(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】開閉装置監視システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/05 20060101AFI20240816BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H02H3/05 F
G05B23/02 302R
(21)【出願番号】P 2022128614
(22)【出願日】2022-08-12
【審査請求日】2024-04-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 比呂志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 保則
(72)【発明者】
【氏名】金森 貴之
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-049418(JP,A)
【文献】特開2005-301438(JP,A)
【文献】特開2010-178475(JP,A)
【文献】特開2007-156744(JP,A)
【文献】特開2012-050210(JP,A)
【文献】特開2018-073114(JP,A)
【文献】特開2019-046399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/05
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉器と、前記開閉器の投入あるいは引き外しを行う操作装置と、投入あるいは引き外しが指示された場合に、前記操作装置を制御する制御装置と、を有する複数の開閉装置を監視する開閉装置監視システムであって、
前記複数の開閉装置の前記操作装置は、専用の操作電源に並列に接続されているとともに、前記複数の開閉装置の前記制御装置は、専用の制御電源に並列に接続されており、
監視装置と、記憶装置と、を備え、
前記記憶装置は、異常動作判別情報データベースと、動作履歴データベースと、監視電流情報データベースと、を有し、
前記異常動作判別情報データベースには、開閉装置の投入動作時および引き外し動作時のうちの少なくとも一方の動作時における異常動作を判別するための異常動作判別情報が、開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容に対応して記憶され、
前記動作履歴データベースには、開閉装置の投入動作あるいは引き外し動作に関連する事象が発生した時刻を示す事象発生時刻と、当該開閉装置を示す開閉装置識別情報と、当該投入動作あるいは引き外し動作を示す動作内容と、を含む動作履歴が記憶され、
前記監視電流情報データベースには、監視電流の監視電流値と当該監視電流値を検出した時刻tを含む監視電流情報が記憶され、前記監視電流の監視電流値には、前記操作電源から供給された操作電流Ipの操作電流値Ip(t)および前記制御電源から供給された制御電流Icの制御電流値Ic(t)のうちの少なくとも一方の電流値が含まれ、
前記監視装置は、異常動作判別手段を有し、
前記異常動作判別手段は、
前記監視電流情報データベースに記憶されている監視電流情報に基づいて、監視電流が流れ始めた動作開始時刻tsと、監視電流の流れが停止した動作終了時刻teを判別し、
前記動作履歴データベースに記憶されている動作履歴に基づいて、前記判別した動作開始時刻tsに動作を開始した開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容を判別し、
前記判別した開閉装置識別情報と動作内容に対応する異常動作判別情報を前記異常動作判別情報データベースから読み出し、
前記判別した動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の動作時間Sおよび前記監視電流情報データベースに記憶されている、前記動作時間S内の監視電流値のうちの少なくとも一方と、前記異常動作判別情報データベースから読み出した異常動作判別情報に基づいて、前記判別した開閉装置識別情報で示される開閉装置の異常動作を判別する、
ことを特徴とする開閉装置監視システム。
【請求項2】
開閉器と、前記開閉器の投入あるいは引き外しを行う操作装置と、投入あるいは引き外しが指示された場合に、前記操作装置を制御する制御装置と、を有する複数の開閉装置を監視する開閉装置監視システムであって、
前記複数の開閉装置の前記操作装置は、専用の操作電源に並列に接続されているとともに、前記複数の開閉装置の前記制御装置は、専用の制御電源に並列に接続されており、
監視装置と、記憶装置と、を備え、
前記記憶装置は、異常動作判別情報データベースと、動作履歴データベースと、監視電流情報データベースと、を有し、
前記異常動作判別情報データベースには、開閉装置の投入動作時および引き外し動作時のうちの少なくとも一方の動作時における異常動作を判別するための異常動作判別情報が、開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容に対応して記憶され、
前記動作履歴データベースには、開閉装置の投入動作あるいは引き外し動作に関連する事象が発生した時刻を示す事象発生時刻と、当該開閉装置を示す開閉装置識別情報と、当該投入動作あるいは引き外し動作を示す動作内容と、を含む動作履歴が記憶され、
前記監視電流情報データベースには、監視電流の監視電流値と当該監視電流値を検出した時刻tを含む監視電流情報が記憶され、前記監視電流の監視電流値には、前記操作電源から供給された操作電流Ipの操作電流値Ip(t)および前記制御電源から供給された制御電流Icの制御電流値Ic(t)のうちの少なくとも一方の電流値が含まれ、
前記監視装置は、異常動作判別手段を有し、
前記異常動作判別手段は、
前記動作履歴データベースから読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻に基づいて、前記監視電流情報データベースからの監視電流値の抽出を開始する抽出開始時刻taを決定し、
前記監視電流情報データベースから抽出した監視電流値に基づいて、監視電流が流れ始めた動作開始時刻tsと、監視電流の流れが停止した動作終了時刻teを判別し、
前記読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報と動作内容に対応する異常動作判別情報を前記異常動作判別情報データベースから読み出し、
前記判別した動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の動作時間Sおよび前記監視電流情報データベースに記憶されている、当該動作時間S内の監視電流値のうちの少なくとも一方と、前記異常動作判別情報データベースから読み出した異常動作判別情報に基づいて、前記読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置の異常動作を判別する、
ことを特徴とする開閉装置監視システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の開閉装置監視システムであって、
前記操作電源から供給される操作電流の操作電流値を検出する操作電流値検出装置と、前記制御電源から供給される制御電流の制御電流値を検出する制御電流値検出装置が設けられており、
前記監視装置は、監視電流値処理手段を有し、
前記監視電流値処理手段は、前記操作電流値検出装置で検出された操作電流値および前記制御電流値検出装置で検出された制御電流値のうちの少なくとも一方の電流値と検出した時刻tを含む監視電流情報を前記監視電流情報データベースに記憶させる処理を実行することを特徴とする開閉装置監視システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の開閉装置監視システムであって、
前記監視装置は、動作履歴管理手段を有し、
前記動作履歴管理手段は、前記複数の開閉装置の前記制御装置に投入あるいは引き出しが指示された時刻および前記複数の開閉装置の前記開閉器の投入動作あるいは引き外し動作が行われたことを検出した時刻のうちの一方の時刻を前記事象発生時刻として含む動作履歴を、前記動作履歴データベースに記憶させる処理を実行することを特徴とする開閉装置監視システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の開閉装置監視システムであって、
前記異常動作判別手段は、監視電流値が[0]より大きくなった時刻を前記動作開始時刻tsとして判別し、その後、監視電流値が[0]となった時刻を前記動作終了時刻teとして判別することを特徴とする開閉装置監視システム。
【請求項6】
請求項1または2に記載の開閉装置監視システムであって、
前記異常動作判別手段は、前記動作開始時刻tsと前記動作終了時刻teとの間の動作時間Sと、前記異常動作判別情報に含まれている第1設定時間との比較結果に基づいて、前記開閉装置の異常動作を判別することを特徴とする開閉装置監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の開閉装置監視システムであって、
前記異常動作判別手段は、さらに、前記動作時間Sのうち、前記動作開始時刻tsから除外時間を除いた期間における監視電流値と前記異常動作判別情報に含まれている設定電流値との比較結果に基づいて、前記開閉装置の異常動作を判別することを特徴とする開閉装置監視システム。
【請求項8】
請求項6に記載の開閉装置監視システムであって、
前記第1設定時間は、周囲温度に応じて変更されることを特徴とする開閉装置監視システム。
【請求項9】
請求項1または2に記載の開閉装置監視システムであって、
前記異常動作判別手段は、監視電流値が減少を開始する変曲点から設定傾斜角度で引いた線上の、監視電流値が[0]となる基準時刻hと前記動作終了時刻teの間の遅れ時間Nと、前記異常動作判別情報に含まれている第2設定時間との比較結果に基づいて、前記開閉装置の異常動作を判別することを特徴とする開閉装置監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変電所等に設けられている開閉装置を監視する開閉装置監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
変電所等に設けられている、遮断器や断路器等の、回線を接続あるいは切り離す複数の開閉装置を監視する開閉装置監視システム(開閉装置監視装置)が知られている。開閉装置監視システムは、例えば、特許文献1(特開2010-178475号公報)に開示されている。
特許文献1に開示されている開閉装置監視システムは、操作電流波形検出装置と制御電流波形検出装置を有している。操作電流波形検出装置は、各開閉装置を構成する操作装置に接続された操作電源から供給される操作電流の波形を検出する。制御電流波形検出装置は、各開閉装置を構成する制御装置に接続された制御電源から供給される制御電流の波形を検出する。そして、操作電流の波形あるいは制御電流の波形と、定常電流、各開閉装置の動作時間および動作内容等に基づいて、各開閉装置が異常であるか否かを判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている開閉装置監視システムは、各開閉装置の操作装置に接続されている操作電源から供給される操作電流の波形を検出する操作電流波形検出装置と、各開閉装置の制御装置に接続されている制御電源から供給される制御電流の波形を検出する制御電流波形検出装置を設けている、これにより、操作電流波形検出装置および制御電流波形検出装置を各操作装置および各制御装置に設ける必要がないため、開閉装置監視システムを安価に構成することができる。
しかしながら、特許文献1に開示されている開閉装置監視システムは、操作電流波形あるいは制御電流波形から定常電流を差し引くために、定常電流を判別する必要がある。定常電流は変化するため、定常電流を判別する処理は処理負担が大きい。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、安価に構成しながら、少ない処理負担で開閉装置の動作異常を判別することができる開閉装置監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開閉装置監視システムを用いて監視する複数の開閉装置は、開閉器と、操作装置と、制御装置と、を有している。操作装置は、開閉器の投入あるいは引き外しを行う。制御装置は、投入あるいは引き外しが指示された場合に、操作装置を制御する。
複数の開閉装置の操作装置は、専用の操作電源に並列に接続されている。また、複数の開閉装置の制御装置は、専用の制御電源に並列に接続されている。
第1発明の開閉装置監視システムは、監視装置と記憶装置を備えている。
記憶装置は、異常動作判別情報データベース、動作履歴データベース、監視電流情報データベースを有している。
監視装置は、異常動作判別手段を有している。
記憶装置は、異常動作判別情報データベース、動作履歴データベース、監視電流情報データベースを有している。
異常動作判別情報データベースには、開閉装置の投入動作時および引き外し動作時のうちの少なくとも一方の動作時における異常動作を判別するための異常動作判別情報が、開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容に対応して記憶される。
動作履歴データベースには、開閉装置の投入動作あるいは引き外し動作に関連する事象が発生した時刻を示す事象発生時刻と、当該開閉装置を示す開閉装置識別情報と、当該投入動作あるいは引き外し動作を示す動作内容と、を含む動作履歴が記憶される。
監視電流情報データベースには、監視電流の監視電流値と当該監視電流値を検出した時刻tを含む監視電流情報が記憶される。監視電流には、操作電源から供給される操作電流Ipおよび制御電源から供給される制御電流Icのうちの少なくとも一方の電流が含まれる。監視電流の監視電流値には、操作電流Ipの操作電流値Ip(t)および制御電流Icの制御電流値Ic(t)のうちの少なくとも一方が含まれる。
監視装置は、異常動作判別手段を有している。
異常動作判別手段は、以下の処理を実行する。
監視電流情報データベースに記憶されている監視電流情報に基づいて、監視電流が流れ始めた動作開始時刻tsと、監視電流の流れが停止した動作終了時刻teを判別する。
動作履歴データベースに記憶されている動作履歴に基づいて、判別した動作開始時刻tsに動作を開始した開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容を判別する。
判別した開閉装置識別情報と動作内容に対応する異常動作判別情報を、異常動作判別情報データベースから読み出す。
判別した動作終了時刻teと動作開始時刻tsの間の動作時間S(=te-ts)および動作時間S内の監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]のうちの少なくとも一方と、異常動作判別情報データベースから読み出した異常動作判別情報に基づいて、判別した開閉装置識別情報で示される開閉装置の異常動作を判別する。
本発明では、各開閉装置の操作装置が、専用の操作電源に並列に接続されているとともに、各開閉装置の制御装置が、専用の制御電源に並列に接続されている。これにより、特許文献1に開示されている、定常電流を判別する処理を必要とすることなく、操作電源から供給された操作電流の操作電流値あるいは制御電源から供給された制御電流の制御電流値に基づいて、操作電流あるいは制御電流が流れ始めた動作開始時刻tsと操作電流あるいは制御電流の流れが停止した動作終了時刻teを判別することができる。
第1発明の開閉装置監視システムを用いることにより、安価に構成しながら、少ない処理負担で、開閉装置の異常動作を判別することができる。
第2発明の開閉装置監視システムは、監視装置と記憶装置を備えている。
記憶装置は、第1発明の記憶装置と同様の、異常動作判別情報データベース、動作履歴データベース、監視電流情報データベースを有している。
監視装置は、異常動作判別手段を有している。
異常動作判別手段は、以下の処理を実行する。
動作履歴データベースから読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻に基づいて、監視電流情報データベースからの監視電流値の抽出を開始する抽出開始時刻taを決定する。
監視電流情報データベースから抽出した監視電流値に基づいて、監視電流が流れ始めた動作開始時刻tsと、監視電流の流れが停止した動作終了時刻teを判別する。
読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報と動作内容に対応する異常動作判別情報を、異常動作判別情報データベースから読み出す。
判別した動作終了時刻teと動作開始時刻tsの間の動作時間S(=te-ts)および動作時間S内の監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]のうちの少なくとも一方と、異常動作判別情報データベースから読み出した異常動作判別情報に基づいて、読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置の異常動作を判別する。
第2発明の開閉装置監視システムを用いることにより、第1発明の開閉装置監視システムと同様に、安価に構成しながら、少ない処理負担で開閉装置の異常動作を判別することができる。
第1発明および第2発明の異なる形態では、操作電源から供給される操作電流の操作電流値[Ip(t)]を検出する操作電流値検出装置と、制御電源から供給される制御電流の制御電流値[Ic(t)]を検出する制御電流値検出装置が設けられている。
そして、監視装置は、監視電流値処理手段を有している。
監視電流値処理手段は、操作電流値検出装置で検出された操作電流値[Ip(t)]および制御電流値検出装置で検出された制御電流値[Ic(t)]のうちの少なくとも一方の電流値と、検出した時刻tと、を含む監視電流情報を監視電流情報データベースに記憶させる処理を実行する。
本形態では、監視電流情報データベースを容易に作成することができる。
第1発明および第2発明の異なる形態では、監視装置は、動作履歴管理手段を有している。
動作履歴管理手段は、複数の開閉装置の制御装置に投入あるいは引き出しが指示された時刻および複数の開閉装置の開閉器の投入動作あるいは引き外し動作が行われたことを検出した時刻のうちの一方の時刻を事象発生時刻として含む動作履歴を、動作履歴データベースに記憶させる処理を実行する。
本形態では、動作履歴データベースを容易に作成することができる。
第1発明および第2発明の異なる形態では、異常動作判別手段は、監視電流値が[0]([略0]を含む)より大きくなった時刻を動作開始時刻tsとして判別する。また、異常動作判別手段は、動作開始時刻ts後に、監視電流値が[0]([略0]を含む)となった時刻を動作終了時刻teとして判別する。
本形態では、動作開始時刻tsおよび動作終了時刻teを容易に判別することができる。
第1発明および第2発明の異なる形態では、異常動作判別手段は、動作開始時刻tsと動作終了時刻teとの間の動作時間S(=te-ts)と、異常動作判別情報に含まれている第1設定時間との比較結果に基づいて、開閉装置の異常動作を判別する。例えば、動作時間Sが第1設定時間を超えた場合に、開閉装置が異常であることを判別する。
本形態では、動作時間に基づいて開閉装置の異常を判別することができる。
第1発明および第2発明の異なる形態では、異常動作判別手段は、動作時間Sと第1設定時間との比較結果と、動作時間Sのうち、動作開始時刻tsから除外時間を除いた期間における監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]と、異常動作判別情報に含まれている設定電流値との比較結果に基づいて、開閉装置の異常動作を判別する。例えば、動作時間Sが第1設定時間を超えた場合あるいは監視電流値が設定電流値を超えた場合に、開閉装置が異常であることを判別する。除外時間としては、例えば、動作開始時に突入電流が流れる期間が設定される。
本形態では、動作時間および監視電流値に基づいて開閉装置の異常を判別することができる。
第1発明および第2発明の異なる形態では、第1設定時間は、周囲温度に応じて変更される。
本形態では、開閉装置の異常を、周囲温度に応じて適切に判別することができる。
第1発明および第2発明の異なる形態では、異常動作判別手段は、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が減少を開始する変曲点から設定傾斜角度で線を引き、線上の、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が[0]([略0]を含む)となる基準時刻hを判別する。そして、基準時刻hに対する動作終了時刻teの遅れ時間N(=te-h)と、異常動作判別情報に含まれている第2設定時間との比較結果に基づいて、開閉装置の異常動作を判別する。例えば、遅れ時間Nが第2設定時間を超えた場合に、開閉装置が異常であることを判別する。
本形態では、第1相~第3相開閉装置により構成される開閉装置の異常動作(三相不揃い)を簡単に判別することができる。
【発明の効果】
【0006】
第1発明あるいは第2発明の開閉装置監視システムを用いることにより、安価に構成しながら、少ない処理負担で開閉装置の異常を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の開閉装置監視システムの概略構成を示す図である。
【
図2】開閉装置を構成する制御装置と操作装置の一例の概略構成を示す図である。
【
図3】異常動作判別情報データベースの一例を示す図である。
【
図4】動作履歴データベース、制御電流情報データベース、操作電流情報データベースの一例を示す図である。
【
図5】投入動作時における制御電流値に基づいて開閉装置の異常動作を判別する方法の一例を示す図である。
【
図6】引き外し動作時における制御電流値に基づいて開閉装置の異常動作を判別する方法の一例を説明する図である。
【
図7】投入動作時における操作電流値に基づいて開閉装置の異常動作を判別する方法の一例を説明する図である。
【
図8】投入動作時における操作電流値に基づいて開閉装置の異常動作を判別する方法の一例を説明する図である。
【
図9】第1相~第3相開閉装置を有する開閉装置を構成する制御装置の概略構成を示す図である。
【
図10】第1相~第3相開閉装置の動作時間が相違する場合における、第1相~第3相開閉装置の制御装置を流れる制御電流の制御電流値の変化状態の一例を示す図である。
【
図11】第1相~第3相開閉装置の動作時間が相違する場合における、制御電流値Ic(t)の変化状態の一例を示す図である。
【
図12】制御電流値Ic(t)の変化状態に基づいて、第1相~第3相開閉装置の動作不揃い(三相不揃い)を判別する方法の一例を説明する図である。
【
図13】異常状態を判別するための設定時間が、周囲温度に応じて変化する状態の一例を示す図である。
【
図14】監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]の変化状態に基づいて開閉装置の異常動作を判別する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図15】
図14に示されているステップA1の処理(動作開始時刻tsと動作終了時刻teの判別処理)の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図14に示されているステップA4の処理(異常動作判別処理)の一例を示すフローチャートである。
【
図17】監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]の変化状態に基づいて開閉装置の異常動作を判別する方法の異なる実施形態を示すフローチャートである。
【
図18】
図17に示されているステップF3の処理(動作開始時刻tsと動作終了時刻teの判別処理)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の開閉装置監視システム(開閉装置監視装置)の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に、一実施形態の開閉装置監視システム100の概略構成が示されている。
【0009】
先ず、開閉装置10の概略構成を説明する。
開閉装置10は、開閉器20、操作装置30、制御装置40を有している。
開閉器20は、回線を接続および遮断する機能を備えており、遮断器や断路器等が含まれる。開閉器20は、例えば、固定接点と、可動接点と、駆動機構を有する。駆動機構は、可動接点を固定接点に接触させ(「投入」あるいは「閉極」と呼ばれる)、あるいは、可動接点を固定接点から引き離す(「引き外し」あるいは「開極」と呼ばれる)。駆動機構としては、公知の種々の駆動機構が用いられる。
操作装置30は、開閉器20を操作する。例えば、可動接点が固定接点に接触するように駆動機構を操作し、あるいは、可動接点が固定接点から引き離されるように駆動機構を操作する。操作装置30としては、公知の操作装置が用いられる。例えば、油圧を利用して駆動機構を操作する操作装置、電動機の駆動力を利用して駆動機構を操作する操作装置、ばねの蓄勢力を利用して駆動機構を操作する操作装置、電磁コイルの電磁力を利用して駆動機構を操作する操作装置等が用いられる。
制御装置40は、操作装置30を制御する。例えば、制御装置40は、投入が指示されると、開閉器20の可動接点が固定接点に接触するように操作装置30を制御する。あるいは、引き外しが指示されると、開閉器20の可動接点が固定接点から引き離されるように操作装置30を制御する。開閉装置10の投入は、遠方監視制御装置60(後述する)から指示され、あるいは、操作員の手動操作によって指示される。また、開閉装置10の引き外しは、遠方監視制御装置60から指示され、あるいは、操作員の手動操作によって指示され、あるいは、過電流や過電圧等の異常が発生した時に動作する継電連動装置(図示省略)から指示される。
【0010】
本実施形態の開閉装置監視システム100は、開閉装置グループを構成しているn個の複数の開閉装置10(1)~10(n)を監視する。なお、開閉装置グループを構成する開閉装置の数nは適宜設定可能である。また、例えば、変電所等に設けられている複数の開閉装置10を1つの開閉装置グループにまとめてもよく、複数の開閉装置グループに分けることもできる。
開閉装置10(1)~10(n)は、開閉器20(1)~20(n)、操作装置30(1)~30(n)、制御装置40(1)~40(n)を有している。
【0011】
開閉装置10(1)の一例が、
図2に示されている。なお、
図2には、開閉装置10(1)を構成する操作装置30(1)と制御装置40(1)のみが示されている。
制御装置40(1)は、投入コイル41、投入スイッチ42、43、引き外しコイル44、引き外しスイッチ45、46、47、リミットスイッチ48を有している。
リミットスイッチ48は、開閉器20(1)の可動接点の位置を検出する位置検出スイッチであり、接点48aと48bを有している。リミットスイッチ48は、開閉器20(1)の可動接点が固定接点から引き離されている状態(引き外し状態)において、接点48bが閉じ、接点48aが開く。また、リミットスイッチ48は、開閉器20(1)の可動接点が固定接点に接触している状態(投入状態)において、接点48bが開き、接点48aが閉じる。
リミットスイッチ48の接点48bが閉じている状態において、投入スイッチ42あるいは43が閉じられると、投入コイル41が励磁される。投入スイッチ42は、遠方監視制御装置60から投入動作が指示された場合に閉じる。投入スイッチ43は、作業員等が手動で操作することによって閉じる。
投入コイル41が励磁されると、補助接点41aが閉じ、投入スイッチ42、43を迂回する自己保持回路が形成される。また、投入コイル41が励磁されると、操作装置30(1)に設けられている補助接点32Aと32Bが閉じる。
リミットスイッチ48の接点48aが閉じている状態において、引き外しスイッチ45、46あるいは47が閉じられると、引き外しコイル44が励磁される。引き外しスイッチ45は、遠方監視制御装置60から引き外しが指示された場合に閉じる。引き外しスイッチ46は、作業員等が手動で操作することによって閉じる。引き外しスイッチ47は、保護継電装置から引き外しが指示された場合に閉じる。
引き外しコイル44が励磁されると、補助接点44aが閉じ、引き外しスイッチ45、46、47を迂回する自己保持回路が形成される。また、引き外しコイル44が励磁されると、操作装置30(1)に設けられている補助接点33Aと33Bが閉じる。
【0012】
操作装置30(1)は、電動機31、補助接点32A、32B、33A、33Bを有している。
制御装置40(1)の投入コイル41が励磁されると、補助接点32Aと32Bが閉じて、電動機31に補助接点32A側から補助接点32B側に電流が流れる。この時、電動機31は、第1回転方向に回転する。これにより、開閉器20(1)の駆動機構が駆動され、開閉器20(1)の可動接点が固定接点に接触する。開閉器20(1)の可動接点が固定接点に接触すると(投入が完了すると)、リミットスイッチ48が動作し、接点48bが開くとともに、接点48aが閉じる。これにより、投入コイル41の励磁が解除され、補助接点32Aと32Bが開くことによって電動機31への電流の供給が停止される。なお、この時、開閉器20(1)は、可動接点が固定接点に接触した状態に保持される。
一方、制御装置40(1)の引き外しコイル44が励磁されると、補助接点33Aと33Bが閉じて、電動機31に補助接点33A側から補助接点33B側に電流が流れる。この時、電動機31は、第1回転方向と逆方向の第2回転方向に回転する。これにより、開閉器20(1)の駆動機構が駆動され、開閉器20(1)の可動接点が固定接点から引き外される。開閉器20(1)の可動接点が固定接点から引き外されると(引き外しが完了すると)、リミットスイッチ48が動作し、接点48aが開くとともに、接点48bが閉じる。これにより、引き外しコイル44の励磁が解除され、補助接点33Aと33Bが開くことによって電動機31への電流の供給が停止される。なお、この時、開閉器20(1)は、可動接点が固定接点から引き外された状態に保持される。
操作装置30の構成は、
図2に示されている構成に限定されず、開閉器20の、可動接点を駆動する駆動機構に応じて変更される。制御装置40の構成も、操作装置30の構成に応じて変更される。
【0013】
開閉装置グループを構成する開閉装置10(1)~10(n)の操作装置30(1)~30(n)および制御装置40(1)~40(n)に電流を供給する電源装置50が設けられている。
電源装置50は、操作電流Ipのみを供給する操作電源51と、制御電流Icのみを供給する制御電源52と、他の設備に電流を供給する設備電源53を有している。操作電源51は、操作電流Ipを供給する専用の電源として構成され、制御電源52は、制御電流Icのみを供給する専用の電源として構成されている。操作電源51と制御電源52は、単独の電源であってもよいし、他の電源から分岐した電源であってもよい。
操作装置30(1)~30(n)は、操作電源51に並列に接続されている。すなわち、操作装置30(1)~30(n)には、専用の操作電源51から、操作電流Ip(1)~Ip(n)が供給される。
制御装置40(1)~40(n)は、制御電源52に並列に接続されている。すなわち、制御装置40(1)~40(n)には、専用の制御電源52から、制御電流Ic(1)~Ic(n)が供給される。
【0014】
また、操作電流値検出装置121と制御電流値検出装置122が設けられている。
操作電流値検出装置121は、操作電源51から供給される操作電流Ipの、各時点tにおける操作電流値Ip(t)を検出する。すなわち、操作電流値検出装置121は、操作装置30(1)~30(n)のいずれかに操作電流Ip1~Ipnが流れた場合に、操作電流値Ip(t)を検出する。
制御電流値検出装置122は、制御電源52から供給される制御電流Icの、各時点tにおける制御電流値Ic(t)を検出する。すなわち、制御電流値検出装置122は、制御装置40(1)~40(n)のいずれかに制御電流Ic1~Icnが流れた場合に、制御電流値Ic(t)を検出する。
操作電流値検出装置121および制御電流値検出装置122としては、公知の種々の構成の電流値検出装置を用いることができる。
【0015】
遠方監視制御装置60は、開閉装置10(1)~10(n)が設けられている変電所等から離れた位置に設置されている遠方監視制御所等に設けられる。
遠方監視制御装置60は、遠方監視制御所の操作員の操作によってまたは予め定められた時刻に、開閉装置10(1)~10(n)の制御装置40(1)~40(n)に投入あるいは引き外しを指示する。
なお、開閉装置10(1)~10(n)の動作(投入動作、引き外し動作)が重ならないように、各開閉装置10(1)~10(n)に投入あるいは引き外しが指示される。
また、遠方監視制御装置60は、開閉装置10(1)~10(n)の開閉器20(1)~20(n)の投入動作あるいは引き外し動作が行われたことを監視する。例えば、遠方監視制御装置60は、開閉器20(1)~20(n)の可動接点の位置を検出するリミットスイッチ48(1)~48(n)から出力される(送信される)信号(位置検出信号)が入力される(受信する)ことによって、開閉器20(1)~20(n)の投入動作あるいは引き外し動作が行われたことを検出する。
遠方監視制御装置60は、開閉器20(1)~20(n)の投入動作あるいは引き外し動作に関連する事象が発生した時刻を示す事象発生時刻、事象が発生した開閉装置を示す開閉装置識別情報、投入動作あるいは引き外し動作を示す動作内容を、後述する、監視装置110の動作履歴管理手段112に出力(送信)する。
【0016】
「開閉装置の投入動作あるいは引き外し動作に関連する事象」は、開閉装置10(1)~10(n)の動作(投入動作、引き外し動作)に関連して発生するイベント(出来事)を意味する。
「開閉装置の動作(投入動作あるいは引き外し動作)に関連する事象」としては、例えば、以下の事象を用いることができる。
遠方監視制御装置60が、開閉装置10(1)~10(n)の制御装置40(1)~40(n)に動作(投入動作、引き外し動作)を指示したことを「事象」として用いることできる。例えば、遠方監視制御装置60から制御装置40(1)~40(n)に投入信号あるいは引き外し信号を出力(送信)したことを「事象」として用いる。この場合、動作(投入動作、引き外し動作)を指示した時刻tx、動作(投入動作、引き外し動作)が指示された開閉装置10(1)~10(n)を示す開閉装置識別情報および指示した動作(投入動作、引き外し動作)を示す動作内容が、それぞれ事象発生時刻、開閉装置識別情報および動作内容に対応する。
ここで、「遠方監視制御装置60から制御装置40(1)~40(n)に投入信号あるいは引き外し信号を出力(送信)した事象」には、「制御装置40(1)~40(n)が、遠方監視制御装置60から出力(送信)された投入信号あるいは引き外し信号が入力(受信)された事象」が含まれる。
【0017】
また、遠方監視制御装置60が、開閉装置10(1)~10(n)の開閉器20(1)~20(n)の動作(投入動作、引き外し動作)を検出したことを「事象」として用いることができる。例えば、遠方監視制御装置60が、開閉器20(1)~20(n)の可動接点の位置(例えば、可動接点が固定接点に接触した位置、可動接点が固定接点から引き離された位置)を検出するリミットスイッチから出力(送信)される位置検出信号が入力(受信)されたことを「事象」として用いる。この場合、リミットスイッチから出力(送信)された位置検出信号が遠方監視制御装置60に入力(受信)された時刻ty、リミットスイッチが設けられている開閉器20(1)~20(n)を有する開閉装置10(1)~10(n)を示す開閉装置識別情報およびリミットスイッチからの位置検出信号の内容が、それぞれ事象発生時刻、開閉装置識別情報および動作内容に対応する。
ここで、「リミットスイッチから出力(送信)された位置検出信号が遠方監視制御装置60に入力(受信)された事象」には、「リミットスイッチから遠方監視制御装置60に位置検出信号が出力(送信)された事象」が含まれる。
また、後述する動作履歴管理手段112が、開閉装置10(1)~10(n)の開閉器20(1)~20(n)の動作(投入動作、引き外し動作)を検出したことを「事象」として用いることができる。例えば、動作履歴管理手段112が、開閉器20(1)~20(n)の可動接点の位置を検出するリミットスイッチから出力(送信)される位置検出信号が入力(受信)されたことを検出したことを「事象」として用いる。この場合、リミットスイッチから出力(送信)された位置検出信号が入力(受信)されたことを動作履歴管理手段112が検出した時刻ty、リミットスイッチが設けられている開閉器20(1)~20(n)を有する開閉装置10(1)~10(n)を示す開閉装置識別情報およびリミットスイッチからの位置検出信号の内容が、それぞれ事象発生時刻、開閉装置識別情報および動作内容に対応する。
ここで、「リミットスイッチから出力(送信)された位置検出信号が入力(受信)されたことを動作履歴管理手段112が検出する事象」には、「リミットスイッチから動作履歴管理手段112(監視装置110)に位置検出信号が出力(送信)された事象」が含まれる。
【0018】
次に、本実施形態の開閉装置監視システム100の構成を説明する。
開閉装置監視システム100は、監視装置110、監視電流値検出装置120、記憶装置130、表示装置140、入力装置150を有している。
本実施形態では、監視電流値として、操作電流値Ipと制御電流Icのうちの少なくとも一方が用いられる。このため、監視電流値検出装置120は、操作電流値検出装置121と制御電流値検出装置122を有している。
【0019】
監視装置110は、CPU等の処理装置により構成され、監視電流値処理手段111、動作履歴管理手段112、異常動作判別手段113を有している。
監視電流値処理手段111は、監視電流値検出装置120で検出された、各時刻tにおける監視電流値と検出した時刻tを含む監視電流を、記憶装置130の監視電流情報データベース133に記憶する処理を実行する。
具体的には、操作電流値検出装置121で検出された、各時刻tにおける操作電流値Ip(t)と検出した時刻tを含む操作電流情報を、記憶装置130の監視電流情報データベース133を構成する操作電流情報データベース134に記憶する処理を実行する。また、制御電流値検出装置122で検出された、各時刻tにおける制御電流値Ic(t)と検出した時刻tを含む制御電流情報を、記憶装置130の監視電流情報データベース133を構成する制御電流情報データベース135に記憶する処理を実行する。時刻(t)としては、例えば、操作電流値Ip(t)や制御電流値Ic(t)を所定時間間隔(サンプリング周期)で読み取る(入力する)場合には、所定時間間隔毎の時刻が用いられる。
動作履歴管理手段112は、事象発生時刻、開閉装置識別情報および動作内容を含む動作履歴を、記憶装置130の動作履歴データベース132に記憶する処理を実行する。事象発生時刻としては、例えば、遠方監視制御装置60から制御装置40(1)~40(n)に投入あるいは引き外しが指示された時刻txが用いられる。また、事象発生時刻としては、開閉器20(1)~20(n)が動作したことを遠方監視制御装置60が検出した時刻tyあるいは開閉器20(1)~20(n)が動作したことを動作履歴管理手段112が検出した時刻tyが用いられる。
遠方監視制御装置60から制御装置30(1)~30(n)に投入あるいは引き外しが指示された時刻txあるいは開閉器20(1)~20(n)が動作したことを遠方監視制御装置60が検出した時刻tyと、開閉装置識別情報および動作内容は、例えば、遠方監視制御装置60から入力される。また、開閉器20(1)~20(n)が動作したことを動作履歴管理手段112が検出した時刻tyと、開閉装置識別情報および動作内容は、例えば、開閉器20(1)~20(n)の可動接点の位置を検出するリミットスイッチから出力(送信)された位置検出信号が入力(受信)されたことを動作履歴管理手段112が検出することによって判別する。
異常動作判別手段113は、詳しくは後述するが、異常動作判別情報データベース131に記憶されている異常動作判別情報、動作履歴データベース132に記憶されている動作履歴、監視電流情報データベース133に記憶されている監視電流値(操作電流情報データベース134に記憶されている操作電流値、制御電流情報データベース135に記憶されている制御電流値)に基づいて、開閉装置10(1)~10(n)の異常動作を判別する処理を実行する。
【0020】
監視電流値処理手段111、動作履歴管理手段112および異常動作判別手段113は、同じ処理装置により構成してもよいし、異なる処理装置により構成してもよい。
また、監視電流値処理手段111、動作履歴管理手段112および異常動作判別手段113を異なる処理装置で構成する場合、近くに配置してもよいし、離れた箇所に配置してもよい。本実施形態では、監視電流値処理手段111は、変電所等に配置されている処理装置により構成され、動作履歴管理手段112と異常動作判別手段113は、遠方監視制御所等に配置されている処理装置により構成されている。
動作履歴管理手段112による動作履歴管理処理は、監視電流値処理手段111あるいは異常動作判別手段113により実行するように構成することもできる。
なお、予め用意された動作履歴データベース132および監視電流情報データベース133(操作電流情報データベース134、制御電流情報データベース)を用いる場合には、操作電流値検出装置121、制御電流値検出装置122、監視電流値処理手段111、動作履歴管理手段112を省略することができる。
【0021】
記憶装置130は、公知の記憶装置により構成され、異常動作判別情報データベース131、動作履歴データベース132、監視電流情報データベース133を有している。
異常動作判別情報データベース131には、開閉装置10(1)~10(n)の投入動作時あるいは引き外し動作時における監視電流値情報に基づいて、開閉装置10(1)~10(n)の異常動作を判別するための異常動作判別情報が記憶される。監視電流情報は、時刻tにおける監視電流値と検出した時刻tを含んでいる。本実施形態では、時刻tにおける監視電流値として、時刻tにおける制御電流値Ic(t)および操作電流値Ip(t)のうちの少なくとも一方が用いられている。
異常動作判別情報データベース141の一例が、
図3に示されている。
図3に示されている異常動作判別情報データベースには、開閉装置を示す開閉装置識別情報、動作内容(投入動作、引き外し動作)、異常動作を判別する電流種別(制御電流、操作電流)、異常動作判別情報が記憶されている。すなわち、投入動作時あるいは引き外し動作時における制御電流値Ic(t)あるいは操作電流値Ip(t)に基づいて異常動作を判別するための異常動作判別情報が、開閉装置識別情報および動作内容に対応させて記憶される。
なお、異常動作判別情報データベース131に、制御電流値Ic(t)に対する異常動作判別情報および操作電流値Ip(t)に対する異常動作判別情報の両方を記憶させる必要はなく、一方のみでもよい。また、制御電流値Ic(t)や操作電流値Ip(t)により開閉装置の異常動作を判別するのが困難な場合には、制御電流値Ic(t)や操作電流値Ip(t)に対する異常動作判別情報は省略される。
【0022】
動作履歴データベース132には、開閉装置10(1)~10(n)の投入動作あるいは引き外し動作に関連する事象が発生した時刻を示す事象発生時刻(tx、ty)、開閉装置を示す開閉装置識別情報および動作内容を含む動作履歴が記憶される。動作履歴データベース132の一例が、
図4に示されている。
監視電流情報データベース133には、時刻tにおける監視電流値と時刻tを含む監視電流情報が記憶される。本実施形態では、監視電流として、操作電流Ipと制御電流Icのうちの少なくとも一方の電流が用いられている。すなわち、監視電流情報データベース133は、操作電流情報データベース134と制御電流情報データベース135を有している。
操作電流情報データベース134には、操作電流値検出装置121で検出された、時刻tにおける操作電流値Ip(t)と時刻tを含む操作電流情報が記憶される。
制御電流情報データベース135には、制御電流値検出装置122で検出された、時刻tにおける制御電流値Ic(t)と時刻tを含む制御電流情報が記憶される。
操作電流情報データベース134と制御電流情報データベース135の一例が、
図4に示されている。
【0023】
表示装置140としては、公知の種々の構成の表示装置を用いることができる。表示装置140には、監視装置110の異常動作判別手段113で実行した異常動作判別処理の結果等を表示可能である。なお、異常動作判別処理の結果等を出力する出力装置としては、印刷装置等を用いることもできる。
入力装置150としては、公知の種々の構成の入力装置を用いることができる。入力装置150を介して、種々の情報を入力することが可能である。
【0024】
監視装置110、記憶装置130、表示装置140、入力装置150は、近接して配置することもできるし、離れた場所に配置することもできる。
例えば、パソコン等の処理装置を、監視装置110の異常動作判別手段113の処理機能を実行可能に構成する。そして、パソコンを、通信回線を介して記憶装置130に接続することにより、あるいは、記憶装置130に記憶されている情報が書き込まれたUSBメモリ等をパソコンに接続することにより、開閉装置10(1)~10(n)の異常判別処理を実行することもできる。
【0025】
次に、開閉装置10(1)~10(n)の異常動作を判別する方法の実施例を説明する。
先ず、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]に基づいて、開閉装置10(1)~10(n)の動作時間を判別する方法を説明する。
前述したように、操作電源51は、開閉装置10(1)~10(n)の操作装置30(1)~30(n)に操作電流Ip(1)~Ip(n)のみを供給する専用の電源装置として設けられている。
このため、操作装置30(1)~30(n)が動作していない(投入あるいは引き外しが指示されていない)場合には、操作電源51から操作電流Ipが供給されない。すなわち、操作電流値Ip(t)は、[0]である。
一方、操作装置30(1)~30(n)のうちのいずれか一つが動作する場合には、当該操作装置が動作を開始してから終了するまでの間、操作電源51から当該操作装置に操作電流が供給される。すなわち、当該操作装置の動作時間Sの間、操作電流値Ip(t)は、[0]より大きくなる。
このため、操作電流値Ip(t)が[0]より大きくなった時刻tsと、その後、[0]となった時刻teを判別することによって、操作電流値Ip(t)が[0]より大きい時間、すなわち、動作時間S(S=te-ts)を判別することができる。
この場合、操作電流値Ip(t)が[0]より大きい時間(動作時間)Sと、操作装置(操作装置を有する開閉装置)および動作内等との対応関係を判別する必要がある。
【0026】
また、制御電源52は、開閉装置10(1)~10(n)の制御装置40(1)~40(n)に制御電流Ic(1)~Ic(n)のみを供給する専用の電源装置として設けられている。
このため、前述した、操作電流値Ip(t)に基づいて開閉装置10(1)~10(n)の動作時間Sを判別する方法と同様の方法を用いて、制御電流値Ic(t)に基づいて開閉装置10(1)~10(n)の動作時間Sを判別することができる。
すなわち、制御電流値Ic(t)が[0]より大きくなった時刻tsと、その後、[0]となった時刻teを判別することによって、制御電流値Ic(t)が[0]より大きい時間を動作時間S(S=te-ts)として判別することができる。
この場合も、制御電流値Ic(t)が[0]より大きい時間(動作時間)Sと、制御装置(制御装置を有する開閉装置)および動作内容との対応関係を判別する必要がある。
【0027】
監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]に基づいて判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係は、動作履歴に基づいて判別することができる。
監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]に基づいて判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を動作履歴に基づいて判別する方法として、第1の判別方法と第2の判別方法を用いることができる。
第1の判別方法では、監視電流情報データベース133から監視電流値[Ip(t)、Ic(t)]を読み出す。そして、読み出した監視電流値[Ip(t)、Ic(t)]が[0]より大きくなった時刻(動作開始時刻ts)と、その後に[0]となった時刻(動作終了時刻te]を判別する。さらに、動作履歴データベースに記憶されている動作履歴の中から、判別した動作開始時刻tsと動作終了時刻teに近い事象発生時刻(tx、ty)を含む動作履歴を判別(選択)する。この場合、判別した動作時間S(=te-ts)と開閉装置および動作内容との対応関係は、判別(選択)した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報および動作内容に基づいて判別することができる。
第2の判別方法では、動作履歴データベース132から動作履歴を読み出す。そして、読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻(tx、ty)に基づいて、監視電流情報データベース133からの、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]の抽出を開始する抽出開始時刻taを決定する。さらに、抽出開始時刻taから抽出した監視電流値[Ip(t)、Ic(t)]が[0]より大きくなった時刻(動作開始時刻ts)と、その後に[0]となった時刻(動作終了時刻te)を判別する。この場合、判別した動作時間S(=te-ts)と開閉装置および動作内容との対応関係は、読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報と動作内容に基づいて判別することができる。
【0028】
第1の判別方法を、
図5を参照して具体的に説明する。
図5は、開閉装置10(1)の投入動作時における異常動作を、制御電流値Ic(t)に基づいて判別する方法の一例を示したものである。開閉装置10(1)の投入動作時における制御電流値Ic(t)に対応する異常動作判別情報は、
図3に示されている。
異常動作判別手段113は、以下の処理を実行する。
制御電流情報データベース135から、制御電流値Ic(t)を順次抽出する。
抽出した制御電流値Ic(t)が閾値I0を超えた時刻を初期時刻tiとする。閾値I0は、[0]より大きい値が設定される。
初期時刻tiに基づいて、抽出開始時刻taを決定する。
図5に実線で示されている制御電流Ic11に対しては、初期時刻ti11から第1指定時間T1前の時刻を抽出開始時刻ta11(=ti11-T1)として決定する。
制御電流情報データベース135に記憶されている制御電流値Ic(t)を、抽出開始時刻ta11から順に抽出する。
抽出した制御電流値Ic(t)が[0]を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。
ここで、制御電流値Ic(t)が[0]を超えた時刻を判別するのは難しい。このため、制御電流値Ic(t)が、[0]より少し大きい値を超えた時刻を、制御電流値Ic(t)が[0]を超えた時刻として判別する方法を用いることもできる。すなわち、制御電流値Ic(t)が[略0]を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。
次に、動作開始時刻ts後に、制御電流値Ic(t)が[0]となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
ここで、制御電流値Ic(t)が[0]となった時刻を判別するのは難しい。このため、制御電流値Ic(t)が、[0]より少し大きい値となった時刻を、制御電流値Ic(t)が[0]となった時刻として判別する方法を用いることもできる。すなわち、制御電流値Ic(t)が[略0]となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
そして、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の時間を、動作時間S(=te-ts)として判別する。
図5に実線で示されている制御電流Ic11に対しては、動作開始時刻ts11と動作終了時刻te11の間の動作時間S11(=te11-ts11)を判別する。
動作履歴データベース132に記憶されている動作履歴の中から、動作開始時刻ts11と動作終了時刻te11に近い事象発生時刻(tx、ty)を含んでいる動作履歴を選択する。
そして、選択した動作履歴に基づいて、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する。
図5に示されている例では、判別した動作時間Sは、選択した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置(
図5に示されている例では、開閉装置10(1))の、選択した動作履歴に含まれている動作内容(
図5に示されている例では、投入動作)に対応する動作時間であることを判別することができる。
【0029】
なお、
図5に示されている第2指定時間T2は、抽出時間である。抽出開始時刻taから制御電流値Ic(t)の抽出を開始した後、第2指定時間T2が経過して抽出終了時刻tb(=ta+T2)に達した場合には、
図5に示されている制御電流値Ic(t)に基づいて動作開始時刻tsおよび動作終了時刻teを判別する処理を中止する。
図5に示されている例では、抽出開始時刻ta11から第2指定時間T2が経過した時刻が、抽出終了時刻tb11として設定される。
ここで、開閉装置10(1)~10(n)の、通常の投入動作時間は、大きな差がない。このため、第1指定時間T1を適切な値に設定することにより、制御電流値Ic(t)が閾値I0を超えた初期時刻tiから第1指定時間T1前の抽出開始時刻ta(=ti-T1)から制御電流値Ic(t)の抽出を開始した場合でも、開閉装置10(1)~10(n)の投入動作時の異常動作を判別可能な動作時間Sを判別することができる。
投入動作時における、制御電流値Ic(t)に対する第2指定時間T2についても、同様に適切な値に設定することができる。
【0030】
第1の判別方法を、
図6を参照して説明する。
図6は、開閉装置10(1)の引き外し動作時における異常動作を、制御電流値Ic(t)に基づいて判別する方法の一例を示したものである。開閉装置10(1)の引き外し動作時における制御電流値Ic(t)に対応する異常動作判別情報は、
図3に示されている。
異常動作判別手段113は、
図5に示されている開閉装置10(1)の投入動作時と同様に、以下の処理を実行する。
制御電流情報データベース135から抽出した制御電流値Ic(t)が閾値I0を超えた時刻を初期時刻tiとする。
初期時刻tiに基づいて、抽出開始時刻taを決定する。
図6に実線で示されている制御電流Ic21に対しては、初期時刻ti21から第1指定時間T1前の時刻を、抽出開始時刻ta21(=ti21-T1)として決定する。
制御電流情報データベース135に記憶されている制御電流値Ic(t)を、抽出開始時刻taから順に抽出する。
抽出した制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。また、動作開始時刻ts後に、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
そして、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の時間を、動作時間S(=te-ts)として判別する。
図6に実線で示されている制御電流Ic21に対しては、動作開始時刻ts21と動作終了時刻te21の間の動作時間S21(=te21-ts21)を判別する。
動作履歴データベース132に記憶されている動作履歴の中から、動作開始時刻ts21と動作終了時刻te21に近い事象発生時刻(tx、ty)を含んでいる動作履歴を選択する。
そして、選択した動作履歴に基づいて、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する。
図6に示されている例では、判別した動作期間Sは、選択した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置(
図6に示されている例では、開閉装置10(1))の、選択した動作履歴に含まれている動作内容(
図6に示されている例では、引き外し動作)に対応する動作時間であることを判別することができる。
【0031】
第1の判別方法を、
図7を参照して説明する。
図7は、開閉装置10(2)の投入動作時における異常動作を、操作電流値Ip(t)に基づいて判別する方法の一例を示したものである。開閉装置10(2)の投入動作時における操作電流値Ip(t)に対応する異常動作判別情報は、
図3に示されている。
異常動作判別手段113は、
図5に示されている開閉装置10(1)の投入動作時と同様に、以下の処理を実行する。
操作電流情報データベース134から抽出した操作電流値Ip(t)が閾値I0を超えた時刻を初期時刻tiとする。
初期時刻tiに基づいて、抽出開始時刻taを決定する。
図7に実線で示されている操作電流Ip31に対しては、初期時刻ti31から第1指定時間T1前の時刻を、抽出開始時刻ta31(=ti31-T1)として決定する。
操作電流情報データベース134に記憶されている操作電流値Ip(t)を、抽出開始時刻taから順に抽出する。
抽出した操作電流値Ip(t)が[0]([略0]を含む)を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。また、動作開始時刻ts後に、操作電流値Ip(t)が[0]([略0]を含む)となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
そして、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の時間を、動作時間S(=te-ts)として判別する。
図7に実線で示されている操作電流Ip31に対しては、動作開始時刻ts31と動作終了時刻te31の間の動作時間S31(=te31-ts31)を判別する。
動作履歴データベース132に記憶されている動作履歴の中から、動作開始時刻tsと動作終了時刻teに近い事象発生時刻(tx、ty)を含んでいる動作履歴を選択する。
そして、選択した動作履歴に基づいて、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する。
図7に示されている例では、判別した動作期間Sは、選択した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置(
図7に示されている例では、開閉装置10(2))の、選択した動作履歴に含まれている動作内容(
図7に示されている例では、投入動作)に対応する動作時間であることを判別することができる。
【0032】
第1の判別方法を、
図8を参照して説明する。
図8は、開閉装置10(3)の投入動作時における異常動作を、操作電流値Ip(t)に基づいて判別する方法の一例を示したものである。開閉装置10(3)の投入動作時における操作電流値Ip(t)に対応する異常動作判別情報は、
図3に示されている。
異常動作判別手段113は、
図5に示されている開閉装置10(1)の投入動作時と同様に、以下の処理を実行する。
操作電流情報データベース134から抽出した操作電流値Ip(t)が閾値I0を超えた時刻を初期時刻tiとする。
初期時刻tiに基づいて、抽出開始時刻taを決定する。
図8に実線で示されている操作電流Ipに対しては、初期時刻ti41から第1指定時間T1前の時刻を抽出開始時刻ta41(=ti41-T3)として決定する。
操作電流情報データベース134に記憶されている操作電流値Ip(t)を、抽出開始時刻taから順に抽出する。
抽出した操作電流値Ip(t)が[0]([略0]を含む)を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。また、動作開始時刻ts後に、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
そして、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の時間を、動作時間S(=te-ts)として判別する。
図8に実線で示されている操作電流Ip41に対しては、動作開始時刻ts41と動作終了時刻te41の間の動作時間S41(=te41-ts41)を判別する。
動作履歴データベース132に記憶されている動作履歴の中から、動作開始時刻ts41と動作終了時刻te41に近い事象発生時刻(tx、ty)を含んでいる動作履歴を選択する。
そして、選択した動作履歴に基づいて、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する。
図8に示されている例では、判別した動作期間Sは、選択した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置(
図8に示されている例では、開閉装置10(3))の、選択した動作履歴に含まれている動作内容(
図8に示されている例では、投入動作)に対応する動作時間であることを判別することができる。
【0033】
なお、以上で説明した第1の判別方法では、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が閾値I0を超えた初期時刻tiを判別したが、初期時刻tiの判別処理を省略することもできる。
この場合、監視電流情報データベース133(操作電流情報データベース134、制御電流情報データベース135)に記憶されている監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]を、任意の時刻から順に抽出する。そして、抽出した監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が[0]([略0]を含む)を超えた時刻を動作開始時刻tsとして判別し、その後、[0]([略0]を含む)になった時刻を動作終了時刻teとして判別する処理を実行する。
【0034】
次に、第2の判別方法を、
図5を参照して説明する。
異常動作判別手段113は、以下の処理を実行する。
動作履歴データベース132から動作履歴を読み出す。
読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻(tx、ty)に基づいて、制御電流情報データベース135からの、制御電流値Ic(t)の抽出を開始する抽出開始時刻taを決定する。
例えば、事象発生時刻として、遠方監視制御装置60から制御装置40(1)に投入動作が指示された時刻txが記憶されている場合には、時刻txから第3指定時間T3前の時刻を抽出開始時刻ta(=tx-T3)として決定する。
図5に実線で示されている制御電流Ic11に対しては、事象発生時刻tx11から第3指定時間T3前の時刻を、抽出開始時刻ta11(=tx11-T3)として決定する。
また、事象発生時刻として、開閉器20(1)の投入動作が行われた時刻tyが記憶されている場合には、時刻tyから第4指定時間T4前の時刻を、抽出開始時刻ta(=ty-T4)を決定する。
図5に実線で示されている制御電流Ic11に対しては、事象発生時刻ty11から第4指定時間T4前の時刻を、抽出開始時刻ta11(=ty11-T4)として決定する。
開閉器20(1)の投入動作が行われた時刻tyは、前述したように、遠方監視制御装置60あるいは動作履歴管理手段142で検出することができる。
【0035】
制御電流情報データベース135に記憶されている制御電流値Ic(t)を、抽出開始時刻taから順に抽出する。
抽出した制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。
次に、動作開始時刻ts後に、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
そして、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の時間を、動作時間S(=te-ts)として判別する。
図5に実線で示されている制御電流Ic11に対しては、動作開始時刻ts11、動作終了時刻te11、動作時間S(=te11-ts11)を判別する。
さらに、動作履歴データベース132から読み出した動作履歴に基づいて、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する。
この場合、判別した動作時間Sは、読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置(
図5に示されている例では、開閉装置10(1))の、読み出した動作履歴に含まれている動作内容(
図5に示されている例では、投入動作)に対応する動作時間であることを判別することができる。
【0036】
なお、開閉装置10(1)~10(n)の、通常の投入動作時間は、大きな差はない。このため、第3指定時間T3を適切に設定することにより、事象発生時刻txに基づいて決定した抽出開始時刻taから制御電流値Ic(t)の抽出を開始した場合でも、開閉装置10(1)~10(n)の投入動作時の異常動作を判別可能な動作時間Sを判別することができる。
一方、事象発生時刻tyは、開閉器20(1)~20(n)によって変化する。このため、事象発生時刻tyに基づいて決定した抽出開始時刻taから制御電流値Ic(t)の抽出を開始する場合には、第4指定時間T4を開閉装置10(1)~10(n)に応じて設定するのが好ましい。
第2の判別方法では、事象発生時刻(tx、ty)を判別するために、動作履歴データベース132から動作履歴を読み出す。このため、読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報に対応して第4指定時間T4を設定することができる。
なお、開閉装置10(1)~10(n)の引き外し動作時における第3設定時間T3、第4指定時間T4についても同様である。
【0037】
第2の判別方法を、
図6を参照して説明する。
異常動作判別手段113は、
図5に示されている開閉装置10(1)の投入動作時と同様に、以下の処理を実行する。
動作履歴データベース132から動作履歴を読み出す。
読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻(tx、ty)に基づいて、抽出開始時刻taを決定する。
図6に示されている例では、読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻tx21から第3指定時間T3前の時刻を、抽出開始時刻ta21(=tx21-T3)を決定する。あるいは、読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻ty21から第4指定時間T4前の時刻を、抽出開始時刻ta21(=ty21-T4)を決定する。
制御電流情報データベース135に記憶されている制御電流値Ic(t)を、抽出開始時刻taから順に抽出する。抽出した制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。また、動作開始時刻ts後に、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
そして、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の時間を、動作時間S(=te-ts)として判別する。
図6に実線で示されている制御電流Ic21に対しては、動作開始時刻ts21、動作終了時刻te21、動作時間S21(=te21-ts21)を判別する。
さらに、動作履歴データベース132から読み出した動作履歴に基づいて、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する。
この場合、判別した動作時間Sは、読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置(
図6に示されている例では、開閉装置10(1))の、読み出した動作履歴に含まれている動作内容(
図6に示されている例では、引き外し動作)に対応する動作時間であることを判別することができる。
【0038】
第2の判別方法を、
図7を参照して説明する。
異常動作判別手段113は、
図5に示されている開閉装置10(1)の投入動作時と同様に、以下の処理を実行する。
動作履歴データベース132から動作履歴を読み出す。
読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻(tx、ty)に基づいて、抽出開始時刻taを決定する。
図7に実線で示されている制御電流Ic31に対しては、読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻tx31から第3指定時間T3前の時刻を、抽出開始時刻ta31(=tx31-T3)を決定する。あるいは、読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻ty31から第4指定時間T4前の時刻を、抽出開始時刻ta31(=ty31-T4)を決定する。
制御電流情報データベース135に記憶されている制御電流値Ic(t)を、抽出開始時刻taから順に抽出する。抽出した制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。また、動作開始時刻ts後に、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
そして、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の時間を、動作時間S(=te-ts)として判別する。
図7に実線で示されている制御電流Ic31に対しては、動作開始時刻ts31、動作終了時刻te31、動作時間S31(=te31-ts31)を判別する。
さらに、動作履歴データベース132から読み出した動作履歴に基づいて、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する。
この場合、判別した動作時間Sは、読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置(
図7に示されている例では、開閉装置10(2))の、読み出した動作履歴に含まれている動作内容(
図7に示されている例では、投入動作)に対応する動作時間であることを判別することができる。
【0039】
第2の判別方法を、
図8を参照して説明する。
異常動作判別手段113は、
図5に示されている開閉装置10(1)の投入動作時と同様に、以下の処理を実行する。
動作履歴データベース132から動作履歴を読み出す。
読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻(tx、ty)に基づいて、抽出開始時刻taを決定する。
図8に実線で示されている制御電流Ic41に対しては、読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻tx41から第3指定時間T3前の時刻を、抽出開始時刻ta41(=tx41-T3)を決定する。あるいは、読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻ty41から第4指定時間T4前の時刻を、抽出開始時刻ta41(=ty41-T4)を決定する。
制御電流情報データベース135に記憶されている制御電流値Ic(t)を、抽出開始時刻taから順に抽出する。抽出した制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)を超えた時刻を、動作開始時刻tsとして判別する。また、動作開始時刻ts後に、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となった時刻を、動作終了時刻teとして判別する。
図8に実線で示されている制御電流Ic41に対しては、動作開始時刻ts41、動作終了時刻te41、動作時間S41(=te41-ts41)を判別する。
さらに、動作履歴データベース132から読み出した動作履歴に基づいて、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する。
この場合、判別した動作時間Sは、読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置(
図8に示されている例では、開閉装置10(3))の、読み出した動作履歴に含まれている動作内容(
図8に示されている例では、投入動作)に対応する動作時間であることを判別することができる。
【0040】
次に、異常動作判別情報データベース131に記憶されている異常動作判別情報に基づいて、開閉装置の動作が異常であるか否かを判別する処理について説明する。
先ず、
図5に示されている例について説明する。
開閉装置10(1)、投入動作および制御電流に対応する異常動作判別情報には、
図3に示されているように、動作時間Sに対する第1設定時間R11が含まれている。
異常動作判別手段113は、前述した方法で判別した動作時間Sと第1設定時間R11との比較結果に基づいて、開閉装置10(1)の投入動作が異常であるか否かを判別する。
具体的には、動作時間Sが、第1設定時間R11以下である場合には、開閉装置10(1)の投入動作は正常であることを判別する。一方、動作時間Sが、第1設定時間R11を超えている場合には、開閉装置10(1)の投入動作は異常であることを判別する。
図5に実線で示されている制御電流Ic11は、動作時間S11(=te11-ts11)が第1設定時間R11より小さい。このため、開閉装置10(1)の投入動作は正常であることを判別する。
一方、
図5に破線で示されている制御電流Ic12は、動作時間S12(=te12-ts11)が第1設定時間R11より大きい。このため、開閉装置10(1)の投入動作は異常であることを判別する。
【0041】
次に、
図6に示されている例について説明する。
開閉装置10(1)、引き外し動作および制御電流に対応する異常動作判別情報には、
図3に示されているように、動作時間Sに対する第1設定時間R21が含まれている。
異常動作判別手段113は、前述した方法で判別した動作時間Sと第1設定時間R21との比較結果に基づいて、開閉装置10(1)の引き外し動作が異常であるか否かを判別する。
具体的には、動作時間Sが、第1設定時間R21以下である場合には、開閉装置10(1)の引き外し動作は正常であることを判別する。一方、動作時間Sが、第1設定時間R21を超えている場合には、開閉装置10(1)の引き外し動作は異常であることを判別する。
図6に実線で示されている制御電流Ic21は、動作時間S21(=te21-ts21)が第1設定時間R21より小さい。このため、開閉装置10(1)の引き外し動作は正常であることを判別する。
一方、
図6に破線で示されている制御電流Ic22は、動作時間S22(=te22-ts22)が第1設定時間R21より大きい。このため、開閉装置10(1)の引き外し動作は異常であることを判別する。
【0042】
次に、
図7に示されている例について説明する。
開閉装置10(2)、投入動作および操作電流に対応する異常動作判別情報には、
図3に示されているように、動作時間Sに対する第1設定時間R31と、操作電流値Ip(t)に対する設定電流値J31が含まれている。
異常動作判別手段113は、前述した方法で判別した動作時間Sと第1設定時間R31との比較結果に基づいて、開閉装置10(2)の投入動作が異常であるか否かを判別する。また、異常動作判別手段113は、操作電流情報データベース134に記憶されている、動作時間S内の操作電流値Ip(t)と設定電流値J31との比較結果に基づいて、開閉装置10(2)の投入動作が異常であるか否かを判別する。
なお、動作時間Sの初期に、突入電流によって、操作電流値Ip(t)が急増することがある。この突入電流を検出すると、誤判別するおそれがある。このため、動作時間Sのうち、突入電流が流れる除外時間T0を除いた期間内の操作電流値Ip(t)と設定電流値J31とを比較する。
具体的には、動作時間Sが第1設定時間R21以下であり、且つ、動作時間Sのうち、除外時間T0を除いた期間内の操作電流値Ip(t)が設定電流値J31を超えていない場合には、開閉装置10(2)の投入動作は正常であることを判別する。一方、動作時間Sが第1設定時間R21を超えている場合、あるいは、動作時間Sのうち、除外時間T0を除いた期間内の操作電流値Ip(t)が設定電流値J31を超えている場合には、開閉装置10(2)の投入動作は異常であることを判別する。
図7に実線で示されている操作電流Ip31は、動作時間S31(=te31-ts31)が第1設定時間R31より小さい。また、動作期間Sのうち、除外時間T0を除いた期間内の操作電流値Ip(t)は、設定電流値J31より小さい。このため、開閉装置10(2)の投入動作は正常であることを判別する。
一方、
図7に破線で示されている操作電流Ip32は、動作時間S32(=te32-ts32)が第1設定時間R31より大きい。このため、開閉装置10(2)の投入動作は異常であることを判別する。また、動作時間Sのうち、除外時間T0を除いた期間内の操作電流値Ip(t)が設定電流値J31を超えている。このため、この点においても、開閉装置10(2)の投入動作は異常であることを判別する。
【0043】
次に、
図8に示されている例について説明する。
開閉装置10(3)、投入動作および操作電流に対応する異常動作判別情報には、
図3に示されているように、動作時間Sに対する第1設定時間R41が含まれている。
異常動作判別手段113は、前述した方法で判別した動作時間Sと第1設定時間R41との比較結果に基づいて、開閉装置10(3)の投入動作が異常であるか否かを判別する。
具体的には、動作時間Sが、第1設定時間R41以下である場合には、開閉装置10(3)の投入動作は正常であることを判別する。一方、動作時間Sが、第1設定時間R41を超えている場合には、開閉装置10(3)の投入動作は異常であることを判別する。
図8に実線で示されている操作電流Ip41は、動作時間S41(=te41-ts41)が第1設定時間R41より小さい。このため、開閉装置10(3)の投入動作は正常であることを判別する。
一方、
図8に破線で示されている操作電流Ip42は、動作時間S42(=te42-ts42)が第1設定時間R41より大きい。このため、開閉装置10(3)の投入動作は異常であることを判別する。
なお、操作電流Ipが、
図8に示されているように流れる場合には、突入電流が流れる期間は、開閉装置10(3)の投入動作が異常であるか否かを判別する処理に影響しない。
【0044】
次に、開閉装置10が、第1相~第3相に設けられている第1相~第3相開閉装置により構成される場合について、
図9を参照して説明する。
第1相開閉装置(図示省略)の第1相制御装置40(1)[A]、第2相開閉装置(図示省略)の第2相制御装置40(1)[B]、第3相開閉装置(図示省略)の第3相制御装置40(1)[C]は、専用の制御電源52に並列に接続されている。
第1相制御装置40(1)[A]~第3相制御装置40(1)[C]は、前述した制御装置と構成および動作が同じである。
すなわち、第1相~第3相投入コイル41[A]~41[C]、第1相~第3相投入スイッチ42[A]~42[C]、43[A]~43[C]、第1相~第3相補助接点41a[A]~41a[C]、第1相~第3相引き外しコイル44[A]~44[C]、第1相~第3相引き外しスイッチ45[A]~45[C]、46[A]~46[C]、47[A]~47[C]、第1相~第3相補助接点44a[A]~44a[C]、第1相~第3相リミットスイッチ48[A]~48[C]を有している。
【0045】
このような、第1相~第3相開閉装置を有している場合、投入動作時あるいは引き外し動作時に、各相の開閉装置の動作時間が相違すると(「三相不揃い」と呼ばれる)、不具合が発生するおそれがある。例えば、進み電流開閉時の回復電圧値が大きくなるおそれがある。
三相不揃いを判別する方法としては、第1相制御電流値検出装置122(1)[A]~第3相制御電流値検出装置122(1)[C](
図9に一点鎖線で示されている)を設けることが考えられる。
この場合、
図10(a)~(c)に示されているように、第1相制御装置40(1)[A]~第3相制御装置40(1)[C]に供給される第1相制御電流Ic(1)[A]~第3相制御電流Ic(1)[C]の、動作期間S(1)[A]~S(1)[C]内における第1相制御電流値Ic(1)[A](t)~第3相制御電流値Ic(1)[C](t)を検出することができる。
そして、
図10(d)に示されているように、第1相制御電流Ic(1)[A]の、動作時間S(1)[A]内における第1相制御電流値Ic(1)[A](t)、第2相制御電流Ic(1)[B]の、動作時間S(1)[B]内における第2相制御電流値Ic(1)[B](t)、第3相制御電流Ic(1)[C]の、動作時間S(1)[C]内における第3相制御電流値Ic(1)[C](t)を重ね合わせる。
第1相制御電流Ic(1)[A]~第3相制御電流Ic(1)[C]の動作時間S(1)[A]~S(1)[C]が相違していると、第1相制御電流値Ic(1)[A](t)~第3相制御電流値Ic(1)[C](t)が一致しない。これにより、三相不揃いを判別することができる、
しかしながら、この方法を用いて三相不揃いを判別するには、第1相制御電流値検出装置122(1)[A]~第3相制御電流値検出装置122(1)[C]を設ける必要がある。
【0046】
そこで、簡単に三相不揃いを判別することができる技術について検討した結果、制御電源52から供給される制御電流Icの制御電流値Ic(t)のみを検出することで三相不揃いを判別することができることが判明した。
すなわち、第1相開閉装置~第3相開閉装置を有する開閉装置を用いた場合、開閉装置の動作時間内における、制御電流Icの制御電流値Ic(t)は、
図11に示されている状態となる。なお、開閉装置の動作時間は、第1相開閉装置~第3相開閉装置のいずかが動作を開始した時刻から、すべてが動作を終了した時刻までの時間である。
図11において、制御電流値Ic(t)は、動作終了時刻teの前に、変曲点Kから減少を開始する。なお、変曲点Kは、開閉器の可動接点の位置を検出するリミットスイッチ等により検出することができる。
変曲点Kから、予め設定されている設定傾斜角度で線Gを引く。線G上において、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となる時刻を、基準時刻hとする。
ここで、三相不揃いが発生していない場合には、開閉装置の動作終了時刻teは、基準時刻hと一致(あるいは略一致)する。一方、三相不揃いが発生している場合には、基準時刻hと動作終了時刻teが一致しない。
すなわち、動作終了時刻teと線G上の基準時刻hとの間の時間Nは、基準時刻hに対する動作終了時刻teの遅れ時間であり、第1相制御装置40(1)[A]~第3相制御装置40(1)[C]の不揃いの程度を示す。
したがって、遅れ時間Nと第2設定時間Mとに基づいて、開閉装置の異常動作(三相不揃い)を判別することができる。
【0047】
図12に、開閉装置10(4)の投入動作時における異常動作(三相不揃い)を、制御電流値Ic(t)に基づいて判別する方法の一例が示されている。
図5~
図8で説明した方法と同様の方法を用いて、動作開始時刻tsと動作終了時刻teを判別する。また、判別した動作開始時刻tsあるいは動作終了時刻teと動作履歴に基づいて、動作時間S(=te-ts)が、開閉装置10(4)の投入動作時における動作時間であることを判別する。
図3に示されている異常動作判別情報データベース131には、開閉装置10(4)の投入動作時における、制御電流値Ic(t)に対する異常動作判別情報として第2設定時間M51が記憶されている。
次に、変曲点Kから、設定傾斜角度rで線Gを引く。そして、線G上において、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となる基準時刻hを判別する、
次に、線G上の基準時刻hと動作終了時刻teの間の遅れ時間N(=te-h)を判別する。そして、判別した遅れ時間Nと、異常動作判別情報に含まれている第2設定時間M51とに基づいて、開閉装置10(4)の投入動作時における異常動作(三相不揃い)を判別する。
具体的には、遅れ時間Nが第2設定時間M51以下である場合には、開閉装置10(4)が正常である(異常な三相不揃いは発生していない)ことを判別する。
一方、遅れ時間Nが第2設定時間M51を超えている場合には、開閉装置10(4)が異常である(異常な三相不揃いが発生している)ことを判別する。
【0048】
図12に示されている実線は、設計時に設定された制御電流Ic50を示している。設計時には、変曲点K50から設定傾斜角度rで引いた線G50上の基準時刻h50で、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となる。そして、動作終了時刻te50が基準時刻h50と一致するように設計されている。
一点鎖線で示されている制御電流Ic51では、変曲点K51から設定傾斜角度rで引いた線G51上の基準時刻h51で、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となる。この場合、動作終了時刻te51と基準時刻h51の間の遅れ時間N51は、第2設定時間M51以下である。このため、開閉装置10(4)が正常である(異常な三相不揃いは発生していない)ことを判別する。
一方、二点鎖線で示されている制御電流Ic52では、変曲点K52から設定傾斜角度rで引いた線G52上の基準時刻h52で、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)となる。この場合、動作終了時刻te52と基準時刻h52の間の遅れ時間N52は、第2設定時間M51を超えている。このため、開閉装置10(4)が異常である(異常な三相不揃い発生している)ことを判別する。
なお、
図12に示されている例において、動作時間S(=te-ts)と第1設定時間Rとの比較結果に基づいて開閉装置10(4)の異常動作を判別する手法も用いることができる。
【0049】
以上では、動作時間Sに対する第1設定時間Rが一定である場合について説明した、
一方、周囲温度が変化すると、開閉器20(1)~20(n)の動作時間が変化する。このため、開閉装置の異常動作を判別するための、動作時間Sに対する第1設定時間Rを周囲温度に応じ変更するのが好ましい。
図13に、第1設定時間Rを周囲温度に応じて変更した一例が示されている。
図13では、周囲温度が高くなるにしたがって第1設定時間Rが短くなり、周囲温度が低くなるにしたがって第1設定時間Rが長くなるように修正されている。
第1設定時間Rを周囲温度に応じて修正する態様は、開閉器20(1)~20(n)の構造等に応じて設定される。
なお、第2設定時間Mについても、周囲温度に応じて変更することができる。
【0050】
次に、本実施形態における、監視装置110による、開閉装置10(1)~10(n)の異常動作を判別する処理を説明する。
図14は、開閉装置10(1)~10(n)の異常動作判別処理の一実施形態の概略を説明するフローチャートである。
図14に示されている異常動作判別処理では、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する方法として、前述した第1の判別方法を用いている。すなわち、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]に基づいて判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を、動作履歴データベース132に記憶されている動作履歴を参照して判別している。
【0051】
図14に示されている処理は、定められた時刻、操作員により指示された時刻等の適宜の時刻に開始される。
ステップA1では、監視電流情報データベース133(操作電流情報データベース134、制御電流情報データベース135)に記憶されている監視電流情報(操作電流情報、制御電流情報)に基づいて、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が[0]([略0]を含む)より大きくなった時刻を動作開始時刻tsとして判別する。また、動作開始時刻ts後に、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が[0]([略0]を含む)となった時刻を動作終了時刻teとして判別する。
ステップA2では、ステップA1で判別した動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の動作時間S(=te-ts)に動作した開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容を判別する。具体的には、動作履歴データベース132に記憶されている動作履歴の中から、ステップA1で判別した動作開始時刻tsあるいは動作終了時刻teに近い事象発生時刻(tx、ty)を含んでいる動作履歴を選択する。そして、選択した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置の、選択した動作履歴に含まれている動作内容であることを判別する。
ステップA3では、ステップA2で判別した開閉装置識別情報と動作内容に対応する異常動作判別情報を、異常動作判別情報データベース131から読み出す。
ステップA4では、監視電流情報データベース133(操作電流情報データベース134、制御電流情報データベース135)に記憶されている監視電流情報(操作電流情報、制御電流情報)と、ステップA3で読み出した異常動作判別情報に基づいて、ステップA2で判別した開閉装置識別情報で示される開閉装置の異常動作を判別する。
なお、ステップA4では、例えば、動作時間Sと異常動作判別情報に基づいて、あるいは、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]と異常動作判別情報に基づいて、あるいは、動作時間Sおよび監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]と異常動作判別情報に基づいて開閉装置の異常動作を判別することができる。すなわち、ステップA4では、動作時間Sおよび監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]のうちの少なくとも一方と異常動作判別情報に基づいて開閉装置の異常動作を判別することができる。
ステップA5では、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの組み合わせを全て判別したか否かを判別する。動作開始時刻tsと動作終了時刻teの組み合わせを全て判別していない場合には、ステップA1に戻る。動作開始時刻tsと動作終了時刻teの組み合わせを全て判別した場合には、処理を終了する。
【0052】
次に、
図14に示されているステップA1の処理の一例を、
図15に示されているフローチャートを用いて説明する。
図15には、制御電流値Ic(t)を用いて動作時間Sを判別する処理が示されている。
なお、
図15に示されている処理は、操作電流値Ip(t)を用いて動作時間Sを判別する処理に用いることができる。
【0053】
ステップb1では、時刻tを、任意の時刻tnに設定する。
ステップb2では、制御電流値Ic(t)が閾値I0より大きくなったか否かを判別する。制御電流値Ic(t)が閾値I0より大きくなっていない場合には、ステップb3に進む。制御電流値Ic(t)が閾値I0より大きくなった場合には、ステップb4に進む。
ステップb3では、時刻tに[1]を加えてステップb2に戻る。なお、例えば、監視電流情報データベース133(操作電流情報データベースベース134、制御電流情報データベース135)に、所定時間間隔で読み取った(入力された)監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が記憶されている場合には、「時刻tに[1]を加える」処理は、「所定時間後の時刻を指定する処理を意味する。
ステップb4では、制御電流値Ic(t)が閾値I0に達した時刻tを初期時刻tiに設定する。
ステップb5では、ステップb4で設定した初期時刻tiより第1指定時間T1前の時刻を、抽出開始時刻ta(=ti-T1)として設定する。
ステップb6では、時刻tを抽出開始時刻taに設定する。
ステップb7では、抽出開始時刻taから第2指定時間T2が経過したか否かを判別する。第2指定時間T2は、予め指定されている抽出時間である。抽出開始時刻taから第2指定時間T2が経過していない場合には、ステップb8に進む。抽出開始時刻taから第2指定時間T2が経過した場合には、ステップb8以降の処理(動作開始時刻ts、動作終了時刻teの判別処理)を中止して、次の処理に進む。例えば、
図14に示されているステップA5に進み、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの組み合わせを全て判別したか否かを判別する。動作開始時刻tsと動作終了時刻teの組み合わせを全て判別していない場合には、同様の処置を繰り返す。
ステップb8では、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)より大きくなったか否かを判別する。制御電流値Ic(t)が[0]より大きくなっていない場合には、ステップb9に進む。制御電流値Ic(t)が[0]より大きくなった場合には、ステップb10に進む。
ステップb9では、時刻tに[1]を加えてステップb7に戻る。
ステップb10では、制御電流値Ic(t)が[0]より大きくなった時刻tを動作開始時刻tsとして判別する。
ステップb11では、時刻tに[1]を加えてステップb12に進む。
ステップb12では、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)になったか否かを判別する。制御電流値Ic(t)が[0]になっていない場合には、ステップb11に戻る。制御電流値Ic(t)が[0]になった場合には、ステップb13に進む。
ステップb13では、制御電流値Ic(t)が[0]になった時刻tを動作終了時刻teとして判別する。
ステップb14では、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の動作時間S(=te-ts)を判別する。
ステップb15では、動作時間Sが、第5指定時間T5以下であるか否かを判別する。第5指定時間T5は、動作時間Sが通常の動作時間より短い時間に設定される。動作時間Sが第5指定時間T5以下である場合には、ステップb16に進む。動作時間Sが第5指定時間T5より大きい場合には、次の処理に進む。
ステップb16では、ステップb10で判別した動作開始時刻tsとステップb13で判別した動作終了時刻teを破棄して、次の処理を実行する。
ステップb15とステップb16は、動作時間Sの誤判別を防止する処理である。例えば、判別した動作時間Sが、開閉器20(1)~20(n)の通常の動作時間より短い場合には、ノイズ等に基づいて動作時間を誤判別したものと判断する。ステップb15とステップb16は、省略することもできる。
なお、ステップb9の後に、ステップb5と同様のステップを設けることもできる。さらに、ステップb9は省略することもできる。この場合、制御電流値Ic(t)の抽出が終了するまで、動作開始時刻tsと動作終了時刻teを判別する処理が続行される。
【0054】
図14に示されているステップA4における、異常動作判別情報に基づいて開閉装置の異常動作を判別する処理の第1例を
図16(a)に示す。
ステップc1では、動作時間Sが、異常動作判別情報に含まれている第1設定時間R以下であるか否かを判別する。動作時間Sが第1設定時間R以下である場合には、ステップc2に進む。動作時間Sが第1設定時間Rより大きい場合には、ステップc3に進む。
ステップc2では、開閉装置は正常であることを判別する。
ステップc3では、開閉装置は異常であることを判別する。
【0055】
図14に示されているステップA4における、異常動作判別情報に基づいて開閉装置の異常動作を判別する処理の第2例を
図16(b)に示す。
ステップd1では、動作時間Sが、異常動作判別情報に含まれている第1設定時間R以下であるか否かを判別する。動作時間Sが第1設定時間R以下である場合には、ステップd2に進む。動作時間Sが第1設定時間Rより大きい場合には、ステップd4に進む。
ステップd2では、動作時間Sのうち、動作開始時刻tsから除外時間T0を除いた期間の制御電流値Ic(t)が、異常動作判別情報に含まれている設定電流値J以下であるか否かを判別する。制御電流値Ic(t)が設定電流値J以下である場合には、ステップd3に進む。制御電流値Ic(t)が設定電流値Jより大きい場合には、ステップd4に進む。
ステップd3では、開閉装置は正常であることを判別する。
ステップd4では、開閉装置は異常であることを判別する。
【0056】
図14に示されているステップA4における、異常動作判別情報に基づいて開閉装置の異常動作を判別する処理の第3例を
図16(c)に示す。
ステップe1では、制御電流値Ic(t)の変曲点Kから設定傾斜角度rで線Gを引く。そして、線G上の、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)である基準時刻hを判別する。
ステップe2では、基準時刻hに対する動作終了時刻teの遅れ時間N(=te-h)を判別する。
ステップe3では、遅れ時間Nが、異常動作判別情報に含まれている第2設定時間M以下であるか否かを判別する。遅れ時間Nが第2設定時間M以下である場合には、ステップe4に進む。遅れ時間Nが第2設定時間Mより大きい場合には、ステップe5に進む。
ステップe4では、開閉装置は正常であることを判別する。
ステップe5では、開閉装置は異常であることを判別する。
【0057】
次に、開閉装置10(1)~10(n)の異常動作判別処理の他の実施形態の概略を、
図17に示されているフローチャートにより説明する。
図17に示されている異常動作判別処理では、判別した動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別する方法として、前述した第2の判別方法を用いている。すなわち、動作履歴データベース132から読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報と動作内容に基づいて、動作時間Sと開閉装置および動作内容との対応関係を判別している。
【0058】
図17に示されている処理は、定められた時刻、操作員により指示された時刻等の適宜の時刻に開始される。
ステップF1では、動作履歴データベース132から、動作履歴(事象発生時刻、開閉装置識別情報、動作内容)を読み出す。
ステップF2では、ステップF1で読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻(tx、ty)に基づいて、監視電流情報データベース133からの、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]の抽出を開始する抽出開始時刻taを決定する。
例えば、読み出した動作履歴に、遠方監視制御装置60から開閉装置10の制御装置40に投入あるいは引き外しが指示された時刻txが事象発生時刻として含まれている場合には、時刻txから第3指定時間T3前の時刻(=tx-T3)が抽出開始時刻taとして決定される。
また、読み出した動作履歴に、開閉装置10の開閉器20の投入動作あるいは引き外し動作が行われたことを検出した時刻tyが事象発生時刻として含まれている場合には、時刻tyから第4指定時間T4前の時刻(=ty-T4)が抽出開始時刻taとして決定される。
ステップF3では、監視電流情報データベース133(操作電流情報データベース134、制御電流情報データベース135)に記憶されている監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]を、ステップF2で決定された抽出開始時刻taから順に抽出する。そして、抽出した監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が[0]([略0]を含む)より大きくなった時刻を動作開始時刻tsとして判別する。また、動作開始時刻ts後に、監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]が[0]([略0]を含む)になった時刻を動作終了時刻teとして判別する。動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の時間を動作時間S(=te-ts)として判別する。
【0059】
ステップF4では、ステップF1で読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報と動作内容に対応する異常動作判別情報を、異常動作判別情報データベース131から読み出す。
ステップF5では、監視電流情報データベース133(操作電流情報データベース134、制御電流情報データベース135)に記憶されている監視電流情報(操作電流情報、制御電流情報)と、ステップF4で読み出した異常動作判別情報に基づいて、ステップF1で読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置の異常動作を判別する。
ステップF5は、
図14に示されているステップA4と同様の処理を行うことができる。すなわち、ステップF5では、動作時間Sおよび監視電流値[操作電流値Ip(t)、制御電流値Ic(t)]のうちの少なくとも一方と異常動作判別情報に基づいて開閉装置の異常動作を判別することができる。
ステップF6では、動作履歴データベース132に記憶されている動作履歴を全て読み出したか否かを判断する。読み出していない動作履歴が存在する場合には、ステップF1に戻る。全ての動作履歴を読み出した場合には、処理を終了する。
【0060】
次に、
図17に示されているステップF3の処理の一例を、
図18に示されているフローチャートを用いて説明する。
図18には、制御電流値Ic(t)を用いて動作時間Sを判別する処理が示されている。
なお、
図18に示されている処理は、操作電流値Ip(t)を用いて動作時間Sを判別する処理に用いることができる。
【0061】
ステップg1では、時刻tを、
図17のステップF2で決定した抽出開始時刻taに設定する。
ステップg2では、抽出開始時刻taから第2指定時間T2が経過したか否かを判別する。抽出開始時刻taから第2指定時間T2が経過していない場合には、ステップg3に進む。抽出開始時刻taから第2指定時間T2が経過した場合には、ステップb3以降の処理(動作開始時刻ts、動作終了時刻teの判別処理)を中止して、次の処理に進む。
ステップg3では、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)より大きくなったか否かを判別する。制御電流値Ic(t)が[0]より大きくなっていない場合には、ステップg4に進む。制御電流値Ic(t)が[0]より大きくなった場合には、ステップg5に進む。
ステップg4では、時刻tに[1]を加えてステップg1に戻る。
ステップg5では、制御電流値Ic(t)が[0]より大きくなった時刻tを動作開始時刻tsとして判別する。
ステップg6では、時刻tに[1]を加えてステップg7に進む。
ステップg7では、制御電流値Ic(t)が[0]([略0]を含む)になったか否かを判別する。制御電流値Ic(t)が[0]になっていない場合には、ステップg6に戻る。制御電流値Ic(t)が[0]になった場合には、ステップg8に進む。
ステップg8では、制御電流値Ic(t)が[0]になった時刻tを動作終了時刻teとして判別する。
ステップg9では、動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の動作時間S(=te-ts)を判別する。
ステップg10では、動作時間Sが、第5指定時間T5以下であるか否かを判別する。第5指定時間T5は、動作時間Sが通常の動作時間より短い時間に設定される。動作時間Sが第5指定時間T5以下である場合には、ステップg11に進む。動作時間Sが第5指定時間T5より大きい場合には、次の処理に進む。
ステップg11では、ステップg5で判別した動作開始時刻tsとステップg8で判別した動作終了時刻teを破棄して、次の処理を実行する。
ステップg10とステップg11は、動作時間Sの誤判別を防止する処理である。ステップg10とステップg11は、省略することもできる。
なお、ステップg6の後に、ステップg2と同様のステップを設けることもできる。さらに、ステップg2は省略することもできる。
【0062】
本発明は、以下のように構成することもできる。
(態様1)
開閉器と、前記開閉器の投入あるいは引き外しを行う操作装置と、投入あるいは引き外しが指示された場合に、前記操作装置を制御する制御装置と、を有する複数の開閉装置を監視する開閉装置監視システムであって、
前記複数の開閉装置の前記操作装置は、専用の操作電源に並列に接続されているとともに、前記複数の開閉装置の前記制御装置は、専用の制御電源に並列に接続されており、
監視装置と、記憶装置と、を備え、
前記記憶装置は、異常動作判別情報データベースと、動作履歴データベースと、監視電流情報データベースと、を有し、
前記異常動作判別情報データベースには、開閉装置の投入動作時および引き外し動作時のうちの少なくとも一方の動作時における異常動作を判別するための異常動作判別情報が、開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容に対応して記憶され、
前記動作履歴データベースには、開閉装置の投入動作あるいは引き外し動作に関連する事象が発生した時刻を示す事象発生時刻と、当該開閉装置を示す開閉装置識別情報と、当該投入動作あるいは引き外し動作を示す動作内容と、を含む動作履歴が記憶され、
前記監視電流情報データベースには、監視電流の監視電流値と当該監視電流値を検出した時刻tを含む監視電流情報が記憶され、前記監視電流の監視電流値には、前記操作電源から供給された操作電流Ipの操作電流値Ip(t)および前記制御電源から供給された制御電流Icの制御電流値Ic(t)のうちの少なくとも一方の電流値が含まれ、
前記監視装置は、異常動作判別手段を有し、
前記異常動作判別手段は、
前記監視電流情報データベースに記憶されている監視電流情報に基づいて、監視電流が流れ始めた動作開始時刻tsと、監視電流の流れが停止した動作終了時刻teを判別し、
前記動作履歴データベースに記憶されている動作履歴に基づいて、前記判別した動作開始時刻tsに動作を開始した開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容を判別し、
前記判別した開閉装置識別情報と動作内容に対応する異常動作判別情報を前記異常動作判別情報データベースから読み出し、
前記判別した動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の動作時間Sおよび前記監視電流情報データベースに記憶されている、前記動作時間S内の監視電流値のうちの少なくとも一方と、前記異常動作判別情報データベースから読み出した異常動作判別情報に基づいて、前記判別した開閉装置識別情報で示される開閉装置の異常動作を判別する、
ことを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様2)
開閉器と、前記開閉器の投入あるいは引き外しを行う操作装置と、投入あるいは引き出しが指示された場合に、前記操作装置を制御する制御装置と、を有する複数の開閉装置を監視する開閉装置監視システムであって、
前記複数の開閉装置の前記操作装置は、専用の操作電源に並列に接続されているとともに、前記複数の開閉装置の前記制御装置は、専用の制御電源に並列に接続されており、
監視装置と、記憶装置と、を備え、
前記記憶装置は、異常動作判別情報データベースと、動作履歴データベースと、監視電流情報データベースと、を有し、
前記異常動作判別情報データベースには、開閉装置の投入動作時および引き外し動作時のうちの少なくとも一方の動作時における異常動作を判別するための異常動作判別情報が、開閉装置を示す開閉装置識別情報と動作内容に対応して記憶され、
前記動作履歴データベースには、開閉装置の投入動作あるいは引き外し動作に関連する事象が発生した時刻を示す事象発生時刻と、当該開閉装置を示す開閉装置識別情報と、当該投入動作あるいは引き外し動作を示す動作内容と、を含む動作履歴が記憶され、
前記監視電流情報データベースには、監視電流の監視電流値と当該監視電流値を検出した時刻tを含む監視電流情報が記憶され、前記監視電流の監視電流値には、前記操作電源から供給された操作電流Ipの操作電流値Ip(t)および前記制御電源から供給された制御電流Icの制御電流値Ic(t)のうちの少なくとも一方の電流値が含まれ、
前記監視装置は、異常動作判別手段を有し、
前記異常動作判別手段は、
前記動作履歴データベースから読み出した動作履歴に含まれている事象発生時刻に基づいて、前記監視電流情報データベースからの監視電流値の抽出を開始する抽出開始時刻taを決定し、
前記監視電流情報データベースから抽出した監視電流値に基づいて、監視電流が流れ始めた動作開始時刻tsと、監視電流の流れが停止した動作終了時刻teを判別し、
前記読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報と動作内容に対応する異常動作判別情報を前記異常動作判別情報データベースから読み出し、
前記判別した動作開始時刻tsと動作終了時刻teの間の動作時間Sおよび前記監視電流情報データベースに記憶されている、当該動作時間S内の監視電流値のうちの少なくとも一方と、前記異常動作判別情報データベースから読み出した異常動作判別情報に基づいて、前記読み出した動作履歴に含まれている開閉装置識別情報で示される開閉装置の異常動作を判別する、
ことを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様3)
態様1または2の開閉装置監視システムであって、
前記操作電源から供給される操作電流の操作電流値を検出する操作電流値検出装置と、前記制御電源から供給される制御電流の制御電流値を検出する制御電流値検出装置が設けられており、
前記監視装置は、監視電流値処理手段を有し、
前記監視電流値処理手段は、前記操作電流値検出装置で検出された操作電流値および前記制御電流値検出装置で検出された制御電流値のうちの少なくとも一方の電流値と、検出した時刻tを含む監視電流情報を前記監視電流情報データベースに記憶させる処理を実行することを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様4)
態様1~3のうちのいずれかの開閉装置監視システムであって、
前記監視装置は、動作履歴管理手段を有し、
前記動作履歴管理手段は、前記複数の開閉装置の前記制御装置に投入あるいは引き出しが指示された時刻および前記複数の開閉装置の前記開閉器の投入動作あるいは引き外し動作が行われたことを検出した時刻のうちの一方の時刻を前記事象発生時刻として含む動作履歴を、前記動作履歴データベースに記憶させる処理を実行することを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様5)
態様4の開閉装置監視システムであって、
前記複数の開閉装置の前記制御装置に投入あるいは引き出しを指示するとともに、前記複数の開閉装置の前記開閉器の投入動作あるいは引き外し動作が行われたことを監視する遠方監視制御装置が設けられており、
前記動作履歴管理手段は、前記遠方監視制御装置から前記複数の開閉装置の前記制御装置に投入あるいは引き外しが指示された時刻および前記複数の開閉装置の前記開閉器の投入動作あるいは引き外し動作が行われたことを前記遠方監視制御装置あるいは前記動作履歴管理手段が検出した時刻のうち一方の時刻を前記事象発生時刻として含む動作履歴を前記動作履歴データベースに記憶させる処理を実行することを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様6)
態様1~5のうちのいずれかの開閉装置監視システムであって、
前記異常動作判別手段は、監視電流値が[0]より大きくなった時刻を前記動作開始時刻tsとして判別し、その後、監視電流値が[0]となった時刻を前記動作終了時刻teとして判別することを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様7)
態様1~6のうちのいずれかの開閉装置監視システムであって、
前記異常動作判別手段は、前記動作開始時刻tsと前記動作終了時刻teとの間の動作時間Sと、前記異常動作判別情報に含まれている第1設定時間との比較結果に基づいて、前記開閉装置の異常動作を判別することを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様8)
態様1~7のうちのいずれかの開閉装置監視システムであって、
前記異常動作判別手段は、前記動作時間Sのうち、前記動作開始時刻tsから除外時間を除いた期間における監視電流値と前記異常動作判別情報に含まれている設定電流値との比較結果に基づいて、前記開閉装置の異常動作を判別することを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様9)
態様7の開閉装置監視システムであって、
前記第1設定時間は、周囲温度に応じて変更されることを特徴とする開閉装置監視システム。
(態様10)
態様1~6のうちのいずれかの開閉装置監視システムであって、
前記異常動作判別手段は、監視電流値が減少を開始する変曲点から設定傾斜角度で引いた線上の、監視電流値が[0]となる基準時刻hと前記動作終了時刻teの間の遅れ時間Nと、前記異常動作判別情報に含まれている第2設定時間との比較結果に基づいて、前記開閉装置の異常動作を判別することを特徴とする開閉装置監視システム。
【0063】
本発明の構成は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
実施形態では、操作電流値検出装置、制御電流値検出装置、監視電流値処理手段、動作履歴管理手段、異常動作判別手段を備える開閉装置監視システムについて説明したが、監視電流情報(操作電流情報、制御電流情報)が記憶されている監視電流情報データベースが用意される場合には、制御電流値検出装置、監視電流値検出装置および監視電流値処理手段を省略することができ、また、動作履歴が記憶されている動作履歴データベースが用意される場合には、動作履歴管理手段を省略することができる。
監視電流値処理手段における監視電流値処理手法、動作履歴管理手段における動作履歴管理手法、異常動作判別手段における異常動作判別手法は、
図15~
図18に示されている手法に限定されない。
第1指定時間T1~第4指定時間T4は、各開閉装置に対して共通の値に設定してもよいし、開閉装置に対応して異なる値に設定してもよい。
実施形態で説明した各構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数を組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0064】
10、10(1)~10(n) 開閉装置
20、20(1)~20(n) 開閉器
30、30(1)~30(n) 操作装置
31 電動機
40、40(1)~40(n)、40(1)A、40(1)B、40(1)C 制御装置
41、41(A)、41(B)、41(C) 投入コイル
32A、32B、41a、41a(A)、41a(B)、41a(C) 補助接点
42、42(A)、42(B)、42(C) 投入スイッチ(遠方)
43、43(A)、43(B)、43(C) 投入スイッチ(手動)
44、44(A)、44(B)、44(C) 引き外しコイル
33A、33B、44a、44a(A)、44a(B)、44a(C) 補助接点
45、45(A)、45(B)、45(C) 引き外しスイッチ(遠方)
46、46(A)、46(B)、46(C) 引き外しスイッチ(手動)
47、47(A)、47(B)、47(C) 引き外しスイッチ(保護)
48、48(A)、48(B)、48(C) リミットスイッチ
48a、48a(A)、48a(B)、48a(C)、48b、48b(A)、48b(B)、48b(C) 接点
50 電源装置
51 操作電源
52 制御電源
53 設備電源
60 遠方監視制御装置
100 開閉装置監視システム(開閉装置監視装置)
110 監視装置
111 監視電流値処理手段
112 動作履歴管理手段
113 異常動作判別手段
120 監視電流値検出装置
121 操作電流値検出装置
122 制御電流値検出装置
130 記憶装置
131 異常動作判別情報データベース
132 動作履歴データベース
133 監視電流情報データベース
134 操作電流情報データベース
135 制御電流情報データベース
140 表示装置
150 入力装置