(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】バンカー用浮体、液化ガスの供給方法
(51)【国際特許分類】
B63B 27/30 20060101AFI20240816BHJP
B63B 27/34 20060101ALI20240816BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20240816BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20240816BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20240816BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20240816BHJP
F17C 13/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B63B27/30
B63B27/34
B63B25/16 D
B63B25/16 M
B63B35/00 W
B63H21/38 C
F17C13/00 302D
F17C13/02 302
(21)【出願番号】P 2022137885
(22)【出願日】2022-08-31
【審査請求日】2024-01-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000232818
【氏名又は名称】日本郵船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隼
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1924536(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0016415(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0092344(KR,A)
【文献】特表2021-517878(JP,A)
【文献】特開2022-044969(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0060422(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 27/30
B63B 25/16
B63B 35/00
B63H 21/38
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体と、
前記浮体に設けられ、液化ガスを収容可能なバンカータンクと、
一端が前記バンカータンク内に配置されるとともに、前記バンカータンク外に延びて、他端が他船の燃料タンクに接続可能とされた液化ガス供給ラインと、
前記バンカータンク内に設けられて、前記液化ガス供給ラインの一端から他端に向かって前記バンカータンク内の前記液化ガスを圧送可能なバンカリングポンプと、
一端が前記バンカータンク外で前記燃料タンクのガス圧送ラインに接続可能とされ、他端が前記バンカータンク内に延び、前記ガス圧送ラインから圧送される前記燃料タンク内の蒸発ガスを、前記バンカータンク内の気相に送り込むガス返送ラインと、
一端が前記バンカータンク外で前記ガス圧送ラインに接続可能とされ、前記バンカータンク内に延びて、他端が前記バンカータンクの底部に至
り、前記ガス圧送ラインから圧送される前記燃料タンク内の蒸発ガスを前記バンカータンクの底部に送り込む底部受入ラインと、を備えるバンカー用浮体。
【請求項2】
前記底部受入ラインは、前記燃料タンク内の気相の圧力が前記バンカータンク内の気相の圧力よりも高い状態で、前記燃料タンクの気相から前記燃料タンク内の蒸発ガスを前記バンカータンク内の底部に受け入れる
請求項1に記載のバンカー用浮体。
【請求項3】
前記液化ガス供給ラインは、一端が前記バンカータンクの底部に配置された第一配管を有し、
前記底部受入ラインは、
前記ガス返送ラインと前記第一配管とを接続可能な接続配管と、
前記ガス返送ラインから前記第一配管への前記蒸発ガスの送給を断続する切換弁と、を備え
、前記第一配管が前記底部受入ラインの一部を兼ねている
請求項1又は2に記載のバンカー用浮体。
【請求項4】
前記底部受入ラインは、前記ガス返送ラインから分岐し、前記バンカータンク内の底部に延びる第二配管を有する
請求項1又は2に記載のバンカー用浮体。
【請求項5】
前記バンカータンク内の底部から前記液化ガスを吸上げ、前記バンカータンク内の気相に吐出する液化ガス吐出部、をさらに備える
請求項1又は2に記載のバンカー用浮体。
【請求項6】
前記ガス返送ラインを通して前記バンカータンク内の気相に送り込む前記蒸発ガスの送給を調整する制御弁と、
前記バンカータンク内の気相の圧力が前記バンカータンクの許容圧力以下を維持するように、前記制御弁を制御するコントローラと、を備える
請求項5に記載のバンカー用浮体。
【請求項7】
浮体と、
前記浮体に設けられ、液化ガスを収容可能なバンカータンクと、
一端が前記バンカータンク内に配置されるとともに、前記バンカータンク外に延びて、他端が他船の燃料タンクに接続可能とされた液化ガス供給ラインと、
前記バンカータンク内に設けられて、前記液化ガス供給ラインの一端から他端に向かって前記バンカータンク内の前記液化ガスを圧送可能なバンカリングポンプと、
一端が前記バンカータンク外で前記燃料タンクのガス圧送ラインに接続可能とされ、他端が前記バンカータンク内に延び、前記ガス圧送ラインから圧送される前記燃料タンク内の蒸発ガスを、前記バンカータンク内の気相に送り込むガス返送ラインと、
一端が前記バンカータンク外で前記ガス圧送ラインに接続可能とされ、前記バンカータンク内に延びて、他端が前記バンカータンクの底部に至る底部受入ラインと、を備え、
前記液化ガス供給ラインは、一端が前記バンカータンクの底部に配置された第一配管を有し、
前記底部受入ラインは、
前記ガス返送ラインと前記第一配管とを接続可能な接続配管と、
前記ガス返送ラインから前記第一配管への前記蒸発ガスの送給を断続する切換弁と、を備え
、
前記第一配管が前記底部受入ラインの一部を兼ねている
バンカー用浮体。
【請求項8】
浮体、及び、前記浮体に設けられ、液化ガスを収容可能なバンカータンクを備えるバンカー用浮体から、前記液化ガスを燃料とし、前記液化ガスを収容可能な燃料タンクを備える他船への液化ガスの供給方法であって、
前記バンカータンクと前記燃料タンクとを、前記バンカータンク内から前記燃料タンク内に前記バンカータンク内の前記液化ガスを供給可能な液化ガス供給ラインと、前記燃料タンク内から前記バンカータンク内に前記燃料タンク内の蒸発ガスを供給可能なガス返送ラインとで接続する工程と、
前記ガス返送ラインを通して前記燃料タンク内から前記バンカータンク内に前記燃料タンク内の蒸発ガスを送り込み、前記燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる工程と、
前記液化ガス供給ラインを通して前記バンカータンク内から前記燃料タンク内に前記バンカータンク内の前記液化ガスを供給しつつ、前記ガス返送ラインを通して前記燃料タンク内から前記バンカータンク内
の気相に前記燃料タンク内の蒸発ガスを送り込む工程と、を含
み、
前記燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる工程では、
前記燃料タンクの気相から前記燃料タンク内の蒸発ガスを前記バンカータンク内の底部に受け入れることで、前記燃料タンク内の圧力を、前記バンカータンクの許容圧力以下に低下させる
液化ガスの供給方法。
【請求項9】
前記バンカータンク内の底部から前記液化ガスを吸上げ、前記バンカータンク内の気相に吐出することで、前記燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる
請求項
8に記載の液化ガスの供給方法。
【請求項10】
前記燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる工程では、
前記バンカータンク内の気相の圧力が前記バンカータンクの許容圧力以下を維持するように、前記ガス返送ラインを通して前記バンカータンク内の気相に送り込む前記蒸発ガスの送給を調整する
請求項
9に記載の液化ガスの供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バンカー用浮体、液化ガスの供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バンカリング船舶の貯蔵タンクからガス推進船舶の燃料タンクに液化ガスを供給するガス処理システムの構成が開示されている。このガス処理システムは、バンカリングラインと、蒸発ガスリターンラインと、再液化装置(バンカリング管理部)と、を備えている。バンカリングラインは、貯蔵タンクの液化ガスを燃料タンクに供給する。蒸発ガスリターンラインは、バンカリングラインを介したバンカリング時に、燃料タンクで発生する蒸発ガスをバンカリング船舶に伝達する。再液化装置は、貯蔵タンクの蒸発ガスを再液化してリターンして貯蔵タンクの内圧を調整する。再液化装置は、バンカリング前に貯蔵タンクの内圧を設定圧以下に下げ、バンカリング時に貯蔵タンクの内圧を燃料タンクの内圧未満に保持する。また、再液化装置は、バンカリング時に蒸発ガスリターンラインを介して伝達される蒸発ガスを再液化して貯蔵タンクに復帰させることで、貯蔵タンクの内圧を燃料タンクの内圧未満に保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バンカリング船舶の貯蔵タンクからガス推進船舶の燃料タンクに液化ガスを供給するに先立ち、ガス推進船舶の航行中に、燃料タンク内の蒸発ガスの圧力が、貯蔵タンクの許容圧力よりも高まっていることがある。この場合、特許文献1に記載の構成のように、バンカリング時に蒸発ガスリターンラインを介して貯蔵タンクに復帰させることができない。このため、燃料タンク内の蒸発ガスの一部を燃焼させる等して処理し、燃料タンク内の圧力を、貯蔵タンクの許容圧力以下に下げた後、バンカリングを行う必要がある。したがって、燃焼させる蒸発ガスが無駄となってしまうため、液化ガスの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが望まれている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、液化ガスの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことができるバンカー用浮体、液化ガスの供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るバンカー用浮体は、浮体と、バンカータンクと、液化ガス供給ラインと、バンカリングポンプと、ガス返送ラインと、底部受入ラインと、を備える。前記バンカータンクは、前記浮体に設けられている。前記バンカータンクは、液化ガスを収容可能である。前記液化ガス供給ラインの一端は、前記バンカータンク内に配置されている。前記液化ガス供給ラインは、前記バンカータンク外に延びている。前記液化ガス供給ラインの他端は、他船の燃料タンクに接続可能とされている。前記バンカリングポンプは、前記バンカータンク内に設けられている。前記バンカリングポンプは、前記液化ガス供給ラインの一端から他端に向かって前記バンカータンク内の前記液化ガスを圧送可能である。前記ガス返送ラインの一端は、前記バンカータンク外で前記燃料タンクのガス圧送ラインに接続可能とされている。前記ガス返送ラインの他端は、前記バンカータンク内に延びている。前記ガス返送ラインは、前記ガス圧送ラインから圧送される前記燃料タンク内の蒸発ガスを、前記バンカータンク内の気相に送り込む。前記底部受入ラインの一端は、前記バンカータンク外で前記ガス圧送ラインに接続可能とされている。前記底部受入ラインは、前記バンカータンク内に延びている。前記底部受入ラインの他端は、前記バンカータンクの底部に至り、前記ガス圧送ラインから圧送される前記燃料タンク内の蒸発ガスを前記バンカータンクの底部に送り込む。
【0007】
本開示に係るバンカー用浮体は、浮体と、バンカータンクと、液化ガス供給ラインと、バンカリングポンプと、ガス返送ラインと、液化ガス吐出部と、を備える。前記バンカータンクは、前記浮体に設けられている。前記バンカータンクは、液化ガスを収容可能である。前記液化ガス供給ラインの一端は、前記バンカータンク内に配置されている。前記液化ガス供給ラインは、前記バンカータンク外に延びている。前記液化ガス供給ラインの他端は、他船の燃料タンクに接続可能とされている。前記バンカリングポンプは、前記バンカータンク内に設けられている。前記バンカリングポンプは、前記液化ガス供給ラインの一端から他端に向かって前記バンカータンク内の前記液化ガスを圧送可能である。前記ガス返送ラインの一端は、前記バンカータンク外で前記燃料タンクのガス圧送ラインに接続可能とされている。前記ガス返送ラインの他端は、前記バンカータンク内に延びている。前記ガス返送ラインは、前記ガス圧送ラインから圧送される前記燃料タンク内の蒸発ガスを、前記バンカータンク内の気相に送り込む。前記液化ガス吐出部は、前記バンカータンク内の底部から前記液化ガスを吸上げ、前記バンカータンク内の気相に吐出する。
【0008】
本開示に係る液化ガスの供給方法は、バンカー用浮体から他船への液化ガスの供給方法である。前記バンカー用浮体は、浮体、及びバンカータンクを備える。前記バンカータンクは、前記浮体に設けられている。前記バンカータンクは、液化ガスを収容可能である。前記他船は、前記液化ガスを燃料とする。前記他船は、前記液化ガスを収容可能な燃料タンクを備える。前記液化ガスの供給方法は、前記バンカータンクと前記燃料タンクとを接続する工程と、前記燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を低下させる工程と、前記液化ガスを供給する工程と、を含む。前記バンカータンクと前記燃料タンクとを接続する工程は、前記バンカータンクと前記燃料タンクとを、液化ガス供給ラインと、ガス返送ラインとで接続する。前記液化ガス供給ラインは、前記バンカータンク内から前記燃料タンク内に前記バンカータンク内の前記液化ガスを供給可能である。前記ガス返送ラインは、前記燃料タンク内から前記バンカータンク内に前記燃料タンク内の蒸発ガスを供給可能である。前記燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を低下させる工程は、前記ガス返送ラインを通して前記燃料タンク内から前記バンカータンク内に前記燃料タンク内の蒸発ガスを送り込む。前記燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を低下させる工程は、前記燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる。前記液化ガスを供給する工程は、前記液化ガス供給ラインを通して前記バンカータンク内から前記燃料タンク内に前記バンカータンク内の前記液化ガスを供給しつつ、前記ガス返送ラインを通して前記燃料タンク内から前記バンカータンク内に前記燃料タンク内の蒸発ガスを送り込む。
【発明の効果】
【0009】
本開示のバンカー用浮体、液化ガスの供給方法によれば、液化ガスの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る液化ガスの供給方法により液化ガスを供給するバンカー用浮体と他船との概略構成を示す平面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係るバンカー用浮体の構成を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る液化ガスの供給方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本開示の第一実施形態に係る液化ガスの供給方法において、燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を低下させる工程における、バンカー用浮体の状態を示す図である。
【
図5】本開示の第一実施形態に係る液化ガスの供給方法において、液化ガスを供給する工程における、バンカー用浮体の状態を示す図である。
【
図6】本開示の第二実施形態に係るバンカー用浮体の構成を示す図である。
【
図7】本開示の第二実施形態に係る液化ガスの供給方法において、燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を低下させる工程における、バンカー用浮体の状態を示す図である。
【
図8】本開示の第二実施形態に係る液化ガスの供給方法において、液化ガスを供給する工程における、バンカー用浮体の状態を示す図である。
【
図9】本開示の第三実施形態に係るバンカー用浮体の構成を示す図である。
【
図10】本開示の第三実施形態に係る液化ガスの供給方法において、燃料タンク内の蒸発ガスの圧力を低下させる工程における、バンカー用浮体の状態を示す図である。
【
図11】本開示の第三実施形態に係る液化ガスの供給方法において、液化ガスを供給する工程における、バンカー用浮体の状態を示す図である。
【
図12】本開示の第三実施形態に係る液化ガスの供給方法において、液化ガスを供給する工程で、制御弁を制御する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
以下、本開示の実施形態に係るバンカー用浮体、液化ガスの供給方法について、
図1~
図12を参照して説明する。
図1に示すように、この実施形態の液化ガスの供給方法は、バンカー用浮体100Aから、液化ガスを燃料として用いる他船200へと、燃料用の液化ガスを供給する。本実施形態において、燃料としての液化ガスとしては、例えばLNG(液化天然ガス)が挙げられる。液化ガスとしては、LNG以外にも、LPG(液化石油ガス)、アンモニアガス、水素ガス等が挙げられる。
【0012】
(他船の構成)
他船200は、液化ガスを燃料として用いるのであれば、その船種は何ら限定されるものではない。他船200の船種としては、例えば、液化天然ガス(LNG)、二酸化炭素、アンモニア等の液化ガスの運搬船、フェリー、RORO船(Roll-on/Roll-off船)、PCTC(Pure Car & Truck Carrier)、客船等を例示できる。他船200は、船体201と、船体201に設けられた燃料タンク202と、を少なくとも備えている。
【0013】
船体201は、その外殻をなす、一対の舷側203A,203Bと、船底(図示せず)と、上甲板205と、を有している。舷側203A,203Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有する。船底(図示せず)は、これら舷側203A,203Bを接続する船底外板を有する。これら一対の舷側203A,203B及び船底(図示せず)により、船体201の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面において、U字状を成している。船体201は、その内部に、上甲板205を含む、複数層の甲板を備えている。上甲板205は、最上層に配置される全通甲板である。上甲板205上には、上部構造207が設けられている。上部構造207は、船体201の船尾201b側の上甲板205上に形成されている。上部構造207は、居住区を有している。
【0014】
船体201内には、原動機(図示せず)が設けられている。原動機は、燃料タンク202から供給される液化ガスを燃料として駆動される。本実施形態において、原動機は、例えば、主機、及び補機である。主機としての原動機は、他船200を航行させる推進力を発揮する。補機としての原動機は、他船200内で使用される動力を発生する。本実施形態では、補機としての原動機は、例えば、発電機(図示せず)を駆動させるための発電機用エンジンである。原動機としては、例えば、蒸気タービン、ガスタービン、レシプロエンジン等を用いることができる。
【0015】
燃料タンク202は、原動機(図示せず)の燃料となる液化ガスを貯留する。燃料タンク202は、船体201に設けられている。本実施形態において、燃料タンク202は、船体201内に設けられている。燃料タンク202は、例えば、上甲板205上に設けられていてもよい。また、本実施形態において、燃料タンク202は、例えば、水平方向に延びる円筒状である。なお、燃料タンク202は、円筒状に限られるものではなく、球形状等であってもよい。
【0016】
図2に示すように、燃料タンク202には、液化ガス受入ライン211と、ガス圧送ライン212と、が接続されている。
液化ガス受入ライン211は、バンカー用浮体100Aから供給される、燃料としての液化ガスLを受け入れ、燃料タンク202に送り込む。液化ガス受入ライン211の一端211aは、後に詳述するバンカー用浮体100Aの液化ガス供給ライン110に接続可能とされている。液化ガス受入ライン211は、燃料タンク202内に延びている。液化ガス受入ライン211の他端211bは、燃料タンク202内に配置されている。液化ガス受入ライン211は、その流路を開閉する開閉弁211vを備えている。
【0017】
ガス圧送ライン212は、燃料タンク202内で蒸発した液化ガスである蒸発ガスGを、バンカー用浮体100Aに圧送する。燃料タンク202内には、液状の液化ガスLと、液化ガスLが蒸発することで生成された蒸発ガスGとが貯留されている。液化ガスLは、燃料タンク202内で下部に貯留されている。蒸発ガスGは、燃料タンク202内で、液化ガスLの上部に貯留されている。ガス圧送ライン212の一端212aは、燃料タンク202内の頂部に配置されている。ガス圧送ライン212は、燃料タンク202の外部に延びている。ガス圧送ライン212の他端212bは、詳細を後述するバンカー用浮体100Aのガス返送ライン120に接続可能とされている。ガス圧送ライン212は、その流路を開閉する開閉弁212vを備えている。
【0018】
(バンカー用浮体の構成)
図1に示すように、バンカー用浮体100Aは、他船200の燃料タンク202に、液化ガスを供給する。本実施形態において、バンカー用浮体100Aは、例えばバンカー船である。バンカー用浮体100Aは、バンカー船に限らず、自力航行不能な浮体であってもよい。
本実施形態におけるバンカー用浮体100Aは、船体としての浮体本体101と、浮体本体101に設けられたバンカータンク102と、を備えている。
【0019】
船体としての浮体本体101は、その外殻をなす、一対の舷側103A,103Bと、船底(図示せず)と、上甲板105と、を有している。舷側103A,103Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有する。船底(図示せず)は、これら舷側103A,103Bを接続する船底外板を有する。これら一対の舷側103A,103B及び船底(図示せず)により、浮体本体101の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面において、U字状を成している。浮体本体101は、その内部に、上甲板105を含む、複数層の甲板を備えている。上甲板105は、最上層に配置される全通甲板である。上甲板105上には、上部構造107が設けられている。上部構造107は、浮体本体101の船尾101b側の上甲板105上に形成されている。
【0020】
バンカータンク102は、他船200に供給するための液化ガスを収容可能である。バンカータンク102は、浮体本体101に設けられている。本実施形態において、バンカータンク102は、浮体本体101内に設けられている。バンカータンク102は、例えば、上甲板105上に設けられていてもよい。また、本実施形態において、バンカータンク102は、例えば、水平方向に延びる円筒状である。なお、バンカータンク102は、円筒状に限られるものではなく、球形状等であってもよい。
【0021】
図2に示すように、バンカータンク102には、液化ガス供給ライン110と、ガス返送ライン120と、底部受入ライン140Aと、が接続されている。
液化ガス供給ライン110は、バンカータンク102内の液化ガスLを他船200に供給する。液化ガス供給ライン110の一端110aは、バンカータンク102内に配置されている。液化ガス供給ライン110の一端110aは、バンカータンク102内の底部に配置されている。ここで、底部とは、バンカータンク102内の液相中であって、バンカータンク102内の最も下方の位置に近い位置を意味しており、例えば、バンカータンク102の上下方向中央よりも下方や、バンカータンク102の上下方向の寸法を1とした場合、下から1/4の位置よりも下方を挙げることができる。
【0022】
液化ガス供給ライン110は、バンカータンク102の外部に延びている。液化ガス供給ライン110の他端110bは、他船200の燃料タンク202の液化ガス受入ライン211の一端211aに接続可能、言い換えれば着脱可能とされている。液化ガス供給ライン110の他端110b側には、その流路を開閉する開閉弁110vが設けられている。液化ガス供給ライン110の一端110a側には、その流路を開閉する開閉弁110gが設けられている。
【0023】
また、液化ガス供給ライン110の一端110aには、バンカリングポンプ115が設けられている。バンカリングポンプ115は、バンカータンク102内に設けられている。バンカリングポンプ115は、バンカータンク102内の液化ガスLを吸上げる。バンカリングポンプ115は、液化ガス供給ライン110の一端110aから他端110bに向かって、吸い上げた液化ガスLを圧送可能である。
【0024】
液化ガス供給ライン110には、一端110a側の開閉弁110gと、他端110b側の開閉弁110vとの間で、積込配管(第一配管)111と、吐出管112と、が接続されている。
【0025】
積込配管111は、陸上施設等の外部からバンカータンク102内に液化ガスLを積み込む際に使用されるもので、バンカータンク102の外部から内部に延びている。積込配管111の下端(一端)111aは、バンカータンク102内の底部に配置されている。積込配管111は、その流路を開閉する開閉弁111vを備えている。
【0026】
吐出管112の下端112aは、バンカータンク102内の上部の気相に配置されている。吐出管112は、その流路を開閉する開閉弁112vを備えている。この吐出管112は、液化ガス吐出部160の一部を構成する。
液化ガス吐出部160は、液化ガス供給ライン110における一端110a側の一部110pと、吸上げポンプとしてのバンカリングポンプ115と、吐出管112と、により構成されている。液化ガス供給ライン110における一端110a側の一部110pとは、液化ガス供給ライン110において、一端110aから、液化ガス供給ライン110に吐出管112が接続されている位置までの部分である。液化ガス吐出部160は、開閉弁110g、及び開閉弁112vを開き、液化ガス供給ライン110における一端110a側と、吐出管112とを連通させた状態で、バンカリングポンプ115を作動させる。すると、液化ガス供給ライン110の一端110aから、バンカータンク102内の底部の液化ガスLが吸い上げられる。吸い上げられた液化ガスLは、吐出管112の下端112aから、バンカータンク102内の気相の蒸発ガスG中に吐出される。吐出された液化ガスLが、蒸発ガスGに接触することで、蒸発ガスGが冷却される。
【0027】
ガス返送ライン120は、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102内に返送する。ガス返送ライン120の一端120aは、バンカータンク102の外部でガス圧送ライン212の他端212bに着脱可能とされている。ガス返送ライン120は、バンカータンク102内に延びている。ガス返送ライン120の他端120bは、バンカータンク102内の上部の気相に配置されている。ガス返送ライン120は、ガス圧送ライン212から圧送される燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102内の上部の気相に送り込む。ガス返送ライン120の一端120a側には、その流路を開閉する開閉弁120vが設けられている。ガス返送ライン120の他端120b側には、その流路を開閉する開閉弁120gが設けられている。
【0028】
底部受入ライン140Aは、燃料タンク202からガス返送ライン120を通して返送される燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102内の底部に送り込む。底部受入ライン140Aは、接続配管150と、切換弁150vと、を少なくとも備えている。本実施形態における底部受入ライン140Aは、接続配管150と、切換弁150vと、液化ガス供給ライン110のうち接続配管150と積込配管との間の一部110mと、積込配管111と、により構成されている。ここで、底部とは、バンカータンク102内の液相中であって、上記と同様に、バンカータンク102内の最も下方の位置に近い位置を意味しており、例えば、バンカータンク102の上下方向中央よりも下方や、バンカータンク102の上下方向の寸法を1とした場合、下から1/4の位置よりも下方を挙げることができる。
【0029】
接続配管150は、ガス返送ライン120と積込配管111とを接続可能としている。接続配管150の一端は、開閉弁120vと、開閉弁120gとの間で、ガス返送ライン120に接続されている。接続配管150の他端は、他端110b側の開閉弁110vと、積込配管111の開閉弁111vとの間で、液化ガス供給ライン110に接続されている。なお、接続配管150の他端は、積込配管111の開閉弁111vと、積込配管111の下端111aとの間で、積込配管111に接続されていてもよい。
【0030】
切換弁150vは、接続配管150の流路を開閉する。切換弁150v、及び開閉弁111vを開くと、ガス返送ライン120と積込配管111とが、液化ガス供給ライン110の一部110mを介して接続される。つまり、切換弁150vは、ガス返送ライン120から積込配管111への蒸発ガスGの送給を断続する。底部受入ライン140Aは、切換弁150v、及び開閉弁111vを開くことによって、ガス返送ライン120から、接続配管150を介して積込配管111に蒸発ガスGを送り込む。積込配管111に送り込まれた蒸発ガスGは、積込配管111の下端111aから、バンカータンク102内の液化ガスL中に吐出される。吐出された蒸発ガスGは、液化ガスLに溶け込んで凝縮される。なお、積込配管111の開閉弁111vと、積込配管111の下端111aとの間で、接続配管150の他端が積込配管111に接続されている場合は、開閉弁111vを開く必要はない。
【0031】
(液化ガスの供給方法の手順)
次に、上記したバンカー用浮体100Aから他船200への、液化ガスLの供給方法について説明する。
図3に示すように、本実施形態における液化ガスLの供給方法は、バンカータンク102と燃料タンク202とを接続する工程S11と、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S12と、液化ガスLを供給する工程S13と、を含んでいる。
【0032】
バンカータンク102と燃料タンク202とを接続する工程S11では、
図2に示すように、バンカータンク102と燃料タンク202とを、液化ガス供給ライン110と、ガス返送ライン120とを介して接続する。液化ガス供給ライン110は、他端110bを液化ガス受入ライン211の一端211aに接続させる。ガス返送ライン120は、一端120aをガス圧送ライン212の他端212bに接続させる。このとき、開閉弁110v,110g,111v,112v,120v,120g,211v,212v、及び、切換弁150vは、全て閉じておくようにしてもよい。
ここで、工程S11の直前の状態において、燃料タンク202内は、他船200の航行中に燃料タンク202の外部からの入熱によって、蒸発ガスGの圧力、及び温度が、バンカータンク102内の気相の圧力、及び温度よりも大幅に上昇しているものとする。
【0033】
工程S11の完了後、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S12に移行する。この工程S12では、ガス返送ライン120を通して燃料タンク202内からバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込む。本実施形態では、
図4に示すように、開閉弁111v,120v,212v、及び切換弁150vのみを開く。すると、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGが、バンカータンク102内の底部の液化ガスL中に流れ込む。バンカータンク102内の底部においては、バンカータンク102内の液化ガスLの温度分布により、液化ガスLの温度が特に低い。液化ガスL中に流れ込んだ蒸発ガスGは、液化ガスLと接触することで凝縮する。このように、蒸発ガスGを、バンカータンク102に送り込むことで、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力が低下し、これにともなって蒸発ガスGの温度も低下する。一方、バンカータンク102内においては、液化ガスLに蒸発ガスGが溶け込むことで、液化ガスLの圧力が上昇し、これにともなって液化ガスLの温度も上昇する。この工程S12は、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力が、所定の上限圧力(閾値)以下に低下するまで継続する。例えば、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力、及び温度と、バンカータンク102内の液化ガスLの圧力、及び温度が、ほぼ平衡状態となるまで、工程S12を継続してもよい。
【0034】
工程S12の完了後、液化ガスLを供給する工程S13に移行する。この工程S13では、
図5に示すように、開閉弁111v,112v、及び切換弁150vのみを閉じ、他の開閉弁110v,110g,120v,120g,211v,212vを開く。この状態で、バンカリングポンプ115を作動させる。すると、液化ガス供給ライン110の一端110aから、バンカータンク102内の液化ガスLが吸い上げられる。吸い上げられた液化ガスLは、液化ガス供給ライン110を通してバンカータンク102内から燃料タンク202内に供給される。また、液化ガスLが燃料タンク202に供給されることによって、燃料タンク202内の蒸発ガスGが、燃料タンク202外に押し出される。押し出された蒸発ガスGは、一端212aからガス圧送ライン212内に流入し、ガス返送ライン120を通して、バンカータンク102内に送り込まれる。このとき、工程S12で、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させているので、蒸発ガスGをバンカータンク102内に送り込むことで、バンカータンク102の圧力が過度に上昇して許容圧力を超えてしまうことを抑制できる。所定量の液化ガスLを、バンカータンク102内から燃料タンク202内に供給したら、工程S13を終了する。
【0035】
なお、工程S13の実行中に、例えば、バンカータンク102内の圧力が上昇した場合、開閉弁112vを開き、液化ガス吐出部160により、バンカータンク102内の底部の液化ガスLを吸い上げ、吐出管112の下端112aから、バンカータンク102内の気相の蒸発ガスG中に吐出させてもよい。液化ガス吐出部160は、液化ガス供給ライン110の一端110aから、バンカータンク102内の底部の液化ガスLを吸い上げ、吸い上げた液化ガスLを、吐出管112の下端112aからバンカータンク102内の気相の蒸発ガスG中に吐出する。吐出された液化ガスLが、蒸発ガスGに接触することで、蒸発ガスGが冷却され、バンカータンク102内の圧力が低下する。
【0036】
(作用効果)
上記実施形態のバンカー用浮体100Aは、バンカータンク102と、液化ガス供給ライン110と、バンカリングポンプ115と、ガス返送ライン120と、を備えている。このようなバンカー用浮体100Aにおいて、バンカータンク102から他船200の燃料タンク202に液化ガスLを供給する場合、バンカータンク102と燃料タンク202とを、液化ガス供給ライン110とガス返送ライン120とで接続する。バンカリングポンプ115で、液化ガス供給ライン110の一端110aから他端110bに向かってバンカータンク102内の液化ガスLを圧送することで、液化ガスLがバンカータンク102から燃料タンク202に供給される。液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202に供給すると、燃料タンク202内の蒸発ガスGが押し出される。押し出された蒸発ガスGは、燃料タンク202のガス圧送ライン212からガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に圧送される。
また、バンカータンク102外で燃料タンク202のガス圧送ライン212に接続される底部受入ライン140Aを通して、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカーラインの底部に送り込むことができる。これにより、燃料タンク202内の圧力がバンカータンク102内の圧力よりも高い場合、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に送り込むことができる。蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、燃料タンク202内の圧力を低下させることができる。蒸発ガスGは、バンカータンク102内の底部の液化ガスL中で凝縮される。また、蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、バンカータンク102内の圧力が上昇する。このようにして、燃料タンク202内の圧力を低下させた状態で、液化ガス供給ライン110を通して、バンカータンク102内の液化ガスLを燃料タンク202に供給することができる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行う必要が無く、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0037】
また、燃料タンク202内の気相の圧力がバンカータンク102内の気相の圧力よりも高い状態で、底部受入ライン140Aにより、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に受け入れる。このように、蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、燃料タンク202内の圧力を低下させることができる。また、蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、バンカータンク102内の圧力が上昇し、燃料タンク202とバンカータンク102との差圧が小さくなる。この状態で、液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202へと供給することで、液化ガスLの供給を円滑に行うことができる。
【0038】
また、底部受入ライン140Aが、ガス返送ライン120と液化ガス供給ライン110の積込配管111とを接続する接続配管150と、切換弁150vと、を備えている。底部受入ライン140Aにより、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に受け入れる際には、ガス返送ライン120と積込配管111とが接続されるように、切換弁150vを操作する。燃料タンク202内の蒸発ガスGは、ガス圧送ライン212からガス返送ライン120、接続配管150を経て、積込配管111を通して、バンカータンク102の底部に送り込まれる。このように、液化ガス供給ライン110が備える積込配管111を利用することで、燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に送り込むための専用のラインを設ける必要が無く、コストに低減を図ることができる。
【0039】
上記実施形態の液化ガスLの供給方法S10では、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S12において、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込み、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を所定の上限圧力以下に低下させている。その後、液化ガスLを供給する工程S13において、液化ガス供給ライン110を通して燃料タンク202内にバンカータンク102内の液化ガスLを供給しつつ、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込んでいる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行うことなく、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0040】
また、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S12では、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102の底部に送り込むことで、蒸発ガスGが、バンカータンク102内の底部の液化ガスL中で凝縮される。これにより、バンカータンク102内の圧力が過度に上昇することを抑えつつ、燃料タンク202内の圧力を、所定の上限圧力以下に低下させることができる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行う必要が無く、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。
【0041】
<第二実施形態>
次に、本開示に係るバンカー用浮体、液化ガスの供給方法の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態とバンカー用浮体の一部の構成のみが異なるので、
図1、
図3を援用し、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図6に示すように、この第二実施形態のバンカー用浮体100Bは、上記第一実施形態における底部受入ライン140Aとしての接続配管150、及び切換弁150vに代えて、以下に示すような底部受入ライン140Bを備えている。
【0042】
底部受入ライン140Bは、第二配管としての底部延出配管170を少なくとも備えている。本実施形態の底部受入ライン140Bは、底部延出配管170と、開閉弁170vとを備えている。底部延出配管170は、ガス返送ライン120から分岐し、バンカータンク102内の底部に延びている。底部延出配管170は、ガス返送ライン120において、一端120a側の開閉弁120vと、他端120b側の開閉弁120vとの間で、ガス返送ライン120から分岐している。開閉弁170vは、底部延出配管170の流路を開閉する。底部受入ライン140Bは、開閉弁170vを開くと、燃料タンク202からガス返送ライン120を通して返送される燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102内の底部に送り込む。
【0043】
(液化ガスの供給方法の手順)
次に、上記したバンカー用浮体100Bから他船200への、液化ガスLの供給方法について説明する。
図3に示すように、本実施形態における液化ガスLの供給方法は、バンカータンク102と燃料タンク202とを接続する工程S21と、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S22と、液化ガスLを供給する工程S23と、を含んでいる。
【0044】
バンカータンク102と燃料タンク202とを接続する工程S21では、
図6に示すように、バンカータンク102と燃料タンク202とを、液化ガス供給ライン110と、ガス返送ライン120とで接続する。液化ガス供給ライン110は、他端110bを液化ガス受入ライン211の一端211aに接続させる。ガス返送ライン120は、一端120aをガス圧送ライン212の他端212bに接続させる。このとき、開閉弁110v,110g,111v,112v,120v,120g,211v,212v、及び、切換弁150vは、全て閉じておくようにしてもよい。
ここで、工程S21の直前の状態において、燃料タンク202内は、他船200の航行中に燃料タンク202の外部からの入熱によって、蒸発ガスGの圧力、及び温度が、バンカータンク102内の気相の圧力、及び温度よりも大幅に上昇しているものとする。
【0045】
工程S21の完了後、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S22に移行する。この工程S22では、ガス返送ライン120を通して燃料タンク202内からバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込む。本実施形態では、
図7に示すように、開閉弁170v,120v,212vのみを開く。すると、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGが、底部受入ライン140Bの底部延出配管170を通して、バンカータンク102内の底部の液化ガスL中に流れ込む。バンカータンク102内の底部においては、バンカータンク102内の液化ガスLの温度分布により、液化ガスLの温度が特に低い。液化ガスL中に流れ込んだ蒸発ガスGは、液化ガスLと接触することで凝縮する。このように、蒸発ガスGを、バンカータンク102に送り込むことで、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力が低下し、これにともなって蒸発ガスGの温度も低下する。一方、バンカータンク102内においては、液化ガスLに蒸発ガスGが溶け込むことで、液化ガスLの圧力上昇を抑えつつ、蒸発ガスGを受け入れることができる。この工程S22は、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力が、所定の上限圧力(閾値)以下に低下するまで継続する。例えば、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力、及び温度と、バンカータンク102内の液化ガスLの圧力、及び温度が、ほぼ平衡状態となるまで、工程S22を継続してもよい。
【0046】
工程S22の完了後、液化ガスLを供給する工程S23に移行する。この工程S23では、
図8に示すように、開閉弁170v,111v,112vのみを閉じ、他の開閉弁110v,110g,120v,120g,211v,212vを開く。この状態で、バンカリングポンプ115を作動させる。すると、液化ガス供給ライン110の一端110aから、バンカータンク102内の液化ガスLが吸い上げられる。吸い上げられた液化ガスLは、液化ガス供給ライン110を通してバンカータンク102内から燃料タンク202内に供給される。また、液化ガスLが燃料タンク202に供給されることによって、燃料タンク202内の蒸発ガスGが、燃料タンク202外に押し出される。押し出された蒸発ガスGは、一端212aからガス圧送ライン212内に流入し、ガス返送ライン120を通して、バンカータンク102内に送り込まれる。このとき、工程S22で、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させているので、蒸発ガスGをバンカータンク102内に送り込むことで、バンカータンク102の圧力が過度に上昇して許容圧力を超えてしまうことを抑制できる。所定量の液化ガスLを、バンカータンク102内から燃料タンク202内に供給したら、工程S23を終了する。
【0047】
なお、工程S23の実行中に、例えば、バンカータンク102内の圧力が上昇した場合、開閉弁112vを開き、液化ガス吐出部160により、バンカータンク102内の底部の液化ガスLを吸い上げ、吐出管112の下端112aから、バンカータンク102内の気相の蒸発ガスG中に吐出させてもよい。液化ガス吐出部160は、液化ガス供給ライン110の一端110aから、バンカータンク102内の底部の液化ガスLを吸い上げ、吸い上げた液化ガスLを、吐出管112の下端112aからバンカータンク102内の気相の蒸発ガスG中に吐出する。吐出された液化ガスLが、蒸発ガスGに接触することで、蒸発ガスGが冷却され、バンカータンク102内の圧力が低下する。
【0048】
(作用効果)
上記実施形態のバンカー用浮体100Bでは、バンカータンク102と、液化ガス供給ライン110と、バンカリングポンプ115と、ガス返送ライン120と、を備えている。このようなバンカー用浮体100Bにおいて、バンカータンク102から他船200の燃料タンク202に液化ガスLを供給する場合、バンカータンク102と燃料タンク202とを、液化ガス供給ライン110とガス返送ライン120とで接続する。バンカリングポンプ115で、液化ガス供給ライン110の一端110aから他端110bに向かってバンカータンク102内の液化ガスLを圧送することで、液化ガスLがバンカータンク102から燃料タンク202に供給される。液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202に供給すると、燃料タンク202内の蒸発ガスGが押し出される。押し出された蒸発ガスGは、燃料タンク202のガス圧送ライン212からガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に圧送される。
また、バンカータンク102外で燃料タンク202のガス圧送ライン212に接続される底部受入ライン140Bを通して、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102の底部に送り込むことができる。これにより、燃料タンク202内の圧力がバンカータンク102内の圧力よりも高い場合、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に送り込むことができる。蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、燃料タンク202内の圧力を低下させることができる。蒸発ガスGは、バンカータンク102内の底部の液化ガスL中で凝縮される。このようにして、燃料タンク202内の圧力を低下させた状態で、液化ガス供給ライン110を通して、バンカータンク102内の液化ガスLを燃料タンク202に供給することができる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行う必要が無く、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0049】
また、燃料タンク202内の気相の圧力がバンカータンク102内の気相の圧力よりも高い状態で、底部受入ライン140Bにより、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に受け入れる。このように、蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、燃料タンク202内の圧力を低下させることができる。また、蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、バンカータンク102内の圧力が上昇し、燃料タンク202とバンカータンク102との差圧が小さくなる。この状態で、液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202へと供給することで、液化ガスLの供給を円滑に行うことができる。
【0050】
また、底部受入ライン140Bが、ガス返送ライン120から分岐する底部延出配管170を備えている。底部受入ライン140Bにより、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に受け入れる際には、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、ガス圧送ライン212からガス返送ライン120、底部延出配管170を経て、バンカータンク102の底部に送り込むことができる。このように、底部受入ライン140Bが、ガス返送ライン120から分岐する底部延出配管170を備えている。底部受入ライン140Bでは、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に送り込むために、専用の底部延出配管170を設けることで、底部延出配管170の設計自由度が高まる。例えば、底部延出配管170を、積込配管111よりも細くすることで、バンカータンク102の液化ガスLと、底部延出配管170中の蒸発ガスGとの熱交換効率を高めることができる。
【0051】
上記実施形態の液化ガスLの供給方法S20では、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S22において、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込み、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を所定の上限圧力以下に低下させている。その後、液化ガスLを供給する工程S23において、液化ガス供給ライン110を通して燃料タンク202内にバンカータンク102内の液化ガスLを供給しつつ、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込んでいる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行うことなく、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0052】
また、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S22では、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102の底部に送り込むことで、蒸発ガスGは、バンカータンク102内の底部の液化ガスL中で凝縮される。これにより、燃料タンク202内の圧力を、所定の上限圧力(閾値)以下に低下させることができる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行う必要が無く、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。
【0053】
<第三実施形態>
次に、本開示に係るバンカー用浮体、液化ガスの供給方法の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第一、第二実施形態とバンカー用浮体の一部の構成のみが異なるので、
図1、
図3を援用し、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図9に示すように、この実施形態のバンカー用浮体100Cは、上記第一、第二実施形態における底部受入ライン140A,140Bに代えて、以下に示すような制御弁180、及びコントローラ190を備えている。
【0054】
本実施形態におけるバンカー用浮体100Cは、液化ガス吐出部160と、制御弁180と、コントローラ190と、を備えている。
【0055】
液化ガス吐出部160は、液化ガス供給ライン110における一端110a側の一部110pと、吸上げポンプとしてのバンカリングポンプ115と、吐出管112と、により構成されている。液化ガス吐出部160は、開閉弁110g、及び開閉弁112vを開き、液化ガス供給ライン110における一端110a側と、吐出管112とを連通させた状態で、バンカリングポンプ115を作動させる。すると、液化ガス供給ライン110の一端110aから、バンカータンク102内の底部の液化ガスLが吸い上げられる。吸い上げられた液化ガスLは、吐出管112の下端112aから、バンカータンク102内の気相の蒸発ガスG中に吐出される。吐出された液化ガスLが、蒸発ガスGに接触することで、蒸発ガスGが冷却される。
【0056】
制御弁180は、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内の気相に送り込む蒸発ガスGの送給を調整する。制御弁180は、ガス返送ライン120に設けられた開閉弁120gを迂回するバイパスライン181に設けられている。
コントローラ190は、バンカータンク102内の気相の圧力がバンカータンク102の許容圧力以下を維持するように、制御弁180を制御する。コントローラ190は、バンカータンク102内の圧力を検出する圧力センサ192から、バンカータンク102内の圧力の検出値を定期的に受け取る。コントローラ190は、受け取ったバンカータンク102の圧力値に基づき、制御弁180の開閉、または制御弁180の開度を調整する。コントローラ190は、バンカータンク102の圧力値が、バンカータンク102の許容圧力以下を維持するように、制御弁180の動作を制御する。
【0057】
(液化ガスの供給方法の手順)
次に、上記したバンカー用浮体100Cから他船200への、液化ガスLの供給方法について説明する。
図3に示すように、本実施形態における液化ガスLの供給方法は、バンカータンク102と燃料タンク202とを接続する工程S31と、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S32と、液化ガスLを供給する工程S33と、を含む。
【0058】
バンカータンク102と燃料タンク202とを接続する工程S31では、
図9に示すように、バンカータンク102と燃料タンク202とを、液化ガス供給ライン110と、ガス返送ライン120とで接続する。液化ガス供給ライン110は、他端110bを液化ガス受入ライン211の一端211aに接続させる。ガス返送ライン120は、一端120aをガス圧送ライン212の他端212bに接続させる。このとき、開閉弁110v,110g,111v,112v,120v,120g,211v,212v、及び、制御弁180は、全て閉じておくのが好ましい。
ここで、工程S31の直前の状態において、燃料タンク202内は、他船200の航行中に燃料タンク202の外部からの入熱によって、蒸発ガスGの圧力、及び温度が、バンカータンク102内の気相の圧力、及び温度よりも大幅に上昇しているものとする。
【0059】
工程S31の完了後、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S32に移行する。この工程S32では、ガス返送ライン120を通して燃料タンク202内からバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込む。本実施形態では、
図10に示すように、開閉弁120v,120g,212vのみを開く。すると、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGが、ガス返送ライン120を通して、バンカータンク102内の上部の気相中に流れ込む。これにより、燃料タンク202内の圧力が低下する。
一方、蒸発ガスGをバンカータンク102内の気相に送り込むと、バンカータンク102内の気相の圧力が高まる。この気相の圧力上昇によって、バンカータンク102内の液相(液化ガスL)が加圧され、液化ガスLの圧力が高まり、液化ガスLが過冷却状態となる。
【0060】
工程S32の完了後、液化ガスLを供給する工程S33に移行する。この工程S33では、
図12に示すように、開閉弁111v,120gのみを閉じ、他の開閉弁110v,110g,112v,120v,211v,212v、及び制御弁180を開く。この状態で、バンカリングポンプ115を作動させる。すると、液化ガス供給ライン110の一端110aから、バンカータンク102内の液化ガスLが吸い上げられる。吸い上げられた液化ガスLは、液化ガス供給ライン110を通してバンカータンク102内から燃料タンク202内に供給される。また、液化ガスLが燃料タンク202に供給されることによって、燃料タンク202内の蒸発ガスGが、燃料タンク202外に押し出される。押し出された蒸発ガスGは、一端212aからガス圧送ライン212内に流入し、ガス返送ライン120を通して、バンカータンク102内に送り込まれる。
【0061】
工程S33では、液化ガス吐出部160が、バンカータンク102内の底部から吸い上げる液化ガスLの一部を、バンカータンク102内の気相に吐出する。バンカータンク102内の底部においては、バンカータンク102内の液化ガスLが過冷却状態となっている。このように、過冷却状態の液化ガスLを吸い上げてバンカータンク102内の気相に吐出することで、バンカータンク102内の蒸発ガスGが凝縮して再液化する。また、バンカータンク102内の気相を形成する蒸発ガスGの温度が低下するので、バンカータンク102内の圧力上昇が抑えられる。これにより、燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれる蒸発ガスGを、良好に受け入れることができる。
【0062】
さらに、工程S33では、コントローラ190は、バンカータンク102内の圧力を検出する圧力センサ192から、バンカータンク102内の圧力の検出値を定期的に受け取る。コントローラ190は、受け取ったバンカータンク102の圧力値に基づき、バンカータンク102の圧力値が、バンカータンク102の許容圧力以下を維持するように、制御弁180の動作を制御する。具体的には、例えば、
図12に示すように、コントローラ190は、所定の時間間隔毎に、バンカータンク102内の圧力の検出値を取得する(ステップS1)。次いで、コントローラ190は、ステップS1で取得したバンカータンク102内の圧力の検出値が、バンカータンク102の許容圧力を超えたか否かを確認する(ステップS2)。ステップS2において、バンカータンク102内の圧力の検出値が、バンカータンク102の許容圧力を超えていた場合、コントローラ190は、制御弁180を閉じる(ステップS3)。これにより、燃料タンク202からバンカータンク102への蒸発ガスGの供給が停止される。なお、このステップS2では、制御弁180の開度を閉じる方向に調整するようにしても良い。これにより、燃料タンク202からバンカータンク102への蒸発ガスGの供給量が低下する。一方、ステップS2において、バンカータンク102内の圧力の検出値が、バンカータンク102の許容圧力を超えていなかった場合、コントローラ190は、制御弁180の開度を維持する(ステップS4)。このような一連の手順を、所定時間毎に繰り返すことで、コントローラ190は、バンカータンク102内の気相の圧力を、バンカータンク102の許容圧力以下に維持する。
このようにして、工程S33においては、バンカータンク102内の蒸発ガスGの圧力が過度に高まるのを抑えつつ、燃料タンク202の蒸発ガスGをバンカータンク102に送り込み、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させている。
所定量の液化ガスLを、バンカータンク102内から燃料タンク202内に供給したら、工程S33を終了する。
【0063】
(作用効果)
上記実施形態のバンカー用浮体100Cでは、バンカータンク102と、液化ガス供給ライン110と、バンカリングポンプ115と、ガス返送ライン120と、を備えている。このようなバンカー用浮体100Cにおいて、バンカータンク102から他船200の燃料タンク202に液化ガスLを供給する場合、バンカータンク102と燃料タンク202とを、液化ガス供給ライン110とガス返送ライン120とで接続する。バンカリングポンプ115で、液化ガス供給ライン110の一端110aから他端110bに向かってバンカータンク102内の液化ガスLを圧送することで、液化ガスLがバンカータンク102から燃料タンク202に供給される。液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202に供給すると、燃料タンク202内の蒸発ガスGが押し出される。押し出された蒸発ガスGは、燃料タンク202のガス圧送ライン212からガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に圧送される。
また、液化ガス吐出部160が、バンカータンク102内の底部から液化ガスLを吸上げ、バンカータンク102内の気相に吐出することで、バンカータンク102内の気相を形成する蒸発ガスGの温度を低下させ、液化を促進させることができる。これにより、バンカータンク102内の蒸発ガスGの圧力を抑えることができる。したがって、バンカータンク102から他船200の燃料タンク202に液化ガスLを供給する際、液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202に供給するにともなって、燃料タンク202内から押し出される蒸発ガスGを、バンカータンク102の圧力上昇を抑えつつ受け入れることが可能となる。これにより、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行うことなく、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0064】
また、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内の気相に送り込む蒸発ガスGの送給を調整する制御弁180を、コントローラ190で制御することによって、バンカータンク102内の気相の圧力がバンカータンク102の許容圧力以下を維持するようにしながら、燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102に送り込むことができる。
【0065】
上記実施形態の液化ガスLの供給方法S30では、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込むことで、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を所定の上限圧力(閾値)以下に低下させる。これにより、液化ガスLを供給する工程S33において、液化ガス供給ライン110を通して燃料タンク202内にバンカータンク102内の液化ガスLを供給しつつ、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを、円滑に送り込むことができる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行うことなく、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0066】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記第三実施形態では、制御弁180を、コントローラ190で制御することによって、バンカータンク102内の気相の圧力がバンカータンク102の許容圧力以下を維持するようにしながら、燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102に送り込むようにした。このような構成は、上記第一、第二実施形態に示した構成に組み合わせ、同様に適用可能である。
また、上記の液化ガスの供給方法S10,S20,S30の手順は、適宜変更してもよい。
【0067】
<付記>
各実施形態に記載のバンカー用浮体100A,100B,100C、液化ガスLの供給方法S10,S20,S30は、例えば以下のように把握される。
【0068】
(1)第1の態様に係るバンカー用浮体100A,100Bは、浮体本体101と、前記浮体本体101に設けられ、液化ガスLを収容可能なバンカータンク102と、一端110aが前記バンカータンク102内に配置されるとともに、前記バンカータンク102外に延びて、他端110bが他船200の燃料タンク202に接続可能とされた液化ガス供給ライン110と、前記バンカータンク102内に設けられて、前記液化ガス供給ライン110の一端110aから他端110bに向かって前記バンカータンク102内の前記液化ガスLを圧送可能なバンカリングポンプ115と、一端120aが前記バンカータンク102外で前記燃料タンク202のガス圧送ライン212に接続可能とされ、他端120bが前記バンカータンク102内に延び、前記ガス圧送ライン212から圧送される前記燃料タンク202内の蒸発ガスGを、前記バンカータンク102内の気相に送り込むガス返送ライン120と、一端が前記バンカータンク102外で前記燃料タンク202のガス圧送ライン212に接続可能とされ、前記バンカータンク102内に延びて、他端111aが前記バンカータンク102の底部に至る底部受入ライン140A,140Bと、を備える。
【0069】
このバンカー用浮体100A,100Bは、バンカータンク102と、液化ガス供給ライン110と、バンカリングポンプ115と、ガス返送ライン120と、を備えている。このようなバンカー用浮体100Aにおいて、バンカータンク102から他船200の燃料タンク202に液化ガスLを供給する場合、バンカータンク102と燃料タンク202とを、液化ガス供給ライン110とガス返送ライン120とで接続する。バンカリングポンプ115で、液化ガス供給ライン110の一端110aから他端110bに向かってバンカータンク102内の液化ガスLを圧送することで、液化ガスLがバンカータンク102から燃料タンク202に供給される。液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202に供給すると、燃料タンク202内の蒸発ガスGが押し出される。押し出された蒸発ガスGは、燃料タンク202のガス圧送ライン212からガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に圧送される。
また、バンカータンク102外で燃料タンク202のガス圧送ライン212に接続される底部受入ライン140A,140Bを通して、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102の底部に送り込むことができる。これにより、燃料タンク202内の圧力がバンカータンク102内の圧力よりも高い場合、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に送り込むことができる。蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、燃料タンク202内の圧力を低下させることができる。蒸発ガスGは、バンカータンク102内の底部の液化ガスL中で凝縮される。このようにして、燃料タンク202内の圧力を低下させた状態で、液化ガス供給ライン110を通して、バンカータンク102内の液化ガスLを燃料タンク202に供給することができる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行う必要が無く、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0070】
(2)第2の態様に係るバンカー用浮体100A,100Bは、(1)のバンカー用浮体100A,100Bであって、前記底部受入ライン140A,140Bは、前記燃料タンク202内の気相の圧力が前記バンカータンク102内の気相の圧力よりも高い状態で、前記燃料タンク202の気相から前記燃料タンク202内の蒸発ガスGを前記バンカータンク102内の底部に受け入れる。
【0071】
これにより、燃料タンク202内の気相の圧力がバンカータンク102内の気相の圧力よりも高い状態で、底部受入ライン140A,140Bにより、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に受け入れる。このように、蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、燃料タンク202内の圧力を低下させることができる。また、蒸発ガスGが燃料タンク202からバンカータンク102に送り込まれることで、バンカータンク102内の気相の圧力が上昇し、燃料タンク202とバンカータンク102との差圧が小さくなる。
【0072】
(3)第3の態様に係るバンカー用浮体100Aは、(1)又は(2)のバンカー用浮体100Aであって、前記液化ガス供給ライン110は、一端111aが前記バンカータンク102の底部に配置された第一配管111を有し、前記底部受入ライン140Aは、前記ガス返送ライン120と前記第一配管111とを接続可能な接続配管150と、前記ガス返送ライン120から前記第一配管111への前記蒸発ガスGの送給を断続する切換弁150vと、を備える。
【0073】
これにより、底部受入ライン140Aが、ガス返送ライン120と液化ガス供給ライン110の第一配管111とを接続する接続配管150と、切換弁150vと、を備えている。底部受入ライン140Aにより、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に受け入れる際には、ガス返送ライン120と第一配管111とが接続されるように、切換弁150vを操作する。燃料タンク202内の蒸発ガスGは、ガス圧送ライン212からガス返送ライン120、接続配管150を経て、第一配管111を通して、バンカータンク102の底部に送り込まれる。このように、液化ガス供給ライン110が備える第一配管111を利用することで、燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に送り込むために専用のラインを設ける必要が無く、コスト低減を図ることができる。
【0074】
(4)第4の態様に係るバンカー用浮体100Bは、(1)から(3)の何れか一つのバンカー用浮体100Bであって、前記底部受入ライン140Bは、前記ガス返送ライン120から分岐し、前記バンカータンク102内の底部に延びる第二配管170を有する。
【0075】
これにより、底部受入ライン140Bが、ガス返送ライン120から分岐する第二配管170を備えている。底部受入ライン140Bにより、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に受け入れる際には、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、ガス圧送ライン212からガス返送ライン120、第二配管170を経て、バンカータンク102の底部に送り込むことができる。このように、底部受入ライン140Bが、ガス返送ライン120から分岐する第二配管170を備えている。底部受入ライン140Bにより、燃料タンク202の気相から燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102内の底部に送り込むために第二配管170を設けることで、第二配管170の設計自由度が高まる。
【0076】
(5)第5の態様に係るバンカー用浮体100A,100Bは、(1)から(4)の何れか一つのバンカー用浮体100A,100Bであって、前記バンカータンク102内の底部から前記液化ガスLを吸上げ、前記バンカータンク102内の気相に吐出する液化ガス吐出部160、をさらに備える。
【0077】
これにより、液化ガス吐出部160が、バンカータンク102内の底部から液化ガスLを吸上げ、バンカータンク102内の気相に吐出することで、バンカータンク102内の気相を形成する蒸発ガスGの温度を低下させ、液化を促進させることができる。これにより、バンカータンク102内の蒸発ガスGの圧力を抑えることができる。
【0078】
(6)第6の態様に係るバンカー用浮体100A,100Bは、(5)のバンカー用浮体100Aであって、前記ガス返送ライン120を通して前記バンカータンク102内の気相に送り込む前記蒸発ガスGの送給を調整する制御弁180と、前記バンカータンク102内の気相の圧力が前記バンカータンク102の許容圧力以下を維持するように、前記制御弁180を制御するコントローラ190と、を備える。
【0079】
これにより、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内の気相に送り込む蒸発ガスGの送給を調整する制御弁180を、コントローラ190で制御することによって、バンカータンク102内の気相の圧力が前記バンカータンク102の許容圧力以下を維持するようにしながら、燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102に送り込むことができる。
【0080】
(7)第7の態様に係るバンカー用浮体100Cは、浮体本体101と、前記浮体本体101に設けられ、液化ガスLを収容可能なバンカータンク102と、一端110aが前記バンカータンク102内に配置されるとともに、前記バンカータンク102外に延びて、他端110bが他船200の燃料タンク202に接続可能とされた液化ガス供給ライン110と、前記バンカータンク102内に設けられて、前記液化ガス供給ライン110の一端110aから他端110bに向かって前記バンカータンク102内の前記液化ガスLを圧送可能なバンカリングポンプ115と、一端120aが前記バンカータンク102外で前記燃料タンク202のガス圧送ライン212に接続可能とされ、他端120bが前記バンカータンク102内に延び、前記ガス圧送ライン212から圧送される前記燃料タンク202内の蒸発ガスGを、前記バンカータンク102内の気相に送り込むガス返送ライン120と、前記バンカータンク102内の底部から前記液化ガスLを吸上げ、前記バンカータンク102内の気相に吐出する液化ガス吐出部160と、を備える。
【0081】
これにより、バンカー用浮体100Cは、バンカータンク102と、液化ガス供給ライン110と、バンカリングポンプ115と、ガス返送ライン120と、を備えている。このようなバンカー用浮体100Aにおいて、バンカータンク102から他船200の燃料タンク202に液化ガスLを供給する場合、バンカータンク102と燃料タンク202とを、液化ガス供給ライン110とガス返送ライン120とで接続する。バンカリングポンプ115で、液化ガス供給ライン110の一端から他端に向かってバンカータンク102内の液化ガスLを圧送することで、液化ガスLがバンカータンク102から燃料タンク202に供給される。液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202に供給すると、燃料タンク202内の蒸発ガスGが押し出される。押し出された蒸発ガスGは、燃料タンク202のガス圧送ライン212からガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に圧送される。
また、液化ガス吐出部160が、バンカータンク102内の底部から液化ガスLを吸上げ、バンカータンク102内の気相に吐出することで、バンカータンク102内の気相を形成する蒸発ガスGの温度を低下させ、液化を促進させることができる。これにより、バンカータンク102内の蒸発ガスGの圧力を抑えることができる。したがって、バンカータンク102から他船200の燃料タンク202に液化ガスLを供給する際、液化ガスLをバンカータンク102から燃料タンク202に供給するにともなって、燃料タンク202内から押し出される蒸発ガスGを、バンカータンク102の圧力上昇を抑えつつ受け入れることが可能となる。これにより、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行うことなく、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0082】
(8)第8の態様に係るバンカー用浮体100Cは、(7)のバンカー用浮体100Cであって、前記ガス返送ライン120を通して前記バンカータンク102内の気相に送り込む前記蒸発ガスGの送給を調整する制御弁180と、前記バンカータンク102内の気相の圧力が前記バンカータンク102の許容圧力以下を維持するように、前記制御弁180を制御するコントローラ190と、を備える。
【0083】
これにより、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内の気相に送り込む蒸発ガスGの送給を調整する制御弁180を、コントローラ190で制御することによって、バンカータンク102内の気相の圧力が前記バンカータンク102の許容圧力以下を維持するようにしながら、燃料タンク202内の蒸発ガスGをバンカータンク102に送り込むことができる。
【0084】
(9)第9の態様に係る液化ガスLの供給方法S10,S20,S30は、浮体本体101、及び、前記浮体本体101に設けられ、液化ガスLを収容可能なバンカータンク102を備えるバンカー用浮体100Aから、前記液化ガスLを燃料とし、前記液化ガスLを収容可能な燃料タンク202を備える他船200への液化ガスLの供給方法S10,S20,S30であって、前記バンカータンク102と前記燃料タンク202とを、前記バンカータンク102内から前記燃料タンク202内に前記バンカータンク102内の前記液化ガスLを供給可能な液化ガス供給ライン110と、前記燃料タンク202内から前記バンカータンク102内に前記燃料タンク202内の蒸発ガスGを供給可能なガス返送ライン120とで接続する工程S11,S21,S31と、前記ガス返送ライン120を通して前記燃料タンク202内から前記バンカータンク102内に前記燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込み、前記燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる工程S12,S22,S32と、前記液化ガス供給ライン110を通して前記バンカータンク102内から前記燃料タンク202内に前記バンカータンク102内の前記液化ガスLを供給しつつ、前記ガス返送ライン120を通して前記燃料タンク202内から前記バンカータンク102内に前記燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込む工程S13,S23,S33と、を含む。
【0085】
この液化ガスLの供給方法S10,S20,S30は、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させる工程S12、S22,S32において、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込み、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる。その後、バンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込む工程S13、S23、S33において、液化ガス供給ライン110を通して燃料タンク202内にバンカータンク102内の前記液化ガスLを供給しつつ、ガス返送ライン120を通してバンカータンク102内に燃料タンク202内の蒸発ガスGを送り込む。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行うことなく、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。その結果、液化ガスLの無駄な消費を抑え、より効率の良い運用を行うことが可能となる。
【0086】
(10)第10の態様に係る液化ガスLの供給方法S10、S20は、(9)の液化ガスLの供給方法S10、S20であって、前記燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる工程S12、S22では、前記燃料タンク202の気相から前記燃料タンク202内の蒸発ガスGを前記バンカータンク102内の底部に受け入れることで、前記燃料タンク202内の圧力を、前記バンカータンク102の許容圧力以下に低下させる。
【0087】
これにより、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、バンカータンク102の底部に送り込むことで、蒸発ガスGは、バンカータンク102内の底部の液化ガスL中で凝縮される。これにより、燃料タンク202内の圧力を、所定の上限圧力以下に低下させることができる。したがって、燃料タンク202内の蒸発ガスGを、燃料タンク202の外部で燃焼させる処理等を行う必要が無く、液化ガスLを無駄に消費することが抑えられる。
【0088】
(11)第11の態様に係る液化ガスLの供給方法S10,S20,S30は、(9)の液化ガスLの供給方法S10,S20,S30であって、前記バンカータンク102内の底部から前記液化ガスLを吸上げ、前記バンカータンク102内の気相に吐出することで、前記燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる。
【0089】
これにより、バンカータンク102内の底部から液化ガスLを吸上げ、バンカータンク102内の気相に吐出することで、バンカータンク102内の気相を形成する蒸発ガスGの温度を低下させ、液化を促進させることができる。これにより、バンカータンク102内の蒸発ガスGの圧力を抑えることができる。したがって、バンカータンク102内の蒸発ガスGの圧力が過度に高まるのを抑えつつ、燃料タンク202の蒸発ガスGをバンカータンク102に送り込み、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させることができる。
【0090】
(12)第12の態様に係る液化ガスLの供給方法S30は、(11)の液化ガスLの供給方法S30であって、前記燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を所定の上限圧力以下に低下させる工程S32では、前記バンカータンク102内の気相の圧力が前記バンカータンク102の許容圧力以下を維持するように、前記ガス返送ライン120を通して前記バンカータンク102内の気相に送り込む前記蒸発ガスGの送給を調整する。
【0091】
これにより、バンカータンク102内の蒸発ガスGの圧力が過度に高まるのを抑えつつ、燃料タンク202の蒸発ガスGをバンカータンク102に送り込み、燃料タンク202内の蒸発ガスGの圧力を低下させることができる。
【符号の説明】
【0092】
100A~100C…バンカー用浮体 101…浮体本体 101b…船尾 102…バンカータンク 103A,103B…舷側 105…上甲板 107…上部構造 110…液化ガス供給ライン 110a…一端 110b…他端 110g…開閉弁 110p…一部 110m…一部 110v…開閉弁 111…積込配管(第一配管) 111a…下端(一端) 111a…他端 111v…開閉弁 112…吐出管 112a…下端 112v…開閉弁 115…バンカリングポンプ(吸い上げポンプ) 120…ガス返送ライン 120a…一端 120b…他端 120g…開閉弁 120v…開閉弁 140A,140B…底部受入ライン 150…接続配管 150v…切換弁 160…液化ガス吐出部 170…底部延出配管(第二配管) 170v…開閉弁 180…制御弁 181…バイパスライン 190…コントローラ 192…圧力センサ 200…他船 201…船体 201b…船尾 202…燃料タンク 203A,203B…舷側 205…上甲板 207…上部構造 211…液化ガス受入ライン 211a…一端 211b…他端 211v…開閉弁 212…ガス圧送ライン 212a…一端 212b…他端 212v…開閉弁 FA…船首尾方向 G…蒸発ガス L…液化ガス