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特許7539379複数の回転式コンベアのカートリッジベースの分注システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】複数の回転式コンベアのカートリッジベースの分注システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20240816BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G01N35/10 C
G01N35/02 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021532099
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 US2019064231
(87)【国際公開番号】W WO2020117802
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】62/775,030
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513165469
【氏名又は名称】ビーディー キエストラ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ウィルシャー,マイケル・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャウエット,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】グラッドウィン,ロイ・ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】ホロビン,マーク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ケニス・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンソン,ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ティモシー・ロイ
(72)【発明者】
【氏名】シーク,ヨハネス・ウィナンド
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-103849(JP,A)
【文献】国際公開第2007/116418(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/087451(WO,A1)
【文献】特表2010-515437(JP,A)
【文献】特表2014-512822(JP,A)
【文献】特開平06-230016(JP,A)
【文献】米国特許第04215799(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00 - 3/10
G01N 35/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリを含む制御システムと、
前記制御システムから受信したコマンドに応答してそれぞれ配置可能な、回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブルと、
前記制御システムから受信したコマンドに応答して配置可能な、前記回転可能に取り付けられたセントラルテーブルに回転可能に取り付けられた複数の回転式コンベアと、
前記複数の回転式コンベアの周囲に取り付けられた複数の分注カートリッジと、
を備え、
分注カートリッジの機械的な作動によって、前記作動した分注カートリッジ内に含まれる所定の試薬を分注し、
前記複数の分注カートリッジのそれぞれは、ディスクリザーバ及び垂直プランジャを備え、
前記所定の試薬は抗生物質のディスクであり、
前記抗生物質のディスクは、前記垂直プランジャによって前記分注カートリッジから分注され、
前記垂直プランジャは、回転カムによって作動され、
前記回転カムは、前記制御システムから受信したコマンドに応答し、
前記垂直プランジャを収容するプランジャアセンブリを更に備え、
前記プランジャアセンブリは、前記垂直プランジャを作動させる前に培養培地に近づく、
試薬分注システム。
【請求項2】
前記制御システムから受信したコマンドに応じて、前記複数の分注カートリッジの少なくとも1つを作動させるように適合された機械式アクチュエータを更に備えた、
請求項1に記載の試薬分注システム。
【請求項3】
前記抗生物質のディスクは、検査培地の表面に分注される、
請求項1に記載の試薬分注システム。
【請求項4】
前記検査培地は、プレートに含まれる、
請求項3に記載の試薬分注システム。
【請求項5】
前記制御システムと通信して、前記検査培地の表面を走査して測定するように適合された近接センサを更に備えた、
請求項3に記載の試薬分注システム。
【請求項6】
前記近接センサは、超音波センサを含む、
請求項5に記載の試薬分注システム。
【請求項7】
各分注カートリッジの各ディスクリザーバは、当該ディスクリザーバに貼り付けられた機械可読識別ラベルを有し、
前記制御システムと通信して、前記機械可読識別ラベルを読み取るように適合された少なくとも1つの光学センサを更に備え、
前記制御システムのメモリには、(a)前記機械可読識別ラベルを有する前記分注カートリッジ内に含まれる試薬のタイプ、又は(b)前記ラベル付けされた分注カートリッジ内で分注するのに利用可能な試薬の量、の少なくとも1つに各機械可読識別ラベルを関連付ける情報が含まれる、
請求項1に記載の試薬分注システム。
【請求項8】
前記機械可読識別ラベルは、バーコードを含み、
前記少なくとも1つの光学センサは、バーコードリーダである、
請求項7に記載の試薬分注システム。
【請求項9】
前記プレートは、当該プレートに貼り付けられた機械可読識別ラベルを有し、
前記制御システムと通信して、前記機械可読識別ラベルを読み取るように適合された少なくとも1つの光学センサを更に備え、
前記制御システムのメモリには、(a)前記プレートに含まれる検査培地のタイプ、(b)前記検査培地上に分注された試薬のタイプ、(c)試薬が分注された前記検査培地上の位置、(d)前記検査培地上に分注される追加の試薬のタイプ、又は(e)追加の試薬を分注するのに利用可能な前記検査培地上の位置、の少なくとも1つに前記機械可読識別ラベルを関連付ける情報が含まれる、
請求項4に記載の試薬分注システム。
【請求項10】
前記機械可読識別ラベルは、バーコードを含み、
前記少なくとも1つの光学センサは、バーコードリーダである、
請求項9に記載の試薬分注システム。
【請求項11】
少なくとも2つの回転式コンベアが同心に取り付けられた、
請求項1に記載の試薬分注システム。
【請求項12】
プロセッサ及びメモリを含む制御システムと、前記制御システムから受信したコマンドに応答して配置可能な、回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブルと、前記制御システムから受信したコマンドに応答して個別に配置可能な、前記回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブルに回転可能に取り付けられた複数の回転式コンベアと、前記複数の回転式コンベアのそれぞれの周囲に取り付けられた複数の分注カートリッジと、培養プレートによって保持される少なくとも1つの検査培地と、を備え、分注カートリッジの機械的な作動によって、前記作動した分注カートリッジ内に含まれる所定量の試薬を分注するシステムにおいて試薬を自動的に分注する方法であって、
前記所定量の試薬は、抗生物質のディスクであり、
前記複数の分注カートリッジのそれぞれは、ディスクリザーバ及び垂直プランジャを備え、
前記抗生物質のディスクは、前記垂直プランジャによって分注され、
前記垂直プランジャは、回転カムによって作動され、
前記回転カムは、前記制御システムから受信したコマンドに応答し、
前記試薬分注システムは、前記垂直プランジャを収容するプランジャアッセンブリを更に備え、
前記回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブルを配置して、前記少なくとも1つの検査培地に近接した位置に選択された回転式コンベアを配置するステップと、
前記選択された回転式コンベアを回転させて、前記少なくとも1つの検査培地上に抗生物質のディスクを分注する位置に選択された分注カートリッジを配置するステップと、
前記回転カムを使用して前記選択された分注カートリッジの前記垂直プランジャを作動させて、前記検査培地上に前記抗生物質のディスクを分注するステップと、
を備え
前記プランジャアセンブリは、前記垂直プランジャを作動させる前に培養培地に近づく、
方法。
【請求項13】
前記検査培地は、プレートに含まれる、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記検査培地の表面を近接センサで評価するステップを更に備えた、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
各分注カートリッジは、当該分注カートリッジに関連付けられた機械可読識別ラベルを有し、
光学センサで前記機械可読識別ラベルを読み取るステップと、
前記制御システムの前記メモリから読み取った前記機械可読識別ラベルに関連付けられたデータをアクセスするステップと、
を更に備え、
前記アクセスされたデータは、(a)前記分注カートリッジに貼り付けられた前記機械可読識別ラベルを有する前記分注カートリッジ内に含まれる抗生物質のディスクのタイプ、又は(b)前記分注カートリッジに貼り付けられた前記機械可読識別ラベルを有する前記分注カートリッジ内で利用可能な抗生物質のディスクの量の少なくとも1つを示す、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記培養プレートは、当該培養プレートに貼り付けられた機械可読識別ラベルを有し、
光学センサで前記機械可読識別ラベルを読み取るステップと、
前記制御システムの前記メモリから読み取った前記機械可読識別ラベルに関連付けられたデータをアクセスするステップと、
を更に備え、
前記アクセスされたデータは、(a)前記プレートに含まれる検査培地のタイプ、(b)前記検査培地上に分注された試薬のタイプ、(c)試薬が分注された前記検査培地の位置、(d)オプションとして、前記検査培地上に分注された追加抗生物質のディスクのタイプ、又は(e)オプションとして、追加抗生物質のディスクの分注に利用可能な前記検査培地上の位置、の少なくとも1つを示す、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年12月4日に出願された米国仮出願第62/775,030号からの優先権を主張し、これを参照することで本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
自動化された実験室環境で様々な試薬の有効性を検査するには、指定された1つ以上の培地又は検査容器(プレート又はペトリ皿など)内の検査培地上の正確な所定位置に、正確な分量の選択された1つ以上の試薬を一貫して導入可能なシステムが必要である。例えば、ペトリ皿に保持された接種済の寒天培養培地上に抗生物質のディスクを自動的に分注するシステム及び方法は、当技術分野で知られている。このようなシステムは、一般的に、可動プラットフォーム上に取り付けられた複数のディスクの分注器、及び目標のペトリ皿が置かれている特定のローディング領域を使用する。プラットフォームを移動させて、ペトリ皿の特定領域の上方又はその近傍に、特定の抗生物質が含侵されたディスクを含む選択された分注器を配置し、ディスクが分注される。その後、可動プラットフォームを再配置して、第2のタイプの抗生物質のディスクを含む分注器をペトリ皿に対応した位置に移動させることができる。そして、この第2の抗生物質のディスクをペトリ皿に分注することができる。その次のディスクを所定距離隔てて分注するようにペトリ皿を分注前に再配置して、隣接する微生物のコロニーからの干渉なしに、異なる微生物との抗菌相互作用が起こって観察される領域を明瞭にすることができる。システムは、ペトリ皿内のいくつかの所定位置にディスクを分注し続けることができる。
【0003】
そのようなシステムの適応性を最大化するために、プレート上に分注するのに利用可能な多種多様な抗生物質のディスクを有することが望ましい。システムによって分注される様々な抗生物質間の相互汚染を防ぐために、同じ分注器内に複数の抗生物質を配置することは容認できない。従って、分注される抗生物質の個々のタイプごとに、可動プラットフォーム上に異なる分注器を取り付ける必要がある。その結果、従来技術のシステムは、そのような分注器によって分注される微生物のディスクを受けるために、培養プレートの上方に正確かつ選択的に配置することができる可動プラットフォーム上、又は培養プレートを分注器に整列させる培養プレート支持体上に合理的に取り付けることができる分注器の個数について、機械的な制約によって制限されていた。セントラルハブの周りに回転することができる回転式コンベアの周囲に分注器を取り付けて、回転式コンベアの周囲に配置された容器の上方に特定の分注器を配置する、様々な装置が提案されてきた。例えば、米国特許第8,996,163号、「ディスク分注装置、そのようなディスク分注装置を使用した管状容器、及びディスクを分注する方法」、及び米国特許第9,557,343号、「ディスク分注装置、そのようなディスク分注装置を使用した管状容器、及びディスクを分注する方法」を参照されたい。これらの両方は、BD Kiestra B.Vに譲渡されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、分注器の個数が増えると、そのような単一の回転式コンベアベースのシステムは、ますます多くの分注器を取り付けるために回転式コンベアの直径が大きくなるので、非常に大きくなるおそれがある。大きな物理的な設置面積を有する検査機器は、一般的に、商業的なサンプル検査所の管理された環境であって、通常ではスペースが制限された環境では望ましくない。また、大径の回転式コンベアに搭載された分注器を使用する結果、回転式コンベアを回転させて特定の抗生物質を分注するのに必要な平均時間は、回転式コンベアが回転することができる角速度が同じであると仮定すると、小径の回転式コンベアよりも長くなる。これによって、システムのスループットが低下する。さらに、回転式コンベアのサイズが大きくなると、その質量も大きくなるおそれがあり、より強力な駆動機構が必要となって、システムのコストが高くなってしまう。このため、単一の回転式コンベアでは、達成可能なカートリッジ式の分注器の密度が制限されてしまう。また、大きな回転式コンベアは、取り扱い、保管及び清掃がより大変である。
【0005】
従って、選択された分注器が迅速かつ正確に配置されて、小さな設置面積内で検査培地上に選択された試薬を分注する、異なる専用の分注器から種々様々な試薬を分注する改良された検査システム及び方法を提供する必要がある。この機能は、試薬が分注されるスループットに悪影響を与えずに達成する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動化された実験室環境において、試薬を選択して目標の検査培地上に分注する、改良されたシステム及び方法を提供する。本発明は、セントラルターンテーブル上に回転可能に取り付けられた複数の回転式コンベアを利用する。セントラルターンテーブルの位置、及び各回転式コンベアの回転は、マイクロプロセッサベースの制御システムによって制御される。特定の試薬を貯蔵及び分注可能な複数の分注器は、各回転式コンベアの周囲に取り付けられている。検査培地は、1つ以上のローディングステーションに配置されている。制御システムは、複数の回転式コンベアの中から選択された1つの回転式コンベアが回転できる位置にセントラルターンテーブルを向けて、検査培地の上方に選択された分注器を配置する。そして、選択された分注器を作動させて、検査培地上、抗菌の場合には含侵ディクス上に所定量の試薬を放出する。本発明は、単一又は複数の培養培地を含む培養プレート上に、関連する分注器から複数の試薬が同時に分注できるように実装することができる。適切な検査培地の一例は、培養培地である。プレート状の培養培地は、当技術分野の当業者にとって周知であり、本明細書では詳細に説明しない。培養培地及び検査培地は、本明細書では交換可能に使用される。これらの同時に作動する分注器のそれぞれは、1つ以上のローディングステーションに配置された目標の培養培地(複数も可能)の上方に配置される。
【0007】
試薬分注システムの1つの実施形態は、プロセッサ及びメモリを含む制御システムを有している。システムは、制御システムから受信したコマンドに応答して配置可能な、回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブルを有している。システムはまた、制御システムから受信したコマンドに応答してそれぞれが配置可能な、回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブル上に回転可能に取り付けられた複数の回転式コンベアを有している。システムは、複数の回転式コンベアの周囲に取り付けられた複数の分注カートリッジを更に含んでいる。分注カートリッジの機械的な作動によって、作動した分注カートリッジ内に含まれる所定の試薬を分注する。オプションとして、機械式アクチュエータは、制御システムから受信したコマンドに応じて複数の分注カートリッジの少なくとも1つを作動させるように適合されている。
【0008】
所定の試薬の一例は、ディスクである。オプションとして、垂直プランジャを使用して、カートリッジからディスクが分注される。オプションとして、垂直プランジャは、回転カムによって作動され、回転カムは、制御システムから受信したコマンドに応答する。
【0009】
オプションとして、試薬分注システムは、垂直プランジャを収容するプランジャアセンブリを更に含んでいる。プランジャアセンブリは、垂直プランジャが作動する前に、分注対象のディスク上の培地に近づくことができる。
【0010】
作動中、所定の試薬は、検査培地の表面上に分注される。検査培地は、一般的に、培養プレートに分注される培養培地である。試薬分注システムは、オプションとして、制御システムと通信して、検査培地の表面を走査して測定するように適合された近接センサを有している。近接センサの一例は、超音波センサである。
【0011】
作動中、ディスクリザーバは、分注カートリッジに配置される。ディスクリザーバは、これに貼り付けられた機械可読識別ラベルを有している。システムは、制御システムと通信して、機械可読識別ラベルを読み取るように適合された、少なくとも1つの光学センサを有している。制御システムのメモリには、(a)分注カートリッジ(及びこれに保持されるディスクリザーバ)内に含まれる試薬のタイプ、又は(b)機械可読ラベル付き分注カートリッジ内で分注に利用可能な試薬の量、の少なくとも1つに各機械可読識別ラベルを関連付ける情報が含まれている。機械可読識別ラベルは、一般的に、バーコードであり、少なくとも1つの光学センサは、バーコードリーダである。
【0012】
培養プレートは、オプションとして、これに貼り付けられた機械可読識別ラベルを有している。システムは、制御システムと通信して、機械可読識別ラベルを読み取るように適合された、少なくとも1つの光学センサを更に有している。制御システムのメモリには、(a)プレートに含まれる検査培地のタイプ、(b)検査培地上に分注された試薬のタイプ、(c)試薬が分注された検査培地上の位置、(d)検査培地上に分注された任意の追加試薬のタイプ、又は(e)検査培地上に追加試薬を分注するのに利用可能な検査培地上の位置、の少なくとも1つに機械可読識別ラベルを関連付ける情報が含まれている。この場合も、機械可読識別ラベルは、一般的に、バーコードが付いており、少なくとも1つの光学センサは、バーコードリーダである。
【0013】
オプションとして、少なくとも2つの回転式コンベアが、同心に取り付けられている。
【0014】
本明細書にはまた、システム内の試薬を自動的に分注する方法が説明されている。システムは、プロセッサ及びメモリを含む制御システムを含んでいる。システムはまた、制御システムから受信したコマンドに応答して配置可能な、回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブルを含んでいる。システムはまた、制御システムから受信したコマンドに応答してそれぞれ個別に配置可能な、回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブル上に回転可能に取り付けられた複数の回転式コンベアを含んでいる。システムは、複数の回転式コンベアのそれぞれの周囲に取り付けられた、複数の分注カートリッジを更に含んでいる。分注カートリッジの機械的な作動によって、作動した分注カートリッジ内に含まれる所定量の試薬を分注する。システムはまた、培養プレートによって保持される、少なくとも1つの検査培地(例えば、培養培地)を含んでいる。
【0015】
本明細書に記載の方法によれば、回転可能に取り付けられたセントラルターンテーブルを配置させて、少なくとも1つの検査培地に近接した位置に、選択された回転式コンベアを配置する。選択された回転式コンベアを回転させて、少なくとも1つの検査培地上に所定量の試薬を分注する位置に、選択された分注カートリッジを配置する。選択された分注カートリッジを作動させて、検査培地上に所定量の試薬を分注する。
【0016】
オプションとして、所定量の試薬はディスクである。ディスクは、ディスクリザーバとしての分注カートリッジに供給される。選択された分注カートリッジを作動させると、ディスクが、垂直プランジャを介して分注される。オプションとして、カムが、選択された分注カートリッジを作動させる。上記のように、検査培地の一例は、培養プレートによって保持される培養培地である。オプションとして、検査培地の表面は、表面上のディクスの分注について、近接センサで評価される。
【0017】
オプションとして、各分注カートリッジは、これに関連付けられた機械可読識別ラベルを有している。オプションとして、機械可読識別ラベルは、分注カートリッジに保持されたディスクの分注器によって搬送(carry)される。機械可読識別ラベルは、光学センサで読み取られる。読み取られた機械可読識別ラベルに関連付けられたデータは、制御システムのメモリからアクセスされる。アクセスされたデータは、(a)分注カートリッジに貼り付けられた機械可読識別ラベルを有する分注カートリッジのタイプ、又は(b)分注カートリッジに貼り付けられた機械可読識別ラベルを有する分注カートリッジ内で利用可能な試薬の量、の少なくとも1つを示している。
【0018】
オプションとして、培養プレートは、これに貼り付けられた機械可読識別ラベルを有している。この方法によれば、機械可読識別ラベルは、光学センサで読み取られる。読み取られたラベルに関連付けられたデータは、制御システムのメモリからアクセスされる。アクセスされたデータは、(a)培養プレートに含まれる検査培地又は培養培地のタイプ、(b)検査培地上に分注された試薬のタイプ、(c)試薬が分注された検査培地上の位置、(d)オプションとして、検査培地上に分注される追加試薬のタイプ、又は(e)オプションとして、追加試薬の分注に利用可能な検査培地上の位置、の少なくとも1つを示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面に関してより理解できるであろう。
【0020】
図1】本発明の一実施形態による4つの回転式コンベアのカートリッジベースの分注システムの斜視図である。
図2A】分注器を準備するように配置された、図1の4つの回転式コンベアのカートリッジベースの分注システムの上面図である。
図2B】試薬ディスクを分注するように配置された、図1の4つの回転式コンベアのカートリッジベースの分注システムの上面図である。
図3A図1の複数の回転式コンベアのカートリッジベースの分注システムを利用した、試薬ディスク分注カートリッジの斜視図である。
図3B】複合カムの側面図、正面図及び断面図である。
図3C】準備されていない状態における、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの部分的な断面の斜視図である。
図3D】準備中の処理における、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの部分的な断面の斜視図である。
図3E】準備された状態における、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの部分的な断面の斜視図である。
図3F】アウターカムによって係合された、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの部分的な断面の斜視図である。
図3G】複合カムによって完全に係合された、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの部分的な断面の斜視図である。
図4A】複合カムと係合する前の、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの側面図である。
図4B】アウターカムによって部分的に係合された、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの側面図である。
図4C】複合カムによって完全に係合された、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの側面図である。
図4D】複合カムと係合した後の、図3Aの試薬ディスク分注カートリッジの側面図である。
図5】X形状のセントラルターンテーブルを利用した、4つの回転式コンベアのカートリッジベースの試薬ディスク分注システムの上面図である。
図6A】本発明の代替的な実施形態による、5つの回転式コンベアのカートリッジベースの試薬ディスク分注システムの上面図である。
図6B】本発明の代替的な実施形態による、2つの回転式コンベアのカートリッジベースの試薬ディスク分注システムの上面図である。
図7A】本発明の代替的な実施形態による、同心に配置された2つの回転式コンベアのカートリッジベースの試薬ディスク分注システムの上面図である。
図7B】本発明による、代替的な同心に配置された2つの回転式コンベアのカートリッジベースの試薬ディスク分注システムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用される「ターンテーブル」という用語は、回転式コンベア102,104,106などの回転可能な支持体を説明するために使用される。本明細書で使用されるこの用語は、ターンテーブルが円形であることを必要とすることを意味していない。実際のところ、本明細書で説明するように、ターンテーブルの幾何学的形状は、主として設計上の選択事項である。ターンテーブルを使用して回転式コンベアを必要な位置に搬送し、回転式コンベアが選択された試薬ディスク分注カートリッジを培養プレートと整合させて、選択された試薬ディスク分注カートリッジが選択された培養プレートの位置上にディスクを分注することができるようにする。
【0022】
図1は、本発明の4つの回転式コンベアの実施形態の部分的な斜視図を示している。図示するように、回転式コンベア102,104,106及び108は、セントラルターンテーブル110の上に回転可能に取り付けられている。これらの回転式コンベアのそれぞれは、センターハブ111,112,114及び116の周りに、時計回り又は反時計回りの方向に夫々回転するように構成されている。この回転は、マイクロプロセッサベースの制御システム(117)から受信した制御信号に応答する。各回転式コンベアのこの回転は、当技術分野の当業者に周知の任意の従来機構によって駆動することができる。一例としては、ベルト、ギア、又は当技術分野で知られている他の同様な伝達装置のシステムを介して、セントラルターンテーブルの上に取り付けられたサーボモータ又はステッピングモータであり、そのようなモータによって駆動することができる。そのような機構は当技術分野で周知であり、本明細書では詳細に説明しない。同様に、セントラルターンテーブル118は、マイクロプロセッサベースの制御システムからの制御信号に応答して、ダイレクトドライブ又は変速機に連結された電気モータシステムによって、センターハブ120の周りに時計回り又は反時計回りに回転するように構成されている。回転可能なプレートは、マイクロプロセッサベースの制御システムからの制御信号に応答して、ダイレクトドライブ又は変速機に連結された電気モータシステムによってセンターハブを配置する。そのようなマイクロプロセッサシステムは、プロセッサ119、メモリ121、様々なセンサ(光学センサ、超音波センサなど)、モータコントローラ、及びユーザインターフェースを含んでいる。
【0023】
この実施形態の各回転式コンベアは、32個の放射状に取り付けられた、着脱可能な試薬の分注器を有している。図1では、視覚的な明瞭さの理由から、限定数の分注器のグループ(130,132,134及び138)が、4つの回転式コンベア(102,104,106及び108)のそれぞれに示されている。図2は、図1のカートリッジベースの分注器の上面図であり、各回転式コンベアに30個のカートリッジ式の分注器218が取り付けられ、システムの分注器の総数は128となっていることを示している。ディスクプライマーステーション202(アクチュエータ204及びバーコードリーダ206からなる)、ローディングステーション208(プレートプラットフォーム122、超音波近接センサ210、バーコードリーダ212からなる)、複合カム214、及びカムシャフト216もまた、図2A及び2Bに示されている。
【0024】
例示的なカートリッジ式の分注器218の斜視図が図3Aに示されている。カーリッジ式の分注器は、アウターケーシング302、プランジャアセンブリ303、垂直プランジャ304、試薬ディスクリザーバ306、試薬ディスクプライミングポート308、及び機械可読識別ラベル310を含んでいる。図示するように、カートリッジ式の分注器218のアウターケーシングは、挿入ガイド312及び313を含んでいる。挿入ガイド312及び313は、所定の回転式コンベア上の各分注器の取付位置で相補的な装置と嵌合する。これによって、必要なときに分注器を容易に取り外すことを可能としつつ、分注器を回転式コンベアにしっかりと固定できる。このクリックイン、クリックアウト装置によって、空になった分注器を充填済の分注器に迅速に交換したり、特定の試薬を含む分注器を異なる試薬を含む分注器に交換したりすることができる。同様な取り付けは当技術分野で周知であり、ナイロン又は他のポリマーから作ることができる。
【0025】
図3Bは、複合カム214及びカムシャフト216の側面図、正面図及び断面図である。図示するように、複合カムは、アウターカム318,320、及びインナーカム322から構成されている。アウターカムの内面間の間隔(g)は、垂直プランジャ304の直径よりも大きな距離に固定され、これによって、垂直プランジャと接触することなく、アウターカムが回転することができる。
【0026】
分注器の断面図が図3Cに示されている。試薬ディクス312が試薬ディスクリザーバ306内に積み重ねられていることが示されている。一般的に、特定の分注器内に積み重ねられたすべての試薬ディスクには、同一の試薬(複数も可能)が含まれている。制御システムのメモリには、所定のリザーバに貼り付けられた固有の機械可読識別ラベル(310)を、そこに含まれた特定のタイプの試薬ディスクに関連付ける情報が含まれている。制御システムのメモリはまた、特定の分注器を特定の回転式コンベア(この特定の実施形態では4つのうちの1つ)上の特定のスロットに関連付ける情報を格納することができる。この情報が制御システムによって使用され、セントラルターンテーブル及び回転式コンベアを選択的に配置して、分注システム内の特定の位置に選択された分注器を配置し、培養プレートの選択された位置に選択されたタイプの試薬ディスクを分注することができる。また、回転式コンベアが交換されると、構成シーケンスは、すべての標準又は回転に影響されない周囲のバーコードを読み取る。これにより、取り付けられたディスクリザーバのラベルの位置にかかわらず読み取りが可能になり、配置マップを作成することができる。ディスクプライマー314は、キャビティ316内で水平方向に移動することが可能になるように、アウターケーシング302内に取り付けられ、スプリング324によってプライミングポート308に向けて付勢されることが示されている。図3Cには、ディスクプライマーアクチュエータ204も示されている。
【0027】
カートリッジベースの分注システムから特定の試薬を含む試薬ディスクを分注する動作は、セントラルターンテーブル110、回転式コンベア102,104,106及び108、プレートプラットフォーム122、並びに試薬ディスクプライマーアクチュエータ204の協調動作を必要とする。これらの構成部品の配置及び作動は、マイクロプロセッサベースの制御システムによって制御される。処理動作は、プレートプラットフォーム122上に培養プレート124を含む培地(126)を配置することから始まる。この配置は、当技術分野で周知の自動プレートハンドリングシステムによって達成することができるか、又は手動で行うことができる。培養プレートの配置後、プレートプラットフォーム122がマイクロプロセッサベースの制御システムによって回転されて、機械可読識別ラベル128が、バーコードリーダ212によって読み取られるために配置される。読み取られたバーコードは、マイクロコンピュータベースの制御システムのメモリに格納された情報と相互参照されて、培養プレート124が分注器218からの試薬の分注のための適切なプレートであるかをチェック/確認することができる。ラベル128をまた使用して、プレートを回転方向に方向付け、ラベルの位置に対して試薬ディスクを配置する。
【0028】
予めプログラムされたルーチンの結果として、又はユーザインターフェースを介して受信した指示に応答して、制御システムは、セントラルターンテーブル118、並びに関連する回転式コンベア102,104,106及び108を作動させて、所望の試薬ディスクを含む分注器(218)をディスクプライマーアクチュエータ204と整列させる。ディスクプライマーアクチュエータ204は、回転式コンベアの面に対して取り付けられ、これが作動したとき、ディスクプライマーアクチュエータが適切に整列された分注器218のプライミングポート308に入り込むことを可能にする。
【0029】
分注器218がディスクプライマーアクチュエータ204と整列すると、機械可読識別ラベル310がバーコードリーダ206によって読み取られる。バーコードの情報は、制御システムのメモリと相互参照されて、システムが分注するように指示した、バーコードの情報が試薬ディスクのタイプに関連付けられていることを確認する。適切な関連付けが確認されると、分注処理が続行される。不一致であれば、システムは、所望の分注器がディスクプライマーと適切に整列して配置されなかったことを示すエラー信号を生成する。これは、セントラルターンテーブル、又は個々の回転式コンベアの位置決めシステムの故障を含む、様々なシステム障害の結果であろう。エラー信号は、技術者や作業者に状況を修正するように警告するのに役立つ。適切なバーコード/試薬の関連付けが確認されたと仮定すると、制御システムは、ディスクプライマーアクチュエータ204を作動させるコマンドを送信する。
【0030】
この作動によって、試薬ディスクプライマーアクチュエータ204が、分注器のプライミングポート308に向かって付勢されて押し込まれる(図3D参照)。この作動は、電気機械式、油圧式、空気圧式などとすることができる。ディスクプライマーアクチュエータ204が分注器のプライミングポート308に入り込むと、ディスクプライマーアクチュエータ204が試薬ディスクプライマー314を試薬ディスクリザーバ306に向けて付勢し、それを、キャビティ316を通って移動させ、スプリング324を圧縮し、試薬ディスク(312)のスタックの下から最下部の試薬ディスク326を垂直プランジャ304の真下の位置へと押し出す。そして、図3Eに示すように、ディスクプライマーアクチュエータ204が後退し、スプリング324がディスクプライマー308をその初期位置に戻すように付勢する。この状態では、試薬ディスク326は垂直プランジャ304の下に配置されたままである。ディスクプライマーアクチュエータ204が監視されて、それが全距離を移動して試薬ディスクを分注したことを確認する。試薬ディスクプライマーアクチュエータ204が作動しないか、そうでなければディスクリザーバ306からディスクを進めることが妨げられたならば、ディスクリザーバが空であるか詰まっていることを示し、エラー状態が発生して技術者が呼び出される。垂直プランジャ304は、この処理の全体を通して、内蔵スプリング(図示せず)によって、上向きの伸長位置に付勢されたままである。そして、制御システムは、回転式コンベア(例えば、102)を再配置するコマンドを送信して、分注器218が培養プレート124の上方に配置され、プランジャアセンブリ303及び垂直プランジャ304の上部が複合カム214の真下に配置されるようにする。
【0031】
分注器218が上記のように配置された後、制御システムは、カムシャフト216(図4A)に連結された駆動システム(図示せず)に信号を送り、時計回り方向にカムシャフトを360°回転させる。この回転によって、カムシャフト216に固定された複合カム214がシャフトの軸周りを回転し、複合カム214が垂直プランジャ304と接触して、最終的にはこれを完全に押し下げる。この動作は、図3F,3G及び4A~4Dに示されている。
【0032】
図4Aは、複合カム214と係合する前の分注器218の側面図を示している。垂直プランジャ304の上部は、内蔵スプリング(図示せず)によって、伸長位置の上向きに付勢されている(図3C及び3Eも参照されたい)。図4Aに示すように、アウターカム(アウターカム320が示されている)、及びインナーカム(その位置が点線の陰影付き領域で示されている)のいずれも、分注器218と接触していない。カムシャフト216の位置は、点線の円形領域で示されている。図4Bでは、複合カム214が時計回りに回転して、アウターカム318及び320(320のみが示されている)がプランジャアセンブリ303の上部と接触してこれを押し下げ、内蔵スプリング(図示せず)を圧縮して、プランジャアセンブリ303を培養培地126の表面に向けて下方に移動させる。アウターカムは垂直プランジャ304に係合しないことに留意されたい。むしろ、アウターカムの内壁間の間隔gは、垂直プランジャ304と接触することなく、プランジャアセンブリ303と係合することを可能にする。図4Cでは、複合カム214が、インナーカム322が垂直プランジャ304と完全に係合した位置まで回転したことが示されている。この完全に押し下げられた状態では、垂直プランジャ304の底部が、タンパースプリング328により供給される所定の力で、培養プレート124の培養培地126の表面に試薬ディスク326を押し付ける(図3Fも参照されたい)。そして、複合カム214が、図4Dに示すように、完全に360°回転してその初期開始位置へと戻る。プランジャアセンブリ303及び垂直プランジャ304(内蔵スプリングによって付勢されることは図示されていない)は、プレート124から離れて上向きに後退する。
【0033】
上記の2段階の分注動作は、垂直プランジャ及び静的なプランジャアセンブリを使用するシステムに関して利点がある。最初の分注段階の間、プランジャアセンブリ303が、アウターカム318及び322によって係合して、培養培地の表面に向かって下降する。そして、インナーカム(322)が垂直プランジャ304と係合して、そのプランジャの反対側の端部をプランジャアセンブリ303の下方に伸ばし、試薬ディスクを目標の培養培地の表面に押し付ける。最初にプランジャアセンブリを下降させて目標の培養培地の表面に近づけることによって、垂直プランジャが試薬ディスクを培養培地の表面に押し付ける際に移動しなければならない距離が最小になる。プランジャアセンブリが培養培地の表面に近づくことによってもたらされる機械的安定性、及び垂直プランジャがディスクを分注するために伸長しなければならない距離の結果としての減少の組み合わせによって、ディスク配置の精度と再現性が向上する。
【0034】
各分注器の自己完結型の特徴は、分注システムに多くの利点を提供する。前に説明したように、各分注器は、所定の回転式コンベアに容易に着脱することができる。関連する動力接続や複雑な機械的連結がない。カム動作によって、そのような接続が分注器を容易に相互交換可能にするとともに、回転式コンベアの回転を妨げる作動機構との物理的結合を回避することで、各分注器を係累のないものとすることができる。この自己完結型の特徴はまた、相互汚染に対する固有のガードを提供する。試薬ディスクと接触して最終的に試薬ディスクの排出を容易にする機構は、分注器内に完全に含まれている。複数の分注器からのディスクと接触するローディングステーションに関連付けられた分注機構はない。
【0035】
試薬ディスク326の分注によって、制御システムのメモリが更新されて、試薬ディスクの分注カートリッジ218の試薬ディスクの分注器306に格納された、試薬ディスクのカウント数が1つ減少する。制御システムのメモリは、4つの回転式コンベア上に取り付けられた各分注器について同じディクス数を維持し、分注システムが、システム内のすべての試薬ディスク分注カートリッジ内のディスク数の正確なインベントリを維持できるようにする。そして、システムは、空の分注器を選択することを回避し、特定の分注器が空になったとき、(ユーザインターフェースを介して)作業者に警告を行うことができる。
【0036】
試薬ディスクが所定の培養プレート内に含まれる培養培地に分注されると、追加の試薬ディスクがその上に分注されない場合、その培養プレートは、分注システムから取り除かれてもよい。追加の試薬ディスクを培養プレートに分注する必要がある場合には、マイクロプロセッサベースの制御システムからのコマンドによって、培養プレートがプラットフォーム122によって回転し、プレート内の培養培地の異なる領域に適切に整列して、追加の試薬ディスクをその上に分注することができる。この追加の試薬ディスクは、4つの回転式コンベアの任意の1つに取り付けられた、任意の試薬ディスク分注カートリッジから分注することができる。本発明の特定の実施形態では、分注された試薬ディスク間に60°の最小半径方向間隔が課せられる。これによって、6つの試薬ディスクを単一のプレート上に等距離に配置することができ、隣接するディスクから抗生物質が拡散した重複領域、及びその重複領域の微生物のコロニーにおける複数の抗生物質(又は抗生物質の濃度)の影響により、試薬ディスクを相互に近づけさせず、これによって相互汚染のリスク又は誤った結果となることを回避して、任意のプレートの有用性を最大にすることができる。
【0037】
代替的なセントラルターンテーブルの幾何学的形状、及び異なる個数の取り付けられた回転式コンベアを使用する異なる物理的構成は、開示された本発明の範囲から逸脱せずに実施することができる。例えば、図5は、4つの回転式コンベア(504,506,508及び510)が取り付けられた、X形状のセントラルターンテーブル502を示している。このX形状のターンテーブルは、上記で詳細に説明した円形のターンテーブルシステムと同様に作動する。しかしながら、この構成は、ローディングステーション512の配置について、(回転式コンベア504に取り付けられた)分注器514からの試薬ディスク、及び(回転式コンベア506に取り付けられた)分注器516からの試薬ディスクを、プレート518の培地の表面に同時に分注できるようにする。そのような同時分注は、複数の複合カムが必要になる場合があり、2つの試薬ディスク分注カートリッジの配置を制御するシステムが必要になる。対向する回転式コンベアのそれぞれに1つのカートリッジを配置して、対向する培養プレート124のそれぞれの目標位置に試薬ディスクを同時に分注することを達成する。この二重分注能力によって、分注システム内のプレートのスループットが向上する。本発明による他のターンテーブル/回転式コンベアの構成は、図6A(5つの回転式コンベアの構成)、及び図6B(2つの回転式コンベアの構成)に示されている。
【0038】
図7Aは、本発明のさらに別の複数の回転式コンベアの実施形態を示している。この実施形態では、同心に配置された2つの回転式コンベア(702,704)が、リング形状のターンテーブル(706)に回転可能に取り付けられている。上述の実施形態のように、これらの回転式コンベアは、制御システムから受信したコマンド信号に応答して個別に回転することができる。図示するように、外側の回転式コンベア702は、放射状に取り付けられた64個の個別のカートリッジを有し、試薬ディスクをプレート708に含まれる培地の表面に分注することを可能にする。この分注は、前に説明した実施形態と同じ方法で実行される。外側の回転式コンベア702は、関連するプライマーステーション(710)、ローディングステーション(712)、及び複合カム装置(714)を含み、前に説明した実施形態とほぼ同じ方法でこれらのすべてが作動することに留意されたい。内側の回転式コンベア704は、放射状に取り付けられた32個の分注器を有し、試薬ディスクをプレート716に含まれる培地の表面に分注することを可能にすることが示されている。この場合も、この分注は、プライマーステーション718、ローディングステーション720及び複合カム装置722を利用する、前に説明した実施形態と同じ方法で実行される。
【0039】
図7Bに、代替的な同心回転式コンベアの実施形態が示されている。図7Aの実施形態のように、外側の回転式コンベア702は、関連するプライマーステーション(710)、ローディングステーション(712)及び複合カム装置(714)を有している。内側の回転式コンベア704は、プライマーステーション718、ローディングステーション720及び複合カム装置722を有している。図7Aの実施形態とは異なり、この実施形態は二重の回転式コンベアを配置し、それらがプレート716を跨いで、外側の回転式コンベアからディスクが分注されることを可能にするとともに、内側の回転式コンベアから他のディスクが分注されることを可能にする。これらのディクスは、プレート716の両端にあり、180°の角距離で分かれている。ディスクを同時又は連続して分注することができる。このタイプの分注ストラテジは、システムのスループット時間を大幅に短縮する。
【0040】
追加のセンサ及び制御が、システムに含まれていてもよい。例えば、(超音波近接センサ210などの)近接センサを各プレートプラットフォームに備えることで、所定のプレート内に含まれる培地の表面の高さを感知することができる。そして、この情報は、システムによって複数の目的に利用することができる。例えば、この測定値は、培地の表面に前もって分注されたディスクの感知を可能にする。これは、識別されたプレート内の培地の表面に分注されたディスク配置をシステムが内部追跡するフェイルセーフとして機能する。制御システムのメモリで占有されていないと識別された特定のプレート上の位置でディスクが検知されるか、又は制御システムのメモリで占有されていると識別された特定の位置でディスクの存在をセンサが示さなかった場合、システムは、明らかな不一致を示すエラー信号を生成する。そして、技術者又は作業者が、ユーザインターフェースを介して問題を処理する。
【0041】
近接センサを利用して、培養培地の品質をリアルタイムでチェックし、試薬タブレットを導入する前に、培養培地の表面を走査して高さ/厚さの一貫性を確認することができる。品質が劣る培養培地を含むプレートを識別し、任意の試薬ディスクを培養培地に分注する前に、システムから取り外して、許容できる代替品と交換することができる。近接センサを使用して、プレートプラットフォームの高さを正確に調整することもできる。マイクロプロセッサベースの制御システムからの制御信号に応答する、油圧式、空気圧式又は電気機械式の垂直プラットフォーム高さ調整システムを実装して、表面近接測定の関数としてプレートの高さを正確に調整することができる。高さ調整によって、分注された各ディスクが分注器の垂直プランジャによって、培養培地の表面への所定の浸透が正確に実施されることが保証される。これによって、各ディスク内に含まれる試薬(複数も可能)が、所定のプレート内及びプレート間で、矛盾なく反応することが保証される。
【0042】
本明細書では特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。従って、添付の特許請求の範囲によって定義される、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に様々な修正を加えることができるとともに、他の装置も案出することもできることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7A
図7B