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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20240816BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20240816BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F24C7/04 301A
F24C3/12 K
H05B6/12 302
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021022614
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124777
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水野 達彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
(72)【発明者】
【氏名】土橋 洋樹
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-074252(JP,A)
【文献】特開2017-078816(JP,A)
【文献】特開2013-069027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/04
F24C 3/12
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部を有する熱機器と、前記熱機器と通信可能であり、前記熱機器の上面側を撮像可能な撮像部を有する撮像手段とを備え、
前記熱機器は、前記熱機器に関する情報信号を前記撮像手段に送信する熱機器通信部を有し、
前記撮像手段は、前記熱機器通信部から送信された前記情報信号を受信する撮像手段通信部を有し、前記情報信号を受信可能な待機モードと、前記熱機器を監視する監視モードとを有し、前記待機モードにおいて前記撮像手段通信部が前記情報信号を受信したとき、前記監視モードに切替え可能とした監視システムにおいて、
前記熱機器の周辺領域の照度を検出する照度検出手段をさらに備え、
前記撮像手段は、
前記照度検出手段によって前記照度を検出する照度検出モードをさらに有し、
前記照度検出モードにおいて前記照度が所定の閾値以上となったとき、前記撮像手段通信部への電力供給を開始すると共に、前記照度検出モードから前記待機モードに切替え、
前記待機モードにおいて前記照度が所定の閾値未満となったとき、前記撮像手段通信部への電力供給を中止すると共に、前記待機モードから前記照度検出モードに切替え
前記情報信号は、前記熱機器への電力供給の開始に関する信号、又は前記加熱部による加熱の開始若しくは加熱状態の変更に関する信号である、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記待機モードから前記監視モードへの切替えに伴い、前記撮像部への電力供給を開始する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記熱機器を照明する照明手段をさらに備え、
前記照明手段は、少なくとも前記加熱部の作動中に自動で前記熱機器を照明し、
前記撮像手段は、前記照明手段による照明時に前記照度が前記閾値以上となる位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
加熱部を有する熱機器と、前記熱機器と通信可能であり、前記熱機器の上面側を撮像可能な撮像部を有する撮像手段とを備え、
前記熱機器は、前記熱機器に関する情報信号を前記撮像手段に送信する熱機器通信部を有し、
前記撮像手段は、前記熱機器通信部から送信された前記情報信号を受信する撮像手段通信部を有し、前記情報信号を受信可能な待機モードと、前記熱機器を監視する監視モードとを有し、前記待機モードにおいて前記撮像手段通信部が前記情報信号を受信したとき、前記監視モードに切替え可能とした監視システムにおいて、
前記熱機器の周辺領域の照度を検出する照度検出手段をさらに備え、
前記撮像手段は、
前記照度検出手段によって前記照度を検出する照度検出モードをさらに有し、
前記照度検出モードにおいて前記照度が所定の閾値以上となったとき、前記撮像手段通信部への電力供給を開始すると共に、前記照度検出モードから前記待機モードに切替え、
前記待機モードにおいて前記照度が所定の閾値未満となったとき、前記撮像手段通信部への電力供給を中止すると共に、前記待機モードから前記照度検出モードに切替え
前記熱機器を照明する照明手段をさらに備え、
前記照明手段は、少なくとも前記加熱部の作動中に自動で前記熱機器を照明し、
前記撮像手段は、前記照明手段による照明時に前記照度が前記閾値以上となる位置に設けられ、
前記情報信号は、前記加熱部による加熱の開始に関する信号であり、
前記熱機器は、加熱の開始前、前記情報信号を前記撮像手段に送信し、所定時間の経過後、加熱を開始する、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項5】
前記熱機器は、前記加熱部によって被調理物を調理する加熱調理器であり、
前記加熱調理器の上方に設けられ、前記加熱部の作動により発せられる排気を排出する排気排出装置をさらに備え、
前記照明手段は前記排気排出装置に設けられ、少なくとも前記加熱部からの前記排気の排出中に自動で前記加熱調理器を照明する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記撮像手段は、内部に電源部を有し、前記電源部から電力供給を行う、
ことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器の上面側を監視することができる監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器の加熱状態や天板部の上面に異物が載置されていないか等を検出するため、加熱調理器の上方に撮像手段を設け、監視する監視システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の加熱調理器は、その上方にレンジフードが設けられ、レンジフードの各コンロバーナに対応する位置にカメラが設置されている。カメラは、五徳上に置かれた加熱対象物(例えば、鍋やフライパン)を上方から撮影し、加熱対象物の輪郭を検出する。
【0004】
これにより、加熱対象物の炎を、カメラで撮影した画像から認識することによって、加熱対象物からの炎のはみ出しの有無を検出することができる。また、カメラは、加熱調理器が使用されている間、加熱対象物の輪郭検出及び加熱対象物の周囲の炎検出を継続的に行う(特許文献1/段落0021、図1-2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-78455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のシステムは、監視のためにカメラが常時撮影を継続し、また加熱調理器と通信状態を維持している。しかしながら、実際1日のうちで加熱調理器を使用している時間はそれ程長くないため、カメラの消費電力が蓄積されて、コスト増加につながるという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、カメラの消費電力を抑えつつ、加熱調理器の状態を監視することができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
加熱部を有する熱機器と、前記熱機器と通信可能であり、前記熱機器の上面側を撮像可能な撮像部を有する撮像手段とを備え、
前記熱機器は、前記熱機器に関する情報信号を前記撮像手段に送信する熱機器通信部を有し、
前記撮像手段は、前記熱機器通信部から送信された前記情報信号を受信する撮像手段通信部を有し、前記情報信号を受信可能な待機モードと、前記熱機器を監視する監視モードとを有し、前記待機モードにおいて前記撮像手段通信部が前記情報信号を受信したとき、前記監視モードに切替え可能とした監視システムにおいて、
前記熱機器の周辺領域の照度を検出する照度検出手段をさらに備え、
前記撮像手段は、
前記照度検出手段によって前記照度を検出する照度検出モードをさらに有し、
前記照度検出モードにおいて前記照度が所定の閾値以上となったとき、前記撮像手段通信部への電力供給を開始すると共に、前記照度検出モードから前記待機モードに切替え、
前記待機モードにおいて前記照度が所定の閾値未満となったとき、前記撮像手段通信部への電力供給を中止すると共に、前記待機モードから前記照度検出モードに切替え
前記情報信号は、前記熱機器への電力供給の開始に関する信号、又は前記加熱部による加熱の開始若しくは加熱状態の変更に関する信号である、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の監視システムにおいて、撮像手段は熱機器と通信可能であり、熱機器の上面側を撮像することができる。撮像手段は、熱機器から送信された情報信号を受信可能な待機モードと、熱機器を監視する監視モードと、照度検出手段によって熱機器の周辺領域の照度を検出する照度検出モードとを有し、各種条件に応じてモードの切替えが行われる。
【0010】
照度検出モードにおいて照度が所定の閾値以上となったとき、これから熱機器が使用されることが想定されるため、撮像手段通信部への電力供給を開始すると共に、照度検出モードから待機モードへの切替えが行われる。これにより、撮像手段はスタンバイ状態となる。一方、待機モードにおいて照度が所定の閾値未満となったとき、この後、熱機器が使用されないことが想定されるため、撮像手段通信部への電力供給を中止すると共に、待機モードから照度検出モードへの切替えが行われる。このようにして、本監視システムは、撮像手段の消費電力を抑えつつ、熱機器の監視に備えることができる。また、上記のように情報信号を定めることで、撮像手段を監視モードに切替えて、熱機器の監視を開始するタイミングを把握することができる。これにより、熱機器の使用者の安全を確保することができる。
【0011】
本発明の監視システムにおいて、
前記撮像手段は、前記待機モードから前記監視モードへの切替えに伴い、前記撮像部への電力供給を開始する、ことが好ましい。
【0012】
待機モードでは、撮像手段の撮像手段通信部のみに電力供給がされているが、待機モードから監視モードへの切替えに伴い、撮像部への電力供給が開始される。これにより、撮像手段の消費電力をより低減することができる。
【0015】
また、本発明の監視システムにおいて、
前記熱機器を照明する照明手段をさらに備え、
前記照明手段は、少なくとも前記加熱部の作動中に自動で前記熱機器を照明し、
前記撮像手段は、前記照明手段による照明時に前記照度が前記閾値以上となる位置に設けられている、ことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、照明手段は、加熱部の作動中に自動で熱機器を照明するので、使用者が加熱、調理を行い易い。また、撮像手段は、照明時に照度が前記閾値以上となる位置に設けられているため、熱機器の使用時には、撮像手段が待機モード又は監視モードを維持する。これにより、システムとしての利便性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明は、
加熱部を有する熱機器と、前記熱機器と通信可能であり、前記熱機器の上面側を撮像可能な撮像部を有する撮像手段とを備え、
前記熱機器は、前記熱機器に関する情報信号を前記撮像手段に送信する熱機器通信部を有し、
前記撮像手段は、前記熱機器通信部から送信された前記情報信号を受信する撮像手段通信部を有し、前記情報信号を受信可能な待機モードと、前記熱機器を監視する監視モードとを有し、前記待機モードにおいて前記撮像手段通信部が前記情報信号を受信したとき、前記監視モードに切替え可能とした監視システムにおいて、
前記熱機器の周辺領域の照度を検出する照度検出手段をさらに備え、
前記撮像手段は、
前記照度検出手段によって前記照度を検出する照度検出モードをさらに有し、
前記照度検出モードにおいて前記照度が所定の閾値以上となったとき、前記撮像手段通信部への電力供給を開始すると共に、前記照度検出モードから前記待機モードに切替え、
前記待機モードにおいて前記照度が所定の閾値未満となったとき、前記撮像手段通信部への電力供給を中止すると共に、前記待機モードから前記照度検出モードに切替え、
前記熱機器を照明する照明手段をさらに備え、
前記照明手段は、少なくとも前記加熱部の作動中に自動で前記熱機器を照明し、
前記撮像手段は、前記照明手段による照明時に前記照度が前記閾値以上となる位置に設けられ、
前記情報信号は、前記加熱部による加熱の開始に関する信号であり、
前記熱機器は、加熱の開始前、前記情報信号を前記撮像手段に送信し、所定時間の経過後、加熱を開始する、ことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、加熱部で加熱が開始される前に、撮像手段が監視モードに移行して、熱機器の監視を開始することができるので、システムとしての安全性及び利便性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の監視システムにおいて、
前記熱機器は、前記加熱部によって被調理物を調理する加熱調理器であり、
前記加熱調理器の上方に設けられ、前記加熱部の作動により発せられる排気を排出する排気排出装置をさらに備え、
前記照明手段は前記排気排出装置に設けられ、少なくとも前記加熱部からの前記排気の排出中に自動で前記加熱調理器を照明する、ことが好ましい。
【0020】
加熱調理器の上方には、排気を排出する排気排出装置(例えば、レンジフード)が設けられているため、加熱部の作動中に排気の排出を行うことができる。照明手段は排気排出装置に設けられ、少なくとも加熱部から発せられた排気の排出中に自動で加熱調理器を照明するため、加熱部の作動状態を確実に監視することができる。
【0021】
また、本発明の監視システムにおいて、
前記撮像手段は、前記撮像手段は、内部に電源部を有し、前記電源部から電力供給を行う、ことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、電源部の寿命を長持ちさせて、電源部の交換又は充電の手間を省くことができるため、システムとしての利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る監視システムの概略図。
図2】監視システムの内部構成を説明する図。
図3】カメラの状態遷移を説明する図。
図4】カメラの状態遷移に関わる全体処理のフローチャート。
図5A】加熱調理器の全体処理のフローチャート(前半)。
図5B】加熱調理器の全体処理のフローチャート(後半)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
初めに、図1を参照して、本発明の実施形態に係る監視システム1を説明する。監視システム1は、主に加熱調理器10、カメラユニット20及びレンジフード30から構成されている。カメラユニット20は、加熱調理器10の使用時に、天板部4の上面側を撮像できるようになっている。
【0026】
まず、加熱調理器10について説明する。加熱調理器10は、その前面側の中央部にグリル2が設けられている。グリル2は、加熱調理器10の内部に設けられたグリル庫2aに被加熱物を出し入れする際に、グリル庫2aの前面開口部を開閉する。
【0027】
加熱調理器10(本発明の「熱機器」)は、システムキッチンのカウンタトップWに組み込むビルトイン式であり、上面を開放面とする箱形のコンロ本体3を備えている。コンロ本体3の上部には天板部4が設けられ、天板部4からはコンロ本体3に支持されたコンロバーナ5,6,7が上方に露出している。
【0028】
図1においては、右側のコンロバーナ7上に調理容器Pが置かれている。なお、コンロバーナの代わりに、IHヒーターが設けられた加熱調理器であってもよい。
【0029】
天板部4の中央のコンロバーナ6の奥側(壁側)には、加熱調理器10の排気ガスの排気、又は加熱調理器10内への空気の吸気を行うための吸排気口部12が設けられている。
【0030】
また、加熱調理器10の前面側におけるグリル2の両側には、各コンロバーナ5,6,7、及びグリル庫2a内のグリルバーナ8の点消火ボタン13a~13dと、電源スイッチ13eが設けられている。
【0031】
各点消火ボタン13a~13dはプッシュ式であって、前面パネルに没入した図1に示す消火位置から一旦押し込んで押込み解除することにより前面パネルの前方の燃焼位置に突出し、この状態で火力調節のために回動操作することができるようになっている。
【0032】
電源スイッチ13e、各バーナ5~8の点消火ボタン13a~13dの操作検知スイッチ(図示省略)からの信号は、各バーナ5~8の火炎検知素子からの信号と共にマイクロコンピュータからなる、後述する制御部11に入力される。そして、制御部11によりイグナイタ、元弁及び各ガス弁装置が制御される。
【0033】
次に、カメラユニット20について説明する。カメラユニット20は加熱調理器10とレンジフード30との間の壁面に取り付けられた小型のカメラである。カメラユニット20は内蔵バッテリーで駆動し、主に天板部4の上面側のコンロバーナ5~7が含まれる領域を撮像することができる。
【0034】
また、カメラユニット20は、無線通信(Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等)により加熱調理器10と通信することができる。加熱調理器10は、調理容器Pが存在しているか否か、存在している場合には調理容器Pの大きさ、そして調理時の吹き零れ等を監視するため、カメラユニット20から送信された画像データを取得する。
【0035】
カメラユニット20は、加熱調理器10(コンロバーナ5~7)の周辺領域(調理時の作業環境)の照度を検出する照度検出センサ26(図示省略)を備えている。照度検出センサ26で検出された照度検出値は、カメラユニット20の制御モードを切替えるための条件となる。なお、カメラユニット20は、レンジフード30に備え付けられていてもよい。
【0036】
レンジフード30(本発明の「排気排出装置」)は、加熱調理器10による調理の際に発せられる排気を排出することができる。また、レンジフード30は、照明部33(本発明の「照明手段」)を備え、排気の排出中には自動で加熱調理器10の上面側を照明する。
【0037】
次に、図2を参照して、監視システム1を構成する加熱調理器10、カメラユニット20及びレンジフード30の内部構成を説明する。
【0038】
まず、加熱調理器10は、制御部11と、操作部13と、赤外送信部14と、加熱部15と、液晶表示部16と、通信部17とを備えている。
【0039】
制御部11には、火力制御部11Aと画像解析部11Bが含まれる。火力制御部11Aは、コンロバーナ5~7及びグリルバーナ8の火力制御を行う。火力制御部11Aは、点消火ボタン13a~13d等からなる操作部13の操作指令を受けて加熱部15を制御し、各コンロバーナのオン、オフ等の制御を行う。
【0040】
画像解析部11Bは、カメラユニット20から送信された画像データを解析し、危険事象が発生していないか等を監視する。画像解析部11Bは、例えば、画像比較(パターンマッチング)等の手法を用いて、画像データを解析する。
【0041】
赤外送信部14は、レンジフード30との赤外線通信に用いられる通信部である。詳細は後述するが、加熱調理器10は、その起動時に、赤外送信部14を用いてレンジフード30に向けて連携信号を送信する。
【0042】
また、液晶表示部16は、コンロバーナ5~7(加熱部15)の火力状態の表示の他、加熱調理器10で生じたエラーや警告について、文字、図形等で報知する機能を有している。
【0043】
通信部17(本発明の「熱機器通信部」)は、カメラユニット20と通信可能であり、カメラユニット20に向けて情報信号を送信する。当該情報信号は、加熱調理器10への電力供給の開始に関する信号、又はグリル2やコンロバーナ5~7による加熱の開始、若しくは加熱状態の変更に関する情報を含む。
【0044】
カメラユニット20は、撮像部21と、画像処理部22と、通信部23と、電源部24と、電源制御部25と、照度検出センサ26とを備えている。撮像部21は、加熱調理器10(天板部4)の上面側の撮像領域を撮像し、撮像画像を取得するデジタルカメラ又はビデオである。
【0045】
画像処理部22は、撮像部21からの撮像画像を受信し、必要な画像処理やデータ圧縮を行い、送信用の画像データを作成する。当該画像データは、通信部23から加熱調理器10の通信部17に向けて送信され、制御部11に渡される。
【0046】
電源部24はカメラユニット20に内蔵されたバッテリーであり、上述の情報信号を受信して撮像部21、画像処理部22及び通信部23(本発明の「撮像手段通信部」)に電力を供給する。
【0047】
電源制御部25は、照度検出センサ26の照度検出値に基づいて、電源制御信号を作成する。電源部24は、当該電源制御信号に基づいて、例えば後述する情報受信待機モードM2においては、通信部23のみに電力を供給する。なお、電源部24は、市販の1次電池でもよいし、充電によって繰り返し使用することができる2次電池であってもよい。
【0048】
レンジフード30は、赤外受信部31と、信号処理部32と、照明部33とを備えている。赤外受信部31は、加熱調理器10から赤外線による連携信号を受信する通信部である。
【0049】
信号処理部32は、当該連携信号を受けて照明部33又は排気ファン(図示省略)を制御する。また、照明部33はレンジフード30に配設され(図1参照)、排気ファンによる排気の排出中に、自動で加熱調理器10を照明する。照明部33をオンすると、加熱調理器10の周辺領域が所定の明るさとなり、照度検出センサ26で検出される照度検出値は、予め定めた閾値以上となる。なお、照度検出センサ26は、調理場の照明(蛍光灯)の明かりを検出することもできる。
【0050】
次に、図3を参照して、カメラユニット20の状態遷移図を説明する。
【0051】
図示するように、カメラユニット20は、照度検出モードM1、情報受信待機モードM2及び監視モードM3の3種類の制御モードを備えている。各制御モードは、所定の条件が成立したとき遷移する。
【0052】
加熱調理器10で調理が行われていないとき、カメラユニット20は照度検出モードM1の状態となっている。照度検出モードM1において、カメラユニット20の電源制御部25は、照度検出センサ26で検出された照度検出値を定期的に受信する。
【0053】
加熱調理器10で調理等が開始される場合、通常、加熱調理器10の周辺領域が所定の明るさとなる。カメラユニット20内に設けられた照度検出センサ26(図1参照)は、常に当該周辺領域の照度を検出している。
【0054】
当該周辺領域の照度検出値が予め定めた閾値以上となったとき、カメラユニット20は、照度検出モードM1から情報受信待機モードM2に遷移する。また、照度検出値が閾値未満のときは、照度検出モードM1の状態が維持される。
【0055】
情報受信待機モードM2(本発明の「待機モード」)は、カメラユニット20(通信部23)が加熱調理器10(通信部17)から、上述の情報信号を受信可能な、いわゆるスタンバイ状態である。情報受信待機モードM2では、通信部23のみに電力供給が行われるようになるため(撮像部21及び画像処理部22はオフ)、カメラユニット20(電源部24)の消費電力を抑えることができる。
【0056】
カメラユニット20は、加熱調理器10からコンロオン情報(加熱部15がこれから作動することを示す情報信号)を受信したとき、情報受信待機モードM2から監視モードM3に遷移する。カメラユニット20が当該コンロオン情報を受信していないときは、情報受信待機モードM2の状態が維持される。
【0057】
また、カメラユニット20は、照度検出センサ26で検出された照度検出値が閾値未満となったとき、照度検出モードM1に遷移する。このとき、通信部23への電力供給は、中止される。
【0058】
監視モードM3は、カメラユニット20が加熱調理器10(コンロバーナ5~7等)の上面側を撮像し、監視が行われる状態である。監視モードM3では、監視のため、撮像部21、画像処理部22及び通信部23に電力供給が行われる。
【0059】
カメラユニット20は、加熱調理器10からコンロオフ情報(加熱部15の作動が終了したことを示す情報信号)を受信したとき、監視モードM3から情報受信待機モードM2に遷移する。また、カメラユニット20が当該コンロオフ情報を受信していないときは、監視モードM3の状態が維持される。
【0060】
次に、図4を参照して、カメラユニット20の状態遷移に関する全体処理のフローチャートを説明する。なお、カメラユニット20の初期状態は、照度検出モードM1であるとする。
【0061】
本処理では、まず、照度検出値が取得される(STEP01)。具体的には、照度検出センサ26が加熱調理器10の周辺領域の照度を検出し、照度検出値をカメラユニット20に送信する。
【0062】
次に、照度検出値が閾値以上であるか否かが判定される(STEP02)。この判定は、カメラユニット20の電源制御部25で行われる。照度検出値が閾値以上であった場合にはSTEP03に進み、閾値未満であった場合にはSTEP01に戻り、照度検出モードM1の状態が維持される。
【0063】
照度検出値が閾値以上であった場合(STEP02で「YES」)、カメラユニット20は、情報信号受信モードM2に遷移する(STEP03)。これにより、カメラユニット20は、通信部23に電力が供給され、上述の情報信号を受信可能なスタンバイ状態となる。
【0064】
次に、カメラユニット20は、加熱調理器10からコンロオン情報を受信したか否かを判定する(STEP04)。「コンロオン情報」は、これから加熱調理器10で、加熱部15(コンロバーナ5~7)による加熱が開始することを示す情報であり、情報信号の1つである。カメラユニット20がコンロオン情報を受信した場合にはSTEP05に進み、コンロオン情報を受信していない場合にはSTEP09に進む。
【0065】
まず、カメラユニット20が加熱調理器10からコンロオン情報を受信した場合(STEP04で「YES」)を説明する。この場合、カメラユニット20は、監視モードM3に遷移する(STEP05)。これにより、カメラユニット20は、撮像部21、画像処理部22及び通信部23に電力が供給され、加熱調理器10の上面側を監視可能な状態となる。
【0066】
また、このとき、カメラユニット20は、加熱調理器10に向けてカメラオン情報を送信する。「カメラオン情報」は、カメラユニット20が起動したことを示す情報であり、情報信号の1つである。カメラオン情報を受信したときの加熱調理器10の制御については、後述する。
【0067】
次に、カメラユニット20は、加熱調理器10からコンロオフ情報を受信したか否かを判定する(STEP06)。「コンロオフ情報」は、加熱調理器10で加熱部15による作業が終了したことを示す情報であり、情報信号の1つである。カメラユニット20がコンロオフ情報を受信していない場合にはSTEP07に進み、コンロオフ情報を受信した場合にはSTEP08に進む。
【0068】
カメラユニット20がコンロオフ情報を受信していない場合(STEP06で「NO」)、カメラユニット20のメイン処理が実行される(STEP07)。これは、監視モードM3のカメラユニット20(撮像部21)が撮像を継続して行い、画像データを加熱調理器10へ送信する処理である。当該画像データは、加熱調理器10の制御部11(画像解析部11B)で解析される。
【0069】
一方、カメラユニット20がコンロオフ情報を受信した場合(STEP06で「YES」)、カメラユニット20は、情報信号受信モードM2に遷移する(STEP08)。これにより、カメラユニット20は、再びスタンバイ状態となる。その後、STEP04に戻る。
【0070】
次に、カメラユニット20が加熱調理器10からコンロオン情報を受信していない場合(STEP04で「NO」)を説明する。この場合、照度検出値が取得される(STEP09)。具体的には、照度検出センサ26が再度、加熱調理器10の周辺領域の照度を検出し、照度検出値をカメラユニット20に送信する。
【0071】
次に、照度検出値が閾値以上であるか否かが判定される(STEP10)。照度検出値が閾値以上であった場合にはSTEP04に戻り、閾値未満であった場合にはSTEP11に進む。
【0072】
照度検出値が閾値未満であった場合(STEP10で「NO」)、カメラユニット20は、照度検出モードM1に遷移する(STEP11)。これは、例えば、加熱調理器10が設置された調理場の蛍光灯が点灯して、一度照度検出値が閾値以上となったが(STEP02で「YES」)、加熱調理器10の電源がオンされないまま(STEP04で「NO」)、蛍光灯が消灯した場合(STEP10で「NO」)である。その後、STEP01に戻る。
【0073】
このように、カメラユニット20は、照度検出値と加熱調理器10の電源のオンオフの条件に応じて、照度検出モードM1、情報受信待機モードM2及び監視モードM3の三状態を遷移する。照度検出モードM1ではカメラユニット20に電力が供給されず(完全にオフ)、情報受信待機モードM2では通信部23を除いて電力が供給されないため、従来の撮像装置と比較して消費電力を大幅に抑えることができる。消費電力が抑えられる点では、カメラユニット20が100V電源で動作する態様の場合にも同様に有利である。
【0074】
本実施形態の監視システム1では、カメラユニット20の電源部24(バッテリー)の寿命を長持ちさせることができる。従って、バッテリーの交換又は充電の手間を省くことができるため、システムとしての利便性を向上させることができる。
【0075】
次に、図5A図5Bを参照して、加熱調理器10の全体処理のフローチャートを説明する。
【0076】
本処理では、まず、加熱調理器10の電源スイッチ13eがオンされたか否かが判定される(図5A:STEP21)。電源スイッチ13eがオンされた場合にはSTEP22に進み、電源スイッチ13eがオンされていない場合には、電源スイッチ13eがオンとなるまでループする。
【0077】
電源スイッチ13eがオンされた場合(STEP21で「YES」)、加熱調理器10は、レンジフード連携信号を送信する(STEP22)。「レンジフード連携信号」は、加熱調理器10の電源オンをレンジフード30に認識させるための赤外線信号であり、赤外送信部14(図2参照)からレンジフード30に向けて送信される。
【0078】
レンジフード30は、「レンジフード連携信号」を受けて照明部33をオンさせる。連携が正常に行われなかった場合、加熱調理器10の液晶表示部16において、使用者が照明部33(又は調理場の蛍光灯)を手動でオンする旨を報知してもよい。また、このタイミング(又は加熱部15の加熱が開始したタイミング)で排気ファンを駆動させてもよい。
【0079】
次に、加熱調理器10は、コンロオン情報を送信する(STEP23)。具体的には、これから加熱部15(コンロバーナ5~7)による加熱が開始することを示す「コンロオン情報」がカメラユニット20に向けて送信される。なお、カメラユニット20が「コンロオン情報」を受信したとき、図4のSTEP05以下の処理が行われる。
【0080】
次に、所定時間が経過したか否かが判定される(STEP24)。ここでの「所定時間」は、カメラユニット20(撮像部21及び画像処理部22)の起動を待つ時間である。また、「所定時間」に余裕時間αを加えれば、カメラユニット20(撮像部21)は、加熱部15が作動する前の状態から監視を開始することができる。所定時間が経過した場合にはSTEP25に進み、まだ所定時間が経過していない場合には、所定時間が経過するまでループする。
【0081】
所定時間が経過した場合(STEP25で「YES」)、コンロによる加熱が開始する(STEP25)。具体的には、コンロバーナ5~7の何れか(又は複数)に載置された調理容器Pに対して加熱、調理が開始する。
【0082】
次に、加熱調理器10は、カメラオン情報を受信したか否かを判定する(図5B:STEP26)。「カメラオン情報」は、カメラユニット20が監視モードM3に遷移し、監視が開始されたときに、加熱調理器10に向けて送信される情報信号である。カメラオン情報を受信した場合にはSTEP27に進み、カメラオン情報を受信していない場合にはSTEP31に進む。
【0083】
まず、加熱調理器10がカメラユニット20からカメラオン情報を受信した場合(STEP26で「YES」)を説明する。この場合、加熱調理器10は、カメラユニット20の動作を報知する(STEP27)。これは、例えば、加熱調理器10の液晶表示部16において、カメラユニット20の起動が完了し、監視状態にあることを使用者に報知する処理である。
【0084】
次に、加熱調理器10のメイン処理が実行される(STEP28)。これは、加熱調理器10がカメラユニット20からの画像データを基に監視を行い、危険事象等が発生した場合に使用者にエラー又は警告として報知する処理である。当該報知は液晶表示部16により文字、図形等で行われるが、音声、ブザー等で、そのような報知を行ってもよい。
【0085】
その後、加熱調理器10の電源スイッチ13eがオフされたか否かが判定される(STEP29)。電源スイッチ13eがオンされた場合(STEP29で「YES」)にはSTEP30に進み、電源スイッチ13eがオフされていない場合(STEP29で「NO」)にはSTEP28に戻る。
【0086】
次に、加熱調理器10が、カメラユニット20からカメラオン情報を受信していない場合(STEP26で「NO」)を説明する。この場合、加熱調理器10は、カメラユニット20の不動作を報知する(STEP31)。これは、加熱調理器10の液晶表示部16において、カメラユニット20との通信障害が生じたり、照度検出値が変化したりして監視状態となっていないことを使用者に報知する処理である。なお、当該報知は、初回のみ行われる。
【0087】
次に、加熱調理器10は、コンロオン信号を再送する(STEP32)。具体的には、「コンロオン信号」がカメラユニット20に向けて再度、送信される。その後、メイン処理が実行され(STEP33)、さらに、加熱調理器10の電源スイッチ13eがオフされたか否かが判定される(STEP34)。電源スイッチ13eがオフされた場合(STEP34で「YES」)にはSTEP30に進み、電源スイッチ13eがオフされていない場合(STEP34で「NO」)にはSTEP26に戻る。
【0088】
最後に、加熱調理器10は、コンロオフ情報を送信する(STEP30)。具体的には、加熱部15による加熱が終了したことを示す「コンロオフ情報」がカメラユニット20に向けて送信される。なお、カメラユニット20が「コンロオフ情報」を受信したとき、図4のSTEP08以下の処理が行われる。その後、本処理を終了する。
【0089】
このように、監視システム1では、加熱調理器10が起動時にレンジフード30と連携して照明部33をオンすると共に、カメラユニット20から画像データを受信して、使用者による調理の状況等を監視することができる。
【0090】
本実施形態では、加熱調理器10とカメラユニット20との間は無線通信、加熱調理器10とレンジフード30との間は赤外線通信としたが、各ユニットが相互に同じ方式で通信してもよい。また、赤外線通信は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信であってもよい。
【0091】
以上、本発明は上記各実施形態及び変更形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 監視システム
3 コンロ本体
4 天板部
5~7 コンロバーナ
8 グリルバーナ
10 加熱調理器
11 制御部
11A 火力制御部
11B 画像解析部
14 赤外送信部
15 加熱部
16 液晶表示部
17 通信部(加熱調理器側)
20 カメラユニット
21 撮像部
22 画像処理部
23 通信部(カメラ側)
25 電源制御部
26 照度検出センサ
30 レンジフード
31 赤外受信部
32 信号処理部
33 照明部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B