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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20240816BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240816BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240816BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/62
H01L33/58
H01L33/60
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020176743
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067886
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】319006036
【氏名又は名称】シャープ福山レーザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大沼 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】前川 真澄
(72)【発明者】
【氏名】浦川 圭
(72)【発明者】
【氏名】窪田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】尾家 翔太郎
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0069567(US,A1)
【文献】国際公開第2019/009033(WO,A1)
【文献】特開2017-054894(JP,A)
【文献】特開2017-175118(JP,A)
【文献】特開2013-229438(JP,A)
【文献】国際公開第2015/011925(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路が形成された下地基板と、
前記駆動回路と電気的に接続された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の各々の上面に形成されており、前記複数の発光素子の光を吸収して前記複数の発光素子の発光色を他の発光色に変換する複数の色変換層と、
互いに隣接する前記色変換層間に配置される分離層であって、前記分離層の可視光透過率が50%以下となる光遮蔽層である分離層と、
前記複数の色変換層及び前記分離層上に形成され、前記複数の色変換層及び前記分離層の上部を保護する保護層と、
前記保護層上に形成され、前記発光素子からの光のうち、前記色変換層にて色変換された光の透過率が50%以上であるように構成された機能層と、を備えることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記保護層における前記複数の色変換層側の面の平坦性よりも、前記保護層における前記複数の色変換層側とは反対側の面の平坦性の方が高いことを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記機能層は、前記発光素子からの光を反射もしくは吸収することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基体と、第1発光素子と、第2発光素子と、第1透光性部材と、第2透光性部材と、遮光部材と、を備える発光装置が開示されている。第1発光素子及び第2発光素子は基体上に配置され、第1透光性部材及び第2透光性部材はそれぞれ、第1発光素子及び第2発光素子の上面に設けられる。遮光部材は、第1発光素子及び第2発光素子の側面並びに第1透光性部材及び第2透光性部材の側面を被覆する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-126209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、発光装置の特性を安定させることを目的としており、第1透光性部材及び第2透光性部材の上面を均一にすることは想定されていない。本発明の一態様は、色変換層における発光素子側とは反対側の面の平坦性を向上させることを目的とする。
【0005】
色変換層の平坦性を向上させることで、色変換層上の全面に光学特性や信頼性向上の機能を有する層を均一な厚み及び均一な形状で形成できるため、各発光素子上の発光特性を均一にすることが容易になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る半導体モジュールは、駆動回路が形成された下地基板と、前記駆動回路と電気的に接続された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の各々の上面に形成されており、前記複数の発光素子の光を吸収して前記複数の発光素子の発光色を他の発光色に変換する複数の色変換層と、互いに隣接する前記色変換層間に配置される分離層であって、前記分離層の可視光透過率が50%以下となる光遮蔽層である分離層と、前記複数の色変換層及び前記分離層上に形成され、前記複数の色変換層及び前記分離層の上部を保護する保護層と、前記保護層上に形成され、前記発光素子からの光のうち、前記色変換層にて色変換された光の透過率が50%以上であるように構成された機能層と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、色変換層における発光素子側とは反対側の面の平坦性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る半導体モジュールの構成を示す断面図である。
図2図1に示す半導体モジュールの製造方法を説明するための図である。
図3】本発明の実施形態2に係る半導体モジュールの構成を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態3に係る半導体モジュールの構成を示す断面図である。
図5図4に示す半導体モジュールの製造方法を説明するための図である。
図6図4に示す半導体モジュールの製造方法の変形例1を説明するための図である。
図7図4に示す半導体モジュールの製造方法の変形例2を説明するための図である。
図8】本発明の実施形態4に係る半導体モジュールの構成を示す断面図である。
図9図8に示す半導体モジュールの製造方法を説明するための図である。
図10】本発明の実施形態5に係る半導体モジュールの構成を示す断面図である。
図11】本発明の実施例に係る半導体モジュールから出射される光の強度を示す図である。
図12】本発明の実施例に係る半導体モジュールにおいて、色変換層及び機能層の断面の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る半導体モジュール1,1A,1Bの構成を示す断面図である。半導体モジュール1A,1Bは半導体モジュール1の変形例である。図1の符号101,102,103はそれぞれ、半導体モジュール1,1A,1Bの構成を示している。図1において、複数の発光素子13が並ぶ方向をX方向、下地基板11から発光素子13に向かう方向をZの正の方向、X方向及びZ方向の両方に直交する方向をY方向とする。また、Zの正の方向を上方向とする場合がある。
【0010】
<半導体モジュール1の構成>
図1の符号101に示すように、半導体モジュール1は、下地基板11と、電極12と、複数の発光素子13と、色変換層14と、保護層15と、分離層16と、を備える。下地基板11は、少なくともその表面が発光素子13と接続できるよう、配線が形成されたものとなっている。下地基板11には、発光素子13を駆動する駆動回路が形成されている。下地基板11の材料は例えばSi(シリコン)である。
【0011】
複数の発光素子13は、Au(金)から構成される電極12を介して、下地基板11に形成された駆動回路と電気的に接続されている。発光素子13としては、公知のもの、具体的には半導体発光素子を利用でき、例えば、GaAs系、ZnO系またはGaN系のものを利用できる。発光素子13は、X方向に複数並んで配置されているが、Y方向にも複数並んで配置されていてもよい。
【0012】
発光素子13には、赤色、橙色、黄色、黄緑色、緑色、青緑色、青色、青紫色または紫色の可視光を発するLED(Light Emitting Diode)を用いてもよく、近紫外光を発光するLEDを用いてもよい。その中でも、青色から紫外光の発光が可能なGaN系半導体を発光素子13として用いることが好ましい。ここでは、発光素子13が青色の光を発光するInGaNの半導体であるものとして説明する。発光素子13が発光した光は、その上面(下地基板11とは反対側)から出射されることで、半導体モジュール1は表示素子として機能する。
【0013】
分離層16は、互いに隣接する発光素子13間に配置されており、複数の発光素子13を分離する。分離層16は、下地基板11の上面と、電極12と、発光素子13の側面と、を覆う。分離層16は、発光素子13におけるXY平面に垂直な側面から射出される光による光学的なクロストークを抑制する光遮蔽層である。加えて、分離層16は、電極12及び発光素子13を下地基板11に固定させる機能を有していてもよい。
【0014】
分離層16は、アンダーフィルとも呼ばれ、一例として液状である樹脂を硬化させることにより形成されるものである。また分離層16は別の例として、Al、Cuなどの金属材料から形成されるとともに、ダマシン工程等を利用して形成されるものである。なお、分離層16はエポキシ樹脂や金属などの単一な材料のみから構成されてもよいし、金属と樹脂との組み合わせ、樹脂と染料との組み合わせ、あるいは樹脂と酸化物粒子との組み合わせ、などの複数の材料の組み合わせから構成されてもよい。
【0015】
なお、分離層16により発光素子13は完全に分離されておらず、部分的な分離であってもよい。つまり、発光素子13は下地基板11側で部分的に分離され、分離層16が充填されており、反対側では発光素子13は分離されていなくてもよい。
【0016】
色変換層14は、複数の発光素子13及び分離層16上に形成されており、発光素子13の光を吸収して発光素子13の発光色を他の発光色に変換する色変換材料を含有する。当該色変換材料は色変換層14の内部に一様に存在する。色変換材料は、発光素子13が出射した光の波長を変換する。発光素子13上に色変換層14が形成されることにより、可視光領域にある様々な発光色を示すことができる。
【0017】
色変換層14は、QD(Quantum Dot)、ナノ蛍光体を含む蛍光体材料または光吸収材料等の色変換材料からなる。また色変換層14は、前記色変換材料と、母材となる樹脂と、から構成されてもよい。さらに色変換層14は、チタニア、シリカまたはアルミナ等の光散乱材料を含んでいてもよい。色変換層14は、例えば緑色変換層または赤色変換層である。色変換層14が緑色変換層である場合、色変換層14は、発光素子13が出射した光を緑色の光に変換する。色変換層14が赤色変換層である場合、色変換層14は、発光素子13が出射した光を赤色の光に変換する。
【0018】
保護層15は、色変換層14上に形成されており、色変換層14の上部を保護する。保護層15の上面が平坦になるように、略均一な厚みを有する保護層15が色変換層14上に形成される。これにより、色変換材料の粒子によって色変換層14の上面に凹凸が生じていたとしても、凹凸が生じている色変換層14の上面に保護層15が形成される。このため、色変換層14上に保護層15が形成されない場合に比べて、色変換層14における発光素子13側とは反対側の面の平坦性を向上させることができる。
【0019】
また、保護層15が色変換層14上に形成されることにより、色変換層14の上面の平坦性よりも保護層15の上面の平坦性の方が高くなる。換言すると、保護層15における色変換層14側の面の平坦性よりも、保護層15における色変換層14側とは反対側の面の平坦性の方が高くなる。これにより、保護層15によって色変換層14の上面の平坦性を向上させることができる。
【0020】
保護層15としては、例えば、透明な樹脂、酸化膜、窒化膜またはDLC(Diamond-like Carbon)等が挙げられる。保護層15が透明な樹脂である場合、塗布により色変換層14上に保護層15を形成することができ、色変換層14の上面に生じた凹凸を保護層15により容易に低減することができる。
【0021】
保護層15としては、高いガスバリア性を有する材料を用いることが好ましい。この場合、保護層15によって色変換層14が大気と遮断されるため、色変換層14の経時劣化を抑制することができる。これにより、色変換層14からの光取り出し効率を向上させることができる。
【0022】
<半導体モジュール1の製造方法>
図2は、図1に示す半導体モジュール1の製造方法を説明するための図である。まず、図2の符号S1に示すように、成長基板GBに発光素子13の基となる半導体層13Gを設ける。成長基板GBは、半導体層13Gをエピタキシャル成長させる基板である。成長基板GBに半導体層13Gを設けた後、図2の符号S2に示すように、半導体層13Gに複数の分離溝13Aを形成することにより、半導体層13Gを複数の発光素子13に分割する。なお図2では分離溝13Aは半導体層13Gの表面から成長基板GBに至る深さにまで形成されるが、分離溝13Aは成長基板GBに至る深さにまで形成されなくてもよく、発光素子13は部分的に分離されなくてもよい。
【0023】
半導体層13Gに複数の分離溝13A及び電極(図示なし)を形成した後、図2の符号S3に示すように、駆動回路及び複数の電極12が形成された下地基板11を用意する。下地基板11と成長基板GBとを対向させて、複数の電極12と複数の発光素子13とを接合する。複数の電極12と複数の発光素子13とを接合した後、成長基板GBを複数の発光素子13から剥離させる。
【0024】
成長基板GBを複数の発光素子13から剥離させた後、図2の符号S4に示すように、下地基板11の上面、電極12及び発光素子13を覆うように、下地基板11上に分離層16を充填する。下地基板11上に分離層16を充填した後、図2の符号S5に示すように、複数の発光素子13及び分離層16上に色変換層14を成膜する。色変換層14の成膜方法としては、塗布、蒸着、スパッタリングまたはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等が挙げられる。
【0025】
複数の発光素子13及び分離層16上に色変換層14を成膜した後、図2の符号S6に示すように、色変換層14上に保護層15を成膜する。保護層15の成膜方法は色変換層14の成膜方法と同様であってもよい。なお、後述する半導体モジュール1A,2,2A,2Bの製造方法は、ここで説明した半導体モジュール1の製造方法と同様である。
【0026】
<半導体モジュール1Aの構成>
図1の符号102に示すように、半導体モジュール1Aは半導体モジュール1と比べて、色変換層14及び保護層15がそれぞれ色変換層14A及び保護層15Aに変更されている点が異なる。色変換層14Aにおける色変換材料及び光散乱材料以外の部分の材料は樹脂であり、保護層15Aの材料と同一である。
【0027】
また、色変換層14A及び保護層15Aは一体となっている。この場合、色変換層14Aの部分には色変換材料及び光散乱材料が含有されており、保護層15Aの部分には色変換材料及び光散乱材料が含有されていない。色変換層14A及び保護層15Aが一体となっていることにより、色変換層14A及び保護層15Aにおいて成膜回数を1回にすることができ、製造工程を少なくすることができる。
【0028】
<半導体モジュール1Bの構成>
図1の符号103に示すように、半導体モジュール1Bは半導体モジュール1と比べて、機能層17が形成されている点が異なる。半導体モジュール1Bは、保護層15上に形成された機能層17を備える。つまり、機能層17は、保護層15を介して、色変換層14の上側に形成される。
【0029】
機能層17は、発光素子13からの光のうち、色変換層14にて色変換された光が透過するように構成されている。機能層17が高い光の透過率を有することで、色変換光を効率よく外部に出射でき、半導体モジュール1Bをより高効率の表示素子にできる。よって、機能層17は、色変換層14にて色変換された光の透過率が50%以上であるように構成されることが好ましい。
【0030】
機能層17は、発光素子13からの光を反射もしくは吸収する。機能層17としては、例えば、カラーフィルタまたは反射膜が挙げられる。機能層17がカラーフィルタである場合、機能層17は特定の波長以外の光を吸収する色素を含有した樹脂から構成される。また、機能層17は複数の材料で構成されていてもよく、例えば、カラーフィルタと反射膜の両者から構成されていてもよい。ここでは、機能層17は、発光素子13から出射され、色変換層14を透過した青色の光を吸収する。機能層17としてカラーフィルタを用いることにより、半導体モジュール1Bから出射される光の色を所望の色にすることができる。
【0031】
機能層17が反射膜である場合、機能層17は特定の波長の光を透過させる波長選択性を有する。当該反射膜としては、例えば、入射する光の角度によって反射する光の波長の範囲が変化する誘電体多層膜が挙げられ、当該誘電体多層膜としては異なる酸化物層を交互に積層したものが挙げられる。ここでは、機能層17は、発光素子13から出射され、色変換層14を透過した青色の光の50%以上を反射する。
【0032】
また、上述した通り、色変換層14の上面に生じる凹凸を保護層15によって低減でき、平坦性が向上された保護層15の上面に機能層17が形成されるため、その凹凸によって機能層17にマイクロクラックが生じることを低減することができる。これにより、機能層17の機能を十分に発揮することができる。また、色変換層14の上面の凹凸が低減されていることで、色変換層14上の全面で均一な厚みの機能層17を形成できるため、各画素の発光特性を均一にすることが容易になる。
【0033】
<半導体モジュール1Bの製造方法>
半導体モジュール1Bの製造方法は、色変換層14上に保護層15を成膜する工程までは、半導体モジュール1の製造方法と同様である。色変換層14上に保護層15を成膜した後、保護層15上に機能層17を成膜する。機能層17の成膜方法は色変換層14の成膜方法と同様であってもよい。
【0034】
色変換層14上に保護層15が形成されていることにより、保護層15上に機能層17を成膜する際に、機能層17の成膜による色変換層14への負担を低減することができる。これにより、色変換層14からの光取り出し効率を向上させることができる。また、色変換層14の上側に保護層15及び機能層17が形成されることにより、色変換層14が大気と遮断されるため、色変換層14の経時劣化を抑制することができる。よって、色変換層14に含有される色変換材料が劣化することも抑制することができる。
【0035】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態3以降についても同様に、前の実施形態にて説明した部材の説明を繰り返さない。
【0036】
図3は、本発明の実施形態2に係る半導体モジュール2,2A,2Bの構成を示す断面図である。半導体モジュール2A,2Bは半導体モジュール2の変形例である。図3の符号301,302,303はそれぞれ、半導体モジュール2,2A,2Bの構成を示している。なお、実施形態2にて説明する色変換層14B,14C,14Dの特徴については、他の実施形態にて説明する色変換層にも適用されてもよい。
【0037】
<半導体モジュール2の構成>
図3の符号301に示すように、半導体モジュール2は半導体モジュール1と比べて、色変換層14が色変換層14Bに変更されている点が異なる。符号301Aは、色変換層14Bと、色変換層14Bに含有される色変換材料M1と、を模式的に示したものであり、符号301Aに示された色変換材料M1のサイズは、実際の色変換材料M1のサイズとは異なる。
【0038】
符号301Aに示すように、色変換層14Bの内部の色変換材料M1の分布は一様ではない。色変換層14Bに含有される色変換材料M1は、色変換層14Bにおける発光素子13側とは反対側よりも、色変換層14Bにおける発光素子13側に多く存在してもよい。例えば、色変換層14Bを厚み方向(図3のZ方向)の中心で二分した場合、上側半分での色変換材料M1の存在量よりも下側半分での色変換材料M1の存在量が多くなる。
【0039】
換言すると、色変換材料M1は、色変換層14Bにおける保護層15側よりも、色変換層14Bにおける発光素子13側に多く存在する。色変換材料M1の存在量は、例えば、色変換層14B中の色変換材料M1の体積%または質量%であってもよいし、色変換層14B中の色変換材料M1の粒子の数であってもよい。
【0040】
これにより、色変換層14Bにおける保護層15側に存在する色変換材料M1が少なくなるため、色変換層14Bの上面近傍に存在する色変換材料M1の粒子も少なくなる。よって、色変換材料M1の粒子によって色変換層14Bの上面に凹凸が生じることを低減することができる。したがって、色変換材料M1が色変換層の内部に一様に存在する場合に比べて、色変換層14Bの上面の平坦性を向上させることができる。
【0041】
<半導体モジュール2Aの構成>
図3の符号302に示すように、半導体モジュール2Aは半導体モジュール2と比べて、色変換層14B及び保護層15がそれぞれ色変換層14C及び保護層15Bに変更されている点が異なる。色変換層14C及び保護層15Bに関してここで説明する内容以外は、色変換層14B及び保護層15と同一である。色変換層14Cにおける色変換材料M1及び光散乱材料以外の部分の材料は樹脂であり、保護層15Bの材料と同一である。
【0042】
また、色変換層14C及び保護層15Bは一体となっている。この場合、色変換層14Cの部分には色変換材料M1及び光散乱材料が含有されており、保護層15Bの部分には色変換材料M1及び光散乱材料が含有されていない。色変換層14C及び保護層15Bが一体となっていることにより、色変換層14C及び保護層15Bにおいて成膜回数を1回にすることができ、製造工程を少なくすることができる。
【0043】
<半導体モジュール2Bの構成>
図3の符号303に示すように、半導体モジュール2Bは半導体モジュール2と比べて、色変換層14Bが色変換層14Dに変更されている点が異なる。符号303Aは、色変換層14Dと、色変換層14Dに含有される色変換材料M2,M3,M4と、を模式的に示したものである。
【0044】
符号303Aに示された色変換材料M2,M3,M4のサイズは、実際の色変換材料M2,M3,M4のサイズとは異なる。また、色変換層14Dには3種類のサイズの色変換材料M2,M3,M4が含有されているが、これに限定されず、2種類または4種類以上のサイズの色変換材料が含有されていてもよい。
【0045】
色変換層14Dは、様々なサイズの色変換材料として、例えば、色変換材料M2,M3,M4を含有する。色変換材料M2の粒子は色変換材料M3の粒子より大きく、色変換材料M3の粒子は色変換材料M4の粒子より大きい。
【0046】
色変換材料M2の粒子は、色変換層14Dにおける保護層15側よりも、色変換層14Dにおける発光素子13側に多く存在する。色変換材料M3の粒子は、色変換層14Dの内部に一様に存在する。色変換材料M4の粒子は、色変換層14Dにおける発光素子13側よりも、色変換層14Dにおける保護層15側に多く存在する。
【0047】
つまり、大きな色変換材料M2の粒子が発光素子13側に多く存在し、小さな色変換材料M4の粒子が保護層15側に多く存在する。これにより、色変換層14Dの上面近傍では、小さな色変換材料M4の粒子が多く、大きな色変換材料M2の粒子が少なくなる。よって、色変換層14Dにおける保護層15側の面に生じる凹凸が小さくなり、色変換層14Dの上面の平坦性を向上させることができる。
【0048】
また、色変換層14Dのうち色変換材料が占める体積は、色変換層14Dにおける保護層15側よりも、色変換層14Dにおける発光素子13側に大きくなる。よって、色変換層14Dに含有される色変換材料は、総合的に色変換層14Dにおける発光素子13側とは反対側よりも、色変換層14Dにおける発光素子13側に多く存在することになる。
【0049】
〔実施形態3〕
図4は、本発明の実施形態3に係る半導体モジュール3,3Aの構成を示す断面図である。半導体モジュール3Aは半導体モジュール3の変形例である。図4の符号401,402はそれぞれ、半導体モジュール3,3Aの構成を示している。
【0050】
<半導体モジュール3の構成>
図4の符号401に示すように、半導体モジュール3は半導体モジュール1と比べて、色変換層21が複数である点と、分離層22が形成される点と、が異なる。半導体モジュール3は分離層22を備える。複数の色変換層21は、複数の発光素子13の各々の上面に形成されている。分離層22は、互いに隣接する色変換層21間に配置されており、分離層16上に形成されている。
【0051】
つまり、分離層16,22を1つの分離層として考えると、当該分離層は、互いに隣接する発光素子13間に配置されるとともに、互いに隣接する色変換層21間に配置される。これにより、発光素子13間で光の影響を及ぼし合うことと、色変換層21間で光の影響を及ぼし合うことと、を低減することができるため、個々の発光素子13から出射される光を際立たせることができる。
【0052】
また、分離層22の可視光透過率は50%以下である光遮蔽層であることが好ましい。これにより、互いに隣接する色変換層21間に通過する可視光の量を低減することができる。また、分離層16の可視光透過率は50%で以下であることが好ましく、これにより互いに隣接する発光素子13間に通過する可視光の量を低減することができる。なお、分離層22における色変換層21側の側面が、上方向に向かうにつれて分離層22の幅が小さくなるようなテーパー形状であれば、色変換層21からの光取り出し効率を向上させることができる。分離層22の幅は、色変換層21が並ぶ方向に沿った幅である。
【0053】
なお、半導体モジュール3において、下地基板11と反対側で発光素子13は繋がっている一方で、下地基板11側では分離層16により分離されたような、部分的な分離であってもよい。
【0054】
色変換層21が複数であり、かつ、分離層22が形成される場合、保護層15は、複数の色変換層21及び分離層22上に形成される。半導体モジュール3では、複数の色変換層21は互いに、発光素子13が出射した光を同一の色の光に変換する同一種類の色変換層である。
【0055】
<半導体モジュール3の製造方法>
図5は、図4に示す半導体モジュール3の製造方法を説明するための図である。半導体モジュール3の製造方法は、分離層16を成膜する工程までは、半導体モジュール1の製造方法と同様である。図5の符号S7に示す状態において、下地基板11上に分離層16を充填した後、図5の符号S8に示すように、複数の発光素子13及び分離層16上に分離層22を成膜する。分離層22の成膜方法としては例えば塗布が挙げられる。分離層22としてネガ型のフォトレジストを用いる。
【0056】
複数の発光素子13及び分離層16上に分離層22を成膜した後、図5の符号S9に示すように、分離層22に対してフォトマスクPM1の上から光を照射することにより、分離層22に対して露光を行う。これにより、図5の符号S10に示すように、分離層22に対して現像が行われ、複数の発光素子13の上面が露出する。分離層22はネガ型のフォトレジストであるため、露光した部分が残る。
【0057】
次に、図5の符号S11に示すように、複数の発光素子13の上面及び分離層22の露出面に反射膜C1を成膜する。反射膜C1の成膜方法としては例えば蒸着やスパッタリングが挙げられ、反射膜C1の材料としてはAlやAgなどが挙げられる。複数の発光素子13の上面及び分離層22の露出面に反射膜C1を成膜した後、図5の符号S12に示すように、反射膜C1を介して、分離層22を覆うように、マスクレジストMS1を形成する。
【0058】
マスクレジストMS1を形成した後、図5の符号S13に示すように、反射膜C1をエッチングにより除去する。このとき、分離層22の露出面に形成された反射膜C1は、マスクレジストMS1に覆われているため、エッチングにより除去されずに残る。反射膜C1の一部をエッチングにより除去した後、図5の符号S14に示すように、反射膜C1上に形成されたマスクレジストMS1を剥離する。エッチングは、例えばClなどの反応性ガスによるドライエッチング、Ar等のスパッタリングによるドライエッチング、あるいは、薬液によるウェットエッチングがある。
【0059】
反射膜C1上に形成されたマスクレジストMS1を剥離した後、複数の発光素子13上に色変換層を塗布する。これにより、複数の発光素子13の各々の上に色変換層21が形成され、複数の色変換層14が分離層22間に形成される。このとき、色変換層21と分離層22との間には反射膜C1が形成されている。複数の発光素子13の各々の上に色変換層21を形成した後、複数の色変換層21及び分離層22上に保護層15を成膜する。
【0060】
なお、マスクレジストMS1なしに、反射膜C1を成膜した後に、XY方向とZ方向とで反射膜C1のエッチングの速度が異なる異方性エッチングを行ってもよい。また、分離層22が光遮蔽性を有する材料の場合、反射膜C1の成膜及びエッチングの工程は不要となる。これらは、後述の図6図7を用いて説明する半導体モジュール3の製造方法の変形例など、他の方法においても同様である。
【0061】
<半導体モジュール3の製造方法の変形例1>
図6は、図4に示す半導体モジュール3の製造方法の変形例1を説明するための図である。半導体モジュール3の製造方法の変形例1は、分離層22に対して現像が行われる工程までは、半導体モジュール3の製造方法と同様である。図6の符号S21に示す状態において、複数の発光素子13及び分離層16上に分離層22を成膜した後、図6の符号S22に示すように、複数の発光素子13の上面及び分離層22の上面にリフトオフレジストL1を塗布する。本変形例1では、リフトオフレジストL1としてポジ型のフォトレジストを用いる。
【0062】
複数の発光素子13の上面及び分離層22の上面にリフトオフレジストL1を塗布した後、図6の符号S23に示すように、リフトオフレジストL1に対してフォトマスクPM2の上から光を照射することにより、リフトオフレジストL1に対して露光を行う。これにより、図6の符号S24に示すように、リフトオフレジストL1に対して現像が行われ、分離層22の上面に形成されたリフトオフレジストL1と、発光素子13と分離層22との間の境界付近に形成されたリフトオフレジストL1と、が剥離される。リフトオフレジストL1はポジ型のフォトレジストであるため、露光されなかった部分が残る。
【0063】
次に、図6の符号S25に示すように、複数の発光素子13の上面に残ったリフトオフレジストL1の上面と、分離層22の露出面と、に金属膜C2を成膜する。金属膜C2を成膜した後、図6の符号S26に示すように、複数の発光素子13の上面に残ったリフトオフレジストL1及び金属膜C2を剥離する。この後の色変換層21の形成工程については、半導体モジュール3の製造方法と同様である。
【0064】
<半導体モジュール3の製造方法の変形例2>
図7は、図4に示す半導体モジュール3の製造方法の変形例2を説明するための図である。半導体モジュール3の製造方法の変形例2は、分離層22を成膜する工程までは、半導体モジュール3の製造方法と同様である。変形例2では、分離層22としてフォトリソグラフィにより加工できない材料、例えば、樹脂材料、SiO等の無機材料、あるいは無機材料粒子を含有する樹脂材料を用いる。
【0065】
図7の符号S31に示す状態において、複数の発光素子13及び分離層16上に分離層22を成膜した後、分離層22上にマスクレジストを成膜する。分離層22上にマスクレジストを塗布した後、マスクレジストに対して図示しないフォトマスクの上から光を照射することにより、マスクレジストに対して露光を行う。これにより、図7の符号S32に示すように、マスクレジストに対して現像が行われ、複数のマスクレジストMS2が、分離層22を介して、発光素子13の各々の上側に配置される状態となる。
【0066】
次に、図7の符号S33に示すように、分離層22の一部をエッチングにより除去し、その後、マスクレジストMS2を剥離する。マスクレジストMS2を剥離した後、半導体モジュール3の製造方法と同様に、分離層22の露出面に反射膜C1を形成し、複数の発光素子13の各々の上に色変換層21を形成する。
【0067】
<半導体モジュール3Aの構成>
図4の符号402に示すように、半導体モジュール3Aは半導体モジュール3と比べて、機能層17が形成されている点が異なる。機能層17は、保護層15を介して、複数の色変換層21の上側に形成されている。よって、本発明の一態様は、半導体モジュール1Bのように、単一の色変換層14の上側に機能層17が形成される構成に限定されず、複数の色変換層21の上側に機能層17が形成される構成も含まれる。
【0068】
〔実施形態4〕
図8は、本発明の実施形態4に係る半導体モジュール4,4A,4B,4Cの構成を示す断面図である。半導体モジュール4A,4B,4Cは半導体モジュール4の変形例である。図8の符号501,502,503,504はそれぞれ、半導体モジュール4,4A,4B,4Cの構成を示している。
【0069】
<半導体モジュール4の構成>
図8の符号501に示すように、半導体モジュール4は半導体モジュール3と比べて、複数の色変換層21が色変換層31,32に変更されている点が異なる。また、半導体モジュール4は半導体モジュール3と比べて、複数の発光素子13のうち、一部の発光素子13の上側にのみ色変換層31,32及び保護層15が形成されている点が異なる。
【0070】
色変換層31,32はそれぞれ、複数の発光素子13のうち、一部の発光素子13上に形成されている。色変換層31は、発光素子13が出射した光を緑色の光に変換する緑色変換層である。色変換層32は、発光素子13が出射した光を赤色の光に変換する赤色変換層である。保護層15は、色変換層31,32上に形成されるとともに、分離層22のうち色変換層31,32を囲む部分の上に形成されている。なお、半導体モジュール4において、下地基板11と反対側で発光素子13は繋がっている一方で、下地基板11側では分離層16により分離されたような、部分的な分離であってもよい。
【0071】
一方、複数の発光素子13のうち、他の発光素子13の上側には、色変換層31,32及び保護層15が形成されていない。つまり、複数の発光素子13のうち、少なくとも一部の発光素子13の上側に色変換層31,32及び保護層15が形成されている。これにより、色変換層31,32を用いて様々な発光色の光の出射を実現することができる。よって、各発光素子13の発光状態を制御することで、半導体モジュール4をディスプレイなどの表示素子として利用することが可能となる。
【0072】
<半導体モジュール4の製造方法>
図9は、図8に示す半導体モジュール4の製造方法を説明するための図である。本実施例においては、色変換層31,32を形成するために色変換材料を含むネガ型のフォトレジストを用いている。半導体モジュール4の製造方法は、複数の発光素子13の各々の上に色変換層21を形成する工程までは、半導体モジュール3の製造方法と同様である。図9の符号S41及びS42に示すように、複数の発光素子13の各々の上に色変換層32Aを塗布する。
【0073】
複数の発光素子13の各々の上に色変換層32Aを塗布した後、図9の符号S43に示すように、色変換層32Aに対してフォトマスクPM3の上から光を照射することにより、色変換層32Aに対して露光を行う。これにより、図9の符号S44に示すように、色変換層32Aに対して現像が行われ、一部の発光素子13の上面が露出する。
【0074】
よって、他の発光素子13上に色変換層32が形成される。色変換層31についても、色変換層32と同様に、発光素子13上に形成される。一部の発光素子13上に色変換層31,32が形成された後、色変換層31,32上と、分離層22のうち色変換層31,32を囲む部分の上と、に保護層15を成膜する。
【0075】
なお、色変換層31は図7で示すような方法で形成することもできる。色変換層31を全ての発光素子13及び分離層16上に成膜した後に、マスクレジストを形成し、エッチングにより特定の発光素子13上のみに色変換層31を形成する。色変換層32も同様の方法で形成することができる。
【0076】
なお、後述する半導体モジュール4Bにおいては、保護層15を成膜した後、塗布、蒸着またはスパッタリング等により保護層15上に機能層17を成膜する。さらに、後述する半導体モジュール4Cにおいては、保護層15上に機能層17を成膜した後、塗布、蒸着またはスパッタリング等により機能層17上にカラーフィルタ33,34を成膜する。
【0077】
実施形態4における色変換層、保護層、機能層及びカラーフィルタのパターニングの方法については、(1)材料としてフォトレジストを用い、フォトリソグラフィ工程によりパターニングする、(2)成膜後にマスクレジストを形成し、エッチング等でパターニングする、等がある。これは他の実施形態においても同様である。
【0078】
<半導体モジュール4Aの構成>
図8の符号502に示すように、半導体モジュール4Aは半導体モジュール4と比べて、カラーフィルタ33,34が形成されている点が異なる。半導体モジュール4Aはカラーフィルタ33,34を備える。
【0079】
カラーフィルタ33は、保護層15を介して、色変換層31の上側に形成されている。カラーフィルタ33は、保護層15上に形成され、発光素子13から出射されて色変換層31を通過した光のうち、緑色の光のみを透過させる。カラーフィルタ34は、保護層15を介して、色変換層32の上側に形成されている。カラーフィルタ34は、保護層15上に形成され、発光素子13から出射されて色変換層32を通過した光のうち、赤色の光のみを透過させる。これらのカラーフィルタが形成されていることで、色純度をより高くすることができるとともに、外光による所望しない発光をより抑制することができる。
【0080】
また、色変換層31,32とカラーフィルタ33,34との間に保護層15が形成されていることにより、色変換層31,32の上面に生じる凹凸からカラーフィルタ33,34に及ぶ影響を低減することができる。よって、カラーフィルタ33,34の機能を十分に発揮することができる。
【0081】
<半導体モジュール4Bの構成>
図8の符号503に示すように、半導体モジュール4Bは半導体モジュール4と比べて、機能層17が形成されている点が異なる。機能層17は、複数の発光素子13のうち、一部の発光素子13の上側にのみ形成された保護層15上に形成されている。つまり、機能層17は、複数の発光素子13のうち、一部の発光素子13の上側にのみ形成されている。よって、本発明の一態様は、半導体モジュール1Bのように、全ての発光素子13の上側に機能層17が形成される構成に限定されず、一部の発光素子13の上側に機能層17が形成される構成も含まれる。機能層17が形成されていることで、発光素子13の光の利用効率を高めることができる。
【0082】
<半導体モジュール4Cの構成>
図8の符号504に示すように、半導体モジュール4Cは半導体モジュール4Bと比べて、カラーフィルタ33,34が形成されている点が異なる。カラーフィルタ33,34は機能層17上に形成されている。カラーフィルタ33は、保護層15及び機能層17を介して、色変換層31の上側に形成されている。カラーフィルタ34は、保護層15及び機能層17を介して、色変換層32の上側に形成されている。これらのカラーフィルタが形成されていることで、色純度をより高くすることができるとともに、外光による所望しない発光をより抑制することができる。
【0083】
また、半導体モジュール4B及び4Cの機能層17中に可視光を遮蔽する分離層を形成することもできる。当該分離層は、上面視で分離層22上に形成されている。これにより、発光素子13間で光の影響を及ぼし合うことと、色変換層31,32間で光の影響を及ぼし合うことと、機能層17間で光の影響を及ぼし合うこととを低減することができるため、個々の発光素子13から出射される光を際立たせることができる。
【0084】
〔実施形態5〕
図10は、本発明の実施形態5に係る半導体モジュール5,5Aの構成を示す断面図である。半導体モジュール5Aは半導体モジュール5の変形例である。図10の符号601,602はそれぞれ、半導体モジュール5,5Aの構成を示している。
【0085】
<半導体モジュール5の構成>
図10の符号601に示すように、半導体モジュール5は半導体モジュール4Bと比べて、複数の発光素子13のうち、一部の発光素子13上に保護層41が形成されている点が異なる。保護層41の材料は保護層15の材料と同一であり、保護層41は保護層15と一体となっている。ただし、これに限定されず、保護層41の材料は保護層15の材料と異なっていてもよい。
【0086】
また、保護層41が保護層15と異なる材料の場合、保護層41は光散乱材料を含んでいてもよい。光散乱材料の存在により、色変換層31,32が形成された発光素子13上の発光特性と、保護層41が形成された発光素子13上の発光特性と、を近いものとすることが容易となる。なお、実施形態5に係る半導体モジュール5については、実施形態4に係る半導体モジュール4と同様に、各発光素子13の発光状態を制御することで、ディスプレイなどの表示素子として利用することが可能である。なお、半導体モジュール5において、下地基板11と反対側で発光素子13は繋がっている一方で、下地基板11側では分離層16により分離されたような、部分的な分離であってもよい。
【0087】
上に色変換層31,32が形成されない発光素子13について、その発光素子13上に保護層41及び保護層15が形成されることにより、発光素子13が大気と遮断されるため、発光素子13の経時劣化を抑制することができる。
【0088】
また、保護層15を形成する際に、保護層41が形成されない場合に比べて、分離層22、保護層41及び色変換層31、32により略均一な高さの面が形成される。このため、保護層15の形成が容易になり、保護層15における発光素子13と対向する面の凹凸を抑えることができる。
【0089】
保護層15は、色変換層31,32上に形成されているだけではなく、保護層41上にも形成されているとともに、保護層41を囲む分離層22上にも形成されている。機能層17は、保護層15を介して、色変換層31,32の上側には形成されているが、保護層41の上側には形成されていない。つまり、機能層17は、複数の発光素子13のうち、一部の発光素子13の上側に形成されている。
【0090】
<半導体モジュール5Aの構成>
図10の符号602に示すように、半導体モジュール5Aは半導体モジュール5と比べて、機能層17が全ての発光素子13の上側に形成されている点が異なる。つまり、機能層17は、色変換層31,32の上側に形成されているだけではなく、保護層15を介して、保護層41の上側にも形成されている。よって、本発明の一態様は、半導体モジュール5のように、一部の発光素子13の上側にのみ機能層17が形成される構成に限定されず、全ての発光素子13の上側に機能層17が形成される構成も含まれる。
【0091】
その他の変形例として、図示していないが、発光素子13として紫色発光素子を用い、かつ、保護層41の代わりに青色発光材料を含む色変換層を形成することもできる。これによっても半導体モジュールをディスプレイなどの表示素子として用いることができる。また、この場合、機能層17が紫色を波長選択的に反射する機能を有する。これにより、特に半導体モジュール5Aの構造において、発光素子13の光利用を高めることができ、より高効率な半導体モジュールを実現することができる。
【0092】
さらに別の変形例としては、半導体モジュール5及び5Aの機能層17上にカラーフィルタを形成することもできる。これらのカラーフィルタが形成されていることで、色純度をより高くすることができるとともに、外光による所望しない発光をより抑制することができる。
【0093】
また、半導体モジュール5及び5Aの機能層17中に可視光を遮蔽する分離層を形成することもできる。当該分離層は、上面視で分離層22上に形成されている。これにより、発光素子13間で光の影響を及ぼし合うことと、色変換層31,32間で光の影響を及ぼし合うことと、機能層17間で光の影響を及ぼし合うこととを低減することができるため、個々の発光素子13から出射される光を際立たせることができる。
【0094】
〔実施例〕
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。図11は、本発明の実施例に係る半導体モジュールから出射される光の強度を示す図である。図11の符号701において、横軸は半導体モジュールから出射される光の波長[nm]であり、縦軸は半導体モジュールから出射される光の強度である。図11の符号702は、図11の符号701に示す図において光の強度が0.00以上0.12以下の範囲を拡大したものである。
【0095】
線G1は、発光素子13上に色変換層14を形成するが、色変換層14上に保護層15を形成しない場合を示す。線G2は、発光素子13上に色変換層14を形成し、色変換層14上に保護層15を形成する場合を示す。線G3は、発光素子13の上側に色変換層14及び保護層15を形成し、保護層15上に機能層17を形成する場合を示す。線G4は、発光素子13の上側に色変換層14及び機能層17を形成するが、色変換層14の上側に保護層15を形成しない場合を示す。
【0096】
図11の符号702に示すように、線G3では、他の場合に比べて、青色の光の波長455nm付近で光の強度が小さくなった。これは、色変換層14の上側に保護層15を形成することにより、平坦性が向上するとともに、保護層15上に形成された機能層17の機能を十分に発揮し、青色の光をより反射させることができたためである。
【0097】
また、線G3では線G4の場合に比べて、光の波長640nm付近で光の強度が強くなった。これについても同様に、色変換層14の上側に保護層15を形成することにより、平坦性が向上するとともに、保護層15上に形成された機能層17の機能を十分に発揮し、青色の光を反射させることができたためである。またこれに伴い、機能層17により反射された青色の光により色変換層14からの発光強度を増大させることができたためである。
【0098】
図12は、本発明の実施例に係る半導体モジュールにおいて、色変換層14及び機能層17の断面の様子を示す図である。また、図12は、SEM(Scanning Electron Microscope,走査電子顕微鏡)による観察結果である。さらに、図12の符号801,803は、半導体モジュールを傾けずに撮影した断面SEM像であり、図12の符号802,804は、半導体モジュールを手前側に傾けて撮影した断面SEM像である。
【0099】
図12の符号801,802は、色変換層14上に保護層15が形成されずに、機能層17が直接形成される場合を示す。図12の符号803,804は、色変換層14上に保護層15が形成され、保護層15上に機能層17が形成される場合を示す。
【0100】
図12の符号801,802に示すように、色変換層14と機能層17との間に保護層15が形成されない場合、色変換層14の上面に凹凸が生じ、その凹凸によって機能層17にマイクロクラックが生じる。これにより機能層17の特性は十分に発揮されない。一方、図12の符号803,804に示すように、色変換層14と機能層17との間に保護層15が形成される場合、色変換層14の上面に凹凸が生じることを低減できる。また、機能層17にマイクロクラックが生じることも低減でき、機能層17の特性を十分に発揮させることができる。
【0101】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る半導体モジュールは、駆動回路が形成された下地基板と、前記駆動回路と電気的に接続された複数の発光素子と、前記発光素子上に形成されており、前記発光素子の光を吸収して前記発光素子の発光色を他の発光色に変換する色変換材料を含有する色変換層と、を備え、前記色変換層に含有される前記色変換材料は、前記色変換層における前記発光素子側とは反対側よりも、前記色変換層における前記発光素子側に多く存在する構成である。
【0102】
本発明の態様2に係る半導体モジュールは、上記の態様1において、前記色変換層の上側に形成され、前記発光素子からの光のうち、前記色変換層にて色変換された光の透過率が50%以上であるように構成された機能層を更に備える構成としてもよい。
【0103】
本発明の態様3に係る半導体モジュールは、上記の態様2において、前記機能層は、前記発光素子からの光を反射もしくは吸収する構成としてもよい。
【0104】
本発明の態様4に係る半導体モジュールは、上記の態様1から3のいずれかにおいて、互いに隣接する前記色変換層間に配置される分離層を更に備える構成としてもよい。
【0105】
本発明の態様5に係る半導体モジュールは、上記の態様4において、前記分離層の可視光透過率は50%以下である構成としてもよい。
【0106】
本発明の態様6に係る半導体モジュールは、上記の態様1から5のいずれかにおいて、前記色変換層上に形成され、前記色変換層の上部を保護する保護層を更に備え、前記発光素子のうち、少なくとも一部の発光素子の上側に前記色変換層及び前記保護層が形成されている構成としてもよい。
【0107】
本発明の態様7に係る半導体モジュールは、駆動回路が形成された下地基板と、前記駆動回路と電気的に接続された複数の発光素子と、前記発光素子上に形成されており、前記発光素子の光を吸収して前記発光素子の発光色を他の発光色に変換する色変換層と、前記色変換層上に形成され、前記色変換層の上部を保護する保護層と、を備える構成である。
【0108】
本発明の態様8に係る半導体モジュールは、上記の態様7において、前記保護層における前記色変換層側の面の平坦性よりも、前記保護層における前記色変換層側とは反対側の面の平坦性の方が高い構成としてもよい。
【0109】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0110】
1、1A、1B、2、2A、2B、3、3A、
4、4A~4C、5、5、5A 半導体モジュール
11 下地基板
13 発光素子
14、14A~14D、21、31、32 色変換層
15、15A、15B、41 保護層
16、22 分離層
17 機能層
M1~M4 色変換材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12