IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピスセミコンダクタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置 図1
  • 特許-半導体装置 図2
  • 特許-半導体装置 図3
  • 特許-半導体装置 図4
  • 特許-半導体装置 図5
  • 特許-半導体装置 図6
  • 特許-半導体装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240816BHJP
   G06F 15/78 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G06F11/07 157
G06F15/78 516
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020065274
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163275
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 博次
【審査官】児玉 崇晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-003711(JP,A)
【文献】特開2017-037606(JP,A)
【文献】特開2010-250581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
G06F 15/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から送られた起動信号を契機として所定の処理を実行し前記所定の処理の完了後に完了信号を出力する機能部と、
前記起動信号および前記完了信号に基づいて前記所定の処理における第1の異常を監視する第1の計時部と、
前記起動信号を分岐して前記機能部および第1の計時部に送る第1の分岐部、および前記完了信号を分岐して前記第1の計時部および前記外部装置に送る第2の分岐部を備えた分岐部対と、
前記第1の分岐部の後段に配置されるとともに前記起動信号を前記機能部に振り分ける第1のセレクタと、
前記第1の分岐部の後段に配置されるとともに前記起動信号を前記第1の計時部に振り分ける第2のセレクタと、を含む
半導体装置。
【請求項2】
記第2の分岐部の後段に配置されるとともに前記完了信号を前記計時部に振り分ける第3のセレクタと、
前記第2の分岐部の後段に配置されるとともに前記完了信号を前記外部装置に振り分ける第4のセレクタと、をさらに含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記機能部は複数の前記所定の処理を実行し、
前記外部装置は、複数の前記所定の処理の実行手順を制御する
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記機能部は複数の前記機能部を含み、
前記分岐部対は、複数の前記機能部の各々と対応する複数の前記分岐部対を含み、
前記起動信号が複数の前記機能部の各々および前記第1の計時部に送られ、複数の前記機能部の各々からの完了信号が前記第1の計時部および外部装置に送られる
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記外部装置は複数の前記機能部が実行する複数の前記所定の処理の実行手順を制御する
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
外部装置から送られた起動信号を契機として所定の処理を実行し前記所定の処理の完了後に完了信号を出力する機能部と、
前記起動信号および前記完了信号に基づいて前記所定の処理における第1の異常を監視する第1の計時部と、
前記起動信号を分岐して前記機能部および第1の計時部に送る第1の分岐部、および前記完了信号を分岐して前記第1の計時部および前記外部装置に送る第2の分岐部を備えた分岐部対と、
前記起動信号に基づいて前記所定の処理を監視する少なくとも1つの第2の計時部と、を含み、
前記第2の計時部は前記所定の処理における前記第1の異常と異なる第2の異常の監視を行い、
前記第2の計時部は、前記所定の処理の待ち時間を開始させる前記起動信号に基づき前記待ち時間の計時が終了したことを示す信号を出力し、又は、前記所定の処理全体の完了を示す前記完了信号を受け取ることによって終了した計時時間が閾値時間を越えた場合に前記完了信号を出力する
半導体装置。
【請求項7】
前記第1の計時部には予め定められた計時時間の閾値時間が設定されており、
前記第1の計時部は、前記起動信号によって計時を開始した後前記完了信号を受け取らないことによって前記計時時間が前記閾値時間を越えた場合に前記第1の異常を検知する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、必要に応じ監視機能が備えられる場合がある。また、監視機能の実現方法のひとつとして、タイマを用いる方法が知られている。タイマによる監視機能を備えた半導体装置として、例えば特許文献1に開示された半導体装置が知られている。
特許文献1に開示された半導体装置は、検出回路、検出信号設定回路、判定回路、およびタイマを含んで構成された異常検出ブロックを備えている。特許文献1に係る異常検出ブロックでは、検出信号設定回路によって検出すべき信号変化が指示された検出回路が、当該信号変化が入出力ポートから得られる信号に生じたときパルスを出力する。タイマは、異常として検出すべき信号状態の発生を監視する期間が異常検出制御レジスタの設定値によって指定され、判定回路はタイマがタイムアウトするまでに検出回路から検出パルスが発生するか否かに基づいて、異常として検出すべき信号状態が発生したか否かを判定する。特許文献1に係る半導体装置では、複数の異常検出ブロックの各々に対して専用のタイマが搭載されている。
【0003】
すなわち、従来技術においては、所定の機能に基づいて動作する回路(以下、「機能回路」)に対し他の機能回路を1つ接続し、他の機能回路のその先の接続も1つとしており、複数接続していない。そのため、機能回路の動作中において当該機能回路の例えば動作時間を監視したい場合には、機能回路の中に専用の監視回路を混載することで実現していた。図7は、そのような機能を有する比較例に係る半導体装置50の一例を示している。
半導体装置50は、複数の機能回路における一連の動作をシーケンス回路によって制御する構成となっている。
【0004】
図7に示すように、半導体装置50は、接続切替回路51、機能回路52、およびシーケンス回路53を含んで構成されている。機能回路52は所定の機能に基づいて動作する回路であり、機能回路専用タイマ55を備えている。シーケンス回路53は、半導体装置50に含まれる複数の機能の一連の動作(以下、「シーケンス」)の実行を制御する回路であり、各機能ごとの起動信号を生成し、各機能からの完了信号を受信する。接続切替回路51はセレクタ54-1、およびセレクタ54-2を備え、セレクタ54-1はシーケンス回路53から送られた起動信号を各機能に振り分け、セレクタ54-2は各機能からの完了信号を集約しシーケンス回路53に送る。なお、シーケンスに含まれる各処理は、異なる複数の機能回路52によって実行される場合に限られず、1つの機能回路52が複数回当該機能を実行する場合を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-250581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述の特許文献1に係る半導体装置、あるいは比較例に係る半導体装置50では、機能回路ごとに監視回路を搭載しているため、機能回路の数だけ監視回路を搭載する必要がある。しかしながら、半導体装置のアプリケーションによっては搭載した機能のすべてではなく一部を使用する場合もある。このように一部の機能を使用して所望のアプリケーションを実現できる場合、使っていない機能回路用に搭載された監視回路は使われず無駄となる。このことによって半導体装置50の回路配置上の無駄な制約を招き、またコストが高くなってしまう。一方、監視回路の削減を意図してあらかじめ専用の監視回路を搭載しなかった場合は特定の機能の監視を行うことができないので、当該機能に関する故障や異常動作が発生した場合に上位システムへ通知することや、なんらかの回避、もしくは切替による機能復帰などができない。
【0007】
本発明は、上記の事情を踏まえ、より自由度が高い監視機能を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、外部装置から送られた起動信号を契機として所定の処理を実行し前記所定の処理の完了後に完了信号を出力する機能部と、前記起動信号および前記完了信号に基づいて前記所定の処理における第1の異常を監視する第1の計時部と、前記起動信号を分岐して前記機能部および第1の計時部に送る第1の分岐部、および前記完了信号を分岐して前記第1の計時部および前記外部装置に送る第2の分岐部を備えた分岐部対と、を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より自由度が高い監視機能を有する半導体装置を提供することが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施の形態に係る半導体装置の他の形態を示すブロック図である。
図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の動作を示すフローチャートである。
図4】第2の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】第3の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】第4の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7】比較例に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1から図3を参照して、本実施の形態に係る半導体装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体装置10の構成の一例を示している。図1に示すように、半導体装置10は、機能回路13-1(以下、総称する場合は「機能回路13」)」、接続切替回路11-1、およびタイマ12-1(以下、総称する場合は「タイマ12」)を含んで構成されている。
【0013】
機能回路13-1は半導体装置10において所定の機能に基づいて動作する回路であり、起動信号によって当該機能の動作を開始し、動作の完了とともに完了信号を出力する。
図1では1個を例示しているが、本実施の形態では複数の機能回路13-1を含んでいてもよい。タイマ12-1は開始トリガによって時間の計数(計時)を開始し、終了トリガによって当該計数を終了し、リセットする計時回路である。タイマ12-1は、起動信号を開始トリガとし、完了信号を終了トリガとしている。本実施の形態では、タイマ12-1は特定の機能回路13-1に属することのない汎用のタイマである。タイマ12-1も1つのみならず、複数設けて構成してもよい。具体的な機能回路13-1の例としては、例えばアナログデジタル変換回路、デジタルアナログ変換回路、比較器、パルス変調回路、通信回路等、動作を開始してから予め定められた時間以内に終了することが期待される回路一般を挙げることができる。
【0014】
一方、タイマ12-1に監視回路としての機能を持たせるために、タイマ12-1には計時時間に上限としての閾値時間を設定することができる。例えば、機能回路13-1が動作を開始してから完了するまでの動作時間に予め定められた上限が設定可能な場合には、機能回路13-1をタイマ12-1に関連付け、計時された動作時間が当該閾値時間を越えた場合にタイマ12-1から完了割込が出力されるように構成する。閾値時間は、例えば正常な処理に要する時間に予め定められた許容係数(例えば1.5等)を乗算して設定してもよい。完了割込は機能回路13-1の異常を検知したことを示す信号である。
【0015】
接続切替回路11-1は、起動信号を機能回路13-1およびタイマ12-1に振り分け、完了信号をタイマ12-1および外部装置に振り分ける。そのため、分岐部17-1、および18-1、セレクタ14-1、14-2、14-3、および14-4(以下、総称する場合は「セレクタ14」)を備えている。接続切替回路11-1はさらにレジスタ16を備え、セレクタ14は設定信号によってレジスタ16に設定されたレジスタ設定によって切替が制御される。
【0016】
本実施の形態に係る半導体装置10では、一例として機能回路13-1、およびタイマ12-1を起動させるための起動信号が外部装置から入力され、機能回路13-1が出力する完了信号は外部装置に出力される。外部装置としては特に限定されないが、図2に外部装置の一例を示す。図2は、本実施の形態に係る半導体装置10をマイクロコンピュータ1の一部として配置する例を示している。図2に示すように、マイクロコンピュータ1は、CPU2、および機能部3を備えており、半導体装置10が機能部3として配置されている。なお、図2では、マイクロコンピュータ1が備える他の回路は図示を省略している。図2に示すマイクロコンピュータ1の場合、例えばCPU2から起動信号、および設定信号が機能部3に出力され、機能部3から完了信号、および完了割込がCPU2に出力される。
【0017】
次に、図1を参照して、半導体装置10の構成、動作についてより詳細に説明する。
【0018】
まず、外部装置(例えばCPU)から起動信号が接続切替回路11-1に入力される。
起動信号は機能回路13-1を動作させるための信号であり、機能回路13-1を1回動作させる信号であってもよいが、本実施の形態では機能回路13-1をシーケンス動作させる複数の信号として想定している。従って、1のシーケンスに含まれる複数の動作の各々に対応する複数の起動信号が接続切替回路11-1に入力される。また、当該シーケンス動作としては、単一の機能回路13-1を連続して動作させる場合、複数の機能回路13-1を順次動作させる場合が考えられるが、本実施の形態では単一の機能回路13-1を連続して動作させる場合を例示して説明する。単一の機能回路13-1を連続して動作させる場合の具体例は、例えばセンサとしての機能回路13-1を複数回動作させて複数の計測値を取得し、平均化処理を行うような場合である。複数の機能回路13-1を順次動作させる場合については、以下の説明に準じて理解することができる。
【0019】
接続切替回路11-1に入力された起動信号は、分岐部17-1において2分岐され、一方はセレクタ14-1に、他方はセレクタ14-3に入力される。セレクタ14-1の出力はタイマ12-1に接続され、レジスタ設定によって当該起動信号が選択された場合に当該起動信号がタイマ12-1に出力される。セレクタ14-3の出力は機能回路13-1に接続され、レジスタ設定によって当該起動信号が選択された場合に当該起動信号が機能回路13-1に出力される。
【0020】
一方、機能回路13-1から出力された完了信号は分岐部18-1において2分岐され、一方はセレクタ14-2に、他方はセレクタ14-4に入力される。セレクタ14-2の出力はタイマ12-1に接続され、レジスタ設定によって当該完了信号が選択された場合に当該完了信号がタイマ12-1に出力される。セレクタ14-4の出力は外部装置(例えばCPU)に接続され、レジスタ設定によって当該完了信号が選択された場合に当該完了信号が外部装置に出力される。外部装置は、当該完了信号を受け取ることにより、例えばシーケンスに含まれる処理を次の処理に移行させる。
【0021】
図1では詳細な図示を省略しているが、セレクタ14-1、14-2、および14-3の各々には、起動信号、完了信号、複数の機能回路13-1のすべての出力、およびタイマ12-1のすべての出力(タイマ12-1が複数設けられている場合は各々のタイマ12-1のすべての出力)が接続されている。また、セレクタ14-4にはすべての完了信号が接続されている。換言すると、セレクタ14は、n:1スイッチの機能を有し、このn:1スイッチの動作がレジスタ設定によって制御される。
【0022】
ここで、タイマ12-1の出力は完了割込に限られず、また機能回路13-1の出力も完了信号のみならず様々な出力が想定可能である。例えば、タイマ12-1の出力は内蔵するクロック源によるクロック信号等であってもよい。この場合は、機能回路13-1の完了信号以外のすべての出力、タイマ12-1の完了割込以外のすべての出力もセレクタ14-1~14-3に入力される。このことによって、半導体装置10においては、タイマ12-1と、機能回路13-1の自由な接続が可能となっている。
【0023】
以上のように構成された半導体装置10は、以下のように動作する。すなわち、シーケンスに含まれる各処理の起動信号が順次入力されると、当該起動信号は分岐部17-1で分岐され、一方の起動信号によって機能回路13-1が所定の動作を開始し、他方の起動信号によってタイマ12-1が計時を開始する。機能回路13-1は所定の動作を完了すると完了信号を出力する。当該完了信号は分岐部18-1で2分岐され、一方の完了信号によってタイマ12-1が計時動作を停止し、リセットする。また、他方の完了信号はセレクタ14-4を介して外部装置(例えばCPU)に出力される。この際、タイマ12-1は、計時した時間が予め定められた閾値時間以内であれば、何も出力しない一方、計時時間が閾値時間を超えた場合には完了割込を外部装置に出力する。当該完了割込は異常状態を示しているので、当該完了割込を受信した外部装置(上位装置)は、例えば予め定められた異常処理を実行する。
【0024】
以上の動作がシーケンスに含まれる各処理ごとに順次実行され、機能回路13-1が正常に動作を完了したことによりリセットされていたタイマ12-1は、次の処理の起動信号によって再起動される。このことによって、半導体装置10では、外部装置から入力された1つの起動信号によって機能回路13-1、およびタイマ12-1が起動し、機能回路13-1が出力する1つの完了信号によってタイマ12-1が計時を停止し、外部装置がシーケンスに含まれる処理を次の処理に移行させることができる。この際、機能回路13-1が予め定められた閾値時間以内に処理を完了することができた場合は、外部装置はシーケンスを次の処理に移行させる、またはシーケンスを完了させることができる。一方、機能回路13-1が予め定められた閾値時間以内に処理を完了することができなかった場合は、タイマ12-1の計時満了によりタイマの割込信号(完了割込)が発生することで異常を通知することが可能になる。
【0025】
図3を参照し、本実施の形態に係る半導体装置10の動作についてより詳細に説明する。図3は、半導体装置10がシーケンス処理する場合の手順の流れを示すフローチャートであり、図3に示す「シーケンサ」は上記外部装置に相当する。
【0026】
ステップS1で、シーケンサが所定のシーケンスの全体を完了したか否か判定し、当該判定が否定判定となった場合はステップS2に移行する。一方、当該判定が肯定判定となった場合はステップS7に移行し、シーケンサが完了割込を出力する。当該完了割込は、シーケンスに含まれるすべての処理が終了したことを示す信号である。
【0027】
ステップS2で、シーケンサが起動信号を出力する。出力された起動信号は、分岐部17-1によって分岐され、機能回路13-1およびタイマ12-1に送られる。
【0028】
ステップS3で、機能回路13-1が動作を開始し、ステップS4でタイマ12-1が動作を開始する。ステップS3、S4は経時的な動作ではなく、各々独立した動作である。
【0029】
ステップS5で、機能回路13-1が所定の処理を正常に完了したか否かによって以降の処理がステップS6、S8に分岐する。なお、本ステップでは判定が行われるわけではなく、当該分岐は回路動作によって自立的に行われる。
【0030】
機能回路13-1が所定の処理を正常に完了しなかった場合、タイマ12-1は、ステップS6において、計時時間が閾値時間に達するまで計時を継続する。計時時間が閾値時間に達した場合、ステップS10に移行し、タイマ12-1は完了割込を出力する。
【0031】
ステップS8で、機能回路13-1が正常に処理を完了したことを受け、機能回路13-1が完了信号をシーケンサおよびタイマ12-1に送る。
【0032】
シーケンサが完了信号を受け取るとステップS1に移行し、次の処理が開始される。一方、完了信号を受け取ったタイマ12-1は、ステップS9で計時を途中で完了(停止)させるとともに、リセットする。すなわち、タイマ12-1は、次の起動信号に対する待機状態となる。
【0033】
以上のように本実施の形態に係る半導体装置10では、機能回路等他の用途にも用いることが可能な汎用のタイマ12-1を機能回路13-1の監視回路として使用し、機能回路13-1専用の監視回路を設けていない。また、機能回路13が複数設けられている場合、タイマ12-1を複数の機能回路13の各々に接続することにより、複数の機能回路13によって1つのタイマ12-1が共用化することも可能である。つまり、監視回路の削減が可能となっており、その結果コストも削減される。
【0034】
また、本実施の形態に係る半導体装置10では、接続切替回路11-1が分岐部17-1、および18-1を備えることによって、各々一つの入力信号(起動信号、完了信号)を複数の接続先に割り振っている。当該分岐部17-1、18-1およびセレクタ14によって、機能回路13、タイマ12等の回路が複数設けられていた場合でも、接続を自由に組み替えることが可能となっている。このことにより、アプリケーションによって半導体装置10に含まれる機能回路13、タイマ12の接続が変わる場合でも、レジスタ設定によって各セレクタの接続を組み換えることによって異なるアプリケーションに対応する半導体装置10を構成することができる。
【0035】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置によれば、より自由度が高い監視機能を有する半導体装置を提供することが可能となる、という効果を奏する。
【0036】
[第2の実施の形態]
図4を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Aについて説明する。半導体装置10Aは、上記実施の形態に係る半導体装置10にシーケンス回路15-1を追加した形態である。従って、接続切替回路11-1、機能回路13-1、およびタイマ12-1から構成される部分は半導体装置10と同様なので、必要に応じ図1を参照することとして詳細な説明を省略する。なお、図4では、図1に示すレジスタ16の図示を省略している。
【0037】
図4に示すシーケンス回路15-1は、機能回路13-1における複数の処理を含むシーケンスを制御する回路であり、図2に示すCPU2と同様の機能を有する。すなわち、シーケンス回路15-1は機能回路13-1における各処理を制御するための起動信号を接続切替回路11-1に送り、また接続切替回路11-1から機能回路13-1における各処理の完了信号を受け取る。シーケンス回路15-1は順次実行される各処理の完了信号を受け取るごとに処理を次の処理に移行させる。そして、シーケンス回路15-1は、最後の処理の完了信号を受け取った場合に完了割込を外部装置に向けて出力する。また、タイマ12-1が発出した完了割込も外部装置に出力される。
【0038】
本実施の形態においては、外部装置の形態に特に制限はないが、例えば図2におけるCPU2とすることができる。この場合は、半導体装置10Aが図2に示す機能部3として設けられる。なお、図4では図示していないが、シーケンス動作を開始するための最初の起動信号をシーケンス回路15-1が外部装置(例えばCPU)から受け取るように構成してもよい。本実施の形態に係る半導体装置10Aによっても、上記実施の形態に係る半導体装置10と同様の効果を奏することができる。
【0039】
[第3の実施の形態]
図5を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Bについて説明する。半導体装置10Bは、用途に応じたタイマ12を複数設ける形態である。
【0040】
図5に示すように、半導体装置10Bはシーケンス回路15-2、接続切替回路11-2、機能回路13-2、タイマ12-2、12-3、および12-4を含んで構成されている。接続切替回路11-2に含まれるセレクタ14-8、14-9、14-10、および14-11、機能回路13-2、並びにタイマ12-4で構成される部分の接続は図1に示す半導体装置10と同様となっている。従って、当該部分の動作は半導体装置10と同様である。本実施の形態においても機能回路13-2は、シーケンスに含まれる各処理に対応する複数の処理を実行する。半導体装置10Bは単体で構成してもよいし、図2に示すマイクロコンピュータ1における機能部3として構成してもよい。なお、図5では、図1に示すレジスタ16の図示を省略している。
【0041】
シーケンス回路15-2は、シーケンスに含まれる機能回路13-2が実行する複数の処理の手順を制御するとともに、シーケンス回路15-1に対して次の機能が追加されている。すなわち、起動信号を接続切替回路11-2を介してタイマ12-3に送り、シーケンスの完了を示すシーケンス完了信号を接続切替回路11-2を介してタイマ12-2に送り、タイマ12-3からの完了信号を接続切替回路11-2を介して受け取る。
【0042】
接続切替回路11-2は、セレクタ14-8~14-11以外に、セレクタ14-5、14-6、および14-7を備えている。セレクタ14-5はシーケンス回路15-2からシーケンス完了信号を受け取り、タイマ12-2に当該シーケンス完了信号を送る。セレクタ14-6はシーケンス回路15-2から起動信号を受け取り、当該起動信号をタイマ12-3に送る。セレクタ14-7はタイマ12-3から完了信号を受け取り、シーケンス回路15-2に当該完了信号を送る。
【0043】
ここで、半導体装置10Bが備える各タイマの機能について説明する。タイマ12-4は、図1に示すタイマ12-1と同様に、機能回路13-2における各処理の監視用のタイマである。すなわち、各処理に対する処理時間の閾値時間が設定されており、起動信号によって開始され、計時時間が当該閾値時間を越えた場合に異常を通知する完了割込を出力する。
【0044】
タイマ12-3は、シーケンスに含まれる各処理の各々に対して、処理開始前に待ち時間を設ける機能を有する。つまり、シーケンス回路15-2から各処理の待ち時間を開始させる起動信号がタイマ12-3に入力され、待ち時間の計時が終了したことを示す完了信号がタイマ12-3から出力される。待ち時間は予めタイマ12-3に設定されるが、当該待ち時間は各処理で同じ時間にしてもよいし、異なる時間にしてもよい。
【0045】
さらに、タイマ12-2は、シーケンス全体の監視を行うためのタイマである。従って、タイマ12-2には、シーケンス全体の処理時間に対応する閾値時間が設定されている。タイマ12-2は、シーケンス全体の完了を示すシーケンス完了信号を受け取ることによって終了した計時時間が、当該閾値時間以内であれば何も出力せず、計時時間が当該閾値時間を越えた場合に完了割込を外部装置に出力する。
【0046】
次に、シーケンス回路15-2によって実行されるシーケンス処理について手順Tを追って説明する。本実施の形態に係るシーケンスは、処理1、処理2、・・・、処理nのn個の処理をこの順で実行するものとする。
【0047】
まず、機能回路13-2における各処理が正常に完了した場合のシーケンス処理は以下のとおりである。
<T1>:シーケンスを立ち上げるシーケンス起動信号がタイマ12-2に送信される。当該シーケンス起動信号は、シーケンス回路15-2または外部装置から送信される(図示省略)。
<T2>:シーケンス回路15-2は、シーケンス起動信号と同時に、または予め定められた遅延時間の後に、処理1の待ち時間を起動させる起動信号をタイマ12-3に送信する。
<T3>:タイマ12-3は、予め定められた計時時間の経過後に完了信号を出力し、計時をリセットする。
<T4>:タイマ12-3から完了信号を受け取ったシーケンス回路15-2は、処理1の起動信号を、機能回路13-2、タイマ12-4に送信する。
<T5>:処理1の起動信号を受け取った機能回路13-2は処理1を開始し、タイマ12-4は計時を開始する。
<T6>処理1を正常に完了した機能回路13-2は完了信号を出力する。
<T7>機能回路13-2から完了信号を受信したタイマ12-4は計時をリセットする。また、機能回路13-2から完了信号を受信したシーケンス回路15-2は、タイマ12-3に起動信号を送信する。
【0048】
手順T7は手順T2に相当し、以下手順T2からT7が繰り返される。以下処理nの起動から手順TNを追って説明する。
<TN1>:シーケンス回路15-2は、処理nの待ち時間を起動させる起動信号をタイマ12-3に送信する。
<TN2>:タイマ12-3は、予め定められた計時時間の経過後に完了信号を出力する。
<TN3>:タイマ12-3から完了信号を受け取ったシーケンス回路15-2は、処理nの起動信号を、機能回路13-2、タイマ12-4に送信する。
<TN4>:処理nの起動信号を受け取った機能回路13-2は処理nを開始し、タイマ12-4は計時を開始する。
<TN5>処理nを正常に完了した機能回路13-2は完了信号を出力する。
<TN6>機能回路13-2から完了信号を受信したシーケンス回路15-2は、タイマ12-2にシーケンス完了信号を送信する。
<TN7>シーケンス完了信号を受信したタイマ12-2は計時を停止させ、リセットする。
【0049】
一方、処理1において機能回路13-2に異常が発生した場合の手順T5以降の手順T’は以下のようになる。なお、以下の手順は処理1以外の処理についても同様である。
<T’5>:異常が発生している機能回路13-2は、処理1の起動信号を受け取っても動作しない。
<T’6>:機能回路13-2が手順1の完了信号を出力しないため、タイマ12-4の計時時間が閾値時間に達し、タイマ12-4が完了割込を出力する。
<T’7>:手順T’6における完了割込を受信した外部装置(例えばCPU)は、各機能回路13-2の停止等、予め定められた異常処理を実行する。なお、当該完了割込がシーケンス回路15-2に送信され、シーケンス回路15-2が異常処理を実行するようにしてもよい。
【0050】
また、例えばシーケンス回路15-2の異常等何らかの原因で、シーケンス完了信号がタイマ12-2に送信されなかった場合の手順TN6以降の手順TN’は以下のようになる。
<TN’6>:異常が発生しているシーケンス回路15-2は、機能回路13-2から完了信号を受信してもタイマ12-2にシーケンス完了信号を送信しない。
<TN’7>:シーケンス完了信号を受信しないことに起因して、タイマ12-2における計時時間が閾値時間に達する。そのため、タイマ12-2は完了割込を出力する。
<TN’8>:手順TN’7における完了割込を受信した外部装置(例えばCPU)は、各機能回路13-2の停止等、予め定められた異常処理を実行する。なお、当該完了割込がシーケンス回路15-2に送信され、シーケンス回路15-2が異常処理を実行するようにしてもよい。
【0051】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置10Bでは、上記実施の形態に係る半導体装置10が奏する効果に加えて、各々汎用のタイマであるタイマ12-2、12-3、および12-4の接続を変えることによって、各々のタイマに異なる機能を割り振ることができる。また、当該接続の変更はセレクタ14のレジスタ設定を変えることによって行うことができる。なお、本実施の形態ではタイマ12に異なる機能を割り振る形態を例示して説明したが、同様に機能回路13に異なる機能を割り振る形態とすることもできる。また、本実施の形態に係る半導体装置10Bでは、ハードウエアで監視機能を動作させることが可能なので、ソフトウエアを削減することが可能となることから、ソフトウエアの開発工数を削減し、またCPUの動作時間の低減による低消費化、も実現することができる。
【0052】
[第4の実施の形態]
図6を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Cについて説明する。半導体装置10Cは、上記各実施の形態に係る半導体装置に対して、複数の機能回路13を含む点が相違している。従って、同様の機能を有する構成については同じ符号を付与して詳細な説明を省略する。図6に示すように、半導体装置10Cは、シーケンス回路15-3、接続切替回路11-3、機能回路13-3、13-4、およびタイマ12-5を含んで構成されている。図6では、2つの機能回路13-3、および13-4が、1つのタイマ12-5を監視回路として共用する場合を例示している。なお、図6では、図1に示すレジスタ16の図示を省略している。
【0053】
図6に示すように、本実施の形態に係るシーケンス回路15-3は、シーケンスに含まれる処理に応じて、機能回路13-3、および13-4の各々を起動させるための起動信号を、接続切替回路11-3を介して機能回路13-3、13-4、およびタイマ12-5に送り、機能回路13-3、および13-4の各々からの完了信号を接続切替回路11-3を介して受け取る。また、シーケンス回路15-3は、機能回路13-3、13-4の各々から受け取った完了信号を外部装置に送る。
【0054】
本実施の形態に係る接続切替回路11-3は、分岐部17-2、17-3、18-2、18-3、およびセレクタ14-12、14-13、14-14、14-15、14-16、14-17を含んで構成されている。分岐部17-2は、機能回路13-3の起動信号をタイマ12-5、機能回路13-3に振り分け、分岐部18-2は機能回路13-3からの完了信号をタイマ12-5、セレクタ14-15に振り分ける。セレクタ14-15に入力された完了信号はシーケンス回路15-3に送られる。また、分岐部17-3は、機能回路13-4の起動信号をタイマ12-5、機能回路13-4に振り分け、分岐部18-3は機能回路13-4からの完了信号をタイマ12-5、セレクタ14-17に振り分ける。セレクタ14-17に入力された完了信号はシーケンス回路15-3に送られる。
【0055】
以上の構成によって、機能回路13-3、13-4の各々の起動信号が機能回路13-3、13-4へ送られるとともにタイマ12-5にも送られ、機能回路13-3、13-4の各々からの完了信号がシーケンス回路15-3に送られるとともにタイマ12-5にも送られる。このことは、機能回路13の個数が3個以上であっても同様である。すなわち、機能回路の個数分の分岐部17、18のペア(分岐部対)を備えることによって、複数の機能回路13によって一つのタイマ12を共用し、監視回路の削減を図ることが可能となっている。
【0056】
なお、半導体装置10Cでは、上記各実施の形態に係る半導体装置において、シーケンスに含まれる各処理の起動信号が機能回路13に個別に送られる構成となっている点のみ相違している。従って、半導体装置10Cの動作については、上記各実施の形態に係る半導体装置と同様である。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置によっても、より自由度が高い監視機能を有する半導体装置を提供することが可能となる、という効果を奏する。
【符号の説明】
【0058】
1 マイクロコンピュータ
2 CPU
3 機能部
10、10A、10B、10C 半導体装置
11-1~11-3 接続切替回路
12、12-1~12-5 タイマ
13、13-1~13-4 機能回路
14、14-1~14-17 セレクタ
15-1~15-3 シーケンス回路
16 レジスタ
17-1、17-2 分岐部
18-1、18-2 分岐部
50 半導体装置
51 接続切替回路
52 機能回路
53 シーケンス回路
54-1、54-2 セレクタ
55 機能回路専用タイマ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7