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特許7539257ワイヤレス信号による測位のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ワイヤレス信号による測位のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240816BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【請求項の数】 26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020089864
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2020193972
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】16/422,931
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510145967
【氏名又は名称】ユー-ブロックス、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】u-blox AG
【住所又は居所原語表記】Zuercherstrasse 68, CH-8800 Thalwil, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、ブライアン、マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】ジャコモ、ポヤニ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ、リッチャト
(72)【発明者】
【氏名】マティヤ、レザル
(72)【発明者】
【氏名】エリーク、シュトゥルムベリェ
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0171025(US,A1)
【文献】特開2013-181988(JP,A)
【文献】特開2003-204573(JP,A)
【文献】特表2001-521154(JP,A)
【文献】特表2006-521533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定するための方法であって、前記1つまたは複数のターゲット受信機および1つまたは複数の基準受信機が、不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号を受信するように構成され、前記方法が、
前記1つまたは複数のターゲット受信機の各々が前記複数のソースの各々から送信された信号の少なくとも一部分を受信する、前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の到達時間を取得することと、
前記1つまたは複数の基準受信機から、前記1つまたは複数の基準受信機が前記1つまたは複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された前記複数の信号の対応する部分を受信するときと関連付けられた、前記1つまたは複数の基準受信機における前記複数の信号の複数の到達時間を取得することであって、前記1つまたは複数の基準受信機が複数の既知の基準位置に位置し、互いにまたは前記複数のソースと同期されていないことと、
前記それぞれの1つまたは複数の基準受信機における前記複数の到達時間、前記複数の基準位置、および前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記到達時間に基づいて、計算によって前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定することと
を備え
前記複数のソースが、前記複数のソースから送信された前記複数の信号を反射する物体から発生する1つまたは複数の仮想ソースを備える、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定することが、
前記それぞれの1つまたは複数の基準受信機における前記複数の信号の前記複数の到達時間、前記複数の基準位置、および前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の前記到達時間が既知の変数である複数の方程式を構築することと、
前記複数の方程式を解くことにより前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定することが、
前記1つまたは複数の基準受信機の中の基準受信機の第1のグループにおける前記複数の信号の到達時間、および基準受信機の前記第1のグループの基準位置が既知の変数である方程式の第1のセットを構築することと、
方程式の前記第1のセットを解くことにより前記複数の信号が入射する方向を特定することと、
前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の前記到達時間、前記複数の信号の前記方向、および前記1つまたは複数の基準受信機の中の基準受信機の第2のグループにおける前記複数の信号の到達時間が既知の変数である方程式の第2のセットを構築することと、
方程式の前記第2のセットを解くことにより前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基準受信機の前記第1のグループが基準受信機の前記第2のグループと同じかまたは異なる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のターゲット受信機が別の特定において基準受信機として使用され得るように、前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記特定された位置を追加の基準位置として入力すること
をさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定することが、
前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の前記到達時間、前記それぞれの1つまたは複数の基準受信機における前記複数の信号の前記複数の到達時間、および前記複数の基準位置を測位エンジンに送信することと、
前記測位エンジンによって特定された前記1つまたは複数のターゲット受信機の位置情報を受信することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定することが、
前記複数の基準受信機のうちの少なくとも1つおよび前記1つまたは複数のターゲット受信機のうちの少なくとも1つにより、前記計算の一部分を実行することと、
前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定するために、前記1つまたは複数の基準受信機と前記1つまたは複数のターゲット受信機との間で計算結果を通信することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の方程式が、異なる時点にソースから繰り返し送信された信号に基づいて構築される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
曲線または直線を使用して前記1つまたは複数のターゲット受信機および前記1つまたは複数の基準受信機の近隣における1つまたは複数の信号伝搬波面を近似すること
をさらに備え、
前記曲線または前記直線の方位が、前記複数のソースからの前記複数の信号の各々の方向に関係し、
前記曲線または前記直線の曲率が、前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定する際に使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のソースが、1つまたは複数のワイヤレスネットワークの1つまたは複数の送信機を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のソースが、前記複数のソースから送信された前記複数の信号を散乱させる物体から発生する1つまたは複数の仮想ソースを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の基準受信機によって受信された前記複数の信号が、前記複数のソースから送信されたダウンリンク信号を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の基準受信機によって受信された前記複数の信号が、前記1つもしくは複数のターゲット受信機から送信された少なくとも1つのアップリンク信号をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のソースの相対時間が知られていないか、または
前記複数のソースの相対時間が3.3ナノ秒よりも大きい精度誤差の大きさを有すると知られているとき、
前記複数のソースが互いに同期されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
自分の位置または他のデバイスの位置を特定するように構成されたデバイスであって、前記デバイスが、
受信機であって、
不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号を受信することと、
前記受信機が前記複数のソースの各々から送信された信号の少なくとも一部分を受信する、前記受信機における前記複数の信号の到達時間を取得することと
を行うように構成された受信機と、
前記受信機における前記複数の信号の前記到達時間、前記1つまたは複数の基準受信機における前記複数の信号の複数の到達時間、および前記1つまたは複数の基準受信機の複数の基準位置に基づいて計算を実行することにより前記デバイスの前記位置を特定することであって
前記1つまたは複数の基準受信機における前記複数の信号の前記複数の到達時間が、前記1つまたは複数の基準受信機が前記1つまたは複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された前記複数の信号の対応する部分を受信する時間であり、前記1つまたは複数の基準受信機が、既知の位置に位置し、互いにまたは前記複数のソースと同期されていないこと
を行うように構成されたプロセッサと
を備え
前記複数のソースが、前記複数のソースから送信された前記複数の信号を反射する物体から発生する1つまたは複数の仮想ソースを備える、デバイス。
【請求項16】
前記受信機が第1の受信機であり、前記複数の信号が第1の信号であり、前記デバイスが、
衛星システムから第2の信号を受信するように構成された第2の受信機
をさらに備える、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスが、
前記衛星システムから受信された前記第2の信号が前記デバイスの前記位置を特定するか、または
前記デバイスの前記位置が前記計算によって特定される
とき、測位システムにおける基準受信機として使用されるように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記受信機が、前記受信機における前記複数の信号の前記到達時間を外部デバイスに送信するように構成されたトランシーバ・モデムの一部分である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
1つまたは複数のターゲット・デバイスの1つまたは複数の不明な位置を特定するように構成された装置であって、前記装置が、
前記1つまたは複数のターゲット・デバイスから、不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号の対応する部分を前記1つまたは複数のターゲット・デバイスが受信するときと関連付けられた前記複数の信号の到達時間を受信することと、
1つまたは複数の基準デバイスから、前記1つまたは複数の基準デバイスの1つまたは複数の基準位置、および前記1つまたは複数の基準デバイスのローカル・クロックに従って測定された前記複数の信号の対応する部分を前記1つまたは複数の基準デバイスが受信するときと関連付けられた前記複数の信号の到達時間を受信することであって、前記複数の基準デバイスが互いに、または前記複数のソースと同期されていないことと
を行うように構成された少なくとも1つの第1の通信インターフェースと、
前記それぞれの1つまたは複数の基準デバイスにおける前記複数の信号の到達時間、前記1つまたは複数の基準位置、および前記1つまたは複数のターゲット・デバイスにおける前記複数の信号の前記到達時間に基づいて、計算を実行することにより前記1つまたは複数のターゲット・デバイスの前記1つまたは複数の不明な位置を特定すること
を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
前記1つまたは複数のターゲット・デバイスの前記特定された1つまたは複数の位置に関する情報を送信すること
を行うように構成された少なくとも1つの第2の通信インターフェースと
を備え
前記複数のソースが、前記複数のソースから送信された前記複数の信号を反射する物体から発生する1つまたは複数の仮想ソースを備える、装置。
【請求項20】
前記1つまたは複数のターゲット・デバイスおよび前記1つまたは複数の基準デバイスに入射する前記複数の信号の方向を含む測位情報を記憶するように構成されたストレージをさらに備え、
前記装置が外部デバイスと前記測位情報を共有するように構成される、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサが、
座標系の原点に対する前記複数のソースの方向を特定する
ように構成される、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
プロセッサによって実行されると、1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定するための方法を実行する命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記1つまたは複数のターゲット受信機および1つまたは複数の基準受信機が、不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号を受信するように構成され、前記方法が、
前記1つまたは複数のターゲット受信機の各々が前記複数のソースの各々から送信された信号の少なくとも一部分を受信する、前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の到達時間を取得することと、
前記1つまたは複数の基準受信機から、前記1つまたは複数の基準受信機が前記1つまたは複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された前記複数の信号の対応する部分を受信するときと関連付けられた前記複数の信号の複数の到達時間を取得することであって、前記1つまたは複数の基準受信機が複数の既知の基準位置に位置し、互いにまたは前記複数のソースと同期されていないことと、
前記それぞれの1つまたは複数の基準受信機における前記複数の信号の前記複数の到達時間、前記複数の基準位置、および前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の前記到達時間に基づいて、計算によって前記1つまたは複数のターゲット受信機の前記位置を特定することと
を備え
前記複数のソースが、前記複数のソースから送信された前記複数の信号を反射する物体から発生する1つまたは複数の仮想ソースを備える、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
座標系の原点に対する複数のソースの方向を特定するための方法であって、前記複数のソースが互いに同期されておらず、前記複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号が、1つまたは複数のターゲット受信機および1つまたは複数の基準受信機によって受信され、前記方法が、
前記1つまたは複数のターゲット受信機の各々が前記複数のソースの各々から送信された信号の少なくとも一部分を受信する、前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の到達時間を取得することであって、前記1つまたは複数のターゲット受信機が不明な位置に位置することと、
前記1つまたは複数の基準受信機から、前記1つまたは複数の基準受信機が前記1つまたは複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された前記複数の信号の対応する部分を受信するときと関連付けられた前記複数の信号の複数の到達時間を取得することであって、前記1つまたは複数の基準受信機が既知の基準位置に位置し、互いにまたは前記複数のソースと同期されていないことと、
前記それぞれの1つまたは複数の基準受信機における前記複数の信号の前記複数の到達時間、前記複数の基準位置、および前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の前記到達時間に基づいて、計算によって前記複数のソースの前記方向を特定することと
を備え
前記複数のソースが、前記複数のソースから送信された前記複数の信号を反射する物体から発生する1つまたは複数の仮想ソースを備える、方法。
【請求項24】
前記座標系の前記原点に対する前記複数のソースの前記方向を特定することが、
前記それぞれの1つまたは複数の基準受信機における前記複数の信号の前記複数の到達時間、前記複数の基準位置、および前記1つまたは複数のターゲット受信機における前記複数の信号の前記到達時間が既知の変数である複数の方程式を構築することと、
前記複数の方程式を解くことにより前記1つまたは複数のソースの前記方向を特定することと
をさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記座標系の前記原点に対する前記複数のソースの前記方向を特定することが、
前記複数のソースと前記1つまたは複数のターゲット受信機との間の距離を特定すること
をさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のソースと前記1つまたは複数のターゲット受信機との間の前記距離を特定することが、
曲線または直線を使用して前記1つまたは複数のターゲット受信機および前記1つまたは複数の基準受信機の近隣における信号伝搬波面を近似することと、
近似された信号伝搬波面の曲率を特定することと
を備える、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示と一致する装置および方法は、一般に、測位に関し、より詳細には、ローカル環境において利用可能な信号を使用してデバイスの位置を特定するための方法、システム、およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星測位は現代社会において広く普及している。しかしながら、衛星信号受信が弱いかまたは利用できないので、衛星測位システムが働かない多くのケース、たとえば、屋内または地下が存在する。
【0003】
そのようなケースでは、他のタイプの信号を利用することができる測位システムが使用されてよい。たとえば、セルラー基地局から送信されるワイヤレス信号が測位に使用されてよい。そのような信号は、必ずしも測位機能を提供することを対象としているとは限らず、したがって、「シグナル・オブ・オポチュニティ(Signals of Opportunity)」(「SoOp」)と呼ばれる場合がある。受信機の不明な位置は、受信機とシグナル・オブ・オポチュニティを送信する送信機との間の距離を特定することによって推定されてよい。しかしながら、送信機の正確な位置および送信のタイミングは利用できない可能性があり、測位システムにおいてシグナル・オブ・オポチュニティを利用する際の困難さがもたらされる。
【発明の概要】
【0004】
本開示のいくつかの実施形態によれば、1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定するための方法が提供され、1つまたは複数のターゲット受信機および1つまたは複数の基準受信機は、不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号を受信するように構成される。方法は、1つまたは複数のターゲット受信機の各々が複数のソースの各々から送信された信号の少なくとも一部分を受信する、1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間を取得することと、1つまたは複数の基準受信機から、1つまたは複数の基準受信機が1つまたは複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された複数の信号の対応する部分を受信するときと関連付けられた複数の信号の複数の到達時間を取得することであって、1つまたは複数の基準受信機が複数の既知の基準位置に位置し、互いにまたは複数のソースと同期されていない、取得することと、それぞれの1つまたは複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間、複数の基準位置、および1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間に基づいて、計算によって1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定することとを備える。1つまたは複数の基準受信機および1つまたは複数のターゲット受信機は、同じタイプのデバイスであってよい。
【0005】
方法では、1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定することは、それぞれの1つまたは複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間、複数の基準位置、1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間が既知の変数である複数の方程式を構築することと、複数の方程式を解くことにより1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定することとをさらに含んでよい。
【0006】
方法では、1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定することは、1つまたは複数の基準受信機の中の基準受信機の第1のグループにおける複数の信号の到達時間、および基準受信機の第1のグループの基準位置が既知の変数である方程式の第1のセットを構築することと、方程式の第1のセットを解くことにより複数の信号が入射する方向を特定することと、1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間、複数の信号の方向、および1つまたは複数の基準受信機の中の基準受信機の第2のグループにおける複数の信号の到達時間が既知の変数である方程式の第2のセットを構築することと、方程式の第2のセットを解くことにより1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定することとをさらに含んでよい。
【0007】
方法では、基準受信機の第1のグループは、基準受信機の第2のグループと異なっていてよい。方法は、1つまたは複数のターゲット受信機が別の特定において基準受信機として使用され得るように、1つまたは複数のターゲット受信機の特定された位置を追加の基準位置として入力することをさらに含んでよい。
【0008】
方法では、1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定することは、1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間、それぞれの1つまたは複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間、および複数の基準位置を測位エンジンに送信することと、測位エンジンによって特定された1つまたは複数のターゲット受信機の位置情報を受信することとをさらに含んでよい。
【0009】
方法では、1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定することは、1つまたは複数の基準受信機のうちの少なくとも1つおよび1つまたは複数のターゲット受信機のうちの少なくとも1つにより、計算の一部分を実行することと、1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定するために1つまたは複数の基準受信機と1つまたは複数のターゲット受信機との間で計算結果を通信することとをさらに含んでよい。方法では、複数の方程式は、異なる時点に送信機から繰り返し送信された信号に基づいて構築されてよい。
【0010】
方法は、曲線または直線を使用して1つまたは複数のターゲット受信機および1つまたは複数の基準受信機の近隣における信号伝搬波面を近似することをさらに含み、曲線または直線の方位は複数のソースからの複数の信号の方向に関係し、曲線の曲率は受信機の位置を特定する際に使用される。
【0011】
方法では、複数のソースは、1つまたは複数のワイヤレスネットワークの1つまたは複数の送信機を含んでよい。複数のソースは、複数のソースから送信された複数の信号を反射する物体から発生する1つまたは複数の仮想ソースを含んでよい。複数のソースは、複数のソースから送信された複数の信号を散乱させる物体から発生する1つまたは複数の仮想ソースを含んでよい。
【0012】
方法では、1つまたは複数の基準受信機によって受信された複数の信号は、複数のソースから送信されたダウンリンク信号であってよい。1つまたは複数の基準受信機によって受信された複数の信号は、1つもしくは複数のターゲット受信機または1つもしくは複数の基準受信機から送信された少なくとも1つのアップリンク信号をさらに含んでよい。複数のソースの相対時間が知られていないか、または複数のソースの相対時間が3.3ナノ秒よりも大きい精度誤差の大きさを有すると知られているとき、複数のソースは互いに同期されていない場合がある。
【0013】
自分の位置または他のデバイスの位置を特定するように構成されたデバイスも提供される。デバイスは、不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号を受信し、受信機が複数の信号の少なくとも一部分を受信する、受信機における複数の信号の到達時間を取得するように構成された受信機と、受信機における複数の信号の到達時間、1つまたは複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間、および1つまたは複数の基準受信機の複数の基準位置に基づいて計算を実行することにより、デバイスの位置を特定するように構成されたプロセッサとを含み、1つまたは複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間は、1つまたは複数の基準受信機が1つまたは複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された複数の信号の対応する部分を受信する時間であり、1つまたは複数の基準受信機は、既知の位置に位置し、互いに同期されていない。
【0014】
デバイスは、衛星システムから第2の信号を受信するように構成された第2の受信機をさらに含んでよい。衛星システムから受信された第2の信号がデバイスの位置を特定するか、またはデバイスの位置が計算によって特定されるとき、デバイスは測位システムにおいて基準受信機として使用されるように構成されてよい。受信機は、受信機における複数の信号の到達時間を外部デバイスに送信するように構成されたトランシーバ・モデムの一部分であってよい。
【0015】
1つまたは複数のターゲット・デバイスの1つまたは複数の不明な位置を特定するように構成された装置がさらに提供される。装置は、1つまたは複数のターゲット・デバイスから、不明な位置に位置し互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号の対応する部分を1つまたは複数のターゲット・デバイスが受信するときと関連付けられた複数の信号の1つまたは複数の到達時間を受信することと、1つまたは複数の基準デバイスから、1つまたは複数の基準デバイスの1つまたは複数の基準位置、および複数の基準デバイスのローカル・クロックに従って測定された複数の信号の対応する部分を1つまたは複数の基準デバイスが受信するときと関連付けられた複数の信号の到達時間を受信することであって、1つまたは複数の基準デバイスが互いにまたは複数のソースと同期されていない、受信することとを行うように構成された少なくとも1つの第1の通信インターフェースと、それぞれの1つまたは複数の基準デバイスにおける複数の信号の到達時間、1つまたは複数の基準位置、および1つまたは複数のターゲット・デバイスにおける複数の信号の到達時間に基づいて計算を実行することにより、1つまたは複数の基準デバイスの1つまたは複数の不明な位置を特定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、1つまたは複数のターゲット・デバイスの特定された1つまたは複数の位置に関する情報を送信するように構成された少なくとも1つの第2の通信インターフェースとを含む。
【0016】
装置は、1つまたは複数のターゲット・デバイスおよび1つまたは複数の基準デバイスに入射する複数の信号の方向を含む測位情報を記憶するように構成されたストレージをさらに含んでよく、装置は、外部デバイスと測位情報を共有するように構成されてよい。
【0017】
プロセッサによって実行されると、1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定するための方法を実行する命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体がさらに提供され、1つまたは複数のターゲット受信機および1つまたは複数の基準受信機は、不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号を受信するように構成される。方法は、1つまたは複数のターゲット受信機の各々が複数のソースの各々から送信された信号の少なくとも一部分を受信する、1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間を取得することと、1つまたは複数の基準受信機から、1つまたは複数の基準受信機が1つまたは複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された複数の信号の対応する部分を受信するときと関連付けられた複数の信号の複数の到達時間を取得することであって、1つまたは複数の基準受信機が複数の既知の基準位置に位置し、互いにまたは複数のソースと同期されていない、取得することと、それぞれの1つまたは複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間、複数の基準位置、および1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間に基づいて、計算によって1つまたは複数のターゲット受信機の位置を特定することとを含んでよい。
【0018】
座標系の原点に対する複数のソースの方向を特定するための方法がさらに提供され、複数のソースは互いに同期されておらず、複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号は、1つまたは複数のターゲット受信機および1つまたは複数の基準受信機によって受信される。方法は、1つまたは複数のターゲット受信機の各々が複数のソースの各々から送信された信号の少なくとも一部分を受信する、1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間を取得することであって、1つまたは複数のターゲット受信機が不明な位置に位置する、取得することと、1つまたは複数の基準受信機から、1つまたは複数の基準受信機が1つまたは複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された1つまたは複数の信号の対応する部分を受信するときと関連付けられた複数の信号の複数の到達時間を取得することであって、1つまたは複数の基準受信機が既知の基準位置に位置し、互いにまたは複数のソースと同期されていない、取得することと、それぞれの1つまたは複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間、複数の基準位置、および1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間に基づいて、計算によって座標系の原点に対する複数のソースの方向を特定することとを含んでよい。
【0019】
座標系の原点に対する複数のソースの方向を特定することは、それぞれの1つまたは複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間、複数の基準位置、および1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間が既知の変数である複数の方程式を構築することと、複数の方程式を解くことにより1つまたは複数のソースの方向を特定することとをさらに含んでよい。
【0020】
座標系の原点に対する1つまたは複数のソースの方向を特定することは、複数のソースと1つまたは複数のターゲット受信機との間の距離を特定することをさらに含んでよい。複数のソースと1つまたは複数のターゲット受信機との間の距離を特定することは、曲線または直線を使用して1つまたは複数のターゲット受信機および1つまたは複数の基準受信機の近隣における信号伝搬波面を近似することと、近似された信号伝搬波面の曲率を特定することとを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示のいくつかの実施形態と一致する、受信機の位置を特定するための例示的な測位システムを示す概略図である。
図2A】本開示のいくつかの実施形態と一致する、ターゲット受信機の位置を特定するために1ステップ計算を実行する例示的な方法を示す概略図である。
図2B】本開示のいくつかの実施形態と一致する、ターゲット受信機の位置を特定するために2ステップ計算を実行する例示的な方法を示す概略図である。
図3A】本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システムの分散計算方式を示す概略図である。
図3B】本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システムの中央計算方式を示す概略図である。
図4A】本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システム内の座標系の原点に対する信号源の方向を示す概略図である。
図4B】本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システム内の信号波面近似を示す概略図である。
図4C】本開示のいくつかの実施形態と一致する、信号波面近似の誤差を示す概略図である。
図5A】本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システム内のソースの凸包および基準受信機の凸包を示す概略図である。
図5B】本開示のいくつかの実施形態と一致する、空間次元の関数として幾何学的精度低下率を示す概略図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態と一致する、見掛けの信号源を含む測位システムを示す概略図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態と一致する、アップリンク信号およびダウンリンク信号を利用する測位システムを示す概略図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態と一致する、自分の位置または他のデバイスの位置を特定するように構成されたデバイスのブロック図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態と一致する、デバイスの位置を特定する例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、例示的な実施形態に対して詳細に参照が行われ、それらの例が添付図面に示される。以下の説明は添付図面を参照し、添付図面では、特に表されない限り、異なる図面の同じ番号は同じまたは同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本開示と一致するすべての実装形態を表すとは限らない。代わりに、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙された本開示に関係する態様と一致する、システム、装置、および方法の例にすぎない。
【0023】
測位システムでは、不明な位置に配置された送信機から不明な時間に送信されるシグナル・オブ・オポチュニティを使用するために、信号を受信する複数の基準受信機を使用して、送信時間および送信機の位置が推定されてよい。送信時間および送信機の位置の推定は、通常、複数の基準受信機がナノ秒オーダーの精度で同期されることを必要とする。しかしながら、基準受信機に対するそのような厳密な同期要件は困難かつ高価であり、したがって、測位システムにおけるシグナル・オブ・オポチュニティの実際の応用が制限される。
【0024】
たとえば、厳密な同期要件を満たすために、全地球航法衛星システム(GNSS)、原子時計、メッセージ交換プロトコル、またはパルス結合を使用する方法が使用されてよい。これらの方法は、しかしながら、専用ハードウェア、ならびに/または価値のある帯域幅およびエネルギーの利用を必要とし、受信機のコスト、電力消費、サイズ、および重量の増加につながる。また、これらの方法の使用は、いくつかの制限も課される。第1の例として、GNSS信号はスペクトル拡散技法を用いて衛星から送信されるので、それらの電力レベルは地上では低い可能性があり、したがって、GNSS信号の受信は、屋内ならびにいくつかの他の厳しい伝搬環境では困難または不可能のいずれかである。同じ理由で、GNSS信号はまた、受信機の周囲のいかなる干渉電力にも脆弱である。第2の例として、メッセージ交換プロトコルまたはパケット結合方法は、受信機間で常にタイムスタンプを渡す。これらの交換の強度のせいで、チャネル容量およびエネルギーの効率的な使用は行われるべきであり、メッセージ衝突を回避する能力に依存する。代替は、効率的でないことが知られているチャネルのランダム・アクセスを中心にして構築されたプロトコルを使用することである。第3の例として、パルス結合方法は、受信機が同期に特有の周期信号をブロードキャストする2次ソースとしても動作することを必要とする。これらのパルスは、(ソース間の距離およびその結果生じる伝搬遅延が知られている、制御された環境内で達成され得る)無視できるかまたは既知の伝搬遅延で他の受信機に到達し、チャネル内のいかなる相互干渉も回避するはずである。これらの要件は、特に、劣悪な伝搬環境および乏しい電力または帯域幅の可用性では、満たすことが困難である。
【0025】
本開示の実施形態は、1つまたは複数のターゲット受信機の不明な位置を特定するための方法、デバイス、およびシステムを提供し、1つまたは複数のターゲット受信機および複数の基準受信機は、不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された複数の信号を受信するように構成される。方法では、1つまたは複数のターゲット受信機は、1つまたは複数のターゲット受信機の各々が複数の信号の少なくとも一部分を受信する、1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間を受信し、複数の基準受信機は、複数の基準受信機が複数の基準受信機のローカル・クロックに従って測定された複数の信号の対応する部分を受信するときと関連付けられた複数の信号の複数の到達時間を取得し、複数の基準受信機は、複数の既知の基準位置に位置し、互いにまたは複数のソースと同期されておらず、ターゲット受信機の不明な位置は、それぞれの複数の基準受信機における複数の信号の複数の到達時間、複数の基準位置、および1つまたは複数のターゲット受信機における複数の信号の到達時間に基づいて、計算によって特定される。
【0026】
本開示に開示された実施形態は、1つまたは複数の技術的効果を有する。いくつかの実施形態では、方法、デバイス、およびシステムは、不明な位置に位置し、互いに同期されていない複数のソースから不明な時間に送信された信号を利用することにより、ターゲット受信機の不明な位置を特定することができる。これにより、複数のソースの事業者に依存することなく、世界中で自由にターゲット受信機の不明な位置の特定が可能になる。いくつかの実施形態では、方法、デバイス、およびシステムは、いかなる追加のハードウェアも必要とせずに、1組の方程式を使用して測位システムにおいてすべての不明なパラメータ(たとえば、送信時間および複数のソースの位置、時間オフセット、ターゲット受信機の不明な位置など)を一緒に解くことができる。これにより、同期されていない信号および同期されていない基準受信機の効率的で柔軟性がある利用が可能になり、コスト有効性、多用性、実行可能性、および可搬性の向上につながる。いくつかの実施形態では、複数のソースからの信号に対する追加または代替として、方法、デバイス、およびシステムはさらに、見掛けの信号源による反射または散乱から発生する信号を利用することができる。見掛けのソースを利用することにより、受信機は反射または散乱した信号を測位のために捕捉することができるので、困難な伝搬条件下(たとえば、屋内)であっても、どこでも測位が実行されてよい。いくつかの実施形態では、1組の方程式を解く際に、方法、デバイス、およびシステムは、平面波面近似、固定曲率波面近似、または空間内のソース・ポイントの推定値から評価された波面曲線のうちの少なくとも1つに対応する、信号の異なる程度の角度多様性を識別することができる。信号の入射方向を推定し、波面の適切なローカル近似を選択することにより、信号源からの距離または信号源の実際の位置を特定する必要性が排除されてよく、したがって、未知数の数(したがって、必要な測定値の数)および結果として生じる方程式の解の空間が削減され、測位用のカバレージエリアの増大、ならびにコスト、電力消費、およびターゲット受信機の位置の測定値を通信するトラフィックの削減につながる。いくつかの実施形態では、ダウンリンク信号に加えて、方法、デバイス、およびシステムは、測位システムにおいてアップリンク信号も利用することができる。これにより、測位システムによって使用される信号源の地理空間トポロジーおよびシグナル・オブ・オポチュニティの測距情報の内容の強化が可能になり、ターゲット受信機の位置の推定精度の向上につながる。
【0027】
図1は、本開示のいくつかの実施形態と一致する、例示的な測位システムを示す概略図である。図1を参照すると、例示的な測位システム100は、複数の信号源(ソース102、104、106、108、110、112、および114)、複数の基準受信機(基準116、118、および120)、ならびに複数のターゲット受信機(ターゲット122および124)を備える。複数の信号源の中で、ソース102~110は、ワイヤレス信号を生成し送信する信号送信機であってよい。ソース112および114は、図6に関して説明されるように、ソース102~110から送信されたワイヤレス信号を反射するかまたは散乱させる物体から発生する見掛けの(仮想)ソースであってよい。ソース112および114は、信号測位プロセスの間、固定位置に配置されるか、または移動可能であってよい。いくつかの実施形態では、信号送信機はセルラー基地局であってよく、信号はワイヤレス・セルラー信号であってよい。しかしながら、信号はそのように限定されず、任意のソースから送信される任意の電磁波が測位システムにおいて使用されてよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の信号源は、複数の基準受信機および複数のターゲット受信機に不明な位置に配置される場合がある。いくつかの実施形態では、複数の信号源は、アクティブにも故意にも測位システムに参加しない場合があり、信号が複数の信号源から送信された時間(「送信時間」)は、複数の基準受信機および複数のターゲット受信機に不明な場合がある。いくつかの実施形態では、複数の信号源は異なるネットワークに属する場合があり、したがって、互いに気付かない場合がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の信号源は、互いに同期されていない場合があり、それらの相対タイミングは十分な精度で知られていない。いくつかの実施形態では、ソース102~110は、互いに完全に同期されておらず、それらの相対タイミングは完全に不明である。別の実施形態では、ソース102~110の相対タイミングに関する何らかの知識があり得るが、これは、測位の目的に必要な性能を提供するには不十分または不正確であり得る。一実施形態では、信号源の同期の精度誤差の大きさは、3.3ナノ秒(ns)以下であり得る。別の実施形態では、信号源の同期の精度誤差の大きさは、1ナノ秒(ns)以下であり得る。いくつかの実施形態では、複数の信号源は、測位動作の存続期間にわたって同じかまたは同様のクロック周波数を有することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数のターゲット受信機(ターゲット122および124)は不明な位置に配置される場合があり、それらの位置は測位システム100によって推定されるべきである。図1は2つのターゲット受信機を示すが、ターゲット受信機の数はそのように限定されず、測位プロセスにおいて任意の数のターゲット受信機が位置特定されてよい。ターゲット受信機の各々は、複数の信号源から信号の少なくとも一部分を受信するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、複数のターゲット受信機のうちの少なくとも1つは、信号送信機を含むトランシーバ・モデムの一部分であってよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数の基準受信機(基準116、118、および120)は、複数の既知の位置に配置され、複数の信号源から信号を受信するように構成されてよい。図1は3つの基準受信機を示すが、基準受信機の数はそのように限定されず、測位プロセスにおいて任意の数の基準受信機が使用されてよい。一実施形態では、少なくとも3つの基準受信機が存在する。一実施形態では、複数の基準受信機は固定された位置に配置されてよい。別の実施形態では、複数の基準受信機は移動中であってよいが、それらの移動経路は、それらの位置が測位プロセスの間知られるように追跡されてよい。複数の基準受信機は、ランダムに、またはアレイとして配置されてよい。いくつかの実施形態では、複数の基準受信機のうちの少なくとも1つは、信号送信機を含むトランシーバ・モデムの一部分であってよい。一実施形態では、複数の基準受信機および複数のターゲット受信機は、同じタイプのデバイスであってよい。別の実施形態では、複数の基準受信機および複数のターゲット受信機は、異なるタイプのデバイスであってよい。いくつかの実施形態では、基準受信機およびターゲット受信機は、同じ物理デバイスであってよい。たとえば、単一のデバイスは、あるときは、既知の位置において測定値を収集することにより基準受信機の役割を演じ、(通常だが、必ずしも後ではない)別のときは、不明な位置にあるターゲット受信機の役割を演じることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、複数の基準受信機は、互いに同期されていない場合があり、それらの相対タイミングは十分な精度で知られていない。一実施形態では、基準116、118、および120は、互いに完全に同期されておらず、それらの相対タイミングは完全に不明である。別の実施形態では、基準116、118、および120の相対タイミングに関する何らかの知識があり得るが、これは、測位の目的に必要な性能を提供するには不十分または不正確であり得る。一実施形態では、複数の基準受信機の同期の精度誤差の大きさは、1ナノ秒(ns)以下であり得る。いくつかの実施形態では、複数の基準受信機は、測位プロセスの存続期間にわたって同じかまたは同様のクロック周波数を有することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、複数の信号源の位置および送信時間は複数の基準受信機に不明であり、したがって、複数の信号源からの信号は、不明な位置から不明な時間に送信される任意のシグナル・オブ・オポチュニティである。複数の信号源と複数の基準受信機との間の相互作用は受動的であってよく、たとえば、それらの間の測距情報のアクティブな交換は存在しなくてよい。
【0034】
複数の信号源からの信号を受信すると、複数の基準受信機および複数のターゲット受信機は、受信機における信号の到達時間を取得する。いくつかの実施形態では、信号を受信すると、複数の基準受信機および複数のターゲット受信機は、タイムスタンプ付き波形、予想される信号に対する相関関係に従うチャネルインパルス応答、それらの信号レベルを有する一組の測定された経路到達時間、または到達時間推定値などの、様々な形態で入る場合がある時間情報を取得することができる。時間情報は、信号の到達時間を抽出するためにさらに処理されてよい。信号がマルチパスを通って到達するケースでは、時間情報はさらに、信号の一組の可能な到達時間を抽出するために処理されてよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、基準受信機は、コンピューティングシステムによる計算用の基準受信機の位置情報とともに、基準受信機における信号の到達時間をコンピューティングシステム(たとえば、測位エンジン)に送信することができる。同様に、ターゲット受信機も、ターゲット受信機における信号の到達時間を計算用にコンピューティングシステムに送信することができる。基準受信機における信号の到達時間、基準受信機の位置情報、およびターゲット受信機における信号の到達時間は、次いで、位置およびタイミングの方程式において使用される。ターゲット受信機の不明な位置は、方程式を解くことによって特定されてよい。一実施形態では、計算はコンピューティングシステムによって実行されてよい。別の実施形態では、計算の負担は、基準受信機およびターゲット受信機の間で分散される。
【0036】
いくつかの実施形態では、測位システムは、基準受信機の位置(p)、基準受信機における信号の到達時間(T’i,m)、およびターゲット受信機における信号の到達時間(T’i,n)を入力として取り、信号源の不明な位置(p)を介して推論された隠れ変数であるターゲット受信機の位置(p)を出力として返す。いくつかの実施形態では、信号源の位置に加えて、基準受信機の時間オフセットおよびターゲット受信機の時間オフセット(δおよびδ)も、測位プロセスにおいて推論されてよい。たとえば、変数tによって識別されるある時点におけるN個の信号源、N個の基準受信機、およびN個のターゲット受信機の場合、ターゲット受信機の位置は、
【数1】
によって特定されてよく、ここで、i=1,…,N、m=1,…,N、およびn=1,…,Nであり、δ(t)はソースの時間オフセットを表記し、Tは共通時間スケールにおける信号送信または信号の到達時間を表記し、T’は、たとえば、デバイス内のローカル・クロックによって測定された時間オフセットによって影響を受けた信号送信または信号の到達時間を表記する。方程式の第2のセットは、あらゆるターゲット位置が他の受信機とは別に特定され得るように構築され、解かれてよい。これらの変数は、スカラー変数、または決定(たとえば、幾何学)変数および確率変数のベクトル関数であってよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、時間オフセット(たとえば、δおよびδ)は、観測量のセットから差分方程式により前もって相殺されてよい。同じ信号送信に関係する時間オフセットは、異なる受信機にわたって各信号源の観測量を減算することによって相殺されてよい。同様に、同じ基準受信機に関係する時間オフセットは、各受信機において複数のソースの観測量を減算することによって相殺されてよい。時間オフセットの絶対値を知ることは必要でない場合があるが、それらの相対値は共通および仮想の時間基準に収束するように推定されてよい。ソースが従う時間スケール(T)は不明な可能性があるので、それは、それぞれのオフセット:
T’(t)=T(t)+δ(t) (方程式3)
と合体されてよい。
【0038】
したがって、一組のN(N+N)個の方程式は、
【数2】
のように公式化される。いくつかの実施形態では、測位システムにおいて少なくとも2つのソースが使用されてよい。いくつかの実施形態では、方程式4および方程式5によって定義された一組のN(N+N)個の方程式を解くことは、信号源の位置の方向および範囲の推定を必要としてよい。これらの位置は、観測された信号のみを介して基準受信機およびターゲット受信機から推論されてよく、したがって、それらの距離および角度は、それぞれ、異なる受信機の位置において異なる時間オフセットで到達する入射球面波の曲率および角度に対応する。そのような推論問題は、次いで、受信された信号の観測値に波面を適合させることと考えらえてよい。いくつかの実施形態では、基準受信機およびターゲット受信機の絶対時間も、方程式の中の不明項として含まれてよい。これらの不明項は、方程式を解くことによって推定されてよいか、または方程式の操作によって取り除かれてよい。基準受信機およびターゲット受信機の絶対時間は、基準受信機またはターゲット受信機に含まれるローカル・クロックから取得されてよい。
【0039】
一実施形態では、基準受信機における信号の一組の到達時間は、信号源からの繰り返し信号送信から累積されてよい。この実施形態では、基準受信機は、信号源とのいかなる相互作用もなしに、繰り返し信号送信の期間の知識を取得することができる。たとえば、基準受信機は、近隣エリアの以前の測位に使用され、システムに記憶された信号源から知識を取得することができる。繰り返し信号送信から取得された信号の一組の到達時間は、一組の方程式を公式化するために使用されてよく、いくつかの未知数は方程式を解くことによって推定されてよい。
【0040】
測位システムに内在する推定問題は非線形および非凸であってよく、その結果、観測量と伝搬チャネルの時間ベースの特性の公式化との間の差として定義されるコスト関数は、最小化される必要がある。いくつかの実施形態では、解は、大域的最適化のための決定論的、統計的、および発見的な方法を用いて計算されてよい。たとえば、ローカル信号波面曲率に関する先験的な仮説を活用してベイズ統計が使用されてよい。また、低複雑性解または代数学的解を行使するために、問題は凸緩和を介して単純化されてよい。
【0041】
特殊なハードウェアを利用せずに、一組の方程式を使用して測位システムにおいてすべての未知数(たとえば、ソースの送信時間および位置、時間オフセット、ターゲット受信機の不明な位置など)について一緒に解くことにより、測位方法は、同期されていない信号および同期されていない基準受信機の自由な利用を可能にし、コスト有効性、多用性、実行可能性、および可搬性の向上につながる。さらに、測位方法は、低電力で安価なハードウェア上でも実行され、デバイス・オブ・オポチュニティ(Devices of Opportunity)(たとえば、セルラー・モデムまたはワイヤレス・アクセス・ポイント)内で実施されてよく、接続性の向上につながる。その上、シグナル・オブ・オポチュニティのソースは、すぐ近くにあり、通常、通信目的で動作する、普及している地上送信機であるので、それらのカバレージは屋外環境および屋内環境を貫通することができ、測位エリアの増大につながる。
【0042】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態と一致する、1ステップ計算を実行する例示的な方法を示す概略図である。図2Aを参照すると、測位システムは、複数の基準受信機の基準位置p、基準受信機における信号の到達時間T’i,m、および複数のターゲット受信機における信号の到達時間T’i,nを入力として受信し、1ステップ推定210を実行することができる。信号源の位置pおよび時間オフセットは、基準受信機の時間オフセットδならびにターゲット受信機の位置pおよび時間オフセットδと一緒に推定されてよい。測位システムは、ターゲット受信機の推定された位置pを出力として返すことができる。いくつかの実施形態では、基準受信機およびターゲット受信機の絶対時間も、方程式の中の未知項として含まれてよい。これらの未知項は、方程式を解くことによって推定されてよいか、または方程式の操作によって取り除かれてよい。一実施形態では、ソースの位置pを推定する代わりに、図4Aに示され、以下でより完全に記載されるように、測位システム内の座標系の原点に対するソースの方向が推定される。ソースの範囲および位置を推定することなく、ソースの方向を推定すると、測位用の測定値の数の削減が可能になり、測位のカバレージエリアの拡大、ならびにコストおよび電力消費の削減につながる。
【0043】
図2Bは、2ステップ計算を実行する例示的な方法を示す概略図である。いくつかの実施形態では、図2Bに示されたように、推定は2つの別々の連続する推定、すなわち、推定220および推定230として分割されてよい。推定220はソースの位置特定の推定であってよく、推定230はターゲット測位の推定であってよい。推定220の間に、ソースに関係する不明なパラメータ、たとえば、ソースの送信時間T’およびソースの位置pを推定するために、基準受信機における信号の到達時間T’i,m、および基準受信機の基準位置pが使用されてよい。ソースに関係する推定された不明なパラメータ(T’およびp)は、次いで、ターゲット受信機の位置を推定するための推定230に使用される。
【0044】
一実施形態では、基準受信機における信号の到達時間の第2のセットが推定230において使用されてよい。基準受信機における信号の到達時間の第2のセットは、推定220において使用された基準受信機における信号の到達時間と同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、基準受信機の時間オフセットδも推定230において使用されてよい。ターゲット受信機の推定された位置は、繰り返し再使用するために推定220にフィードバックされてよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、推定された時間オフセット、信号源の位置、および信号の情報(たとえば、周波数)は、記憶され、たとえば、近隣エリアにおける測位において、または他のシステムによる他の目的に再使用されてよい。いくつかの実施形態では、ターゲット受信機の位置が推定されると、ターゲット受信機は新しい基準受信機として使用されてよく、位置推定値は、その推定信頼性とともに、基準として入力においてフィードバックされてよい。いくつかの実施形態では、基準受信機およびターゲット受信機の絶対時間も、方程式の中の未知項として含まれてよい。これらの未知項は、方程式を解くことによって推定されてよいか、または方程式の操作によって取り除かれてよい。
【0046】
このようにして、測位システムは、信号源の同期または基準受信機の同期を必要とすることなく、不明な時間に不明な信号源から送信されたシグナル・オブ・オポチュニティを利用することにより、複数のターゲット受信器の位置を特定することができ、測位においてシグナル・オブ・オポチュニティを利用する際の効率の向上およびコストの削減につながる。
【0047】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システムの分散計算方式を示す概略図である。図3Aを参照すると、測位システム310は、複数の信号源(ソース312、314、および316)、複数の基準受信機(たとえば、少なくとも3つ)、ならびに複数のターゲット受信機を備える場合がある。簡単にするために、図3Aはいくつかの受信機を省略し、3つ(受信機318、320、および322)のみを示す。しかしながら、信号源、ターゲット受信機、および基準受信機の数は、そのように限定されなくてよい。複数のターゲット受信機はそれらが未知数を生成するよりも多くの方程式を生成することができるので、それは2つ以上のターゲット受信機を位置特定する際により有益であってよく、それにより、特定の効率が向上する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の受信機は、1つまたは複数の送信機を含む1つまたは複数のトランシーバ・モデムの一部であってよい。いくつかの実施形態では、信号源は受信機にワイヤレス信号を送信し、受信機は信号の複数の到達時間を取得することができる。信号の複数の到達時間、基準受信機の基準位置、およびターゲット受信機における信号の到達時間を使用して、一組の方程式が公式化されてよい。この方式では、一組の方程式を解く負担は、基準受信機およびターゲット受信機によって分担されてよく、図3Aの点線矢印によって示されたように、受信機の各々は他の受信機と通信して、測定されたパラメータおよび推定されたパラメータを共有することができる。たとえば、受信機318は、受信機320および受信機322と通信して、一緒に計算を実行することができる。
【0048】
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システムの中央計算方式を示す概略図である。図3Bを参照すると、測位システム330は、複数の信号源(ソース332、334、および336)、複数の受信機(受信機338、340、および342)、ならびに中央ユニット344を備える場合がある。受信機338、340、および342は、その位置が特定されるべき1つのターゲット受信機および既知の基準位置に配置された2つの基準受信機を備える場合がある。しかしながら、信号源、ターゲット受信機、および基準受信機の数は、そのように限定されなくてよい。複数のターゲットの受信機はそれらが未知数を生成するよりも多くの方程式を生成することができるので、それは2つ以上のターゲット受信機を位置特定する際により有益であってよく、それにより、特定の効率が向上する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の受信機は、1つまたは複数の送信機を含む1つまたは複数のトランシーバ・モデムの一部であってよい。いくつかの実施形態では、ソース332、334、および336は受信機にワイヤレス信号を送信することができ、受信機はワイヤレス信号の複数の到達時間を取得することができる。基準受信機は、信号の到達時間および基準位置を中央ユニット344に送信することができる。同様に、ターゲット受信機も、ターゲット受信機における信号の到達時間を中央ユニット344に送信することができる。中央ユニット344は、信号の複数の到達時間および基準位置を使用して一組の方程式を公式化することができる。中央ユニット344は、ローカル・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、クラウド・コンピュータ、または計算を実行することができる任意のデバイスであってよい。一実施形態では、中央ユニット344は、ターゲット受信機が計算全体を実行することができるように、ターゲット受信機内で動作する測位エンジンであってよい。別の実施形態では、中央ユニット344は、基準受信機が計算全体を実行することができるように、基準受信機のうちの1つの中で動作する測位エンジンであってよい。
【0049】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システム内の座標系の原点に対する信号源の方向を示す概略図である。いくつかの実施形態では、方程式(たとえば、上記の方程式1~7)を解いてターゲット受信機の位置を特定する際に、ソースの位置および信号の送信時間ではなく、ソースの方向が推定されてよい。図4Aを参照すると、測位システム400は、複数の信号源(ソース402、404、および406)、ならびに複数の基準受信機(基準408、410、および412)を備える。測位システム400は、複数のターゲット受信機(図示せず)も備えてよい。図4Aに示されたように、ソース402、404、および406の方向は、x-y座標系の原点Oに対して表現されてよい。たとえば、ソース404の方向は、原点Oとソース404を接続する線(OB)とX軸との間の角度θとして表現されてよい。同様に、ソース402の方向は、原点Oとソース402を接続する線(OA)とX軸との間の角度(π-θ)として表現されてよい。方程式を解くことにより、ソース404および402の方向(θa,θ)が特定されてよい。座標系の原点は、測位システム内の点に設定されてよい。一実施形態では、座標系の原点は、基準受信機を接続する基準408、410、および412によって形成されたエリアの中心として設定されてよい。いくつかの実施形態では、測位システム400は、球面座標系を使用し、ソースおよび受信機の位置の高度における差を考慮に入れるために、極角と座角の両方を使用してソースの方向を表現することができる。
【0050】
図4Bを参照すると、測位システム450は、複数の信号源(ソース402、404、および406)、ならびに複数の基準受信機(基準408、410、および412)を備える場合がある。測位システム450は、複数のターゲット受信機(図示せず)も備えてよい。図4Bに示されたように、ソース406から送信された信号は、基準408および412に入射する。ソース406は基準408および412の近傍にいるので、基準408における信号波面W1および基準412における信号波面W2は、近似なしの実際の信号波面であってよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、ソース402から送信された信号も、基準408および412に入射する。しかしながら、ソース402は基準408および412の近傍に位置しておらず、したがって、ソース402からの信号の波面W3は、曲線として近似されてよい。伝搬波面(たとえば、W3)の曲率は、ソースと受信機との間の距離(たとえば、ソース402と基準412との間の距離)に反比例する。それらの曲率が非ゼロ値として近似されるかまたは推定される波面の場合、ソースの方向とソースと受信機との間の距離の両方が取得されてよく、(方向および範囲として、または代替として緯度および経度としてのいずれかで表現される)空間内の点が識別される。一実施形態では、ソース402の範囲は、(基準408と基準412との間の矢印として示された)値に固定されてよく、波面W3の曲率は固定されてよい。そのため、近似は固定曲率波面近似と呼ばれる場合がある。
【0052】
いくつかの実施形態では、ソース404から送信された信号は、基準410および412に入射する。ソース404は基準410および412から遠く離れて位置するので、ソース404からの信号の波面W4は2次元の平面または直線(たとえば、W4)として近似されてよく、信号は無限に遠いソースから来るものとして考えられてよい。この近似は平面波面近似と呼ばれる場合がある。
【0053】
固定曲率波面近似および平面波面近似によってもたらされる誤差が推定されてよい。図4Cを参照すると、測位システムは、信号源(ソース422)、基準受信機(基準424)、およびターゲット受信機(ターゲット426)を備える。ソース422から送信された信号は基準424およびターゲット426に入射し、信号の実際の波面は曲線428として示され、固定曲率波面近似は曲線430として示され、平面波面近似は線432として示される。ソース422と基準424との間の距離は、ソース422とターゲット426との間の距離よりもかなり大きい。図4Cに示されたように、ターゲット426において近似を使用することによってもたらされる誤差は、基準424において近似を使用することによってもたらされる誤差と比較して無視できる。
【0054】
いくつかの実施形態では、曲率は先験情報によって推定されてよい。そのような先験情報は、ローカル観測、統計分析、またはワイヤレス基盤の構成内の通常の設計慣行に基づいて、確率論的であってよい。いくつかの実施形態では、曲率は受信された信号の電力レベルに基づいて推定されてよい(より強い信号はより近いソースから発生する可能性がある)。これらの推定は、入射信号の最も起こりそうな方向を推定する際に使用されてよい。いくつかの実施形態では、入射信号の方向の確率分布が推定される。いくつかの実施形態では、任意のソースから2つの受信機への信号波面の曲率を近似する際に、2次テイラー展開が使用されてよい。すなわち、
【数3】
【0055】
ここで、以下の2次項によって最大近似誤差が与えられてよい。
【数4】
【0056】
最大近似誤差は、受信機の相互距離とソースの範囲との間の比、したがって波面のローカル平面度に比例する。したがって、それらの曲率がローカルに同等な遠く離れて送信された信号用の曲率を想定することが比較的安全であり得るが、それらの曲率が非常に多様であり得る近くの送信機を扱うときに多くのリスクを伴う可能性がある。
【0057】
いくつかの実施形態では、単純化の利点がもたらされる誤差よりも重要であるとき、測位システムは、信号波面を記述するための1つまたは両方の近似を採用することができる。いくつかの実施形態では、それらのソース位置が方向に関してのみ推定される信号の場合、ターゲット受信機の位置を推定するためのそれらの使用は、角度推定に依存してよく、ターゲット受信機におけるそれらの波面は近似される必要があってよい。たとえば、図2に示された2ステップ方式を使用する場合、ターゲット受信機の位置の推定は、ソースの位置特定の間に識別された信号波面の方向および曲率を用いて実行されてよい。
【0058】
信号源の方向を推定し、波面のローカル近似を選択することにより、信号源からの距離または信号源の実際の位置を特定する必要性が排除されてよく、したがって、未知数および結果として生じる解の空間が削減され、コストの削減、およびターゲット受信機の位置の効率的で正確な特定につながる。
【0059】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態と一致する、測位システム内の信号源の凸包および基準受信機の凸包を示す概略図である。図5Aを参照すると、測位システム500は、複数の信号源(ソース502、504、506、508、510、512、および514)、複数の基準受信機(基準516、518、および520)、ならびに複数のターゲット受信機(ターゲット522および524)を備える場合がある。ソース502、504、506、および508によって囲まれたエリア530は、ソースの凸包を形成することができ、基準516、518、および520によって囲まれたエリア540は、基準の凸包を形成することができる。いくつかの実施形態では、測位システム500のカバレージは、ターゲット受信機の位置が妥当な信頼性および精度で見つけられ得るエリアによって識別されてよい。一実施形態では、精度は、ノイズおよび他の信号関連特徴を考慮することなく、ソース-受信機トポロジーの純粋幾何関数として定義されてよい。この実施形態では、測位システム500のカバレージは、信号の幾何学的精度低下率(GDOP)がターゲットの位置推定に適切な空間の領域であってよい。
【0060】
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態と一致する、空間次元の関数として幾何学的精度低下率を示す概略図である。図5Bに示されたように、信号の幾何学的精度低下率550は、ソース560および562を含む3次元空間内の次元の関数である。GDOP550は、ソース560および562の凸包内部では平坦および線形になる傾向があるが、ソース560および562の凸包の外部ではそれは著しく増大する。
【0061】
図5Aに戻ると、測位システム500のカバレージは、ソース502~508の凸包530を囲むことができ、それは信号のGDOPが最も低い値を有する場合がある空間の領域である。結果として、すべての基準受信機およびターゲット受信機から比較的遠く離れているソースは、それらがそれらの位置によって区切られた凸包を拡張するので、カバレージの観点から最も便利であってよく、基準受信機の位置をはるかに超えてターゲットの測位を拡大する結果となる。一実施形態では、測位システム500のカバレージは、他のパラメータ、たとえば、ソースの電力、チャネルの伝搬現象、および受信機の放射パターンに基づいて調整されてよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、ソース502~508の方向は、基準受信機の凸包540の中心からのそれらの距離にかかわらず、ライン上でソースを位置特定する角度成分を含んでよい。簡単にするために、凸包540の中心は、測位座標系の原点として考えられてよい。いくつかの実施形態では、ソースの方向は、受信機に到達する信号の測距情報から取得されてよい。一実施形態では、3次元空間において、角度成分は座標系の3軸と原点から位置点まで行く距離ベクトルとの間の2つの角度であってよい。球面座標系では、それらは座角および仰角として知られている。別の実施形態では、2次元空間において、これらの2つの角度は相補的であってよいので、ソースの方向は1つの角度のみによって識別されてよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、最も低い精度低下率は基準受信機の凸包540内部であってよい。このエリア内では、ソースは受信機の間にあり、信号は対頂角から受信される。ソースが凸包540から遠ざかるにつれて、角度は1つに収束する傾向があり、信号波面の曲率は受信機においてそれほど明確ではなくなる。したがって、比較的遠く離れたソースの場合、それらの位置推定の信頼領域は、主として径方向に伸びる楕円体の形状を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、ソースが受信機よりも空間内でさらにいっそう広がる場合があるトポロジーに対処するために、測位システム500は、ソースの方向の推定に依存してよく、距離の推定は十分に正確な場合にのみ使用される。いくつかの実施形態では、測位システムは、受信における波面のローカル曲率の3つの異なるモデルに対応する信号の3つの異なる程度の角度多様性を識別することができる:(1)十分に遠い位置から到達する信号は無限に離れていると想定されてよく、その結果、位置は平面波面近似を適用することにより受信機に対するそれらの方向によって一意に識別される。(2)基準受信機の凸包540外部の比較的近い位置から送信された信号は、想定によりそれらに割り当てられた適切な距離を有することができ、その結果、それらの波面は固定曲率で近似される。(3)基準受信機の凸包540内部、またはその近傍から送信された信号は、それらの位置からの距離が正確に、それらの波面を近似することなく推定されてよいので、想定から免れる。
【0065】
図6は、本開示のいくつかの実施形態と一致する、見掛けの信号源を含む測位システムを示す概略図である。図6に示されたように、測位システムは、複数の基準受信機(基準606および608)によって受信される場合がある信号を送信する信号源602を備える。信号は、見掛けの(仮想)ソース604の表面に到達する場合もある。一実施形態では、見掛けのソース604は、入射信号を反射する任意の物体であってよく、その結果、反射された信号は、(見掛けのソース604から基準606および608への点線矢印によって示されたように)基準606および608によって受信される。この実施形態では、反射ソースはある時間オフセットでソース602と同期される。時間オフセットの値は不明であり、推定される必要がある。別の実施形態では、見掛けのソース604は、入射信号を散乱させる任意の物体であってよく、その結果、散乱した信号は、(見掛けのソース604から基準606および608への点線矢印によって示されたように)基準606および608によって受信される。この実施形態では、散乱ソースもある時間オフセットでソース602と同期される。時間オフセットの値は不明であり、推定される必要がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、見掛けの信号の方向および信号が到達するように見える距離は、見通し外およびマルチパスの伝搬に起因して、ソース602の物理的な位置と一致しない場合がある。たとえば、見通し内の直接経路がブロックされた場合、反射現象は、受信機に移動する信号を散乱させる伝搬環境の要素の位置特定につながる可能性がある。間接経路上で散乱する信号が測位エリア全体にわたって空間的に均一である場合、それを引き起こす要素は、信号の見掛けのソースとして見なされてよい。結果として、シグナル・オブ・オポチュニティのソースは送信機に厳密に関係するが、それらはそれらの実際の位置に束縛されない。
【0067】
見掛けのソースを利用することにより、受信機は反射または散乱した信号を測位のために捕捉することができるので、困難な伝搬条件下(たとえば、屋内)であっても、どこでも自由に測位の方法が実行されてよい。
【0068】
図7は、本開示のいくつかの実施形態と一致する、アップリンク信号およびダウンリンク信号を利用する測位システムを示す概略図である。図7を参照すると、測位システム700は、図1に示されたように、不明な信号源から受信機へのすべての信号送信、すなわち、ダウンリンク信号送信を含んでよい。簡単にするために、ダウンリンク信号の利用の説明はここでは省略される。図1と比較して、図7の測位システム700はアップリンク信号をさらに含み、それにより双方向送信が利用され、その中で、受信機は送信機の役割も演じることができる。たとえば、図7では、基準120はソース108、110、112、および104からダウンリンク信号を受信し、同時にまた、基準118によって傍受されるアップリンク信号を送信する。この2重の役割は、測位以外の目的で送信機とアクティブに通信するデバイスにとって可能である。いくつかの実施形態では、アップリンク信号を使用する測位はオプションであってよい。
【0069】
アップリンク・チャネルを利用すると、信号源の地理空間トポロジーおよび測位システムによって使用されるシグナル・オブ・オポチュニティの測距情報の内容を強化することができ、それにより、観測量の数、品質、カバレージおよび幾何学的精度低下率が向上し、ターゲット位置の推定精度の向上につながる。
【0070】
図8は、本開示のいくつかの実施形態と一致する、自分の位置または他のデバイスの位置を特定するように構成された例示的なデバイスのブロック図である。図8を参照すると、デバイス800は、ラップトップ、全地球測位システム(GPS)、モバイルフォン、ワイヤレス・ハンドヘルド、もしくはワイヤレス・パーソナル・デバイスを含むワイヤレス端末、または任意の他の形態を含むが、それらに限定されない任意の形態を取ることができる。デバイス800は、SoOp受信機810、SoOp受信機810と結合されたアンテナ815、GNSS受信機830、GNSS受信機830と結合されたアンテナ835、処理ユニット820、メモリ840、クロック825、および出力デバイス850を含んでよい。一実施形態では、デバイス800は、GNSS受信機830およびアンテナ835を含まない場合がある。
【0071】
アンテナ815と結合されたSoOp受信機810は、シグナル・オブ・オポチュニティを受信するように構成されてよい。一実施形態では、SoOp受信機810は、外部デバイスにデータを送信するように構成された送信機を含むトランシーバ・モデムの一部であってよい。アンテナ835と結合されたGNSS受信機830は、衛星測位信号を受信するように構成されてよい。一実施形態では、GNSS受信機830は、外部デバイスにデータを送信するように構成された送信機を含むトランシーバ・モデムの一部であってよい。ローカル・クロック825は、デバイス800が配置されたローカルな場所の時間を提供するように構成されてよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、GNSS受信機830がデバイス800の位置を識別するのに十分な衛星測位信号を受信すると、デバイス800は、図1の基準116、118、および120などの測位システムにおける基準受信機として機能して、別のデバイスの不明な位置を特定することができる。たとえば、デバイス800は、GNSS受信機830を介して自分の位置を識別し、SoOp受信機810を介してシグナル・オブ・オポチュニティの到達時間を取得することができる。デバイス800はさらに、別のデバイスの位置を特定するための計算の少なくとも一部分を実行することができる。あるいは、デバイス800は、外部デバイスにおける計算のために、自分の位置および信号の到達時間の情報を外部デバイスに送信することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、GNSS受信機830が衛星測位信号を受信しないか、またはデバイス800の位置を識別するのに不十分な衛星測位信号を受信すると、デバイス800は、図1のターゲット122および124などの測位システムにおけるターゲット受信機として機能して、それ自体の位置を特定するための情報を取得することができる。たとえば、デバイス800は、SoOp受信機810を介してシグナル・オブ・オポチュニティの到達時間を取得することができる。デバイス800はさらに、信号の到達時間ならびに他の基準受信機から受信された情報(たとえば、基準位置および信号の到達時間)を使用して、それ自体の位置を特定するための計算の少なくとも一部分を実行することができる。あるいは、デバイス800は、外部デバイスにおける計算のために、信号の到達時間のデータを外部デバイスに送信することができる。識別された位置情報は、デバイス800が基準受信機として使用され得るデバイス800の近隣の測位システムにおいて使用されてよい。
【0074】
処理ユニット820には、1つまたは複数の専用処理ユニット、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または様々なタイプのプロセッサもしくは処理ユニットが含まれてよい。処理ユニット820は、デバイス800の位置または別のデバイスの位置を特定するための計算の少なくとも一部分を実行するように構成されてよい。
【0075】
メモリ840は、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリまたはそれらの組合せを含む、任意のタイプのコンピュータ可読記憶媒体であってよい。メモリ840は、デバイス800の識別情報および位置に関係する情報を記憶するように構成されてよい。メモリ840はまた、コンピュータ可読プログラム命令、およびデバイスの位置を特定するための方程式(たとえば、方程式1~7)を解く際に使用される数学モデルを記憶することができる。コンピュータ可読プログラム命令は、計算および必要な演算を実行してデバイスの位置を特定することを、処理ユニット820または任意の他のプロセッサに行わせることができる。メモリ840はまた、SoOp受信機810およびGNSS受信機830によって受信された信号に関係する情報を記憶することができる。メモリ840はまた、1つまたは複数の地理的エリア用のローカル波伝搬モデルを記憶することができる。ローカル波伝搬モデルは、シグナル・オブ・オポチュニティの方向および信号の波面近似を備えてよいが、それらに限定されない。メモリにモデルを記憶すると、それらが再使用されることが可能になり、その結果、モデルは位置の確定が必要とされるたびに取得または計算される必要がなく、したがって、デバイス800における計算の負担および電力消費が削減される。
【0076】
出力デバイス850は、ユーザまたは別のデバイスに位置情報を報告するために使用されてよい。出力デバイス850は、処理ユニット820にユーザコマンドを送信するために、ディスプレイおよび入力デバイスを含むユーザ・インターフェースを備えてよい。ディスプレイは、デバイス800における信号受信のステータス、メモリ840に記憶されたデータ、および計算のステータスなどを表示するように構成されてよい。ディスプレイには、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、気体プラズマ、タッチスクリーン、またはユーザに情報を表示するための他の画像投影デバイスが含まれてよいが、それらに限定されない。入力デバイスは、ユーザからのデータおよび制御信号を提供するために使用される任意のタイプのコンピュータ・ハードウェア機器であってよい。入力デバイスには、キーボード、マウス、スキャナ、デジタルカメラ、ジョイスティック、トラックボール、カーソル方向キー、タッチスクリーン・モニタ、またはオーディオ/ビデオ・コマンダなどが含まれてよいが、それらに限定されない。出力デバイス850はさらに、電子バス接続またはワイヤレス通信リンクなどの機械インターフェースを備えてよい。
【0077】
図9は、本開示のいくつかの実施形態と一致する、デバイスの位置を特定する例示的な方法を示すフローチャートである。方法は、図1のシステム100などの測位システムにおけるターゲット受信機として機能する、図8のデバイス800などのデバイスの不明な位置を特定するために実行されてよい。図9を参照すると、方法900は、ターゲット受信機における信号の到達時間を取得するステップS910を含んでよい。たとえば、デバイス800は、SoOp受信機810およびアンテナ815を介して、不明な位置に配置された複数の信号源から不明な時間にシグナル・オブ・オポチュニティを受信することができる。デバイス800は、タイムスタンプ付き波形、予想される信号に対する相関関係に従うチャネルインパルス応答、それらの信号レベルを有する一組の測定された経路到達時間、または到達時間推定値などの、様々な形態で入る場合がある時間情報を取得することができる。デバイス800はさらに、時間情報を処理して信号の到達時間を抽出することができる。デバイス800は、計算のために外部デバイスに信号の到達時間を送信することができる。あるいは、デバイス800は計算の少なくとも一部分を実行することができる。
【0078】
方法900は、図1の基準116、118、および120などの複数の基準受信機の信号の到達時間および基準位置を取得するステップ920を含んでよい。基準116、118、および120は、図8のデバイス800の構成要素に類似する構成要素を有してよい。たとえば、基準116、118、および120の各々は、GNSS受信機によって受信された衛星信号を介してそれ自体の位置を識別し、その位置を基準位置として提供することができる。あるいは、基準116、118、および120の各々は、基準116、118、および120がターゲット受信機であり得る以前の測位プロセスを介して、それ自体の位置を取得することができる。基準116、118、および120の各々はまた、基準受信機における信号の到達時間を取得することができる。基準位置および基準受信機における信号の到達時間は、ターゲット受信機の計算用に外部デバイスに送信されてよい。あるいは、基準116、118、および120の各々は、計算の少なくとも一部分を実行することができる。
【0079】
方法900は、ターゲット受信機における信号の到達時間、基準位置、および基準受信機における信号の到達時間を使用して計算を実行するステップ930を含んでよい。計算は、その位置が特定される必要がある単一のデバイスによって全面的に実行されてよい。あるいは、計算は、測位システム内の複数のデバイスによって分担されてよい。あるいは、計算は、外部デバイスによって全面的に実行されてよい。
【0080】
方法900は、ターゲット受信機の位置を特定し、ターゲット受信機の情報を別の処理プロセスに供給するステップ940を含んでよい。たとえば、ステップ930における計算によってデバイス800の位置が特定されると、デバイス800の位置情報はフィードバックとして提供されてよく、その結果、デバイス800は、デバイス800における信号の到達時間を取得すると、別の測位プロセスにおいて基準受信機として使用されてよい。デバイス800はまた、デバイス800に隣接する別の測位システムにおいて基準受信機として使用されてよい。
【0081】
本開示のコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスが使用するための命令を記憶することができる有形デバイスであってよい。コンピュータ可読記憶媒体は、たとえば、電子ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、光ストレージデバイス、電磁ストレージデバイス、半導体ストレージデバイス、または前述の任意の適切な組合せであってよいが、それらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、以下のポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー・ディスク、パンチ・カードなどの機械的符号化デバイス、またはそこに記録された命令を有する溝の中の隆起構造、および前述の任意の適切な組合せを含む。
【0082】
本開示のコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、または、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続き型プログラミング言語を含む1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソースコードもしくはオブジェクトコードであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとしてコンピューティング・デバイス上で全面的に、または第1のコンピューティング・デバイス上で部分的に、かつ第1のコンピューティング・デバイスから離れた第2のコンピューティング・デバイス上で部分的に実行することができる。後者のシナリオでは、第2のリモート・コンピューティング・デバイスは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介して、第1のコンピューティング・デバイスに接続されてよい。
【0083】
図の中のフローチャートおよびブロック図は、様々な実施形態によるシステム、方法、およびデバイスの可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作の例を示す。いくつかの代替の実装形態では、ブロック内に示された機能は図の中で示された順序以外で起こる場合があることに留意されたい。たとえば、連続して示された2つのブロックは、実際には、関与する機能に応じて、実質的に並行して実行されてよく、またはブロックは時々逆の順序で実行されてよい。
【0084】
記載された実施形態は相互に排他的ではなく、1つの例示的な実施形態とともに記載された要素、構成要素、材料、またはステップは、所望の設計目的を達成するために適切な方法で他の実施形態と組み合わされてもよく、他の実施形態から除去されてもよいことを理解されたい。
【0085】
本明細書における「いくつかの実施形態」または「いくつかの例示的な実施形態」への参照は、その実施形態とともに記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実装形態に含まれてよいことを意味する。本開示内の様々な場所における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、または「別の実施形態」というフレーズの出現は、すべてが必ずしも同じ実施形態を指すとは限らず、別個または代替の実施形態が必ずしも他の実施形態と相互に排他的であるとも限らない。
【0086】
本明細書に記載された例示的な方法のステップは、必ずしも記載された順序で実行される必要があるとは限らず、そのような方法のステップの順序は単なる例であると理解されるべきである。たとえば、連続して示された2つのブロックは、実際には、関与する機能に応じて、実質的に並行して実行されてよく、またはブロックは時々逆の順序で実行されてよい。同様に、そのような方法に追加のステップが含まれてよく、様々な実施形態と一致する方法では、いくつかのステップは省略されるか、または組み合わされてよい。
【0087】
本開示において使用されたように、「例示的」という単語は、代表例、実例、または例証として働くことを意味するように本明細書において使用される。「例示的」として本明細書に記載された任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計より好ましいかまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、その単語の使用は具体的な方式で概念を提示するものである。
【0088】
本開示において使用されたように、特に具体的に提示されない限り、「または」という用語は、実行不可能な場合を除き、すべての可能な組合せを包含する。たとえば、データベースがAまたはBを含んでよいと提示された場合、特に具体的に提示されない限り、または実行不可能でない限り、データベースは、A、もしくはB、またはAおよびBを含んでよい。第2の例として、データベースがA、B、またはCを含んでよいと提示された場合、特に具体的に提示されない限り、または実行不可能でない限り、データベースは、A、もしくはB、もしくC、またはAおよびB、もしくはAおよびC、もしくはBおよびC、またはAおよびBおよびCを含んでよい。
【0089】
さらに、本開示および添付の特許請求の範囲において使用される冠詞「a」および「an」は、一般に、特に指定のない限り、または単数形を対象とするように内容から明らかでない限り、「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0090】
特に明確に提示されない限り、各数値および範囲は、「約」または「おおよそ」という単語が値の値または範囲に先行するかのように、近似であると解釈されるべきである。
【0091】
もしあれば、特許請求の範囲における図の番号または図の参照ラベルの使用は、特許請求の範囲の解釈を容易にするために、特許請求された主題の1つまたは複数の可能な実施形態を識別するものである。そのような使用は、必ずしもそれらの特許請求の範囲を対応する図に示された実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。
【0092】
以下の方法クレームにおける要素は、もしあれば、対応するラベル付けとともに特定の順番で列挙されるが、請求項の列挙がそれらの要素の一部またはすべてを実施するための特定の順番を意味しない限り、それらの要素は、必ずしもその特定の順番で実施されるように限定されるものではない。
【0093】
明確にするために別々の実施形態との関連で記載された本開示のいくつかの特徴は、単一の実施形態の中の組合せで提供されてもよいことを諒解されたい。反対に、簡潔にするために単一の実施形態との関連で記載された本明細書の様々な特徴は、別々に、または任意の適切な部分的組合せで、または本明細書の任意の他の記載された実施形態に適したものとして提供されてもよい。様々な実施形態との関連で記載されたいくつかの特徴は、そのように示されていない限り、それらの実施形態の不可欠な特徴ではない。
【0094】
記載された実施形態の本質を説明するために記載され例示された部分の詳細、材料、および配置における様々な修正、代替、および変形は、範囲から逸脱することなく当業者によって行われてよいことをさらに理解されたい。したがって、以下の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の項目に入るすべてのそのような代替、修正、および変形を包含する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9