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▶ チャイナ・タバコ・カントン・インダストリアル・カンパニー・リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】通気量可変フィルタ及び巻きタバコ
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20240816BHJP
   A24D 3/14 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020573411
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2019102662
(87)【国際公開番号】W WO2021012349
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-01-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】201910672151.4
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520510416
【氏名又は名称】チャイナ・タバコ・カントン・インダストリアル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHINA TOBACCO GUANGDONG INDUSTRIAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】8-16F, No.186, Linhexiheng Road, Tianhe District Guangzhou, Guangdong 510500 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】リウ シー
(72)【発明者】
【氏名】リー フォン
(72)【発明者】
【氏名】リウ イーポー
(72)【発明者】
【氏名】フー チン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ルイフォン
(72)【発明者】
【氏名】イェー ロンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー タン
(72)【発明者】
【氏名】シャン チン
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】水野 治彦
【審判官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109924542(CN,A)
【文献】特表2009-531052(JP,A)
【文献】特表2015-522285(JP,A)
【文献】特開2011-41574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D3/04
A24D3/17
A24F40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタエレメントと、前記フィルタエレメントを包んでいる被覆層とを含み、前記フィルタエレメントが煙吸入端と煙放出端を含み、
前記被覆層には、前記フィルタエレメントの軸方向に並ぶ相変化通気領域及び非相変化通気領域が設けられ、前記相変化通気領域には複数の第1の通気孔が設けられ、前記非相変化通気領域には複数の第2の通気孔が設けられ、
外界空気が前記第1の通気孔及び前記第2の通気孔のそれぞれを介して前記被覆層を通過して前記フィルタエレメントの一部に至り、
前記第1の通気孔の内部には相変化材料が充填されており、
前記フィルタエレメントの内部のうち前記煙吸入端に近い部分には澱粉管が設けられ、
前記相変化材料の相変化温度の範囲が55~60℃であり、
前記相変化通気領域は前記煙放出端よりも前記煙吸入端に近く、前記相変化通気領域と前記煙吸入端との距離が、前記相変化通気領域と前記非相変化通気領域との間の距離以上である、ことを特徴とする通気量可変フィルタ。
【請求項2】
フィルタエレメントと、前記フィルタエレメントを包んでいる被覆層とを含み、前記フィルタエレメントが煙吸入端と煙放出端を含み、
前記被覆層には、前記フィルタエレメントの軸方向に並ぶ相変化通気領域及び非相変化通気領域が設けられ、前記相変化通気領域には複数の第1の通気孔が設けられ、前記非相変化通気領域には複数の第2の通気孔が設けられ、
外界空気が前記第1の通気孔及び前記第2の通気孔のそれぞれを介して前記被覆層を通過して前記フィルタエレメントの一部に至り、
前記第1の通気孔の内部には相変化材料が充填されており、
前記フィルタエレメントの内部のうち前記煙吸入端に近い部分には澱粉管が設けられ、
前記相変化材料の相変化温度の範囲が45~55℃であり、
前記非相変化通気領域は前記煙放出端よりも前記煙吸入端に近く、前記非相変化通気領域と前記煙吸入端との距離が、前記相変化通気領域と前記非相変化通気領域との距離以上である、ことを特徴とする通気量可変フィルタ。
【請求項3】
前記煙吸入端及び前記煙放出端の分布方向に沿って、前記相変化通気領域は前記澱粉管に対応して設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の通気量可変フィルタ。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の通気量可変フィルタを含む、ことを特徴とする巻きタバコ。
【請求項5】
前記通気量可変フィルタは第2の通気孔だけが通気する場合、前記巻きタバコの総通気率は40~60%の範囲であり、前記通気量可変フィルタは第1の通気孔と第2の通気孔の両方が通気する場合、前記巻きタバコの総通気率は70%以上である、ことを特徴とする請求項4に記載の巻きタバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻きタバコフィルタの設計・加工分野に関し、より具体的には、通気量可変フィルタ及び巻きタバコに関する。
【背景技術】
【0002】
巻きタバコの喫煙方式として、直火で点火する方式で刻みタバコを燃焼させてもよく、非燃焼方式で刻みタバコをベークして煙を放出してもよい。いずれの方式で煙を放出してもよく、煙がフィルタを通じてろ過された後人体に吸い込まれる。
【0003】
現在のフィルタの設計には、単一の要件を満たすことだけを考慮する場合が多く、たとえば燃焼喫煙又は非燃焼喫煙のいずれかだけを満たす。しかし、使用者には燃焼して煙を吸うニーズも、非燃焼式で煙を吸うニーズもある、このような場合には、従来のフィルタの設計では、使用者のニーズにこたえられず、使用者に不便さをもたらす。
【0004】
従来技術では、フィルタに対する改良はまた単一の喫煙方式に制限されず、たとえば、出願番号201721766369.9の中国特許文献において、フィルタロッドとティッピング紙との間に相変化材料が塗布された高透過性紙を設けることで、通気量を自動的に変える。ただし、このような構造の設計も燃焼させて煙を吸う場合の自動調整しかできない。ますます増加する消費者の使用ニーズに対しては、燃焼喫煙方式にも、加熱非燃焼喫煙方式にも適用できるフィルタが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が主に解決しようとする技術的課題は、従来技術では、燃焼喫煙方式にも、加熱非燃焼喫煙方式にも適用できる巻きタバコがないということに鑑み、通気量可変フィルタを提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする別の技術的課題は、前記通気量可変フィルタを用いた巻きタバコを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術案は具体的には以下のとおりである。
【0008】
通気量可変フィルタであって、
フィルタエレメントと、前記フィルタエレメントを包んでいる被覆層とを含み、前記フィルタエレメントが煙吸入端と煙放出端を含み、
前記被覆層には相変化通気領域と非相変化通気領域が設けられ、前記相変化通気領域には複数の第1の通気孔が設けられ、前記非相変化通気領域には複数の第2の通気孔が設けられ、
外界空気が前記第1の通気孔及び前記第2の通気孔のそれぞれを介して前記被覆層を通過して前記フィルタエレメントの一部に至り、
前記第1の通気孔の内部には相変化材料が充填されており、
前記フィルタエレメントの内部のうち前記煙吸入端に近い部分には澱粉管が設けられ、
前記相変化材料の相変化温度の範囲が45~60℃である。
【0009】
本発明では、被覆層には相変化通気領域と非相変化通気領域が設けられ、相変化通気領域及び非相変化通気領域のそれぞれには第1の通気孔及び第2の通気孔が設けられ、第1の通気孔の内部には相変化材料が充填され、温度の変化に応じて自動的に開放可能な選択的通気領域となり、非相変化通気領域は一般的な通気領域である。加熱非燃焼喫煙方式が使用される場合、煙放出端の温度が極めて高くなり、それにより相変化材料が溶融し、このとき、第1の通気孔が自動的に開放し、通気量が増えて、吸われた煙の温度が低下する。燃焼方式で喫煙する場合、煙放出端の温度が低く、喫煙に影響を及ぼさない。
【0010】
本発明では、澱粉管は、良好な降温効果を有する一方、一定の支持作用を果たし、特に加熱非燃焼喫煙方式が使用される場合、シガレットを簡便に挿入できる。
【0011】
本発明の好ましい形態として、前記相変化通気領域は前記煙吸入端に近いか、又は前記非相変化通気領域は煙吸入端に近い。
【0012】
好ましい技術案として、前記相変化通気領域は前記煙吸入端に近いか、又は前記非相変化通気領域は煙吸入端に近い。相変化通気領域が煙吸入端に近い場合、相変化通気領域は最初に温度の変化を検知し、それは、通気量の制御に有利であり、降温効果が高く、非相変化通気領域が煙吸入端に近い場合、このような構造により加工や製造が容易になる。ただし、以上の2種類の通気領域のいずれの配列方式であっても、「2種類の喫煙方式を可能とする」という目的を達成させ、ただし、それぞれ優位性があり、たとえば、降温効果か加工製造が優位性である。
【0013】
本発明の好ましい形態として、前記相変化通気領域と前記煙吸入端との距離が、前記相変化通気領域と前記非相変化通気領域との間の距離以上であるか、又は前記非相変化通気領域と前記煙吸入端との距離が、前記相変化通気領域と前記非相変化通気領域との距離以上である。
【0014】
本発明では、相変化領域と他の位置との距離の測定には、相変化領域の中心線を開始点、他の位置を終点とした距離を両方の間隔とし、同様に、非相変化領域の距離の測定も相変化領域と同様である。
【0015】
これは、主に、加熱非燃焼喫煙方式では、降温段の一部が加熱装置に挿入されて、高温の煙に接触するため、この距離を限定することで降温段を活用して効果的に降温するためである。
【0016】
本発明の好ましい形態として、前記相変化材料の相変化温度が55~60℃又は45~55℃である。使用者の体内に吸われるときの煙の温度が高すぎて、口を焼くということを回避するために、相変化材料は45~60℃の温度範囲のいずれかの温度で相変化を行う必要があり、相変化の状態は、溶融や収縮であってもよく、通気領域を開放して、通気量を増える相変化の形態であればよい。煙を吸う際の使用者が感じる温度は相変化材料の相変化温度により決まり、使用者のニーズに応えるために相変化材料は適切な温度範囲で溶融して、通気させて降温する必要があり、したがって、相変化材料が煙吸入端に近い場合、相変化材料の相変化温度が高く、相変化の温度範囲が55~60℃の相変化材料は好適に使用され、相変化材料が煙吸入端から離れた場合、相変化材料の相変化温度が低く、相変化の温度範囲が45~55℃の相変化材料は好適に使用される。
【0017】
本発明の好ましい形態として、前記相変化材料の組成は、7~10重量部の澱粉、0.1~1.5重量部のポリ乳酸、及び0.1~1.5重量部のポリオールを含む。
【0018】
本発明の好ましい形態として、前記澱粉は、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、紫サツマイモ澱粉、及びリリー澱粉のうちの1種又は複数種であり、前記コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、紫サツマイモ澱粉、及びリリー澱粉のいずれの粒子径も10~100μmの範囲である。
【0019】
本発明の好ましい形態として、前記ポリ乳酸の分子量が20000~80000である。
【0020】
変化材料は完全分解性の生物材料で製造されるため、環境保全の価値が高く、ポリオールを添加することにより材料を軟化させ、流動性を高め、このように、相変化通気領域の開放が容易になる。相変化通気領域の通気は、第1の通気孔の開放により行われ、第1の通気孔の開放方式は、具体的には、以下のとおりである。つまり、相変化材料が高温煙に接触して相変化し、それと同時に、喫煙により相変化材料の中心で圧力が増大し、相変化材料が密閉状態から、中心から両側へ徐々に開口する状態となり、このように、相変化通気領域が温度の上昇に伴い通気量を増大するというプロセスが実現される。
【0021】
ここで、本発明で使用される相変化材料の重量比が記載されており、具体的には、澱粉7.0~10.0部、相変化材料0.1~1.5部、ポリオール0.1~1.5部である。これらの中でも、澱粉はコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、紫サツマイモ澱粉、リリー澱粉のうちの1種又は複数種であってもよく、粒子径の範囲が10μm~100μmであり、ポリオールはプロピレングリコール又はグリセロールのうちの1種又は2種類である。相変化材料が温度の変化に応じて通気量をタイムリーに変化できるように、相変化材料の厚さは材料の耐熱性により決まり、材料によって耐熱性が異なり、要するに、相変化材料が厚いほど、孔の開放に必要な熱が増え、従って、前記相変化材料の厚さは好ましくは50~500μmの範囲である。
【0022】
本発明の好ましい形態として、第2の通気孔だけが通気する場合、前記シガレットの総通気率は30~60%の範囲であり、第1の通気孔と第2の通気孔の両方が通気する場合、前記シガレットの総通気率は70%以上である。このように、燃焼喫煙の場合のシガレットの通気率を適切に維持し、良好な喫煙エクスペリエンスを確保するとともに、加熱非燃焼式で喫煙する場合、通気量を増大し、熱い煙及びフィルタ表面の温度を効果的に低下させる。第1の通気孔及び第2の通気孔がいずれも通気孔構造であり被覆層上に均等に分布している場合、これらの通気孔の数量、孔径のサイズ、配列方式のいずれも、シガレットの通気率の要件を満たすように、実際のニーズに応じて調整することができる。しかしながら、実験を通じて研究したところ、煙放出端からの距離が異なるシガレットの箇所では、通気率を一致させることができるが、降温効果はシガレットの構造、材料及び組み合わせて使用される加熱器の設計にもよるものであり、したがって、貫通孔の位置を合理的に設定することに加え、シガレット、組み合わせて使用される加熱器の設計も考慮することによっても、降温効果を達成できる。なお、燃焼の進行につれて、シガレットのフィルタ側の温度が上昇し、燃焼させて最後まで吸われると、第1の貫通孔が開放する可能性があり、その結果、喫煙するときに多くの気流がフィルタに入り煙を希釈して煙の温度を低下させ、それにより、喫煙時の香喫味の一致性が確保される。より好ましい技術案として、前記相変化通気領域と前記煙吸入端との距離が、前記相変化通気領域と前記非相変化通気領域との間の距離以上であるか、このように配置すると、煙の香喫味の向上に有利である。
【0023】
上記フィルタの実用化のため、特にタバコが高速で発展する現在では、本発明はまた、
従来の燃焼喫煙の方式も、加熱非燃焼喫煙方式も使用できる上記フィルタを含む巻きタバコを提供する。
【0024】
本発明では、前記巻きタバコは、前記フィルタが接続されたタバコセクションをさらに含む。
【発明の効果】
【0025】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0026】
本発明では、被覆層には相変化通気領域と非相変化通気領域が設けられ、相変化通気領域及び非相変化通気領域のそれぞれには第1の通気孔及び第2の通気孔が設けられ、第1の通気孔の内部には相変化材料が充填され、温度の変化に応じて自動的に開放可能な選択的通気領域となり、非相変化通気領域は一般的な通気領域である。加熱非燃焼喫煙方式が使用される場合、煙放出端の温度が極めて高くなり、それにより相変化材料が溶融し、このとき、第1の通気孔が自動的に開放し、通気量が増えて、吸われた煙の温度が低下する。燃焼方式で喫煙する場合、煙放出端の温度が低く、喫煙に影響を及ぼさない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の立体構造模式図である。
図2】本発明の正面構造模式図である。
図3】本発明の使用状態の構造模式図である。
図4】本発明の別の使用状態の構造模式図である。
図5】本発明の降温段の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0029】
実施例1
図1~5に示すように、本実施例は、通気量可変フィルタを提供し、この通気量可変フィルタは、フィルタエレメント1と、フィルタエレメント1を包んでいる被覆層2とを含み、フィルタエレメント1が煙吸入端11と煙放出端12を含み、被覆層2には相変化通気領域21と非相変化通気領域22が設けられ、相変化通気領域21には複数の第1の通気孔212が設けられ、非相変化通気領域22には複数の第2の通気孔221が設けられ、外界空気が第1の通気孔212及び第2の通気孔221のそれぞれを介して被覆層2を通過してフィルタエレメントの一部まで至り、第1の通気孔212の内部には相変化材料211が充填され、前記フィルタエレメントの内部のうち前記煙吸入端に近い部分には澱粉管14が設けられ、澱粉管14には中空キャビティ15が設けられ、相変化材料211の相変化の温度範囲が45~60℃である。
【0030】
第1の通気孔212の開放方式は、具体的には以下のとおりである。つまり、相変化材料211が高温煙に接触して相変化し、それと同時に、喫煙により相変化材料211の中心で圧力が増大し、相変化材料211が密閉状態から、中心から両側へ徐々に開口する状態となり、このように、相変化通気領域が温度の上昇に伴い通気量を増大するというプロセスが実現される。
【0031】
相変化通気領域21が煙吸入端11に近い場合、相変化通気領域21は最初に温度の変化を検知し、それは、通気量の制御に有利であり、降温効果が高く、この場合、相変化材料211の相変化の温度範囲が55~60℃であり、非相変化通気領域2が煙吸入端に近い場合、相変化材料211の相変化の温度範囲是は比較的低温の45~55℃であり、このような構造により加工や製造が容易になる。ただし、以上の2種類の通気領域のいずれの配列方式であっても、「2種類の喫煙方式を可能とする」という目的を達成させ、ただし、それぞれ優位性があり、たとえば、降温効果か加工製造が優位性である。本実施例では、相変化通気領域21と煙吸入端11との距離が、相変化通気領域21と非相変化通気領域22との間の距離以上であり、このように配列すると、煙の香喫味の向上に有利である。このような場合、相変化材料211は、55℃の条件で相変化して通気量を増加させ、通気率を80%とする。


【0032】
被覆層2には相変化通気領域21及び非相変化通気領域22が設けられ、相変化通気領域21には相変化材料211が設けられる。本実施例では、相変化通気領域21には複数の第1の通気孔212が均等に設けられ、第1の通気孔212の内部には相変化材料211が充填されており、通気孔の構造は容易に加工でき、孔の内部に相変化材料211が充填されることは、被覆層2の厚さを増加することはなく、フィルタの外観性を良好に維持し、一方、孔の内部では変化材料211の結合の度合いが高く、離脱しにくい。非相変化通気領域22には、第2の通気孔221が均等に設けられる。
【0033】
相変化材料211は、45~60℃の温度条件で相変化し得る。煙を吸う使用者が感じる温度は相変化材料211の相変化温度により決まるので、通気させて降温して使用者のニーズにこたえられるように相変化材料211は適切な温度範囲で溶融しなければならず、したがって、相変化の温度範囲が50~55℃の相変化材料が好適である。本実施例では、相変化温度は50~55℃であり、使用される相変化材料の組成は、澱粉、ポリ乳酸、及びポリオールを含み、このように、簡便に結合でき、流通させやすいという利点がある。相変化材料が温度の変化に応じて通気量をタイムリーに変化させるために、相変化材料の厚さが大きすぎてはならず、本実施例では、相変化材料の厚さは50~500μmであり、具体的には、本実施例では、相変化材料の厚さは300μmである。そして、非相変化通気領域22だけが通気する場合、シガレットの総通気率は30~60%の範囲であり、相変化通気領域21及び非相変化通気領域22の両方が通気する場合、フィルタの通気率は70%以上であり、このような構造とすると、より良好で安定的な煙の香喫味を提供できる。相変化通気領域21及び非相変化通気領域22がいずれも通気孔構造であり被覆層2上に均等に分布している場合、これらの通気孔の数量、孔径のサイズ、配列方式のいずれも、シガレットの通気率の要件を満たすように、実際のニーズに応じて調整することができる。第1の通気孔の位置を調整することで、煙に対する降温効果を奏し得る。
【0034】
上記フィルタを用いた巻きタバコは、従来の燃焼喫煙方式にも、加熱非燃焼喫煙方式にも適用できる。
【0035】
本発明では、前記巻きタバコは前記フィルタが接続されたタバコセクションをさらに含む。
【0036】
本発明の作動原理は以下のとおりである。
【0037】
燃焼方式で巻きタバコを吸う場合、相変化通気領域21は閉鎖状態を維持し、非相変化通気領域22は一定の通気量を増加し、それにより、刻みタバコからの人体に入る温度の低下に十分である。加熱非燃焼方式で巻きタバコを吸う場合、フィルタに吸われた煙の温度が燃焼方式で喫煙する場合の温度よりも高く、このとき、相変化通気領域21の相変化材料211は相変化を行い、相変化通気領域21を開放し、通気量を増加させ、このとき、シガレットの総通気率は70%以上に達する。
【0038】
実施例2
図4に示すように、本実施例は本発明の第2の実施例であり、該実施例は、非相変化通気領域22が煙吸入端11に近く、非相変化通気領域22と煙吸入端11との間の距離が、相変化通気領域21と非相変化通気領域22との間の距離以上である以外、実施例1と同様である。この場合、相変化材料211は50℃の条件で相変化して通気量を増加させ、シガレットの総通気率を75%とする。
【0039】
もちろん、本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するための例示に過ぎず、本発明の実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うことができる。ここですべての実施形態を挙げることが必要ではなく、また不可能なことである。本発明の精神及び原則を逸脱することなく行われるすべての修正、等同置換や改良などは、本発明の特許請求の範囲の特許範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0040】
1 フィルタエレメント
11 煙吸入端
12 煙放出端
14 澱粉管
15 中空キャビティ
2 被覆層
21 相変化通気領域
22 非相変化通気領域
211 相変化材料
212 第1の通気孔
221 第2の通気孔。
図1
図2
図3
図4
図5