(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】固体撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240816BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240816BHJP
H04N 25/704 20230101ALI20240816BHJP
H04N 25/705 20230101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L27/146 D
H04N25/70
H04N25/704
H04N25/705
(21)【出願番号】P 2021511398
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2020011652
(87)【国際公開番号】W WO2020203249
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2019069180
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富樫 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】河合 信宏
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063156(JP,A)
【文献】特開2017-037952(JP,A)
【文献】特開2018-152393(JP,A)
【文献】特開2019-036641(JP,A)
【文献】特開2015-153962(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0219046(US,A1)
【文献】国際公開第2017/026109(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/163720(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/035254(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0351606(US,A1)
【文献】国際公開第2015/125611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H04N 25/704
H04N 25/705
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配列する複数の光電変換素子を備える固体撮像装置であって、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一部が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備
え、
前記第3電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第3電極と前記第1電極との間の前記絶縁膜の膜厚よりも薄い、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記第3電極には、複数の開口部が設けられており、
前記開口部それぞれの内部には、前記半導体層の一部が延在している
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第3電極と前記第2電極との間の前記絶縁膜の膜厚は、前記第3電極と前記第1電極との間の前記絶縁膜の膜厚よりも薄い請求項1
又は2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
行列状に配列する複数の光電変換素子を備える固体撮像装置であって、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一部が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備え、
前記第3電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第3電極の上部側から下部側へ向かうにつれて薄くなってい
る、
固体撮像装置。
【請求項5】
前記光電変換素子それぞれは、前記絶縁膜内であって前記第3電極と前記第1電極との間に配置された第4電極をさらに備える請求項1
~4のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記第3電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第4電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の膜厚よりも薄い請求項
5に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第2電極は、それぞれ異なる領域で前記第1電極と対向する複数の電極に分割されている請求項1
~6のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第2電極の前記主平面と平行な方向の幅は、前記第3電極の前記主平面と平行な方向の幅よりも狭い請求項1
~7のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
行列状に配列する複数の光電変換素子を備える固体撮像装置であって、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一部が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備え、
前記半導体層の前記主平面と平行な方向の幅は、前記第1電極側から前記第2電極側へ向かうにつれて細くなってい
る、
固体撮像装置。
【請求項10】
前記第3電極は、前記主平面と垂直な方向に配列する複数の第5電極を含む請求項1
~9のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記第3電極は、前記主平面と垂直な方向において複数の領域に分割されている請求項1
~10のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
行列状に配列する複数の光電変換素子を備える固体撮像装置であって、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一部が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備え、
前記光電変換膜における前記第2電極と対向する面の一部は、前記第2電極へ向けて突出し、
前記第1電極における前記第2電極と対向する面の一部は、前記第2電極へ向けて突出してい
る、
固体撮像装置。
【請求項13】
前記半導体層の前記主平面と垂直な方向の組成は、前記第2電極からの距離に応じて異なる請求項1
~12のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記第1電極を挟んで前記第2電極と反対側に配置されたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズに対して前記主平面と垂直な方向に配置され、所定の波長の光を透過するカラーフィルタと、
をさらに備える請求項1
~13のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記光電変換膜と前記半導体層の少なくとも一部とは、同一の材料を含む請求項1
~14のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記主平面と垂直な方向に配置された複数の前記光電変換素子を備える請求項1
~15のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項17】
前記光電変換膜は、有機膜である請求項1
~16のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項18】
固体撮像装置と、
入射光を前記固体撮像装置の受光面に結像する光学系と、
前記固体撮像装置を制御するプロセッサと、
を備え、
前記固体撮像装置は、行列状に配列する複数の光電変換素子を備え、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一部が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備
え、
前記第3電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第3電極と前記第1電極との間の前記絶縁膜の膜厚よりも薄い、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置、電子機器及び固体撮像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の光電変換素子を半導体基板の基板厚方向に積層した積層型イメージセンサが提案されている。例えば、特許文献1には、偽色を解決する方法として、同一の画素の縦方向にグリーン、ブルー及びレッドそれぞれの波長の光を光電変換する光電変換領域を積層し、グリーンの光電変換領域は、有機光電変換膜で構成するという積層型固体撮像装置が提案されている。また、特許文献2には、光電変換で発生して蓄積電極の上側に溜まった電荷を、蓄積電極の下方に設置した捕集電極へ縦方向に転送する構造も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-157816号公報
【文献】特開2016-63156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の積層型固体撮像装置では、蓄積電極上の半導体層に溜まった蓄積電荷が、蓄積電極上面に沿って一旦横方向に移動した後に、蓄積電極下方に位置する読出し用の電極に流れ込む構造であるため、蓄積電極から読出し用の電極への蓄積電荷の転送に時間がかかる。そのため、各画素から画素信号を読み出す読出し速度を高速化することが困難であるという問題が存在する。
【0005】
そこで本開示では、読出し速度を高速化することが可能な固体撮像装置、電子機器及び固体撮像装置の製造方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の固体撮像装置は、行列状に配列する複数の光電変換素子を備える固体撮像装置であって、前記光電変換素子それぞれは、主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一部が前記第2電極に接触する半導体層と、前記半導体層内に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜内に配置された第3電極とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る固体撮像装置を搭載した電子機器の概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係るB画素の概略構成例を示す回路図である。
【
図5】第1の実施形態に係るR画素の概略構成例を示す回路図である。
【
図6】第1の実施形態に係るG画素の概略構成例を示す回路図である。
【
図7】
図2に示す画素アレイ部のより詳細な構成例を示すブロック図である。
【
図9】第1の実施形態に係る固体撮像装置における単位画素の断面構造例を示す断面図である。
【
図10】第1の実施形態に係る電荷蓄積時の共通電極と読出し電極との間に形成されるバンドギャップを示す図である。
【
図11】第1の実施形態に係る電荷読出し時の電荷蓄積時に共通電極と読出し電極との間に形成されるバンドギャップを示す図である。
【
図12】第1の実施形態に係る単位画素の平面レイアウト例を示す平面図である。
【
図13】第1の実施形態に係る蓄積電極の平面レイアウト例を示す平面図である(第1例)。
【
図14】第1の実施形態に係る蓄積電極の平面レイアウト例を示す平面図である(第2例)。
【
図15】第1の実施形態に係る蓄積電極の平面レイアウト例を示す平面図である(第3例)。
【
図16】第1の実施形態に係る蓄積電極の平面レイアウト例を示す平面図である(第4例)。
【
図17】第1の実施形態に係る蓄積電極の平面レイアウト例を示す平面図である(第5例)。
【
図18】第2の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図19】第2の実施形態の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図20】第2の実施形態の他の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図21】第3の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図22】第3の実施形態に係るシールド電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
【
図23】第2の実施形態に係るシールド電極と蓄積電極とを光の入射方向から見た場合の平面図である。
【
図24】第3の実施形態の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図25】第4の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図26】第4の実施形態に係る読出し電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
【
図27】第5の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図28】第5の実施形態の第1の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図29】第5の実施形態の第2の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図30】第5の実施形態の第3の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図31】第6の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図32】第6の実施形態の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図33】第6の実施形態の他の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図34】第7の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図35】第7の実施形態に係る蓄積電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
【
図36】第7の実施形態に係る蓄積電極の他の平面レイアウト例を示す平面図である。
【
図37】第8の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図38】第9の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図39】第10の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図40】第11の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図41】第12の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図42】第13の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その1)。
【
図43】第13の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その2)。
【
図44】第13の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その3)。
【
図45】第13の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その4)。
【
図46】第13の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その5)。
【
図47】第13の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その6)。
【
図48】第13の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その7)。
【
図49】第14の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その1)。
【
図50】第14の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その2)。
【
図51】第14の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その3)。
【
図52】第14の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その4)。
【
図53】第14の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を説明するためのプロセス断面図である(その5)。
【
図54】第15の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図55】第16の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図56】第16の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の他の概略構成例を示す断面図である。
【
図57】第16の実施形態の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図58】第17の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図59】第18の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図60】第18の実施形態の変形例に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図61】第19の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図62】第20の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図63】第20の実施形態に係る読出し電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
【
図64】第20の実施形態の変形例1に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図65】第20の実施形態の変形例2に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
【
図66】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図67】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図68】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図69】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0009】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.第1の実施形態
1.1 電子機器の構成例
1.2 固体撮像装置の構成例
1.3 固体撮像装置の積層構造例
1.4 画素の構成例
1.4.1 B画素及びR画素について
1.4.2 G画素について
1.5 単位画素の接続例
1.6 単位画素の断面構造例
1.7 蓄積電極の作用
1.8 単位画素の平面レイアウト例
1.9 蓄積電極の形状
1.10 光電変換膜
1.11 作用・効果
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.第4の実施形態
5.第5の実施形態
5.1 第1の変形例
5.2 第2の変形例
5.3 第3の変形例
6.第6の実施形態
7.第7の実施形態
8.第8の実施形態
9.第9の実施形態
10.第10の実施形態
11.第11の実施形態
12.第12の実施形態
13.第13の実施形態
13.1 構成要素ごとの製造プロセスの詳細
14.第14の実施形態
15.第15の実施形態
16.第16の実施形態
16.1 変形例
17.第17の実施形態
18.第18の実施形態
19.第19の実施形態
20.第20の実施形態
20.1 変形例1
20.2 変形例2
21.応用例1
22.応用例2
【0010】
1.第1の実施形態
まず、第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、同一の画素の縦方向にグリーン(G)、ブルー(B)及びレッド(R)それぞれの波長の光を光電変換する光電変換領域が積層された構造を備える積層型の固体撮像装置を例に挙げる。また、本実施形態では、グリーン、ブルー及びレッドのうち、グリーンの波長の光を光電変換する光電変換領域が有機膜で構成されている場合を例示する。
【0011】
1.1 電子機器の構成例
図1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置を搭載した電子機器の概略構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、電子機器3000は、例えば、撮像レンズ3020と、固体撮像装置100と、記憶部3030と、プロセッサ3040とを備える。
【0012】
撮像レンズ3020は、入射光を集光してその像を固体撮像装置100の受光面に結像する光学系の一例である。受光面とは、固体撮像装置100における光電変換素子が配列する面であってよい。固体撮像装置100は、入射光を光電変換して画像データを生成する。また、固体撮像装置100は、生成した画像データに対し、ノイズ除去やホワイトバランス調整等の所定の信号処理を実行する。
【0013】
記憶部3030は、例えば、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等で構成され、固体撮像装置100から入力された画像データ等を記録する。
【0014】
プロセッサ3040は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成され、オペレーティングシステムや各種アプリケーションソフトウエア等を実行するアプリケーションプロセッサや、GPU(Graphics Processing Unit)やベースバンドプロセッサなどが含まれ得る。プロセッサ3040は、固体撮像装置100から入力された画像データや記憶部3030から読み出した画像データ等に対し、必要に応じた種々処理を実行したり、ユーザへの表示を実行したり、所定のネットワークを介して外部へ送信したりする。
【0015】
1.2 固体撮像装置の構成例
図2は、第1の実施形態に係るCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)型の固体撮像装置(以下、単にイメージセンサという)の概略構成例を示すブロック図である。ここで、CMOS型のイメージセンサとは、CMOSプロセスを応用して、または、部分的に使用して作成されたイメージセンサである。
【0016】
図2に示すように、イメージセンサ100は、例えば、画素アレイ部3101と、垂直駆動回路3102と、カラム処理回路3103と、水平駆動回路3104と、システム制御部3105と、信号処理部3108と、データ格納部3109とを備える。以下の説明において、垂直駆動回路3102、カラム処理回路3103、水平駆動回路3104、システム制御部3105、信号処理部3108及びデータ格納部3109は、周辺回路とも称される。
【0017】
画素アレイ部3101は、受光した光量に応じた電荷を生成しかつ蓄積する光電変換素子を有する単位画素3110が行方向及び列方向に、すなわち、行列状に2次元格子状(以下、行列状という)に配置された構成を有する。ここで、行方向とは画素行の画素の配列方向(図面中、横方向)をいい、列方向とは画素列の画素の配列方向(図面中、縦方向)をいう。
【0018】
本実施形態に係るイメージセンサ100は、同一の画素の縦方向にグリーン(G)、ブルー(B)及びレッド(R)それぞれの波長の光を光電変換する光電変換領域が積層された構造を備える積層型であるため、1つの単位画素3110は、グリーン(G)の波長の光を受光して画素信号を生成する画素3110Gと、ブルー(B)の波長の光を受光して画素信号を生成する画素3110Bと、レッド(R)の波長の光を受光して画素信号を生成する画素3110Rとを含む。単位画素3110の具体的な回路構成や画素構造の詳細については、後述する実施形態において説明する。
【0019】
画素アレイ部3101では、行列状の画素配列に対し、画素行ごとに画素駆動線LDが行方向に沿って配線され、画素列ごとに垂直信号線VSLが列方向に沿って配線されている。画素駆動線LDは、画素から信号を読み出す際の駆動を行うための駆動信号を伝送する。
図2では、画素駆動線LDが1本ずつの配線として示されているが、1本ずつに限られるものではない。画素駆動線LDの一端は、垂直駆動回路3102の各行に対応した出力端に接続されている。
【0020】
垂直駆動回路3102は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部3101の各画素を全画素同時あるいは行単位等で駆動する。すなわち、垂直駆動回路3102は、当該垂直駆動回路3102を制御するシステム制御部3105と共に、画素アレイ部3101の各画素の動作を制御する駆動部を構成している。この垂直駆動回路3102はその具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系との2つの走査系を備えている。
【0021】
読出し走査系は、単位画素3110の各画素から信号を読み出すために、画素アレイ部3101の単位画素3110の各画素を行単位で順に選択走査する。単位画素3110の各画素から読み出される信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対して、その読出し走査よりも露光時間分だけ先行して掃出し走査を行う。
【0022】
この掃出し走査系による掃出し走査により、読出し行の単位画素3110の各画素の光電変換素子から不要な電荷が掃き出されることによって当該光電変換素子がリセットされる。そして、この掃出し走査系で不要電荷を掃き出す(リセットする)ことにより、所謂電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換素子の電荷を捨てて、新たに露光を開始する(電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0023】
読出し走査系による読出し動作によって読み出される信号は、その直前の読出し動作または電子シャッタ動作以降に受光した光量に対応している。そして、直前の読出し動作による読出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃出しタイミングから、今回の読出し動作による読出しタイミングまでの期間が、単位画素3110の各画素における電荷の蓄積期間(露光期間ともいう)となる。
【0024】
垂直駆動回路3102によって選択走査された画素行の各単位画素3110の各画素から出力される信号は、画素列ごとに垂直信号線VSLの各々を通してカラム処理回路3103に入力される。カラム処理回路3103は、画素アレイ部3101の画素列ごとに、選択行の各画素から垂直信号線VSLを通して出力される信号に対して所定の信号処理を行うとともに、信号処理後の画素信号を一時的に保持する。
【0025】
具体的には、カラム処理回路3103は、信号処理として少なくとも、ノイズ除去処理、例えばCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)処理や、DDS(Double Data Sampling)処理を行う。例えば、CDS処理により、リセットノイズや画素内の増幅トランジスタの閾値ばらつき等の画素固有の固定パターンノイズが除去される。カラム処理回路3103は、その他にも、例えば、AD(アナログ-デジタル)変換機能を備え、光電変換素子から読み出され得たアナログの画素信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0026】
水平駆動回路3104は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理回路3103の画素列に対応する読出し回路(以下、画素回路という)を順番に選択する。この水平駆動回路3104による選択走査により、カラム処理回路3103において画素回路ごとに信号処理された画素信号が順番に出力される。
【0027】
システム制御部3105は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータなどによって構成され、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミングを基に、垂直駆動回路3102、カラム処理回路3103、及び、水平駆動回路3104などの駆動制御を行う。
【0028】
信号処理部3108は、少なくとも演算処理機能を有し、カラム処理回路3103から出力される画素信号に対して演算処理等の種々の信号処理を行う。データ格納部3109は、信号処理部3108での信号処理にあたって、その処理に必要なデータを一時的に格納する。
【0029】
なお、信号処理部3108から出力された画像データは、例えば、イメージセンサ100を搭載する電子機器3000におけるプロセッサ3040等において所定の処理が実行されたり、所定のネットワークを介して外部へ送信されたりしてもよい。
【0030】
1.3 固体撮像装置の積層構造例
図3は、第1の実施形態に係るイメージセンサの積層構造例を示す図である。
図3に示すように、イメージセンサ100は、受光チップ3121と回路チップ3122とが上下に積層されたスタック構造を備える。受光チップ3121は、例えば、複数の単位画素3110が行列状に配列する画素アレイ部3101を備える半導体チップであり、回路チップ3122は、例えば、
図2における周辺回路等を備える半導体チップであってよい。
【0031】
受光チップ3121と回路チップ3122との接合には、例えば、それぞれの接合面を平坦化して両者を電子間力で貼り合わせる、いわゆる直接接合を用いることができる。ただし、これに限定されず、例えば、互いの接合面に形成された銅(Cu)製の電極パッド同士をボンディングする、いわゆるCu-Cu接合や、その他、バンプ接合などを用いることも可能である。
【0032】
また、受光チップ3121と回路チップ3122とは、例えば、半導体基板を貫通するTSV(Through-Silicon Via)などの接続部を介して電気的に接続される。TSVを用いた接続には、例えば、受光チップ3121に設けられたTSVと受光チップ3121から回路チップ3122にかけて設けられたTSVとの2つのTSVをチップ外表で接続する、いわゆるツインTSV方式や、受光チップ3121から回路チップ3122まで貫通するTSVで両者を接続する、いわゆるシェアードTSV方式などを採用することができる。
【0033】
ただし、受光チップ3121と回路チップ3122との接合にCu-Cu接合やバンプ接合を用いた場合には、Cu-Cu接合部やバンプ接合部を介して両者が電気的に接続される。
【0034】
1.4 画素の構成例
図4~
図6は、第1の実施形態に係る画素の概略構成例を示す回路図である。なお、
図4は、例えば、ブルー(B)の波長の光を光電変換する画素3110Bの回路図を示し、
図5は、例えば、レッド(R)の波長の光を光電変換する画素3110Rの回路図を示し、
図6は、例えば、グリーン(G)の波長の光を光電変換する画素3110Gの回路図を示している。
【0035】
まず、
図4に示すように、画素3110Bは、フォトダイオードPD1と、転送トランジスタTRG1と、リセットトランジスタRST1と、増幅トランジスタAMP1と、選択トランジスタSEL1と、浮遊拡散層FD1とを備える。
【0036】
同様に、画素3110Rは、
図5に示すように、フォトダイオードPD2と、転送トランジスタTRG2と、リセットトランジスタRST2と、増幅トランジスタAMP2と、選択トランジスタSEL2と、浮遊拡散層FD2とを備える。
【0037】
一方、光電変換素子が有機膜で構成された画素3110Gは、
図6に示すように、有機光電変換素子PD3と、リセットトランジスタRST3と、増幅トランジスタAMP3と、選択トランジスタSEL3と、浮遊拡散層FD3とを備える。
【0038】
以下では、簡略化のため、画素3110B及び画素3110Gに着目して説明する。なお、画素3110Rの構成及び動作は、画素3110Bと同様であってよい。
【0039】
1.4.1 B画素及びR画素について
まず、
図4に示すように、画素3110Bにおいて、選択トランジスタSEL1のゲートには、画素駆動線LDに含まれる選択トランジスタ駆動線が接続され、リセットトランジスタRST1のゲートには、画素駆動線LDに含まれるリセットトランジスタ駆動線が接続され、転送トランジスタTRG1のゲートには、画素駆動線LDに含まれる転送トランジスタ駆動線が接続される。また、増幅トランジスタAMP1のドレインには、カラム処理回路3103に一端が接続される垂直信号線VSL1が選択トランジスタSEL1を介して接続される。
【0040】
以下の説明において、リセットトランジスタRST1、増幅トランジスタAMP1及び選択トランジスタSEL1は、まとめて画素回路とも称される。この画素回路には、浮遊拡散領域FD1及び/又は転送トランジスタTRG1が含まれてもよい。
【0041】
フォトダイオードPD1は、入射した光を光電変換する。転送トランジスタTRG1は、フォトダイオードPD1に発生した電荷を転送する。浮遊拡散層FD1は、転送トランジスタTRG1が転送した電荷を蓄積する。増幅トランジスタAMP1は、浮遊拡散領域FD1に蓄積された電荷に応じた電圧値の画素信号を垂直信号線VSL1に出現させる。リセットトランジスタRST1は、浮遊拡散領域FD1に蓄積された電荷を放出する。選択トランジスタSEL1は、読出し対象の画素3110Bを選択する。
【0042】
フォトダイオードPD1のアノードは、接地されており、カソ-ドは、転送トランジスタTRG1のソースに接続されている。転送トランジスタTRG1のドレインは、リセットトランジスタRST1のソースおよび増幅トランジスタAMP1のゲートに接続されており、これらの接続点であるノードが浮遊拡散領域FD1を構成する。なお、リセットトランジスタRST1のドレインは、不図示の垂直リセット入力線に接続されている。
【0043】
増幅トランジスタAMP1のソースは、不図示の垂直電流供給線に接続されている。増幅トランジスタAMP1のドレインは、選択トランジスタSEL1のソースに接続されており、選択トランジスタSEL1のドレインは、垂直信号線VSL1に接続されている。
【0044】
浮遊拡散領域FD1は、蓄積している電荷をその電荷量に応じた電圧値の電圧に変換する。なお、浮遊拡散領域FD1は、例えば、対接地容量であってもよい。ただし、これに限定されず、浮遊拡散領域FD1は、転送トランジスタTRG1のドレインとリセットトランジスタRST1のソースと増幅トランジスタAMP1のゲートとが接続するノードにキャパシタなどを意図的に接続することで付加された容量であってもよい。
【0045】
1.4.2 G画素について
一方、
図6に示すように、画素3110Gは、上述した画素3110Bと同様の構成において、フォトダイオードPD1及び転送トランジスタTRG1が有機光電変換素子PD3に置き換えられた構成を備える。
【0046】
有機光電変換素子PD3の共通電極112は、例えば、接地電位などの所定の電位VOUに接続される。一方、蓄積電極115は、例えば、垂直駆動回路3102に含まれる電圧印加回路に、画素駆動線LDを介して接続される。
【0047】
その他の構成は、上述した画素3110Bと同様であってよい。
【0048】
1.5 単位画素の接続例
図7は、
図2に示す画素アレイ部のより詳細な構成例を示すブロック図である。
図8は、
図7における領域Rの拡大図である。
【0049】
図7に示すように、
図2に例示したカラム処理回路3103は、2つのカラム処理回路3103A及び3103Bに分割されていてもよい。その場合、一方のカラム処理回路3103Aが、例えば、画素アレイ部3101に対してカラム方向(図面中、上下方向)上側に配置し、他方のカラム処理回路3103Bがカラム方向下側に配置されてもよい。それにより、各カラム処理回路3103A及び3103Bの実装面積を小さくすることが可能となる。
【0050】
なお、各カラム処理回路3103A及び3103Bに接続される画素は、画素3110R、3110G及び3110Bごとに分けられてもよいし、画素アレイ部3101における列又は行ごとに分けられてもよいし、画素アレイ部3101の領域(例えば、絡む方向における上半分と下半分)ごとに分けられてもよい。
【0051】
また、
図8に示すように、1つの単位画素3110は、上述した回路構成を備える3つの画素3110B、3110R及び3110Gを含む。各画素3110B、3110R及び3110Gに対しては、例えば、ロウ方向(図面中、左右方向)に配線された画素駆動線LDが接続される。また、垂直信号線VSL1~VSL3は、カラム方向(図面中、上下方向)、すなわち、画素駆動線LDの延在方向に対して垂直な方向に配線されている。カラム処理回路3103は、垂直信号線VSL1~VSL3の延在する方向に配置されている(
図2又は
図7参照)。
【0052】
1.6 単位画素の断面構造例
図9は、第1の実施形態に係るイメージセンサにおける単位画素の断面構造例を示す断面図である。なお、
図4には、単位画素3110が作り込まれる半導体基板、すなわち、受光チップ3121を構成する半導体基板101の基板厚方向に沿った断面構造例が示されている。
【0053】
図9に示すように、単位画素3110は、半導体基板101と、半導体基板101における素子形成面(これを表面とする)の反対側の裏面(図面中、上面)に設けられた絶縁層111と、半導体基板101の表面に設けられた配線層121とを備える。なお、半導体基板101の裏面は、光の入射面に相当する。
【0054】
単位画素3110のうち、画素3110Gは、共通電極(第1電極)112と、光電変換膜113と、半導体層114と、読出し電極(第2電極)117とが積層されて成る有機光電変換素子PD3を備える。この有機光電変換素子PD3は、例えば、絶縁層111に設けられている。また、光電変換膜113の少なくとも一部及び半導体層114の少なくとも一部は、例えば、主平面(半導体基板101の裏面又は表面と平行な面)が互いに対向するように配置された共通電極112及び読出し電極117の間に配置されている。さらに、半導体層114は、少なくとも一部で読出し電極117と接触している。
【0055】
有機光電変換素子PD3はさらに、光電変換膜113と読出し電極117との間の半導体層114中に、半導体基板101の裏面と平行に配置された蓄積電極(第3電極)115を備える。蓄積電極115は、絶縁膜116により覆われることで、半導体層114から電気的に分離されている。
【0056】
一方、画素3110BのフォトダイオードPD1及び画素3110RのフォトダイオードPD2は、半導体基板101に設けられる。具体的には、半導体基板101は、半導体基板101の裏面側から順に配置された、N型半導体領域103と、N型半導体領域105とを備える。これらN型半導体領域103及び105は、例えば、半導体基板101の基板厚方向において、有機光電変換素子PD3の下方に配置されている。
【0057】
N型半導体領域105は、例えば、半導体基板101に設けられたP型半導体領域104によって囲まれている。N型半導体領域103は、例えば、半導体基板101の裏面に設けられたP型半導体領域102と、N型半導体領域105を囲むP型半導体領域104の上部とによって挟まれている。
【0058】
N型半導体領域103、P型半導体領域102及びP型半導体領域104の上部は、例えば、画素3110BのフォトダイオードPD1を構成する。一方、N型半導体領域105及びP型半導体領域104は、画素3110RのフォトダイオードPD2を構成する。
【0059】
絶縁層111に設けられた有機光電変換素子PD3は、例えば、絶縁層111中に設けられた配線118と、半導体基板101を貫通する貫通電極119と、半導体基板101の表面側に設けられた配線層121中の配線122とを介して、半導体基板101の表面側に設けられた浮遊拡散領域FD3等(
図6参照)に接続される。なお、画素3110Gの読出し回路を構成するリセットトランジスタRST3、増幅トランジスタAMP3及び選択トランジスタSEL3は、半導体基板101の表面側に形成されていてもよい。
【0060】
一方、半導体基板101に設けられたフォトダイオードPD1は、半導体基板101に設けられた縦型トランジスタである転送トランジスタTRG1を介して、浮遊拡散領域FD1等(
図4参照)に接続される。また、フォトダイオードPD2は、半導体基板101の表面に設けられた転送トランジスタTRG2を介して、浮遊拡散領域FD2等(
図5参照)に接続される。なお、画素3110Bの読出し回路を構成するリセットトランジスタRST1、増幅トランジスタAMP1及び選択トランジスタSEL1は、半導体基板101の表面側に形成されていてもよい。同じく、画素3110Rの読出し回路を構成するリセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMP2及び選択トランジスタSEL2は、半導体基板101の表面側に形成されていてもよい。
【0061】
半導体基板101の表面は、例えば、一部が各トランジスタのゲート絶縁膜として用いられる絶縁膜106で覆われていてもよい。また、半導体基板101の裏面及び半導体基板に形成された貫通電極119用のトレンチの内表面は、反射防止膜110で覆われていてもよい。
【0062】
半導体層114は、絶縁層111の上面を覆っていてもよく、また、光電変換膜113及び共通電極112は、それぞれ半導体層114又は光電変換膜113を覆うベタ膜であってもよい。
【0063】
共通電極112上には、保護膜131及び平坦化膜132が設けられてもよい。また、平坦化膜132上であって、有機光電変換素子PD3、フォトダイオードPD1及びPD2に対して基板厚方向において対応する領域には、単位画素3110ごとのオンチップレンズ133が設けられていてもよい。
【0064】
このように、第1の実施形態では、有機光電変換素子PD3が、共通電極112と読出し電極117との間に、光電変換膜113と、周囲を半導体層114と絶縁膜116とに覆われた蓄積電極115とが設けられた構造を備える。
【0065】
このような構造では、
図9に例示するように、蓄積電極115の上部側だけではなく、側壁側や下部側も、光電変換膜113で発生した電荷を蓄積する蓄積領域として機能する。そのため、有機光電変換素子PD3に蓄積された蓄積電荷120のうち、読出し電極117までの距離が長い蓄積電極115の上部に蓄積されている蓄積電荷120の割合が減少する。その結果、蓄積領域から読出し電極117までの蓄積電荷120の転送経路では、蓄積電極115の側壁側又は下部側の蓄積領域から読出し電極117までの最短距離を形成する垂直な成分が支配的になる。なお、垂直方向とは、半導体基板101の基板厚方向に相当する。
【0066】
1.7 蓄積電極の作用
図10は、第1の実施形態に係る電荷蓄積時の共通電極と読出し電極との間に形成されるバンドギャップを示す図であり、
図11は、第1の実施形態に係る電荷読出し時の電荷蓄積時に共通電極と読出し電極との間に形成されるバンドギャップを示す図である。
【0067】
第1の実施形態では、電荷蓄積時と電荷読出し時との双方で、共通電極112から読出し電極117には、垂直方向に電界が印加される。そこで、
図10に示すように、電荷蓄積時には、半導体層114における伝導帯と禁制帯との境界に窪みができるように、蓄積電極115に電圧が印加される。これにより、光電変換膜113に発生した電荷を蓄積電極115周囲の半導体層114に蓄積することが可能となる。また、電荷読出し時には、
図11に示すように、読出し時に形成した伝導帯と禁制帯との境界の窪みが反転して凸状に盛り上がるように、蓄積電極115に電圧が印加される。これにより、蓄積電極115周囲にトラップされた蓄積電荷120を吐き出して読出し電極117へ流すことが可能となる。
【0068】
このように、蓄積電極115に印加する電圧を電荷蓄積時の電圧(
図10参照)から電荷読出し時の電圧(
図11参照)に変化させることで、蓄積電極115周囲の蓄積領域に蓄積された蓄積電荷120を、スムーズに読出し電極117に転送することが可能である。
【0069】
例えば、光電変換により発生した電子を信号として利用する場合、蓄積期間中(
図10参照)は、共通電極112に印加する電圧を-2V(ボルト)、読出し電極117に印加する電圧(すなわち、浮遊拡散領域FD3のリセット電圧)を3V、蓄積電極115に印加する電圧を1Vとすることができる。
【0070】
また、転送期間中(
図11参照)は、共通電極112に印加する電圧を-2V、読出し電極117に印加する電圧(浮遊拡散領域FD3のリセット電圧)を3V、蓄積電極115の電圧を-1Vとすることができる。なお、電子の逆流を防止するため、共通電極112に印加する電圧は、-3Vなど、動的に変更されてよい。
【0071】
このような電圧制御により、光電変換膜113や半導体層114のポテンシャルを制御して、光電変換により発生した電子を、光電変換膜113から蓄積電極115の周囲の半導体層114に移動させて蓄積し、その後に読出し電極117へ読み出すことが可能となる。
【0072】
読出し電極117に転送された電子は、浮遊拡散領域FD3の電位を変化させると共に、増幅トランジスタAMP3によって電圧に変換され、読出し回路(
図6参照)によって画素信号として読み出される。
【0073】
以上のように、第1の実施形態では、蓄積電極115の上部側の半導体層114だけではなく、側壁側や下部側の半導体層114も蓄積領域として使用することが可能であるため、蓄積可能な電荷量を増加させることが可能となる。
【0074】
1.8 単位画素の平面レイアウト例
図12は、第1の実施形態に係る単位画素の平面レイアウト例を示す平面図である。なお、
図12において、図面中左上の領域R1は、半導体基板101の表面側のレイアウト例を示し、右上の領域R2は、領域R1と対応する領域における読出し電極117のレイアウト例を示し、右下の領域R3は、蓄積電極115のレイアウト例を示している。
【0075】
図12に示すように、単位画素3110は、半導体基板101の表面側においては、各単位画素3110に割り当てられた領域R1内において、フォトダイオードPD2を三方から囲むように、画素3110Bの読出し回路と、画素3110Rの読出し回路と、画素3110Gの読出し回路とが配置されたレイアウトを備える。各読出し回路を構成するトランジスタは、例えば、直線状に配列されている。
【0076】
また、読出し電極117は、半導体基板101表面の領域R1と基板厚方向において対応する領域R2内に設けられており、蓄積電極115は、領域R2と基板厚方向において対応する領域R3内に設けられている。この蓄積電極115は、例えば、画素駆動線LDを介して、垂直駆動回路3102内の電圧印加回路3102Aに接続されている。
【0077】
1.9 蓄積電極の形状
図13~
図17は、第1の実施形態に係る蓄積電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
【0078】
第1の実施形態に係る蓄積電極115は、
図13に例示するように、行列状に配列する複数の開口A1を備える格子状の構造物であってもよい。また、開口A1の数や大きさは、
図14に例示するように、有機光電変換素子PD3に要求される特性(例えば、転送、飽和電子量、画素サイズなど)に応じて、種々変形されてもよい。
【0079】
さらに、
図15及び
図16に例示するように、開口A1の形状は、矩形(
図13及び
図14参照)に限定されず、例えば、円形とすることも可能である。
【0080】
さらにまた、
図17に例示するように、蓄積電極115には、サイズや形状等が同じ一種類の開口A1に限定されず、サイズや形状等が異なる開口A2が設けられてもよい。
【0081】
1.10 光電変換膜
第1の実施形態において、光電変換膜113の材料に有機系半導体を用いる場合、光電変換膜113の層構造は、以下のような構造とすることが可能である。ただし、積層構造の場合、その積層順は適宜入れ替えることが可能である。
(1)p型有機半導体の単層構造
(2)n型有機半導体の単層構造
(3-1)p型有機半導体層/n型有機半導体層の積層構造
(3-2)p型有機半導体層/p型有機半導体とn型有機半導体との混合層(バルクヘテロ構造)/n型有機半導体層の積層構造
(3-3)p型有機半導体層/p型有機半導体とn型有機半導体との混合層(バルクヘテロ構造)の積層構造
(3-4)n型有機半導体層/p型有機半導体とn型有機半導体との混合層(バルクヘテロ構造)の積層構造
(4)p型有機半導体とp型有機半導体との混合層(バルクヘテロ構造)
【0082】
ここで、p型有機半導体としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、キナクリドン誘導体、チオフェン誘導体、チエノチオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、ベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体、トリアリルアミン誘導体、カルバゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピセン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、サブポルフィラジン誘導体、複素環化合物を配位子とする金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリベンゾチアジアゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体等を挙げることができる。
【0083】
n型有機半導体としては、フラーレン及びフラーレン誘導体〈例えば、C60や、C70,C74等のフラーレン(高次フラーレン、内包フラーレン等)又はフラーレン誘導体(例えば、フラーレンフッ化物やPCBMフラーレン化合物、フラーレン多量体等)〉、p型有機半導体よりもHOMO及びLUMOが大きい(深い)有機半導体、透明な無機金属酸化物を挙げることができる。
【0084】
n型有機半導体として、具体的には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する複素環化合物、例えば、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、イソキノリン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、フェナントロリン誘導体、テトラゾール誘導体、ピラゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、サブポルフィラジン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリベンゾチアジアゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体等を分子骨格の一部に有する有機分子、有機金属錯体やサブフタロシアニン誘導体を挙げることができる。
【0085】
フラーレン誘導体に含まれる基等として、ハロゲン原子;直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基若しくはフェニル基;直鎖若しくは縮環した芳香族化合物を有する基;ハロゲン化物を有する基;パーシャルフルオロアルキル基;パーフルオロアルキル基;シリルアルキル基;シリルアルコキシ基;アリールシリル基;アリールスルファニル基;アルキルスルファニル基;アリールスルホニル基;アルキルスルホニル基;アリールスルフィド基;アルキルスルフィド基;アミノ基;アルキルアミノ基;アリールアミノ基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アシルアミノ基;アシルオキシ基;カルボニル基;カルボキシ基;カルボキソアミド基;カルボアルコキシ基;アシル基;スルホニル基;シアノ基;ニトロ基;カルコゲン化物を有する基;ホスフィン基;ホスホン基;これらの誘導体を挙げることができる。
【0086】
以上のような有機系材料から構成された光電変換膜113の膜厚としては、次の値に限定されるものではないが、例えば、1×10-8m(メートル)乃至5×10-7m、好ましくは、2.5×10-8m乃至3×10-7m、より好ましくは、2.5×10-8m乃至2×10-7m、一層好ましくは、1×10-7m乃至1.8×10-7mを例示することができる。尚、有機半導体は、p型、n型と分類されることが多いが、p型とは正孔を輸送し易いという意味であり、n型とは電子を輸送し易いという意味であり、無機半導体のように熱励起の多数キャリアとして正孔又は電子を有しているという解釈に限定されるものではない。
【0087】
緑色の波長の光を光電変換する光電変換膜113を構成する材料としては、例えば、ローダミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン誘導体、サブフタロシアニン系色素(サブフタロシアニン誘導体)等を挙げることができる。
【0088】
また、青色の光を光電変換する光電変換膜113を構成する材料としては、例えば、クマリン酸色素、トリス-8-ヒドリキシキノリアルミニウム(Alq3)、メラシアニン系色素等を挙げることができる。
【0089】
さらに、赤色の光を光電変換する光電変換膜113を構成する材料としては、例えば、フタロシアニン系色素、サブフタロシアニン系色素(サブフタロシアニン誘導体)を挙げることができる。
【0090】
さらにまた、光電変換膜113としては、紫外域から赤色域にかけて略全ての可視光に対して感光するパンクロマチックな感光性有機光電変換膜を用いることも可能である。
【0091】
一方、光電変換膜113を構成する無機系材料としては、結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、結晶セレン、アモルファスセレン、及び、カルコパライト系化合物であるCIGS(CuInGaSe)、CIS(CuInSe2)、CuInS2、CuAlS2、CuAlSe2、CuGaS2、CuGaSe2、AgAlS2、AgAlSe2、AgInS2、AgInSe2、あるいは又、III-V族化合物であるGaAs、InP、AlGaAs、InGaP、AlGaInP、InGaAsP、更には、CdSe、CdS、In2Se3、In2S3、Bi2Se3、Bi2S3、ZnSe、ZnS、PbSe、PbS等の化合物半導体を挙げることができる。加えて、これらの材料から成る量子ドットを光電変換膜113に使用することも可能である。
【0092】
また、光電変換膜113を、下層の半導体層114と上層の光電変換膜113との積層構造とすることもできる。このように、光電変換膜113の下層に半導体層114を設けることで、電荷蓄積時の再結合を防止することができ、光電変換膜113に蓄積した電荷の読出し電極117への転送効率を増加させることが可能となる。加えて、暗電流の生成を抑制することも可能となる。なお、この場合の光電変換膜113を構成する材料は、上記の光電変換膜113を構成する各種材料から、適宜、選択されてよい。
【0093】
ここで、半導体層114を構成する材料には、バンドギャップの値が大きく(例えば、3.0eV(エレクトロンボルト)以上のバンドギャップの値)、しかも、光電変換膜113を構成する材料よりも高い移動度を有する材料が用いられることが好ましい。具体的には、IGZO等の酸化物半導体材料、遷移金属ダイカルコゲナイド、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノチューブ、縮合多環炭化水素化合物や縮合複素環化合物等の有機半導体材料等を挙げることができる。
【0094】
或いは、蓄積電荷120が電子である場合、半導体層114を構成する材料には、光電変換膜113を構成する材料のイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有する材料を用いることができる。一方、蓄積電荷120が正孔である場合、半導体層114を構成する材料には、光電変換膜113を構成する材料の電子親和力よりも小さな電子親和力を有する材料を用いることができる。
【0095】
なお、半導体層114を構成する材料における不純物濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましい。また、光電変換性能と移動度性能とを満たすことが可能であれば、光電変換膜113と半導体層114とを同じ材料で構成することも可能である。
【0096】
ここで、共通電極112、読出し電極117、半導体層114及び蓄積電極115それぞれの材料には、透明材料が用いられることが望ましい。具体的には、Al-Nd(アルミニウム及びネオジウムの合金)又はASC(アルミニウム、サマリウム及び銅の合金)から成る材料を用いることができる。
【0097】
また、透明導電材料のバンドギャップエネルギーは、2.5eV以上、好ましくは、3.1eV以上であることが望ましい。
【0098】
一方、共通電極112、読出し電極117及び蓄積電極115を透明電極とする場合には、それらを構成する透明導電材料としては、導電性のある金属酸化物を挙げることができる。
【0099】
具体的には、酸化インジウム、インジウム-錫酸化物(ITO(Indium Tin Oxide)、SnドープのIn2O3、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムを添加したインジウム-亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化ガリウムにドーパントとしてインジウムを添加したインジウム-ガリウム酸化物(IGO)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムとガリウムを添加したインジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(IGZO(In-GaZnO4))、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムと錫を添加したインジウム-錫-亜鉛酸化物(ITZO)、IFO(FドープのIn2O3)、酸化錫(SnO2)、ATO(SbドープのSnO2)、FTO(FドープのSnO2)、酸化亜鉛(他元素をドープしたZnOを含む)、酸化亜鉛にドーパントとしてアルミニウムを添加したアルミニウム-亜鉛酸化物(AZO)、酸化亜鉛にドーパントとしてガリウムを添加したガリウム-亜鉛酸化物(GZO)、酸化チタン(TiO2)、酸化チタンにドーパントとしてニオブを添加したニオブ-チタン酸化物(TNO)、酸化アンチモン、スピネル型酸化物、YbFe2O4構造を有する酸化物を例示することができる。
【0100】
或いは、ガリウム酸化物、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ニッケル酸化物等を母層とする透明電極を挙げることもできる。
【0101】
さらに、透明電極の厚さとしては、2×10-8m乃至2×10-7m、好ましくは、3×10-8m乃至1×10-7mを挙げることができる。
【0102】
1.11 作用・効果
以上のように、本実施形態によれば、読出し電極117上の半導体層114中に、周囲が絶縁膜116で覆われた蓄積電極115が設けられる。すなわち、本実施形態では、蓄積電極115と読出し電極117との間にも、半導体層114が設けられる。
【0103】
それにより、蓄積電極115の上部側だけではなく、側壁側や下部側の半導体層114も蓄積領域として使用することが可能となるため、半導体層114に蓄積された蓄積電荷120のうち、蓄積電極115の上部側に存在する横方向(裏面及び表面に沿った方向)の転送が必要な蓄積電荷120の割合が減少する。その結果、多くの蓄積電荷120の転送経路において垂直成分の支配率を高めることが可能となる。
【0104】
その結果、蓄積電極115から読出し電極117への蓄積電荷120の転送時間が短縮されるため、単位画素3110からの画素信号の読出し速度を高速化することが可能となる。
【0105】
また、共通電極112と読出し電極117との間には、基板厚方向に電位差が与えられているため、蓄積電極115に印加する電圧を電荷蓄積時の電圧から電荷読出し時の電圧に変化させることで、蓄積電荷120をスムーズに読出し電極117へ転送することも可能となる。
【0106】
さらに、蓄積電極115の上部側だけではなく、側壁側や下部側の半導体層114も蓄積領域として使用することで、蓄積可能な電荷量を増大させることが可能となる。すなわち、蓄積容量Q=CVであって、C=εS/dであることから、蓄積電極115周囲の絶縁膜116の膜厚dと絶縁膜116の誘電率εとが同じで、同じ電圧Vを印加した場合には、蓄積電極115の面積を増大させることで、蓄積容量を増大させることができる。
【0107】
2.第2の実施形態
次に、第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0108】
図18は、第2の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。具体的には、
図18には、半導体基板101の光照射面側に設置される、オンチップレンズ133、平坦化膜132、保護膜131、共通電極112、光電変換膜113、半導体層114、蓄積電極115、絶縁膜116、読出し電極117、各種配線などを含む領域が示されている。
【0109】
図18に示すように、本実施形態に係る有機光電変換素子PD3では、第1の実施形態に係る有機光電変換素子PD3と同様の構成において、蓄積電極115の周囲の絶縁膜116が、絶縁膜216に置き換えられている。
【0110】
絶縁膜216は、例えば、蓄積電極115の読出し電極117側の膜厚が、蓄積電極115の側壁や光電変換膜113側の膜厚よりも薄い構造を備える。
【0111】
このような構造とすることで、例えば、第1の実施形態において例示した電圧設定と同じ電圧を印加した場合でも、蓄積電極115の読出し電極117側の領域の半導体層114のポテンシャル電位(例えば、
図10における窪み部分)をさらに低下させることが可能となる。それにより、蓄積期間中により多くの蓄積電荷120を蓄積することが可能になる。
【0112】
加えて、蓄積期間中に、蓄積電極115の光電変換膜113側の半導体層114の蓄積電荷120が蓄積電極115の読出し電極117側に移動し易くなる。それにより、蓄積電極115の光電変換膜113側の半導体層114の蓄積電荷120の濃度を例えば第1の実施形態よりもさらに低減することが可能となる。それにより、読出し電極117への距離が相対的に長い蓄積電極115の光電変換膜113側の半導体層114の蓄積電荷120の割合が減少するため、転送特性をより改善することが可能となる。
【0113】
なお、絶縁膜216の膜厚は、転送特性の最適化や、各電極(112、115及び117)に印加する電圧の設定値に応じて適宜設定することが可能である。
【0114】
例えば、
図19に示すように、蓄積電極115の読出し電極117側の絶縁膜216の膜厚に加え、蓄積電極115の側壁側の絶縁膜216の膜厚も、光電変換膜113側の絶縁膜216の膜厚よりも薄くしてもよい。
【0115】
これにより、読出し電極117への距離が相対的に長い蓄積電極115の光電変換膜113側の半導体層114の蓄積電荷120の割合がさらに減少するため、転送特性をより改善することが可能となる。
【0116】
また、
図20に示すように、蓄積電極115の側壁側の絶縁膜216の膜厚を、側壁の上方から下方に向かって徐々に薄くしてもよい。このような構造は、例えば、蓄積電極115を断面形状が台形の蓄積電極215に置き換えることで可能である。ただし、これに限定されず、絶縁膜216の断面形状における外形を逆台形とするなど、種々変形することが可能である。
【0117】
このように、蓄積電極115の側壁側の絶縁膜216の膜厚を側壁の上方から下方に向かって徐々に薄くすることで、蓄積電極115の光電変換膜113側の電荷の蓄積電極115の読出し電極117側への移動をさらに容易にすることが可能となる。
【0118】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0119】
3.第3の実施形態
次に、第3の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0120】
図21は、第3の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図21に示すように、第3の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第1の実施形態において
図9等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、絶縁膜116が絶縁膜316に置き換えられるとともに、シールド電極(第4電極)315をさらに備える。
【0121】
絶縁膜316は、例えば、その底面が読出し電極117に接している。蓄積電極115は、例えば、絶縁膜316における上面と底面との間の中央付近に配置される。シールド電極315は、絶縁膜316内における蓄積電極115よりも光電変換膜113側であって、絶縁膜316の上面付近に配置される。
【0122】
このシールド電極315は、例えば、蓄積電極115の側壁側の半導体層114のポテンシャルと、蓄積電極115の光電変換膜113側の半導体層114のポテンシャルとを個別に制御するための電極である。
【0123】
図22は、第3の実施形態に係るシールド電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
図23は、第3の実施形態に係るシールド電極と蓄積電極とを光の入射方向から見た場合の平面図である。
【0124】
図22に示すように、シールド電極315は、行列状に配列する複数の開口A3を備える格子状の構造物であってもよい。また、
図23に示すように、シールド電極315の開口A3の数やサイズや形状や位置は、シールド電極315と蓄積電極115とを重ねた場合に蓄積電極115の開口A1と重畳するような数やサイズや形状や位置であってよい。したがって、第1の実施形態において
図13~
図17を用いて説明したように、蓄積電極115の開口A1及び/又はA2の数やサイズや形状や位置を変更した場合、シールド電極315の開口A3もそれに応じて変更されるとよい。
【0125】
このような構造において、光電変換により発生した電子を信号として利用する場合、蓄積期間中は、例えば、共通電極112の電圧を-2V、読出し電極117の電圧(浮遊拡散領域FDのリセット電圧)を3V、蓄積電極115の電圧を1V、シールド電極315の電圧を0Vとすることができる。
【0126】
また、転送期間中は、共通電極112の電圧を-2V、読出し電極117の電圧(浮遊拡散領域FDのリセット電圧)を3V、蓄積電極115の電圧を-1Vとすることができる。
【0127】
この際、シールドの電極を動的に-1.5V等に設定して、蓄積電極115の側壁の半導体層114に蓄積された蓄積電荷120の読出し電極117への転送を補助することもできる。
【0128】
このような構造及び電圧制御により、蓄積電極115の光電変換膜113側の半導体層114の蓄積電荷120の濃度を例えば第1の実施形態よりも減少させることが可能となる。それにより、読出し電極117への距離が相対的に長い蓄積電極115の光電変換膜113側の半導体層114の蓄積電荷120の割合が減少するため、転送特性をより改善することが可能となる。
【0129】
なお、本実施形態では、蓄積電極115の光電変換膜113側の半導体層114の蓄積電荷120の濃度が減少するため、蓄積電極115と読出し電極117との間の半導体層114を省略することが可能となる。その場合、蓄積電極115とシールド電極315との電圧設定や、蓄積電極115の高さを拡大することにより、蓄積電極115の側壁側の半導体層114への蓄積電荷120の蓄積量を増大させることも可能である。
【0130】
また、本実施形態では、光照射量に応じて各電極(112、115、117及び315)に印加する電圧を変化させてもよい。例えば、非常に大量の電荷を蓄積させる必要がある場合などでは、
図24に例示するように、蓄積期間中に、共通電極112の電圧を-2V、読出し電極117の電圧(浮遊拡散領域FDのリセット電圧)を3V、蓄積電極115の電圧を0V、シールド電極315の電圧を-0.5Vなどとして、蓄積電極115の側壁側の半導体層114のポテンシャルを上げることで、蓄積電荷120がポテンシャル障壁を越えて読出し電極117側へ漏れ出すことを防止してもよい。このように、本実施形態によれば、蓄積電荷120を大量に蓄積させるような動作も可能である。
【0131】
なお、蓄積電極115の側壁側の半導体層114のポテンシャルを上げて蓄積電荷120の読出し電極117への漏れ出しを塞き止める場合などでは、蓄積電極115の側壁側の絶縁膜316を、他の面の膜厚と比較して薄くしてもよい。それにより、蓄積電極115の側壁側の半導体層114のポテンシャルの変調性を向上させることが可能となるため、蓄積電荷120の読出し電極117への漏れ出しを塞き止める効果をより向上させることが可能となる。
【0132】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0133】
4.第4の実施形態
次に、第4の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0134】
図25は、第4の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図26は、第4の実施形態に係る読出し電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
【0135】
図25に示すように、第4の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第3の実施形態において
図21等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、読出し電極117が読出し電極417に置き換えられた構成を備える。
【0136】
図26に示すように、読出し電極417は、電荷収集に必要な領域を残して面積が縮小された平面形状を備えている。
図26に示す例では、読出し電極417は、シールド電極315の開口A3及び蓄積電極115の開口A1(及びA2)と基板厚方向において対応する領域を残し、それ以外の領域であって各領域の接続に必要な領域以外を除去した平面形状を有している。
【0137】
このような形状とすることで、読出し電極417の静電容量が減少する。読出し電極417は、浮遊拡散領域FDに接続されているため、読出し電極417の容量を減少させることで、変換効率を上昇させて単位画素3110のダイナミックレンジを広げることが可能となる。
【0138】
なお、読出し電極417の形状としては、
図26に例示するような格子状に限定されず、例えば、円形状にくり抜いた平面形状など、種々変形されてよい。
【0139】
読出し電極417の形状は、読出し電極417から蓄積電極115までの距離や、蓄積電極115の開口A1の径及びピッチや、単位画素3110のサイズ等に応じて適宜変更されてもよい。
【0140】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0141】
5.第5の実施形態
次に、第5の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0142】
図27は、第5の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図27に示すように、第5の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第4の実施形態において
図25等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、半導体層114が半導体層514に置き換えられた構成を備える。
【0143】
半導体層514は、例えば、光電変換膜113から読出し電極417へ向かうにつれて、その幅が縮径するように、先細の形状を有している。具体的には、蓄積電極115の側壁側の絶縁膜316と半導体層114との境界と、隣り合う蓄積電極115の側壁側の絶縁膜316と半導体層114との境界との幅において、読出し電極417側の下端の幅が、光電変換膜113側の上側の幅よりも狭くなっている。
【0144】
このような構造とすることで、光電変換により発生した電荷の蓄積電極115間の領域への転送のし易さを維持したまま、読出し電極に要求される面積を縮小することが可能となる。それにより、第4の実施形態でも触れたように、読出し電極417の容量が減少するため、変換効率を上昇させて単位画素3110のダイナミックレンジを広げることが可能となる。
【0145】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0146】
5.1 第1の変形例
読出し電極に要求される面積を縮小する構成としては、上述において
図27を用いて説明した構造に限定されない。例えば、
図28に例示するように、読出し電極517の上方であって蓄積電極115よりも近い位置(例えば、読出し電極517の直上)に、絶縁膜516で囲まれ得た捕集電極515が配置された構成とすることも可能である。
【0147】
このような構成では、電荷読出し時に、捕集電極515に所定の電圧を印加して半導体層114内のポテンシャルを変調させることで、蓄積電荷120の周辺に蓄積されている蓄積電荷120を読出し電極517の特定の領域に効果的に導くことが可能となるため、読出し電極117に要求される面積を縮小することが可能となる。
【0148】
5.2 第2の変形例
また、
図29に例示するように、蓄積電極115から読出し電極117までの半導体層514が、読出し電極517に近づくにつれて先細となるテーパ形状の半導体層524に置き換えられてもよい。
【0149】
このような構成では、電荷読出し時に、蓄積電荷120の周辺に蓄積されている蓄積電荷120が半導体層524と絶縁層111との境界に沿って流れるため、読出し電極517に要求される面積を縮小することが可能となる。また、捕集電極515及びその周囲の絶縁膜516を省略することが可能となるため、設計の容易化や製造プロセスの簡略化等も達成することが可能となる。
【0150】
5.3 第3の変形例
さらに、
図30に例示するように、例えば、第2の変形例で例示した構成に加え、絶縁層111中であって半導体層524の斜面近傍に、変調電極525が配置された形状とすることも可能である。
【0151】
このような構成では、電荷読出し時に、変調電極525に所定の電圧を印加して半導体層524内のポテンシャルを外側から変調させることで、蓄積電荷120の周辺に蓄積されている蓄積電荷120を読出し電極517の特定の領域に効果的に導くことが可能となるため、読出し電極517に要求される面積をさらに縮小することが可能となる。
【0152】
6.第6の実施形態
次に、第6の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0153】
図31は、第6の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図31に示すように、第6の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第3の実施形態において
図21等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、蓄積電極115が蓄積電極615に置き換えられるとともに、読出し電極117が読出し電極617A及び617Bに置き換えられた構造を備える。
【0154】
なお、蓄積電極615は、電気的に分離した2つの蓄積電極で構成されてもよいが、これに限定されず、少なくとも蓄積領域を異なる2つの領域に区分けである2つの領域615A及び615Bを有していればよい。
【0155】
例えば、第3の実施形態で例示したような、シールド電極315を備える構造では、蓄積電荷120の大部分が蓄積電極615の側壁側の半導体層14に蓄積される。そのため、少なくとも蓄積領域を異なる2つの領域に区分けするためには、蓄積電極615の開口A4を、例えば、
図32又は
図33に例示するような、2つの系統S1及びS2に区分けされた形状とすればよい。
【0156】
このように、1つの単位画素3110における蓄積電極及び読出し電極を、2つの蓄積電極615(領域615A及び615B)と2つの読出し電極617A及び617Bに分けることで、像面位相差情報を取得することが可能となる。
【0157】
すなわち、本実施形態に係る構造によれば、2つの異なる経路を辿ってきた光をそれぞれ光電変換して発生した蓄積電荷120は、蓄積電極615の領域615A及び615Bそれぞれによって半導体層114における異なる蓄積領域に蓄積される。また、読出し電極を2つの読出し電極617A及び617Bに分けておくことで、半導体層114の異なる蓄積領域に蓄積されている蓄積電荷120を別々に読出し電極617A又は617Bへ転送することが可能となる。
【0158】
そこで、例えば、ある期間中に入射した光を光電変換することで発生した蓄積電荷120を読出し電極617Aから読み出し、後の期間中に入射した光を光電変換することで発生した蓄積電荷120を読出し電極617Bから読み出し、それぞれの比率を求めることで、対象物までの距離を求めることが可能となる。
【0159】
さらに、蓄積電極115及び読出し電極117を3つ以上に分割することで、より詳細な光線情報を取得することが可能な、いわゆるライトフィールドカメラを構築することも可能となる。
【0160】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0161】
7.第7の実施形態
次に、第7の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0162】
図34は、第7の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図34に示すように、第7の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第6の実施形態において
図31等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、読出し電極117に代えて、蓄積電極115が、2つの蓄積電極715A及び715Bに分割された構造を備える。
【0163】
図35及び
図36は、第7の実施形態に係る蓄積電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
図35又は
図36に示すように、蓄積電極715A及び715Bは、例えば、第6の実施形態において
図32又は
図33を用いて説明した蓄積電極615と同様の開口A4を備える平面レイアウトと同様のレイアウトにおいて、電気的に2つの蓄積電極715A及び715Bに電気的に分離された構造を備える。
【0164】
このような構造によっても、第6の実施形態と同様に、2つの異なる経路を辿ってきた光をそれぞれ光電変換して発生した蓄積電荷120半導体層114の異なる蓄積領域に蓄積し、そして、半導体層114の異なる蓄積領域に蓄積されている蓄積電荷120を別々に読出し電極117へ転送することが可能となるため、像面位相差情報を取得することが可能となる。
【0165】
また、本実施形態では、蓄積電荷120を読み出す2つの系統で、読出し電極117、貫通電極119、浮遊拡散領域FD3等の構成要素を共有できるため、単位画素3110のレイアウト効率を向上することも可能となる。
【0166】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0167】
8.第8の実施形態
次に、第8の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0168】
図37は、第8の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図37に示すように、第8の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第6又は第7の実施形態において
図31又は
図34等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、読出し電極117と蓄積電極115との両方が、2つの蓄積電極815A及び815B及び2つの読出し電極817A及び817Bに分割された構造を備える。また、本実施形態では、シールド電極315が省略されている。
【0169】
本実施形態では、蓄積電極815Aおよび815Bは、電荷の蓄積には用いられずに、周囲の半導体層114のポテンシャルを制御する電極(ポテンシャル制御電極)として使用される。
【0170】
一般に、イメージセンサを用いた測距装置であってその測距方式にToF(Time of Flight)動作を採用するものは、単一画素内で、光電変換に発生した電荷を左右に高速で振り分けて転送を行う必要がある。
【0171】
そこで、第8の実施形態のように、読出し電極と蓄積電極との両方を2つの蓄積電極815A及び815B及び2つの読出し電極817A及び817Bに分割し、蓄積電極815Aおよび815Bを周囲の半導体層114のポテンシャルを制御するポテンシャル制御電極として使用する構成とする。それにより、蓄積電極815A及び815Bに印加する電圧を交互に変化させることで、光電変換により発生した電荷を2つの読出し電極817A及び818Bの何れかに高速に振り分けることが可能となる。
【0172】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0173】
9.第9の実施形態
次に、第9の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0174】
本実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第8の実施形態において
図37を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様であってよい。ただし、本実施形態では、有機光電変換素子PD3の駆動と、読出し電極817A及び817Bの役割とが第8の実施形態とは異なる。
【0175】
図38に示すように、本実施形態では、第8の実施形態と同様に、読出し電極と蓄積電極との両方が2つの蓄積電極815A及び815B及び2つの読出し電極817A及び817Bに分割されている。
【0176】
このような構成において、本実施形態では、例えば、露光期間中は、光電変換により発生した電荷が蓄積電極815A側に誘引されて読出し電極817Aから読み出され続ける一方、シャッタ期間は、光電変換により発生した電荷が蓄積電極815B側に誘引されて読出し電極817Bから読み出され続ける。
【0177】
このとき、読出し電極817Aは、浮遊拡散領域FD3に接続されている。そのため、露光期間中に光電変換により発生した電荷は浮遊拡散領域FDに蓄積され、カラム処理回路3103により画素信号として読み出される。一方、シャッタ期間中、読出し電極817Bは、電源電圧VDDに接続されている。そのため、シャッタ期間中の光電変換により発生した電荷は、電源電圧VDD側へ排出される。
【0178】
このように動作させることで、全ての単位画素3110のシャッタ動作を一斉に開始する、いわゆるグローバルシャッタ動作が可能となる。
【0179】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0180】
10.第10の実施形態
次に、第10の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0181】
図39は、第10の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図39に示すように、第10の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第8の実施形態において
図37等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、読出し電極817A及び817Bが1つの読出し電極117に置き換えられ、蓄積電極815A及び815Bそれぞれを覆う絶縁膜316が読出し電極117まで達しない絶縁膜116に置き換えられるとともに、半導体層114が蓄積電極815A及び815Bごとのトレンチを有しない半導体層914に置き換えられた構造を備える。
【0182】
このような構造において、本実施形態では、露光期間中は、蓄積電極815Bの周囲で電荷を蓄積し、シャッタ動作開始のタイミングで全ての単位画素3110で一斉に蓄積電極815Bの周囲から蓄積電極815Aの周囲へ蓄積電荷120を転送して保持する。その後、順次、蓄積電極815Aの周囲から読出し電極117へ蓄積電荷120(不図示)を転送して読み出す。
【0183】
このように、全ての単位画素3110で一斉にシャッタ動作を実行し、それにより発生した電荷を蓄積電極815Bに保持しておき、後に、各単位画素3110から順に読み出すことで、全ての単位画素3110で一斉にシャッタ動作を実行するグローバルシャッタ動作が可能となる。
【0184】
つまり、本実施形態では、蓄積電極115Bは、シャッタ動作により発生した電荷を保持しておくメモリとして機能する。
【0185】
なお、本実施形態では、蓄積電極815A及び815Bを含む有機光電変換素子PD3の全ての構成要素に透明材料を用いることで、メモリ領域を遮光する必要がなくなるため、単位画素3110内の面積を最大限活用した高感度なグローバルシャッタ構造を実現することが可能となる。
【0186】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0187】
11.第11の実施形態
次に、第11の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0188】
図40は、第11の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図40に示すように、第11の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第3の実施形態において
図21等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、絶縁膜316内であって蓄積電極115と読出し電極117との間に、メモリ電極(第5電極)1116をさらに設けた構成を備える。
【0189】
このような構造において、本実施形態では、露光期間中は、光電変換膜113に近い蓄積電極115へ電荷を蓄積し、シャッタ動作開始のタイミングで全ての単位画素3110で一斉に蓄積電極115の周囲からメモリ電極1116の周囲へ蓄積電荷120を転送して保持する。その後、順次、メモリ電極1116の周囲から読出し電極117へ蓄積電荷120を転送して読み出す。
【0190】
このように、全ての単位画素3110で一斉にシャッタ動作を実行し、それにより発生した電荷をメモリ電極1116に保持しておき、後に、各単位画素3110から順に読み出すことで、全ての単位画素3110で一斉にシャッタ動作を実行するグローバルシャッタ動作が可能となる。
【0191】
また、本実施形態では、例えば、第9又は第10の実施形態と比較して、蓄積電極115に対して横方向(基板厚方向と垂直な方向)にメモリ領域を設けずに、縦方向(基板厚方向)にメモリ領域を設けているため、メモリ領域によって蓄積領域のサイズが縮小することを抑制することができる。それにより、蓄積電荷量を最大化したグローバルシャッタ構造を実現することが可能となる。
【0192】
なお、本実施形態において、光電変換により発生した電子を信号として利用する場合、蓄積期間中は、例えば、共通電極112の電圧を-2V、読出し電極117の電圧を3V、シールド電極315の電圧を0V、蓄積電極115の電圧を1V、メモリ電極1116の電圧を0.5Vとすることができる。
【0193】
また、転送期間中は、シールド電極315の電圧を-2V、蓄積電極115の電圧を-1V、メモリ電極1116の電圧を1Vとすることができる。
【0194】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0195】
12.第12の実施形態
次に、第12の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0196】
図41は、第12の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図41に示すように、第12の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第1の実施形態において
図9等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、絶縁膜116で囲まれた蓄積電極115が基板厚方向に多段に設けられた構造を備える。なお、この多段構造を実現するために、半導体層114は、基板厚方向に厚膜化されている。
【0197】
このような構造によれば、光電変換により発生した電荷を読出し電極117から読み出すまでに、3次元的に配置された個々の蓄積電極115を独立に制御することで、電荷の加減算等の演算が可能となる。
【0198】
例えば、一回目のシャッタ動作により発生した電荷をある蓄積電極115の周囲に保持しておき、二回目のシャッタ動作により発生した電荷を別の蓄積電極115の周囲に保持しておき、その後、これらの電荷を1つの蓄積電極115の周囲にまとめることで、電荷の加算が可能となる。
【0199】
このように、本実施形態によれば、単位画素3110から画素信号を読み出す前に有機光電変換素子PD3内で演算処理することが可能となるため、画素加算や画像認識などの高度な演算をイメージセンサ内で実行することが可能となる。
【0200】
また、1つの単位画素3110に設ける蓄積電極115の数をより増加することで、各単位画素3110内で実行可能な演算処理を複雑化することも可能である。
【0201】
なお、蓄積電極115は、各有機光電変換素子PD3内で基板厚方向に多段に設けられている必要はなく、基板厚方向と垂直な面内で複数の蓄積電極115が配列するように構成することでも、各単位画素3110内で演算処理を実行することが可能である。
【0202】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0203】
13.第13の実施形態
次に、第13の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0204】
本実施形態では、第1の実施形態において例示したイメージセンサ100の製造方法について説明する。
図42~
図48は、第13の実施形態に係る製造方法を説明するためのプロセス断面図である。なお、本実施形態で例示する製造方法では、受光チップ3121と回路チップ3122とを個片化前のウエハ状態で貼り合わせることを含むウエハレベルCSP(Chip Size Packaging)技術を用いた製造方法であってよい。
【0205】
本製造方法では、まず、P型の半導体基板101内の所定の領域に所定のアクセプタ及びドナーを順次イオン注入することで、フォトダイオードPD1及びPD2を形成するP型半導体領域102及び104並びにN型半導体領域103及び105を形成する。なお、隣接する単位画素3110の境界部分には、隣接する単位画素3110間のフォトダイオードPD1及びPD2並びに各種トランジスタを素子分離するための素子分離領域が設けられてもよい。この素子分離領域は、半導体基板101に形成されたトレンチ内に絶縁膜及び/又は遮光膜が形成された構造や、隣接する単位画素3110間を跨ぐチャネルが形成されることを防止するためのチャネルストッパなどであってもよい。
【0206】
次に、半導体基板101の表面(図面中、下面)に縦型トランジスタである転送トランジスタTRG1を形成する。つづいて、各画素3110B、3110R及び3110Gの読出し回路を構成する各トランジスタのゲート絶縁膜となる絶縁膜106及びゲート電極を形成する。そして、ゲート電極の加工後、ゲート電極の側壁にサイドウォールを形成し、つづいて、ゲート電極及びサイドウォールをマスクとしたイオン注入を行なうことで、読出し回路を構成する各トランジスタのソース・ドレインを形成する。
【0207】
その後、半導体基板101の表面に、各トランジスタのゲート電極やソースやドレイン等に接続された配線122を含む配線層121を形成する。なお、この段階で、別途用意しておいた回路チップ3122と半導体基板101を含む受光チップ3121とが貼り合わせられてもよい。
【0208】
次に、半導体基板101の裏面から半導体基板101を貫通するトレンチを形成し、半導体基板101の裏面及びトレンチ内を覆う反射防止膜110、トレンチ内を埋める絶縁膜(絶縁層111の一部)、トレンチ内で半導体基板101を貫通して配線層121内の配線に接続する貫通電極119、貫通電極に接続された配線118等を形成する。
【0209】
次に、上記絶縁膜上に透明電極材料を堆積し、形成された透明電極材料膜をフォトリソグラフィ及びドライエッチングにて加工する。つづいて、加工された透明電極材料膜を埋めるように絶縁膜(絶縁層111の一部)を堆積し、その上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)等で平坦化することで、読出し電極117を形成する。これにより、
図42に示す断面構造が得られる。
【0210】
次に、読出し電極117が形成された絶縁膜上に半導体材料を堆積し、形成された半導体膜をフォトリソグラフィ及びドライエッチングにて加工する。つづいて、加工された半導体膜を埋めるように絶縁膜(絶縁層111の一部)を堆積し、その上面をCMP等で平坦化することで、半導体層114の下部となる半導体層114Aを形成する。
【0211】
次に、絶縁膜116の下部分となる絶縁膜116Aの堆積、蓄積電極115に加工される透明導電材料膜15Aの堆積、フォトリソグラフィ及びドライエッチングに透明電極材料膜115Aの加工、絶縁膜(絶縁層111の一部)の堆積、CMP等による透明電極材料膜115A及び絶縁膜上面の平坦化、及び、絶縁膜116の下部分となる絶縁膜116Bの堆積を経ることで、
図43に示すように、後の蓄積電極115及び絶縁膜116となる積層構造を形成する。
【0212】
次に、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより絶縁膜116B、透明電極材料膜115A及び絶縁膜116Aを加工することで、
図44に示すように、開口領域を形成して透明電極材料膜115Aを蓄積電極115に加工する。
【0213】
次に、
図45に示すように、現時点での絶縁層111の表面を覆う絶縁膜116Cを形成する。つづいて、絶縁膜116Cの一部をエッチバック等により除去することで、開口領域における半導体層114Aを露出させるとともに、蓄積電極115の側面に絶縁膜を形成する。これにより、
図46に示すように、蓄積電極115を覆う絶縁膜116が形成される。
【0214】
次に、蓄積電極115及び絶縁膜116が形成された面に半導体材料を堆積し、これにより形成された半導体層の表面をCMP等により平坦化する。これにより、
図47に示すように、蓄積電極115を覆う絶縁膜116の周囲に半導体層114が形成される。
【0215】
次に、
図48に示すように、半導体層114上に、光電変換膜113、共通電極112、保護膜131及び平坦化膜132を順次堆積する。その後、共通電極112に対する配線構造や、単位画素3110ごとのオンチップレンズ133や、ボンディングパッドを形成することで、
図9に例示する断面構造を備えるイメージセンサ100が作製される。
【0216】
なお、上述した製造方法において、半導体層114A及び114の形成には、PVD(Physical Vapor Deposition)やスピンコートなどを用いることもできる。また、光電変換膜113には、素子特性向上のため、数種類の材料が混合された膜や、数種類の材料膜が積層された積層膜などを用いることも可能である。その際、混合又は積層する材料一部は、それ自体が光電変換を行なわない材料であってもよい。
【0217】
13.1 構成要素ごとの製造プロセスの詳細
以下に、各構成要素の製造プロセスをさらに詳細に説明する。
【0218】
各種電極の成膜方法としては、乾式法又は湿式法を用いることが可能である。
【0219】
乾式法としては、PVD法やCVD(Chemical Vaper Deposition)法を挙げることができる。PVD法の原理を用いた成膜方法としては、抵抗加熱あるいは高周波加熱を用いた真空蒸着法、EB(電子ビーム)蒸着法、各種スパッタリング法(マグネトロンスパッタリング法、RF-DC結合形バイアススパッタリング法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法、高周波スパッタリング法等)、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法、レーザー転写法を挙げることができる。また、CVD法として、プラズマCVD法、熱CVD法、有機金属(MO)CVD法、光CVD法を挙げることができる。
【0220】
一方、湿式法としては、電解メッキ法や無電解メッキ法、スピンコート法、インクジェット法、スプレーコート法、スタンプ法、マイクロコンタクトプリント法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、ディップ法等の方法を挙げることができる。パターニング法として、シャドーマスク、レーザー転写、フォトリソグラフィ等の化学的エッチング、紫外線やレーザー等による物理的エッチング等を挙げることができる。
【0221】
読出し電極117や共通電極112の平坦化技術としては、レーザー平坦化法、リフロー法、CMP法等を用いることができる。
【0222】
絶縁膜116を構成する材料としては、酸化ケイ素系材料や窒化ケイ素(SiNY)や酸化アルミニウム(Al2O3)等の金属酸化物高誘電絶縁材料に例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)や3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)等のシラノール誘導体(シランカップリング剤)、ノボラック型フェノール樹脂、フッ素系樹脂、オクタデカンチオールやドデシルイソシアネイト等の一端に制御電極と結合可能な官能基を有する直鎖炭化水素類にて例示される有機系絶縁材料(有機ポリマー)等を挙げることができる。また、これらの組み合わせを用いることも可能である。
【0223】
なお、酸化ケイ素系材料としては、酸化シリコン(SiOX)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。
【0224】
また、絶縁層111や配線層121の絶縁膜を構成する材料も、これらの材料から適宜選択されてよい。
【0225】
光電変換膜113などの各種有機層の成膜方法としては、乾式成膜法及び湿式成膜法を挙げることができる。
【0226】
乾式成膜法としては、抵抗加熱あるいは高周波加熱、電子ビーム加熱を用いた真空蒸着法、フラッシュ蒸着法、プラズマ蒸着法、EB蒸着法、各種スパッタリング法(2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、RF-DC結合形バイアススパッタリング法、ECRスパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法、高周波スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法)、DC(Direct Current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法や反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法、レーザー転写法、分子線エピタキシー法(MBE法)を挙げることができる。
【0227】
また、CVD法としては、プラズマCVD法、熱CVD法、MOCVD法、光CVD法を挙げることができる。
【0228】
一方、湿式法としては、具体的には、スピンコート法、浸漬法、キャスト法、マイクロコンタクトプリント法、ドロップキャスト法、スクリーン印刷法又はインクジェット印刷法やオフセット印刷法やグラビア印刷法やフレキソ印刷法といった各種印刷法、スタンプ法、スプレー法、エアドクタコーター法やブレードコーター法やロッドコーター法やナイフコーター法やスクイズコーター法やリバースロールコーター法やトランスファーロールコーター法やグラビアコーター法やキスコーター法やキャストコーター法やスプレーコーター法やスリットオリフィスコーター法やカレンダーコーター法といった各種コーティング法等を例示することができる。
【0229】
尚、塗布法においては、溶媒として、トルエン、クロロホルム、ヘキサン、エタノールといった無極性又は極性の低い有機溶媒を例示することができる。
【0230】
各種有機層のパターニング法としては、シャドーマスク、レーザー転写、フォトリソグラフィ等の化学的エッチング、紫外線やレーザー等による物理的エッチング等を挙げることができる。
【0231】
各種有機層の平坦化技術としては、レーザー平坦化法、リフロー法等を用いることができる。
【0232】
14.第14の実施形態
次に、第14の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0233】
本実施形態では、第3の実施形態において例示したイメージセンサ100の製造方法について説明する。
図49~
図53は、第14の実施形態に係る製造方法を説明するためのプロセス断面図である。なお、本実施形態において、第13の実施形態と同様の製造工程については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。また、本実施形態で例示する製造方法では、第13の実施形態と同様に、受光チップ3121と回路チップ3122とを個片化前のウエハ状態で貼り合わせることを含むウエハレベルCSP技術を用いた製造方法であってよい。
【0234】
本製造方法では、まず、第13の実施形態において
図42を用いて説明した工程と同様の工程を経ることで、半導体基板101の裏面に形成された絶縁膜(絶縁層111の一部)の表面に、読出し電極117を形成する。
【0235】
次に、読出し電極117が形成された絶縁膜上に対し、絶縁膜316A(絶縁層111の一部及び絶縁膜316の一部)の堆積、絶縁膜316A表面の平坦化、透明電極材料膜の堆積、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによる透明電極材料膜から透明電極材料膜115Aへのパターニング、絶縁膜(絶縁層111の一部)の堆積、この絶縁膜表面及び透明電極材料膜115A表面の平坦化、絶縁膜316B(絶縁層111の一部及び絶縁膜316の一部)の堆積、絶縁膜316B表面の平坦化、透明電極材料膜の堆積、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによる透明電極材料膜から透明電極材料膜315Aへのパターニング、絶縁膜(絶縁層111の一部)の堆積、及び、この絶縁膜表面及び透明電極材料膜315A表面の平坦化を順に実行する。これにより、
図49に示すような断面構造が得られる。
【0236】
次に、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより透明電極材料膜315A、絶縁膜316B、透明電極材料膜115A及び絶縁膜316Aを加工することで、
図50に示すように、開口領域を形成して透明電極材料膜315Aをシールド電極315に加工するとともに、透明電極材料膜115Aを蓄積電極115に加工する。
【0237】
次に、
図51に示すように、現時点での絶縁層111の表面を覆う絶縁膜C16Cを形成する。つづいて、絶縁膜316Cの一部をエッチバック等により除去することで、開口領域における読出し電極117を露出させるとともに、蓄積電極115及びシールド電極315の側面に絶縁膜を形成する。これにより、
図52に示すように、蓄積電極115及びシールド電極315を覆う絶縁膜316が形成される。
【0238】
次に、蓄積電極115、シールド電極315及び絶縁膜316が形成された面に半導体材料を堆積し、これにより形成された半導体層の表面をCMP等により平坦化する。これにより、
図53に示すように、蓄積電極115及びシールド電極315を覆う絶縁膜316の周囲に半導体層114が形成される。
【0239】
その後、第13の実施形態において
図48を用いて説明した工程以降の工程と同様の工程を実行することで、
図21に例示する断面構造を備えるイメージセンサ100が作製される。
【0240】
15.第15の実施形態
次に、第15の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0241】
図54は、第15の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図54に示すように、第15の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第3の実施形態において
図21等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、半導体層114が半導体層1514に置き換えられた構造を備える。
【0242】
例えば、第3及び第14の実施形態において例示したイメージセンサ100における半導体層114のポテンシャルは、共通電極112、蓄積電極115、シールド電極315及び読出し電極117それぞれに印加する電圧を制御することで、三次元的に制御することが可能である。また、その他の実施形態における半導体層114のポテンシャルも同様に、各電極に印加する電圧を制御することで、三次元的に制御することが可能である。
【0243】
そこで本実施形態では、光電変換により発生した電荷がスムーズに読出し電極117に転送されるように、半導体層1514の材料や組成を、連続的又は多層構造となるように変化させる。例えば、
図54に示すように、半導体層1514を、最もポテンシャルが高い材料や組成で構成された最上層の半導体層1514aと、次にポテンシャルが高い材料や組成で構成された中間層の半導体層1514bと、最もポテンシャルが低い材料や組成で構成された最下層の半導体層1514cとで構成する。
【0244】
なお、半導体層1514中のポテンシャルの連続的又は段階的な変化は、例えば、半導体層1514の成膜中に成膜条件や材料の混合比を変化させたり、層状に異なるターゲットによるPVDを実施したり、異なる材料を層状にスピンコートしたりする方法を用いることで、実現することが可能である。
【0245】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0246】
16.第16の実施形態
次に、第16の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0247】
図55は、第16の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図55に示すように、第16の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第3の実施形態において
図21等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、光電変換膜113が光電変換膜1613に置き換えられた構造を備える。
【0248】
光電変換膜1613は、例えば、その一部が蓄積電極115の開口領域内の半導体層114内部にまで突出した構造を備える。このように、光電変換膜1613の少なくとも一部を蓄積電極115へ向けて突出させることで、この突出した部分から蓄積電極115周囲の蓄積領域までの距離を短くすることが可能となる。それにより、光電変換より発生した電荷の蓄積領域までの移動距離を短縮することが可能となるため、各単位画素3110からの画素信号の読出し速度をより高速化することが可能となる。
【0249】
また、
図55に例示したように、光電変換膜1613を蓄積電極115の側壁側まで突出させることで、光電変換により発生した電荷の移動距離を最小化することが可能となるため、各単位画素3110からの画素信号の読出し速度をさらに高速化することが可能となる。
【0250】
ただし、光電変換膜1613は、蓄積電極115の開口領域内まで突出している必要はなく、例えば、
図56に例示するように、少なくとも一部が蓄積電極115側へ突出していればよい。
【0251】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0252】
16.1 変形例
また、
図57に示すように、光電変換膜1613に加えて、共通電極1612の一部も蓄積電極115へ向けて突出させてもよい。これにより、光電変換膜1613の突出部分での光電変換の発生確率を高めることが可能となるため、光電変換により発生した電荷の平均的な移動距離がさらに短縮化される。その結果、各単位画素3110からの画素信号の読出し速度をさらに高速化することが可能となる。
【0253】
17.第17の実施形態
次に、第17の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0254】
図58は、第17の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図58に示すように、第17の実施形態に係る有機光電変換素子PD3は、例えば、第3の実施形態において
図21等を用いて説明した有機光電変換素子PD3と同様の構成において、複数の蓄積電極(第5電極)115が基板厚方向に多段に配置された構造を備える。
【0255】
このような構造によれば、蓄積電極115の開口領域における半導体層114のポテンシャルを電荷の転送経路に沿って効率的に変調することが可能となるため、例えば、CCD(Charge Coupling Device)の転送方向を基板厚方向とした場合のように、基板厚方向にスムーズに蓄積電荷120を転送することが可能となる。それにより、例えば、光電変換により発生した電荷の転送距離が長くなったとしても、蓄積電荷120のスムーズな転送により読出し速度の高速化を図ることが可能となる。
【0256】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0257】
18.第18の実施形態
次に、第18の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0258】
図59は、第18の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図59に示すように、第18の実施形態に係るイメージセンサ100は、例えば、第2の実施形態において
図18等を用いて説明したイメージセンサ100と同様の構成において、オンチップレンズ133と有機光電変換素子PD3との間であって平坦化膜132中に、カラーフィルタ1833が配置された構造を備える。
【0259】
このように、第2の実施形態に限らず、上述した実施形態において、縦積みされた有機光電変換素子PD3、フォトダイオードPD1及びPD2に対してカラーフィルタ1833を組み合わせることで、単位画素3110の分光特性をより向上させて、画質を向上することが可能となる。
【0260】
なお、カラーフィルタ1833は、
図59に示したように、有機光電変換素子PD3、フォトダイオードPD1及びPD2の縦積み構造に対して、光入射側(以下、上流側という)に配置されてもよいし、
図60に示すように、有機光電変換素子PD3、フォトダイオードPD1及びPD2の縦積み構造に対して、下流側の例えば絶縁層111中に配置されてもよい。
【0261】
また、本説明におけるカラーフィルタとは、例えば、特定の波長帯の光を透過させる透過スペクトルを備えるフィルタであってよい。さらに、カラーフィルタ1833には、有機材料を用いたものや、パターニングされた金属薄膜によるプラズモン共鳴を用いたものや、誘電体積層膜によるファブリペロー干渉を用いたものなどの種々のカラーフィルタを用いることができる。
【0262】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0263】
19.第19の実施形態
次に、第19の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0264】
図61は、第19の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図61に示すように、第19の実施形態に係るイメージセンサ100は、例えば、第2の実施形態において
図18等を用いて説明したイメージセンサ100と同様の構成において、有機光電変換素子PD3を含む絶縁層111から平坦化膜132までの層構造T1及びT2が2層以上に縦積みされた構造を備える。
【0265】
なお、これにより作り込まれた2つ以上の有機光電変換素子PD3は、例えば、同一の読出し回路(
図6参照)に並列に接続されてもよい。
【0266】
このように、有機光電変換素子PD3を光の入射軸に沿って縦積みすることで、単位画素3110の分光特性を向上することが可能となる。
【0267】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0268】
20.第20の実施形態
次に、第20の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。
【0269】
例えば、上述した第3の実施形態のように、半導体層114における読出し電極117側を絶縁膜316で複数の凸部に分割した構造では、個々の凸部を1つの有機光電変換素子として機能させることも可能である。そこで第20の実施形態では、半導体層114における個々の凸部をそれぞれ個別の有機光電変換素子とする場合について、例を挙げて説明する。
【0270】
図62は、第20の実施形態に係る有機光電変換素子及びその周辺部分の概略構成例を示す断面図である。
図63は、第20の実施形態に係る読出し電極の平面レイアウト例を示す平面図である。
【0271】
図62に示すように、第20の実施形態では、半導体層114における絶縁膜316で区切られた凸部114Aそれぞれに、有機光電変換素子PD203が形成されている。すなわち、本実施形態では、
図62及び
図63に例示するように、例えば、第3の実施形態に係る有機光電変換素子PD3が、3×3の行列状に配列する9個の有機光電変換素子PD203に分割されている。なお、有機光電変換素子PD3の分割数は、例示した9に限定されず、2以上であってよい。
【0272】
そこで本実施形態では、例えば、第3の実施形態において
図21等を用いて説明した構造と同様の構造において、第3の実施形態における蓄積電極115及び読出し電極117が、有機光電変換素子PD203それぞれの蓄積電極2015及び読出し電極2017に置き換えられている。また、本実施形態では、第3の実施形態におけるオンチップレンズ133が、有機光電変換素子PD203それぞれのオンチップレンズ2033に置き換えられている。
【0273】
図63に示すように、読出し電極2017は、各有機光電変換素子PD203に対して個別に設けられている。本実施形態では、例えば、各読出し電極2017に対して、
図6に例示した読出し回路が接続される。その場合、各有機光電変換素子PD203に対する電荷読出し動作が、各読出し電極2017を介して個別に実行される。
【0274】
このように、本実施形態では、半導体層114の凸部114Aそれぞれに対して個別の有機光電変換素子PD203を形成する。それにより、例えば従来のシリコンを材料とした場合のプロセス精度では到達し得ないレベルの画素の微細化が可能となる。その結果、単位面積あたりの単位画素3110の数、すなわち画素密度(解像度ともいう)を大幅に増加させることが可能となる。
【0275】
なお、本実施形態では、上述の第3の実施形態をベースとした場合を例示したが、これに限定されず、他の実施形態をベースとした場合に対しても、本実施形態を同様に適用することが可能である。
【0276】
また、上述した構成では、1つの凸部114Aで1つの有機光電変換素子PD203を構成した場合を例示したが、これに限定されず、2以上の凸部114Aで1つの有機光電変換素子PD203を構成することも可能である。例えば、9つに分割された有機光電変換素子PD203のうちの1つでHDR(High Dynamic Range)用の単位画素3110を構成し、残りの8つでLDR(Low Dynamic Range)用の単位画素3110を構成してもよい。そのような場合、同一の有機光電変換素子PD203を構成する2以上の凸部114Aに対する蓄積電極2015及び読出し電極2017は、分割されていなくてもよい。
【0277】
さらに、オンチップレンズ2033は、各有機光電変換素子PD203に対して一対一に設けられている必要はなく、複数の有機光電変換素子PD203に対して1つのオンチップレンズ2033が設けられていてもよい。
【0278】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0279】
20.1 変形例1
上述の第20の実施形態では、蓄積電極2015を有機光電変換素子PD203ごとに個別に設ける場合を例示したが、これに限定されず、例えば、
図63に例示するように、複数又は全ての有機光電変換素子PD203ごとに共通の蓄積電極2015が設けられてもよい。
【0280】
20.2 変形例2
また、例えば、
図64に例示するように、蓄積電極2015の後段(読出し電極2014側)にメモリ電極2016を設け、蓄積電極2015の近傍に蓄積した蓄積電荷120を一旦、メモリ電極2016周囲で保持するように構成することも可能である。
【0281】
21.応用例1
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0282】
図66は、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システム5000の概略的な構成の一例を示す図である。
図66では、術者(医師)5067が、内視鏡手術システム5000を用いて、患者ベッド5069上の患者5071に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム5000は、内視鏡5001と、その他の術具5017と、内視鏡5001を支持する支持アーム装置5027と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート5037と、から構成される。
【0283】
内視鏡手術では、腹壁を切って開腹する代わりに、トロッカ5025a~5025dと呼ばれる筒状の開孔器具が腹壁に複数穿刺される。そして、トロッカ5025a~5025dから、内視鏡5001の鏡筒5003や、その他の術具5017が患者5071の体腔内に挿入される。図示する例では、その他の術具5017として、気腹チューブ5019、エネルギー処置具5021及び鉗子5023が、患者5071の体腔内に挿入されている。また、エネルギー処置具5021は、高周波電流や超音波振動により、組織の切開及び剥離、又は血管の封止等を行う処置具である。ただし、図示する術具5017はあくまで一例であり、術具5017としては、例えば攝子、レトラクタ等、一般的に内視鏡下手術において用いられる各種の術具が用いられてよい。
【0284】
内視鏡5001によって撮影された患者5071の体腔内の術部の画像が、表示装置5041に表示される。術者5067は、表示装置5041に表示された術部の画像をリアルタイムで見ながら、エネルギー処置具5021や鉗子5023を用いて、例えば患部を切除する等の処置を行う。なお、図示は省略しているが、気腹チューブ5019、エネルギー処置具5021及び鉗子5023は、手術中に、術者5067又は助手等によって支持される。
【0285】
(支持アーム装置)
支持アーム装置5027は、ベース部5029から延伸するアーム部5031を備える。図示する例では、アーム部5031は、関節部5033a、5033b、5033c、及びリンク5035a、5035bから構成されており、アーム制御装置5045からの制御により駆動される。アーム部5031によって内視鏡5001が支持され、その位置及び姿勢が制御される。これにより、内視鏡5001の安定的な位置の固定が実現され得る。
【0286】
(内視鏡)
内視鏡5001は、先端から所定の長さの領域が患者5071の体腔内に挿入される鏡筒5003と、鏡筒5003の基端に接続されるカメラヘッド5005と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒5003を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡5001を図示しているが、内視鏡5001は、軟性の鏡筒5003を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0287】
鏡筒5003の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡5001には光源装置5043が接続されており、当該光源装置5043によって生成された光が、鏡筒5003の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者5071の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡5001は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0288】
カメラヘッド5005の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)5039に送信される。なお、カメラヘッド5005には、その光学系を適宜駆動させることにより、倍率及び焦点距離を調整する機能が搭載される。
【0289】
なお、例えば立体視(3D表示)等に対応するために、カメラヘッド5005には撮像素子が複数設けられてもよい。この場合、鏡筒5003の内部には、当該複数の撮像素子のそれぞれに観察光を導光するために、リレー光学系が複数系統設けられる。
【0290】
(カートに搭載される各種の装置)
CCU5039は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡5001及び表示装置5041の動作を統括的に制御する。具体的には、CCU5039は、カメラヘッド5005から受け取った画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。CCU5039は、当該画像処理を施した画像信号を表示装置5041に提供する。また、CCU5039は、カメラヘッド5005に対して制御信号を送信し、その駆動を制御する。当該制御信号には、倍率や焦点距離等、撮像条件に関する情報が含まれ得る。
【0291】
表示装置5041は、CCU5039からの制御により、当該CCU5039によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。内視鏡5001が例えば4K(水平画素数3840×垂直画素数2160)又は8K(水平画素数7680×垂直画素数4320)等の高解像度の撮影に対応したものである場合、及び/又は3D表示に対応したものである場合には、表示装置5041としては、それぞれに対応して、高解像度の表示が可能なもの、及び/又は3D表示可能なものが用いられ得る。4K又は8K等の高解像度の撮影に対応したものである場合、表示装置5041として55インチ以上のサイズのものを用いることで一層の没入感が得られる。また、用途に応じて、解像度、サイズが異なる複数の表示装置5041が設けられてもよい。
【0292】
光源装置5043は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部を撮影する際の照射光を内視鏡5001に供給する。
【0293】
アーム制御装置5045は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、所定のプログラムに従って動作することにより、所定の制御方式に従って支持アーム装置5027のアーム部5031の駆動を制御する。
【0294】
入力装置5047は、内視鏡手術システム5000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置5047を介して、内視鏡手術システム5000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、入力装置5047を介して、患者の身体情報や、手術の術式についての情報等、手術に関する各種の情報を入力する。また、例えば、ユーザは、入力装置5047を介して、アーム部5031を駆動させる旨の指示や、内視鏡5001による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示、エネルギー処置具5021を駆動させる旨の指示等を入力する。
【0295】
入力装置5047の種類は限定されず、入力装置5047は各種の公知の入力装置であってよい。入力装置5047としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、スイッチ、フットスイッチ5057及び/又はレバー等が適用され得る。入力装置5047としてタッチパネルが用いられる場合には、当該タッチパネルは表示装置5041の表示面上に設けられてもよい。
【0296】
あるいは、入力装置5047は、例えばメガネ型のウェアラブルデバイスやHMD(Head Mounted Display)等の、ユーザによって装着されるデバイスであり、これらのデバイスによって検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。また、入力装置5047は、ユーザの動きを検出可能なカメラを含み、当該カメラによって撮像された映像から検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。更に、入力装置5047は、ユーザの声を収音可能なマイクロフォンを含み、当該マイクロフォンを介して音声によって各種の入力が行われる。このように、入力装置5047が非接触で各種の情報を入力可能に構成されることにより、特に清潔域に属するユーザ(例えば術者5067)が、不潔域に属する機器を非接触で操作することが可能となる。また、ユーザは、所持している術具から手を離すことなく機器を操作することが可能となるため、ユーザの利便性が向上する。
【0297】
処置具制御装置5049は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具5021の駆動を制御する。気腹装置5051は、内視鏡5001による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者5071の体腔を膨らめるために、気腹チューブ5019を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ5053は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ5055は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0298】
以下、内視鏡手術システム5000において特に特徴的な構成について、更に詳細に説明する。
【0299】
(支持アーム装置)
支持アーム装置5027は、基台であるベース部5029と、ベース部5029から延伸するアーム部5031と、を備える。図示する例では、アーム部5031は、複数の関節部5033a、5033b、5033cと、関節部5033bによって連結される複数のリンク5035a、5035bと、から構成されているが、
図66では、簡単のため、アーム部5031の構成を簡略化して図示している。実際には、アーム部5031が所望の自由度を有するように、関節部5033a~5033c及びリンク5035a、5035bの形状、数及び配置、並びに関節部5033a~5033cの回転軸の方向等が適宜設定され得る。例えば、アーム部5031は、好適に、6自由度以上の自由度を有するように構成され得る。これにより、アーム部5031の可動範囲内において内視鏡5001を自由に移動させることが可能になるため、所望の方向から内視鏡5001の鏡筒5003を患者5071の体腔内に挿入することが可能になる。
【0300】
関節部5033a~5033cにはアクチュエータが設けられており、関節部5033a~5033cは当該アクチュエータの駆動により所定の回転軸まわりに回転可能に構成されている。当該アクチュエータの駆動がアーム制御装置5045によって制御されることにより、各関節部5033a~5033cの回転角度が制御され、アーム部5031の駆動が制御される。これにより、内視鏡5001の位置及び姿勢の制御が実現され得る。この際、アーム制御装置5045は、力制御又は位置制御等、各種の公知の制御方式によってアーム部5031の駆動を制御することができる。
【0301】
例えば、術者5067が、入力装置5047(フットスイッチ5057を含む)を介して適宜操作入力を行うことにより、当該操作入力に応じてアーム制御装置5045によってアーム部5031の駆動が適宜制御され、内視鏡5001の位置及び姿勢が制御されてよい。当該制御により、アーム部5031の先端の内視鏡5001を任意の位置から任意の位置まで移動させた後、その移動後の位置で固定的に支持することができる。なお、アーム部5031は、いわゆるマスタースレイブ方式で操作されてもよい。この場合、アーム部5031は、手術室から離れた場所に設置される入力装置5047を介してユーザによって遠隔操作され得る。
【0302】
また、力制御が適用される場合には、アーム制御装置5045は、ユーザからの外力を受け、その外力にならってスムーズにアーム部5031が移動するように、各関節部5033a~5033cのアクチュエータを駆動させる、いわゆるパワーアシスト制御を行ってもよい。これにより、ユーザが直接アーム部5031に触れながらアーム部5031を移動させる際に、比較的軽い力で当該アーム部5031を移動させることができる。従って、より直感的に、より簡易な操作で内視鏡5001を移動させることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0303】
ここで、一般的に、内視鏡下手術では、スコピストと呼ばれる医師によって内視鏡5001が支持されていた。これに対して、支持アーム装置5027を用いることにより、人手によらずに内視鏡5001の位置をより確実に固定することが可能になるため、術部の画像を安定的に得ることができ、手術を円滑に行うことが可能になる。
【0304】
なお、アーム制御装置5045は必ずしもカート5037に設けられなくてもよい。また、アーム制御装置5045は必ずしも1つの装置でなくてもよい。例えば、アーム制御装置5045は、支持アーム装置5027のアーム部5031の各関節部5033a~5033cにそれぞれ設けられてもよく、複数のアーム制御装置5045が互いに協働することにより、アーム部5031の駆動制御が実現されてもよい。
【0305】
(光源装置)
光源装置5043は、内視鏡5001に術部を撮影する際の照射光を供給する。光源装置5043は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成される。このとき、RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置5043において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド5005の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0306】
また、光源装置5043は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド5005の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0307】
また、光源装置5043は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察するもの(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得るもの等が行われ得る。光源装置5043は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0308】
(カメラヘッド及びCCU)
図67を参照して、内視鏡5001のカメラヘッド5005及びCCU5039の機能についてより詳細に説明する。
図67は、
図66に示すカメラヘッド5005及びCCU5039の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0309】
図67を参照すると、カメラヘッド5005は、その機能として、レンズユニット5007と、撮像部5009と、駆動部5011と、通信部5013と、カメラヘッド制御部5015と、を有する。また、CCU5039は、その機能として、通信部5059と、画像処理部5061と、制御部5063と、を有する。カメラヘッド5005とCCU5039とは、伝送ケーブル5065によって双方向に通信可能に接続されている。
【0310】
まず、カメラヘッド5005の機能構成について説明する。レンズユニット5007は、鏡筒5003との接続部に設けられる光学系である。鏡筒5003の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド5005まで導光され、当該レンズユニット5007に入射する。レンズユニット5007は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。レンズユニット5007は、撮像部5009の撮像素子の受光面上に観察光を集光するように、その光学特性が調整されている。また、ズームレンズ及びフォーカスレンズは、撮像画像の倍率及び焦点の調整のため、その光軸上の位置が移動可能に構成される。
【0311】
撮像部5009は撮像素子によって構成され、レンズユニット5007の後段に配置される。レンズユニット5007を通過した観察光は、当該撮像素子の受光面に集光され、光電変換によって、観察像に対応した画像信号が生成される。撮像部5009によって生成された画像信号は、通信部5013に提供される。
【0312】
撮像部5009を構成する撮像素子としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサであり、Bayer配列を有するカラー撮影可能なものが用いられる。なお、当該撮像素子としては、例えば4K以上の高解像度の画像の撮影に対応可能なものが用いられてもよい。術部の画像が高解像度で得られることにより、術者5067は、当該術部の様子をより詳細に把握することができ、手術をより円滑に進行することが可能となる。
【0313】
また、撮像部5009を構成する撮像素子は、3D表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成される。3D表示が行われることにより、術者5067は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部5009が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット5007も複数系統設けられる。
【0314】
また、撮像部5009は、必ずしもカメラヘッド5005に設けられなくてもよい。例えば、撮像部5009は、鏡筒5003の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0315】
駆動部5011は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部5015からの制御により、レンズユニット5007のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部5009による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0316】
通信部5013は、CCU5039との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5013は、撮像部5009から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル5065を介してCCU5039に送信する。この際、術部の撮像画像を低レイテンシで表示するために、当該画像信号は光通信によって送信されることが好ましい。手術の際には、術者5067が撮像画像によって患部の状態を観察しながら手術を行うため、より安全で確実な手術のためには、術部の動画像が可能な限りリアルタイムに表示されることが求められるからである。光通信が行われる場合には、通信部5013には、電気信号を光信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。画像信号は当該光電変換モジュールによって光信号に変換された後、伝送ケーブル5065を介してCCU5039に送信される。
【0317】
また、通信部5013は、CCU5039から、カメラヘッド5005の駆動を制御するための制御信号を受信する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。通信部5013は、受信した制御信号をカメラヘッド制御部5015に提供する。なお、CCU5039からの制御信号も、光通信によって伝送されてもよい。この場合、通信部5013には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられ、制御信号は当該光電変換モジュールによって電気信号に変換された後、カメラヘッド制御部5015に提供される。
【0318】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、取得された画像信号に基づいてCCU5039の制御部5063によって自動的に設定される。つまり、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡5001に搭載される。
【0319】
カメラヘッド制御部5015は、通信部5013を介して受信したCCU5039からの制御信号に基づいて、カメラヘッド5005の駆動を制御する。例えば、カメラヘッド制御部5015は、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報及び/又は撮像時の露光を指定する旨の情報に基づいて、撮像部5009の撮像素子の駆動を制御する。また、例えば、カメラヘッド制御部5015は、撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報に基づいて、駆動部5011を介してレンズユニット5007のズームレンズ及びフォーカスレンズを適宜移動させる。カメラヘッド制御部5015は、更に、鏡筒5003やカメラヘッド5005を識別するための情報を記憶する機能を備えてもよい。
【0320】
なお、レンズユニット5007や撮像部5009等の構成を、気密性及び防水性が高い密閉構造内に配置することで、カメラヘッド5005について、オートクレーブ滅菌処理に対する耐性を持たせることができる。
【0321】
次に、CCU5039の機能構成について説明する。通信部5059は、カメラヘッド5005との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5059は、カメラヘッド5005から、伝送ケーブル5065を介して送信される画像信号を受信する。この際、上記のように、当該画像信号は好適に光通信によって送信され得る。この場合、光通信に対応して、通信部5059には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。通信部5059は、電気信号に変換した画像信号を画像処理部5061に提供する。
【0322】
また、通信部5059は、カメラヘッド5005に対して、カメラヘッド5005の駆動を制御するための制御信号を送信する。当該制御信号も光通信によって送信されてよい。
【0323】
画像処理部5061は、カメラヘッド5005から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。当該画像処理としては、例えば現像処理、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の公知の信号処理が含まれる。また、画像処理部5061は、AE、AF及びAWBを行うための、画像信号に対する検波処理を行う。
【0324】
画像処理部5061は、CPUやGPU等のプロセッサによって構成され、当該プロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより、上述した画像処理や検波処理が行われ得る。なお、画像処理部5061が複数のGPUによって構成される場合には、画像処理部5061は、画像信号に係る情報を適宜分割し、これら複数のGPUによって並列的に画像処理を行う。
【0325】
制御部5063は、内視鏡5001による術部の撮像、及びその撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部5063は、カメラヘッド5005の駆動を制御するための制御信号を生成する。この際、撮像条件がユーザによって入力されている場合には、制御部5063は、当該ユーザによる入力に基づいて制御信号を生成する。あるいは、内視鏡5001にAE機能、AF機能及びAWB機能が搭載されている場合には、制御部5063は、画像処理部5061による検波処理の結果に応じて、最適な露出値、焦点距離及びホワイトバランスを適宜算出し、制御信号を生成する。
【0326】
また、制御部5063は、画像処理部5061によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部の画像を表示装置5041に表示させる。この際、制御部5063は、各種の画像認識技術を用いて術部画像内における各種の物体を認識する。例えば、制御部5063は、術部画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具5021使用時のミスト等を認識することができる。制御部5063は、表示装置5041に術部の画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させる。手術支援情報が重畳表示され、術者5067に提示されることにより、より安全かつ確実に手術を進めることが可能になる。
【0327】
カメラヘッド5005及びCCU5039を接続する伝送ケーブル5065は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0328】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル5065を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド5005とCCU5039との間の通信は無線で行われてもよい。両者の間の通信が無線で行われる場合には、伝送ケーブル5065を手術室内に敷設する必要がなくなるため、手術室内における医療スタッフの移動が当該伝送ケーブル5065によって妨げられる事態が解消され得る。
【0329】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システム5000の一例について説明した。なお、ここでは、一例として内視鏡手術システム5000について説明したが、本開示に係る技術が適用され得るシステムはかかる例に限定されない。例えば、本開示に係る技術は、検査用軟性内視鏡システムや顕微鏡手術システムに適用されてもよい。
【0330】
本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部5009に好適に適用され得る。撮像部5009に本開示に係る技術を適用することにより、画像データの読出し速度を高速化することができるため、手術をより安全にかつより確実に行うことが可能になる。
【0331】
22.応用例2
また、本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0332】
図68は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0333】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図68に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0334】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0335】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0336】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0337】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0338】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0339】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0340】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0341】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0342】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図68の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0343】
図69は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0344】
図69では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0345】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0346】
なお、
図69には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0347】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0348】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0349】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0350】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0351】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、運転者状態検出部12041等に適用され得る。これらに本開示に係る技術を適用することにより、画像データの読出し速度を高速化することができるため、ドライバの運転をより好適にサポートするなどの効果を得ることが可能となる。
【0352】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0353】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0354】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
行列状に配列する複数の光電変換素子を備える固体撮像装置であって、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一部が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備える固体撮像装置。
(2)
前記第3電極には、複数の開口部が設けられており、
前記開口部それぞれの内部には、前記半導体層の一部が延在している
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記第3電極と前記第2電極との間の前記絶縁膜の膜厚は、前記第3電極と前記第1電極との間の前記絶縁膜の膜厚よりも薄い前記(1)又は(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記第3電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第3電極と前記第1電極との間の前記絶縁膜の膜厚よりも薄い前記(1)~(3)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(5)
前記第3電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第3電極の上部側から下部側へ向かうにつれて薄くなっている前記(1)~(4)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(6)
前記光電変換素子それぞれは、前記絶縁膜内であって前記第3電極と前記第1電極との間に配置された第4電極をさらに備える前記(1)~(5)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(7)
前記第3電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第4電極の側壁側に位置する前記絶縁膜の膜厚よりも薄い前記(6)に記載の固体撮像装置。
(8)
前記第2電極は、それぞれ異なる領域で前記第1電極と対向する複数の電極に分割されている前記(1)~(7)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(9)
前記第2電極の前記主平面と平行な方向の幅は、前記第3電極の前記主平面と平行な方向の幅よりも狭い前記(1)~(8)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(10)
前記半導体層の前記主平面と平行な方向の幅は、前記第1電極側から前記第2電極側へ向かうにつれて細くなっている前記(1)~(9)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(11)
前記第3電極は、前記主平面と垂直な方向に配列する複数の第5電極を含む前記(1)~(10)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(12)
前記第3電極は、前記主平面と垂直な方向において複数の領域に分割されている前記(1)~(11)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(13)
前記光電変換膜における前記第2電極と対向する面の一部は、前記第2電極へ向けて突出している前記(1)~(12)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(14)
前記第1電極における前記第2電極と対向する面の一部は、前記第2電極へ向けて突出している前記(13)に記載の固体撮像装置。
(15)
前記半導体層の前記主平面と垂直な方向の組成は、前記第2電極からの距離に応じて異なる前記(1)~(14)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(16)
前記第1電極を挟んで前記第2電極と反対側に配置されたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズに対して前記主平面と垂直な方向に配置され、所定の波長の光を透過するカラーフィルタと、
をさらに備える前記(1)~(15)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(17)
前記光電変換膜と前記半導体層の少なくとも一部とは、同一の材料を含む前記(1)~(16)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(18)
前記主平面と垂直な方向に配置された複数の前記光電変換素子を備える前記(1)~(17)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(19)
前記光電変換膜は、有機膜である前記(1)~(18)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(20)
固体撮像装置と、
入射光を前記固体撮像装置の受光面に結像する光学系と、
前記固体撮像装置を制御するプロセッサと、
を備え、
前記固体撮像装置は、行列状に配列する複数の光電変換素子を備え、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一部が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備える電子機器。
(21)
半導体基板の第1面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上の第1領域に読出し電極を形成する工程と、
前記第1電極上に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2絶縁膜上に第1透明電極材料膜を形成する工程と、
前記第1透明電極材料膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
前記第3絶縁膜上に第2透明電極材料膜を形成する工程と、
前記第2透明電極材料膜上に第4絶縁膜を形成する工程と、
前記第2~第4絶縁膜並びに前記第1及び第2透明電極材料膜に、前記読出し電極の一部を露出させる開口を形成する工程と、
前記第4絶縁膜上及び前記開口内に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に光電変換膜を形成する工程と、
前記光電変換膜上に共通電極を形成する工程と、
を含む固体撮像装置の製造方法。
(22)
行列状に配列する複数の光電変換素子を備える固体撮像装置であって、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備える固体撮像装置。
(23)
前記第3電極には、複数の開口部が設けられており、
前記開口部それぞれの内部には、前記半導体層の一部が延在している
前記(22)に記載の固体撮像装置。
(24)
前記第3電極と前記第2電極との間の前記第1絶縁膜の膜厚は、前記第3電極と前記第1電極との間の前記第1絶縁膜の膜厚よりも薄い前記(22)又は(23)に記載の固体撮像装置。
(25)
前記第3電極の側壁側に位置する前記第1絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第3電極と前記第1電極との間の前記第1絶縁膜の膜厚よりも薄い前記(22)~(24)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(26)
前記第3電極の側壁側に位置する前記第1絶縁膜の前記主平面と平行な方向の膜厚は、前記第3電極の上部側から下部側へ向かうにつれて薄くなっている前記(22)~(25)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(27)
前記第2電極は、それぞれ異なる領域で前記第1電極と対向する複数の電極に分割されている前記(22)~(26)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(28)
前記第2電極の前記主平面と平行な方向の幅は、前記第3電極の前記主平面と平行な方向の幅よりも狭い前記(22)~(27)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(29)
前記半導体層の前記主平面と平行な方向の幅は、前記第1電極側から前記第2電極側へ向かうにつれて細くなっている前記(22)~(28)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(30)
前記第3電極と前記第2電極との間であって前記第2電極と接触する領域に配置された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜内に配置された第4電極と、
をさらに備える前記(22)~(29)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(31)
前記半導体層の前記第2電極側の面の少なくとも一部は、前記主平面に対して傾斜した傾斜領域であり、
前記半導体層外であって前記傾斜領域に近接して配置された第5電極をさらに備える
前記(29)に記載の固体撮像装置。
(32)
前記第3電極は、前記主平面と垂直な方向に配列する複数の第5電極を含む前記(22)~(31)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(33)
前記第3電極は、前記主平面と垂直な方向において複数の領域に分割されている前記(22)~(32)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(34)
前記光電変換膜における前記第2電極と対向する面の一部は、前記第2電極へ向けて突出している前記(22)~(33)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(35)
前記第1電極における前記第2電極と対向する面の一部は、前記第2電極へ向けて突出している前記(34)に記載の固体撮像装置。
(36)
前記半導体層の前記主平面と垂直な方向の組成は、前記第2電極からの距離に応じて異なる前記(22)~(35)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(37)
前記第1電極を挟んで前記第2電極と反対側に配置されたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズに対して前記主平面と垂直な方向に配置され、所定の波長の光を透過するカラーフィルタと、
をさらに備える前記(22)~(36)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(38)
前記光電変換膜と前記半導体層の少なくとも一部とは、同一の材料を含む前記(22)~(37)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(39)
前記主平面と垂直な方向に配置された複数の前記光電変換素子を備える前記(22)~(38)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(40)
前記光電変換膜は、有機膜である前記(22)~(39)の何れか1項に記載の固体撮像装置。
(41)
固体撮像装置と、
入射光を前記固体撮像装置の受光面に結像する光学系と、
前記固体撮像装置を制御するプロセッサと、
を備え、
前記固体撮像装置は、行列状に配列する複数の光電変換素子を備え、
前記光電変換素子それぞれは、
主平面が互いに対向するように配置された第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された光電変換膜と、
前記光電変換膜と前記第2電極との間に配置され、第1面が前記光電変換膜に接触するとともに、前記第1面と反対側の第2面が前記第2電極に接触する半導体層と、
前記半導体層内に配置された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜内に配置された第3電極と、
を備える電子機器。
(42)
半導体基板の第1面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上の第1領域に読出し電極を形成する工程と、
前記読出し電極上に第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層上に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2絶縁膜上に透明電極材料膜を形成する工程と、
前記透明電極材料膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
前記第2及び第3絶縁膜並びに前記透明電極材料膜に、前記読出し電極の一部を露出させる開口を形成する工程と、
前記第3絶縁膜上及び前記開口内を覆う第4絶縁膜を形成する工程と、
前記第3絶縁膜上の前記4絶縁膜上及び前記開口内の前記第4絶縁膜上に第2半導体層を形成する工程と、
前記第2半導体層上に光電変換膜を形成する工程と、
前記光電変換膜上に共通電極を形成する工程と、
を含む固体撮像装置の製造方法。
【符号の説明】
【0355】
100 固体撮像装置(イメージセンサ)
101 半導体基板
102、104 P型半導体領域
103、105 N型半導体領域
106 絶縁膜
111 絶縁層
112、1612 共通電極
113、1613 光電変換膜
114、114A、514、524、914、1514、1514a、1514b、1514c 半導体層
114A 凸部
115、215、615、715A、715B、815A、815B、2015 蓄積電極
115A、315A 透明電極材料膜
116、116A、116B、116C、216、316、316A、316B、316C、516 絶縁膜
117、417、517、617A、617B、817A、817B、2014 読出し電極
118、122 配線
119 貫通電極
120 蓄積電荷
121 配線層
131 保護膜
132 平坦化膜
133 オンチップレンズ
315 シールド電極
515 捕集電極
525 変調電極
615A、615B 領域
1116、2016 メモリ電極
1833 カラーフィルタ
3000 電子機器
3020 撮像レンズ
3030 記憶部
3040 プロセッサ
3101 画素アレイ部
3102 垂直駆動回路
3102A 電圧印加回路
3103、3103A、3103B カラム処理回路
3104 水平駆動回路
3105 システム制御部
3108 信号処理部
3109 データ格納部
3110 単位画素
3110B、3110G、3110R 画素
3121 受光チップ
3122 回路チップ
A1、A2、A3、A4 開口
AMP1、AMP2、AMP3 増幅トランジスタ
FD1、FD2、FD3 浮遊拡散領域
LD 画素駆動線
PD1、PD2 フォトダイオード
PD3、PD203 有機光電変換素子
RST1、RST2、RST3 リセットトランジスタ
S1、S2 系統
SEL1、SEL2、SEL3 選択トランジスタ
TRG1、TRG2 転送トランジスタ
VSL 垂直信号線