11の外面へ気体を吹き付けることによって、表側端面2aの平滑性を向上できる。
気体は、複合未硬化物21における第1の未硬化物の温度より高い温度の気体を用いる。例えば空気を使用できる。複合未硬化物21における第1の未硬化物の温度として、トレイ30上に落下した直後の成形物22における第1の未硬化物の温度を使用できる。
【0048】
第1のノズル11の外面に前記気体を吹き付けると、第1のノズル11の外面温度が上昇する。これによって、第1のノズル11内の第1の未硬化物は、第1のノズル11の内面と接触している部分が融解して流下速度が高まる。こうして第1の未硬化物の流下速度を調整することにより、成形物22の形状安定性を向上できる。例えば、第1の未硬化物の流下速度と第2の未硬化物の流下速度との差を低減して、表側端面2aの平滑性を向上できる。
エアノズル11eから吹き出す気体の温度と、複合未硬化物21における第1の未硬化物の温度との温度差の絶対値は5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましい。この温度差の絶対値が前記下限値以上であると、表側端面2aの平滑性の向上効果に優れる。
前記気体の温度が高すぎると、第1の未硬化物の氷結晶が融解して再結晶することによって、氷結晶が大きくなり食感のなめらかさが低下したり、第1の未硬化物が過度に融解して表側端面2aの平滑性が失われたりするため、これらの不都合が生じない範囲が好ましい。例えば、前記気体の温度は70℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、30℃以下がさらに好ましい。
複数のエアノズル11eを使用する場合、それぞれのエアノズル11eから吹き出す気体の温度は互いに同じであってもよく、異なってもよい。
【0049】
第1のノズル11の外面において、気体を吹き付ける領域の位置及び大きさは特に限定されず、所望の形状安定性が得られるように設定できる。例えば、冷菓本体2の表側端面2aの平滑性が向上するように設定できる。
第1のノズル11の外面温度を局所的に上昇させると、外面温度が連続的に変化する領域ができる。本実施形態では、第1のノズル11の外面において、気体を吹き付けた部位の外面温度が最高温度Tとなり、そこから気体を吹き付けていない領域に向かって、外面温度が連続的に低下する。
第1のノズル11の外面温度の最も低い温度(最低温度)は0℃以下とする。したがって、第1のノズル11の外面には、押出ノズルの外面温度が少なくとも0~T℃の範囲内で連続的に変化している領域が存在し、この状態で、第1のノズル11から複合未硬化物21を排出することが好ましい。
前記最高温度Tは18℃以下が好ましく、14℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましい。前記最高温度Tは0℃超であり、1℃以上が好ましく、3℃以上がより好ましく、6℃以上がさらに好ましい。
【0050】
押出ノズル11の外面への気体の吹き付けは、連続的でもよく、断続的でもよい。押出ノズル11の周方向の一部に気体を吹き付けてもよく、前記周方向の全部に気体を吹き付けてもよい。気体を吹き付ける位置を経時的に変化させてもよい。
例えば、冷菓1を連続製造する際、経時的に成形物22のゆがみが大きくなる場合には、連続製造の途中で、気体を吹き付ける位置を変えることによって形状不良を改善してもよい。
【0051】
<変形例>
本実施形態は、3個の枝管部12dの長さが互いに同じであり、各枝管部12dに設けた吐出孔12eの形状が互いに同じであるが、これに限らない。
また本実施形態は、枝管部12dの、幹管部12bの回転方向(進行方向)とは反対側の面に、吐出孔12eを設けたが、枝管部12dの先端に開口を設けてもよい。
例えば、
図8に示すように、3個の枝管部12dの先端をそれぞれ開口して吐出孔12eとし、径方向外方に向かうにしたがって吐出孔12eの開口面積が大きくなるように、3個の枝管部12dの長さ及び吐出孔12eの大きさを設定してもよい。
【0052】
本実施形態において、枝管部12dは径方向外方に突出しているが、枝管部12dの基端から先端に向かう方向(突出方向)はこれに限らない。例えば、枝管部12dの長さ方向が、径方向に対して斜め上方向又は斜め下方向であってもよい。枝管部12dの長さ方向と径方向とのなす角度の絶対値は0~45°が好ましい。
本実施形態において、幹管部12bの先端部12cの形状は下方に向かって縮径する円錐状であるが、これに限らない。例えば下方に向かって縮径する三角錐状又は四角錐状でもよい。また枝管部12dより下側の先端部12cは設けなくてもよい。枝管部12dの下端が平坦面でもよい。
【0053】
本実施形態は、第2のノズル12の枝管部12dの数及び冷菓本体2における島部5a、5b、5cの数が3個であるが、これに限らない。第2の冷菓材料(島部)を広範囲にバランス良く存在させやすい点で2~4個が好ましく、3個がより好ましい。
本実施形態は、第1のノズル11が縮径部11cを有するが、縮径部11cは必要に応じて設ければよく、縮径部11cを有しない形態でもよい。縮径部11cを設けると、第1のノズル11に第1の未硬化物を供給する速度より、排出部11dから第1の未硬化物が排出される速度の方が高くなる。
【0054】
本実施形態では、切断部20において、複合未硬化物21をZ方向(押出方向)に対して垂直に切断したが、押出方向に対して交差する方向に切断して成形物22を落下させることができればよく、必ずしも垂直でなくてよい。例えば、Y方向に垂直な面(X-Z平面)と切断面とがなす角度が90±30°、好ましくは90±20°、より好ましくは90±10°、さらに好ましくは90±5°の範囲内であってもよい。
本実施形態において、成形物22を硬化させて冷菓本体2を形成した後、さらに冷菓本体2の外面上に、公知の方法でコーティング層を設けてもよい。
本実施形態では、スティック3を有するアイスバー状の冷菓を製造したが、平板状の冷菓本体を有する冷菓であれば同様に製造できる。例えば、平板状の冷菓本体をモナカ等の可食容器に収容した形態の冷菓、平板状の冷菓本体をビスケット等の板状の食品で挟んだ形態の冷菓等が挙げられる。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、含有量の単位である「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
【0056】
<測定方法・評価方法>
[ソース組成物の粘度]
B型粘度計にて、No.4ローターを使用し、測定温度(試料温度)5℃、所定の回転数で測定し、ローターの回転開始から30秒後の値(単位:Pa・s)を粘度の測定値とした。
【0057】
[ソース組成物のBrix]
デジタル屈折計(アタゴ社製品名:ATAGO RX-5000i-Plus)を用い、測定条件20℃でソース組成物のBrixを測定した。3回測定して平均値を測定結果とした。
[ソース組成物の密度]
5℃に温度調節したソース組成物を、100cm3の容器に入れて重量を測定し、密度を求めた。
[複合未硬化物における第1の未硬化物の温度の測定方法]
トレイ上に落下した直後の成形物について、接触式温度計で、海部の温度を任意の2箇所で測定し、その平均値を、複合未硬化物における第1の未硬化物の温度とした。
【0058】
[表側端面の平滑性の評価方法]
図9に例示するように、冷菓本体2の表側端面2aが上側となるように、X-Y平面上に冷菓1を置き、Z方向における高さが最も高い位置と最も低い位置における高低差Gを測定した。連続製造した10個の冷菓1について高低差Gを測定し、その平均値を測定結果とした。
下記の基準で表側端面の平滑性を評価した。
A:高低差Gが2.0mm未満。
B:高低差Gが2.0mm以上、3.0mm未満。
C:高低差Gが3.0mm以上、4.0mm未満。
D:高低差Gが4.0mm以上。
【0059】
[スティックの平行性の評価方法]
硬化工程の後、トレイ上の冷菓を、スティックを把持して持ち上げる装置によってトレイから引き剥がした際、
図10に例示するように、スティック3が冷菓本体2のX-Y平面に対して斜めに挿入されていると、スティック3を把持することができず、冷菓1を持ち上げることができない。
トレイ上の320個の冷菓を持ち上げる操作を連続的に行ったとき、持ち上げられずにトレイ上に残った冷菓の個数を、製造不良数とした。
下記の基準でスティックの平行性を評価した。
A:製造不良数が2個以下。
B:製造不良数が3個以上7個以下。
C:製造不良数が8個以上。
【0060】
<装置>
以下の例では、
図3に示す製造装置を用いた。エアノズル11eは排出部11dの下端近傍の外側と、主筒部11bの外側の2箇所に設けた。
排出部11dの下端から、供給部11aの上端までの高さh0は340mmであった。
排出部11dの下端から、主筒部11bの半分の位置までの高さ(温度制御領域の上端までの高さ)h1は236mmであった。
温度制御領域の上端までの高さh1(=236mm)を100%とするとき、
排出部11dの下端から、主筒部11bの外側のエアノズル11eまでの距離h2は53.6%、
排出部11dの下端から、縮径部11cと主筒部11bとの境界までの高さh3は45.5%、
排出部11dの下端から、排出部11dと縮径部11cとの境界までの高さh4は31.3%、
排出部11dの下端から、下端近傍のエアノズル11eまでの高さh5は11.0%であった。
第2のノズル12の吐出孔12eはスリット状であり、開口位置は、回転軸Pから主筒部11bの内壁までの距離Dの25.5~72.3%であった。スリット幅wの最大値は2.5mm、最小値は1.5mmであった。
【0061】
<製造条件>
下記の試験例において、下記の製造条件は共通とした。
冷菓本体2の平面形状(設計値):長径92mm、短径51mmの略楕円形。
冷菓本体2の厚さ(設計値):20mm(冷菓本体2の外周部における厚さ)。
冷菓本体2の体積(設計値):74.2mL。
中心角α(設計値):158.2°。
成形速度(1分間に得られる成形物の数):130個/分。
【0062】
<原料>
表1の配合で使用した原料は以下の通りである。
[アイスミックス]
・クリーム (乳脂肪45%):森永乳業株式会社製。乳脂肪分45.0質量%、無脂乳固形分4.5質量%、固形分49.5質量%。
・脱脂濃縮乳(無脂乳固形分35%):森永乳業株式会社製。乳脂肪分0.4質量%、無脂乳固形分34.6質量%、固形分35.0質量%。
・グラニュー糖:ビートグラニュー糖、北海道糖業社製。
・水あめ(固形分65%):固形分65質量%、日本コーンスターチ社製。
・加糖凍結卵黄:脂肪分22.30質量%、固形分55.9質量%、三州食品社製。
・乳化安定剤:増粘多糖類50.0質量%、グリセリン脂肪酸エステル50.0質量%、太陽化学社製。
・安定剤:増粘多糖類100.0質量%、太陽化学社製。
・乳化剤:グリセリン脂肪酸エステル100.0質量%、太陽化学社製。
・イチゴ濃縮果汁:磐田物産社製。
・色素:野菜色素100.0質量%、三栄源エフエフアイ社製。
・ストロベリーピューレ:加糖ストロベリーピューレ、太陽化学社製。
・香料:ストロベリー香料、長谷川香料社製。
【0063】
[試験例1]
第1の冷菓材料は、表1に示すアイス原料ミックス(配合A)の凍結物とした。配合Aの原料を、混合溶解し、加熱殺菌し、均質化し、2~6℃に温度調節して連続式フリーザーに連続的に供給した。連続式フリーザーから排出される部分凍結品を、第1のノズル11に連続的に供給した。部分凍結品の排出温度(ノズルへの供給温度)は、設定値-5.9℃、実測値-6.2~-5.7℃であり、オーバーランは設定値35%、実測値32~38%であった。
部分凍結品のオーバーランは以下の式により求めた。
{(アイス原料ミックスの密度/部分凍結物の密度)-1}×100=オーバーラン(単位:%)
アイス原料ミックスの密度は、5℃に温度調整したアイスミックスを100cm3の容器に入れて重量を測定し、密度を求めた。
部分凍結物の密度は、フリーザーから排出された部分凍結物を100cm3の容器に入れて重量を測定し、密度を求めた。
【0064】
第2の冷菓材料は、表2、3に示すソース組成物(配合S1~S17)を用いた。各配合の原料を、混合溶解し、加熱殺菌し、3~8℃(設定値5℃)に温度調節して、第2のノズル12に連続的に供給した。ソース組成物のオーバーランは0%である。
上記の方法でソース組成物の粘度を測定した。回転数6、12、30、60rpmにおける粘度(単位:Pa・s)をそれぞれ測定した。回転数30rpmにおける粘度η2に対する、回転数6rpmにおける粘度η1の比であるη1/η2を求めた。結果を表2、3に示す。
配合S1~S10の粘度の測定結果を
図11のグラフに示す。
図11において横軸は回転数、縦軸は粘度である。
【0065】
本例では、冷菓本体2において、アイス原料ミックスの凍結物(海部4)の体積V1と、ソース組成物(島部5a、5b、5c)の総体積V2との比を表すV1:V2が100:7(設計値)となるように、単位時間当たりに、第1のノズル11から押出されるアイス原料ミックスの部分凍結品の体積V1と、3個の吐出孔12eから押出されるソース組成物の総体積V2との比を設定した。
【0066】
アイス原料ミックスの部分凍結品と、未硬化のソース組成物とが合一した複合未硬化物を、排出部から排出し、排出方向に垂直に切断して、成形物22をトレイ30上に落下させた。切断する直前の複合未硬化物にスティック3を刺した。
トレイ30上の成形物22を、硬化工程で-42℃~-35℃に30~31分に保持して硬化させた後、スティック3を把持して持ち上げる装置によってトレイ30から引き剥がし、アイスバー状の冷菓1を得た。
【0067】
冷菓の製造中、h5=11.0%の位置にあるエアノズル11eから第1のノズル11の排出部11dの外面に気体を吹き付けた。気体は11~22℃の空気を用いた。
複合未硬化物における第1の未硬化物(アイス原料ミックスの部分凍結品)の温度は-6.2~-5.5℃の範囲内であった。
ソース組成物の配合(S1~S17)を変えて冷菓を製造した。製造開始から1時間後にトレイ30上に押出成形された冷菓について、表側端面の平滑性、及びスティックの平行性を上記の方法で評価した。結果を表4~7に示す(以下、同様)。
【0068】
[試験例2~6]
表4~7に示すように、V1:V2の体積比を100:9~17の範囲で変更したほかは、試験例1と同様にして冷菓を製造し、評価した。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
試験例1~6のいずれにおいても、
図1に示すように、平板状で、アイス原料ミックスの凍結物(海部4)中に、ソース組成物からなる3つの島部5a、5b、5cがZ方向に対して斜めに延在する冷菓が得られた。得られた冷菓のZ方向の端面2a、2bを平面視したとき、各島部5a、5b、5cの形状は、内方から外方へ延びつつ、回転軸Pを中心とするQ1方向に曲がる曲線をなしており、表側端面2aと裏側端面2bとで、各島部5a、5b、5cはそれぞれQ1方向にずれていた。いずれの冷菓においても、Q1方向において島部5a、5b、5cのそれぞれが存在する領域の中心角βは、3個の島部5a、5b、5cのいずれも120°以上であり、3個の島部5a、5b、5cの中心角βの合計は360°以上であった。
また、いずれの試験例においても、第2のノズル12からソース組成物は途切れることなくスムーズに押し出され、製造安定性は良好であった。
【0077】
第2の冷菓材料の凍結点が-5.0℃以下である配合S3~S17は、第2の冷菓材料の凍結点が-5.0℃を超える配合S1、2に比べて、第1の冷菓材料と第2の冷菓材料との風味・食感差を認知することができるという点で優れていた。また、第2の冷菓材料が第1の冷菓材料によって第2のノズル12の中で冷却されたときに、第2の冷菓材料内の水分が部分凍結し難い点でも優れていた。第2のノズル12内の第2の冷菓材料中で生じた氷が、吐出孔12eの一部を塞いてしまうと、島部の形状が不安定になり、島部が海部全体に広がりにくくなる。
試験例1~6を比べると、V1に対するV2の比率が高いほど、表側端面の平滑性及びスティックの平行性が低下する傾向があった。V2の比率が高い条件であっても、ソース組成物の物性を変更することにより、表側端面の平滑性及びスティックの平行性を改善できた。特に、測定温度5℃におけるη1が高く、かつη1/η2が高いソース組成物は改善効果が高かった。
【0078】
[製造例1]
第1の冷菓材料をチョコアイスクリームの凍結物(乳脂肪9.1質量%、無脂乳固形分7.9質量%、固形分37.6質量%、凍結点-2.6℃)に変更し、ソース組成物を生チョコソース(不二製油社製、脂肪29.6質量%、固形分70.1質量%)に変更し、下記の条件で冷菓を製造した。ソース組成物の凍結点は-12.2℃、Brixは60.4°、密度は1.24g/cm3、η1は113.2Pa・s、η1/η2は5.05であった。
それ以外の製造条件は試験例2と同様とした。表側端面の平滑性の評価はAであり、かつスティックの平行性の評価はAであった。
得られた冷菓において、3個の島部5a、5b、5cの中心角βはそれぞれ約60°、約170°、約290°であり、3個の島部5a、5b、5cの中心角βの合計は約520°であった。
また、連続製造したときに、第2のノズル12からソース組成物が途切れたり、途切れなかったりした。
【0079】
[製造例2]
第1の冷菓材料をチョコアイスクリームの凍結物(乳脂肪9.9質量%、無脂乳固形分8.6質量%、固形分38.7質量%、凍結点-2.9℃)に変更し、ソース組成物をチョコソース(日本ボーチフレーバー社製、脂肪分6.0質量%、固形分60.3質量%)に変更し、下記の条件で冷菓を製造した。ソース組成物の凍結点は-13.0℃、Brixは58.1°、密度が1.23g/cm3、η1は27.6Pa・s、η1/η2は2.35であった。
それ以外の製造条件は試験例2と同様とした。表側端面の平滑性の評価はAであり、かつスティックの平行性の評価はAであった。
得られた冷菓において、3個の島部5a、5b、5cの中心角βはそれぞれ約150°、約190°、約250°であり、3個の島部5a、5b、5cの中心角βの合計は約590°であった。
また、連続製造したときに、第2のノズル12からソース組成物が途切れたり、途切れなかったりした。
【0080】
[製造例3]
第1の冷菓材料は、表1に示すアイス原料ミックス(配合A)の凍結物とした。配合Aの原料を、混合溶解し、加熱殺菌し、均質化し、2~6℃に温度調節して連続式フリーザーに連続的に供給した。連続式フリーザーから排出される部分凍結品を、第1のノズル11に連続的に供給した。部分凍結品の排出温度(ノズルへの供給温度)は、設定値-5.9℃、実測値-6.2~-5.7℃であり、オーバーランは設定値35%、実測値32~38%であった。
第2の冷菓材料は、表2に示すソース組成物(配合S5)を用いた。配合S5の原料を、混合溶解し、加熱殺菌し、10℃以下に冷却した。2~6℃に温度調節して連続フリーザーに連続的に供給した。連続フリーザーから排出されるソース組成物のオーバーランは設定値15%、実測値12%~18%であった。-4~-6℃に温度調節して、第2のノズル12に連続的に供給した。オーバーラン15%、-5℃のソース組成物のη1は36.0Pa・s、η1/η2は3.27であった。
それ以外の製造条件は試験例5、6と同様とした。試験例5、6のいずれにおいても表側端面の平滑性の評価はAであり、かつスティックの平行性の評価はAであった。
得られた冷菓において、3個の島部5a、5b、5cの中心角βはそれぞれ約160°、約200°、約200°であり、3個の島部5a、5b、5cの中心角βの合計は約560°であった。
第2のノズル12からソース組成物は途切れることなくスムーズに押し出され、製造安定性は良好であった。
【符号の説明】
【0081】
1 冷菓
2 冷菓本体
2a 表側端面
2b 裏側端面
3 スティック
4 海部
5a、5b、5c 島部
10 押出部
11 第1のノズル
11a 第1の供給部
11b 主筒部
11c 縮径部
11d 排出部
11e エアノズル
11f 吹出口
12 第2のノズル
12a 第2の供給部
12b 幹管部
12c 先端部
12d 枝管部
12e 吐出孔
20 切断部
21 複合未硬化物
22 成形物
30 トレイ
51 シリンダー
52 ブレード付きダッシャー
52a ブレード
53 ビーター
54 冷媒ジャケット