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特許7539312イオン変性シロキサンを含む熱界面組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】イオン変性シロキサンを含む熱界面組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20240816BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240816BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240816BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20240816BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20240816BHJP
   C08G 77/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K3/013
C08K3/22
C08L83/05
C08L83/07
C08G77/04
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2020517433
(86)(22)【出願日】2018-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2018052362
(87)【国際公開番号】W WO2019067340
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】15/716,810
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ナイク,サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ,プラナベシュ
(72)【発明者】
【氏名】アップクッタン,ヴィヌ・クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ザクセナ,アヌブハヴ
(72)【発明者】
【氏名】高梨 正則
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-511969(JP,A)
【文献】特開平08-109263(JP,A)
【文献】特開2009-221310(JP,A)
【文献】国際公開第2007/072949(WO,A1)
【文献】特開2007-177001(JP,A)
【文献】特開平07-316169(JP,A)
【文献】特開2000-281525(JP,A)
【文献】国際公開第2014/129484(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式の化合物によって表されるイオン官能化シロキサン(I):
(I)
ここで
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16は、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素であって、1から60個の炭素原子を有し、任意で単数または複数のヘテロ原子を含むものであり、
、R12、およびR17は、(i)式(II)を有する一価のラジカルを有するイオン対、または(ii)式(III)を有する双性イオンから独立して選択され、ここで式(II)は下記の通りであり、
A-Ix- y+ (II)
ここでAは、二価の炭化水素または炭化水素オキシ基から選択される少なくとも1つのスペーサー原子を有するスペーサー基であり;Iは、スルホネート(-SO )、サルフェート(-OSO )、カルボキシレート(-COO)、ホスホネート(-PO 2-)、およびホスフェート(-OPO 2-)基から選択されるイオン性基であり;Mは水素、またはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、金属、金属錯体、第4級アンモニウム、およびホスホニウム基、炭化水素カチオン、アルキルカチオン、有機カチオン、およびカチオン性ポリマーから独立して選択されるカチオンから選択され;式(III)は下記の通りであり、
R’-NT -R’’-I (III)
ここでR’は、1から60個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
R’’は、2から60個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり;そして、Iは、スルホネート-SO 、サルフェート-OSO 、カルボキシレート-COO、ホスホネート-PO 2-、およびホスフェート-OPO 2-基から選択されるイオン性基であり;Tは、水素、1から60個の炭素原子を有する脂肪族基、6から60個の炭素原子を有する脂環式基、または6から60個の炭素原子を有する芳香族基から独立して選択され;aは1または2であり;
mおよびyは独立して1から6であり、xはmとyの積であり、
、R14、およびR18は、水素、OR20、または不飽和一価炭化水素であって任意にて単数または複数のヘテロ原子を含むまたはオルガノシラン基を含むものから独立して選択され;ここでR20は、水素、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから選択され、そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正であって以下の制限を受ける:2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0、およびc+f+i≧0;ならびに
(B)(i)第1のフィラー、および(ii)第1のフィラーと異なる化学組成または形態を有する第2のフィラー、ここで第1のフィラーおよび/または第2のフィラーの少なくとも1つは、粒子サイズおよび/または形態の点で
互いに異なる複数のフィラータイプを含み、ここで複数のフィラータイプは、独立して、0.3ミクロンから350ミクロンの平均粒子サイズを有し、複数のフィラータイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有する、
を含む組成物。
【請求項2】
第1および第2のフィラーが、金属酸化物フィラーおよび非酸化物フィラーから独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
非酸化物フィラーが、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ケイ化物、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、膨張黒鉛、炭素繊維、またはグラファイト繊維、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
第1および第2のフィラーは、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、ジルコニア、シリコンアルミニウム酸窒化物、ホウケイ酸ガラス、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、二ホウ化チタン、ドデカホウ化アルミニウム、バライト、硫酸バリウム、アスベスト、バライト、珪藻土、長石、石膏、ホルマイト、カオリン、マイカ、霞石閃長岩、パーライト、フィロフィライト、スメクタイト、タルク、バーミキュライト、ゼオライト、方解石、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、メタケイ酸カルシウム、粘土、ケイ酸アルミニウム、タルク、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、アルミナ水和物、酸化アルミニウム水和物、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラスフレーク、粘土、剥離粘土、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マグネシア、チタニア、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ウォラストナイト、アルミナ、窒化アルミニウム、グラファイト、グラフェン、アルミニウム粉末、銅粉末、青銅粉末、真鍮粉末、繊維またはウィスカの炭素、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノシート、酸化亜鉛ナノチューブ、またはそれらの2つ以上の組み合わせから独立して選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
複数のフィラータイプは、互いに異なる形態を有し、ここで形態は、球状、板状、凝集物、球状凝集物およびグラファイト状から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
第1のフィラーは酸化アルミニウムから選択され、第2のフィラーは窒化ホウ素から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
酸化アルミニウムが複数のフィラータイプを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
複数のフィラータイプが互いに異なる平均粒子サイズを有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
複数のフィラータイプが互いに異なる形態を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素がそれぞれ複数のフィラータイプを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
第1のフィラーが金属酸化物から選択され、そして第2のフィラーが非酸化物フィラーから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
第1のフィラーの複数のフィラータイプが互いに異なる平均粒子サイズを有し、そして第2のフィラーの複数のフィラータイプが互いに異なる平均粒子サイズを有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
第1のフィラーの複数のフィラータイプが互いに異なる平均粒子サイズを有し、そして第2のフィラーの複数のフィラータイプが互いに異なる形態を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
第2のフィラーの複数のフィラータイプが、板状窒化ホウ素および窒化ホウ素の凝集物から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
10体積%から90体積%の第1のフィラーおよび90体積%から10体積%の第2のフィラーを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
フィラーが、アルコキシシラン、アルクアクリルオキシシラン、ビニルシラン、ハロシラン、メルカプトシラン、ブロック化メルカプトシラン、チオカルボン酸シラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される表面官能化剤で処理されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
二価の炭化水素基Aが、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、脂環式基または炭化水素オキシ基から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
式(II)におけるAの二価の炭化水素基が、(i)式-(CHR45-のアルキレン基、ここでqは2から20の値を有し、そしてR45は水素または1から20個の炭素原子の二価の炭化水素である、(ii)-(CH(CH-、-CHCH(CH)(CH-、-(CH-からなる群から選択されるアリーレン基、ここでlは1から20の値を有し、そしてkは0から10の値を有する、から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
Mが、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Fe、Ni、Ga、Al、Mn、Cr、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、およびRhから独立して選択されるカチオンである、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
、R14、およびR18が式(IV)から(VII)
【化1】

ここでR21、R26、R29、R30、R33、R34、R40は、独立して、-H、-OH、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、および脂肪族/芳香族一価炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから選択され;下付き文字nはゼロまたは正の整数であり、そして0から6の範囲の値を有し、下付き文字oは正の整数であり、そして1から6の範囲の値を有し;そして
20、R22、R23、R24、R25、R27、R28、R31、R32、R35、R36、R37、R38、R39、R41、R42、R43、R44は、1から60個の炭素原子を有する脂肪族/芳香族一価炭化水素から独立して選択される、
の群から独立して選択される、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
イオン変性シロキサン(A)が、6000から35000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
イオン変性シロキサン(A)が0.01Pa.sから45Pa.sの粘度を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
イオン変性シロキサン(A)が、100のシロキサン(Si-O)単位あたり0.2から1のイオン性を有する、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
(i)少なくとも1つのアルケニル官能基を含むオルガノポリシロキサン、および/または(ii)少なくとも1つのSi-H基を含むオルガノポリシロキサンをさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
付加触媒、縮合硬化触媒、阻害剤、接着促進剤、希釈剤、熱安定剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
組成物の熱伝導率が2W/mkから14w/mkの間である、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
組成物が10から90のショアE硬度を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
10%から60%の伸びを有する、請求項1から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
グリース、ポッティング、ギャップフィラー、シーラント、接着剤、またはゲルの形態である、請求項1から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
物品の表面の少なくとも一部に配置された、請求項1から29のいずれか一項に記載の組成物を含む物品。
【請求項31】
物品が複数の層を含み、組成物が層の少なくとも2つの間の表面に配置される、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
物品が、電子物品、自動車物品、家電物品、スマート家電物品、電気通信物品、ヘルスケア物品、パーソナルケア物品、農業物品、成形物品、石造表面、繊維材料、在宅ケア材料である、請求項30または31に記載の物品。
【請求項33】
物品には、発光デバイス、コンピュータデバイス、スタックダイ、携帯電話、タブレット、フリップチップパッケージ、ハイブリッドメモリキューブ、タッチスクリーン、Wi-Fiデバイス、自動車技術hifiシステム、シリコン貫通ビアデバイス、およびオーディオシステム、太陽熱暖房のヒートパイプと水タンクの間の接合部、燃料電池および風力タービン内、コンピュータチップの製造内、ゲーム機、データ転送装置、ライト装置内、バッテリー、ハウジング内、クーラー、熱交換器、ワイヤー、ケーブル、電熱線、冷蔵庫、食器洗い機、エアコン、アキュムレータ、変圧器、レーザー、機能性衣料、カーシート、医療機器、防火装置、電気モーター、飛行機、および列車、3D印刷材料のフィラメントとして、ドラッグデリバリーシステム、経皮パッチ、創傷治癒パッチ、創傷被覆パッチ、傷跡軽減用パッチ、経皮イオントフォレーシス、組織工学用支持体、抗菌デバイス、創傷管理装置、眼科用デバイス、バイオインサート、プロテーゼ、体内インプラント、ペンキ、構造コーティング、石造コーティング、または船舶コーティング、種子コーティング、スーパースプレッダーまたは制御放出肥料が含まれる、請求項30から32のいずれか一項に記載の物品。
【請求項34】
圧力下またはステンシル印刷またはスクリーン印刷またはジェット印刷または3D印刷にて組成物を分配することを含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の物品を調製する方法。
【請求項35】
前記組成物の厚さが0.01mmから15cmである、請求項34に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月27日に出願された「イオン変性シロキサンを含む熱界面組成物」という表題の米国特許出願第15/716,810号の優先権および利益を主張し、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、高熱伝導率を達成するための窒化ホウ素などの熱伝導性有機および無機フィラーの効率的な分散のための分散助剤または湿潤剤としてイオン変性シロキサンを含む熱界面接着剤またはグリースに関する。湿潤剤は、フィラーとの優れた相溶性を示し、低いブリードアウトおよびドライアウトのグリース配合物をもたらす。付加硬化または縮合硬化に対する拮抗作用がないため、これらのイオン変性シロキサンは、硬化した配合物の弾性/伸びおよび硬度における改善を提供する。
【背景技術】
【0003】
熱界面材料配合物は、通常、固有の熱伝導率を持つ高熱伝導性フィラーで構成されている。これらのフィラーは、マトリックスにそのパーコレーション体積を超えて組み込まれると、バルク熱伝導率の指数関数的増大をもたらす。熱界面材料のバルク熱伝導率は、フィラーの体積パーセント充填に大きく依存する。フィラーの量が増えると、フィラーとベース樹脂との間の相互作用が増加する。これにより、配合物の粘度が劇的に上昇し、配合物の処理と分配が困難になる。分散助剤または湿潤剤は、これらの相互作用を低減し、大幅な粘度の増加なしにフィラーの効率的な分散に役立つ材料の種類である。
【0004】
米国特許第8,017,684号は、アルコキシ基がフィラー表面と相互作用する湿潤剤としてのアルコキシシランを記載している。アルコキシシランは湿潤剤として機能し得るが、その低い分子量と粘度により、動作温度の下で配合物から揮発する。これは、配合物のドライアウトにつながる。JP2005325212および米国特許番号6,306,957;6,380,301;7,291,671;8,093,331;8,119,758;および8,383,005は、分散助剤としての加水分解性メチルポリシロキサンの使用について論じている。しかしながら、アルコキシシランと比較して、アルコキシ官能化ポリオルガノシロキサンは非常に乏しい湿潤性を有し、高充填で添加されなければならない。米国特許第7,622,539号は、アクリレート官能化アルコキシオルガノポリシロキサンを記載しており、ここで湿潤剤分子は、フィラー表面と反応した後、ブリードアウトの揮発を回避するためにマトリックス内で架橋し得る。これは、架橋密度に影響を与え、最終的には硬化したマトリックスの弾性に影響を与え得る。米国特許第7,547,743号および第6,844,393号は、同じ用途のためのビニル官能化アルコキシポリシロキサンの使用を記載している。米国特許第7,692,032号は、熱グリースおよびゴム用途のための、アルコキシ官能化シクロシロキサンの硬化性および非硬化性化合物の両方を記載している。これとは別に、JP2015209466は、β-ケトエステル官能化ポリオルガノメタロシロキサンの用途を記載しており、ここで金属リガンドはフィラー表面と相互作用する。米国特許第8,618,211号は、アニオン性、カチオン性、または非イオン性有機界面活性剤、例えば、湿潤剤としてのTergitolおよびTriton-Xの使用について言及しているが、これらは最終的に配合物から段階的になくなっていくことになる。
【0005】
窒化ホウ素は、その高い熱伝導率と低い電気伝導率のため、フィラーとしての使用が求められている。加えてそれは、柔らかく、潤滑性があり、低密度のフィラーであり、これは、分配においておよび柔らかい配合物を提供するのに有利である。しかし多くのフィラーとは異なり、表面機能性を欠いており、熱配合物に窒化ホウ素を効果的に分散させることを困難にしている。アルコキシ官能化を伴う従来の湿潤剤は、窒化ホウ素の表面と相互に結合する表面がないため、窒化ホウ素を使用するには十分ではない。窒化ホウ素を表面改質するための努力は、低い成功での限られた結果をもたらしている。
【発明の概要】
【0006】
以下は、いくつかの態様の基本的な理解を提供するために、この開示の概要を提示する。この概要は、主要または重要な要素を特定することも、実施形態または請求項の制限を規定することも意図していない。さらにこの概要は、本開示の他の部分でより詳細に説明され得るいくつかの態様の簡略化された概要を提供し得る。
【0007】
本発明は、ポリシロキサン湿潤剤および窒化ホウ素などのフィラーを有する組成物を提供する。特に、窒化ホウ素などのフィラーと、イオン性基で化学的に変性されたポリシロキサンとの組み合わせによって、効果的な熱界面組成物を提供できることが見出されている。さらに、粘度を制御するために湿潤剤の分子量を調整することは、有効な配合物を提供し、同時に、揮発による損失を防ぐことができ、それにより、操作サイクル中のドライアウトを低減することが見出されている。シロキサンを硬化性官能基で修飾して、湿潤剤をマトリックスと架橋可能にし、ブルームアウト効果を排除することができる。合成中のイオン変性シロキサンは、5-20%のシラノールでキャップされたものを含み、これは酸化アルミナ、窒化アルミナ、金属酸化物、および炭化シリコーンなどの他のフィラーを濡らすのに役立つ。さらに窒化ホウ素と異なるフィラーとの組み合わせは、粘度と熱伝導率の間の望ましいバランスを得るのに効果的であり得ることが見出されている。
【0008】
イオン変性ポリシロキサンと熱伝導性フィラーの組み合わせにより、フィラーを同様に充填するためのアルコキシ系湿潤剤と比較して、配合物の硬度と伸びが改善された高熱伝導配合物をもたらす。さらに、これらの変性シロキサンは剪断減粘性配合物をもたらし、これは分散と適用に積極的に役立つ。
【0009】
一態様において、
(A)下記式の化合物によって表されるイオン官能化シロキサン(I):
(I)
ここで
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16は、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素であって、1から60個の炭素原子を有し、任意で単数または複数のヘテロ原子を含むものであり;
、R12、およびR17は、(i)式(II)を有する一価のラジカルを有するイオン対、または(ii)式(III)を有する双性イオンから独立して選択され、
ここで式(II)は以下の通りであり:
A-Ix- y+ (II)
ここでAは、二価の炭化水素または炭化水素オキシ基から選択される少なくとも1つのスペーサー原子を有するスペーサー基であり;Iは、スルホネート(-SO )、サルフェート(-OSO )、カルボキシレート(-COO)、ホスホネート(-PO 2-)、およびホスフェート(-OPO 2-)基から選択されるイオン性基であり、Mは水素、あるいはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、金属、金属錯体、第4級アンモニウム、およびホスホニウム基、炭化水素カチオン、アルキルカチオン、有機カチオン、およびカチオン性ポリマーから独立して選択されるカチオンから選択され;式(III)は以下の通りであり:
R’-NT -R’’-I (III)
ここでR’は1から約60の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
R’’は、2から約60個の炭素原子、具体的には2から約8個の炭素原子、より具体的には2から約4個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり;そしてIは、スルホネート-SO 、サルフェート-OSO 、カルボキシレート-COO、ホスホネート-PO 2-、およびホスフェート-OPO 2-基から選択されるイオン性基であり;Tは、独立して、水素、1から60個の炭素原子を有する脂肪族基、6から60個の炭素原子を有する脂環式基、または6から60個の炭素原子を有する芳香族基から選択され;aは1または2であり;
nおよびyは独立して1から6であり、そしてxはnとyの積であり、
、R14、およびR18は、水素、OR20、あるいは任意選択で単数または複数のヘテロ原子またはヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄などを含み、または有機シラン基を含む不飽和一価炭化水素から独立して選択され;ここでR20は、水素、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから選択され、そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正であり、以下の制限があり:2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0およびc+f+i≧0;ならびに
(B)(i)第1のフィラー、および(ii)第2のフィラー、ここで、第1のフィラーおよび/または第2のフィラーの少なくとも1つは、粒子サイズおよび/または形態に関して互いに異なる複数のフィラータイプを含む、
を含む組成物が提供される。
【0010】
一実施形態では、(i)第1のフィラーは、
・第1の粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および第2の粒子サイズを有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ形態を有する、
・第1の形態を有する第1のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ粒子サイズを有する、または
・第1の形態を有する第1のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは異なる粒子サイズを有する、によってもたらされ、そして
(ii)第2のフィラーは、
・第1の粒子サイズを有する第2のフィラータイプ、および第2の粒子サイズを有する第2のフィラータイプ、ここで、第1および第2のフィラータイプは同じ形態を有する、
・第1の形態を有する第2のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ粒子サイズを有する、または
・第1の形態を有する第2のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは、異なる粒子サイズを有する、によってもたらされる。
【0011】
前記のいずれかの実施形態による組成物の1つの実施形態では、第1および第2のフィラーは、金属酸化物フィラーおよび非酸化物フィラーから独立して選択される。
【0012】
前記のいずれかの実施形態による組成物の1つの実施形態において、非酸化物フィラーは、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ケイ化物、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、膨張黒鉛、カーボンファイバー、またはグラファイトファイバー、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0013】
一実施形態では、第1のフィラーは、第1のタイプの金属酸化物および第2のタイプの金属酸化物を含む金属酸化物であって、化学的構成に関して同じまたは異なる金属酸化物であり得、そして第2のフィラーは、単一のタイプの非酸化物フィラーを含み、ここで以下のいずれか(単独または組み合わせ)を使用することができる:
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有する、
・第1および第2のタイプの金属酸化物は独立して約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有し、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は異なる粒子サイズを有する、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の形態を有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の形態とは異なる第2の形態を有する、
・金属酸化物フィラーは、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、および/またはジルコニアから選択される、
・非金属酸化物フィラーは、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、またはホウ化ジルコニウムから選択される、
・第1のフィラーはアルミナであり、そして第2のフィラーは窒化ホウ素である、
・第2のフィラーは、球状、板状、凝集物、または球状凝集物から選択される窒化ホウ素である。
【0014】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態による組成物は、金属酸化物から選択される第1のフィラーと、非酸化物フィラーから選択される第2のフィラーとを含み、ここで第1のフィラーおよび第2のフィラーはそれぞれ、複数のフィラータイプを含む。一実施形態では、第1のフィラーは、第1のタイプの金属酸化物および第2のタイプの金属酸化物を含む金属酸化物であり、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は、同じまたは異なる化学組成または化学式を有する(しかし、少なくとも粒子サイズおよび/または形態に関して異なる)ことができ、第2のフィラーは単一タイプの非酸化物フィラーを含み、ここで以下のいずれかを互いに組み合わせて使用することができる:
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有する、
・第1および第2のタイプの金属酸化物は独立して約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有し、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は異なる粒子サイズを有する、
・第1のタイプの金属酸化物は、約0.4ミクロンから約3ミクロンの粒子サイズを有し、第2のタイプの金属酸化物は、3から約12ミクロンの粒子サイズを有する、
・第1のタイプの金属酸化物は約0.1ミクロンから約1ミクロンの粒子サイズを有し、第2のタイプの金属酸化物は10から約15ミクロンの粒子サイズを有する、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の形態を有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の形態とは異なる第2の形態を有する、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有する、
・金属酸化物フィラーは、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、および/またはジルコニアから選択される、
・非金属酸化物フィラーは、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、またはホウ化ジルコニウムから選択される、
・非金属酸化物フィラーは約30から約500ミクロンの粒子サイズを有する、
・第1のフィラーはアルミナであり、第2のフィラーは窒化ホウ素である、
・第2のフィラーは、板状窒化ホウ素および窒化ホウ素凝集物を含む、
・第2のフィラーは、板状窒化ホウ素および球状窒化ホウ素を含む、
・第2のフィラーは、約30から約50ミクロンの粒子サイズを有する板状窒化ホウ素、および約110から約150ミクロンの窒化ホウ素凝集物を含む、
・第2のフィラーは、約30から約50ミクロンの粒子サイズを有する板状窒化ホウ素、および約300から約370ミクロンの窒化ホウ素凝集物を含む、
・第2のフィラーは、約5から約50ミクロンの粒子サイズを有する板状窒化ホウ素、および約1から約10ミクロンの粒子サイズを有する球状窒化ホウ素粒子を含む、
・第2のフィラーは、約5から約50ミクロンの粒子サイズを有する板状窒化ホウ素、約1から約10ミクロンの粒子サイズを有する球状窒化ホウ素粒子、および約50から約70ミクロンの粒子サイズを有する球状窒化ホウ素粒子を含む。
【0015】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここで第1および第2のフィラーは、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、ジルコニア、シリコンアルミニウム酸窒化物、ホウケイ酸ガラス、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、二ホウ化チタン、ドデカホウ化アルミニウム、バライト、硫酸バリウム、アスベスト、バライト、珪藻土、長石、石膏、ホルマイト、カオリン、マイカ、霞石閃長岩、パーライト、フィロフィライト、スメクタイト、タルク、バーミキュライト、ゼオライト、方解石、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、メタケイ酸カルシウム、粘土、ケイ酸アルミニウム、タルク、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、水和アルミナ、水和酸化アルミニウム、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラスフレーク、粘土、剥離粘土、または他の高アスペクト比の繊維、ロッド、またはフレーク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マグネシア、チタニア、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ウォラストナイト、アルミナ、窒化アルミニウム、グラファイト、グラフェン、アルミニウム粉末、銅粉末、青銅粉末、真鍮粉末、繊維またはウィスカである炭素、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノシート、酸化亜鉛ナノチューブ、またはそれらの2つ以上の組み合わせから独立して選択される。
【0016】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここで複数のフィラータイプは、独立して、約0.3ミクロンから約350ミクロンの平均粒子サイズを有し、複数のフィラータイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有する。
【0017】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここで複数のフィラータイプは、互いに異なる形態を有し、その形態は、球状、板状、凝集物、球状凝集物およびグラファイト状から選択される。
【0018】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここで第1のフィラーは酸化アルミニウムから選択され、そして第2のフィラーは窒化ホウ素から選択される。一実施形態では、酸化アルミニウムは、複数のフィラータイプを含む。一実施形態では、複数のフィラータイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有する。一実施形態では、複数のフィラータイプは、互いに異なる形態を有する。一実施形態では、酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素はそれぞれ、複数のフィラータイプを含む。
【0019】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここで第1のフィラーは金属酸化物から選択され、そして第2のフィラーは非酸化物フィラーから選択される。一実施形態では、第1のフィラーの複数のフィラータイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有し、そして第2のフィラーの複数のフィラータイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有する。一実施形態では、第1のフィラーの複数のフィラータイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有し、そして第2のフィラーの複数のフィラータイプは、互いに異なる形態を有する。一実施形態では、第2のフィラーの複数のフィラータイプは、板状窒化ホウ素および窒化ホウ素の凝集体から選択される。
【0020】
一実施形態では、約10体積%から約90体積%の第1のフィラーおよび約90体積%から約10体積%の第2のフィラーを含む、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供される。
【0021】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここでフィラーは、アルコキシシラン、アルクアクリルオキシ(alkacryloxy)シラン、ビニルシラン、ハロシラン(例えば、クロロシラン)、メルカプトシラン、ブロック化メルカプトシラン、チオカルボキシレートシラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される表面官能化剤で処理されている。
【0022】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここで二価の炭化水素基Aは、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、脂環式基または炭化水素オキシオキシ基から選択される。一実施形態では、式(II)におけるAの二価の炭化水素基は、(i)式-(CHR45-のアルキレン基、ここでqは2から20の値を有し、そしてR45は、水素または1から20個の炭素原子の二価炭化水素である;(ii)-(CH(CH-、-CHCH(CH)(CH-、-(CH-からなる群から選択されるアリーレン、ここでlは1から20の値を有し、そしてkは0から10の値を有する、から選択される。
【0023】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここでMは、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Fe、Ni、Ga、Al、Mn、Cr、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、およびRhから独立して選択されるカチオンである。
【0024】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここでR、R14、およびR18は式(IV)から(VII)の群から独立して選択され、
【化1】

ここでR21、R26、R29、R30、R33、R34、R40は、-H、-OH、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、および脂肪族/芳香族の一価炭水化物であって1から60個の炭素原子を有するものから独立して選択され;下付き文字nはゼロまたは正の整数であり、そして0から6の範囲の値を有し、下付き文字oは正の整数であり、そして1から6の範囲の値を有し;そして
20、R22、R23、R24、R25、R27、R28、R31、R32、R35、R36、R37、R38、R39、R41、R42、R43、R44は、脂肪族/芳香族一価炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから独立して選択される。
【0025】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここでイオン変性シロキサン(A)は、約6000から約35000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0026】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここでイオン変性シロキサン(A)は、約0.01Pa.sから約45Pa.sの粘度を有する。
【0027】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここでイオン変性シロキサン(A)は、100シロキサン(Si-O)単位あたり0.2から1のイオン性を有する。
【0028】
一実施形態では、(i)少なくとも1つのアルケニル官能基を含むオルガノポリシロキサンおよび/または(ii)少なくとも1つのSi-H基を含むオルガノポリシロキサンを含む前記のいずれかの実施形態の組成物が提供される。
【0029】
一実施形態では、付加触媒、縮合硬化触媒、阻害剤、接着促進剤、希釈剤、熱安定剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供される。
【0030】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここで配合物の熱伝導率は2W/mkから14w/mkである。
【0031】
一実施形態では、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供され、ここで組成物は、約10から約90のショアE硬度を有する。
【0032】
一実施形態では、約10%から約60%の伸びを有する、前記のいずれかの実施形態の組成物が提供される。
【0033】
一実施形態では、グリース、ポッティング、ギャップフィラー、シーラント、接着剤、またはゲルの形態の前記のいずれかの実施形態の組成物が提供される。
【0034】
一態様では、物品の表面の少なくとも一部に配置された、前記のいずれかの実施形態による組成物を含む物品が提供される。一実施形態では、物品は複数の層を含み、そして組成物はその層の少なくとも2つの間の表面に配置される。一実施形態では、物品は、電子物品、自動車物品、家電物品、スマート家電物品、電気通信物品、ヘルスケア物品、パーソナルケア物品、農業物品、成形物品、石造表面、繊維材料、在宅ケア素材である。一実施形態では、物品には、発光デバイス、コンピュータデバイス、スタックダイ、携帯電話、タブレット、フリップチップパッケージ、ハイブリッドメモリキューブ、タッチスクリーン、Wi-Fiデバイス、自動車技術hifiシステム、シリコン貫通ビアデバイス、およびオーディオシステム、太陽熱暖房のヒートパイプと水タンクの間の接合部、燃料電池および風力タービン内、コンピュータチップの製造内、ゲーム機、データ転送装置、ライト装置内、バッテリー、ハウジング内、クーラー、熱交換器、ワイヤー、ケーブル、電熱線、冷蔵庫、食器洗い機、エアコン、アキュムレータ、変圧器、レーザー、機能性衣料、カーシート、医療機器、防火装置、電気モーター、飛行機、および列車、3D印刷材料のフィラメントとして、ドラッグデリバリーシステム、経皮パッチ、創傷治癒パッチ、創傷被覆パッチ、傷跡軽減用パッチ、経皮イオントフォレーシス、組織工学用支持体、抗菌デバイス、創傷管理装置、眼科用デバイス、バイオインサート、プロテーゼ、体内インプラント、ペンキ、構造コーティング、石造コーティング、または船舶コーティング、種子コーティング、スーパースプレッダーまたは制御放出肥料が含まれる。
【0035】
一態様では、前記のいずれかの実施形態の物品を調製する方法が提供される。一実施形態では、この方法は、第1および第2の基材を提供すること、および第1の基材と第2の基材との間に前記のいずれかの実施形態による組成物を配置することを含む。一実施形態では、物品を調製する方法は、組成物を圧力下またはステンシル印刷またはスクリーン印刷またはジェット印刷または3D印刷にて分配することを含む。一実施形態では、前記組成物の厚さは、0.01mmから15cmである。
【0036】
以下の説明および図面は、様々な例示的な態様を開示する。いくつかの改善と新規な側面は明示的に識別されることができ、同時に他のものは説明と図面から明白となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0037】
そして例示的な実施形態が参照されることになり、その例は添付の図面に示されている。他の実施形態を利用してもよく、構造的および機能的な変更を行ってもよいことを理解されたい。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせたり変更したりすることができる。したがって、以下の説明は、例としてのみ提示され、例示された実施形態に対して行われ得る様々な代替および修正を決して限定するものではない。この開示では、多数の特定の詳細が、主題の開示の完全な理解を提供する。この開示の態様は、本明細書に記載されるすべての態様などを必ずしも含むわけではない他の実施形態で実施されてもよいことを理解されたい。
【0038】
本明細書で使用される場合、「例」および「例示的」という用語は、実例または例示を意味する。「例」または「例示的」という用語は、重要または好ましい態様または実施形態を示すものではない。「または」という用語は、文脈からそうでないことが示唆されない限り、排他的というよりは包括的であることを意図している。例として、「AはBまたはCを使用する」という句は、任意の包含的置換を含む(たとえば、AはBを使用する;AはCを使用する;またはAはBおよびCの両方を使用する)。別の問題として、冠詞「a」および「an」は、文脈がそうでないことを示唆していない限り、一般に「1つ以上」を意味することを意図している。
【0039】
「炭化水素ラジカル」という表現は、1つまたは複数の水素原子が除去された任意の炭化水素基を意味し、アルキル、アルケニル、アルキニル、環状アルキル、環状アルケニル、環状アルキニル、アリール、アラルキルおよびアレーニルを含み、そしてそれは任意にて、酸素、窒素または硫黄により置換される。
【0040】
「アルキル」という用語は、任意の一価の飽和、直鎖、分岐、または環状炭化水素基を意味する。「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む任意の一価の直鎖、分岐、または環状炭化水素基を意味し、ここで基の結合部位は炭素-炭素二重結合またはその中のどこかであり得る。「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合、および任意選択で1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む、任意の一価の直鎖、分岐、または環状炭化水素基を意味し、ここで基の結合部位は、炭素-炭素三重結合、炭素-炭素二重結合、またはその中のどこかであり得る。アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、およびイソブチルが含まれるが、これらに限定されない。アルケニルの例には、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノルボルネンおよびエチリデンノルボルネニルが含まれるが、これらに限定されない。アルキニルの例には、アセチレニル、プロパルギル、およびメチルアセチレニルが含まれる。
【0041】
「環状アルキル」、「環状アルケニル」、および「環状アルキニル」という表現は、二環式、三環式、およびより高次の環式構造ならびにアルキル、アルケニル、および/またはアルキニル基でさらに置換されている前記の環状構造を含む。代表的な例は、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、シクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル、およびシクロドデカトリエニルを含むが、これらに限定されない。
【0042】
「アリール」という用語は、任意の一価の芳香族炭化水素基を意味し;「アラルキル」という用語は、1つまたは複数の水素原子が同数および/または異なるアリール(本明細書で定義される)基で置換されている任意のアルキル基(本明細書で定義される)を意味し;そして、「アレーニル」という用語は、1つまたは複数の水素原子が同数および/または異なるアルキル基(本明細書で定義される)によって置換されている任意のアリール基(本明細書で定義される)を意味する。アリールの例には、フェニルおよびナフタレニルが含まれるが、これらに限定されない。アラルキルの例には、ベンジルおよびフェネチルが含まれるが、これらに限定されない。アレーニルの例には、トリルおよびキシリルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用する場合、「芳香族炭化水素」という用語は、アリール、アラルキル、およびアレーニル基を包含する。
【0043】
(A)イオン変性シロキサン、および(B)熱伝導性フィラーを含む熱伝導性シリコーン組成物が提供される。実施形態では、組成物は、2つ以上の熱伝導性フィラーの組み合わせを含む。イオン変性シロキサンおよび熱伝導性フィラーの組み合わせは、適切な熱伝導性と、硬度、伸びなどの点で他の望ましい特性を示す組成物を提供する。
【0044】
イオン官能化シロキサン(A)は、下記式の化合物によって表され、
(I)
ここで
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16は独立して、1から60個の炭素原子を有し、任意で単数または複数のヘテロ原子を含む、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素から選択され;
、R12、およびR17は独立して、(i)式(II)を有する一価のラジカルを有するイオン対、または(ii)式(III)を有する双性イオンから選択され、ここで式(II)は以下の通りであり、
A-Ix- y+ (II)
ここでAは、二価の炭化水素または炭化水素オキシ基から選択される少なくとも1つのスペーサー原子を有するスペーサー基であり;Iは、スルホネート(-SO )、サルフェート(-OSO )、カルボキシレート(-COO)、ホスホネート(-PO 2-)、およびホスフェート(-OPO 2-)の群から選択されるイオン性基であり;Mは水素、またはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、金属、金属錯体、第4級アンモニウム、およびホスホニウム基、炭化水素カチオン、アルキルカチオン、有機カチオン、およびカチオン性ポリマーから独立して選択されるカチオンから選択され;式(III)は以下の通りであり、
-R’-NT -R’’-I (III)
ここでR’は、1から約60個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
R’’は、2から約60個の炭素原子、具体的には2から約8個の炭素原子、より具体的には2から約4個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、そしてIは、スルホネート-SO 、サルフェート-OSO 、カルボキシレート-COO、ホスホネート-PO 2-、およびホスフェート-OPO 2-基から選択されるイオン性基であり;Tは、水素、1から60個の炭素原子を有する脂肪族基、6から60個の炭素原子を有する脂環式基、または6から60個の炭素原子を有する芳香族基から独立して選択され;aは1または2であり;
、R14、およびR18は、水素、OR20、または任意で単数または複数のヘテロ原子または酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含む、またはオルガノシラン基を含む不飽和の一価炭化水素から独立して選択され;そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正であり、以下の制限を受ける;2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0、およびc+f+i≧0。
【0045】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16は、1から60個の炭素原子を有し、任意で単数または複数のヘテロ原子を含む、置換または非置換の脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素である。一実施形態では、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16は、1から60個の炭素原子;5から50個の炭素原子;10から40個の炭素原子;または20から30個の炭素原子の置換または非置換脂肪族炭化水素から選択される。一実施形態では、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16およびTは、1から10個の炭素原子;2-8個の炭素原子;または4-6個の炭素原子の脂肪族炭化水素から選択される。一実施形態では、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16およびTは、6から60個の炭素原子;8から40個の炭素原子;または10から20個の炭素原子を有する脂環式または芳香族炭化水素から選択され得る。有用な脂肪族炭化水素基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオペンチル、およびtert-ペンチル;n-ヘキシル基などのヘキシル;n-ヘプチル基などのヘプチル;n-オクチル基、イソオクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基などのオクチル;n-ノニル基などのノニル;n-デシル基などのデシル;シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルラジカルおよびメチルシクロヘキシルラジカルなどのシクロアルキルラジカルが含まれるが、これらに限定されない。芳香族炭化水素基の例には、フェニル、ナフチル;o-、m-、p-トリル、キシリル、エチルフェニル、およびベンジルが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
一実施形態では、Tは水素であり、式(III)のaは2である。一実施形態では、Tは、脂肪族基、非環式基、または芳香族基である。有用な脂肪族炭化水素基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオペンチル、およびtert-ペンチル;n-ヘキシル基などのヘキシル;n-ヘプチル基などのヘプチル;n-オクチル基、イソオクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基などのオクチル;n-ノニル基などのノニル;n-デシル基などのデシル;シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルラジカルおよびメチルシクロヘキシルラジカルなどのシクロアルキルラジカルが含まれるが、これらに限定されない。芳香族炭化水素基の例には、フェニル、ナフチル;o-、m-、p-トリル、キシリル、エチルフェニル、およびベンジルが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、Tは脂肪族基であり、そしてaは2である。
【0047】
、R12、R17は、式(II)を有する一価のラジカルを有するイオン対または(ii)式(III)の双性イオンから独立して選択される。一価のラジカルを有するイオン対は、式(II)のものであり:
A-Ix- y+ (II)
ここでAは、二価の炭化水素または炭化水素オキシ基から選択される少なくとも1つのスペーサー原子を有するスペーサー基であり;Iは、スルホネート-SO 、サルフェート-OSO 、カルボキシレート-COO、ホスホネート-PO 2-、またはホスフェート-OPO 2-などのイオン性基、より具体的にはスルホネート-SO であり、ここでMは水素またはアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、金属、金属錯体、第4級アンモニウムおよびホスホニウム基、炭化水素カチオン、アルキルカチオン、有機カチオン、およびカチオン性ポリマーから独立して選択されるカチオンである。下付き文字mと上付き文字yは独立して1から6であり、xはmとyの積である。
【0048】
式(II)における二価の炭化水素基Aは、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、または炭化水素オキシ基から選択され得る。一実施形態では、式(II)におけるAの二価の炭化水素基は、式-(CHR45-のアルキレン基であり、ここでmは1から20、具体的には1から約10の値を有し、そしてR45は水素またはRである。一実施形態では、式(II)におけるAの二価の炭化水素基は、-(CH(CH-、-CHCH(CH)(CH-からなる群から選択されるアリーレン基であり、ここでlは0から20、1から約10、または2から8の値を有し;そしてkは、0から20、0から約10、または1から5の値を有する。
【0049】
式(II)のイオン性部分におけるMは、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Fe、Ni、Ga、Al、Mn、Cr、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、およびRhから独立して選択される金属のカチオンであり得る。当業者は、カチオンが多価形態、例えば、Mn+2およびMn+3で存在し得ることを理解し得る。
【0050】
あるいは、R、R12、R17は、式(III)の双性イオンから選択することができ:
-R’-NT -R’’-I (III)
ここでR’は、1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を含む二価の炭化水素基であり、そしてR’’は、2から約20個の炭素原子、具体的には2から約8個の炭素原子、より具体的には2から約4個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり;そして、Iは、スルホネート-SO 、サルフェート-OSO 、カルボキシレート-COO、ホスホネート-PO 2-、またはホスフェート-OPO 2-基などのイオン性基であり;Tは、水素、1から60個の炭素原子を有する脂肪族基、6から60個の炭素原子を有する脂環式基、または6から60個の炭素原子を有する芳香族基から独立して選択され;aは1または2である。一実施形態では、Tは前記の通りのそれら基から選択され得る。
【0051】
、R14、およびR18は、硬化性官能基から選択され得る。一実施形態では、R、R14、およびR18は、式(IV)から(VII)の群から独立して選択することができ、
【化2】

ここでR21、R26、R29、R30、R33、R34、R40は、-H、-OH、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、および脂肪族/芳香族一価炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから独立して選択される。下付き文字nは0または正の整数であり、そして0から6の範囲の値を有し、下付き文字oは正の整数であり、そして1から6の範囲の値を有し;そして
20、R22、R23、R24、R25、R27、R28、R31、R32、R35、R36、R37、R38、R39、R41、R42、R43、R44は、脂肪族/芳香族一価炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから独立して選択される。
【0052】
下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正の整数であり、以下の制限を受ける:2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0、およびc+f+i≧0。一実施形態では、5≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦750;10≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦500;25≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦250;または50≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦100。
【0053】
イオン変性ポリシロキサン(A)は、特定の目的または意図された用途に望まれる分子量を有する。一実施形態では、イオン変性ポリシロキサン(A)は、約6000から約35000g/モル;約6000から約12000g/モル;さらに約7000から約9500g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。ここで、本明細書および特許請求の範囲の他の箇所と同様に、数値を組み合わせて、新規で特定されていない範囲を形成することができる。重量平均分子量は、プロトンおよびシリコーンNMRにより決定され得る。
【0054】
イオン変性ポリシロキサン(A)の分子量を制御、選択、または調整して、ポリシロキサン(A)に、配合物を機能させる、および/または運転サイクル中のドライアウトを減らし得る揮発による損失を防止させることになる粘度を付与することができる。一実施形態では、イオン変性シロキサン(A)は、約0.01pasから約45pas;約0.1pasから約10pas;さらに約0.2pasから約5pasの粘度を有する。イオン変性ポリシロキサン(A)の粘度は、ブルックフィールド粘度計によって測定され得る。
【0055】
イオン変性シロキサンは、それが約0.2から約1;約0.2から約0.8;または約0.3から約0.7のイオン比を有するように提供され得る。本明細書で使用される場合、「イオン比」は、100から120個のSi-O基当たりのイオン部分の数を指す。特定の理論に束縛されるものではないが、イオン比を制御することにより、マトリックス内の変性シロキサンの分散を制御および改善することができる。
【0056】
熱伝導性フィラー(B)は、フィラーの組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのフィラー材料が複数のフィラータイプとして提供される。本明細書で使用される場合、「フィラータイプ」は、特定の特性を有するフィラー材料のカテゴリーを指す。フィラータイプを定義する特性の例には、例えば、フィラーの形態、フィラーの粒子サイズ、またはフィラーの形態および粒子サイズが含まれる。異なるフィラータイプの異なる実施形態の例には、以下が含まれる:
・第1の粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および第2の粒子サイズを有する第2のフィラータイプ、ここで第1と第2のフィラータイプは同じ形態を有する、
・第1の形態を有する第1のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ粒子サイズを有する、
・第1の形態を有する第1のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは異なる粒子サイズを有する。
上記の実施形態では、第1および第2のフィラーは、単一のタイプのフィラーであってもよく、またはそれ自体が複数のフィラータイプを備えていてもよい。
【0057】
一実施形態では、第1のフィラーおよび第2のフィラーは、それぞれのフィラー材料の複数のフィラータイプによってそれぞれ提供される。組成物は、第1のフィラーと第2のフィラーの任意の組み合わせを含んでもよく、ここで(i)第1のフィラーは、
・第1の粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および第2の粒子サイズを有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ形態を有する、
・第1の形態を有する第1のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ粒子サイズを有する、または
・第1の形態を有する第1のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは異なる粒子サイズを有する、によってもたらされ、そして
(ii)第2のフィラーは、
・第1の粒子サイズを有する第2のフィラータイプ、および第2の粒子サイズを有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ形態を有する、
・第1の形態を有する第2のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ粒子サイズを有する、または
・第1の形態を有する第2のフィラータイプ、および第2の形態を有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは異なる粒子サイズを有する、によってもたらされる。
したがって、例えば、一実施形態では、(a)(i)第1の粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および(ii)第2の粒子サイズを有する第2のフィラータイプによって提供される第1のフィラー、ならびに(b)(i)第1の粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および(ii)第2の粒子サイズを有する第2のフィラータイプによって提供される第2のフィラーが提供され得る。別の実施形態では、組成物は、(a)(i)第1の粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および(ii)第2の粒子サイズを有する第2のフィラータイプ、ここで第1および第2のフィラータイプは同じ形態を有する、を提供する第1のフィラータイプ、ならびに(b)(i)第1の形態の第1のフィラータイプ、および(ii)第2の形態の第2のフィラータイプによって提供される第2のフィラーを含み得る。
【0058】
上記の説明は第1のフィラーおよび第2のフィラーに言及しているが、組成物は2つのフィラーに限定されないことが理解されよう。組成物は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のフィラーを含むことができ、ここでフィラーのうちの少なくとも1つは、そのフィラー材料の複数のフィラータイプによって提供される。任意選択で、各フィラーは、それぞれのフィラー材料の複数のフィラータイプによって提供されてもよい。
【0059】
熱伝導性フィラー(B)のフィラー材料は、金属酸化物または非酸化物フィラーから選択することができる。適切な非酸化物フィラーの例には、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ケイ化物、カーボンブラック、グラファイト、膨張黒鉛、グラフェン、カーボンファイバー、またはグラファイトファイバーまたはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。熱伝導性フィラーの例には、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、ジルコニア、シリコンアルミニウム酸窒化物、ホウケイ酸ガラス、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、二ホウ化チタン、ドデカホウ化アルミニウム、バライト、硫酸バリウム、アスベスト、バライト、珪藻土、長石、石膏、ホルマイト、カオリン、マイカ、霞石閃長岩、パーライト、フィロフィライト、スメクタイト、タルク、バーミキュライト、ゼオライト、方解石、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、メタケイ酸カルシウム、粘土、ケイ酸アルミニウム、タルク、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、水和アルミナ、水和酸化アルミニウム、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラスフレーク、粘土、剥離粘土、または他の高アスペクト比の繊維、ロッド、またはフレーク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マグネシア、チタニア、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ウォラストナイト、アルミナ、窒化アルミニウム、グラファイト、膨張黒鉛、金属粉末、例えばアルミニウム、銅、青銅、真鍮など、繊維またはウィスカの炭素、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、ナノスケール繊維、例えば、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノシート、酸化亜鉛ナノチューブなど、およびそれらの2つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、熱伝導性フィラーは、低い導電率を有するか、または電気的に絶縁性である。
【0060】
一実施形態では、組成物は金属酸化物から選択される第1のフィラー、および非酸化物フィラー(例えば、窒化物、炭化物、ケイ化物など)から選択される第2のフィラーを含む。一実施形態では、金属酸化物フィラーは、異なる粒子サイズの複数のフィラータイプとして提供され、非酸化物フィラーは、単一のフィラータイプ(例えば、特定の形態および粒子サイズのフィラー)として提供される。別の実施形態では、(a)金属酸化物フィラーは、第1の粒子サイズの第1のフィラータイプおよび第2の粒子サイズの第2のフィラータイプを含み;そして(b)非酸化物フィラーは、(i)第1の形態の第1のフィラータイプ、および(ii)第2の形態の第2のフィラータイプを含む。
【0061】
それぞれのフィラーの形態は、所望に応じて選択することができる。一実施形態では、フィラーの形態は、球状、板状、凝集物、球状凝集物、およびグラファイト状から選択することができる。
【0062】
一実施形態では、第1および第2の熱伝導性フィラー材料は、0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有する。一実施形態では、熱伝導性フィラーは、約0.5から150ミクロン;約1から約100ミクロン、約10から90ミクロン;約20から75ミクロン;さらに約40から60ミクロンの粒子サイズを有する。
【0063】
組成物は、組成物の総体積に基づく、約25体積%から約80体積%の総フィラー濃度、すなわち組成物中のすべてのフィラーの濃度を有することができる。一実施形態では、フィラーの充填は、約30体積%から約75体積%、約35体積%から約65体積%、さらには約40体積%から約60体積%である。ここでは、特許請求の範囲と同様に、数値を組み合わせて、新規で未特定の範囲を形成することができる。
【0064】
組成物は、約10体積%から90体積%の第1のフィラーおよび90体積%から10体積%の第2のフィラー;約30体積%から70体積%の第1のフィラーおよび70体積%から30体積%の第2のフィラー;さらに約40体積%から約60体積の第1のフィラーおよび約60体積%から約40体積%の第2のフィラーを含み得る。
【0065】
第1および/または第2のフィラーに寄与する異なるフィラータイプに関して、異なるフィラータイプの濃度は、所望に応じて選択され得る。一実施形態では、第1のフィラーは、第1のフィラーの総体積に基づいて、約5体積%から約95体積%の量の第1のフィラータイプおよび約95体積%から約5体積%の量の第2のフィラータイプ;第1のフィラーの総体積に基づいて、約10体積%から約80体積%の量の第1のフィラータイプおよび約20体積%から約90体積%の量の第2のフィラータイプ;第1のフィラーの総体積に基づいて、約30体積%から約60体積%の量の第1のフィラータイプおよび約70体積%から約40体積%の量の第2のフィラータイプを含む。一実施形態では、第1のフィラーは、第1のフィラーの総体積に基づいて、約20体積%から約40体積%の量の第1のフィラータイプ、および約80体積%から約60体積%の量の第2のフィラータイプを含む。
【0066】
一実施形態では、熱伝導性フィラーは窒化ホウ素を含む。適切な窒化ホウ素材料の例には、窒化ホウ素粒子、窒化ホウ素凝集物、またはそれらの混合物が含まれる。窒化ホウ素粒子は一般に板状形態を示す。一実施形態では、窒化ホウ素粒子は、0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有する板状物であり得る。一実施形態では、板状窒化ホウ素粒子は、約0.5から150ミクロン;約1から約100ミクロン、約10から90ミクロン;約20から75ミクロン;さらには約40から60ミクロンの粒子サイズを有する。別の実施形態では、熱伝導性プラスチック組成物は、窒化ホウ素凝集物を含む。凝集物は、約5から約500ミクロンの平均粒子サイズおよび約0.25から約50m/グラムの表面積を有することができる。一実施形態では、板状窒化ホウ素粒子は約10から400ミクロン;約20から約300ミクロン、約30から200ミクロン;約40から150ミクロン;さらに約50から100ミクロンの粒子サイズを有する。
【0067】
粒子サイズは、分析される粒子(例えば、BN)が必要な透過率を満たすように調整された量で導入されるHoriba LA300粒子サイズ分布分析器を使用して測定することができる。数滴の2%RhodapexCO-436を添加して粉末の分散を改善でき、そして3秒の超音波処理後にレーザー回折を使用して粒子サイズを測定できる。測定から得られる粒子サイズ分布は体積ベースでプロットでき、D90は分布の90パーセンタイルを表す。
【0068】
一実施形態では、フィラーは、例えばシラン添加剤などの官能化添加剤で官能化されてもよい。一実施形態では、シラン添加剤は、アルコキシシラン、アルクアクリルオキシシラン、ビニルシラン、ハロシラン(例えば、クロロシラン)、メルカプトシラン、ブロック化メルカプトシラン、チオカルボキシレートシラン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択することができる。一実施形態では、フィラーは、フィラーの約1から約5重量%のシラン;約1.5から約4重量%;さらには約2.7から約3.7重量%を含むことができる。
【0069】
一実施形態では、組成物は、金属酸化物から選択される第1のフィラー、および非酸化物フィラーから選択される第2のフィラーを含み、ここで第1のフィラーおよび/または第2のフィラーは、複数のフィラータイプを含む。一実施形態では、第1のフィラーは、化学的構成に関して同じまたは異なる金属酸化物であり得る、第1のタイプの金属酸化物および第2のタイプの金属酸化物を含む金属酸化物であり、そして第2のフィラーは単一タイプの非酸化物フィラーを含み、ここで以下のいずれか(単独または組み合わせて)を使用することができる:
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有する、
・第1および第2のタイプの金属酸化物は独立して約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有し、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は異なる粒子サイズを有する、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の形態を有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の形態とは異なる第2の形態を有する、
・金属酸化物フィラーは、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、および/またはジルコニアから選択される、
・非金属酸化物フィラーは、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、またはホウ化ジルコニウムから選択される、
・第1のフィラーはアルミナであり、および第2のフィラーは窒化ホウ素である、
・第2のフィラーは、球状、板状、凝集物、または球状凝集物から選択される窒化ホウ素である。
【0070】
一実施形態では、組成物は、金属酸化物から選択される第1のフィラー、および非酸化物フィラーから選択される第2のフィラーを含み、ここで第1のフィラーおよび第2のフィラーは、それぞれ複数のフィラータイプを含む。一実施形態では、第1のフィラーは、第1のタイプの金属酸化物および第2のタイプの金属酸化物を含む金属酸化物であり、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は、同じまたは異なる化学組成または式を有することができる(しかし、少なくとも粒子サイズおよび/または形態に関して異なる)、そして第2のフィラーは、単一のタイプの非酸化物フィラーを含み、ここで以下のいずれかを互いに組み合わせて使用することができ:
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有する、
・第1および第2のタイプの金属酸化物は独立して約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有し、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は異なる粒子サイズを有する、
・第1のタイプの金属酸化物は、約0.4ミクロンから約3ミクロンの粒子サイズを有し;第2のタイプの金属酸化物は、3から約12ミクロンの粒子サイズを有する、
・第1のタイプの金属酸化物は約0.1ミクロンから約1ミクロンの粒子サイズを有し;第2のタイプの金属酸化物は10から約15ミクロンの粒子サイズを有する、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の形態を有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の形態とは異なる第2の形態を有する、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有する、
・金属酸化物フィラーは、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、および/またはジルコニアから選択される、
・非金属酸化物フィラーは、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、またはホウ化ジルコニウムから選択される、
・非金属酸化物フィラーは約30から約500ミクロンの粒子サイズを有する、
・第1のフィラーはアルミナであり、そして第2のフィラーは窒化ホウ素である、
・第2のフィラーは、板状窒化ホウ素および窒化ホウ素凝集物を含む、
・第2のフィラーは、板状窒化ホウ素および球状窒化ホウ素を含む、
・第2のフィラーは、約30から約50ミクロンの粒子サイズを有する板状窒化ホウ素、および約110から約150ミクロンの窒化ホウ素凝集物を含む、
・第2のフィラーは、約30から約50ミクロンの粒子サイズを有する板状窒化ホウ素、および約300から約370ミクロンの窒化ホウ素凝集物を含む、
・第2のフィラーは、約5から約50ミクロンの粒子サイズを有する板状窒化ホウ素、および約1から約10ミクロンの粒子サイズを有する球状窒化ホウ素粒子を含む、
・第2のフィラーは、約5から約50ミクロンの粒子サイズを有する板状窒化ホウ素;約1から約10ミクロンの粒子サイズを有する球状窒化ホウ素粒子;および約50から約70ミクロンの粒子サイズを有する球状窒化ホウ素粒子を含む。
【0071】
一実施形態では、組成物は、約0.3から約350ミクロンの粒子サイズの第1のフィラータイプ、および約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有する第2のフィラータイプを有する第1のフィラーを含み、ここで第1のフィラーの第2のフィラータイプは、第1のフィラータイプとは異なる粒子サイズを有する。一実施形態では、組成物は、約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および約0.3から約15ミクロンの粒子サイズを有する第2のフィラータイプを有する第1のフィラーを含む。一実施形態では、組成物は、約45から約350ミクロンの粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および約0.3から約5ミクロンの粒子サイズを有する第2のフィラータイプを有する第1のフィラーを含む。一実施形態では、組成物は、約5から約70ミクロンの粒子サイズを有する第1のフィラータイプ、および約0.5から約15ミクロンの粒子サイズを有する第2のフィラータイプを有する第1のフィラーを含む。一実施形態では、第1のフィラーはアルミナを含む。
【0072】
組成物は、付加または縮合硬化触媒をさらに含んでもよい。本組成物は硬化可能であり、そして縮合硬化機構または熱硬化機構のいずれかによって硬化させることができる。一実施形態では、組成物は縮合硬化性である。縮合硬化性組成物については、組成物は、縮合硬化を促進するための任意の適切な成分を含み得る。組成物は、完全にまたは部分的に加水分解されたトップコート材料の縮合を促進する縮合触媒を任意に含んでもよい。触媒は、シロキサンの硬化を促進するのに適した触媒であり得る。有利には、縮合触媒を使用することができる。適切な縮合触媒としては、ジアルキルスズジカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレートおよびジオクチルスズジラウレート、第3級アミン、カルボン酸の第一スズ塩、例えばオクタン酸第一スズおよび酢酸第一スズなどが含まれるが、これらに限定されない。他の有用な触媒には、ジルコニウム含有、アルミニウム含有、およびビスマス含有錯体、例えばKing Industries, Inc.により供給される、K-KAT(登録商標)XC6212、K-KAT(登録商標)5218およびK-KAT(登録商標)348、チタンキレート、例えばDuPont companyにより市販されている、TYZOR(登録商標)タイプ、およびKenrich Petrochemical, Inc.から市販されているKRタイプ、ならびに他の有機金属触媒、例えばAl、Zn、Co、Ni、Feなどの金属を含むそれらが含まれる。
【0073】
一般に、触媒は、組成物の物理的特性に影響を及ぼさないかまたは損なわない量であるが、硬化反応を触媒するのに十分な量で添加されるべきである。一実施形態では、触媒は、1ppmから約75ppm;約10ppmから約70ppm;さらには約20ppmから約60ppmの範囲の量で提供される。ここで、本明細書および特許請求の範囲の他の箇所と同様に、数値を組み合わせて、新規で非開示の範囲を形成することができる。触媒の「ppm」値は、組成物の全固形分重量当たりの触媒の総モルとして定義することができる。
【0074】
式(I)の硬化性基が一般式(IV)のビニルまたは一般式(VII)のアクリレートまたはアクリルアミドまたはメタクリレートを含む場合、本発明の組成物は、好ましくは光開始剤を含む。光開始剤は、全配合物の重量に基づいて、約0.001から10重量部の熱または光開始剤の量で存在し得る。適切な熱または光開始剤の例には、カルボニル化合物、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、パラメトキシベンゾフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、アルファ-アルファ-ジメトキシ-アルファ-フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’-ビス-(ジメチルアミノベンゾフェノン)、プロピオフェノン、アセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、エチルフェニルピロキシレート、フェナントラキノン、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン;硫黄化合物、例えば、テトラメチルチウラム一硫化物およびテトラメチルチウラム二硫化物;アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル;および有機過酸化物化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化メチルエチルケトン;アセトンペルオキシド、およびジ-tert-ブチルペルオキシド、チオキサントン光開始剤、例えば、7-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンおよび2,4-ジイソプロピルチオキサントン;およびアシロホスフィンオキシド光開始剤が含まれるが、これに限定されない。上記に加えて、限定されるものではないが、Irgacure(Ciba Speciality Chemicals)、VAZO (DuPont)、Darcureなどの市販のフリーラジカル開始剤組成物を用いても同様の効果が得られる。
【0075】
式(I)の硬化性基が一般式(VおよびVI)のエポキシドを含む場合、本発明の組成物は、カチオン性光開始剤を含み得る。このような光開始剤は、シロキサン(A)の重量に基づいて0.1から20重量部の量で存在し得る。適切なカチオン性光開始剤の例には、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、テトラアリールホスホニウム塩およびアリールジアゾニウム塩であって、それぞれが式R50 、R50 -1、R50 Se、R50 およびR50 で表されるもの(ここでR50はアリール基を表し、そしてYはSbF 、AsF 、PF 、BF 、HSO およびClO などのアニオンを表す)が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
任意にて、組成物は、イオン変性シロキサン(A)が式(IV)-(VII)の硬化性官能基を含む場合、硬化性官能基とカップリングまたは架橋され得る材料を含み得る。硬化性官能基と反応し得る材料の例には、アクリレート誘導体、エチレン系不飽和誘導体、およびチオール誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
アクリレート誘導体には、アクリル酸、アルキル置換アクリル酸および様々なアルコール、アミンまたは類似の求核置換基の縮合生成物が含まれ、そして組成物と共硬化することができる1つ以上のアクリル、メタクリル、エタクリル基を有する任意のモノマーまたはオリゴマー分子からなる群から特に選択される。好ましくは、アクリレート誘導体は、メタクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸、N-イソプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシ-エチル-メタクリレート(HEMA)、およびメタクリル酸、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、アクリレートおよびメタクリレート官能性カルボシラン分子、六官能性ウレタンアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、オリゴ官能性ウレタンアクリレート、テトラアクリレートモノマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0078】
エチレン性不飽和誘導体は、アクリレート基ではなく、上記の式(I)のビニル基およびアクリレート基とのフリーラジカル開始カップリングを受けることができる少なくとも1つの反応性ビニル基を有する。そのような化合物の例には、モノマー、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルラクタム、ハロゲン化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アリルアルコール、アリルポリエーテル、および-SiVi基と反応できるその他が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
チオール誘導体は、遊離チオール(-SH)基を有するモノマーおよびポリマーを含み、これらは、フリーラジカル機構を介して、上記の式(IV)および(VII)によって例示されるビニルおよびアクリレート基と反応し得る。いくつかの非限定的な例には、メルカプトアルコール、メルカプト酢酸、チオエステルなどが含まれる。
【0080】
イオン変性シロキサン(A)と架橋可能であり得る他の材料には、(i)アルケニル官能基を含むシリコーン、および/または(ii)Si-H基を含むシリコーンが含まれる。シリコーンはポリオルガノシロキサンであってよい。アルケニル官能基を含むポリオルガノシロキサンは、1分子あたり平均して少なくとも1つのシリコーン結合アルケニル基を有する。一実施形態では、アルケニル官能基を含むポリオルガノシロキサンは、1分子あたり1-2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有する。一実施形態では、Si-H基を含むシリコーンは、1分子あたり少なくとも2つのSi-H基を含む。ポリオルガノシロキサンは、以下の式によって例示することができ:

ここで
=R454647SiO1/2
=R484950SiO1/2
=R515253SiO1/2
=R5455SiO2/2
=R5657SiO2/2
=R5859SiO2/2
=R60SiO3/2
=R61SiO3/2
=R62SiO3/2
Q=SiO4/2
45、R46、R47、R49、R50、R52、R53、R54、R55、R57、R59、R60は、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素であって1から60個の炭素原子を含み、任意で単数または複数のヘテロ原子を含むものから独立して選択され、
48、R56、およびR61は、水素またはOR63から独立して選択され、
51、R58、およびR62は、任意にて、単数または複数のヘテロ原子または酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含む、またはオルガノシラン基を含む不飽和一価炭化水素から独立して選択され、
下付き文字k、l、m、n、o、p、q、r、s、tはゼロまたは正であって、以下の制限を受ける:2≦k+l+m+n+o+p+q+r+s+t≦1000。m+p+s>1の場合、l+o+r=0であり、l+o+r>1の場合、m+p+s=0である。
【0081】
組成物は、硬化阻害剤または遅延剤をさらに含み得る。重合禁止剤は、特に限定されず、特定の目的または使用目的に応じて選択することができる。白金族金属触媒の阻害剤は、有機ケイ素技術においてよく知られている。適切な阻害剤の例には、エチレン性不飽和アミド、芳香族不飽和アミド、アセチレン化合物、エチレン系不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または分離されたエン-イン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、亜硝酸塩、ジアジリジンなどが含まれるが、これらに限定されない。組成物に特に適した阻害剤は、アルキニルアルコールおよびマレイン酸塩である。適切な重合阻害剤の例には、マレイン酸ジアリル、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
組成物に使用される阻害剤の量は重要ではなく、上記の白金触媒ヒドロシリル化反応を室温で遅らせることになるが、同時に適度に高い温度、すなわち室温より高い25℃から125℃の温度での前記反応を妨げない任意の量であり得る。使用される特定の阻害剤の望ましい量は、白金金属含有触媒の濃度と種類、成分aおよびbの性質と量に依存することから、特定の量の阻害剤は室温で特定の浴寿命を得るために提案され得るものではない。阻害剤は、組成物の0から約10重量%、組成物の約0.001から2重量%、さらには組成物の約0.12から約1重量%の量で存在することができる。ここで、本明細書および特許請求の範囲の他の箇所と同様に、数値を組み合わせて、新規の代替または未特定の範囲を形成することができる。一実施形態では、組成物は、阻害剤成分を含まなくてもよい。
【0083】
組成物は、接着促進剤をさらに含んでもよい。無機基材への様々な有機官能性シランおよびシロキサン接着促進剤は、組成物において有用である。適切なシランとしては、アミノシラン、エポキシシラン、イソシアヌレートシラン、メルカプトシラン、イミドシラン、無水物シラン、カルボキシレート官能化シロキサンなどが挙げられるが、これらに限定されない。様々なタイプの接着促進剤の組み合わせも使用することができる。このような成分は、通常、金属触媒によるヒドロシリル化による硬化を妨げる。適切な接着促進剤には、様々なアミノシラン材料、例えばSilquest(登録商標)A-1120シラン、Silquest A-1110シラン、SilquestA-2120シラン、およびSilquest A-1170シラン;エポキシシラン、例えばSilquest A-187シラン;イソシアヌレートシラン、例えば、SilquestA-597シラン;およびメルカプトシラン、例えば、Silquest A-189シラン、Silquest A-1891シラン、Silquest A-599シラン(Momentive Performance Materialsから入手可能)が含まれるが、これに限定されない。
【0084】
組成物は、約2W/m・Kから約14W/m・K;約4W/m・Kから約12W/m・K;または約6W/m・Kから約10W/m・Kの熱伝導率を有し得る。TPS 500ホットディスク装置で熱伝導率を測定し得る。熱伝導率は、フィラーの選択、フィラーの濃度、フィラー材料の組み合わせの選択などによって制御または調整できる。実施形態では、熱伝導率は、異なる粒子サイズのフィラー材料を選択することによって、および異なる濃度レベルで異なる粒子サイズのフィラーを使用することによって、調整または制御することができる。
【0085】
組成物は、望ましい硬度および伸び特性を示し得る。配合物の硬度は、ショアE10からショアE90;ショアE20からショアE80;ショアE30からショアE70;さらにショアE40からショアE60の範囲であり得る。組成物は、硬化したときに、10%から60%;20%から50%;さらに30%から40%の伸びを有し得る。伸びは、デュロメータを使用して測定できる。
【0086】
組成物は、所望され得るように、種々の形態で提供され得る。実施形態では、組成物は、グリース、ポッティング、ギャップフィラー、シーラント、接着剤、またはゲルの形態で提供され得る。そのような形態の性質が何であるか、およびそのような形態の組成物を提供するために他のどの成分または構成要素が必要であり得るかについて、当業者には理解されよう。組成物が硬化性でない場合、得られる熱界面組成物は、製造中に構成要素を共に保持し、デバイスの動作中に熱伝達することができるゲル、グリース、接着剤、または相変化材料として配合することができる。
【0087】
組成物は、様々な用途および物品で使用することができる。一態様では、組成物を含む物品がここで提供される。本組成物は、限定されるものではないが、電子物品、自動車物品、家電物品、スマート家電物品、電気通信物品、ヘルスケア物品、パーソナルケア物品、農業物品、成形物品、石造表面、繊維材料、または在宅ケア素材から選択される物品で使用され得る。物品の非限定的な例には、発光デバイス、コンピュータデバイス、スタックダイ、携帯電話、タブレット、フリップチップパッケージ、ハイブリッドメモリキューブ、タッチスクリーン、Wi-Fiデバイス、自動車技術hifiシステム、シリコン貫通ビア(TSV)デバイス、およびオーディオシステム、太陽熱暖房のヒートパイプと水タンクの間の接合部、燃料電池および風力タービン内、コンピュータチップの製造内、ゲーム機、データ転送装置、ライト装置内、バッテリー、ハウジング内、クーラー、熱交換器、ワイヤー、ケーブル、電熱線、冷蔵庫、食器洗い機、エアコン、アキュムレータ、変圧器、レーザー、機能性衣料、カーシート、医療機器、防火装置、電気モーター、飛行機、および列車、3D印刷材料のフィラメントとして、ドラッグデリバリーシステム、経皮パッチ、創傷治癒パッチ、創傷被覆パッチ、傷跡軽減用パッチ、経皮イオントフォレーシス、組織工学用支持体、抗菌デバイス、創傷管理装置、眼科用デバイス、バイオインサート、プロテーゼ、体内インプラント、ペンキ、構造コーティング、石造コーティング、または船舶コーティング、種子コーティング、スーパースプレッダーまたは制御放出肥料が含まれる。
【0088】
一実施形態では、組成物が使用されている物品は、複数の層を含む物品である。組成物は、隣接する層の間で任意の適切な方法(例えば、接着剤、フィラーなど)で使用することができる。組成物は、例えば、少なくとも2つの層の間の表面に配置されてもよい。組成物は、特定の目的または意図された用途に望まれるように、所与の表面の任意のパーセンテージをカバーまたは満たすことができる。
【0089】
一実施形態では、組成物は、熱界面材料として使用され得る。本明細書で使用される場合、「熱界面組成物」は、電気システムの高温領域から熱を伝導するのに有用な任意の材料であり、そして「熱界面組成物」は、電気デバイスのヒートシンクと発熱部品との間に配置された熱界面材料(「TIM」)、またはチップと基板間のギャップを充填し、熱サイクル中に発生する熱を除去することによりチップで使用されるはんだの疲労寿命を改善する、集積回路パッケージ、すなわちチップで利用されるアンダーフィル材料を含む。
【0090】
組成物は、当技術分野で知られている任意の適切な方法を使用して、分配または表面に適用することができる。そのような方法には、圧力下での分配、印刷、ブラッシング、コーティングなどが含まれるが、これらに限定されない。印刷の例には、ステンシル印刷、スクリーン印刷、ジェット印刷、3D印刷などが含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
意図された用途で適用される組成物の厚さは、特定の使用または意図された用途のために望まれるように選択され得る。厚さは、0.01mmから15cmであり得ることが理解されよう。
【0092】
本技術の態様は、以下の例に関してさらに理解することができる。
【0093】
合成例:
【0094】
例1.スルホン酸官能化オクタメチルテトラシクロシロキサン
【0095】
三つ口フラスコに、1,3,5,7テトラメチルシクロテトラシロキサン(D )、アルファ-メチルスチレン、および白金触媒を入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら115℃で加熱した。反応混合物の進行をHNMRで監視した。反応の完了後、反応混合物を150℃で2時間真空ストリッピングして、未反応のアルファ-メチルスチレンを除去し、アリール置換シクロテトラシロキサンを得た。
【0096】
上記のアリール置換シクロテトラシロキサンに、ジクロロメタンに溶解したクロロスルホン酸を、混合物を室温で撹拌しながら30分間かけて滴下した。アリール置換シクロテトラシロキサンとクロロスルホン酸のモル比は1:8に固定された。得られた混合物をさらに30分間撹拌した。反応の完了は、芳香環の全てのスルホン化がパラ置換芳香族プロトンピークの消失によって示されたHNMRによって決定された。低圧での反応混合物の真空ストリッピングにより、20.6gのスルホン酸官能性シクロテトラシロキサンが褐色の粘性ガムとして得られた。
【0097】
例2.末端ビニル基を有するスルホネート官能性ポリオルガノシロキサン(Mw約7500-9500g/molおよび約1pas未満の粘度)
【0098】
例1で得られた5gのスルホン酸官能性シクロテトラシロキサンに、250gのオクタメチルテトラシクロシロキサン(D4)と5.2gのテトラメチルジビニルジシロキサン(MViVi)を加え、そしてこの反応混合物に1.5重量%の濃硫酸を加え、そして反応混合物を室温で攪拌した。約87%の平衡に達した後、反応混合物を70℃で加湿重炭酸ナトリウムを使用して中和した。低圧での反応混合物の真空ストリッピングにより、末端ビニル基を有するスルホン化シリコーンが流動性液体として得られた。
【0099】
例3.末端スルホネート官能性ポリオルガノシロキサン(Mw約30,000g/mol)
【0100】
3つ口の500mLフラスコに、1,1,3,3テトラメチルジシロキサン(M)、アルファ-メチルスチレン、および白金触媒を入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で攪拌しながら115℃で48時間加熱した。完全なヒドロシリル化は、HNMRにおける水素化シリコーンのピークの消失によって示された。得られた混合物を真空ストリッピングして、150℃の油浴に2時間置くことにより未反応のアルファメチルスチレンを除去し、これにより、アリール置換ジシロキサンを得た。
【0101】
このアリール置換ジシロキサンに、混合物を室温で撹拌しながら、クロロスルホン酸を30分間かけて滴下した。アリール置換ジシロキサンとクロロスルホン酸のモル比は1:4に固定された。得られた混合物をさらに30分間撹拌した。反応の完了は、芳香環の全てのスルホン化がパラ置換芳香族プロトンピークの消失によって示されたHNMRによって決定された。低圧での反応混合物の真空ストリッピングにより、褐色の粘稠な油として、33.0gのスルホン酸官能化ジシロキサンが得られた。
【0102】
8.3gのスルホン酸官能化ジシロキサンに、オクタメチルテトラシクロシロキサン(D)468gを加え、混合物を室温で撹拌した。約87%の平衡に達した後、反応混合物を70℃で加湿重炭酸ナトリウムを使用して中和した。低圧での反応混合物の真空ストリッピングにより、末端スルホン化官能化ポリオルガノシロキサンの高粘性ガム得られた。
【0103】
例4.モノスルホネート官能性ポリオルガノシロキサン(Mw約12,000g/mol、1pas未満の粘度)
【0104】
52gの例3のスルホネート官能化ポリオルガノシロキサンに、250gのオクタメチルテトラシクロシロキサン(D4)、3.65gのヘキサメチルジシロキサン(MM)および混合物の総重量に対して1.5重量%の濃硫酸を加え、そして反応混合物を室温で撹拌した。約87%の平衡に達した後、反応混合物を70℃で加湿重炭酸ナトリウムを使用して中和した。低圧での反応混合物の真空ストリッピングにより、モノスルホン化シリコーンの流動性液体が得られた。
【0105】
例5.末端ビニル基を有するスルホネート官能性ポリオルガノシロキサン(Mw約30,000g/molおよび約5-10pasの粘度)
【0106】
例1で得られた5gのスルホン酸官能性シクロテトラシロキサンに、414gのオクタメチルテトラシクロシロキサン(D4)および2.6gのテトラメチルジビニルジシロキサン(Mvivi)を加え、そしてこの反応混合物に1.5重量%の濃硫酸を加え、そして反応混合物を室温で撹拌した。約87%の平衡に達した後、反応混合物を70℃で加湿重炭酸ナトリウムと希釈剤としてのヘキサンを使用して中和した。反応混合物を低圧で真空ストリッピングすることにより、流動性液体として末端ビニル基を有するスルホン化シリコーンが得られた。
【0107】
組成物
【0108】
0.3-12ミクロンの範囲のサイズの酸化アルミナフィラーは、Sumitomoから購入した。5-350μの範囲のサイズおよび形態の窒化ホウ素(BN)フィラーは、Momentive Performance Materialsから入手した。
【0109】
非硬化性のグリースタイプの熱伝導性組成物は、イオン変性湿潤剤分子およびフィラーをthinky-プラネタリーミキサーにて2000rpmで30秒間混合することによって配合された。ブリードアウト調査は、フィラーの沈降を検証するために、配合物を70℃で24時間置くことにより行われた。チキソトロピー挙動は、ブルックフィールド粘度計を使用して可変rpmで粘度を測定することにより調査された。熱伝導率(T/C、W/mK)データは、TP 500 Sホットディスク装置を使用して決定された。
【0110】
熱伝導性硬化性組成物は、ビニル樹脂、イオン変性湿潤剤、水素化物架橋剤、鎖延長剤、プラチナ触媒、および触媒阻害剤を、thinky-プラネタリーミキサーにて2000rpmで30秒間混合することで配合された。表1に特定されている組成物は例2のイオン変性湿潤剤を使用した。この混合物に、さまざまなサイズと形態の可変フィラーを段階的に加え、thinky-プラネタリーミキサーを使用して、各ステップにて2000rpmで30秒間配合した。ブリードアウト調査は、フィラーの沈降を検証するために、配合物を70℃で24時間置くことにより行われた。組成物を脱気し、次いで150℃で硬化させて、エラストマーシートを得た。硬化は、14psiの圧力で圧縮成形により行われた。伸びは、DIN 53504 2S法を使用してInstronで測定された。T/Cまたは熱伝導率のデータは、TP 500 Sホットディスク装置を使用して決定された。
【表1】

【表2】
【0111】
0.5から12μの範囲の粒子サイズの複数のアルミナおよび5から65μの範囲の粒子サイズの複数の窒化ホウ素
【0112】
上記の説明は、本明細書の例を含む。もちろん、本明細書を説明する目的で構成要素または方法論の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本明細書の多くのさらなる組合せおよび置換が可能であることを認識するであろう。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるそのようなすべての変更、修正、および変形を包含することが意図されている。さらに、「含む(includes)」という用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用されている限り、そのような用語は、請求項における移行語として使用されるときの「含む(comprising)」として「含む(comprising)」という用語と同様に包括的であることを意図している。
【0113】
前述の説明は、イオン変性ロキサンを含む組成物の様々な非限定的な実施形態を特定している。当業者、および本発明を作成および使用することができる者たちには、修正がなされ得る。開示された実施形態は、単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載された主題を限定することを意図したものではない。