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特許7539384液体、特に水の処理のためのデバイスを有している透析機械及び汚染に関してデバイスをモニタする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】液体、特に水の処理のためのデバイスを有している透析機械及び汚染に関してデバイスをモニタする方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/28 20060101AFI20240816BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20240816BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240816BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B01D61/28
B01D61/58
C02F1/44 A
A61M1/16 160
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021536169
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2019087057
(87)【国際公開番号】W WO2020136230
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102018133664.0
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】スミスロヴァー リュボーフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーゼン ゲルハルト
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-529392(JP,A)
【文献】特表2011-500101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0199526(US,A1)
【文献】特表2013-507151(JP,A)
【文献】特表2018-527976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/22、61/00-71/82
C02F1/44
A61M1/00-1/38
A61M60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持液チャンバ(F1R)と濾過液チャンバ(F1F)とを形成する複数の中空繊維膜であって、前記保持液チャンバ(F1R)及び濾過液チャンバ(F1F)が前記中空繊維膜の半透過性膜壁(F1M)によって互いから分離される複数の中空繊維膜と、
前記保持液チャンバへの流体の供給のための流体ポート(101)と、
前記保持液チャンバからの流体の排出のための流体ポート(102)と、
前記濾過液チャンバからの流体の排出のための少なくとも1つの流体ポート(103a/103b)と、
を更に含む第1の中空繊維膜フィルタ(F1)を含み、
流体を前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)に供給するための前記流体ポート(101)と流体連通している流体ライン(110)と、
流体を前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)から排出するための前記流体ポート(102)と流体連通している流体ライン(111)と、
流体を前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)から排出するための前記流体ポート(102)と流体連通している流体ライン(112)と、
流体を前記保持液チャンバから排出するための前記流体ライン(111)と係合している第1の弁接続部(V1)であって、流体を該保持液チャンバから排出するための該流体ライン(111)を通る流体流れを、それを用いて遮断する又は導通させることができる少なくとも2つの弁位置を有する前記第1の弁接続部(V1)とを更に含む、
流体の処理のための装置(100)であって、
サンプリング点(P1)が、流体を前記保持液チャンバ(F1R)から排出するための前記流体ライン(111)と流体連通している前記第1の弁接続部(V1)の下流に配置され、
前記装置(100)が、
第2の中空繊維膜フィルタ(F2)、
を更に含み、
前記第2の中空繊維膜フィルタは、
中空繊維膜の半透過性膜壁(F 2M )によって互いから分離された保持液チャンバ(F 2R )と濾過液チャンバ(F 1F )とを有する複数の中空繊維膜と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバ(F 2R )の中への流体の供給のための流体ポート(120)と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバ(F 2R )からの流体の排出のための流体ポート(121)と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記濾過液チャンバからの流体の排出のための少なくとも1つの流体ポート(123a/123b)と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバ(F 2R )の中に流体を供給するための前記流体ポート(120)と流体連通している流体ライン(124)と、
を更に含み、
前記装置(100)が、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバ(F 2R )から流体を排出するための前記流体ポート(121)と流体連通している流体ライン(130)と、
前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記濾過液チャンバ(F 2F )から流体を排出するための前記少なくとも1つの流体ポート(123a/123b)と流体連通している流体ライン(131)と、
を更に含み、
該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該チャンバ(F 2R )の中に流体を供給するための前記流体ポート(120)と流体連通している前記流体ライン(124)が前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F 1F )から流体を排出するための前記流体ライン(112)に流体的に接続されている、
ことを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
第2の流体分岐点(110a)が、前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の上流で前記保持液チャンバ(F1R)に流体を供給するための前記流体ライン(110)に配置されることを特徴とし、
第3の流体分岐点(112)が、前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)から流体を排出するための前記流体ライン(112)に配置されることを更に特徴とし、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に流体を供給するための前記流体ライン(110)上の前記第2の流体分岐点(110a)と、該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)から流体をを排出するための前記流体ライン(112)上の前記第3の流体分岐点(112a)とは、流体ライン(114)によって流体的に接続されることを更に特徴とし、
第3の弁接続部(V3)が、前記第2の流体分岐点(110a)と前記第3の流体分岐点(112a)の間で前記流体ライン(114)と係合して配置され、該第3の弁接続部(V3)は、少なくとも2つの弁位置を有し、それにより、該第2の流体分岐点(110a)と該第3の流体分岐点(112a)の間で該流体ライン(114)を通る流体を遮断する又は導通させることができることを更に特徴とし、
第4の弁接続部(V4)が、前記濾過液チャンバ(F1F)から流体を排出するための前記流体ライン(112)と係合して前記第3の流体分岐点(112a)の下流に配置され、該第4の弁接続部(V4)は、少なくとも2つの弁位置を有し、それにより、該濾過液チャンバから流体を排出するための該流体ライン(112)を通る流体の流れを遮断する又は導通させることができる、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第5の弁接続部(V5)が、前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)に流体を供給するための前記流体ライン(110)と係合して該第1の中空繊維膜フィルタの該保持液チャンバ(F1R)に流体を供給するための該流体ライン(110)上の前記第2の流体分岐点(110a)と該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の間で該中空繊維膜フィルタ(F1)の上流に配置され、該第5の弁接続部(V5)は、少なくとも2つの弁位置を有し、それにより、該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の該保持液チャンバ(F1R)に流体を供給するための該流体ライン(110)を通る流体の流れを遮断する又は導通させることができる、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第4の流体分岐点(130a)が、前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)から流体を排出するための前記流体ポート(121)の間で前記流体ライン(130)に配置され、そこから第4の流体分岐点(130a)に流体的に接続した第2の分岐流体ライン(132)が分岐することを特徴とし、該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該保持液チャンバ(F2R)から流体を排出するための前記流体ライン(130)と係合している第6の弁接続部(V6)が、該第4の流体分岐点(130a)の下流に配置されることを更に特徴とし、該第6の弁接続部(V6)は、少なくとも2つの弁位置を有し、それにより、該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該保持液チャンバ(F2R)から流体を排出するための該流体ライン(130)を通る流体の流れを遮断する又は導通させることができ、
前記第2の分岐流体ライン(132)は、第4のサンプリング点(P4)と流体連通している、
請求項に記載の装置。
【請求項5】
装置が、少なくとも1つの第2の中空繊維膜フィルタ(F2)を更に含み、
前記第2の中空繊維膜フィルタは、
中空繊維膜の半透過性膜壁(F2M)によって互いから分離された保持液チャンバ(F2R)と濾過液チャンバ(F2F)とを形成する複数の中空繊維膜と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバ(F2R)の中への流体の供給のための流体ポート(120)と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバ(F2R)からの流体の排出のための流体ポート(121)と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記濾過液チャンバ(F2F)からの流体の排出のための少なくとも1つの流体ポート(123a/123b)と、
を更に含み、
装置(100)が、
前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)の中に流体を供給するための少なくとも1つの流体ライン(112)と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記濾過液チャンバ(F2F)から流体を排出するための前記少なくとも1つの流体ポート(123a/123b)と流体連通している少なくとも1つの流体ライン(131)と、
を更に含み、
装置(100)が、
第2の流体分岐点(110a)が前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の上流で該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)に流体を供給するための前記流体ライン(110)に配置されることを更に特徴とし、装置(100)が前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記濾過液チャンバ(F2F)から流体を排出するための前記流体ライン(131)上に第5の流体分岐点(131a)を含み、第4のサンプリング点(P4)が該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該保持液チャンバ(F2R)から流体を排出するための前記流体ライン(130)に第4の流体分岐点(130a)を通して流体連通して配置されることを更に特徴とし、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に流体を供給するための前記流体ライン(110)上の前記第2の流体分岐点(110a)と前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記濾過液チャンバ(F2F)から流体を排出するための前記流体ライン(131)上の前記第5の流体分岐点(131a)とに流体連通している流体ライン(115)の配置を更に特徴とし、第3の弁接続部(V3)が、該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の該保持液チャンバ(F1R)の中に流体を供給するための該流体ライン(110)上の該第2の流体分岐点(110a)と該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該濾過液チャンバ(F2F)から流体を排出するための該流体ライン(131)上の該第5の流体分岐点(131a)との間で該流体ライン(115)と係合して配置され、該第3の弁接続部(V3)は、少なくとも2つの弁位置を有し、それにより、該第2の流体分岐点と該第5の流体分岐点の間で該流体ライン(115)を通る流体の流れを遮断する又は導通させることができることを更に特徴とし、
前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)に流体を供給するための前記流体ポート(120)は、前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)から流体を排出するための前記少なくとも1つの流体ポート(103a/103b)と流体ライン(112)を通じて流体連通していることを更に特徴とし、
第5の弁接続部(V5)が、前記保持液チャンバ(F1R)の中への流体のための前記流体ライン(110)と係合している前記第2の流体分岐点(110a)と前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)との間で該フィルタ(F1)の上流に配置され、該第5の弁接続部(V5)は、少なくとも2つの弁位置を有し、それにより、該保持液チャンバに流体を供給するための該流体ライン(110)内の流体の流れを遮断する又は導通させることができることを更に特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
装置が、分析装置を含み、それを用いてそれぞれのサンプルでの汚染物質の濃度に対する分析値をサンプリング点で得られたサンプルから決定することができ、
装置が、前記第1の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバから前記濾過液チャンバに至る流体の容積を決定するための手段を更に含み、
装置が、流体の容積を決定するための手段を更に含み、それを用いて前記汚染物質は、前記サンプリング点まで洗い流され、装置が、電子評価ユニットを更に含み、
前記ユニットは、それぞれのサンプル内の汚染物質の濃度に関する前記分析値、前記第1の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバから前記濾過液チャンバの中に至る流体の前記容積、及び該汚染物質が前記サンプリング点までそれを用いて洗い流される流体の前記容積から装置に提供される該流体の汚染値をそれを用いて決定することができる換算係数を決定するように構成されることを特徴とする、
請求項1ないしの少なくとも1項に記載の装置。
【請求項7】
透析のための流体の処理をモニタする方法であって、
請求項1に記載の装置(100)を与える段階と、
前記第1の弁接続部(V1)及び潜在的な前記第2の弁接続部(V2)を遮断位置に設定する段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に流体を導入する段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)から前記濾過液チャンバ(F1F)まで前記中空繊維膜の前記膜壁(F1M)にわたって前記流体を濾過し、該濾過液チャンバ(F1F)に流体を回収し、それによって未処理流体内の汚染物質が濾過中に該中空繊維膜によって保持される段階と、
前記濾過液チャンバ(F1F)から前記流体を排出する段階と、
予め決められた容積の流体が濾過によって前記濾過液チャンバの中に通された後に前記第1の弁接続部(V1)を導通位置に設定する段階であって、前記第2の弁接続部は、適用可能な場合に遮断弁位置に留まる前記設定する段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に更に別の流体を導入する段階と、
を含み、
サンプルが、前記第1の弁接続部(V1)の下流の前記第1のサンプリング点(P1)で採取され、該サンプルは、汚染に関して分析されることを特徴とし、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に更に別の流体を導入する段階と、
を含み、
サンプルが、前記第1の流体分岐点(111a)の下流の前記第2のサンプリング点(P2)で採取され、該サンプルは、汚染に関して分析されることを特徴とする、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第1の中空繊維膜フィルタの前記濾過液チャンバ(F1F)の中に濾過によって通される流体の前記予め決められた容積は、少なくとも20リットル又はそれよりも多く、好ましくは少なくとも100リットル又はそれよりも多く、更に好ましくは少なくとも200リットル又はそれよりも多くに達する、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
流体の処理をモニタする方法であって、
請求項2に記載の装置(100)を与える段階と、
前記第1の弁接続部(V1)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第3の弁接続部(V3)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第4の弁接続部(V4)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に流体を導入する段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記中空繊維膜の前記膜壁(F1M)にわたって前記流体を濾過し、それによって該流体内の汚染物質が、該濾過中に該中空繊維膜の該膜壁(F1M)によって保持される段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)から前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)まで流体を通す段階と、
前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記中空繊維膜の前記膜壁(F1M)を通して該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)内の前記流体を濾過し、それによって該流体内の汚染物質が該濾過中に該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該中空繊維膜の該膜壁(F1M)によって保持される段階と、
前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記濾過液チャンバ(F2F)から流体を排出する段階と、
その後に、前記第1の弁接続部(V1)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第3の弁接続部(V3)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第4の弁接続部(V4)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第1の弁接続部(V1)を導通弁位置に設定する段階と、
予め決められた容積の流体が濾過によって前記濾過液チャンバ(F1F)まで通された後に、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)内の前記流体を該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記中空繊維膜の前記膜壁(F1M)を通して該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に濾過し、それによって汚染物質が該濾過中に該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の該保持液チャンバ(F1R)から洗い流される段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)から流体を排出する段階と、
を含み、
サンプルが、前記第1の弁接続部(V1)の下流の前記第1のサンプリング点(P1)で採取され、該サンプルは、汚染に関して分析される、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
流体の処理をモニタする方法であって、
請求項3に記載の装置(100)を与える段階と、
前記第1の弁接続部(V1)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第5の弁接続部(V5)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第3の弁接続部(V3)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第4の弁接続部(V4)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に流体を導入する段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記中空繊維膜の前記膜壁(F1M)を通して前記流体を濾過し、それによって該流体内の汚染物質が、該濾過中に該中空繊維膜の該膜壁によって保持される段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)から前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)まで流体を通す段階と、
前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)内の前記流体を該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記中空繊維膜の前記膜壁(F2M)を通して濾過し、それによって該流体内の汚染物質が該濾過中に該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該中空繊維膜の該膜壁(F2M)によって保持される段階と、
前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記濾過液チャンバ(F2F)から流体を排出する段階と、
その後に、前記第1の弁接続部(V1)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第5の弁接続部(V5)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第3の弁接続部(V3)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第4の弁接続部(V4)を遮断弁位置に設定する段階と、
予め決められた容積の流体が、濾過によって前記濾過液チャンバ(F1F)まで通された後に、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)内の前記流体を該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記中空繊維膜の前記膜壁(F1M)を通して該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に濾過し、それによって汚染物質が該濾過中に該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の該保持液チャンバ(F1R)から洗い流される段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)から流体を排出する段階と、
を含み、
サンプルが、前記第1の弁接続部(V1)の下流の前記第1のサンプリング点(P1)で採取され、該サンプルは、汚染に関して分析される、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
流体の処理をモニタする方法であって、
請求項に記載の装置(100)を与える段階と、
前記第1の弁接続部(V1)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第6の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に流体を導入する段階と、
前記中空繊維膜の前記膜壁(F1M)を通して前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)から前記濾過液チャンバ(F1F)まで流体を濾過し、かつ流体を該濾過液チャンバ(F1F)に回収し、それによって該流体内の汚染物質が該濾過中に該中空繊維膜によって保持される段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)から前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)まで流体を通す段階と、
予め決められた容積の流体が濾過によって前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ(F1F)まで通された後に前記第6の弁接続部(V6)を遮断弁位置に設定する段階と、
更に、前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に流体を導入し、該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記濾過液チャンバ内で流体を濾過し、該第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の該濾過液チャンバ(F1F)から前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)まで流体を通す段階と、
を含み、
サンプルが、前記第4のサンプリング点(P4)で採取され、該サンプルは、汚染に関して分析される、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
流体の処理をモニタする方法であって、
請求項に記載の装置(100)を与える段階と、
前記第1の弁接続部(V1)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第5の弁接続部(V5)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第3の弁接続部(V3)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第6の弁接続部(V6)を導通弁位置に設定する段階と、
前記中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)の中に流体を導入する段階と、
前記中空繊維膜の前記膜壁を通して前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F1R)から前記濾過液チャンバ(F1F)まで前記流体を濾過し、かつ該濾過液チャンバ(F1F)に流体を回収し、それによって該流体内の汚染物質が該濾過中に該中空繊維膜によって保持される段階と、
前記第1の中空繊維膜フィルタの前記濾過液チャンバ(F1F)から前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)まで流体を通す段階と、
前記中空繊維膜の前記膜壁(F2M)を通して前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記保持液チャンバ(F2R)から前記濾過液チャンバ(F1F)まで流体を濾過し、かつ該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該濾過液チャンバ(F1F)に流体を回収し、それによって未処理流体内の汚染物質が該濾過中に該中空繊維膜によって保持される段階と、
前記第2の中空繊維膜フィルタの前記濾過液チャンバ(F1F)から流体を排出する段階と
その後に、前記第5の弁接続部(V5)を遮断弁位置に設定する段階と、
前記第3の弁接続部(V3)を導通弁位置に設定する段階と、
前記第6の弁接続部(V6)を遮断弁位置に設定する段階と、
予め決められた容積の流体が、濾過によって前記濾過液チャンバ(F1F)まで通された後に、
前記第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の前記濾過液チャンバ(F2F)の中に流体を導入し、前記中空繊維膜の前記膜壁(F2M)を通して該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該濾過液チャンバ(F2F)から前記保持液チャンバ(F2R)まで流体を濾過し、かつ該第2の中空繊維膜フィルタ(F2)の該保持液チャンバ(F2R)に流体を回収し、それによって該中空繊維膜によって保持された汚染物質が、該濾過中に該第2の中空繊維膜フィルタの該保持液チャンバから洗い流される段階と、
を含み、
サンプルが、前記第4のサンプリング点(P4)で採取され、該サンプルは、汚染に関して分析される、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
サンプルが、前記サンプリング点(P1、P2)のうちの1つで採取され、汚染物質の濃度に対する分析値が、分析装置を用いて決定され、
前記第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の前記保持液チャンバ(F 1R から前記濾過液チャンバ(F 1F まで通された流体の容積が更に決定され、
前記汚染物質が前記サンプリング点(P1、P2)までそれを用いて洗い流される流体の容積が更に決定され、
換算係数が、それぞれのサンプルでの前記汚染物質濃度に関する前記分析値から前記第1の中空繊維膜フィルタの前記保持液チャンバから前記濾過液チャンバまで通された流体の前記容積及び前記汚染物質が前記サンプリング点までそれを用いて洗い流された流体の前記容積と、オプションで、それぞれ前記装置(100)に供給される該流体の汚染値とを決定するように構成された電子評価ユニットを用いて決定されることを特徴とする、
請求項7ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から請求項の少なくとも1項に記載の流体の処理のための装置(100)、
を含むことを特徴とする透析機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1又は2以上の中空繊維膜フィルタでの流体の処理、特に透析のための水の処理のための装置を含む透析機械、並びに装置自体の相応に説明する実施形態に関する。本発明は、更に、流体、特に水を処理するための装置を汚染に関してモニタする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析の分野では、透析流体を生成するのに大容積の水が必要である。腎臓疾患を有する患者の通常の透析処置中に120リットルまでの透析流体が使用される。この処置に向けて提供される透析流体は、腎臓患者の薬剤的に許容可能な治療処置を可能にするために高い純度を有し、汚染が不在である必要がある。透析流体の生成、搬送、及び提供を実質的に保証する水圧システムを有する透析機械が公知である。ある一定の用途では、透析流体は、それにより、提供された透析濃縮液及び処理水から透析機械内で生成される。水は、それにより、混合チャンバ内で透析濃縮液と混合されて使用待機透析流体に変換される。
【0003】
衛生上の理由から、透析流体の生成では可能な最も高い純度の水が使用される。10-4S/m又はそれよりも低い導電率を有する超純水が、透析流体を生成するのに好ましくは使用される。この高い純度にも関わらず、簡易又は繰り返し濾過によって提供された時に超純水を処理し、かつ処置中に患者に対して悪影響を有する可能性があると考えられる汚染物質を取り除くことが更に必要である。特に、これは、水の導電率を増大するのに寄与しない微粒子汚染物質も意味する。そのような汚染物質は、例えば、細菌、ウイルス、内毒素、又は菌類とすることができる。
【0004】
すなわち、公知の透析のための透析機械及び水処理システムは、DE 36 41 843 A1に説明されているように、より低い純度で提供される流体、特に水が簡易又は繰り返し濾過によって透析のために調製される水処理ユニットを含む。追加の成分、例えば、透析濃縮液は、こうして処理された流体、特に水を所要の純度の透析流体に更に処理するのに使用することができる。透析流体の生成は、それにより、更に別の透析流体成分を用いて処理されて使用待機透析流体に変換される純水で開始することができる。しかし、それは、使用待機透析流体の成分、例えば電解液を予め含有する水性前駆体液から開始することができ、これは、次に、更に別の透析流体成分を用いて更に処理されて使用待機透析流体に変換される。
【0005】
透析流体の生成に使用するための水の処理中に、提供された流体、特に提供された水は、フィルタを通して濾過される。それにより、通常使用されるのは、流体、特に水に存在する汚染物質を濾過中に中空繊維膜の膜壁によって保持することができるような性質の膜特性を有する中空繊維膜フィルタである。そのような中空繊維膜フィルタの中空繊維膜は、それにより、例えばサイズが10nm又は20nmの汚染物質を保持することができる排除限界を有する。全ての汚染物質が、可能である時はいつでも濾過によって保持されるので、汚染物質は、透析のための液体、特に水を連続的に処理する行程中に中空繊維膜フィルタ内で濃縮する。しかし、フィルタ内で高まる汚染物質濃度は、水処理中に望ましくない。更に、いわゆる置換流体も、提供された流体、特に水から水精製及び濾過を用いて透析療法では通常は調製される。そのような置換流体は、体外血液循環の体外血液を通じて透析患者に投与される。水処理システムの中空繊維膜フィルタの破損によって引き起こされる汚染物質に起因するこれらの置換流体の汚染は、次いで、患者の有機体の中に直接に侵入し、すなわち、患者に対して極度に危険であり、全ての場合に防止されるべきである。
【0006】
US 2009/217777は、例えば、飲料水又は医療使用のための物質の生成工程での汚染物質の潜在的な存在を検出する問題を参照している。この目的に対して、US 2009/217777は、流体に存在する検体を濃縮するための方法及び装置を説明している。この方法は、検体を含有する保持液を形成して回収する段階を含む。保持液は、検体がサイズ排除に起因して通過することができない限外濾過膜に検体含有流体を通すことによって形成される。限外濾過膜は、濾過された流体が蓄積する透過液側-区域から検体が濃縮する保持液側-区域を分離する。保持液は、ガスを用いて濾過液を限外濾過膜の透過液側から排出し、保持液と検体とを含有する保持溶液を生成するためにガスを用いて限外濾過膜の保持液側を洗い流し、かつ保持溶液を回収することによって回収される。
【0007】
透析のための流体又は水の処理で観察される特殊条件に鑑みて、透析機械内の汚染物質のモニタ及び検出のための従来技術の公知の方法及び装置は、不十分であることを実証している。すなわち、透析のための流体の処理、特に水の処理では、透析機械内の水処理を医療の観点から患者に対してより安全にする継続的な必要性が存在する。すなわち、特に、流体、特に水を処理するための装置の許容不能に高い汚染時に適切な結論を引き出すことができるように、透析のための流体、特に水を処理する過程をモニタすることができる必要性、及び処置中に透析機械内の処理された流体、特に水の品質、並びに処理システムの汚染を確実に検査する方法を提供する必要性が存在する。必要に応じて、流体、特に水の潜在的な汚染を防止することを可能にし、例えば、処理システムの影響を受けた機能部品を交換することを可能にするその後の適切な対策を次に開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】DE 36 41 843 A1
【文献】US 2009/217777
【文献】DE 3641843A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の態様では、課題は、従って、流体、特に水の処理中の汚染物質のモニタを可能にする流体の処理のための装置、特に水の処理のための装置を閉じ込める装置又はそれぞれ透析機械を提供することである。
【0010】
本発明の更に別の態様では、課題は、流体の処理のための装置、特に透析のための水の処理のための装置を閉じ込める装置又はそれぞれ透析機械の汚染を決定することができる流体の処理、特に透析のための水の処理をモニタする方法を提供する課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様では、この課題は、請求項1に記載の流体、特に水を処理するための装置を用いて発明的に解決される。従属請求項2から7は、好ましい実施形態を構成する。請求項15は、更に、請求項1から7に記載の装置を含む透析機械に関する。
【0012】
本発明の更に別の態様では、この課題は、請求項8に記載の流体、特に水の処理をモニタする方法によって発明的に解決される。請求項8から14は、更に別の実施形態を構成する。
【0013】
以下の詳細説明では、本発明による透析機械及び本発明による装置は、常に一緒に説明する。そこで議論する好ましい実施形態は、装置自体、並びにそれぞれの装置を閉じ込める透析機械を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、請求項1に記載の装置の1つの発明的実施形態の概略図を示している。
図2図2は、流体、特に水の処理のための本発明の装置の更に別の実施形態の概略図を示している。
図3図3は、流体、特に水を処理するための本発明の装置100の更に別の実施形態の更に別の概略図を示している。
図4図4は、流体、特に水を処理するための本発明の装置100の更に別の実施形態の更に別の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の態様は、流体の処理、特に透析のための水の処理のための装置又はそれを含むそれぞれ透析機械に関し、これは、第1の中空繊維膜フィルタを含み、第1の中空繊維膜フィルタは、保持液チャンバと濾過液チャンバとを形成する複数の中空繊維膜であって、保持液チャンバと濾過液チャンバとが中空繊維膜の半透過性膜壁によって互いから分離された上記中空繊維膜と、保持液チャンバへの流体、特に水の供給のための流体ポートと、保持液チャンバからの流体、特に水の排出のための流体ポートと、濾過液チャンバからの流体、特に水の排出のための少なくとも1つの流体ポートとを含み、装置は、更に、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに供給するための流体ポートと流体連通している流体ラインと、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出するための流体ポートと流体連通している流体ラインと、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ポートと流体連通している流体ラインと、流体、特に水を保持液チャンバから排出するための流体ラインと係合している第1の弁接続部であって、流体を保持液チャンバから排出するための流体ラインを通る流体流れを遮断するか又は導通させることを可能にする少なくとも2つの弁位置を有する上記第1の弁接続部とを含み、任意的に、更に、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出するための流体ラインにあり、第1の分岐流体ラインと流体連通している第1の流体分岐点と、第1の分岐流体ラインと係合している第2の弁接続部であって、第1の分岐流体ラインを通る流体、特に水の流れを遮断するか又は導通させることを可能にする少なくとも2つの弁位置を有する第2の弁接続部とを含み、流体、特に水を保持液チャンバから排出するための流体ラインと流体連通している第1の弁接続部の下流にサンプリング点が配置されること、及び/又は第1の分岐流体ラインと流体連通している第2の弁接続部の下流に第2のサンプリング点が配置されることを特徴とする。本明細書で定める装置は、透析機械内で水処理ユニットの一部として利用することができる。
【0016】
本発明の第1の態様による装置又はそれを含むそれぞれ透析機械は、サンプルを採取し、それを汚染分析に向けて提供することができる第1の弁接続部の調整によって流体、特に透析のための水に対する透析機械処理方法中にサンプルを引き込むことを可能にするという利点を有する。特に、第1の弁接続部を遮断位置に設定することにより、流体、特に水が第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内に導入されて「デッドエンド」濾過を受ける。導入された流体、特に水は、膜壁を濾過液チャンバの中に通過し、それによって濾過される。この場合に、第1の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜は、「デッドエンド」濾過中に汚染物質を中空繊維膜の膜壁によって保持して保持液チャンバ内で濃縮するように設計される。
【0017】
第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内への流体、特に水の導入、及び中空繊維膜の膜壁を通る濾過液チャンバ内への流体、特に水の通過は、例えば、ローラーポンプ、ギヤポンプ、又はインペラポンプのような適切なポンピング機構によって達成することができる。当業者は、透析技術の分野で適切で一般的なポンピング手段に精通していると考えられる。
【0018】
第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内の汚染物質の濃度は、流体を保持液チャンバから排出するための流体ラインを通して流体を排出することができるように第1の弁接続部の弁位置を設定することによって検査することができる。この弁接続部設定では、濃縮汚染物質は、保持液チャンバから洗い流され、それを第1の弁接続部の下流で第1のサンプリング点を通してサンプリングし、分析に出すことができる。この処理では、第2の弁接続部のいずれか所与の弁位置は遮断位置に留まる。
【0019】
これに代えて、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内の汚染物質の濃度は、第1の弁接続部の弁位置を遮断位置に留め、第2の弁接続部の弁位置を導通弁位置にもたらすことによって検査することができる。この弁接続部設定を使用すると、濃縮汚染物質は保持液チャンバから洗い流され、それを第2のサンプリング点を通してサンプリングし、分析に出すことができる。
【0020】
有利なことに、中空繊維膜の膜壁を通して濾過液チャンバに搬送された予め決められた量の流体、特に水からのサンプルを第1又は第2のサンプリング点から繰り返し引き出し、潜在的な汚染に関して検査し、システムの又は提供された流体、特に提供された水の汚染度に関する結論を引き出すことができる。提供された流体中に低い汚染が予想されることになる限り、汚染物質は、その濃度が分析的に可能な検出限界よりも大きくなく、それによってそのような濃度の不在時に検出されないであろう汚染を確実に確認することができるまで長期にわたって保持液チャンバ内で濃縮し続けることができる。汚染に起因する患者に対する悪影響が、検出可能な汚染物質量未満で既に出始めている可能性があるので、上述の点は、衛生の観点から透析処置において重要である。従って、汚染物質のこの濃度は、利用可能な流体、特に水が許容不能に高い汚染度を既に示すか否かの結論を可能にする。実際に、上述のように第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバを通して濾過液として得られる予め決められた容積は、利用可能な流体、特に水に対する汚染度に依存して20リットル又はそれよりも多く、30リットル又はそれよりも多く、50リットル又はそれよりも多く、100リットル又はそれよりも多く、又は200リットル又はそれよりも多いとすることができる。
【0021】
流体の処理のための装置内では、汚染物質保持機能によって特徴付けられる膜特性を有する中空繊維膜を有する中空繊維膜フィルタが使用される。従って、中空繊維膜の選択層の孔隙サイズは、汚染物質保持性に関連する。この関連での「中空繊維膜」は、多孔壁と流体、特に水に対する透過性とを有する中空繊維であると理解しなければならない。流体処理中に例えばウイルスも保持される場合に、20nmよりも小さく、好ましくは10nmよりも小さい最大平均孔隙サイズを有する中空繊維膜の使用が得策である。
【0022】
本発明により使用可能な中空繊維膜フィルタ及びそのような中空繊維膜フィルタの構造詳細は、従来技術から当業者には十分に公知であろう。それに関しては、DE 3641843A1を参照されたい。
【0023】
本発明により使用される中空繊維膜フィルタでは、フィルタモジュールの内部は、中空繊維膜の膜壁と端部にある硬質密封区域とによって互いから分離された「保持液チャンバ」と「濾過液チャンバ」とに分割される。フィルタモジュールの「保持液チャンバ」は、汚染物質の保持に向けて設けられる。処理される流体は、膜壁を通じた濾過によって「濾過液チャンバ」に到達することができる。未濾過流体と汚染物質は、保持液チャンバ内に留まり、これらを「保持液」と呼ぶ。膜壁を横断することによって濾過液チャンバに到達した流体を「濾過液」と呼ぶ。
【0024】
本発明の意味での「デッドエンド」濾過は、流体、特に水は、流体ポートを通して中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入されるが、同時に保持液チャンバからの流体の排出は、第1の弁の遮断位置によって遮断される方法であると理解しなければならない。保持液チャンバの中に流れ込んだ流体、特に水は、次いで、強まる圧力勾配によって膜壁を通して濾過液チャンバの中に流し込まれる。中空繊維膜フィルタを使用する場合に、「デッドエンド」方法は、通常は流体を中空繊維膜の管腔側で流体入口を通して中空繊維膜フィルタの中に導入することによって達成される。中空繊維膜の端部は、それにより、そこから液体が漏出することができないように密封又は塞がれる。特に、多くの場合に、濾過される全ての流体が膜壁を通過し、それを濾過液として排出することができるように、中空繊維膜フィルタの他端にある第2の流体入口は塞がれる。
【0025】
本出願で定める「流体ポート」は、流体、特に透析のための水を中空繊維膜フィルタの中、例えば、保持液チャンバ又は濾過液チャンバのいずれかの中に通過させて導入することを可能にするフィルタモジュールへの接続部を意味する。そのように呼ぶ流体入口は、流体を排出する、特に、フィルタモジュールの保持液チャンバ又は濾過液チャンバから濾過液又は保持液を排出することにも同じく適している。
【0026】
ポンピング手段は、提供された流体、特に提供された水を保持液チャンバの中にポンピングする。本出願で定める「ポンピング手段」は、圧力変化によって液体をポンピングすることができるいずれかの手段を意味する。本発明の方法は、特に、医療技術の分野で熟知されている膜ポンプ又は蠕動ポンプ、特にチューブローラーポンプの使用を可能にする。一般的に、本出願の意味では、適切なポンピング手段は、流体、特に水を処理するのに必要である場合に流体ライン、弁接続部、流体ポート、及び中空繊維膜フィルタを通じた流体の供給及び排出をサポートすることを理解しなければならない。
【0027】
本発明の装置に提供された流体、特に水を搬送するのに適切なあらゆる接続システムは、「流体ライン」として機能することができる。医療技術、特に透析で公知の可撓性ホース又はチューブ接続システムは、特に流体ラインとして機能することができる。
【0028】
本出願で定める「流体分岐点」は、1つの構造ユニットへの少なくとも3つの流体ラインの合流を意味する。当業者は、例えば、いわゆる「T継手」又は「Y継手」のような透析技術での対応する構造要素に精通していると考えられる。従って、流体分岐点は、流体ラインを通して流される流体を少なくとも2つの更に別の流体ライン内に更に流し込むものと理解しなければならない。同様に、本出願の意味での流体分岐点は、少なくとも2つの流体ラインを通して流される流体を1つの更に別の流体ライン内に更に流し込むものと理解しなければならない。
【0029】
本出願で定める「上流」及び「下流」という用語は、本発明の装置を通して流される流体、特に水の進行方向を意味する。本出願の理解では、「進行方向」は、流体、特に水の処理及びいずれかの潜在的な繰り返し濾過に関する本発明の装置内の流体、特に水の基本流れ方向に位置合わせしている。本明細書では、「基本流れ方向」は、
・流体ライン及び流体ポートを通じた中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内への流体、特に水の導通、
・潜在的な中空繊維膜フィルタの保持液チャンバからの流体、特に水の排出、
・中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバ内への膜壁を通る流体、特に水の通過、
・中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバからの流体ポート及び流体ラインを通じた流体、特に水の排出、
・潜在的な分岐流体ラインを通じた抽出点及びサンプリング点への流体、特に水の導通、
であると理解しなければならない。本説明の流れ方向に沿う進行方向を「上流」と呼ぶ。本説明の流れ方向と反対の進行方向を「下流」と呼ぶ。本出願では、上述した流れ方向と反対に延びる流れ方向も説明する。本出願により、「上流」及び「下流」という用語は、これらの反対流れ方向には適用することができない。
【0030】
本出願で定める「流体の処理」、特に「水の処理」という用語は、処理された流体、又は特に処理された水を更に別の使用に向けて利用可能にするために提供された流体、特に提供された水中の不純物、特に汚染物質を枯渇させる方法であると理解しなければならない。「枯渇」は、不純物又は汚染物質の濃度の低下を意味する。透析のための水を処理する例を使用すると、これは、例えば、都市又は地区の公共水道システムを通して提供される飲料水に、透析患者の治療処置での使用に向けて利用可能にするための更に別の精製を提供することを意味することが可能である。透析に必要とされる水質は、ISO13359:2014規格に概説されており、透析流体に必要とされる品質は、ISO11663:2014規格に概説されている。特に、水は、イオン交換器又は逆浸透システムによって提供することができる。
【0031】
本発明の第1の態様による一実施形態では、本発明の装置又はそれを含むそれぞれ透析機械は、保持液チャンバに流体、特に水を提供するための流体ラインからの第2の流体分岐点が第1の中空繊維膜フィルタの上流に配置されることを特徴とし、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ライン内に第3の流体分岐点が配置されることを更に特徴とし、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に供給するための流体ライン上の第2の流体分岐点と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ライン上の第3の流体分岐点とが流体ラインによって流体的に接続されることを更に特徴とし、第2の流体分岐点と第3の流体分岐点の間の流体ラインと係合している第3の弁接続部が配置され、第3の弁接続部は、第2の流体分岐点と第3の流体分岐点の間の流体ラインを通る流体、特に水の流れを遮断するか又は導通させることを可能にする少なくとも2つの弁位置を有することを更に特徴とし、流体、特に水を濾過液チャンバから排出するための流体ラインと係合している第4の弁接続部が第3の流体分岐点の下流に配置され、第4の弁接続部は、流体、特に水を濾過液チャンバから排出するための流体ラインを通る流体、特に水の流れを遮断するか又は導通させることを可能にする少なくとも2つの弁位置を有することを更に特徴とする。
【0032】
この実施形態により、保持液チャンバ内で濃縮された少なくとも第1の中空繊維膜フィルタの汚染物質をプレフラッシングとバックフラッシングの同時過程及びサンプル抽出に利用可能にすることができる。この実施形態に関して、「プレフラッシング過程」は、中空繊維膜フィルタの保持液チャンバをその内外に流体、特に水を供給及び排出するための流体ポートを通して流体、特に水で洗い流すことと理解しなければならない。汚染物質は、すなわち、保持液チャンバから排出され、第1のサンプリング点でのサンプリングによって回収され、分析に供給することができる。
【0033】
この実施形態に関して、「バックフラッシング過程」は、流体、特に水を中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバの中に流し込み、そこから中空繊維膜の膜壁を通して保持液チャンバの中に流し込むことと理解しなければならない。そこから、流体、特に水は、保持液チャンバから流体を排出するための流体ポート及び流体ラインを通して排出され、上述の第1又は第2のサンプリング点に流され、そこでサンプルを回収して汚染に関して分析することができる。
【0034】
有利なことに、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバにあり、中空繊維膜の膜壁に付着し、プレフラッシング過程単独では洗い流すのが困難な汚染物質は、バックフラッシング過程によって洗い流すことができる。従って、同時のプレフラッシングとバックフラッシングは、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内の汚染物質のサンプリング及び分析による検出に対してより高い精度の可能性を与える。
【0035】
本発明の第1の態様による更に別の実施形態では、本発明の装置又はそれぞれ透析機械は、流体、特に透析のための水を処理するための装置内の中空繊維膜フィルタの上流で流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに供給するための流体ラインの第2の流体分岐点と第1の中空繊維膜フィルタ自体の間に第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに流体、特に水を供給するための流体ラインと係合している第5の弁接続部が配置され、第5の弁接続部が、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに供給するための流体ラインを通る流体、特に水の流れを遮断するか又は導通させることを可能にする少なくとも2つの弁位置を有することを特徴とする。
【0036】
この実施形態により、第1の中空繊維膜フィルタは、交互のプレフラッシング過程とバックフラッシング過程とを受けることができ、更に、プレフラッシングとバックフラッシングとを同時に実施することができる。プレフラッシング過程を行うために、第1及び第5の弁接続部の弁位置が導通位置に設定され、第3及び第4の弁接続部の弁位置が遮断位置に設定される。流体、特に水は、保持液チャンバを通して流され、相応に汚染物質を第1のサンプリング点又は第2のサンプリング点でのサンプリングによって汚染に関して分析することができる。
【0037】
バックフラッシング過程を実施するために、第3及び第5の弁接続部が導通弁位置に設定され、流体、特に水は、中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバの中に流し込まれ、膜壁を通して保持液チャンバの中に送り込まれる。サンプルは、第1のサンプリング点又は第3のサンプリング点で採取することができる。第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバからの汚染物質の洗い流しを改善するために、プレフラッシングとバックフラッシングは、交互に繰り返すことができる。
【0038】
プレフラッシング過程とバックフラッシング過程を同時に実施するために、第5、第3、第4、及び第1の弁位置が導通弁位置に設定される。
【0039】
本発明の第1の態様による更に別の実施形態では、流体、特に透析のための水を処理するための本発明の装置又はそれを含むそれぞれ透析機械は、この装置が、複数の中空繊維膜であって、その半透過性膜壁によって互いから分離された保持液チャンバと濾過液チャンバとを有する上記中空繊維膜を含む少なくとも1つの第2の中空繊維膜フィルタであって、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内への流体、特に水の供給のための流体ポートと、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバからの流体、特に水の排出のための流体ポートと、第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバからの流体、特に水の排出のための流体ポートとを含む上記第2の中空繊維膜フィルタを含み、更に、この装置が、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に供給するための流体ポートと流体連通している流体ラインと、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出するための流体ポートと流体連通している流体ラインと、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための少なくとも1つの流体ポートと流体連通している流体ラインとを更に含むことを特徴とし、装置は、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に供給するための流体ポートと流体連通している流体ラインが、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ラインに流体的に接続されることを更に特徴とする。
【0040】
第1の弁接続部及び第3の弁接続部を遮断弁位置に設定し、第5の弁接続部及び第4の弁接続部を導通弁位置に設定することにより、流体、特に水は、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ及び濾過液チャンバを通して第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入される。流体、特に水が第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバの中に第2の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁を通過することにより、この流体、特に水は第2の濾過を受ける。第2の濾過は、それにより、「タンジェンシャル流れ」過程として好ましくは行われることになる。更に、この第2のフィルタから血液透析濾過として公知の透析モードにおいて置換流体として使用するための浄化水を採取することができる。これは、この置換液が患者の体内に輸液されることを意味する。従って、汚染物質を決定するための特に高い感度の測定方法を必要とする置換液の純度及び無菌性に関して特に高い要件が存在する。
【0041】
本出願により、「タンジェンシャル流れ」濾過又は「タンジェンシャル流れ」方法は、濾過される流体が中空繊維膜フィルタ内で中空繊維膜の膜面に沿って流されることを意味する。流体の一部分は、それにより、膜壁を濾過液側に濾過液として通過する。流体の更に別の部分は、膜壁のこのタンジェンシャル流れの側で保持液チャンバ内に留まり、フィルタからいわゆる保持液として排出される。従って、この配置では、流体は、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入され、流体の一部分は、保持液チャンバから流体を排出するための流体ポートを通して排出される。更に別の部分は、第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバの中に中空繊維膜の膜壁を通過し、第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから流体を排出するための流体ポート及び流体ラインを通して排出される。
【0042】
有利なことに、2つの処理濾過段を受けた処理された流体は、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ラインと流体連通している抽出点でサンプリングされ、置換流体の生成に向けて利用可能にされる。
【0043】
本発明の第1の態様による更に別の実施形態では、流体、特に水を処理するための本発明の装置又はそれを含むそれぞれ透析機械は、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出するための流体ポートの間の流体ライン内に第2の分岐流体ラインが分岐する第4の流体分岐点が配置されること、更に流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出するための流体ラインと係合している第6の弁接続部が第4の流体分岐点の下流に配置されることを特徴とし、第6の弁接続部が、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出するための流体ラインを通る流体、特に水の流れを遮断するか又は導通させることを可能にする少なくとも2つの弁位置を有し、第2の分岐流体ラインが、第4のサンプリング点と流体連通していることを更に特徴とする。
【0044】
第6の弁接続部を遮断位置に設定することにより、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出された流体、特に水は、第2の分岐ラインを通して第4のサンプリング点に流される。この第4のサンプリング点でサンプルを回収し、分析に向けて提供することができる。この実施形態の装置により、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバを汚染に関して分析することができる。特に、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ及び濾過液チャンバから第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバまで通された「デッドエンド」濾過による第1の濾過段からの流体が汚染されているか否かを検査することができる。従って、このサンプリング点で採取されたサンプル中の汚染物質を決定することにより、第1の中空繊維膜フィルタの濾過品質に関する結論を引き出すことを可能にする。
【0045】
本発明の第1の態様による直前の実施による更に別の実施形態では、流体、特に透析のための水を処理するための本発明の装置又はそれを含むそれぞれ透析機械は、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに流体、特に水を供給するための流体ラインからの第2の流体分岐点が第1の中空繊維膜フィルタ(F1)の上流に配置されることを特徴とし、この装置が、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ライン上に第5の流体分岐点を含むこと、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに供給するための流体ライン上の第2の流体分岐点、及び流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ライン上の第5の流体分岐点と流体連通している流体ラインが配置されること、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に供給するための流体ライン上の第2の流体分岐点と、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ライン上の第5の流体分岐点との間の流体ラインと係合している第3の弁接続部が配置されることを更に特徴とし、第3の弁接続部が、第2の流体分岐点と第5の流体分岐点との間で流体ラインを通る流体、特に水の流れを遮断するか又は導通させることを可能にする少なくとも2つの弁位置を有し、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに供給するための流体ポートが、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出するための流体ポートと流体ラインを通して流体連通していること、第2の流体分岐点と第1の中空繊維膜フィルタの間でフィルタの上流に保持液チャンバ内への流体、特に水の供給のための流体ラインと係合している第5の弁接続部が配置され、第5の弁接続部が、流体、特に水を保持液チャンバに供給するための流体ラインを通る流体、特に水の流れを遮断するか又は導通させることを可能にする少なくとも2つの弁位置を有することを更に特徴とする。
【0046】
この実施形態の1つの利点は、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバをプレフラッシングの後にサンプリング及び分析によって汚染に関して検査することができる点である。この処理では、第3の弁接続部及び第1の弁接続部が遮断弁位置に設定され、第5の弁接続部が導通弁位置に設定される。汚染に関して検査を行うために、流体、特に水は、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入され、第1の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁に「デッドエンド」過程で通されて第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入される。その後に、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出された流体からサンプルを採取し、汚染に関して検査することができる。
【0047】
更に別の代替では、第5の弁接続部を遮断弁位置に設定することができ、第3の弁接続部を導通弁位置に設定することができる。この弁接続部配置により、流体、特に水は、第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバの中に導入され、バックフラッシング過程に従って第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に膜壁に通される。これは、第2の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁に付着した汚染物質を洗い流し、例えば、第4のサンプリング点でのサンプリングによって汚染に関して分析することができる。
【0048】
本明細書に説明する実施形態のうちの1つでは、装置又はそれぞれ透析機械は、サンプリング点で得られたサンプルからそれぞれのサンプル中の汚染物質の濃度に関する分析値を取得することを可能にする分析装置を含む。特に、そのような分析装置は、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出するための流体ラインと流体連通している第1の弁接続部の下流にあるサンプリング点に配置される。更に、実施形態に説明する装置、それを含むそれぞれ透析機械は、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバまで通された流体、特に水の容積を決定するための手段を含むように構成することができる。これに加えて、実施形態に説明する装置又はそれを含むそれぞれ透析機械は、汚染物質をサンプリング点に洗い流した流体、特に水の容積を決定するための手段を含むように構成することができる。更に、装置、それぞれ透析機械は、電子評価ユニットを含むことができる。
【0049】
電子評価ユニットは、それぞれのサンプル中の汚染物質の濃度に関する分析値、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバの中に移された流体、特に水の容積、及び汚染物質をサンプリング点に洗い流した流体、特に水の容積から換算係数を決定するように構成される。従って、評価ユニットは、分析のためのフラッシング過程の開始前に第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバに流された流体、特に透析のための水の容積を決定するのに適している。換算係数は、それにより、汚染物質の濃度に関する値を与える。それぞれのサンプル中の汚染物質の濃度に関する分析値が、例えば、CFU/ml(コロニー形成単位毎ミリリットル)で示される場合に、換算係数を用いて、装置又はそれぞれ透析機械に提供される流体、特に水の汚染値を決定することができる。非整数値を決定することも可能である。特に、提供された流体、特に提供された水の直接分析に基づいて決定することができない非常に低い値を確実に決定することができる。
【0050】
第2の態様では、本発明は、装置内又はそれぞれ透析機械内で流体の処理、特に透析のための水の処理をモニタする方法に関し、本方法は、本発明の第1の態様による装置を与える段階と、第1の弁接続部及び潜在的な第2の弁接続部を遮断位置に設定する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバに中空繊維膜の膜壁を通して濾過して流体、特に水を濾過液チャンバ内に回収し、それによって濾過中に未処理水内の汚染物質を中空繊維膜によって保持する段階と、濾過液チャンバから流体、特に水を排出する段階と、予め決められた容積の流体、特に水が濾過によって濾過液チャンバの中に通された後に第1の弁接続部を導通位置に設定する段階であって、適用可能な場合に第2の弁接続部が遮断弁位置に留まる上記設定する段階と、更に別の流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入する段階とを含み、サンプルが、第1の弁接続部の下流の第1のサンプリング点で採取されて汚染に関して分析されることを特徴とし、又は適用可能な場合に、予め決められた容積の流体、特に水が濾過によって第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバの中に通された後に第1の弁接続部を遮断弁位置に設定し、第2の弁接続部を導通弁接続に設定する段階と、更に別の流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入する段階とを含み、第1の流体分岐点の下流の第2のサンプリング点でサンプルが採取され、汚染に関して分析されることを特徴とする。
【0051】
本発明の方法により、大容積の流体、特に水を濾過し、それによって濾過された流体、特に水の容積に対応する汚染物質の濃度を取得することができる。その結果、本説明の方法に従って流体、特に水の汚染開始を結論することができる。
【0052】
本出願の意味では、「濾過」又は「濾過する」という用語は、中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁を通り過ぎる保持液チャンバから濾過液チャンバへの流体の通過によって流体中に存在する成分、特に汚染物質を膜壁によって保持することを意味する。
【0053】
第2の態様の更に別の実施形態により、本発明は、すなわち、流体、特に透析のための水の処理をモニタする方法に関し、第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバの中に濾過によって通される流体、特に水の予め決められた容積は、少なくとも20リットル又はそれよりも多く、好ましくは少なくとも100リットル又はそれよりも多く、より好ましくは少なくとも200リットル又はそれよりも多い。
【0054】
第2の態様による更に別の実施形態では、本発明は、流体、特に透析のための水の処理をモニタする方法に関し、本方法は、本発明の第1の態様の実施形態による装置を与える段階と、第1の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第3の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第4の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁を通して濾過し、それによって濾過中に流体、特に水内の汚染物質を中空繊維膜の膜壁によって保持する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに通す段階と、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内の流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁を通して濾過し、それによって濾過中に流体内の汚染物質を第2の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁によって保持する段階と、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出する段階と、必要に応じて、第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから流体、特に水を排出するための流体ラインに接続された抽出点に流体、特に水、又はサンプルを引き込む段階と、その後に、第1の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、第3の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、第4の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第1の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、予め決められた容積の流体、特に水が濾過によって濾過液チャンバまで通された後に、第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバ内の流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁を通して第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に濾過し、それによって濾過中に汚染物質を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから洗い流す段階と、流体を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出する段階とを含み、第1の弁接続部の下流の第1のサンプリング点でサンプルが採取され、汚染に関して分析されることを特徴とする。
【0055】
本方法は、上述のように第1の中空繊維膜フィルタでの汚染物質の濃縮に続くプレフラッシングとバックフラッシングとの同時過程において第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバと濾過液チャンバとを同時に洗い流すという利点を有する。
【0056】
第2の態様による更に別の実施形態では、本発明は、流体、特に透析のための水の処理をモニタする方法に関し、本方法は、本発明の第1の態様の実施形態による装置を与える段階と、第1の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第5の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、第3の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第4の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁を通して濾過し、それによって濾過中に流体、特に水内の汚染物質を中空繊維膜の膜壁によって保持する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに通す段階と、第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内の流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁を通して濾過し、それによって濾過中に流体内の汚染物質を第2の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁によって保持する段階と、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから排出する段階と、必要に応じて、第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから流体、特に水を排出するための流体ラインに接続された抽出点に流体、特に水、又はサンプルを引き出し、適用可能な場合に汚染に関してサンプルを分析する段階と、その後に、第1の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、第5の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第3の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、第4の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、予め決められた容積の流体、特に水が濾過によって濾過液チャンバまで通された後に、第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバ内の流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの中空繊維膜の膜壁を通して第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に濾過し、それによって濾過中に汚染物質を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから洗い流す段階と、流体を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから排出する段階とを含み、第1の弁接続部の下流の第1のサンプリング点でサンプルが採取され、汚染に関して分析されることを特徴とする。
【0057】
この実施形態の本発明の開示の方法による第1の中空繊維膜フィルタのプレフラッシングとバックフラッシングは、交互又は同時にそれぞれ汚染の蓄積の後に実施することができる。本方法は、低レベルの汚染において特に有利である汚染中空繊維膜フィルタの改善された洗い流しという利点を有する。
【0058】
第2の態様による更に別の実施形態では、本発明は、流体、特に透析のための水の処理をモニタする方法に関し、本方法は、本発明の第1の態様の実施形態による装置を与える段階と、第1の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第6の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバに中空繊維膜の膜壁を通して濾過して流体を濾過液チャンバ内に回収し、それによって濾過中に流体、特に水内の汚染物質を中空繊維膜によって保持する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに通す段階と、予め決められた容積の流体、特に水が濾過によって第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバまで通された後に、第6の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入し、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバ内に濾過し、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに通す段階とを含み、第4のサンプリング点(P4)でサンプルが採取され、汚染に関して分析されることを特徴とする。
【0059】
本方法は、上述のように第1の中空繊維膜フィルタ及び/又は第2の中空繊維膜フィルタでの汚染物質の蓄積に続いて第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバを汚染に関して検査することができるという利点を有する。
【0060】
第2の態様による更に別の実施形態では、本発明は、流体、特に透析のための水の処理をモニタする方法に関し、本方法は、本発明の第1の態様による実施形態の装置を与える段階と、第1の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第5の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、第3の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第6の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、流体、特に水を中空繊維膜フィルタの保持液チャンバの中に導入する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバに中空繊維膜の膜壁を通して濾過して流体、特に水を濾過液チャンバ内に回収し、それによって濾過中に流体、特に水内の汚染物質を中空繊維膜によって保持する段階と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバに通す段階と、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバに中空繊維膜の膜壁を通して濾過して流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバ内に回収し、それによって濾過中に未処理水内の汚染物質を中空繊維膜によって保持する段階と、第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから水を排出し、必要に応じて、第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから流体、特に水を排出するための流体ラインに接続された抽出点に流体、特に水、又はサンプルを引き出し、適用可能な場合に汚染に関してサンプルを分析する段階と、その後に、第5の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、第3の弁接続部を導通弁位置に設定する段階と、第6の弁接続部を遮断弁位置に設定する段階と、予め決められた容積の流体、特に水が濾過によって濾過液チャンバまで通された後に、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバの中に導入し、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから保持液チャンバに中空繊維膜の膜壁を通して濾過して流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバ内に回収し、それによって濾過中に中空繊維膜によって保持された汚染物質を第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから洗い流す段階とを含み、第4のサンプリング点でサンプルが採取され、汚染に関して分析されることを特徴とする。
【0061】
本方法は、上述のように第1の中空繊維膜フィルタ及び/又は第2の中空繊維膜フィルタでの汚染物質の蓄積の後に第2の中空繊維膜フィルタをバックフラッシングすることによって第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバを汚染に関して検査するという利点を有する。蓄積後にバックフラッシング過程を用いて汚染物質を洗い流し、より高い精度で分析することができ、これは、より低い汚染に対して有利である。
【0062】
第2の態様による更に別の実施形態では、本発明は、流体、特に透析のための水の処理をモニタする方法に関し、本方法は、装置又はそれぞれ透析機械に提供される流体、特に水に関する分析値を示すことを可能にする換算係数を決定する段階を含む。具体的には、本方法は、サンプリング点のうちの1つにおいてサンプルを採取して汚染物質の濃度に関する分析値を分析装置を用いて決定し、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバまで通された流体、特に水の容積を更に決定し、汚染物質をサンプリング点に洗い流した流体、特に水の容積を更に決定することを可能にし、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバから濾過液チャンバまで通された流体、特に水の容積と、汚染物質をサンプリング点に洗い流した流体、特に水の容積とをそれぞれのサンプル中の汚染物質の濃度に関する分析値から決定し、適用可能な場合に装置又はそれぞれ透析機械に提供される流体、特に水の汚染値を決定するように構成された電子評価ユニットを用いて換算係数を決定することを特徴とする。
【0063】
すなわち、分析を開始するためのフラッシング過程の前にフィルタを通した透析のための水の容積を決定することが可能である。換算係数は、すなわち、汚染物質濃度の程度に関する値を与える。それぞれのサンプル中の汚染物質の濃度に関する分析値が、例えば、CFU/ml(コロニー形成単位毎ミリリットル)で示される場合に、換算係数を用いて、装置又はそれぞれ透析機械に提供される流体、特に水の汚染値を決定することができる。非整数値を決定することが可能である。特に、提供された流体、特に提供された水の直接分析に基づいて決定することができない非常に低い値を確実に決定することができる。
【0064】
図面を参照する本発明の説明
本発明の更に別の詳細及び実施形態を下記で図を参照して説明する。本発明を示すために、図中には本発明による透析機械を示していない。図に例示する装置は、一般的にこの透析機械の中に配置される。
【0065】
図1は、請求項1に記載の装置の1つの発明的実施形態の概略図を示している。図1では、100は、流体、特に透析のための水を処理するための装置を示している。F1は、複数の中空繊維膜を有する中空繊維膜フィルタを示している。複数の中空繊維膜(この図には示していない)の膜壁F1Mによって形成された中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rと濾過液チャンバF1Fとが示されている。図1は、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rに供給するための流体ポート101及び流体ライン110を更に示している。更に、図1は、流体、特に水を中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rから排出するための流体ポート102及び流体ライン111と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバF1Fから排出するための少なくとも1つのポート103a/103bと、流体、特に水を濾過液チャンバから排出するための流体ライン112と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rから排出するための流体ラインに係合状態にある第1の弁接続部V1と、第1の弁接続部の下流にあるサンプリング点P1とを示している。
【0066】
更に、図1は、流体、特に透析のための水を処理するための装置の更に別の詳細を示している。従って、図1は、複数の中空繊維膜の膜壁によって形成された保持液チャンバF2Rと濾過液チャンバF2Fとを有する第2の中空繊維膜フィルタF2を示している。更に、図1は、第2の中空繊維膜フィルタF2の保持液チャンバF2Rに流体、特に水を供給するための流体ポート120と、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタF2の保持液チャンバF2Rから排出するための流体ポート121及び流体ライン130と、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタF2の濾過液チャンバF2Fから排出するための少なくとも1つの流体ポート103a/103b及び流体ライン131と、抽出点Eと、更に本発明による装置での流体、特に水の処理を更にサポートするための第7の弁V7、第8の弁V8、第9の弁V9、及び第10の弁V10とを示している。
【0067】
本発明の方法により、流体、特に水は、それを流体ライン110及び流体ポート101を通して第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rの中に導入することによって処理される。第1の弁V1の位置は、それにより、流れ遮断弁位置に設定される。水は、この図1には示していないポンピング手段によって導入することができる。流体は、膜壁F1Mを通して第1の中空繊維膜フィルタF1の濾過液チャンバF1Fの中に送り込まれ、更に透析流体を生成するための処理された流体、特に水を生成するために流体ポート103a/b、120及び流体ライン112を通して更に別の「タンジェンシャル流れ」濾過で適用可能な時に第2の中空繊維膜フィルタF2の保持液チャンバF2Rの中に誘導される。
【0068】
第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rは、弁接続部V1の設定を導通位置にもたらすことによって汚染に関して検査される。第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1R内で濃縮された汚染物質をこうして流体ライン111を通して排出することができる。サンプリング点P1においてサンプルを採取し、汚染分析に供給することができ、それによって第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rの汚染に関して結論を出すことができる。装置内又は透析機械内それぞれに濾過された容積をモニタする(図示せず)評価ユニットを設けることができる。保持液フラッシュ容積をモニタすることができるので、未濾過水の初期微生物濃度を例えばCFU(ml)を単位として決定することを可能にする換算係数を与えることが従って可能である。サンプリングをサポートするために、第8の弁接続部V8、第9の弁接続部V9、及び第10の弁接続部V10は、それにより、導通位置又は遮断位置にもたらすことができる。サンプリング点P1でのサンプリングに向けて、第8の弁接続部V8及び第10の弁接続部が遮断位置に設定され、第9の弁接続部V9が導通位置に設定される。
【0069】
図2は、流体、特に水の処理のための本発明の装置の更に別の実施形態の概略図を示している。図2は、図1に記載のものに加えて、流体を第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rから排出するための流体ライン111内の第1の流体分岐点111aと、流体分岐点111aからの第1の分岐流体ライン113と、この流体ラインと係合している弁接続部V2と、流体ライン113と流体連通しているサンプリング点P2と、更に第11の弁接続部V11とを示している。流体を処理するために、弁接続部V1及びV2は遮断位置に設定される。流体、特に水は、第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rの中に導入され、膜壁F1Mを通して第1の中空繊維膜フィルタF1の濾過液チャンバF1Fの中に送り込まれる。濾過液チャンバF1F内に蓄積する流体は、透析流体を生成するための処理された流体、特に水を生成するために流体ポート103a/b、120及び流体ライン112によって更に別の「タンジェンシャル流れ」濾過で適用可能な時に第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rの中に送り込まれる。
【0070】
第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rは、弁接続部V2の設定を導通位置にもたらすことによって汚染に関して検査を行うことができる。第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1R内で濃縮された汚染物質をこうして流体ライン113を通して排出することができる。サンプリング点P2においてサンプルを採取し、汚染分析に供給することができる。サンプリングに向けて、第11の弁V1が導通位置に設定される。
【0071】
図3は、流体、特に水を処理するための本発明の装置100の更に別の実施形態の更に別の概略図を示している。図3は、図1に記載のものに加えて、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rに供給するための流体ライン110に係合状態にある第5の弁と、流体、特に水を第1の中空繊維膜フィルタF1の濾過液チャンバF1Fから排出するための流体ライン112内の第2の流体分岐点110a及び第3の流体分岐点112aと、第2の流体分岐点110a及び第3の流体分岐点112aと流体連通している流体ライン114と、更に第2の流体分岐点110a及び第3の流体分岐点112aに流体的に接続した流体ライン114に係合状態にある第3の弁接続部V3とを示している。
【0072】
流体は、第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rの中に流体、特に水を導入することによって処理され、それにより、第5の弁接続部V5は導通位置に設定され、第3の弁接続部V3及び第1の弁接続部V1は遮断位置に設定される。流体、特に水は、流体ライン110及び流体ポート101を通して第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rの中に導入される。水は、この図3には示していないポンピング手段を用いて導入することができる。流体は、膜壁F1Mを通して第1の中空繊維膜フィルタF1の濾過液チャンバF1Fの中に送り込まれ、流体ポート103a/b、120及び流体ライン112を通して第2の中空繊維膜フィルタF2の保持液チャンバF2Rの中に誘導される。第4の弁接続部は導通弁位置にある。必要に応じて、透析流体を生成するための処理された流体、特に水に第2の中空繊維膜フィルタF2R上で更に別の「タンジェンシャル流れ」濾過が施される。
【0073】
図3の描写により、保持液チャンバF1Rの汚染に関して本発明による装置を検査するために「プレフラッシング過程」を使用することができる。それに従って第5及び第1の弁接続部V5及びV1が導通弁位置に設定され、第3及び第4の弁接続部V3及びV4が遮断弁位置に設定される。弁接続部及び弁位置のこの配置では、濃縮汚染物質を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rから排出することができる。サンプリング点P1においてサンプルを採取し、汚染に関して分析することができる。
【0074】
図3の描写により、第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rの汚染に関して検査を行う上で「バックフラッシング過程」を使用することができる。そのために第5の弁接続部V5及び第4の弁接続部V4が遮断弁位置に設定され、第3の弁接続部V3及び第1の弁接続部V1が導通弁位置に設定される。次いで、流体、特に水が、流体ライン110、114、112及び流体ポート103a/bを通して第1の中空繊維膜フィルタF1の濾過液チャンバF1Fの中に導入され、膜壁F1Mを通して第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rの中に送り込まれる。保持液チャンバF1R内に蓄積する流体、特に水は、保持液チャンバF1R内で濃縮された汚染物質と共に流体ライン111を通して排出される。サンプリング点P1においてサンプルを採取し、汚染分析に供給することができ、それによって第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rの汚染に関して結論を出すことができる。第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1R内で濃縮された汚染物質を検査することができるように、プレフラッシング過程とバックフラッシング過程との組合せが好ましい。特に、バックフラッシング過程は、保持液チャンバF1R内で膜壁F1Mに付着した汚染物質を洗い流し、分析に提供されることを可能にする。
【0075】
図4は、流体、特に水を処理するための本発明の装置100の更に別の実施形態の更に別の概略図を示している。図4は、図1に記載のものに加えて、第4の流体分岐点130aと、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタF2の保持液チャンバF2Rから排出するための流体ライン130と係合している第6の弁接続部V6と、第4の流体分岐点130aを第4のサンプリング点P4との流体連通状態にする第2の分岐流体ライン131とを示している。サンプリング点P4は、分析によって汚染物質を決定することができるように第2の中空繊維膜フィルタF2の保持液チャンバF2Rから排出された流体、特に水をサンプリングする際に機能する。
【0076】
流体は、流体ライン110及び流体ポート101を通して第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rの中に流体、特に水を導入することによって処理される。第1の弁接続部の位置は、遮断弁位置に設定される。流体、特に水は、この図4には示していないポンピング手段によって保持液チャンバF1Rの中に導入することができる。流体は、膜壁F1Mを通して第1の中空繊維膜フィルタF1の濾過液チャンバF1Fの中に送り込まれ、流体ポート103a/b、120及び流体ライン112を通して第2の中空繊維膜フィルタF2の保持液チャンバF2Rの中に誘導される。更に別の段階では、流体、特に水は、第2の中空繊維膜フィルタF2内で「タンジェンシャル流れ方法」によって処理される。この処理では、流体、特に水は、上述のように流体ライン112及び流体ポート120を通して第2の中空繊維膜フィルタF2の保持液チャンバF2Rの中に導入され、それにより、第6の弁接続部V6が導通弁位置にもたらされる。第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF2Rの中に導入された流体、特に水の一部分は、「タンジェンシャル流れ」方法の下で第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバF2Fの中に進入し、それを流体ポート123a/b及び流体ライン131を通して排出し、抽出点Eにおいてサンプリングし、例えば、第7の弁接続部V7が導通弁位置にもたらされる場合に置換流体を生成すること、又は汚染分析に向けてサンプルを回収することができる。第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF2Rの中に導入された流体、特に水の更に別の部分は、流体ポート121及び流体ライン130を通して排出され、それを更に処理し、例えば、透析流体を生成することができる。
【0077】
第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF2Rから排出された流体、特に水は、第6の弁接続部V6を遮断弁位置にもたらすことによって汚染に関して検査を行うことができ、サンプリング点P4で採取されるサンプルは、汚染に関して分析されるサンプルである。このようにして装置は、第1の中空繊維膜フィルタF1上での「デッドエンド」濾過によって得られた流体、特に水を分析することを可能にする。
【0078】
図5は、流体、特に水を処理するための本発明の装置100の更に別の実施形態の更に別の概略図を示している。図3とは対照的に、図5は、流体を第1の中空繊維膜フィルタF1の濾過液チャンバF1Fから排出するための流体ライン内に第3の流体分岐112を示していない。更に、図5に記載の装置は、図3に記載の装置の第2の流体分岐点110aを第3の流体分岐点112aとの流体連通状態にする流体ライン114を持たない。図3に記載の実施とは対照的に、図5に記載の装置は、流体、特に水を第2の中空繊維膜フィルタF2の濾過液チャンバF2Fから排出するための流体ライン131内に第5の流体分岐点131aが配置されることによって特徴付けられる。図5に記載の配置により、装置は、流体ライン115が第2の流体分岐点110aを第5の流体分岐点131aとの流体連通状態にすることによって更に特徴付けられる。
【0079】
上述の説明に従って、図5に記載の装置は、流体、特に水を水処理する際に機能し、第1の中空繊維膜フィルタF1上での処理が「デッドエンド」濾過に従い、かつ第2の中空繊維膜フィルタ上での処理が「タンジェンシャル流れ」方法に従うことを保証する。第5及び第1の弁接続部を導通弁位置に設定し、弁接続部V3を遮断弁位置に設定することによってサンプリング点P1を通してサンプルを採取し、汚染に関して分析することができ、それによって第1の中空繊維膜フィルタF1の保持液チャンバF1Rの汚染に関して結論を出すことができる。
【0080】
第1の弁接続部V1及び第6の弁接続部V6を遮断弁位置に設定し、第5の弁接続部V5を導通弁位置に設定することによってサンプリング点P4を通してサンプルを採取し、汚染に関して分析することができ、それによって第1の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバF1F、流体ライン112、及び第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF2Rの汚染に関して結論を出すことができる。
【0081】
第5の弁接続部V5及び第1の弁接続部V1を遮断弁位置に設定し、第3の弁接続部V3を導通弁位置に設定することにより、流体は、流体を第1の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF1Rに供給するための流体ライン110、及び第2の流体分岐点110aを第5の流体分岐点131aとの流体連通状態にする流体ライン115を通じて、流体ライン131を通して濾過液チャンバF2Fの中に導入され、第2の中空繊維膜フィルタF2の膜壁F2Mを通して第2の中空繊維膜フィルタの保持液チャンバF2Rの中に送り込まれる。この弁配置及び弁位置設定を使用することにより、第2の中空繊維膜フィルタF2での流体、特に水の濾過は、バックフラッシングの原理に従って第2の中空繊維膜フィルタの濾過液チャンバから保持液チャンバの中に行われることになる。第2の中空繊維膜フィルタF2をバックフラッシュすることにより、第2の中空繊維膜フィルタの膜壁F2Mに付着した汚染物質を洗い流すことができる。サンプリング点P4を通してサンプルを採取し、汚染に関して分析することができる。この分析は、第2の中空繊維膜フィルタの汚染に関する結論を可能にする。
図1
図2
図3
図4