(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】上部導体及び下部導体を有するRFIDストラップ
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20240816BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240816BHJP
H01Q 5/378 20150101ALI20240816BHJP
【FI】
G06K19/07 260
G06K19/077 172
G06K19/077 280
G06K19/077 296
G06K19/077 144
H01Q5/378
(21)【出願番号】P 2020558469
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(86)【国際出願番号】 US2019028275
(87)【国際公開番号】W WO2019204698
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-08
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516243711
【氏名又は名称】エイブリィ・デニソン・リテイル・インフォメーション・サービシズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォースター,イアン
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/020748(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/042324(WO,A1)
【文献】特開2015-133153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0164859(US,A1)
【文献】特開2005-216044(JP,A)
【文献】米国特許第06924688(US,B1)
【文献】国際公開第2009/110381(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0302013(US,A1)
【文献】特開2014-003452(JP,A)
【文献】特開2003-030612(JP,A)
【文献】特開2005-101987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
H01Q 5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のストラップパッド及びRFIDチップを含む第1の下部ストラップ導体と、
第2の上部導体と、
前記第1の下部ストラップ導体と前記第2の上部導体との間に位置する誘電体を含むRFIDストラップ装置と、
前記RFIDチップに結合された分離アンテナと、
を含み、
前記分離アンテナへの前記RFIDチップの取り付けを容易にする導電性パッドまたは導電性バンプを前記RFIDチップは含
み、前記分離アンテナは前記一対のストラップパッド及び前記RFIDチップを介して前記第1の下部ストラップ導体に結合される、無線周波数識別(RFID)タグ。
【請求項2】
前記分離アンテナは、ベース基板上に位置する、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記分離アンテナは、第1の周波数で動作する、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記第2の上部導体は、第2のアンテナとして機能する、請求項3に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記第2のアンテナは、前記第1の周波数とは異なる周波数で動作する、請求項4に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記第2の上部導体は、誘電体を介してキャパシタンスによって前記第1の下部ストラップ導体に結合される、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記第2の上部導体は、直接オーミック接続手段を介して前記第1の下部ストラップ導体に結合される、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記直接オーミック接続手段は、導電性インクで満たされた1つ以上の孔を備える、請求項7に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記第2の上部導体は、機械的圧着、または電気化学的工程により前記第1の下部ストラップ導体に接続される、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
RFIDチップに接続された一対のストラップパッドからなる第1の下部ストラップ導体と、
第2のアンテナからなる第2の上部導体と、
前記第1の下部ストラップ導体と前記第2の上部導体との間に位置する誘電体と、を含む第1のアンテナに結合された無線周波数識別(RFID)ストラップ装置であって、
前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナとは異なる周波数で動作するように構成され、前記第1のアンテナは前記一対のストラップパッドおよび前記RFIDチップを介して前記第1の下部ストラップ導体に結合される、無線周波数識別(RFID)ストラップ装置。
【請求項11】
前記第2のアンテナは、前記RFIDチップと前記第1のアンテナとのインピーダンス整合を増加させる、請求項10に記載のRFIDストラップ装置。
【請求項12】
前記第2の上部導体は、感知装置に結合される、請求項10に記載のRFIDストラップ装置。
【請求項13】
前記第2の上部導体は、発光装置に結合される、請求項10に記載のRFIDストラップ装置。
【請求項14】
前記第2の上部導体は、半導体装置に結合される、請求項10に記載のRFIDストラップ装置。
【請求項15】
前記第2の上部導体は、導電性インクで印刷される、請求項10に記載のRFIDストラップ装置。
【請求項16】
第2の上部導体を無線周波数識別(RFID)ストラップ装置に組み込む方法であって、
一対のストラップパッドからなる第1の下部ストラップ導体を提供するステップと、
RFIDチップを前記一対のストラップパッドに接続するステップと、
前記第1の下部ストラップ導体と前記第2の上部導体との間に誘電体を位置させるステップと、
前記RFIDストラップ装置をアンテナに結合するステップと、
を含み、前記アンテナへの前記RFIDチップの取り付けを容易にする導電性パッドまたは導電性バンプを前記RFIDチップは含
み、前記分離アンテナは前記一対のストラップパッド及び前記RFIDチップを介して前記第1の下部ストラップ導体に結合される、方法。
【請求項17】
前記第2の上部導体上に第2のアンテナを形成するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アンテナとは異なる周波数で前記第2のアンテナを動作させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の上部導体を感知装置に結合するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の上部導体を発光装置に結合するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年4月20日に出願された米国仮実用特許出願番号第62/660,510号の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に、第2の導体を無線周波数識別(「RFID」)ストラップ装置に組み込む方法、及びその結果として得られる装置に関する。具体的には、前記方法及びその結果として得られる装置は、RFIDストラップ装置に機能を追加するストラップ導体と第2の導体との結合を可能にする。本方法は、RFIDストラップ装置に特に適している。したがって、本明細書は、これに対する具体的な参照を可能にする。しかし、本発明の方法の態様もまた、他の同様の応用及び装置で同様に適用可能であることは、理解すべきである。
【0003】
無線周波数識別は、それ自体を識別するためにリーダーシステムによって送信された磁場、電場、又は電磁場を使用し、場合によっては、さらに格納されたデータを提供する。RFIDタグは、一般に、メモリ及び動作回路が形成される「チップ」と呼ばれる半導体装置を含む。RFIDチップは、当技術分野で公知のように、直接又はRFIDストラップ装置を用いて、アンテナに接続される。通常、RFIDタグは、トランスポンダとして作用し、リーダーから受信したインテロゲータ(interrogator)とも呼ばれる無線周波数(「RF」)呼び掛け信号(interrogation signal)に応答してチップメモリに格納された情報を提供する。アクティブRFID装置の場合、前記装置にはバッテリー等の電源がある。一方、パッシブRFID装置においては、呼び掛け信号のエネルギーもRFID装置を動作させるのに必要なエネルギーを提供する。したがって、パッシブRFID装置は、アクティブRFID装置に比べて、より短い読み取り範囲を有し得るが、これらははるかに安価であり、アクティブRFID装置のように、(たとえば、バッテリ寿命の限界が原因で)限られた寿命を有することはない。
【0004】
RFIDタグは、追跡しようとする物品に組み込まれてもよく、及び/又は物品に取り付けられてもよい。一部の場合において、タグは、接着剤、テープ、又は当技術分野で公知の他の手段によって物品の外側に取り付けられてもよく、他の場合において、タグは、物品内に挿入、例えばパッケージ内に含まれるか、物品の容器内に位置するか、又は衣服に縫い付けられてもよい。RFIDタグは、一実施形態において、チェックディジットが付加された数バイトの単純なシリアル番号である固有の識別番号で製造され得る。この識別番号は、製造時にタグに組み込まれる場合が多い。大半の場合、ユーザーはこのシリアル/識別番号を変更することができず、メーカーは、各々のシリアル番号を1回のみ使用することを保証する。このような読み取り専用RFIDタグは、通常、追跡する物品に永続的に取り付けられ、一度取り付けられると、タグのシリアル番号はコンピュータデータベースのホスト物品と関連付けられる。
【0005】
本発明は、RFIDストラップ装置内に既にある導体に加えて、少なくとも1つの追加導体をRFIDストラップ装置に組み込む方法を開示し、ストラップ導体及び少なくとも1つの追加導体は、共に結合されて機能を追加する。一実施形態において、機能は、ストラップ導体によって駆動する第1のアンテナとは異なる周波数で動作する第2のアンテナとして作用する少なくとも1つの追加導体、前記装置に感知能力を提供する第2の導体、発光装置を駆動する第2の導体、又は第2の導体上に実装された1つ以上の半導体装置とインターフェースする第2の導体を含むことができる。
【発明の概要】
【0006】
以下は、開示される本発明のいくつかの態様に対する基本的な理解を提供するために簡略化した要約を示す。この要約は、広範な概要ではなく、鍵/重要な要素を特定したり、その範囲を記述したりすることを目的とするものではない。その唯一の目的は、後に示すより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化した形で示すことにある。
【0007】
一態様において、本明細書で開示及び請求される主題は、第2の導体をRFIDストラップ装置に組み込む方法、及びその結果として得られる装置からなる。RFIDストラップ装置は、分離誘電体を介してストラップ(又は第1の)導体に結合された上部(又は第2の)導体を含む。また、RFIDストラップ装置は、ベース基板上の分離アンテナに結合される。アンテナは、アルミニウム箔などの当技術分野で公知の任意の適切な材料で製造することができ、ベース基板は、通常、紙で構成される。しかしながら、当業者によって理解されるように、代替材料をベース基板に使用することができる。
【0008】
好ましい実施形態において、上部導体上に形成された第2のアンテナは、ストラップ導体に結合された第1のアンテナに比べて、より高い周波数で動作する。また、上部導体は、RFIDストラップ装置に結合され、したがって、RFIDストラップ装置は、第1の周波数でRFIDチップの性能、例えば読み取り範囲を増加させるように、第2の(又はより高い)周波数で通信することができ、又はエネルギーを収穫することができる。
【0009】
加えて、別の実施形態において、上部導体は、例えば、LED(発光ダイオード)などを駆動する発光装置として採用される。上部導体は、一対のストラップパッド又は他の適切な構成要素を介してRFIDストラップ装置に結合され、RFIDストラップ装置がLEDも駆動させることができる。
【0010】
別の実施形態において、上部導体は、半導体装置に接続される。その際に、一対のストラップパッド又は他の適切な構成要素を介したRFIDストラップ装置への上部導体の結合は、データ、電力、又はクロック周波数の通信などの有益な効果を提供する。例えば、半導体装置は、Bluetooth(登録商標)ビーコンとして作用することができ、ここで、2.45GHzの送信は、アンテナとして上部導体を使用し、RFIDストラップ装置が第1のアンテナを介して受信した電力又はデータは、前記ビーコンを制御し、及び/又はビーコンに電力を供給する。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によると、無線周波数識別(RFID)タグは、RFIDストラップ装置を含み、RFIDストラップ装置は、一対のストラップパッド及びRFIDチップを含む第1のストラップ導体と、第2の導体と、第1のストラップ導体と第2の導体との間に位置する誘電体と、RFIDストラップ装置に結合されたアンテナとを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、RFIDタグのアンテナは、ベース基板上に位置する。いくつかの実施形態において、アンテナは、第1の周波数で動作する。さらなる実施形態において、第2の導体は、いくつかの実施形態においてはアンテナの第1の周波数とは異なる周波数で動作する第2のアンテナとして機能する。いくつかの実施形態において、第2の導体は、誘電体を介してキャパシタンスによって第1のストラップ導体に結合される。他の実施形態において、第2の導体は、いくつかの実施形態においては機械的圧着(crimping)、電気化学的工程、又は導電性インクで満たされた1つ以上の孔を備える、直接オーミック接続手段を介して第1のストラップ導体に結合される。
【0013】
本開示の他の実施形態によると、無線周波数識別(RFID)ストラップ装置は、第1のアンテナに結合され、RFIDチップに接続された一対のストラップパッドからなる第1のストラップ導体と、第2のアンテナからなる第2の導体と、第1のストラップ導体と第2の導体との間に位置する誘電体と、を含み、ここで第2のアンテナは、第1のアンテナとは異なる周波数で動作するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態において、RFIDストラップ装置の第2のアンテナは、RFIDチップに結合され、いくつかの実施形態において、第2のアンテナは、RFIDチップと第1のアンテナとのインピーダンス整合を増加させる。いくつかの実施形態において、第2の導体は、感知装置に結合され、他の実施形態において、第2の導体は、発光装置に結合され、さらに他の実施形態において、第2の導体は、半導体装置に結合される。いくつかの実施形態において、第2の導体は、導電性インクで印刷される。
【0015】
また、本発明は、一対のストラップパッドからなる第1のストラップ導体を提供するステップと、RFIDチップを前記一対のストラップパッドに接続するステップと、第1ストラップ導体と第2導体との間に誘電体を位置させるステップと、RFIDストラップ装置をアンテナに結合するステップと、を含む第2の導体を無線周波数識別(RFID)ストラップ装置に組み込む方法を図る。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第2の導体上に第2のアンテナを形成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記アンテナとは異なる周波数で第2のアンテナを動作させるステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第2の導体を感知装置に結合するステップをさらに含み、他の実施形態において、前記方法は、前記第2の導体を発光装置に結合するステップを含む。
【0017】
上述の目的及び関連する目的を達成するために、開示された本発明の所定の例示的な態様は、以下の説明及び添付の図面に関連して本明細書で説明される。しかしながら、これらの態様は、本明細書に開示される原理を利用することができる様々な方法の内一部のみを示し、そのようなすべての態様及びその同等物を含むことを意図している。その他の利点及び新規の特徴は、添付した図面を参照して検討すると、以下の詳細な説明から明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】開示されたアーキテクチャに従って、追加導体を有するRFIDストラップ装置の側面斜視図である。
【
図1B】開示されたアーキテクチャに従って、追加導体を有するRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図2】開示されたアーキテクチャに従って、アンテナ及びこれに結合されたベース層を有する本開示のRFIDストラップ装置の一実施形態を含むRFIDタグの側面斜視図である。
【
図3】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体上に形成された第2のアンテナを有するRFIDストラップ装置の側面斜視図である。
【
図4A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体がキャパシタンスを介して下部導体に結合されたRFIDストラップ装置の側面斜視図である。
【
図4B】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体が圧着又はオーミッ接続を介して下部導体に結合されたRFIDストラップ装置の側面斜視図である。
【
図5A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体が第2のアンテナとして作用するRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図5B】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【
図6A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体上にコイル型アンテナを有するRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図6B】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【
図7A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体がRFIDストラップ装置において第2のアンテナとして作用する二重機能導体であるRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図7B】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【
図8A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体が液体又は誘電体の存在を感知するためのインターデジタル感知構造を含むRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図8B】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【
図9A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体が発光装置を含むRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図9B】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【
図10A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体がアンテナ、センサインターフェース、又は発光装置の接続として機能するRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図10B】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がマルチポートストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【
図11A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体が半導体装置を含むRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図11B】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【
図12A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体がパターン化されていないストラップ導体であるRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図12B】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体がRFIDストラップ及びアンテナの取り付け前又は後に、レーザによって変更されるRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図12C】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【
図13A】開示されたアーキテクチャに従って、上部導体がRFIDストラップの上面に印刷された導体領域であるRFIDストラップ装置の上部斜視図である。
【
図13B】開示されたアーキテクチャに従って、下部導体がストラップ及びRFIDチップに結合されているRFIDストラップ装置の下部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について図面を参照して説明し、同様の参照番号は、全体にわたって同様の要素を指すために使用される。以下の詳細な説明において、説明を目的として、その完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細を提示する。しかし、本発明は、これらの特定の詳細がなくても実施できることが明らかである。他の例示において、その説明を容易にするために周知の構造及び装置をブロック図の形で示している。
【0020】
本開示によると、第2の導体をRFIDストラップ装置に組み込む方法であって、ストラップ導体と第2の導体とが共に結合されて機能を追加する方法が提供される。追加される機能は、ストラップパッドによって駆動される第1のアンテナとは異なる周波数で動作する第2のアンテナ、感知能力、LEDなどの発光装置に対するドライブ、又は第2の導体に実装された1つ以上の半導体装置のインターフェースであり得る。
【0021】
まず図面を参照すると、
図1A及び
図1Bは、第2の導体102を含むRFIDストラップ装置100を示す。具体的には、RFIDストラップ装置100は、第1の(又はストラップ)導体104と、第2の(又は上部)導体とを含み、前記第1の導体104と前記第2の導体102との間には、誘電体108が位置する。第1の導体104及び第2の導体102は、当技術分野で公知の任意の適切な導体、例えば、アルミニウム箔、銅箔、又は印刷された導電性インクであり得る。
【0022】
さらに、第1の導体104及び第2の導体102は、本発明の全体的な概念に影響を与えることなく、当技術分野で公知の任意の適切なサイズ、形状、及び構成であり得る。例えば、一実施形態において、第1の導体104は、RFIDチップに接続された一連のパッドからなり得、パッドの形状は、薄型の誘電体接着剤を介して、又は導電性接着剤を使用することによりキャパシタンスなどの方法によってアンテナに結合することができ、このようにしてRFIDチップをアンテナに接続できるように設計されている。適切な形状は、パッドの数及び使用するアンテナの特性によって異なる。例えば、2つのパッドが利用される場合の1つの適切な形状は、容量的に又は他の結合手段によってアンテナに結合するのに十分な大きさの2つの略矩形の部分を有するボウタイ形状である。さらに、ボウタイ形状はまた、チップ接続部に向かって下向きのテーパー部分からなり、チップをパッドに正確に取り付けることが容易になる。当業者は、図示するように第1の導体104及び第2の導体102の形状及びサイズが、例示のみを目的としており、第1の導体104及び第2の導体の他の多くの形状及びサイズが本開示の範囲内にあることを理解するはずである。第1の導体104及び第2の導体102の寸法(すなわち、長さ、幅、及び高さ)は、良好な性能のための重要な設計パラメータであるが、第1の導体104及び第2の導体102は、使用中に最適な性能を保証する任意の形状又はサイズであってもよい。
【0023】
さらに、一実施形態において、チップ112は、一対の導電性パッド110を含んでもよい。本発明はまた、チップ112が導電性バンプ(図示せず)も使用し得ることを考慮する。しかしながら、本発明は、アンテナ114へのチップ112の取り付けを容易にするために、導電性パッド110及び/又はバンプの使用に限定されない。RFIDチップ112は、RFIDタグ200を形成するように、ベース基板216(
図2に示す)上の分離アンテナ214(
図2に示す)に結合されるか、又は分離アンテナと通信する。アンテナ210は、アルミニウム箔などの当技術分野で公知の任意の適切な材料で製造することができる。アンテナ210は、ダイポール、スループなどの当技術分野で公知の任意のタイプであり得る。ベース基板216は、通常、再生紙を含む紙で構成されるが、再生プラスチックを含むプラスチックなどの任意の他の適切な材料も、本発明の範囲全体に影響を与えることなく使用することができる。
【0024】
図3に示される本発明の別の実施形態において、RFIDストラップ装置300は、アンテナ(第2のアンテナ)として機能することができ、分離誘電体306を介してストラップ導体304に結合されるか、又はストラップ導体と通信する上部導体302を含む。上部導体302は、装置の所望の動作周波数とは異なる周波数への経路を提供し得る。例えば、アンテナ(図示せず)に結合されたストラップ導体302の所望の動作周波数が、WiFiやBluetoothなどのシステムからの干渉を防止するUHF帯域(例えば、一般に860MHz~960MHz、又はより具体的に、米国、中国、日本を含む特定の国では、902MHz~928MHz、あるいは、欧州連合、英国、ロシアを含む特定の他の国では、865MHz~868MHz)内にある場合、上部導体302は、2.45GHzでの信号の周波数への経路を提供することができ、また、強い信号の場合、RFIDチップの損傷を防止したり、破壊的なアークを引き起こすのに十分な高電圧を生成する。
【0025】
上部導体302はまた、チップ312とアンテナ(図示せず)との間の整合を支援するために、RFIDストラップパッド及びRFIDチップ312にかけてインダクタとして、又は、インダクタンス及びキャパシタンスの構成を使用するか、範囲又は周波数を強化又は抑制するように特別に設計されたツインラインなどの伝送ライン共振器を使用するフィルタ(つまり、バンドパス及び/又はバンドストップ)として作動するなど、他の機能を実行することもできる。例えば、902MHz~928MHzは通過させ隣接する信号は抑制すること、且つ別の例においては、935MHz~960MHzでのGSM(登録商標)ベース(GSM Base)のモバイルへの伝送を含む。上部導体302はまた、表面弾性波装置、誘電体共振器、RFエネルギーの周波数依存性吸着を有する磁性材料、周波数依存性吸着を有する誘電体材料、広い周波数の範囲にわたってエネルギーを吸収するように設計された抵抗性材料、及びマイクロストリップ、ストリップライン、又はコプレーナ導波管などの伝送線路要素のようなフィルタリング機能を向上するために別の装置を支持し得る。
【0026】
別の実施形態において、前記導体の厚さは、その導電率が周波数に応じて変化するように選択することができる。例えば、2.7μmの厚さの導体は、915MHzで1つの表皮深さを有するので、そのRF抵抗は、そのDC抵抗に近いが、13.56MHzでは表皮深さが22μmである場合、RF抵抗がDC抵抗よりもはるかに高いため、2.7μmの厚さの上部導体を通過する13.56MHzでは、エネルギーが比較的吸着される。
【0027】
上部導体302のさらなる用途は、その電気的特性を感知特性の機能にすることである。例えば、変更された上部導体302の特性が、上述したようなストラップ及びアンテナ導体に結合する場合、ギャップにわたる液体の存在は、感知特性に応答して、所定の周波数でのその感度などのRFIDタグのパラメータを変更する。
【0028】
いくつかの実施形態において、分離誘電体306は、PETなどのプラスチック、紙、又は、例えば3F/m~10F/mの範囲内の比較的高い誘電定数を有する材料、例えば、二酸化チタンなどのセラミックフィラーを含むプラスチック、又は当技術分野で公知の任意の他の適切な材料であり得る。また、一実施形態において、ストラップ導体304は、アンテナ(第1のアンテナ)として動作することもできる。具体的には、第1のアンテナは、一対のパッド310及びRFIDチップ312に結合されるか、又はそれらと通信し得る。したがって、上部導体302及びストラップ導体304は、いずれもアンテナとして作用して、RFIDストラップ装置300に機能を追加する。
【0029】
図4Aは、誘電体406を介してキャパシタンスによって下部導体404に結合された上部導体402で構成されるRFIDストラップ装置400を示す。また、
図4Bは、直接オーミック接続手段414を使用して下部導体412に結合された上部導体410で構成されるRFIDストラップ装置408を示す。例えば、直接オーミック接続手段414は、機械的圧着、電気化学的工程、導電性インクで満たされた1つ以上の孔を含む、直接オーミック接続を形成するための当技術分野で公知の任意の他の適切な手段であり得る。
【0030】
図5A及び
図5Bに示すように、RFIDストラップ装置500は、その上に形成されるか、又はそれに取り付けられた第2のアンテナ504を有する上導体502を含む。第2のアンテナ504は、ストラップ導体506に結合された第1のアンテナよりも高い周波数で動作することもできる。例えば、第1のアンテナは、902~928MHzの範囲で動作することができ、第2のアンテナ504は、2400MHz~2500MHzの範囲で動作することができる。また、第2のアンテナ504は、ストラップ506に結合された第1のアンテナよりも低い周波数で動作し得ることも考慮される。例えば、第1のアンテナは、902~928MHzの範囲で動作することができ、第2のアンテナ504は、13.56MHz又はそれに隣接する周波数で動作することもできる。この第2のアンテナ504はまた、RFIDチップ508及び一対のストラップパッド510に結合される。この結合により、第1のアンテナの周波数でRFIDチップ508の性能が増加するように、RFIDストラップ装置500が第1のアンテナ以外に、第2の(又はより高い)周波数での通信及び/又はエネルギーの収集が可能となる。
【0031】
さらに、
図6A及び
図6Bに示すように、RFIDストラップ装置600は、その上に形成されるか、又はそれに取り付けられた第2のアンテナ604を有する上部導体602を含み得る。第2のアンテナ604は、コイル型のアンテナ又は当技術分野で公知の他の任意の適切なアンテナであり得る。第2のアンテナ604は、ストラップ導体606に結合された第1のアンテナ(図示せず)よりも低い周波数で動作する。この第1のアンテナは、一対のストラップパッド608及びRFIDチップ610に結合される。
図5に示すように、この結合により、(第1のアンテナ及び第2のアンテナ604から生成される)両周波数でRFIDチップ610の動作が可能となり、また、上部導体602上の第2のアンテナ604に関連する第2の周波数で電力が収集されることになる。
【0032】
図7A及び
図7Bに示す代替の実施形態において、RFIDストラップ装置700は、第2のアンテナ704として動作する二重機能の上部導体(又は第2の導体)702を含む。一対のストラップパッド708及びRFIDチップ710に結合される上部導体702/第2のアンテナ704は、第1のアンテナ(図示せず)とは異なる周波数で動作するという点で二重機能を持ち、また、RFIDチップ710と第1のアンテナ/ストラップ導体706とのインピーダンス整合を改善するように作用する。
【0033】
さらに、
図8A及び
図8Bに示すように、RFIDストラップ装置800は、感知装置804に結合された上部導体802を含む。この結合は、これらに限定されないが、例えば液体、誘電体、又は任意の種類の化学物質の存在を感知するためのインターデジタル感知構造を形成する。また、一対のストラップパッド808及びRFIDチップ810を介した感知装置804とストラップ導体806との結合は、RFIDストラップ装置800の機能の特性を変更することができる。例えば、これは、感度を低下させたり、動作周波数を変更したり、又はRFIDストラップ装置800の通信でのデジタルビットを変更し得る。
【0034】
図9A及び
図9Bに示すように、RFIDストラップ装置900は、発光装置904の一部として作用し、且つRFIDストラップ装置900に結合される上部導体902を含む。具体的には、発光装置904は、一対のストラップパッド908及びRFIDチップ910を介してストラップ導体906に結合される。その際、発光装置904は、LED、又は当技術分野で公知の他の適切な構造を駆動するように作用することができる。
【0035】
図10A及び
図10Bに示す実施形態は、第2のアンテナ1004として機能する上部導体1002を含むマルチポートRFIDストラップ装置1000を示す。上部導体1002は、マルチポートRFIDストラップ装置1000のストラップ導体1006上のマルチポートストラップの1つ以上のストラップパッド1008及びRFIDチップ1010に結合されるか、又はそれらと通信する。その際、上部導体1002は、アンテナ、センサインターフェース、発光装置の接続、又は他の適切な装置として機能することができる。具体的には、上部導体1002が第2のアンテナ1004として機能すると、ストラップ導体1006/第1のアンテナとは異なる第2の周波数で動作することができ、第2のアンテナ1004からのエネルギーがマルチポートRFIDストラップ装置1000上の代替的なストラップパッド1008に結合される。
【0036】
図11A及び
図11Bに示す代替の実施形態において、RFIDストラップ装置1100は、半導体装置1104に接続され、次にストラップ導体1106に結合される上部導体1102を含む。具体的には、半導体装置1104は、一対のストラップパッド1108及びRFIDチップ1110を介してストラップ導体1106に結合される。また、一対のストラップパッド1108を介したRFIDストラップ装置1100への結合は、データ、電力、クロック周波数などの通信を提供し得る。一実施形態において、半導体装置1104は、Bluetoothビーコンとして作用することができ、ここで、2.45GHz送信は、上部導体1102をアンテナとして使用し、アンテナを介してRFIDストラップ装置1100によって受信される電力又はデータは、前記ビーコンを制御及び/又はビーコンに電力を供給する。更なる実施形態において、上部導体1102は、RFIDストラップ装置1100に電力を供給するために、又はセンサ若しくは他の要素が動作するようにエネルギーを保存するために、バッテリ又はスーパーキャパシタのようなエネルギー保存要素を含み得る。
【0037】
図12A~
図12Cは、RFIDストラップ装置1200が最初にパターン化されていないか又は部分的にのみパターン化されている上部導体1202を含む別の実施形態を示す。その際、この上部導体1202は、材料の除去に適した当業者に公知の任意の方法、例えば、これに限定されるもわけではないが、導体1202の一部を除去するために、レーザビームを使用する方法によって変えることができる。あるいは、当業者に公知の機械的手段を使用して、導体1202の一部を除去することができる。切断は、第2のアンテナ又はセンサインターフェース領域など、上述のような構造体1204を製造することができる。しかしながら、ストラップ導体1206が一対のストラップパッド1208及びRFIDチップ1210を介してアンテナに取り付けられる(結合される)ので、切断はピーク動作周波数などの測定可能なパラメータに応答して、周波数の調整によって製造公差を処理したり、RFIDストラップ装置1200の動作周波数を調整したりすることを可能にする。
【0038】
図13A及び
図13Bは、RFIDストラップ装置1300が、導電性インクで印刷された印刷導体領域1304を含む上部導体1302を含む別の実施形態を示す。いくつかの実施形態において、導電性インクは、銀、銅、又はグラフェンを含有する。当業者に公知の任意の他の適切な導電性インクが、本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。印刷導体領域1304及び上部導体1302は、ストラップ導体1306に結合される。具体的には、印刷導体領域1304は、一対のストラップパッド1308及びRFIDチップ1310を介してストラップ導体1306に結合される。印刷導体領域1304は、インクジェット、スクリーン印刷、フレキソ印刷又はグラビア印刷などの任意の適切な手段を使用して、ストラップの取り付け前又は取り付け後のRFIDストラップ装置1300に適用されてもよい。印刷導体領域1304は、例えば、第2のアンテナ又はセンサインターフェース領域として、上述の任意の方法で使用することができる。
【0039】
上記の記載は、請求された主題の例を含む。もちろん、請求された主題を説明するために、考えられる構成要素又は方法のすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、請求された主題の多くのさらなる組み合わせ及び置換が可能であることを認識することができる。したがって、請求された主題は、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲内にあるそのようなすべての変更、修正、及び変形を含むことを意図している。また、用語「備える」は、詳細な説明又は特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、そのような用語は、請求範囲で「含む」が移行句として使用される場合に解釈されるのと同様の方法で包括的であることを意図する。