(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】情報提供方法及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240816BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240816BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/16 F
G01C21/26 C
(21)【出願番号】P 2020191882
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 壮
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101634(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013792(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両によって実行され、前記車両である自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得し、取得された前記道路交通情報を前記自車両の乗員に提供する情報提供方法であって、
前記道路交通情報を前記乗員に提供する必要性を推定し、
推定された前記必要性に基づいて、前記道路交通情報の内容をどの程度詳細に提供するかを定める詳細度を決定し、
決定された前記詳細度にしたがって、前記詳細度ごとに予め定められた形態で、前記道路交通情報を前記乗員に提供
し、
前記必要性は、前記自車両の走行履歴に基づいて、前記道路交通情報に対する前記乗員の熟知度を判別することによって推定され、
前記道路交通情報に対する前記乗員の前記熟知度が高いときには前記詳細度を下げ、前記道路交通情報に対する前記乗員の前記熟知度が低いときには前記詳細度を上げる、
情報提供方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供方法であって、
前記道路交通情報は、道路標識または路面標示である、
情報提供方法。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の情報提供方法であって、
前記走行履歴から、前記道路の走行回数と、前記道路を最後に走行してからの経過日数と、を取得し、
前記熟知度は、前記走行回数及び前記経過日数に基づいて判別される、
情報提供方法。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の情報提供方法であって、
前記乗員が前記道路交通情報を視認しておらず、かつ、前記熟知度が高いときには、前記詳細度を下げ、
前記乗員が前記道路交通情報を視認しておらず、かつ、前記熟知度が低いときには、前記詳細度を上げる、
情報提供方法。
【請求項5】
車両によって実行され、前記車両である自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得し、取得された前記道路交通情報を前記自車両の乗員に提供する情報提供方法であって、
前記道路交通情報を前記乗員に提供する必要性を推定し、
推定された前記必要性に基づいて、前記道路交通情報の内容をどの程度詳細に提供するかを定める詳細度を決定し、
決定された前記詳細度にしたがって、前記詳細度ごとに予め定められた形態で、前記道路交通情報を前記乗員に提供し、
前記必要性は、前記乗員の会話内容と前記道路交通情報との関連性である会話関連性を判別することによって推定され、
前記会話関連性が高いときには、前記会話内容及び前記道路交通情報の内容によって前記詳細度を決定する、
情報提供方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の情報提供方法であって、
前記会話内容及び前記道路交通情報が、交通の規制に関する情報、及び、前記乗員に対して交通に関する警戒を促す情報であるときには、前記詳細度を下げる、
情報提供方法。
【請求項7】
請求項
5または
6に記載の情報提供方法であって、
前記会話内容及び前記道路交通情報が、目的地または経由地の方向または距離を案内する情報であるときには、前記詳細度を上げる、
情報提供方法。
【請求項8】
車両によって実行され、前記車両である自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得し、取得された前記道路交通情報を前記自車両の乗員に提供する情報提供方法であって、
前記道路交通情報を前記乗員に提供する必要性を推定し、
推定された前記必要性に基づいて、前記道路交通情報の内容をどの程度詳細に提供するかを定める詳細度を決定し、
決定された前記詳細度にしたがって、前記詳細度ごとに予め定められた形態で、前記道路交通情報を前記乗員に提供し、
前記道路交通情報が新規に追加された情報であるときには、前記詳細度を上げる、
情報提供方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報提供方法であって、
前記必要性は、前記乗員の視線の推移に基づいて、前記乗員が前記道路交通情報を視認した時間を判別することによって推定され、
前記乗員が前記道路交通情報を視認した時間が長時間であるか否かを判定する所定の閾値以上であるか否かを判別し、
前記乗員が前記道路交通情報を視認した時間が前記閾値以上であるときには前記詳細度を上げ、前記乗員が前記道路交通情報を視認した時間が前記閾値未満であるときには前記詳細度を下げる、
情報提供方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の情報提供方法であって、
前記必要性は、前記道路交通情報と、ナビゲーション装置に登録された前記自車両の経路情報と、の関連性である経路関連性を判別することによって推定され、
前記経路関連性が高いときには、目的地または経由地の方向または距離を案内する情報に関する前記詳細度を上げる、
情報提供方法。
【請求項11】
車両に搭載され、前記車両である自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得し、取得された前記道路交通情報を前記自車両の乗員に提供するコントローラを備える情報提供システムであって、
前記コントローラは、
前記道路交通情報を前記乗員に提供する必要性を推定し、
推定された前記必要性に基づいて、前記道路交通情報の内容をどの程度詳細に提供するかを定める詳細度を決定し、
決定された前記詳細度にしたがって、前記詳細度ごとに予め定められた形態で、前記道路交通情報を前記乗員に提供
し、
前記必要性は、前記自車両の走行履歴に基づいて、前記道路交通情報に対する前記乗員の熟知度を判別することによって推定され、
前記道路交通情報に対する前記乗員の前記熟知度が高いときには前記詳細度を下げ、前記道路交通情報に対する前記乗員の前記熟知度が低いときには前記詳細度を上げる、
情報提供システム。
【請求項12】
車両に搭載され、前記車両である自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得し、取得された前記道路交通情報を前記自車両の乗員に提供するコントローラを備える情報提供システムであって、
前記コントローラは、
前記道路交通情報を前記乗員に提供する必要性を推定し、
推定された前記必要性に基づいて、前記道路交通情報の内容をどの程度詳細に提供するかを定める詳細度を決定し、
決定された前記詳細度にしたがって、前記詳細度ごとに予め定められた形態で、前記道路交通情報を前記乗員に提供し、
前記必要性は、前記乗員の会話内容と前記道路交通情報との関連性である会話関連性を判別することによって推定され、
前記会話関連性が高いときには、前記会話内容及び前記道路交通情報の内容によって前記詳細度を決定する、
情報提供システム。
【請求項13】
車両に搭載され、前記車両である自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得し、取得された前記道路交通情報を前記自車両の乗員に提供するコントローラを備える情報提供システムであって、
前記コントローラは、
前記道路交通情報を前記乗員に提供する必要性を推定し、
推定された前記必要性に基づいて、前記道路交通情報の内容をどの程度詳細に提供するかを定める詳細度を決定し、
決定された前記詳細度にしたがって、前記詳細度ごとに予め定められた形態で、前記道路交通情報を前記乗員に提供し、
前記道路交通情報が新規に追加された情報であるときには、前記詳細度を上げる、
情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員に、自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報を提供する情報提供方法及び情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路標識等を、ナビゲーションシステムの表示画面や計器類を表示する表示画面に表示することにより、交通に関する情報取得を支援する車両が知られている。
【0003】
しかし、運転者に対する情報の通知が過剰になると、歩行者その他の注意すべき対象に対する運転者の注意力を低下させてしまう場合がある。また、例えば、道路上には多数の道路標識があるので、それらの内容を全て運転者に通知すると、通知の煩雑さによって、本来、積極的に運転者に対して知得させるべき情報が運転者に伝わらない場合がある。
【0004】
このため、特許文献1においては、道路標識等のランドマークの視認性の変化を推定し、推定した視認性に応じて、その道路標識等に係る情報提供をするか否かを決定することにより、運転者への過剰な情報提供を抑制するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、運転者が良く知っている道路を走行するときには、たとえ道路標識等の視認性が悪かったとしても、その道路標識等に関する詳細な情報提供は過剰な情報提供となり、運転者の注意力を低下させる場合がある。すなわち、運転者に対する情報提供が過剰か否かは、道路標識等の視認性よりも、運転者がその情報を必要としているか否かによって決まるものである。
【0007】
本発明は、運転者等が必要とする程度に情報提供量を低減して情報提供をすることができる情報提供方法及び情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、車両によって実行され、当該車両である自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得し、取得された道路交通情報を自車両の乗員に提供する情報提供方法である。この情報提供方法では、道路交通情報を乗員に提供する必要性が推定され、推定された必要性に基づいて、道路交通情報の内容をどの程度詳細に提供するかを定める詳細度が決定され、決定された詳細度にしたがって、詳細度ごとに予め定められた形態で、道路交通情報が乗員に提供される。そして、必要性は、自車両の走行履歴に基づいて、道路交通情報に対する乗員の熟知度を判別することによって推定され、道路交通情報に対する乗員の熟知度が高いときには詳細度を下げ、道路交通情報に対する乗員の前記熟知度が低いときには詳細度を上げる。
また、別の態様の情報提供方法では、必要性は、乗員の会話内容と道路交通情報との関連性である会話関連性を判別することによって推定され、会話関連性が高いときには、会話内容及び道路交通情報の内容によって詳細度を決定する。
さらに別の態様の情報提供方法では、道路交通情報が新規に追加された情報であるときには、詳細度を上げる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の情報提供方法及び情報提供システムによれば、運転者等が必要とする程度に情報提供量を低減して情報提供をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、熟知度判別部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、視認時間判別部の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、会話関連性判別部及び経路関連性判別部の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、熟知度等と、乗員に提供する走行規制標識及び警戒標識の詳細度と、の関係を示す表である。
【
図6】
図6は、熟知度等と、乗員に提供する進路規制標識の詳細度と、の関係を示す表である。
【
図7】
図7は、熟知度等と、乗員に提供する進路案内標識の詳細度と、の関係を示す表である。
【
図8】
図8は、詳細度に応じた情報提供の形態を示す表である。
【
図9】
図9は、詳細度に応じた情報提供の形態の変形例を示す表である。
【
図10】
図10は、情報提供システムの作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、情報提供システム100の構成を示すブロック図である。情報提供システム100は、車両に搭載される。また、情報提供システム100は、情報提供システム100が搭載された車両(以下、自車両という)が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得する。そして、情報提供システム100は、取得された道路交通情報を自車両の運転者または同乗者(以下、乗員という)に提供する。本実施形態における車両は、例えば、エンジン及び/またはモータによって駆動される自動車である。また、道路とは、自車両が走行可能な通路をいう。道路に表示された情報とは、自車両が走行する道路において、視覚、通信、またはその他の方法によって知覚または取得し得る情報をいう。交通に関する情報とは、道路の利用者を案内する情報、道路の利用に関して警戒を促す情報、道路の利用に関する制限を示す情報、または、地点を表示する情報等、道路の利用等について道路の利用者に知得させるべき情報をいう。
【0013】
本実施形態では、道路交通情報は、例えば、道路標識または路面標示によって示される情報である。
【0014】
道路標識は、交通に関する情報を表示するために、道路の近傍または上空に設置される表示板であり、例えば、案内標識、警戒標識、規制標識、指示標識、及び補助標識等がある。案内標識は、経路、地点、または付属施設等を表す標識である。警戒標識は、交差点、道路の平面形状、道路の縦断形状、交通流の変化、路面または沿道状況(「踏切あり」等)、気象状況、動物等の飛び出し、もしくはその他の注意すべき事象について、予告し、または、注意を喚起するための標識である。規制標識は、交通における規制を表示する標識である。指示標識は、停止位置、通行の方法等(例えば優先道路の表示等)、駐車または停車、もしくは横断(横断歩道の表示等)等を表示するための標識である。補助標識は、案内標識、警戒標識、規制標識、及び指示標識(いわゆる本標識)を補足するための情報を表示する標識である。
【0015】
なお、規制標識には、例えば、一時停止または徐行の義務、通行の禁止または制限(車両進入禁止等)、交差点等における右左折の制限(指定方向外進行禁止等)、通行の方法に関する制限(速度制限、追い越し禁止、及び進行方向別通行区分等)、駐車または停車に関する制限を表すものがある。本実施形態においては、規制標識のうち特に車両の走行を規制する規制標識を走行規制標識といい、規制標識のうち特に車両の進路を規制する規制標識を進路規制標識という。走行規制標識は、例えば、追い越し禁止、速度制限、及び、徐行義務等を表示する規制標識である。また、進路規制標識は、進行方向別通行区分、指定方向外進行禁止、及び車両進入禁止等を表示する規制標識である。
【0016】
また、路面標示は、交通に関する情報を表示するために路面に表された標示であり、例えば、規制標示、指示標示、及び区画線等がある。規制標示は、特定の通行方法を制限または指定する標示である。規制表示には、例えば、転回禁止、最高速度の標示等がある。指示標示は、特定の通行方法ができることや、その区間等を標示する。指示標示は、例えば、横断歩道の表示がある。区画線は、例えば、車線の境界線等を標示する。
【0017】
本実施形態では、情報提供システム100は、少なくとも案内標識、警戒標識、走行規制標識、及び進路規制標識について、乗員に情報を提供する。但し、情報提供システム100は、これら以外の道路標識及び路面標示について、これらの道路標識と同様に、その情報を乗員に提供することができる。
【0018】
図1に示すように、情報提供システム100は、車外撮影カメラ11、車内撮影カメラ12、マイク13、ナビゲーション装置14、ディスプレイ17、スピーカ18、及び、コントローラ19を備える。これらの構成は、他の用途で使用するために、情報提供システム100が搭載された自車両が備える他のシステム等と共用され得る。
【0019】
車外撮影カメラ11は、自車両の車外を撮影するためのカメラである。車外撮影カメラ11は、例えば、自車両の前方、後方、及び/または、側方等を撮影する1または複数のカメラによって構成される。本実施形態においては、車外撮影カメラ11は、自車両の進行方向に現れる道路標識を撮影するために、少なくとも自車両の前方を撮影する前方カメラを含むものとする。また、車外撮影カメラ11は、自車両の進行方向における運転者の視野と少なくとも一部が共通する範囲を撮影する。車外撮影カメラ11で撮影された画像(動画を含む。以下、車外撮影画像という)は、画像処理による道路標識等の認識等に用いられる。
【0020】
車内撮影カメラ12は、自車両の車内(以下、単に車内という)を撮影するためのカメラである。本実施形態では、車内撮影カメラ12は、例えば、自車両の運転者を含む所定の範囲を撮影する。車内撮影カメラ12で撮影された画像(動画を含む。以下、車内撮影画像という)は、運転者の視線を検知するために用いられる。
【0021】
マイク13は、乗員の会話等、車内の音声を取得する。マイク13で取得された音声は、所定の期間、蓄積される。また、マイク13で取得された音声は、乗員の会話内容の分析に使用される。
【0022】
ナビゲーション装置14は、乗員に対して、目的地や経由地までの経路や現在地等を案内する。このため、ナビゲーション装置14は、地図情報15や、目的地等までの経路に係る情報である経路情報16を保有する。経路情報16は、いわゆるルート設定である。経路情報16は、例えば、乗員によって設定される他、ナビゲーション装置14が自動的に設定する場合がある。
【0023】
ディスプレイ17は、文字、図形、記号、及び/または、画像(動画を含む。)等を表示する表示装置である。ディスプレイ17には、情報提供システム100が乗員に提供する道路交通情報の一部または全部が表示される。なお、ディスプレイ17は、1または複数の表示装置からなる。例えば、ナビゲーション装置14に付属する表示装置はディスプレイ17を構成することができる。また、車両の計器類を表示するインストルメントパネルやヘッドアップディスプレイ等もディスプレイ17を構成することができる。この他、自車両の乗員が保有するスマートフォンやウェアラブルデバイスと連携し得るときには、これらの表示画面もディスプレイ17を構成することができる。
【0024】
スピーカ18は、車内に音または音声を発報する。本実施形態では、スピーカ18が報知音または音声案内を発報することによって、情報提供システム100が提供する道路交通情報の一部または全部が乗員に報知される。
【0025】
コントローラ19は、情報提供システム100の機能を実現するためのコンピュータである。コントローラ19は、例えば、中央演算装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び、入出力インタフェース(I/Oインタフェース)等から構成される。また、コントローラ19は、情報提供システム100に係る機能を予め定められた所定の制御周期で定期的に実行するようにプログラムされている。なお、コントローラ19は、自車両を構成する各部の一部または全部を制御するコンピュータとしても利用される場合がある。
【0026】
コントローラ19は、道路交通情報取得部20、必要性推定部21、詳細度決定部26、及び、情報提供部27を備える。
【0027】
道路交通情報取得部20は、自車両が走行する道路に表示された道路交通情報を取得する。本実施形態では、道路交通情報取得部20は、車外撮影カメラ11が撮影した車外撮影画像42(
図3参照)を取得し、これを画像処理することによって、車外撮影画像42に映し出された道路交通情報を認識する。これにより、道路交通情報取得部20は、自車両が走行する道路に表示された道路交通情報を取得する。特に、本実施形態においては、道路交通情報取得部20は、案内標識、警戒標識、走行規制標識、及び進路規制標識の表示内容を、道路交通情報として認識する。なお、本実施形態では、道路交通情報取得部20は、車外撮影画像42を用いて道路交通情報を取得するが、この代わりに、ナビゲーション装置14の地図情報15やその他の地図情報(いわゆる高精度マップやダイナミックマップ等)から道路交通情報を取得することができる。
【0028】
必要性推定部21は、道路交通情報取得部20によって取得された道路交通情報30(
図2参照)を、乗員に提供する必要性を推定する。道路交通情報を乗員に提供する必要性(以下、単に必要性という)は、道路交通情報に対する評価である。また、必要性推定部21が推定する必要性は、乗員が情報提供システム100から道路交通情報を提供されることを望む程度(要求度)と実質的に等価である。すなわち、ここで行われる必要性の推定は、「既に知っている」「知りたい」といった道路交通情報に対する乗員の意図を推定するものである。なお、本実施形態では、道路交通情報取得部20が複数の道路交通情報を取得したときには、道路交通情報ごとに(例えば道路交通情報取得部20で認識された標識ごとに)、必要性が推定される。
【0029】
より具体的には、必要性を推定するために、必要性推定部21は、(a)熟知度判別部22、(b)視認時間判別部23、(c)会話関連性判別部24、及び、(d)経路関連性判別部25を備える。必要性推定部21の各部の具体的構成については、詳細を後述する。
【0030】
詳細度決定部26は、推定された必要性に基づいて、道路交通情報を提供する際の詳細度を決定する。詳細度は、道路交通情報取得部20によって取得された道路交通情報30の内容を、どの程度詳細に乗員に対して提供するかを定めるパラメータである。複数の道路交通情報が取得されたときには、詳細度は道路交通情報ごとに決定される。必要性に基づいた詳細度の具体例については、詳細を後述する。
【0031】
情報提供部27は、詳細度決定部26によって決定された詳細度にしたがって、詳細度ごとに予め定められた形態で、道路交通情報を乗員に提供する。すなわち、情報提供部27は、提供すべき道路交通情報の内容を、詳細度に応じて適宜低減して乗員に提供する。情報提供部27が、道路交通情報を乗員に提供するために、ディスプレイ17及び/またはスピーカ18を用いる。例えば、情報提供部27は、詳細度にしたがって、道路交通情報の一部または全部を表す画像またはメッセージ等をディスプレイ17に表示させる。道路交通情報を乗員に提供する。また、例えば、情報提供部27は、詳細度にしたがって、提供すべき道路交通情報があることを表す報知音や道路交通情報の内容の一部または全部を表す音声案内をスピーカ18から発報する。これにより、情報提供部27は、道路交通情報を乗員に提供する。詳細度ごとに予め定められた情報提供の形態については、詳細を後述する。
【0032】
[必要性推定部の構成]
(a)熟知度判別部
熟知度判別部22は、自車両の走行履歴に基づいて、取得された道路交通情報30に対する乗員の熟知度を判別する。熟知度は、必要性の一形態である。このため、熟知度の判別は必要性の推定に相当する。したがって、熟知度判別部22は、自車両の走行履歴に基づいて道路交通情報30に対する乗員の熟知度を判別することによって、必要性を推定する。また、道路交通情報に対する乗員の熟知度は、自車両が走行する道路及び/またはその周辺の交通に関する乗員の既得知識の量を表す。このため、熟知度はいわゆる「土地勘」と言い換えることができる。
【0033】
図2は、熟知度判別部22の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、熟知度判別部22は、走行履歴データベース32、ユーザプロファイルデータベース33、走行回数算出部34、経過日数算出部35、及び、熟知度算出部36を備える。
【0034】
走行履歴データベース32は、自車両の走行履歴(以下、単に走行履歴という)を保持する。走行履歴は、自車両の経時的な位置情報の集合であり、自車両によって自動的に蓄積される。また、本実施形態においては、走行履歴の一部または全部は、自車両の乗員と関連付けて記憶されている。このため、情報提供システム100では、走行履歴データベース32を参照し、例えば、特定の運転者の走行履歴を取得することができる。
【0035】
ユーザプロファイルデータベース33は、自車両の乗員を識別する情報であるユーザプロファイルを保持する。ユーザプロファイルは、例えば、顔認証またはスマートキー認証等において照合されるデータである。顔認証では、例えば車内撮影画像41(
図3参照)を用いて、乗員の顔を、登録されたユーザプロファイルと照合することにより、乗員が特定される。また、スマートキー認証では、自車両の運転者または自車両を運転する可能性がある者が保持するスマートキーの固有情報を、登録されたユーザプロファイルと照合することにより、乗員が特定される。本実施形態においては、顔認証またはスマートキー認証によって、少なくとも自車両の運転者が特定される。
【0036】
走行回数算出部34は、走行履歴に基づいて、自車両が走行する道路(すなわち道路交通情報30が表示された道路)の走行回数を算出する。本実施形態においては、走行履歴が運転者ごとに記憶されているので、走行回数算出部34は、ユーザプロファイルに基づいて運転者を特定し、特定した現在の運転者が当該道路を走行した回数を算出する。
【0037】
経過日数算出部35は、走行履歴に基づいて、自車両が走行する道路を最後に走行してからの経過日数を算出する。経過日数は、いわば走行経験のブランクである。本実施形態においては、走行履歴が運転者ごとに記憶されているので、経過日数算出部35は、ユーザプロファイルに基づいて運転者を特定し、特定した現在の運転者が当該道路を最後に走行してからの経過日数を算出する。なお、本実施形態では、経過日数算出部35は、経過日数を算出する代わりに、自車両が当該道路を最後に走行してからの経過時間等、経過日数と同等または同類のパラメータを算出することができる。
【0038】
熟知度算出部36は、走行回数と経過日数に基づいて、道路交通情報30に対する乗員の熟知度を算出する。本実施形態においては、現在の運転者に固有の走行回数と経過日数が算出されるので、熟知度算出部36は、道路交通情報30に対する現在の運転者の熟知度を算出する。熟知度算出部36は、走行回数が多いほど、算出する熟知度を高くする。これは、走行回数が多いほど、その道路に表示された道路交通情報30が示す情報を熟知している可能性が高いからである。また、熟知度算出部36は、経過日数が多いほど、算出する熟知度を低くする。これは、経過日数が多いほど、その道路に表示された道路交通情報30が示す情報を忘却している可能性が高くなるからである。本実実施形態では、熟知度は、走行回数/経過日数によって算出される。算出された熟知度は、必要性の推定値として詳細度決定部26に入力される。
【0039】
なお、熟知度判別部22は、熟知度の判別において、自宅や職場等、乗員の拠点からの距離を考慮することができる。この場合、熟知度判別部22は、走行履歴またはナビゲーション装置14に登録された情報等から乗員の拠点に係る位置情報を取得する。また、熟知度判別部22は、道路交通情報30が取得された道路(または地点)までの距離を算出する。そして、熟知度判別部22は、拠点等からの距離が大きいほど、熟知度を小さくする。熟知度判別部22は、走行回数、経過日数、及び、拠点等からの距離のいずれか、または任意の組み合わせを用いて熟知度を判別することができる。
【0040】
(b)視認時間判別部
視認時間判別部23は、乗員の視線の推移に基づいて、取得された道路交通情報30を乗員が視認した時間(以下、視認時間という)を判別する。道路交通情報30の視認時間は、その道路交通情報30の提示に対する乗員の要求度と相関がある。すなわち、道路交通情報30の視認時間は、必要性の一形態である。このため、視認時間判別部23は、乗員の視線の推移に基づき、道路交通情報30の視認時間を判別することによって、その道路交通情報30の必要性を推定する。
【0041】
図3は、視認時間判別部23の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、視認時間判別部23は、視線検出部43、視認対象特定部44、及び、視認時間算出部45を備える。
【0042】
視線検出部43は、車内撮影カメラ12から車内撮影画像41を取得し、取得した車内撮影画像41を用いて乗員の視線を検出する。また、視線検出部43は、継続的または断続的に車内撮影画像41を取得し、それらの各々において乗員の視線を検出することにより、乗員の視線の推移を検出する。本実施形態においては、視線検出部43は、運転者の視線及びその推移を検出する。視線検出部43の検出結果である運転者の視線及びその推移は、視認対象特定部44に入力される。
【0043】
視認対象特定部44は、乗員の視線及び/またはその推移に基づいて、乗員が視認した対象(以下、視認対象という)を特定する。具体的には、視認対象特定部44は、車外撮影カメラ11から車外撮影画像42を取得し、視線検出部43の検出結果に基づいて、車外撮影画像42において乗員の視線上にある視認対象を特定する。視認対象の特定とは、少なくとも車外撮影画像42における乗員の視線の位置を特定することをいう。視認対象特定部44は、車外撮影画像42における乗員の視線の位置を特定する他、さらに、車外撮影画像42において乗員の視線の位置にある物の範囲や種別等を特定することができる。本実施形態では、運転者の視線及びその推移が検出されるので、視認対象特定部44は、運転者の視認対象を特定する。
【0044】
視認対象特定部44によって特定される視認対象は、例えば、自車両が走行する道路に表示された道路交通情報の他、信号機、前方を走行する車両、通行人、またはその他建造物等、様々である。視認対象特定部44によって特定された視認対象の情報は、視認時間算出部45に入力される。
【0045】
視認時間算出部45は、道路交通情報取得部20によって取得された道路交通情報30と、視認対象特定部44によって特定された視認対象と、を照合することにより、道路交通情報30の視認時間を算出する。視認時間算出部45では、例えば、車外撮影画像42において、乗員の視線の位置が、道路交通情報30である特定の標識の範囲内にある時間を算出することにより、道路交通情報30の視認時間が算出される。算出された道路交通情報30の視認時間は、必要性の推定値として詳細度決定部26に入力される。
【0046】
(c)会話関連性判別部
会話関連性判別部24は、乗員の会話内容と、取得された道路交通情報30との関連性である会話関連性を判別する。会話関連性は、その道路交通情報30の提示に対する乗員の要求度と相関がある。すなわち、会話関連性は必要性の一形態である。このため、会話関連性判別部24は、乗員の会話内容と道路交通情報30との関連性(会話関連性)を判別することによって、その道路交通情報30の必要性を推定する。
【0047】
(d)経路関連性判別部
経路関連性判別部25は、取得された道路交通情報30と、ナビゲーション装置14に登録された自車両の経路情報16との関連性である経路関連性を判別する。経路関連性は、その道路交通情報30の提示に対する乗員の要求度と相関がある。すなわち、経路関連性は必要性の一形態である。このため、経路関連性判別部25は、道路交通情報30と経路情報16の関連性(経路関連性)を判別することによって、その道路交通情報30の必要性を推定する。
【0048】
図4は、会話関連性判別部24及び経路関連性判別部25の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、
図4に示すように、会話関連性判別部24は、会話履歴データベース51、会話検出部52、及び、PoI判定部53を備える。また、PoI判定部53は、経路関連性判別部25を構成する。
【0049】
会話履歴データベース51は、車内での乗員の会話音声を記憶する。会話履歴データベース51に記憶された車内での会話の履歴(以下、会話履歴という)は、マイク13で取得される。
【0050】
会話検出部52は、会話履歴データベース51を参照し、取得された道路交通情報30に関連する会話履歴を検出する。会話履歴の検出は、例えば、音声認識とテキストマイニングを組み合わせた公知の音声マイニングによって行われる。例えば、道路交通情報30が案内標識に係るものであるときには、その案内標識が示す目的地あるいは経由地の地名等が、会話履歴に現れているか否かが検出される。会話検出部52の検出結果(以下、会話検出の結果という)は、PoI判定部53に入力される。
【0051】
PoI判定部53は、会話検の結果、及び/または、経路情報16に基づいて、PoI(Point of Interest)を判定する。PoIは、特定の地点等に対する乗員の関心度を表す評価である。本実施形態においては、PoI判定部53は、会話検出の結果、及び、経路情報16に基づいて、取得された道路交通情報30の内容について評価を行うことにより、PoIを判定する。
【0052】
すなわち、PoI判定部53は、会話検出の結果に応じてPoIを増減する。例えば、道路交通情報30が示す地名等が会話履歴に現れていた場合、PoI判定部53はその道路交通情報30に対するPoIを高くする。一方、道路交通情報30が示す地名等が会話履歴に現れていない場合には、PoI判定部53はその道路交通情報30に対するPoIを低くする。また、例えば、道路交通情報30が示す地名等が会話履歴に現れる頻度が高いほど、PoI判定部53はその道路交通情報30に対するPoIを高くする。逆に、道路交通情報30が示す地名等が会話履歴に現れる頻度が低いほど、PoI判定部53はその道路交通情報30に対するPoIを低くする。これらの例から分かる通り、PoI判定部53によって判定されたPoIは、会話関連性を表す。
【0053】
また、PoI判定部53は、取得された道路交通情報30と、経路情報16と、の関連性に応じてPoIを増減する。例えば、経路情報16として登録されている経路に関連する地名等が、道路交通情報30が示す地名等に一致する場合や、道路交通情報30が示す地域に含まれる地名等である場合に、PoI判定部53はPoIを高くする。逆に、これらケースに該当しない場合には、PoI判定部53はPoIを低くする。この例から分かる通り、PoI判定部53によって判定されたPoIは、経路関連性を表す。
【0054】
PoI判定部53は、上記のように会話関連性及び経路関連性を表すPoIを、必要性の推定値として詳細度決定部26に入力する。
【0055】
[詳細度の具体例]
詳細度決定部26には、熟知度、道路交通情報30の視認時間、及び/または、会話関連性及び経路関連性を表すPoIが必要性の推定値として入力される。詳細度決定部26は、これらのうちのいずれか、または、組み合わせに基づいて、道路交通情報30を提供する際の詳細度を決定する。本実施形態においては、詳細度決定部26は、熟知度、道路交通情報30の視認時間、及び、PoIを全て考慮して、道路交通情報30を提供する際の詳細度を決定する。
【0056】
より具体的には、詳細度決定部26は、熟知度によって詳細度を変更する。すなわち、詳細度決定部26は、道路交通情報30に対する乗員の熟知度が高いときには詳細度を下げる。そして、詳細度決定部26は、道路交通情報30に対する乗員の熟知度が低いときには詳細度を上げる。本実施形態では、詳細度決定部26は、熟知度に対して所定の閾値(以下、熟知度閾値という)を予め定める。そして、詳細度決定部26は、熟知度がこの熟知度閾値以上であるケース(「熟知」)と、熟知度が熟知度閾値未満であるケース(「未熟」)と、で異なる詳細度を決定する。但し、本実施形態では、熟知度以外の必要性の推定値の影響によって、例外的に「熟知」のケースと「未熟」のケースで同じ詳細度が設定される場合がある。熟知度閾値は、実験等に基づいて適合により定められる。
【0057】
詳細度決定部26は、道路交通情報30の視認時間によって詳細度を変更する。本実施形態においては、詳細度決定部26は、視認時間に対して、第1閾値T1、第2閾値T2、及び第3閾値T3を予め設定する。
【0058】
第1閾値T1は、道路交通情報30を乗員が視認したか否かを判定するための閾値である。すなわち、詳細度決定部26は、視認時間が第1閾値T1未満であるときには、道路交通情報30を乗員が視認していないとみなし、視認時間が第1閾値T1以上であるときには、道路交通情報30を乗員が視認したとみなす。視認時間が第1閾値T1未満であって、道路交通情報30を乗員が視認していないときには、詳細度決定部26は、熟知度に応じて詳細度を変更する。例えば、道路交通情報30を乗員が視認していないが、熟知度が高いような状況は、その道路交通情報30が乗員にとって既知であるため、視認する必要がないケースである。したがって、道路交通情報30を視認しておらず、かつ、熟知度が高いときには、詳細度決定部26は、その道路交通情報30の詳細度を下げる。一方、道路交通情報30を乗員が視認しておらず、熟知度も低いような状況は、乗員がその道路交通情報30に気が付いていないケースである。したがって、道路交通情報30を視認しておらず、かつ、熟知度が低いときには、詳細度決定部26は、その道路交通情報30の詳細度を上げる。
【0059】
第2閾値T2は、道路交通情報30を乗員が“長時間”視認したか否かを判定するための閾値である。すなわち、詳細度決定部26は、視認時間が第2閾値T2以上であるときには、道路交通情報30を乗員が長時間視認したとみなし、視認時間が第2閾値T2未満であるときには、道路交通情報30を乗員が長時間というほどには視認していないとみなす。第2閾値T2以上の長時間視認は、乗員が道路交通情報30を「詳細に見ている」ことを表すので、道路交通情報30の提供に対する乗員の要求度が高いとみなせる。したがって、詳細度決定部26は、乗員が道路交通情報30を視認した時間が第2閾値T2以上であるときには、視認時間が第2閾値T2未満の場合と比較して、その道路交通情報30の詳細度を上げる。逆に、乗員が道路交通情報を視認した時間が第2閾値T2未満であるときには、詳細度決定部26は、視認時間が第2閾値T2以上の場合と比較して、その道路交通情報30の詳細度を下げる。
【0060】
第3閾値T3は、道路交通情報30を乗員が“短時間”視認したか否かを判定するための閾値である。すなわち、第3閾値T3は、視認時間が第1閾値以上かつ第2閾値T2未満であって、道路交通情報30を乗員が視認したがその視認時間が長時間とまでは言えないケースを、さらに2段階に区別するものである。詳細度決定部26は、視認時間が第3閾値T3未満であるときには、道路交通情報30を乗員が短時間視認したとみなす。第3閾値T3未満の短時間視認は、第1閾値T1未満の視認自体がされていないケースを除き、乗員が道路交通情報30の内容を「理解した」ことを表す。このため、第3閾値T3未満の短時間視認は、道路交通情報30の提供に対する乗員の要求度が低いとみなせる。したがって、詳細度決定部26は、道路交通情報30の視認時間が第3閾値T3未満(かつ第1閾値T1以上)であるときには、視認時間が第3閾値T3以上である場合と比較して、その道路交通情報30の詳細度を下げる。逆に、道路交通情報30の視認時間が第3閾値T3以上であるときには、視認時間が第3閾値T3未満(かつ第1閾値T1以上)である場合と比較して、その道路交通情報30の詳細度を上げる。
【0061】
上記の第1閾値T1は例えば約0.1秒であり、第2閾値T2は例えば約1.2秒であり、第3閾値T3は例えば約0.5秒である。第1閾値T1、第2閾値T2、及び第3閾値T3は、実験等に基づいて適合により定められる。また、本実施形態では、視認時間以外の必要性の推定値の影響によって、例外的に上記の視認時間との原則的関係性に合致しない詳細度が設定される場合がある。
【0062】
また、詳細度決定部26は、会話関連性及び経路関連性を表すPoIによって、詳細度を変更する。
【0063】
本実施形態においては、PoIが会話関連性及び経路関連性の両方を表す複合的パラメータとなっているが、原則として、詳細度決定部26は、会話関連性が高いときには、会話内容(会話関連性を判別した会話履歴の内容)及び道路交通情報30の内容に応じて詳細度を変更する。例えば、会話関連性が高く、かつ、会話内容及び道路交通情報30が、交通の規制に関する情報(例えば規制標識に係る情報)、及び、乗員に対して交通に関する警戒を促す情報(例えば警戒標識に係る情報)であるときには、その道路交通情報30の詳細度を下げる。この状況では、会話関連性が高いことによって、乗員が規制や警戒に関する情報を既に知っていると考えられるからである。また、例えば、会話関連性が高く、かつ、会話内容及び道路交通情報30が、目的地または経由地の方向または距離等を案内する情報(例えば案内標識に係る情報)であるときには、詳細度決定部26は、その道路交通情報30の詳細度を上げる。この状況では、会話関連性が高いことによって、乗員が目的地等への経路に関する情報を必要としていると判断できるからである。なお、会話関連性が「高い」とは、会話関連性が予め定める所定の閾値(会話関連性閾値)以上であることをいう。会話関連性閾値は、実験等に基づいて適合により定められる。
【0064】
また、原則として、詳細度決定部26は、経路関連性が高いときには、道路交通情報30の内容に応じて詳細度を変更する。例えば、経路関連性が高いときには、その道路交通情報30に対する乗員の関心が高いことが多いので、速度制限等の走行規制に関する情報を除き、詳細度決定部26は詳細度を上げる。具体的には、経路関連性が高く、かつ、道路交通情報30が、目的地または経由地の方向または距離等を案内する情報であるときには、詳細度決定部26は、その道路交通情報30の詳細度を上げる。この状況では、経路関連性が高いことによって、乗員が目的地等への経路に関する情報を必要としていると判断できるからである。なお、経路関連性が「高い」とは、経路関連性が予め定める所定の閾値(経路関連性閾値)以上であることをいう。経路関連性閾値は、実験等に基づいて適合により定められる。
【0065】
前述の通り、本実施形態においては、PoIが会話関連性及び経路関連性の両方を表すが、会話関連性の高低と経路関連性の高低(登録されたルート上かルート外か)の組み合わせでPoIの値は異なる。このため、詳細度決定部26は、PoIに応じて詳細度を決定することで、上記のように会話関連性、及び、経路関連性に応じた詳細度を決定できる。但し、会話関連性及び経路関連性以外の必要性の推定値の影響によって、最終的に決定される詳細度は、上記の原則と相違する場合がある。また、本実施形態においては、PoIが会話関連性及び経路関連性の両方を表すので、会話関連性と経路関連性に対して個別に設定される会話関連性閾値及び経路関連性閾値の代わりに、これらに相当する閾値(PoI閾値)が定められる。PoI閾値は、上記の会話関連性と経路関連性の組み合わせを区別するための閾値であり、実験等に基づいて適合により定められる。
【0066】
なお、上記の会話関連性及び経路関連性に応じた詳細度の決定方法等から分かる通り、詳細度決定部26は、詳細度を決定する際に、道路交通情報30の性質(例えば道路交通情報30の種類や内容等)を考慮することができる。また、詳細度決定部26は、提供すべき道路交通情報30が、新規に追加された情報であるときには、上記の各必要性の推定値に基づいた詳細度の決定に係る原則に関わらず、詳細度を上げる。例えば、走行中の道路及び標識等について乗員の熟知度が高いときでも、新規に追加された標識等については熟知していない可能性が高い。視認時間等についても同様である。したがって、詳細度決定部26は、新規の道路交通情報については詳細度を上げる。その結果、新規な道路交通情報が乗員に提供される。
【0067】
図5は、熟知度等と、乗員に提供する走行規制標識及び警戒標識の詳細度と、の関係を示す表である。
図6は、熟知度等と、乗員に提供する進路規制標識の詳細度と、の関係を示す表である。また、
図7は、熟知度等と、乗員に提供する進路案内標識の詳細度と、の関係を示す表である。
【0068】
図5から
図7に示すように、詳細度決定部26は、上記の各必要性の推定値を総合的に考慮して、詳細度を決定する。
図5から
図7では、熟知度が「熟知」であり、経路関連性が「ルート外」であり、かつ、会話関連性が「なし」であるケースについて、視認時間に応じた標準の詳細度を設定している。この標準の詳細度では、視認時間がなし(視認時間が第1閾値T1未満)のときに「極低」に設定され、視認時間が0.5秒未満(視認時間が第1閾値T1以上第3閾値T3未満)のときに「極低」に設定される。また、標準の詳細度では、視認時間が0.5秒以上1.2秒以下(視認時間が第3閾値T3以上第2閾値T2未満)のときに「低」に設定され、視認時間が1.2秒以上(視認時間が第2閾値T2以上)のときに「中」に設定される。標準の詳細度は、実験等に基づいて適合により定められる。また、
図5から
図7に示す通り、詳細度は、例えば「極低」,「低」,「中」,及び「高」の4段階に設定される。
【0069】
[詳細度ごとに予め定められた情報提供の形態]
図8は、詳細度に応じた情報提供の形態を示す表である。
図8に示すように、詳細度「極低」に対応する情報提供の形態は、例えば「簡易画面表示」である。簡易画面表示は、提供すべき道路交通情報30を単純にディスプレイ17に表示する情報提供形態である。例えば、簡易画面表示では、道路交通情報30として取得された特定の標識の一部または全部が、特別に乗員の注意を惹くことなく、ディスプレイ17に表示される。この簡易画面表示によれば、乗員が道路交通情報30を確認したいときには、ディスプレイ17を見れば確認できる。また、簡易画面表示では不必要に注意を惹かれないので、乗員は、道路交通情報30の確認が不要であれば、ディスプレイ17に道路交通情報30が表示されていることを全く気にせず、運転や会話等に集中することができる。
【0070】
詳細度「低」に対応する情報提供の形態は、例えば「簡易画面表示」に「報知音」の発報を組み合わせたものである。「報知音」の発報は、道路交通情報30がディスプレイ17に表示されたことを通知する音または音声をスピーカ18から短時間出力することにより行われる。詳細度「低」では報知音が加わることによって、乗員は詳細度「極低」の場合よりも道路交通情報30が提供されていることに気が付きやすい。但し、道路交通情報30の確認が不要であれば、乗員は、報知音を無視して、運転や会話等に集中することができる。
【0071】
詳細度「中」に対応する情報提供形態は、例えば「簡易画面表示」に「簡易音声案内」の発報を組み合わせたものである。「簡易音声案内」の発報は、道路交通情報30の内容を簡略化した音声案内をスピーカ18から出力することにより行われる。道路交通情報30が走行規制標識であるときには、例えば「走行規制にご注意ください」等の音声案内が発報される。また、道路交通情報30が進路規制標識であるときには、例えば「進路規制にご注意ください」等の音声案内が発報される。同様に、道路交通情報30が案内標識であるときには、例えば「この先分岐があります」等の音声案内が発報される。すなわち、簡易音声案内では、道路交通情報30の具体的内容にまでは言及せず、道路交通情報30の概要が端的に案内される。この詳細度「中」の情報提供形態によれば、乗員は、簡易音声案内によって道路交通情報30の概要を把握することができる。一方、道路交通情報30の詳細についての確認が不要であれば、乗員は、ディスプレイ17の簡易画面表示に目を移すことなく、運転や会話等を継続することができる。
【0072】
詳細度「高」に対応する情報提供形態は、例えば「簡易画面表示」に「詳細音声案内」の発報を組み合わせたものである。「詳細音声案内」の発報は、道路交通情報30の具体的内容を表す音声案内をスピーカ18から出力することによって行われる。道路交通情報30が規制表意識であるときには、例えば「制限速度は時速50kmです」等の音声案内が発報される。また、道路交通情報30が進路規制標識であるときには、例えば「斜め左方向、進入禁止です」等の音声案内が発報される。同様に、道路交通情報30が案内標識であるときには、例えば「横浜方向へは次の交差点を右方向です」等の音声案内が発報される。詳細度「高」の情報提供形態によれば、乗員は、詳細音声案内によって道路交通情報30の詳細を知得でき、必要であれば簡易画面表示によってその内容を確認できる。
【0073】
上記のように、
図8に示す詳細度に応じた情報提供の形態によれば、道路交通情報30を乗員に提供する際の情報提供量を、決定された詳細度に応じて適宜調整される。道路交通情報30を乗員に提供する際の情報提供量とは、道路交通情報30を提供する際に乗員の注意を惹く表示、通知(報知音等)、及び、案内(各種音声案内)の量、密度、または煩雑度をいう。
【0074】
図9は、詳細度に応じた情報提供の形態の変形例を示す表である。この変形例は、詳細度が高くなるにしたがって「簡易音声案内」及び「詳細音声案内」によって音声による案内を充実させる代わりに、ディスプレイ17の画面表示を充実させるものである。
図9に示すように、当該変形例においては、詳細度「中」に対応する情報提供形態は、「画面表示」と「報知音」の発報を組み合わせたものである。「画面表示」は、例えば、「簡易画面表示」に対して、道路交通情報30の少なくとも一部の内容を表すメッセージや道路交通情報30の表示を強調する表示を付加した表示形態である。「画面表示」では、例えば、「走行規制にご注意ください」等の簡易音声案内に相当する内容が、ディスプレイ17上に表示される。また、詳細度「高」に対応する情報提供形態は、「詳細画面表示」と「報知音」の発報を組み合わせたものである。「詳細画面表示」は、例えば、「簡易画面表示」に対して、道路交通情報30の具体的内容を表すメッセージや道路交通情報30の表示に治して特別な注意を喚起する表示の強調等を付加した表示形態である。「詳細画面表示」では、例えば、例えば「制限速度は時速50kmです」等の詳細音声案内に相当する内容が、ディスプレイ17上に表示される。
【0075】
以下、上記のように構成される情報提供システム100の作用を説明する。
【0076】
図10は、情報提供システム100の作用を示すフローチャートである。
図10に示すように、情報提供システム100は、まず、ステップS101において道路交通情報30を取得する。その後、ステップS102からステップS105において、取得された道路交通情報30を乗員に提供する必要性を推定する。具体的には、ステップS102において熟知度が判別され、ステップS103において視認時間が判別される。ステップS102の熟知度の判別は、例えば、走行回数の算出、経過日数の算出、及び、走行回数及び経過日数を用いた熟知度の算出の3ステップによって行われる。また、ステップS103における視認時間の判別は、例えば、視線検出、視認対象の特定、及び、視認時間の算出の3ステップによって行われる。
【0077】
また、ステップS104において会話関連性が判別され、ステップS105において経路関連性が判別される。ステップS104の会話関連性の判別とステップS105の経路関連性の判別は、前述のように、PoIの算出によって一体的に行われる。より具体的には、ステップS104の会話関連性の判別は、会話検出とPoI判定の2ステップによって行われる。また、ステップS105の経路関連性の判別は、PoI判定において会話関連性の判別とともに行われる。
【0078】
上記のように、取得した道路交通情報30を乗員に提供する必要性が、熟知度、視認時間、会話関連性、及び、経路関連性を判別することによって推定されると、ステップS106において、これらの必要性の推定値に基づき、詳細度が決定される。その後、ステップS107では、決定された詳細度にしたがって、詳細度ごとに予め定められた形態で、道路交通情報30が乗員に提供される。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る情報提供方法は、車両によって実行され、当該車両である自車両が走行する道路に表示された交通に関する情報である道路交通情報を取得し、取得された道路交通情報30を自車両の乗員に提供する情報提供方法である。そして、本実施形態に係る情報提供方法では、道路交通情報30を乗員に提供する必要性が推定され、推定された必要性に基づいて、道路交通情報30の内容をどの程度詳細に提供するかを定める詳細度が決定される。その後、決定された詳細度にしたがって、詳細度ごとに予め定められた形態で、道路交通情報30が乗員に提供される。
【0080】
すなわち、本実施形態に係る情報提供方法では、推定した必要性に応じて、道路交通情報30を乗員に提供する際の詳細度が適宜変更される。その結果、本実施形態に係る情報提供方法によれば、運転者等が必要とする程度に、道路交通情報30の提供する際の情報提供量を低減して情報提供をすることができる。
【0081】
本実施形態に係る情報提供方法では、道路交通情報30は、道路標識または路面標示である。道路標識や路面標示は、走行中の乗員にとって重要な情報であるため、乗員はこれらの情報を正確かつ確実に把握する必要がある。しかし、道路標識や路面標示は道路上に多数あるので、車両が、これらの全てについて詳細な情報提供を行っていると、乗員(特に運転者)の注意力を妨げてしまう場合がある。特に、初めて走行する道路と既に良く知っている道路とでは、規制や標識等に関する情報提供への要求度が異なり、乗員は過剰な情報提供を煩わしく感じる場合がある。乗員に望まれない情報提供は、例えば、通行人等、他の注意すべき対象への注意を削いでしまうことがある。また、ラジオやお気に入りの音楽、会話等が、音声案内等によって妨げられてしまうことがある。しかし、本実施形態に係る情報提供方法では、道路交通情報30として取得された道路標識や路面標示を、乗員提供する必要性を推定する。そして、推定された必要性に応じてこれらを乗員に提供する際の詳細度を変更することにより、過剰とならない範囲に情報提供量を抑えつつ、取得した道路標識や路面標示を乗員に提供することができる。
【0082】
また、本実施形態に係る情報提供方法では、道路交通情報30を乗員に提供する必要性は、自車両の走行履歴に基づいて、道路交通情報30に対する乗員の熟知度を判別することによって推定される。そして、道路交通情報30に対する乗員の熟知度が高いときには詳細度が下げられ、道路交通情報30に対する乗員の熟知度が低いときには詳細度が上げられる。この結果、道路交通情報30に対する乗員の熟知度が高いとき、すなわち、道路交通情報30を提供する必要性が低いときには、その道路交通情報30の情報提供量は、乗員が煩わしく感じない程度に低減される。また、道路交通情報30に対する熟知度が低いとき、すなわち、道路交通情報30を提供する必要性が高いときには、必要な程度の情報提供量で、その道路交通情報30が提供される。
【0083】
本実施形態に係る情報提供方法では、道路交通情報30が取得された道路の走行回数と、その道路を最後に走行してからの経過日数と、が取得される。そして、熟知度は、この走行回数及び経過日数に基づいて判別される。熟知度は、走行回数や経過日数と相関があり、走行回数が多いときには道路交通情報30に対する乗員の熟知度が高く、経過日数が多いときには道路交通情報30に対する乗員の熟知度が低下している可能性が高い。このため、本実施形態に係る情報提供方法では、上記のように、熟知度が走行回数及び経過日数に基づいて判別されるので、特に正確に熟知度が判別される。
【0084】
本実施形態に係る情報提供方法では、乗員が道路交通情報30を視認しておらず(視認時間が第1閾値T1未満)、かつ、熟知度が高いときには、乗員がその道路交通情報30を既に知っているものとみなして、その詳細度が下げられる。また、乗員が道路交通情報30を視認しておらず、かつ、熟知度が低いときには、乗員がその道路交通情報30に気が付いていないものとみなして、詳細度が上げられる。これにより、乗員が全く道路交通情報30に気が付いていないような状況においても、道路交通情報30の情報提供量が熟知度に応じて調整される。
【0085】
本実施形態に係る情報提供方法では、必要性は、乗員の視線の推移に基づいて、乗員が道路交通情報30を視認した時間(視認時間)を判別することによって推定される。また、この視認時間が、長時間であるか否かを判定する所定の閾値(第2閾値T2)以上であるか否かが判別される。そして、視認時間が第2閾値T2以上であるときには、その道路交通情報30の詳細度が上げられ、視認時間が第2閾値T2未満であるときには、その道路交通情報30の詳細度が下げられる。すなわち、本実施形態に係る情報提供方法では、道路交通情報30の視認時間によって、その道路交通情報30を乗員に提供する際の情報提供量が調整される。そして、長時間視認の場合は、乗員がその道路交通情報30を必要としているものとみなされ、詳細度を上げることにより、適切な情報提供量で道路交通情報30が提供される。また、長時間視認に該当しない場合は、乗員がその道路交通情報30を然程必要としていないので、相対的に、情報提供量が低減される。したがって、本実施形態に係る情報提供方法によれば、道路交通情報30の視認時間に応じて、情報提供量が調整される。
【0086】
本実施形態に係る情報提供方法では、必要性は、乗員の会話内容と道路交通情報30との関連性である会話関連性を判別することによって推定される。そして、会話関連性が高いときには、会話内容及び道路交通情報30の内容によって詳細度が決定される。すなわち、本実施形態に係る情報提供方法では、会話関連性とその内容に応じて、道路交通情報30の情報提供量が調整される。
【0087】
特に、会話関連性が高く、かつ、会話内容及び道路交通情報30が、交通の規制に関する情報、及び、乗員に対して交通に関する警戒を促す情報であるときには、乗員がこれらの情報を既に知っているものとみなして、詳細度が下げられる。このため、その道路交通情報30の情報提供量が低減される。
【0088】
また、会話関連性が高く、かつ、会話内容及び道路交通情報30が、目的地または経由地の方向または距離を案内する情報であるときには、乗員がこれらの情報を欲している(興味がある)とみなして、詳細度が上げられる。このため、乗員の要求に対応して、適切な情報提供量でその道路交通情報30が提供される。
【0089】
本実施形態に係る情報提供方法では、必要性は、道路交通情報30と、ナビゲーション装置14に登録された自車両の経路情報16と、の関連性である経路関連性を判別することによって推定される。そして、経路関連性が高いときには、目的地または経由地の方向または距離を案内する情報に関する詳細度が上げられる。経路に関連する情報を提供する必要性は高いので、上記のように経路関連性に応じて目的地等を案内する情報を詳細度が上げられることにより、適切な情報提供量でその情報が提供される。
【0090】
本実施形態に係る情報提供方法では、道路交通情報30が新規に追加された情報であるときには、詳細度が上げられる。これにより、例えば熟知度が高いときでも、乗員にとって未知である可能性が高い新規な道路交通情報30は、適切な情報提供量で乗員に提供される。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0092】
例えば、上記実施形態においては、必要性が、熟知度、視認時間、会話関連性、及び、経路関連性を判別することによって推定され、これらを全て考慮して道路交通情報30の詳細度を決定しているが、これに限らない。必要性は、熟知度、視認時間、会話関連性、または、経路関連性のいずれかの判別、または、これらの一部を組み合わせによって推定してもよい。また、詳細度の決定に関しても、熟知度、視認時間、会話関連性、または、経路関連性のいずれか、または、これらの一部の組み合わせを考慮して決定してもよい。
【符号の説明】
【0093】
19 :コントローラ
20 :道路交通情報取得部
21 :必要性推定部
22 :熟知度判別部
23 :視認時間判別部
24 :会話関連性判別部
25 :経路関連性判別部
26 :詳細度決定部
27 :情報提供部