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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20240816BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1334
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021078597
(22)【出願日】2021-05-06
(65)【公開番号】P2022172617
(43)【公開日】2022-11-17
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 諒
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-177050(JP,A)
【文献】特開2021-026058(JP,A)
【文献】特開2017-097163(JP,A)
【文献】特開2009-169329(JP,A)
【文献】国際公開第2010/004791(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107479253(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0011735(US,A1)
【文献】国際公開第2012/124503(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
G02F 1/133,1/1333,1/1334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極を有するTFT基板と、対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、
前記TFT基板と前記対向基板が重なっている部分に表示領域が形成され、前記TFT基板において、前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成され、
前記端子領域において、前記対向基板の側面と対向してLEDが配置し、
前記LEDは、LED用プリント配線基板と接続し、
前記端子領域には、前記液晶表示装置を駆動するドライバICが配置し、
前記ドライバICと前記LED用プリント配線基板の間には、金属板が配置し、
前記金属板は、前記LED用プリント配線基板と第1の放熱シートを介して接触し、前記ドライバICと第2の放熱シートを介して接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記対向基板の側面と前記LEDの間には、レンズが存在していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記対向基板の上には第1のカバーガラスが配置し、前記LEDは、前記カバーガラスの側面に対向していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶はポリマー内に液晶分子を含む微粒子が分散した高分子分散型液晶であり、前記対向基板にはコモン電極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記TFT基板には、第2のカバーガラスが貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
画素電極を有するTFT基板と、対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、
前記TFT基板と前記対向基板が重なっている部分に表示領域が形成され、前記TFT基板において、前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成され、
前記端子領域において、前記対向基板の側面と対向してLEDが配置し、
前記LEDは、LED用プリント配線基板と接続し、
前記端子領域には、前記液晶表示装置を駆動するドライバICが配置し、
前記LED用プリント配線基板の前記LEDが搭載された面と反対側の面には第1放熱シートが配置しており、
前記ドライバICと前記LED用プリント配線基板の間には、金属板が配置し、
前記金属板は、前記ドライバICと第2の放熱シートを介して接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
画素電極を有するTFT基板と、対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、
前記TFT基板と前記対向基板が重なっている部分に表示領域が形成され、前記TFT基板において、前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成され、
前記端子領域において、前記対向基板の側面と対向してLEDが配置し、
前記LEDは、LED用プリント配線基板と接続し、
前記端子領域には、前記液晶表示装置を駆動するドライバICが配置し、
前記ドライバICと前記LED用プリント配線基板の間には、第1の金属板が配置し、
前記第1の金属板は、前記LED用プリント配線基板と第1の放熱シートを介して接触しており、
前記TFT基板の前記ドライバICが搭載された面の反対側の面には、第2の放熱シートを介して第2の金属板が配置していることを特徴とすることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
前記対向基板の側面と前記LEDの間には、レンズが存在していることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記対向基板の上には第1のカバーガラスが配置し、前記LEDは、前記カバーガラスの側面に対向していることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記液晶はポリマー内に液晶分子を含む微粒子が分散した高分子分散型液晶であり、前記対向基板にはコモン電極が形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記TFT基板には、第2のカバーガラスが貼り付けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
画素電極を有するTFT基板と、対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、
前記TFT基板と前記対向基板が重なっている部分に表示領域が形成され、前記TFT基板において、前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成され、
前記端子領域において、前記対向基板の側面と対向してLEDが配置し、
前記LEDは、LED用プリント配線基板と接続し、
前記端子領域には、前記液晶表示装置を駆動するドライバICが配置し、
前記端子領域、前記ドライバIC、前記LED、前記LED用プリント配線基板は、金属で形成された筐体内に収容され、
前記筐体と前記LED用プリント配線基板とは第1の放熱シートを介して接触し、
前記TFT基板の前記ドライバICが搭載された面の反対側の面は、第2の放熱シートを介して前記筐体と接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に液晶表示装置を用いた透明ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスのように、背景が見える透明ディスプレイに対する需要が存在する。透明ディスプレイでは、画像が表示されていない部分では、ガラスを通して背景を視認することが出来き、画像を表示する場合はその背景に画像を重ねて表示させることが出来る。このような透明ディスプレイは例えば、液晶表示装置を用いて実現することが出来る。
【0003】
特許文献1乃至4には、いわゆる高分子分散型液晶を用いて透明液晶表示装置を実現する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-177050号公報
【文献】特開2020-160254号公報
【文献】特開2021-33043号公報
【文献】特開2020-60682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透明液晶表示装置では、直下型バックライトを使用することが出来ない。したがって、光源を基板の側面に配置するサイドライト型光源になる。実際の光源は、LEDが使用されるが、LEDは発光と同時に熱も発生する。サイドライト方式では、多数のLEDが例えば基板の側面のように、限られた領域に存在するので、光源における温度上昇が問題となる。
【0006】
また、透明液晶表示装置では、光効率を上げるために、カラーフィルタは使用しない。すなわち、カラーフィルタの使用はそれだけで光の利用効率を1/3に低下させる。さらに、カラーフィルタは、光の透過の妨げになる。フィールドシーケンシャル方式を用いればカラーフィルタを使用しなくとも済むが、駆動周波数が高くなるために、ドライバICの発熱が問題になる。
【0007】
本発明の課題は、サイドライト方式を用いた透明液晶表示装置において、LED及びドライバIC等における温度上昇を抑え、LEDの発光効率の低下、ドライバICの誤動作、周辺部品の劣化等を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を克服するものであり、代表的な手段は次のとおりである。
【0009】
(1)画素電極を有するTFT基板と、対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、前記TFT基板と前記対向基板が重なっている部分に表示領域が形成され、前記TFT基板において、前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成され、前記端子領域において、前記対向基板の側面と対向してLEDが配置し、前記LEDは、LED用プリント配線基板と接続し、前記端子領域には、前記液晶表示装置を駆動するドライバICが配置し、前記ドライバICと前記LED用プリント配線基板の間には、金属板が配置し、前記金属板は、前記LED用プリント配線基板と第1の放熱シートを介して接触し、前記ドライバICと第2の放熱シートを介して接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【0010】
(2)画素電極を有するTFT基板と、対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、前記TFT基板と前記対向基板が重なっている部分に表示領域が形成され、前記TFT基板において、前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成され、前記端子領域において、前記対向基板の側面と対向してLEDが配置し、前記LEDは、LED用プリント配線基板と接続し、前記端子領域には、前記液晶表示装置を駆動するドライバICが配置し、前記LED用プリント配線基板の前記LEDが搭載された面と反対側の面には第1放熱シートが配置しており、
前記ドライバICと前記LED用フレキシブル配線基板の間には、金属板が配置し、前記金属板は、前記ドライバICと第2の放熱シートを介して接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【0011】
(3)画素電極を有するTFT基板と、対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、前記TFT基板と前記対向基板が重なっている部分に表示領域が形成され、前記TFT基板において、前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成され、前記端子領域において、前記対向基板の側面と対向してLEDが配置し、前記LEDは、LED用プリント配線基板と接続し、前記端子領域には、前記液晶表示装置を駆動するドライバICが配置し、前記ドライバICと前記LED用プリント配線基板の間には、第1の金属板が配置し、前記第1の金属板は、前記LED用プリント配線基板と第1の放熱シートを介して接触しており、前記TFT基板の前記ドライバICが搭載された面の反対側の面には、第2の放熱シートを介して第2の金属板が配置していることを特徴とすることを特徴とする液晶表示装置。
【0012】
(4)画素電極を有するTFT基板と、対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、前記TFT基板と前記対向基板が重なっている部分に表示領域が形成され、前記TFT基板において、前記対向基板と重なっていない部分に端子領域が形成され、前記端子領域において、前記対向基板の側面と対向してLEDが配置し、前記LEDは、LED用プリント配線基板と接続し、前記端子領域には、前記液晶表示装置を駆動するドライバICが配置し、前記端子領域、前記ドライバIC、前記LED、前記LED用プリント配線基板は、金属で形成された筐体内に収容され、前記筐体と前記LED用プリント配線基板とは第1の放熱シートを介して接触し、前記TFT基板の前記ドライバICが搭載された面の反対側の面は、第2の放熱シートを介して前記筐体と接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】透明液晶表示装置の正面図である。
図2】透明液晶表示装置の側面図である。
図3】透明液晶表示パネルの動作を示す断面図である。
図4】液晶層の詳細を示す断面図である。
図5】比較例としての透明液晶表示装置の斜視図である。
図6】比較例としての透明液晶表示装置の断面図である。
図7】実施例1の透明液晶表示装置の断面図である。
図8図7の平面図である。
図9】実施例1の透明液晶表示装置の他の例を示す断面図である。
図10】実施例2の透明液晶表示装置の断面図である。
図11】実施例3の透明液晶表示装置の断面図である。
図12】実施例4の透明液晶表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は透明液晶表示装置の正面図であり、図2は側面図である。図1及び図2において、表示領域の背面には、バックライトは存在しておらず、基板は、透明なガラスで出来ているので、通常は光が透過し、透明液晶表示装置の背面を視ることが出来る。
【0015】
サイドライトとしての光源2000や駆動回路領域3000は、下側の筐体4000内に配置されている。表示領域1000に表示された画像は、裏側、表側のいずれからも視認することが出来る。また、透明液晶表示装置に表示された画像は、背景の中に浮かび上がったような印象を与えることが出来る。
【0016】
図3は、透明液晶表示装置の動作を示す断面図である。図3は、単純化した構造なので、後で説明する実施例等で説明する断面図とは若干異なっている。図3において、画素電極130、信号線、TFT等が配置したTFT基板100とコモン電極140が形成された対向基板200との間に液晶が挟持されている。図3はいわゆるフィールドシーケンシャル(field sequential)で駆動されるので、カラーフィルタは存在していない。TFT基板100と対向基板200が重なっている部分に表示領域が形成され、TFT基板100において、対向基板200と重なっていない部分に端子領域が形成されている。
【0017】
図3において、TFT基板100と対向基板200はシール材150で接着し、内部に液晶300が封入されている。シール材150は透明樹脂で形成されている。図3の液晶300はいわゆる高分子分散型液晶と呼ばれるものであり、図4にその構成を示す。図4は、図3の液晶部分の拡大断面図である。図4において、画素電極130とその上に配向膜160が形成されたTFT基板100と、コモン電極140とその上に配向膜160が形成された対向基板200の間に液晶300が挟持されている。図4において、画素電極130に対応して画素Pixが形成されている。
【0018】
この液晶300は高分子分散型液晶と呼ばれているものであり、高分子(ポリマー)によって形成されたバルク301と液晶分子を含む微粒子302で構成されている。画素電極130とコモン電極140との間に電圧が印加されると、液晶分子を含む微粒子302が電界によって回転し、光を散乱する。画素電極130とコモン電極140との間に電圧が印加されなければ光は散乱されない。光の散乱を画素毎に制御するので、画像が形成される。そして、この画像は、液晶表示パネルの表面からも背面からも視認することが出来る。
【0019】
図3に戻り、TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100と対向基板200が重複していない部分は端子領域となっている。端子領域には、対向基板200の側面と対向して光源であるLED10が配置している。LED10からの光は対向基板200の側面あるいは、シール材150を通して液晶表示パネルの内部に入射する。入射した光は全反射を繰り返しながら液晶層300中の、液晶分子を含む微粒子302に衝突する。
【0020】
光が、画素電極130とコモン電極140との間に電圧が印加されている画素内の微粒子302に衝突すると、図3に示すように散乱する。一方、画素電極130とコモン電極140との間に電圧が印加されていない画素内では、光は直進する。これによって、液晶300内に入射した光は、画素毎に散乱を制御されるので、画像が形成される。
【0021】
図3において、光源であるLED10と並んでドライバIC40が配置している。ドライバIC40は液晶表示パネルを駆動するものであり、動作中は高熱になる。特に、図3における液晶表示装置はフィールドシーケンシャルで駆動されるために、通常の駆動方法の3倍のスピードでデータ処理がおこなわれるため、ドライバIC40の発熱も大きくなる。
【0022】
TFT基板100の端部には、ドライバIC40に信号や電源を供給するために、プリント配線基板50が接続している。プリント配線基板50は例えばFPC(Flexible printed circuit)である。実際の表示装置では、光源であるLED10に電力を供給するためのLED用プリント配線基板が存在しているが、図3では省略されている。
【0023】
図5は、本発明が適用される、比較例としての液晶表示装置の斜視図である。図5において、TFT基板100と対向基板200が重なって配置している。図3に示すように、TFT基板100と対向基板200の間には液晶が挟持されている。対向基板200の上には、機械的な保護として、ガラスで形成された透明な第1カバーガラス500が貼り付けられている。また、TFT基板100の下には、機械的な保護として、ガラスで形成された透明な第2カバーガラス400が貼り付けられている。TFT基板100、対向基板200、第1カバーガラス500、第2カバーガラス400の厚さは、例えば0.7mmである。
【0024】
TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成され、TFT基板100が対向基板200と重なっていない部分は端子領域となっている。端子領域において、対向基板200及び第1カバーガラス500の側面にレンズ30が対向して配置され、レンズ30の反対側にLED10が配置されている。LED10には、パッケージ毎に赤、緑、青の光を発生する3個のLEDチップが配置している。図5の液晶表示装置はフィールドシーケンシャルで駆動される。時分割で赤画像、緑画像、青画像を表示してカラー画像を表示する。
【0025】
レンズ30は、LED10からの光を効率よく、カバーガラス500あるいは対向基板200内に導く作用を有する。LED10からの光は、TFT基板100、対向基板200、第1カバーガラス500、あるいは、第2カバーガラス400において、全反射を繰り返しながら、液晶層300に入射する。レンズ30は、LED10からの光を収束あるいは発散させ、LED10からの光を、全反射させながら、液晶層に均一に入射させる役割を有する。場合によっては、レンズ30ではなく、導光板が使用される場合もある。導光板は、LEDからの光を均一に効率よく対向基板200あるは第1カバーガラス500内に導く作用を有する。しかし、現実的には、レンズ30も導光板も同様な作用をする場合が多い。本明細書では、レンズ30という名称を使用するがこれは、導光板と置き換えてもよい。
【0026】
LED10は、上面で、LED用プリント配線基板20に接続している。LED用プリント配線基板20は例えばPCB(Printed Circuit Board)である。すなわち、LED10は、LED用プリント配線基板20から懸垂するような形で配置している。LED10はLED用プリント配線基板20から電源、及びON、OFF信号を受ける。
【0027】
図5において、端子領域にLED10と並んで、ドライバIC40が配置している。本発明の液晶表示装置はフィールドシーケンシャルで駆動されるので、通常の液晶表示装置の3倍の周波数で信号の書き込み動作がおこなわれるために、ドライバIC40における発熱が大きい。ドライバIC40には、電源や映像信号がフレキシブル配線基板50から供給されるが、図5ではこのフレキシブル配線基板50は省略されている。
【0028】
図6は、比較例としての透明液晶表示装置の断面図であり、図5のA-A断面図に相当するが、部品等は、図5と完全に一致しているわけではない。図6において、TFT基板100と対向基板200が透明シール材150で接着し、TFT基板100と対向基板200の間に図4で説明した高分子分散型液晶300が挟持されている。TFT基板100の下側には透明ディスプレイを保護するための第2カバーガラス400がOCA(Optical Clear Adhesive)101を介して接着している。OCA101は、テープ状に加工された透明粘着剤であり、材料は、アクリル系、シリコン系等の樹脂が使用される。
【0029】
対向基板200の上側にはOCA201を介して透明ディスプレイを保護するための第1カバーガラス500が接着している。第1カバーガラス500、第2カバーガラス400、TFT基板100、対向基板200は、例えば0.7mm程度の厚さである。このように基板はすべて透明材料で形成されているので、画像を表示しない場合は、表示装置の背面も透けて見える。
【0030】
図6において、対向基板200及第1保護基板500の側面に対向してLED10とレンズ30が配置している。LED10からの光はまずレンズ30に入射し、レンズ30で、例えば、対向基板200、TFT基板100、第1カバーガラス500、第2カバーガラス400で全反射するような角度に曲げられる。この光の光路の例を図6に矢印で示す。なお、図6では、LED10は、出光部11とパッケージ12に分けて記載されている。LED10は、異方性導電膜等の導電性材料で、LED用プリント配線基板20に接続している。LED10は、LED用プリント配線基板20に懸垂するような形で配置している。
【0031】
レンズ30から第1カバーガラス500及び対向基板200に入射した光は、第1カバーガラス500、対向基板200、TFT基板100、第2カバーガラス400において全反射し、液晶層300に入射する。液晶層300において、画素電極130に信号が印加された画素では、液晶分子が回転し、入射した光を散乱する。一方、信号が印加されていない画素では、光は直進する。そして、画素毎に光の散乱を制御することによって画像を形成する。
【0032】
図6において、第1カバーガラス500、対向基板200、TFT基板100、第2カバーガラス400の、LED10が配置する側と反対側の側面には、反射シート90が貼り付けられている。反射シート90で反射した光は、再び液晶層300に入射して画像形成に使用される。
【0033】
図6において、レンズ10は、TFT基板100及びLED用プリント配線基板20の間にサンドイッチされ、TFT基板に固着されている。レンズ30と、TFT基板100、及び、レンズ30とLED用プリント配線基板20の間には、レンズ30側から、両面粘着テープ33、反射シート32、OCA31の3層が存在している。反射シート32は、レンズで散乱された光を反射し、光の利用効率を上げる。両面粘着テープ33及び、OCA31はレンズ30を固定するものである。図6に両面粘着テープ33の代わりに、OCAを使用することも出来る。
【0034】
LED10と隣接して、液晶表示パネルを駆動するためのドライバIC40がTFT基板100に搭載されている。ドライバIC40は、TFT基板100に形成された回路と接続している。液晶表示パネルはフィールドシーケンシャルで駆動されるので、周波数が通常の駆動方式の3倍であり、ドライバIC40の発熱が大きい。TFT基板100の端子領域の端部には、液晶表示パネルに電源や信号を供給するためにプリント配線基板50が接続している。
【0035】
図6では、LED10及びドライバIC40という高温になる部品が隣接して配置されている。したがって、LED10とドライバIC40の周辺は高温になる。そうすると、ドライバIC40の誤動作、熱膨張による部品間のずれ等が発生し、液晶表示装置としての信頼性が低下する。さらにLED10の温度が上昇すると発光効率が低下する。
【0036】
本発明は、以上で説明したような課題を克服し、LED10及びドライバIC40が高温になることを防止し、信頼性の高い、かつ、光効率のよい、透明液晶表示装置を実現することが出来る。
【実施例1】
【0037】
図7は実施例1の断面図である。図7の構成は、端子領域に形成された放熱構造以外は、比較例として説明した図6の構成と同じである。図7において、LED10と接して金属板60が配置されている。金属板60は例えばAl板であるが、Cu板でもよい。金属板60は放熱シート70によってサンドイッチされている。放熱シート70は熱伝導の高い樹脂シートである。放熱シート70は柔らかい樹脂で形成されるので、各部品と柔軟に接触し、高い放熱性を発揮することが出来る。
【0038】
図7において、下側の放熱シート70は、金属板60とドライバIC40の間にサンドイッチされている。放熱シート70は柔らかいので、ドライバIC40とも金属板60とも柔軟に接触することが出来る。上側の放熱シート70は、金属板60とLED用プリント配線基板20の間にサンドイッチされている。上側の放熱シート70は、LED10からLED用プリント配線基板20に伝わった熱を吸収して、LED10の温度上昇を抑制する。図7において、必要に応じて、金属板60とLED10との間にも放熱シート70を配置すれば、LED10からの光をより効率的に金属板に吸収させることが出来る。この例は例えば、図9に描かれている。
【0039】
図8図7の平面図である。ただし、図8では、LED用プリント配線基板20、OCA31、反射層32等は省略されている。図8において、レンズ30に多数のLED10が対向して配置されている。多数のLED10と接触して放熱用の金属板60とこれを覆う放熱シート70が配置している。金属板60は表示パネルの端子領域のほぼ全面を覆うように配置している。なお、LED10と金属板60との熱接触を向上させるために、例えば、図9に示すように、放熱シート70をLED10と金属板60の間に挟み込んでもよい。
【0040】
図8において、TFT基板100の端子領域に配置されたドライバIC40と金属板60の間に下側の放熱シート70が配置している。下側の放熱シート70は、ドライバIC40をカバーすればよいので、平面的には、金属板60の上に貼り付けられた放熱シート70よりも小さな面積になっている。LED10からの熱もドライバIC40からの熱も金属板60に放熱される。
【0041】
図9は、金属板60とLED10との間に放熱シート70を配置した構成である。放熱シート70は、金属板60とLED10の側面に柔軟に変形して接着するので、LED10からの金属板60への熱伝導効果をより向上させることが出来る。図9では、金属板60は、単一の放熱シート70で囲まれているが、放熱シート70は分離してもよい。
【0042】
金属板60は、存在するだけで熱容量を増加させるので、LED10やドライバIC40の温度を低下させることが出来る。加えて、金属板60は熱伝導が良いので、金属板60を、放熱シートを介して金属の筐体に接触させれば、より効率的に熱を逃がすことが出来る。
【実施例2】
【0043】
図10は実施例2を示す断面図である。図10の構成は、端子領域に形成された放熱構造以外は、比較例として説明した図6の構成と同じである。図10の放熱構造は、実施例1の図7の構造と異なっている。実施例1と特に異なっている構成は、放熱構成を金属板60のみにたよるのではなく、LED用プリント配線基板20の上側からも放熱することである。
【0044】
図10において、LED用プリント配線基板20の上に放熱シート70が貼り付けられている。この放熱シート70は、例えば、金属で形成された筐体と接触し、筐体側に放熱する。一方、ドライバIC40で発生した熱は、放熱シート70を介して金属板60側に移動し、ドライバIC40の温度上昇を抑制する。なお、放熱シート70はLED10と金属板60の間に設置してもよい。これによってLED10の熱をより効果的に金属板60に逃がすことが出来る。
【0045】
本実施例は、ドライバIC40とLED用プリント配線基板20との間に十分なスペースが確保できない場合に特に有効である。図7の端子領域において、TFT基板100とLED用プリント配線基板20の間隔を十分にとれない場合、放熱用金属板60の厚さを十分に大きくできない場合が生ずる。すなわち、対向基板200と第1カバーガラス500、及びこれらを接着するOCA201の合計の厚さは、例えば、1.5mm程度である。実施例1の構成では、ドライバIC40、金属板60、2枚の放熱シート70を配置する必要があるが、間隔が十分でないと、金属板60の厚さを薄くする必要がある。そうすると十分な放熱効果を期待できない場合がありうる。
【0046】
実施例2では、TFT基板100とLED用フレキシブル配線基板20の間の放熱シート70はドライバIC40と金属板60の間の1枚のみにして、金属板60の厚さを確保している。そして、LED用プリント配線基板20における熱は、上側に配置した放熱シート70から放散する。これによって、放熱効果をより高めることが出来る。
【0047】
なお、図10において、金属板60とLED用プリント配線基板20の間に放熱シート70を配置する間隔を確保できれば、より効率的に放熱することが出来る。この場合、実施例1の効果に加えて、図10におけるLED用プリント配線基板20の放熱効果が加わることになる。
【実施例3】
【0048】
図11は実施例3を示す断面図である。図9の構成は、端子領域に形成された放熱構造以外は、比較例として説明した図6の構成と同じである。図11の放熱構造は、実施例1の図7及び実施例2の図10の構造と異なっている。図11の特徴は、LED10で発生する熱、ドライバIC40で発生する熱を各々放熱するために、金属板60を2枚配置している点である。
【0049】
図11において、TFT基板100の端子部の下面に放熱シート70を介して金属板60が配置している。端子部の下面に配置された金属板60は主として、ドライバIC40で発生する熱を放散する。TFT基板100の端子領域と金属板60の間には、放熱シート70が存在している。放熱シート70は、ガラス基板100と金属板60の熱接触を改善するものである。
【0050】
図11において、LED用プリント配線基板20に金属板60が放熱シート70を介して貼り付けられている。LED10で発生した熱は、LED用プリント配線基板20に伝わるが、この熱を、放熱シート70を介して金属板60によって放散する。図11において、金属板60の側面がLED10の側面に接触しているが、金属板60とLED10との間に放熱シート70を配置すれば、より、放熱効果を上げることが出来る。
【0051】
図11において、実施例2と同様に、LED用フレキシブル配線基板20の上に放熱シート70を貼り付け、これをさらに、金属で形成された筐体に接触させれば、放熱効果をさらに上げることが出来る。なお、図10において、金属板60とドライバIC40の間に放熱シート70を配置するスペースがあれば、放熱シート70を配置することによって、より放熱効果を上げることが出来る。
【実施例4】
【0052】
図12は実施例4を示す断面図である。図12の構成は、端子領域に形成された放熱構造以外は、比較例として説明した図6の構成と同じである。実施例4では、筐体4000を放熱手段として使用する。図12において、筐体4000は金属で形成されている。金属は、例えばAl、Cu等である。LED用フレキシブル配線基板20の上には放熱シート70が貼り付けられ、放熱シート70は、筐体4000と接着している。放熱シート70は、柔軟性をもっているので、金属の筐体4000ともフレキシブルに接着する。
【0053】
図12において、TFT基板100の端子領域の背面には、2枚の放熱シート70が、薄いモジュール駆動基板80を挟んだ形で、貼り付けられている。薄いモジュール駆動基板80は、熱伝導を妨げない程度の薄さである必要がある。モジュール駆動基板80は図示しないが、LED用プリント配線基板20やプリント配線基板50に接続される他のプリント配線基板であり、一例としてはPCBである。図12は例であって、放熱シート70を1枚のみを使用してもよい。さらに、より放熱効果を上げるためには、例えば、モジュール駆動基板の代わりに、放熱シート70によって金属箔を挟んだ構成としてもよい。
【0054】
TFT基板100の端子領域の背面に配置した放熱シート70に、ドライバIC40で発生した熱が伝導する。そして、放熱シート70は筐体4000に貼り付けられているので、この熱は筐体4000に放散される。放熱シート70は、TFT基板100及び筐体4000に柔軟に接着するので熱伝導性が良く、高い放熱効果を得ることが出来る。
【0055】
実施例1乃至3の構成は、実施例4と組み合わせることが可能である。この場合、実施例1乃至3で用いる金属板60は、筐体4000との熱接触効果を上げるために、金属板60と筐体4000との間には、放熱シート70を用いることが望ましい。以上説明したように、本発明によれば、LED10及びドライバIC40で発生した熱を端子領域に配置した金属板60によって効果的に放熱することが出来るので、信頼性の高い透明ディスプレイを実現することが出来る。
【符号の説明】
【0056】
10…LED、11…LED出光部、 12…LEDパッケージ、 20…LED用プリント配線基板(PCB)、 30…レンズ、 31…OCA、 32…反射シート、 33…両面粘着テープ、 40…ドライバIC、 50…プリント配線基板(FPC)、 60…金属板、 70…放熱シート、 80…回路シート、 90…反射シート、 100…TFT基板、 101…OCA、 150…シール材、 130…画素電極、 140…コモン電極、 150…シール材、 160…配向膜、 200…対向基板、 201…OCA、 400…第1カバーガラス、 500…第2カバーガラス、 1000…透明液晶表示パネル、 2000…光源、 3000…駆動部、 4000…筐体
図1
図2
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図6
図7
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図9
図10
図11
図12