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  • 特許-種子支持体の調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】種子支持体の調製方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 24/30 20180101AFI20240816BHJP
   C08J 7/043 20200101ALI20240816BHJP
   C08J 9/12 20060101ALI20240816BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240816BHJP
   A01G 24/44 20180101ALI20240816BHJP
【FI】
A01G24/30
C08J7/043 Z CES
C08J7/043 CEX
C08J7/043 CEP
C08J9/12 CFD
C08J5/18 CFG
A01G24/44
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021560371
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2020059291
(87)【国際公開番号】W WO2020201373
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】19166636.1
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521440851
【氏名又は名称】エス プラス デーベー ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オッテン、ジェラルド ロデビューク
(72)【発明者】
【氏名】ラブ、フランシスカス ヨハンネス
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02648165(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第03403483(EP,A1)
【文献】特開平03-039002(JP,A)
【文献】実開昭57-054210(JP,U)
【文献】実開平04-124007(JP,U)
【文献】実公昭49-013454(JP,Y1)
【文献】特開平01-296909(JP,A)
【文献】特公昭48-027763(JP,B1)
【文献】特表2007-502909(JP,A)
【文献】特開2017-186458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C1/00-1/08
A01G2/00-2/38
A01G5/00-7/06
A01G9/28
A01G17/00-17/02
A01G17/18
A01G20/00-22/67
A01G24/00-24/60
C08J5/00-5/02
C08J5/12-5/22
C08J7/04-7/06
C08J9/00-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、少なくとも部分的に埋め込まれた複数の種子を有する生分解性ポリマーフィルムを含む、種子支持体の調製方法:
(a)疎水性剥離ライナーを提供する工程;
(b)生分解性ポリマーを含む水性分散液又は溶液のコーティングを前記疎水性剥離ライナーに適用する工程であって、同工程において、前記分散液又は溶液は、4000~16000mPa.sの粘度及び前記コーティングの58重量%~90重量%の含水量を有する;
(c)複数の種子を、該種子が前記コーティングに少なくとも部分的に埋め込まれるように、前記コーティング上に置く工程;
(c-i)前記コーティングを部分的に乾燥させ、多孔質補強層を前記コーティングに適用する工程、ただし該適用は、前記コーティングが部分的に乾燥し、前記補強層が前記コーティングに接着する十分な粘着性を前記コーティングが有している時点で行われる;
(d)前記コーティングをさらに乾燥させて、最終含水量を1.5~15重量%にし、それによって前記生分解性ポリマーフィルムを形成する工程;及び
(e)前記疎水性剥離ライナーを前記生分解性ポリマーフィルムから剥離して、前記種子支持体を得る工程。
【請求項2】
生分解性ポリマーの溶液又は分散液が、疎水性剥離ライナー上にコーティングされて、100~500μmの範囲の初期コーティング厚さを与える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1.5~15%(w/w)の最終含水量が達成される際に、生分解性ポリマー膜の厚さが、20~100μmの範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
生分解性ポリマーの溶液又は分散液が、スロットダイ押出機を使用して疎水性剥離ライナー上にコーティングされる、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
スロットダイ押出機が、ライナーの上方に配置され、ライナーの移動方向に対して横方向に配置された可動性のバリアウォールを備える、請求項4に記載の方法であって、
前記バリアウォールは、上下に移動して前記バリアウォールと前記ライナーとの間に間隙をもたらし、この間隙は、生分解性ポリマーのコーティングの所望の厚さに相当し、前記生分解性ポリマーの溶液又は分散液が、前記バリアウォールの上流側で前記ライナー上に設置され、前記ライナーの移動によって前記間隙を通って運ばれるようにするものであり、
前記バリアウォールの下縁部は、前記ライナー及び前記溶液又は分散液が前記間隙を通過する際に前記コーティングの厚さを制限する作用を有する、
方法。
【請求項6】
生分解性ポリマーが、ポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル;デンプン;及びそれらの混合物から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記生分解性ポリマーが、
(i)ポリビニルアルコール;
(ii)ポリ酢酸ビニル;
(iii)デンプン又は改質デンプン;
(iv)ポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルとの混合物;
(v)デンプン(又は改質デンプン)とポリビニルアルコールとの混合物;
(vi)デンプン(又は改質デンプン)とポリ酢酸ビニルとの混合物;又は
(vii)デンプン(又は改質デンプン)とポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルとの混合物
を含む(又は、からなる)、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
生分解性ポリマーが、疎水性剥離層に最初にコーティングされたときに58%~89%(w/w)の含水量を有する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
生分解性ポリマーを含む分散液又は溶液が、
(a)硫酸メチルを含有するか、又は硫酸メチルが前記分散液もしくは溶液の調製に使用されているもの;及び/又は
(b)スチレン-マレイン酸コポリマーを含有するもの;及び/又は
(c)グリセリンを含有するもの
以外のものである、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
多孔質補強層を、コーティングが40%(w/w)~55%(w/w)の範囲の含水量まで部分的に乾燥し、前記補強層を前記コーティングに接着するのにまだ十分に粘着性であるときに、前記コーティングに塗布する、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
補強層が、織布又は不織布、又は穿孔されたフィルム、又は紙から形成される、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
補強層が25~500μmの範囲の厚さを有する、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
疎水性剥離層が、45mN/m未満の臨界表面張力を有するポリマーで構成された表面を有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
疎水性剥離層が、以下から選択されるポリマーから形成されるか、又は以下から選択されるポリマーから構成される表面を有する、請求項1~13のいずれかに記載の方法:ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、非晶質ポリエチレンテレフタレート(PET)、フッ素化ポリオレフィン、天然又は合成ゴム、シリコーン;シリコーンコーティングポリエチレン、シリコーンコーティングポリプロピレン、PTFE又はニトリルゴムの表面を有するポリマーフィルム。
【請求項15】
疎水性剥離ライナーが、PTFE、又はPTFEでコーティングされたもしくはシリコーンでコーティングされたポリマー、から形成されたベルトである、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
添加剤が、0~50重量%の量で種子支持体に含まれ、以下から選択される、請求項1~15のいずれかに記載の方法:植物成長添加剤;土壌調整添加剤;増量剤及び/又は種子保護添加剤;バイオスティミュラント;フルボ酸;植物ホルモン;窒素含有化合物;無機化合物;塩結合剤;微量栄養素;植物性薬品;キトサン;バイオポリマー;生物学的薬剤;有機又は合成肥料;有害動物防除剤(pesticides);除草剤;殺真菌剤;殺虫剤;羊毛繊維(ナメクジ抑止のため);pH調整剤;UV安定剤;吸水保水性材;タルク;及び顔料。
【請求項17】
コーティングが、発泡体として疎水性剥離ライナーに適用される、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリマーフィルムに少なくとも部分的に埋め込まれた種子を含む生分解性ポリマーフィルムを含む、種子支持体の調製方法に関する。
【0002】
種子支持体(support)は、種子の発芽、及び新芽と根の両方の早期成長を改善して、例えば草及び野菜の種子の環境条件への依存性を減らすことができることが知られている。既知の製造方法は、紙、織布又は不織布、プラスチックフィルム、マルチマット、又はそれらの組合せのいずれかの1つ以上の層又はシートを含む種子支持体の調製に焦点を合わせている。
【0003】
米国特許第2,976,646号は、種子用布地製品、ならびに毛羽立ったカーディング繊維ウェブの上層及び下層使用した種子用布地製品の製造方法を開示している。種子は、下層上に、ウェブの繊維構造内に捕捉されて保持されるように配置され、上層がその上に堆積されると、さらに包囲される。得られた種子含有複合カーディング繊維ウェブは、2つのスクイーズロールの間に供給される。これらのロールの1つは、凝着剤サイジング剤の水溶液の浴に浸す。サイジング溶液を含むこのロールの回転は、繊維ウェブを完全に濡らし、含浸させる。ロール圧力は、余分なサイジング溶液が絞り出され、毛羽立ったカーディング繊維ウェブが圧縮され、湿った薄織物様の繊維ウェブが得られるように調整される。このソフトプレス動作は、硬質表面カレンダーロール間で布地をカレンダー加工するときに生じるハードプレスとは全く異なり、種子の破砕を回避する。圧縮された繊維構造は種子に適合し、大きな種子によって膨隆が形成され得る。湿った、サイジングされた種子含有薄織物ウェブは、織られたワイヤで形成され、下に空気吸引手段を備えた、上向きに傾斜した継ぎ目のないドライヤーベルト上に置かれる。ウェブは、吸引及びベルトへの湿潤接着によって平らに押さえつけられ、そこを通して引き込まれた室内空気による乾燥でも数秒以内に乾燥する。得られた乾燥種子布地製品は乾燥機ベルトから剥がされ、大きなストックロールへと巻かれる。
【0004】
米国特許第2,648,165号は、種子担体、及び種子担体の調製方法を公開しており、そこでは仮の支持体又は「ストリッパー」シートの連続ウェブが、紙、布、又は他の適切な材料の長さを、塗布される接着剤が濡れている間は表面上に均一に広がるが、乾燥すると容易に除去することができるような性質の、通常は樹脂である固体材料の表面コーティング又はフィルムで処理することによって調製される。約3500センチポアズ(3500mPa.s)の粘度及び通常0.020インチ~0.050インチ(508μm~1270μm)の厚さを有する、この接着剤の均一なフィルムが仮の支持体上に広げられる。米国特許第2,648,165号明細書に具体的に例示されている接着剤組成物のほとんどは、少なくとも90%(w/w)の初期含水量を有する。種子は、使用される種子の種類の要件に従って、互いに間隔をあけて粘着性フィルム上に堆積される。続いて、種子をシートにしっかりと接着し、その上で種子を保護するために、接着剤のサイジングフィルムを、種子が各々接着剤に完全に包まれるように塗布してもよい。サイジングフィルムは、通常、必ずしもそうである必要ではないが、ベースフィルムと同種の接着剤である。次いで、製品を乾燥させるか又は硬化させ、乾燥後、今や自立している種子含有フィルムを仮の支持体から除去する。得られた種子担体は、数時間以内に水に溶解する。米国特許第2,648,165号明細書の例の1つ(図3)では、支持体は最初に形成され、次いで種子が加えられる前に接着剤でコーティングされ得ることが開示されている。
【0005】
JPH-04351545は、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーのコーティングでコーティングされた水溶性紙を含む種子支持体を開示している。
【0006】
EP0470524(日本植生株式会社)は、水溶性接着剤を水溶性不織布上に噴霧し、次いで接着剤上に種子を堆積させることによって形成される種子支持体を開示している。
【0007】
本発明者らの先行の特許出願EP3403483は、ポリビニルアルコールなどの水性接着剤の自立フィルムから形成された種子支持体を開示している。EP3403483の種子支持体は、約85%~99.5%の水性接着剤及び約0.5~約15重量%の水を含有する。
【0008】
本発明は、種子支持体の改善された製造方法、とくに、本発明者らの先行の特許出願EP3403483に開示されている一般的な種類の種子支持体の改善された製造方法を提供する。
【0009】
第1の態様では、本発明は、少なくとも部分的に埋め込まれた複数の種子を有する生分解性ポリマーフィルムを含む種子支持体を調製するための方法を提供し、方法は、
(a)疎水性剥離ライナーを準備する工程;
(b)生分解性ポリマーを含む水性分散液又は溶液のコーティングを疎水性剥離ライナー上に適用する工程であって、分散液又は溶液が、4000~16000mPa.sの粘度及びコーティングの58重量%~90重量%の含水量を有する工程;
(c)複数の種子を、種子がコーティングに少なくとも部分的に埋め込まれるように、コーティング上に置く(deposit)工程;
(c-i)コーティングを部分的に乾燥させ、コーティングが部分的に乾燥したら、コーティングが、補強層がコーティングに接着するのにまだ十分に粘着性である間に多孔質補強層をコーティングに適用する工程;
(d)コーティングをさらに乾燥させて、最終含水量を1.5~15重量%にし、それによって生分解性ポリマーフィルムを形成する工程;及び
(e)疎水性剥離ライナーを生分解性ポリマーフィルムから剥離して種子支持体を得る工程
を含む。
【0010】
本発明の方法では、生分解性ポリマーコーティングは、もはや液体ではないが、補強層にしっかりと接着するのに十分に粘着性である状態まで最初に乾燥される。生分解性ポリマーコーティングが補強層と接触する前に生分解性ポリマーコーティングから水が十分に除去されない場合、生分解性ポリマーは補強層に浸漬し、補強層の繊維を覆い、その結果、種子支持体が最終含水量まで乾燥されると、典型的にやや脆くなる。他方、初期乾燥工程が長すぎて生分解性ポリマーコーティングがもはや粘着性ではない場合、それは、仮にあるとしても、補強層に弱く付着するだけである。したがって、初期乾燥段階を制御することは、最終的な種子支持体製品が脆くはないが、巻き上げられ得るほど十分に柔軟であることを確保し、同時に生分解性ポリマーと補強層とがしっかりと接着され、層間剥離しないことも確保する上で重要である。この点で、種子が存在するので、高圧を使用して生分解性ポリマーと補強層とを一緒に接着することは不可能であることが理解されよう。
【0011】
別の態様では、本発明は、少なくとも部分的に埋め込まれた複数の種子を有する生分解性ポリマーフィルムを含む種子支持体を調製するための方法を提供し、方法は、
(a)疎水性剥離ライナーを準備する工程;
(b)生分解性ポリマーを含む水性分散液又は溶液のコーティングを疎水性剥離ライナー上に適用する工程であって、分散液又は溶液が、2000~16000mPa.sの粘度及びコーティングの30重量%~90重量%の含水量を有する工程;
(c)複数の種子を、種子がコーティングに少なくとも部分的に埋め込まれるように、コーティング上に置く工程;
(d)コーティングをさらに乾燥させて、最終含水量を1.5~15重量%にし、それによって生分解性ポリマーフィルムを形成する工程;及び
(e)疎水性剥離ライナーを生分解性ポリマーフィルムから剥離して種子支持体を得る工程
を含む。
【0012】
本発明のさらなる態様及び実施形態は、添付の従属請求項及び以下の段落に記載されている。誤解を避けるために、上記で定義された方法の所与の整数に関連して述べられた各例、実施形態又は選好は、文脈がそうでないことを示さない限り、上記で定義された方法の任意の他の整数の各例、実施形態又は選好と組み合わせてもよいことに留意されたい。
【0013】
相反することが示されない限り、種子支持体の構成材料の重量パーセントへの言及は、種子の重量を除外する。
【0014】
本発明による方法は、複数の種子が埋め込まれた自立型生分解性ポリマーフィルムを含む種子支持体、例えば、本発明者らの先行の特許出願EP3403483に記載されているタイプの種子支持体を調製する、単純かつ効果的な方法を提供する。したがって、方法は、生分解性ポリマーを含む水性分散液又は溶液のコーティングの疎水性剥離ライナーへの適用を含み、分散液又は溶液は、2000~16000mPa.sの粘度及びコーティングの30重量%~から90重量%の初期含水量を有する。分散液又は溶液は粘度によって剥離ライナー上に広がり、比較的均一な厚さのコーティングを得ることができる。コーティングが、種子が少なくとも部分的にコーティング中に沈むのにまだ十分に柔らかく湿っている間に種子がコーティング上に堆積されるので、それらはコーティングに少なくとも部分的に埋め込まれる。種子をコーティング上に堆積させた後、1.5重量%~15重量%の最終含水量が達成されるまでコーティングを乾燥させ、その時点で、元の粘性液体コーティングは粘着性生分解性ポリマーフィルムに変換される。次いで、疎水性剥離ライナーを生分解性ポリマーフィルムから取り除き(例えば剥離し)、種子支持体を残すことができる。
【0015】
種子がコーティング上に堆積される前にコーティングを部分的に(例えば、45%~65%の含水量まで)乾燥させてもよいが、種子がしっかりと埋め込まれるためにコーティングが十分に柔らかいことを条件とする。
【0016】
あるいは、認識可能な程度まで乾燥する前のコーティング上に、種子を置くことができる。
【0017】
コーティングは、典型的には最終含水量が1.5重量%~15重量%(例えば、2重量%~5重量%)になるまで、空気乾燥によって乾燥される。本明細書で使用される「空気乾燥」という用語は、コーティングが対流式又はファンアシストオーブンで乾燥されるケース、ならびに空気流(例えば、温風又は熱風)をコーティング上に通過させることによって乾燥が行われるケースを含む。
【0018】
好ましくは、放射加熱を使用しないで、最終含水量まで乾燥させる。しかしながら、放射(例えば赤外)乾燥を使用して、多孔質補強層に接着するのに十分な粘着性であるように部分的にコーティングを乾燥させて、非放射手段による乾燥を使用して乾燥プロセスを完了してもよい。一実施形態では、水の減量は、空気乾燥のみによって行われる。
【0019】
コーティングは、20℃~100℃の範囲の周囲空気温度(例えばオーブン内)に供することによって乾燥させることができる。より低い温度が使用される場合、乾燥は、例えばファンによって空気流をコーティング上に通過させることによって都合よく達成され得る。より高い温度が使用される場合、周囲空気は比較的静的であってもよい。
【0020】
一実施形態では、コーティングは、オーブン自体が加熱要素を有さず、代わりに加熱空気源に接続された熱風オーブンにコーティングされたライナーを通すことによって乾燥される。
【0021】
20℃~100℃の温度を使用してコーティングを乾燥させてもよいが、より典型的には、乾燥温度は、35℃~90℃の範囲である。一実施形態では、乾燥温度は40℃~80℃の範囲である。別の実施形態では、乾燥温度は55℃~85℃の範囲である。
【0022】
方法の1つの一般的な実施形態では、コーティングされた剥離ライナー上に種子を堆積させ、次にオーブンを通過させて、そこでコーティングをその最終含水量まで乾燥させる。
【0023】
乾燥温度を、制御された比較的均一なコーティングの乾燥を提供するように選択して、速すぎる、かつ/又は温度が高すぎる乾燥が行われた場合に別途形成され得る亀裂及び空洞がない粘着性生分解性膜を得る。温度はまた、種子を損傷しないように選択される。したがって、種子の正確な性質に応じて、異なる乾燥温度を使用することができる。
【0024】
生分解性ポリマーを含む分散液又は溶液は、最初に疎水性剥離層上にコーティングされるときに、2000~16000mPa.sの範囲の粘度を有する。しかしながら、より典型的には、分散液又は溶液は、少なくとも4000mPa.s(又は少なくとも5000mPa.s)、例えば4000~12000mPa.sの範囲、又は5000~12000mPa.sの範囲内の粘度を有する。
【0025】
1つの一般的な実施形態では、分散液又は溶液は、6000~11000mPa.sの範囲の初期粘度を有する。
【0026】
別の一般的な実施形態では、分散液又は溶液は、7000~10000mPa.sの範囲の初期粘度を有する。
【0027】
別の一般的な実施形態では、分散液又は溶液は、8000~10000mPa.sの範囲の粘度を有する。
【0028】
上記の分散液及び懸濁液の粘度は、粘度カップ測定法を用いて得られる粘度である。
【0029】
生分解性ポリマーを含む分散液又は溶液は、最初に疎水性剥離層にコーティングされるときに、30%~89%(w/w)、例えば50%~89%(w/w)の含水量を有し得る。より典型的には、分散液又は溶液は、50%~80%(w/w)の初期含水量を有する。
【0030】
あるいは、とくに多孔質補強層が存在する場合、初期含水量は、58%~90%(w/w)、例えば60%~89%(w/w)の範囲であってもよい。
【0031】
一実施形態では、分散液又は溶液は、60%~80%(w/w)の初期含水量を有する。
【0032】
別の実施形態では、分散液又は溶液は、60%~75%(w/w)の初期含水量を有する。
【0033】
別の実施形態では、分散液又は溶液は、65%~75%(w/w)の初期含水量を有する。
【0034】
生分解性ポリマーの溶液又は分散液は、典型的には疎水性剥離ライナー上にコーティングされて、100~500μmの範囲、より一般的には100~495μmの範囲、より一般的には150~400μmの範囲、例えば150~300μmの範囲、又は200~250μmの初期コーティング厚さを与える。
【0035】
一実施形態では、初期コーティング厚さは、100~495μmの範囲である。
【0036】
別の一般的な実施形態では、初期コーティング厚さは、150~400μmの範囲である。
【0037】
別の一般的な実施形態では、初期コーティング厚さは、150~300μmの範囲である。
【0038】
別の一般的な実施形態では、初期コーティング厚さは、100~300μmの範囲である。
【0039】
別の一般的な実施形態では、初期コーティング厚さは、200~250μmの範囲である。
【0040】
別の一般的な実施形態では、初期コーティング厚さは、150~200μmの範囲である。
【0041】
コーティングは、水が除去されると収縮するので、1.5~15%(w/w)(例えば、2~5%(w/w))の最終含水量が達成されると、得られる生分解性ポリマー膜の厚さは、一般的には20~175μmの範囲、より一般的には20~100μmの範囲、例えば25~70μmの範囲、とくに25~65μmの範囲である。生分解性ポリマー膜のために選択される厚さは、支持される種子(下記参照)の量及び種類、ならびに膜内に含有される任意の他の物質(下記参照)の存在に大きく依存する。
【0042】
特定の実施形態では、生分解性ポリマー膜の厚さは、以下であり得る:
・20~100μm;又は
・25~70μm;又は
・25~65μm;
・40~90μm;
・40~80μm;
・40~70μm;又は
・50~80μm。
【0043】
初期含水量でのコーティングの厚さと、最終含水量での生分解性ポリマー膜の厚さとの比は、約7:1~約2.5:1であり得る。
【0044】
生分解性ポリマーの溶液又は分散液は、スロットダイ押出機を使用して疎水性剥離ライナー上に有利にコーティングすることができる。疎水性剥離ライナーは、典型的には移動して固定スロットダイを通過し、生分解性ポリマーの分散液又は溶液は、スロットダイを通って剥離ライナー上に押し出される。スロットダイのスロットは、典型的には、疎水性剥離ライナーの進行方向に対して横方向に配置される。スロットダイ押出機を使用する利点は、ライナー上に均一な厚さのコーティングを提供することである。本明細書で使用される「スロットダイ押出機」という用語は、生分解性ポリマーの溶液又は分散液がライナーに適用されるときに通過するスロット形状(典型的には横向き)開口部を有する、アプリケーター装置を指す。同様に、「スロットダイ」という用語は、生分解性ポリマーの溶液又は分散液がライナーに適用されるときに通過するスロット形状(典型的には横向き)開口部を指すために使用される。
【0045】
一実施形態では、スロットダイ押出機は、ライナーの上に配置され、ライナーの進行方向に対して横方向に配置された可動バリアウォールを備え、バリアウォールは、上下に移動してバリアウォールとライナーとの間に間隙をもたらすことができ、この間隙は、生分解性ポリマーのコーティングの所望の厚さに対応する。この実施形態では、生分解性ポリマーの溶液又は分散液は、バリアウォールの上流側でライナー上に設置され(deposited)、ライナーの移動によって間隙を通って運ばれ、バリアウォールの下縁部は、ライナー及び溶液又は分散液が間隙を通過するときにコーティングの厚さの限定に作用する(serving)。したがって、この実施形態では、ライナーとバリアウォールとの間の垂直間隙がスロットダイを構成する。ライナーの上方のバリアウォールの下縁部の高さ、したがって間隙のサイズを変えることによって、コーティングの厚さを調整することができる。
【0046】
本発明の前述の実施形態では、スロットダイ押出機は、下端が開いたホッパーの形態をとることができ、そこから生分解性ポリマーの溶液又は分散液をライナー上に置くことができ、ホッパーの下流壁は上下に移動可能であり、上で定義されたように可動バリアウォールを構成する。ホッパーは、概して長方形の形態とすることができ、したがって、可動バリアウォール、上流壁、及び上流壁とバリアウォールとを連結する一対の側壁を備えることができる。
【0047】
可動バリアウォールは、便宜上、本明細書では「ナイフ」と呼ばれることがある。
【0048】
生分解性ポリマーフィルムが形成される生分解性ポリマーは、天然生分解性ポリマー、改質天然生分解性ポリマー及び合成生分解性ポリマーから選択される。
【0049】
本明細書で使用される生分解性ポリマーフィルムという用語は、使用中に遭遇する条件下でそれらの構造的完全性を失うポリマーフィルムを指す。例えば、ポリマーフィルムは、土壌中で分解する(例えば、加水分解又は微生物消化によって)ポリマー、ならびにポリマーから形成された膜が水と接触すると徐々に溶解又は崩壊するように、水溶性又は水分散性であるポリマーから形成されてもよい。
【0050】
天然(及び改質天然)生分解性ポリマーとしては、
・多糖類、例えばデンプン(例えば、熱可塑性デンプン);セルロース及びその誘導体;リグノセルロース系繊維:キチン及びその化学修飾形態、例えばキトサン;及び多糖ガム;
・ポリペプチド及びタンパク質、例えばトウモロコシゼイン;小麦グルテン、大豆タンパク質;コラーゲン;ゼラチン;カゼイン及びカゼイネート;及びホエイタンパク質;
・脂質、例えば架橋脂質;
・天然又は遺伝子修飾微生物によって生成されるバイオポリマー、例えば、
〇微生物ポリエステル(例えば、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ-3-ヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレート-ヒドロキシバレレート)及びポリカプロラクトン)
〇細菌セルロース;
・生物由来モノマーから合成されたポリエステル;例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリラクチドコグリコリドコポリマー;
が含まれ、
合成生分解性ポリマーとしては、
・脂肪族ポリエステル、例えばポリカプロラクトン;ポリブチレンサクシネート;及びポリブチレンサクシネートアジペート;及び
・ポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル、ならびにそれらの混合物及びコポリマー
が含まれる。
【0051】
生分解性ポリマーの総説については、Ghanbarzadeh et al;「Biodegradable Polymers」、http:/dx.doi.org/10.5772/56230を参照されたい。Khalil et al.、eXPRESS Polymer Letters、Vol.11、No.4(2017)244-265も参照されたい。
【0052】
生分解性ポリマー膜が自立型である、すなわち補強層が存在しない場合、使用される生分解性ポリマーは、疎水性剥離層から剥離されてロールに巻き取られ、その後断裂することなく使用され得るように、良好な機械的強度、とくに良好な引張強度を有するものであるだろう。生分解性ポリマーが必要な機械的強度を有さないフィルムを形成する場合、補強層が典型的に使用される。もちろん、生分解性ポリマーフィルムのみが良好な機械特性を有する場合でも、補強層を使用できる。
【0053】
本発明の方法で使用するための特定の生分解性ポリマーは、有利にはポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル;デンプン;及びそれらの混合物から選択される。
【0054】
本発明の一般的な実施形態では、生分解性ポリマーは、
(i)ポリビニルアルコール;又は
(ii)ポリ酢酸ビニル;又は
(iii)デンプンもしくは改質デンプン;又は
(iv)ポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルとの混合物;又は
(v)デンプン(又は改質デンプン)とポリビニルアルコールとの混合物;又は
(vi)デンプン(又は改質デンプン)とポリ酢酸ビニルとの混合物;又は
(vii)デンプン(又は改質デンプン)とポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルとの混合物
を含む(又は、からなる)。
【0055】
ポリビニルアルコール(PVOH)は、酢酸ビニルモノマーの重合によって形成されるポリ酢酸ビニルの加水分解によって生成される。ポリビニルアルコールの溶解特性は、ポリ酢酸ビニル(PVA)の加水分解の程度に依存する。異なる加水分解度、したがって異なる溶解度を有する様々なグレードのポリビニルアルコールが市販されている。PVAの加水分解が90%を超えたポリビニルアルコールは、90%未満(例えば、80~88%の加水分解)であったPVOHのグレードよりも溶解度が低い傾向がある。一実施形態では、本発明の方法で使用されるポリビニルアルコールは、80~88%の程度まで加水分解されている。
【0056】
特定の実施形態では、生分解性ポリマーを含む分散液又は溶液は、
(a)硫酸メチルを含有するか、又は硫酸メチルが分散液もしくは溶液の調製に使用されているもの;及び/又は
(b)スチレン-マレイン酸コポリマーを含有するもの;及び/又は
(c)グリセリンを含有するもの
を除くことができる。
【0057】
例として、本発明による生分解性ポリマー膜を調製するために使用された特定の生分解性ポリマー混合物には、
(i)PVOH 90%-PVA 10%;
(ii)デンプン70%-PVA 30%;
(iii)デンプン50%-PVOH 25%-PVA 25%;
(iv)デンプン30%-PVOH 40%-PVA 30%;及び
(v)デンプン50%-PVA 50%
が含まれる。
【0058】
補強層が存在する場合、これは典型的には多孔質材料である。補強層は、種子支持体が土壌など下にある基材上に置かれる方法に応じて、植物の芽又は根がそれを通過して成長できる材料から形成されるべきである。材料の多孔度は、材料の固有の特性であってもよく、又は穿孔、例えばニードリングによって提供又は強化されてもよい。
【0059】
補強材料は、例えば、織布又は不織布、又は穿孔されたフィルムの形態をとることができる。織布及び不織布の例は、天然繊維、例えば、セルロース繊維、リグノセルロース繊維、麻、ジュート、亜麻、綿、コイア、アバカ、ラミー及びサイザルなどの植物からの繊維、羊毛繊維、イラクサ繊維及び竹繊維;ならびに合成及び半合成繊維、例えば、ポリ乳酸繊維、ガラス繊維、改質セルロース繊維(例えば、リヨセル繊維などのビスコース繊維)及び再生大豆繊維から作製されたものである。補強層は生分解性であることが好ましく、したがって天然又は改質天然繊維が好ましい。適切なレベルの多孔度を提供するために、スパンレース又はニードルパンチされた不織布材料を使用することができる。本発明の方法で使用され得る1つの特定の不織布は紙である。本発明の方法で使用するための別の特定の不織布は、リヨセル不織布である。
【0060】
補強層は、典型的には、25~500μm、より一般的には40~120μmの範囲の厚さを有する。
【0061】
補強層自体は、典型的には非接着性である。すなわち、固有の接着特性を有さないか、又は実質的に有さない。代わりに、生分解性ポリマーのコーティングの接着性に依存して、コーティングに接着する。
【0062】
補強層は、生分解性ポリマーのコーティングが部分的に乾燥された後、生分解性ポリマーに接着される。補強層とコーティングとの接触が早すぎると、別の層を形成せずに、生分解性ポリマーの溶液又は分散液が補強層に吸収される可能性がある。これは、次に、脆い、又は亀裂の形成を受けやすい種子支持体の形成につながる可能性がある。したがって、補強層は、コーティングの含水量がその初期レベルから約40重量%~約55重量%、例えば45%~50%(w/w)の含有量に減少したときにコーティングに適用され得る。補強層をコーティングに適用する時点は、生分解性ポリマーのコーティングが補強層への吸収に抵抗するほど十分に硬いが、補強材料(通常は非接着材料である)に接着するほど十分に粘着性であるように選択される。
【0063】
生分解性ポリマーのコーティングの補強層への接着は、穏やかな圧力を加えることによって支援され得る。しかしながら、圧力が種子の破砕が起こるほど高くならないことを、注意して確認しなければならない。補強層とコーティングされた剥離とを一緒にし、剥離ライナーが最も外側でローラーに接するようにローラーに通過させることによって、穏やかな圧力を加えることができ、この場合、剥離ライナーの張力は、生分解性ポリマーのコーティングと補強層とを一緒に押圧する圧力源を提供する。
【0064】
疎水性剥離ライナーは、接着性が低く、プロセスの硬化(乾燥)工程が完了した後、生分解性膜が容易に剥離され得るポリマーから形成される。したがって、疎水性剥離ライナーは、通常、低い表面エネルギー(臨界表面張力として定義することができる)を有する。
【0065】
疎水性剥離ライナーを作製することができるポリマーの例には、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、非晶質ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素化ポリオレフィン、天然又は合成ゴム、シリコーン、及びポリエチレン、ポリプロピレン、PTFE又はニトリルゴムの表面を有するポリマーフィルムが含まれる。
【0066】
一実施形態では、疎水性剥離層は、45mN/m未満の臨界表面張力を有するポリマーで構成された表面を有する。
【0067】
特定の実施形態では、疎水性剥離層は、35mN/m未満、例えば32mN/m未満の臨界表面張力を有するポリマーで構成された表面を有する。一例として、PTFEは約18.5mN/mの臨界表面張力を有し、シリコーンは約24mN/mの臨界表面張力を有し、ポリ(フッ化ビニリデン)は約25mN/mの臨界表面張力を有するが、ポリエチレン及びポリプロピレンはそれぞれ約31mN/mの臨界表面張力を有する(「Adhesion and Adhesives:Science and Technology」;Anthony J.Kinloch,New York:Chapman and Hall(1987)を参照されたい)。
【0068】
疎水性剥離層は、典型的には、ロールに巻き付けられたりロールから巻き出されたりするのに十分な柔軟性を有し、引っ張られたり、さもなければ製造ラインに沿って、例えば駆動ローラーなどを使用して動かされたりするのに十分な引張強度を有するウェブ又はベルトの形態で提供される。特定の実施形態では、疎水性剥離ライナーは、PTFE、又はPTFEでコーティングされたもしくはシリコーンでコーティングされたポリマー、例えば、コーティングされたポリオレフィン、ポリエステル、もしくはポリアミドから形成されたベルトである。
【0069】
本発明のプロセス中、種子は、種子がコーティングに少なくとも部分的に埋め込まれるようにコーティング上に堆積される。種子は、所定のパターンで、例えばブロック又は列でコーティング上に置くことができ、又は、よりランダムな方法で加えてもよい。種子は、各種子がその隣接する種子から離れるように置くことができ、又は種子を塊もしくは群で置くことができる。
【0070】
一実施形態では、種子は、制御された所定のパターンでコーティング上に堆積される。この実施形態では、種子をコーティング上の所定の位置に向けるための、1つ以上のノズル又は分配ヘッドを有する種子分配ステーションを使用することができる。種子分配ステーション(例えば、Agricola Italia種子ディスペンサー)は、種子を複数の列に置くように、間隔をあけて配置された複数のノズル又は分配ヘッドを備えてもよい。
【0071】
精密播種は、とくに野菜種子を含有する種子支持体で使用することができ、単一の植物種もしくは栽培種;又は混合した種及び/もしくは栽培種の種子を担持することができる。精密播種は、例えばコンパニオンプランツ(例えば、ニンジン及びタマネギのコンパニオンプランツ)に使用することができる。
【0072】
例えば、草の種子又は野生花の種子など、精密な植え付けが必要又は必須ではない場合、よりランダムな種子分配方法を使用することができる。例えば、振動又は振盪プレート又はトレイを使用して、草の種子及び野生花の種子、及びそれらの混合物などの種子を分配してもよい。
【0073】
本発明の方法を使用して製造された種子支持体は、生分解性ポリマーフィルム1平方メートル当たり約10~200,000個の種子、好ましくは1平方メートル当たり約20~約100,000個の種子、より好ましくは1平方メートル当たり約40~約30,000個の種子、最も好ましくは生分解性ポリマーフィルム1平方メートル当たり約80~約20,000個の種子の平均表面密度を有する種子を含むことができ、又は種子の表面密度は、生分解性ポリマーフィルム1平方メートル当たり平均約5~約60グラムの種子、好ましくは1平方メートル当たり約10~約50グラムの種子、より好ましくは生分解性ポリマーフィルム1平方メートル当たり約15~約40グラムの種子である。生分解性ポリマーフィルム1平方メートル当たり約50~200,000個の種子の平均表面密度を有する種子を含む、又は種子の表面密度が、生分解性フィルム1平方メートル当たり平均約5~約60グラムの種子である、本発明による種子支持体がとくに好ましい。
【0074】
本発明による種子支持体の製造方法の多くの利点の1つは、支持される種子の密度を種子支持体の使用者の要求に合わせて容易に調整できることである。種子は、本発明による種子支持体の生分解性ポリマーフィルム中にランダムな様式で、すなわちランダムな分布で少なくとも部分的に埋め込まれ得るか、又は種子は、生分解性ポリマーフィルムの予め選択された位置、例えば線形分布で互いに離間した関係で配置され得る。
【0075】
例えば、野菜の種子は、本発明による種子支持体の生分解性ポリマーフィルムにおいて、予め選択された標準間隔で互いに列をなして配置され、列を予め選択された標準間隔で互いに平行にしてもよい。花の種子は、1平方メートル当たり約100個の種子の表面密度で、互いに等間隔に配置することができる。草の種子は、本発明による種子支持体の生分解性ポリマーフィルムの全表面積にわたって、実質的に等しい表面密度でランダムに加えることができる。草の品質及び草の葉の土壌表面被覆率に関してとくに良好な結果は、本発明による種子支持体の生分解性ポリマーフィルム上に、1平方メートル当たり約20グラム~約40グラムの草の種子がランダムに、かつほぼ均等に分布している場合に得られる。
【0076】
本発明のプロセス中に、多種多様な異なる種類の種子を種子支持体に組み込むことができる。種子は、典型的には、本明細書に開示されるポリマーフィルムのパラメータ(例えば、厚さ)を維持しながら、生分解性ポリマーにしっかりと埋め込むことができる種子である。したがって、例えば、種子は、典型的には、より小さい種子であり、本発明の種子支持体は、典型的には、豆などの大きい種子には使用されない。
【0077】
例えば、種子は、草の種子;野菜の種子(例えば、ニンジン、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、キュウリ、マロー、及びタマネギの種子);花の種子;ビート種子;イネ種子;穀物種子、例えば、ライムギ、コムギ及びオオムギ種子、及び他の穀物種子;油糧植物の種子、例えば、亜麻種子、セイヨウアブラナ種子、ラベンダー種子、ヒマワリ種子、麻種子;トマト種子;ジャガイモ種子;樹木の種子;バナナ科のメンバーからの種子、及びそれらの任意の組合せから選択することができる。
【0078】
本発明の方法によって製造された種子支持体によって有利に支持され得る草の種子の例は、ライグラス、フェスクグラス、芝草、ベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ラフブルーグラス、レッドフェスク、1年生ライグラス、ペレニアルライグラス、トールフェスク、サーマルブルー(Thermal Blue)、芝、バヒア(Bahia)、バミューダグラス、バファローグラス、カーペットグラス、センチピード、セントオーガスチングラス、ドワーフライグラス(Dwarf Rye grass)、ターフライグラス(Turf Rye grass)及びスレンダークリーピングレッドフェスク(slender creeping Red Fescue)、及びそれらの任意の組合せから選択される。一実施形態では、草の種子は、ライグラスの種子又はフェスクグラスの種子である。
【0079】
本発明の種子支持体は、種子からの植物の発芽もしくは成長を促進するため、又は害虫を防除もしくは根絶するための1つ以上の添加剤を含有することができる。したがって、例えば、種子支持体は、植物成長添加剤;土壌調整添加剤;増量剤及び/又は種子保護添加剤;バイオスティミュラント、例えば、フミン酸、フルボ酸及び植物ホルモン(例えばジベレリン及びオーキシン);窒素含有化合物;無機化合物;塩結合剤、例えば石膏(硫酸カルシウム);微量栄養素(亜鉛、銅、ホウ素、及び海藻抽出物など);植物性薬品;キトサン;バイオポリマー;生物学的薬剤、例えば真菌(例えば、菌根菌)又は細菌(例えば有益な土壌細菌);有機又は合成肥料;生物防除剤、例えば殺虫薬、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、羊毛繊維(ナメクジ抑止のため);pH調整剤、例えば炭酸カルシウム、石灰及び硫黄;UV安定剤;吸水保水性材、例えばシリカ、ベントナイトクレー;タルク;顔料及び着色染料から選択される1つ以上の添加剤を含有することができる。
【0080】
このような添加剤は、典型的には、生分解性ポリマー膜の0~50%(w/w)、より一般的には0~25%(w/w)、例えば0~10%(w/w)、又は0~5%(w/w)に相当する量で存在する。
【0081】
添加剤は、種子からの目的の植物種の成長及び発達に有益である(したがって、無毒である)ように選択されることが理解されよう。したがって、例えば、除草剤が含まれる場合、それらは目的の植物種に害を及ぼさない選択的除草剤となる。
【0082】
一連の微生物学的添加剤を本発明の組成物に組み込んで、発芽及び植物の定着を支援することができる。これらは、典型的には菌根菌である。菌根は、植物と共生関係を形成する約400の真菌の群である。それらは、根の中又は根の上に生息し、菌糸を土壌に延ばし、リン酸塩、窒素その他の栄養素、及び水を宿主植物が利用できるようにする。それらは、植物がより少ない肥料及び水でより速く、より大きく、より強く成長するように、有効な根の面積を数百倍に拡張する。植物防御を刺激し、有益な共生菌根関係を促進する他の市販の生物学的及び化学的薬剤も含まれ得る。
【0083】
緩衝剤及び他の化学有機剤は、発芽を改善する手段の他に、土壌又は培地中の有害な化学汚染物質の影響を打ち消す手段、及び/又は植物の確立を支援及び加速する手段を提供する。したがって、例えば、石灰は低pHに対する緩衝を提供し、石膏は高塩分に対抗する手段を提供するが、ゼオライト、カオリナイト、カルシウムベントナイト及びモンモリロナイトなどの粘土鉱物は、土壌中の高レベルの肥料又は化学汚染に対抗する。
【0084】
本発明の方法によって製造された種子支持体は、染料を含み得る。染料は、光量を減らす、又はフィルムを透過する光の波長を変化させるように作用し、雑草の成長をさらに抑制する。染料又は他の着色剤を適切に選択することによって、生分解性膜形成組成物は硬化して、より容易に日射を吸収する暗色の膜を形成し、それによって下にある基材(例えば土壌)を加熱し、発芽及び作物の定着を促進し、同様に膜の下の雑草抑制を強化することができる。
【0085】
添加剤は、好ましくは生分解性であるべきであるか、又は作物が収穫された後に基材(土壌)に安全に組み込まれるべきであり、成分が、種子から成長した作物を人間の消費に不適切なものにする健康上の懸念を与えないことが理解されよう。
【0086】
添加剤は、典型的には、疎水性剥離ライナー上にコーティングする前に、生分解性ポリマーの溶液又は分散液に添加される。
【0087】
生分解性ポリマーの溶液又は分散液は、疎水性剥離ライナー上にコーティングする前に発泡させることができる。発泡は、空気又は別のガス(酸素又はエチレンなど)を、剥離ライナー上へのコーティング前、又はコーティング中の溶液又は分散液に導入する発泡機によって達成することができる。代替的又は追加的に、溶液又は分散液は、発泡剤を含有してもよい。発泡剤の性質は、生分解性ポリマーの性質に依存するが、発泡剤の例としては、界面活性剤及び膨張剤が挙げられる。発泡剤が膨張剤である場合、それは、ベーキングパウダー(例えば、重炭酸ナトリウムなどの炭酸塩又は重炭酸塩と、酸性クエン酸塩又は酒石酸塩などの弱酸との混合物)、アゾジカルボンアミド及びイソシアネートから選択することができる。https://www.sciencedirect.com/topics/chemistry/foaming-agentに開示されている膨張剤も参照されたい。発泡剤は、発泡剤が水と接触して直ちに活性化されないように、制御放出(例えば遅延放出)形態で存在することができる。したがって、制御放出発泡剤を含有する生分解性ポリマーの溶液又は分散液を構成し、発泡剤が十分に放出されて発泡が起こったら、次に疎水性剥離ライナー上にコーティングすることができる。
【0088】
本発明の方法によって製造される種子支持体は、使用時に、発芽中及び実生への成長中に種子を保護することを意図している。土壌基材又は他の基材上に置かれると、種子支持体は水(土壌が湿っている場合は土壌から、別に土壌が湿っていない場合は灌漑から)を吸収し、土壌又は他の基材の表面に適合するように可塑化される。水を吸収すると、膜中の生分解性ポリマーが粘着性になり、その結果、種子支持体が土壌に付着する。
【0089】
したがって、本発明の種子支持体の利点は、それらの「ドレープ性」、すなわち、使用時に水分と接触したときに軟化し、土壌などの下にある基材の輪郭に適合し、その後乾燥しても下にある基材の輪郭に適合し続ける能力である。
【0090】
最終的に、本発明の方法によって製造された種子支持体は分解し、成分は土壌に吸収される。これが起こる期間は、種子の保護が必要とされる時間の長さに応じて変えることができる。発芽及び成長が速い植物の場合、種子支持体は、数週間、例えば最大8週間後に分解し始める生分解性ポリマーから形成することができる(例えば、ベビービートの場合)。発芽及び成長がより遅い植物の場合、より長い分解時間(例えば、最大4ヶ月)が望ましい場合がある。したがって、発芽が起こり、得られる実生の根が下にある基材(例えば土壌)にしっかりと固定されるまで、種子支持体は比較的無傷のままであるべきである。実生の成長中、種子支持体はまた、さもなければ実生を打ち負かすかもしれない雑草の定着及び成長を妨げる雑草抑制を提供する。
【0091】
本発明の方法によって製造された種子支持体は、十分に柔軟性があるので、破砕することなく、種子を損傷することなく、又は種子が支持体から取り出されることなく、しっかりと巻き上げることができる。種子支持体のロールは、例えば、約2cm~約30cmの外径を有する円筒状コア上に形成することができる。ロールの外径は、例えば、約50mm(少規模な消費者用)~約1100mm(例えば、大規模な園芸又は農業用)まで変化し得る。
【0092】
種子支持体によって担持された種子はしっかりと付着され、これにより、種子支持体の取り扱い中、例えば種子支持体の包装、保管、輸送及び適用中に、付着した種子のかなりの数の緩むリスクが低減(又は回避)される。典型的には、本発明の方法を使用して調製された種子支持体では、種子支持体の製造から、支持された種子から植物を得るために種子支持体を土壌表面に適用するまでの時間に失われる支持された種子は、5%未満、より一般的には1%未満、より一般的には0.1%未満であるべきである。種子支持体の生分解性ポリマーフィルムに完全に埋め込まれた種子は、所望の土壌表面で発芽する前に脱離しないように、さらに良好に保護されることに留意されたい。さらに、完全に埋め込まれた種子は、倉庫保管中の劣化、例えば乾燥からさらに良好に保護される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】本発明の一実施形態による種子支持体の製造のための製造ラインの概略図である。
【0094】
ここで、図1に示す製造ラインの概略図を参照して、本発明の方法の一実施形態をより詳細に説明する。
【0095】
したがって、本発明の一実施形態によるプロセスを実施するための製造ラインは、疎水性剥離ライナー分配ステーション(2)、裏打ち支持体材料分配ステーション(4)、コーティングステーション(6)、種子分配ステーション(8)、乾燥オーブン(10)、剥離ライナー剥離ステーション(12)、使用済みライナー収集ステーション(14)、及び種子支持体収集ステーション(16)を含む。剥離ライナー、裏打ち支持体材料、及び完成した種子支持体を製造ラインを通して前進させるための様々なガイドローラー及び駆動機構は、明確にするために省略されているが、そのような構成要素がどのように、どこに配置されるべきかは、当業者には容易に明らかになるであろうことは理解されるだろう。
【0096】
疎水性剥離ライナー分配ステーション(2)は、例えば、シリコーンコーティング繊維ガラスベルト又は滑らかな表面のPTFEベルトであり得る、疎水性剥離ライナーベルト材料のロールを含む。疎水性剥離ライナー材料は、乾燥オーブン(10)で遭遇する温度に耐えるものである。
【0097】
疎水性剥離ライナー材料のベルト(18)は、ロールから巻き出され、生分解性ポリマー材料の水溶液又は分散液の供給に連結されたスロットダイを含むコーティングステーション(6)に進められる。前記供給は、スロットダイに直接連結されたリザーバー又はタンク内に保持することができ、又は遠隔タンク又はリザーバーから配管によって供給することができる。スロットダイのスロットは、ベルト(18)の進行方向に対して横方向に配置される。
【0098】
スロットダイは、側壁(図示せず)によって連結された一対の横断壁(6a)及び(6b)を含んで、概して長方形のホッパーを形成し、ホッパーは、ホッパー内に導入された生分解性ポリマー材料がベルト(18)と接触するように、その下端が開いている。ホッパーの下流壁(6b)は、垂直軸で移動可能であり、上方に移動して、その下縁部とベルト(18)との間に間隙(図示せず)を形成することができる。壁(6b)の下縁部とベルト(18)との間の間隙は、スロットダイのスロットを構成する。
【0099】
ベルト(18)がコーティングステーション(6)を通過するとき、生分解性ポリマー材料の溶液又は分散液がベルト上に分配されて、壁(6b)の下縁部とベルト(18)との間の間隙のサイズによって決定される所望の厚さ(例えば約200μm)の均一なコーティングをもたらす。コーティングの厚さは、壁(6b)を上下に移動させて間隙のサイズを増減させることによって変えることができる。この実施形態では、コーティングは、約65%~約80%(w/w)の水を含有し、5000~12000mPa.sの粘度を有するポリビニルアルコールの溶液であるが、代わりに他の生分解性ポリマーを使用してもよいことが理解されよう。
【0100】
次に、ポリビニルアルコール溶液のコーティングを乗せるベルト(18)は、種子分配ステーション(8)に進められ、そこでは、種子が部分的にコーティングに埋め込まれるように、コーティングされたベルト上に堆積される。種子は、通常、所定のパターンでコーティング上に堆積され、したがって、種子分配ステーションは、種子堆積の所望のパターンを提供するための、1つ以上の種子分配ノズルを備えることができる。
【0101】
種子の堆積後、ベルトはオーブン(10)内に移動し、そこでコーティングから水分を除去するために、約40℃~約60℃の範囲の温度にさらされる。オーブンは、コーティングが暖かい空気の流れにさらされるようにファンを備えて、乾燥プロセスを促進することができる。オーブンの温度は、種子へのあらゆる損傷を回避するように、かつコーティングを可能な限り均一に乾燥させて粘着性構造を維持し、空洞及び亀裂の形成を回避するように、正確に選択される。
【0102】
コーティングがまだ粘着性である間に、裏打ち支持体材料がコーティングに適用されて補強層を形成する。裏打ち支持体材料は、裏打ち支持体材料分配ステーション(4)でロールからウェブ(20)として分配される。裏打ち支持体材料は、例えば、紙、又はジュートなどの織布もしくは不織布の天然繊維材料であり得る生分解性材料である。
【0103】
ベルト(18)及び裏打ち支持体材料のウェブ(20)は、オーブン内の積層ステーション(22)に収束する。ここで、ベルト(18)及びウェブ(20)はローラー(図示せず)の周りを通過し、補強層がコーティングにしっかりと接着し、種子を覆うようにベルト(18)とウェブ(20)とを一緒に圧縮する圧力源を、ベルト(18)の張力が提供する。ベルトの張力を使用してコーティングとウェブ20)との接着を補助する圧力源を提供する代わりに、一対のピンチローラーを使用することができるが、使用されるローラーの表面及び圧縮圧力は、コーティングとウェブ(18)との間を強固に接着させるが種子を損傷しないように選択しなければならない。したがって、ローラーは、種子への損傷を最小限に抑えるために、ゴム又は発泡体から形成されてもよい。
【0104】
積層段階の後、積層ウェブ及びベルトは、オーブンのより温かい領域(例えば、空気温度が60℃~85℃の範囲にある)を通過し、そこで最終含水量まで乾燥される。過度に長いオーブンを必要とせずに十分な長さ(例えば、10~30分)の十分な乾燥時間を提供するために、積層ウェブ及びベルトは、一連のローラーによって、オーブン中で巻線に沿って数回前後に誘導されてもよい。
【0105】
積層ウェブ(20)及びベルト(18)がオーブンから出てくるときまでに、コーティングは硬化して、補強層がしっかりと接着している、1.5%~15%(w/w)(より一般的には2%~5%(w/w))の含水量を有する生分解性ポリマー膜を含む積層種子支持体を形成する。積層種子支持体は、十分に高い引張強度及び可撓性を有するので、剥離ライナー剥離ステーション(12)でベルト(18)から取り外され、次いで種子支持体収集ステーション(16)で巻き取られてロールを形成することが可能である。次いで、剥離ライナーの使用済みベルト(18)は、収集ステーション(14)でロール上に巻き付けられ、その後再利用又は直接リサイクルすることができる(図1の点線で概略的に示される)。
【0106】
コーティングの最終含水量までの乾燥はオーブン内で行われるが、コーティングは、オーブンに入る前、及び/又は種子がコーティング上に堆積される前に部分的に乾燥されてもよい。例えば、コーティングは、種子がコーティング上に堆積される前にいくらかの水が除去されるように、周囲温度又は加熱された空気流にさらすことができる。しかしながら、乾燥の程度を、種子がコーティングに埋め込まれ得ないほど大きくすることはできない。
【0107】
別の変形例では、裏打ち支持体材料は省略される。デンプン、PVOH又はPVA、又はそれらの混合物から形成されたものなどの生分解性ポリマーは、十分な引張強度及び可撓性を有するので、裏打ち支持体材料を必要とせずにロールに巻き取ることができる、粘着性自立膜を形成できることが分かった。
【0108】

例1
上に記載され、図1に示されるプロセスを使用して、ポリビニルアルコールから形成された厚さ30μmの生分解性ポリマーフィルムからなり、1平方メートル当たり約20~約40グラムの種子に相当する密度でフェスクグラスの種子を含有する種子支持体を調製することができる。本例の種子支持体は、補強層を有していない。
【0109】
例2
上に記載され、図1に示されるプロセスを使用して、ポリビニルアルコールから形成された厚さ50μmの生分解性ポリマーフィルムからなり、1平方メートル当たり約20~約40グラムの種子に相当する密度でライグラス種子を含有する種子支持体を調製することができる。本例の種子支持体は、補強層を有していない。
【0110】
例3
上に記載され、図1に示されるプロセスを使用して、ポリビニルアルコール90%(w/w)とポリ酢酸ビニル10%(w/w)との混合物から形成された厚さ30μmの生分解性ポリマーフィルムからなり、1平方メートル当たり約20~約40グラムの種子に相当する密度でフェスクグラス種子を含有する種子支持体を調製することができる。本例の種子支持体は、補強層を有していない。
【0111】
例4
上に記載され、図1に示されるプロセスを使用して、ポリビニルアルコール90%(w/w)とポリ酢酸ビニル10%(w/w)との混合物から形成された厚さ50μmの生分解性ポリマーフィルムからなり、1平方メートル当たり約20~約40グラムの種子に相当する密度でライグラス種子を含有する種子支持体を調製することができる。本例の種子支持体は、補強層を有していない。
【0112】
例5
上記のプロセスを使用して、生分解性ポリマーフィルムがデンプン(70重量%)と酢酸ビニルポリマー(30重量%)との混合物から形成される、草の種子を含有する種子支持体を調製することができる。
【0113】
例6
上記のプロセスを使用して、生分解性ポリマーフィルムがデンプン(50重量%)とPVOH(25重量%)とPVA(25重量%)との混合物から形成される、草の種子を含有する種子支持体を調製することができる。
【0114】
例7
上記のプロセスを使用して、生分解性ポリマーフィルムがデンプン(50重量%)とPVA(50重量%)との混合物から形成される、草の種子を含有する種子支持体を調製することができる。
【0115】
例8
上で説明及び例示したプロセスを使用して、生分解性ポリマーフィルム及び種子の種類は上記の例1~7に記載の通りであるが、スパンレースビスコース又は綿又はポリ乳酸繊維の補強層が生分解性ポリマーフィルムに接着されている種子支持体を調製することができる。
【0116】
適切なスパンレースビスコースの例は、Jacob Holm(2015年6月9日の製品仕様-バージョン00)から入手可能であり、これは、約0.6mmの厚さ及び約50g/mの重量を有する微細孔不織布である。
【0117】
例9
例8に記載のように生分解性ポリマーフィルムを補強層に積層する場合の良好な接着を確認するために、実験を行って、生分解性ポリマーフィルムに必要な含水率を決定した。
【0118】
上記の例5に実質的に対応する水性生分解性ポリマー混合物を、35.8%(w/w)の固形分及び64.2%(w/w)の含水量で調製した。水性ポリマー混合物を剥離ライナー上にコーティングして、1.285g/mの初期コーティングを得た。次いで、ポリマー混合物を異なる程度で乾燥させるために、コーティングされた剥離ライナーのサンプルを様々な速度で赤外線加熱オーブンに通した。この最初の乾燥工程の後、サンプルの重量を測定し、部分的に乾燥したポリマーコーティングの重量(g/m)を記録した。次いで、厚さ約0.6mm、重量約50g/mの不織布から形成された補強層に、部分的に乾燥したサンプルを、2つの層を一緒に押圧することによって積層した。次いで、積層生成物を再び赤外線オーブンに通すことによって完全に乾燥させ、その後、完全に乾燥したポリマーコーティングの正味重量を決定した。次いで、各サンプルの不織布と生分解性ポリマーフィルムとの間の接着の強度を、層を手動で剥離する試みによって定性的に試験した。
【0119】
結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0120】
結果は、サンプルをオーブンにゆっくりと通過させると、失われる水分の割合がはるかに大きくなることを示す。したがって、サンプル1及び2について、最初の乾燥工程後の含水率は、それぞれ19.8%及び21.7%であった。これらのサンプルで補強層への積層を試みたところ、完全に乾燥した後の接着度は非常に悪かった。サンプル3(積層段階での含水量45.9%)と補強層との接着は中程度であり、許容接着度を達成するために必要な積層段階での含水率の下限は、少なくとも40%であることを示唆している。
【0121】
積層段階の含水率が51.3%~62.2%であるサンプル4~9は、初期乾燥を行わなかったサンプル10(含水率64.2%)と同様に、すべて良好な接着を示した。
【0122】
しかしながら、水分レベルが高くなると、ポリマー混合物が補強層に浸漬する傾向があり、完全乾燥後に製品が脆くなる。
【0123】
上記の実験結果に基づいて、積層段階でのポリマー混合物コーティング層の含水率は、ポリマー混合物の補強層への浸漬に起因する潜在的な脆性の問題を引き起こさずに層間の良好な接着をもたらすために、40重量%~55重量%の範囲内であるべきと考えられる。
【0124】
同等物
上記で説明され、添付の図に示された実施形態は、本発明の単なる例示であり、限定的な効果を有することを意図するものではない。本発明の基礎となる原理から逸脱することなく、示された特定の実施形態に対して多数の修正及び変更を行うことができることは容易に明らかであろう。そのような修正及び変更はすべて、例えば本明細書の特許請求の範囲によって定義されるように、本出願によって包含されることが意図されている。
【0125】
誤解を避けるために、特許請求の範囲における任意の参照番号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
図1