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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240816BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240816BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240816BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021010812
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114528
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】521483777
【氏名又は名称】サンライズ メモリー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】SunRise Memory Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】能生 陽介
(72)【発明者】
【氏名】大橋 貴志
(72)【発明者】
【氏名】上坂 翔平
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 太志
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-526934(JP,A)
【文献】特開2004-158162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0365609(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0092371(US,A1)
【文献】国際公開第2018/039654(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03913631(EP,A1)
【文献】米国特許第06894922(US,B1)
【文献】特表2022-532474(JP,A)
【文献】国際公開第2020/236611(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109427815(CN,A)
【文献】特開2013-135202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って配列されたそれぞれ複数のソース・ドレイン構造体及びゲート構造体と、
グローバルワード線である複数の第1配線と、
を備え、
各前記ソース・ドレイン構造体は、
前記第1方向と交差した第2方向に延びる、ビット線である第2配線と、
前記第2方向に延び、前記第2配線に接続された第1導電型の第1半導体層と、
前記第2方向に延び、前記第1方向及び前記第2方向に平行な平面に対して交差した第3方向において、前記第1半導体層から離隔した前記第1導電型の第2半導体層と、
前記第1半導体層及び前記第2半導体層に接した第2導電型の第3半導体層と、
を有し、
各前記ゲート構造体は、
前記第3方向に延びる、ローカルワード線である第3配線と、
前記第3半導体層と前記第3配線との間に設けられた電荷蓄積膜と、
を有し、
前記複数のソース・ドレイン構造体に含まれる第1のソース・ドレイン構造体が、第1のリファレンスビット線を形成するビット線を含み、
前記複数の第1配線に含まれる第1のグローバルワード線が、前記第1のリファレンスビット線の両側に形成された前記ゲート構造体における前記ローカルワード線に接続し、かつ前記複数のソース・ドレイン構造体のなかの前記第1のソース・ドレイン構造体を除く複数のソース・ドレイン構造体の間に、前記複数のゲート構造体に含まれる1つおきに配列されたゲート構造体に形成された前記ローカルワード線に接続する、記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記憶装置であって、
隣り合う前記ゲート構造体に属する前記ローカルワード線の前記第2方向における位置は相互にずれており、
前記グローバルワード線は、
前記ローカルワード線に接続する、前記第1方向に延びる第1部分であって、前記ローカルワード線は、前記第1のソース・ドレイン構造体以外の前記複数のソース・ドレイン構造体の間に1つおきに配列されたゲート構造体に形成される、該第1部分と
つの前記ローカルワード線に接続された第2部分であって、前記2つの前記ローカルワード線は、前記第1のリファレンスビット線を形成する前記第1のソース・ドレイン構造体に隣接する前記ゲート構造体において位置が相互にずれるように形成される、該第2部分と、
を有し、
前記第2部分の幅は前記第1部分の幅よりも広い、記憶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記憶装置であって、
前記グローバルワード線は、第3部分をさらに有し、
前記第3部分の幅は、前記第2部分の幅よりも広く、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第3部分との間に配置された記憶装置。
【請求項4】
請求項1に記載の記憶装置であって、
隣り合う前記ゲート構造体に属する前記ローカルワード線の前記第2方向における位置は相互にずれており、
前記グローバルワード線は、
前記ローカルワード線に接続する、前記第1方向に延びる第1部分であって、前記ローカルワード線は、前記第1のソース・ドレイン構造体以外の前記複数のソース・ドレイン構造体の間に1つおきに配列されたゲート構造体に形成される、該第1部分と
2つの前記ローカルワード線に接続され、前記第1方向及び前記第2方向に対して傾斜した方向に延びる第2部分であって、前記2つの前記ローカルワード線は、前記第1のリファレンスビット線を形成する前記第1のソース・ドレイン構造体に隣接する前記ゲート構造体において位置が相互にずれるように形成される、該第2部分と、
を有する記憶装置。
【請求項5】
請求項1に記載の記憶装置であって、
前記第1のリファレンスビット線を形成する前記第1のソース・ドレイン構造体に隣接する前記ゲート構造体における前記ローカルワード線は、前記第2方向における位置が相互に重なっており、
その他の前記ゲート構造体において、前記ローカルワード線の前記第2方向における位置は相互にずれており、
各前記グローバルワード線は、前記第1方向に延びており、
各前記グローバルワード線は、前記第1のソース・ドレイン構造体に隣接する前記ゲート構造体における前記ローカルワード線に接続し、かつ前記第1のソース・ドレイン構造体以外の複数のソース・ドレイン構造体の間に1つおきに配列されたゲート構造体に形成された前記ローカルワード線に接続している記憶装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記憶装置であって、
第2のリファレンスビット線を形成するビット線を含む第2のソース・ドレイン構造体をさらに有し、
第2のグローバルワード線が、前記第2のリファレンスビット線の両側に形成された前記ゲート構造体における前記ローカルワード線に接続し、かつその他の複数のソース・ドレイン構造体の間に1つずつ交互に配列されたゲート構造体に形成された前記ローカルワード線に接続する、記憶装置。
【請求項7】
請求項1に記載の記憶装置であって、
前記第1のリファレンスビット線は、前記第1のソース・ドレイン構造体からの前記ビット線と、前記第1のソース・ドレイン構造体に隣接する第2のソース・ドレイン構造体からの前記ビット線とを含み、
前記第1のソース・ドレイン構造体からの前記ビット線と、前記第2のソース・ドレイン構造体からの前記ビット線とは、相互に接続されている記憶装置。
【請求項8】
請求項1に記載の記憶装置であって、
複数の前記ビット線に流れる電流を検出可能な複数のセンスアンプと、
2つの前記センスアンプの出力を比較する比較回路と、
をさらに備え
前記複数のセンスアンプの1つは、前記第1のリファレンスビット線に流れる電流を検出するべく接続される、記憶装置。
【請求項9】
請求項1に記載の記憶装置であって、
各前記ソース・ドレイン構造体は、前記第2方向に延び、前記第2半導体層に接続された、ソース線である第4配線をさらに有する記憶装置。
【請求項10】
請求項1に記載の記憶装置であって、
各前記ソース・ドレイン構造体は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された絶縁層をさらに有し、
前記第2配線、前記第1半導体層、前記絶縁層、及び、前記第2半導体層は、前記第3方向に積層されている記憶装置。
【請求項11】
請求項10に記載の記憶装置であって、
各前記ソース・ドレイン構造体において、前記第2配線、前記第1半導体層、前記絶縁層、及び、前記第2半導体層が前記第3方向に積層された単位積層体は複数設けられており、前記複数の単位積層体は前記第3方向に積層されている記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記憶装置の高集積化を図るために、メモリセルを3次元的に集積させた積層型記憶装置が開発されている。積層型記憶装置においては、読出動作の高精度化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2019-526934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、読出動作の精度を向上可能な記憶装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る記憶装置は、第1方向に沿って配列されたそれぞれ複数のソース・ドレイン構造体及びゲート構造体と、複数の第1配線と、を備える。各前記ソース・ドレイン構造体は、前記第1方向と交差した第2方向に延びる第2配線と、前記第2方向に延び、前記第2配線に接続された第1導電型の第1半導体層と、前記第2方向に延び、前記第1方向及び前記第2方向に平行な平面に対して交差した第3方向において、前記第1半導体層から離隔した前記第1導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層及び前記第2半導体層に接した第2導電型の第3半導体層と、を有する。各前記ゲート構造体は、前記第3方向に延びる第3配線と、前記第3半導体層と前記第3配線との間に設けられた電荷蓄積膜と、を有する。少なくとも1つの前記ソース・ドレイン構造体を挟む2つの前記ゲート構造体に属する前記第3配線は、少なくとも1つの前記第1配線に接続されていない。
【0006】
本発明の実施形態に係る記憶装置の製造方法は、第1方向に沿って配列されたそれぞれ複数のソース・ドレイン構造体及びゲート構造体を含むメモリ構造体を作製し、前記メモリ構造体上に絶縁膜を形成し、前記絶縁膜上に、前記第1方向と交差した第2方向に沿って配列された複数の芯材を形成し、前記複数の芯材をスリミングし、前記複数の芯材の側面上に側壁を形成し、前記複数の芯材を除去し、前記第2方向において隣り合う前記側壁に挟まれた領域を2つに分割する第1パターンと、前記2つに分割された領域の前記第1方向の端部を囲む第2パターンを形成し、前記側壁、前記第1パターン及び前記第2パターンをマスクとして前記絶縁膜をエッチングすることにより、複数の開口部を形成し、前記複数の開口部内にそれぞれ第1配線を形成する。
【0007】
本発明の実施形態に係る記憶装置の製造方法は、第1方向に沿って配列されたそれぞれ複数のソース・ドレイン構造体及び絶縁部材を含む中間構造体を作製し、前記中間構造体上に、1つの前記絶縁部材が露出する第1開口部、並びに、隣り合う2つの前記絶縁部材及びその間の1つの前記ソース・ドレイン構造体が露出する第2開口部が形成されたマスクパターンを形成し、前記マスクパターンをマスクとして前記中間構造体に対してエッチングを施すことにより、前記絶縁部材に第1の孔を形成し、前記第1の孔内に犠牲部材を埋め込み、前記絶縁部材における前記第1の孔間に位置する部分を除去することにより、第2の孔を形成し、前記第2の孔の内面上に電荷蓄積膜を形成し、前記第2の孔内に金属を埋め込むことにより、第3配線を形成し、前記第1方向に延びる複数の第1配線を形成する。少なくとも1つの前記ソース・ドレイン構造体を挟む前記第3配線は、少なくとも1つの前記第1配線に接続されていない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、読出動作の精度を向上可能な記憶装置及びその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る記憶装置を示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る記憶装置の1つのタイルを示す断面図である。
図3図3(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る記憶装置のメモリアレイ部を示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る記憶装置のメモリアレイ部を示す平面図である。
図5図5は、図4に示すA-A'線による断面図である。
図6図6は、図4に示すB-B'線による断面図である。
図7図7は、図4に示すC-C'線による断面図である。
図8図8は、第1の実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
図9図9は、第1の実施形態におけるビット線及びセンスアンプを示す図である。
図10図10は、第1の実施形態におけるローカルワード線、メモリセル、ビット線及びセンスアンプを示す回路図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す平面図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す平面図である。
図13図13は、第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す平面図である。
図14図14は、第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す平面図である。
図15図15(a)~(d)は、第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図16図16(a)~(d)は、第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図17図17(a)~(c)は、第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図18図18は、第2の実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
図19図19は、第3の実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
図20図20(a)及び(b)は、第3の実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す平面図である。
図21図21は、第4の実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
図22図22は、第5の実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、以下で説明する図は模式的なものであり、図を見やすくするために、適宜、誇張又は簡略化されている。例えば、いくつかの主要な構成要素のみを示し、他の構成要素を省略することもある。また、同一の構成要素であっても、図間において、形状及び寸法比は必ずしも一致していない。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る記憶装置を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る記憶装置1においては、半導体基板100が設けられており、半導体基板100上には、複数のタイル101が平面的に配列されている。半導体基板100は、例えば、p型のシリコン基板である。
【0012】
以下、本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。半導体基板100の上面に平行な方向であって相互に直交する2方向を「X方向」及び「Y方向」とする。複数のタイル101は、例えば、X方向及びY方向に沿って行列状に配列されている。半導体基板100の上面に垂直な方向を「Z方向」とする。また、Z方向のうち、半導体基板100からタイル101に向かう方向を「上」ともいい、その逆方向を「下」ともいうが、この表現も便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。
【0013】
次に、タイル101の概略的な構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る記憶装置の1つのタイルを示す断面図である。
図2に示すように、タイル101においては、下から上に向かって、層間絶縁膜111、及び、保護膜112がこの順に積層されている。層間絶縁膜111は半導体基板100の上面に接している。層間絶縁膜111は、例えば、シリコン酸化物(SiO)により形成されている。保護膜112は、例えば、ポリイミドにより形成されている。
【0014】
半導体基板100の上層部分には、p型又はn型の不純物拡散層121及びSTI(Shallow Trench Isolation:素子分離絶縁膜、図示せず)等が多数形成されている。層間絶縁膜111の下層部分には、ゲート電極122及びコンタクト123が設けられている。ゲート電極122はゲート絶縁膜によって半導体基板100から絶縁されている。半導体基板100、不純物拡散層121、ゲート電極122及びゲート絶縁膜等により、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)等の回路素子が形成されている。半導体基板100の上層部分及び層間絶縁膜111の下層部分により、回路素子形成層131が構成されている。
【0015】
層間絶縁膜111における回路素子形成層131上には、配線124及びビア125が多層に形成されている。配線124及びビア125により、下層配線層132が構成されている。回路素子形成層131及び下層配線層132により、記憶装置1の周辺回路が形成されている。
【0016】
層間絶縁膜111における下層配線層132上に位置する部分は、メモリアレイ部133となっている。メモリアレイ部133の構成については、後述する。
【0017】
層間絶縁膜111におけるメモリアレイ部133上に位置する部分、及び保護膜112が配置された部分は、上層配線層134となっている。上層配線層134においては、層間絶縁膜111内に配線126及びビア127が設けられており、層間絶縁膜111上にパッド128が設けられている。パッド128の中央部は保護膜112から露出している。
【0018】
なお、本実施形態においては、メモリアレイ部133の下に周辺回路が形成されている構成を例に挙げて説明するが、本発明はこれには限定されない。例えば、メモリアレイ部と周辺回路を共に半導体基板上に直接形成してもよい。この場合は、例えば、メモリアレイ部の周囲に周辺回路が配置される。又は、周辺回路を別の半導体基板上に形成してもよい。この場合は、例えば、メモリアレイ部が形成された半導体基板と周辺回路が形成された半導体基板をそれぞれ形成した後、両基板を張り合わせる。
【0019】
次に、メモリアレイ部133の構成について説明する。
図3(a)及び(b)は、本実施形態に係る記憶装置のメモリアレイ部を示す斜視図である。
図4は、本実施形態に係る記憶装置のメモリアレイ部を示す平面図である。
図5は、図4に示すA-A'線による断面図である。
図6は、図4に示すB-B'線による断面図である。
図7は、図4に示すC-C'線による断面図である。
【0020】
図3(a)及び(b)、図4図5図6、及び、図7に示すように、記憶装置1のメモリアレイ部133においては、層間絶縁膜111a上に、複数のソース・ドレイン構造体10と、複数のゲート構造体20が、X方向に沿って1つずつ交互に配列されている。層間絶縁膜111aは、層間絶縁膜111の下層部分である。各ソース・ドレイン構造体10の形状、及び、各ゲート構造体20の形状は、YZ平面に沿って拡がる板状である。複数のソース・ドレイン構造体10及び複数のゲート構造体20により、メモリ構造体30が構成されている。
【0021】
各ソース・ドレイン構造体10においては、複数の単位積層体11と複数の絶縁体12がZ方向に沿って1つずつ交互に配列されている。絶縁体12の形状は、Y方向に延びる帯状である。絶縁体12は、絶縁材料からなり、例えば、炭素含有シリコン酸化物(SiOC)からなる。
【0022】
各単位積層体11においては、下から上に向かって、ソース線13、ソース層14、絶縁層15、ドレイン層16、及び、ビット線(ドレイン線)17が、この順に積層されている。ソース線13、ソース層14、絶縁層15、ドレイン層16、及び、ビット線17の形状は、いずれも、Y方向に延びる帯状である。したがって、メモリ構造体30全体においては、複数のビット線17がX方向及びZ方向に沿って配列されている。ソース線13、ソース層14、絶縁層15及びドレイン層16についても、同様である。
【0023】
ソース線13及びビット線17は金属からなる。例えば、ソース線13及びビット線17においては、本体部が設けられており、この本体部の表面に、下地膜が形成されている。本体部は耐熱性材料からなることが好ましく、例えば、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、モリブデン(Mo)、又はチタンタングステン合金(TiW)等からなる。下地膜は、例えば、チタン層(Ti)、チタン窒化物層(TiN)、タンタル層(Ta)、又は窒化タンタル層(TaN)等からなる。ソース層14及びドレイン層16は半導体層であり、例えば、n型のアモルファスシリコン(aSi)からなる。ソース層14はソース線13に接しており、ドレイン層16はビット線17に接している。絶縁層15は絶縁材料、例えば、シリコン酸化物により形成されている。絶縁層15はソース層14及びドレイン層16に接している。
【0024】
ソース線13、ソース層14、絶縁層15、ドレイン層16、及び、ビット線17からなる積層体のX方向両側に向いた両側面上には、チャネル層18が設けられている。チャネル層18は半導体層であり、例えば、p型のアモルファスシリコンからなる。チャネル層18は、ソース線13、ソース層14、絶縁層15、ドレイン層16、及び、ビット線17に接している。
【0025】
各ゲート構造体20においては、複数のローカルワード線21と複数の絶縁部材22が、Y方向に沿って1つずつ交互に配列されている。ローカルワード線21の形状及び絶縁部材22の形状は、Z方向に延びる柱状である。絶縁部材22は絶縁材料からなり、例えば、シリコン酸化物からなる。
【0026】
ソース・ドレイン構造体10を挟んで隣り合う2つのゲート構造体20において、ローカルワード線21のY方向における位置は、相互にずれている。すなわち、Z方向から見て、ローカルワード線21は千鳥状に配列されている。X方向から見たときに、1つのゲート構造体20に属するローカルワード線21と、隣のゲート構造体20に属するローカルワード線21とは、重なり合っていてもよく、離れていてもよい。
【0027】
ローカルワード線21は金属からなる。例えば、ローカルワード線21は、耐熱性金属本体部と金属下地膜からなる。耐熱性金属本体部は、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、モリブデン(Mo)、又はチタンタングステン合金(TiW)等を含む。耐熱性が必要ない作製工程の場合は、ローカルワード線21の耐熱性金属本体部は銅(Cu)を含んでいてもよい。金属下地膜は、チタン層(Ti)、チタン窒化物層(TiN)、タンタル層(Ta)、又は窒化タンタル層(TaN)等を含む。ローカルワード線21の側面上には、電荷蓄積膜23が設けられている。Z方向から見て、電荷蓄積膜23はローカルワード線21を囲んでいる。電荷蓄積膜23は、電荷トンネル層、電荷保持層、電荷ブロック層を含んでいてもよい。電荷トンネル層は、シリコン酸化物層(SiO)、シリコン窒化物層(SiN)、シリコン窒酸化物層(SiОN)、アルミニウム酸化物層(AlO)、ハフニウム酸化物層(HfO)、ジルコニウム酸化物層(ZrO)、ハフニウム・シリコン窒酸化物層(HfSiON)、若しくは、ハフニウム・ジルコニウム酸化物層(HfZrO)を含んでいてもよく、又は、これらを組み合わせた積層体を含んでいてもよい。電荷保持層は、シリコン窒化物層(SiN)、ハフニウム酸化物層(HfO)、又はハフニウム・シリコン窒酸化物層(HfSiON)を含んでいてもよい。電荷ブロック層は、如何様なシリコン酸化物層若しくはアルミニウム酸化物層であってもよく、又は、それら両方であってもよい。
【0028】
ソース・ドレイン構造体10のチャネル層18は、例えば、ゲート構造体20の絶縁部材22及び電荷蓄積膜23に接している。すなわち、ソース・ドレイン構造体10は、例えば、ゲート構造体20に接している。
【0029】
これにより、Y方向に延びる単位積層体11と、Z方向に延びるローカルワード線21との最近接部分毎に、MOSFET構造のメモリセル40が構成される。メモリセル40は、電荷蓄積膜23中のシリコン窒化物層に電荷が蓄積されているか否かによって閾値が異なる。このため、シリコン窒化物層に電荷を出し入れすることによって、情報を記憶することができる。なお、本実施形態においては、電荷蓄積膜23中の電荷が蓄積される部分がシリコン窒化物層である例を示したが、これには限定されない。電荷が蓄積される部分は、例えば、酸化ハフニウムシリケート(HfSiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ハフニウム・アルミネート(HfAlO)、酸化ハフニウム(HfO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化ハフニウム・シリコン(HfSiON)、又は、酸窒化シリコン(SiON)などの材料により形成されていてもよい。
【0030】
メモリ構造体30のY方向両端部の形状は階段状であり、各ステップの上面はビット線17によって構成されている。各ビット線17は、ステップの上面において、コンタクトに接続されている。なお、メモリ構造体30は、各ビット線17を周辺回路に接続できるような構成になっていればよく、必ずしも端部が階段状である必要はない。
【0031】
メモリ構造体30上には、複数のグローバルワード線31が設けられている。複数のグローバルワード線31はY方向に沿って配列されており、各グローバルワード線31はX方向に延びている。本実施形態においては、グローバルワード線31の形状は、後述するリファレンスビット線17rの位置に対応している。これについては、後述する。
【0032】
先ず、グローバルワード線31の一般的な構成について説明する。
各グローバルワード線31の幅、すなわち、Y方向の長さは、ローカルワード線21のY方向の長さと同程度であるか、それよりも短い。各グローバルワード線31は、1つおきに配列されたゲート構造体20に属するローカルワード線21の直上域を通過し、これらのローカルワード線21にプラグ29を介して接続されている。すなわち、ある1本のグローバルワード線31は、メモリ構造体30のX方向における一端部から数えて奇数番目のゲート構造体20に属するローカルワード線21に接続されており、その隣のグローバルワード線31は、偶数番目のゲート構造体20に属するローカルワード線21に接続されている。
【0033】
次に、リファレンスビット線とグローバルワード線との関係について説明する。
図8は、本実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
図8には、理解を助けるために、4本のグローバルワード線31に「1」~「4」の番号を付している。また、8本のローカルワード線21に2本ずつ「1」~「4」の番号を付している。後述するように、同じ番号が付されたグローバルワード線31とローカルワード線21は、相互に接続されている。更に、電荷蓄積膜23は図示を省略している。
【0034】
図8に示すように、複数のビット線17に、「リファレンスビット線17r」、「ダミービット線17d」及び「アクティブビット線17a」の3種類の役割を設定する。
【0035】
メモリ構造体30に設けられた複数のソース・ドレイン構造体10のうち、1つ以上のソース・ドレイン構造体10に属するビット線17を、リファレンスビット線17rとする。本実施形態においては、リファレンスビット線17rはメモリ構造体30のX方向両端部付近に配置されている。リファレンスビット線17rを含む単位積層体11は、メモリセルとして機能しない。以下、リファレンスビット線17rを含む単位積層体11を、「ダミーのメモリセル40d」という。リファレンスビット線17rは、アクティブビット線17aに接続されたメモリセル40からデータを読み出す際に、参照電位を提供する。
【0036】
リファレンスビット線17rの周辺に配置されたビット線17を、ダミービット線17dとする。ダミービット線17dを含む単位積層体11は、メモリセルとして機能しない。なお、ダミービット線17dは設けられていなくてもよく、リファレンスビット線17rの周辺以外の位置に設けられていてもよい。
【0037】
ビット線17のうち、リファレンスビット線17r及びダミービット線17dを除くビット線17を、アクティブビット線17aとする。本実施形態においては、アクティブビット線17aはメモリ構造体30のX方向両端部を除く部分に配置されている。アクティブビット線17aを含む単位積層体11は、メモリセルとして機能する。
【0038】
上述したビット線17の種類は、ソース・ドレイン構造体10毎に決められている。すなわち、あるソース・ドレイン構造体10に属しZ方向に配列された複数のビット線17は全て、リファレンスビット線17rであるか、ダミービット線17dであるか、又は、アクティブビット線17aである。
【0039】
各グローバルワード線31には、基本部分31a、広幅部分31b、及び、パッド部分31cが一体的に設けられている。基本部分31aの構成は、上述のグローバルワード線31の一般的な構成である。すなわち、基本部分31aの幅は、ローカルワード線21のY方向の長さと同程度であるか、それよりも短い。基本部分31aは、アクティブビット線17aを挟むローカルワード線21の直上域に配置されている。基本部分31aは、1つおきに配列されたゲート構造体20に属し、X方向に沿って一列に配列された複数のローカルワード線21に接続されている。
【0040】
広幅部分31bは、リファレンスビット線17rと、リファレンスビット線17rを挟む2つのローカルワード線21の直上域に配置されている。広幅部分31bの幅、すなわち、Y方向における長さは、基本部分31aの幅よりも広い。これにより、広幅部分31bは、リファレンスビット線17rを挟み、X方向に対して傾斜した方向に配列された2本のローカルワード線21に接続されている。
【0041】
このような構成により、図8に示すように、番号「1」が付された1本のグローバルワード線31の広幅部分31bは、番号「1」が付された2本のローカルワード線21に接続されている。この2本のローカルワード線21は、リファレンスビット線17rを挟んでいる。番号「2」~「4」が付されたグローバルワード線31及びローカルワード線21についても、同様である。
【0042】
パッド部分31cは、グローバルワード線31の端部に設けられており、Z方向から見て、メモリ構造体30のX方向外側に配置されている。パッド部分31cの幅は、広幅部分31bの幅よりも広い。なお、パッド部分31cの幅は、広幅部分31bの幅よりも広くなくてもよく、例えば、広幅部分31bの幅と同じであってもよい。パッド部分31cにはコンタクト28が接続されており、コンタクト28を介して周辺回路に接続されている。
【0043】
上述の如く、グローバルワード線31の基本部分31aはアクティブビット線17aの直上域近傍に配置されており、アクティブビット線17aはメモリ構造体30のX方向中央部に配置されている。広幅部分31bはリファレンスビット線17rの直上域の近傍に配置されており、リファレンスビット線17rはメモリ構造体30のX方向の端部に配置されている。パッド部分31cはメモリ構造体30の直上域のX方向外側に配置されている。このため、各グローバルワード線31において、広幅部分31bは、基本部分31aとパッド部分31cとの間に配置されている。
【0044】
Y方向の一端側から数えて1番目及び4番目のグローバルワード線31においては、広幅部分31b及びパッド部分31cがX方向の一端側(図8の左側)に配置されており、2番目及び3番目のグローバルワード線31においては、広幅部分31b及びパッド部分31cがX方向の他端側(図8の右側)に配置されている。なお、4つのグローバルワード線31の組み合わせ、並びに、広幅部分31b及びパッド部分31cの割り当て(図8の左側又は右側)は、これには限定されない。そして、連続して配列された4つのグローバルワード線31が1つの基本単位を構成し、この基本単位がY方向に沿って繰り返し配列されている。
【0045】
広幅部分31bの幅は、基本部分31aの幅よりも広いため、広幅部分31bが設けられた領域においては、基本部分31aが設けられた領域と比較して、Y方向に配列可能なグローバルワード線31の数が約半分になる。例えば、図8に示すように、番号「1」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bと番号「4」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bとの間には、番号「2」を付したグローバルワード線31と番号「3」を付したグローバルワード線31を配置できない。番号「2」を付したグローバルワード線31の基本部分31aは、番号「1」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bの手前で終端しており、番号「3」を付したグローバルワード線31の基本部分31aは、番号「4」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bの手前で終端している。
【0046】
同様に、番号「2」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bと番号「3」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bとの間には、他のグローバルワード線31を配置できない。このため、番号「1」を付したグローバルワード線31の基本部分31aは、番号「2」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bの手前で終端しており、番号「4」を付したグローバルワード線31の基本部分31aは、番号「3」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bの手前で終端している。このように、各グローバルワード線31の基本部分31aは、その隣のグローバルワード線31の広幅部分31bの手前で終端せざるを得ない。したがって、全てのグローバルワード線31の基本部分31aを全てのアクティブビット線17aの直上域にわたって配置しようとすると、広幅部分31bはメモリ構造体30のX方向両端部にしか配置できない。
【0047】
図8の左側に配置されたリファレンスビット線17rを挟む2つのゲート構造体20に属するローカルワード線21には、番号「1」及び「4」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bが接続され、番号「2」及び「3」を付したグローバルワード線31は接続されない。一方、図8の右側に配置されたリファレンスビット線17rを挟む2つのゲート構造体20に属するローカルワード線21には、番号「2」及び「3」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bが接続され、番号「1」及び「4」を付したグローバルワード線31は接続されない。このように、リファレンスビット線17rを挟む2つのゲート構造体20に属するローカルワード線21は、少なくとも1つのグローバルワード線31に接続されていない。
【0048】
次に、ビット線とセンスアンプとの関係について説明する。
図9は、本実施形態におけるビット線及びセンスアンプを示す図である。
図10は、本実施形態におけるローカルワード線、メモリセル、ビット線及びセンスアンプを示す回路図である。
【0049】
図8に示す例では、リファレンスビット線17rが左右に1本ずつ設けられているが、図9に示す例では、リファレンスビット線17rは左右に3本ずつ設けられている。このため、図9に示す例では、グローバルワード線31の広幅部分31bは、3本のリファレンスビット線17rが属する3つのソース・ドレイン構造体10と、それらの間及び両側に配置された4つのゲート構造体20の直上域に配置されている。そして、グローバルワード線31の広幅部分31bは、この4つのゲート構造体20に属するローカルワード線21に接続されている。なお、図9においては、図を見やすくするために、ビット線17にドットを付している。
【0050】
図9及び図10に示すように、ビット線17はメモリ構造体30のY方向端部の階段状の部分において引き出され、センスアンプ41に接続可能とされている。センスアンプ41は複数のビット線17毎に設けられていて、スイッチング素子(図示せず)により接続されるビット線17を切り替える。なお、センスアンプ41はビット線17毎に設けられていてもよい。図9及び図10においては、図示の便宜上、2つのセンスアンプ41のみを示している。
【0051】
ビット線17とセンスアンプ41との間には、ビット線ドライバ42と、トランジスタ43が設けられている。ビット線ドライバ42はMOSFET等のスイッチング素子である。トランジスタ43は、例えば、PMOS(p-type Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタである。ビット線ドライバ42は、ビット線17とトランジスタ43のゲートとの間に接続されている。トランジスタ43のドレインは、センスアンプ41の入力端子に接続されている。センスアンプ41の出力端子は、比較回路44に接続されている。センスアンプ41、ビット線ドライバ42と、トランジスタ43、及び、比較回路44は、例えば、回路素子形成層131及び下層配線層132(図2参照)に形成された周辺回路内に設けられている。
【0052】
次に、本実施形態に係る記憶装置1の動作について説明する。
図9及び図10に示すように、複数のメモリセル40から、値を読み出す1つのメモリセル40を選択する。この選択されたメモリセル40を「メモリセル40s」とする。
【0053】
先ず、全てのソース線13に一定電位を印加した後、電気的に浮遊状態とする。次に、メモリセル40sに接続されたグローバルワード線31に読出電位Vreadを印加する。これにより、このグローバルワード線31の基本部分31aを介して、メモリセル40sに接続されたローカルワード線21に読出電位Vreadが印加される。以下の説明では、メモリセル40sは、番号「1」を付したグローバルワード線31に接続されているものとする。このため、番号「1」を付したグローバルワード線31には読出電位Vreadが印加される。一方、メモリセル40sに接続されたグローバルワード線31以外のグローバルワード線31には、オフ電位Voffを印加する。すなわち、番号「2」~「4」を付したグローバルワード線31にはオフ電位Voffが印加される。したがって、番号「2」~「4」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bを介して、番号「2」~「4」を付したローカルワード線21にもオフ電位Voffが印加される。
【0054】
メモリセル40sに接続されたアクティブビット線17aにビット線電位Vbitを印加する。リファレンスビット線17rにもビット線電位Vbitを印加する。それ以外のアクティブビット線17a及びダミービット線17dには、電位を印加しない。
【0055】
読出電位Vreadは、メモリセル40に記憶された値に応じてメモリセル40の導通状態が異なるような電位である。ビット線電位Vbitは、メモリセル40がオン状態となったときに、ビット線17とソース線13との間に電流が流れるような電位である。オフ電位Voffは、メモリセル40の値にかかわらず、メモリセル40をオフ状態とするような電位である。本実施形態においては、一例として、読出電位Vreadを2Vとし、ビット線電位Vbitを0.5Vとし、オフ電位Voffを0Vとする。
【0056】
これにより、メモリセル40sがオフ状態である場合は、このメモリセル40sに接続されたアクティブビット線17aとソース線13との間には、電流が流れない。一方、メモリセル40sがオン状態である場合は、メモリセル40sに接続されたアクティブビット線17aとソース線13との間に電流が流れ、トランジスタ43に印加されるゲート電位が低下する。これにより、センスアンプ41に読出電流Ireadが流入する。このように、メモリセル40sがオン状態であると、メモリセル40sに接続されたアクティブビット線17aに充電された電荷がメモリセル40sを介してソース線13に流れ、アクティブビット線17aの電位が変化する。このアクティブビット線17aの電位変化を検出することにより、メモリセル40sの状態を評価する。
【0057】
なお、アクティブビット線17aには、オン状態であるメモリセル40sを介して流れる電流の他に、このアクティブビット線17aに接続された全てのメモリセル40の電荷蓄積膜23を介して、ローカルワード線21にリーク電流が流れる。このリーク電流を「ゲートリーク電流」という。
【0058】
上述の如く、メモリセル40sには、番号「1」を付したグローバルワード線31が接続されている。リファレンスビット線17rのうち、図8及び図9の右側に配置されたリファレンスビット線17rを挟む2つのゲート構造体20に属するローカルワード線21は、番号「1」を付したグローバルワード線31には接続されていない。すなわち、右側のリファレンスビット線17rは、メモリセル40sに接続されたグローバルワード線31に接続されたローカルワード線21によっては挟まれていない。
【0059】
右側のリファレンスビット線17rには、ビット線電位Vbitが印加され、このリファレンスビット線17rを挟むローカルワード線21には、オフ電位Voffが印加されるため、ダミーのメモリセル40dは導通しない。したがって、右側のリファレンスビット線17rにはゲートリーク電流しか流れない。このため、リファレンスビット線17rに接続されるトランジスタ43のゲート電位は、ダミーのメモリセル40dを介したリーク量で決定される電位となる。この結果、右側のリファレンスビット線17rに接続されたセンスアンプ41には、参照電流Irefが流入する。
【0060】
そして、比較回路44は、選択されたメモリセル40sに接続されたセンスアンプ41の出力SENVreadと、ダミーのメモリセル40dに接続されたセンスアンプ41の出力SENVrefとを比較することにより、メモリセル40sの値を判定する。
【0061】
このとき、右側のリファレンスビット線17rを挟むローカルワード線21は、番号「2」及び「3」を付したグローバルワード線31の広幅部分31bに接続されており、番号「1」を付したグローバルワード線31には接続されていないため、オフ電位Voffが印加される。これにより、リファレンスビット線17rに接続されたダミーのメモリセル40dを確実にオフ状態とし、リファレンスビット線17rからソース線13に電流が流れることを効果的に抑制できる。これにより、リファレンスビット線17rの電位が安定し、選択されたメモリセル40sに対する読出動作の精度が向上する。
【0062】
なお、番号「4」を付したグローバルワード線31に接続されたメモリセル40の値を読み出すときも、このグローバルビット線31に接続されたローカルワード線21によっては挟まれていないリファレンスビット線17r、すなわち、図示の右側のリファレンスビット線17rを使用する。一方、番号「2」又は「3」を付したグローバルワード線31に接続されたメモリセル40の値を読み出すときは、図示の左側のリファレンスビット線17rを使用する。
【0063】
次に、本実施形態に係る記憶装置の製造方法について説明する。
上述の記憶装置の製造方法としては、いくつかの方法が考えられるが、本実施形態では、記憶装置の高集積化を図るために、側壁転写ダブルパターニングプロセスによりグローバルワード線を作製する方法を説明する。なお、シングルパターニングプロセスを用いて図8に示すようなグローバルワード線を作製する方法も考えられる。
【0064】
図11図14は、本実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す平面図である。
図15(a)~図17(c)は、本実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す断面図である。
なお、図11図14においては、グローバルワード線31は未だ形成されていないため、図8においてグローバルワード線31に付していた番号「1」~「4」は、これらのグローバルワード線31に接続されるコンタクト28に付す。
また、図15(a)~図17(c)は、グローバルワード線31の基本部分31aが形成される領域とパッド部分31cが形成される領域を合成して表しているため、平面図である図11図14とは厳密には対応していない。
【0065】
先ず、図2に示すように、半導体基板100を準備する。次に、半導体基板100及びその上方に、回路素子形成層131を形成し、その上に下層配線層132を形成する。
次に、図3(a)及び図3(b)に示すように、メモリ構造体30を作製する。メモリ構造体30の周辺には、層間絶縁膜111を形成する。
【0066】
次に、図15(a)に示すように、メモリ構造体30上及び層間絶縁膜111上に、シリコン窒化物層51、シリコン酸化物層52、アモルファスシリコン層53、及び、シリコン酸化物層54をこの順に形成する。
【0067】
次に、図11及び図15(a)に示すように、1回目のリソグラフィを行うことにより、パターン55を形成する。パターン55は、例えば、レジストパターンであってもよく、レジストパターンを他の材料に転写することにより形成されたパターンであってもよい。
【0068】
パターン55は、後の工程において1本おきのグローバルワード線31が形成される領域を覆うように形成する。図11に示す例では、パターン55は、奇数番目のグローバルワード線31を形成する領域を含み、偶数番目のグローバルワード線31を形成する領域を含まないように形成する。そして、完成後の記憶装置1において同じグローバルワード線31に接続されるローカルワード線21は、同じパターン55によって覆うか、いずれのパターン55によっても覆わないようにする。
【0069】
パターン55には、第1部分55a、第2部分55b、第3部分55cを連続的に設ける。最終的に形成されるローバルワード線31の幅(図8に示すY方向に沿ったローバルワード線31の長さ)のハーフピッチをxとするとき、第1部分55aの幅、すなわち、Y方向の長さは2xとし、Y方向において隣り合う第1部分55a間の距離も2xとする。したがって、第1部分55aの配列周期は4xである。また、第2部分55bの幅は4xとし、Y方向において隣り合う第2部分55b間の距離も4xとする。したがって、第2部分55bの配列周期は8xである。
【0070】
更に、第3部分55cの幅は6xとし、Y方向において隣り合う第3部分55c間の距離は2xとする。したがって、第3部分55cの配列周期は8xである。なお、形成後のグローバルワード線31において、パッド部分31cの幅を広幅部分31bの幅と同じにする場合は、第3部分55cの幅は4xとし、Y方向において隣り合う第3部分55c間の距離も4xとする。第3部分55cの幅は、例えば、4x~6xの間で調整可能である。以下、第3部分55cの幅を6xとする場合について説明する。
【0071】
次に、図15(b)に示すように、パターン55をマスクとし、アモルファスシリコン層53をストッパとして、シリコン酸化物層54に対してRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングを施す。これにより、シリコン酸化物層54が選択的に除去されて、パターン55の第1部分55aがシリコン酸化物層54の第1部分54aに転写され、パターン55の第2部分55bがシリコン酸化物層54の第2部分54bに転写され、パターン55の第3部分55cがシリコン酸化物層54の第3部分54cに転写される。パターニングされたシリコン酸化物層54は、後述する側壁プロセスの芯材となる。
【0072】
次に、図12及び図15(c)に示すように、シリコン酸化物層54をスリミングする。スリミングは、例えば、DHF(Diluted Hydrofluoric Acid:希フッ酸)を用いたウェットエッチングにより行う。スリミング量は、1側面当たり0.5xとする。これにより、シリコン酸化物層54の第1部分54aの幅が2xから1xに減少し、第1部分54a間の距離は2xから3xに増加する。シリコン酸化物層54の第2部分54bの幅は4xから3xに減少し、第2部分54b間の距離は4xから5xに増加する。シリコン酸化物層54の第3部分54cの幅は6xから5xに減少し、第3部分54c間の距離は2xから3xに増加する。
【0073】
次に、図15(d)に示すように、シリコン窒化物層56を堆積させる。シリコン窒化物層56の厚さは、1x程度とする。シリコン窒化物層56の形状は、シリコン酸化物層54のパターンを反映する。シリコン窒化物層56は、シリコン酸化物層54のパターン間の隙間を完全には埋め込まない。
【0074】
次に、図13及び図16(a)に示すように、シリコン窒化物層56に対してRIE等の異方性エッチングを施す。エッチング量は、1xよりもやや多い程度とする。これにより、シリコン窒化物層56のうち、シリコン酸化物層54の側面上に配置された部分以外の部分が除去される。この結果、シリコン窒化物層56は、シリコン酸化物層54の周囲に枠状に残留し、側壁となる。枠状に形成されたシリコン窒化物層56の各部の幅は、1x程度である。
【0075】
次に、図16(b)に示すように、芯材としてのシリコン酸化物層54を除去する。この除去は、例えば、DHFを用いたウェットエッチングによって行う。このとき、側壁であるシリコン窒化物層56は除去されずに、枠状に残留する。
【0076】
次に、図16(c)に示すように、シリコン窒化物層56をマスクとし、シリコン酸化物層52をストッパとして、アモルファスシリコン層53に対してRIE等の異方性エッチングを施す。これにより、シリコン窒化物層56のパターンがアモルファスシリコン層53に転写される。
【0077】
次に、図14及び図16(d)に示すように、2回目のリソグラフィを行うことにより、パターン57a及び57bを形成する。パターン57aは、番号「1」または番号「3」が付されたコンタクト28を囲む隣り合う2つの枠状に閉じたアモルファスシリコン層53とその間の領域に形成され、番号「2」と番号「4」が付されるグローバルワード線31が形成される予定の領域の境界部分に位置する。パターン57aは、パターン形成プロセスの安定性の確保のために、隣り合う2つのアモルファスシリコン層53を覆い、アモルファスシリコン層53に重なるように形成してもよいが、各アモルファスシリコン層53によって囲まれた領域を分断しないようにする。これにより、パターン57aは、枠状のアモルファスシリコン層53の外側にあって2つのアモルファスシリコン層53に挟まれた領域をX-Y面内で2つに分断し、一方で各アモルファスシリコン層53によって囲まれた領域は分断しない。このため、パターン53aは、番号「1」または番号「3」が付されるグローバルワード線31の機能には何ら影響を与えない。パターン57bは、コンタクト28のうち、枠状のアモルファスシリコン層53の外部に配置されたコンタクト28を囲むように形成する。
【0078】
図14に示す例では、後の工程において奇数番目のグローバルワード線31が形成される領域は、枠状のアモルファスシリコン層53によって囲まれている。一方、偶数番目のグローバルワード線31が形成される領域は、アモルファスシリコン層53の外側に位置しており、アモルファスシリコン層53によって囲まれておらず、Y方向において隣り合う2つのアモルファスシリコン層53に挟まれている。パターン57aは、隣り合う2つのアモルファスシリコン層53に挟まれた領域を、X-Y面内で分断する。パターン57aのY方向の長さは3xとする。パターン57aの形成位置には、Y方向において、アモルファスシリコン層53の幅に相当する±1xのマージンがある。
【0079】
一方、パターン57bは、偶数番目のグローバルワード線31のパッド部分31cが形成される領域を囲む領域に形成する。これにより、各グローバルワード線31が形成される領域は、アモルファスシリコン層53、パターン57a、及び、パターン57bによって区画される。
【0080】
次に、図17(a)に示すように、アモルファスシリコン層53、パターン57a及び57bをマスクとし、シリコン窒化物層51をストッパとして、シリコン酸化物層52に対してRIE等の異方性エッチングを施す。次に、シリコン窒化物層51に対してRIE等の異方性エッチングを施す。これにより、シリコン酸化物層52及びシリコン窒化物層51におけるグローバルワード線31が形成される予定の領域に、開口部58が形成される。次に、パターン57a及び57b、並びに、アモルファスシリコン層53を除去する。
【0081】
次に、図17(b)に示すように、金属、例えば,銅を堆積させて、金属膜59を形成する。金属膜59は、開口部58の内部、及び、シリコン酸化物層52の上面上に形成される。
【0082】
次に、図8及び図17(c)に示すように、金属膜59に対してCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)等の平坦化処理を施して、シリコン酸化物層52を露出させる。これにより、金属膜59のうち、シリコン酸化物層52の上面上に配置された部分は除去される。そして、金属膜59のうち開口部58内に残留した部分が、グローバルワード線31となる。このようにして、複数のグローバルワード線31が形成され、メモリアレイ部133が形成される。
【0083】
次に、図2に示すように、上層配線層134を形成する。次に、保護膜112及び層間絶縁膜111に格子状の溝を形成する。溝によって区画された部分が、タイル101となる。これにより、図1に示すように、半導体基板100上に複数のタイル101が作製される。このようにして、本実施形態に係る記憶装置1が製造される。
【0084】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る記憶装置1においては、図10に示すように、選択されたメモリセル40sから値を読み出すときに、このメモリセル40sに接続されたアクティブビット線17aの電位変化を検知すると共に、少なくとも1つのリファレンスビット線17rの電位変化を検知し、両者を比較している。これにより、ゲートリーク電流の影響をある程度キャンセルし、メモリセル40sに記憶された値を精度良く且つ短時間で読み出すことができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、図8に示すように、リファレンスビット線17rを挟む位置にあるローカルワード線21は、メモリセル40sに接続されたグローバルワード線31には接続されていない。これにより、リファレンスビット線17rを挟むローカルワード線21には読出電位Vreadが印加されず、オフ電位Voffが印加される。この結果、このリファレンスビット線17rに接続されたダミーのメモリセル40dを確実にオフ状態にできるため、リファレンスビット線17rの電位が安定する。これにより、読出動作の精度がより向上する。
【0086】
更に、本実施形態によれば、図11に示すように、1回目のリソグラフィによりパターン55を芯材として形成する。このとき、完成後の記憶装置1において同じグローバルワード線31に接続するローカルワード線21は、同じパターン55によって覆うか、いずれのパターン55によっても覆わないようにする。次に、図12に示すように、芯材をスリミングし、図13に示すように、芯材の周囲にアモルファスシリコン層53を側壁として形成し、芯材を除去する。この段階で、一部の(例えば奇数番目の)グローバルワード線31が形成される領域はアモルファスシリコン層53によって区画され、残りの(例えば偶数番目の)グローバルワード線31が形成される領域はアモルファスシリコン層53の外側に位置し区画されない。次に、図14に示すように、2回目のリソグラフィによりパターン57a及び57bを形成する。パターン57aは、Y方向において隣り合う2つのアモルファスシリコン層53に挟まれた領域をX方向に沿って2つに分割し、パターン57bは、この分割された領域のX方向の端部を囲む。これにより、残りの(例えば偶数番目の)グローバルワード線31が形成される領域も適切に区画される。
【0087】
このようにすることで、側壁プロセスによって幅及び間隔がそれぞれ1xの微細な基本部分31aを形成しつつ、2回のリソグラフィにより、幅が3xの広幅部分31b及び幅が5xのパッド部分31cも含むグローバルワード線31を形成することができる。すなわち、側壁転写ダブルパターニングプロセスによりグローバルワード線31の微細化を図りつつ、側壁転写ダブルパターニングプロセスに起因する周期性の制約を部分的に回避して、読出電位Vreadが印加されないリファレンスビット線17rを形成することができる。
【0088】
なお、1回目のリソグラフィにより芯材を形成し、側壁プロセスによって幅及び間隔がそれぞれ1xの枠状のパターンを形成し、2回目のリソグラフィにより枠状のパターンを切断し、3回目のリソグラフィにより追加のパターンを形成して、所望の形状のグローバルワード線を形成することも考えられる。しかしながら、この場合は、合計で3回のリソグラフィが必要となり、プロセスコストが増加する。また、側壁プロセスによって形成された枠状のパターンの幅及び間隔が1xであるため、2回目のリソグラフィのY方向におけるマージンが±0.5xとなり、プロセスの難易度が増加する。これに対して、本実施形態によれば、リソグラフィのY方向におけるマージンを±1xとしつつ、2回のリソグラフィで、所望の形状のグローバルワード線を形成することができる。
【0089】
<第2の実施形態>
以下の各実施形態においては、第1の実施形態との相違点を主として説明し、第1の実施形態と同様な部分は説明を省略する。
図18は、本実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
【0090】
図18に示すように、本実施形態に係る記憶装置2は、第1の実施形態に係る記憶装置1(図8参照)と比較して、グローバルワード線31の形状が異なっている。具体的には、本実施形態におけるグローバルワード線31には、広幅部分31b(図8参照)が設けられていない。また、グローバルワード線31には斜行部分31dが設けられ、基本部分31aに介在している。基本部分31aは、第1の実施形態と同様に、X方向に延びている。斜行部分31dは、X方向及びY方向に対して傾斜した方向に延びている。斜行部分31dの幅は、基本部分31aの幅と実質的に等しい。
【0091】
斜行部分31dは、リファレンスビット線17r及びその両側のゲート構造体20の直上域に配置されている。これにより、リファレンスビット線17rを挟む2本のローカルワード線21は、同一のグローバルワード線31の斜行部分31dに接続される。これにより、各リファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21は、一部のグローバルワード線31に接続され、他のグローバルワード線31には接続されない。例えば、図18の左側に配置されたリファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21は、番号「1」及び「3」を付したグローバルワード線31に接続され、番号「2」及び「4」を付したグローバルワード線31には接続されない。一方、図18の右側に配置されたリファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21は、番号「2」及び「4」を付したグローバルワード線31に接続され、番号「1」及び「3」を付したグローバルワード線31には接続されない。
【0092】
一方、基本部分31aは、アクティブビット線17a、ダミービット線17d、アクティブビット線17a間のゲート構造体20、アクティブビット線17aとダミービット線17dとの間のゲート構造体20の直上域に配置されている。これにより、メモリセル40に接続されたローカルワード線21は、グローバルワード線31の基本部分31aに接続される。
【0093】
本実施形態によれば、グローバルワード線31に広幅部分31bを設けなくても、リファレンスビット線17rを挟むローカルワード線21を、読出対象となるメモリセル40sに接続されたグローバルワード線31に接続しないようにすることができる。
【0094】
斜行部分31dの幅は基本部分31aの幅と略等しいため、Y方向において、斜行部分31dの配列周期は基本部分31aの配列周期と等しくすることができる。このため、斜行部分31dはメモリ構造体30の直上域において、X方向の任意の位置に配置することができる。このため、リファレンスビット線17rの配置位置はメモリ構造体30のX方向両端部には限定されず、任意の位置とすることができる。
【0095】
一方、図18に領域Dとして示すように、斜行部分31dにおいては、ローカルワード線21と、このローカルワード線21が接続されたグローバルワード線31の隣のグローバルワード線31との間のショートマージンが小さくなる。
【0096】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0097】
<第3の実施形態>
図19は、本実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
【0098】
図19に示すように、本実施形態に係る記憶装置3も、第1の実施形態に係る記憶装置(図8参照)と比較して、グローバルワード線31の形状が異なっている。具体的には、本実施形態におけるグローバルワード線31には、広幅部分31b(図8参照)が設けられておらず、斜行部分31d(図18参照)も設けられていない。本実施形態のグローバルワード線31においては、基本部分31aがパッド部分31cに直接繋がっている。
【0099】
また、本実施形態に係る記憶装置3においては、リファレンスビット線17rを挟む2つのゲート構造体20の間で、Y方向におけるローカルワード線21の位置が略同じである。これにより、リファレンスビット線17rを挟む2本のローカルワード線21は、同一のグローバルワード線31の基本部分31aに接続される。
【0100】
この結果、各リファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21は、一部のグローバルワード線31に接続され、他のグローバルワード線31には接続されない。例えば、図19の左側に配置されたリファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21は、番号「2」及び「4」を付したグローバルワード線31に接続され、番号「1」及び「3」を付したグローバルワード線31には接続されない。一方、図19の右側に配置されたリファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21は、番号「1」及び「3」を付したグローバルワード線31に接続され、番号「2」及び「4」を付したグローバルワード線31には接続されない。
【0101】
次に、本実施形態に係る記憶装置の製造方法について説明する。
図20(a)及び(b)は、本実施形態に係る記憶装置の製造方法を示す平面図である。
【0102】
図20(a)に示すように、複数のソース・ドレイン構造体10と板状の絶縁部材22がX方向に沿って交互に配列された中間構造体60を作製する。なお、中間構造体60においては、ソース線13及びビット線17の代わりに、例えばシリコン窒化物からなる犠牲部材を形成しておいてもよい。
【0103】
次に、図20(b)に示すように、中間構造体60上に、マスクパターン61を形成する。マスクパターン61においては、開口部62a及び62bが形成されている。Z方向から見て、開口部62a及び62bの形状は、例えば、略楕円形である。開口部62bのY方向における長さは、開口部62aのY方向における長さと略等しい。開口部62bのX方向における長さは、開口部62aのX方向における長さよりも長い。開口部62a内には、1つの絶縁部材22が露出する。開口部62b内には、隣り合う2つの絶縁部材22及びその間の1つのソース・ドレイン構造体10が露出する。
【0104】
次に、マスクパターン61をマスクとして、絶縁部材22に対してRIE等の異方性エッチングを施す。これにより、絶縁部材22に孔63a及び63bが形成される。孔63aは開口部62aの直下域の一部に形成され、孔63bは開口部62bの直下域の一部に形成される。孔63a及び63bのX方向に向いた側面には、ソース・ドレイン構造体10が露出する。このとき、ソース・ドレイン構造体10は、炭素含有シリコン酸化物(SiOC)からなる絶縁体12、又は、それより上方に設けられたエッチングストッパ部材によってエッチングが阻止されるため、実質的にエッチングされない。このため、Z方向から見て、リファレンスビット線17rにおける孔63bと重なる部分も、エッチングされない。なお、中間構造体60において、ソース線13及びビット線17の代わりに犠牲部材を形成した場合は、孔63a及び63bを介して犠牲部材を金属部材にリプレイスしてもよい。
【0105】
次に、マスクパターン61を除去する。次に、孔63a及び63b内に犠牲部材64を埋め込む。そして、絶縁部材22における孔63a間及び孔63b間に位置する部分を除去する。これにより、犠牲部材64間に孔65a及び65bが形成される。孔65a及び65bの配置パターンは、絶縁部材22において、孔63a及び63bの配置パターンを反転させたパターンとなる。次に、孔65a及び65bの内面上に電荷蓄積膜23を形成する。次に、孔65a及び65b内に、金属材料を埋め込むことにより、ローカルワード線21を形成する。ローカルワード線21のうち、孔65a内に形成されたローカルワード線21aは、犠牲部材64が埋め込まれた2つの孔63aの間に位置する。一方、ローカルワード線21のうち、孔65b内に形成されたローカルワード線21bは、犠牲部材64が埋め込まれた2つの孔63b間に位置する。次に、孔63a及び63b内から犠牲部材64を除去する。次に、孔63a及び63b内にシリコン酸化物等の絶縁材料を埋め戻して、絶縁部材22の一部とする。このようにして、メモリ構造体30が製造される。
【0106】
なお、リファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21bは、孔65b内に形成されるため、孔65a内に形成されたローカルワード線21aとは、Z方向から見た形状が異なる。
【0107】
本実施形態によっても、グローバルワード線31に広幅部分31bを設ける必要がないため、リファレンスビット線17rを、メモリ構造体30におけるX方向の任意の位置に配置することができる。また、グローバルワード線31に斜行部分31dを設ける必要がないため、図18の領域Dに示すように、ショートマージンが小さくなる部分が発生しにくい。
【0108】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。なお、本実施形態においては、マスクパターン61の開口部62bを、2つの絶縁部材22にわたる大きさとする例を示したが、これには限定されず、3つ以上の絶縁部材22にわたる大きさとしてもよい。
【0109】
<第4の実施形態>
図21は、本実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
【0110】
図21に示すように、本実施形態に係る記憶装置4においては、グローバルワード線31の構成は第3の実施形態と同様である。すなわち、グローバルワード線31には、基本部分31a及びパッド部分31cが設けられており、広幅部分31b(図8参照)及び斜行部分31d(図18参照)は設けられていない。
【0111】
記憶装置4においては、複数のビット線17のうち、隣り合う2本のビット線17が、リファレンスビット線17rとされている。隣り合う2本のリファレンスビット線17rは、これらの2本のリファレンスビット線17r間の領域以外の領域、例えば、上層配線層134又は下層配線層132において相互に接続されている。このため、隣り合う2本のリファレンスビット線17rには、常に同じ電位が印加される。
【0112】
隣り合う2本のリファレンスビット線17rの間には、1枚の板状の絶縁部材22が設けられていてもよく、複数の柱状の絶縁部材22とローカルワード線21と同様な導電体とがY方向に沿って交互に配列されていてもよい。但し、リファレンスビット線17rはメモリセルを駆動するビット線としては機能しないため、これらの間に設けられた導電体も、ローカルワード線21としては機能しない。
【0113】
本実施形態によっても、グローバルワード線31に広幅部分31bを設ける必要がないため、リファレンスビット線17rを、メモリ構造体30のX方向における任意の位置に配置することができる。また、グローバルワード線31に斜行部分31dを設ける必要がないため、図18の領域Dに示すようなショートマージンが小さくなる部分が発生しにくい。更に、Z方向から見て、隣り合う2本のリファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21の形状を、他のローカルワード線21の形状と同じにすることができる。
【0114】
この結果、隣り合う2本のリファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21は、一部のグローバルワード線31に接続され、他のグローバルワード線31には接続されない。例えば、図21の左側に配置された2本のリファレンスビット線17rの両側に配置されたローカルワード線21は、番号「1」及び「3」を付したグローバルワード線31に接続され、番号「2」及び「4」を付したグローバルワード線31には接続されない。一方、図21の右側に配置された2本のリファレンスビット線17rの両側に配置された2本のローカルワード線21は、番号「2」及び「4」を付したグローバルワード線31に接続され、番号「1」及び「3」を付したグローバルワード線31には接続されない。
【0115】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0116】
<第5の実施形態>
図22は、本実施形態におけるメモリ構造体とグローバルワード線を示す平面図である。
【0117】
図22に示すように、本実施形態に係る記憶装置5においては、複数のビット線17のうち、隣り合う2本のビット線17が、リファレンスビット線17rとされている。隣り合う2本のリファレンスビット線17rは、X方向に延びる接続部17cを介して相互に接続されている。このため、隣り合う2本のリファレンスビット線17rには、常に同じ電位が印加される。接続部17cはメモリ構造体30の内部において、ビット線17を含む層のそれぞれに設けられている。
【0118】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第4の実施形態と同様である。
【0119】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0120】
1、2、3、4、5:記憶装置、 10:ソース・ドレイン構造体、
11:単位積層体、 12:絶縁体、 13:ソース線、 14:ソース層、
15:絶縁層、 16:ドレイン層、 17:ビット線、
17a:アクティブビット線、 17c:接続部、
17d:ダミービット線、 17r:リファレンスビット線、
18:チャネル層、 20:ゲート構造体、 21:ローカルワード線、
22:絶縁部材、 23:電荷蓄積膜、 28:コンタクト、 29:プラグ、
30:メモリ構造体、31:グローバルワード線、 31a:基本部分、
31b:広幅部分、 31c:パッド部分、 31d:斜行部分、
40:メモリセル、 40d:ダミーのメモリセル、 40s:選択されたメモリセル、 41:センスアンプ、 42:ビット線ドライバ、 43:トランジスタ、
44:比較回路、 51:シリコン窒化物層、 52:シリコン酸化物層、
53:アモルファスシリコン層、 54:シリコン酸化物層、
54a:第1部分、 54b:第2部分、 54c:第3部分、
55:パターン、 55a:第1部分、 55b:第2部分、
55c:第3部分、 56:シリコン窒化物層、 57a、57b:パターン、
58:開口部、 59:金属膜、 60:中間構造体、 61:マスクパターン、
62a、62b:開口部、 63a、63b:孔、 64:犠牲部材、
65a、65b:孔、 100:半導体基板、 101:タイル、
111、111a:層間絶縁膜、 112:保護膜、 121:不純物拡散層、
122:ゲート電極、 123:コンタクト、 124:配線、 125:ビア、
126:配線、 127:ビア、 128:パッド、 131:回路素子形成層、
132:下層配線層、 133:メモリアレイ部、 134:上層配線層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22