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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】店舗用給電装置及び店舗の管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/00 20060101AFI20240816BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240816BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240816BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H02J9/00 120
G06Q50/06
H02J7/34 G
H02J9/06 120
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020189802
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078852
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 直人
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-236023(JP,A)
【文献】特開2007-028794(JP,A)
【文献】特開2003-244848(JP,A)
【文献】特開2018-121439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00
G06Q 50/06
H02J 7/34
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源が停電した店舗に車両の蓄電手段に蓄積された電力を前記店舗に設定されている複数の特定負荷の各々に交流電力として供給可能とする給電手段と、
前記店舗について前記複数の特定負荷の間で設定されている優先順位に応じ、該優先順位の高い特定負荷に前記蓄電手段の電力が供給されるように制御する制御手段と、
前記店舗についての複数の前記特定負荷から前記蓄電手段の電力を供給する特定負荷の指定を受け付け可能な受付手段と、
を含み、
前記制御手段は、前記受付手段によって前記特定負荷の指定を受け付けた場合に、該受け付けた前記特定負荷に、前記優先順位にかかわらず前記蓄電手段の電力が供給されるように制御する店舗用給電装置。
【請求項2】
前記車両は、前記蓄電手段に蓄積された直流電力を交流電力に変換して出力する請求項1に記載の店舗用給電装置。
【請求項3】
前記給電手段が、前記特定負荷ごとに電力の供給元を前記蓄電手段と商用電源との間で切り換え可能な切換手段を含み、
前記制御手段が前記切換手段を制御する請求項1又は請求項2に記載の店舗用給電装置。
【請求項4】
前記特定負荷ごとに消費される電力を検知する検知手段を含み、
前記制御手段は、前記検知手段によって検知される前記特定負荷ごとに消費される電力の総和が予め設定している基準量に達している場合に、前記優先順位の低い前記特定負荷への前記蓄電手段の電力供給を停止することを含む請求項1から請求項3の何れか1項に記載の店舗用給電装置。
【請求項5】
前記特定負荷には、前記店舗において商品の販売に用いられることで前記店舗の販売情報を生成可能なレジスターを含み、該レジスターの前記優先順位が最上位に設定されている請求項1から請求項4の何れか1項に記載の店舗用給電装置。
【請求項6】
前記特定負荷には、前記店舗内において予め設定されている領域を照明する照明手段を含む請求項1から請求項5の何れか1項に記載の店舗用給電装置。
【請求項7】
前記特定負荷には、前記店舗の顧客が所有する携帯端末を充電する充電器、電気ポットを含む調理器具、及びキャッシュディスペンサの何れか少なくとも一つが含まれる請求項1から請求項6の何れか1項に記載の店舗用給電装置。
【請求項8】
前記店舗についての複数の前記特定負荷との間の前記優先順位を受け付け可能な受付手段を含み、
前記制御手段は、前記受付手段により受け付けた前記優先順位に応じて複数の前記特定負荷に前記蓄電手段の電力が供給されるように制御することを含む請求項1から請求項7の何れか1項に記載の店舗用給電装置。
【請求項9】
前記優先順位として異なる時間帯に対応された複数の優先順位及び異なる季節に対応された複数の優先順位の少なくとも一方が記憶された記憶手段を含み、
前記制御手段は、時間帯及び季節の少なくとも一方で前記優先順位を変更する請求項1から請求項7の何れか1項に記載の店舗用給電装置。
【請求項10】
前記特定負荷には、任意の電気機器を接続可能と接続され、該接続された電気機器が前記特定負荷とされるコンセントを含み、
前記制御手段は、前記受付手段が前記コンセントの指定を受け付けることで、前記コンセントに前記蓄電手段の電力が供給されるように制御することを含む請求項1から請求項9の何れか1項に記載の店舗用給電装置。
【請求項11】
前記特定負荷は、前記店舗において商品の販売に用いられることで前記店舗の販売情報を生成可能なレジスター、及び前記レジスターを含む前記店舗内の機器を店舗外の所定のネットワークに接続するための通信手段を含み、前記レジスター及び前記通信手段の前記優先順位が最上位に設定されている請求項1から請求項10の何れか1項に記載の店舗用給電装置。
【請求項12】
店舗に設けられた請求項11の店舗用給電装置と、
前記店舗用給電装置及び前記店舗において前記店舗の販売情報を生成可能なレジスターが前記店舗の通信手段を介して接続される管理手段と、
前記店舗に商品を配送する配送手段と、
を有し、
前記管理手段は、商用電源の停電が検知されている前記店舗の前記レジスターを介して取得される販売情報に基づき、前記店舗に配送する商品を設定し、
前記配送手段が、前記設定された前記店舗に配送する商品を配送する店舗の管理システム
【請求項13】
前記管理手段は、前記店舗用給電装置に対し、前記店舗に設定されている複数の特定負荷の間の優先順位を時間帯及び季節の少なくとも一方での変更を指示することを含む請求項12に記載の店舗の管理システム。
【請求項14】
前記管理手段は、前記店舗の停電までの所定時間内において販売量が増加した商品を前記店舗に配送する商品に設定する、請求項12又は請求項13に記載の店舗の管理システム。
【請求項15】
前記店舗用給電装置は、
前記店舗の特定負荷ごとに消費される電力を検知する検知手段を含み、
前記店舗用給電装置の制御手段は、前記検知手段によって検知される前記特定負荷ごとに消費される電力の総和を取得すると共に、通信手段を介して前記管理手段に接続されており、
前記管理手段は、前記車両から蓄電残量を取得すると共に、前記店舗用給電装置から前記特定負荷により消費される電力の総和を取得して、前記消費される電力の総和に応じた前記蓄電残量の変化から前記車両からの電力の供給可能時間を予測し、予測結果に基づいて前記店舗に配送する商品に電力が蓄積された蓄電池を含ませる請求項12から請求項14の何れか1項に記載の店舗の管理システム。
【請求項16】
前記配送手段は、前記電力が蓄積された蓄電池として、該蓄電池を備えた車両を配送する請求項15に記載の店舗の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗用給電装置及び店舗の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
PHVやEVなどの電動機(モータ)を駆動源に含む車両には、電動機に電力を供給するための蓄電池(バッテリー)が設けられている。また、バッテリーを備える車両では、アクセサリーコンセントを備えることで、バッテリーの直流電力を商用電源と同様の単相100V等の交流電力に変換して出力できる。
【0003】
一方、店舗では、POSレジなどが用いられることで、商品の販売についての販売実績情報を取得しながら、在庫管理や仕入れ管理などができる。このため、店舗では、商用電源が停電してPOSレジが使用できないと、手作業で商品販売を行う必要があり、効率よく販売実績情報を取得できなくなり、在庫管理や仕入れ管理に遅延が生じて、商品等に欠品が生じ易くなる。
【0004】
ここで、電気自動車が電力ケーブルを介して住宅システムに接続されることで、電気自動車に蓄えられた電力を住宅システムの負荷機器に供給可能とする電力供給システムが開示されており、車両から住宅に給電される電力を用いるための各種の提案がなされている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-102607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、店舗には、照明器具、冷凍機、保温器、調理機器などの各種の電気設備機器が設けられており、レジの動作のみでなく、店舗照明、商品の陳列・保管・加熱・保温などのための動作が可能になっている。このため、店舗に対しては、車両から供給される電力に対し、供給先の負荷(電気設備機器)を適切に選択しないと、車両のバッテリーが短時間で放電してしまったり、負荷が大きすぎて車両から給電できなくなってしまったりする。
【0007】
本発明は上記事実を鑑みて成されたものであり、店舗における商用電源の停電時等の非常時に車両から給電できる電力を効果的に利用可能とする店舗用給電装置、及び店舗の管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1の態様の店舗用給電装置は、商用電源が停電した店舗に車両の蓄電手段に蓄積された電力を前記店舗に設定されている複数の特定負荷の各々に交流電力として供給可能とする給電手段と、前記店舗について前記複数の特定負荷の間で設定されている優先順位に応じ、該優先順位の高い特定負荷に前記蓄電手段の電力が供給されるように制御する制御手段と、を含む。
【0009】
第1の態様の店舗用給電装置では、給電手段が、商用電源が停電した店舗に車両の蓄電手段に蓄積された電力を店舗に設定されている複数の特定負荷の各々に交流電力として供給可能とする。制御手段は、店舗について複数の特定負荷の間で設定されている優先順位に応じ、優先順位の高い特定負荷に車両の蓄電手段の電力が供給されるように制御する。
【0010】
これにより、車両の蓄電手段の電力を優先順位の高い特定負荷に供給できるので、車両から給電できる電力を効果的に利用できる。
【0011】
第2の態様の店舗用給電装置は、第1の態様において、前記車両は、前記蓄電手段に蓄積された直流電力を交流電力に変換して出力する。
【0012】
第2の態様の店舗用給電装置では、車両が蓄電手段の電力(直流電力)を交流電力に変換して出力する。これにより、店舗に直流電力を交流電力に変換する変換手段がなくとも、商用電源の停電時に特定負荷に効果的に電力を供給できる。
【0013】
第3の態様の店舗用給電装置は、第1又は第2の態様において、前記給電手段が、前記特定負荷ごとに電力の供給元を前記蓄電手段と商用電源との間で切り換え可能な切換手段を含み、前記制御手段が前記切換手段を制御する。
【0014】
第3の態様の店舗用給電装置では、給電手段が切換手段を含み、切換手段が特定負荷ごとに電力の供給元を蓄電手段と商用電源との間で切り換える。制御手段は、優先順位におじて、特定負荷ごとの切換手段を制御する。これにより、各特定負荷への優先順位に応じた給電が容易になる。
【0015】
第4の態様の店舗用給電装置は、第1から第3の何れか1の態様において、前記特定負荷ごとに消費される電力を検知する検知手段を含み、前記制御手段は、前記検知手段によって検知される前記特定負荷ごとに消費される電力の総和が予め設定している基準量に達している場合に、前記優先順位の低い前記特定負荷への前記蓄電手段の電力供給を停止することを含む。
【0016】
第4の態様の店舗用給電装置では、検知手段が特定負荷ごとに消費される電力を検知し、制御手段は、検知手段によって検知される特定負荷ごとに消費される電力の総和が予め設定している基準量に達している場合、すなわち基準値以上となった場合、優先順位の低い特定負荷への蓄電手段の電力供給を停止する。これにより、蓄電手段が出力できる電力が制限されていても、優先順位の高い特定負荷に効率的に電力を供給できる。
【0017】
第5の態様の店舗用給電装置は、第1から第4の何れか1の態様において、前記特定負荷には、前記店舗において商品の販売に用いられることで前記店舗の販売情報を生成可能なレジスターを含み、該レジスターの前記優先順位が最上位に設定されている。
【0018】
第5の態様の店舗用給電装置では、店舗において商品の販売に用いられることで店舗の販売情報を生成可能なレジスターが特定負荷に含まれ、かつレジスターの優先順位が最上位に設定されている。これにより、商用電源の停電時においてレジスターが停止しないので、店舗において商品の販売等のサービスを継続できる。
【0019】
第6の態様の店舗用給電装置は、第1から第5の何れか1の態様において、前記特定負荷には、前記店舗内において予め設定されている領域を照明する照明手段を含む。
【0020】
第6の態様の店舗用給電装置では、特定負荷に店舗内において予め設定されている領域を照明する照明手段が含まれる。これにより、夜間等において商用電源が停電した店舗であっても商品の販売を継続できる。
【0021】
第7の態様の店舗用給電装置は、第1から第6の何れか1の態様において、前記特定負荷には、前記店舗の顧客が所有する携帯端末を充電する充電器、電気ポットを含む調理器具、及びキャッシュディスペンサの何れか少なくとも一つを含む。
【0022】
第7の態様の店舗用給電装置では、特定負荷に店舗の顧客が所有する携帯端末を充電する充電器、電気ポットを含む調理器具、及びキャッシュディスペンサの何れか少なくとも一つが含まれる。これにより、商用電源の停電時であっても、顧客に有益なサービスを提供できる。
【0023】
第8の態様の店舗用給電装置は、第1から第7の何れか1の態様において、前記店舗についての複数の前記特定負荷との間の前記優先順位を受け付け可能な受付手段を含み、前記制御手段は、前記受付手段により受け付けた前記優先順位に応じて複数の前記特定負荷に前記蓄電手段の電力が供給されるように制御することを含む。
【0024】
第8の態様の店舗用給電装置では、複数の特定負荷との間の優先順位を受け付け可能な受付手段を含み、受け付けた優先順位に応じて制御手段が複数の特定負荷に蓄電手段の電力の供給を制御する。これにより、店舗ごとに効果的となる優先順位を設定できる。
【0025】
第9の態様の店舗用給電装置は、第1から第7の何れか1の態様において、前記優先順位として異なる時間帯に対応された複数の優先順位及び異なる季節に対応された複数の優先順位の少なくとも一方が記憶された記憶手段を含み、前記制御手段は、時間帯及び季節の少なくとも一方で前記優先順位を変更する。
【0026】
第9の態様の店舗用給電装置では、記憶手段に優先順位として異なる時間帯に対応された複数の優先順位及び異なる季節に対応された複数の優先順位の少なくとも一方が記憶され、制御手段は、時間帯及び季節の少なくとも一方で前記優先順位を変更する。これにより、時間帯や季節に応じて効果的に特定負荷に電力を供給できる。
【0027】
第10の態様の店舗用給電装置は、第1から第7の何れか1の態様において、前記店舗についての複数の前記特定負荷から前記蓄電手段の電力を供給する特定負荷の指定を受け付け可能な受付手段を含み、前記制御手段は、前記受付手段によって受け付けた前記特定負荷に、前記優先順位にかかわらず前記蓄電手段の電力が供給されるように制御する。
【0028】
第10の態様の店舗用給電装置では、受付手段が、複数の特定負荷から蓄電手段の電力を供給する特定負荷の指定を受け付けることで、制御手段が受け付けた特定負荷に優先順位にかかわらず蓄電手段の電力を供給させる。これにより、優先順位が低い特定負荷に効果的に電力を供給できるので、蓄電手段から供給された電力をより効果的に利用できる。
【0029】
第11の態様の店舗用給電装置は、第10の態様において、前記特定負荷には、任意の電気機器を接続可能と接続され、該接続された電気機器が前記特定負荷とされるコンセントを含み、前記制御手段は、前記受付手段が前記コンセントの指定を受け付けることで、前記コンセントに前記蓄電手段の電力が供給されるように制御する。
【0030】
第11の態様の店舗用給電装置では、特定負荷として任意の電気機器を接続可能と接続され、該接続された電気機器が特定負荷とされるコンセントを含み、制御手段が受付手段によりコンセントが指定されることで、コンセントに電力を供給する。これにより、特定負荷に設定されていない電気機器への電力供給が可能になるので、蓄電手段の電力を状況に応じて一層効果的に利用できる。
【0031】
第12の態様の店舗用給電装置は、第1から第11の何れか1の態様において、前記特定負荷は、前記店舗において商品の販売に用いられることで前記店舗の販売情報を生成可能なレジスター、及び前記レジスターを含む前記店舗内の機器を店舗外の所定のネットワークに接続するための通信手段を含み、前記レジスター及び前記通信手段の前記優先順位が最上位に設定されている。
【0032】
第12の態様の店舗用給電装置では、店舗において商品の販売に用いられることで店舗の販売情報を生成可能なレジスター、及びレジスターを含む機器を店舗外の所定のネットワークに接続するための通信手段を特定負荷として含む。また、レジスター及び通信手段の優先順位が最上位に設定されている。これにより、レジスターを店舗外のネットワークに接続できるので、商用電源の停電時であってもレジスターの情報を店舗外において利用できる。
【0033】
第13の態様の店舗の管理システムは、店舗に設けられた第13の態様の店舗用給電装置と、前記店舗用給電装置及び前記店舗において前記店舗の販売情報を生成可能なレジスターが前記店舗の通信手段を介して接続される管理手段と、前記店舗に商品を配送する配送手段と、を有し、前記管理手段は、商用電源の停電が検知されている前記店舗の前記レジスターを介して取得される販売情報に基づき、前記店舗に配送する商品を設定し、前記配送手段が、前記設定された前記店舗に配送する商品を配送する。
【0034】
第13の態様の店舗の管理システムでは、店舗用給電装置が、レジスター及び通信手段を含み、レジスターが通信手段と介して管理手段に接続される。管理手段は、商用電源の停電が検知されている店舗のレジスターから販売情報を取得し、取得した販売情報に基づき、店舗に配送する商品を設定する。搬送手段は、管理手段によって設定された商品を店舗に配送する。これにより、店舗の商用電源の停電時であっても、店舗に適切に商品を配送できる。
【0035】
第14の態様の店舗の管理システムは、第13の態様において、前記管理手段は、前記店舗用給電装置に対し、前記店舗に設定されている複数の特定負荷の間の優先順位を時間帯及び季節の少なくとも一方での変更を指示することを含む。
【0036】
第14の態様の店舗の管理システムでは、管理手段が店舗用給電装置に対し、店舗に設定されている複数の特定負荷の間の優先順位を時間帯及び季節の少なくとも一方での変更を指示することを含む。これにより、店舗において時間帯や季節に応じて効果的に特定負荷に電力を供給できる。
【0037】
第15の態様の店舗の管理システムは、第13又は第14の態様において、前記管理手段は、前記店舗の停電までの所定時間内において販売量が増加した商品を前記店舗に配送する商品に設定する。
【0038】
第15の態様の店舗の管理システムでは、管理手段が店舗の停電までの所定時間内において販売量が増加した商品を店舗に配送する商品に設定する。これにより、店舗において需要が高くなっている商品を配送できるので、店舗において需要が高くなっている商品が不足するのを抑制できる。
【0039】
第16の態様の店舗の管理システムは、第13から第15の何れか1の態様において、前記店舗用給電装置は、前記店舗の特定負荷ごとに消費される電力を検知する検知手段を含み、前記店舗用給電装置の制御手段は、前記検知手段によって検知される前記特定負荷ごとに消費される電力の総和を取得すると共に、通信手段を介して前記管理手段に接続されており、前記管理手段は、前記車両から蓄電残量を取得すると共に、前記店舗用給電装置から前記特定負荷により消費される電力の総和を取得して、前記消費される電力の総和に応じた前記蓄電残量の変化から前記車両からの電力の供給可能時間を予測し、予測結果に基づいて前記店舗に配送する商品に電力が蓄積された蓄電池を含ませる。
【0040】
第16の態様の店舗の管理システムでは、店舗用空給電装置が特定負荷ごとに消費される電力を検知する検知手段を含む。また、店舗用給電装置の制御手段は、検知手段によって検知される特定負荷ごとに消費される電力の総和を取得すると共に、通信手段を介して管理手段に接続されている。
【0041】
また、管理手段は、車両から蓄電残量を取得すると共に、店舗用給電装置から特定負荷により消費される電力の総和を取得して、消費される電力の総和に応じた蓄電残量の変化から車両からの電力の供給可能時間を予測し、予測結果に基づいて店舗に配送する商品に電力が蓄積された蓄電池を含ませる。これにより、商用電源の停電時に店舗に電力を供給している蓄電手段の蓄電残量が不足するので抑制できる。
【0042】
第17の態様の店舗の管理システムは。第16の態様において、前記配送手段は、前記電力が蓄積された蓄電池として、該蓄電池を備えた車両を配送する。
【0043】
第17の態様の店舗の管理システムでは、蓄電池として蓄電池を備えた車両を配送する。これにより、蓄電池を円滑に店舗に配送できる。
【発明の効果】
【0044】
第1の態様の店舗用給電装置によれば、蓄電手段の電力を店舗における優先順位の高い特定負荷に供給できるので、車両などから給電できる電力を効果的に利用できる、という効果を有する。
【0045】
第2の態様の店舗用給電装置によれば、店舗に直流電力を交流電力に変換する変換手段がなくとも、商用電源の停電時に特定負荷に効果的に電力を供給できる、という効果を有する。
【0046】
第3の態様の店舗用給電装置によれば、制御手段が優先順位におじて特定負荷ごとの切換手段を制御するので、各特定負荷への優先順位に応じた給電が容易になる、という効果を有する。
【0047】
第4の態様の店舗用給電装置によれば、蓄電手段が出力できる電力が制限されていても、優先順位の高い特定負荷に効率的に電力を供給できる、という効果を有する。
【0048】
第5の態様の店舗用給電装置によれば、商用電源の停電時の店舗において、商品の販売等のサービスを継続できる、という効果を有する。
【0049】
第6の態様の店舗用給電装置によれば、夜間等において商用電源が停電した店舗であっても、商品を販売できる、という効果を有する。
【0050】
第7の態様の店舗用給電装置によれば、商用電源の停電時であっても、顧客に有益なサービスを提供できる、という効果を有する。
【0051】
第8の態様の店舗用給電装置によれば、店舗ごとに効果的となる優先順位を設定できる、という効果を有する。
【0052】
第9の態様の店舗用給電装置によれば、時間帯や季節に応じて効果的に特定負荷に電力を供給して作動させることができる、という効果が得られる。
【0053】
第10の態様の店舗用給電装置によれば、優先順位が低い特定負荷が効果的に動作するように電力を供給できる、という効果を有する。
【0054】
第11の態様の店舗用給電装置によれば、特定負荷に設定されていない電気機器への電力供給が可能になるので、蓄電手段の電力を状況に応じて一層効果的に利用できる、という効果を有る。
【0055】
第12の態様の店舗用給電装置によれば、商用電源の停電時であってもレジスターの情報を店舗外において利用できる、という効果を有する。
【0056】
第13の態様の店舗の管理システムによれば、店舗の商用電源の停電時であっても、店舗に適切に商品を配送できる、という効果を有する。
【0057】
第14の態様の店舗の管理システムによれば、店舗において時間帯や季節に応じて効果的に特定負荷に電力を供給して作動させることができる、という効果が得られる。
【0058】
第15の態様の店舗の管理システムによれば、店舗において需要が高くなっている商品が不足するのを抑制できる、という効果を有する。
【0059】
第16の態様の店舗の管理システムによれば、商用電源の停電時に店舗に電力を供給している蓄電手段の蓄電残量が不足するので抑制できる、という効果を有する。
【0060】
第17の態様の店舗の管理システムによれば、蓄電池を円滑に店舗に配送できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本実施形態に係る給電システムの収容部の概略構成を示すブロック図である。
図2】店舗の主要部を示す平面図である。
図3】店舗における主要部の給電系統を示す結線図である。
図4】ネットワークの概略構成図である。
図5】(A)は給電処理の一例を示す流れ図、(B)は制限処理の一例を示す流れ図である。
図6】(A)から(D)は、各々優先順位の一例を示す図表である。
図7】(A)は優先順位変更処理の一例を示す流れ図、(B)は指定給電処理の一例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る店舗用給電装置としての給電システム10は、店舗12に設置されて、店舗12の駐車場等に駐車させた車両14から供給される電力を店舗12において利用可能とする。図1には、給電システム10の主要部の概略構成がブロック図にて示され、図2には、店舗12の主要部が平面図にて示されている。また、図3には、店舗12における主要部の給電系統の概略が結線図にて示され、図4には、給電システム10などが接続されるネットワークが概略図にて示されている。
【0063】
車両14には、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、EV(Electric Vehicle)、FCV(Fuel Cell Vehicle)などが適用される。車両14は、走行用の駆動源としての電動機(モータ)、及び電力を蓄積する蓄電池(バッテリー)を備えている。車両14は、蓄電池に蓄積した電力(HV、PHV、EV)や燃料電池により発電された電力(FCV)により電動機を回転駆動させて走行できる。
【0064】
車両14には、商用電源と同様の電力を出力するためのアクセサリーコンセント(図示省略)が設置されており、車両14は、蓄電池に蓄積された直流電力が商用電源と同様の交流電力に変換してアクセサリーコンセントから出力できる。なお、車両14は、単相200V、単相100V/200Vなどの電力を出力してもいが、本実施形態では、車両14が単相100V/15Aの電力を出力する。
【0065】
給電システム10では、アクセサリーコンセントを介して車両14から出力される単相100Vの電力を店舗12内に供給して、例えば、商用電源の停電時に店舗12内の特定負荷(設備機器)を作動可能にする。
【0066】
本実施形態において店舗12には、顧客に商品を販売するコンビニエンスストアなどを適用されている。図2に示すように、店舗12には、建物の前面に駐車場16が設置されており、駐車場16には、複数台分の駐車スペースが設定され、各駐車スペースの建物側に車止め(図示省略)が設置されており、車止めが基準とされて車両14が駐車される。
【0067】
店舗12には、天井等に照明器具(図示省略)が設置されており、店舗12では、照明器具が点灯されることで、店内が照明される。店舗12には、建物前面側の所定位置(例えば、駐車場16側から見て左手側)に出入口としての自動式のドア(自動ドア)18が設置され、建物前面側は、自動ドア18を除く前面が透明ガラスのFIX窓20とされている。店舗12の顧客は、自動ドア18から入店して、商品等の購入等の各種のサービスを受けることができる。
【0068】
店舗12には、自動ドア18の奥側にレジカウンタ22が設置されている。また、店舗12には、店内から見てレジカウンタ22の奥側(後側)に各種作業のためのテーブル(机)24が設置され、レジカウンタ22とテーブル24とが小カウンタ22Aによって連続されている。店舗12では、例えば、小カウンタ22Aに携帯端末用の充電器32が配置されており、顧客は、充電器32を用いることで、スマートフォンなどの携帯端末を充電できる。
【0069】
店舗12には、FIX窓20に沿ってイートイン用のカウンタ26が設置され、カウンタ26の自動ドア18側にハイカウンタ28が設置されている。また、店舗12の店内には、各種商品の陳列棚、置き形(平置き)の冷蔵ショーケースやリーチイン冷蔵庫など(何れも図示省略)が配列されて、各種の商品が陳列されている。
【0070】
また、店舗12には、イートイン用のカウンタ26側のハイカウンタ28上に電気ポット30が配置されている。顧客は、店舗12のカップ麺とのインスタント食品を購入し、購入したインスタント食品を電気ポット30により水を沸かしたお湯を用いて調理し、カウンタ26において飲食できる。また、店舗12では、テーブル24に電子レンジ34等の調理用電気設備が配置されており、電子レンジ34を用いた簡易調理等が可能になっている。
【0071】
さらに、店舗12では、小カウンタ22Aの近傍にキャッシュディスペンサ(CD)36が設置されている。顧客は、CD36を用いることで、所定の銀行口座等への入出金が可能となっている。
【0072】
店舗12には、POSシステム38が設置されており、レジスター(register)としてのPOSシステム38のPOSレジ40がレジカウンタ22上に配置されている。店舗12では、従業員がPOSレジ40を操作して商品の販売や各種のサービスの提供が行われる。これにより、店舗12では、POSレジ40において商品等の販売状況や各種サービスの提供状況等が集計されて販売実績情報が作成される。また、店舗12では、POSレジ40により在庫管理や仕入れ管理などのための在庫情報や仕入れ情報等が作成される。なお、POSシステム38は、POSレジ40に限らず、レジスターと所定のPOSプログラムが実行されるPC(パーソナルコンピュータ)等が用いられるなどの各種の構成を適用できる。
【0073】
店舗12には、通信手段としてルータなどのネットワーク通信機能を有する通信端末42が設けられており、通信端末42は、各種の電子機器に接続可能とされている。例えば、CD36は、通信端末42を介して銀行等の金融機関に接続されている。なお、通信端末42は、店舗12の事務室や店舗12のMDF(Main Distributing Frame:主配線盤)近傍等に設置できるが、ここでは、図面を簡略化するためにテーブル24に配置されている。
【0074】
POSシステム38では、POSレジ40が通信端末42に電気的に接続されている。図4に示すように、POSレジ40は、通信端末42を用いることで、公衆通信回線網などの所定のネットワーク42Aに接続される。ネットワーク42Aには、店舗12のPOSレジ40との間で管理システム44を構成する管理手段としての販売管理サーバ46、及び配送手段としての配送管理サーバ48が接続されている。POSレジ40は、ネットワーク42Aを介して販売管理サーバ46、及び配送管理サーバ48等に接続されている。
【0075】
販売管理サーバ46には、情報取得部46A、及び商品設定部46Bが形成されている。また、販売管理サーバ46には、店舗に対して各種の指示を行う店舗指示部46Cが形成されている。情報取得部46Aは、ネットワーク42Aを介してPOSレジ40から販売実績情報、在庫管理情報、及び仕入れ情報等の各種の情報を取得し、店舗12の販売管理を補助する。
【0076】
また、商品設定部46Bは、販売実績情報、在庫管理情報及び仕入れ管理情報等に基づき、店舗12の商品等の円滑な販売を可能とする配送管理のための配送管理情報を作成する。配送管理情報には、店舗12に配送する商品の設定が含まれる。店舗指示部46Cは、店舗12に設置された給電システム10の下記コントローラ74がネットワーク42Aを介して接続されることで、給電システム10(コントローラ74)に対して各種の指示が可能になっている。
【0077】
配送管理サーバ48は、販売管理サーバ46の商品設定部46Bにおいて作成された配送管理情報に基づき、店舗12への商品等の配送作業を管理・実施する。これにより、店舗12では、不足商品や余剰商品の発生が抑制される。
【0078】
店舗12には商用電源が引き込まれており、店舗12では、商用電源の電力が各電気設備機器に供給されて、電気設備機器の各々が動作される。店舗12では、一例として商用電源三相200Vの動力(動力電力)及び単相3線式100V/200Vの電灯電力が使用されている。
【0079】
図3に示すように、分電盤50は、メインブレーカ(漏電検知機能付きの主幹用配線遮断器:ELB)50Aを備えており、メインブレーカ50Aの一次側(電源側)には、商用電源の電灯電力が供給される。また、分電盤50には複数の分岐ブレーカ(分岐用配線遮断器)52、及び予め設定している特定負荷への電力供給用とする一つ又は複数の分岐ブレーカ54が配置されている。分岐ブレーカ52、54は、各々の一次側がメインブレーカ50Aの二次側(負荷側)に電気的に接続されている。
【0080】
分岐ブレーカ52には、各種の電気設備機器や、電気設備機器が電気的に接続されるコンセントが接続されている。店舗12の電気設備機器には、分岐ブレーカ52の各々を介して所定の電力(単相100V又は単相200Vの電灯電力)が供給される。例えば、分岐ブレーカ52には、店舗内の照明器具が電気的に接続された一つ又は複数の分岐ブレーカ52Aが含まれている。また、分岐ブレーカ52には、テーブル24上の電子レンジ34等の調理器具が接続されるコンセント56への配線が接続された分岐ブレーカ52Bが含まれる。また、分岐ブレーカ52の一つには、自動ドア18が電気的に接続されている(図示省略)。なお、電子レンジ34等の比較的消費電力の大きい電気器具(電気調理器具)には、器具ごとに分岐ブレーカ52が設けられる(図3では省略)。
【0081】
一方、店舗12では、商用電源の停電時においても動作を可能とするための特定負荷が設定されている。分岐ブレーカ54は、商用電源の非停電時において、特定負荷への給電に用いられる。店舗12では、特定負荷として、電気ポット30、充電器32、CD36、POSレジ40、通信端末42、及び下記照明器具62等が設定されている。
【0082】
分岐ブレーカ54には、一つ又は複数のコンセント58Aが接続された分岐ブレーカ54A、一つ又は複数のコンセント58Bが接続された分岐ブレーカ54Bが含まれる。コンセント58Aは、ハイカウンタ28の近傍に設置され、ハイカウンタ28の電気ポット30が差し込まれて電気的に接続される。また、コンセント58Bは、小カウンタ22Aに配置され、小カウンタ22Aに設置された充電器32が差し込まれることで電気的に接続される。
【0083】
また、分岐ブレーカ54には、POSレジ40(POSシステム38)の専用とされたコンセント60Aが接続された分岐ブレーカ54C、及び通信端末42用のコンセント60Bが接続された分岐ブレーカ54Dを含む。コンセント60Aは、レジカウンタ22に設置されてPOSレジ40が電気的に接続され、コンセント60Bは、テーブル24に設置されて通信端末42が電気的に接続される。
【0084】
また、分岐ブレーカ54には、CD36用のコンセント60Cが接続された分岐ブレーカ54E、照明器具62が接続された分岐ブレーカ54F、及び分岐ブレーカ54Gを含んでいる。
【0085】
図2に示すように、店舗12には、照明器具62として、レジカウンタ22上に、吊り下げ式(ペンダント式)の照明器具62Aが配置されており、照明器具62Aは、レジカウンタ22上を照明するように、例えば、天井から吊り下げられている。また、店舗12には、照明器具62としての照明器具62Bが設置されており、照明器具62Bは、店舗12の天井に配置され、他の照明器具が消灯した状態であっても、店舗12内を所定の明るさに照明する。なお、照明器具62Bの明るさは、店舗12内において顧客が商品を的確に認識できる明るさとされている。なお、照明器具62(62A、62B)には、消費電力の少ないLED照明器具などが用いられている。また、照明器具62は、天井埋め込み式のダウンライトであってもよく、天井面や壁面に取り付けられたスポットライト等であってもよい。
【0086】
また、店舗12には、所定位置(例えば、レジカウンタ22の周囲やテーブル24の周囲等)にコンセント64が設置されており、コンセント64は、商用電源の停電時に特定負荷として設定されていない電気機器を使用する際に用いられる非常用コンセントとされている。コンセント64は、分岐ブレーカ54Fに接続されており、商用電源の非停電時には、分岐ブレーカ54Fがオンされることでコンセント64の使用が可能になり、コンセント64に接続された(プラグが差し込まれた)電気機器が特定負荷とみなされる。なお、図3では、コンセント64の図示を省略している。
【0087】
一方、図3に示すように、給電システム10は、車両14が電気的に接続される給電コンセント66、車両用接続箱68、配電盤70、切換盤(スイッチボックス)72、及び制御手段としてのコントローラ74を備えている。給電システム10では、給電コンセント66、車両用接続箱68、配電盤70、及び切換盤72により給電手段が構成されている。
【0088】
給電コンセント66は、防水コンセントとされている。図2に示すように、給電コンセント66は、店舗12の駐車場16側の壁面(FIX窓20の下側の腰壁の壁面)などに設置されている。給電コンセント66には、所与の給電ケーブル66Aの一端のプラグが差し込まれ、給電ケーブル66Aの他端のプラグが車両14のアクセサリーコンセントに差し込まれることで、車両14と電気的に接続されて車両14から電力が供給可能になる(図示省略)。
【0089】
なお、給電コンセント66は、店舗12における停電時などの緊急時に使用可能であればよく、通常時に軒下天井内に隠ぺいされた吊り下げ式であってもよい。また、給電コンセント66は、自立ポール(柱)に設置されたボックス内に収納されていてもよい。さらに、給電システム10では、給電コンセント66に変えて、車両14のアクセサリーコンセントへの接続専用の給電用ケーブルが用いられる構成であってもよい。
【0090】
図3に示すように、車両用接続箱68は、給電コンセント66に電気的に接続されている。車両用接続箱68には、絶縁トランス68A、及び地絡検出器(例えば、地絡継電器GR:Ground Relay)68Bが設けられている。絶縁トランス68Aは、車両14側(一次側)と配電盤70側(二次側)とを絶縁することで、二次側(又は一次側)に生じた支障が車両14側(又は二次側)に波及するのを抑制する。地絡検出器68Bは、配線の地絡を検知し、地絡が検知されると配電盤70への電気的接続を遮断する(地絡保護)。
【0091】
配電盤70には、所定容量のブレーカ(配線用遮断器)70Aが設けられており、ブレーカ70Aは、一次側が車両用接続箱68の地絡検出器68Bに電気的に接続され、二次側が切換盤72に電気的に接続されている。
【0092】
切換盤72内には、開閉手段及び切換手段としての複数のマグネットスイッチ(電磁開閉器)76が設けられている。マグネットスイッチ76の各々は、一次側の接点として、ブレーカ70Aの二次側に電気的に接続された接点、及び分電盤50の分岐ブレーカ54が電気的に接続された接点を有する。また、マグネットスイッチ76の各々は、二次側の接点に特定負荷が電気的に接続されている。マグネットスイッチ76は、接点が切り換えられることで、特定負荷の接続元(電源側)を分岐ブレーカ54(分電盤50側)又はブレーカ70A(車両14側)に切り換える。
【0093】
また、切換盤72には、マグネットスイッチ76の各々の負荷側に検知手段としての電流センサ(例えば、CT:current trance)78が取り付けられている。電流センサ78は、各々特定負荷が接続されていることにより特定負荷の電力消費に応じて流れる電流を検知する。
【0094】
複数のマグネットスイッチ76及び電流センサ78は、各々店舗12において商用電源の停電時等に車両14から電力を供給する特定負荷が接続されている。マグネットスイッチ76Aには、電流センサ78Aを介してPOSレジ40の専用のコンセント60Aが接続されている。また、マグネットスイッチ76Bには、電流センサ78Bを介して通信端末42用のコンセント60Bが接続されている。
【0095】
マグネットスイッチ76Cには、電流センサ78Cを介して電気ポット30用のコンセント58Aが接続されている。また、マグネットスイッチ76Dには、電流センサ78Dを介して充電器32用のコンセント58Bが接続され、マグネットスイッチ76Eには、電流センサ78Eを介して照明器具62が接続されている。ここで、照明器具62に対して点灯/消灯用のスイッチを設ける場合、スイッチは電流センサ78Eと照明器具62との間に設けられ、スイッチは、照明器具62A、62Bの各々に対して設けられる。
【0096】
さらに、マグネットスイッチ76Fには、電流センサ78Fを介してCD36のコンセント60Cが接続されている。なお、図3では、図示を省略しているが、分岐ブレーカ54Gとコンセント64との間には、マグネットスイッチ76G及び電流センサ78Gが設けられており、以下では、コンセント64がマグネットスイッチ76G及び電流センサ78Gを介して分岐ブレーカ54Gに接続されているものとして説明する。
【0097】
一方、給電システム10のコントローラ74には、配電盤70のブレーカ70Aの二次側に電気的に接続されていると共に、分電盤50の分岐ブレーカ52の一つに電気的に接続されている。これにより、コントローラ74は、商用電源から供給される電力により動作可能とされていると共に、商用電源の停電時に車両14から供給される電力により動作可能となっている。なお、コントローラ74は、蓄電手段としてのバッテリーが設けられ、商用電源から供給される電力によりバッテリーが充電され、商用電源の停電時にバッテリーの電力及び車両14の電力(直流に変換された電力)を用いて動作する構成であってもよい。
【0098】
図1に示すように、コントローラ74には、負荷検知部80、負荷切換部82、負荷選択部84、記憶部86、受付手段としての入力部88、電源管理部90及び通信部92が形成されている。コントローラ74は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージ、通信インタフェース、表示部及び操作部の構成を有し、各構成がバスを介して相互に通信(データ交換)可能に接続されたマイクロコンピュータ(図示省略)を備えている。
【0099】
ROMは、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAMは、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データが格納される。
【0100】
通信インタフェースは、各機器との間で信号の授受を行うためのインタフェースである。操作部は、各種の入力を行うために使用され、マウス等のポインティングデバイス及びキーボードを含んでもよい。表示部は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部は、タッチパネル方式を採用して、操作部として機能しても良い。
【0101】
コントローラ74では、ROM又はストレージに給電制御のための給電制御プログラムが格納されており、CPUがROM又はストレージから給電制御プログラムを読み出し、RAMを作業領域として実行することで、負荷検知部80、負荷切換部82、負荷選択部84、及び電源管理部90の各機能が実現される。また、コントローラ74では、ストレージにより記憶部86が実現され、表示部及び操作部により入力部88が実現される。また、コントローラ74では、通信インタフェースにより通信部92の機能が実現される。
【0102】
店舗12では、特定負荷に対して予め優先順位が設定されている。コントローラ74では、設定された優先順位が入力部(受付部)88により入力されることで記憶部86に記憶される。また、コントローラ74では、入力部88により優先順位の変更が入力されることで、記憶部86に記憶された優先順位が更新(変更)される。さらに、コントローラ74では、入力部88により優先順位にかかわらず車両14の電力を供給する負荷の指定を受け付ける。また、入力部88は、通信部92を介して販売管理サーバ46に接続されることで、店舗指示部46Cからの指示を受け付ける。
【0103】
負荷検知部80には、電流センサ78(78A~78G)の各々が電気的に接続されている。負荷検知部80では、電流センサ78の各々の検知する電流値から給電されている特定負荷を検知する。また、負荷検知部80では、電流センサ78によって検知される電流値から車両14の電力による特定負荷の消費電流(総電流)を検知する。
【0104】
負荷切換部82には、マグネットスイッチ76(76A~76G)の各々(マグネットスイッチ76の図示しない励磁コイルの各々)が電気的に接続されている。負荷切換部82は、マグネットスイッチ76の励磁コイルの動作を制御することで、車両14の電力の特定負荷への供給/供給停止を制御する。この際、負荷切換部82は、負荷選択部84における設定に基づいてマグネットスイッチ76の各々を制御する。
【0105】
負荷選択部84は、予め設定されて記憶部86に記憶された優先順位に応じ、車両14電力を供給する特定負荷を設定する。また、負荷選択部84は、入力部88に電力を供給する特定負荷の指定が入力されることで、指定された特定負荷を優先して、車両14電力を供給する特定負荷を設定する。
【0106】
また、給電システム10では、車両14が供給可能とする電力(電流)に応じて制限電力(制限電流)が設定されて記憶部86に記憶されている。負荷選択部84は、車両14の電力を各特定負荷に供給しながら、電流センサ78によって検知する電流値の総和が制限電流に達すると、優先順位の低い特定負荷から順にマグネットスイッチ76をオフ操作されるように設定する。
【0107】
また、電源管理部90は、車両14の電力を管理可能とする。この際、電源管理部90は、負荷検知部80から電力消費量(各特定負荷による総電流値)を取得する。また、電源管理部90は、通信部92を介して販売管理サーバ46に接続し、電力消費量を販売管理サーバ46に送信する。
【0108】
ここで、販売管理サーバ46では、店舗12に電力を供給している車両14とネットワーク42Aを介して接続し、情報取得部46Aが車両14から蓄電池の蓄電残量(残蓄電量)を取得する。また、販売管理サーバ46では、給電システム10から取得する電力消費量と、車両14から取得する蓄電池の蓄電残量の変化から車両14から店舗12への電力供給が停止するまでの時間を予測する。さらに、販売管理サーバ46の商品設定部46Bは、予測した時間が経過する前に、店舗12に電力が蓄積された蓄電池を配送するように設定する。
【0109】
管理システム44の配送管理サーバ48は、販売管理サーバ46の設定に基づき、店舗12へ蓄電池を配送する。この際、配送管理サーバ48は、例えば、蓄電池に変えて、蓄電池を備えた新たな車両14を配送する。この際、新たな車両14は、店舗12に配送する商品を搭載した車両が適用されてもよい。
【0110】
次に、本実施形態の作用を説明する。
店舗12では、商用電源から供給される電力により各種の電気機器や電気設備機器が動作されて営業される。これにより、店舗12では、例えばPOSレジ40が動作して、各種の商品が販売され、店舗12における販売実績情報、在庫管理情報や仕入れ管理情報等が円滑に作成される。しかし、店舗12では、商用電源が停電して、電力供給が停止すると、各種の電気機器や電気設備機器の動作が停止する。このために、店舗12では、円滑な商品の販売ができなくなり、販売実績情報、在庫管理情報や仕入れ管理情報等の作成が困難となる。
【0111】
店舗12に設置された給電システム10は、商用電源が停電した際、給電コンセント66に車両14が電気的に接続されていることで動作が開始され、店舗12において設定している特定負荷に車両14の電力を供給する。
【0112】
なお、車両14では、給電コンセント66に接続されて給電を開始する際、ステアリングロックなどの車両14の移動(走行)を禁止する禁止機構が作動されることが好ましい。禁止機構は、車両14からの給電開始により、車両14の所有者のキー操作(電子キーでもよい)等により解除されればよい(給電コンセント66との接続解除のみでは動作されないことが好ましい)。
【0113】
また、店舗12の駐車場16には、給電コンセント66に接続される車両14の駐車位置に、車両14が駐車位置から移動するのを防止するためのロック機構が設置されていることが好ましい。車両14のロック機構としては、駐車された車両14の下側(前輪と後輪との間等)においてロック板が傾動上昇するセンターロック式機構、車両14下側(前輪と後輪との間等)においてロック板が水平の昇降する昇降式ロック機構、及び車両14前側(駐車場16の設置されている車止めとは反対側)においてロック板等が起立するフロントロック機構などを適用できる。
【0114】
給電システム10では、分電盤50と特定負荷との間に配置している切換盤72において、マグネットスイッチ76が、分電盤50の分岐ブレーカ54(54A~54G)の各々と特定負荷の各々とを接続している。このため、商用電源が停電すると、特定負荷の各々への電力供給が停止される。
【0115】
ここで、コントローラ74は、例えば、分岐ブレーカ52を介して供給される電力が停止することで商用電源の停電を検知すると、マグネットスイッチ76を操作して、特定負荷を車両14側に接続することで、車両14の電力が特定負荷に供給可能となる。しかし、各特定負荷において消費される電力が、車両14が供給する電力を超えることで、車両14からの電力供給が停止して、各特定負荷の動作が停止する。このため、コントローラ74では、予め設定されている優先順位に応じて特定負荷へ電力を供給する。
【0116】
図5(A)には、給電システム10においてコントローラ74により実行される給電処理の概略が示され、図5(B)には、消費電力制限処理としての電流制限処理の概略が流れ図にて示されている。
【0117】
図5(A)のフローチャートは、コントローラ74において商用電源の停電が検知されると実行され、最初のステップ100において、コントローラ74は、記憶部86から特定負荷についての優先順位を読み込む。コントローラ74は、次のステップ102において優先順位の上位の特定負荷から順に対応するマグネットスイッチ76をオン操作(分電盤50側の設定を開放し、車両14側の接点を閉じる)する。
【0118】
この後、コントローラ74は、ステップ104において電流センサ78によって電流を検知し、ステップ106において、電流値の総和が予め設定している基準値に達したか否かを確認する。なお、本実施形態において、基準値に達したか否かは、基準値以上となっているか否かであることを示す。
【0119】
ここで、電流値の総和が基準値に達していないと、コントローラ74は、ステップ106において否定判定してステップ108に移行し、残りの特定負荷があるか否かを確認する。コントローラ74は、対応するマグネットスイッチ76がオンされていない特定負荷があると、ステップ108において否定判定して、ステップ102に移行し、優先順位が次の特定負荷に対応するマグネットスイッチ76をオン操作する。
【0120】
これにより、全ての特定負荷に対応するマグネットスイッチ76のオン操作を終了すると、コントローラ74は、ステップ108において肯定判定して処理を終了する。これにより、特定負荷の各々へ車両14の電力が供給され、特定負荷の各々が車両14の電力によって動作可能になる。
【0121】
また、特定負荷の電流値の総和が基準値に達していると、コントローラ74は、ステップ106において肯定判定して処理を終了する。これにより、基準値の範囲内で優先順位の高い特定負荷について車両14から供給される電力によって動作される。
【0122】
図5(B)のフローチャートは、給電処理が終了して、車両14の電力の特定負荷への供給中に実行され、最初のステップ110において、コントローラ74は、電流センサ78によって電流を検知し、ステップ112において、電流値の総和が予め設定している基準値に達したか否かを確認する。
【0123】
ここで、電流値の総和が基準値に達していると、ステップ112において肯定判定して、ステップ114に移行する。このステップ114において、コントローラ74は、給電している特定負荷(オンしているマグネットスイッチ76に対応する特定負荷)のうちで優先順位の最も低い特定負荷に対応するマグネットスイッチ76をオフする(車両14側の接点を開放する)。これにより、オフしたマグネットスイッチ76に対応する特定負荷が停止されて、電流値の総和が減少される。
【0124】
一方、ステップ112において否定判定すると、コントローラ74は、ステップ116に移行する。ステップ116において、コントローラ74は、給電されていない特定負荷があるか否かを確認し、給電されていない特定負荷があると、ステップ116において肯定判定してステップ118に移行する。
【0125】
ステップ118では、給電が停止されている特定負荷のうちで優先順位の最も高い特定負荷に対応するマグネットスイッチ76をオンする。この後、コントローラ74は、ステップ110に移行する。これにより、マグネットスイッチ76がオンされた特定負荷への給電が開始されて、当該特定負荷の動作が可能になる。なお、ステップ116への移行は、所定時間が経過した後が好ましく、これにより、特定負荷への給電停止と給電開始とが繰り返されるのを抑制できる。
【0126】
したがって、給電システム10は、車両14から供給される電力を用いて、商用電源が停電している店舗12において効果的に店舗12の特定負荷を作動させることができる。
【0127】
ここで、基準値としては、車両14が供給可能な電力(電流値)に応じた値を適用できる。これにより、車両14に対して過負荷となるのを抑制できて、優先順位の高い特定負荷に確実に電力を供給して動作させることができる。
【0128】
また、車両14からの電力供給が継続すると、車両14の蓄電池の蓄電残量が少なくなる。ここから、基準値は、車両14からの給電を開始してからの経過時間に応じ、経過時間が長くなるにしたがって基準値が低くなるようにしてもよい。また、基準値は、商用電源の停電時間を予測し、停電時間が長くなると予測されるほど低くなるように基準値を設定して、入力部88から入力してもよい。これにより、車両14の電力を長時間にわたって店舗12に使用できる。
【0129】
図6(A)から図6(D)の各々には、優先順位の一例が図表にて示されている。
図6(A)に示すように、店舗12では、POSレジ40の優先順位が最も高く(最上位)とSれ、通信端末42の優先順位がPOSレジ40に次ぐ順位とされている。これにより、店舗12では、商用電源の停電時にもPOSレジ40の動作が停止することが無いので、POSレジ40を用いて商品の販売が可能となると共に、販売実績情報、仕入れ管理情報及び在庫管理情報を作成できる。
【0130】
また、通信端末42の優先順位を高くすることで、通信端末42を用いてPOSレジ40を管理システム44の販売管理サーバ46に接続できる。これにより、管理システム44では、店舗12への円滑で的確な商品の配送が可能になり、店舗12において商品不足が生じるのを防止できる。このため、図6(B)に示すように、優先順位は、POSレジ40と通信端末42とを同順位に設定してもよい。
【0131】
また、特定負荷のうちで、非常用とするコンセント64の順位を低くすることで、コンセントに誤って電気機器を差し込まれていても不用意に動作してしまうのを抑制できる。
【0132】
照明器具62は、夜間では必要となるが、屋外が明るい昼間では、不要となることが多い。ここから、屋外が暗い夜間と、屋外の明るい昼間とに分けて優先順位を設定してもよい。この際、図6(C)に示すように、昼間において、照明器具62の優先順位を低くするように優先順位が設定されてもよい。
【0133】
また、冬季においては、夏季よりも湯の需要が高まり、夏季においては、冬季よりも屋外での活動が多くなる。ここから、夏季と冬季とで優先順位を分けて設定してもよく、この際、図6(D)に示すように、冬季において電気ポット30の優先順位が夏季における優先順位を高くしてもよい。
【0134】
ここで、給電システム10では、時間帯及び季節の少なくとも一方で優先順位を変更してもよい。この場合、コントローラ74の記憶部86には、季節ごと、時間帯ごと、及び各季節の時間帯ごとの何れかに応じて設定された複数の優先順位を記憶される。また、コントローラ74は、カレンダー機能及び時計機能を用いて、季節及び時刻を検知し、この検知結果に基づいて優先順位を設定すればよい。図7(A)には、優先順位の変更処理の一例が流れ図にて示されている。
【0135】
図7(A)のフローチャートは、給電システム10の給電開始時に実行が開始され、給電動作中に所定の時間間隔(例えば、30分や1時間)に実行され、最初のステップ120において、コントローラ74は、季節及び時刻を取得する。次のステップ122において、コントローラ74は、取得した季節及び時刻に対応する優先順位を記憶部86から読み出し、給電処理において用いる優先順位に設定する(ステップ124)。これにより、給電システム10では、季節及び時刻の少なくとも一方に応じて設定された優先順位基づいて、車両14の電力を特定負荷に供給できる。
【0136】
この後、ステップ126では、給電動作が終了したか否かを確認する。この時、給電処理が終了していると、コントローラ74は、ステップ126において肯定判定して処理を終了する。しかし、給電処理が継続(商用電源の停電が継続)していると、コントローラ74は、ステップ126において否定判定してステップ128に移行する。ステップ128において、コントローラ74は、優先順位を切り換える時刻か否かを確認する。
【0137】
ここで、屋外が明るい昼間に対応する時刻から屋外の暗い夜間に対応する時刻となった場合、又は、夜間に対応する時刻から中間に対応する時刻となった場合、コントローラ74は、ステップ128で肯定判定してステップ130に移行する。このステップ130において、コントローラ74は、時刻に対応する優先順位を記憶部86から読み出し、給電処理において用いる優先順位に変更する(ステップ132)。これにより、給電システム10では、車両14の電力を季節や時刻に合う特定負荷に供給して作動させることができるので、車両14の有効に利用できる。
【0138】
一方、店舗12では、給電システム10が設置されてことで、POSレジ40及び通信端末42が作動でき、例えば、キャッシュレス決済が可能となる。しかし、店舗12にない商品を取り扱っている他の店舗では、キャッシュレス決済ができずに、現金が必要となることがある。
【0139】
店舗12では、特定負荷の一つにCD(キャッシュディスペンサ)36を設定しており、給電システム10では、特定負荷を指定して車両14の電力を供給して、指定した特定負荷を動作させることができる。ここで、図7(B)には、指定給電処理の概略が流れ図にて示されている。
【0140】
図7(B)のフローチャートは、給電システム10が給電動作中に実行され、最初のステップ140において、コントローラ74は、特定負荷の指定が入力部88に入力されたか否かを確認し、特定負荷の指定が入力されると、ステップ140において肯定判定して、ステップ142に移行し、特定負荷の指定を受け付ける。なお、特定負荷の指定が入力されていない場合、コントローラ74は、ステップ140において否定判定して処理を終了する。
【0141】
次のステップ144においてコントローラ74は、受け付けた特定負荷に対応するマグネットスイッチ76をオンさせる。この際、指定された特定負荷がCD36である場合、対応する金融機関とのネットワーク接続が必要となることから、CD36に対応するマグネットスイッチ76Fがオンされると共に、通信端末42に対応するマグネットスイッチ76Bが合わせてオンされる(オンされていなかった場合)。
【0142】
この後、ステップ146において、コントローラ74は、電流センサ78によって電流値を検知し、ステップ148において、電流値の総和が予め設定している基準値に達しているか否かを確認する。電流値の総和が基準値に達していない場合、コントローラ74は、ステップ148において否定判定して処理を終了する。
【0143】
これに対して、電流値の総和が基準値に達していると、コントローラ74は、ステップ148において肯定判定して、ステップ150に移行し、給電している特定負荷(オンしているマグネットスイッチ76に対応する特定負荷)のうちで優先順位の最も低い特定負荷に対応するマグネットスイッチ76をオフする。これにより、オフしたマグネットスイッチ76に対応する特定負荷が停止されて、電流値の総和が減少され、指定された特定負荷が的確に動作される。
【0144】
したがって、CD36が指定された場合、店舗12では、商用電源の停電時においてCD36を指定することで、CD36が車両14の電力によって作動される。これにより、店舗12の顧客は、CD36を用いて必要な金額を引き出すことができ、店舗12では、顧客の要望するサービスを提供することができる。
【0145】
一方、給電システム10は、ネットワーク42Aを介して販売管理サーバ46に接続されている。販売管理サーバ46は、店舗12において商用電源が停電していると、情報取得部46Aが車両14から蓄電池の蓄電残量を取得すると共に、給電システム10から電力消費量を取得する。また、販売管理サーバ46は、店舗12における電力消費量と車両14の蓄電池の蓄電残量の変化から車両14が店舗12への電力供給ができなくなるまでの時間を予測し、予測した時間が経過する前に、店舗12に電力が蓄積された蓄電池を配送できるように設定する。配送管理サーバ48は、販売管理サーバ46の設定に応じて蓄電池を店舗12に配送する。
【0146】
これにより、管理システム44では、商用電源が停電している店舗12において、特定負荷まで動作させることができなくなるのを防止できる。したがって、店舗12では、商用電源の停電時においても、顧客の要求に応じたサービスの提供を継続できる。
【0147】
また、販売管理サーバ46には、店舗指示部46Cが設けられている。店舗指示部46Cでは、店舗12に設置されている給電システム10に対して各種の指示を行うことができる。例えば、店舗指示部46Cは、複数の優先順位が予め設定されて図示しない記憶部に記憶されて、店舗12の季節及び時刻の少なくとも一方に対応する優先順位を選択し、選択した優先順位を店舗12の給電システム10に送信する。
【0148】
給電システム10のコントローラ74は、優先順位を受信して受け付け、受け付けた優先順位に基づいて給電処理を実行する。これにより、給電システム10では、コントローラ74により季節及び時刻の少なくとも一方の優先順位をするための処理(図7(A)に対応する処理)が不要になるので、コントローラ74の負荷を軽減できる。
【0149】
また、優先順位は、気象等に対応させて設定できるので、店舗指示部46Cは、店舗12の地域の気象情報を取得し、店舗12の複数の特定負荷の優先順位を設定し、設定した優先順位により給電処理が実行されるように、給電システム10に送信(指示)してもよい。これにより、店舗12の地域の気象状況に応じた特定負荷を動作可能にできる。
【0150】
このように、店舗12に設置された給電システム10では、店舗12おいて複数の特定負荷の間で設定されている優先順位に応じ、優先順位の高い特定負荷に車両14の電力を供給するので、車両14から給電できる電力を効果的に利用できる。
【0151】
給電システム10では、車両14の電力を店舗12の特定負荷に供給するので、店舗12に蓄電池が設置されていなくとも、商用電源の停電時に特定負荷に効果的に電力を供給できる。
【0152】
また、給電システム10では、切換盤72に特定負荷の各々に対応するマグネットスイッチ76が設けられている。これにより、給電システム10では、商用電源の停電に特定負荷に車両14の電力を容易に供給できる。しかも、給電システム10では、車両14の電力が特定負荷に供給するための切り換えを円滑にできる。
【0153】
給電システム10では、電流センサ78により特定負荷で消費される電力(電流値)を検知するので、特定負荷で消費される電力が車両14で供給可能な電力を越えてしまうのを防止できる。これにより、給電システム10では、車両14の電力を優先順位の高い特定負荷に的確に供給できる。
【0154】
また、店舗12では、POSレジ40の優先順位が最も高くされているので、商用電源の停電時に給電システム10が車両14の電力をPOSレジ40に確実に供給できる。これにより、店舗12では、POSレジ40の作動が停止するが防止されて、円滑な商品販売と共に、販売実績情報、在庫管理情報や仕入れ管理情報の作成が容易になる。
【0155】
さらに、特定負荷には、店舗12内を照明する照明器具62が含まれるので、店舗12内での従業員の円滑な作業が可能になると共に、顧客の商品選択を容易にできる。
【0156】
また、店舗12では、特定負荷として充電器32、電気ポット30を含む調理器具、及びCD(キャッシュディスペンサ)36が含まれるので、顧客の要求に応じたサービスの提供が容易になる。
【0157】
一方、給電システム10では、特定負荷の優先順位及び優先順位の変更を受け付けるので、時間帯や季節等に応じて最適な優先順位の設定を容易にできる。また、給電システム10では、動作させる特定負荷を受け付けるので、優先順位を変更することなく、所望の特定負荷に車両14の電力を供給して作動させることができる。
【0158】
さらに、特定負荷には、非常用としているコンセントが含まれるので、特定負荷に設定していない電気機器に車両14の電力を供給して動作させることができる。店舗12では、POSレジ40及び通信端末42の優先順位が最上位に設定されることで、POSレジ40をネットワーク42Aに接続できる。これにより、POSレジ40を用いた各種の情報管理を容易にできる。
【0159】
一方、給電システム10は、POSレジ40を管理システム44の販売管理サーバ46に接続できるので、店舗12では、販売管理サーバ46による適切な配送管理のサービスを受けることができる。
【0160】
また、販売管理サーバ46では、店舗12における商用電源の停電までの販売実績の変化に応じ、例えば、売り上げ(販売数)が増加した商品については配送する数を増やし、売り上げが減少した商品については配送する数を減らすなどの設定を行うことができる。これにより、店舗12では、商品の不足や商品の余剰等が生じるのを防止できる。しかも需要の多い商品が不足するのを防止で来る。
【0161】
さらに、販売管理サーバ46では、店舗12での電力消費量と車両14における蓄電残量から車両14の電力が不足するまでの時間を予想し、蓄電池を店舗12に配送する。このため、店舗12では、商用電源の停電が長くなっても、特定負荷を動作させるための電力に不足が生じることがない。しかも、蓄電池として車両を用いるので、効率よく店舗12の電力を配送できる。
【0162】
なお、本実施形態では、POSレジ40の専用のコンセント60Aに無停電電源装置を設けていない。しかしながら、POSレジの専用のコンセントには、無停電電源装置が配置されていてもよい。この場合、無停電電源装置は、POSレジと分電盤の分岐ブレーカの間に配置されるので、店舗用給電装置の切換手段は、POSレジの専用のコンセントと無停電電源装置との間に配置することができる。これにより、無停電電源装置の電力を用いずに車両の電力によりPOSレジを動作させることができる。
【0163】
また、店舗用給電装置は、制御手段が無停電電源装置に接続され、無停電電源装置の電力に余裕がある停電初期段階では、POSレジの優先順位を最も低くしておいて切換手段により無停電電源装置とPOSレジの専用のコンセントとを接続する。この後、無停電電源装置の蓄積電力が減少した後、POSレジの優先順位を最も高くして、切換手段によりPOSレジの専用のコンセントを車両側に接続してもよい。これにより、無停電電源装置の電力と車両の電力とを有効に利用してPOSレジを長時間にわたって動作させることができる。
【0164】
さらに、本実施形態では、特定負荷として、POSレジ40、通信端末42、電気ポット30、充電器32、CD36、照明器具62及び非常用のコンセント64を例に説明した。しかしながら、特定負荷は、少なくともレジスター及び通信手段が含まれればよく、他に電子レンジ、コーヒーやアイスコーヒーやカフェラテなどをドリップするコーヒーマシンなどの電気機器であってもよい。この際、電気機器(電気機器が接続されるコンセント)と分岐ブレーカとの間の電灯電源回路(コンセント回路)に切換手段を設置しておけばよい。
【0165】
また、本実施形態では、単相100Vの電灯回路を例に説明したが、店舗用給電装置は、単相200Vの電灯電力に適用してもよく、また直流電力に適用してもよい。この際、店舗用給電装置は、車両の電力を店舗の負荷に合わせた電力(交流電力)に変換する機能を備えればよい。
【0166】
また、以上説明した本実施形態では、顧客に商品を販売するコンビニエンスストアなどの店舗12を例に説明した。しかしながら、本発明に係る店舗は、これに限らず、ラーメン店や各種の飲食店であってもよい。また、店舗は、コンビニエンスストア等の各種の商品を販売する商店や、各種の飲食物を提供する飲食店に限らず、顧客に商品や各種のサービスを提供するための店舗を適用できる。
【符号の説明】
【0167】
10 給電システム(給電装置)
12 店舗
14 車両(蓄電手段)
30 電気ポット(特定負荷)
32 充電器(特定負荷)
36 CD(特定負荷)
40 POSレジ(特定負荷、レジスター)
42 通信端末(特定負荷)
44 管理システム
46 販売管理サーバ(管理手段)
48 配送管理サーバ
62(62A、62B) 照明器具(特定負荷)
64 コンセント(特定負荷)
66 給電コンセント(給電手段)
68 車両用接続箱(給電手段)
70 配電盤(給電手段)
72 切換盤
74 コントローラ(制御手段)
76(76A~76G) マグネットスイッチ(切換手段)
78(78A~78G) 電流センサ(検知手段)
88 入力部(受付手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7