IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特許7539294与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム
<>
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図1
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図2
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図3
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図4
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図5
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図6
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図7
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図8
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図9
  • 特許-与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/03 20230101AFI20240816BHJP
【FI】
G06Q40/03
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020174213
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065553
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-148884(JP,A)
【文献】特開2001-283128(JP,A)
【文献】特開2007-164361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部及び記憶部を備えた与信枠管理装置であって、
前記制御部は、
売上処理を実行して、売上日、入力日、売上額を入力する売上処理手段と、
入金処理を実行して、入金日、入力日、入金額を入力する入金処理手段と、
入金消込処理を実行して、入金消込日、入力日、入金消込額を入力する入金消込処理手段と、
売上処理、入金処理、及び入金消込処理の履歴及び各処理処理後の与信残高及び販売可能与信枠を取引履歴データとして前記記憶部に格納する取引履歴格納手段と、
売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に取引履歴データを並べ替えた後に与信チェックして、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する与信ピーク管理手段と、
を備えたことを特徴とする与信枠管理装置。
【請求項2】
前記与信ピーク管理手段は、毎月の月次繰越処理のタイミングで前記与信ピーク管理データを出力することを特徴とする請求項1に記載の与信枠管理装置。
【請求項3】
記憶部と制御部とを備えた情報処理装置で実行される与信枠管理方法であって、
前記制御部で実行される、
売上処理を実行して、売上日、入力日、売上額を入力する売上処理工程と、
入金処理を実行して、入金日、入力日、入金額を入力する入金処理工程と、
入金消込処理を実行して、入金消込日、入力日、入金消込額を入力する入金消込工程と、
売上処理、入金処理、及び入金消込処理の履歴及び各処理処理後の与信残高及び販売可能与信枠を取引履歴データとして前記記憶部に格納する取引履歴格納工程と、
売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に取引履歴データを並べ替えた後に与信チェックして、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する与信ピーク管理工程と、
を含むことを特徴とする与信枠管理方法。
【請求項4】
記憶部と制御部とを備えた情報処理装置に実行させるための与信枠管理プログラムであって、
売上処理を実行して、売上日、入力日、売上額を入力する売上処理工程と、
入金処理を実行して、入金日、入力日、入金額を入力する入金処理工程と、
入金消込処理を実行して、入金消込日、入力日、入金消込額を入力する入金消込工程と、
売上処理、入金処理、及び入金消込処理の履歴及び各処理処理後の与信残高及び販売可能与信枠を取引履歴データとして前記記憶部に格納する取引履歴格納工程と、
売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に取引履歴データを並べ替えた後に与信チェックして、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する与信ピーク管理工程と、
を実行させるための与信枠管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、与信枠管理装置、与信枠管理方法、および、与信枠管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
与信取引では、与信枠の範囲で取引を行うために、債権額と与信枠をチェックする与信チェックを行う。与信チェックを行うシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-182787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、取引データの入力時の与信チェックをすり抜けた場合に関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、取引データの入力時の与信チェックをすり抜けた場合でも、計上順に取引データを並び替えて再チェックして入力時の与信チェックをすり抜けた案件に対しても警告を行うことが可能な与信枠管理装置、与信枠管理方法、及び与信枠管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた与信枠管理装置であって、前記制御部は、売上処理を実行して、売上日、入力日、売上額を入力する売上処理手段と、入金処理を実行して、入金日、入力日、入金額を入力する入金処理手段と、入金消込処理を実行して、入金消込日、入力日、入金消込額を入力する入金消込処理手段と、売上処理、入金処理、及び入金消込処理の履歴及び各処理処理後の与信残高及び販売可能与信枠を取引履歴データとして前記記憶部に格納する取引履歴格納手段と、売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に取引履歴データを並べ替えた後に与信チェックして、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する与信ピーク管理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記与信ピーク管理手段は、毎月の月次繰越処理のタイミングで前記与信ピーク管理データを出力することにしてもよい。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記憶部と制御部とを備えた情報処理装置で実行される与信枠管理方法であって、前記制御部で実行される、売上処理を実行して、売上日、入力日、売上額を入力する売上処理工程と、入金処理を実行して、入金日、入力日、入金額を入力する入金処理工程と、入金消込処理を実行して、入金消込日、入力日、入金消込額を入力する入金消込工程と、売上処理、入金処理、及び入金消込処理の履歴及び各処理処理後の与信残高及び販売可能与信枠を取引履歴データとして前記記憶部に格納する取引履歴格納工程と、売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に取引履歴データを並べ替えた後に与信チェックして、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する与信ピーク管理工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記憶部と制御部とを備えた情報処理装置に実行させるための与信枠管理プログラムであって、売上処理を実行して、売上日、入力日、売上額を入力する売上処理工程と、入金処理を実行して、入金日、入力日、入金額を入力する入金処理工程と、入金消込処理を実行して、入金消込日、入力日、入金消込額を入力する入金消込工程と、売上処理、入金処理、及び入金消込処理の履歴及び各処理処理後の与信残高及び販売可能与信枠を取引履歴データとして前記記憶部に格納する取引履歴格納工程と、売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に取引履歴データを並べ替えた後に与信チェックして、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する与信ピーク管理工程と、を実行させるための与信枠管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取引データの入力時の与信チェックをすり抜けた場合でも、計上順に取引データを並び替えて再チェックして入力時の与信チェックをすり抜けた案件に対しても警告を行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、従来の与信チェック方式を説明するための図である。
図2図2は、本実施の形態の与信チェック方式を説明するための図である。
図3図3は、本実施の形態に係る与信枠管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、本実施の形態における与信枠管理装置の与信ピーク管理部の処理の具体例を説明するための図である。
図5図5は、本実施の形態における与信枠管理装置の与信ピーク管理部の処理の具体例を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態における与信枠管理装置の与信ピーク管理部の処理の具体例を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態における与信枠管理装置の与信ピーク管理部の処理の具体例を説明するための図である。
図8図8は、本実施の形態における与信枠管理装置の与信ピーク管理部の処理の具体例を説明するための図である。
図9図9は、本実施の形態における与信枠管理装置の与信ピーク管理部の処理の具体例を説明するための図である。
図10図10は、本実施の形態における与信枠管理装置の与信ピーク管理部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0013】
[1.概要]
与信取引では、与信枠の範囲で取引を行うために、債権額と与信枠をチェックする与信チェックを行う。
【0014】
従来の与信チェックでは、本来、売上→入金の順番で取引が発生しているにも拘わらず、入金→売上の順番で処理することで、与信チェックをすり抜けることができた。つまり、本来、売上時に与信枠をオーバーするにも拘わらず、先に(恣意的かどうかは別にして)入金してしまうと与信枠が空くため、与信チェックをすり抜けていた。
【0015】
このように、従来の与信チェック方式では、入力テクニックにより、与信枠をオーバーしているにも関わらず与信チェックを回避することが可能であった。テクニックを使って恣意的にエラーを回避するケースは稀であることは分かっているが、恣意的でないにしろ本来チェックがかかるべき取引に対してエラーチェック又は月次単位での見直しをすることが債権回収リスクを抑えるための手段として必要不可欠である。
【0016】
図1は、従来の与信チェック方式を説明するための図である。従来の与信チェック方式では、受注や売上の入力時に与信枠と債権額を比較して与信チェックを実施する。図1では、与信枠(与信限度額)「1,000,000」、締日「20日」、入金日「24日」とした例を挙げて説明する。
【0017】
S1の売上処理では、売上日「2019/05/01」、入力日「2019/05/01」、売上額「100,000」、与信残高「100,000」、販売可能与信枠「900,000」となっている。
【0018】
S2の売上処理では、売上日「2019/05/10」、入力日「2019/05/10」、売上額「500,000」、与信残高「600,000」、販売可能与信枠「400,000」となっている。
【0019】
S3の売上処理では、売上日「2019/05/15」、入力日「2019/05/15」、売上額「400,000」、与信残高「100,000」、販売可能与信枠「0」となっている。
【0020】
S4の入金処理では、入金日「2019/05/24」、入力日「2019/05/24」、入金額「1,000,000」、与信残高「1,000,000」、販売可能与信枠「0」となっている。
【0021】
S5の入金消込処理では、入金消込日「2019/05/31」、入力日「2019/05/31」、入金消込額「1,000,000」、与信残高「0」、販売可能与信枠「1,000,000」となっている。
【0022】
ここで、S6のように、売上日「2019/05/24」、入力日「2019/05/24」、売上額「500,000」を入力しようとした場合、売上日=入力日=5/24の場合は、販売可能与信枠=0のため、与信チェックされて入力できない。
【0023】
しかし、入力日をずらして、S7のように、売上日=5/24で、入力日=6/1とすることで、6/1の時点では入金消込が完了しており、販売可能与信枠=1,000,000になっているため、与信チェックされない。
【0024】
このように、受注/売上「入力時」のチェックであるため、実際の取引の時系列と入力の時系列が一致しない場合(恣意的でないにしろ)に、本来の与信チェックをすり抜けるケースが発生する。
【0025】
本来は、入力のタイミングでシステムチェックできることが理想であるが、売上計上は営業部・入金入力は経理部のように、入力者が分かれているため、必ずしも取引発生順=システムの入力順とならないため、月次単位の再チェックする必要性がある。
【0026】
本実施の形態では、取引データの入力時の与信チェックをすり抜けた場合でも、計上順に取引データを並び替えて再チェックして入力時の与信チェックをすり抜けた案件に対しても警告を行う。
【0027】
すなわち、本実施の形態では、当該月データを計上順に再チェックすることで、入力時の与信チェックをすり抜けた案件に対して、改めて与信チェックを行うことで、資金繰りが悪化するリスクや不良債権の発生を回避することが可能である。
【0028】
図2は、本実施の形態の与信チェック方式を説明するための図である。本実施の形態の与信チェック方式は、毎月の月次繰越処理のタイミングにて当該月度に発生したデータをシステム内で売上日、入金日、入金消込日で並び替える。並び替えた後に、本来の並び順でシステム入力した場合に、与信チェックに引っかかっていたデータを洗い出して出力する。
【0029】
図2において、図1と共通する部分の説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。図2において、S7では、入力日=6/1であるので与信チェックされないが、売上日=5/24であるので、本来チェックされるべきである。S7については、売上日=5/24なので、入力日=5/24であるべきと考える。そこで、本実施の形態では、取引データを売上日、入金日、入金消込日の計上日順に並び替えて与信チェックを行うことで、S7(売上日=5/24,入力日=6/1)についても与信チェックで警告できるようにした。
【0030】
本発明は、鉄鋼業界を含む各種業界に適用可能である。
【0031】
[2.構成]
本実施形態に係る与信枠管理装置100の構成の一例について、図3を参照して説明する。図3は、与信枠管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
与信枠管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、与信枠管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0033】
与信枠管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。与信枠管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0034】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、与信枠管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、与信枠管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0035】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0036】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、データファイル106aを備えている。データファイル106aは、売上データ、入金データ、入金消込データ、取引履歴データ、及び与信ピーク管理データ等の各種データを格納するためのファイルである。
【0037】
制御部102は、与信枠管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、売上処理部102a、入金処理部102b、入金消込処理部102c、取引履歴格納部102d、与信ピーク管理部102e、画面表示制御部102fを備えている。
【0038】
売上処理部102aは、売上処理を行い、例えば、モニタ114に表示される不図示の売上入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、入力日、売上日、売上額を含む売上データを入力してデータファイル106aに格納する。売上処理部102aは、売上額の入力時に与信チェックを行い、売上額が販売可能与信枠を越える場合には売上入力画面で入力ができないように制御している。
【0039】
入金処理部102bは、入金処理を行い、例えば、モニタ114に表示される不図示の入金入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、入力日、入金日、入金額を含む入金データを入力して、データファイル106aに格納する。
【0040】
入金消込処理部102cは、入金消込処理を行い、例えば、モニタ114に表示される不図示の入金消込画面上でのオペレータの操作等に応じて、入力日、入金消込日、入金消込金額を含む入金消込データを入力してデータファイル106aに格納する。
【0041】
取引履歴格納部102dは、売上処理、入金処理、及び入金消込処理の履歴及び各処理処理後の与信残高及び販売可能与信枠を取引履歴データとしてデータファイル106aに格納する。
【0042】
与信ピーク管理部102eは、例えば、毎月の月次繰越処理のタイミングで、当該月度に発生した取引履歴データを、売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に並び替えた後、再度、与信チェックを行い、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する。
【0043】
画面表示制御部102fは、モニタ114に表示する各種画面(例えば、売上入力画面、入金画面、入金消込画面、検索画面等)の表示及びその入力を制御する。
【0044】
[3.具体例]
図3図10を参照して、本実施の形態における与信枠管理装置100の与信ピーク管理部102eの処理の具体例を説明する。図4図10は、本実施の形態における与信枠管理装置100の与信ピーク管理部102eの処理の具体例を説明するための図である。
【0045】
与信ピーク管理部102eは、例えば、毎月の月次繰越処理のタイミングで、当該月度に発生した取引履歴データを、売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に並び替えた後、与信チェックを行い、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する。これにより、売上入力時の与信チェックと計上日順に並び替えた後の与信チェックが行われ、2重チェックが可能となる。与信ピーク管理部102eは、日別で与信額を集計し、与信の実態の把握を行う。特定の時点の与信額だけでなく、月次の中で売上計上日毎に与信額を集計し、与信残高が一番少ない日を算出可能である。特定時点の与信額の把握だけでは、消込により債権残高が落ちた時点で前日付の伝票を入力可能となってしまう。上記を防ぐために、売上日付毎の与信残高を集計して、ピーク管理を行う。
【0046】
図4は、取引履歴データの一例を示す図である。図4では、与信枠(与信限度額)「1,000,000」、締日「20日」、入金日「24日」とした例を挙げて説明する。
【0047】
図4において、S1の売上処理では、売上日「2019/05/01」、入力日「2019/05/01」、売上額「100,000」、与信残高「100,000」、販売可能与信枠「900,000」となっている。
【0048】
S2の売上処理では、売上日「2019/05/10」、入力日「2019/05/10」、売上額「500,000」、与信残高「600,000」、販売可能与信枠「400,000」となっている。
【0049】
S3の売上処理では、売上日「2019/05/15」、入力日「2019/05/15」、売上額「400,000」、与信残高「1,000,000」、販売可能与信枠「0」となっている。
【0050】
S4の入金処理では、入金日「2019/05/24」、入力日「2019/05/24」、入金額「1,000,000」、与信残高「1,000,000」、販売可能与信枠「0」となっている。
【0051】
S5の入金消込処理では、入金消込日「2019/05/31」、入力日「2019/05/31」、入金消込額「1,000,000」、与信残高「0」、販売可能与信枠「1,000,000」となっている。
【0052】
S6の売上処理では、売上日「2019/05/24」、入力日「2019/06/01」、売上額「500,000」、与信残高「500,0000」、販売可能与信枠「500,000」となっている。
【0053】
図5は、図4の取引履歴データを入力日順に並べた図を示している。上述したように、
図6に示すようなS6の売上処理(売上日「2019/05/24」、入力日「2019/06/01」、売上額「500,000」、与信残高「500,0000」、販売可能与信枠「500,000」)は入力が可能となる。
【0054】
実際は、2019/05/24時点で販売可能与信枠の「1,000,000」を超えているので、このような入力を行わないためにピーク管理を行う。入力チェック等でなく、与信ピーク管理データ(例えば、法人別販売可能与信枠推移表)にてピークを把握可能とする。出力時点でピーク集計を行うと時間がかかってしまうため、夜間に集計処理を行うことにしてもよい。
【0055】
図7は、従来の与信チェック方式を説明するための図である。図7に示すように、売上時の与信チェックは入力時の与信残高・販売可能与信枠を保持して売上時に与信チェックを行う仕組みであった。すなわち、S1~S6の入力日順に与信チェックを行う。
【0056】
図8は、本実施の形態の与信ピーク管理データの一例を示している。与信ピーク管理データは、取引履歴データを計上日順に並び変えた後の与信チェック結果を示しており、処理の内容、入力日、計上日、売上額、入金額、入金消込額、販売可能与信枠、売上時与信チェックのデータを含んでいる。売上時与信チェックは、売上時に与信枠を越えたか否かを示すデータであり、越えていない場合は「OK」、越えている場合は、「NG」となる。
【0057】
与信ピーク管理では、計上日で並び変えることによって、入力時にはチェックできなかったが、本来与信チェックされるべき取引に対してアラートを挙げる仕組である。例えば、本処理を業務終了後の深夜に実行し、翌日に結果をアウトプットすることで日々の与信チェックの運用を行うことにしてもよい。
【0058】
図8に示すように、計上日順に取引履歴データを並び変えることで、S3~S4の間にS6が入ってくる。入力時の与信チェックでは検出できないが、与信ピーク管理データを出力することで、S6で与信を超えていたことが分かる仕様となっている(S6では、販売可能与信枠「0」のため、売上時与信フラグがNGとなる)。なお、与信ピーク日の与信枠はマイナス表示してもよく、例えば、S6の販売可能与信枠は、「-500,000」として出力してもよい。
【0059】
図9は、与信ピーク管理データの検索画面の一例を示す図である。与信ピーク管理データは、法人別与信残高推移表の形式で出力してもよい。与信ピーク管理部102eは、図9の検索画面の検索条件及び設定される出力項目に従った与信ピーク管理データを出力してもよい。図10は、出力項目の一覧を示す図であり、この一覧から出力項目を設定することができる。検索画面で指定される検索条件で出力項目内に与信ピーク日と残高を出力可能になっている。
【0060】
図9に示す検索画面の例では、基準日、対象象年月(月単位でチェックするが、毎晩バッチ処理で最新化されるので、日々のチェックは可能)、法人コード(法人単位での指定が可能)、事業所コード、部門コードの入力欄を備えている。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、売上処理を実行して、売上日、入力日、売上額を入力する売上処理部102aと、入金処理を実行して、入金日、入力日、入金額を入力する入金処理部102bと、入金消込処理を実行して、入金消込日、入力日、入金消込金額を入力する入金消込処理部102cと、売上処理、入金処理、及び入金消込処理の履歴及び各処理処理後の与信残高及び販売可能与信枠を取引履歴データとして前記記憶部に格納する取引履歴格納部102dと、売上日、入金日、及び入金消込日をそれぞれ計上日として、計上日順に取引履歴データを並べ替えた後に与信チェックして、販売可能与信枠を越えた取引か否かを示す与信ピーク管理データを出力する与信ピーク管理部102eと、を備えているので、取引データの入力時の与信チェックをすり抜けた場合でも、計上順に取引データを並び替えて再チェックして入力時の与信チェックをすり抜けた案件に対しても警告を行うことが可能となる。
【0062】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0063】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0064】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0065】
また、与信枠管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0066】
例えば、与信枠管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて与信枠管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0067】
また、このコンピュータプログラムは、与信枠管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0068】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0069】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0070】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0071】
また、与信枠管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、与信枠管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0072】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0073】
100 与信枠管理装置
102 制御部
102a 売上処理部
102b 入金処理部
102c 入金消込処理部
102d 取引履歴格納部
102e 与信ピーク管理部
102f 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10