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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】触覚知覚用途に適した感知装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240816BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F1/16 312G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021538836
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 IB2019061447
(87)【国際公開番号】W WO2020141443
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】102019000000004
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520368172
【氏名又は名称】ウィアート エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジオイオソ、グイド
(72)【発明者】
【氏名】スパニョレッティ、ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】プラッティキッツォ、ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】アウリリオ、ミルコ
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0278798(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0321056(US,A1)
【文献】特開2016-033815(JP,A)
【文献】国際公開第2017/204242(WO,A1)
【文献】特表2018-528046(JP,A)
【文献】特開2016-028659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚感知装置であって、
弾性変形可能な環状バンド(4)であって、露出したままであり、触れる対象物およびユーザの指と直接接触して置かれるように構成された下部(5)と、前記触覚感知装置の内部コンパートメント内にとどまるように構成された上部(6)とを画定する、弾性変形可能な環状バンドと、
前記上部(6)に固定され、その外側に置かれる剛性支持体(7)と、
前記剛性支持体(7)に固定された電子基板(3)であって、少なくとも1つの振動センサと、前記電子基板(3)上に伝達された振動に対応して前記少なくとも1つの振動センサによって生成される電子信号を受信するように機能的に構成されたマイクロプロセッサとを有する、電子基板(3)と、
剛体であって、前記内部コンパートメントを画定するために一緒に結合させることができる前部カバー(1)および後部カバー(2)と、ユーザの前記指と直接接触するように構成された少なくとも1つの剛性湾曲面(8)とを備え、前記前部カバー(1)および前記後部カバー(2)が、互いに結合されたとき、前記内部コンパートメント内に、前記環状バンド(4)の前記上部(6)、前記電子基板(3)、および前記剛性支持体(7)を封入するように構成され、前記剛性支持体(7)が、前記剛体の内面と接触したままである、剛体と
を備える、触覚感知装置。
【請求項2】
前記振動センサが、慣性計測システムまたは圧電センサのいずれかである、請求項1に記載の触覚感知装置。
【請求項3】
前記環状バンド(4)の前記下部(5)内に埋め込まれた少なくとも1つの力または圧力センサ(9)を備え、前記少なくとも1つの力または圧力センサ(9)が、対象物が前記環状バンド(4)の前記下部(5)に押し付けられる力を検出するように構成される、請求項1または2のいずれか一項に記載の触覚感知装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの力センサ(9)が、抵抗力センサである、請求項3に記載の触覚感知装置。
【請求項5】
前記環状バンド(4)の前記下部(5)内に埋め込まれた少なくとも1つの温度センサ(10)を備え、前記少なくとも1つの温度センサ(10)が、前記環状バンド(4)の前記下部(5)と接触している対象物の温度を検出するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の触覚感知装置。
【請求項6】
前記環状バンド(4)の前記下部(5)内に埋め込まれた可撓性ストリップ(12)を備え、前記可撓性ストリップ(12)上には、前記少なくとも1つの力または圧力(9)および/または温度(10)センサ、ならびに前記マイクロプロセッサによって読み取られる前記電子基板(3)への関連する電気接続が設置される、請求項3から5のいずれか一項に記載の触覚感知装置。
【請求項7】
前記剛性支持体(7)が、バッテリ(11)用のハウジングを画定するようにC字形であり、前記ハウジングが、前記触覚感知装置がユーザの指に装着されたときに前記指と長手方向に位置合わせされる、請求項1から6のいずれか一項に記載の触覚感知装置。
【請求項8】
前記電子基板(3)に機能的に接続され、前記マイクロプロセッサから対応するコマンドを受信したときに前記剛体を振動させるように構成された振動アクチュエータ(17)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の触覚感知装置。
【請求項9】
前記電子基板(3)が、前記触覚感知装置の少なくとも1つのセンサによって検出された値を外部ユニットに伝達するように構成された、無線または有線通信インターフェースを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の触覚感知装置。
【請求項10】
ユーザの指にリングとして装着されるように構成され、このとき前記変形可能バンド(4)の前記下部(5)は、手のひら側で前記指の皮膚と接触し、前記剛体の前記少なくとも1つの湾曲面(8)は、前記指の背面と直接接触している、請求項1から9のいずれか一項に記載の触覚感知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置に関し、より詳細には、触感覚を検出するためのウェアラブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、触覚インターフェース、すなわちユーザに触感覚を提供することを可能にする装置が、ロボット工学および仮想現実アプリケーションにおいてますます普及している。これらのインターフェースは、ユーザが対象物の表面に触れるときと同じ触感覚をユーザの皮膚上に生成するように適切に制御されなければならない。
【0003】
リング形状の触覚インターフェース、例えば「ハプティックリング」と題するイタリア特許出願第102,018,000,003,965号明細書に記載されているものなどが知られており、これは、ユーザによって着用可能であり、それらを制御する信号を提供するシステムに無線または有線接続を介して接続される。
【0004】
触感覚の再構成を現実的にするために、センサを備えたデバイスを使用して、触感覚をサンプリングすることが必要であり、このセンサは、同じ触感覚を可能な限り忠実に再現するために、適切に処理されることによって触覚インターフェースを制御することを可能にするデータのセットを得るように構成されている。
【0005】
これらのセンサのうちの1つまたは複数を備えた検出装置を作製することが望ましく、これらのセンサは、作製するのが容易で着用可能であり、対象物の触覚探索を妨げないが、それと同時に触覚インターフェースで忠実に再現できるように、知覚される触感覚の正確な表現を一緒になって提供するデータを収集することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】イタリア特許出願第102,018,000,003,965号明細書
【発明の概要】
【0007】
対象物の触覚探索中に生成される様々な感覚の中で、触れることでユーザの指上に生成する振動、例えば、対象物に対する指の衝撃および/またはその粗面上の指先の滑りによる振動の検出は、特に重要であると思われる。
【0008】
触覚探索を妨げることなくこれらの振動を正確に検出するために、請求項1に記載の検出装置が、考案された。基本的に、この検出装置は、弾性変形可能な環状バンドであって、露出したままであり、ユーザの指で触れる対象物と直接接触して置かれるように構成された下部と、検出装置の内部コンパートメント内にとどまるように構成された上部とを画定する、弾性変形可能な環状バンドと、バンドの上部に固定され、その外側に置かれる剛性支持体と、マイクロプロセッサ電子基板であって、剛性支持体に固定され、電子基板に伝達された振動を感知する少なくとも1つの振動センサを有する、マイクロプロセッサ電子基板と、剛体であって、内部コンパートメントを画定するために一緒に結合させることができる前部カバーおよび後部カバーと、ユーザの指と直接接触して置かれるように構成された少なくとも剛性湾曲面とを有し、前部カバーおよび後部カバーは、これらの間で結合されたとき、内部コンパートメント内に、環状バンドの上部、電子基板、および剛性支持体を封入し、剛性支持体は、剛性体の内面と接触したままである、剛体とを備える。
【0009】
出願時の特許請求の範囲は、この説明の不可欠な部分であり、明示的な参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一態様による触覚感知装置の分解図である。
図2図1の装置の正面図である。
図3図2の装置の第1の平面に沿った断面図である。
図4図1の装置の上面図である。
図5図2の装置の第2の平面に沿った断面図である。
図6図1の装置の側面図である。
図7】触覚情報を有する拡張マルチメディアコンテンツを生成するためのアプリケーションのブロック図である。
図8】触覚情報を有する拡張マルチメディアコンテンツを編集するためのアプリケーションのブロック図である。
図9】VR/ARアプリケーション用の触覚コンテンツを作成および記憶するためのブロック図である。
図10】触感覚のリアルタイム伝達のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様による触覚感知装置が図1に示されている。この装置は、好ましくはリングとして、または場合によってはブレスレットとして、または指ぬきとして装着される環状形状を有し、これを装着するユーザの手とデバイスのユーザが触れることができる任意の対象物または生体の一部との間で生じる触行動を記録するように構成される。提示を簡単にするために、検出装置が、ユーザが手の指に装着することができるリングである図示の場合を参照するが、検出装置がブレスレットまたは指ぬきである場合には、必要な変更を加えて繰り返すことができると言えるであろう。
【0012】
図1に示す装置は、互いにスナップ留めされる前部カバー1および後部カバー2として作製された、剛性材料で作製された外部本体を備える。対象物と直接接触するように意図された下部5と、装置の内部区画内にとどまるように意図された上部6とを画定する、例えばシリコーンなどの変形可能な材料で作製された環状バンド4も存在する。前部カバー1および後部カバー2は、本体から突出する下部5を覆わずに残し、挟まれたときに上部6を封入するように画定される。
【0013】
検出装置は、電子基板3を有し、この電子基板は、環状バンド4の上部6と共に外部本体の前部カバー1と後部カバー2との間に封入されたままであるように配置される。電子基板3は、マイクロプロセッサを有し、検出装置の1つまたは複数のセンサによって検出された値を読み取るように構成される。
【0014】
1つの態様によれば、説明する検出装置は、触れられた対象物の表面特性(粗さ、手触りなど)によって決定される、対象物に触れる指の振動を測定するために使用することができる。この目的のために、電子基板3上には、例えば圧電型またはMEMS技術に基づく振動センサが存在することができる。
【0015】
好ましい態様によれば、電子基板3上に誘発された振動は、加速度計およびジャイロスコープ(IMU)に基づく慣性計測システム(図示せず)によって検出され、それにより、ユーザが対象物の粗面に対して指先を滑らせたとき、またはそれに衝突したときにユーザによって装着された装置に伝達される振動に加えて、装置の空間配向も検出する。
【0016】
図2および図4に示す平面A-AおよびB-Bに沿った検出装置の断面図である図3および図5により明確に示すように、電子基板3は、環状バンド4の上部6から出現し、外部本体1、2と直接接触する剛性支持体7によって支持される。外部本体1、2はまた、環状バンド4の内側から上部6を封入し、指の背面に直接もたれかかる剛性湾曲面8を画定する。したがって、検出装置は、ユーザが指にそれを置くと、剛性外側本体1、2が剛性湾曲面8を介して指の背面に直接接触し、下部5が手のひらの内側で指に接触するように構成される。検出装置を装着した指の指先を粗面上で滑らせることにより、指に振動が発生し、振動は、外部本体1、2の剛性湾曲面8および剛性支持体7を介して電子基板3の慣性センサに伝達される。したがって、このような検出装置の構造により、振動センサが設置された電子基板3(例えば、慣性計測システム)には、実際には減衰することなく外部本体1、2の振動が伝達され、ユーザが触れた対象物に検出装置が直接接触していなくても、表面のざらつきによる触感覚を検出することが可能となる。
【0017】
環状バンド4は変形可能な材料で作製されているため、検出装置は、ユーザの指のサイズに(特定の制限内で)適合する。
【0018】
1つの態様によれば、変形可能な環状バンド4の下部5には、例えば力センサ9および/または圧力センサおよび/または温度センサ10などの1つまたは複数のセンサが埋め込まれており、これらのセンサは、ユーザと周囲環境の対象物との触行動を記述するデータを同時に検出する。
【0019】
1つの態様によれば、力センサ9は、抵抗技術(力センサ抵抗器)または容量センサに基づくセンサであり、圧力を受けるとそれらの電気的特性を変化させる。その結果、ユーザが手のひらに対象物を保持すると、変形可能な材料で作製された下部5が対象物に押し付けられ、その力を力センサ9に伝達し、力センサ9はその強度を検出する。抵抗技術に基づく力センサ9は、寸法が小さいため、容易に装着可能であり、それらのフルスケール値は、典型的には、人間の手によって及ぼされる力の大きさ(数十ニュートン)程度である。
【0020】
他の種類のセンサ(例えば、光学センサ、変形センサ、生体測定パラメータを検出するセンサなど)を使用して、例えば、指の動脈の血流の分析に基づいて、および/または指先が対象物に押し付けられたときに指の腱(伸筋または屈筋)の張力によって引き起こされる変形を監視して(非局所化測定)、対象物に及ぼされる力を推定することができる。
【0021】
1つの態様によれば、温度センサ10は、ユーザが手のひらに保持する対象物の温度を検出するように下部5内に埋め込まれる。1つの態様によれば、温度センサ10は、NTC(負温度係数)タイプおよび/または半導体および/または熱電対のものである。
【0022】
力と同様に、触れた対象物の温度の検出もまた、局所的に、すなわちセンサと対象物との接触によって、または非局所的に行うことができる。後者の場合、対象物の温度は、赤外線波長に敏感な光学デバイスによって推定することができる。1つの態様によれば、触れた対象物の温度は、熱交換によって影響を受ける生体測定パラメータを監視することによって、またはそれと界接する内部もしくは外部のカメラなどの画像処理システムによって推定することができる。
【0023】
1つの態様によれば、力センサ9および温度センサ10は、可撓性材料のストリップ12上に取り付けられ、このストリップもまた下部5内に埋め込まれ、下部5から出てくる剛性支持体7に接続され、電気接続で電子基板3に接続されて、この電子基板上に設置されたマイクロプロセッサが検出装置のすべてのセンサによって検知された値を読み取ることを可能にする。
【0024】
図示しない1つの態様によれば、力センサ9および温度センサ10は、電子基板3に接続された同じ印刷回路上に取り付けられる。代替の態様によれば、力センサ9および/または温度センサ10は、環状バンド4の下部5内に埋め込まれたワイヤによって電子基板3に接続される。
【0025】
1つの態様によれば、電子基板3は、装置の内部バッテリ11によって給電される。検出装置をコンパクトにし、審美的に魅力的にし、同時に長期持続性のバッテリ11を有する必要性に合致させるために、電子基板3を支持する剛性支持体7は、ユーザの指と長手方向に位置合わせされたままであるバッテリ11のためのハウジングを画定するようにC字形にすることができる。
【0026】
1つの態様によれば、剛性支持体7上には、検出装置をオン/オフし、所定の制御動作を実行するための電気制御ボタン13が取り付けられる。
【0027】
1つの態様によれば、マイクロプロセッサ電子基板3は、デバイスのセンサを定期的に読み取り、読み取った値を記憶する内部メモリを有する。
【0028】
1つの態様によれば、電子基板3は、センサによって検出された値を外部処理ユニット(コンピュータ、携帯電話、タブレットなど)または単純な記憶ユニット(サーバ、クラウドなど)に伝達するための無線または有線通信インターフェースを有する。
【0029】
1つの態様によれば、バッテリ11を再充電するために、装置は、「ポゴピン」タイプのコネクタ14を備えることができ、このコネクタは、外部本体1、2に固定され、環状バンド4の開口部15を通過する電子基板3の再充電パッドに接触する。代替の態様によれば、装置は、誘導充電システムを用いてバッテリ11を再充電するように構成することができる。
【0030】
1つの態様によれば、電子基板3は、装置の動作状態および/またはバッテリ11の充電を示すために、ライトガイド16を通して見ることができる所定の色の光を発して点灯する少なくとも1つのLEDを有することができる。
【0031】
1つの態様によれば、装置は、オンまたはオフに切り替えるときなど、ユーザに重大なイベントを報告する必要があるとき、および/またはマイクロプロセッサ電子基板3が、電子基板3のマイクロプロセッサによって読み取られる検出装置のセンサの値を収集するために外部装置上で実行されているAppに接続されているときに、振動を生成するように構成された振動アクチュエータ17を備える。
【0032】
1つの態様によれば、検出装置は、ユーザが力センサ9を圧迫しながら手のひらに対象物を保持したときにのみ温度センサ10を作動させるように構成される。このような構成により、電子基板3の温度センサ10の読み取りを意図した部分を待機させることで、消費量を削減することができる。
【0033】
本明細書の検出装置は、取得データを生成した感覚の少なくとも一部を再現するのに適したアクチュエータを備えた第2の装置(「作用装置」)である、「触覚リング」と題するイタリア特許出願第102,018,000,003,965号明細書に記載されているような触覚インターフェースによって表示、処理、研究、またはレンダリングすることができるデータを捕捉および収集するために使用することができる。
【0034】
特に、取得することができる触感覚は以下の通りである:
-手または影響を受けた手の一部が対象物に及ぼす力、
-対象物の触覚探索から来る手および影響を受けた手の一部の振動、
-手または影響を受けた手の一部と対象物との間で起こる熱交換。
【0035】
装置の様々な実装形態を予測することができ、列挙されたものとは異なる触感覚のセットも測定することを可能にする。その結果、測定システムは、上述したものとは異なるセンサのセットを備えることができる。例えば、上に列挙した触感覚の1つまたはサブセットを測定するか、または例えば触れられた対象物の湿度などの触覚相互作用の他の態様を測定することができる装置の実施形態を提供することができる。
【0036】
本開示の複数の検出装置を装着することにより、ユーザは、自分の手の複数の点から同時に触覚相互作用を記録することができる。
【0037】
記載された検出装置を伴う可能な用途およびシステム
記載する装置は、ユーザと周囲環境との間で行われる触覚相互作用を何らかの形で「記述」する信号を取得するために使用することができる。これらのデータは、研究、分析されるために、統計を作成し、様々な種類の推論を行うために、データベースの構築、または人工知能システムを訓練するためのデータセットの構築のために簡単に収集することができる。しかし、それらの最も興味深い使用は、上述したように、触覚に関連している。これらは実際には、様々なタイプの触覚インターフェース、すなわち、それらを使用するユーザにおいて、登録された触感覚を再生することができる(イタリア特許第102,018,000,003,965号「触覚リング」に記載されるような)装置に入力データを提供する触覚データの「ソース」として使用することができる。
【0038】
考慮される用途、使用される作用装置の数および種類、ならびに使用される通信チャネルに応じて、検出装置によって記録されたデータは、適切に処理され、組み合わされ、場合によっては特別なソフトウェアによって圧縮され得る。
【0039】
触覚情報を用いたマルチメディアコンテンツ生成の強化
記載する検出装置は、図7で説明したように、記載する装置から来る触覚トラックによって拡張されたマルチメディアコンテンツ(通常はオーディオおよび/またはビデオ情報のみを含む)を生成するために使用することができる。ユーザが検出装置を(好ましくは嵌めて)装着している間に行われるビデオの記録中、ユーザが周囲環境と有する触覚相互作用が、(オーディオおよびビデオと共に)記録される。これにより、(「触覚マイク」のようなものとしてこの場合は見ることができる)検出装置からの触覚トラックによって強化されたコンテンツが作成される。生成されたコンテンツは、ここで任意のビデオとして処理(記憶、送信、共有、編集)することができる。次のときにおいて、いずれのユーザも(コンテンツを生成した同じユーザであっても)、これらの感覚が記録されたシーンに対応して、自分の皮膚上で触感覚を再現する任意の作用装置を使用して、触覚情報によって高められたこのマルチメディアコンテンツを楽しむことができる。
【0040】
このシステムの1つの可能なバージョンは、特許第102,018,000,003,965号明細書「触覚リング」に記載されている作用する装置と共に動作するように実装されており、以下で説明される。
【0041】
特別なモバイルアプリケーションが、記載する検出装置と通信し、ビデオの記録中にそこから来るデータを取得することができる。次いで、ビデオ、オーディオ、および触覚データが同時に記録される。次のときにおいて、同じアプリケーションが作用装置に接続し、ビデオの再生を開始することができる。この再生中、コンテンツの多感覚使用のために、記録されたフレームごとに、ビデオ情報がスクリーンに、オーディオ情報がオーディオチャネルに、触覚情報が作用装置に送信される。
【0042】
本出願では、この関与する作用装置を前提として、通信チャネルの帯域幅を前提として、モバイルデバイス上でメモリをほとんど占有しないようにする必要性を前提として、検出装置によって読み取られた信号を処理および圧縮するためのアドホックアルゴリズムが、実装されている。例えば、記録された触感覚が再現される作用装置は、振動をレンダリングするためのアクチュエータを1つしか含まないため、検出装置の慣性システムIMUから来る情報は、適切なアルゴリズムで単一の信号に「凝縮」されている。レンダリング忠実度を向上させるために、この信号は、アクチュエータに送られる前にフィルタリングおよび圧縮技術で処理された。
【0043】
同様に、温度に関して、検出装置によって読み取られた信号を適切にサンプリングし、送信される情報を圧縮して帯域幅および占有メモリに関して節約およびより高い効率を得るために、作用装置内の使用されるアクチュエータ(ペルチェセル)の応答が考慮された。
【0044】
場合によっては、取得された信号は、「センサ融合」技術によって「組み合わせる」こともできる。本出願の実装態様では、例えば、慣性システムIMUおよび圧力センサのデータを使用して、記録中に、手と周囲環境の対象物との間の接触のときを特定した。すべての「非接触」であるときの間、例えば、温度センサから来るデータは無視される。それらのときに読み取られた温度は、装置の周囲環境に関連し、振れられた対象物の実際の温度には関連しない。
【0045】
触覚情報を用いたマルチメディアコンテンツ編集の強化
しかし、図8のフローチャートに図式化された、先のものとはわずかに異なるアプリケーションは、触感覚によって、但しマルチメディアコンテンツの生成中ではなく、後の時点でこれらの感覚を追加する可能性を伴って高められたマルチメディアコンテンツの生成を提供する。ビデオ(映画であっても)または写真が触覚コンテンツで強化される場合、検出装置によって収集されたデータを特別な編集ソフトウェアによってそのマルチメディアコンテンツに追加することができる。写真の場合、例えば、送信、共有、または単に記憶するために、写真に関連付けられる触覚シーケンスを生成する検出装置を使用して記録を開始することができる。このようにして強化された写真は、別のユーザと共有することができ、または例えば、関連する触覚コンテンツによって製品を(写真から)見て仮想的に「触れる」ことができる電子商取引サイト上でオンラインにすることができる。例えば、多感覚の電子商取引体験のために、販売用のドレスの布地の手触りを記録し、それをドレス自体の写真と関連付けることが可能である。
【0046】
ビデオの場合、ある種の「触覚ダビング」のように、特定のフレームに対応して、(オーディオおよびビデオのものに重ね合わされた)特別な触覚トラック内のビデオのタイムラインに沿って1つまたは複数の触感覚を「置く」ことが可能である。第1の場合と同様に、このようにして作成されたコンテンツは、任意の作用装置を介してそれらの触覚構成要素に使用することができる。
【0047】
触覚コンテンツのみの共有
検出装置の別の可能な使用は、前の場合のように記録された触覚シーケンスを別のユーザと共有する簡単な可能性によって表されるが、別のマルチメディアコンテンツを強化するようには設計されておらず、単独で考慮される。例えば、この記録されたシーケンスは、ワッツアプリを介して送信されたオーディオノートなどと同様に、「触覚ノート」として使用することができる。
【0048】
VR/ARアプリケーションのための触覚コンテンツの作成および記憶
今日、市販されている触覚インターフェース(「作用装置」)のほとんどは、仮想現実および拡張現実アプリケーションで使用されるように設計される。そのようなデバイスを装着する、仮想対象物とやりとりするユーザは、「それらに触れる」感覚を有することができる。これを行うために、仮想コンテンツの作成者はまた、グラフィックの観点から作成する仮想対象物に触覚コンテンツを関連付けなければならない。硬度、ざらつき、温度などの特性が、ユーザが仮想対象物とやりとりするときにユーザによって知覚される触感覚を決定する。
【0049】
この説明で提示する検出装置は、これらの触覚コンテンツの作成のための即時使用ツールを表し、図9のブロック図を実施している。例えば、作成者が特定の材料を特定の仮想対象物(例えば木材)に関連付けたいと仮定する。検出装置がなければ、コンテンツ制作者は、木の対象物に触れる感覚をユーザに与える特定の仮想の手触りを「作成」しなければならない。本開示の検出装置により、このプロセスを大幅に簡素化することができる。コンテンツ制作者は、任意の実際の木の対象物に触れ、その対象物との数秒間の触覚相互作用を記録し、次いで、記録された触覚コンテンツを制作中の仮想対象物に関連付けるだけでよい。したがって、すべての開発者およびコンテンツ作成者が必要に応じてウェブからダウンロードすることができる様々な種類の材料を含むこれらの触感覚のデータベースを作成することも可能である。このようにして特定の仮想対象物に関連付けられた触覚情報は、次に、仮想対象物とやりとりするユーザの動きおよび触覚探索モードも(リアルタイムで)考慮に入れながら、作用装置上でレンダリングされるように手直しされる。
【0050】
この概念は、特定の対象物の表面特性を決定する振動だけでなく、検出装置によって記録することができるすべての触感覚にも適用される。
【0051】
触感覚のリアルタイム伝達
アプリケーションでは、2人のユーザ(「ユーザA」および「ユーザB」)が、物理的接続、ローカルネットワークまたはインターネットを介して互いに接続されており、これらの接続は、2つの装置を接続し、一方は検出用であり、他方は行動用であり、同時にユーザAおよびユーザBのそれぞれに装着されている。図10の図に図式化するように、検出装置を装着しているユーザAは、自分を取り囲む対象物と触覚的にやりとりし、ユーザBが装着している作用装置に直接、取得した触覚情報をリアルタイムで送信して、ユーザBに同じ触感覚を感じさせることができる。したがって、ユーザBは、ユーザAによって触れられた同じ対象物とやりとりしている感覚を有する。本出願の一例は、触れる感覚によって高められたビデオチャットである。この場合、2つの装置は、2つのコンピュータ(またはモバイルデバイス)に物理的に接続され、これらのコンピュータは、オーディオおよびビデオ情報もその間に捕捉して送信する2人のユーザによって使用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10