(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】鉄道設備の線路脇の物体を制御するためのインターフェースアダプタ
(51)【国際特許分類】
B61L 7/06 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B61L7/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194346
(22)【出願日】2022-12-05
【審査請求日】2023-04-17
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルリュス ファン マールスカルケルウェールト
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム ソネフェルト
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0183306(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0173054(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道設備の線路脇の物体(18、20、22、24)を制御するためのインターフェースアダプタであって、
当該インターフェースアダプタは、前記線路脇の物体(18、20、22、24)のうちの少なくとも1つの線路脇の物体に、双方向デジタル通信インターフェース(66)を介して接続されており、
当該インターフェースアダプタは、
- アナログ入力電流またはアナログ入力電圧の少なくとも一方を、外部の源から受け取るよう構成された少なくとも1つのアナログ入力
(42)と、
- アナログ出力電流またはアナログ出力電圧の少なくとも一方を出力するよう構成された、少なくとも1つのアナログ出力
(44)であって、前記アナログ出力電流または前記アナログ出力電圧の前記少なくとも一方は、少なくとも1つ
のリレー回路(14a)を駆動するよう構成されている、アナログ出力
(44)と、
- 規定のデジタル通信プロトコルに従ってデジタルデータを通信するよう構成された、
前記双方向デジタル通信インターフェース(66)であって、前記デジタルデータは、当該デジタル通信インターフェース(66)を介して送信される第1のデジタルデータ(56)を
含み、かつ、当該デジタル通信インターフェース(66)を介して受信される第2のデジタルデータ(60)を
含む、双方向デジタル通信インターフェース(66)と、
- 前記アナログ入力(42)に結合され、かつ、前記アナログ入力電流または前記アナログ入力電圧の前記少なくとも一方を表す第1のデジタル信号(46)を生成するよう構成された、アナログデジタル変換器(50)と、
- 前記アナログ出力(44)に結合され、かつ、第2のデジタル信号(62)に応答して前記アナログ出力電流または前記アナログ出力電圧の前記少なくとも一方を生成するよう構成された、デジタルアナログ変換器(64)と、
- 制御プログラム(40)を備える、プログラマブルロジック制御回路(38a、38b)と、
- 電源(68)とを備え、
前記電源(68)は、少なくとも前記デジタルアナログ変換器(64)に電力を供給するよう構成されており、
前記デジタル通信プロトコルは、DIN VDE V 0831-200またはヨーロッパ規格EN 50159(VDE 0831-159)
で規定されているような、鉄道安全輸送アプリケーション(RaSTA)プロトコルとされており、
前記制御プログラム(40)は、前記第1のデジタル信号(46)から前記第1のデジタルデータ(56)を生成し、かつ、前記デジタル通信インターフェース(66)を使用して前記第1のデジタルデータ(56)を
前記線路脇の物体(18、20、22、24)のうちの少なくとも1つの線路脇の物体に送信するよう構成されており、
前記制御プログラム(40)はさらに、
前記線路脇の物体(18、20、22、24)のうちの少なくとも1つの線路脇の物体からの前記第2のデジタルデータ(60)を処理し、かつ、前記第2のデジタルデータ(60)に応答して前記第2のデジタル信号(62)を生成するよう構成されている、インターフェースアダプタ。
【請求項2】
前記アナログ入力電流または前記アナログ入力電圧の前記少なくとも一方の規定の閾値水準を検知するための閾値検知器(48)をさらに備え、前記制御プログラム(40)は、前記規定の閾値水準に応じて前記第1のデジタルデータ(56)を生成するよう構成されている、請求項1に記載のインターフェースアダプタ。
【請求項3】
前記プログラマブルロジック制御回路(38a、38b)、前記アナログデジタル変換器(50)、前記デジタルアナログ変換器(64)および前記電源(68)を収容する装置ハウジング(36)をさらに備え、前記装置ハウジング(36)は、複数のワイヤを接続するための複数の接続端子(42、44)を有しており、前記少なくとも1つのアナログ入力は、前記複数の接続端子のうちの少なくとも1つのそれぞれの第1の接続端子(44)と関連付けられており、前記少なくとも1つのアナログ出力は、前記複数の接続端子のうちの少なくとも1つのそれぞれの第2の接続端子(42)と関連付けられている、請求項1または2に記載のインターフェースアダプタ。
【請求項4】
複数のアナログ入力を備え、前記制御プログラム(40)は、前記複数のアナログ入力のうちのそれぞれの1つにそれぞれ関連付けられた複数のそれぞれの第1のデジタルデータ(56)を生成し、かつ、前記デジタル通信インターフェース(66)を使用して前記複数のそれぞれの第1のデジタルデータ(56)を送信するよう構成されている、請求項1
または2に記載のインターフェースアダプタ。
【請求項5】
複数のアナログ出力を備え、前記制御プログラム(40)は、前記デジタル通信インターフェース(66)を介して受信した複数のそれぞれの第2のデジタルデータ(60)を処理し、かつ、前記複数のそれぞれの第2のデジタルデータ(60)のうちの1つとそれぞれ関連付けられた複数のそれぞれの第2のデジタル信号(62)を生成するよう構成されている、請求項
1または2に記載のインターフェースアダプタ。
【請求項6】
前記プログラマブルロジック制御回路(38a、38b)はフェールセーフ設計、特にマルチチャンネルの冗長性を採用している、請求項
1に記載のインターフェースアダプタ。
【請求項7】
- 複数の線路(16)と、
- 複数の線路脇の物体(18、20、22、24)と、
- 複数の相互接続されたリレー(14a、14b、14c)を
含み、かつ
、前記複数の線路脇の物体(18、20、22、24)と関連付けられた規定の制御ロジックを実施する
ためのインターロッキング(12)とを備える鉄道設備であって、
請求項
1で規定されたインターフェースアダプタ(26)を特徴とし、前記インターフェースアダプタ(26)は、前記少なくとも1つのアナログ入力を介し、かつ、前記少なくとも1つのアナログ出力を介して、前記インターロッキング(12)に接続されており、前記インターフェースアダプタ(26)は、前記双方向デジタル通信インターフェース(66)を介して、前記複数の線路脇の物体(18、20、22、24)のうちの少なくとも1つの線路脇の物体に接続されている、鉄道設備。
【請求項8】
前記インターフェースアダプタ(26)に前記双方向デジタル通信インターフェース(66)を介して接続され、かつ、前記少なくとも1つの線路脇の物体(20)に接続された、少なくとも1つの専用の物体コントローラ(58)をさらに備え、前記少なくとも1つの線路脇の物体(20)は可動式の要素(21)を備えており、前記少なくとも1つの専用の物体コントローラ(58)は前記可動式の要素(21)を駆動するよう構成されている、請求項7に記載の鉄道設備。
【請求項9】
複数の線路(16)と、ポイント、信号、列車検知器および踏切の群から選ばれる、複数の線路脇の物体(18、20、22、24)と、複数の相互接続されたリレー(14a、14b、14c)を
含み、かつ
、前記複数の線路脇の物体(18、20、22、24)と関連付けられた規定の制御ロジックを実施する
ための既存のインターロッキング(12)とを備える既存の鉄道設備を近代化する方法であって、当該方法は、
- 複数の専用の物体コントローラ(58)を前記複数の線路(16)に沿って配置し、かつ、前記複数の専用の物体コントローラ(58)のうちのそれぞれの専用の物体コントローラを、前記複数の線路脇の物体(18、20、22、24)のうちのそれぞれの線路脇の物体と接続するステップと、
- 請求項
1で規定されたインターフェースアダプタ(26)を、前記既存のインターロッキング(12)に配置するステップと、
- 前記インターフェースアダプタ(26)を、前記双方向デジタル通信インターフェース(66)を使用して、前記複数の専用の物体コントローラ(58)のうちの少なくとも1つの専用の物体コントローラに相互接続するステップと、
- 前記インターフェースアダプタ(26)を、前記少なくとも1つのアナログ入力および前記少なくとも1つのアナログ出力を使用して、前記既存のインターロッキング(12)に相互接続するステップと、
- 前記少なくとも1つの専用の物体コントローラ
(58)と前記既存のインターロッキング(12)との間で前記インターフェースアダプタ(66)を介して前記デジタルデータ(56、60)を通信することにより、前記複数の専用の物体コントローラ(58)のうちの前記少なくとも1つの専用の物体コントローラを使用し、かつ、前記既存のインターロッキング(12)を使用して、前記既存の鉄道設備を制御するステップと、
- 前記既存のインターロッキング(12)および前記インターフェースアダプタ(26)を
使用して前記既存の鉄道設備を制御しつつ、前記既存のインターロッキング(12)の近傍に代替のインターロッキングを構築するステップであって、前記代替のインターロッキングは、前記規定のデジタル通信プロトコルに従って前記デジタルデータ(56、60)を通信するよう構成された、さらなる双方向デジタル通信インターフェースを備えており、前記代替のインターロッキングは、ソリッドステートコントローラに基づいて、代替の制御ロジックを実施する、ステップと、
- 前記代替のインターロッキングが構築されると、前記さらなる双方向デジタル通信インターフェースを使用して、前記代替のインターロッキングを前記複数の専用の物体コントローラ(58)に相互接続するステップと、
- 前記既存のインターロッキング(12)および前記インターフェースアダプタ(26)を取り除くステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記複数の専用の物体コントローラ(58)が前記複数の線路(16)に沿って配置される前または間に、専用の電源ラインが前記複数の線路脇の物体(18、20、22、24)に沿って設置され、前記専用の電源ラインは前記複数の専用の物体コントローラ(58)に電力を供給する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の専用の物体コントローラ(58)が前記複数の線路(16)に沿って配置される前または間に、光ファイバー通信ケーブル(67)が、前記既存のインターロッキング(12)から前記複数の線路脇の物体(18、20、22、24)へと敷設される、請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道交通制御の分野に関し、より詳しくは、鉄道設備の1つまたはそれ以上の線路脇の物体を、特に鉄道設備の更新または近代化中に、制御するための新規なインターフェースアダプタに関する。さらには、本発明は、新規なインターフェースアダプタを使用した鉄道設備に関し、かつ、既存の鉄道設備を近代化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道交通の制御は、鉄道事業者ならびに鉄道設備の開発者および納入業者にとって、困難かつ安全上決定的な仕事である。鉄道交通は通常、鉄道線路に沿って配置された複数の信号および列車検知器を使用し、かつ、ポイント(転轍器)および踏切または踏切遮断機をも使用して制御される。踏切は、同じ水準にある車用の道路または他の道路関連の交通と鉄道線路が交差する交差地点を区画する。通常、これらの線路脇の物体は、インターロッキングと呼ばれるものに電気的に接続されている。インターロッキングは、鉄道交通を安全に制御するために、上述した列車検知器、ドライブポイント(drives point)、信号、踏切遮断機などを含むさまざまなセンサから入って来る状態情報を受信し、かつ組み合わせる。一般的に言って、インターロッキングは、規定の線路区分を、使用されることになる線路区分が安全であると証明されるまで、列車が使用できないようにする仕方で、複数の線路脇の物体を制御するよう構成されている。
【0003】
従来、インターロッキングは、複数の線路脇の物体に関連付けられた規定の制御ロジックを実施するために、リレー回路に配置された大量の電気機械式リレーを使用して実施されている。各電気機械式リレーは基本的に、電圧および/または電流が負荷に供給されること、または遮断されて、それにより負荷から切断されることを選択的に可能にするために電気的に制御される、オンオフスイッチを提供する。負荷は、リレー回路中の別のリレーの入力側であってもよく、または、ポイントもしくは信号などの制御されることになる線路脇の物体であってもよい。ポイントは、電気モータにより動かせる可動式の要素を有しており、モータを駆動するのに必要な電流は従来より、インターロッキングから供給される。旧式の信号も可動式の要素を有していたが、今日では信号は通常、1つまたはそれ以上のライトを備えており、それは1つまたはそれ以上のLEDの形態とされていてもよい。
【0004】
電気機械式リレーは、数十年にわたって、信頼でき、かつ頑丈であることが証明されてきた。安全上決定的な鉄道設備での、その定評のある使用ゆえに、リレーベースのインターロッキングは依然として広く使用されているが、鉄道交通を制御するためにリレーベースのインターロッキングを駆動することは、ますます高価で費用がかかるようになっている。複雑さが増しているゆえに、リレーベースのインターロッキングについて、更新は困難かつ面倒である。ゆえに、安全要求事項について妥協することなく、リレーベースのインターロッキング技術を、より現代的な制御技術で置き換えるべく、多くの考察および提案がなされてきた。
【0005】
例として、特許文献1が、コントロールセンターと、制御されることになるフィールド要素とを有する鉄道設備用の安全システムを開示している。このような安全システムの近代化または拡張を簡略化するために、コントロールセンターをマスターの形態とし、フィールド要素をスレーブの形態とし、かつ、マスターおよびスレーブが通信システムを介して互いに接続されている状態の、モジュール設計が提案されている。スレーブは、追加のコントローラを介して制御されることになり、追加のコントローラは、すべてのスレーブに対して同一の通信インターフェースを介して通信システムに接続できる。
【0006】
特許文献2が、鉄道設備を制御するための別の構成を開示している。センサからの入力データを処理し、かつアクチュエータ用の制御コマンドを生成するために、プログラマブル制御ユニットがユーザプログラムを実行する。センサおよびアクチュエータは、遠隔のI/Oユニットに接続されており、I/Oユニットは、通信ネットワークを介して制御ユニットに接続されている。制御ユニットおよびI/Oユニットは、入力データおよび制御コマンドを送信するために、データメッセージを交換する。この構成は専用の遠隔切断ユニットを有しており、遠隔切断ユニットは、入力データおよび制御コマンドとは別に、遠隔のI/Oユニットに接続されている。制御ユニットは、切断ユニット用の特定の検証データを、I/Oユニット用のデータメッセージに組み込むように設計されている。切断ユニットは、特定の検証データに応じて、I/Oユニットを停止するよう設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第10 2007 039 154 A1号明細書
【文献】米国特許第8,306,680 B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
2014年に、複数のヨーロッパの国の鉄道インフラストラクチャ事業者が、EULYNXと呼ばれる構想を開始した。この構想は、鉄道設備の信号機器の費用および設置時間の低減を目指していた。より詳しくは、インターロッキングをモジュール方式で確立することが要望されている。鉄道信号機器の構造およびインターフェースを規格化することが意図されていた。オランダの鉄道事業者プロレールは、「SIGNALLING + DATACOMMUNICATION (111) 7+8」(2019年)において公表された、Monique Voorderhake、Frits MakkingaおよびMaarten van der Werffによる「プロレールと、その産業パートナーとが、初めてのEULYNXの宣伝用製品を構築した」と題する刊行物に記載されているように、初めてのEULYNXの宣伝用製品を構築した。この概念によれば、インターロッキングは、RaSTAと呼ばれる通信プロトコルを介して複数の線路脇の物体と通信する産業用プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を使用して構築されていてもよい。
【0009】
スイスの鉄道事業者SBBも、2019年12月に、「Grundkonzept fur den smartrail 4.0 Object Controller - Offentliche Kurzversion」と題するパンフレット中で、EULYNX構想に基づく新規な鉄道インフラストラクチャに関する構想を公表している。
【0010】
これらのEULYNX概念は、新規で現代的な鉄道インフラストラクチャが実現できる事柄に関して、有望である。しかし、これらは、既存の列車交通を運行し機能させなければならない状況で、EULYNXベースの鉄道インフラストラクチャを大規模に確立するのは、時間および金銭に関する巨大な投資となるという事実に悩まされている。
【0011】
この背景に照らして、本発明の目的は、既存の鉄道設備の近代化において費用および労力を低減するための代替的な手法を提供することである。別の目的は、既存の列車交通を可能な限り運行させ機能させながら、費用効果の高いやり方で実施できる、改善された鉄道設備を提供することである。さらなる目的は、小さなまたは局所的な用地のためだけでなく、地域的な規模または全国的な規模においてさえ、EULYNXベースの鉄道設備の導入を促進することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の局面によれば、鉄道設備の線路脇の物体を制御するためのインターフェースアダプタであって、当該インターフェースアダプタは、
- アナログ入力電流またはアナログ入力電圧の少なくとも一方を、外部の源から受け取るよう構成された少なくとも1つのアナログ入力と、
- アナログ出力電流またはアナログ出力電圧の少なくとも一方を出力するよう構成された、少なくとも1つのアナログ出力であって、前記アナログ出力電流または前記アナログ出力電圧の前記少なくとも一方は、少なくとも1つの電気機械式リレー回路を駆動するよう構成されている、アナログ出力と、
- 規定のデジタル通信プロトコルに従ってデジタルデータを通信するよう構成された、双方向デジタル通信インターフェースであって、前記デジタルデータは、当該デジタル通信インターフェースを介して送信される第1のデジタルデータを備え、かつ、当該デジタル通信インターフェースを介して受信される第2のデジタルデータを備える、双方向デジタル通信インターフェースと、
- 前記アナログ入力に結合され、かつ、前記アナログ入力電流または前記アナログ入力電圧の前記少なくとも一方を表す第1のデジタル信号を生成するよう構成された、アナログデジタル変換器と、
- 前記アナログ出力に結合され、かつ、第2のデジタル信号に応答して前記アナログ出力電流または前記アナログ出力電圧の前記少なくとも一方を生成するよう構成された、デジタルアナログ変換器と、
- 制御プログラムを備える、プログラマブルロジック制御回路と、
- 電源とを備え、
前記電源は、少なくとも前記デジタルアナログ変換器に電力を供給するよう構成されており、前記デジタル通信プロトコルは、DIN VDE V 0831-200またはヨーロッパ規格EN 50159(VDE 0831-159)でそれぞれ規定されているような、鉄道安全輸送アプリケーション(RaSTA)プロトコルとされており(EULYNX規格通信(EULYNX Standard Communication))、前記制御プログラムは、前記第1のデジタル信号から前記第1のデジタルデータを生成し、かつ、前記デジタル通信インターフェースを使用して前記第1のデジタルデータを送信するよう構成されており、前記制御プログラムはさらに、前記第2のデジタルデータを処理し、かつ、前記第2のデジタルデータに応答して前記第2のデジタル信号を生成するよう構成されている、インターフェースアダプタが提供される。
【0013】
本発明の別の局面によれば、複数の線路と、複数の線路脇の物体と、複数の相互接続された(配線された)リレーを有し、かつ、前記複数の線路上で鉄道交通を制御するために、前記複数の線路脇の物体と関連付けられた規定の制御ロジックを実施する、インターロッキングと、上述したようなインターフェースアダプタとを備える鉄道設備であって、前記インターフェースアダプタは、前記少なくとも1つのアナログ入力を介し、かつ、前記少なくとも1つのアナログ出力を介して、前記インターロッキングに接続されており、前記インターフェースアダプタは、前記双方向デジタル通信インターフェースを介して、前記複数の線路脇の物体のうちの少なくとも1つの線路脇の物体に接続されている、鉄道設備が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の局面によれば、複数の線路と、ポイント、信号、列車検知器および踏切の群から選ばれる、複数の線路脇の物体と、複数の相互接続されたリレーを有し、かつ、前記複数の線路上で鉄道交通を制御するために、前記複数の線路脇の物体と関連付けられた規定の制御ロジックを実施する、既存のインターロッキングとを備える既存の鉄道設備を近代化する方法であって、当該方法は、
- 複数の専用の物体コントローラを前記複数の線路に沿って配置し、かつ、前記複数の専用の物体コントローラのうちのそれぞれの専用の物体コントローラを、前記複数の線路脇の物体のうちのそれぞれの線路脇の物体と接続するステップと、
- 上に規定されたようなインターフェースアダプタを、前記既存のインターロッキングに配置するステップと、
- 前記インターフェースアダプタを、前記双方向デジタル通信インターフェースを使用して、前記複数の専用の物体コントローラのうちの少なくとも1つの専用の物体コントローラに相互接続するステップと、
- 前記インターフェースアダプタを、前記少なくとも1つのアナログ入力および前記少なくとも1つのアナログ出力を使用して、前記既存のインターロッキングに相互接続するステップと、
- 前記少なくとも1つの専用の物体コントローラと前記既存のインターロッキングとの間で前記インターフェースアダプタを介して前記デジタルデータを通信することにより、前記複数の専用の物体コントローラのうちの前記少なくとも1つの専用の物体コントローラを使用し、かつ、前記既存のインターロッキングを使用して、前記既存の鉄道設備を制御するステップと、
- 前記既存のインターロッキングおよび前記インターフェースアダプタを使用して前記既存の鉄道設備を制御しつつ、前記既存のインターロッキングの近傍に代替のインターロッキングを構築するステップであって、前記代替のインターロッキングは、前記規定のデジタル通信プロトコルに従って前記デジタルデータを通信するよう構成された、さらなる双方向デジタル通信インターフェースを備えており、前記代替のインターロッキングは、ソリッドステートコントローラに基づいて、代替の制御ロジックを実施する、ステップと、
- 前記代替のインターロッキングが構築されると、前記さらなる双方向デジタル通信インターフェースを使用して、前記代替のインターロッキングを前記複数の専用の物体コントローラに相互接続するステップと、
- 前記インターフェースアダプタおよび前記既存のインターロッキングを取り除くステップとを含む、方法が提供される。
【0015】
したがって、EULYNX構想により規定されたような新規なデジタルデータ通信リンクを使用して、従来のリレーベースのインターロッキングを1つまたはそれ以上の線路脇の物体へと個別に接続するよう設計および構成された、新規なインターフェースアダプタを提案する。通常、本新規なデジタルデータ通信は、シリアル通信機構に基づいている。換言すれば、本新規なインターフェースアダプタは、従来のリレーベースのインターロッキングが新規なデジタル通信規格を使用して線路脇の物体と通信できるようになるよう、従来のリレーベースのインターロッキングを向上させることができる。従来のリレーベースのインターロッキング技術を、EULYNX構想に係る新規なデジタルデータ通信と併用する、新規な混成の手法をこのようにして提案する。
【0016】
これまで、EULYNX構想に関連する幅広くて進歩的な概念および提案すべては、既存のリレーベースのインターロッキングを、線路脇の物体への従来のアナログのケーブル布線(cabling)と共に、1つの変換ステップで置き換えることを目指していた。ゆえに、EULYNXに適合した通信機構は、既存のインターロッキング技術の置き換えと共に導入しなければならない。換言すれば、先行技術の提案および概念は主に、線路脇の物体もEULYNX概念へと更新される際に、インターロッキングを同時にまたは同じプロジェクト内で置き換えることにより、既存のインターロッキングを更新することに焦点を当てていた。簡潔には、これは「全てか無か」という手法であるとみなすことができる。
【0017】
これに対し、本発明は、線路脇の物体へのEULYNXに適合した通信機構の導入後にも従来のインターロッキングを運行状態に維持しながら、既存のインターロッキングから線路脇の物体へのケーブル接続を更新/近代化することから出発する、より順次的で段階的な手法に基づいている。本新規な手法により、これまで必要とされていた巨大な投資なしに、段階的な仕方で新規なEULYNXに適合した通信構造を築き上げ導入することが可能となる。ゆえに、より小さなステップで、かつ有利なことにできるだけ中断を少なく短くしながら既存の列車交通を維持しつつ、近代化を行うことができる。したがって、本新規な手法は、既存の鉄道インフラストラクチャの中断をより短くし妨害をより少なくした状態での、より費用効率の高い変換を可能にする。受け入れおよび実用的な実施が促進される。上述した目的が完全に達成される。
【0018】
電源は、デジタルアナログ変換器に電力を供給するよう構成されており、これは、新規なインターフェースアダプタが、従来のインターロッキングのリレー入力回路構成を駆動するのに十分な電力出力を提供できることを意味している。好ましくは、電源はさらに、プログラマブルロジック制御回路およびアナログデジタル変換器に電力を供給するよう構成されている。これにより電気的な設置が容易となる。少なくとも1つのアナログ出力での電圧が、最大で直流24Vまたは交流60Vまでの範囲とされていてもよい。好ましくは、この少なくとも1つの出力は三相出力とされている。電気および電子部品(特に、アナログデジタル変換器またはデジタルアナログ変換器)はそれぞれ好適に、これらの範囲内で電圧およびそれぞれの電流に対処するよう構成されている。双方向デジタル通信インターフェースは好適には、光ファイバを介したデジタル通信および/またはGSM-R、第4もしくは第5世代GSM(GSM generation 4 or 5)(4Gもしくは5G)を介した通信を可能にするよう構成されていてもよい。
【0019】
好ましい改良形態では、インターフェースアダプタは、前記アナログ入力電流または前記アナログ入力電圧の前記少なくとも一方の規定の閾値水準を検知するための閾値検知器をさらに備えており、前記制御プログラムは、前記規定の閾値水準に応じて前記第1のデジタルデータを生成するよう構成されている。
【0020】
この改良形態では、閾値検知器が、少なくとも1つのアナログ入力で受信したアナログ信号を、第1のデジタルデータに容易に統合できるデジタル制御情報へと変換するのを助ける。そのうえ、閾値検知器は好適に、電流または電圧駆動のインターロックから、より信頼できる決定性のデジタル制御手法への転換を行うことに寄与する。
【0021】
別の改良形態では、インターフェースアダプタは、前記プログラマブルロジック制御回路、前記アナログデジタル変換器、前記デジタルアナログ変換器および前記電源を収容する装置ハウジングをさらに備えており、前記装置ハウジングは、複数のワイヤを接続するための複数の接続端子を有しており、前記少なくとも1つのアナログ入力は、前記複数の接続端子のうちの少なくとも1つのそれぞれの第1の接続端子と関連付けられており、前記少なくとも1つのアナログ出力は、前記複数の接続端子のうちの少なくとも1つのそれぞれの第2の接続端子と関連付けられている。
【0022】
好適には、この改良形態に係る新規なインターフェースアダプタは、線路脇の物体へと入ってくる、かつ線路脇の物体から出て行くケーブル布線が存在する場所で、既存のインターロッキングに容易に追加できる自己完結型の装置として構成されている。この改良形態に係る新規なインターフェースアダプタは、設置費用を低減し、かつ、設置および運行中の安全性および信頼性を増加させる助けとなる。
【0023】
別の改良形態では、インターフェースアダプタは、複数のアナログ入力を備えており、前記制御プログラムは、前記複数のアナログ入力のうちのそれぞれの1つにそれぞれ関連付けられた複数のそれぞれの第1のデジタルデータを生成し、かつ、前記デジタル通信インターフェースを使用して前記複数のそれぞれの第1のデジタルデータを送信するよう構成されている。
【0024】
この改良形態では、新規なインターフェースアダプタは、デジタル制御データを複数の線路脇の物体へと、接続された線路脇の物体それぞれが既存のインターロッキングから関連する制御データを受信する状態で、供給できる。本改良形態は、費用ならびに設置時間および労力をさらに低減する助けとなる。いくつかの好ましい例示的な実施形態では、複数の線路脇の物体はインターフェースアダプタに直列に接続されており、これは設置費用を低減する大きな助けとなる。いくつかの好ましい例示的な実施形態では、本インターフェースアダプタは複数のアナログデジタル変換器を備えており、それぞれのアナログデジタル変換器は、複数のアナログ入力からのそれぞれのアナログ入力に関連付けられており、これにより、制御処理における迅速なデータ収集およびハイスループットが促進される。
【0025】
さらに別の改良形態では、インターフェースアダプタは、複数のアナログ出力を備えており、前記制御プログラムは、前記デジタル通信インターフェースを介して受信した複数のそれぞれの第2のデジタルデータを処理し、かつ、前記複数のそれぞれの第2のデジタルデータのうちの1つとそれぞれ関連付けられた複数のそれぞれの第2のデジタル信号を生成するよう構成されている。好ましくは、本インターフェースアダプタは複数のデジタルアナログ変換器を備えており、それぞれのデジタルアナログ変換器は、複数のアナログ出力からのそれぞれのアナログ出力に関連付けられている。
【0026】
この改良形態も、費用ならびに設置時間および労力を低減することに寄与する。既存のインターロッキングにそれぞれの複数の制御入力を供給するために、複数の線路脇の物体をインターフェースアダプタに接続できる。
【0027】
さらに別の改良形態によれば、前記プログラマブルロジック制御回路はフェールセーフ設計を採用している。特に、これはマルチチャンネルの冗長性を備えていてもよい。
【0028】
この改良形態は、インターフェースアダプタが、国際規格IEC 61508に関する機能的安全性についての要求に従って設計されていることを含んでいる。好ましくは、鉄道用途についての安全要求事項を規定するヨーロッパ規格EN 50126、EN 50128またはEN 50129の少なくとも1つの要求を満たしている。本改良形態は、新規な鉄道設備の実施のための費用およびスピードをさらに低減する助けとなる。なぜなら、新規な鉄道設備の安全分析のための経費および労力が大きく低減されるからである。
【0029】
さらに別の改良形態によれば、鉄道設備は、前記インターフェースアダプタに前記双方向デジタル通信インターフェースを介して接続され、かつ、前記少なくとも1つの線路脇の物体に接続された、少なくとも1つの専用の物体コントローラをさらに備えており、前記少なくとも1つの線路脇の物体は可動式の要素を備えており、前記少なくとも1つの専用の物体コントローラは前記可動式の要素を駆動するよう構成されている。好ましくは、それぞれの物体コントローラとそれぞれの線路脇の物体との間に、一対一の関係が存在する。ゆえに、いずれの線路脇の物体も、新規なインターフェースアダプタを介し、かつ、関連する専用の物体コントローラを介して、インターロッキングから制御されてもよい。インターフェースアダプタおよび専用の物体コントローラはまた、EULYNX規格に従うデジタル通信を使用して、一対一の関係で互いに接続されていてもよい。
【0030】
この改良形態では、専用の物体コントローラは、第1のデジタルデータからの、かつ第1のデジタルデータに応答した機械的動作を生成できる、線路脇のインターフェースを提供する。好適には、物体コントローラは、デジタルデータを通信するためにEULYNX構想において規定されるような規定のデジタル通信プロトコルに係るインタフェースアダプタと通信するよう構成された、物体コントローラ通信インターフェースを備えている。いくつかの好ましい実施形態では、専用の物体コントローラは、従来の既存の線路脇の物体の可動式の要素の動作を生み出す大きさとされた、アナログ駆動電流またはアナログ駆動電圧の少なくとも一方を生成するよう構成されている。より詳しくは、専用の物体コントローラは好適に、第1のデジタルデータに応答して、既存のポイントまたは踏切遮断機を動かすよう構成されていてもよい。さらに、専用の物体コントローラは、新規なインタフェースアダプタを介して従来のインターロッキングから受信した第1のデジタルデータに応答して、信号灯を駆動するよう構成されていてもよい。本改良形態は、既存の従来の鉄道設備から、より現代的な、デジタル式に制御される設備への移行を促進する助けとなる。なぜなら、新規な混成の組み合わせにおいて、既存の線路脇の物体を維持することを容易にするからである。
【0031】
本新規な方法の改良形態によれば、前記複数の専用の物体コントローラが前記複数の線路に沿って配置される前または間に、専用の電源ラインが前記複数の線路脇の物体に沿って設置され、前記専用の電源ラインは前記複数の専用の物体コントローラに電力を供給するよう構成されている。好ましくは、専用の電源ラインは、専用の物体コントローラへの電力需給が既存のインターロッキングに近い場所からもたらされるように、既存のインターロッキングに、または既存のインターロッキングの近傍に配置される電源へと経路を定められている。
【0032】
専用の電源ラインは好適に、この改良形態において、既存のインターロッキングへの、かつ既存のインターロッキングからの既存の配線接続(wire cabling)を置き換え、または使用できる。本改良形態は、設置費用を低減し、かつ変換処理を迅速化する助けとなる。
【0033】
本方法のさらに別の改良形態によれば、前記複数の専用の物体コントローラが前記複数の線路に沿って配置される前または間に、光ファイバー通信ケーブルが、前記既存のインターロッキングから前記複数の線路脇の物体へと敷設される。
【0034】
好ましくは、光ファイバー通信ケーブルは、既存のインターロッキングにおいて、複数の線路脇の物体をインターフェースアダプタに接続する、ループまたはライン接続を構築するために敷設される。この改良形態はさらに、設置費用および労力を低減し、かつ変換処理を迅速化する助けとなる。
【0035】
言うまでもなく、上述した特徴および以下でこれから説明する特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、それらのそれぞれの組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせにおいても、または、それら単独でも使用することができる。実施形態のさらなる特徴および詳細を、図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】いくつかの線路脇の物体と従来のインターロッキングとに接続された、新規なインターフェースアダプタの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1において、新規な鉄道設備の例示的な実施形態が、参照番号10により示されている。鉄道設備10は、従来の、リレーベースのインターロッキング12を備えており、インターロッキング12はここで模式的な仕方でのみ示されている。インターロッキング12は、複数の電気機械式リレー14a、14b、14cを備えており、それらは相互接続されて(簡略化のために、ここでは図示せず)、規定の制御ロジックを、当業者に公知の仕方で実施するリレー回路構成を形成する。
【0038】
例示的な鉄道設備10はさらに、複数の線路16と、ポイント18(ここでは、ポイントの可動式の線路要素を一般に動かす電気駆動装置として示す)、可動式のアーム21を有する、または、今日より一般的には1つもしくはそれ以上のライトを有する信号20、列車検知器22および踏切遮断機24などの、複数の線路脇の物体とを備えている。線路脇の物体は、それ自体公知の仕方で、線路16に沿って配置される。
【0039】
例示的な鉄道設備10はさらに、新規なインターフェースアダプタの実施形態を備えており、それはここで参照番号26により示されている。好ましい実施形態では、インターフェースアダプタ26はモジュール設計を有しており、かつ、ここでヘッドモジュール28と呼ばれるものと、複数のI/O(入力および/または出力モジュール)30、32、34とを備えている。ヘッドモジュール28およびI/Oモジュール30、32、34は、制御キャビネット(ここでは図示せず)のトップハットレール上に配置されるよう構成されていてもよい。好ましい実施形態では、ゆえにインターフェースアダプタ26は装置ハウジング36を備えており、それは、ここで例により示されているように、一体に形成されていても、または複数のハウジングモジュールで形成されていてもよい。
【0040】
インターフェースアダプタ26はプログラマブルロジック制御回路を備えており、これは本実施形態では、2つのマイクロプロセッサ38a、38bを含んでいる。マイクロプロセッサ38a、38bはここでは、マルチチャンネルの冗長な構造を形成するような仕方で配置されている。マイクロプロセッサ38a、38bはそれぞれ、ここで参照番号40で示す制御プログラムを周期的に実行する。マイクロプロセッサ38a、38bはさらに、互いを相互に監視して、それによりフェールセーフなデータ処理を確立するために、データを交換する。インターフェースアダプタ26の2チャンネルの冗長な構造はここで、フェールセーフなロジック制御回路を確立するための1つの好ましい実施形態として示されている。国際規格IEC61508により規定されるような機能的安全性の原理に従う、他の構造設計を採用してもよい。
【0041】
図1に示すように、I/Oモジュール30、32、34はそれぞれ、複数の接続端子を備えており、そのいくつかは、例として参照番号42および44で示されている。さらなる例として、モジュール30は、インターロッキング12の1つまたはそれ以上のそれぞれの出力から、アナログ入力電流またはアナログ入力電圧の少なくとも一方を受け取るよう構成されたアナログ入力を提供する、入力モジュールとされている。従来の鉄道設備では、インターロッキング12は、ポイント18、信号20または踏切24などの線路脇の物体を駆動するために、そのそれぞれの出力の1つで出力電流および/または出力電圧を供給する。従来の鉄道設備では、インターロッキング12のそれぞれの出力が、1つまたはそれ以上の銅線を介して、それぞれの線路脇の物体に接続されていたものである。しかし、本実施形態では、インターロッキング12のそれぞれの出力は、インターフェースアダプタ26の1つまたはそれ以上のアナログ入力に接続されている。
【0042】
ゆえに、入力モジュール30は、インターロッキング12のそれぞれの出力からアナログ出力電流またはアナログ出力電圧の少なくとも一方を受け取り、かつ、それを、プログラマブルロジック制御回路38a、38bにより処理できる第1のデジタル信号46へと変換するよう構成された、入力回路構成を備えている。図示した例示的な実施形態では、入力モジュール30は、閾値検知器48およびアナログデジタル変換器50を備えている。アナログデジタル変換器50は、アナログ出力信号が規定の閾値水準を超えた場合に、インターロッキング12からアナログ出力信号を受信する。アナログデジタル変換器50は、それに応答して、第1のデジタル信号46を生成する。第1のデジタル信号46は、この実施形態において、内部通信バス52を介してプログラマブルロジック制御回路38a、38bへと送信される。例として、入力モジュール30は、内部通信インターフェース54を介して内部通信バス52に接続されていてもよい。内部通信インターフェース54は、例としてFPGAを使用して実施されていてもよい。
【0043】
プログラマブルロジック制御回路38a、38bは、内部通信バス52を介して第1のデジタル信号46を受信し、かつ、線路脇の物体18、20、22、24の近傍に配置される1つまたはそれ以上の物体コントローラ58へと続いて送信される第1のデジタルデータ56を生成する。次いで、プログラマブルロジック制御回路38a、38bは、1つまたはそれ以上の物体コントローラ58から第2のデジタルデータ60を受信し、かつ、それに応答して、少なくとも1つの第2のデジタル信号62を生成する。少なくとも1つの第2のデジタル信号62は、内部通信バス52を介して、少なくとも1つの出力モジュール34に送信される。
【0044】
少なくとも1つの出力モジュール34はデジタルアナログ変換器64を備えており、デジタルアナログ変換器64は、第2のデジタル信号62に応答して、アナログ出力電流またはアナログ出力電圧の少なくとも一方を生成する。次いで、アナログ出力電流またはアナログ出力電圧の少なくとも一方は、例として
図1に示すように、それぞれの接続端子44を介してインターロッキング12に供給される。
【0045】
上記を要約すると、インターフェースアダプタ26は、従来のリレーベースのインターロッキング12用に、双方向のアナログ入力および出力インターフェースを提供する。インターフェースアダプタ26は、インターロッキング12からアナログ出力電流および/または出力電圧を受け取り、それに応答して第1のデジタルデータ56を生成する。インターフェースアダプタ26は、双方向デジタル通信インターフェース66を介して、第1のデジタルデータ56を、線路脇の物体18、20、22、24の近傍に配置される1つまたはそれ以上の物体コントローラ58へと、1つまたはそれ以上の物体コントローラ58が1つまたはそれ以上の線路脇の物体を、これらの線路脇の物体が銅線を介して従来のインターロッキング12にあたかも直接接続されているかのような仕方で駆動できるように送信する。いくつかの好ましい実施形態では、1つのそれぞれのインターフェースアダプタが1つのそれぞれの物体コントローラに接続されるように、一対一の関係が確立される。そのうえ、インターフェースアダプタ26は、双方向デジタル通信インターフェース66を介して、1つまたはそれ以上の物体コントローラ58からの第2のデジタルデータ60を読み込み、かつ、それに応答して、1つまたはそれ以上のアナログ出力電流および/またはアナログ出力電圧を、1つまたはそれ以上のデジタルアナログ変換器64を使用して生成する。
【0046】
インターフェースアダプタ26は、1つまたはそれ以上のアナログ出力電流またはアナログ出力電圧を、このようなアナログ出力電流またはアナログ出力電圧が、銅線を介して線路脇の物体18、20、22、24からあたかも直接供給されているかのような仕方で、インターロッキング12へと供給する。
【0047】
上でさらに示したように、双方向デジタル通信インターフェース66は、VDE V 0831-200またはヨーロッパ規格EN 50159でそれぞれ規定されているようなデジタル通信プロトコル(すなわち、EULYNX構想に係る鉄道安全輸送アプリケーション(RaSTA)プロトコル(Rail Safe Transportation Application (RaSTA) protocol))を採用するよう構成されている。したがって、ヨーロッパ規格EN 50159およびDIN VDE V 0831-200は、参照により本明細書に組み込まれる。インターフェースアダプタ26は、RaSTA通信プロトコルを介して線路脇の物体コントローラ58と通信し、RaSTA通信プロトコルは、光ファイバー通信ケーブル67を介して好適に使用できる、専用のイーサネットベースの通信プロトコルとされている。
【0048】
最後に、インターフェースアダプタ26は電源を備えており、電源はここで、参照番号68で模式的に示されている。電源68は、少なくとも1つのデジタルアナログ変換器64に電力を供給するよう構成されており、これは、電源68が、インターロッキング12のリレーベースの入力回路構成を駆動するために、十分な電力を供給する大きさとされていることを意味している。好ましい例示的な実施形態では、電源68はさらに、プログラマブルロジック制御回路38a、38b用およびアナログデジタル変換器50用に、必要とされる動作電圧を供給するよう構成されている。