(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ブロー成形機および製品不良判定方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/80 20060101AFI20240816BHJP
B29C 49/28 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B29C49/80
B29C49/28
(21)【出願番号】P 2021095079
(22)【出願日】2021-06-07
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 未有紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健詞
(72)【発明者】
【氏名】浅見 太郎
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-525147(JP,A)
【文献】特開平06-023832(JP,A)
【文献】特開2006-247910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/80
B29C 49/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を検知可能な集音装置と、少なくとも一つの演算装置と、
成形機本体とを備えるブロー成形機であって、
前記成形機本体は、複数の成形機ユニットと、ロータリー装置とを有し、前記複数の成形機ユニットが前記ロータリー装置の円周上に等間隔に配置されており、
前記演算装置の少なくとも一つは、前記集音装置が検知した音に係る電気信号に基づいて製品不良の有無を判定する製品判定機能を実行可能に構成されて
おり、
製品を膨張させるために供給される加圧流体の圧力を検知可能な圧力計をさらに備え、
前記演算装置の少なくとも一つは、前記圧力計が検知した圧力に係る電気信号と、前記成形機本体から出力された前記複数の成形機ユニットのそれぞれの現在位置角度を示す電気信号とに基づいて機器異常の有無を判定する機器判定機能をさらに実行可能に構成されているブロー成形機。
【請求項2】
前記演算装置は、前記電気信号のうちの所定の周波数の音に関連する成分の強度が所定の閾値を超えた場合に、前記製品不良が存在すると判定する請求項1に記載のブロー成形機。
【請求項3】
前記所定の周波数は、40~65Hzまたは5000~20000Hzから選択される請求項2に記載のブロー成形機。
【請求項4】
前記演算装置は、前記製品不良が存在すると判定したときに、当該製品不良について作業者に報知可能に構成されている請求項1~
3のいずれか一項に記載のブロー成形機。
【請求項5】
ブロー成形機から発せられる音を収集する集音工程と、
前記集音工程において収集した音に基づいて、前記ブロー成形機における製品不良の有無を判定する
製品判定工程と、
製品を膨張させるために供給される加圧流体の圧力と、複数の成形機ユニットのそれぞれの現在位置角度とを検知する検知工程と、
前記検知工程において収集した圧力と現在位置角度に基づいて、機器異常の有無を判定する機器判定工程と、を備える製品不良判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形機および製品不良判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料容器などに用いられるプラスチックボトルは、プリフォームを原料とする二軸延伸ブロー成形(以下、単にブロー成形という。)により得られることが一般的である。プラスチックボトルの生産性を高めるため、ブロー成形における成形不良を防止することについて従来検討されてきた。たとえば、特開2020-32610号公報(特許文献1)には、成形時に金型に付着するバリが製品に付着することを防ぐ措置が講じられたブロー成形装置が開示されている。また、特開2016-74219号公報(特許文献2)には、白化、歪み、成形ムラなどの成形不良の防止と、低濃度の過酸化水素水を吹き付ける方式の殺菌方法との併用を可能にした飲料充填装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-32610号公報
【文献】特開2016-74219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2のような技術は、成形不良の発生自体を防止しようとするものではあるが、防止しきれなかった成形不良を検知し、不良品が下流工程に流出することを防ぐという観点では、さらなる検討の余地がある。たとえば、ブロー成形時にプリフォームに吹き込まれる加圧流体の圧力を監視し、当該圧力に基づいて製品不良を検出することが従来行われているが、検出精度が不十分な場合があった。
【0005】
そこで、従来技術に比べて高い精度で製品不良を検出しうるブロー成形機および製品不良判定方法の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブロー成形機は、音を検知可能な集音装置と、少なくとも一つの演算装置と、成形機本体とを備えるブロー成形機であって、
前記成形機本体は、複数の成形機ユニットと、ロータリー装置とを有し、前記複数の成形機ユニットが前記ロータリー装置の円周上に等間隔に配置されており、
前記演算装置の少なくとも一つは、前記集音装置が検知した音に係る電気信号に基づいて製品不良の有無を判定する製品判定機能を実行可能に構成されており、
製品を膨張させるために供給される加圧流体の圧力を検知可能な圧力計をさらに備え、
前記演算装置の少なくとも一つは、前記圧力計が検知した圧力に係る電気信号と、前記成形機本体から出力された前記複数の成形機ユニットのそれぞれの現在位置角度を示す電気信号とに基づいて機器異常の有無を判定する機器判定機能をさらに実行可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る製品不良判定方法は、ブロー成形機から発せられる音を収集する集音工程と、
前記集音工程において収集した音に基づいて、前記ブロー成形機における製品不良の有無を判定する製品判定工程と、
製品を膨張させるために供給される加圧流体の圧力と、複数の成形機ユニットのそれぞれの現在位置角度とを検知する検知工程と、
前記検知工程において収集した圧力と現在位置角度に基づいて、機器異常の有無を判定する機器判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
これらの構成は、成形中に製品不良が生じたときに特有の音が生じることに着目し、当該音を検出することによって、従来技術に比べて高い精度で製品不良を検出することに成功したものである。
また、この構成によれば、製品判定機能に加えて機器判定機能を実行できるので、製品の品質をより高い水準に保ちうる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0010】
本発明に係るブロー成形機は、一態様として、前記演算装置は、前記電気信号のうちの所定の周波数の音に関連する成分の強度が所定の閾値を超えた場合に、前記製品不良が存在すると判定することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、比較的簡単な判定条件で製品不良を判定できるので、判定条件を調整しやすい。
【0012】
本発明に係るブロー成形機は、一態様として、前記所定の周波数は、40~65Hzまたは5000~20000Hzから選択されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、変形途中または変形後のプリフォームが少なくとも部分的に破裂する態様の不良であるバーストについて、バーストが生じたときに特有の周波数の音に基づいて、高い精度で検出しうる。
【0016】
本発明に係るブロー成形機は、一態様として、前記演算装置は、前記製品不良が存在すると判定したときに、当該製品不良について作業者に報知可能に構成されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、製品不良の発生を作業者が早期に認知できる。
【0018】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ブロー成形機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るブロー成形機および製品不良判定方法の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係るブロー成形機を、プラスチックボトル(以下、単に「ボトル」という。)を成形可能なブロー成形機1に適用した例について説明する。
【0021】
本実施形態において成形されるボトルはポリエチレンテレフタレート製であり、無色透明である。ボトルは、ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを原料とする二軸延伸ブロー成形により得られる。ボトルの容量は特に限定されず、一般的に流通している280mL、350mL、500mLなど、200mL~2L程度とすることができる。また、ボトルは、たとえば、清涼飲料水(炭酸飲料、果実飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、ミネラルウォーター、豆乳類、野菜飲料、スポーツ飲料、ココア飲料など)、アルコール飲料、乳飲料などの飲料、スープなどの液体食品、ソースや醤油などの液体調味料、などの液体製品を充填する用途に供される。なお、ボトルを構成する材料は、ポリエチレンテレフタレートに限定されず、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどでありうる。
【0022】
〔ブロー成形機の構成〕
本実施形態に係るブロー成形機1は、成形機本体2と、騒音計3と、圧力計4と、成形機演算装置5(演算装置の例)と、を備える(
図1)。
【0023】
成形機本体2は、複数の成形機ユニット21と、ロータリー装置22とを有し、成形機ユニット21およびロータリー装置22はハウジング23に収容されている。本実施形態では、18基の成形機ユニット21がロータリー装置22の円周上に等間隔に配置されている。それぞれの成形機ユニット21は、ロータリー装置22の回転運動に伴って移動しながら、プリフォームの受入れ、一次延伸、二次延伸、およびボトルの排出、を順次行うサイクルを繰り返す。なお、個々の成形機ユニット21には、金型、延伸ロッド、温調装置、および加圧空気配管などが設けられているが、いずれも二軸延伸ブロー成形装置の構成要素として公知のものであるので、ここでは詳細を説明しない。
【0024】
図2には、ロータリー装置22の平面概略図を示しており、同図上においてロータリー装置22のゾーニングを表している。各ゾーンの範囲は、前工程からプリフォームが受け渡される点22aを0°として、ロータリー装置22の回転方向(本実施形態では時計回り)に沿う角度の範囲によって特定される。また、成形機本体2は、それぞれの成形機ユニット21の現在位置について、点22aを0°とする角度の値を表す電気信号として、成形機演算装置5に対して出力できるように構成されている。
【0025】
角度0~38°の領域は、予熱領域22bである。点22aにおいて成形機ユニット21に受け入れられたプリフォームは、予熱領域22bを搬送されながら加熱される。温調装置の出力は、各部の温度の設定値(たとえば、プリフォーム110℃、金型74℃)が実現されるようにフィードバック制御される。
【0026】
角度38~58°の領域は、一次延伸領域22cである。一次延伸領域22cでは、予熱されたプリフォームの中に加圧空気を吹き込みながら延伸ロッドを進入させ、プリフォームを縦方向に延伸させる。
【0027】
角度58~250°の領域は、二次延伸領域22dである。二次延伸領域22dでは、縦方向に延伸されたプリフォームの中に加圧空気を吹き込んでこれを横方向に延伸する(膨らませる)。横方向に延伸されたプリフォームの外形は、金型によってボトルの形状に規制され、これによってボトルが得られる。なお、二次延伸領域22dの後半部分(225~250°)では、吹き込んだ加圧空気の一部が排出される。排出された加圧空気が回収される場合もある。
【0028】
角度250~360°(0°)の領域は、排出領域22eである。排出領域22eでは、得られたボトルが次工程に排出される。また、排出領域22eでは、ボトルを排出した成形機ユニット21が点22a(0°)に戻るまでに、次のプリフォームを受け入れられる状態にする。なお、排出領域22eでは、空気の回収も行われる。
【0029】
騒音計3は、集音機31(集音装置の例)、および本体部分32を有する。本体部分32には、騒音計演算装置33(演算装置の例)、ディスプレイ34、および通信ユニット35が設けられている。
【0030】
集音機31は、音を検知可能であるとともに、検知した音を電気信号に変換して出力可能に構成された装置である。集音機31は、成形機本体2のハウジング23の内側に取り付けられている。一方、本体部分32は、成形機本体2のハウジング23の外側に取り付けられている。集音機31と本体部分32とは、有線接続されており、集音機31から出力された電気信号は騒音計演算装置33に入力される。
【0031】
騒音計演算装置33は、集音機31が検知した音に係る電気信号に基づいて製品不良の有無を判定する製品判定機能を実行できる。また、騒音計演算装置33は、通信ユニット35を介して他の装置と通信できる。騒音計演算装置33が通信を行う相手としては、ブロー成形機1よりも下流に設けられている空瓶検査機(不図示)が例示される。
【0032】
ディスプレイ34には、騒音計3の動作状況や検知された音に関する情報などが表示される。
【0033】
圧力計4は、成形機本体2に供給される空気(加圧流体の例)の圧力を検知可能に構成されている。成形機本体2に空気を供給する配管は、成形機本体2の内部で18基の成形機ユニット21のそれぞれに至るように分岐しており、これに対応して圧力計4も18基設けられている。すなわち、個々の成形機ユニット21に供給される空気の圧力を検知可能である。また、圧力計4は、検知した圧力を電気信号に変換して出力可能である。圧力計4は、たとえばひずみゲージとして実装されうる。
【0034】
成形機演算装置5は、CPU51、通信ユニット52、および記憶ユニット53を有する。CPU51には、圧力計4から出力された電気信号、および、成形機本体2から出力されたそれぞれの成形機ユニット21の現在位置角度を示す電気信号、が入力される。CPU51は、記憶ユニット53に記憶された制御プログラムを実行可能に構成されており、当該制御プログラムを実行することで、機器異常の有無を判定する機器判定機能を実行できる。
【0035】
成形機演算装置5は、通信ユニット52を介して他の装置と通信できる。たとえば、成形機演算装置5は、作業者が所有する端末に向けて種々の警報を発信できる。
【0036】
〔製品判定機能〕
製品判定機能は、騒音計3から出力された電気信号に基づいて製品不良の有無を判定する機能である。
【0037】
製品判定機能によって検出しうる典型的な製品不良は、バーストである。バーストとは、成形機本体2においてプリフォーム内を加圧してプリフォームをボトルの形状に変形させるときに、変形途中または変形後のプリフォームが少なくとも部分的に破裂する現象をいう。バーストが生じると、ボトルの壁面に裂けや孔などが生じうるため、ボトルとしての機能が損なわれる。したがって、バーストが生じたボトルに液体製品が充填されることを避ける必要がある。
【0038】
前述の通り、バーストはプリフォームの破裂を伴う現象であるので、バーストが生じたときには破裂音が生じる。そこで本実施形態では、騒音計演算装置33は、集音機31から出力された電気信号のうち、バーストの発生の有無に関わらず存在する環境音(集音機31の付近に設置されている装置の作動音など)に基づく部分と、バースト発生時の破裂音に基づく部分とを区別し、破裂音に基づく電気信号が騒音計演算装置33に入力された場合に製品不良(バースト)が生じたと判定する。
【0039】
より具体的には、騒音計演算装置33は、入力される電気信号のうちの所定の周波数の音に関連する成分の強度が閾値を超えた場合に、製品不良(バースト)が生じたと判定する。
【0040】
所定の周波数は、一例として、40~65Hzに設定されることが好ましい。この周波数帯では、環境音および破裂音の双方の強度が十分に大きいため、判定に必要な量および質の電気信号が得られやすい。
【0041】
また、所定の周波数は、他の一例として、5000~20000Hzに設定されることが好ましい。この周波数帯では、破裂音の強度自体は上記の40~65Hzに比べて小さいものの、環境音と破裂音との強度の差が大きいため、破裂音の有無を識別しやすい。なお、この例では、所定の周波数は、6000Hz以上であることがより好ましく、7000Hz以上であることがさらに好ましい。また、所定の周波数は、10000Hz以下であることがより好ましく、8000Hz以下であることがさらに好ましい。したがって、所定の周波数は、たとえば7000~8200Hzでありうる。
【0042】
騒音計演算装置33は、製品判定機能によって製品不良(バースト)が存在すると判定したときに、通信ユニット35を介して、当該バーストについて報知する信号を、空瓶検査機に向けて発信する。報知信号を受けた空瓶検査機は、当該バーストについてさらに生産管理システム(不図示)に報知する。さらに、生産管理システムは、当該バーストについて報知する信号を、作業者が所有する端末に向けて発信する。報知を受けた作業者は、バーストを検知した時刻を含む時間帯に成形機本体2において成形されたボトルについて検査を行い、バーストが生じたボトルを特定してこれを排斥する。
【0043】
〔機器判定機能〕
機器判定機能は、圧力計4から出力された電気信号に基づいて機器異常の有無を判定する機能である。
【0044】
成形機ユニット21がロータリー装置22の一次延伸領域22cおよび二次延伸領域22dにあるときに、加圧空気がプリフォームの内部に供給され、プリフォームの延伸がなされる。ここで、一次延伸領域22cおよび二次延伸領域22dのそれぞれで、供給される加圧空気の規定の圧力が異なる。
【0045】
前述のように、圧力計4は成形機ユニット21ごとに設けられており(計18基)、これによって個々の成形機ユニット21に供給される空気の圧力を検知可能である。さらに、それぞれの成形機ユニット21の現在角度位置を表す電気信号が成形機演算装置5に入力されるように構成されている。
【0046】
以上の構成から、成形機演算装置5は、それぞれの成形機ユニット21ごとに、現在角度位置(横軸)と供給される空気の圧力(縦軸)とのプロットを作成可能である。そして、一次延伸領域22cおよび二次延伸領域22dのそれぞれについて、演算装置は、圧力の規定範囲が定められており、規定範囲を逸脱した場合に機器異常が生じていると判定する。規定範囲の逸脱は、たとえばバルブの不良(漏れ、詰まり)によって生じうる。
【0047】
たとえば、一次延伸領域22cにおける圧力の規定範囲は、1.5bar以上4.0bar以下としてある。したがって、成形機演算装置5(CPU51)は、成形機ユニット21の現在位置角度が38~58°であって、加圧空気の圧力が1.5bar未満または4.0bar超であるときは、機器異常が生じていると判定する。
【0048】
同様に、二次延伸領域22dにおける圧力の規定範囲は、20bar以上40bar以下としてある。したがって、成形機演算装置5(CPU51)は、成形機ユニット21の現在位置角度が58~225°であって、加圧空気の圧力が20bar未満または40bar超であるときは、機器異常が生じていると判定する。
【0049】
成形機演算装置5(CPU51)は、機器判定機能によってバルブ不良などの機器異常が存在すると判定したときに、通信ユニット52を介して、当該機器異常について報知する信号を、作業者が所有する端末に向けて発信する。これによって、作業者は、機器異常を早期に認知できる。
【0050】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係るブロー成形機および製品不良判定方法のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0051】
上記の実施形態では、ブロー成形機1が圧力計4を備え、成形機演算装置5が機器判定機能を実行可能に構成されている構成を例として説明した。しかし、本発明に係るブロー成形機は、圧力計を備えなくてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、製品判定機能において、所定の周波数の音に関連する成分の強度が閾値を超えた場合に、製品不良(バースト)が生じたと判定する構成を例として説明した。しかし、本発明に係るブロー成形機の製品判定機能において、製品不良の有無を判定する方法は、上記の例に限定されない。たとえば、騒音計から出力された電気信号の波形に基づいて製品不良の有無を判定する方法や、当該電気信号を統計処理した情報に基づいて製品不良の有無を判定する方法などを採用しうる。また、上記の例のように所定の周波数の音に関連する成分の強度が閾値を超えた場合に、製品不良が生じたと判定する場合であっても、所定の周波数は特に限定されない。ただし、当該所定の周波数が40~65Hzまたは5000~20000Hzから選択されることが好ましい。
【0053】
上記の実施形態では、成形機演算装置5が、作業者が所有する端末に向けて種々の警報を発信できるように構成されている例について説明した。しかし、本発明に係るブロー成形機が、製品不良が存在すると判定した場合の措置は、警報を発することに限定されない。たとえば、ブロー成形機を停止する措置や製品不良が発生した旨を記録する措置などを取りうる。また、警報を発する措置を含め、例示したものを含む全ての措置は組み合わされて実行されうる。一方、そのような措置が実施されない構成も採用されうる。製品不良を検出した場合の措置の有無および内容は、ブロー成形機が運転される環境(作業員の数、要求される品質レベル、他工程の状況など)に応じて適宜設定されうる。
【0054】
上記の実施形態では、騒音計3に設けられた騒音計演算装置33が製品判定機能を実行可能である構成を例として説明した。しかし、本発明に係るブロー成形機において、製品判定機能を実行可能な演算装置が設けられる位置は限定されない。たとえば、製品判定機能を、ブロー成形機本体に設けられた演算装置が実行するように構成してもよい。
【0055】
上記の実施形態では、騒音計演算装置33が製品判定機能を実行可能であり、成形機演算装置5が機器判定機能を実行可能である構成を例として説明した。しかし、本発明に係るブロー成形機が製品判定機能および機器判定機能を実行可能である場合において、双方の機能を実行する演算装置は、単一であっても複数であってもよい。たとえば、製品判定機能および機器判定機能を、ブロー成形機本体に設けられた演算装置が実行するように構成してもよい。
【0056】
上記の実施形態では、集音機31が、成形機本体2のハウジング23の内側に取り付けられている構成を例として説明した。しかし、本発明に係るブロー成形機において集音装置が設けられる場所は限定されず、たとえば成形機本体のハウジングの外側であってもよい。
【0057】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、たとえばブロー成形機におけるバースト不良の発見に利用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 :ブロー成形機
2 :成形機本体
21 :成形機ユニット
22 :ロータリー装置
22b :予熱領域
22c :一次延伸領域
22d :二次延伸領域
22e :排出領域
23 :ハウジング
3 :騒音計
31 :集音機
32 :本体部分
33 :騒音計演算装置
34 :ディスプレイ
35 :通信ユニット
4 :圧力計
5 :成形機演算装置
51 :CPU
52 :通信ユニット
53 :記憶ユニット