(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】メベンダゾールおよび強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬を含む組合せ医薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4184 20060101AFI20240816BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/15 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/37 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/427 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20240816BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240816BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240816BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240816BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240816BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K31/4184
A61K31/138
A61K31/15
A61K31/37
A61K31/404
A61K31/427
A61K31/496
A61K31/522
A61K45/00
A61P1/16
A61P15/00
A61P17/00
A61P17/06
A61P19/06
A61P29/00
A61P31/10
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2021547579
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(86)【国際出願番号】 GB2020050287
(87)【国際公開番号】W WO2020165559
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-24
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521358268
【氏名又は名称】ゼファファーム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ジョン
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-534397(JP,A)
【文献】国際公開第2018/063472(WO,A1)
【文献】Noemi Cowana et al.,In Vitro and In Vivo Drug Interaction Study of Two Lead Combinations, Oxantel Pamoate plus Albendazole and Albendazole plus Mebendazole, for the Treatment of Soil-Transmitted Helminthiasis,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,2016年,60,6127-6133,DOI:10.1128/AAC.01217-16
【文献】Koushin Shikiya et al.,Treatment of Strongyloidiasis with Mebendazole and Its Combination with Thiabendazole,Kansenshogaku Zasshi,1990年,64,1408-1415,DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.64.1408
【文献】isieike-Onuigbo, NN et al.,Armillifer armillatus infection,Nigerian Journal of Clinical Practice,2011年,14,501-503,DOI:10.4103/1119-3077.91767
【文献】Pan Pantziarla et al.,ReDO_DB: the repurposing drugs in oncology database,ecancer,2018年,12,1-19,DOI:10.3332/ecancer.2018.886
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおけるがん、非がん性増殖性疾患、真菌性疾患、炎症性疾患、または線維性疾患の処置方法において使用するための、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、
もしくはN-オキシド
と、強いまたは中程度のシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害薬
とを含む医薬組成物。
【請求項2】
前記CYP1A2阻害薬が、フラフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、8-フェニルテオフィリン、メトキサレン、チアベンダゾールもしくはメキシレチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、
もしくはN-オキシ
ドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記CYP1A2阻害薬が、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、
シプロフロキサシンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、
もしくはN-オキシ
ドである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記CYP1A2阻害薬が、シプロフロキサシン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシドである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記CYP1A2阻害薬が、フラフィリン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシドである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記CYP1A2阻害薬が、フルボキサミン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシドである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記CYP1A2阻害薬が、チアベンダゾール、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシドである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ヒトにおけるがん、非がん性増殖性疾患、真菌性疾患、炎症性疾患、または線維性疾患の処置方法において使用するための、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、
もしくはN-オキシド
を含む薬剤であって、前記処置方法が、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬の同時、併用、個別または逐次投与を含む
、薬剤。
【請求項9】
前記強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬が請求項2から
7のいずれか一項に記載の通りである、請求項
8に記載の
薬剤。
【請求項10】
前記方法が
、気管支腫瘍、中枢神経系がん、中枢神経系胎児性腫瘍、癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、カルチノイド腫瘍、虫垂がん、星細胞腫、脊索腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、肉腫、膀胱がん、甲状腺がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、食道がん、AIDS関連がん、肝細胞(肝臓)がん、陰茎がん、胸膜肺芽腫、胆嚢がん、横紋筋肉腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、唾液腺がん、中枢神経系胚細胞腫瘍、形質細胞新生物、口唇および口腔がん(Oral Cavity Cancer)、精巣がん、肝外胆管がん、非浸潤性乳管癌(DCIS)、鼻咽頭がん、鼻腔および副鼻腔がん、骨がん、乳がん、神経膠腫、有毛細胞白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、口腔がん(Oral Cancer)、上衣腫、皮膚T細胞リンパ腫、妊娠性絨毛性疾患、眼がん、カポジ肉腫、性腺外胚細胞腫瘍、胃(胃)がん(Gastric(Stomach)Cancer)、消化管間質腫瘍(GIST)、乳頭腫症、小腸がん、脳および脊髄腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、膵臓がん、咽頭がん、中咽頭がん、傍神経節腫、非黒色腫皮膚がん、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、扁平上皮癌、悪性線維性組織球腫、黒色腫、セザリー症候群、メルケル細胞癌、下垂体腫瘍、骨および骨肉腫の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、副甲状腺がん、皮膚がん、菌状息肉腫、胚細胞腫瘍、卵管がん、眼内黒色腫、白血病、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、子宮内膜がん、リンパ腫、前立腺がん、腎骨盤および尿管がん、骨肉腫(骨がん)、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、基底細胞癌、喉頭がん、多発性骨髄腫/プラズマ細胞新生物、膣がん、扁平上皮がん、多発性骨髄腫、NUT遺伝子に関連する正中線癌、頭頸部がん、心臓がん、眼内(眼)、腎細胞(腎臓)がん、骨の悪性線維性組織球腫、肝臓がん、直腸がん、結腸がん、悪性中皮腫、低悪性度腫瘍、口腔がん(Mouth Cancer)、軟部肉腫、下咽頭がん、ウィルムス腫瘍、上皮がん、ユーイング肉腫ファミリーの腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、嗅神経芽細胞腫、胎児性腫瘍、子宮頸がん、慢性骨髄増殖性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、尿管および腎骨盤がん、肛門がん、尿道がん、脳幹腫瘍、外陰部がん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、子宮肉腫、胃(胃)がん(Stomach(Gastric)Cancer)、脳幹部神経膠腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、頭蓋咽頭腫、小細胞肺がん、口唇および口腔がん(Oral Cavity Cancer)、皮膚T細胞リンパ腫、神経芽腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ランゲルハンス細胞組織球症、乳がん、消化管カルチノイド腫瘍、副鼻腔および鼻腔がん、褐色細胞腫、潜在性原発性の転移性扁平上皮がん、男性乳がん、腎臓(腎)がん、肺がん、膵島細胞腫瘍、肝外胆管がん、子宮内膜がん、慢性骨髄増殖性新生物、腎骨盤および尿管の移行細胞がん、胸腺腫および胸腺癌、喉のがん、ユーイング肉腫、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、結腸がん、心臓(心臓)腫瘍(Cardiac(Heart)Tumors)、バーキットリンパ腫、原発不明の癌、中枢神経系非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、小児がん、および非ホジキンリンパ腫、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、またはP-gp発現多剤耐性腫瘍から選択され
るがんまたは非がん性腫瘍障害の処置方法であ
る、請求項
1~7のいずれか一項に記載
の医薬組成物
、または請求項8もしくは9に記載の薬剤。
【請求項11】
前記方法は、肉腫、卵巣がん、腎臓(腎)がん、黒色腫、結腸直腸がん、結腸がん、肺がん、脳のがん、副腎皮質腺癌、副腎皮質癌、副腎皮質腺腫、P-gp発現多剤耐性腫瘍、および神経芽腫から選択されるがんまたは非がん性腫瘍障害の処置方法である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項8もしくは9に記載の薬剤。
【請求項12】
前記方法が、固形腫瘍障害(がんおよび非がん障害を含む)、
または血液学的が
んの処置方法である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項8もしくは9に記載の薬剤。
【請求項13】
前記方法は、炎症性疾患または線維性疾患の処置方法である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項8もしくは9に記載の薬剤。
【請求項14】
前記疾患は、痛風、肝硬変、強皮症、乾癬、または子宮内膜症である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項8もしくは9に記載の薬剤。
【請求項15】
前記方法は、真菌性疾患の処置方法である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項8もしくは9に記載の薬剤。
【請求項16】
前記方法は、エンセファリトゾーン属種およびエンテロシトゾーン・ビエヌーシ(Enterocytozoon bieneusi)から選択される真菌性疾患の処置方法である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項8もしくは9に記載の薬剤。
【請求項17】
メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシドと、フルボキサミンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシドとを含む医薬組成物。
【請求項18】
治療によるヒトの処置方法において使用するためのメベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくはN-オキシドを含む薬剤であって、前記方法が、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくはN-オキシドと、フルボキサミンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはN-オキシドとの同時、併用、個別または逐次投与を含む、薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンズイミダゾール化合物であるメベンダゾール、および強いまたは中程度のシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害薬(inhibitor)を含む組合せ医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンズイミダゾール化合物は、いくつかの疾患の処置に関連する生物学的標的に対して活性を有することが公知な薬理学的に活性な化合物のクラスを表す。ベンズイミダゾール、例えばメベンダゾール、ノコダゾール、ベノミル、カルベンダジム、オキシフェンダゾール(オクスフェンダゾール)、アルベンダゾール、リコベンダゾール(アルベンダゾールスルホキシド)、チアベンダゾール、フェンベンダゾール、トリクラベンダゾールおよびフルベンダゾールは、駆虫活性および抗原虫活性を含む抗寄生虫活性を有し、微小管阻害薬として作用することが公知である。これらの微小管阻害ベンズイミダゾールは、動物細胞および寄生虫において活性を有する。ベンズイミダゾール化合物はまた、すべてのタイプのがん/腫瘍および他の増殖性疾患に関連するさらなる作用機序を有することが見出されている。
【0003】
述べたように、メベンダゾールはベンズイミダゾール化合物である。メベンダゾール(IUPAC名:メチルN-(6-ベンゾイル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)カルバメート)は、腫瘍細胞を含む哺乳動物細胞および寄生虫において、微小管阻害によって強力な抗増殖活性を有することが示されている。それはまた、さらなる作用機序および抗真菌活性を有する。メベンダゾールおよびその医薬特性の様々な研究が行われてきた。
【0004】
Dayan,Acta Tropica.,2003,86,141は、アルベンダゾール、メベンダゾールおよびプラジカンテルの薬物動態および毒性の総説である。
【0005】
Dawson et al.,British Journal of Clinical Pharmacology,1982,14,453は、ヒトにおけるメベンダゾールの薬物動態およびバイオアベイラビリティに関する。
【0006】
Dawson et al.,British Journal of Clinical Pharmacology,1985,19,79は、ヒトにおける[3H]-メベンダゾールのトレーサ量の薬物動態およびバイオアベイラビリティに関する。
【0007】
Cowan et al.,International Journal for Parasitology:Drugs and Drug Resistance,2016,6,159は、これらの消化管線虫への薬物侵入経路を解明するための、インビトロおよびインビボでのアルベンダゾール、アルベンダゾールスルホキシド、メベンダゾールおよびオキサンテルパモエートへのヘリグモソモイデス・ポリギルス(Heligmosomoides polygyrus)およびトリチュリス・ムリス(Trichuris muris)の曝露に関する。
【0008】
国際公開第2016/127168号は、腫瘍の処置および予防のためのメベンダゾール多形に関する。
【0009】
Luder et al.,European Journal of Clinical Pharmacology,1986,31,443は、高経口用量のメベンダゾールでの包虫症の処置に関する。
【0010】
Pawluk et al.,Clinical Pharmacokinetics,2015,54,371は、駆虫薬アルベンダゾールおよびメベンダゾールとの薬物動態学的薬物-薬物相互作用の総説である。
【0011】
Bekhti et al.,British Journal of Clinical Pharmacology,1987,24,390は、シメチジンが血清メベンダゾール濃度をどのように増加させるかを検討している。
【0012】
Murray et al.,Xenobiotica,2001,31,135は、メチルキサンチンによるインビトロでのヒトCYP1A2活性の阻害:8-フェニルテオフィリンによる強力な競合的阻害に関する。
【0013】
Karjalainen (Department of Clinical Pharmacology University of Helsinki,2008)による学術論文は、インビトロおよびヒトにおけるCYP1A2媒介薬物代謝の阻害に関する
【0014】
Zhou et al.,Drug Metabolism Reviews,2009,41,89は、ヒトシトクロムP450(CYP)酵素の多型およびその臨床上の影響に関する。
【0015】
Braithwaite et al., European Journal of Clinical Pharmacology,1982,22,161は、嚢胞性包虫症の処置を受けた患者における高用量メベンダゾールの臨床薬物動態学に関する。
【0016】
Luder et al., European Journal of Clinical Pharmacology,1986,31,443は、高経口用量のメベンダゾールでの包虫症の処置に関する。
【0017】
El-Khouly et al.,Frontiers in Oncology,2017,7,1は、びまん性内在性橋神経膠腫における有効な薬物送達およびメベンダゾールの物理化学的特性に関する。
【0018】
Joffe et al., Frontiers in Microbiology,2017,8,535は、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)に対するメベンダゾールの抗真菌効果に関する。
【0019】
メベンダゾールの低い全身バイオアベイラビリティは、異なるタイプのがんを含む増殖性疾患および寄生虫に対する臨床上の処置の開発を制限している。特に、メベンダゾールは、消化管を介した吸収が少なすぎるため(その後、肝臓で吸収されたメベンダゾールの初回通過代謝が続く)、活性薬物であるメベンダゾールの治療濃度の全身分布を必要とする処置、例えば、増殖性疾患(様々ながんおよび多くの寄生虫および真菌性疾患を含む)に適さないため、生物学的な利用可能性が不十分であると主に考えられている。
【発明の概要】
【0020】
ベンズイミダゾール化合物であるメベンダゾールの全身バイオアベイラビリティは、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬と組み合わせて投与することによって改善されることが見出された。
【0021】
したがって、第1の態様では、本発明は、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物、および強いまたは中程度のシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害薬を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、CYP1A2阻害薬は、フラフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、8-フェニルテオフィリン、メトキサレン、チアベンダゾールもしくはメキシレチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物である。
【0023】
第2の態様では、本発明は、治療によるヒトまたは動物対象の処置方法における同時、併用、個別または逐次使用のための、メベンダゾールおよび強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬を含む製品を提供する。第2の態様のいくつかの実施形態では、製品は、第1の態様の医薬組成物であり得る。
【0024】
第3の態様では、本発明は、治療によるヒトまたは動物対象の処置方法に使用するための、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物および強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬を含む医薬組成物を提供する。
【0025】
第4の態様では、本発明は、治療によるヒトまたは動物対象の処置方法で使用するための、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物を提供し、この処置方法は、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬の同時、併用、個別または逐次投与を含む。
【0026】
第5の態様では、本発明は、治療によるヒトまたは動物対象の処置方法で使用するための強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬を提供し、この処置方法は、メベンダゾールを含む医薬組成物の同時、併用、個別または逐次投与を含む。
【0027】
第6の態様では、本発明は、治療によるヒトまたは動物対象の処置のための医薬の製造における、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物および強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬の使用を提供する。
【0028】
第7の態様では、本発明は、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬との同時、併用、個別または逐次投与による治療によるヒトまたは動物対象の処置のための医薬の製造におけるメベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物の使用を提供する。
【0029】
第8の態様では、本発明は、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物との同時、併用、個別もしくは逐次投与による治療によるヒトまたは動物対象の処置のための医薬の製造における強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬を提供する。
【0030】
第9の態様では、本発明は、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物および強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬の同時、併用、個別または逐次投与を含む治療によるヒトまたは動物対象の処置方法を提供する。
【0031】
さらに、消化管を介した吸収不良は、メベンダゾールの全身バイオアベイラビリティを制限する主な要因ではない可能性があり、全身バイオアベイラビリティの制限はCYP1A2による代謝によるものであり得ることが現在分かっている。本発明の第1から第9の態様は、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬と組み合わせることによって、メベンダゾールの改善された全身バイオアベイラビリティを可能にする。したがって、本発明は、抗がん活性、抗寄生虫活性および抗真菌活性を含む抗増殖性を有するメベンダゾールへの全身曝露を可能にする手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施例3のCYP1A2組換えP450アイソフォームの存在下でのメベンダゾールの安定性を示す。
【
図2】実施例4のCYP1A2阻害薬の非存在下でのヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図3】実施例4の3μM、10μMおよび30μMのフラフィリン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図4】実施例4の3μM、10μMおよび30μMのフラフィリン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図5】実施例4の3μM、10μMおよび30μMのフラフィリン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図6】実施例4の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図7】実施例4の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図8】実施例4の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図9】実施例5のCYP1A2阻害薬の非存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図10】実施例5の3μM、10μMおよび30μMのフラフィリン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図11】実施例5の3μM、10μMおよび30μMのフラフィリン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図12】実施例5の3μM、10μMおよび30μMのフラフィリン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図13】実施例5の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図14】実施例5の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図15】実施例5の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図16】実施例6のCYP1A2阻害薬の非存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図17】実施例6の10μM、30μMおよび100μMのチアベンダゾール(中程度のCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図18】実施例6の10μM、30μMおよび100μMのチアベンダゾール(中程度のCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図19】実施例6の10μM、30μMおよび100μMのチアベンダゾール(中程度のCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図20】実施例6の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図21】実施例6の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図22】実施例6の30μM、100μMおよび300μMのシメチジン(弱いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図23】実施例7のCYP1A2阻害薬の非存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図24】実施例7の10μM、30μM、100μMおよび300μMのフルボキサミン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図25】実施例7の10μM、30μM、100μMおよび300μMのフルボキサミン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図26】実施例7の10μM、30μM、100μMおよび300μMのフルボキサミン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図27】実施例7の10μM、30μM、100μMおよび300μMのフルボキサミン(強いCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図28】実施例7の10μM、30μM、100μMおよび300μMのメキシレチン(中程度のCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図29】実施例7の10μM、30μM、100μMおよび300μMのメキシレチン(中程度のCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図30】実施例7の10μM、30μM、100μMおよび300μMのメキシレチン(中程度のCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図31】実施例7の10μM、30μM、100μMおよび300μMのメキシレチン(中程度のCYP1A2阻害薬)の存在下でのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの安定性を示す。
【
図32】実施例9の8つの神経芽腫および13個の肉腫細胞株についてのメベンダゾール濃度-反応曲線を示す。
【
図33】実施例9の8つの神経芽腫および13個の肉腫細胞株についてのメベンダゾール濃度-反応曲線を示す。
【
図34】実施例10の6つの卵巣がん細胞株および6つの腎がん細胞株についてのメベンダゾール濃度-反応曲線を示す。
【
図35】実施例10の6つの卵巣がん細胞株および6つの腎がん細胞株についてのメベンダゾール濃度-反応曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のある特定の特徴を、以下により詳細に説明する。以下の説明では、本発明の第1から第9の態様を、通常、集合的に本発明の組合せと称する。
【0034】
以下の説明では、本発明の組合せの「活性成分(active ingredient)」または「活性成分(active ingredients)」という用語は、メベンダゾールおよび強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬を指す。
【0035】
本発明の組合せの活性成分は、不斉中心またはキラル中心を含み得、したがって、様々な立体異性形態で存在する。特に明記しない限り、ジアステレオマー、エナンチオマーおよびアトロプ異性体、ならびにそれらの混合物、例えばラセミ混合物を含むがこれらに限定されない活性成分のすべての立体異性形態が、本発明の組合せの一部を形成し得ることが意図される。特に明記しない限り、1つまたはそれ以上のキラル中心を有する活性成分は、エナンチオマー的もしくはジアステレオマー的に純粋な形態で、または異性体の混合物の形態で使用され得る。活性成分が名称(例えば、INNまたは薬物の商品名)によって言及される場合、およびその名称が1つの特定のジアステレオマー、エナンチオマーまたはアトロプ異性体を指すものとして製薬分野で一般に認識されている場合、言及された活性成分は、通常はその特定のジアステレオマー、エナンチオマーまたはアトロプ異性体である。
【0036】
本発明の組合せの活性成分は、異なる互変異性形態で存在してもよく、特に明記しない限り、そのような形態はすべて本発明の範囲内に包含される。「互変異性体」または「互変異性形態」という用語は、低いエネルギー障壁を介して相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても公知)は、プロトンの移動を介した相互変換、例えばケト-エノール互変異性化を含む。原子価互変異性体は、結合電子の一部の再編成による相互変換を含む。
【0037】
固体状態における本発明の組合せの活性成分は、様々な非晶質または結晶形態(例えば多形体)で存在してもよく、特に明記しない限り、そのような形態はすべて本発明の範囲内に包含される。
【0038】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容される塩は、活性成分をヒトまたは動物対象への投与に許容される塩基または酸と組み合わせることによって調製され得る活性成分の塩を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容される溶媒和物は、活性成分と、ヒトまたは動物対象への投与に許容される溶媒の分子とを含む固体状態の複合体を指す。活性成分は、溶媒に溶解して溶液を形成してもよく、または溶媒に懸濁して懸濁液を形成してもよい。溶液または懸濁液は、医薬として使用するためのものであり得る。
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容される水和物は、溶媒が水である溶媒和物を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容されるN-オキシドは、その非酸化状態の活性成分が塩基性アミンまたはイミンを含む活性成分の酸化物を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容されるプロドラッグは、ヒトまたは動物患者に投与された場合にインビボで活性成分に変換され得る薬学的に許容される物質を指す。活性成分のプロドラッグは、活性成分の部分をプロ部分でマスクすることによって形成され得る。プロドラッグは、Pro-drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,ACS Symposium Series (T.Higuchi and W.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design,Pergamon Press,1987 (ed.E.B.Roche,American Pharmaceutical Association)にさらに詳細に記載されている。
【0042】
本明細書で使用される場合、薬学的に許容される活性代謝産物は、成分がヒトまたは動物対象に投与された場合にインビボで形成され、所望の薬理活性を有する薬学的に許容される物質を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「ベンズイミダゾール化合物」という用語は、ベンズイミダゾール部分を含む薬理学的に活性な化合物を指す。本発明の組合せのメベンダゾールは、典型的には、抗がん活性および/または抗寄生虫活性および/または抗真菌活性を含む抗増殖活性を有する。
【0044】
メベンダゾール(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグおよび活性代謝産物を含む)は、本発明の組合せに使用される
【0045】
メベンダゾールは、組換えヒトP450酵素、ヒト肝臓ミクロソーム研究およびヒト肝細胞研究を使用するCYP1A2によって代謝されることが現在示されている。「CYP1A2によって代謝される」とは、CYP1A2がインビボでのメベンダゾールの代謝に対して、少なくとも部分的に関与していることを意味する。
【0046】
本発明の組合せのいくつかの実施形態では、メベンダゾールは、以下に限定されないが、以下を含む1つまたはそれ以上の機序を介して活性を有する:
-微小管阻害
-細胞増殖の阻害
-血管新生の阻害
-TRAF2およびNCK相互作用キナーゼ(TNIK)の阻害
-血管表皮増殖因子受容体2(VEGFR2)との干渉
-アポトーシスの誘導
-メタロプロテイナーゼの阻害
-BCR-ABLキナーゼの活性
-BRAFキナーゼの活性
-ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害
-単球様細胞の炎症誘発性(M1)表現型の誘導
-抗クリプトコッカス活性を含む抗真菌活性
【0047】
いくつかの可能な機序が、例えば、Doudican et al.,Anticancer Drugs,2013,24,181; Nygren et al.,Acta Oncol,2013,52,427; Pantziarka et al.,Ecancermedicalscience,2014,8,485; Tan et al.,Scientific Reports,2016,6,33534; Blom et al.,Immunopharmacol Immunotoxicol,2017,39,199; De Witt et al.,Mol Med,2017,23,50;およびPopovic et al.,Tropical Journal of Pharmaceutical Research,2017,16,2555において示唆されている。
【0048】
本発明の組合せのいくつかの実施形態では、メベンダゾールは、細胞生存率アッセイにおいて、神経芽腫、肉腫、腎がんまたは卵巣がん由来の細胞株に対して1μM以下のIC50を有する。
【0049】
メベンダゾールは、創製企業の商品名VERMOX(登録商標)(Janssen Inc.)で、広域スペクトルの消化管駆虫薬としての使用が40年以上にわたって世界で承認されている(例えば、米国では1974年以降、英国では1977年以降)。
【0050】
メベンダゾールは、様々な腫瘍細胞株を使用して実証されているように、細胞の増殖を強力に阻害する。メベンダゾールのずいぶん前に確立された作用機序は、哺乳動物細胞チューブリン、蠕虫および原虫チューブリンを含む動物の結合による微小管阻害である。
【0051】
メベンダゾールの抗寄生虫作用は、チューブリンの重合を阻むように作用する微小管崩壊剤としての作用によるものであり、寄生虫を死滅させる。チューブリンは細胞分裂に不可欠であり、したがって、パクリタキセル、コルヒチンおよびビンクリスチンを含むいくつかの広く使用されている化学療法薬のがん標的である。メベンダゾールによるチューブリン重合の阻害は、例えば、インビトロでの膠芽腫モデルおよび黒色腫モデルにおいて確認されている。後者の研究は、微小管崩壊に対するアポトーシス応答がBcl-2リン酸化によって媒介されることを示唆した。黒色腫に関するその後の研究により、この結果が確認され、また、メベンダゾールがX連鎖アポトーシス阻害剤(XIAP)のレベルを低下させることも示された。
【0052】
メベンダゾールの他に提案されている作用機序には、TRAF2およびNCK相互作用キナーゼ(TNIK)阻害、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)との干渉による抗血管新生活性、およびメタロプロテイナーゼ活性の阻害が含まれる。
【0053】
メベンダゾールは、p53依存性および非依存性経路を介して有効であると思われる。例えば、肺がん細胞株では、メベンダゾール処理が翻訳後p53の安定化ならびにp21およびMDM2の下流発現を引き起こすことが見出された。p53ヌル肺がん細胞では、メベンダゾールへの曝露は、シトクロムcの蓄積、カスパーゼ-9およびカスパーゼ-8の活性化、ならびにPARPおよびプロカスパーゼ-3の切断を引き起こした。p53状態のこの非依存性は、野生型および変異型p53細胞株がメベンダゾールに対して感受性であった黒色腫細胞の分析においても明らかである。
【0054】
メベンダゾールは、ヒト肺がん異種移植モデルに対して抗血管新生効果を有することが示されている。
【0055】
メベンダゾールは、BCR-ABLおよびBRAFを含むいくつかのプロテインキナーゼと相互作用することが見出された。メベンダゾールの診断特異的活性の分析は、NCI60パネルの結腸がん細胞株の80%で活性を示した。続いて、3つのさらなる結腸がん細胞株および非悪性表現型を有する3つの細胞モデルを試験し、メベンダゾールの選択的結腸がん活性を確認した。
【0056】
メベンダゾールは、以下の実施例で報告される研究に基づいて、P-gpを発現する多剤耐性細胞株を含む広範囲の神経芽腫、肉腫、卵巣腫瘍、腎腫瘍において強力なインビトロ抗がん活性も有することが現在示されている。
【0057】
しかしながら、メベンダゾールの全身バイオアベイラビリティは、観察されるメベンダゾールの濃度の患者間および患者内ばらつきが高い対象では、低いおよび/または変動し、これまで、メベンダゾールを臨床的に有効な抗がん薬として、または増殖性非がん性疾患の処置のための薬物として、または全身性抗寄生虫症の有効な処置もしくはより有効な処置のための薬物として、または抗真菌処置として有効に開発することは不可能であった。
【0058】
メベンダゾールは市販されているか、または公知の方法によって、または公知の方法と同様の方法によって調製することができる。例えば、メベンダゾールは、Sigma-Aldrich(登録商標)を含む商業的供給業者から入手可能である。
【0059】
以下に記載のように、メベンダゾールは、高い受動透過性を有することが見出されており、P-糖タンパク質(P-gp)の基質ではなく、乳がん耐性タンパク質(BCRP)の基質でもなく、また有機アニオン輸送ポリペプチド1B1(OATP1B1)の基質でも有機アニオン輸送ポリペプチド1B3(OATP1B3)の基質でもない。
【0060】
本発明者は、驚くべきことに、メベンダゾールがCYP1A2によって広範に代謝され、ヒト肝臓ミクロソームおよびヒト肝細胞におけるその代謝が中程度および強いCYP1A2阻害薬によって著しく阻害されることを見出した。
【0061】
本発明のため、ベンズイミダゾール化合物、リコベンダゾール(アルベンダゾールスルホキシド)を用いてさらなる研究を行った。驚くべきことに、本発明者は、以下の実施例8に示すように、メベンダゾールとは異なり、ベンズイミダゾール化合物であるリコベンダゾールはCYP1A2アイソフォームによって(メベンダゾールとは異なり)広範には代謝されず、特異的/選択的で強いCYP1A2阻害薬で観察された固有クリアランスの阻害はゼロ~せいぜい中程度であり、以下に要約するように、フラフィリンによるメベンダゾールの固有クリアランスの強力な(>80%)CYP1A2阻害とは著しく対照的であることを見出した。
【0062】
CYP1A2阻害薬
本発明の組合せのCYP1A2阻害薬を、以下により詳細に説明する。以下の説明は、本発明の第1から第9の各態様のCYP1A2阻害薬に適用可能である。
【0063】
CYP1A2阻害薬は、中程度のCYP1A2阻害薬または強いCYP1A2阻害薬である。いくつかの実施形態では、CYP1A2阻害薬は中程度のCYP1A2阻害薬である。いくつかの実施形態では、CYP1A2阻害薬は強いCYP1A2阻害薬である。好ましくは、CYP1A2阻害薬は強いCYP1A2阻害薬である。
【0064】
以下で実施され、要約される研究では、試験したCYP1A2の中程度または強いすべての阻害薬は、エクスビボでのヒト肝細胞におけるメベンダゾールの代謝に中程度または強力な阻害を示した。
【0065】
本明細書で使用される場合、中程度のCYP1A2阻害薬は、このCYP1A2代謝経路において、メベンダゾール(以下、CYP1A2基質として定める)のエクスビボでのヒト肝細胞における固有クリアランス(CLint)に50%~80%以下の阻害をもたらすことができる物質であり、このCYP1A2代謝経路では、メベンダゾールのインビボでの曲線下面積(AUC)を2倍以上および5倍未満で増加させると予想される。他の感受性指数CYP1A2基質には、例えばカフェイン、テオフィリンおよびチザニジンが含まれる。中程度のCYP1A2阻害薬の例としては、チアベンダゾール、メキシレチンおよびメトキサレンが挙げられる。
【0066】
メキシレチンおよびチアベンダゾールは、現在、ヒト肝細胞のエクスビボ研究において中程度のCYP1A2阻害薬として使用されている。以下に示すように、メキシレチンおよびチアベンダゾールは、メベンダゾール代謝の中程度から強いCYP1A2阻害薬であり、実施された研究では、メベンダゾールがこれらのCYP1A2阻害薬の感受性基質であることが確認されている。
【0067】
医薬品表示によれば、メキシレチンはCYP1A2阻害薬である。
【0068】
チアベンダゾールは、ヒト用の駆虫薬として承認されており、かつ現在は、獣医用(動物用)駆虫薬として使用されている。チアベンダゾールは、インビボで抗腫瘍活性を示し、血管破壊特性を有する(Cha et al.,Nat Med,2012,18,1754)。チアベンダゾールは、CYP1A2阻害に対して1.54μMの阻害定数(Ki)値、およびCYP1A2阻害に対して0.83μMのIC50値を有する(Bapiro,Eur J Clin Pharmacol.,2005,61,755; Thelingwani et al.,Drug Metab Dispos.,2009,37,1286)。
【0069】
本明細書で使用される場合、強いCYP1A2阻害薬は、このCYP1A2代謝経路において、メベンダゾール(以下、CYP1A2基質として定める)のエクスビボでのヒト肝細胞における固有クリアランス(CLint)に80%以上の阻害をもたらすことができる物質であり、このCYP1A2代謝経路では、メベンダゾールのインビボでのAUCを5倍以上で増加させると予想される。
【0070】
他の感受性指数CYP1A2基質には、カフェイン、テオフィリンおよびチザニジンが含まれる。強いCYP1A2阻害薬の例としては、キサンチン誘導体、例えばフラフィリンおよび8-フェニルテオフィリン、ならびにシプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカストが挙げられる。
【0071】
フラフィリンおよびフルボキサミンは、現在、強いCYP1A2阻害薬としてヒト肝細胞のエクスビボ研究で使用されている。以下に示すように、フラフィリンおよびフルボキサミンは、メベンダゾール代謝の強いCYP1A2阻害薬であり、実施された研究では、メベンダゾールがこれらのCYP1A2阻害薬の感受性基質であることが確認されている。
【0072】
現在、フラフィリンは、弱いCYP1A2阻害薬であるシメチジンを比較剤(comparator)として使用して、エクスビボでのヒト肝細胞およびヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾール代謝の強いCYP1A2阻害薬として使用されている。
【0073】
フラフィリンは、CYP1A2阻害の非競合的阻害薬であり、ヒト肝臓ミクロソームにおけるフェナセチン-O-デエチラーゼ活性のCYP1A2阻害に対して、0.027μMおよび0.07μMのIC50値を有する(Sesardic et al,British Journal of Clinical Pharmacology,1990,29,651; Obach et al,Drug Metabolism and Disposition,2007,35,246)。フラフィリンは、CYP1A2の選択的な時間依存的阻害薬であることが示されている。
フルボキサミンは、現在、エクスビボでのヒト肝細胞におけるメベンダゾール代謝の強いCYP1A2阻害薬としても使用されている。フルボキサミンは、CYP1A2阻害に対して0.035μMおよび0.029μMのIC50値および0.011μMのKiを有し、ヒト肝臓ミクロソームを使用したCYP1A2フェナセチンO-脱エチル化を強力に阻害することが以前に示されている(Obach et al.,Drug Metabolism and Disposition,2006,34,246;およびKarjalainen et al.,Basic&Clinical Pharmacology&Toxicology,2008,103,157)。医薬品表示によれば、フルボキサミンは、インビトロおよびインビボで強いCYP1A2阻害薬である。
【0074】
メベンダゾール(以下、CYP1A2基質として定める)のエクスビボでのヒト肝細胞における固有クリアランス(CLint)に50%以上(例えば80%以上)の阻害をこのCYP1A2代謝経路でもたらすことができ、かつこのCYP1A2代謝経路でメベンダゾールのインビボでのAUCを2倍以上(例えば5倍以上)増加させると予想される任意の化合物は、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬であると考えられ、本発明の組合せに使用することができる。強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、例えば、強いまたは中程度のCYP1A2阻害活性を有することが公知な化合物であってもよい。しかしながら、本発明の組合せはこれに限定されず、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬としては現在知られていない公知の物質であってもよいし、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬である新規な化合物であってもよい。
【0075】
中程度および強いCYP1A2阻害薬は、米国食品医薬品局(US FDA)により発行のDrug Interactions&Labelling-Drug Development and Drug Interactions:Table of Substrates,Inhibitors and Inducersおよび欧州医薬品庁(EMA)により発行のGuideline CPMP/EWP/560/95/Rev.1 Corr.2,Committee for Human Medicinal Products(CHMP)において論じられている。
【0076】
米国食品医薬品局(US FDA)により発行のDrug Interactions&Labelling-Drug Development and Drug Interactions:Table of Substrates,Inhibitors and Inducersにおいて、メキシレチンはCYP1A2の中程度の臨床的阻害薬として分類され、フルボキサミンはCYP1A2の強い臨床的阻害薬として分類され、フラフィリンはCYP1A2の選択的な時間依存的阻害薬として分類されている。
本明細書で使用される場合、弱いCYP1A2阻害薬は、このCYP1A2代謝経路において、メベンダゾール(以下、CYP1A2基質として定める)のエクスビボでのヒト肝細胞における固有クリアランス(CLint)に50%以下の阻害をもたらすことができる物質であり、このCYP1A2代謝経路では、メベンダゾールのインビボでのAUC血漿値を2倍未満で増加させると予想される。上記の強い、中程度および弱いCYP1A2阻害薬の定義から、本発明の組合せにおける強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、弱いCYP1A2阻害薬、またはその塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物ではないことになる。
【0077】
弱いCYP1A2阻害薬にはシメチジンが含まれ、米国食品医薬品局(US FDA)により発行のDrug Interactions&Labelling-Drug Development and Drug Interactions:Table of Substrates,Inhibitors and Inducersおよび欧州医薬品庁(EMA)により発行のGuideline CPMP/EWP/560/95/Rev.1 Corr.2,Committee for Human Medicinal Products(CHMP)において論じられている。
【0078】
シメチジンは、CYP1A2の弱い阻害薬として分類され、試験した中程度および強いCYP1A2阻害薬に対する比較剤/参照である弱いCYP1A2阻害薬として、以下に要約される比較エクスビボヒト肝細胞研究で使用されている。
【0079】
以下に示すように、シメチジンによるメベンダゾール代謝のCYP1A2阻害は、提示された新たなデータに示されるように、試験した中程度および強いCYP1A2阻害薬のすべてとは対照的に、エクスビボでのヒト肝細胞では有意な程度(すなわち、弱い阻害)まで起こらない。
【0080】
本発明の組合せに使用することができる強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬には、キサンチン誘導体、例えばフラフィリンおよび8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、メトキサレンおよびメキシレチン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグまたは活性代謝産物が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
好ましいCYP1A2阻害薬は、フラフィリン、フルボキサミン、チアベンダゾール(メベンダゾール代謝の強い阻害薬であると以下に示す)、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシンおよびザフィルルカスト、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグまたは活性代謝産物を含む強いCYP1A2阻害薬である。
フラフィリンは、本発明の組合せにおける好ましいCYP1A2阻害薬である。
【0082】
フラフィリンは、もともと呼吸器疾患の処置のための開発が意図された、1980年代半ばに臨床開発中のメチルキサンチン誘導体である。フラフィリンは、CYP1A2の強力な時間依存的阻害薬である。フラフィリンは、以下の実施例で報告されるヒト肝細胞およびヒト肝臓ミクロソームのエクスビボ研究に基づいて、メベンダゾール代謝の強い阻害薬であることが現在示されており、上で定義した強いCYP1A2阻害薬の定義に従って、強い濃度関連阻害が観察された。
【0083】
チアベンダゾールもまた、本発明の組合せにおける好ましいCYP1A2阻害薬である。
【0084】
チアベンダゾールは、以下の実施例で報告される研究に基づいて、上で定義した強いCYP1A2阻害薬の定義に従って、メベンダゾール代謝の強い阻害薬であることが現在示されている。さらに、チアベンダゾールは、メベンダゾールと同様に、抗がん活性および抗寄生虫活性を含む抗増殖性を有するベンズイミダゾール薬である。したがって、潜在的な薬力学(抗腫瘍および/または抗増殖効果)および薬物動態学的(メベンダゾール代謝のCYP1A2阻害)の相乗効果が、本発明のメベンダゾール-チアベンダゾールの組合せで観察され得る。
【0085】
フルボキサミンもまた、本発明の組合せにおける好ましいCYP1A2阻害薬である。
【0086】
フルボキサミンは、以下の実施例で報告される研究に基づいて、上で定義した強いCYP1A2阻害薬の定義に従って、メベンダゾール代謝の強い阻害薬であることが現在示されている。さらに、フルボキサミンは、膠芽腫の遊走および浸潤の抑制につながるアクチン重合を崩壊させることによって、膠芽腫に対する抗腫瘍活性を示している(Hayashi et al.,Scientific Reports,2016,6,23372)。メベンダゾールについて既に論じたように、メベンダゾールによるチューブリン重合の阻害は、膠芽腫モデルにおいてインビトロで確認されている。したがって、潜在的な薬力学(抗腫瘍および/または抗増殖効果)および薬物動態学的(メベンダゾール代謝のCYP1A2阻害)の相乗効果が、本発明のメベンダゾール-フルボキサミンの組合せで観察され得る。
【0087】
強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は市販されているか、または公知の方法によって、または公知の方法と同様の方法によって調製することができる。例えば、フラフィリン、チアベンダゾールおよびフルボキサミンは、Sigma-Aldrich(登録商標)を含む商業的供給業者から入手可能である。
【0088】
処置方法
ヒトまたは動物対象の治療による処置方法は、以下により詳細に論じられる。本明細書で使用される場合、「処置方法(method of treatment)」または「処置方法(methods of treatment)」という用語は、本発明の第2から第9の態様のそれぞれのヒトまたは動物対象の治療による処置を指す。以下の説明は、本発明の第2から第9の態様のそれぞれの処置方法に適用可能である。
【0089】
メベンダゾールを強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬と組み合わせることによって、本発明の組合せは、メベンダゾールの全身バイオアベイラビリティを改善し得る。本発明の組合せはまた、個々の対象間および対象内ベースでのメベンダゾールの全身バイオアベイラビリティのばらつきを低減させることによって、全身バイオアベイラビリティの予測可能性、したがってメベンダゾールの有効性/治療活性を改善し得る。
【0090】
したがって、メベンダゾールは、以前に考えられていたよりも経口投与後に消化管からより良好に吸収され得、メベンダゾールの低い全身アベイラビリティは、ヒトで見られるように、以前に考えられていたよりもはるかに大きな程度で代謝(特に初回通過肝代謝中のCYP1A2代謝による)に起因し得る。したがって、メベンダゾールの全身バイオアベイラビリティは、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬との投与によって改善され得る。中程度または強いCYP1A2阻害薬の使用によるメベンダゾールの代謝の阻害は、弱いCYP1A2阻害薬の使用によるものではなく、メベンダゾールの全身治療濃度の対象内および対象間(患者)ばらつきを低減させると予想される(例えばDayan,Acta Tropica 2003,86,141に記載されているように)。対象内変動は、例えば、CYP1A2を誘導するタバコの煙および経口避妊ステロイドを含む食事性および環境性化合物への曝露によって起こり得る(Zhou et al.,2009)。
【0091】
本発明の組合せは、メベンダゾールが全身に所望の作用機序を達成することを可能にするために使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、処置方法は、全身に、以下を含むがこれらに限定されない1つまたはそれ以上の機序を含み得る。
-微小管阻害
-細胞増殖の阻害
-血管新生の阻害
-TRAF2およびNCK相互作用キナーゼ(TNIK)の阻害
-血管表皮増殖因子受容体2(VEGFR2)との干渉
-アポトーシスの誘導
-メタロプロテイナーゼの阻害
-BCR-ABLキナーゼの活性
-BRAFキナーゼの活性
-ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害
-単球様細胞の炎症誘発性(M1)表現型の誘導
-抗クリプトコッカス活性を含む抗真菌活性
【0092】
いくつかの実施形態では、処置方法は、メベンダゾールが活性である生物学的標的での作用によって改善されやすい疾患を処置する方法であり得る。メベンダゾールが活性である生物学的標的での作用によって改善されやすい疾患には、血液学的がん、がんおよび非がん性障害を含む固形腫瘍、炎症性疾患、線維性疾患、痛風、肝硬変、強皮症、乾癬、子宮内膜症、および蠕虫症(線虫(nematodes)、条虫(cestodes)、吸虫(trematodes))を含む寄生虫症、例えば鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、ぎょう虫症、およびトリキネラ・スピラリス、およびアカントセファラン(Acanthocephalans)ならびに原虫症、例えばプラスモディウム属種、アフリカトリパノソーマ、トリパノソーマ・クルーズ、リーシュマニア属種、ジアルジア属種、トリコモナス・バギナリス、エンタモエバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、エンセファリトゾーン属種、アカンタモエバ・カステラー二(Acanthamoeba castellani)、エンテロシトゾーン・ビエヌーシ(Enterocytozoon bieneusi)、ならびに真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)が含まれるがこれらに限定されない。
【0093】
いくつかの実施形態では、がんまたは非がん性腫瘍障害は、気管支腫瘍、中枢神経系がん、中枢神経系胎児性腫瘍、癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、カルチノイド腫瘍、虫垂がん、星細胞腫、脊索腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、肉腫、膀胱がん、甲状腺がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、食道がん、AIDS関連がん、肝細胞(肝臓)がん、陰茎がん、胸膜肺芽腫、胆嚢がん、横紋筋肉腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、唾液腺がん、中枢神経系胚細胞腫瘍、形質細胞新生物、口唇および口腔がん(Oral Cavity Cancer)、精巣がん、肝外胆管がん、非浸潤性乳管癌(DCIS)、鼻咽頭がん、鼻腔および副鼻腔がん、骨がん、乳がん、神経膠腫、有毛細胞白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、口腔がん(Oral Cancer)、上衣腫、皮膚T細胞リンパ腫、妊娠性絨毛性疾患、眼がん、カポジ肉腫、性腺外胚細胞腫瘍、胃(胃)がん(Gastric(Stomach)Cancer)、消化管間質腫瘍(GIST)、乳頭腫症、小腸がん、脳および脊髄腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、膵臓がん、咽頭がん、中咽頭がん、傍神経節腫、非黒色腫皮膚がん、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、扁平上皮癌、悪性線維性組織球腫、黒色腫、セザリー症候群、メルケル細胞癌、下垂体腫瘍、骨および骨肉腫の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、副甲状腺がん、皮膚がん、菌状息肉腫、胚細胞腫瘍、卵管がん、眼内黒色腫、白血病、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、子宮内膜がん、リンパ腫、前立腺がん、腎骨盤および尿管がん、骨肉腫(骨がん)、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、基底細胞癌、喉頭がん、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、膣がん、扁平上皮がん、多発性骨髄腫、NUT遺伝子に関連する正中線癌、頭頸部がん、心臓がん、眼内(眼)、腎細胞(腎臓)がん、骨の悪性線維性組織球腫、肝臓がん、直腸がん、結腸がん、悪性中皮腫、低悪性度腫瘍、口腔がん(Mouth Cancer)、軟部肉腫、下咽頭がん、ウィルムス腫瘍、上皮がん、ユーイング肉腫ファミリーの腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、嗅神経芽細胞腫、胎児性腫瘍、子宮頸がん、慢性骨髄増殖性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、尿管および腎骨盤がん、肛門がん、尿道がん、脳幹腫瘍、外陰部がん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、子宮肉腫、胃(胃)がん(Stomach(Gastric)Cancer)、脳幹部神経膠腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、頭蓋咽頭腫、小細胞肺がん、口唇および口腔がん(Oral Cavity Cancer)、皮膚T細胞リンパ腫、神経芽腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ランゲルハンス細胞組織球症、乳がん、消化管カルチノイド腫瘍、副鼻腔および鼻腔がん、褐色細胞腫、潜在性原発性の転移性扁平上皮がん、男性乳がん、腎臓(腎)がん、肺がん、膵島細胞腫瘍、肝外胆管がん、子宮内膜がん、慢性骨髄増殖性腫瘍、腎骨盤および尿管の移行細胞がん、胸腺腫および胸腺癌、喉のがん、ユーイング肉腫、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、結腸がん、心臓(心臓)腫瘍(Cardiac(Heart)Tumors)、バーキットリンパ腫、原発不明の癌、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、中枢神経系非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、小児がん、非ホジキンリンパ腫ならびにP-gp発現多剤耐性腫瘍から選択され得る。いくつかの実施形態では、がんは、肉腫、卵巣がん、腎臓(腎)がん、黒色腫、結腸直腸がん、結腸がん、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、P-gp発現多剤耐性腫瘍、神経芽腫、非がん性障害、炎症性疾患、線維性疾患、痛風、肝硬変、強皮症、乾癬、子宮内膜症、および蠕虫症(線虫(nematodes)、条虫(cestodes)、吸虫(trematodes))を含む寄生虫症、例えば鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、ぎょう虫症、およびトリキネラ・スピラリス、およびアカントセファランならびに原虫症、例えばプラスモディウム属種、アフリカトリパノソーマ、トリパノソーマ・クルーズ、リーシュマニア属種、ジアルジア属種、トリコモナス・バギナリス、エンタモエバ・ヒストリチカ、エンセファリトゾーン属種、アカンタモエバ・カステラー二、エンテロシトゾーン・ビエヌーシ、ならびに真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンスであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、処置方法の対象はヒトであり得る。ヒトは成人であってもよい。ヒトは、まだ成人レベルの活性に達していなくても、CYP1A2アイソエンザイムが活性である子供であり得る。世界保健機関(WHO/CDS/CPE/PVC/2002.4、2002)は、メベンダゾールの代謝および異化が10~24月齢の小児において成人レベルの活性に達すると述べている。したがって、いくつかの実施形態では、ヒト対象は、10月齢以上の小児(例えば24ヶ月以上)であり得る。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、CYP1A2活性の証拠を有する10月齢未満の小児であり得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、処置方法の対象は、非ヒト動物、例えば哺乳動物または鳥であり得る。非ヒト動物は、典型的には、CYP1A2を発現している動物である。CYP1A2を発現する動物には、マウス、ラット、ウズラ、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマおよびサルが含まれ、CYP1A2の発現が動物種全体で広く保存されていることを示している。
本発明の組合せは、種々の剤形で、例えば錠剤、カプセル剤、糖衣錠もしくはフィルムコーティング錠、液剤もしくは懸濁剤の形態などで経口的に、または非経口的に、例えば筋肉内に、静脈内にもしくは皮下に投与することができる。したがって、組合せは、注射、注入によって、または吸入もしくは噴霧によって与えられ得る。組合せは、好ましくは経口投与によって与えられる。
【0096】
本発明の組合せは、好ましくは(例えば、適するのは)経口投与用である。
【0097】
本発明の組合せにおける各活性成分の投与量は、患者の年齢、体重および状態を含む様々な因子ならびに投与経路に依存する。毎日の投与量は、広い範囲内で変えることができ、それぞれの特定の場合に個々の要件に合わせて調整される。しかしながら、典型的には、化合物を成人に単独で投与する場合の各投与経路に採用される投与量は、0.0001~650mg/kgまたは0.001~650mg/kg、最も一般的には0.001~75mg/kg、0.01~75mg/kgまたは0.001~10mg/kg体重の範囲である。例えば、化合物を単独で成人に投与する場合の各投与経路に採用される投与量は、0.05~25mg/kgまたは0.01~1mg/kgであり得る。このような投与量は、例えば、1日1~5回与えられ得る。静脈内注射の場合、適切な1日用量は、0.0001~50mg/kg体重、0.0001~10mg/kg体重または0.0001~1mg/kg体重である。好ましくは、静脈内注射の場合、適切な1日用量は、0.01~50mg/kg体重、または好ましくは0.05~25mg/kg体重である。1日投与量は、単回投与量として、または分割用量スケジュールに従って投与することができる。錠剤またはカプセル剤などの単位用量形態は、通常、1~500mgまたは1~250mgの活性成分を含有する。例えば、本発明の組合せの活性成分のいずれかは、1日1回、1日2回または3回のいずれかで、1~1500mg、1~1000mg、1~500mgまたは100~250mgの間の用量でヒト患者に投与することができる。非ヒト動物の投与量は、上記のヒト投与量の記載に基づいて算出することができる。
【0098】
本発明の組合せにおける強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬の投与量は、典型的には、メベンダゾールの代謝の満足のいく阻害を達成するために必要な最低投与量である。本発明の組合せにおける強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬の投与量は、典型的には、CYP1A2阻害薬がCYP1A2阻害以外の治療標的(複数可)に対して単一の活性成分として投与されていた場合に使用されるよりも低い。強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬を、通常、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬が単一の活性成分として投与された場合よりも低いレベルで投与するという能力は、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬に起因する副作用の有利な低減をもたらし得る。しかしながら、ある特定の状況では、CYP1A2阻害薬(例えばフルボキサミンまたはチアベンダゾール)は、メベンダゾール代謝の満足のいくCYP1A2阻害を達成するのに必要な量を超えて、さらなる治療活性を達成するためにより高い投与量を必要とする治療活性(例えば抗がん活性)を有し得る。このような状況下では、CYP1A2阻害薬の投与量は、CYP1A2阻害のみに必要とされる治療レベルを超えるまで増加され得る。
【0099】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体をさらに含み得る。適切な医薬製剤の選択および調製のための従来の手順は、例えば、Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Designs,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,1988に記載されている。
【0100】
投与様式に応じて、医薬組成物は、好ましくは0.05~99%w/w(重量パーセント)、より好ましくは0.05~80%w/w、さらにより好ましくは0.10~70%w/w、なおさらにより好ましくは0.10~50%w/wの活性成分の合計重量(すべての重量パーセントは総組成物に基づく)を含む。本発明はさらに、本発明の医薬組成物を調製するための方法であって、上記のような活性成分を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合することを含む、方法を提供する。
【0101】
本発明の組合せは、様々な剤形で投与され得る。したがって、それらは、例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁剤、液剤、分散性粉末剤または顆粒剤として経口投与することができる。本発明の組合せはまた、皮下に、静脈内に、筋肉内に、胸骨内に、経皮的に、注入技法によって、または吸入もしくは噴霧によって、非経口的に投与され得る。組合せはまた、坐剤として投与され得る。本発明の医薬組成物の固体経口形態は、活性化合物と共に、希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチまたはポテトスターチ;滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、マグネシウムもしくはカルシウムステアレート、および/またはポリエチレングリコール;結合剤;例えばスターチ、アラビアガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばスターチ、アルギン酸、アルギネートまたはスターチグリコール酸ナトリウム;発泡混合物;染料;甘味剤;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート;および一般に、医薬製剤に使用される非毒性および薬理学的に不活性な物質を含有し得る。そのような医薬調製物は、例えば、混合、造粒、打錠、糖コーティング、またはフィルムコーティングプロセスによる公知の方法で製造することができる。
経口投与のための液体分散剤は、液剤、シロップ剤、乳剤および懸濁剤であり得る。シロップ剤は、担体として、例えば、サッカロースまたはグリセリンおよび/もしくはマンニトールおよび/もしくはソルビトールを含むサッカロースを含有し得る。
【0102】
懸濁剤および乳剤は、担体として、例えば天然ゴム、アガー、ナトリウムアルギネート、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロピレングリコールまたはポリビニルアルコールを含有し得る。筋肉内注射用の懸濁剤または液剤は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば滅菌水、オリーブ油、エチルオレエート、グリコール、例えばプロピレングリコール、および必要に応じて適切な量のリドカインヒドロクロライドを含有し得る。懸濁剤用のさらに適した担体には、滅菌水、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリソルベート80、ポリビニルピロリドン(PVP)、エアロゾルAOT(すなわち、ナトリウム1,2-ビス(2-エチルヘキソキシカルボニル)エタンスルホネート)、D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシナート、プルロニック(登録商標)F127および/またはカプチゾール(すなわち、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)が含まれる。
【0103】
本発明の化合物は、例えば、以下のような濃度での賦形剤の1つまたはそれ以上を含有する担体中の水性懸濁剤または水溶液として製剤化され得る:
(i)0.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);
(ii)0.67%w/vのポリビニルピロリドン(PVP)/0.33%w/vのエアロゾルAOT(ナトリウム1,2-ビス(2-エチルヘキソキシカルボニル)エタンスルホネート);
(iii)1%w/vのプルロニック(登録商標)F 127;
(iv)30%w/vのプロピレングリコール;
(v)40%w/vのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン;
(vi)40%w/vのβ-シクロデキストリン;
(vii)40%w/vのメチル-β-シクロデキストリン;
viii)40%w/vのカプチゾール(すなわち、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)。
(ix)0.5%w/vのポリソルベート80;および
(x)10%w/vのポリエチレングリコール(PEG)
(xi)20%w/vのD-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシナート
【0104】
担体は、当業者に公知の標準的な手順によって調製することができる。例えば、担体(i)~(xi)のそれぞれは、必要量の賦形剤を適切な容器に秤量し、最終体積の約80%の水を添加し、溶液が形成されるまで磁気的または機械的に撹拌することによって調製することができる。次いで、担体を水で一定量にする。組合せの活性成分の水性懸濁液は、必要量の各活性成分を適切な容器に秤量し、必要体積の担体を100%添加し、磁気的または機械的に撹拌することによって調製することができる。注射または注入のための溶液は、担体として、例えば滅菌水を含有してもよく、または好ましくは滅菌の水性等張食塩水の形態であってもよい。
本発明のある特定の実施形態
【0105】
本発明のある特定の実施形態を、以下により詳細に説明する。特に明記しない限り、以下に記載の実施形態は、本発明の第1から第9の態様のそれぞれに適用可能である。
【0106】
医薬組成物は、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物、および強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フラフィリン、チアベンダゾール、フルボキサミン、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシンもしくはザフィルルカスト、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物である。
【0108】
いくつかの実施形態では、
-メベンダゾールは、細胞生存率アッセイにおいて、神経芽腫、肉腫、腎がんまたは卵巣がん由来の細胞株に対して1μM以下のIC50を有し、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フラフィリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物である。
【0109】
いくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フラフィリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物である。
【0110】
いくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、チアベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物である。
【0111】
いくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フルボキサミンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物である。
【0112】
いくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬はフラフィリンである。
【0113】
いくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬はチアベンダゾールである。
【0114】
いくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬はフルボキサミンである。
【0115】
本発明の第2から第9の態様のいくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フラフィリン、チアベンダゾール、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミンもしくはザフィルルカスト、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物であり、
-処置方法は、肉腫、卵巣がん、腎臓(腎)がん、黒色腫、結腸がん、肺がん、脳のがん、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、P-gp発現多剤耐性腫瘍、神経芽腫、固形腫瘍障害(がんおよび非がん性障害を含む)、血液学的がん、炎症性疾患、線維性疾患、痛風、肝硬変、強皮症、乾癬、子宮内膜症、蠕虫症(線虫、条虫、吸虫)などの寄生虫症、例えば鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、およびぎょう虫症、およびアカントセファランならびに任意の原虫症、例えばプラスモディウム属種、アフリカトリパノソーマ、トリパノソーマ・クルーズ、リーシュマニア属種、ジアルジア属種、トリコモナス・バギナリス、エンタモエバ・ヒストリチカ、エンセファリトゾーン属種、アカンタモエバ・カステラー二、エンテロシトゾーン・ビエヌーシ、ならびに任意の真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンスから選択される疾患の処置方法である。
【0116】
本発明の第2から第9の態様のいくつかの実施形態では、
-処置方法は、肉腫、卵巣がん、腎臓(腎)がん、黒色腫、結腸直腸がん、結腸がん、肺がん、脳のがん、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、P-gp発現多剤耐性腫瘍、神経芽腫、固形腫瘍障害(がんおよび非がん性障害を含む)、血液学的がん、炎症性疾患、線維性疾患、痛風、肝硬変、強皮症、乾癬、子宮内膜症、蠕虫症(線虫、条虫、吸虫)などの寄生虫症、例えば鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、およびぎょう虫症、およびアカントセファランならびに任意の原虫症、例えばプラスモディウム属種、アフリカトリパノソーマ、トリパノソーマ・クルーズ、リーシュマニア属種、ジアルジア属種、トリコモナス・バギナリス、エンタモエバ・ヒストリチカ、エンセファリトゾーン属種、アカンタモエバ・カステラー二、エンテロシトゾーン・ビエヌーシ、ならびに任意の真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンスから選択される疾患の処置方法である。
【0117】
-本発明の第2から第9の態様のいくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フラフィリン、チアベンダゾールまたはフルボキサミンであり、
-処置方法は、肉腫、卵巣がん、腎臓(腎)がん、黒色腫、結腸直腸がん、結腸がん、肺がん、脳のがん、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、P-gp発現多剤耐性腫瘍、神経芽腫、固形腫瘍障害(がんおよび非がん性障害を含む)、血液学的がん、炎症性疾患、線維性疾患、痛風、肝硬変、強皮症、乾癬、子宮内膜症、鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、ぎょう虫症、アカントセファラン、プラスモディウム属種、アフリカトリパノソーマ、トリパノソーマ・クルーズ、リーシュマニア属種、ジアルジア属種、トリコモナス・バギナリス、エンタモエバ・ヒストリチカ、エンセファリトゾーン属種、アカンタモエバ・カステラー二およびエンテロシトゾーン・ビエヌーシから選択される疾患の処置方法である。
【0118】
本発明の第2から第9の態様のいくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フラフィリン、フルボキサミンまたはチアベンダゾールであり、
-処置方法は、肉腫、卵巣がん、腎臓(腎)がん、黒色腫、結腸がん、肺がん、脳のがん、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、P-gp発現多剤耐性腫瘍および神経芽腫から選択される疾患の処置方法である。
【0119】
本発明の第2から第9の態様のいくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フラフィリン、チアベンダゾールまたはフルボキサミンであり、
-処置方法は、固形腫瘍障害(がんおよび非がん性障害を含む)、血液学的がん、炎症性疾患、線維性疾患、痛風、肝硬変、強皮症、乾癬および子宮内膜症から選択される疾患の処置方法である。
【0120】
本発明の第2から第9の態様のいくつかの実施形態では、
-強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬は、フラフィリン、チアベンダゾールまたはフルボキサミンであり、
-処置方法は、鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、ぎょう虫症、アカントセファラン、プラスモディウム属種、アフリカトリパノソーマ、トリパノソーマ・クルーズ、リーシュマニア属種、ジアルジア属種、トリコモナス・バギナリス、エンタモエバ・ヒストリチカ、エンセファリトゾーン属種、アカンタモエバ・カステラー二およびエンテロシトゾーン・ビエヌーシならびに任意の真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンスから選択される疾患の処置方法である。
【実施例】
【0121】
実施例1:メベンダゾールが極性化Caco-2細胞単層におけるヒト排出トランスポータP-gpおよびBCRPの基質であるかどうかを調べるための研究
この研究の目的は、メベンダゾールが、極性化Caco-2細胞単層においてヒト排出トランスポータP-gpおよびBCRPの基質である可能性を評価することであった。試験化合物(参照阻害薬の非存在下および存在下で10μM)を極性化細胞単層と共に120分間インキュベートした。試験化合物の双方向の見かけの透過性をLC-MS/MSによって定量し、排出比を決定するために使用した。
【0122】
参照阻害薬の非存在下および存在下での陽性対照基質の排出比を、試験化合物と並行して行うインキュベーションから決定し、インビトロ試験系がトランスポートされた基質を検出することができることを確認した。
P-gp基質評価に対して、参照阻害薬の非存在下(ER=52.2)および存在下(ER=1.48)でのタリノロールについて得られた排出比から、インビトロ試験系がP-gpの基質を検出することができることを確認した。
【0123】
タリノロール、アテノロールおよびプロプラノロールの算出された平均回収率値は許容可能であった。メベンダゾールの算出された平均回収率値は55.7~75.1%の範囲であり、非特異的結合の大きな問題はなかったことを示している。阻害薬の非存在下でのメベンダゾールの算出された平均回収率値A-Bは55.7%であったが、A-B Papp値は試験全体での回収に関係なく一貫しており、結果の解釈に信頼性がある。
【0124】
メベンダゾールについて決定された平均A-BおよびB-A P
app値(cm/s×10
-6)は、それぞれ25.4および29.8であり、1.17の排出比を与えた(表1)。P-gp参照阻害薬ベラパミルの存在下では、算出された排出比は1.16であった。これらの結果から、メベンダゾールはヒトP-gpトランスポータの基質ではないことが確認された。
【表1】
【0125】
BCRP基質評価に対して、参照阻害薬の非存在下(ER=128)および存在下(ER=1.96)でのエストロン-3-スルフェートについて得られた排出比から、インビトロ試験系がBCRPの基質を検出できることを確認した。
【0126】
エストロン-3-スルフェート、アテノロールおよびプロプラノロールの算出された平均回収率値は許容可能であった。メベンダゾールの算出された平均回収率値は52.0~75.7%の範囲であり、非特異的結合の大きな問題はなかったことを示している。阻害薬の非存在下でのメベンダゾールの算出された平均回収率値A-Bは52.0%であったが、A-B Papp値は試験全体での回収に関係なく一貫しており、結果の解釈に信頼性がある。
【0127】
メベンダゾールについて決定された平均A-BおよびB-A P
app値(cm/s×10
-6)は、それぞれ23.5および29.0であり、1.23の排出比を与えた(表2)。BCRP参照阻害薬フミトレモルギンCの存在下では、算出された排出比は1.25であった。これらの結果から、メベンダゾールはヒトBCRPトランスポータの基質ではないことが確認された。
【表2】
【0128】
この研究で利用されたインビトロ細胞試験系を用いたアッセイ条件下では、メベンダゾールは高い受動透過性を有し、P-gpおよびBCRPのいずれの基質でもないと判定された。
【0129】
これらのデータは、場合によっては以前に考えられていたこととは対照的に、メベンダゾールの経口吸収が想定よりも高くなり得ることを示唆している。ヒトで見られるメベンダゾールの全身バイオアベイラビリティの低減は、以前に考えられていたよりもはるかに大きな程度で代謝に起因するものであり得る。
【0130】
実施例2:一過性トランスフェクトHEK293細胞において、メベンダゾールがヒトSLCトランスポータOATP1B1およびOATP1B3の基質であるかどうかを調べるための研究
この研究の目的は、メベンダゾールが、トランスフェクトされたHEK293細胞においてヒトSLCトランスポータ(OATP1B1およびOATP1B3)の基質である可能性を評価することであった。試験化合物(1および10μM)を、SLCトランスポータを発現するHEK293細胞および対照(空ベクター)HEK293細胞の両方と2分間インキュベートした。試験化合物の取込みをLC-MS/MSによって定量し、取込み比を決定するために使用した。
陽性対照基質の取込み比を試験化合物と並行して行うインキュベーションから決定し、インビトロ試験系がトランスポートされた基質を検出できることを確認した。
【0131】
[3H]-エストラジオール17β-D-グルクロニドに対して得られた取込み比から、インビトロ試験系がOATP1B1の基質を検出することができることが確認された。算出された取込み比は、1μMおよび10μMのメベンダゾールに対してそれぞれ0.9および0.9であり、メベンダゾールがヒトOATP1B1トランスポータの基質ではないことが確認された(表3)。
【0132】
[3H]-エストラジオール17β-D-グルクロニドに対して得られた取込み比から、インビトロ試験系がOATP1B3の基質を検出することができることが確認された。算出された取込み比は、1μMおよび10μMのメベンダゾールに対してそれぞれ1.1および1.1であり、メベンダゾールがヒトOATP1B3トランスポータの基質ではないことが確認された(表4)。
【表3】
【表4】
【0133】
この研究で利用されたインビトロトランスフェクト細胞試験系を用いた現在のアッセイ条件下では、メベンダゾールはOATP1B1およびOATP1B3のいずれの基質でもないと判定された。
【0134】
OATP1B1は、肝細胞の類洞側にのみ発現する取込みトランスポータであり、薬物の肝取込みを担う。OATP1B3は、小葉中心肝細胞の類洞(基底外)側の肝臓においてのみ発現する取込みトランスポータである。OATP1B1と併せて、いくつかの薬物の肝取込みを担う。
【0135】
実施例3:組換え酵素を使用した試験化合物メベンダゾールのシトクロムP450反応表現型を調べるための研究
この研究の目的は、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4の組換えシトクロムP450酵素の存在下での試験化合物であるメベンダゾールの安定性を決定することであった。
【0136】
各P450アイソフォームのBactosomes(商標)、0.1Mホスフェート緩衝液pH7.4および試験化合物(最終基質濃度5μM)を37℃でプレインキュベートした後、NADPH(最終濃度1mM)を添加して反応を開始させた。対照Bactosomes(商標)(P450酵素が存在しない)を使用したインキュベーションも行い、あらゆる非酵素的分解を明らかにした。各P450アイソフォームによって特異的に代謝されることが公知な対照化合物を含めた。すべてのインキュベーションを、各試験化合物について1回行った。各化合物を各アイソフォームと共に0、5、15、30および45分間インキュベートし、LC-MS/MSを使用して分析した。対照化合物はアッセイで予想されるように挙動した。メベンダゾールについての結果を表5に、CYP1A2について特化した結果を
図1に見出すことができる。
【0137】
メベンダゾールは、CYP1A2およびCYP2C19組換え酵素の存在下で、それぞれ13.3分および93.0分の半減期値を与えた。CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2D6またはCYP3A4の組換え酵素の存在下では、メベンダゾールのターンオーバー半減期(t
1/2)>135分、残存する化合物%>87.5%)はほとんどまたは全くなかった。
【表5】
【0138】
CYP1A2組換えP450アイソフォームの存在下でのメベンダゾールの安定性を
図1に示す。
【0139】
結論として、メベンダゾールは、CYP1A2の組換え酵素、および程度ははるかに低いがCYP2C19によって代謝されたが、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2D6またはCYP3A4では代謝されなかった(半減期値>135分)。
【0140】
実施例4:阻害薬シメチジンおよびフラフィリンの非存在下および存在下でのヒト肝臓ミクロソームにおける試験化合物メベンダゾールの安定性を調べるための研究
この研究の目的は、阻害薬の非存在下および阻害薬シメチジン(30、100および300μM)またはフラフィリン(3、10および30μM)の存在下で、ヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールの安定性を決定し、比較評価することであった。
【0141】
代謝安定性の研究のために、ヒト肝臓ミクロソーム(最終タンパク質濃度0.5mg/mL)、0.1Mホスフェート緩衝液pH7.4およびメベンダゾールまたはフェナセチン(最終基質濃度1μM)を37℃でプレインキュベートした後、NADPH(最終濃度1mM)を添加して反応を開始させた。試験した各化合物に対して、NADPH(マイナスNADPH)の代わりに0.1Mホスフェート緩衝液pH7.4を添加したマイナス補因子対照インキュベーションを含めた。各試験化合物を0、5、15、30および45分間インキュベートした。対照(マイナスNADPH)を45分間のみインキュベートした。LC-MS/MSを使用して、メベンダゾールまたはフェナセチンについて試料を分析した。
【0142】
メベンダゾールは、ヒト肝臓ミクロソームにおいて阻害薬の非存在下で、22.2μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス(CLint)値を与えた。
【0143】
CYP1A2プローブ基質であるフェナセチンは、ヒト肝臓ミクロソームにおいて阻害薬の非存在下で、22.4μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を与えた。
【0144】
化学的阻害薬(フラフィリンおよびシメチジン)、ヒト肝臓ミクロソーム(最終タンパク質濃度0.5mg/mL)、特異的阻害薬(最終メタノール濃度0.08%)、0.1Mホスフェート緩衝液pH7.4およびメベンダゾールまたはフェナセチン(最終基質濃度1μM)によるシトクロムP450反応表現型決定のために、37℃でプレインキュベートした後、NADPH(最終濃度1mM)を添加して反応を開始させた。試験化合物(メベンダゾールまたはCYP1A2基質であるフェナセチン)を阻害薬なしで、かつ各特異的阻害薬濃度の存在下でインキュベートした。試験した各化合物に対して、補因子(マイナスNADPH)の代わりに0.1Mホスフェート緩衝液pH7.4を添加したマイナス補因子対照インキュベーションを含めた。特異的阻害薬はシメチジン(汎P450阻害薬、最終濃度30、100および300μM)およびフラフィリン(CYP1A2の時間依存的阻害薬、最終濃度3、10および30μM)であった。各試験化合物を0、5、15、30および45分間インキュベートした。対照(マイナスNADPH)を45分間のみインキュベートした。LC-MS/MSを使用して、メベンダゾールまたはフェナセチンについて試料を分析した。
【0145】
メベンダゾールのクリアランスは、シメチジンの存在下でわずかではあるが用量依存的な減少を示し、30、100および300μMのシメチジンの存在下で、それぞれ18.0、17.8および15.0μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を有した。
【0146】
フェナセチンのクリアランスは、シメチジンの存在下でわずかではあるが用量依存的な減少を示し、30、100および300μMのシメチジンの存在下で、それぞれ21.2、17.6および13.9μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を有した。
【0147】
メベンダゾールのクリアランスは、フラフィリンの存在下で顕著な用量依存的な減少を示し、3、10および30μMのフラフィリンの存在下で、それぞれ2.84、0.232および0.336μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を有した。
【0148】
フェナセチンのクリアランスは、フラフィリンの存在下で用量依存的な減少を示し、3、10および30μMのフラフィリンの存在下で、それぞれ3.49、2.58および2.71μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を有した。
【0149】
この研究の結果を表6および
図2~
図8に要約する。
【表6】
【0150】
結論として、ヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールのクリアランスは、強いCYP1A2阻害薬フラフィリンの存在下で減少した(96分の1(固有クリアランスの99%阻害))。ヒト肝臓ミクロソームにおけるメベンダゾールのクリアランスは、シメチジンの存在下で、はるかに小さい程度に減少した(1.5分の1(固有クリアランスの32%阻害))。
【0151】
実施例5:阻害薬シメチジンおよびフラフィリンの非存在下および存在下でのヒト凍結保存肝細胞における試験化合物メベンダゾールの安定性を調べるための研究
この研究の目的は、阻害薬の非存在下およびシメチジン(30、100または300μM)またはフラフィリン(3、10または30μM)の存在下で、ヒト凍結保存肝細胞の存在下での試験化合物メベンダゾールの安定性を調べることであった。
【0152】
肝細胞安定性の研究のために、2mM L-グルタミンおよび25mM HEPESを補充したウィリアムE培地ならびに試験化合物(最終基質濃度1μM;最終DMSO濃度0.25%)を37℃でプレインキュベートした後、凍結保存肝細胞の懸濁液(2mM Lグルタミンおよび25mM HEPESを補充したウィリアムE培地中に最終細胞密度0.5×106生存細胞/mL)を添加して反応を開始させた。最終インキュベーション体積は500μLであった。2つの対照化合物を、適切なビヒクル対照と共に各種に含めた。
【0153】
適切な時点(0、5、10、20、40および60分)で、50μLのインキュベート液を内部標準を含む100μLのアセトニトリルに移すことによって反応を停止させた。停止したプレートを2500rpm、4℃で30分間遠心分離してタンパク質を沈殿させた。LC-MS/MSを使用して、メベンダゾールまたはエトキシクマリンについて試料を分析した。
【0154】
メベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞の存在下で19.1μL/分/106細胞の固有クリアランス値を与えた。
【0155】
阻害薬の存在下での肝細胞安定性の研究のために、2mM L-グルタミンおよび25mM HEPES、試験化合物(最終基質濃度1μM;最終DMSO濃度0.25%)および選択されたCYP阻害薬(最終メタノール濃度0.08%)を補充したウィリアムE培地を37℃でプレインキュベートした後、凍結保存肝細胞の懸濁液(2mM Lグルタミンおよび25mM HEPESを補充したウィリアムE培地中に最終細胞密度0.5×106生存細胞/mL)を添加して反応を開始させた。最終インキュベーション体積は500μLであった。試験化合物を阻害薬なしで、かつシメチジン(汎P450阻害薬、最終濃度30、100および300μM)およびフラフィリン(CYP1A2の特異的阻害薬、最終濃度3、10および30μM)の存在下でインキュベートした。
【0156】
CYP1A2の陽性対照化合物であるエトキシクマリンを含めた。陽性対照化合物を阻害薬なしで、かつ各要求された阻害薬の存在下でインキュベートした。適切な時点(0、5、10、20、40および60分)で、50μLのインキュベート液を内部標準を含む100μLのアセトニトリルに移すことによって反応を停止させた。停止したプレートを2500rpm、4℃で30分間遠心分離してタンパク質を沈殿させた。LC-MS/MSを使用して、メベンダゾールまたはエトキシクマリンについて試料を分析した。
【0157】
2つの対照化合物をアッセイに含め、これらの化合物の値が指定された範囲内にない場合、結果を棄却し、実験を繰り返した。
【0158】
メベンダゾールは、阻害薬の非存在下でのヒト凍結保存肝細胞の存在下で13.3μL/分/106細胞の固有クリアランス値を与えた。
【0159】
メベンダゾールは、30、100および300μMのシメチジンを含むヒト凍結保存肝細胞の存在下で、それぞれ13.2、14.7および9.98μL/分/106細胞の固有クリアランス値を与えた。
【0160】
メベンダゾールは、3、10および30μMのフラフィリンを含むヒト凍結保存肝細胞の存在下で、それぞれ3.47、2.43および1.47μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。結果を表7および
図9~
図15に示す。
【表7】
【0161】
結論として、凍結保存ヒト肝細胞によるメベンダゾールの代謝は、CYP1A2阻害薬フラフィリンの存在下では著しく減少し(9.1分の1(固有クリアランスの89%阻害))、シメチジンの存在下でははるかに少ない程度であった(1.3分の1(固有クリアランスの阻害の25%))。メベンダゾールの半減期は、阻害薬なしの104分と比較して、シメチジンの存在下で最大139分、フラフィリンの存在下で最大941分であった。
【0162】
実施例6:阻害薬シメチジンおよびチアベンダゾールの非存在下および存在下でのヒト凍結保存肝細胞における試験化合物メベンダゾールの安定性を調べるための研究
この研究の目的は、シメチジン(30、100および300μM)およびチアベンダゾール(10、30および100μM)の非存在下および存在下でのヒト凍結保存肝細胞の存在下での試験化合物メベンダゾールの安定性を決定することであった。
【0163】
メベンダゾール(1μM)を、30、100および300μM)のシメチジンおよび10、30および100μMのチアベンダゾールの非存在下および存在下で、凍結保存ヒト肝細胞と60分間インキュベートし、必要な時点で試料を採取した。各時点で残存する試験化合物の量をLC-MS/MSによって分析した。適切な対照化合物もエトキシクマリンと共にインキュベートし、シメチジンおよびチアベンダゾールの非存在下および存在下でインキュベートした。
【0164】
肝細胞安定性の研究では、2mM L-グルタミンおよび25mM HEPES、試験化合物(最終基質濃度1μM;最終DMSO濃度0.25%)、および該当する場合には選択された阻害薬(30、100もしくは300μMのシメチジンまたは10、30もしくは100μMのチアベンダゾール、最終メタノール濃度0.08%)を補充したウィリアムE培地を37℃でプレインキュベートした後、凍結保存肝細胞の懸濁液(2mM Lグルタミンおよび25mM HEPESを補充したウィリアムE培地中に最終細胞密度0.5×106生存細胞/mL)を添加して反応を開始させた。最終インキュベーション体積は500μLであった。適切なビヒクル対照と共に、2つの対照化合物を含めた。CYP1A2の陽性対照化合物であるエトキシクマリンを含めた。陽性対照化合物を阻害薬なしで、かつ各阻害薬の存在下でインキュベートした。適切な時点(0、5、10、20、40および60分)で、50μLのインキュベート液を内部標準を含む100μLのアセトニトリルに移すことによって反応を停止させた。停止したプレートを2500rpm、4℃で30分間遠心分離してタンパク質を沈殿させた。
【0165】
2つの対照化合物をアッセイに含め、これらの化合物の値が指定された範囲(利用可能な場合)内にない場合、結果を拒絶し、実験を繰り返した。
【0166】
陽性対照化合物は、予想されるようにアッセイで挙動し、すべての固有クリアランス値は、適用可能な場合に許容範囲内であった。
【0167】
メベンダゾールは、ヒト由来の凍結保存された肝細胞によって代謝された。メベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、阻害薬の非存在下で15.0±0.658μL/分/106細胞の固有クリアランス値を与えた。
【0168】
メベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、30、100および300μMのシメチジンの存在下でそれぞれ12.2±0.697、12.1±1.98および12.3±1.37μL/分/10
6細胞、ならびに10、30および100μMのチアベンダゾールの存在下でそれぞれ2.33±0.764、3.90±0.375および-2.80±1.50μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。結果を表8および表9ならびに
図16~
図22に示す。
【表8】
【表9】
【0169】
結論として、メベンダゾールの代謝は、CYP1A2阻害薬チアベンダゾールの存在下では著しく減少し(6.4分の1(固有クリアランスの84%阻害))、シメチジンの存在下でははるかに少ない程度であった(1.2分の1(固有クリアランスの19%阻害))。メベンダゾールの半減期は、阻害薬なしの92.4分と比較して、シメチジンの存在下で最大115分、チアベンダゾールの存在下で最大596分であった。
【0170】
実施例7:阻害薬シメチジン、フルボキサミンまたはメキシレチンの非存在下および存在下でのヒト凍結保存肝細胞における試験化合物メベンダゾールの安定性を調べるための研究
この研究の目的は、選択された阻害薬(シメチジン、フルボキサミンまたはメキシレチン)の非存在下および存在下でのヒト凍結保存肝細胞の存在下での試験化合物メベンダゾールの安定性を決定することであった。
【0171】
メベンダゾール(1μM)を、選択された阻害薬(シメチジン、フルボキサミンまたはメキシレチン)の非存在下および存在下で、ヒト凍結保存肝細胞と60分間インキュベートし、必要な時点で試料を採取した。各時点で残存する試験化合物の量をLC-MS/MSによって分析した。適切な対照化合物もインキュベートした。
【0172】
陽性対照化合物は、予想されるようにアッセイで挙動し、すべての固有クリアランス値は、適用可能な場合に許容範囲内であった。
【0173】
メベンダゾールは、凍結保存ヒト肝細胞によって代謝された。メベンダゾールの代謝は、シメチジンの存在下で減少しなかった。初期実験では、メベンダゾールの代謝は、30μMのフルボキサミンおよび10μMのメキシレチンで、それぞれ2.3分の1および2.7分の1に低減した。10~300μMの濃度範囲での凍結保存ヒト肝細胞を用いたさらなる確認実験は、フルボキサミン(10μMで見られるように最大20.2分の1)およびメキシレチン(30μMで見られるように最大7.8分の1)の存在下で代謝の著しい減少を示した。メベンダゾールの半減期は、阻害薬なしの91.4分と比較して、フルボキサミンの存在下で最大1840分、およびメキシレチンの存在下で最大713分であった。
【0174】
これらの肝細胞安定性の研究では、2mM L-グルタミンおよび25mM HEPES、試験化合物(最終基質濃度1μM;最終DMSO濃度0.25%)、および該当する場合には選択された阻害薬(最終メタノール濃度0.08%)を補充したウィリアムE培地を37℃でプレインキュベートした後、凍結保存肝細胞の懸濁液(2mM Lグルタミンおよび25mM HEPESを補充したウィリアムE培地中に最終細胞密度0.5×10
6生存細胞/mL)を添加して反応を開始させた。最終インキュベーション体積は500μLであった。適切なビヒクル対照と共に、適切な対照化合物を含めた。阻害薬および濃度の詳細を以下の表10に示す。
【表10】
【0175】
適切な時点(0、5、10、20、40および60分)で、50μLのインキュベート液を内部標準を含む100μLのアセトニトリルに移すことによって反応を停止させた。停止したプレートを2500rpm、4℃で30分間遠心分離してタンパク質を沈殿させた。
【0176】
2つの対照化合物をアッセイに含め、これらの化合物の値が指定された範囲(利用可能な場合)内にない場合、結果を拒絶し、実験を繰り返した。
【0177】
初期研究では、陽性対照化合物は予想されるようにアッセイで挙動し、すべての固有クリアランス値は許容範囲内であった。メベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、阻害薬の非存在下で12.1±0.601μL/分/106細胞の固有クリアランス値を与えた。
【0178】
メベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、30、100および300μMのシメチジンの存在下でそれぞれ24.8±1.82、18.0±1.19および24.8±2.36μL/分/10
6細胞、3、10および30μMのフルボキサミンの存在下でそれぞれ8.14±1.53、10.8±2.32および5.37±1.75μL/分/10
6細胞、10、30および100μMのメキシレチンの存在下でそれぞれ4.53±1.46、10.5±1.65および11.6±1.04μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。結果を表11に示す。
【表11】
【0179】
確認研究では、陽性対照化合物は予想されるようにアッセイで挙動し、すべての固有クリアランス値は許容範囲内であった。メベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、阻害薬の非存在下で15.2±3.84μL/分/106細胞の固有クリアランス値を与えた。
【0180】
メベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、10、30、100および300μMのフルボキサミンの存在下でそれぞれ0.751±2.16、4.91±1.93、-1.99±4.70および6.16±1.70μL/分/10
6細胞、ならびに10、30、100および300μMのメキシレチンの存在下でそれぞれ10.2±0.458、1.94±0.917、4.37±1.28および2.08±1.80μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。結果を表12および
図23~
図31に示す。
【表12】
【0181】
メベンダゾールの代謝は、凍結保存ヒト肝細胞においてシメチジンの存在下で減少しなかった。10~300μMの濃度範囲での凍結保存ヒト肝細胞を用いた確認実験は、フルボキサミン(10μMで見られるように最大20.2分の1(固有クリアランスの95%阻害))およびメキシレチン(30μMで見られるように最大7.8分の1(固有クリアランスの87%阻害))の存在下で代謝の著しい減少を示した。メベンダゾールの半減期は、阻害薬なしの91.4分と比較して、フルボキサミンの存在下で最大1840分、およびメキシレチンの存在下で最大713分であった。
【0182】
実施例8:阻害薬シメチジンおよびフラフィリンの非存在下および存在下でのヒトミクロソームにおける試験化合物リコベンダゾール(アルベンダゾールスルホキシド)の安定性を調べるための研究、ならびにリコベンダゾールのシトクロム反応表現型
この研究の目的は、阻害薬シメチジンおよびフラフィリンの非存在下および存在下でのヒト肝臓ミクロソームの存在下での試験化合物リコベンダゾール(アルベンダゾールスルホキシド)の安定性を決定すること、ならびに組換え酵素CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4の存在下でのリコベンダゾールの安定性を決定することであった。
【0183】
代謝安定性条件を最適化するために、リコベンダゾールをヒト肝臓ミクロソーム(0.5mg/mLで1μMおよび1mg/mLで0.1μM)およびNADPHと45分間インキュベートし、必要な時点で試料を採取した。各時点で残存する試験化合物の量をLC MS/MSによって分析した。NADPHの非存在下でのインキュベーションも行い、非CYP媒介安定性を評価した。適切な対照化合物もインキュベートした。
【0184】
最適化方法では、陽性対照化合物は予想されるようにアッセイで挙動し、すべての固有クリアランス値は許容範囲内であった。
【0185】
リコベンダゾールは、1μMおよび0.5mg/mLタンパク質で試験した場合、4.39±2.77μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を与えた。リコベンダゾールは、0.1μMおよび1mg/mLタンパク質で試験した場合、6.63±1.84μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を与えた。
【0186】
最適化後、ヒト肝臓ミクロソーム(最終タンパク質濃度1mg/mL)、0.1Mホスフェート緩衝液pH7.4およびNADPH(最終濃度1mM)を37℃でプレインキュベートした後、試験化合物(最終リコベンダゾール基質濃度0.1μM;最終DMSO濃度0.25%)を添加して反応を開始させた。試験した各化合物に対して、NADPH(マイナスNADPH)の代わりに0.1Mホスフェート緩衝液pH7.4を添加したマイナス補因子対照インキュベーションを含めた。阻害薬の非存在下およびシメチジン(30、100または300μM)またはフラフィリン(3、10または30μM)の存在下でインキュベーションを行った。対照化合物(フェナセチン)を含めた(上記のように、阻害薬なしおよび阻害薬ありでインキュベートした)。すべてのインキュベーションを、各試験化合物について1回行った。各インキュベーションを0、5、15、30および45分間行った。対照(マイナスNADPH)を45分間のみインキュベートした。適切な時点で1:3の比でアセトニトリルに移しインキュベートすることによって反応を停止させた。停止したプレートを3,000rpmで20分間4℃で遠心分離してタンパク質を沈殿させた。各時点で残存する試験化合物の量をLC MS/MSによって分析した。
【0187】
関連する対照化合物を評価し、固有クリアランス値が指定された範囲内に入ることを確実にした。陽性対照化合物は、アッセイで予想されるように挙動した。
【0188】
リコベンダゾールは、阻害薬の非存在下で2.83±1.76μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を与えた。
【0189】
リコベンダゾールは、30、100および300μMのシメチジンの存在下で、それぞれ3.15±1.24、3.43±1.56および3.54±1.09μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を与えた。
【0190】
リコベンダゾールは、3、10および30μMのフラフィリンの存在下で、それぞれ1.27±2.47、4.31±2.48および2.92±1.75μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を与えた。
【表13】
【0191】
反応表現型アッセイのために、Bactosomes(商標)、0.1Mホスフェート緩衝液pH7.4および試験化合物(最終リコベンダゾール基質濃度1μM;最終DMSO濃度0.25%)を37℃でプレインキュベートした後、NADPH(最終濃度1mM)を添加して反応を開始させた。対照Bactosomes(商標)(P450酵素が存在しない)を使用してインキュベーションも行い、あらゆる非酵素的分解を明らかにした。各P450アイソフォームによって特異的に代謝されることが公知な対照化合物を含めた。すべてのインキュベーションを、各試験化合物について1回行った。各化合物を各アイソフォームと共に0、5、15、30および45分間インキュベートした。1:3の比で、適切な時点で溶媒をクエンチするためにインキュベート液のアリコートを移すことによって反応を停止させた。停止したプレートを3,000rpmで20分間4℃で遠心分離してタンパク質を沈殿させた。各時点で残存する試験化合物の量をLC-MS/MSによって分析した。
【0192】
陽性対照化合物は予想されるようにアッセイで挙動し、すべての半減期値は許容範囲内であった。リコベンダゾールは、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4の組換え酵素の存在下で、それぞれ240±38.1、272±160、618±650、465±273および489±682分の半減期値を与えた。リコベンダゾールは、CYP2B6およびCYP2C8の組換え酵素によって代謝されなかった。
【表14】
【0193】
結論として、リコベンダゾールはヒト肝臓ミクロソームでのターンオーバーが低く、特異的阻害薬(シメチジンおよびフラフィリン)の添加による効果はほとんど観察されなかった。したがって、リコベンダゾールの代謝に対するCYP1A2の寄与は決定的ではなかった。リコベンダゾールは組換え酵素の低いターンオーバーを示した。したがって、特定のCYPアイソフォームのリコベンダゾールの代謝への寄与は決定的ではなかったが、CYP1A2による限られたターンオーバーのいくつかの証拠があった(45分で85%残存、240±38.1の半減期値を考慮)。
【0194】
実施例9:神経芽腫および肉腫由来の細胞株を使用したインビトロ抗がん活性の二次元単層スクリーニング
メベンダゾール(バッチ番号MKCC1885、Sigma-Aldrich、純度100%)を含む17種の化合物を、2D単層アッセイを使用することによって、8種の選択された神経芽腫(NBXF)および13種の選択された肉腫(SXF)由来の細胞株のパネルにわたってインビトロで試験した。化合物を最大100μMまで半対数増分で10個の濃度で試験し、細胞を72時間処理した。CellTiter-Blue(登録商標)細胞生存率アッセイを使用して、化合物の有効性を評価した。抗腫瘍活性は、非線形回帰分析によって算出される、絶対および相対IC50およびIC70値として表される。
【0195】
結果を表15および表16ならびに
図32および
図33に示す。それぞれ0.28および0.291μMの相対および絶対幾何平均IC
50値に示されるように、メベンダゾールは、試験した細胞株にわたって最高の効力を示した。
【表15】
【表16】
【0196】
実施例10:P-gp発現多剤耐性OVXF 899LおよびRXF 486L PDX由来細胞株を含む12種(6種の卵巣および6種の腎)の細胞株に対するメベンダゾールの試験
メベンダゾールを、2D単層アッセイを使用することによって卵巣および腎がんの12種の腫瘍細胞株のパネルにわたってインビトロで試験した。本研究では、PDX由来細胞株、ならびに卵巣がん(n=6、OVXF 1023L、OVXF 899L、A2780、OVCAR-3、OVCAR-5、SK-OV-3)および腎がん(n=6、RXF 1183L、RXF 1220L、RXF 1781L、RXF 2282L、RXF 486L、786-O)の一般に利用可能な細胞株を使用した。OVXF 899LおよびRXF 486Lは、P-gp発現多剤耐性細胞株である。
【0197】
メベンダゾールを、3.2μMの濃度まで半対数増分で10個の濃度で試験し、細胞を72時間処理した。CellTiter-Blue(登録商標)細胞生存率アッセイを使用して、化合物の有効性を評価した。抗腫瘍活性は、4パラメータ非線形曲線フィットによって算出される、絶対および相対IC50/70値として表される。メベンダゾールについての結果を表17~表18ならびに
図34および
図35に示す。
【0198】
0.587μM(0.941μM)の平均幾何相対(絶対)IC50値に示されるように、メベンダゾールは明らかに非常に活性であった。
【0199】
メベンダゾールは、卵巣がん細胞株A2780(相対IC50=0.178μM)および腎がん細胞株RXF 486L(0.248μM)に対して最も活性であった。相対的に低いIC50値に加えて、両方の細胞株について、濃度-効果曲線の底部プラトーは、これらの場合においてT/C=20%未満であった。
【0200】
P-gp発現多剤耐性細胞株OVXF 899LおよびRXF 486Lに関して、メベンダゾールはP-gp排出ポンプの基質ではないようであった。両方の細胞株はメベンダゾールに対して感受性であり、RXF 486Lは平均を上回る感受性を示した。
【表17】
【表18】
【0201】
本発明は、様々な実施形態を参照して説明されている。しかしながら、本発明の範囲はこれに限定されず、均等物を考慮して以下の特許請求の範囲によって定義される。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物、および強いまたは中程度のシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害薬を含む医薬組成物。
[2] 前記CYP1A2阻害薬が、フラフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、8-フェニルテオフィリン、メトキサレン、チアベンダゾールもしくはメキシレチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物である、[1]に記載の医薬組成物。
[3] 前記CYP1A2阻害薬が、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物である、[2]に記載の医薬組成物。
[4] 治療によるヒトまたは動物対象の処置方法に使用するための、[1]から[3]のいずれかに記載の医薬組成物。
[5] 治療によるヒトまたは動物対象の処置方法において使用するためのメベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物であって、前記処置方法が、強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬の同時、併用、個別または逐次投与を含む、メベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物。
[6] 前記強いまたは中程度のCYP1A2阻害薬が[2]から[3]のいずれかに記載の通りである、[5]に記載の使用のためのメベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物。
[7] 前記方法が、抗増殖性および/または抗寄生虫活性および/または抗真菌活性を有する化合物への全身曝露によって改善されやすい疾患の処置方法である、[4]に記載の使用のための組成物、または[5]もしくは[6]に記載の使用のためのメベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物。
[8] 前記方法が、
微小管阻害
細胞増殖の阻害
血管新生の阻害
TRAF2およびNCK相互作用キナーゼ(TNIK)の阻害
血管表皮増殖因子受容体2(VEGFR2)との干渉
アポトーシスの誘導
メタロプロテイナーゼの阻害
BCR-ABLキナーゼの活性
BRAFキナーゼの活性
ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害
単球様細胞の炎症誘発性(M1)表現型の誘導
抗クリプトコッカス活性を含む抗真菌活性
のうちの1つまたはそれ以上によって改善されやすい疾患の処置方法である、[4]に記載の使用のための組成物、または[5]もしくは[6]に記載の使用のためのメベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物。
[9] 前記方法が、がん、非がん性増殖性疾患、全身性寄生虫疾患または真菌性疾患の処置方法である、[4]に記載の使用のための組成物、または[5]もしくは[6]に記載の使用のためのメベンダゾールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグもしくは活性代謝産物。
[10] 前記方法が、がんまたは非がん性腫瘍障害の処置方法であり、好ましくは気管支腫瘍、中枢神経系がん、中枢神経系胎児性腫瘍、癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、カルチノイド腫瘍、虫垂がん、星細胞腫、脊索腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、肉腫、膀胱がん、甲状腺がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、食道がん、AIDS関連がん、肝細胞(肝臓)がん、陰茎がん、胸膜肺芽腫、胆嚢がん、横紋筋肉腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、唾液腺がん、中枢神経系胚細胞腫瘍、形質細胞新生物、口唇および口腔がん(Oral Cavity Cancer)、精巣がん、肝外胆管がん、非浸潤性乳管癌(DCIS)、鼻咽頭がん、鼻腔および副鼻腔がん、骨がん、乳がん、神経膠腫、有毛細胞白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、口腔がん(Oral Cancer)、上衣腫、皮膚T細胞リンパ腫、妊娠性絨毛性疾患、眼がん、カポジ肉腫、性腺外胚細胞腫瘍、胃(胃)がん(Gastric(Stomach)Cancer)、消化管間質腫瘍(GIST)、乳頭腫症、小腸がん、脳および脊髄腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、膵臓がん、咽頭がん、中咽頭がん、傍神経節腫、非黒色腫皮膚がん、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、扁平上皮癌、悪性線維性組織球腫、黒色腫、セザリー症候群、メルケル細胞癌、下垂体腫瘍、骨および骨肉腫の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、副甲状腺がん、皮膚がん、菌状息肉腫、胚細胞腫瘍、卵管がん、眼内黒色腫、白血病、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、子宮内膜がん、リンパ腫、前立腺がん、腎骨盤および尿管がん、骨肉腫(骨がん)、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、基底細胞癌、喉頭がん、多発性骨髄腫/プラズマ細胞新生物、膣がん、扁平上皮がん、多発性骨髄腫、NUT遺伝子に関連する正中線癌、頭頸部がん、心臓がん、眼内(眼)、腎細胞(腎臓)がん、骨の悪性線維性組織球腫、肝臓がん、直腸がん、結腸がん、悪性中皮腫、低悪性度腫瘍、口腔がん(Mouth Cancer)、軟部肉腫、下咽頭がん、ウィルムス腫瘍、上皮がん、ユーイング肉腫ファミリーの腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、嗅神経芽細胞腫、胎児性腫瘍、子宮頸がん、慢性骨髄増殖性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、尿管および腎骨盤がん、肛門がん、尿道がん、脳幹腫瘍、外陰部がん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、子宮肉腫、胃(胃)がん(Stomach(Gastric)Cancer)、脳幹部神経膠腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、頭蓋咽頭腫、小細胞肺がん、口唇および口腔がん(Oral Cavity Cancer)、皮膚T細胞リンパ腫、神経芽腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ランゲルハンス細胞組織球症、乳がん、消化管カルチノイド腫瘍、副鼻腔および鼻腔がん、褐色細胞腫、潜在性原発性の転移性扁平上皮がん、男性乳がん、腎臓(腎)がん、肺がん、膵島細胞腫瘍、肝外胆管がん、子宮内膜がん、慢性骨髄増殖性新生物、腎骨盤および尿管の移行細胞がん、胸腺腫および胸腺癌、喉のがん、ユーイング肉腫、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、結腸がん、心臓(心臓)腫瘍(Cardiac(Heart)Tumors)、バーキットリンパ腫、原発不明の癌、中枢神経系非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、小児がん、および非ホジキンリンパ腫、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、またはP-gp発現多剤耐性腫瘍から選択され、より好ましくは肉腫、卵巣がん、腎臓(腎)がん、黒色腫、結腸直腸がん、結腸がん、肺がん、脳のがん、副腎皮質腺癌、副腎皮質癌、副腎皮質腺腫、P-gp発現多剤耐性腫瘍、および神経芽腫から選択される、[9]に記載の使用のための組成物。
[11] 前記方法が、非がん性増殖性疾患、好ましくは固形腫瘍障害(がんおよび非がん障害を含む)、血液学的がん、炎症性疾患、線維性疾患、痛風、肝硬変、強皮症、乾癬、または子宮内膜症の処置方法である、[9]に記載の使用のための組成物。
[12] 前記方法が、真菌性疾患または全身性寄生虫症の処置方法であり、好ましくは蠕虫症および原虫症から選択され、より好ましくは鉤虫症、エキノコックス症、回虫症およびぎょう虫症、アカントセファラン(Acanthocephalans)、プラスモディウム属種、アフリカトリパノソーマ、トリパノソーマ・クルーズ、リーシュマニア属種、ジアルジア属種、トリコモナス・バギナリス、エンタモエバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、エンセファリトゾーン属種、アカンタモエバ・カステラー二(Acanthamoeba castellani)およびエンテロシトゾーン・ビエヌーシ(Enterocytozoon bieneusi)から選択される、[9]に記載の使用のための組成物。