(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ガゼット袋及びバッグインボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 77/00 20060101AFI20240816BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240816BHJP
B65D 33/08 20060101ALI20240816BHJP
B65D 33/10 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B65D77/00 A
B65D77/04 D
B65D33/08
B65D33/10
(21)【出願番号】P 2020109647
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】久下 ▲らい▼蔵
(72)【発明者】
【氏名】要藤 昭男
(72)【発明者】
【氏名】篠原 知也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 和也
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-212884(JP,A)
【文献】特開2019-059195(JP,A)
【文献】実開昭54-136138(JP,U)
【文献】特開2017-218209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0130896(US,A1)
【文献】特開2015-134626(JP,A)
【文献】特開2016-074463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/00-77/04
B65D 33/08-33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の平面部と、袋の内方に折り込まれる一対の側面部とを備えるガゼット袋であって、
前記一対の側面部の折り線の長さ方向の第1端部に、一方の平面部の外面から他方の平面部の外面まで貫通する線状の切込みにより形成された把持部が設けられ、
前記切込みは、前記折り線と交差する方向に延び
、かつ前記折り線と交差する第1線状部と、前記第1線状部の両端からそれぞれ連続して延びる第1弧状部と、各々の第1弧状部からさらに連続して延びる第2弧状部と、を有し、
各々の前記第1弧状部は、前記第1線状部の両端から前記第1端部の外縁に向かって弧状に延び、
各々の前記第2弧状部は、互いに近づくか、又は互いに遠ざかるように延び、さらに先端側の部分が前記第1端部の外縁から遠ざかっており、
前記第1端部には前記一対の平面部と前記一対の側面部の端縁同士がヒートシールにより接合された上端シール部、及び前記切込みにより形成された把持部の近傍に把持部シール部が形成され、
前記切込みにより形成された把持部が前記把持部シール部内にあり、
前記把持部シール部は、前記切込みに沿うように環状に形成されており、かつ前記上端シール部と連結し、
前記把持部の前記切込みは、前記把持部シール部と、それに連結している前記上端シール部の中央部に位置していることを特徴とする、ガゼット袋。
【請求項2】
前記第1弧状部及び前記第2弧状部がいずれも円弧状であり、かつ前記第2弧状部の曲率半径が前記第1弧状部の曲率半径よりも大きい、請求項1に記載のガゼット袋。
【請求項3】
前記一対の側面部の折り線の長さ方向の第1端部とは反対側の第2端部にも把持部が設けられている、請求項1又は2に記載のガゼット袋。
【請求項4】
前記一対の側面部が折り込まれている部分における前記第1端部側に、前記一対の平面部同士が直接、又は折り込まれている前記側面部とともに部分的に接合されている接合部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のガゼット袋。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項のガゼット袋が外側容器内に収容されている、バッグインボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガゼット袋及びバッグインボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
ダンボール箱等の外側容器内に軟質包装材料からなる内側容器を収容し、内側容器に飲料や調味料を収容するバッグインボックスが知られている。バッグインボックスの使用時には、外側容器から内側容器を取り出して把持した状態で、内容物を排出することがある。このような使用が想定されるバッグインボックスでは、内側容器には自立性を有し、かつ把持しやすい形態であることが求められる。
【0003】
自立性を有し、把持しやすいガゼット袋としては、サイドガゼットを有し、かつ袋の端部に把持部を設けたガゼット袋が提案されている。特許文献1には、サイドガゼットを有し、側面のフィルムが底部となるように置いたときに上部に位置する取手(把持部)が設けられているバッグインボックス内袋が開示されている。特許文献2には、サイドガゼットを有し、収容部を挟んだ袋の両端に把手部(把持部)が設けられている製袋容器が開示されている。特許文献1、2では、重なり合うフィルムを接合したシール部に囲まれた未シール部に、それらフィルムを貫通する孔又は切り込みを形成することで把持部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-348065号公報
【文献】特開2016-74463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、バッグインボックスは一般に容量が5~20リットルと大きいものが多く、軟質包装材料からなる内側容器のみを、把持部を手に持ち、持ち上げると、把持部に大きな荷重が加わる。そのため、特許文献1、2で設けられているような把持部では、持ち上げた際の荷重に耐えきれず、把持部においてフィルムが延びたり、破れたりするおそれがある。
【0006】
本発明は、把持部を把持して持ち上げても把持部が破断しにくいガゼット袋、及び前記ガゼット袋を備えたバッグインボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]対向する一対の平面部と、袋の内方に折り込まれる一対の側面部とを備えるガゼット袋であって、前記一対の側面部の折り線の長さ方向の第1端部に、一方の平面部の外面から他方の平面部の外面まで貫通する線状の切込みにより形成された把持部が設けられ、前記切込みは、前記折り線と交差する方向に延びる第1線状部と、前記第1線状部の両端からそれぞれ連続して延びる第1弧状部と、各々の第1弧状部からさらに連続して延びる第2弧状部と、を有し、各々の前記第1弧状部は、前記第1線状部の両端から前記第1端部の外縁に向かって弧状に延び、各々の前記第2弧状部は、互いに近づくか、又は互いに遠ざかるように延び、さらに先端側の部分が前記第1端部の外縁から遠ざかっている、ガゼット袋。
[2]前記第1弧状部及び前記第2弧状部がいずれも円弧状であり、かつ前記第2弧状部の曲率半径が前記第1弧状部の曲率半径よりも大きい、[1]に記載のガゼット袋。
[3]前記第1端部に把持部シール部が形成され、前記切込みにより形成された把持部が前記把持部シール部内に形成されている、[1]又は[2]に記載のガゼット袋。
[4]前記一対の側面部の折り線の長さ方向の第1端部とは反対側の第2端部にも把持部が設けられている、[1]~[3]のいずれかに記載のガゼット袋。
[5]前記一対の側面部が折り込まれている部分における前記第1端部側に、前記一対の平面部同士が直接、又は折り込まれている前記側面部とともに部分的に接合されている接合部を有する、[1]~[4]のいずれかに記載のガゼット袋。
[6][1]~[5]のいずれかのガゼット袋が外側容器内に収容されている、バッグインボックス。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、把持部を把持して持ち上げても把持部が破断しにくいガゼット袋、及び前記ガゼット袋を備えたバッグインボックスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のガゼット袋の扁平な状態を示した正面図である。
【
図2】
図1のガゼット袋に内容物を充填した様子を示した斜視図である。
【
図3】
図1のガゼット袋における第1端部の把持部を拡大した正面図である。
【
図4】他の実施形態のガゼット袋における第1端部の把持部を拡大した正面図である。
【
図5】本発明の範囲外のガゼット袋における第1端部の把持部を拡大した正面図である。
【
図6】
図2のガゼット袋を両手で把持して内容物を排出する様子を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るガゼット袋1について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
図1に示すように、ガゼット袋1は、対向する一対の平面部11,12と、袋の内方に折り込まれる一対の側面部21,22とを備えるガゼット形状の袋である。一対の側面部21,22は、それぞれ折り線21a,22aにて半折され、互いの折り線21aと折り線22aが突き合わされて向かい合った状態で一対の平面部11,12の間に配置されている。また、ガゼット袋1は主に合成樹脂フィルムからなる袋である。
【0012】
一対の側面部21,22の折り線21a,22aの長さ方向(縦方向)の第1端部2には、一対の平面部11,12と一対の側面部21,22の端縁同士がヒートシールにより接合された上端シール部31が形成されている。ガゼット袋1の第1端部2とは反対側の第2端部3には、一対の平面部11,12と一対の側面部21,22の端縁同士がヒートシールにより接合された下端シール部32が形成されている。ガゼット袋1の左右の側端部4,5には、一対の平面部11,12と一対の側面部21,22の端縁同士がヒートシールにより接合された側部シール部33,34が形成されている。このように、ガゼット袋1は、上端シール部31、下端シール部32及び側部シール部33,34によって周端が全周にわたって閉じられている。
【0013】
図2に示すように、本実施形態のガゼット袋1は、内容物を充填すると立方体又は直方体に膨らみ、バッグインボックスにおいては、立方体又は直方体の形状で、第1端部2を上側、第2端部3を下側にして外側容器内に収容される内側容器である。なお、本発明のガゼット袋は、第1端部を上側、第2端部を下側にして外側容器内に収容されるものには限定されない。例えば、一対の平面部の一方の外面を上に向け、第1端部と第2端部を側方に向けた状態で外側容器内に収容されるものであってもよい。
【0014】
ガゼット袋1の上端シール部31の下方には、一方の側端部4から他方の側端部5まで延びる、ヒートシールにより形成された収容部上部シール部35が設けられている。ガゼット袋1の下端シール部32の上方には、一方の側端部4から他方の側端部5まで延びる、ヒートシールにより形成された収容部下部シール部36が設けられている。
【0015】
このように、ガゼット袋1は、収容部上部シール部35と収容部下部シール部36によって区画された内容物収容部6を有しており、内容物収容部6内に内容物を収容できるようになっている。ガゼット袋1内における内容物収容部6の上端及び下端は、収容部上部シール部35及び収容部下部シール部36によって閉じられている。上端シール部31より下方かつ収容部上部シール部35より上方の上部内容物未収容部41と、下端シール部32より上方かつ収容部下部シール部36より下方の下部内容物未収容部42は、内容物が収容されないようになっている。
【0016】
ガゼット袋1には、収容部上部シール部35と一方の側面部21の折り線21aとの交点から、内容物収容部6を通って側面部21側の側部シール部33に向けて上部斜めシール部37aが設けられている。また、収容部上部シール部35と他方の側面部22の折り線22aとの交点から、内容物収容部6を通って側面部22側の側部シール部34に向けて上部斜めシール部37bが設けられている。同様に、収容部下部シール部36と側面部21,22の折り線21a,22aとのそれぞれの交点から、内容物収容部6を通ってそれぞれの側部シール部33,34に向けて下部斜めシール部38a,38bが設けられている。内容物収容部6のうち、上部斜めシール部37a,37b、及び下部斜めシール部38a,38bで囲まれた部分に内容物が収容される。
【0017】
図1~3に示すように、ガゼット袋1の第1端部2における上端シール部31の下方、かつ、収容部上部シール部35の上方の上部内容物未収容部41には把持部50が設けられている。把持部50は、一方の平面部11の外面から他方の平面部12の外面まで貫通する線状の切込み51によって形成されている。これにより、ガゼット袋1では、把持部50の切込み51に手を入れることで第1端部2を把持することができる。
【0018】
把持部50を形成する切込み51は、第1線状部52と、第1線状部52の両端からそれぞれ連続して延びる第1弧状部53,53と、各々の第1弧状部53からさらに連続して延びる第2弧状部54,54と、を有している。
【0019】
第1線状部52は、一方の平面部11の外面側から見た正面視で、一対の側面部21,22の折り線21a,22aの長さ方向に直交する方向(横方向)に延びる直線状になっている。すなわち、第1線状部52は、一対の側面部21,22の折り線21a,22aと交差する方向に直線状に延びている。各々の第1弧状部53,53は、第1線状部52の両端から第1端部2の外縁2aに向かって弧状に延びている。各々の第2弧状部54は、第1線状部52の中央側に互いに近づくように延び、さらに先端54a側の部分が第1端部2の外縁2aから遠ざかるように弧状になっている。このように第2弧状部54,54は、ガゼット袋1を持ち上げた際に第1弧状部53,53より上となる位置に設けられている。
【0020】
前記のように切込み51における第1弧状部53及び第2弧状部54が弧を描き、第2弧状部54の先端54a側が第1端部2の外縁2aから遠ざかり、内容物収容部6に向かうように延びていることで、把持部50を把持してガゼット袋1を持ち上げても把持部50からフィルムが破断しにくい。ここで、ガゼット袋1を持ち上げる方向は、
図2の矢印で示すように、把持部50の内容物収容部6とは反対側、すなわち第1端部2の外縁2a側に向かう方向である。
【0021】
この効果について、
図5に例示したガゼット袋100と比較し、より詳細に説明する。
ガゼット袋100は、ガゼット袋1と同様に、一対の側面部121,122の折り線121a,122aの長さ方向の第1端部102に、一対の平面部111,112と一対の側面部121,122の端縁同士がヒートシールにより接合された上端シール部131が形成されている。第1端部102における上端シール部131の下方には、切込み151によって形成された把持部150が設けられている。
【0022】
把持部150を形成する切込み151は、把持部50と同様に、第1線状部152と、その両側に続く第1弧状部153,153と、第2弧状部154,154と、を有している。切込み151は、第2弧状部154の先端154a側の部分が第1端部102の外縁102aから遠ざからず、横方向に直線状になっている以外は、把持部50と同様の形状である。
【0023】
このような形状の切込み151からなる把持部150を設けたガゼット袋100では、切込み151に手を入れて把持し、ガゼット袋100を
図2の矢印と同方向に持ち上げた際に、両側の第2弧状部154の先端154aに大きな荷重が集中し、把持部150の先端154aを起点としてフィルムが延びたり、切り裂かれて破断しやすい。これに対し、ガゼット袋1では、切込み51における両側の第2弧状部54の先端54a側の部分が第1端部2の外縁2aから遠ざかるように、弧状になっていることで、把持部50を把持してガゼット袋1を
図2の矢印の方向に持ち上げたときでも、第2弧状部54の先端54aに荷重が集中しにくいため、把持部50が破断しにくい。すなわち、切込み51における両側の第2弧状部54の先端54a側の部分が、持ち上げる方向とは逆方向に向かって延びていることで、第2弧状部54の先端54aが起点としてフィルムが延びたり、切り裂かれることを抑制することができ、第2弧状部54の先端54aに荷重が集中しにくいため、把持部50からフィルムが破断しにくい。
【0024】
把持部50の大きさは、ガゼット袋1の大きさに関わらず、片手の人差し指から小指までが入る大きさであることが好ましい。具体的には、把持部50の横方向の長さL(
図3)は、7~11cmが好ましい。把持部50の縦方向の高さH(
図3)は、2~3cmが好ましい。
【0025】
把持部50では、切込み51の第1線状部52の両側のいずれにおいても、第1弧状部53及び第2弧状部54が円弧状であり、かつ持ち上げる方向に沿ってより上に位置している第2弧状部54の曲率半径が、第1弧状部53の曲率半径よりも大きいことが好ましい。把持部50を把持してガゼット袋1を
図2の矢印の方向に持ち上げた際には、第1弧状部53よりも第2弧状部54に大きな荷重が掛かる傾向がある。第2弧状部54の曲率半径を第1弧状部53の曲率半径よりも大きくすることで、第2弧状部54にかかる力を分散させることができるため、把持部50からフィルムが破断することをさらに抑制しやすくなる。
【0026】
第1弧状部53の曲率半径は、1~15mmが好ましく、5~10mmがより好ましい。
第2弧状部54の曲率半径は、第1弧状部53の曲率半径よりも大きい範囲内において、10~29mmが好ましく、15~25mmがより好ましい。
【0027】
なお、把持部50を形成する切込み51の形状は、第1弧状部53と第2弧状部54がいずれも円弧状である態様には限定されず、例えば、第1弧状部53の第1線状部52側から第2弧状部54の先端54aにかけて曲率半径が連続的に大きくなる形状であってもよい。
【0028】
一対の側面部21,22の折り線21a,22aの長さ方向(縦方向)において、第2弧状部54上の最も第1端部2の外縁2aに近い点と、第2弧状部54の先端54aとの距離D(
図3)は、2~8mmが好ましく、4~6mmがより好ましい。すなわち、距離Dは縦方向の高さHの6.7%~40%が好ましく、13%~30%がより好ましい。距離Dが前記範囲の下限値以上であれば、把持部50を把持してガゼット袋1を持ち上げた際に、第2弧状部54の先端54a側が持ち上げる方向と逆方向に向かって延びていることにより、第2弧状部54の先端54aを起点としてフィルムが延びたり、切り裂かれることを抑制することができ、第2弧状部54の先端54aに荷重が集中しにくいという効果が働きやすいため、把持部からのフィルムの破れが抑制されやすい。距離Dが前記範囲の上限値以下であれば、把持部50を把持してガゼット袋1を持ち上げた際の縦方向への破断が抑制されやすい。
【0029】
ガゼット袋1では、第1端部2における上端シール部31の下方の把持部50が設けられている部分の近傍には把持部シール部55が形成され、言い換えれば切込み51が把持部シール部55内に形成されている。このように、切込み51が把持部シール部55内に形成されていることで、把持部50を把持してガゼット袋1を持ち上げた際の破断がさらに抑制される。これは、仮に、切込み51の端部に傷などの欠陥が発生しても、把持部シール部55により、欠陥を起点とした破断が進みにくくなるためである。また、把持部50の周辺のフィルムがバラバラになりにくく把持することが容易になるうえ、フィルム間に異物が入ることを抑制できる。
【0030】
この例では、把持部シール部55は切込み51に沿うように環状に形成され、また上端シール部31と連結している。把持部50の切込み51は、把持部シール部55と、それに連結している上端シール部31の中央部に位置している。把持部シール部55及び把持部50がこのような態様であれば、把持部50の破断をさらに抑制しやすい。これは、仮に、切込み51に傷などの欠陥が発生しても、切込み51から内容物未収容部までの距離がどの位置においても等しくなるためである。
なお、把持部シール部55及び把持部50は、このような態様には限定されない。例えば、把持部シール部55は環状でなくてもよく、上端シール部31から離れて形成されていてもよい。
図1~
図3において、上端シール部31の上端縁が2箇所凹んだ形状となっているのは、切込み51がシール部の中央部に位置するためである。
【0031】
ガゼット袋1では、一対の側面部21,22の折り線21a,22aの長さ方向における第1端部2とは反対側の第2端部3にも把持部60が設けられている。これにより、
図6に示すように、ガゼット袋1は両手で内容物収容部6の両側を把持することができるため、後述する口栓7から内容物を排出し易く、またそれぞれの把持部50,60にかかる力を分散させて小さくすることができるため、それぞれの把持部50,60からのフィルムの破断を抑制できる。
【0032】
第2端部3に設けられている把持部60の態様は、この例では第1端部2に設けられている把持部50を上下反転させた態様になっている。第2端部3における下端シール部32の上方の把持部60が設けられている部分に把持部シール部65が形成され、把持部60を形成する切込み61が把持部シール部65内に形成されている。
【0033】
なお、第2端部3に設けられる把持部60の態様は、本実施形態の態様には限定されず、把持することができればどのような態様であってもよい。例えば、切込み51と同形状の切込み61の他、U字形状の切込みからなる把持部60としてもよい。また、一対の平面部11,12及び一対の側面部21,22の把持部60を設ける部分を略四角形状等の所定の形状にくり抜いて把持部60を形成してもよい。切込み61は、製造時に切込み51を形成する刃と同じものを用いることができる点から、切込み51と同形状であることが好ましい。
【0034】
図1に示すように、ガゼット袋1では、側面部21が折り込まれている部分における第1端部2側の収容部上部シール部35の位置に、一対の平面部11,12同士が直接、又は折り込まれている側面部21とともに部分的に接合されている接合部81が設けられている。例えば、側面部21における接合部81を設ける位置に孔を設け、その孔の部分で一対の平面部11,12同士をヒートシールにより直接接合することで接合部81を形成できる。また、側面部21の最外層にヒートシール性を有するフィルムを用いるか、ヒートシールコートを施し、ヒートシールにより側面部21の外面同士を部分的に接合して、平面部11,12同士が側面部21とともに接合された接合部81を形成してもよい。接合部81は、接着剤を用いて側面部21の外面同士を部分的に接合することによって形成してもよい。また、接合部81は、超音波シールや高周波シールなどの外部加熱以外の手段によって、側面部21の外面同士を部分的に接合することによって形成してもよい。
【0035】
同様に、ガゼット袋1では、側面部22が折り込まれている部分における第1端部2側の収容部上部シール部35の位置にも、一対の平面部11,12同士が直接、又は折り込まれている側面部22とともに部分的に接合されている接合部82が設けられている。
第1端部側にこのような接合部を設ける場合、それぞれの側面部が折り込まれている部分に、少なくとも1箇所ずつ設けられていればよく、数や形状は特に限定されない。
【0036】
接合部81,82が設けられていることで、一対の側面部21,22がそれぞれの折り込まれている部分における、接合部81,82の内容物収容部6側に手や機械ハンドを挿入して、ガゼット袋1を
図2の矢印の方向に持ち上げることができる。これにより、例えば機械によって、接合部81,82を利用してガゼット袋1を持ち上げた状態で内容物を充填することが可能になる。また、把持部50を把持してガゼット袋1を
図2の矢印の方向に持ち上げる際に接合部81,82が設けられていることで、把持部50に加わる力をさらに分散できるため、把持部50からの破袋をさらに抑制することができる。
【0037】
この例では、それぞれの側面部21,22が折り込まれている部分における第2端部3側の収容部下部シール部36の位置にも同様に、一対の平面部11,12同士が直接、又は折り込まれている側面部21,22とともに部分的に接合されている接合部83,84が設けられている。これにより、ガゼット袋1の第2端部3側においても同様の効果が得られる。
なお、本発明のガゼット袋は、第1端部側と第2端部側に接合部が設けられていないものであってもよい。
【0038】
ガゼット袋1の大きさは特に限定されず、適宜設定できるが、内容物を充填した際に、片手又は両手にて把持できる重さに相当する大きさであることが好ましい。
例えば、ガゼット袋1の大きさは、扁平状態で縦方向の長さを420mm~670mm、幅を180~350mm、収容部上部シール部35と収容部下部シール部36間の縦方向の長さを350mm~600mmとすることができ、好ましくは縦方向の長さが500mm~600mm、幅が180~300mm、収容部上部シール部35と収容部下部シール部36間の縦方向の長さが350mm~500mmである。ガゼット袋1の最も適した大きさは、縦方向の長さ570mm、幅250mm、収容部上部シール部35と収容部下部シール部36の縦方向の長さ460mmであり、内容物の収容量は約10リットルである。
【0039】
本実施形態のガゼット袋1は、主に合成樹脂フィルムから形成される外袋及び内袋からなる二重袋とすることができる。すなわち、ガゼット袋1を構成する一対の平面部11,12と、一対の側面部21,22のそれぞれを、外袋を形成する外袋フィルムと、内袋を形成する内袋フィルムとの2枚のフィルムで構成することができる。本発明のガゼット袋をバッグインボックスの内側容器として用いる場合、このような二重袋であることが好ましい。これにより、バッグインボックスの外側容器との擦れや衝撃、内容物の流動によってガゼット袋にピンホールが開いて内容物が漏れ出すことを抑制しやすい。
なお、本発明のガゼット袋は二重袋に限定されず、例えば、一対の平面部と一対の側面部がそれぞれ1枚のフィルムで構成される一重袋としてもよく、一対の平面部と一対の側面部がそれぞれ3枚以上のフィルムで構成される三重以上の袋としてもよい。
【0040】
ガゼット袋1が、外袋及び内袋からなる二重袋からなる場合、外袋フィルムとしては、特に限定されず、例えば、耐熱性、耐衝撃性を有する外層フィルムと、シール性を有する内層フィルムとの積層体が挙げられる。
外層フィルムとしては、特に限定されず、例えば、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。また、酸素や水分が外部から浸透することを抑制する目的で、外装フィルムに金属酸化物や金属の蒸着膜を設けてもよい。
【0041】
内層フィルムとしては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン等のポリオレフィンの未延伸フィルム、又はこれらの樹脂を外層フィルム上に層状に押出したものが挙げられる。
外層フィルムと内層フィルムとの積層体は、ドライラミネート法や押出しラミネート法等の公知の方法で製造できる。
【0042】
ガゼット袋1における内袋フィルムとしては、例えば、外袋フィルムの内層フィルムとして例示した未延伸フィルムが挙げられる。外袋フィルムの内層フィルムと内袋フィルムとは、シール性に優れる点から、同じ種類の樹脂であることが好ましい。
【0043】
ガゼット袋1の内容物収容部6における、内容物を収容して膨らんだときに上側に位置する部分の平面部11には、口栓7が取り付けられている。口栓7は、内容物収容部6の内容物を充填又は排出するためのものである。口栓7は、筒部71とフランジ部72とからなる。
【0044】
筒部71は円筒状であり、外周面にはねじ部が設けられており、内周面にねじ部が設けられているキャップ(図示なし)を嵌合して密封できるようになっている。フランジ部72は、筒部71の下端から水平方向に円環状に広がっている。フランジ部72の筒部71側の面は、ガゼット袋1の一方の平面部11の内面と接合されている。そのため、少なくともフランジ部72のうち平面部11の内面との接合面は、ガゼット袋1の平面部11の内面を形成する内袋フィルムと熱融着可能な合成樹脂等で形成されていることが好ましい。
【0045】
本実施形態では、一方の平面部11に開口が設けられており、口栓7の筒部71が、ガゼット袋1の内部から、一方の平面部11の開口を通して外部へ突出している。口栓7のフランジ部72は、その筒部71側の面がガゼット袋1の平面部11の内面と熱融着により接合されている。なお、口栓7を取り付ける態様は、この態様には限定されない。
【0046】
以下、本実施形態のガゼット袋1の使用方法について説明する。
ガゼット袋1においては、主に液体からなる内容物を口栓7から内容物収容部6の内部に充填する。内容物を収容すると、
図2に示すように、内容物収容部6が略立方体又は略直方体に膨らむ。内容物を充填して載置した際には、下部内容物未収容部42は、内容物収容部6と載置面との間に挟まれ、上部内容物未収容部41は上方へ飛び出た形状、または内容物収容部6に沿って倒れた形状となる。例えば、内容物を収容したガゼット袋1は、第1端部2を上側、第2端部3を下側にしてバッグインボックスの外側容器内に収容される。
【0047】
ガゼット袋1は、第1端部2に設けられた把持部50の切込み51に手を入れて把持することで持ち上げることができるため、内容物収容部6の内容物の排出が容易である。また、把持部50の切込み51の形状が前記したような特定の形状とされていることで、ガゼット袋1を
図2の矢印の方向に持ち上げた際に荷重が分散され、把持部50の特定の部分に局所的にかかりにくいため、把持部50からのフィルムの破断が抑制される。また、片手で把持部50を把持してガゼット袋1を持ち上げた状態で、さらにもう一方の手で第2端部3に設けられた把持部60を把持してガゼット袋1を傾けることで、内容物収容部6の内容物を排出することがさらに容易になり、荷重がさらに分散され、把持部50,60からのフィルムの破断がさらに抑制される。
【0048】
以上のように、本発明のガゼット袋は、第1端部の把持部を把持してガゼット袋を持ち上げた際にも、把持部からフィルムが破断することが抑制される。また、把持部を第2端部にも設けることで、両手でガゼット袋を把持して内容物を容易に排出でき、さらに把持部からのフィルムの破断が抑制される。
【0049】
本発明のガゼット袋は、バッグインボックス用の内側容器として好適に用いることができる。なお、本発明のガゼット袋の用途は、バッグインボックス用の内側容器には限定されない。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記した実施形態及びその変形例に限定されることはない。
例えば、
図4に示すように、第1端部2に把持部50の代わりに把持部50Aが設けられていてもよい。把持部50Aは、切込み51Aにおける各々の第2弧状部54,54が互いに遠ざかるように弧状に延び、さらに先端54a,54a側の部分が第1端部2の外縁2aから遠ざかっている以外は、把持部50と同様の態様である。このような態様の把持部50Aを設けた場合も同様に、把持部50Aを把持してガゼット袋を持ち上げた際の把持部50Aからのフィルムの破断を抑制することができる。
【0051】
本発明のガゼット袋は、第2端部に把持部が設けられていなくてもよく、上部内容部未収容部や下部内容部未収容部を有していなくてもよい。上記実施形態においては、上端シール部と収容部上部シール部はそれぞれ別々のシール部として記載したが、上端シール部と収容部上部シール部を含む一つのシール部としてもよい。同様に、上記実施形態においては、下端シール部と収容部下部シール部はそれぞれ別々のシール部として記載したが、下端シール部と収容部下部シール部を含む一つのシール部としてもよい。また、上記実施形態の
図1~4においては、第1端部、第2端部の外縁は、それぞれ上端シール部、下端シール部の上端縁、下端縁に沿ってフィルムが切断されているが、これに限定されるものではなく、例えば、各シール部の外側が直線状に切断されてものであってもよい。また、
図1において収容部上部シール部及び収容部下部シール部は、接合部81の位置において幅が広くなっているが、この形状に限定されるものではなく、全長において同幅の帯状のシール部であってもよい。
側面部に孔を設けて接合部が形成されている場合には、収容部上部シール部及び収容部下部シール部は、接合部を全て覆う形状であることが好ましい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0052】
本明細書において「上、下、左、右、縦、横、外および内」などの方向を示す言葉は、本発明の構成におけるこれらの方向を説明するために使用している。従って、本発明の明細書を説明するために使用されたこれらの言葉は、本発明の構成において相対的に解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0053】
1…ガゼット袋、2…第1端部、3…第2端部、4,5…側端部、6…内容物収容部、7…口栓、11,12…平面部、21,22…側面部、21a,22a…折り線、31…上端シール部、32…下端シール部、33,34…側部シール部、35…収容部上部シール部、36…収容部下部シール部、37a,37b…上部斜めシール部、38a,38b…下部斜めシール部、41…上部内容物未収容部、42…下部内容物未収容部、50,50A…把持部、51,51A…切込み、52…第1線状部、53…第1弧状部、54…第2弧状部、54a…先端、55…把持部シール部、60…把持部、61…切込み、65…把持部シール部、81~84…接合部。