(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】送風機試験装置および送風機試験方法
(51)【国際特許分類】
G01M 9/06 20060101AFI20240816BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G01M9/06
F04D29/62 B
(21)【出願番号】P 2021107837
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000150822
【氏名又は名称】株式会社ツバキ・ナカシマ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 宣久
(72)【発明者】
【氏名】有光 玄
(72)【発明者】
【氏名】七種 秀明
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-147026(JP,A)
【文献】特開2019-152589(JP,A)
【文献】特開2010-203846(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0230825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 9/00-9/08
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機が接続される測定管の内部において、流れ方向に垂直な前記測定管の断面上で、JIS B 8330に規定される5つの円周C1,C2,C3,C4,C5の上であって、かつ前記測定管の中心で直交するX軸およびY軸の上で、前記中心を境とした5個の組が90度間隔で4組配置された各測定点に固定されて全圧を測定する全圧管と、
前記円周C3,C4の間であって、前記X軸および前記Y軸の上で、前記中心を境とした1個が90度間隔で4個配置された各測定点に固定されて静圧を測定する静圧管と、
各前記全圧管および各前記静圧管で測定されたデータを取得して記録する記録部と、
を備える、送風機試験装置。
【請求項2】
送風機が接続される測定管の内部において、流れ方向に垂直な前記測定管の断面上で、JIS B 8330に規定される5つの円周C1,C2,C3,C4,C5の上であって、かつ前記測定管の中心を境とした等間隔の5個の組が90度間隔で4組配置された各測定点に固定されて全圧を測定する全圧管と、
前記円周C3,C4の間であって、前記中心を境とした1個が90度間隔で4個配置された各測定点に固定されて静圧を測定する静圧管と、
各前記全圧管および各前記静圧管で測定されたデータを取得して記録する記録部と、
を備える、送風機試験装置。
【請求項3】
各前記
全圧管で測定される全圧を纏めて受容し平均化する全圧集中容器を備え、
前記記録部は、前記全圧集中容器から全圧の平均値を入力する、請求項
1または2に記載の送風機試験装置。
【請求項4】
各前記
静圧管で測定される静圧を纏めて受容し平均化する静圧集中容器を備え、
前記記録部は、前記静圧集中容器から静圧の平均値を入力する、請求項1
から3
のいずれか1項に記載の送風機試験装置。
【請求項5】
前記記録部は、各前記
全圧管で測定される各全圧をそれぞれ入力して記録し、かつ各前記
静圧管で測定される各静圧をそれぞれ入力して記録し、
前記記録部に記録された各全圧と各静圧とを平均化する処理部を備える、請求項1または2に記載の送風機試験装置。
【請求項6】
送風機が接続される測定管の内部において、流れ方向に垂直な前記測定管の断面上で、JIS B 8330に規定される5つの円周C1,C2,C3,C4,C5の上であって、かつ前記測定管の中心で直交するX軸およびY軸の上で、前記中心を境とした5個の組が90度間隔で4組配置された各測定点に全圧を測定する全圧管を固定する工程と、
前記円周C3,C4の間であって、前記X軸および前記Y軸の上で、前記中心を境とした1個が90度間隔で4個配置された各測定点に静圧を測定する静圧管を固定する工程と、
各前記全圧管および各前記静圧管で測定されたデータを取得して記録する工程と、
を含む、送風機試験方法。
【請求項7】
送風機が接続される測定管の内部において、流れ方向に垂直な前記測定管の断面上で、JIS B 8330に規定される5つの円周C1,C2,C3,C4,C5の上であって、かつ前記測定管の中心を境とした等間隔の5個の組が90度間隔で4組配置された各測定点に全圧を測定する全圧管を固定する工程と、
前記円周C3,C4の間であって、前記中心を境とした1個が90度間隔で4個配置された各測定点に静圧を測定する静圧管を固定する工程と、
各前記全圧管および各前記静圧管で測定されたデータを取得して記録する工程と、
を含む、送風機試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送風機試験装置および送風機試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、非特許文献1にピトー管の計測方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】山崎卓爾著 「大流量測定法としてのピトー管法に関する諸問題(第3部)」 日立評論 第38巻 第8号 日立評論社出版 昭和31年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送風機の性能の算出は、JIS B 8330送風機試験および検査方法で規定されている。5.1試験装置では、ピトー管を用いた試験によって規定されている。また、同6.2.2項b)6)に、ピトー管の鼻管を流れに平行にし、測定点は、測定管路断面におけるお互いに直角な直径上で式に示す各10点、合計20点とすると記載されている。
【0005】
ここで、JIS B 8330に規定される送風機の性能測定では、20点にピトー管を手作業で配置しながら各点で全圧および静圧を測定し、測定結果を記録する。しかし、ピトー管の設置が手作業であり、測定管路の中において、ピトー管が各点に配置されていることや、ピトー管の鼻管が流れに対して平行であることを確認することは難しく、位置精度の確保が容易でない。また、測定結果も手作業で記録することから、測定に多くの時間を要することとなる。
【0006】
非特許文献1では、各ピトー管の全測定点をマノメータで同時測定することが記載されている。しかし、非特許文献1には、各ピトー管の位置精度についての工夫に記載はない。また、非特許文献1に記載されているマノメータは、送風機の吐出圧を受けて表示が乱れてしまうため、測定の正確性に欠ける。
【0007】
本開示は上述した課題を解決するものであり、測定精度を向上し、かつ測定を容易に行うことのできる送風機試験装置および送風機試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る送風機試験装置は、送風機が接続される測定管の内部においてJIS B 8330に規定される各測定点に固定されて全圧を測定する複数の第一の測定部と、送風機が接続される測定管の内部においてJIS B 8330に規定される各測定点に固定されて静圧を測定する複数の第二の測定部と、各前記測定部で測定されたデータを取得して記録する記録部と、を備える。
【0009】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る送風機試験方法は、送風機が接続される測定管の内部においてJIS B 8330に規定される各測定点で全圧と静圧とを測定する複数の測定部を固定する工程と、各前記測定部で測定されたデータを取得して記録する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、測定精度を向上し、かつ測定を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る送風機試験装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る送風機試験装置の部分斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る送風機試験装置の断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る送風機試験装置の部分断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る送風機試験装置の他の例の断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る送風機試験方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
図1は、実施形態に係る送風機試験装置の構成図である。
【0014】
実施形態の送風機試験装置1は、測定管2と、測定部5と、温度計6と、湿度計7と、気圧計8と、記録部9と、処理部10と、を含む。
【0015】
測定管2は、JIS B 8330送風機試験および検査方法の測定管路を構成する。測定管2は、試験対象である送風機100の吐出口が一端に接続されて、送風機100から送られる空気を通過される管路を構成する。空気の流れ方向を矢印Aで示す。即ち、空気の流れの上流側が測定管2の一端側で、空気の流れの下流側が測定管2の他端側となる。測定管2は、内面が滑らかで円形断面の直管で構成される。測定管2は、断面積が送風機100の吸込口または吐出口の断面積に等しいことが好ましいが、形状や断面積が送風機100の吐出口と異なる場合は、接続管2Aを一端に介在して送風機100の吐出口に接続される。接続管2Aは、必要に応じてオリフィス2Aaが設けられる。
【0016】
測定管2は、整流格子3と、絞り装置4とが設けられる。整流格子3は、測定管2の途中に設けられ、空気量が少ない送風機100を測定する場合に旋回流が生じて正確な測定ができないときに用いられる。絞り装置4は、測定管2の他端に設けられ、測定管2を通過する空気の風量を調整することに用いられる。なお、図には明示しないが、測定管2は、試験対象である送風機100の吸込口が接続される場合がある、この場合、測定管2は、送風機100の吸込口が他端(必要であれば接続管2Aを介する)に接続され、絞り装置4一端に設けられる。
【0017】
測定部5は、全圧と静圧とを測定する。実施形態の測定部5は、第一の測定部である全圧管5Aと、第二の測定部である静圧管5Bとで独立して構成され、それぞれ全圧と静圧とを測定する。測定部5の詳細は後述する。
【0018】
温度計6は、測定管2の内部温度を測定する。温度計6は、測定管2の他端側に設けられる。
【0019】
湿度計7は、送風機100を試験する雰囲気(試験室)の湿度を測定する。湿度計7は、例えば、送風機100の吸込口の近傍に配置することが好ましい。
【0020】
気圧計8は、送風機100を試験する雰囲気(試験室)の気圧を測定する。気圧計8は、例えば、送風機100の吸込口の近傍に配置することが好ましい。
【0021】
記録部9は、測定部5、温度計6、湿度計7、気圧計8で測定された各データを取得して記録する。記録部9は、データロガーにより構成できる。
【0022】
処理部10は、例えば、コンピュータであり、図には明示しないが、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを含む演算処理装置などにより実現される。処理部10は、記録部9に記録された各データを取得して処理する。具体的に、処理部10は、取得した全圧から静圧を差し引いた動圧から風速を求め、風速に測定管2の管路の断面積を掛けて送風機100の性能である風量を算出する。また、処理部10は、送風機100の性能を算出するにあたり、温度、湿度、気圧を取得する。送風機100の性能を算出するにあたり標準状態(温度20℃、絶対圧101.3kPa、相対湿度65%の空気の状態)があり、処理部10は、試験結果と共に試験時の温度、湿度、気圧を取得し、試験結果を標準状態相当に補正する。
【0023】
上述した送風機試験装置1は、JIS B 8330送風機試験および検査方法の規定に基づく。この規定において、測定管2の長さ(一端から他端)は、測定管2の内径(または送風機100の吐出口内径)Dおよび整流格子3の長さLaから、[10D+La]未満とする。また、整流格子3の上流端位置は、測定管2の一端から下流側に[6D]未満とする。また、測定部5(全圧管5A)による全圧の測定点(測定位置)は、整流格子3の下流側端から下流側に[1D]未満で、かつ測定管2の他端から上流側に[3D]未満とする。また、測定部5(静圧管5B)による静圧の測定点(測定位置)は、整流格子3の上流側端から上流側に[0.5D]とする。また、温度計6の位置は、全圧の測定点(測定位置)から下流側に[1D]超えて測定管2の他端までの範囲内とする。整流格子3の長さLaおよび接続管2Aの長さLbは、測定管2を通過する風を妨げない寸法とする。なお、送風機100の吸込口は、試験室の壁や床から1D以上離す。
【0024】
以下に、測定部5の詳細について説明する。
図2は、実施形態に係る送風機試験装置の部分斜視図である。
図3は、実施形態に係る送風機試験装置の断面図である。
図4は、実施形態に係る送風機試験装置の部分断面図である。
【0025】
測定部5は、上述したように全圧管5Aと静圧管5Bとで構成される。この測定部5は、
図2および
図3に示すように、測定管2の内部に固定された支持部11に取り付けられる。支持部11は、X軸11AとY軸11Bとで構成される。X軸11AとY軸11Bとは、流れ方向Aに垂直な測定管2の断面上で、お互いに直角な直径(直線)上に沿って延びて配置される。X軸11AとY軸11Bとは、測定管2の円形断面の中心Oで交差する。X軸11AおよびY軸11Bは、実施形態では角柱にて構成され、平坦な面を空気の流れ方向Aに対して垂直に向けて配置される。X軸11AおよびY軸11Bは、測定管2の内部を通過する空気の流れを阻害しないように、断面が円形や楕円形や流線形に形成されることが好ましい。
【0026】
測定部5をなす全圧管5Aは、
図4に示すように、支持部11のX軸11AおよびY軸11Bに対して基端が固定され、空気の流れ方向Aの上流側に先端を向けて流れ方向Aに沿って真っすぐ延びて形成される。全圧管5Aは、先端に全圧孔5Aaが形成されている。即ち、全圧管5Aは、ピトー管において全圧を測定するための鼻管の一部に相当し、流れ方向Aに平行に配置される。全圧管5Aは、X軸11Aにおいて中心Oを境に5本ずつ計10本設けられ、Y軸11Bにおいて中心Oを境に5本ずつ計10本設けられ、支持部11において計20点に設けられる。また、全圧管5Aは、
図3に示すように、流れ方向Aに垂直な測定管2の断面上において、測定管2の半径Rに対して0.316Rとなる半径r1の円周C1、半径Rに対して0.548Rとなる半径r2の円周C2、半径Rに対して0.707Rとなる半径r3の円周C3、半径Rに対して0.837Rとなる半径r4の円周C4、および半径Rに対して0.949Rとなる半径r5の円周C5が、それぞれX軸11AおよびY軸11Bに交差する位置に測定点として設けられる。従って、全圧管5Aは、円周C1-C5に交差する直線上において中心Oを境に配置された5個を1組としてこの組が測定管2の中心Oを中心として90度間隔で配置される。また、全圧管5Aは、全圧孔5Aaが形成された先端の位置が、上述した全圧の測定点(測定位置)の位置である、整流格子3の下流側端から下流側に[1D]未満で、かつ測定管2の他端から上流側に[3D]未満の位置に配置される。
【0027】
また、測定部5をなす静圧管5Bは、
図4に示すように、支持部11のX軸11AおよびY軸11Bに対して基端が固定され、空気の流れ方向Aの上流側に先端を向けて流れ方向Aに沿って真っすぐ延びて形成される。静圧管5Bは、先端が塞がれて途中の側面に流れ方向Aと直角に貫通する静圧孔5Baが形成されている。即ち、静圧管5Bは、ピトー管において静圧を測定するための鼻管の一部に相当し、流れ方向Aに平行に配置される。静圧管5Bは、実施形態では、X軸11Aにおいて中心Oを境に1本ずつ計2本設けられ、Y軸11Bにおいて中心Oを境に1本ずつ計2本設けられ、支持部11において計4点に設けられる。また、静圧管5Bは、上述した円周C1-C5とは外れた位置でX軸11AおよびY軸11Bに設けられる。実施形態では、静圧管5Bは、円周C3と円周C4との間の位置に設けられる。また、静圧管5Bは、静圧孔5Baが形成された位置が、上述した静圧の測定点(測定位置)である、整流格子3の上流側端から上流側に[0.5D]の位置に配置される。なお、静圧管5Bは、単一の配置であってもよいが、故障時でも測定を行えるように実施形態では複数の配置としている。
【0028】
従って、実施形態の全圧管5Aおよび静圧管5Bは、JIS B 8330送風機試験および検査方法の6.2.2項b)6)のピトー管の位置に基づき配置される。そして、実施形態の送風機試験装置1は、JIS B 8330送風機試験および検査方法の5.1試験装置のピトー管を用いた試験の規定に基づき構成される。従って、実施形態の送風機試験装置1は、JIS B 8330送風機試験および検査方法の規定に基づいて送風機100の試験を行える。
【0029】
なお、測定部5は、全圧管5Aと静圧管5Bとが一体になったピトー管で構成されていてもよい。そして、ピトー管で構成された各測定部5は、上述した各全圧管5Aの各位置に配置される。
【0030】
また、実施形態の送風機試験装置1は、
図2および
図4に示すように、各全圧管5Aから個々の全圧を各送出ライン5Cにより測定管2の外部に送る。また、実施形態の送風機試験装置1は、各静圧管5Bから個々の静圧を各送出ライン5Cにより測定管2の外部に送る。また、実施形態の送風機試験装置1は、各全圧管5Aの個々の全圧を平均化し、各静圧管5Bの個々の静圧を平均化する。平均化は、
図2に示す平均化装置12により行うことができる。
【0031】
平均化装置12は、全圧を平均化するにあたり、接続部12Aと、第一全圧集中容器12Bと、第二全圧集中容器12Cと、を有する。接続部12Aは、測定管2の内部と外部とに繋がる複数の受口を有する。接続部12Aの受口は、X軸11Aに設けられた10本の各全圧管5Aから繋がる10本の送出ライン5Cがそれぞれ接続される第一の列と、Y軸11Bに設けられた10本の各全圧管5Aから繋がる10本の送出ライン5Cがそれぞれ接続される第二の列とを有する。第一全圧集中容器12Bは、実施形態では2つ設けられている。1つの第一全圧集中容器12Bは、測定管2の外部において、第一の列の10個の受口にそれぞれ接続される接続ライン12Baを介し、X軸11Aに設けられた10本の各全圧管5Aに繋がる10本の送出ライン5Cが接続される。従って、1つの第一全圧集中容器12Bは、X軸11Aに設けられた各全圧管5Aの全圧が纏めて送られる。もう1つの第一全圧集中容器12Bは、測定管2の外部において、第二の列の10個の受口にそれぞれ接続される接続ライン12Baを介し、Y軸11Bに設けられた10本の各全圧管5Aに繋がる10本の送出ライン5Cが接続される。従って、もう1つの第一全圧集中容器12Bは、Y軸11Bに設けられた各全圧管5Aの全圧が纏めて送られる。第二全圧集中容器12Cは、2つの第一全圧集中容器12Bに対して接続ライン12Caを介して接続される。従って、第二全圧集中容器12Cは、2つの第一全圧集中容器12Bの全圧が纏めて送られる。第二全圧集中容器12Cは、全圧ライン12Dを介して全圧を記録部9に送る。従って、各全圧管5Aで測定される全圧は、平均化されて同時に記録部9に送られて記録され、処理部10で処理される。なお、各第一全圧集中容器12Bを用いず、接続部12Aから第二全圧集中容器12Cに20本の送出ライン5Cが接続されてもよい。
【0032】
平均化装置12は、静圧を平均化するにあたり、接続部12Eと、静圧集中容器12Fと、を有する。接続部12Eは、測定管2の内部と外部とに繋がる複数の受口を有する。接続部12Eの受口は、4本の静圧管5Bに繋がる4本の送出ライン5Cがそれぞれ接続される。静圧集中容器12Fは、測定管2の外部において、4個の受口にそれぞれ接続される接続ライン12Faを介し、各静圧管5Bに繋がる4本の送出ライン5Cが接続される。従って、静圧集中容器12Fは、静圧が纏めて送られる。静圧集中容器12Fは、静圧ライン12Gを介して静圧を記録部9に送る。従って、各静圧管5Bで測定される静圧は、平均化されて同時に記録部9に送られて記録され、処理部10で処理される。
【0033】
なお、全圧と静圧との平均化は、平均化装置12を用いず、各送出ライン5Cから記録部9に同時に送られて記録され、これを処理部10において平均化して処理してもよい。
【0034】
図5は、実施形態に係る送風機試験装置の他の例の断面図である。
【0035】
図3に示した実施形態の送風機試験装置1では、測定管2の円形断面の中心Oで交差するX軸11AとY軸11Bとに全圧管5Aを直線状に並べて配置している。この配置において、測定管2の直径が小さく半径Rが短くなるほど、各全圧管5Aの間隔が狭くなり、個々の全圧の測定に影響を及ぼすおそれがある。このため、
図5に示す実施形態では、
図3に示す実施形態のX軸11Aの中心Oを境にした各5本の全圧管5A、およびY軸11Bの中心Oを境にした各5本の全圧管5Aを、等距離になるように各円周C1-C5の上で移動している。全圧管5Aは、円周C1-C5上に配置された等距離の5個を1組としてこの組が測定管2の中心Oを中心として90度間隔で配置される。
図5で示す実施形態において、各全圧管5Aは、測定管2の半径Rに対する半径r1-r5の距離の関係が満たされていることから、JIS B 8330送風機試験および検査方法の6.2.2項
b)6)のピトー管の位置に基づき配置される。従って、
図5に示す実施形態の送風機試験装置1は、各全圧管5Aの間隔を適宜設けて相互の測定の影響を抑制する。
【0036】
図6は、実施形態に係る送風機試験方法のフローチャートである。
【0037】
上述した送風機試験装置1を用いた送風機試験方法は、送風機試験装置1おいて、全ての測定部5を測定管2の内部の各測定点に固定する(ステップS1)。その後、測定対象の送風機100を測定管2に接続し試験を開始する。そして、記録部9において、各測定部5で一度に測定された全データを取得して記録する(ステップS2)。ステップS2では、測定部5の全圧や静圧を個々に測定するのではなく、全ての測定部5で測定された全ての全圧と静圧とを記録部9で纏めて同時に取得して記録する。ここで、同時とは、まったく時間が同じで取得することだけでなく、1回の試験で全ての測定部5で測定された全ての全圧と静圧とを一括して連続して取得することも意味し、例えば、1回の試験において各ライン5C,12Ba,12Ca,12D,12Fa,12Gの長さによる取得の遅延を含む。そして、処理部10において、記録部9に記録されたデータを取得し、当該データから送風機100の性能を算出する(ステップS3)。
【0038】
このように、実施形態の送風機試験装置1は、送風機100が接続される測定管2の内部においてJIS B 8330に規定される各測定点に固定されて全圧を測定する複数の全圧管(第一の測定部)5Aと、送風機100が接続される測定管2の内部においてJIS B 8330に規定される各測定点に固定されてを測定する複数の静圧管(第二の測定部)5Bと、各測定部5A,5Bで測定されたデータを取得して記録する記録部9と、を備える。
【0039】
実施形態の送風機試験装置1によれば、個々の測定点にピトー管を設置してデータを手作業で取得し記録することと比較し、各測定点に測定部5A,5Bを固定することで、測定を行う測定部5A,5Bの寸法・形状、設置位置の精度の管理が行える。しかも、実施形態の送風機試験装置1によれば、個々の測定点にピトー管を設置してデータを手作業で取得し記録することと比較し、各測定部5A,5Bで測定されたデータを記録部9で取得して記録することで、データ取得、記録保存の自動化を実現できる。この結果、実施形態の送風機試験装置1によれば、測定精度を向上し、かつ測定作業時間を短縮化して測定を容易に行える。
【0040】
また、実施形態の送風機試験装置1では、各測定部5は、全圧を測定する複数の全圧管5Aと、静圧を測定する複数の静圧管5Bとで構成される。
【0041】
実施形態の送風機試験装置1によれば、全圧管5Aと静圧管5Bとに機能分けすることで、全圧と静圧とをそれぞれ独立して精度よく取得できる。
【0042】
また、実施形態の送風機試験装置1では、各全圧管5Aで測定される全圧を纏めて受容し平均化する全圧集中容器12B,12Cを備え、記録部9は、全圧集中容器12B,12Cから全圧の平均値を入力する。
【0043】
実施形態の送風機試験装置1によれば、各全圧管5Aで測定される全圧を均圧化し、記録できる。
【0044】
また、実施形態の送風機試験装置1では、各静圧管5Bで測定される静圧を纏めて受容し平均化する静圧集中容器12Fを備え、記録部9は、静圧集中容器12Fから静圧の平均値を入力する。
【0045】
実施形態の送風機試験装置1によれば、各静圧管5Bで測定される静圧を均圧化し、記録できる。
【0046】
また、実施形態の送風機試験装置1では、記録部9は、各全圧管5Aで測定される各全圧をそれぞれ入力して記録し、かつ各静圧管5Bで測定される各静圧をそれぞれ入力して記録し、記録部9に記録された各全圧と各静圧とを平均化する処理部10を備える。
【0047】
実施形態の送風機試験装置1によれば、各全圧管5Aで測定される全圧を均圧化して処理でき、かつ各静圧管5Bで測定される静圧を均圧化して処理できる。
【0048】
また、実施形態の送風機試験装置1では、各測定部5は、測定管2の断面内でJIS B 8330に規定される測定点を通過する各円周C1-C5上に配置され、かつ各円周C1-C5に交差する直線から外れて配置される。
【0049】
JIS B 8330に規定される測定点を通過する各円周C1-C5に交差する直線上に各測定部5を配置した場合、測定管2の直径が小さく半径Rが短くなるほど、各全圧管5Aの間隔が狭くなり、個々の全圧の測定に影響を及ぼすおそれがある。この点、実施形態の送風機試験装置1によれば、各円周C1-C5に交差する直線から外れて各測定部5を配置することで、各測定部5の間隔を広くできる。この結果、実施形態の送風機試験装置1によれば、各全圧管5Aの間隔を適宜設けて相互の測定の影響を抑制できる。
【0050】
また、実施形態の送風機試験方法は、送風機100が接続される測定管2の内部においてJIS B 8330に規定される測定点で全圧を測定する複数の全圧管(第一測定部)5Aと静圧を測定する複数の静圧管(第二の測定部)5Bとを固定する工程と、各測定部5で測定されたデータを取得して記録する工程と、を含む。
【0051】
実施形態の送風機試験方法によれば、個々の測定点にピトー管を設置してデータを手作業で取得し記録することと比較し、各測定点に測定部5A,5Bを固定することで、測定を行う測定部5A,5Bの寸法・形状、設置位置の精度の管理が行える。しかも、実施形態の送風機試験方法によれば、個々の測定点にピトー管を設置してデータを手作業で取得し記録することと比較し、各測定部5A,5Bで測定されたデータを取得して記録することで、測定データ取得、記録保存の自動化を実現できる。この結果、実施形態の送風機試験方法によれば、測定精度を向上し、かつ測定作業時間を短縮化して容易に測定を行える。
【符号の説明】
【0052】
1 送風機試験装置
2 測定管
5 測定部
5A 全圧管
5B 静圧管
9 記録部
12B 第一全圧集中容器
12C 第二全圧集中容器
12F 静圧集中容器
C1,C2,C3,C4,C5 円周