(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】予算実績超過チェック装置、予算実績超過チェック方法、および、予算実績超過チェックプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240816BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20240816BHJP
【FI】
G06Q40/12
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2020160784
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 裕也
(72)【発明者】
【氏名】古川 良博
(72)【発明者】
【氏名】小一原 彩
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 諒
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-345957(JP,A)
【文献】特開2002-230362(JP,A)
【文献】特開平09-097284(JP,A)
【文献】特開2001-338257(JP,A)
【文献】特開2016-115009(JP,A)
【文献】特開2002-150066(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105528448(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた予算実績超過チェック装置であって、
前記記憶部は、
各個別予算の予算金額、および、予算勘定科目を設定した予算データを記憶する予算記憶手段と、
各個別費用の発生金額、および、費用勘定科目を設定した実績データを記憶する実績記憶手段と
、
を備え、
前記制御部は、
ユーザにより選択された予算管理に適した、前記予算勘定科目を合計勘定科目に紐付けたレコード、および、前記費用勘定科目を前記合計勘定科目に紐付けたレコードを、合計科目範囲設定マスタに設定するマスタ管理手段と、
所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに
設定された前記合計勘定科目に紐付けられた前記予算勘定科目が設定された前記予算データの前記予算金額を合計した合計予算金額と
、当該合計勘定科目に紐付けられた前記費用勘定科目が設定された前記実績データの前記発生金額を合計した合計発生金額との比較結果を取得する比較結果取得手段
と、
を備えたことを特徴とする予算実績超過チェック装置。
【請求項2】
前記比較結果取得手段は、
前記所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに設定された
前記合計勘定科目に紐付けられた前記予算勘定科目
が設定された前記予算データの前記予算金額を合計した前記合計予算金額に対する、
当該合計勘定科目に紐付けられた前記費用勘定科目
が設定された前記実績データの前記発生金額を合計した前記合計発生金額の超過有無データを含む前記比較結果を取得することを特徴とする請求項1に記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項3】
前記比較結果取得手段は、
前記所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに基づいて、通期での前記
合計予算金額と通期での前記
合計発生金額との前記比較結果を取得することを特徴とする請求項1に記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記比較結果に基づいて、前記
合計発生金額が前記
合計予算金額を超過している場合、アラートを出力させるアラート出力手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項5】
前記記憶部は、
前記アラートの
前記ユーザに対する通知可否を設定したユーザデータを記憶するユーザ記憶手段、
を更に備え、
前記アラート出力手段は、
前記ユーザデータに基づいて、前記アラートの通知対象の前記ユーザによるログインであると判定し、且つ、前記比較結果に基づいて、前記
合計発生金額が前記
合計予算金額を超過していると判定した場合、前記アラートを出力させることを特徴とする請求項4に記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項6】
前記ユーザデータは、
全社単位での管理予算についての前記アラートの前記ユーザに対する前記通知可否が設定されたことを特徴とする請求項5に記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項7】
前記ユーザデータは、
部門単位での管理予算についての前記アラートの前記ユーザに対する前記通知可否が設定されたことを特徴とする請求項5または6に記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項8】
前記アラートは、
管理予算の対象部門、対象勘定科目、対象案件、および/または、対象年度を示すメッセージデータを含むことを特徴とする請求項4または5に記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項9】
前記実績データは、
仕訳データを含み、
前記所定タイミングは、
各日の夜間であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項10】
前記実績データは、
支払申請データを含み、
前記所定タイミングは、
前記支払申請データの前記実績記憶手段への登録時であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の予算実績超過チェック装置。
【請求項11】
記憶部と制御部とを備えた予算実績超過チェック装置に実行させるための予算実績超過チェック方法であって、
前記記憶部は、
各個別予算の予算金額、および、予算勘定科目を設定した予算データを記憶する予算記憶手段と、
各個別費用の発生金額、および、費用勘定科目を設定した実績データを記憶する実績記憶手段と
、
を備え、
前記制御部で実行させる、
ユーザにより選択された予算管理に適した、前記予算勘定科目を合計勘定科目に紐付けたレコード、および、前記費用勘定科目を前記合計勘定科目に紐付けたレコードを、合計科目範囲設定マスタに設定するマスタ管理ステップと、
所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに
設定された前記合計勘定科目に紐付けられた、前記予算勘定科目が設定された前記予算データの前記予算金額を合計した合計予算金額と
、当該合計勘定科目に紐付けられた前記費用勘定科目が設定された前記実績データの前記発生金額を合計した合計発生金額との比較結果を取得する比較結果取得ステップ
と、
を含むことを特徴とする予算実績超過チェック方法。
【請求項12】
記憶部と制御部とを備えた予算実績超過チェック装置に実行させるための予算実績超過チェックプログラムであって、
前記記憶部は、
各個別予算の予算金額、および、予算勘定科目を設定した予算データを記憶する予算記憶手段と、
各個別費用の発生金額、および、費用勘定科目を設定した実績データを記憶する実績記憶手段と
、
を備え、
前記制御部において、
ユーザにより選択された予算管理に適した、前記予算勘定科目を合計勘定科目に紐付けたレコード、および、前記費用勘定科目を前記合計勘定科目に紐付けたレコードを、合計科目範囲設定マスタに設定するマスタ管理ステップと、
所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに
設定された前記合計勘定科目に紐付けられた、前記予算勘定科目が設定された前記予算データの前記予算金額を合計した合計予算金額と
、当該合計勘定科目に紐付けられた前記費用勘定科目が設定された前記実績データの前記発生金額を合計した合計発生金額との比較結果を取得する比較結果取得ステップ、
を実行させるための予算実績超過チェックプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予算実績超過チェック装置、予算実績超過チェック方法、および、予算実績超過チェックプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、会計年度における収支実績を示す実績データと予算データとを比較した収支分析のための差額または差の比率を含む比較結果を出力する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、支払業務について、該当科目毎に通期での予算と実績との比較ができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、支払の申請タイミング、および、仕訳計上タイミングにおいて、自動で予算実績の比較を実施することができる予算実績超過チェック装置、予算実績超過チェック方法、および、予算実績超過チェックプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る予算実績超過チェック装置は、記憶部と制御部とを備えた予算実績超過チェック装置であって、前記記憶部は、予算金額、および、予算勘定科目を設定した予算データを記憶する予算記憶手段と、費用の発生金額、および、費用勘定科目を設定した実績データを記憶する実績記憶手段と、比較対象となる、前記予算勘定科目と前記費用勘定科目とを紐づけて設定した合計科目範囲設定マスタを記憶する合計科目範囲設定記憶手段と、を備え、前記制御部は、所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに基づいて、前記予算金額と前記発生金額との比較結果を取得する比較結果取得手段、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記比較結果取得手段は、前記所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに設定された前記予算勘定科目の前記予算金額に対する、前記合計科目範囲設定マスタにて当該予算勘定科目に紐付けられた前記費用勘定科目の前記発生金額の超過有無データを含む前記比較結果を取得することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記比較結果取得手段は、前記所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに基づいて、通期での前記予算金額と通期での前記発生金額との前記比較結果を取得することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記発生金額が前記予算金額を超過している場合、アラートを出力させるアラート出力手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記記憶部は、前記アラートのユーザに対する通知可否を設定したユーザデータを記憶するユーザ記憶手段、を更に備え、前記アラート出力手段は、前記ユーザデータに基づいて、前記アラートの通知対象の前記ユーザによるログインであると判定し、且つ、前記比較結果に基づいて、前記発生金額が前記予算金額を超過していると判定した場合、前記アラートを出力させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記ユーザデータは、全社単位での管理予算についての前記アラートの前記ユーザに対する前記通知可否が設定されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記ユーザデータは、部門単位での管理予算についての前記アラートの前記ユーザに対する前記通知可否が設定されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記アラートは、管理予算の対象部門、対象勘定科目、対象案件、および/または、対象年度を示すメッセージデータを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記実績データは、仕訳データを含み、前記所定タイミングは、各日の夜間であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る予算実績超過チェック装置において、前記実績データは、支払申請データを含み、前記所定タイミングは、前記支払申請データの前記実績記憶手段への登録時であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る予算実績超過チェック方法は、記憶部と制御部とを備えた予算実績超過チェック装置に実行させるための予算実績超過チェック方法であって、前記記憶部は、予算金額、および、予算勘定科目を設定した予算データを記憶する予算記憶手段と、費用の発生金額、および、費用勘定科目を設定した実績データを記憶する実績記憶手段と、比較対象となる、前記予算勘定科目と前記費用勘定科目とを紐づけて設定した合計科目範囲設定マスタを記憶する合計科目範囲設定記憶手段と、を備え、前記制御部で実行させる、所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに基づいて、前記予算金額と前記発生金額との比較結果を取得する比較結果取得ステップ、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る予算実績超過チェックプログラムは、記憶部と制御部とを備えた予算実績超過チェック装置に実行させるための予算実績超過チェックプログラムであって、前記記憶部は、予算金額、および、予算勘定科目を設定した予算データを記憶する予算記憶手段と、費用の発生金額、および、費用勘定科目を設定した実績データを記憶する実績記憶手段と、比較対象となる、前記予算勘定科目と前記費用勘定科目とを紐づけて設定した合計科目範囲設定マスタを記憶する合計科目範囲設定記憶手段と、を備え、前記制御部において、所定タイミングにおいて、前記合計科目範囲設定マスタに基づいて、前記予算金額と前記発生金額との比較結果を取得する比較結果取得ステップ、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、支払業務について、たとえ該当の科目については予算超過があっても他部署の予算や他科目の予算と相殺することにより、会社としての費用について統制できるという効果を奏する。また、本発明によれば、予算実績超過チェックを行い、アラートを担当者に表示させることで、担当者における予算の意識を向上させることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、予算管理に適した科目と適さない科目を自由にマスタ管理できるという効果を奏する。また、本発明によれば、予算実績の比較を行うことで、経理業務について、決算補正を含めてROA(総資本利益率)/ROE(自己資本利益率)をはじめとした各種KPI(重要業績評価指標)への影響を評価することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、支払時に予算超過していない場合であっても、決算補正によって未支払の費用を含めた結果、予算超過することがあるため、決算補正(費用/未払)までを含めた予算実績比較を可能としているという効果を奏する。また、本発明によれば、経理業務について即時性がなく、仕訳入力といった単位でのチェックが決算業務に支障を及ぼしかねないため、日次夜間でのチェック処理を組み込むことで、チェックタイミングの自由度を持たせているという効果を奏する。また、本発明によれば、各日の夜間にチェックを行い、予算超過している場合、アラート表示することで、担当者・経理担当が直ぐに気付くことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態における予算実績超過チェック装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における勘定科目マスタの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における合計科目範囲設定マスタの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における予算実績超過チェック装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態における予算実績超過チェック処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における予算実績超過チェック処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態におけるアラート表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0021】
[1.構成]
本実施形態に係る予算実績超過チェック装置100の構成の一例について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態における予算実績超過チェック装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、予算実績超過チェック装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、予算実績超過チェック装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
予算実績超過チェック装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。予算実績超過チェック装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、予算実績超過チェック装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、予算実績超過チェック装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0025】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、勘定科目マスタ106aと予算データベース106bと実績データベース106cと合計科目範囲設定マスタ106dとユーザデータベース106eとを備えている。
【0026】
勘定科目マスタ106aは、勘定科目を設定したマスタである。ここで、勘定科目マスタ106aは、勘定科目識別子(例えば、勘定科目コード、および/または、勘定科目名等)が設定されていてもよい。また、勘定科目マスタ106aは、仕訳の発生科目、および、予算科目等の一般科目、ならびに、費目細目等の合計科目が設定されていてもよい。ここで、費目細目は、複数の勘定科目をまとめて予算管理する単位(合計科目)であってもよい。
【0027】
ここで、
図2を参照して、本実施形態における勘定科目マスタ106aの一例について説明する。
図2は、本実施形態における勘定科目マスタ106aの一例を示す図である。
【0028】
図2に示すように、本実施形態においては、仕訳の発生科目、予算科目、および、費目細目に係る勘定科目コードおよび勘定科目名が紐付けて設定されていてもよい。
【0029】
図1に戻り、予算データベース106bは、予算データを記憶する。ここで、予算データベース106bは、予算金額、および、予算勘定科目を設定した予算データを記憶していてもよい。また、予算データは、予算に係る部門の部門識別子(例えば、部門コードおよび/または部門名等)、予算勘定科目の勘定科目識別子(例えば、勘定科目コードおよび/または勘定科目名等)、分析(予算)識別子(例えば、分析コード、または、予算コード等)、および/または、予算金額(例えば、月度予算金額、および/または、年度予算金額等)等が設定されていてもよい。ここで、予算コードは、プロジェクトまたは施策等の予算を管理するコードであってもよい。
【0030】
実績データベース106cは、費用に係る実績データを記憶する。ここで、実績データベース106cは、費用の発生金額、および、費用勘定科目を設定した実績データを記憶していてもよい。また、実績データは、費用の仕訳データ、および/または、支払申請データを含んでいてもよい。また、実績データは、費用に係る部門の部門識別子(例えば、部門コードおよび/または部門名等)、費用勘定科目の勘定科目識別子(例えば、勘定科目コードおよび/または勘定科目名等)、分析(予算)識別子(例えば、分析コード、または、予算コード等)、発生金額、承認状態識別子(例えば、承認状態コード等)、および/または、システム分類等が設定されていてもよい。
【0031】
合計科目範囲設定マスタ106dは、比較対象となる、予算勘定科目と費用勘定科目とを紐付けて設定したマスタである。ここで、合計科目範囲設定マスタ106dは、合計科目識別子(例えば、合計科目コードおよび/または合計科目名等)、演算区分、および/または、演算要素(例えば、予算勘定科目および/または費用勘定科目の勘定科目識別子)等が設定されていてもよい。
【0032】
ここで、
図3を参照して、本実施形態における合計科目範囲設定マスタ106dの一例について説明する。
図3は、本実施形態における合計科目範囲設定マスタ106dの一例を示す図である。
【0033】
図3に示すように、本実施形態における合計科目範囲設定マスタ106dには、費目細目と仕訳の発生科目とが紐付けられたレコード、および、費目細目と予算科目とが紐付けられたレコードが設定されていてもよい。
【0034】
図1に戻り、ユーザデータベース106eは、ユーザデータを記憶する。ここで、ユーザデータベース106eは、ログイン時のユーザの暗証番号、および/または、アラートのユーザに対する通知可否を設定したユーザデータを記憶していてもよい。また、ユーザデータは、暗証番号、および/または、全社単位での管理予算についてのアラートのユーザに対する通知可否が設定されていてもよい。また、ユーザデータは、暗証番号、および/または、部門単位での管理予算についてのアラートのユーザに対する通知可否が設定されていてもよい。
【0035】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0036】
制御部102は、予算実績超過チェック装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、実績取得部102aと比較結果取得部102bとアラート出力部102cとを備えている。
【0037】
実績取得部102aは、実績データを取得する。ここで、実績取得部102aは、発生日(計上日)が当期中であること、システム分類として財務会計がデータの入力元であること、および、承認状態が破棄以外(申請中・承認中・却下・引戻・完了)である条件で、仕訳データを実績データとして収集してもよい。また、実績取得部102aは、発生日(計上日)が当期中であること、および、承認状態が破棄以外(申請中・承認中・却下・引戻・完了)である条件で、経費(例えば、旅費経費等)の支払申請データを実績データとして収集してもよい。また、実績取得部102aは、実績データを実績データベース106cに登録してもよい。
【0038】
比較結果取得部102bは、予算金額と費用の発生金額との比較結果を取得する。ここで、比較結果取得部102bは、所定タイミングにおいて、合計科目範囲設定マスタ106dに基づいて、予算金額と費用の発生金額との比較結果を取得してもよい。また、比較結果取得部102bは、所定タイミングにおいて、合計科目範囲設定マスタ106dに設定された予算勘定科目の予算金額に対する、合計科目範囲設定マスタ106dにて当該予算勘定科目に紐付けられた費用勘定科目の費用の発生金額の超過有無データを含む比較結果を取得してもよい。また、比較結果取得部102bは、所定タイミングにおいて、合計科目範囲設定マスタ106dに基づいて、通期での予算金額と通期での費用の発生金額との比較結果を取得してもよい。また、所定タイミングは、各日の夜間であってもよい。また、所定タイミングは、支払申請データの実績データベース106cへの登録時であってもよい。また、比較結果取得部102bは、費目細目別予算コード別に、通期での予算と実績とを比較し、「予算<実績」となっているデータ有無をチェックしてもよい。ここで、比較結果取得部102bは、比較結果が「予算=実績」の場合、超過していないと判断してもよい。また、比較結果取得部102bは、通期以外での期間でのチェックを行わなくてもよい。また、比較結果取得部102bは、予算と実績との比較を、「費目細目-予算コード」の単位で行ってもよい。
【0039】
アラート出力部102cは、アラートを出力させる。ここで、アラート出力部102cは、予算金額と費用の発生金額との比較結果に基づいて、発生金額が予算金額を超過している場合、アラートを出力させてもよい。また、アラート出力部102cは、ユーザデータに基づいて、アラートの通知対象のユーザによるログインであると判定し、且つ、予算金額と費用の発生金額との比較結果に基づいて、発生金額が予算金額を超過していると判定した場合、アラートを出力させてもよい。また、アラートは、管理予算の対象部門、対象勘定科目、対象案件、および/または、対象年度を示すメッセージデータを含んでいてもよい。
【0040】
[2.具体例]
本実施形態の具体例について、
図4から
図7を参照して説明する。
【0041】
[予算実績超過チェック処理]
ここで、
図4を参照して、本実施形態における予算実績超過チェック処理の一例について説明する。
図4は、本実施形態における予算実績超過チェック装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
図4に示すように、実績取得部102aは、ユーザにより入力装置112を介して費用の仕訳データおよび/または支払申請データが入力された場合、仕訳データおよび/または支払申請データを含む実績データを取得し、当該実績データを実績データベース106cに登録する(ステップSA-1)。
【0043】
そして、比較結果取得部102bは、支払申請データを含む実績データが実績データベース106cに登録されたか否かを判定する(ステップSA-2)。
【0044】
そして、比較結果取得部102bは、支払申請データを含む実績データが実績データベース106cに登録されたと判定した場合(ステップSA-2:Yes)、(即座に)処理をステップSA-4に移行させる。
【0045】
一方、比較結果取得部102bは、支払申請データを含まない(仕訳データのみを含む)実績データが実績データベース106cに登録されたと判定した場合(ステップSA-2:No)、処理をステップSA-3に移行させる。
【0046】
そして、比較結果取得部102bは、夜間(例えば、午前0時等)まで待機し(ステップSA-3)、処理をステップSA-4に移行させる。
【0047】
そして、比較結果取得部102bは、合計科目範囲設定マスタ106dに設定された予算勘定科目の、通期での予算金額に対する、合計科目範囲設定マスタ106dにて当該予算勘定科目に紐付けられた費用勘定科目の、通期での費用の発生金額の超過有無データを含む比較結果を取得する(ステップSA-4)。
【0048】
そして、アラート出力部102cは、予算金額と費用の発生金額との比較結果に基づいて、費用の発生金額が予算金額を超過しているか否かを判定する(ステップSA-5)。
【0049】
そして、アラート出力部102cは、費用の発生金額が予算金額を超過していないと判定した場合(ステップSA-5:No)、処理を終了する。
【0050】
一方、アラート出力部102cは、費用の発生金額が予算金額を超過していると判定した場合(ステップSA-5:Yes)、処理をステップSA-6に移行させる。
【0051】
そして、アラート出力部102cは、ユーザデータベース106eに記憶されたユーザデータに基づいて、アラートの通知対象のユーザによりログインされているか否かを判定する(ステップSA-6)。
【0052】
そして、アラート出力部102cは、アラートの通知対象のユーザによりログインされていないと判定した場合(ステップSA-6:No)、処理をステップSA-6に移行させる。
【0053】
一方、アラート出力部102cは、アラートの通知対象のユーザによりログインされていると判定した場合(ステップSA-6:Yes)、処理をステップSA-7に移行させる。
【0054】
そして、アラート出力部102cは、管理予算の対象部門、対象勘定科目、対象案件、および、対象年度を示すメッセージデータを含むアラートを、通知対象のユーザによりログインされている出力装置114に表示させ(ステップSA-7)、処理を終了する。
【0055】
ここで、
図3、
図5および
図6を参照して、本実施形態における予算実績超過チェック処理の一例について説明する。
図5および
図6は、本実施形態における予算実績超過チェック処理の一例を示す図である。
【0056】
本実施形態においては、
図5に示すように、決算補正前において、
図3に示す合計科目範囲設定マスタ106dに設定された演算要素である予算勘定科目の、通期での予算金額、および、合計科目範囲設定マスタ106dにて当該予算勘定科目に紐付けられた合計科目コードに紐付けられた演算要素である費用勘定科目の、通期での費用の発生金額の合計である実績金額を含む、超過なし(「予算>実績」)の比較結果が取得されている。ここで、
図5に示すように、本実施形態における予算コードは、部門コードと案件番号と年度との組み合わせで構成されており、予算を特定できるもの(例えば、プロジェクトナンバ等)で構成されていてもよい。
【0057】
また、本実施形態においては、
図6に示すように、決算補正後(決算補正による費用追加後)において、
図3に示す合計科目範囲設定マスタ106dに設定された演算要素である予算勘定科目の、通期での予算金額、および、合計科目範囲設定マスタ106dにて当該予算勘定科目に紐付けられた合計科目コードに紐付けられた演算要素である費用勘定科目の、通期での費用の発生金額の合計である実績金額を含む、超過あり(「予算<実績」)の比較結果が取得されている。なお、本実施形態において、予算と実績とのチェックは、支払申請において、データ登録時のタイミングでチェックが実行され、仕訳登録において、日次夜間のタイミングでチェックが実行されてもよい。
【0058】
また、
図7を参照して、本実施形態におけるアラート表示の一例について説明する。
図7は、本実施形態におけるアラート表示の一例を示す図である。
【0059】
図7に示すように、本実施形態においては、「予算<実績」時において、掲示開始日時、掲示終了日時、送信ユーザ、タイトルおよびメッセージが設定された、エラーメッセージとなるアラートが表示させてもよい。ここで、本実施形態においては、実績が予算を超過している場合、超過していることが対象のメンバーに通知され、通知は、対象ユーザがシステムにログインした際、メニュー画面に重畳表示されるメッセージであってもよい。また、本実施形態において、通知対象のメンバーは、全社単位での管理予算にて実績が予算を超過した場合、全部門を使用する権限を保有しているユーザ(例えば、経理データを管理するユーザ等)とし、各部単位での管理予算にて実績が予算を超過した場合、超過した対象部門を使用する権限を保有しているユーザ(例えば、対象部門のユーザ、および、経理データを管理するユーザ等)としてもよい。また、本実施形態において、通知内容としては、「タイトル」および「メッセージ」等が表示され、例えば、タイトルとして「[エラー]予算超過_年度(YYYY)」、メッセージとして「部門コード:対象の部門コード 部門略名、費目細目:対象の合計科目コード 合計科目の科目略名、分析コード:対象の分析コード 分析コード名称」が表示されてもよい。
【0060】
[3.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0061】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0062】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0063】
また、予算実績超過チェック装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0064】
例えば、予算実績超過チェック装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて予算実績超過チェック装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0065】
また、このコンピュータプログラムは、予算実績超過チェック装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0066】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0067】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0068】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0069】
また、予算実績超過チェック装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、予算実績超過チェック装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0070】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、予算管理を行う全ての業界において有用である。
【符号の説明】
【0072】
100 予算実績超過チェック装置
102 制御部
102a 実績取得部
102b 比較結果取得部
102c アラート出力部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 勘定科目マスタ
106b 予算データベース
106c 実績データベース
106d 合計科目範囲設定マスタ
106e ユーザデータベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク