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特許7539455レーザー光学システムにおける減少された厚さの光アイソレータおよびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】レーザー光学システムにおける減少された厚さの光アイソレータおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/28 20060101AFI20240816BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G02B27/28 A
G02B5/30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022193182
(22)【出願日】2022-12-02
(65)【公開番号】P2024056117
(43)【公開日】2024-04-22
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】17/962,751
(32)【優先日】2022-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラメシュ サンダラム
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-250612(JP,A)
【文献】特開平06-160773(JP,A)
【文献】特開2002-250897(JP,A)
【文献】特開2008-310068(JP,A)
【文献】特開平06-160772(JP,A)
【文献】特開2005-315906(JP,A)
【文献】特開平05-157994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部光回路から光信号源を光学的に分離する方法であって、
a)第1の偏光光軸を有する偏光子において、光信号源からの光信号を受光するステップであって、前記偏光子は、前記偏光子で受光した前記光信号の少なくとも一部を出力する、ステップと、
b)ステップa)において前記偏光子による前記光信号出力の前記少なくとも一部を前記偏光子から直接にガーネットの本体で受光するステップであって、前記ガーネットは、前記第1の偏光光軸に対し、ステップa)において前記偏光子による前記光信号出力の前記少なくとも一部を45°-θ1°の角度の偏光に回転させ、このステップb)の前記偏光回転された光信号の少なくとも一部を出力し、5°≦θ1°<42°である、ステップと、
c)前記第1の偏光光軸に対して、45°+θ2°の第2の偏光光軸を有する検光子において、直接に前記ガーネットからステップb)において前記ガーネットによる偏光回転された光信号出力の前記一部を受光するステップであって、前記検光子は、ステップc)において前記ガーネットから受光した前記光信号の少なくとも一部を直接に外部光回路に出力し、5°≦θ2°<42°であり、θ1°とθ2°は異なる、ステップと、
d)ステップc)において前記検光子による前記光信号出力の少なくとも一部の前記外部光回路からの反射を直接に前記検光子で受光するステップであって、前記検光子は、前記反射された光信号の少なくとも一部を出力する、ステップと、
e)ステップd)において前記検光子による前記反射された光信号の前記少なくとも一部を前記検光子から直接に前記ガーネットの前記本体で受光するステップであって、前記ガーネットは、前記第1の偏光光軸に対し、ステップd)において前記検光子による前記反射された光信号出力の前記一部をステップb)において偏光回転と同じ方向に45°-θ1°の角度の偏光に回転し、このステップe)において回転された反射された光信号の前記偏光の少なくとも一部を出力する、ステップと、
f)前記第1の偏光光軸を有する前記偏光子において、ステップe)の前記偏光回転された前記ガーネットからの光信号を直接に受光するステップであって、前記偏光子は、前記ガーネットから受光した前記偏光回転された光信号を25dB以上遮断する、ステップと、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
15°≦θ1°≦30°であり、
15°≦θ2°≦30°、
である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光信号源からの前記光信号の偏光、および前記偏光子の第1の偏光光軸の偏光は、同一である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガーネットの磁区は、前記ガーネットに外部から磁場を印加することなく整列する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガーネットの磁区は、磁石によって前記ガーネットに印加する磁場の影響下で整列する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記偏光子は、前記ガーネットの第1の表面に取り付けされ、
前記検光子は、前記ガーネットの第2の表面に取り付けされる、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記偏光子は、前記ガーネットの第1の表面で形成され、
前記検光子は、前記ガーネットの第2の表面で形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ガーネットは、
ビスマス鉄ガーネット、
テルビウムガリウムガーネット、
またはイットリウム鉄ガーネットのいずれか
である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
外部光回路から光信号源を分離するための光アイソレータであって、
第1の偏光光軸を有し、光信号源からの光信号を直接に受光し、前記光信号の少なくとも一部を出力するための偏光子と、
前記第1の偏光光軸に対して、45°-θ1°の角度で前記偏光子による前記光信号出力の前記少なくとも一部の偏光を直接に受光、および回転させ、および第1のガーネット出力光信号としてその少なくとも一部を出力し、5°≦θ1°<42°であるガーネットと、
前記第1の偏光光軸に対して、45°+θ2°の第2の偏光光軸を有し、前記第1のガーネット出力光信号を直接に受光し、および第1の検光子光信号としてその少なくとも一部を直接に外部光回路に出力し、5°≦θ2°<42°であり、θ1°とθ2°は異なる検光子とを備え、
前記検光子は、直接に前記外部光回路から前記第1の検光子光信号の少なくとも一部の反射を受光し、直接に前記ガーネットに前記第1の検光子光信号の前記少なくとも一部の反射の少なくとも一部を第2の検光子出力光信号として出力し、
前記ガーネットは、直接に前記第2の検光子出力光信号の偏光を受光し、第1の前記偏光光軸に対して、前記偏光子からの前記ガーネットによる受光された前記光信号の前記少なくとも一部の前記偏光の前記ガーネットによる前記回転と同じ方向に45°-θ1°の角度で回転させ、第2のガーネット出力光信号としてその少なくとも一部を前記偏光子に出力し、
前記偏光子は、前記偏光子による前記ガーネットから受光した前記第2のガーネット出力光信号を25dB以上遮断することを特徴とする光アイソレータ。
【請求項10】
15°≦θ1°≦30°であり、
15°≦θ2°≦30°、
である請求項に記載の光アイソレータ。
【請求項11】
前記光信号源からの前記光信号の偏光、および前記偏光子の第1の偏光光軸の偏光は、同一である請求項に記載の光アイソレータ。
【請求項12】
前記ガーネットの磁区は、前記ガーネットに外部から磁場を印加することなく整列する請求項に記載の光アイソレータ。
【請求項13】
石によって前記ガーネットに印加される磁場の影響下で前記ガーネットの磁区を整列させるように配置される前記磁石をさらに含む請求項に記載の光アイソレータ。
【請求項14】
前記偏光子は、前記ガーネットの第1の表面に取り付けされ、
前記検光子は、前記ガーネットの第2の表面に取り付けされる、
請求項に記載の光アイソレータ。
【請求項15】
前記偏光子は、前記ガーネットの第1の表面で形成され、
前記検光子は、前記ガーネットの第2の表面で形成される、
請求項に記載の光アイソレータ。
【請求項16】
前記ガーネットは、
ビスマス鉄ガーネット、
テルビウムガリウムガーネット、
またはイットリウム鉄ガーネットのいずれかである請求項に記載の光アイソレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光信号(レーザー)源への光信号の望ましくないフィードバックを回避または防止するために、レーザー光学システムで使用され得る減少された厚さの光アイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aを参照すると、光アイソレータ2は、光信号の一方向伝送を可能にするデバイスである。不要な光反射を避けるために、レーザー光学システムのような光学システムによく使用される。例えば、レーザー4、例えば、レーザーダイオード、は、外部光フィードバックに敏感である。本明細書で、「レーザー」は、「光信号源」と呼ばれることがあり、これらの用語は、交換可能に使用されることがある。
【0003】
外部光回路6から、-20dBから-50dB程度の非常に低いレベルの光反射でさえ、レーザー位相ノイズ、強度ノイズ、および/または波長の不安定性を大幅に増加させるのに十分である。したがって、光アイソレータ2は、通常低い光ノイズおよび安定した光周波数を必要とする用途において、各レーザー4の出力で必要とされる。
【0004】
図1Aの分解立体図で示す光アイソレータ2は、図1Bに示すように、第1の偏光子10と第2の偏光子、または検光子18に挟まれたファラデー回転子、またはガーネット14に基づいている。本明細書で、第1の偏光子と第2の偏光子を区別する目的で、第1の偏光子10を「偏光子10」と呼び、第2の偏光子、または検光子18を「検光子18」と呼ぶことができる。代替の実施形態の光アイソレータ2は、ガーネット14のそれぞれの第1および第2の表面に、例えば、一つまたは複数のリソグラフィプロセスによって形成された偏光子10、および検光子18を含む図1Cに示されるようなガーネット14を含むことができる。図1Bおよび1Cに示す光アイソレータ2も同様に機能する。
【0005】
例では、ファラデー回転子またはガーネット14は、ビスマス鉄ガーネット、テルビウムガリウムガーネット、またはイットリウム鉄ガーネットであっても良い。しかし、本明細書に説明したガーネット14と同じ機能を果たす、現在知られている、または今後開発される物質の他の組成物の使用が想定されるので、これは限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0006】
図2を参照し、引き続き図1Aを参照すると、(図1Bまたは図1Cに示す)使用される光アイソレータ2の形状と関係なく、入力光媒体、例えば、周囲環境、光ファイバ、またはその他の任意の適切、および/または望ましい入力光信号8を伝達することができる媒体を介してレーザー4から直接来る入力光信号8は、偏光軸または方向が、この例では、垂直方向または0°であり、この例では、入力光信号8の偏光12と一致する偏光子10を通過する(図2参照番号30を参照)。当業者によって理解されるように、入力光信号8の偏光12の主方向が、偏光子10の偏光軸または方向と一致しない場合、偏光子10は、偏光子10の偏光軸または方向と一致する、または実質的に一致する偏光を有する入力光信号8のその一部を減衰させ、ガーネット14に伝達する。すなわち、偏光子10は、偏光子10の偏光軸または方向と一致しないかまたは実質的に一致する偏光を有する入力光信号の少なくとも一部を遮断する。
【0007】
次に、ガーネット14は、入力光信号8の偏光を、この例では、45°時計回りに回転させる(図2参照番号32および34)。この設計に基づいて、ガーネット14は、入力光信号8の偏光を時計回り、または反時計回りに回転させることができる。入力光信号8の方向に対して時計回りに回転された偏光は、図1A参照番号16および図2図2参照番号34)によって示されている。
【0008】
ガーネット14による入力光信号8の回転の量は、ガーネット14の厚さT1に依存する。例として、その特性に応じて、1310nmの波長を有する入力光信号8で動作する310μmの厚さT1を有するガーネット14は、入力光信号8の偏光を45°±3°回転させることができる。しかし、この例は、ガーネット14を形成する材料および材料の特性により限定的な意味で解釈されるべきではなく、ガーネット14の厚さT1および入力光信号8の波長は、入力光信号8の偏光の回転の望ましい量を達成するために選択され得る。例として、ガーネット14による入力光信号8の偏光の多かれ少なかれ回転は、より厚い、またはより薄い厚さT1を有するガーネット14を使用することによって達成され得る。
【0009】
この説明の目的上、ガーネット14は、いずれかの側からガーネット14に入る光信号の偏光を、入力光信号8の方向に対して時計回り方向、すなわち、図1Aの左から右に回転させると仮定する。しかし、ガーネット14は、いずれかの側からガーネット14に入る光信号の偏光を、入力光信号8の方向に対して反時計回りの方向に回転させるように設計され得ることが想定されるので、これは、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0010】
検光子18の偏光軸または方向は、この例では、入力光信号8の方向に対して45°時計回りに向けられており、ガーネット14からの光信号20を許容し、ガーネット14によって45°回転された偏光は、少ない減衰で出力光媒体を介して直接に外部光回路6に検光子18を通過する(図2参照番号36)。出力光媒体は、周囲環境、光ファイバ、またはその他の任意の適切、および/または望ましい入力光信号8を通過できる媒体であり得る。入力および出力光媒体は、同一または異なってもよい。
【0011】
図1Aの右側上の外部光回路6からの反射がある場合、45°の偏光状態16'を含む反射光信号22のその一部は、検光子18およびガーネット14を少ない減衰で図1Aの右から左側へ通過する(図2の参照番号38および40)。当業者によって理解されるように、反射光信号22は、45°の偏光状態16'に加えた偏光状態を含む。本明細書では、用語「偏光」および「偏光状態」は交換可能に使用され得る。ガーネット14は、非可逆デバイスであるため、反射された光信号22の偏光は、この例では、入力信号8と同一方向にさらに45°回転され、したがって、偏光子10の偏光軸または方向に対して垂直、すなわち90°になる(図2の参照番号42)。この回転された偏光は、図1A及び2の参照符号24で示される。
【0012】
このようにして、偏光子10は、反射された光信号22(図2の参照番号44)を効果的に遮断し、光アイソレータ2に入力される光信号8の一方向伝送を保証するのに役立つ。
【0013】
上述の偏光12、16、16’および24の特定角度、並びに偏光子10および検光子18の光軸の特定角度は、本開示の前に光アイソレータ2で発見される。
【0014】
一定の厚さのガーネット14の場合、ガーネットに印加することができる任意の外部磁場の強度に対する偏光回転の角度は、一般に線形ではない。したがって、磁石26(図1Aから1Cに仮想線で示す)を使用して任意の外部磁場を印加する際、十分な強度の磁場強度は、従来技術分野で知られているように、ガーネット厚さT1が画定されると、安定した回転を容易にするために使用することができる。アイソレーションの値は、主に偏光回転角度の精度およびガーネット14の厚さT1によって決定される。
【0015】
非制限的な例では、1310nmの波長を有する光信号において、ガーネット14の厚さT1は、約310μm±1μm、または±5μmであり、図1Bに示されるタイプの偏光子10および検光子18の厚さT2およびT3は、それぞれ約300μm±1μmまたは±5μmであり得る。したがって、1310nmの波長で使用される、図1Bに示す典型的な光アイソレータ2の厚さT1、T2、およびT3の合計は、約910μm±3μmまたは±15μmであり得る。
【0016】
ガーネット14に印加される外部磁場は、ガーネットが上述の方法で入力光信号8および反射光信号22の偏光を回転させることを可能にするその磁区を整列させる。ガーネット14の磁区を整列させるために磁石26がよく使用されるが、外部から印加される磁場を必要とせずに、すなわち、光アイソレータ2の磁石26を利用せずに、永久的に整列された磁区を有するガーネット14の光アイソレータ2での使用も想定される。この後者のガーネットは、よく「セルフラッチング」と呼ばれる。
【0017】
実際には、当業者には理解されるように、偏光子10からいずれかの方向に出る光信号、すなわち、ガーネット14に向かって出る光信号、またはレーザー4に向かって出る光信号は、偏光子10の偏光軸または方向と一致する偏光を有する光信号に対して減少した強度ではあるが、偏光子10の偏光軸または方向に対応する偏光に加えて偏光を含む。同様に、いずれかの方向から検光子18を出る光信号、すなわち、外部光回路6に向かって出る、またはガーネット14に向かって出る光信号は、検光子18の偏光軸または方向と一致する偏光を有する光信号に対して減少した強度ではあるが、偏光軸または検光子18の方向に対応する偏光に加えて偏光を含む。
【0018】
偏光子10を形成するために使用される材料、および/または偏光子10がどのように製造または形成されるかは、偏光子10の偏光軸または方法に一致しない偏光を含む偏光子10を出す光信号の量および/または強度に影響を与え、および/または影響することができる。同様に、検光子18を形成するために使用される材料、および/または検光子18がどのように製造または形成されるかは、検光子18の偏光軸または方法に一致しない偏光を含む検光子18を出す光信号の量および/または強度に影響を与え、および/または影響することができる。したがって、本明細書では、偏光子10または検光子18をいずれかの方向に出る光信号は、それぞれの偏光子10または検光子18の偏光軸または方向に対応する偏光に加えて、それぞれの偏光子10または検光子18の偏光軸または方向に一致する偏光を有する光信号に対して強度が低下するが、偏光を含むと理解すべきである。
【0019】
図1Bに示す光アイソレータ2のように、1310nmの波長で使用され、約910μm±3μmまたは±15μmの合計厚さを有する光アイソレータ2は、半導体レーザーを搭載した携帯用デバイスのような特定の用途には、厚すぎる場合がある。実際、ガーネット14のそれぞれの第1および第2の表面または面に形成された偏光子10および検光子18を含み、ガーネット14の厚さT1、例えば310μm±1μmまたは±5μmに対応する合計厚さを有することができる図1Cに示されるような光アイソレータ2でさえ、半導体レーザーを組み込んだ携帯用デバイスのような用途には、厚すぎる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、このような用途では、許容できる挿入損失の増加というトレードオフがあるが、図1A、1B、1C、および図2に示す光アイソレータ2と同じレベルの光アイソレータを維持するような用途に使用するために、厚さを薄くする、またはより薄い光アイソレータ2を備えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示は、外部光回路から光信号源を光学的に分離する方法である。本方法は、a)第1の偏光光軸を有する偏光子において、光信号源からの光信号を受光するステップであって、前記偏光子は、前記偏光子で受光した前記光信号の少なくとも一部を出力する、ステップと、b)ステップa)において前記偏光子による前記光信号出力の前記少なくとも一部を前記偏光子から直接にガーネットの本体で受光するステップであって、前記ガーネットは、前記第1の偏光光軸に対し、ステップa)において前記偏光子による前記光信号出力の前記少なくとも一部を45°-θ1°の角度の偏光に回転し、このステップb)の前記偏光回転された光信号の少なくとも一部を出力し、5°≦θ1°<42°である、ステップと、c)前記第1の偏光光軸に対して、45°+θ2°の第2の偏光光軸を有する検光子において、直接に前記ガーネットからステップb)において前記ガーネットによる偏光回転された光信号出力の前記一部を受光するステップであって、前記検光子は、ステップc)において前記ガーネットから受光した前記光信号の少なくとも一部を直接に外部光回路に出力し、5°≦θ2°<42°である、ステップと、d)ステップc)において前記検光子による前記光信号出力の少なくとも一部の前記外部光回路からの反射を直接に前記検光子で受光し、前記検光子は、前記反射された光信号の少なくとも一部を出力する、ステップと、e)ステップd)において前記検光子による前記反射された光信号の前記少なくとも一部を前記検光子から直接に前記ガーネットの前記本体で受光するステップであって、前記ガーネットは、前記第1の偏光光軸に対し、ステップd)において前記検光子による前記反射された光信号出力の前記一部をステップb)において偏光回転と同じ方向に45°-θ1°の角度の偏光に回転させ、このステップe)において回転された反射された光信号の前記偏光の少なくとも一部を出力する、ステップと、f)前記第1の偏光光軸を有する前記偏光子において、ステップe)の前記偏光回転された前記ガーネットからの光信号を直接に受光するステップであって、前記ガーネットから受光した前記偏光回転された光信号を25dB以上遮断する、ステップとを含む。
【0022】
また、光信号源を外部光回路から分離するための光アイソレータも開示されている。光アイソレータは、第1の偏光光軸を有し、光信号源からの光信号を直接に受光し、前記光信号の少なくとも一部を出力するための偏光子と、前記第1の偏光光軸に対して、45°-θ1°の角度で前記偏光子による前記光信号出力の前記少なくとも一部の偏光を直接に受光、および回転させ、第1のガーネット出力光信号としてその少なくとも一部を出力し、5°≦θ1°<42°であるガーネットと、前記第1の偏光光軸に対して、45°+θ2°の第2の偏光光軸を有し、前記第1のガーネット出力光信号を直接に受光し、および第1の検光子光信号としてその少なくとも一部を直接に外部光回路に出力し、5°≦θ2°<42°である検光子とを含み、前記検光子は、直接に前記外部光回路から前記第1の検光子出力光信号の少なくとも一部の反射を受光し、直接に前記ガーネットに前記第1の検光子出力光信号の前記少なくとも一部の反射の少なくとも一部を第2の検光子出力光信号として出力し、前記ガーネットは、直接に前記第2の検光子出力光信号の偏光を受光し、第1の前記偏光光軸に対して、前記偏光子からの前記ガーネットによる受光された前記光信号の前記少なくとも一部の前記偏光の前記ガーネットによる前記回転と同じ方向に45°-θ1°の角度で回転させ、第2のガーネット出力光信号としてその少なくとも一部を前記偏光子に出力し、前記偏光子は、前記偏光子による前記ガーネットから受光した前記第2のガーネット出力光信号を25dB以上遮断する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】左から右に、偏光子、ガーネット、および検光子を含む光アイソレータを示す分解斜視図であって、偏光子は、左側の光信号源、例えば、レーザーに光学的に接続または結合されており、検光子は、右側の外部光回路に光学的に接続または結合されている。
図1B】左側の光信号源に接続または結合され、右側の外部光回路に接続または結合された、図1Aに示される光アイソレータの組立図であって、偏光子、ガーネット、および検光子は、別個の要素であり、一つの非制限的な例として、偏光子と検光子は、ガーネットの第1の面と第2の面に結合されている。
図1C】左側の光信号源に接続または結合され、右側の外部光回路に接続または結合された、図1Aに示される光アイソレータの組立図であって、偏光子、ガーネット、および検光子は、別個の要素であり、偏光子と検光子は、ガーネットの個別の第1と第2の表面、または面に、例えば、一つまたは複数のリソグラフィプロセスによって形成されている。
図2図1Aに示される光アイソレータの概略図であり、偏光子および検光子の偏光角を示し、光信号源からの光の偏光が、ガーネットを通って(左から右へ)伝搬するにつれてどのように変化するかを示し、外部光回路源から反射された光の偏光が、ガーネットを(右から左へ)伝搬するにつれてどのように変化するかを示し、および外部光から反射された光の一部またはすべてのさらなる伝播が、偏光子によってどのように遮断されるかを示している。
図3】本開示の原理に従った光アイソレータの概略図であり、偏光子および検光子の偏光角を示し、光信号源からの光の偏光が、ガーネットを通って(左から右へ)伝搬するにつれてどのように変化するかを示し、外部光回路源から反射された光の偏光が、ガーネットを通って(右から左へ)伝搬するにつれてどのように変化するかを示し、および外部光から反射された光の一部またはすべてのさらなる伝搬が、偏光子によってどのように遮断されるかを示している。
図4】本開示の原理に従った外部光回路アイソレータから光信号源を、光学的に分離する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
同様の参照番号が、同様または機能的に同等の要素に対応する添付の図面を参照して、様々な非限定的な例について説明する。
【0025】
以下の説明の目的で、「端」、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「横」、「縦」のような用語、およびその派生物は、図面に示す例に関連する。しかし、明確に反対に指定されている場合を除いて、実施例は、様々な代替変形、およびステップシーケンスを想定し得ることが理解されるべきである。添付の図面に示され、以下の明細書に記載されている特定の例は、単に例示的な例または開示の態様であることも理解されたい。したがって、本明細書の特定の例または開示の態様は、限定的であると解釈されるべきではない。
【0026】
図1Aおよび図3を参考すると、本開示の原理による(図1Bまたは1Cに示される種類の)光アイソレータ2の使用において、入力光媒体を介してレーザー4から入って来る入力光信号8は、偏光子10を通過し、この例では、偏光子10の偏光軸または方向は、垂直方向または0°であり、この例では、入力光信号8の偏光12に一致する(図3参照番号50を参照)。
【0027】
本明細書で説明する様々な光信号のそれぞれは、光信号の1次偏光方向である偏光を有することとして説明される。当業者によって理解されるように、本明細書で説明する様々な光信号のそれぞれは、1次偏光方向に加えて、強度が低下するが、一つまたは複数の2次偏光方向も含むことができる。これらの2次偏光方向は、単純化を目的として、本明細書では、具体的に議論または説明しない場合がある。
【0028】
次に、ガーネット14は、入力光信号8の偏光を時計回り方向に45°-θ1°回転させる、ここで、5°≦θ1°<42°(図3参照番号52および54を参照)。この設計に基づいて、ガーネット14は、偏光を時計回り反時計回りに回転させることができる。入力光信号8の伝搬方向に対して時計回りに回転された偏光は、図1Aおよび図3において参照番号16で示されている(図3の参照番号54を参照)。
【0029】
ガーネット14による入力光信号8の回転の量は、ガーネット14の特性および厚さT1に依存する。そのため、ガーネット14による入力光信号8の回転(または、これから議論する反射された光信号22)は、ガーネット14の厚さT1に対して線形的に設計される。例えば、1310nmの波長を有する入力光信号8で動作する310μmの厚さT1を有するガーネット14は、入力光信号8の偏光を45°±3°回転させることができ、1310nmの波長を有する入力光信号8で動作する155μmの厚さT1を有するガーネット14は、入力光信号8の偏光を22.5°±3°回転させることができ、1310nmの波長を有する入力光信号8で動作する77.5μmの厚さT1を有するガーネット14は、入力光信号8の偏光を11.25°±3°回転させることなどができる。
【0030】
この説明のために、ガーネット14は、いずれかの側からガーネット14に入る光学信号の偏光を、入力光信号8の方向に対して時計回り方向、すなわち、図1Aの左から右に回転させると仮定する。しかし、ガーネット14は、いずれかの側からガーネット14に入る光信号の偏光を、入力光信号8の方向に対して反時計回りの方向に回転させるように設計され得ることが想定されるので、これは、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0031】
検光子18の偏光軸または方向は、この例では、入力光信号8の伝搬方向に対して時計回りに45°+θ2°(ここでは、5°≦θ2°<42°)に向けられている。ガーネット14を出る光信号20は、45°-θ1°の偏光を有するため、および検光子18は、偏光光軸または45°+θ2°向けられている方向を有するため、検光子18を通過する光信号20は、検光子18を出入りする光信号20の偏光の差に関連する程度の減衰または挿入損失を経験する。そのため、45°+θ2°に向けられた偏光光軸または方向を有する光信号20の一部28が、検光子18を出る(図3の参照番号56を参照)。
【0032】
図1Aおよび図3の右側上の外部光回路6からの光信号20の反射がある場合、検光子18を出る光信号20の回転した偏光28と同じ45°+θ2°の偏光状態28’を含む、反射された光信号22は、図1Aの右から左へ、検光子18およびガーネット14を少ない減衰で通過する(図3の参照番号58、60、および62を参照)。ガーネット14は、非可逆デバイスであるため、反射された光信号22の偏光は、入力光信号8の伝搬方向に対して時計回りにさらに45°-θ1°回転させ、その結果、ガーネット14を出る反射された光信号22の偏光状態は、(45°+θ2°)+(45°-θ1°)の合計回転を有する。一つの非限定例では、(図1A及び図3の参照番号24によって示される)ガーネット14を出る反射された光信号22の偏光状態は、横方向または縦方向、すなわち、偏光子10の偏光軸または方向に対して、90°、であり、その結果、偏光子10は、反射された光信号がレーザー4に到達するのを効果的に遮断する(図3の参照番号62および64)。しかし、(図1Aおよび3の参照番号24によって示される)ガーネット14を出る反射された光信号22の偏光状態は、偏光子10の偏光軸または方向に対して、特定の用途について当業者によって適切および/または望ましいとみなされる任意の角度であってよいので、これは、限定的な意味で解釈されるべきではない。当業者によって理解されるように、レーザー4のレーザー位相ノイズ、強度ノイズおよび/または波長不安定性を大幅に増加させるには不十分な低下された強度であるが、偏光子10は、2次偏光、すなわち、ガーネット14を出てレーザー4へ通過する反射された光信号22の1次偏光以外の偏光(図1Aおよび3の参照番号24によって示される)、を有するガーネット14からの光信号を許容する場合がある。
【0033】
したがって、本開示の原理による光アイソレータ2の一般的な例を説明してきたが、ここで、図1A及び図3を参照して具体的な非限定例を説明する。
【0034】
入力光媒体を介してレーザー4から入る入力光信号8は、偏光子10を通過し、この例では、偏光子10の偏光軸または方向は、垂直方向または0°であり、この例では、入力光信号8の偏光12と一致する(図3の参照番号50)。
【0035】
次に、ガーネット14は、入力光信号8の偏光状態を時計回りに22.5°(すなわち、45°-θ1°、ここでθ1°=22.5°)回転させる。この回転は、参照番号12および16で示されている(図3の参照番号52および54)。この例では、ガーネット14は、155μmの厚さT1を有し、1310nmの波長を有する入力光信号8を使用する際に、入力光信号8の偏光を22.5°±3°回転させることができる。
【0036】
検光子18の偏光軸または方向は、この例では、入力光信号8の方向に対して時計回りに67.5°(すなわち、45°+θ2°、ここでθ2°=22.5°)向かっている。ガーネット14から離れる光信号20は、22.5°の偏光を有し、検光子18は、67.5°向けられている偏光光軸または方向を有するため、検光子18を通過する光信号20は、ガーネット14を離れる光信号20の偏光と検光子18の偏光光軸または方向の差に関する程度の減衰または挿入損失を経験し、この例では、この差は、45°である。その結果、ガーネット14を離れる、67.5°に向けられている光軸または方向有する、光信号20の一部28、例えば、一つまたは複数の2次偏光は、検光子18を出る(図3の参照番号56)。
【0037】
図1Aの右側上の外部光回路6から光信号20の反射がある場合、検光子18を出る光信号20の偏光28と同じ67.5°の偏光状態28`を含む、反射された光信号22は、少ない減衰で図1Aの右から左へ、検光子18およびガーネット14を通過する(図3の参照番号58、60、および62)。ガーネット14は、非可逆デバイスであるため、反射された光信号22の偏光状態は、入力光信号8の伝搬の方向に対して、時計回りにさらに22.5°回転し、その結果、ガーネット14から出る反射された光信号22の偏光状態は、(45°+θ2°)+(45°-θ1°)の合計回転を有する。この例では、(図1Aおよび3の参照番号24によって示される)ガーネット14を出る反射された光信号22の偏光状態は、偏光子10の偏光軸または方向の縦方向、すなわち、90°、であり、その結果、偏光子10は、反射された光信号がレーザー4に到達することを効果的に遮断する(図3の参照番号62および64)。しかし、(図1Aおよび3の参照番号24によって示される)ガーネット14を出る反射された光信号22の偏光状態は、偏光子10の偏光軸または方向に対して、特定の用途について当業者によって適切および/または望ましいとみなされる任意の角度であってよいので、これは、限定的な意味で解釈されるべきではない。さらに、当業者によって理解されるように、レーザー4のレーザー位相ノイズ、強度ノイズおよび/または波長不安定性を大幅に増加させるには不十分な低下された強度であるが、偏光子10は、2次偏光、すなわち、ガーネット14を出てレーザー4へ通過する反射された光信号22の1次偏光以外の偏光(図1Aおよび3の参照番号24によって示される)、を有するガーネット14からの光信号を許容する場合がある。
【0038】
図4を参照すると、光信号源またはレーザー4を外部光回路から光学的に分離する方法は、開始ステップから進むステップS1を含み、偏光子10は、偏光子10と偏光軸または方向と同じ偏光を有する光信号源またはレーザー4から受光した光をガーネット14に出力する。しかし、偏光子10による光信号源またはレーザー4出力からの光は、強度は低下するが、追加の2次偏光を含むことができる。
【0039】
ステップS2で、ガーネット14は、偏光子から受光した光の偏光を45°-θ1°(例えば、22.5°)ここで、5°≦θ1°<42°回転させ、同じものを検光子18に出力する。
【0040】
ステップS3で、検光子18は、検光子18と同じ偏光軸または方向(例えば、45°+θ2°(例えば、22.5°)ここで、5°≦θ2°<42°)を有するガーネット14から受光した光を外部光回路6に出力する。
【0041】
ステップS4で、検光子18は、検光子18と同じ偏光軸または方向を有する外部光回路6によって反射された光をガーネット14に出力する。
【0042】
ステップS5で、ガーネット14は、検光子18から受光した反射光の偏光をステップS2と同じ方向に45°-θ1°回転させ、同じものを偏光子10に出力する。
【0043】
最後に、ステップS6で、偏光子10は、ステップS5でガーネット14から偏光子10に出力される光の一部または全部を、例えば≧25dB、≧50dB、または≧60dB、遮断する。ステップS6から、方法は停止ステップに進む。
【0044】
したがって、このように、従来よりも薄い厚さT1のガーネット14で作られた光アイソレータ2は、例えば、偏光子10がガーネット14から受光した反射された光信号22を≧25dB、≧50dB、または≧60dB、遮断することができ、入力光信号8が偏光子10、ガーネット14、および/または検光子18、特に検光子18の一つまたは複数を通過する際に、挿入損失が発生する可能性のある挿入損失の増加のトレードオフにおいて、望ましい程度の光分離を得るために使用することができる。
【0045】
一つの非限定例では、1310nmの波長を有する入力光信号8が使用される際に、図1および図4に示される本開示の原理による光アイソレータ2は、図1Bに示す例の光アイソレータ2によれば、755μm±15μmの合計厚さを有することができ、ここで、ガーネット14の厚さT1は、155μm±5μm、および偏光子10の厚さT2と検光子18の厚さT3は、300μm±5μmである。別の非限定例では、1310nmの波長を有する入力光信号8が使用される際に、図1および図4に示される本開示の原理による光アイソレータ2は、図1Cに示す例の光アイソレータ2によれば、155μm±15μmの合計厚さ、すなわち、それぞれの第1および第2の表面に、例えば、一つまたは複数のリソグラフィプロセスによって形成された偏光子10と検光子18を含むガーネット14、を有する。しかし、本開示の原理による光アイソレータ2の合計厚さは、望ましい挿入損失および望ましい光分離との間のトレードオフとして特定の用途のために選択され得るので、これらの例は限定として解釈されるべきではない。
【0046】
最後に、本明細書に記載された角度の様々な範囲は、限定的であると解釈されるべきではない。例えば、θ1°の範囲は、5°≦θ1°<42°、15°≦θ1°≦30°、それ以下および/またはθ2°の範囲は、5°≦θ2°<42°、15°≦θ2°≦30°、それ以下であってもよい。さらに、角度θ1°およびθ2°は、異なっていても同じでもよい。
【0047】
本開示は、現在最も実用的および好ましい実施形態であると考えられるものに基づいて、説明の目的で詳細に説明されているが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、本開示は、開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の真意および範囲内にある変更および同等の構成を包含することを意図していると理解されるべきである。例えば、本開示は、可能な限り、任意の実施形態の一つまたは複数の特徴を任意の他の実施形態の一つまたは複数の特徴と組み合わせることができることを考慮すると理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4