(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】光学フィルム及び偏光ビームスプリッタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2020521867
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 IB2018058100
(87)【国際公開番号】W WO2019077547
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-07
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジシェン
(72)【発明者】
【氏名】ネビット,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジョン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ケント,スーザン エル.
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】廣田 健介
【審判官】清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-516920(JP,A)
【文献】特表2009-544048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0151371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポリマー干渉層を含む、光学フィルムであって、各干渉層が、主に、少なくとも450nm~1000nmに広がる所定の波長範囲
に含まれる少なくとも1つの波長に対する光干渉によって、光を反射又は透過し、前記干渉層の合計数は
、100より多く
、300未満であり、これにより
、前記光学フィルム上に実質的に法線入射する光に対して、
前記少なくとも450nm~1000nmに広がる所定の波長範囲にわたり、前記
光学フィルムが、第1の偏光状態に対し
て85%超の平均光透過率を有し、直交する第2の偏光状態に対し
て95%超の平均光反射率、及び前記第2の偏光状態に対し
て5%未満の平均光透過率を有する、光学フィルム。
【請求項2】
前記第2の偏光状態に沿ったx軸、前記x軸に垂直な前記第1の偏光状態に沿ったy軸、並びに前記x軸及びy軸に直交する前記光学フィルムの厚さ方向に沿ったz軸を画定し、前記複数のポリマー干渉層が、複数の交互にある第1の層及び第2の層を含み、各第1の層及び第2の層は、前記x軸に沿った屈折率nx、前記y軸に沿った屈折率ny、及び前記z軸に沿った屈折率nzを有し、各第1の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.008未満であり、nxとnyとの間の差は、0.2より大きく、各第2の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.005未満であり、前記第1の層のnxと前記第2の層のnxとの差は、0.2より大きい、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
各第1の層について、1.8≦nx≦1.9、1.5≦ny≦1.6、1.5≦nz≦1.6であり、各第2の層について、nx、ny、及びnzの各々が、1.5~1.6である、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
前記第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
前記第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、前記光学フィルムが、前記第1のプリズムに面し前記複数のポリマー干渉層を含む第1の光学積層体、及び前記第2のプリズムに面し第2の複数のポリマー干渉層を含む第2の光学積層体を更に含み、前記第1の光学積層体は、前記第2の光学積層体上に配設され及びそれから光吸収直線偏光子によって離間され、これにより、前記偏光ビームスプリッタ(PBS)が、撮像システムに組み込まれ、前記偏光ビームスプリッタ(PBS)に入る画像光が、順次前記第1の光学積層体によって反射され前記光学フィルムを透過し前記第2の光学積層体によって反射された後に、前記偏光ビームスプリッタ(PBS)から出る場合、前記光吸収直線偏光子は、前記画像光の2%未満を吸収するが、前記第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱された画像光の少なくとも50%を吸収する、偏光ビームスプリッタ(PBS)。
【請求項5】
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
前記第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
前記第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、前記光学フィルムは
、第2の光学積層体上に配設され及びそれから光吸収直線偏光子によって離間された第1の光学積層体を含み、前記第1の光学積層体が、前記第1の斜
辺に近く、前記第2の斜
辺から遠く、前記第2の光学積層体は、前記第2の斜
辺に近く、前記第1の斜
辺から遠く、それぞれの光学積層体、及び当該光学積層体に最も近い斜辺に対して、当該光学積層体は、50~300に達する複数の干渉層を含み、
各干渉層が、主に、少なくとも450nm~1000nmに広が
る所定の波長範囲
に含まれる少なくとも1つの波長に対する光干渉によって
、光を反射及び透過し、これにより、
前記光学積層体上に実質的に法線入射する光に対して、前記少なくとも450nm~1000nmに広がる所定の波長範囲にわたり、前記
光学積層体は、第1の偏光状態に対し
て85%超の平均光透過率を有し、直交する第2の偏光状態に対し
て95%超の平均光反射率、及び前記第2の偏光状態に対し
て5%未満の平均光透過率を有し、前記斜辺に近い前記干渉層は主に、前記所定の波長範囲内で短い方の波長を反射するように構成され、前記斜辺から遠い前記干渉層は主に、前記所定の波長範囲内で長い方の波長を反射するように構成され、これにより、前記偏光ビームスプリッタ(PBS)が、撮像システムに組み込まれ、前記偏光ビームスプリッタ(PBS)に入る画像光が、順次前記第1の光学積層体によって反射され前記光学フィルムを透過し前記第2の光学積層体によって反射された後に、前記偏光ビームスプリッタ(PBS)から出る場合、前記光吸収直線偏光子は、前記画像光の2%未満を吸収するが、前記第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱された画像光の少なくとも50%を吸収する、偏光ビームスプリッタ(PBS)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
偏光ビームスプリッタは、隣接するプリズムの斜辺の間に配設された反射偏光子を含んでもよい。反射偏光子は、多層ポリマーフィルムであってもよい。
【発明の概要】
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、複数のポリマー干渉層を含む、光学フィルムが提供される。各干渉層は、主に、少なくとも450nm~1000nmに広がる所定の波長範囲内で少なくとも1つの波長に対する光干渉によって、光を反射又は透過する。干渉層の合計数は、約100より多く、約300未満である。所定の波長範囲内の、光学フィルム上に実質的に法線入射する光に対して、複数の干渉層は、第1の偏光状態に対して約85%超の平均光透過率を有し、直交する第2の偏光状態に対して約95%超の平均光反射率、及び第2の偏光状態に対して約5%未満の平均光透過率を有する。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、複数の積層された第2のポリマー干渉層上に配設された、複数の積層された第1のポリマー干渉層を含む、光学フィルムが提供される。各第1の干渉層及び第2の干渉層は、主に、同じ所定の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対する光干渉によって光を反射又は透過する。複数の積層された第2の干渉層から最も遠い第1の干渉層である、最外の第1の干渉層、及び、複数の積層された第1の干渉層から最も遠い第2の干渉層である、最外の第2の干渉層について、最外の第1の干渉層及び最外の第2の干渉層は、所定の波長範囲内でそれぞれの第1の波長及び第2の波長の4分の1に等しい光学厚さを有する。第1の波長と第2の波長との間の差は、約40nm未満である。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、第2の光学積層体上に配設され及びそれから1つ以上のスペーサ層によって離間された第1の光学積層体を含む、光学フィルムが提供される。各光学積層体は、主に、少なくとも450nm~600nmに広がる同じ所定の波長範囲内で光干渉によって、光を反射及び透過する複数のポリマー干渉層を含み、これにより、所定の波長範囲内の、光学フィルム上に実質的に法線入射する光に対して、各光学積層体内の複数の干渉層は、第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過し、直交する第2の偏光状態を有する光の少なくとも90%を反射し、第2の偏光状態を有する光の5%未満を透過する。1つ以上のスペーサ層内の各スペーサ層は、主に光干渉によって光を反射又は透過するものではない。各光学積層体は、1つ以上のスペーサ層に近くにあって長い方の波長を反射する干渉層、及び1つ以上のスペーサ層から遠くにあって短い方の波長を反射する干渉層を有する。第1の光学積層体及び第2の光学積層体並びに1つ以上のスペーサ層は、互いに一体的に形成されている。
【0005】
本明細書のいくつかの態様では、所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する法線入射する光の少なくとも80%を透過し、所定の波長範囲内で直交する第2の偏光状態を有する法線入射する光の少なくとも95%を反射する、光学フィルムが提供される。光学フィルムは複数のポリマー層を含み、各ポリマー層は、約200nm未満の平均厚さを有する。複数のポリマー層は、互いに最も遠く離れた複数のポリマー層内の2つのポリマー層として第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、第1の層及び第2の層は、それぞれの第1の厚さ及び第2の厚さを有し、第1の厚さと第2の厚さとの間の差は、約10nm未満である。
【0006】
本明細書のいくつかの態様では、互いに反対側にある第1の主表面及び第2の主表面を有し、それらの間に配設された隣接する非重複の第1の光学積層体及び第2の光学積層体を含む、光学フィルムが提供される。第1の光学積層体は、第1の主表面に近く、第2の主表面から遠くに配設され、及び第2の光学積層体は、第2の主表面に近く、第1の主表面から遠くに配設される。それぞれの光学積層体及び当該光学積層体に最も近い主表面について、光学積層体は、50~300に達する複数の第1の干渉層を含み、各第1の干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過し、主表面に近い各第1の干渉層は、主表面から遠い各第1の干渉層よりも薄く、各第1の干渉層は、直交面内屈折率nx及びny、並びに第1の干渉層の厚さ方向における屈折率nzを有し、nyとnzとの差は0.008未満であり、nxとnyとの差は0.2より大きい。第1の光学積層体は、第2の光学積層体と一体的に形成されている。
【0007】
本明細書のいくつかの態様では、第1の斜辺を有する第1のプリズムと、第1の斜辺に面する第2の斜辺を有する第2のプリズムと、第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)が提供される。光学フィルムは、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含む。光学フィルムは、400nm~700nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射する。第2の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムは、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T1を有し、光が光学フィルムの第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T2を有し、T1とT2との間の最大差は、所定の波長範囲内で入射する光の波長の関数として0.02%未満である。
【0008】
本明細書のいくつかの態様では、第1の斜辺を有する第1のプリズムと、第1の斜辺に面する第2の斜辺を有する第2のプリズムと、第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)が提供される。光学フィルムは、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含む。光学フィルムは、400nm~700nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射する。偏光ビームスプリッタ(PBS)が、点光源、点光源によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ、及び4.5~5.5の範囲内のf値を有する撮像光学レンズを含む撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムが撮像光学レンズから光を受光し、受光した光を画像表面に向け反射させるとき、撮像システムは、33μm未満の20%値全幅を有する点拡散関数を有する。
【0009】
本明細書のいくつかの態様では、第1の斜辺を有する第1のプリズムと、第1の斜辺に面する第2の斜辺を有する第2のプリズムと、第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)が提供される。光学フィルムは、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含む。光学フィルムは、400nm~700nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射する。偏光ビームスプリッタ(PBS)が、点光源、点光源によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ、及び4.5~5.5の範囲内のf値を有する撮像光学レンズを含む撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムが撮像光学レンズから光を受光し、受光した光を画像表面に向け反射させるとき、撮像システムは、60μm未満の15%値全幅を有する点拡散関数を有する。
【0010】
本明細書のいくつかの態様では、第1の斜辺を有する第1のプリズムと、第1の斜辺に面する第2の斜辺を有する第2のプリズムと、第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)が提供される。光学フィルムは、第2の光学積層体上に配設され、それから光吸収直線偏光子によって離間された第1の光学積層体を含む。第1の光学積層体は、第1の斜辺に近く、第2の斜辺から遠く、及び第2の光学積層体は、第2の斜辺に近く、第1の斜辺から遠い。それぞれの光学積層体及び当該光学積層体に最も近い斜辺に対して、当該光学積層体は、50~300に達する複数の干渉層を含み、主に、少なくとも400nm~600nmに広がる同じ所定の波長範囲内で光干渉によって光を反射又は透過し、斜辺に近い干渉層は主に、所定の波長範囲内で短い方の波長を反射するように構成され、斜辺から遠い干渉層は主に、所定の波長範囲内で長い方の波長を反射するように構成される。偏光ビームスプリッタ(PBS)が、撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)に入る画像光が、順次第1の光学積層体によって反射され光学フィルムを透過し第2の光学積層体によって反射された後に、偏光ビームスプリッタ(PBS)から出る場合、光吸収直線偏光子は、画像光の2%未満を吸収するが、第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱された画像光の少なくとも50%を吸収する。
【0011】
本明細書のいくつかの態様では、第1の斜辺を有する第1のプリズムと、第1の斜辺に面する第2の斜辺を有する第2のプリズムと、第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)が提供される。光学フィルムは、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含む。光学フィルムは、少なくとも430nm~630nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射する。第1の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムは、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T3を有し、光が光学フィルムの第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T4を有する。T3及びT4の各々の、所定の波長範囲にわたる平均は、少なくとも92%となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1B】
図1Aの多層光学フィルムの一部分の概略斜視図である。
【
図2】第1の光学積層体及び第2の光学積層体を含む、光学フィルムの概略側面図である。
【
図3】光学フィルムの層厚さプロファイルの概略図である。
【
図9】撮像システムの点拡散関数の概略グラフである。
【
図10】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、s偏光についての透過率の概略プロットである。
【
図11】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、p偏光についての透過率の概略プロットである。
【
図12】反射偏光子フィルム内の順次光学繰り返し単位数(ORU数)の関数としての、反射偏光子フィルム内のORUの厚さのプロットである。
【
図13】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、s偏光についての透過率のプロットである。
【
図14】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、p偏光についての透過率のプロットである。
【
図15】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、s偏光の透過率のプロットである。
【
図16】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、s偏光の透過率のプロットである。
【
図17】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、s偏光の透過率のプロットである。
【
図18】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、s偏光の透過率のプロットである。
【
図19】波長の関数としての、偏光ビームスプリッタ内の光学フィルムの、p偏光についての透過率のプロットである。
【
図20】反射偏光子フィルムを含む偏光ビームスプリッタを利用する、撮像システムの点拡散関数のプロットである。
【
図21】反射偏光子フィルムについての透過係数のプロットである。
【
図22】反射偏光子フィルムについての透過係数のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0014】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、従来のフィルムよりも改善された光学特性を有する、光学フィルムが提供される。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、ヘッドマウントバーチャルリアリティディスプレイ又はオーグメンテッドリアリティディスプレイをはじめとする、様々な光学システムにおける使用に好適な偏光ビームスプリッタにおける使用に好適な、反射偏光子フィルムである。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、高い反射率(例えば、約95%超、96%超、又は97%超)を所定の波長範囲(例えば、400nm~600nm、又は450nm~600nm、又は430nm~680nm、又は430nm~630nm、又は450nm~1000nm)にわたって有する、交互にあるポリマー干渉層のパケットを含み、限定された合計数(例えば、約300未満)の干渉層を有する。いくつかの実施形態では、広い帯域にわたる(例えば、少なくとも400nm又は450nm~少なくとも1000nm又は1050nmにわたる)高い反射率は、限定された合計数(例えば、約300未満)の干渉層により得られる。いくつかの場合では、帯域の端(例えば、少なくとも1000nm又は少なくとも1050)はより長い波長であることが、フィルムが偏光ビームスプリッタに使用されるとき、性能の改善のために望まれる。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、交互にあるポリマー干渉層の2つの(又はそれより多い)パケットを含み、第2のパケットの厚い方の干渉層に近い第1のパケットの干渉層が厚い方となり、第2のパケットの薄い方の干渉層から遠い第1のパケットの干渉層が薄い方となる。このような光学フィルムにより、高品位画像反射及び非常に低い透過漏出(例えば、遮断状態で0.05%未満の透過率)を同時に得ることができることが、見出された。いくつかの実施形態では、二色性偏光子(光吸収直線偏光子)は、2つのパケットの間に含まれる。これにより、2つのパケットの間の複数の反射からの画像汚染を低減することができること、及び/又は光学フィルム内の偏光解消散乱の影響を軽減することができることが見出された。いくつかの実施形態では、本明細書の光学フィルムは、撮像システムの偏光ビームスプリッタに使用されるとき、従来の光学フィルムを利用する他の方法での同等の撮像システムと比較して、改善された点拡散関数(例えば、より狭い20%値全幅)を与える。
【0015】
本明細書中に記載される光学フィルムは、所定の波長範囲内で光を選択的に透過及び反射するように構成された、複数の光学層(例えば、干渉層)を有する多層光学フィルムとして特徴付けることができる。このようないくつかの実施形態では、光学フィルムは、異なる偏光状態の光を選択的に透過及び反射する、反射偏光子として機能する。例えば、
図1Aは、中心軸に沿って位置決めされた複数の干渉層102を含み、合計で(N)の干渉層102を有する光学フィルム100を形成する、多層光学フィルム100の一例の概略斜視図である。
図1Bは、交互にある干渉層102a、及び102bを示す、光学フィルム100のセグメントの概略斜視図である。
図1A~
図1Bは、x方向、y方向、及びz方向を画定する座標系を含む。
【0016】
使用中、入射する光110として描かれる光学フィルム100の主表面(例えば、フィルム表面104)上に入射する光は、光学フィルム100の第1の層に入り、複数の干渉層102を通って伝搬することができ、入射する光110の偏光状態に応じて、光干渉により選択反射され又は透過する。入射する光110は、互いに直交する第1の偏光状態(a)及び第2の偏光状態(b)を含んでもよい。第1の偏光状態(a)は、「通過」状態と考えることができ、一方で第2の偏光状態(b)は、「反射」又は「遮断」状態と考えることができる。入射する光110が複数の干渉層102を通って伝搬していくと、第2の偏光状態(b)における部分の光は隣接する干渉層によって反射され、第2の偏光状態(b)が光学フィルム100によって反射される結果となり、一方で第1の偏光状態(a)における一部分の光は、まとまって光学フィルム100を通過する。
【0017】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、入射する光110の第1の偏光状態(a)及び第2の偏光状態(b)の反射率及び透過率の観点から特徴付けることができる。例えば、光学フィルム100を透過する所定の波長に対する入射する光110の量は、第1の偏光状態(a)についての光透過率(Ta)のパーセント、及び第2の偏光状態(b)についての光透過率(Tb)のパーセントとして表すことができる。光学フィルム100によって反射される所定の波長範囲に対する入射する光110の量は、第1の偏光状態(a)についての光反射率(Ra)のパーセント、及び第2の偏光状態(b)についての光反射率(Rb)の光パーセントとして表すことができる。所与の光学フィルムについて、透過率、反射率、及び損失、例えば吸収による損失の総計は、所定の波長範囲内の光に対して100%となる。いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、所定の波長範囲内の光に対して比較的低い吸光度を有してもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム100による入射する光110の吸収度が比較的低いことにより、光学フィルム100内で発生する熱を少なくすることができ、反射フィルムを全体としてより効率的なものにしていくことができる。他の実施形態では、光学フィルム100は、本明細において他の箇所で更に記載されるように二色性吸収層を含んでもよい。
【0018】
所定の波長範囲は、任意の好適な波長範囲であってもよく、例えば可視光(例えば、約400nm~700nm)、ある範囲の可視光(例えば、約400nm、又は約420nm、又は約430nm、又は約450nm~約600nm、又は約630nm、又は約635nm、又は約650nm、又は約680nm、又は約700nm)、近赤外線(例えば、約800nm~1300nm)、液晶ディスプレイのバックライトなどの光源の出力に基づく範囲(例えば、425nm~675nm)、及び法線外入射で所望の帯域幅(例えば、400nm、又は450nm~1000nm又は~1050nm)を提供することに基づく範囲が挙げられる。いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、2つ以上の所定の波長範囲内、例えば可視光及び近赤外線の範囲内で、異なる偏光状態の光を透過及び反射するように構成されてもよい。例えば、所定の波長範囲は、約430nm~約465nmの第1の範囲、約490nm~約555nmの第2の範囲、及び約600nm~約665nmの第3の範囲を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、本明細書の他の箇所で更に記載されるように、各々が複数の干渉層を含む、多数の積層体/パケットを含んでよく、各積層体/パケットは、異なる所定の波長範囲を対象としてもよく、同じ所定の波長範囲を対象としてもよい。好ましい実施形態では、各積層体/パケットは、実質的に同じ所定の波長範囲を反射するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、干渉層を、一連の2層単位セル又は光学繰り返し単位として特徴付けることができる。各単位セルの厚さは、所定の波長範囲内の目標波長を反射するように構成されてもよい。いくつかの例では、単位セルに対する反射率の中心波長は、2層単位セルの光学的厚さの2倍に相当する。したがって、所定の波長範囲(例えば420nm~635nm)を反射するために、積層体/パケット内の単位セルは異なる厚さを有し、左帯域端から右帯域端までの波長をカバーする。層の光学厚さは、層の物理的厚さに層の屈折率を乗じたものを指す。遮断軸に沿った偏光を反射し、直交する通過軸に沿った偏光を透過させるように構成された光学フィルムの場合、光学厚さを決定するのに使用される屈折率は、遮断軸に沿った屈折率である。光学繰り返し単位内の2つの層は、等しい又はほぼ等しい光学厚さを有してもよい。いくつかの場合では、光学繰り返し単位については、層の対における高屈折率層の光学厚さを層の対の合計光学厚さで除算しての、「f比」の観点から特徴付けることが有用である。いくつかの実施形態では、「f比」は、約0.5である。0.5のf比は、これにより干渉層の光学積層体又はパケットの1次(一次)反射帯域の反射出力が最大化されるため、好ましい場合がある。
【0020】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、約1200(N)未満の干渉層102を含み、各干渉層102は、主に光干渉によって、入射する光110を反射又は透過する。いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、約1000未満、又は約800未満、又は約600未満、又は約300未満の、干渉層102を含む。1200以上の干渉層102が光学フィルム100に含まれてもよく、他方、いくつかの場合では、ディスプレイアセンブリ(例えば、LCDディスプレイ)の全体の厚さを減少させることが多くの用途において好ましいことから、フィルムの全体の厚さを減少させるために、合計の層を減らして使用して所望の光学性能を得ることが望ましい場合がある。加えて、又はあるいは、干渉層102の合計数を減らすことにより、製造プロセスにおける複雑性を軽減することができるとともに、変動(例えば、遮断又は通過状態におけるスペクトル変動)が入り込む可能性を低減し、又は最終の光学フィルムにおける製造誤差(例えば、層同士の間の偏光解消による遮断状態透過率の増加、通過状態透過率の減少)を低減することができる。いくつかの実施形態では、干渉層102の合計数Nは、約50超、又は約100超、又は約150超、又は約200超である。
【0021】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100、又は光学フィルム100に含まれる光学積層体は、所定の波長範囲内の実質的に法線入射する光110に対して、第1の偏光状態(a)について約85%超の平均光透過率(Ta)、直交する第2の偏光状態(b)について約95%超の平均光反射率(Rb)、及び第2の偏光状態(b)について約5%未満の平均光透過率(Tb)を有する。いくつかの実施形態では、Taは、約80%超、又は約85%超、又は約87%超、又は約89%超である。いくつかの実施形態では、Rbは、約90%超、又は約95%超、又は約96%超、又は約97%超、又は約98%超である。いくつかの実施形態では、Tbは、約5%未満、又は約4%未満、又は約3%未満、又は約2%未満、又は約1%未満、又は約0.5%未満、又は約0.3%未満、又は約0.2%未満、又は約0.1%未満、又は約0.05%未満、又は約0.04%未満、又は約0.03%未満、又は約0.02%未満、又は約0.01未満である。いくつかの実施形態では、所望のTa、Tb、及びRbは、約50超、又は約100超、かつ約1200未満、又は約600未満、又は約300未満の合計の干渉層102を、光学フィルム100内で、又は光学フィルム100内に含まれる光学積層体内で使用して得られる。比較的少数の層による高Rb(例えば、約95%超)及び低Tb(例えば、約5%未満)は、干渉層のための材料を選択し、フィルムの延伸比を制御することによって、得ることができ、これにより、第2の偏光状態を有する光についての隣接する干渉層の間の屈折率差は小さくなり(例えば0.008未満)、第1の偏光状態を有する光についての隣接する干渉層の間の屈折率差は大きくなる(例えば、約0.2超)。屈折率すなわち屈折の率は、波長が指定されていない場合、550nmの波長での屈折率とみなしてもよい。
【0022】
光学フィルムの透過率は、全般的に、透過する光の強度を入射する光の強度によって除算したもの(所与の波長、入射方向などの光についてのもの)を指すが、「外部透過率」又は「内部透過率」という用語で表されることもある。光学フィルムの外部透過率が光学フィルムの透過率となるのは、周囲が空気であり、かつ要素の前方の空気/要素界面のフレネル反射に関して、又は要素の後方の要素/空気界面のフレネル反射に関していかなる補正もされない場合である。光学フィルムの内部透過率がそのフィルムの透過率となるのは、その前方表面及び後方表面のフレネル反射が除かれた場合である。前方及び後方のフレネル反射を除くことは、計算によって(例えば、適切な関数を外部透過スペクトルから引き算することによって)、又は実験によってのいずれかで行うことができる。多くのタイプのポリマー及びガラス材料では、フレネル反射は、2つの外部表面の各々で約4~6%(法線入射角又はほぼ法線入射角について)であり、これにより、外部透過率が、内部透過率と比べ約10%下方に変化する。本明細書で内部又は外部を指定せずに透過率に言及する場合、文脈により特に明記しない限り、透過率は、外部透過率を指すものと見なしてもよい。
【0023】
光学フィルムの反射率及び透過率は、例えば、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の2つのプリズムの間で使用されるとき、偏光ビームスプリッタ(PBS)内で使用されるような光学フィルムの総反射率及び総透過率の観点からそれぞれ表すことができる。総透過率は、所与の波長における透過出力を、所与の波長における光が入射するプリズム内の入射出力で、除算したものである。同様に、総反射率は、所与の波長における反射出力を、所与の波長における光が入射するプリズム内の入射出力で、除算したものである。
【0024】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100の干渉層102は、異なる屈折率の特性を示す2つの異なるポリマー材料の交互にある層(例えば、
図1Bに描いたA及びB)を含む。
図1Bに示すように、光学フィルム100は、材料「(A)」及び材料「(B)」と呼ばれる異なる光学材料の交互にある層(例えば、ABABA...)を含む。更に本明細書において他の箇所で記載されるように、2つの異なる材料の様々な層は、共に接着された多数の光学層102(ABABA...)を形成するために、層が共に押出される押出/ラミネーションプロセスにより形成されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、押出プロセス中、光学層102は、フィルムの様々な干渉特性を付与するために延伸されてもよい。例えば、A及びBの光学材料の層は、1つの軸(例えば、X軸)に沿って延伸されてもよく(例えば、5:1の比又は6:1の比で)、直交軸(例えば、Y軸)に沿ってはあまり延伸されなくてもよい。X軸、Y軸、及びZ軸に沿った屈折率は、Aの層又はBの層のいずれかについてそれぞれnx、ny、nzと表記される。また、屈折率は、X軸、Y軸、及びZ軸に沿ってそれぞれ、Aの層及びBの層についてそれぞれ、n1x,n1y,n1z、及びn2x,n2y,n2zとして表記されることもある。
【0026】
Aの層及びBの層を形成するために使用される光学材料の選択では、延伸プロセスの結果としてフィルムに特定の光学特性を付与するように選択されてもよい。例えば、光学層102bを形成する(B)材料は、延伸プロセスによって実質的に変更されない見掛け屈折率(例えば、1.5~1.6のn2)を有してもよい。このように、x方向及びy方向(n2x及びn2y)の両方における「B」の層102bについての屈折率は、延伸プロセス後に両方向について実質的に同じであってもよく、また厚さ方向における屈折率(n2z)と実質的に同じであってもよい。それに対して、光学層102aを形成する(A)材料は、延伸プロセスにより変化する屈折率を有してもよい。例えば、(A)材料の一軸延伸層102aは、X軸又は延伸方向120における屈折率が高くなってもよく(例えば、1.8≦n1x≦1.9)、Y軸又は非延伸方向122に関連して異なる屈折率を有してもよく(例えば、1.5≦n1y≦1.6)、これは厚さ方向における屈折率と実質的に等しくてもよい(例えば1.5≦n1z≦1.6)。いくつかの実施形態では、n1yとn1zとの間の差の絶対値は0.008未満であり、n1xとn1yとの差は約0.2より大きい。延伸方向における屈折率が高くなるため、材料(A)を含む層102aは、高屈折率(HIR)層102aと考えてもよく、一方で材料(B)を含む干渉層102bは、低屈折率(LIR)層102bと考えてもよい。いくつかの実施形態では、n2yとn2zとの間の差の絶対値は、0.005未満である。いくつかの実施形態では、n2x,n2y,及びn2zの各々が、1.5~1.6である。いくつかの例では、交互にあるABの層の屈折率は、適切な材料選択及び加工条件によって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、層102の光学特性により、光学フィルム100が、非延伸軸122に対して配向された所定の波長範囲内で入射する光110の第1の偏光状態(a)成分を実質的に透過させる反射偏光子として作用し、一方で、延伸軸120は、所定の波長範囲内の第2の偏光状態(b)における入射する光110の成分が光干渉により実質的に反射される反射軸に対応するものとなる。
【0027】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、延伸軸120に沿って交互にあるHIR層102aとLIR層102bとの間の屈折率の差(すなわち、Δnx=n1x-n2x)により特徴付けることができる。このようないくつかの実施形態では、非延伸軸方向122に沿って交互にあるHIR層102aとLIR層102bとの間の屈折率は、非延伸軸方向122における屈折率の差(すなわち、Δny=n1y-n2y)が約0.0(例えば、約0.02未満、又は約0.01未満、又は約0.005未満の|Δny|)であるように、実質的に同じであってもよい。いくつかの例では、HIR層102aとLIR層102bとの間のΔnxを増加させることで(例えば、材料の選択、及び/又はフィルムの一軸配向の制御によって)、同じ光出力を有する、より低いΔnxを有する光学フィルムと比較して、より少ない合計の数の干渉層を使用して、所与の波長範囲についての偏光が十分に透過/反射可能になる。例えば、実施例1の反射偏光フィルムの各パケットは、276の干渉層(138の光学繰り返し単位)を含み、各パケットは、通過状態において空気中で法線入射する光に対して85%超の平均光透過率、遮断状態において空気中で法線入射する光に対して95%超の平均光反射率及び5%未満の平均光透過率を有し、この場合、平均は約400nm、又は約450nm~約1000nm、又は約1050nmの波長範囲にわたってのものである。(
図21に示したデータは、2パケット偏光子に関するものであるが、反射の大部分は入射する光に面するパケットによるものであるため、2つのパケットのうちの一方のみを有する反射偏光子について同様の結果が保持される)。こうして、いくつかの従来の反射偏光子フィルムと同様の数の層によって、ただし大幅に広い帯域幅にわたって、好適な反射率及び透過率が得られた。
【0028】
好ましくは、各干渉層102のX軸が各層についてX-Y平面内の最大屈折率を得るための方向を表すように、干渉層102の各々の延伸軸の方向は、実質的に整列される(例えば、整列されるか、又はほぼ整列される)。しかし、機械公差及び干渉層102の数によって、干渉層(例えば、層に対する最大屈折率又は最大屈折を得る方向を表す)の各々に対する延伸軸120は、約±2°の変動内に整列されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100、又は光学フィルム100に含まれる光学積層体は、主に光干渉によって光を反射又は透過する、合計で100超かつ600(N)未満又は300(N)未満の、第1の層102a及び第2の層102bを含んでもよい。例えば、光学フィルム100は、300未満かつ100超の第1の層102a、及び300未満かつ100超の第2の層102bを含んでもよい。別の例として、光学フィルム100は、50~300の第1の層102aを含んでもよく、また50~300の第2の層102bを含んでもよい。いくつかの実施形態では、隣接する第1の層102a及び第2の層102bの各々の対に対して、層は、最大屈折率がそれぞれの層について得られた方向を表す、延伸軸を画定することができる(例えば、2つの層に対する屈折率n1x及びn2xに対応するX軸/方向120)。一次軸に対する第1の層102aと第2の層102bとの間の屈折率の差(例えば、Δnx=n1x-n2x)は、約0.2超、又は約0.24超であってもよい。いくつかの実施形態では、干渉層102がそれぞれの延伸軸の方向の最大角度範囲を約2度未満に規定するように、第1の光学層102a及び第2の光学層102bの各々に対するそれぞれの延伸軸の方向は、実質的に整列されてもよい。
【0030】
複数の干渉層102を含む光学フィルム100は、任意の好適な技術を使用して形成することができる。多層光学フィルムを形成するための全般的な技術は、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)「光学フィルム」、米国特許第6,179,948号(Merrillら)「光学フィルム及びその製造プロセス」、米国特許第6,783,349号(Neavinら)「多層光学フィルムを作製するための装置」、及び米国特許出願公開第2011/0272849号(Neavinら)「多層ポリマーフィルムを製造するための供給ブロック」に記載されている。例えば、それぞれ光学材料A及び光学材料Bを含む層102a及び層102bは、共押出し、キャスティング及び配向プロセスを使用して作製され、数十から数百の干渉層102の積層体/パケットを形成し、その後、押出された層を延伸又はそうでなければ配向させて、干渉層102の積層体/パケットを形成することができる。各積層体/パケットは、光学フィルム100の所望の特性に応じて約200~約1000の合計の干渉層を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、「積層体/パケット」は、連続する一連の、交互にある干渉層102a、102bを指すために使用され、これには積層体/パケット内に形成された(例えば、順次配設された)スペーサ又は非干渉層のいずれも存在しない。いくつかの実施形態では、スペーサ、非干渉層、又は他の層は、所与の積層体/パケットの外側に加えてもよく、これにより、積層体/パケット内の干渉層102の交互にあるパターンを破壊することなく、フィルムの外側層を形成する。
【0031】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、共押出しによって作製することができる。作製方法は、(a)仕上げたフィルムに使用される第1のポリマー及び第2のポリマーに対応する樹脂の少なくとも第1のストリーム及び第2のストリームを提供することと、(b)好適な供給ブロックを使用して、第1のストリーム及び第2のストリームを複数の層に分割することであって、例えば、供給ブロックが、(i)第1の流れチャネル及び第2の流れチャネルを含む勾配プレートであって、第1のチャネルが流れチャネルに沿って第1の位置から第2の位置まで変化する断面積を有する、勾配プレートと、(ii)第1の流れチャネルと流体連通する第1の複数の導管、及び第2の流れチャネルと流体連通する第2の複数の導管を有する供給管プレートであって、各導管がそれ自体のそれぞれのスロットダイに供給し、各導管が第1の端部及び第2の端部を有し、導管の第1の端部が流れチャネルと流体連通し、導管の第2の端部がスロットダイと流体連通する、供給管プレートと、(iii)任意選択的に、上記導管の近位に配置された軸方向のロッドヒータと、を含む、ものである、分割することと、(c)複合ストリームを押出ダイに通過させて、多層ウェブを形成することであって、各層が、隣接する層の主表面に概ね平行である、多層ウェブを形成することと、(d)多層ウェブを、キャスティングホイール又はキャスティングドラムと呼ばれることもあるチルロール上にキャストして、キャスト多層フィルムを形成することと、を含んでもよい。このキャストフィルムは、仕上げたフィルムと同じ数の層を有してもよいが、キャストフィルムの層は、典型的には、仕上げたフィルムの層の数よりもはるかに厚い。
【0032】
冷却後、多層ウェブを再加熱し、引き伸ばし、又は延伸して、ほぼ仕上げた多層光学フィルムを製造することができる。引き伸ばし又は延伸により、2つの目標、すなわち、層をその所望の最終的な厚さプロファイルまで薄くすること、また層の少なくともいくつかが複屈折となるように層を配向すること、を達成する。配向又は延伸は、ウェブの幅方向に沿って(例えば、テンターを介して)、ウェブの下流方向に沿って(例えば、長さ配向器を介して)、又はそれらの任意の組合せで、同時又は順次のいずれでも達成することができる。1つの方向のみに沿って延伸する場合、延伸は「非拘束」(フィルムは延伸方向に直角な面内方向にて寸法的に緩和可能である)であってもよく、又は「拘束」(フィルムが拘束され、延伸方向に直角な面内方向にて寸法的に緩和可能ではない)であってもよい。両面内方向に沿って延伸する場合、延伸は対称的、すなわち、直交する面内方向に沿って等しくてもよく、又は非対称的であってもよい。あるいは、フィルムを、バッチプロセスで延伸してもよい。いずれの場合でも、後続の又は並行的な引き伸ばしの低減、応力又は歪みの平衡、ヒートセット、及び他の加工操作もフィルムに適用することができる。
【0033】
好ましくは、様々な層のポリマーは、あまり流れが乱れることなく共押出できるように、同様のレオロジー的特性、例えば溶融粘度を有するように選択される。押出条件は、それぞれのポリマーを供給ストリーム及び溶解ストリームとして、連続的かつ安定した様式で、適切に供給、溶融、混合、及びポンプ送りするように選択されてもよい。溶融ストリームの各々を形成し、維持するために使用される温度は、温度範囲の下限で凍結、結晶化又は過大な圧力低下を回避し、温度範囲の上限で材料劣化を回避する範囲内で選択されてもよい。
【0034】
光学フィルム100に好適な例(A)の材料は、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、PENを含有するコポリマー、及びポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又は二安息香酸)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含んでもよい。光学フィルム100に好適な例(B)の材料は、例えば、PENをベースとするコポリエステル、PETをベースとするコポリエステル、ポリカーボネート(PC)、又はこれら3種類の材料のブレンドを含んでもよい。妥当な数の層により高反射率を達成するために、隣接するミクロ層は、x軸に沿って偏光された光について、例えば、少なくとも0.2の屈折率の差(Δnx)を示すことができる。
【0035】
光学フィルム100は、いくつかの実施形態では、約100超かつ約600未満又は約300未満の合計で(N)の干渉層102を有するものとして記載されることがあるが、層の合計数(N)の下限は、記載された光学特性を得るように構成された、任意の好適な総計であってもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、得られた光学特性と、層合計数(N)/得られたフィルムの厚さとの間で相殺関係となる場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、フィルムのコントラスト比(Ta/Tb)が、上述したような製造上の問題を全く有しない、光学フィルム100内に含まれる干渉層102の合計数を増加させることによって全体的に増加してもよいが、フィルムの厚さはまた、層の数が増加するとともに増加する。いくつかの実施形態では、最新の薄型光学ディスプレイ装置においてなど、フィルムの全体的な厚さは、このような光学ディスプレイユニットにおいてスペースの利用可能性が制限されるため、制限要因となる場合がある。いくつかの実施形態では、光学フィルム100により、他のフィルム構造(例えば、いくつかの従来のディスプレイユニットで使用された吸収偏光子及び反射偏光の組み合わせ)と比較して、フィルム厚さを著しく減少させつつ(例えば、半分)、1つ以上の光学特性(例えば、コントラスト比)の著しい向上をもたらすことができる。更に、フィルムの過剰な厚さは、フィルムを伝搬する通過状態の光の偏光解消により、全体的なコントラスト比が減少するという危険性をもたらす場合がある。
【0036】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、約100~約1200の合計の干渉層102を有してもよく、任意の必須ではない非干渉層又は保護層を含む、光学フィルム100の全体の厚さが約100μm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、光学フィルム100の層の全てにわたって、約100μm未満(例えば、80μm未満、又は50μm~80μmの範囲内)の合計厚さを有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、個々の干渉層102の厚さは、干渉層102の30%未満が約200nm超の厚さを有するように(例えば、干渉層102の5%未満が200nm超の厚さを有するか、又は全ての干渉層102が約200nm未満の厚さを有するように)、比較的薄くてもよいが、光学フィルム100内の位置の関数として変化してもよい。いくつかの例では、光学フィルム100は、フィルムの厚さプロファイルの観点から特徴付けることができる。例えば、個々の干渉層102の厚さは、個々の干渉層102の厚さが、最外の干渉層から光学フィルム100の中心近くの干渉層まで移動するにつれ、全体的に増加するように(例えば、局所的な変動とは別に増加するように)、変化してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、光学フィルムは、干渉層の2つ以上の積層体又はパケットを含む。
図2は、光学フィルム200の互いに反対側にある第1の主表面204と第2の主表面214との間に配設された、第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2を含む、光学フィルム200の概略側面図である。第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2の各々は、複数の干渉層を含み、複数の干渉層102について記載したとおりであってもよい。光学フィルム200内に含まれる干渉層の数は、
図2に概略的に示されるものよりも大幅に多くてもよく、本明細書において他の箇所で記載される範囲のうちのいずれかのうちにあってもよい。第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2は、それらが層を全く共有せず、一方の光学積層体の層が他方の光学積層体の層に散在しないという点で、非重複である。第1の保護境界層(PBL)205a及び第2のPBL205bは、第1の光学積層体202-1の両側に含まれ、第1の保護境界層207a及び第2の保護境界層207bは、第2の光学積層体202-2の両側に含まれる。図示した実施形態では、PBL205a及び207aは、光学フィルム200の最外層である。中間層209は、PBL205bと207bとの間に含まれる。中間層209は、PBL205a及び207bと共に、第1の光学積層体202-1と第2の光学積層体202-2との間のスペーサ層として記載されてもよい。あるいは、第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2は、それらのそれぞれのPBLを含むものとして記載されてもよく、中間層209は、スペーサ層として記載されてもよい。いくつかの実施形態では、PBL205a、205b、207a、及び207bの各々は、光学的に厚い(すなわち、厚さが、所定の波長範囲内の波長よりも実質的に大きい)。いくつかの実施形態では、光学的に厚い層は、約1μm超の厚さ、又は所定の波長範囲内の最大波長の2倍超、又は所定の波長範囲内の最大波長の3倍超の厚さを有する。いくつかの実施形態では、中間層209は、光学的に厚い。
【0039】
いくつかの実施形態では、中間層209は、光吸収直線偏光子である。いくつかの実施形態では、光吸収直線偏光子は、第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2の遮断軸(第2の偏光状態)の各々と実質的に整列された(例えば、5度以内、又は2度以内の)遮断軸を有する。いくつかの実施形態では、中間層209は、第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過し、第2の偏光状態を有する光の少なくとも50%を吸収する、二色性偏光子である。いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、光学フィルム200の各層を含む溶融ストリーム、中間層209内の二色性染料によるもの、を形成し、次いで溶融ストリームをチルロール上にキャストし、次いで、キャストフィルムを実質的に一軸配向することによって作製される。第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2の高屈折率層、並びに中間層内の二色性染料は、結果として実質的に同じ方向に沿って配向されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、一体的に形成される。本明細書で使用するとき、第2の要素と「一体的に形成された」第1の要素は、第1の要素及び第2の要素が、別個に製造され次いでその後接合されるのではなく、一緒に製造されたことを意味する。「一体的に形成された」には、第1の要素を製造し、続いて第2の要素を第1の要素上で製造することが包含される。複数の層を含む光学フィルムは、層が別個に製造され次いでその後接合されるのではなく、一緒に製造される(例えば、共通の溶融ストリームからキャストし、次いでキャスト層を配向することによる)場合、一体的に形成される。2つ以上のパケットを有する一体的に形成された光学フィルムは、例えば、別個のパケットクリエータ内で溶融ストリームを形成し、パケットを共通の溶融ストリームに統合し、次いで、共通の溶融ストリームをキャストすることで、キャストフィルムを形成し、次いで、キャストフィルムを配向することによって(例えば、実質的に一軸延伸することによって)、作製することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2の各々は、主に、少なくとも450nm~600nm(例えば、400nm~700nm)、又は少なくとも400nm~600nm、又は少なくとも450nm~650nm、又は少なくとも400nm~700nm)に広がる同じ所定の波長範囲内で光干渉によって光を反射及び透過する、複数の干渉層(例えば、ポリマー干渉層)を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する法線入射する光の少なくとも80%を透過し、所定の波長範囲内で直交する第2の偏光状態を有する法線入射する光の少なくとも95%を反射する。光学フィルム200は、複数のポリマー層(第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2)の干渉層)を含んでもよく、各ポリマー層は、約200nm未満の平均厚さを有する。複数のポリマー層は、複数のポリマー層内の互いに最も遠い2つのポリマー層として、第1のポリマー層203a及び第2のポリマー層203bを含んでもよい。第1の層203a及び第2の層203bは、それぞれの第1の厚さ及び第2の厚さ(例えば、
図3に描かれた、厚さt
1、及び厚さt
N)を有する。いくつかの実施形態では、第1の厚さと第2の厚さとの間の差の絶対値は、約20nm未満、又は約10nm未満、又は約8nm未満、又は約7nm未満である。
【0043】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、複数の積層された第2の干渉層(第2の光学積層体202-2の干渉層)上に配設された、複数の積層された第1のポリマー干渉層(第1の光学積層体202-1の干渉層)を含み、各第1の干渉層及び第2の干渉層は、主に、同じ所定の波長範囲内で少なくとも1つの波長に対する光干渉によって光を反射又は透過する。いくつかの実施形態では、最外の第1の干渉層(第1の層203a)は、複数の積層された第2の干渉層から最も遠い第1の干渉層であり、最外の第2の干渉層(第2の層203b)は、複数の積層された第1の干渉層から最も遠い第2の干渉層である。いくつかの実施形態では、最外の第1の干渉層及び第2の干渉層は、所定の波長範囲内でそれぞれの第1の波長及び第2の波長の4分の1に等しい光学厚さを有する。いくつかの実施形態では、第1の波長と第2の波長との間の差は、約80nm未満、又は約60nm未満、又は約40nm未満、又は約30nm未満、又は約20nm未満、又は約10nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の波長及び第2の波長の各々は、約420nm~約480nmの範囲内である。
【0044】
いくつかの実施形態では、最内の第1の干渉層206aは、複数の積層された第2の干渉層に最も近い第1の干渉層であり、最内の第2の干渉層206bは、複数の積層された第1の干渉層に最も近い第2の干渉層であり、最内の第1の干渉層206a及び第2の干渉層206bは、所定の波長範囲内でそれぞれの第3の波長及び第4の波長の4分の1に等しい光学厚さを有する。いくつかの実施形態では、第3の波長と第4の波長との間の差は、約120nm未満、又は約100nm未満、又は約80nm未満、又は約60nm未満、又は約40nm未満、又は約30nm未満、又は約20nm未満、又は約10nm未満である。いくつかの実施形態では、第3の波長及び第4の波長の各々は、約600nm~約635nmの範囲内である。
【0045】
第2の光学積層体202-2から反射する光線213が、図示されている。他の光線は、第2の光学積層体202-2を通過し、第1の積層体202-1によって反射されてもよい。第1の積層体202-1によって反射された光の一部は中間層209によって吸収されてもよく、この光の一部は、第2の光学積層体202-2によって反射されてもよく、又は第2の光学積層体202-2を通って透過してもよい。いくつかの場合では、光は、第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱される。散乱された光は、概して、鏡面反射方向以外の方向に伝搬し、これは、例えば光学フィルム内の不純物又は欠陥から生じる可能性がある。より高い入射角での光線215が第2の光学積層体202-2を通過し、第1の光学積層体202-1から散乱され、中間層209によって吸収される。より全般的には、一部の光、特に高い入射角での光は、第1の光学積層体202-1及び第2の光学積層体202-2のうちの少なくとも一方によって散乱されてもよく、中間層209が、散乱された光の少なくとも一部分を吸収してもよい。
【0046】
本明細書の光学フィルムにおいて、様々な層厚さプロファイルを使用することができる。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、2つの光学積層体/パケットを含み、各々の積層体/パケットは、2つの光学積層体/パケットが同じ所定の波長範囲を反射するように、実質的に重複する厚さプロファイルを有する。薄い方の干渉層が光学フィルムの最外の表面に近いように、及び厚い方の干渉層が、いずれかの最外の表面から遠いように、光学パケットを配置することにより、様々な用途において改善された光学特性(例えば、偏光ビームスプリッタを利用するディスプレイ用途におけるもの)が得られることが見出され、したがって典型的には好ましいものであり、ただし、他の構成が可能である。光学フィルムにより、例えば、光学システムの偏光ビームスプリッタに使用されるとき、従来の反射偏光子フィルムと比較して、s偏光について反射率が高くなること、p偏光について透過率が高くなること、及びより広い範囲の入射角にわたるs偏光の透過率が低くなることのうちの1つ以上をもたらすことができる。
【0047】
図3は、2つの光学積層体又はパケットを含む光学フィルム200などの、光学フィルムの層厚さプロファイルの概略図である。第1の光学積層体302-1は、光学フィルムの最外の干渉層でのt
1から、第2の光学積層体302-2に最も近い光学フィルムの内部干渉層である第1の光学積層体302-1の最外の干渉層でのt
mまでの範囲の厚さを有する、複数の干渉層を含む。第2の光学積層体302-2は、第1の光学積層体302-1に最も近い光学フィルムの内部干渉層である第2の光学積層体302-2の最外の干渉層でのt
m+1から、光学フィルムの最外の干渉層でのt
Nまでの範囲の厚さを有する、複数の干渉層を含む。いくつかの実施形態では、|t
1-t
N|は、約20nm未満、約15nm未満、又は約12nm未満、又は約10nm未満、又は約8nm未満、又は約7nm未満、又は約6nm未満である。いくつかの実施形態では、|t
m-t
m+1|は、約40nm未満、又は約30nm未満、又は約20nm未満、又は約15nm未満、又は約12nm未満、又は約10nm未満である。
【0048】
いくつかの実施形態では、光学フィルムは、複数のポリマー層を含み、各ポリマー層は、約200nm未満の平均厚さを有し、複数のポリマー層は、複数のポリマー層内で互いに最も遠い2つのポリマー層として第1のポリマー層及び第2のポリマー層(例えば、層203a及び層203b)を含み、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、それぞれの第1の厚さt1、及び第2の厚さtNを有し、第1の厚さと第2の厚さとの間の差(本明細書で非負のものとして定義される厚さの差)は、約20nm未満であり、又は|t1-tN|について記載されている範囲のいずれかにある。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、1つ以上のスペーサ層によって離間された第1の光学積層体及び第2の光学積層体を含み、第1の光学積層体は、複数のポリマー層内に第1の複数の層を含み、第2の光学積層体は、複数のポリマー層内に第2の複数の層を含み、第1の光学積層体は、第1のポリマー層を含み、第2の光学積層体は、第2のポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、第1の複数の層内に第3のポリマー層(例えば、第1の光学積層体202-1内に層206a)、及び第2の複数の層内に第4のポリマー層(例えば、第2の光学積層体202-2内に層206b)を、互いに最も近いそれぞれ第1の複数の層及び第2の複数の層内の2つのポリマー層として含み、第3の層及び第4の層はそれぞれ第3の厚さ及び第4の厚さを有し、第3の厚さと第4の厚さとの間の差は、約40nm未満であり、又は|tm-tm+1|について記載されている範囲のいずれかにある。
【0049】
本明細書の光学フィルムは、様々な用途に使用することができる。例えば、光学フィルムは、ディスプレイ用途で通常的に使用される反射偏光子の代わりに使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書の光学フィルムは、偏光ビームスプリッタ(PBS)に組み込まれる。
【0050】
図4は、第1のプリズム430及び第2のプリズム440を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)450の概略側面図である。第1のプリズム430は第1の斜辺432を含み、第2のプリズム440は、第2の斜辺442を含む。光学フィルム400は、第1の斜辺432と第2の斜辺442との間に配設され、それらに接着されている。光学フィルム400は、第1の斜辺432及び第2の斜辺442に、それぞれ光学的に透明な接着剤層(
図4には図示せず)により接着されてもよい。光学フィルム400は、本明細書に記載の光学フィルムのいずれであってもよい。例えば、光学フィルム400は、光学フィルム100又は光学フィルム200に相当するものであってもよく、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム400は、光学フィルム200に相当するものであってもよく、第1の斜辺432に近く第2の斜辺442から遠い第1の光学積層体202-1を有してもよく、及び第2の斜辺442に近く第1の斜辺432から遠い第2の光学積層体202-2を有してもよい。この場合では、層203aは、第1の斜辺432に最も近い干渉層であり、層203bは、第2の斜辺442に最も近い干渉層である。
【0051】
プリズムは、
図4に概略的に図示したように直角二等辺三角形である断面を有してもよく、又は他の断面を有してもよい。例えば、プリズムの側部のうちの1つが湾曲していてもよく、又は、断面は非二等辺三角形であってもよい。プリズムは、横方向寸法とほぼ同じ長さ(ページに)を有しても、又は横方向寸法と実質的に異なる長さを有してもよい。例えば、長さは、プリズムが実質的にロッド形状になるように、横方向寸法よりも実質的に大きくてもよい。ロッドはその後、実質的に立方体プリズムであってもよい複数のプリズムに分離されてもよい。
【0052】
図5は、偏光ビームスプリッタ(PBS)550の概略側面図であり、多くの点で偏光ビームスプリッタ(PBS)450と同様である。偏光ビームスプリッタ(PBS)550は、第1の斜辺532を有する第1のプリズム530、及び第1の斜辺532に面する第2の斜辺542を有する第2のプリズム540、を含む。光学フィルム500は、第1の光学的に透明な接着剤層534及び第2の光学的に透明な接着剤層544を介して、第1の斜辺532と第2の斜辺542との間に配設され、それらに接着されている。光学フィルム500は、第2の光学積層体502-2上に配設され、それから光吸収直線偏光子509によって離間された第1の光学積層体502-1を含む。第1の光学積層体502-1は、第1の斜辺532に近く、第2の斜辺542から遠くにあり、及び第2の光学積層体502-2は、第2の斜辺542に近く、第1の斜辺534から遠くにある。いくつかの実施形態では、それぞれの光学積層体、及び当該光学積層体に最も近い斜辺に対して、当該光学積層体は、主に、少なくとも400nm~600nm(例えば、400nm~600nm、又は400nm~700nm)に広がる、又は少なくとも450nm~600nmに広がる、又は少なくとも450nm~650nmに広がる、又は少なくとも450nm~1000nm(例えば、450nm~1000nm、又は450nm~1050nm)に広がる同じ所定の波長範囲内で光干渉によって光を反射及び透過する、50~300に達する複数の干渉層を含む。いくつかの実施形態では、それぞれの光学積層体、及び当該光学積層体に最も近い斜辺に対して、斜辺に近い干渉層が、主に所定の波長範囲で短い方の波長を反射するように構成され、斜辺から遠い干渉層が、主に所定の波長範囲で長い方の波長を反射するように構成される。例えば、光学フィルム500内の干渉層の厚さプロファイルは、
図3でのように見えることがあり、光学フィルムの外側表面に近い薄い方の層(短い方の波長を反射する)、及び光学フィルムの外側表面から遠い厚い方の層(長い方の波長を反射する)を有する。いくつかの実施形態では、偏光ビームスプリッタ(PBS)550は、光軸555を有し、又は、光軸555を有する光学システムに使用される。いくつかの実施形態では、光軸555は、光学フィルム500と、約30~60度、又は約35~55度、又は約40~50度の角度αをなす。
【0053】
本明細書の偏光ビームスプリッタ(PBS)に使用されるプリズムは、任意の好適な材料から作製することができる。例えば、第1のプリズム及び第2のプリズムは、独立して、ガラス(例えば、BK7ガラス)、又はポリカーボネート若しくはポリアクリレートなどのポリマー材料から作製されてもよい。
【0054】
本明細書の偏光ビームスプリッタは、様々な用途に使用することができる。例えば、偏光ビームスプリッタ(PBS)は、撮像又はディスプレイシステムに使用されてもよい。ディスプレイシステムは、バーチャルリアリティディスプレイ又はオーグメンテッドリアリティディスプレイなどのヘッドマウントディスプレイであってもよい。様々なディスプレイ用途における偏光ビームスプリッタ(PBS)の使用は、例えば、米国特許第8,382,293号(Phillips3世ら)及び同第9,535,256号(Carlsら)に記載されている。本明細書の偏光ビームスプリッタ(PBS)は、これらの参考文献に記載されている光学システムのいずれかの偏光ビームスプリッタ(PBS)の代わりに使用することができる。本明細書の偏光ビームスプリッタ(PBS)は、光学システムに特に有利に使用され、光源からの非変調光が光学フィルムの一方の側から反射され、撮像器からの空間変調された光が光学フィルムの反対側から反射される。このような光学システムの例示的な実施形態を
図6~
図7に図示する。
【0055】
図6は、偏光ビームスプリッタ(PBS)650、光源670、画素化空間光変調器672、及び反射構成要素673を含む、光学システム675の概略断面図である。偏光ビームスプリッタ(PBS)650は、本明細書のいずれの偏光ビームスプリッタ(PBS)であってもよく、第1のプリズム630と第2のプリズム640との間に配設された光学フィルム600を含む。光源670は、光学フィルム600の遮断状態で実質的に偏光された光出力676を生成するものである。例えば、光源670は、
図6に描いたx’、y’、z’座標系を参照すると、y’軸に沿って偏光された光を透過するように配設された、非偏光光源及び直線偏光子を含んでもよく、光学フィルム600の遮断状態であってもよい。画素化空間光変調器672は、任意の好適な空間光変調器であってもよい。例えば、画素化空間光変調器672は、ケイ素上液晶(LCoS)パネルと偏光ビームスプリッタ(PBS)650との間に4分の1波長位相子を有する、LCoSパネルであってもよい。反射構成要素673は、好ましくは偏光変化反射体である。例えば、反射構成要素673は、ミラー、及びミラーと偏光ビームスプリッタ(PBS)650との間に配設された4分の1波長位相子を含んでもよい。光源670からの光出力676は、光学フィルム600から反射され、次いで、画素化空間光変調器672から、通過偏光状態を有し、光学フィルム600を透過する変調光678として反射され、次いで、反射構成要素673から遮断偏光状態で反射され、次いで光学フィルム600から反射される。いくつかの実施形態では、光676は、光学フィルム600の遮断偏光状態であるs偏光状態で光学フィルム600に最初に入射し、次いで、画素化空間光変調器672から反射された後、通過偏光状態であるp偏光状態で光学フィルム上に入射し、次いで反射構成要素673から反射された後、s偏光状態で光学フィルム600上に再び入射する。
【0056】
いくつかの実施形態では、光学フィルム600は、第1の光学積層体及び第2の光学積層体、並びに任意選択的にそれらの間に配設された光吸収直線偏光子を含む。いくつかの実施形態では、第1の光学積層体は、第1のプリズム630に面し、光源670からの光出力676を実質的に反射し、第2の光学積層体は、第2のプリズム640に面し、光学フィルム600上に入射する光678を反射構成要素673から実質的に反射する。
【0057】
図7は、偏光ビームスプリッタ(PBS)750、光源770、画素化空間光変調器772、及び反射構成要素773を含む、光学システム775の概略断面図である。偏光ビームスプリッタ(PBS)750は、本明細書のいずれの偏光ビームスプリッタ(PBS)であってもよく、第1のプリズム730と第2のプリズム740との間に配設された光学フィルム700を含む。光源770は、光学フィルム700の遮断状態で実質的に偏光された光出力776を生成するものであり、光源670について記載されたとおりであってもよい。画素化空間光変調器772は、任意の好適な空間光変調器であってもよく、画素化空間光変調器672について記載したとおりであってもよい。反射構成要素773は、好ましくは、反射構成要素673について記載したとおりの偏光変化反射器である。いくつかの実施形態では、反射構成要素773は、4分の1波長位相子、及びレンズの表面上に配設されたミラーを含み、第1のプリズム730に結合されても、又はそれから離間してもよい。他の実施形態では、第1のプリズム730は、湾曲した外部表面を含み、反射構成要素773は、第1のプリズム730の湾曲した外部表面上に配設される。光源770からの光出力776は、光学フィルム700から反射され、次いで通過偏光状態で反射構成要素773から反射され、次いで光学フィルム700を透過し、次いで、遮断偏光状態を有するパターニングされた光778として画素化空間光変調器772から反射され、次いで光学フィルム700から反射される。
【0058】
光学システム675又は光学システム775のいずれかは、更なる構成要素(例えば、拡大光学素子及び/又は導波路)を含んでもよく、例えばヘッドマウントディスプレイに使用されてもよい。光学システム675及び/又は光学システム775は、撮像システムとして記載されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、光学フィルム700は、第2の光学積層体上に配設され、それから光吸収直線偏光子によって離間された第1の光学積層体を含み、本明細書において他の箇所で更に記載されるとおりである。光出力776は、画素化空間光変調器772によってパターニングされて画像を形成することができるため、画像光と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、画像光は偏光ビームスプリッタ(PBS)に入り、順次第1の光学積層体によって反射され光学フィルム700を透過し第2の光学積層体によって反射された後に、偏光ビームスプリッタ(PBS)から出て、光吸収直線偏光子は、画像光の2%未満、又は1.5%未満、又は1%未満を吸収するが、第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱された画像光の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%を吸収する。画素化空間光変調器772は、吸収直線偏光子の吸収決定のとき、完全にオンであってもよく、これにより、光出力776は、おおよそ画像光から光吸収直線偏光子によって吸収された光を差し引いたものになる。
【0060】
図8は、本明細書に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)及び光学フィルムの様々な特性を決定するのに有用な、光学システム875の概略断面図である。光学システム875は、非偏光点光源870、直線吸収偏光子881、点光源870によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ883、光学レンズ885、第1のプリズム830及び第2のプリズム840を含む偏光ビームスプリッタ(PBS)850、並びに第1のプリズム830と第2のプリズム840との間に配設された光学フィルム800を含み、光学レンズ885から光876を受光する。点光源870としては、ピンホール(例えば、小径、例えば、30μmの穴)を有するスクリーンの背後の光を挙げてもよい。光876の一部分は、光学フィルム800から検出器888まで反射され、この検出器は、この反射光の強度を決定し、これによって反射率Rを決定するように構成される。x’、y’、z’座標系を
図8に図示する。直線吸収偏光子881は、y’-z’平面内で、特定の方向に沿って(例えば、y’軸に沿って、又はz’軸に沿って)電界を有する光を、透過するように配向されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、光学レンズ885は、撮像光学レンズである。このような実施形態では、光学システム875は、撮像システムと呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、検出器888は、画像表面890(光学システムが画像を形成する表面)に配設され、同様に、いくつかの実施形態では、検出器889は、画像表面892に配設される。いくつかの実施形態では、光学レンズ885は、例えば、4.5~5.5の範囲、又は4.9~5.1の範囲のf値を有し、又は、f値は名目上5.0であってもよいが、通常の製造変動により、5.0と異なってもよい(例えば、約1%未満異なっていてもよい)。いくつかの実施形態では、検出器888は、撮像システムの点拡散関数(PSF)を決定するように構成される。撮像システムのPSFは、撮像システムの点光源に対する応答(例えば、画像表面890での光出力の拡散)を説明するものである。
図9は、撮像システムのPSFを概略的に図示する。PSFは最大値Maxを有し、半値全幅(FWHM)991、30%値全幅(FW30%Max)993、及び20%値全幅(FW20%Max)995を有する。PSFは、Maxが1に等しくなり、様々な幅の値に影響を及ぼすことのないように、正規化することができる。いくつかの実施形態では、撮像システムは、33μm未満、又は32μm未満、又は31μm未満、又は30.5μm未満、又は30μm未満の20%値全幅を有する、点拡散関数を有する。いくつかの実施形態では、撮像システムは、15μm超、又は20μm超の20%値全幅を有する、点拡散関数を有する。いくつかの実施形態では、撮像システムは、62μm未満、又は60μm未満、又は58μm未満、又は56μm未満、又は54μm未満、又は52μm未満の15%値全幅を有する、点拡散関数を有する。いくつかの実施形態では、撮像システムは、35μm超、又は40μm超の15%値全幅を有する、点拡散関数を有する。いくつかの実施形態では、撮像システムは、21μm未満、又は20μm未満、又は19.5μm未満、又は19.1μm未満の30%値全幅を有する、点拡散関数を有する。いくつかの実施形態では、撮像システムは、10μm超、又は15μm超の30%値全幅を有する、点拡散関数を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、光学フィルム800は、400nm~700nm、又は430nm~630nm、又は450nm~1000nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射する。実質的に反射するとは、少なくとも60%の反射率を意味すると理解することができ、実質的に透過するとは、少なくとも60%の透過率を意味すると理解することができる。第1の偏光状態を有する光は、z’方向に電界を有するp偏光であってもよく、第2の偏光状態を有する光は、y’方向に電界を有するs偏光であってもよい。いくつかの実施形態では、偏光子881は、コリメートレンズ883からのコリメート光が第2の偏光状態を有するように配向される。いくつかの実施形態では、光学レンズ885は、1.8~2.2、又は1.9~2.1、又は2.0~2.1の範囲内のf値を有する。いくつかの実施形態では、光学レンズ885は、光学フィルム800と、約30~60度、又は約35~55度、又は約40~50度の角度をなす、光軸855を中心とする。いくつかの実施形態では、光学フィルム800は、光876が光学フィルム800の第1の主表面(第1のプリズム830に面する)上に最初に入射するとき、総透過率T=T1を有する。いくつかの実施形態では、偏光ビームスプリッタ(PBS)850は、第2のプリズム840が光学レンズ885に面するように位置決めされ、光学フィルム800は、光876が光学フィルム800の第2の主表面(第2のプリズム840に面する)上に最初に入射するとき、総透過率T=T2を有する。コリメートレンズ883からのコリメート光が第2の偏光状態を有するときの波長の関数として、透過率の概略図が、
図10に図示されている。所定の波長範囲は、λ1~λ2である。いくつかの実施形態では、T1とT2との最大差、Δsmaxは、所定の波長範囲内での光876の波長の関数として、0.02%未満、又は0.015%未満、又は0.01%未満、又は約0.008%未満、又は約0.006%未満である。Δsmaxは、所定の波長範囲にわたる|T1-T2|の最大値である。例えば、T1とT2との最大差は、T1が0.01%(すなわち10
-4)であり、T2が0.006%である波長で生じる場合があり、その結果、最大差は、0.004%となる。いくつかの実施形態では、T1及びT2は、各々、所定の波長範囲内で各波長について、約0.05%(すなわち約5×10
-4)未満、又は約0.04%未満、又は約0.03%未満、又は約0.02%未満、又は約0.015%未満である。
【0063】
いくつかの実施形態では、偏光子881は、コリメートレンズ883からのコリメート光が第1の偏光状態を有するように配向される。このような実施形態では、光学フィルム800は、光876が光学フィルム800の第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T=T3を有してもよく、光が光学フィルムの第2の主表面上に最初に入射するとき(例えば、第2のプリズム840が光学レンズ885に面するように、偏光ビームスプリッタ(PBS)850が位置決めされているとき)、総透過率T=T4を有してもよい。コリメートレンズ883からのコリメート光が第1の偏光状態を有するときの波長の関数として、透過率の概略図が、
図11に図示されている。いくつかの実施形態では、T3とT4との平均差、Δavgは、所定の波長範囲内で入射する光の波長の関数として、3%未満、又は2%未満、又は1%未満、又は約0.5%未満である。Δavgは、所定の波長範囲にわたる|T3-T4|の非加重平均である。いくつかの実施形態では、T3とT4との最大差、Δpmaxは、所定の波長範囲内の光876の波長の関数として、5%未満、又は4%未満、又は約3%未満である。Δpmaxは、所定の波長範囲にわたる|T3-T4|の最大値である。いくつかの実施形態では、T3及びT4の各々の、所定の波長範囲にわたる平均は、少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%である。
【0064】
「約、ほぼ(about)」及び「実質的に」などの用語は、それらが本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者によって理解される。特徴部の大きさ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約、ほぼ」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「約、ほぼ」は、特定の値の5パーセント以内を意味するものと理解される。特定の値の約、ほぼとして与えられる量は、正確にその特定の値であってもよい。例えば、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量は、0.95~1.05の値を有する量であること、及びその値が1でもよいことを意味する。「実質的に法線(substantially normal)」の使用が、本明細書に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に法線」とは、法線の30度以内を意味する。実質的に法線として記載される方向は、いくつかの実施形態では、法線の20度以内、若しくは10度以内であってもよく、又は法線若しくは名目上法線であってもよい。
【0065】
以下は、本明細書の例示的な実施形態の列挙である。
【0066】
実施形態1は、複数のポリマー干渉層を含む、光学フィルムであって、各干渉層が、主に、少なくとも450nm~1000nmに広がる所定の波長範囲内で少なくとも1つの波長に対する光干渉によって、光を反射又は透過し、干渉層の合計数は、約100より多く、約300未満であり、これにより、所定の波長範囲内の、光学フィルム上に実質的に法線入射する光に対して、複数の干渉層は、第1の偏光状態に対して約85%超の平均光透過率を有し、直交する第2の偏光状態に対して約95%超の平均光反射率、及び第2の偏光状態に対して約5%未満の平均光透過率を有する、光学フィルムである。
【0067】
実施形態2は、第2の偏光状態に沿ったx軸、x軸に垂直な第1の偏光状態に沿ったy軸、並びにx軸及びy軸に直交する光学フィルムの厚さ方向に沿ったz軸を画定し、複数のポリマー干渉層が、複数の交互にある第1の層及び第2の層を含み、各第1の層及び第2の層は、x軸に沿った屈折率nx、y軸に沿った屈折率ny、及びz軸に沿った屈折率nzを有し、各第1の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.008未満であり、nxとnyとの間の差は、0.2より大きく、各第2の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.005未満であり、第1の層のnxと第2の層のnxとの差は、0.2より大きい、実施形態1に記載の光学フィルムである。
【0068】
実施形態3は、各第1の層について、1.8≦nx≦1.9、1.5≦ny≦1.6、1.5≦nz≦1.6であり、各第2の層について、nx、ny、及びnzの各々が、1.5~1.6である、実施形態2に記載の光学フィルムである。
【0069】
実施形態4は、複数のポリマー干渉層と一体的に形成された二色性偏光子を更に含み、二色性偏光子が、第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過し、第2の偏光状態を有する光の少なくとも50%を吸収する、実施形態1に記載の光学フィルムである。
【0070】
実施形態5は、第1の光学積層体が複数のポリマー干渉層を含み、光学フィルムは、第1の光学積層体上に配設された第2の光学積層体を更に含み、第2の光学積層体は、第2の複数のポリマー干渉層を含み、第2の光学積層体内の各干渉層は、主に所定の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対する光干渉によって、光を反射又は透過し、第2の光学積層体内の干渉層の合計数は、約100より多く、約300未満であり、これにより、所定の波長範囲内の、光学フィルム上に実質的に法線入射する光に対して、第2の複数の干渉層は、第1の偏光状態に対して約85%超の平均光透過率を有し、第2の偏光状態に対して約95%超の平均光反射率、及び第2の偏光状態に対して約5%未満の平均光透過率を有する、実施形態1に記載の光学フィルムである。
【0071】
実施形態6は、第1の光学積層体及び第2の光学積層体が、1つ以上のスペーサ層によって離間されている、実施形態5に記載の光学フィルムである。
【0072】
実施形態7は、第1の光学積層体及び第2の光学積層体の各々が、1つ以上のスペーサ層に近くにあって長い方の波長を反射する干渉層、及び1つ以上のスペーサ層から遠くにあって短い方の波長を反射する干渉層を有する、実施形態6に記載の光学フィルムである。
【0073】
実施形態8は、1つ以上のスペーサ層が、第1の偏光状態を有する所定の波長範囲内での光の少なくとも80%を透過し、第2の偏光状態を有する所定の波長範囲内での光の少なくとも50%を吸収する、二色性偏光子を含む、実施形態6に記載の光学フィルムである。
【0074】
実施形態9は、第1の最外の干渉層が、第2の光学積層体から最も遠い第1の光学積層体内の干渉層であり、第2の最外の干渉層は、第1の光学積層体から最も遠い第2の光学積層体内の干渉層であり、第1の最外の干渉層及び第2の最外の干渉層は、所定の波長範囲内でそれぞれの第1の波長及び第2の波長の4分の1に等しい光学厚さを有し、第1の波長と第2の波長との間の差は、約40nm未満である、実施形態5に記載の光学フィルムである。
【0075】
実施形態10は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された、実施形態1~9のいずれか一つに記載の光学フィルムと、
を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0076】
実施形態11は、偏光ビームスプリッタ(PBS)が、点光源、点光源によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ、及び4.5~5.5の範囲内のf値を有する撮像光学レンズを含む撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムが撮像光学レンズから光を受光し、受光した光を画像表面に向け反射させるとき、撮像システムは、33μm未満の20%値全幅又は60μm未満の15%値全幅を有する点拡散関数を有する、実施形態10に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0077】
実施形態12は、20%値全幅が33μm未満であり、15%値全幅が60μm未満である、実施形態11に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0078】
実施形態13は、20%値全幅が32μm未満であり、15%値全幅が56μm未満である、実施形態11に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0079】
実施形態14は、第2の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムが、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T1を有し、光が光学フィルムの反対側にある第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T2を有し、T1とT2との間の最大差は、430nm~630nmの波長範囲内で入射する光の波長の関数として0.02%未満である、実施形態10に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0080】
実施形態15は、第1の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムが、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T3を有し、光が光学フィルムの反対側にある第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T4を有し、T3及びT4の各々の、430nm~630nmの波長範囲にわたる平均は、少なくとも92%となる、実施形態10に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0081】
実施形態16は、複数の積層された第2のポリマー干渉層上に配設された、複数の積層された第1のポリマー干渉層を含む、光学フィルムであって、各第1の干渉層及び第2の干渉層が、主に、同じ所定の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対する光干渉によって光を反射又は透過し、最外の第1の干渉層は、複数の積層された第2の干渉層から最も遠い第1の干渉層であり、最外の第2の干渉層は、複数の積層された第1の干渉層から最も遠い第2の干渉層であり、最外の第1の干渉層及び最外の第2の干渉層は、所定の波長範囲内でそれぞれの第1の波長及び第2の波長の4分の1に等しい光学厚さを有し、第1の波長と第2の波長との間の差は、約40nm未満である、光学フィルムである。
【0082】
実施形態17は、最内の第1の干渉層が、複数の積層された第2の干渉層に最も近い第1の干渉層であり、最内の第2の干渉層は、複数の積層された第1の干渉層に最も近い第2の干渉層であり、最内の第1の干渉層及び第2の干渉層は、所定の波長範囲内でそれぞれの第3の波長及び第4の波長の4分の1に等しい光学厚さを有し、第3の波長と第4の波長との間の差は、約80nm未満である、実施形態16に記載の光学フィルムである。
【0083】
実施形態18は、所定の波長範囲内の、光学フィルム上に実質的に法線入射する光に対して、複数の積層された第1のポリマー干渉層及び複数の積層された第2のポリマー干渉層の各々が、第1の偏光状態に対して約85%超の平均光透過率を有し、直交する第2の偏光状態に対して約95%超の平均光反射率、及び第2の偏光状態に対して約5%未満の平均光透過率を有する、実施形態16に記載の光学フィルムである。
【0084】
実施形態19は、第2の偏光状態に沿ったx軸、x軸に垂直な第1の偏光状態に沿ったy軸、並びにx軸及びy軸に直交する光学フィルムの厚さ方向に沿ったz軸を画定し、複数の積層された第1のポリマー干渉層及び複数の積層された第2のポリマー干渉層の各々が、複数の交互にある第1の層及び第2の層を含み、各第1の層及び第2の層は、x軸に沿った屈折率nx、y軸に沿った屈折率ny、及びz軸に沿った屈折率nzを有し、
各第1の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.008未満であり、nxとnyとの間の差は、0.2より大きく、各第2の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.005未満であり、第1の層のnxと第2の層のnxとの差は、0.2より大きい、実施形態18に記載の光学フィルムである。
【0085】
実施形態20は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された、実施形態16~19のいずれか一つに記載の光学フィルムと、
を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0086】
実施形態21は、偏光ビームスプリッタ(PBS)が、点光源、点光源によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ、及び4.5~5.5の範囲内のf値を有する撮像光学レンズを含む撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムが撮像光学レンズから光を受光し、受光した光を画像表面に向け反射させるとき、撮像システムは、33μm未満の20%値全幅又は60μm未満の15%値全幅を有する点拡散関数を有する、実施形態20に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0087】
実施形態22は、第2の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムが、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T1を有し、光が光学フィルムの反対側にある第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T2を有し、T1とT2との間の最大差は、所定の波長範囲内で入射する光の波長の関数として0.02%未満である、実施形態20に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0088】
実施形態23は、第1の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムが、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T3を有し、光が光学フィルムの反対側にある第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T4を有し、T3及びT4の各々の、430nm~630nmの波長範囲にわたる平均は、少なくとも92%となる、実施形態20に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0089】
実施形態24は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された、実施形態16~19のいずれか一つに記載の光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、光学フィルムが、第1のプリズムに面し複数の積層された第1のポリマー干渉層を含む第1の光学積層体、及び第2のプリズムに面し複数の積層された第1のポリマー干渉層を含む第2の光学積層体を更に含み、第1の光学積層体は、第2の光学積層体上に配設され及びそれから光吸収直線偏光子によって離間され、これにより、偏光ビームスプリッタ(PBS)が、撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)に入る画像光が、順次第1の光学積層体によって反射され光学フィルムを透過し第2の光学積層体によって反射された後に、偏光ビームスプリッタ(PBS)から出る場合、光吸収直線偏光子は、画像光の2%未満を吸収するが、第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱された画像光の少なくとも50%を吸収する、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0090】
実施形態25は、第2の光学積層体上に配設され及びそれから1つ以上のスペーサ層によって離間された第1の光学積層体を含む、光学フィルムであって、各光学積層体が、主に、少なくとも450nm~600nmに広がる同じ所定の波長範囲内で光干渉によって、光を反射及び透過する複数のポリマー干渉層を含み、これにより、所定の波長範囲内の、光学フィルム上に実質的に法線入射する光に対して、各光学積層体内の複数の干渉層は、第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過し、直交する第2の偏光状態を有する光の少なくとも90%を反射し、第2の偏光状態を有する光の5%未満を透過し、1つ以上のスペーサ層内の各スペーサ層は、主に光干渉によって光を反射又は透過するものではなく、各光学積層体は、1つ以上のスペーサ層に近くにあって長い方の波長を反射する干渉層、及び1つ以上のスペーサ層から遠くにあって短い方の波長を反射する干渉層を有し、第1の光学積層体及び第2の光学積層体並びに1つ以上のスペーサ層は、互いに一体的に形成されている、光学フィルムである。
【0091】
実施形態26は、最外の第1の干渉層が、第2の光学積層体から最も遠い第1の光学積層体内のポリマー干渉層であり、最外の第2の干渉層は、第1の光学積層体から最も遠い第2の光学積層体内のポリマー干渉層であり、最外の第1の干渉層及び最外の第2の干渉層は、所定の波長範囲内でそれぞれの第1の波長及び第2の波長の4分の1に等しい光学厚さを有し、第1の波長と第2の波長との間の差は、約40nm未満である、実施形態25に記載の光学フィルムである。
【0092】
実施形態27は、第2の偏光状態に沿ったx軸、x軸に垂直な第1の偏光状態に沿ったy軸、並びにx軸及びy軸に直交する光学フィルムの厚さ方向に沿ったz軸を画定し、各光学積層体に対して、複数のポリマー干渉層が、複数の交互にある第1の層及び第2の層を含み、各第1の層及び第2の層は、x軸に沿った屈折率nx、y軸に沿った屈折率ny、及びz軸に沿った屈折率nzを有し、各第1の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.008未満であり、nxとnyとの間の差は、0.2より大きく、各第2の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.005未満であり、第1の層のnxと第2の層のnxとの差は、0.2より大きい、実施形態25に記載の光学フィルムである。
【0093】
実施形態28は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された、実施形態25~27のいずれか一つに記載の光学フィルムと、
を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、
偏光ビームスプリッタ(PBS)が、点光源、点光源によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ、及び4.5~5.5の範囲内のf値を有する撮像光学レンズを含む撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムが撮像光学レンズから光を受光し、受光した光を画像表面に向け反射させるとき、撮像システムは、33μm未満の20%値全幅又は60μm未満の15%値全幅を有する点拡散関数を有する、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0094】
実施形態29は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された、実施形態25~27のいずれか一つに記載の光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、第1の光学積層体が、第1のプリズムに面し、第2の光学積層体は、第2のプリズムに面し、1つ以上のスペーサ層は、光吸収直線偏光子を含み、これにより、偏光ビームスプリッタ(PBS)が、撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)に入る画像光が、順次第1の光学積層体によって反射され光学フィルムを透過し第2の光学積層体によって反射された後に、偏光ビームスプリッタ(PBS)から出る場合、光吸収直線偏光子は、画像光の2%未満を吸収するが、第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱された画像光の少なくとも50%を吸収する、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0095】
実施形態30は、所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する法線入射する光の少なくとも80%を透過し、所定の波長範囲内で直交する第2の偏光状態を有する法線入射する光の少なくとも95%を反射する、光学フィルムであって、光学フィルムが、複数のポリマー層を含み、各ポリマー層は、約200nm未満の平均厚さを有し、複数のポリマー層は、互いに最も遠い複数のポリマー層内の2つのポリマー層として第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、第1の層及び第2の層は、それぞれの第1の厚さ及び第2の厚さを有し、第1の厚さと第2の厚さとの間の差は、約10nm未満である、光学フィルムである。
【0096】
実施形態31は、1つ以上のスペーサ層によって離間された第1の光学積層体及び第2の光学積層体を含み、第1の光学積層体が、複数のポリマー層内に第1の複数の層を含み、第2の光学積層体は、複数のポリマー層内に第2の複数の層を含み、第1の光学積層体は、第1のポリマー層を含み、第2の光学積層体は、第2のポリマー層を含む、実施形態30に記載の光学フィルムである。
【0097】
実施形態32は、1つ以上のスペーサ層が、第1の偏光状態を有する光の少なくとも80%を透過し、第2の偏光状態を有する光の少なくとも50%を吸収する、二色性偏光子を含む、実施形態31に記載の光学フィルムである。
【0098】
実施形態33は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された、実施形態32に記載の光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、第1の光学積層体が、第1のプリズムに面し、第2の光学積層体は、第2のプリズムに面し、これにより、偏光ビームスプリッタ(PBS)が、撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)に入る画像光が、順次第1の光学積層体によって反射され光学フィルムを透過し第2の光学積層体によって反射された後に、偏光ビームスプリッタ(PBS)から出る場合、二色性偏光子は、画像光の2%未満を吸収するが、第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱された画像光の少なくとも50%を吸収する、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0099】
実施形態34は、第2の偏光状態に沿ったx軸、x軸に垂直な第1の偏光状態に沿ったy軸、並びにx軸及びy軸に直交する光学フィルムの厚さ方向に沿ったz軸を画定し、複数のポリマー層が、複数の交互にある第1の干渉層及び第2の干渉層を含み、各第1の干渉層及び第2の干渉層は、x軸に沿った屈折率nx、y軸に沿った屈折率ny、及びz軸に沿った屈折率nzを有し、各第1の干渉層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.008未満であり、nxとnyとの間の差は、0.2より大きく、各第2の層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.005未満であり、第1の層のnxと第2の層のnxとの差は、0.2より大きい、実施形態30に記載の光学フィルムである。
【0100】
実施形態35は、互いに反対側にある第1の主表面及び第2の主表面を含み、それらの間に配設された隣接する非重複の第1の光学積層体及び第2の光学積層体を含む、光学フィルムであって、第1の光学積層体が、第1の主表面に近く、第2の主表面から遠くに配設され、及び第2の光学積層体は、第2の主表面に近く、第1の主表面から遠くに配設され、それぞれの光学積層体及び当該光学積層体に最も近い主表面について、光学積層体は、50~300に達する複数の第1の干渉層を含み、各第1の干渉層は、主に光干渉によって光を反射又は透過し、主表面に近い各第1の干渉層は、主表面から遠い各第1の干渉層よりも薄く、各第1の干渉層は、直交面内屈折率nx及びny、並びに第1の干渉層の厚さ方向における屈折率nzを有し、nyとnzとの差は0.008未満であり、nxとnyとの差は0.2より大きく、第1の光学積層体は、第2の光学積層体と一体的に形成されている、光学フィルムである。
【0101】
実施形態36は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含み、光学フィルムが、400nm~700nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射し、これにより、第2の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムは、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T1を有し、光が光学フィルムの第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T2を有し、T1とT2との間の最大差は、所定の波長範囲内で入射する光の波長の関数として0.02%未満である、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0102】
実施形態37は、T1及びT2が、各々、所定の波長範囲内で各波長について、約0.05%未満である、実施形態36に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0103】
実施形態38は、第1の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムが、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T3を有し、光が光学フィルムの第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T4を有し、T3及びT4の間の、所定の波長範囲での平均差は、3%未満である、実施形態36に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0104】
実施形態39は、第1の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムが、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T3を有し、光が光学フィルムの第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T4を有し、T3とT4との間の最大差は、所定の波長範囲内で入射する光の波長の関数として5%未満である、実施形態36に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0105】
実施形態40は、第1の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムが、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T3を有し、光が光学フィルムの反対側にある第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T4を有し、T3及びT4の各々の、430nm~630nmの波長範囲にわたる平均は、少なくとも92%となる、実施形態36に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0106】
実施形態41は、光学フィルムが、第2の偏光状態に沿ったx軸、x軸に垂直な第1の偏光状態に沿ったy軸、並びにx軸及びy軸に直交する光学フィルムの厚さ方向に沿ったz軸を画定し、複数の交互にある高屈折率層及び低屈折率層の各々は、x軸に沿った屈折率nx、y軸に沿った屈折率ny、及びz軸に沿った屈折率nzを有し、各高屈折率層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.008未満であり、nxとnyとの間の差は、0.2より大きく、各低屈折率層について、nyとnzとの間の差の絶対値は、0.005未満であり、高屈折率層のnxと低屈折率層のnxとの差は、0.2より大きい、実施形態36に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0107】
実施形態42は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含み、光学フィルムが、400nm~700nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射し、これにより、偏光ビームスプリッタ(PBS)が、点光源、点光源によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ、及び4.5~5.5の範囲内のf値を有する撮像光学レンズを含む撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムが撮像光学レンズから光を受光し、受光した光を画像表面に向け反射させるとき、撮像システムは、33μm未満の20%値全幅を有する点拡散関数を有する、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0108】
実施形態43は、点拡散関数が、60μm未満の15%値全幅を有する、実施形態42に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0109】
実施形態44は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含み、光学フィルムが、400nm~700nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射し、これにより、偏光ビームスプリッタ(PBS)が、点光源、点光源によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ、及び4.5~5.5の範囲内のf値を有する撮像光学レンズを含む撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムが撮像光学レンズから光を受光し、受光した光を画像表面に向け反射させるとき、撮像システムは、60μm未満の15%値全幅にて全幅を有する点拡散関数を有する、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0110】
実施形態45は、点拡散関数が、33μm未満の20%値全幅を有する、実施形態44に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0111】
実施形態46は、点拡散関数が、20μm未満の30%値全幅を有する、実施形態42~45のいずれか一つに記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0112】
実施形態47は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、第2の光学積層体上に配設され及びそれから光吸収直線偏光子によって離間された第1の光学積層体を含み、第1の光学積層体が、第1の斜面に近く、第2の斜面から遠く、第2の光学積層体は、第2の斜面に近く、第1の斜面から遠く、それぞれの光学積層体、及び当該光学積層体に最も近い斜辺に対して、当該光学積層体は、50~300に達する複数の干渉層を含み、主に、少なくとも450nm~600nmに広がる同じ所定の波長範囲内で光干渉によって光を反射及び透過し、斜辺に近い干渉層は主に、所定の波長範囲内で短い方の波長を反射するように構成され、斜辺から遠い干渉層は主に、所定の波長範囲内で長い方の波長を反射するように構成され、これにより、偏光ビームスプリッタ(PBS)が、撮像システムに組み込まれ、偏光ビームスプリッタ(PBS)に入る画像光が、順次第1の光学積層体によって反射され光学フィルムを透過し第2の光学積層体によって反射された後に、偏光ビームスプリッタ(PBS)から出る場合、光吸収直線偏光子は、画像光の2%未満を吸収するが、第1の光学積層体及び第2の光学積層体のうちの少なくとも一方によって散乱された画像光の少なくとも50%を吸収する、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0113】
実施形態48は、第1の光学積層体の複数の干渉層が、第1の斜辺に最も近い第1の層を含み、第2の光学積層体の複数の干渉層は、第2の斜辺に最も近い第2の層を含み、第1の層及び第2の層は、それぞれの第1の厚さ及び第2の厚さを有し、第1の厚さと第2の厚さとの間の差は、約10nm未満である、実施形態47に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0114】
実施形態49は、
第1の斜辺を含む第1のプリズムと、
第1の斜辺に面する第2の斜辺を含む第2のプリズムと、
第1の斜辺と第2の斜辺との間に配設され、それらに接着された光学フィルムと、を含む、偏光ビームスプリッタ(PBS)であって、光学フィルムの互いに反対側にある第1の主表面と第2の主表面との間に配設された、複数の、交互にある高屈折率層及び低屈折率層を含み、光学フィルムが、430nm~630nmに広がる所定の波長範囲内で第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射し、これにより、第1の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムは、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T3を有し、光が光学フィルムの第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T4を有し、T3及びT4の各々の、所定の波長範囲にわたる平均は、少なくとも92%となる、偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【0115】
実施形態50は、第2の偏光状態を有し、1.8~2.2のf値を有し光学フィルムと約30~60度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して、光学フィルムが、光が光学フィルムの第1の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T1を有し、光が光学フィルムの第2の主表面上に最初に入射するとき、総透過率T2を有し、T1とT2との間の最大差は、所定の波長範囲内で入射する光の波長の関数として0.02%未満である、実施形態49に記載の偏光ビームスプリッタ(PBS)である。
【実施例】
【0116】
実施例1
光学フィルムは、概して
図2に描かれたように作製された。光学フィルムは、光学繰り返し単位(ORU)の2つのパケットを含み、各パケットは138のORUを含んだ。各ORUは、低溶融PEN(90%のPENのコポリマーと10%のPETとの高低屈折率層、及び、15重量%のPETgと85重量%でブレンドされた、85重量%のポリカーボネート/15重量%のPCTg材料からなる、低屈折率でほぼ等方性の層を含んだ。光学フィルムを、米国特許出願公開第2007/0047080号(Stoverら)に記載されているとおりの従来の多層光学フィルムプロセスを使用することによって作製した。所望の層を有する溶融ストリームを形成し、次いでキャスティングホイールにキャストしてキャストフィルムを形成した。次いで、このキャストフィルムを、放物線型テンターを使用して横方向に約6:1の引き伸ばし比で一軸配向して、光学フィルムを得た。ORUに、光学フィルムにわたって順次1から276まで番号付けした。得られたORUの厚さを、ORU数の関数として
図12に示す。高屈折率層及び低屈折率層について得られた屈折率を、表1に示す。
【表1】
【0117】
空気中で法線入射する光についての透過係数を、通過状態及び遮断偏光状態について測定した。これを
図21に示す。
【0118】
BK7ガラスプリズムの間に配設された光学フィルムを用いて、偏光ビームスプリッタ(PBS)を作製した。偏光ビームスプリッタ(PBS)内で光学フィルム上に入射する光の波長の関数としての総透過率を、指定の偏光状態を有し、2.04のf値を有し光学フィルムと45度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に、偏光ビームスプリッタ(PBS)内で光学フィルム上に入射するコリメート光について、測定した。指定の偏光状態は垂直偏光又は水平偏光のいずれかであり、偏光ビームスプリッタ(PBS)を位置決めすることにより、垂直偏光はs偏光として光学フィルム上に入射し、水平偏光はp偏光として光学フィルム上に入射した。光学フィルムの通過軸は、水平であった。透過率については、光学フィルムを配向させて決定し、フィルムのホイール側(キャスティングホイールにキャストした側)を光源(WTSと表記)に向け、フィルムの空気側(ホイール側の反対の側)を光源(ATSと表記)に向けた。
図13及び
図14は、フィルムの各側から光学フィルム上に最初に入射する、それぞれs偏光及びp偏光の波長に対する透過係数(総透過率)を示す。
【0119】
比較例C1~C4
偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムを作製し、実施例1におけるように測定した。比較例C1の光学フィルムは、2つのパケットを含み、第2のパケットを実施例1の第2のパケットに対して裏返すことにより、一方の主表面に最も近いORUは、赤色波長を反射する厚い方の層となり、反対側にある主表面に近いORUは、青色波長を反射する薄い方の層となった。C1の光学フィルムは、約750の干渉層を含んだ。比較例C2の光学フィルムは、層厚さが光学フィルムにわたって単調に変化する、325の干渉層を有する、単一のパケットを有した。比較例C3の光学フィルムが、厚さ範囲が実質的に非重複である2つのパケットを含むことにより、一方のパケットは短い方の波長を反射し、他方のパケットは長い方の波長を反射した。C3の光学フィルムは、約750の干渉層を含んだ。比較例C4のフィルムは、比較例C2のものと同様であり、ただし、干渉層の合計数を275とし、より大きな屈折率差を使用して同様の反射率を得た。
【0120】
比較例C1~C4の各々について、これらのフィルムを製造するために使用される材料及びプロセスは、実施例1について記載されているとおりであり、ただし、干渉層の合計数及びそれらの構成については、上記のようにした。
【0121】
図15~
図17は、比較例C1~C3の光学フィルムの各側上にそれぞれ最初に入射するs偏光についての総透過率を示しており、BK7プリズムキューブ内で、s偏光状態を有し、2.04のf値を有し光学フィルムと45度の角度をなす光軸を中心とした光学レンズを通過した後に偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルム上に入射する、コリメート光に対して決定した。RTS及びBTSは、それぞれ、光学フィルムの赤色で反射する層を有する側が光源に面していること、又は光学フィルムの青色で反射する層を有する側が光源に面していることを表す。
【0122】
実施例2
光学フィルムを作製し、実施例1においてのようにし、ただし、ORUの2つのパケットの間のセンタースペーサ層には、表2に列挙された4つの異なる偏光二色性染料の組み合わせを含めた。
【表2】
【0123】
実施例2の二色性染料を、表3に示すような組み合わせで、ORUの2つのパケットの間のセンタースペーサ層に添加し、二色性染料を、示されたポンド/時間(pph)でPEN樹脂にてマスターバッチ化した。
【表3】
【0124】
空気中で法線入射する光についての透過係数を、通過状態及び遮断偏光状態について測定した。これを
図22に示す。
【0125】
フィルムを、偏光ビームスプリッタ(PBS)内で実施例1におけるように試験した。
図18及び
図19は、実施例2のフィルムの各側から光学フィルム上に最初に入射する、それぞれs偏光及びp偏光の波長に対する透過係数(総透過率)を示す。
【0126】
実施例3
偏光ビームスプリッタ(PBS)を、実施例1におけるように作製した。点光源(直径30μmのピンホールとしてモデル化)、点光源によって発光された光をコリメートするためのコリメート光学レンズ、及び5.0のf値を有する撮像光学レンズを有する撮像システム(
図8参照)に、偏光ビームスプリッタ(PBS)を組み込み、偏光ビームスプリッタ(PBS)内の光学フィルムが撮像光学レンズから光を受光し、受光した光を画像表面に向け反射させた。点拡散関数を決定した。これを、
図20に示す。半値全幅(FWHM)、30%値全幅(FW30%Max)、20%値全幅(FW20%Max)、及び20%値全幅(FW20%Max)を決定した。これを、表4に報告する。比較例C3及びC4の光学フィルムを実施例1の光学フィルムの代わりに用いて、測定を繰り返した。
【表4】
【0127】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。
【0128】
前述の参照文献、特許、及び特許出願はいずれも一貫した方法でそれらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。