(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】太陽電池セル、太陽電池モジュール及び太陽電池セル製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20240816BHJP
H01L 31/0248 20060101ALI20240816BHJP
H01L 31/043 20140101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 300
H01L31/04 510
(21)【出願番号】P 2020082066
(22)【出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】口山 崇
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-042469(JP,A)
【文献】国際公開第2015/152020(WO,A1)
【文献】特開平10-242491(JP,A)
【文献】特開平11-112008(JP,A)
【文献】特開平07-045850(JP,A)
【文献】特開2015-070255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151766(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103840024(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池セルと、隣接し合う2つの前記太陽電池セルを接続する導電性接着剤と、を備え
前記太陽電池セルは、
半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面に積層される第1半導体層と、
前記半導体基板の第2主面に積層され、前記第1半導体層と導電型が異なる第2半導体層と、
を
それぞれ備え、
前記半導体基板の対向する一対の端面は、前記第1主面及び前記第2主面に対する角度が90±15°の範囲内である内側隣接面と、前記内側隣接面よりも外側に位置し、前記第1主面及び前記第2主面に対する角度が90±15°の範囲内である外側隣接面と、前記内側隣接面と前記外側隣接面とを接続し、前記第1主面及び前記第2主面に対する角度が0±15°の範囲内である中間面と、を有し、平面視で前記第1主面の端縁を前記第2主面の端縁に対して一定方向且つ一定距離だけオフセットする2段の階段状であり、
前記内側隣接面及び前記中間面は、前記第1半導体層又は前記第2半導体層に覆われ、
前記外側隣接面は、前記半導体基板を露出
し、隣接する前記太陽電池セルの前記外側隣接面に対向し、
前記導電性接着剤は、隣接し合う2つの前記太陽電池セルの対向し合う前記内側隣接面と前記外側隣接面の間に配置される、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記第1半導体層を覆う第1透明電極層及び前記第2半導体層を覆う第2透明電極をさらに備える、請求項1に記載の
太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セル、太陽電池モジュール及び太陽電池セル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の太陽電池セルを一列に並べて配置し、電気的に直列に接続した太陽電池ストリングを用いて太陽電池モジュールが製造されている。このような太陽電池ストリングにおいて、隣接する太陽電池セル間は、導電性の部材(インターコネクタ)によって接続されることが多い。表裏(受光面及び反対側の面)に極性が異なる電極が設けられた両面電極型の太陽電池セルの場合、1つの太陽電池セルの表面側の電極と隣接する太陽電池セルの裏面側の電極とを接続する必要がある。この場合、太陽電池セルの間にインターコネクタを通すための隙間を設ける必要があり、光電変換に寄与する実効面積が制限されるとともに、太陽電池セルの隙間が目立つことで美観が損なわれる。
【0003】
太陽電池ストリングの実効面積を大きくする構成として、例えば特許文献1に記載されるように、太陽電池セルの端部を重ねて表側に重ねられる太陽電池セルの裏面側の電極と裏側に重ねられる太陽電池セルの表面側の電極とを直接接続する、シングリング構造と呼ばれる構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シングリング構造では、太陽電池セルの間に隙間は形成されないが、太陽電池セル間に段差が生じるため、依然として個々の太陽電池セルが認識されやすい。また、シングリング構造では、太陽電池セルが重なり合う部分に応力が集中しやすいため、太陽電池セルの破損や太陽電池セル間の分離が生じるリスクが大きくなる。このため、本発明は、太陽電池セル間の隙間や段差を小さくできる太陽電池セル、太陽電池モジュール及びそれらを構成できる太陽電池セル製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る太陽電池セルは、半導体基板を備え、前記半導体基板の対向する一対の端面は、平面視で前記半導体基板の第1主面の端縁を前記半導体基板の第2主面の端縁に対して一定方向且つ一定距離だけオフセットするよう傾斜する。
【0007】
本発明の一態様に係る太陽電池セルにおいて、前記一対の端面は、前記第1主面及び前記第2主面に略垂直な内側隣接面と、前記内側隣接面よりも外側に位置し、前記第1主面及び前記第2主面に略垂直な外側隣接面と、前記内側隣接面と前記外側隣接面とを接続し、前記第1主面及び前記第2主面に略平行な中間面と、を有する2段の階段状であってもよい。
【0008】
本発明の一態様に係る太陽電池セルは、前記第1主面に積層される第1半導体層と、前記第2主面に積層され、前記第1半導体層と導電型が異なる第2半導体層と、をさらに備え、前記内側隣接面及び前記中間面は、前記第1半導体層又は前記第2半導体層に覆われ、前記外側隣接面は、前記半導体基板を露出してもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る太陽電池セルは、前記第1半導体層を覆う第1透明電極層及び前記第2半導体層を覆う第2透明電極をさらに備えてもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールは、上述の太陽電池セルを複数備え、前記太陽電池セルの前記内側隣接面は、隣接する前記太陽電池セルの前記外側隣接面に対向する。
【0011】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールは、隣接し合う2つの太陽電池セルの対向し合う前記端面の間に配置される導電性接着剤をさらに備えてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る太陽電池セル製造方法は、半導体ウエハの第1主面に第1溝を形成する工程と、前記半導体ウエハの第2主面に前記第1溝と平面位置をずらして前記第1溝と平行な第2溝を形成する工程と、前記半導体ウエハの前記第1主面及び前記第1溝の内面を覆うよう第1半導体材料を積層する工程と、前記半導体ウエハの前記第2主面及び前記第2溝の内面を覆うよう、前記第1半導体材料と導電型が異なる第2半導体材料を積層する工程と、前記半導体ウエハの前記第1溝と前記第2溝とに跨る領域を除去する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、太陽電池セル間の隙間や段差を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池セルを示す模式断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る太陽電池セル製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図2の太陽電池セル製造方法の一工程を示す模式断面図である。
【
図4】
図2の太陽電池セル製造方法の
図3の次の工程を示す模式断面図である。
【
図5】
図2の太陽電池セル製造方法の
図4の次の工程を示す模式断面図である。
【
図6】
図2の太陽電池セル製造方法の
図5の次の工程を示す模式断面図である。
【
図7】
図2の太陽電池セル製造方法の
図6の次の工程を示す模式断面図である。
【
図8】
図2の太陽電池セル製造方法の
図7の次の工程を示す模式断面図である。
【
図9】
図1の太陽電池セルを有する太陽電池モジュールの模式断面図である。
【
図10】本発明の
図1とは異なる実施形態に係る太陽電池セルを示す模式断面図である。
【
図11】
図10の太陽電池セルを有する太陽電池モジュールの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、簡略化のために、部材の図示、符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0016】
図1に、本発明の一実施形態に係る太陽電池セル10を示す。太陽電池セル10は、半導体基板11と、半導体基板11の表側の第1主面(受光面)S1に積層される第1半導体層12と、半導体基板11の裏側の第2主面(裏面)S2に積層され、第1半導体層と導電型が異なる第2半導体層13と、第1半導体層12を覆う第1透明電極14と、第2半導体層13の第2主面に積層される第2透明電極15と、を備える。
【0017】
半導体基板11の対向する一対の端面(第1端面A3及び第2端面A4)は、平面視で第1主面A1の端縁を第2主面A2の端縁に対して一定方向且つ一定距離だけオフセットするよう、全体として傾斜する。本実施形態において、この一対の端面A3,S4は、2段の階段状に形成されている。具体的には、半導体基板11の第1端面A3は、第1主面A1及び第2主面A2に略垂直な第1内側隣接面A31と、第1内側隣接面A31よりも外側に位置し、第1主面A1及び第2主面A2に略垂直な第1外側隣接面A32と、第1内側隣接面A31と第1外側隣接面A32とを接続し、第1主面A1及び第2主面A2に略平行な第1中間面A33と、を有する。第2端面A4は、第1主面A1及び第2主面A2に略垂直な第2内側隣接面A41と、第2内側隣接面A41よりも外側に位置し、第1主面A1及び第2主面A2に略垂直な第2外側隣接面A42と、第2内側隣接面A41と第2外側隣接面A42とを接続し、第1主面A1及び第2主面A2に略平行な第2中間面A43と、を有する。なお、「オフセット」とは、実質的に形状及び向きを変えずに位置のみを異ならせることを意味する。「略垂直」及び「略平行」とは、正確な「垂直」及び「平行」に対して±15°の範囲内であることを意味する。
【0018】
第1内側隣接面A31及び第1中間面A33は、第1半導体層12及び第1透明電極14に覆われ、第2内側隣接面A31及び第1中間面A33は、第2半導体層13及び第2透明電極15に覆われる。一方、第1外側隣接面A32及び第2外側隣接面A42は、他の構成要素には被覆されておらず、半導体基板11を露出する。
【0019】
半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子及び正孔)を生成する光電変換基板として機能する。半導体基板11は、単結晶シリコン又は多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。半導体基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
【0020】
第1半導体層12及び第2半導体層13は、半導体基板11の内部で発生したキャリアを誘引して互いに異なる極性の電荷を収集する。第1半導体層12及び第2半導体層13は、所望の導電型を付与するドーパントをドープしたアモルファスシリコンによって形成することができる。p型のドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられ、n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。
【0021】
第1透明電極14及び第2透明電極15は、第1半導体層12及び第2半導体層13が収集した電荷を取り出して外部に出力する導体である。第1透明電極14及び第2透明電極15は、同じ材料から形成することができる。第1透明電極14及び第2透明電極15を形成する材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛(ZnO)等を挙げることができる。
【0022】
本実施形態の太陽電池セル10は、本発明に係る太陽電池セル製造方法の一実施形態により製造することができる。本実施形態の太陽電池セル製造方法は、
図2に示すように、ステップの第1溝形成工程と、ステップの第2溝形成工程と、ステップS3の第1半導体材料積層工程と、ステップS4の第2半導体材料積層工程と、ステップS5の透明電極材料積層工程と、ステップS6の半導体ウエハ部分除去工程と、を備える。
【0023】
ステップの第1溝形成工程では、
図3に示すように、半導体基板11を切り出すことができる大判の半導体ウエハWの第1主面に、第1溝G1を形成する。第1溝G1は、方形断面を有し、一方の側壁が第1内側隣接面A31を構成し、底壁が第1中間面A33を構成する。第1溝G1は、例えばレーザの照射、切削、エッチング等によって形成することができる。
【0024】
第1溝G1の深さとしては、半導体ウエハWの厚みの略1/2が好ましく、第1半導体層12及び第1透明電極14を積層しても半導体ウエハWの厚みの1/2以下となるよう、半導体ウエハWの厚みの1/2よりも僅かに大きいことがより好ましい。
【0025】
ステップの第2溝形成工程では、
図4に示すように、半導体ウエハWの第2主面に、第1溝G1と平面位置をずらして第1溝G1と平行な第2溝G2を形成する。第2溝G2は、方形断面を有し、一方の側壁が第2内側隣接面A41を構成し、底壁が第2中間面A43を構成する。第2溝G2は、第1溝G1と同様の方法で形成することができる。第2溝G2の深さとしては、第1溝G1の深さと同様とすることができる。
【0026】
ステップS3の第1半導体材料積層工程では、
図5に示すように、半導体ウエハWの第1主面及び第1溝G1の内面を覆うよう、第1半導体層12を形成する第1半導体材料M1を積層する。第1半導体材料M1の積層は、例えばCVD等の成膜技術によって行うことができる。
【0027】
ステップS4の第2半導体材料積層工程では、
図6に示すように、半導体ウエハWの第2主面及び第2溝G2の内面を覆うよう、第2半導体層13を形成する材料、つまり第1半導体材料M1と導電型が異なる第2半導体材料M2を積層する。第2半導体材料M2の積層は、第1半導体材料M1の積層と同様の成膜技術によって行うことができる。
【0028】
ステップS5の透明電極材料積層工程では、
図7に示すように、第1半導体材料M1の層及び第2半導体材料M2の層にそれぞれ第1透明電極14及び第2透明電極15を形成する透明電極材料M3を積層する。透明電極材料M3の積層は、例えばCVDやPVD等の成膜技術によって行うことができる。
【0029】
ステップS6の半導体ウエハ部分除去工程では、
図8に示すように、半導体ウエハWの第1溝G1と第2溝G2とに跨る領域を除去する。これによって、複数の太陽電池セル10が得られる。半導体ウエハWの部分的な除去は、例えばレーザの照射、ミリング、エッチング等によって行うことができる。
【0030】
図9は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール100を示す。太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池セル10を有する太陽電池ストリング110と、太陽電池ストリング110の表面側(受光面側)を覆う表面保護材120と、太陽電池ストリング110の裏面側を覆う裏面保護材130と、表面保護材120と裏面保護材130との間に充填され、太陽電池ストリング110を覆う封止材140と、を備える。
【0031】
太陽電池ストリング110は、複数の太陽電池セル10を一列に並べ、電気的に直列に接続することによって形成される。隣接し合う2つの太陽電池セル10は、対向し合う第1端面と第2端面との間に配置される例えば銀ペースト等の導電性接着剤20によって、それぞれ接着されている。本実施形態では、導電性接着剤20は、対向し合う第1内側隣接面AA31と第2外側隣接面A42との間に主に配置され、第2外側隣接面A42側の太陽電池セル10の第1半導体層12及び第1透明電極14とは接触しないように配置される。これにより、第1内側隣接面A31側の太陽電池セル10の第1半導体層12及び第1透明電極14と、第2外側隣接面A42側の太陽電池セル10の第2半導体層13及び第2透明電極15とが接続される。
【0032】
表面保護材120は、封止材140を介して、太陽電池ストリング110、すなわち太陽電池セル10の表面を覆うことにより、太陽電池セル10を保護する。表面保護材120は、板状又はシート状の材料から形成することができ、透光性及び対候性に優れることが好ましい。具体的には、表面保護材120の材質としては、例えばアクリル樹脂若しくはポリカーボネート樹脂等の透明樹脂、ガラスなどを挙げることができる。また、表面保護材120の表面は、光の反射を抑制するために、凹凸状に加工されたり、反射防止コーティング層で被覆されてもよい。
【0033】
裏面保護材130は、封止材140を介して、太陽電池ストリング110の裏面を覆うことにより、太陽電池セル10を保護する。裏面保護材130は、表面保護材120同様に、板状又はシート状の材料から形成することができ、遮水性に優れることが好ましい。具体的には、裏面保護材130としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、オレフィン系樹脂、含フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂フィルム、このような樹脂フィルムとアルミニウム箔等の金属箔との積層体などが好適に用いられる。
【0034】
封止材140は、太陽電池ストリング110、すなわち太陽電池セル10を封止して保護するもので、特に太陽電池セル10に水分が接触することを防止する。このため、封止材140は、太陽電池セル10の受光側の面と表面保護材120との間、太陽電池セル10の裏側の面と裏面保護材130との間に介在する。
【0035】
封止材140は、太陽電池ストリング110と表面保護材120及び裏面保護材130とを接着すると共に、太陽電池ストリング110の周囲の隙間をなくすことで、太陽電池セル10を保護する。このため、封止材140としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、又は、シリコーン樹脂等の透光性を有する熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
【0036】
太陽電池モジュールは、表面保護材120、封止材140を形成する熱可塑性樹脂製の第1のシート、太陽電池ストリング110、封止材140を形成する熱可塑性樹脂製の第2のシート及び裏面保護材130をこの順番に積層し、この積層体を熱プレスすることによって第1のシートと第2のシートとを溶融一体化させることで製造することができる。
【0037】
以上のように、第1主面A1の端縁を第2主面A2の端縁に対してオフセットした太陽電池セル10は、隙間を空けずに配列して接続できるため、太陽電池ストリング110ひいては太陽電池モジュール100において光電変換に寄与する実効面積を大きくすることができる。また、太陽電池セル10は、段差を設けずに接続することができるので、太陽電池モジュール100における応力集中による破損のリスクが小さい。また、太陽電池セル10を段差を設けずに接続した太陽電池ストリング110は、太陽電池セル10間の継ぎ目が目立ちにくく、美観に優れる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。
【0039】
本発明に係る太陽電池セルにおいて、半導体基板の第1主面と第2主面の端縁をオフセットする一対の端面は、全体として傾斜していればよく、上述の実施形態のような階段状のものに限られず、傾斜した平面状又は曲面状であってもよい。
【0040】
本発明に係る太陽電池セルは、上述の実施形態のような両面電極型の太陽電池セルに限定されず、例えば裏面電極型太陽電池セル、PERC(Passivated Emitter and Rear Cell)等であってもよい。
【0041】
上述の実施形態に係る太陽電池セルにおいて、透明電極は省略することができる。特に、n型の半導体層は比較的導電性に優れるため、その上に積層される透明電極を省略しても内部抵抗が増大しにくく、太陽電池セルの面積が小さい場合にはp型の透明電極を省略しても抵抗増加は小さい。
【0042】
また、本発明に係る太陽電池セルは、例えば
図10に示す太陽電池セル10Rのように、中間面A33,A44を除いて積層される透明電極14R,15Rを備えてもよい。この場合、フォトリソグラフィ技術等を用いて透明電極14R,15Rをパターニングすることができる。具体的には、透明電極材料積層工程で第1溝及び第2溝の底面部分にマスクを配置して透明電極材料を選択的に積層してもよく、第1半導体材料及び第2半導体材料の全面に透明電極材料を積層した後、マスクを配置して第1溝1及び第2溝の底面部分の透明電極材料を選択的に除去してもよい。半導体ウエハ部分除去工程をレーザを用いて行う場合、透明電極材料が積層されていない側からレーザを照射することでレーザの影響による性能低下を抑制することができる。
【0043】
上述の実施形態に係る太陽電池モジュールでは、太陽電池セルを電気的に直列に接続しているが、太陽電池セルを電気的に並列に接続してもよい。本発明に係る太陽電池セルを並列に接続する場合、第1半導体層及び第2半導体層のうち半導体基板と導電型が等しい方を互いに接続するとよい。具体的には、例えば
図11に示す太陽電池モジュール100Rのように、
図10の太陽電池セル10Rを用い、半導体基板と導電型が等しい半導体層が積層されている内側隣接面とこれに対向する外側隣接面との間に導電性接着剤20Rを配置することで、半導体基板と導電型が等しい半導体層同士を電気的に接続し、これにより本発明に係る太陽電池セルを並列に接続した太陽電池ストリング110Rを形成することができる。
【0044】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、隣接し合う2つの太陽電池セルを接続する導電性接着剤は、主に対向し合う中間面の間に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 太陽電池セル
11 半導体基板
12 第1半導体層
13 第2半導体層
14 第1透明電極
15 第2透明電極
20 導電性接着剤
100 太陽電池モジュール
110 太陽電池ストリング
120 表面保護材
130 裏面保護材
140 封止材
A1 第1主面
A2 第2主面
A3 第1端面
A4 第2端面
A31 第1内側隣接面
A32 第1外側隣接面
A33 第1中間面
A41 第2内側隣接面
A42 第2外側隣接面
A43 第2中間面