(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】荷重感知アセンブリおよび荷重感知アセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61B17/115
(21)【出願番号】P 2020086476
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-05-17
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー スグロイ ジュニア
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-033531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0042610(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174165(US,A1)
【文献】特開2018-038812(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0174636(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0266888(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068
17/072
17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形ステープラ用荷重感知アセンブリであって、
その中にポケットを画定するセンサ本体と、
前記ポケット内に配置され、かつ前記センサ本体に結合された荷重センサ回路
であって、前記荷重センサ回路は、前記センサ本体に加えられた荷重による前記センサ本体の変形を測定するように構成されている、荷重センサ回路と、
気密封止アセンブリと
を備え、前記気密封止アセンブリおよび前記ポケットは、前記荷重センサ回路をその中に封入
し、前記気密封止アセンブリは、
前記ポケット内に受容されるように構成されたベース部分と、
前記ベース部分にオーバーモールドされたカバーとを含む、荷重感知アセンブリ。
【請求項2】
前記ベース部分は金属から製造され、前記カバーはプラスチックから製造されている、請求項1に記載の荷重感知アセンブリ。
【請求項3】
前記カバーは、その中に空洞を画定している、請求項1に記載の荷重感知アセンブリ。
【請求項4】
前記カバーの前記空洞内に配置され、かつ前記荷重センサ回路に電気的に結合された信号処理回路をさらに備える、請求項
3に記載の荷重感知アセンブリ。
【請求項5】
前記ベース部分は、そこから外向きに延在するフランジを有し、前記フランジは、前記ポケット内に支持されている、請求項1に記載の荷重感知アセンブリ。
【請求項6】
前記カバーは、前記ベース部分の外面の周りにオーバーモールドされた下端部分を有する、請求項1に記載の荷重感知アセンブリ。
【請求項7】
前記ベース部分は、前記ベース部分の上端部分の周りに配置された一連の穴を画定している、請求項1に記載の荷重感知アセンブリ。
【請求項8】
前記カバーは、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、またはポリフタルアミドのうちの少なくとも1つから製造されている、請求項1に記載の荷重感知アセンブリ。
【請求項9】
荷重感知アセンブリを製造する方法であって、
気密封止アセンブリのベース部分を
形成することと、
前記ベース部分に前記気密封止アセンブリのカバーをオーバーモールドすることと、
センサ本体内に画定されたポケット内に荷重センサ回路を配置すること
であって、前記荷重センサ回路は、前記センサ本体に加えられた荷重による前記センサ本体の変形を測定するように構成されている、ことと、
前記荷重センサ回路を前記気密封止アセンブリ
および前記ポケット内に封入することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記ベース部分は金属から製造され、前記カバーはプラスチックから製造される、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記カバー内に画定された空洞内に信号処理回路を配置することと、
前記信号処理回路を前記荷重センサ回路に電気的に結合することと、をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記ベース部分を前記ポケット内に配置することをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記ベース部分を前記ポケット内に配置することは、前記ベース部分から前記ポケット内へと外向きに延在するフランジを配置することを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記ベース部分に前記カバーをオーバーモールドすることは、前記ベース部分の外面の周りに前記カバーの下端部分をオーバーモールドすることを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
前記ベース部分に前記カバーをオーバーモールドする前に、前記ベース部分の上端部分の周りに一連の穴を形成することをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項16】
前記カバーは、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、またはポリフタルアミドのうちの少なくとも1つから製造される、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は、外科用装置に関する。より具体的には、本開示は、端々吻合処置を行うための手持ち式電気機械円形ステープル留め器具に関する。
【背景技術】
【0002】
円形の鉗子締め、切断およびステープル留め装置は、先に離断された結腸部を再接続するか、または同様の処置を行うために、外科処置において使用され得る。従来の円形の鉗子締め、切断、およびステープル留め装置は、ピストルまたは線形把持構造を含み、そこから延在する細長いシャフトと装填ユニット部分とを有する。装填ユニット部分は、細長いシャフトの遠位端に支持された複数のステープルを収容するステープルカートリッジと、ステープルカートリッジに隣接して支持されたアンビルアセンブリとを有するエンドエフェクタを含む。外科処置の間、医師は、円形ステープル留め装置の装填ユニット部分を患者の直腸に挿入し、装置を患者の結腸管に沿って、離断された結腸部分に向かって進めることができる。アンビルアセンブリは、離断された結腸部分の一方に沿って巾着締めすることができる。あるいは、所望であれば、アンビルアセンブリを、離断された結腸部分に近い切開部から結腸に挿入することができる。いったん離断された結腸部分内に適切に配置されると、アンビルアセンブリとステープルカートリッジとが互いに近づき、ステープルがステープルカートリッジからアンビルアセンブリに向かって放出され、それによって組織内にステープル留めを形成し、離断された結腸部分の端々吻合を行う。環状ナイフが発射されて、吻合された結腸部分の中心をくり抜く。端々吻合を行った後、円形ステープル留め装置を手術部位から取り出す。
【0003】
円形の鉗子締め、切断、およびステープル留め装置は、再使用可能であり得る電動ハンドルアセンブリと、電動ハンドルアセンブリに取り外し可能に接続された使い捨てエンドエフェクタとを含む電動駆動システムを含み得る。
【0004】
既存の電動外科用装置および/またはハンドルアセンブリと一緒に使用される既存のエンドエフェクタの多くは、線形駆動力によって駆動される。例えば、胃腸内消化管吻合術、端々吻合術、および横断吻合術を行うエンドエフェクタは、線形駆動力で作動させる。そのため、これらのエンドエフェクタは、回転駆動力を使用する外科用装置および/またはハンドルアセンブリと互換性がない。
【0005】
線形駆動エンドエフェクタに、回転駆動力を使用する電動外科用装置との互換性を持たせるために、線形駆動エンドエフェクタを電動回転駆動外科用装置と相互接続するアダプタが使用される。これらのアダプタは再使用可能であり得、したがって、複数の滅菌サイクルに耐えるように構成されている。滅菌プロセスを受ける前に、滅菌液がアダプタの各領域へアクセスすることを可能とし、かつ/またはアダプタの脆弱な部品に損傷を与えるのを防ぐために、アダプタの特定の部品を取り外す場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
電動外科用装置は、電動外科用装置での手術中にフィードバックを提供するための様々なセンサを含むことができる。ただし、手術室の無菌環境で使用される電子機器およびセンサの1つの制限は、それらが複数の洗浄およびオートクレーブサイクルに耐えるように設計する必要があることである。電動外科用装置によって加えられる機械力の情報を収集するために、荷重セルなどの荷重検知装置は、電動外科用装置の1つもしくは複数の機械部品および/またはそれに結合されているアダプタに配置される。
【0007】
本開示の一実施形態によれば、円形ステープラ用荷重感知アセンブリが提供され、その中にポケットを画定するセンサ本体と、ポケット内に配置されかつセンサ本体に結合された荷重センサ回路と、荷重センサ回路をその中に封入する気密封止アセンブリとを含む。気密封止アセンブリは、ポケット内に受容されるように構成されたベース部分と、ベース部分にオーバーモールドされたカバーとを含む。
【0008】
態様では、ベース部分は、短時間型打ち加工によって形成され得る。
【0009】
態様では、ベース部分は金属から製造され得、カバーはプラスチックから製造され得る。
【0010】
態様では、カバーは、その中に空洞を画定し得る。
【0011】
態様では、荷重感知アセンブリは、カバーの空洞内に配置され、かつ荷重センサ回路に電気的に結合された信号処理回路をさらに含み得る。
【0012】
態様では、ベース部分は、そこから外向きに延在するフランジを有し、フランジはポケット内に支持されている。
【0013】
態様では、カバーは、ベース部分の外面の周りにオーバーモールドされた下端部分を有し得る。
【0014】
態様では、ベース部分は、ベース部分の上端部分の周りに配置された一連の穴を画定し得る。
【0015】
態様では、カバーは、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、および/またはポリフタルアミドから製造され得る。
【0016】
本開示の別の態様によれば、荷重感知アセンブリを製造する方法が提供される。方法は、気密封止アセンブリのベース部分を短時間型打ち加工することと、ベース部分に気密封止アセンブリのカバーをオーバーモールドすることと、センサ本体内に画定されたポケット内に荷重センサ回路を配置することと、荷重センサ回路を気密封止アセンブリ内に封入することと、を含む。
【0017】
態様では、ベース部分は金属から製造され得、カバーはプラスチックから製造され得る。
【0018】
態様では、方法は、カバー内に画定された空洞内に信号処理回路を配置することと、信号処理回路を荷重センサ回路に電気的に結合することと、をさらに含み得る。
【0019】
態様では、方法は、ベース部分をポケット内に配置することをさらに含み得る。
【0020】
態様では、ベース部分をポケット内に配置することは、ベース部分からポケット内へと外向きに延在するフランジを配置することを含み得る。
【0021】
態様では、ベース部分にカバーをオーバーモールドすることは、ベース部分の外面の周りにカバーの下端部分をオーバーモールドすることを含み得る。
【0022】
態様では、方法は、ベース部分にカバーをオーバーモールドする前に、ベース部分の上端部分の周りに一連の穴を形成することをさらに含み得る。
【0023】
態様では、カバーは、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、および/またはポリフタルアミドから製造され得る。
【0024】
本開示のさらに別の態様によれば、センサ用気密封止アセンブリが提供される。気密封止アセンブリは、ベース部分と、ベース部分にオーバーモールドされたカバーとを含む。ベース部分は、溶接適合性であるように構成された第1の材料から製造され、カバーは、第2の材料から製造されている。
【0025】
態様では、ベース部分の第1の材料は金属であり得、カバーの第2の材料はプラスチックであり得る。
【0026】
態様では、カバーは、その中に空洞を画定し得、ベース部分の外面の周りにオーバーモールドされた下端部分を有し得る。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
円形ステープラ用荷重感知アセンブリであって、
その中にポケットを画定するセンサ本体と、
上記ポケット内に配置され、かつ上記センサ本体に結合された荷重センサ回路と、
上記荷重センサ回路をその中に封入する気密封止アセンブリと、を備え、上記気密封止アセンブリは、
上記ポケット内に受容されるように構成されたベース部分と、
上記ベース部分にオーバーモールドされたカバーとを含む、荷重感知アセンブリ。
(項目2)
上記ベース部分は、短時間型打ち加工によって形成されている、上記項目に記載の荷重感知アセンブリ。
(項目3)
上記ベース部分は金属から製造され、上記カバーはプラスチックから製造されている、上記項目のいずれか一項に記載の荷重感知アセンブリ。
(項目4)
上記カバーは、その中に空洞を画定している、上記項目のいずれか一項に記載の荷重感知アセンブリ。
(項目5)
上記カバーの上記空洞内に配置され、かつ上記荷重センサ回路に電気的に結合された信号処理回路をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の荷重感知アセンブリ。
(項目6)
上記ベース部分は、そこから外向きに延在するフランジを有し、上記フランジは、上記ポケット内に支持されている、上記項目のいずれか一項に記載の荷重感知アセンブリ。
(項目7)
上記カバーは、上記ベース部分の外面の周りにオーバーモールドされた下端部分を有する、上記項目のいずれか一項に記載の荷重感知アセンブリ。
(項目8)
上記ベース部分は、上記ベース部分の上端部分の周りに配置された一連の穴を画定している、上記項目のいずれか一項に記載の荷重感知アセンブリ。
(項目9)
上記カバーは、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、またはポリフタルアミドのうちの少なくとも1つから製造されている、上記項目のいずれか一項に記載の荷重感知アセンブリ。
(項目10)
荷重感知アセンブリを製造する方法であって、
気密封止アセンブリのベース部分を短時間型打ち加工することと、
上記ベース部分に上記気密封止アセンブリのカバーをオーバーモールドすることと、
センサ本体内に画定されたポケット内に荷重センサ回路を配置することと、
上記荷重センサ回路を上記気密封止アセンブリ内に封入することと、を含む、方法。
(項目11)
上記ベース部分は金属から製造され、上記カバーはプラスチックから製造される、上記項目に記載の方法。
(項目12)
上記カバー内に画定された空洞内に信号処理回路を配置することと、
上記信号処理回路を上記荷重センサ回路に電気的に結合することと、をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
上記ベース部分を上記ポケット内に配置することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
上記ベース部分を上記ポケット内に配置することは、上記ベース部分から上記ポケット内へと外向きに延在するフランジを配置することを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
上記ベース部分に上記カバーをオーバーモールドすることは、上記ベース部分の外面の周りに上記カバーの下端部分をオーバーモールドすることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
上記ベース部分に上記カバーをオーバーモールドする前に、上記ベース部分の上端部分の周りに一連の穴を形成することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
上記カバーは、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、またはポリフタルアミドのうちの少なくとも1つから製造される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
センサ用気密封止アセンブリであって、
溶接適合性であるように構成された第1の材料から製造されたベース部分と、
第2の材料から製造されたカバーと、を備え、上記カバーは、上記ベース部分にオーバーモールドされている、気密封止アセンブリ。
(項目19)
上記ベース部分の上記第1の材料は金属であり、上記カバーの上記第2の材料はプラスチックである、上記項目に記載の気密封止アセンブリ。
(項目20)
上記カバーはその中に空洞を画定し、かつ上記ベース部分の外面の周りにオーバーモールドされた下端部分を有する、上記項目のいずれか一項に記載の気密封止アセンブリ。
(摘要)
円形ステープル留め器具のアダプタアセンブリは、アダプタアセンブリの管状ハウジングにかかる荷重を測定するように構成された荷重感知アセンブリを含む。荷重センサアセンブリは、センサ本体と、センサ本体によって支持された電気部品と、電気部品を封入する気密封止アセンブリとを有する。気密封止アセンブリは、型打ちされたベース部分とオーバーモールドされた上部部分とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の実施形態を添付の図面を参照して本明細書で説明する。
【
図1】本開示の一例示的実施形態による、電動ハンドルアセンブリと、アダプタアセンブリと、再装填部およびアンビルアセンブリを有するエンドエフェクタとを含む手持ち式外科用ステープル留め器具を示す斜視図である。
【
図2】
図1のアダプタアセンブリに配置されたトロカールアセンブリを示す斜視図である。
【
図3】アダプタアセンブリの管状ハウジングに組み立てられた
図2のトロカールアセンブリの、部品が分離された斜視図である。
【
図4】
図1に示されたアダプタアセンブリの管状ハウジング内に支持された荷重感知アセンブリを想像線で示す斜視図である。
【
図5】
図4の荷重感知アセンブリを示す斜視図である。
【
図6】荷重感知アセンブリの内部電気部品および気密封止アセンブリを示す、
図5の荷重感知アセンブリの、部品が分離された斜視図である。
【
図7】気密封止アセンブリの製造が完了する前の気密封止アセンブリのベース部分を示す斜視図である。
【
図8】
図6の気密封止アセンブリ示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで本開示の実施形態を図面を参照して詳細に説明するが、図中、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一のまたは対応する要素を示す。本明細書に使用される際、「臨床医」という用語は、医師、看護師、または任意の他の医療提供者を指し、医療支援従事者を含み得る。この説明全体を通して、「近位」という用語は、臨床医により近い装置またはその構成要素の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医からより遠い装置またはその構成要素の部分を指す。さらに、図面中および続く説明において、例えば、前側、後側、上側、下側、頂部、底部、および類似の方向性の用語などの用語は、単に説明の便宜のために使用されており、本開示を限定することを意図するものではない。以下の説明では、周知の機能または構成は、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために、詳細には説明しない。
【0029】
本開示は、電動外科用装置の部品に付与される機械的な歪みおよび力を監視するための電子センサを有する電動外科用装置に関する。より具体的には、本開示は、気密封止される荷重検知装置ならびにアナログデジタル回路を含むことにより荷重センサが過酷な環境に耐えるように構成される荷重測定センサに関する。荷重センサは、ベース部分を短時間型打ち加工し、次いでベース部分にカバーをオーバーモールドし、それによって荷重センサの筐体を形成することによって製造された気密封止アセンブリ内に気密封止される。気密封止アセンブリの製造は、簡単で、安価で、耐性が高く、滅菌プロセス中に荷重センサを効果的に保護する気密封止アセンブリをもたらす。
【0030】
図1~
図3を参照すると、例えば円形ステープラ10などの電動外科用装置はハンドルアセンブリ20を含み、ハンドルアセンブリ20はアダプタアセンブリ30と選択的に接続するように構成され、次いでアダプタアセンブリ30は環状再装填部40などのエンドエフェクタと選択的に接続するように構成されている。概して電動外科用装置と称されているが、外科用装置10は、手動で作動されてもよく、様々な構成を含んでもよいと考えられる。
【0031】
ハンドルアセンブリ20は、下側ハウジング部分24を有するハンドルハウジング22と、下側ハウジング部分24から延在するおよび/またはその部分24上に支持される中間ハウジング部分26と、中間ハウジング部分26の一部分から延在するおよび/またはその一部分上に支持される上側ハウジング部分28と、を含む。上側ハウジング部分28は、アダプタアセンブリ30の近位ハウジング部分34を受容するように構成された遠位部分32を有する。
【0032】
アダプタアセンブリ30は、近位ハウジング部分34から遠位側に延在する近位端部分36aと、再装填部40へ動作可能に接続するように構成された反対側の遠位端部分36bとの間に延在する管状ハウジング36を含む。アダプタアセンブリ30は、ハンドルアセンブリ20から付与される回転運動を、再装填部40のステープルを発射させるためにアダプタアセンブリ30の管状ハウジング36の遠位端部分36b内に摺動可能に配置されたトロカールアセンブリ48のトロカール部材50(
図3)を前進/後退させるのに有用な軸方向並進に変換するように構成されている。
【0033】
図3は、トロカールハウジング47と、トロカール親ねじ48と、トロカール部材50とを含むトロカールアセンブリ48を示す。トロカール部材50は、管状ハウジング36の遠位端部分36bを越えて遠位側に延在する。トロカール部材50は、トロカールアセンブリ48の親ねじ52に結合された近位端部分50aと、アンビルアセンブリ42と選択的に係合するように構成された遠位端部分50bとを含む。親ねじ52は、トロカール部材50にねじ結合され得、したがって、親ねじ52の回転は、トロカール部材50の軸方向並進をもたらす。アンビルアセンブリ42(
図1)がトロカール部材50に接続されたとき、第1の方向におけるトロカール部材50の軸方向並進により、アンビルアセンブリ42は再装填部40に対して開き、第2の反対方向におけるトロカール部材50の軸方向並進により、アンビルアセンブリ42は再装填部40に対して閉じて、それらの間に組織を捕捉する。
【0034】
図1に最もよく示されているように、再装填部40は、ハウジング44と、ハウジング44の遠位端部分にしっかり固定されたステープルカートリッジ46とを含む。ハウジング44は、アダプタアセンブリ30の管状ハウジング36の遠位端部分36bに選択的に接続するように構成されている。再装填部40は、アンビルアセンブリ42に抗して外科用ステープルの環状アレイを発射および形成するように、かつ輪状組織を切断するように構成されている。
【0035】
アダプタアセンブリおよび再装填部を含む例示的な電動外科用ステープラの詳細な説明については、2016年4月12日に出願され「Handheld Electromechanical Surgical System」と題されたContiniらの共有米国特許出願公開第2016/0310134号を参照することができる。
【0036】
図4は、ハンドルアセンブリ20および再装填部40との電気的接続、およびそれらの間の電気的接続を行うように構成された管状ハウジング36内に配置された荷重感知アセンブリ60を含むアダプタアセンブリ30を示す。荷重感知アセンブリ60は、ハンドルアセンブリ20の主コントローラ(図示せず)との通信(例えば、識別データ、ライフサイクルデータ、システムデータ、荷重感知信号)を提供する。荷重検知アセンブリ60は、鉗子締め、ステープル留め、切断、および他の機械的作動の間にアンビルアセンブリ42に結合されたときに、トロカール部材50の運動中にアダプタアセンブリ30に付与される歪み測定値を提供する。
【0037】
図4~
図6は、センサ本体62と、電気部品をセンサ本体62で密閉するための気密封止アセンブリ80とを含む荷重感知アセンブリ60を示す。センサ本体62は、トロカールアセンブリ48(例えば、トロカール部材50)を摺動可能に動かすように構成された通路64を画定している。センサ本体62は、応力を受けたときにセンサ本体62が弾性変形することを可能にする、ステンレス鋼などの任意の適切な材料から形成され得る。実施形態では、センサ本体62は、H-900標準に熱処理された17-4ステンレス鋼などのステンレス鋼から製造され得る。荷重感知アセンブリ60の電気部品は、センサ本体62内に画定されたポケット70(
図6)内に配置された荷重センサ回路66と、荷重センサ回路66に電気機械的に結合され、かつ気密封止アセンブリ80内に受容された信号処理ユニット68とを含む。
【0038】
センサ本体62の設計により、荷重がかけられたときに均一な屈曲が可能である。均一な荷重および結果として生じる歪み出力により、荷重感知アセンブリ60の荷重センサ回路66は、センサ本体62の線形歪み出力を提供する。信号処理回路68は、荷重センサ回路66からの信号に対して信号処理を行い、測定信号をハンドルアセンブリ20に出力するように構成されたアナログおよびデジタル回路部品(例えば、コントローラ)を含む。外科用装置10の動作、すなわち鉗子締め、ステープル留め、および切断の間、センサ本体62は、(支持ビームと同様に)弾性変形する。特に、センサ本体62の撓みにより、荷重センサ回路66に力が加わり、荷重センサ回路66が変形してその電気抵抗を増加させ、それが、その測定信号に反映される。測定信号のベースラインの変化は、鉗子締め、ステープル留め、および切断の間に受ける力を示す。
【0039】
荷重感知アセンブリ60の電気部品の構成および動作のより詳細な説明については、2019年2月6日に出願された米国仮出願第62/801,979号を参照することができる。
【0040】
図5~
図8は、電気部品(例えば、荷重センサ回路66および信号処理ユニット68)を密閉して、アダプタアセンブリ30の使用中およびアダプタアセンブリ30の滅菌中、損傷から電気部品を保護する、荷重感知アセンブリ60の気密封止アセンブリ80を示す。気密封止アセンブリ80は、センサ本体62のポケット70内に受容されるベース部分82と、ベース部分82にオーバーモールドされたカバー84とを含む。
【0041】
ベース部分82は、金属(例えば、ステンレス鋼)から製造され、短時間型打ち加工によって形成されている。態様では、ベース部分82は、任意の適切な材料を使用して機械加工され得る。ベース部分82は、それぞれ開口部84、86を画定する上端部分82aおよび下端部分82bを有する。ベース部分82の下端部分82bは、そこから外向きに延在するフランジ88を有する。フランジ88は、センサ本体62のポケット70内の対応する形状の座部72上に支持されるように構成されている。上端部分82bは、上端部分82bの周りに配置された一連の穴92を画定する外面90を有する。いくつかの態様では、外面90には穴92がなくてもよい。穴92は、オーバーモールド中にカバー84をベース部分82に固定するのを容易にする。
【0042】
カバー84は、プラスチックから製造され、ベース部分82の周りにオーバーモールドされた下端部分85を有する。カバーは、例えば、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、および/またはポリフタルアミドなど、オーバーモールドでの使用に適した任意の材料から製造され得る。カバー84は、信号処理回路68を受容するように構成された空洞94をその中に画定している。
【0043】
気密封止アセンブリ80を製造するためには、ベース部分82が、金属シートを短時間型打ち加工し、その上端部分82aに一連の穴92を形成することにより製造される。ベース部分82は、プラスチック射出成形金型内に配置され、ベース部分82を適所に保持するための相補形コアの上に挿入される。カバー84が、ベース部分82の周りにオーバーモールドされ、それにより、カバー84をベース部分82に固定し、筐体を形成する。
【0044】
信号処理回路68は、荷重センサ回路66に電気機械的に結合され、荷重センサ回路66は、センサ本体62のポケット70内に受容される。気密封止アセンブリ80は、レーザー溶接を使用してベース部分82のフランジ88をセンサ本体62の段部72に取り付けることにより、センサ本体62に装着される。接着剤、摩擦嵌合係合など、気密封止アセンブリ80をセンサ本体62に固定するための他の適切な機構も考えられる。気密封止アセンブリ80をセンサ本体62上に配置すると、荷重センサ回路66は、気密封止アセンブリ80とセンサ本体62との間に封入され、信号処理回路68は、カバー84内に画定された空洞94内に配置される。
【0045】
開示されたアダプタアセンブリの実施形態に対して様々な変更がなされ得ることが理解されよう。したがって、上の説明は、限定するものではなく、単に実施形態の例証として解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の範囲および趣旨内での他の変更を想定するであろう。