(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】建物の目隠し構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/01 20060101AFI20240816BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
E06B9/01 F
E04B1/00 502C
(21)【出願番号】P 2020117353
(22)【出願日】2020-07-07
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 知広
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-078835(JP,U)
【文献】実開昭54-131722(JP,U)
【文献】実開昭63-005189(JP,U)
【文献】特開2007-100491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/01
E04B 1/00
E06B 7/08
E04H 17/00-17/26
日本意匠分類 L6-03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在すると共に建物の屋外側から見て当該第1方向と交差する第2方向に複数連なって配置された遮蔽部材と、
前記第2方向に延在すると共に前記遮蔽部材の一端部が固定された第1支持部と、
前記第2方向に延在すると共に前記遮蔽部材の他端部が固定された第2支持部と、
を備え、
前記遮蔽部材のうち少なくとも隣接して配置されたものは、屋外側から所定の方向に見てそれぞれ異なる形状とさ
れ、
前記遮蔽部材は、それぞれ前記第1方向一方側又は他方側から見た断面形状が同一形状とされており、
前記遮蔽部材は、単独において前記第1方向と直交する何れの方向から見ても異なる形状とされている、
建物の目隠し構造。
【請求項2】
前記第1支持部には、前記一端部を固定する第1固定部材が挿通可能な複数の第1挿通部が形成されると共に、当該第1挿通部は、前記第1方向から見て前記第2方向及び当該第2方向と交差する方向に分散して配置されており、
前記第2支持部には、前記他端部を固定する第2固定部材が挿通可能な複数の第2挿通部が形成されると共に、当該第2挿通部は、前記第1方向から見て前記第2方向及び当該第2方向と交差する方向に分散して配置されている、
請求項
1に記載の建物の目隠し構造。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記一端部を固定する第1固定部材及び前記他端部を固定する第2固定部材を取り付け可能とされると共に前記第1方向に延在する固定筒部と、当該固定筒部の外周側に当該固定筒部と一体に設けられると共に当該第1方向から見た断面形状が凹多角形状とされた外装筒部と、を含んで構成されている、
請求項
1又は請求項
2に記載の
建物の目隠し構造。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記一端部を固定する第1固定部材及び前記他端部を固定する第2固定部材を取り付け可能とされると共に前記第1方向に延在する固定筒部と、当該固定筒部の外周側に当該固定筒部と一体に設けられると共に当該固定筒部から延出された複数の延出板部と、を含んで構成されている、
請求項
1又は請求項
2に記載の
建物の目隠し構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の目隠し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、建物の目隠しパネルに関する発明が開示されている。この建物の目隠しパネルでは、前後方向に開放された枠体の内側に、3枚の羽根を備えた回転目隠し体が、枠体に対して回転自在に複数取り付けられている。このため、下記特許文献1に記載の先行技術では、回転目隠し体によって外部からの視線を遮ることができる。また、回転目隠し体は、風を受けることで回転するため、通気性の確保を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の先行技術では、複数の回転目隠し体の形状がそれぞれ基本的に同一の形状とされているため、目隠しパネルの外観が一様となり、ひいては目隠しパネルが配置されている範囲において、建物の外観が一様となることが考えられる。つまり、上記特許文献1に記載の先行技術は、建物の意匠性の確保の観点からは改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、建物の外部からの視線を遮ることができると共に、建物の外観の意匠性を確保することができる建物の目隠し構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る建物の建物の目隠し構造は、第1方向に延在すると共に建物の屋外側から見て当該第1方向と交差する第2方向に複数連なって配置された遮蔽部材と、前記第2方向に延在すると共に前記遮蔽部材の一端部が固定された第1支持部と、前記第2方向に延在すると共に前記遮蔽部材の他端部が固定された第2支持部と、を備え、前記遮蔽部材のうち少なくとも隣接して配置されたものは、屋外側から所定の方向に見てそれぞれ異なる形状とされている。
【0007】
第1の態様に係る建物の目隠し構造は、複数の遮蔽部材、これらの遮蔽部材を支持する第1支持部及び第2支持部を備えている。そして、遮蔽部材は、第1方向に延在すると共に建物の屋外側から見て当該第1方向と交差する第2方向に複数連なって配置されている。また、第1支持部は、第2方向に延在しており、当該第1支持部には、遮蔽部材の一端部が固定されている。一方、第2支持部は、第1支持部と同様に第2方向に延在しており、当該第2支持部には、遮蔽部材の他端部が固定されている。
【0008】
このため、本態様では、複数の遮蔽部材を建物の屋外側に固定して、これらの遮蔽部材によって、建物の外部から建物側への視線を遮ることができる。
【0009】
ところで、複数の遮蔽部材が所定の方向に見てそれぞれ同一の形状とされている場合、遮蔽部材が配置されている範囲において、建物の外観が一様となることが考えられる。
【0010】
ここで、本態様では、複数の遮蔽部材のうち少なくとも隣接して配置されたものは、屋外側から所定の方向に見てそれぞれ異なる形状とされている。このため、建物を建物の外部から所定の方向に見たときに、建物の外観が一様となることを抑制することができる。
【0011】
第2の態様に係る建物の目隠し構造は、第1の態様に係る建物の目隠し構造において、前記遮蔽部材は、それぞれ前記第1方向から見た断面形状が同一形状とされており、前記遮蔽部材は、前記第1方向と直交する何れの方向から見ても異なる形状とされている。
【0012】
第2の態様に係る建物の目隠し構造では、複数の遮蔽部材は、それぞれ第1方向から見た断面形状が同一形状とされており、当該遮蔽部材を構成する部品の共通化を図ることができる。また、本態様において、遮蔽部材は、第1方向と直交する何れの方向から見ても異なる形状とされており、当該遮蔽部材を屋外側から見たときの角度によって、当該遮蔽部材の外観が変化することとなる。
【0013】
第3の態様に係る建物の目隠し構造は、第1の態様又は第2の態様に係る建物の目隠し構造において、前記第1支持部には、前記一端部を固定する第1固定部材が挿通可能な複数の第1挿通部が形成されると共に、当該第1挿通部は、前記第1方向から見て前記第2方向及び当該第2方向と交差する方向に分散して配置されており、前記第2支持部には、前記他端部を固定する第2固定部材が挿通可能な複数の第2挿通部が形成されると共に、当該第2挿通部は、前記第1方向から見て前記第2方向及び当該第2方向と交差する方向に分散して配置されている。
【0014】
第3の態様に係る建物の目隠し構造では、第1支持部に複数の第1挿通部が形成されており、当該第1挿通部には、遮蔽部材の一端部を固定する第1固定部材が挿通可能とされている。また、第2支持部には、複数の第2挿通部が形成されており、当該第2挿通部には、遮蔽部材の他端部を固定する第2固定部材が挿通可能とされている。このため、本態様では、遮蔽部材の固定位置の自由度を確保することができる。
【0015】
第4の態様に係る建物の目隠し構造は、第2の態様又は第2の態様を引用する第3の態様に係る建物の目隠し構造において、前記遮蔽部材は、前記一端部を固定する第1固定部材及び前記他端部を固定する第2固定部材を取り付け可能とされると共に前記第1方向に延在する固定筒部と、当該固定筒部の外周側に当該固定筒部と一体に設けられると共に当該第1方向から見た断面形状が凹多角形状とされた外装筒部と、を含んで構成されている。
【0016】
第4の態様に係る建物の目隠し構造では、遮蔽部材は、第1方向に延在する固定筒部を備えており、この固定筒部は、第1固定部材及び第2固定部材を取り付け可能とされている。このため、本態様では、固定筒部の一端部側を第1支持部に第1固定部材を介して固定すると共に、当該固定筒部の他端部側を第2支持部に第2固定部材を介して固定することができる。
【0017】
ここで、本態様では、固定筒部の外周側に、当該固定筒部と一体に外装筒部が設けられており、当該外装筒部は、第1方向から見た断面形状が凹多角形状とされている。このため、遮蔽部材を屋外側から見たときに、当該遮蔽部材に陰影が生じ、複数の遮蔽部材の外観が一様になることを抑制することができる。
【0018】
第5の態様に係る建物の目隠し構造は、第2の態様又は第2の態様を引用する第3の態様に係る建物の目隠し構造において、前記遮蔽部材は、前記一端部を固定する第1固定部材及び前記他端部を固定する第2固定部材を取り付け可能とされると共に前記第1方向に延在する固定筒部と、当該固定筒部の外周側に当該固定筒部と一体に設けられると共に当該固定筒部から延出された複数の延出板部と、を含んで構成されている。
【0019】
第5の態様に係る建物の目隠し構造では、第4の態様に係る建物の目隠し構造と同様に、遮蔽部材が第1方向に延在する固定筒部を備えており、固定筒部の一端部側が第1支持部に第1固定部材を介して固定されており、当該固定筒部の他端部側が第2支持部に第2固定部材を介して固定されている。
【0020】
ここで、本態様では、固定筒部の外周側に、当該固定筒部と一体に複数の延出板部が設けられており、これらの延出板部は、当該固定筒部から延出されている。そして、複数の延出板部を備えた遮蔽部材は、第1方向と直交する何れの方向から見ても異なる形状とされている。このため、屋外側から複数の遮蔽部材を見たときに、見る角度等に応じて、隣接する遮蔽部材同士の延出板部の重なり方を異なったものとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、第1の態様に係る建物の目隠し構造では、建物の外部からの視線を遮ることができると共に、建物の外観の意匠性を確保することができるという優れた効果を有する。
【0022】
第2の態様に係る建物の目隠し構造では、建物の外観の意匠性の向上を図りつつ、建物の外観の向上に起因するコストの高騰を抑制することができるという優れた効果を有する。
【0023】
第3の態様に係る建物の目隠し構造では、建物の外観設計の自由度の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【0024】
第4の態様に係る建物の目隠し構造では、建物の外観において、立体感を演出することができるという優れた効果を有する。
【0025】
第5の態様に係る建物の目隠し構造では、建物の外観にばらつきを生じさせることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係る建物の目隠し構造が適用された建物の要部の構成を示す平面図(
図3の1方向矢視図)である。
【
図2】第1実施形態に係る建物の目隠し構造が適用された建物の要部の構成を示す平断面図(
図3の2-2線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
【
図3】第1実施形態に係る建物の目隠し構造が適用された建物の要部の構成を示す縦断面図(
図4の3-3線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
【
図4】第1実施形態に係る建物の目隠し構造が適用された建物のベランダ周辺の構成を示す分解斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る建物の目隠し構造が適用された建物の要部の構成を示す平面図(
図1に対応する平面図)である。
【
図6】第2実施形態に係る建物の目隠し構造が適用された建物の要部の構成を示す平断面図(
図2に対応する断面図)である。
【
図7】第3実施形態に係る建物の目隠し構造が適用された建物の要部の構成を示す平断面図(
図2に対応する断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図4を用いて、本発明の第1実施形態に係る建物の目隠し構造について説明する。本実施形態に係る「建物10」は、
図4に示されるように、ベランダ12を備えている。なお、各図において、建物10の桁行方向(以下、桁行方向と称する)を矢印Xで示し、建物10の梁間方向(以下、梁間方向と称する)を矢印Yで示し、建物10の高さ方向(以下、高さ方向と称する)を矢印Zで示している。
【0028】
ベランダ12は、その建物下方側の部分を構成する床部14と、床部14の周縁部に沿って配置された手摺16とを備えている。手摺16は、手摺16の建物上方側の部分を構成する笠木18と、手摺16の建物下方側の部分を構成する下弦材20と、笠木18と下弦材20との間に介在する支柱22とを備えている。笠木18は、高さ方向から見て屋内側が開放されたコ字状に配置されており、下弦材20は、高さ方向から見て笠木18と重なるように配置されている。そして、支柱22は、高さ方向に延在する角柱状とされており、笠木18の角部と下弦材20の角部とを高さ方向に連結している。
【0029】
ここで、本実施形態では、ベランダ12に本実施形態に係る建物の目隠し構造が適用されており、ベランダ12の周囲に配置された複数の目隠しパネル24によって建物10の外部からの視線が遮られるようになっている。
【0030】
目隠しパネル24は、笠木18と下弦材20との間に配置されると共に、笠木18の延在方向に沿って複数連なって配置されている。これらの目隠しパネル24は、基本的に同様の構成とされているため、以下では、ベランダ12の梁間方向一方側(図示しない建物本体と反対側)に配置された目隠しパネル24を例として挙げて、説明を進めていくこととする。
【0031】
図3に示されるように、目隠しパネル24は、「第1支持部26」と、「第2支持部28」と、複数の「遮蔽部材30」とを備えている。第1支持部26は、板厚方向を高さ方向とされて桁行方向に延在するフランジ部26Aと、フランジ部26Aの屋外側の周縁部から建物上方側に延出されたウェブ部26Bとを含んで構成されている。そして、フランジ部26Aが笠木18の下部に当接された状態で、ウェブ部26Bが図示しない取付部材によって、笠木18の屋外側の部分に取り付けられている。
【0032】
一方、第2支持部28は、板厚方向を高さ方向とされて桁行方向に延在するフランジ部28Aと、フランジ部28Aの屋外側の周縁部から建物下方側に延出されたウェブ部28Bとを含んで構成されている。そして、フランジ部28Aが下弦材20の上部に当接された状態で、ウェブ部28Bが図示しない取付部材によって、下弦材20の屋外側の部分に取り付けられている。
【0033】
また、
図1にも示されるように、第1支持部26のフランジ部26Aには、パンチング加工によって第1挿通部としての「丸孔部32」が複数形成されており、丸孔部32は、桁行方向及び梁間方向に分散して配置されている。一方、第2支持部28のフランジ部28Aにもフランジ部26Aと同様にパンチング加工が施されており、フランジ部28Aには、第2挿通部としての「丸孔部34」が複数形成されている。なお、丸孔部32の位置と丸孔部34の位置とは、高さ方向から見て一致するように設定されている。なお、
図1では、第2支持部28の構成が理解し易いように、第1支持部26を図示していない。
【0034】
一方、遮蔽部材30は、高さ方向に延在すると共に、建物10の屋外側から見て高さ方向と交差する方向、具体的には、桁行方向に複数連なって配置されている。詳しくは、遮蔽部材30は、
図2にも示されるように、アルミニウム合金が押し出し成形されることで形成されており、「固定筒部36」と「外装筒部38」とを含んで構成されている。
【0035】
固定筒部36は、高さ方向に延在する円筒状とされており、遮蔽部材30の高さ方向上側の「一端部30A」は、フランジ部26Aの丸孔部32に高さ方向上側から挿通された第1固定部材としての「タッピングビス40」が固定筒部36に締結されることによって、フランジ部26Aに固定されている。一方、遮蔽部材30の高さ方向下側の「他端部30B」は、フランジ部28Aの丸孔部34に高さ方向下側から挿通された第2固定部材としての「タッピングビス42」が固定筒部36に締結されることによって、フランジ部28Aに固定されている。
【0036】
外装筒部38は、高さ方向に延在する筒状とされており、固定筒部36の外周側に固定筒部36と一体に設けられている。この外装筒部38は、高さ方向から見た断面形状が凹多角形状、より具体的には、所定の方向に延在する長短二つの矩形枠が長い方の矩形枠の中央部と短い方の矩形枠の端部とで繋がれた形状とされている。そして、上記のように構成された遮蔽部材30は、高さ方向と直交する何れの方向から見ても異なる形状になるようになっている。
【0037】
また、
図1に示されるように、複数の遮蔽部材30のうち少なくとも隣接して配置されたものは、建物10の屋外側から所定の方向(同一方向)に見てそれぞれ異なる形状となるように配置されている。
【0038】
例えば、隣接する遮蔽部材30において、一方の遮蔽部材30と、他方の遮蔽部材30とが、高さ方向周りに取り付け角度が所定角度ずらされた状態で固定されているような構成を採り得る。また、隣接する遮蔽部材30において、一方の遮蔽部材30に対して、他方の遮蔽部材30が高さ方向において反転した状態で固定されているような構成も採り得る。
【0039】
さらに、複数の丸孔部32及び丸孔部34を用いることで、遮蔽部材30同士の桁行方向の間隔及び梁間方向の間隔も任意に設定することが可能となっている。
【0040】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0041】
本実施形態では、
図1及び
図3に示されるように、複数の遮蔽部材30、これらの遮蔽部材30を支持する第1支持部26及び第2支持部28を備えている。そして、遮蔽部材30は、高さ方向に延在すると共に建物10の屋外側から見て高さ方向と交差する桁行方向に複数連なって配置されている。また、第1支持部26は、桁行方向に延在しており、第1支持部26には、遮蔽部材30の一端部30Aが固定されている。一方、第2支持部28は、第1支持部26と同様に桁行方向に延在しており、第2支持部28には、遮蔽部材30の他端部30Bが固定されている。
【0042】
このため、本実施形態では、複数の遮蔽部材30を建物10の屋外側に固定して、これらの遮蔽部材30によって、建物10の外部から建物10側への視線を遮ることができる。
【0043】
ところで、複数の遮蔽部材30が所定の方向に見てそれぞれ同一の形状とされている場合、遮蔽部材30が配置されている範囲において、建物10の外観が一様となることが考えられる。
【0044】
ここで、本実施形態では、複数の遮蔽部材30のうち少なくとも隣接して配置されたものは、屋外側から所定の方向に見てそれぞれ異なる形状とされている。このため、建物10を建物10の外部から所定の方向に見たときに、建物10の外観が一様となることを抑制することができる。したがって、本実施形態では、建物10の外部からの視線を遮ることができると共に、建物10の外観の意匠性を確保することができる。
【0045】
また、本実施形態では、複数の遮蔽部材30は、それぞれ高さ方向から見た断面形状が同一形状とされており、遮蔽部材30を構成する部品の共通化を図ることができる。また、本実施形態において、遮蔽部材30は、高さ方向と直交する何れの方向から見ても異なる形状とされており、遮蔽部材30を屋外側から見たときの角度によって、遮蔽部材30の外観が変化することとなる。したがって、本実施形態では、建物10の外観の意匠性の向上を図りつつ、建物10の外観の向上に起因するコストの高騰を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、第1支持部26に複数の丸孔部32が形成されており、丸孔部32には、遮蔽部材30の一端部30Aを固定するタッピングビス40が挿通可能とされている。また、第2支持部28には、複数の丸孔部34が形成されており、丸孔部34には、遮蔽部材30の他端部30Bを固定するタッピングビス42が挿通可能とされている。このため、本実施形態では、遮蔽部材30の固定位置の自由度を確保することができる。したがって、本実施形態では、建物10の外観設計の自由度の向上を図ることができる。しかも、第2支持部28には、複数の丸孔部34は、水抜き穴としても機能するため、第2支持部28の上面に雨水等が溜まることを抑制することができる。
【0047】
加えて、本実施形態では、遮蔽部材30は、高さ方向に延在する固定筒部36を備えており、この固定筒部36は、タッピングビス40及びタッピングビス42を取り付け可能とされている。このため、本実施形態では、固定筒部36の一端部30A側を第1支持部26にタッピングビス40を介して固定すると共に、固定筒部36の他端部30B側を第2支持部28にタッピングビス42を介して固定することができる。
【0048】
ここで、本実施形態では、固定筒部36の外周側に、固定筒部36と一体に外装筒部38が設けられており、外装筒部38は、高さ方向から見た断面形状が凹多角形状とされている。このため、遮蔽部材30を屋外側から見たときに、遮蔽部材30に陰影が生じ、複数の遮蔽部材30の外観が一様になることを抑制することができる。したがって、本実施形態では、建物10の外観において、立体感を演出することができる。
【0049】
<第2実施形態>
以下、
図5及び
図6を用いて、本発明の第2実施形態に係る建物の目隠し構造について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係る建物の目隠し構造では、上述した第1実施形態と同様に、目隠しパネル50を備えているものの、目隠しパネル50の一部を構成する複数の「遮蔽部材52」の構成が、遮蔽部材30と異なっている。
【0051】
具体的には、遮蔽部材52は、高さ方向に延在すると共に、アルミニウム合金が押し出し成形されることで形成されており、固定筒部36と同様の構成とされた「固定筒部54」、「延出板部56」、「延出板部58」、「延出板部60」及び「延出板部62」を含んで構成されている。
【0052】
より詳しくは、延出板部56、延出板部58、延出板部60及び延出板部62は、それぞれ固定筒部54の外周側に固定筒部54と一体に設けられると共に、固定筒部54から延出された矩形の板状とされている。
【0053】
また、固定筒部54の中心から延出板部56の先端までの距離L1、固定筒部54の中心から延出板部58の先端までの距離L2、固定筒部54の中心から延出板部60の先端までの距離L3及び固定筒部54の中心から延出板部62の先端までの距離L4は、それぞれ異なる距離に設定されてりる。
【0054】
さらに、上述した延出板部のうち隣接するもの同士の成す角度は、それぞれ異なる角度に設定されている。すなわち、延出板部56と延出板部58との成す角θ1、延出板部58と延出板部60との成す角θ2、延出板部60と延出板部62との成す角θ3及び延出板部56と延出板部56との成す角θ4は、それぞれ異なる角度に設定されている。
【0055】
そして、上記のように構成された遮蔽部材52は、高さ方向と直交する何れの方向から見ても異なる形状になるようになっている。また、複数の遮蔽部材52のうち少なくとも隣接して配置されたものは、建物10の屋外側から所定の方向に見てそれぞれ異なる形状となるように配置されている。
【0056】
例えば、隣接する遮蔽部材52において、一方の遮蔽部材52と、他方の遮蔽部材30とが、高さ方向周りに取り付け角度が所定角度ずらされた状態で固定されているような構成を採り得る。また、隣接する遮蔽部材52において、一方の遮蔽部材52に対して、他方の遮蔽部材52が高さ方向において反転した状態で固定されているような構成も採り得る。
【0057】
さらに、複数の丸孔部32及び丸孔部34を用いることで、遮蔽部材52同士の桁行方向の間隔及び梁間方向の間隔も任意に設定することが可能となっている。
【0058】
このような構成によれば、基本的に上述した第1実施形態と同様の作用並びに効果を奏する。また、本実施形態では、固定筒部54の外周側に、固定筒部54と一体に延出板部56、延出板部58、延出板部60及び延出板部62が設けられており、これらの延出板部は、固定筒部54から延出されている。そして、これらの延出板部を備えた遮蔽部材52は、高さ方向と直交する何れの方向から見ても異なる形状とされている。このため、屋外側から複数の遮蔽部材52を見たときに、見る角度等に応じて、隣接する遮蔽部材52同士の延出板部の重なり方を異なったものとすることができる。したがって、本実施形態では、建物10の外観にばらつきを生じさせることができる。
【0059】
<第3実施形態>
以下、
図7を用いて、本発明の第3実施形態に係る建物の目隠し構造について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
【0060】
本実施形態に係る建物の目隠し構造では、上述した第1実施形態と同様に、目隠しパネル70を備えているものの、目隠しパネル70の一部を構成する複数の「遮蔽部材72」の構成が、遮蔽部材30と異なっている。
【0061】
具体的には、遮蔽部材52は、高さ方向に延在すると共に、アルミニウム合金が押し出し成形されることで形成されており、固定筒部36と同様の構成とされた「固定筒部74」と、「外装筒部76」とを含んで構成されている。
【0062】
外装筒部76は、高さ方向に延在する筒状とされており、固定筒部74の外周側に固定筒部74と一体に設けられている。この外装筒部76は、高さ方向から見た断面形状が凹多角形状とされている。具体的には、外装筒部76は、固定筒部74から固定筒部74の外周側に延出された延出部76A、延出部76B、延出部76C及び延出部76Dを含んで構成されている。そして、これらの延出部は、それぞれ高さ方向から見て固定筒部74側が開放されたコ字状に形成されている。
【0063】
また、固定筒部74の中心から延出部76Aの先端までの距離M1、固定筒部74の中心から延出部76Bの先端までの距離M2、固定筒部74の中心から延出部76Cの先端までの距離M3及び固定筒部74の中心から延出部76Dの先端までの距離M4は、それぞれ異なる距離に設定されてりる。
【0064】
さらに、上述した延出部のうち隣接するもの同士の成す角度は、それぞれ異なる角度に設定されている。すなわち、延出部76Aと延出部76Bとの成す角φ1、延出部76Bと延出部76Cとの成す角φ2、延出部76Cと延出部76Dとの成す角φ3及び延出部76Aと延出部76Aとの成す角φ4は、それぞれ異なる角度に設定されている。
【0065】
このような構成によれば、基本的に上述した第1実施形態並びに第2実施形態と同様の作用並びに効果を奏する。また、本実施形態では、第2実施形態と同様に、屋外側から複数の遮蔽部材72を見たときに、見る角度等に応じて、隣接する遮蔽部材72同士の延出部の重なり方を異なったものとすることができる。しかも、本実施形態では、遮蔽部材72の高さ方向から見た断面の断面二次モーメントを確保し、遮蔽部材72の曲げ剛性を確保することができる。
【0066】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、遮蔽部材が高さ方向に延在していたが、これに限らない。すなわち、遮蔽部材が配置される箇所に応じて、遮蔽部材は、桁行方向や梁間方向に延在していてもよいし、これらの方向に対して傾斜した方向に延在していてもよい。
【0067】
(2) また、上述した実施形態では、遮蔽部材の延在方向から見た遮蔽部材の断面形状を種々の形状に設定したが、複数の遮蔽部材のうち少なくとも隣接して配置されたものが、屋外側から所定の方向に見てそれぞれ異なる形状とされていれば、当該断面形状は、適宜変更してもよい。さらに、遮蔽部材の固定箇所や遮蔽部材の固定に使用される部材も遮蔽部材周辺の構成に応じて適宜変更可能である。
【0068】
(3) また、上述した実施形態では、連なって配置された遮蔽部材の断面形状が同一の形状とされていたが、遮蔽部材の配置箇所等に応じて、連なって配置された遮蔽部材の断面形状を統一しないような構成も採り得る。
【0069】
(4) 加えて、上述した実施形態では、遮蔽部材がアルミニウム合金製とされていたが、これに限らない。すなわち、遮蔽部材の材料としては、アルミニウム合金以外の金属やポリカーボネート等の樹脂も適宜採用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 建物
26 第1支持部
28 第2支持部
30 遮蔽部材
30A 一端部
30B 他端部
36 固定筒部
38 外装筒部
40 タッピングビス(第1固定部材)
42 タッピングビス(第2固定部材)
52 遮蔽部材
54 固定筒部
56 延出板部
58 延出板部
60 延出板部
62 延出板部
72 遮蔽部材
74 固定筒部
76 外装筒部