(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】アライメント機能を有するカテーテルパッケージ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240816BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20240816BHJP
【FI】
A61M25/00
A61B34/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022211593
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2023-04-26
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】ワン チャールズ ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴久
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-133248(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079083(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムに接続するように準備された操縦可能カテーテルを格納するためのパッケージアセンブリであって、
近位端から遠位端まで長さ方向に延びるカテーテル本体を有する操縦可能カテーテルであって、前記操縦可能カテーテルは、複数の駆動ワイヤによって作動可能な1つ以上の湾曲可能セグメントを有し、前記複数の駆動ワイヤは、前記カテーテル本体の壁に沿って配置され、前記複数の駆動ワイヤの遠位端は、前記1つ以上の湾曲可能セグメントに取り付けられ、前記複数の駆動ワイヤの近位端は、前記カテーテル本体の前記近位端から突出し、作動部に接続可能である、操縦可能カテーテルと、
所定の形状の表面を有し、前記カテーテル本体の前記壁と係合するように構成されたアライメント部材と、
解放可能に互いに係合した前記アライメント部材と前記カテーテル本体を封入するように構成されたパッケージ筐体と、
前記パッケージ筐体の隆起縁に取り付けられるか又は取付け可能であるハブホルダと、
を備え、
前記アライメント部材は、前記カテーテル本体の少なくとも一部を前記所定の形状に拘束するように前記パッケージ筐体内に配置され、
前記操縦可能カテーテルを前記ロボットシステムの作動部に接続するために、前記パッケージ筐体は、前記複数の駆動ワイヤの前記近位端を、前記作動部との接続のために予め構成された配置で提示
し、
前記ハブホルダは、底面から所定の距離に前記アライメント部材を保持するように構成され、それにより、前記複数の駆動ワイヤの前記近位端は、前記パッケージ筐体の前記隆起縁の上に持ち上げられる、
パッケージアセンブリ。
【請求項2】
前記所定の形状は、直線形状又は曲線形状であり、
前記作動部との接続のために予め構成された前記配置は、前記複数の駆動ワイヤの前記近位端が前記カテーテル本体の長手方向軸の周りに対称に分布する配置を含む、
請求項1に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項3】
前記所定の形状は、曲線形状であり、
前記作動部との接続のために予め構成された前記配置は、前記複数の駆動ワイヤの前記近位端が互いに長手方向にずれている配置を含む、
請求項1に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項4】
前記作動部との接続のために予め構成された前記配置は、前記複数の駆動ワイヤの前記近位端が前記操縦可能カテーテルの前記近位端から長手方向に同じ距離にある配置を含む、
請求項1に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項5】
前記パッケージ筐体は、滅菌可能な材料で作られたトレイ又は箱又は台紙を含む、
請求項1に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項6】
前記隆起縁は、前記底面に接続され前記底面を囲
んでおり、
前記パッケージ筐体は、前記底面とは反対側の前記隆起縁に接着された上部織布
を有する、
請求項1に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の駆動ワイヤの前記近位端が前記パッケージ筐体の前記隆起縁の上に持ち上げられることにより、前記アライメント部材又は前記パッケージ筐体から前記操縦可能カテーテルを取り出すことなく、前記複数の駆動ワイヤと前記作動部
を接続することが容易になる、
請求項6に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項8】
前記アライメント部材は、前記カテーテル本体の前記壁と解放可能に係合するように構成された内表面を有するキャリアチューブを含み、
前記キャリアチューブは、前記カテーテル本体の前記少なくとも一部を前記所定の形状に拘束する管状形状を有する、
請求項1に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項9】
前記キャリアチューブの前記所定の形状は、直線形状であり、
前記キャリアチューブは、前記操縦可能カテーテルの前記少なくとも一部を前記直線形状に拘束する、
請求項8に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項10】
前記キャリアチューブの前記所定の形状は、曲線形状であり、
前記キャリアチューブは、前記カテーテル本体の前記少なくとも一部を前記曲線形状に拘束する、
請求項8に記載のパッケージアセンブリ。
【請求項11】
ロボットシステムに接続するように準備された操縦可能カテーテルを包装する方法であって、
近位端から遠位端まで長さ方向に延びる操縦可能カテーテルを提供するステップであって、前記操縦可能カテーテルは、複数の駆動ワイヤによって作動可能な1つ以上の湾曲可能セグメントを有し、前記複数の駆動ワイヤは、前記操縦可能カテーテルの壁に沿って配置され、前記複数の駆動ワイヤの遠位端は、前記1つ以上の湾曲可能セグメントに取り付けられ、前記複数の駆動ワイヤの近位端は、前記操縦可能カテーテルの前記近位端から突出し、作動部に接続可能である、提供するステップと、
所定の形状の表面を有するアライメント部材内に前記操縦可能カテーテルを配置するステップであって、前記表面は、前記操縦可能カテーテルの前記壁と係合するように構成される、配置するステップと、
解放可能に互いに係合した前記アライメント部材と前記操縦可能カテーテルを、パッケージ筐体で包装するステップと、
を含み、
前記アライメント部材は、前記操縦可能カテーテルの少なくとも一部を前記アライメント部材の前記所定の形状に拘束するように前記パッケージ筐体内に配置され、
前記操縦可能カテーテルを前記ロボットシステムの作動部を接続するために、前記パッケージ筐体は、前記複数の駆動ワイヤの前記近位端を、前記作動部との接続のために予め構成された配置で提示
し、
前記操縦可能カテーテルは、前記操縦可能カテーテルの前記所定の形状を維持しながら、前記アライメント部材から部分的に取り外されるように構成される、
方法。
【請求項12】
前記操縦可能カテーテルの前記所定の形状に関する情報を、前記ロボットシステムのメモリに保存するステップ、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記操縦可能カテーテルの前記所定の形状に関する前記情報に基づいて、前記作動部を初期化するステップ、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記操縦可能カテーテルは、前記操縦可能カテーテルの前記所定の形状を変化させるように構成された1つ以上の駆動ワイヤを含み、
前記作動部は、前記駆動ワイヤに対するアクセプタ部品を動かすように構成された1つ以上のアクチュエータを含み、
前記作動部を初期化するステップは、前記作動部の前記1つ以上のアクチュエータを制御して、前記操縦可能カテーテルの前記所定の形状に応じた位置まで前記駆動ワイヤに対する前記アクセプタ部品を動かすことを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記操縦可能カテーテルの前記近位セクションを、初期化された前記作動部に接続するステップ、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記作動部に接続された操縦可能カテーテルを、前記アライメント部材から取り出すステップ、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記作動部の前記1つ以上のアクチュエータを制御して、前記操縦可能カテーテルの前記所定の形状を変化させるように、前記駆動ワイヤに対する前記アクセプタ部品を動かすステップ、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記操縦可能カテーテル及び前記アライメント部材は、前記部分的な取外しの間、無菌パッケージ内に保持される、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記操縦可能カテーテルのルーメン内に、イメージングデバイス又はエンドエフェクタツールを配置するステップ、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、同時係属中の米国仮特許出願第63/294472号(2021年12月29日出願)に関し、また、それからの優先権を主張し、その内容は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、医療機器に関する。より具体的には、本開示は、操縦可能カテーテル用のカテーテルパッケージを対象とし、特に、ロボット制御カテーテルと、当該操縦可能カテーテルをロボットアクチュエータに取り付ける際の当該カテーテルパッケージの使用方法とを対象とする。
【背景技術】
【0003】
医療機器の分野では、無菌パッケージは、(少なくとも部分的に)患者ケアの結果を決定する重要な側面である。そのために、手術器具や医療用品等の医療機器は、一般に無菌パッケージで製造元から医療機関に出荷されることがよく知られている。従来の医療機器用無菌パッケージでは、フォームファクタが不変であるものに定評があったが、最近の医療機器ではフォームファクタが多様であるので、特別な要件がある。例えば、カテーテルアセンブリは、長さ100センチメートル(cm)未満から数メートル(m)まで様々な形状とサイズのものが入手可能であり、したがって、そのようなアセンブリは一般に、コイル状の構造をもつ無菌パッケージで出荷される。カテーテルパッケージの例は、とりわけUS2002/0062062、US2015/0352316、US2015/0273180、米国特許第4858821号、米国特許第5846221号、米国特許第10780245号、米国特許第10869925号等の、先に公開された特許と特許出願公報に記載されている。
【0004】
無菌パッケージを取り除くとき、使用前にカテーテルの包装を解いて伸ばす際に注意を払う必要がある。パッケージの除去時にカテーテルが不注意で曲がったり、ねじれたり、その他の損傷を受けたりすると、カテーテルが使用に適さない状態になってしまう場合がある。ロボット制御の操縦可能カテーテルでは、そのようなロボットカテーテルの製造に使用される部品のコストが高く、そのような部品の複雑性が高いので、無菌パッケージに関する上述の考慮事項が更に重要になる。
【0005】
ロボット制御のカテーテルや内視鏡のほとんどは、器具の先端の形状を操作するために、駆動ワイヤ(腱又は腱ワイヤとも呼ばれる)を押したり引いたりすることに依存している。操縦可能カテーテルには、カテーテル本体の様々なセクションを操作して複雑な形状を可能にする、多数の駆動ワイヤが含まれることがある。多くの場合、駆動ワイヤを含むカテーテル本体は滅菌されており使い捨てであるが、駆動機構又は作動部は、使い捨てではなく、潜在的に非滅菌である資本設備の一部である。したがって、操縦可能カテーテルを使用するたびに、ユーザが、個々の駆動ワイヤの各々をその対応するアクチュエータに手動で接続する必要がある。このプロセスはユーザにとって面倒なものであり、カテーテルの無菌状態を無効にするおそれがあり、また、ユーザがミスをして、1本以上のワイヤをアクチュエータに適切にロックできず、それにより、誤動作や器具又は患者への潜在的な損傷が生じるおそれがある。
【0006】
ロボットカテーテルの一種は、ヘビ型ロボットや連続体ロボットとして知られている。ヘビ型や連続体のロボットの例は、本願の譲受人によって開示された米国特許第10687694号、第11007641号及び第11130992号に記載されている。これらの特許公報は、あらゆる目的で参照により本明細書に援用される。一般に、連続体ロボットは、1つ以上の湾曲可能セクションを有する管状体を含み、湾曲可能セクションは、ヘビの動きに似た連続した滑らかな曲線に管状体を成形することにより、狭い空間に到達するように様々な方向に連続的に曲がる。1つ以上の湾曲可能セクションは、管状体の長さに沿って配置された駆動ワイヤによって機械的に作動される。駆動ワイヤは、管状体の近位端に取外し可能に接続された作動部に配置された1つ以上のアクチュエータによって、押し方向と引き方向に作動される。連続体ロボットカテーテルでは、管状体は、無菌性の要求に応じて、単回使用(使い捨て)や限定使用となるように設計されることが多い。したがって、ユーザが作動部に対して素早く湾曲可能体の接続・切離しを行えることが重要である。接続を改善するために、使用前、連続体ロボットカテーテルは、システムを較正するために既知の状態にある必要がある。具体的には、所望のカテーテルの曲げを達成するのに必要な駆動ワイヤの動きをシステムが計算するために、システムを較正(“ゼロ設定”)する必要がある。
【0007】
連続体ロボットカテーテルは非常に長くなる可能性が高い(例えば約800mmの長さかそれ以上)ので、ユーザにとって、カテーテルパッケージを持ち、カテーテルのキャリアチューブを除去し、カテーテルをロボットシステムの作動ハンドルに接続することは困難である。具体的には、カテーテルを作動部に接続する前に外装(トレイや箱)、キャリアチューブ、カテーテルを互いに分離する必要があるが、開梱・セットアップ時にこれらの部品を置くスペースを手術台に確保することは困難である。したがって、連続体ロボットカテーテルとその作動部との接続を容易にすることができるような、カテーテルパッケージ(特に、連続体ロボットカテーテルの無菌パッケージ)の改良が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、新規のカテーテルパッケージが提供される。本カテーテルパッケージは、無菌パッケージと、作動部との接続のためにカテーテルを提示しながら、所定の姿勢に配置された操縦可能カテーテルを保持するように構成されたアライメントチューブと、を備える。より具体的には、細長い操縦可能カテーテルを取出し可能に格納するための無菌パッケージアセンブリは、以下を備える:細長い操縦可能カテーテルを所定の姿勢に保持するように構成された無菌パッケージ;及び、細長いカテーテルの所定の姿勢を変化させることなく、細長いカテーテルの一端を作動部との接続のために提示するように構成されたアライメントチューブ。パッケージアセンブリは、カテーテル機器をパッケージに入れたままで作動部を細長い操縦可能カテーテルに接続できるように、設計される。
【0009】
無菌パッケージアセンブリに細長い医療機器を取出し可能に格納し、細長い医療機器を非無菌コンポーネントに接続する方法は、以下を含む:アライメントチューブが細長い医療機器を所定の姿勢に拘束するような形で、細長い医療機器をアライメントチューブに挿入するステップ;及び、アライメントチューブと、アライメントチューブ内に挿入された細長い医療機器とを、無菌パッケージ内に一緒に封入するステップ。アライメントチューブは、細長い医療機器の所定の姿勢を変化させることなく、細長い医療機器の一端を作動部との接続のために提示するように構成される。
【0010】
別の実施形態によれば、操縦可能カテーテルのパッケージ除去及び較正のワークフローは、システム管理ソフトウェアを用いることによって作動ハンドルを初期化するステップ、を含む。ソフトウェアシステムは、無菌梱包材からカテーテルを取り出すことなくカテーテルの駆動ワイヤを受け入れるための所定の位置(初期位置)に、作動部のアクセプタ部品を設定する。初期位置は、パッケージ設計に基づいて予めプログラムされている。具体的には、一実施形態では、システムはまず、カテーテルが所定の形状にあるときに、駆動ワイヤを受け入れる位置まで作動部のアクセプタ部品を移動させるように構成される。一実施形態では、作動部のアクセプタ部品は、無菌パッケージ内で直線(線形)形状に拘束された操縦可能カテーテルを受け入れることができる。他の実施形態では、システムは、無菌パッケージ内で曲線状の(曲がった)形状に拘束された操縦可能カテーテルを受け取り、カテーテルの曲線形状に応じた位置まで駆動ワイヤのアクセプタ部品を移動させるように構成されてよい。
【0011】
システム又はユーザが初期化ステップの完了を確認すると、ユーザは、無菌パッケージからカテーテルを取り出すことなく、操縦可能カテーテルを作動部に接続するための以下の手順に進む。第1に、上部織布(top web)を剥がして、無菌パッケージを開ける。第2に、カテーテルハブ、ハブホルダ及びアライメントチューブを、部分的にパッケージから引き出す。第3に、ハブホルダを広げ、パッケージスロットを露出させる。第4に、ハブホルダを無菌パッケージの側面に取り付ける。第5に、制御ハブを露出させ、制御ハブを作動ハンドルに接続するための準備をする。第1~第5のステップのプロセスを通して、操縦可能カテーテルは、アライメントチューブ内で清潔に保たれる。次に、第6のステップにおいて、ユーザは、カテーテルパッケージを患者の近く(カート、台、ベッドの上)に置く。第7のステップでは、ユーザは、露出したハブに作動ハンドルを接続するとともに、作動ハンドルのアクセプタ部品にカテーテルの駆動ワイヤを接続する。
【0012】
初期化ステップにおいて、システムは既に、所望の形状(例えば直線形状)に応じてアクセプタ部品を配置しているので、ユーザは、カテーテルを直線状に拘束するパッケージを活用することにより、予期せぬ形状誤差のリスクを最小限に抑えながら、適切な形状(この実施形態では直線形状)をもつカテーテルを組み立てることができる。
【0013】
有利な点として、初期アライメントにパッケージを使用することにより、形状較正のために追加の部品やプロセスを追加する必要がない。したがって、システムのコストを最小限に抑え、ユーザがセットアップのための部品の数を管理する負担を軽減し、較正プロセスを迅速化することが可能である。
【0014】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面及び提供された特許請求の範囲と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の更なる目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態を示す添付の図と併せて解釈すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
【
図1】
図1は、手術室(OR)等の医療環境で使用される連続体ロボット500を備えた医用システム1000の大まかな構造を図示する。
【
図3】
図3Aは、所定の直線形状を有する操縦可能カテーテル100の駆動ワイヤを受け入れるための位置までアクセプタ部品を移動させるように構成された作動部300の初期化プロセスを示す。
図3Bは、所定の曲線形状又は湾曲形状を有する操縦可能カテーテル100の駆動ワイヤを受け入れるための位置までアクセプタ部品を移動させるように構成された作動部300の初期化プロセスを示す。
【
図4】
図4は、細長い医療機器を無菌パッケージアセンブリ内に取出し可能に格納し、細長い医療機器を非無菌部品に接続する方法の例示のワークフローを図示する。この場合、細長い医療機器が無菌パッケージ内にある状態で、該機器に作動部を接続することができる。
【
図5】
図5A~
図5Cは、アライメントチューブ130と一体化されたハブホルダ604の様々な実施形態を図示する。
【
図6】
図6は、操縦可能カテーテル100の形状を非線形姿勢に拘束するように構成されたアライメントチューブ130の別の実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な実施形態が更に詳細に説明される前に、本開示は特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。また、当然のことながら、本明細書において用いられる用語は、例示の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定することを意図するものではない。本開示の実施形態は、医学的処置又は低侵襲手術(MIS)の分野内で多くの用途を有し得る。
【0018】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために用いられる。更に、同封の図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲から逸脱することなく、説明される例示の実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。図面はいくつかの可能な構成及びアプローチを表すが、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本開示の特定の態様をより分かりやすく図示及び説明するために、特定の特徴が誇張、削除又は部分的に切断される場合がある。本明細書に記載の説明は、網羅的であること、そうでなければ、図面に示され以下の詳細な説明に開示される正確な形態及び構成に特許請求の範囲を限定又は制限することを意図するものではない。
【0019】
当業者には当然のことながら、一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、“オープン”な用語として意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである、等)。更に、当業者には当然のことながら、導入された請求項記載の具体的な数字が意図されている場合、そのような意図は特許請求の範囲に明示的に記載され、また、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項記載を導入するために、「少なくとも1つの」や「1つ以上の」という導入句の使用を含む場合がある。ただし、そのような語句の使用は、同じ請求項に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」との導入句と、“a”又は“an”等の不定冠詞とが含まれている場合でも、不定冠詞“a”又は“an”による請求項記載の導入により、そのような導入された請求項記載を含む特定の請求項が、そのような記載を1つだけ含む請求項に限定されることを意味すると解釈されるべきではない(例えば、“a”及び/又は“an”は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。請求項記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても、同じことが言える。
【0020】
更に、導入された請求項記載の具体的な数字が明示的に記載されている場合であっても、当業者には当然のことながら、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきである(例えば、他の修飾語を伴わずに「2つの部品」とだけ記載される場合、少なくとも2つの部品、又は2つ以上の部品を意味する)。更に、「A、B及びC等のうちの少なくとも1つ」に類似した規定が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者が該規定を理解し得るという意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で、B単独で、C単独で、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、かつ/又は、A、B及びCを併せて有するシステム等を含み得る)。「A、B又はC等のうちの少なくとも1つ」に類似した規定が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者が該規定を理解し得るという意味で意図されている(例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で、B単独で、C単独で、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、かつ/又は、A、B及びCを併せて有するシステム等を含み得る)。更に、当業者には当然のことながら、離接語、及び/又は2つ以上の代替用語を表す語句(明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても)は、文脈上別段の指示がない限り、該用語の一方、該用語のいずれか、又は該用語の両方を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、「A又はB」という表現は、具体的に「Aのみ又はBのみ」と記載されない限り、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0021】
本明細書において、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上」にあるとして言及されるとき、それは、当該他の特徴又は要素の直上に存在してよく、又は、介在する特徴及び/又は要素も存在してよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直上」にあるとして言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。また、当然のことながら、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続される」、「取り付けられる」、「結合される」等として言及されるとき、それは、当該他の特徴に直接的に接続されてよく、取り付けられてよく、又は結合されてよく、又は、介在する特徴又は要素が存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」又は「直接的に結合される」として言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。一実施形態に関して説明又は図示したが、一実施形態においてそのように説明又は図示された特徴及び要素は、他の実施形態に適用することができる。また、当業者であれば理解できるように、別の特徴に「隣接」して配置されている構造又は特徴への言及は、当該隣接する特徴にオーバーラップするかその下にある部分をもつ場合がある。
【0022】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの指定の用語によって限定されない。これらの指定の用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分は、単に区別を目的として、しかし限定をすることなく、また、構造的又は機能的な意味から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分と呼ぶことができる。
【0023】
本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」、「備える」、「成る」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、本開示では、「~から成る」という移行句は、クレームで指定されていないいかなる要素、ステップ又はコンポーネントも除外する。更に、留意すべきこととして、一部のクレーム又はクレームの一部の特徴は、任意の要素を除外するように起草される場合があり、このようなクレームは、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「~のみ」等の排他的な用語を使用する場合があり、又は、「否定的な」限定を使用する場合がある。
【0024】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、例えば10%以内、5%以内又はそれ未満を意味する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することがある。これに関して、説明され又はクレームされる際に、用語が明示的に表示されていなくても、全ての数値は「約」又は「およそ」という語が前置されているかのように読まれてよい。「約」又は「およそ」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述するとき、記載の値及び/又は位置が値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために使用されることがある。例えば、数値は、記述された値(又は値の範囲)の±0.1%、記述された値(又は値の範囲)の±1%、記述された値(又は値の範囲)の±2%、記述された値(又は値の範囲)の±5%、記述された値(又は値の範囲)の±10%等である値を含み得る。本明細書に記載されている場合、あらゆる数値範囲は、具体的に別段の記載がない限り、終了値を含むことを意図しており、そこに属する全ての部分範囲を含む。本明細書で用いられる場合、「実質的に」という用語は、意図された目的に悪影響を及ぼさない、記述子からの逸脱を許容することを意味する。例えば、測定値の限定に由来する逸脱、製造公差内の差異、又は5%未満の変動は、実質的に同じ範囲内にあると見なすことができる。指定された記述子は、絶対値(例えば、実質的に球形、実質的に垂直、実質的に同心等)又は相対語(例えば、実質的に類似、実質的に同じ等)であり得る。
【0025】
具体的に別段の記載がない限り、以下の開示から明らかであるように、本開示を通して、「処理する」、「コンピュータで計算する」、「計算する」、「決定する」、「表示する」等の用語を用いた議論は、コンピュータシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイス、又は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、同様にコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報の記憶、伝送又は表示用のデバイス内の物理量として表される他のデータに変換するデータ処理デバイスの、動作及びプロセスを指すものと理解される。本明細書に記載されているか、若しくは添付の特許請求の範囲に記載されているコンピュータ動作又は電子動作は、文脈上別段の指示がない限り、一般に、任意の順序で実行することができる。また、様々な動作フロー図が順番に提示されているが、当然のことながら、各種動作は、図示又は特許請求されている順序以外の順序で実行することができ、或いは、動作を同時に実行することができる。そのような代替の順序付けの例としては、文脈上別段の指示がない限り、重複、インターリーブ、中断、再順序付け、増分、準備、補足、同時、逆、又は他の変形の順序付けが挙げられる。更に、「~に応答して」、「~に応えて」、「~に関連して」、「~に基づいて」等の用語、又は他の同様の過去形容詞は、文脈上別段の指示がない限り、通常、そのような変形を除外することを意図していない。
【0026】
本開示は、概して医療機器に関し、分光装置(例えば内視鏡)、光干渉断層法(OCT)装置、又はそのような装置の組合せ(例えばマルチモダリティ光プローブ)に適用可能である光プローブの実施形態を例示する。光プローブ及びその部分の実施形態を、三次元空間におけるそれらの状態に関して説明する。本明細書で用いられる場合、「位置」という用語は、3次元空間における物体又は物体の一部の位置(例えばデカルトX、Y、Z座標に沿った3自由度の並進自由度)を指し、「向き」という用語は、物体又は物体の一部の回転配置(回転の3自由度―例えばロール、ピッチ、ヨー)を指し、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度にある物体又は物体の一部の位置と、少なくとも1つの回転自由度にある物体又は一部の物体の向きとを指し(合計で最大6つの自由度)、「形状」という用語は、物体の長尺体に沿って測定された一連の姿勢、位置及び/又は方向を指す。
【0027】
医療機器の分野において既知であるように、「近位」及び「遠位」という用語は、ユーザから手術部位又は診断部位まで延びる器具の端部の操作に関して用いられる。これに関して、「近位」という用語は、器具のユーザに近い部分(例えばハンドル)を指し、「遠位」という用語は、ユーザから離れており外科部位又は診断部位に近い器具の部分(先端)を指す。更に、当然のことながら、便宜上簡潔にするために、本明細書では、図面に関して「垂直」、「平行」、「上」、「下」等の空間用語が用いられる場合がある。ただし、手術器具は多くの向きと位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的かつ/又は絶対的であることを意図していない。
【0028】
本明細書で用いられる場合、「カテーテル」との用語は、概して、広範囲の医療機能を実行するために、狭い開口を通して体腔(例えば血管、気管、腸等)の中に挿入されるように設計された、医療グレードの材料から作られる軟性の管状器具を指す。より具体的な「光学カテーテル」との用語は、医療グレード材料から作られた保護シース内に配置され光学イメージング機能をもつ1つ以上の軟性の光伝導ファイバの細長い束を含む医用器具を指す。光学カテーテルの特定の例は、シース、コイル、プロテクタ及び光学プローブを備える光ファイバカテーテルである。一部の用途では、カテーテルは、シースと同様に機能する「ガイドカテーテル」を含み得る。
【0029】
本明細書で用いられる場合、「内視鏡」との用語は、光学プローブによって導かれる光を用いて体腔又は臓器の内部を観察する、硬性又は軟性の医用器具を指す。内視鏡が自然開口を通して挿入される医療処置は、内視鏡検査と呼ばれる。専用の内視鏡は、気管支鏡(口)、S状結腸鏡(直腸)、膀胱鏡(膀胱)、腎臓鏡(腎臓)、気管支鏡(気管支)、咽頭鏡(咽頭)、耳鏡(耳)、関節鏡(関節)、腹腔鏡(腹部)及び消化管内視鏡等、一般に、内視鏡の使用方法や使用場所にちなんで名付けられる。
【0030】
本開示では、「光ファイバ」又は単に「ファイバ」等の用語は、全反射として知られる効果によって一端から他端に光を伝導することができる、細長い軟性の光伝導管を指す。「導光コンポーネント」又は「導波管」との用語も、光ファイバを指す場合があり、又は光ファイバの機能をもつ場合がある。「ファイバ」との用語は、1つ以上の光伝導ファイバを指す場合がある。光ファイバは、一般に透明で均質なコアをもち、それを通して光が誘導され、また、コアは均質なクラッディングによって囲まれている。コアの屈折率は、クラッディングの屈折率よりも大きい。設計上の選択に応じて、一部のファイバは、コアを囲む複数のクラッディングをもつことができる。
【0031】
本開示の実施形態は、低侵襲外科(MIS)手技に適用できるロボット制御可能な内視鏡又はカテーテルの無菌性及び較正の改善を対象としている。MIS手技は、小さな切開部又は自然開口から患者の生体管腔内に挿入される、長くて硬性又は軟性の手術器具の使用を伴う。多様な内視鏡手技が周知であるので、本開示は、特定の手技に限定されるものではないが、MIS手技(内視鏡の遠位セクションが、解剖学的管腔に挿入されるとともに、所望の場所まで能動的に操縦され、ロボットアクチュエータが内視鏡の近位端に配置される)に特に適用可能であり得る。本開示全体を通して、ロボット制御内視鏡機器の動作原理と新規の改良点が詳細に説明される。そのような内視鏡機器の用途には、診断と治療両方を目的とする手技が含まれる。
【0032】
まず、連続体ロボット500と、支持プラットフォーム200と、コンピュータシステム400とを備える医用システム1000の構造要素を、
図1及び
図2A~
図2Cを参照して説明する。連続体ロボット500は、少なくとも操縦可能カテーテル100の一部を作動させることにより、連続的な曲線状の形状を形成するように構成される。連続体ロボット500の一例は、出願人が以前に公開した米国特許第9144370号、米国特許第11051892号、米国特許出願公開第2015/0088161号、第2018/0243900号、第2018/0311006号、第2019/0015978号(あらゆる目的で参照により本明細書に援用される)に記載されるような、ヘビ型内視鏡機器である。
【0033】
<連続体ロボットシステム>
図1は、患者80を治療するために手術室(OR)等の医療環境で使用される連続体ロボット500を備えた医用システム1000の大まかな構造を図示する。医用システム1000は、連続体ロボット500と、コンピュータシステム400と、支持プラットフォーム200とから成る。コンピュータシステム400は、表示画面420及びコンソール410を含む。連続体ロボット500は、支持プラットフォーム200に取外し可能に取り付けられ、有線及び/又は無線の接続(図示なし)を介してコンピュータシステム400とのデータ通信を維持する。支持プラットフォーム200は、1つ又は複数の関節式アームと、作動ハンドルが搭載されるリニアステージ202とを含むことができる。連続体ロボット500は、操縦可能カテーテル100と、本明細書で作動部300と呼ばれる作動ハンドルとを含む。操縦可能カテーテル100は、カテーテルコネクタ101を介して作動部300に接続される。操縦可能カテーテル100は、近位セクション120と遠位セクション110を有する。遠位セクション110は、患者80の解剖学的管腔(例えば気管)に挿入されるように構成され、操縦可能カテーテル100の近位セクション120は、コネクタ101の作動部300に接続されるように構成される。
【0034】
作動部300は、概してカテーテルハンドルのような形状をもつハウジングに収められたマイクロコントローラと1つ以上のアクチュエータ(図示なし)を含むことができる。カテーテルハンドルは、ユーザ10の片手又は両手で握られるように構成される。作動部300のマイクロコントローラは、当業者に既知である適切なソフトウェア、ファームウェア及び周辺ハードウェアとともに、比例・積分・微分(PID)コントローラ又は他のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を含んでよい。1つ以上のアクチュエータは、遠位セクション110の1つ以上のセグメントを曲げるために用いられる1つ以上の制御ワイヤを作動させる(動かす)ように構成された1つ以上のモータを含んでよい。作動部300は、ジョイスティック及び/又はゲームパッド等のユーザ制御部320を含んでよい。ユーザ制御部320は、遠位セクション110を様々な方向に連続した曲率で選択的に曲げるように構成されてよい。また、作動部300のハウジングは、1つ以上のアクセスポート350を含んでもよいし、1つ以上のアクセスポート350に接続されてもよい。アクセスポート350は、操縦可能カテーテル100のツールチャネルにツール又は流体を通すために用いることができる。一部の実施形態では、1つ以上のアクセスポート152は、カテーテル100のコネクタ101に含まれてよい(
図2Aに示すように)。
【0035】
コンピュータシステム400は、ユーザ10(例えば外科医や内視鏡医)に、ユーザ10がシステム全体とインタラクトし制御する際に使用できる表示装置420のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供することができる。初期較正手順の間、コンピュータシステム400のシステムプロセッサ又は中央処理装置(CPU)は、システムのメモリ(図示なし)に予め保存されたコンピュータ実行可能コードに基づいて、アクチュエータハンドルの初期状態を設定するための動作を実行するように構成されてよい。より具体的には、ユーザ10は、システムのソフトウェアを用いて、カテーテルが所定の形状で提示されている間にカテーテル100の駆動ワイヤを受け入れるための初期位置に作動部300のアクセプタ部品を設定することによって、作動ハンドルを初期化することができる。アクセプタ部品の駆動ワイヤを受け入れるための初期位置は、カテーテルパッケージ設計に基づいて(例えばアライメントチューブ130の形状に基づいて)、事前にプログラムすることができる。
【0036】
医療手技中、表示装置420は、システム設定及び患者情報421と、ライブ画像422と、術中誘導画像423と、患者80の術前画像424(例えばスライススキャン画像)と、のうちの1つ以上を表示するように構成されてよい。術中誘導画像423は、電磁(EM)場発生器60によって撮像された操縦可能カテーテル100の形状又は位置に、少なくとも部分的に基づくことができる。一部の実施形態では、ユーザ10は、表示装置420によって提供されるGUIを用いて、操縦可能カテーテル100とインタラクトし、操縦可能カテーテル100の適切な較正を遠隔で操作又は確認することができる。
【0037】
<操縦可能カテーテル>
図2A、
図2B、
図2C及び
図2Dは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能カテーテル100の更なる詳細を図示する。
図2Aは、コネクタ101に取り付けられる細長い管状体を含むカテーテル100を示す。細長い管状体は、遠位セクション110と近位セクション120を備える。遠位セクション110は、患者の体腔(例えば肺につながる気道)に挿入されるように構成される。近位セクション120は、コネクタ101を介して、外部の作動部300に接続されるように構成される。コネクタ101の中心と、近位セクション120及び遠位セクション110の中心を通って、少なくとも1つのツールチャネル150がカテーテル100を横断する。複数の駆動ワイヤ210は、操縦可能カテーテルの1つ以上の湾曲可能セグメントに取り付けられ、操縦可能カテーテルの壁とコネクタ101を通り、近位セクション120を通ってコネクタ101に向けて突出する。コネクタ101は、コネクタハブ102とアクセスポート152を含む。アクセスポート152は、ツールを挿入したり流体を通したりするのに用いることができる。コネクタハブ102は、所定の構成に(例えば、カテーテルの長手方向軸の周りで対称に分布するように)まとめられた複数のコネクティングロッド103を保持する。コネクタハブ102は、作動部300のハウジング(作動ハンドル)内部に配置されたアクセプタ部品302と係合するように構成された複数のコネクティングロッド103(駆動ワイヤの近位端)を保持する。
【0038】
図2Bは、コネクタ101がない状態の操縦可能カテーテル100の実施形態を図示する。操縦可能カテーテル100の細長い管状体は、近位セクション120と呼ばれる硬い管状部と、遠位セクション110と呼ばれる複数のリングとから形成される。遠位セクション110は、駆動ワイヤ210によって作動されるように構成された1つ以上の湾曲セグメントを含む。
図2Bは、第2の湾曲セグメント113から成る遠位セクション110を有する操縦可能カテーテル100の実施形態を図示する。操縦可能カテーテル100の所望の用途に応じて、遠位セクション110は、3つ以上の湾曲セグメントを含むことができる。各湾曲セグメントは、カテーテルの長さ方向に互いに所定の距離を置いて配置された複数のリングを含む。各リングの内径は、ツールチャネル150を形成するように硬い環状部の内径に位置合わせされる。
図2Bでは、第1の湾曲セグメント111はリング111A、111B等を含み、第2の湾曲セグメント113はリング113A、113B等を含む。第1の湾曲セグメント111と第2の湾曲セグメント113の間には、アンカー部材114が配置される。第2の湾曲セグメント113は、近位セクション120の遠位側に配置される。一部の実施形態では、遠位セグメント111と近位セグメント113の間に1つ以上の追加の湾曲セグメント(図示なし)が配置されてよい。近位セクション120の硬い管状部と、遠位セクション110に配置された各リングは、カテーテルの壁に沿って1つ以上のコンジット又は貫通孔を含む。このようなコンジット又は貫通孔は、駆動ワイヤ210を通すように構成される。
図2Bに示されるカテーテル100では、1つ以上の駆動ワイヤ210の遠位端は、最も遠位のリング111Aに固定され、他の駆動ワイヤ210の遠位端は、アンカー部材114に固定される。駆動ワイヤは、駆動ワイヤの近位端が駆動ワイヤの近位端を通って突出するような形で、操縦可能カテーテルの壁に沿って配置される。駆動ワイヤ210の近位端は、コネクタ101を通り、コネクタハブ102によって保持された複数のコネクティングロッド103によって終端処理される(
図2A、
図3A、
図3Bに示されるように)。当然のことながら、駆動ワイヤ210の遠位端は、作動部300から作動力(押す力又は引く力のいずれか)を受ける。
【0039】
図2Cは、近位セクション120及び遠位セクション110を含むカテーテル100の別の実施形態を示す。
図2Cは、近位セクション120が円筒状の管状体(少なくとも1つのツールチャネル150を含む)を含むことを示す。ツールチャネル150は、管状体の円筒状開口に沿って(内部に)延びている。
図2Cに示される遠位セクション110は、複数のリング112A、112B等から成る単一の湾曲セグメントを含む。この場合、駆動ワイヤ210は、最も遠位のリング112Aのみに固定される。各湾曲セグメントのリングとアンカー部材は、ツールチャネル150に平行な小さな貫通孔104を有するワイヤ誘導部材である。貫通孔104は、駆動ワイヤ210や他の電子部品を通すコンジットとして機能する。各湾曲セグメントのリングと、近位セクション120の管状体と、アンカー部材114は、ポリエーテルブロックアミド(例えばPebax(登録商標))等の従来の生体適合性材料や、ポリウレタン等のプラスチックから作られてよい。リングの外表面と内表面の一方又は両方に、類似の生体適合性材料から作られ医療グレードの潤滑性材料でコーティングされたアウターシース及び/又はインナーシースを配置して、カテーテル100の遠位セクション110及び/又は近位セクション120を覆うことができる。シースは、生体適合性のPebaxや、ポリウレタン等の他の合成物又はプラスチックから作られてよい。
【0040】
図2Dは、第1の貫通孔104aと、第2の貫通孔104bと、第3の貫通孔104cとを有する例示のリング112を示す。リング112では、貫通孔104a、104b、104cは、リングの内表面と外表面の間のリング壁に形成される。他のセグメントのリングでは、貫通孔の数が異なってもよいし、全く貫通孔がなくてもよい。貫通孔104を用いて、作動部300のアクチュエータによって作動される駆動ワイヤ210を通すことができる。また、貫通孔104の少なくとも一部を用いて、作動しないバックボーンワイヤを通すことができる。更に、貫通孔104を用いて、小型化された電磁(EM)センサ等の電子部品をその中に保持することができ、或いは、貫通孔104に放射線不透過性材料を充填することができる。EMセンサ及び/又は放射線不透過性材料は、画像誘導による術中手技に有用であり得る。
【0041】
ツールチャネル150は、イメージングデバイス(図示なし)を通すように構成されてもよいし、或いは、カテーテルの遠位端まで送達されそこで動作するエンドエフェクタツールを通すように構成されてもよい。更に、ツールチャネル150は、液体状態又は気体状態の流体(例えばガス、生理食塩水、水等)を患者の体内の標的領域に送り、かつ/又は、標的領域からそのような流体を回収するために使用されてもよい。イメージングデバイスは、内視鏡カメラ、又はファイバベースのイメージングプローブを含んでよい。内視鏡カメラの例としては、イメージングデバイスの先端に配置されたミニチュアCMOSセンサを備えたカメラ等の、チップ・オン・ティップ(COT)カメラが挙げられるが、これに限定されない。
【0042】
操縦可能カテーテル100は、各種の器具により、患者の解剖学的構造内の管腔内標的領域に対する遠隔のイメージング、操作、切断、縫合、液体又は気体物質の送達及び回収等が可能となるような、柔軟なアクセスを提供するように構成される。そのために、ユーザが、ユーザの制御部320(ジョイスティック)又はコンピュータシステム400を介してカテーテルの遠位端に配置された器具を遠隔操作することによって当該器具を制御できるように、操縦可能カテーテル100は、ねじり剛性と長手方向の剛性を保ちながら、蛇行経路を通って進むための柔軟性を提供する必要がある。動作時、駆動ワイヤ210の各々に加えられる押す力又は引く力によって、操縦可能カテーテル100の湾曲セグメントの1つ以上が作動される。
図2Bは、操縦可能カテーテル100が弛緩状態にある(曲がっていない)ので、全ての駆動ワイヤ210の近位端がほぼ同じ平面にあるという例を示す。ここで、操縦可能カテーテル100は、直線状又は線形の姿勢をとっている。
図2Cは、操縦可能カテーテル100が湾曲モード又は作動モードにあるので、1つ以上の駆動ワイヤ210の近位端が異なる平面にある(すなわち、互いに長さ方向にずれている)という例を示す。ここで、操縦可能カテーテル100は、湾曲した姿勢、又は線形の姿勢をとっている。
【0043】
<ロボットカテーテルのセットアップワークフロー>
連続体ロボット500の上述の説明から、操縦可能カテーテル100が、作動部300への初期接続時に精確なアライメントと較正を必要とする繊細な器具であることが、当業者には理解できるであろう。カテーテルの初期接続時の精確なアライメントと較正は、精確なカテーテル動作を達成し、患者の安全性を保証する上で必須である。特に、先に述べたように、連続体ロボット500は、システムを較正するために、カテーテル100が既知の状態にあることを必要とする。すなわち、所望のカテーテルの曲げを達成するために必要なワイヤ動作をシステムが計算するために、システムは“ゼロ設定”される必要がある。操縦可能カテーテル100と作動部300の安全で迅速な接続を容易にするために、本出願人による先の米国特許出願公開第2021/0121051号は、カテーテルの駆動ワイヤに取り付けられた複数のコネクティングロッドを受け入れるように構成されたアクセプタ部品を備えたコネクタを開示している。先の文献では、アクセプタ部品は、スライドとねじりの操作でL字形状のコネクティングロッドを受け入れるように構成される。更に、公開されていない特許出願第17/133184号は磁気コネクタを開示しており、アクセプタ部品は、カテーテルの駆動ワイヤに取り付けられた線形(直線状)の磁化コネクティングロッドを受け入れるように構成される。先の特許出願第17/133184号では、カテーテル側の磁化コネクティングロッドが、作動ハンドルに挿入され、作動部のアクセプタ部品と磁力によって係合する。次に、係止機構が、作動部とカテーテルの間の機械的接続を固定する。米国公開第2021/0121051号と特許出願第17/133184号(両方とも本願の譲受人によって開示された)は、あらゆる目的で参照により本明細書に援用される。
【0044】
本願の発明者は、作動部300と操縦可能カテーテル100の安全で迅速な接続を更に改良するために、アクチュエータ側のアクセプタ部品だけでなく、カテーテル側の駆動ワイヤも、所定の姿勢をとらせる必要があることを認識した。そのために、本願は、無菌筐体(無菌パッケージ)と、操縦可能カテーテル100を所定の姿勢で封入するように構成されたアライメントチューブとから成る、新規のパッケージアセンブリを開示する。この構成では、操縦可能カテーテルをロボットシステムの作動部に接続するとき、無菌パッケージとアライメントチューブを用いて、作動部300との接続のために予め配置されたコネクティングロッド103が提示される。有利な点として、駆動ワイヤ210の近位端(コネクティングロッド103)が操縦可能カテーテルの所定の形状に従って予め配置されると、無菌パッケージからカテーテルを取り出すことなく、作動部300とカテーテルコネクタ101の接続を迅速に達成することができる。第1の実施形態によれば、新しい操縦可能カテーテル100をロボットシステムの作動部300に接続するための例示のワークフローに従って、新規の梱包材アセンブリが説明される。
【0045】
図4は、新しいカテーテル100を作動部300に接続する例示のワークフローを図示する。先に述べたように、患者でのカテーテルの使用を開始する前に、適切な機能を保証するために、カテーテルの初期較正を実施することが重要である。したがって、ユーザ10が所与の手技を実施しようとしているときに、ユーザはまず、システムのソフトウェアを用いて、作動部300(すなわち作動ハンドル)を初期化する。ソフトウェアは、コントローラシステムに、カテーテルパッケージからカテーテルを取り出すことなく、カテーテルの駆動ワイヤを受け入れるための較正位置(初期位置)に、作動部300のアクセプタ部品を設定させる。アクセプタ部品302の較正位置又は初期位置は、カテーテル設計に基づいて事前にプログラムされてよい。カテーテル設計は、カテーテルのタイプ又はサイズ、実施される具体的な医療手技、該当する患者等のうちの1つ以上に応じて、先験的に知ることができる。例えば、鼻腔内手技の場合は、カテーテルの少なくとも一部は既に曲線状の(曲がった)形状である場合があり、気管内処置の場合は、カテーテルは線形(直線)形状である場合がある。別の例では、カテーテル検査手技の場合、カテーテルの少なくとも一部は、心室にアクセスするために予め曲線形状に曲げられている場合がある(例えば心室用カテーテルの場合)。更なる例では、肺結節のロボット支援気管支鏡検査の場合、予め湾曲した先端をもつ極細径内視鏡が使用されることがある。
【0046】
図3A及び
図3Bは、操縦可能カテーテルの所定の形状に従って操縦可能カテーテル100を受け入れるための作動部300の初期化ステップの例を示す。先に述べたように、操縦可能カテーテルは、パッケージのサイズを小さくするために長いカテーテルをコイル形状に拘束する必要性に応じた所定の形状、或いはカテーテルの設計に応じた所定の形状を採用することができる。
図3Aは、カテーテル100が所定の直線形状又は姿勢をとっているときの、カテーテルコネクタ101と作動部300の接続を示す。
図3Aは、例示の実施形態に係る、複数のアクセプタ部品302を有する作動部300の断面図を示す。アクセプタ部品302は、接続端子306を介して電力供給され制御されるリニアステージであってよい。例えば、一実施形態では、アクセプタ部品302は、各駆動ワイヤ210の超音波リニアアクチュエータを含むことができる。リニアアクチュエータは、圧電の原理に基づいて長さ方向304に直線的に動くように構成されたリニアステージとして機能する。アクセプタ部品302は、作動部300のアクチュエータハンドルのハウジング内に配置される。各アクセプタ部品302は、駆動ワイヤ210に取り付けられるコネクティングロッド103を受け入れるように個々に制御することができる。システムは、コネクティングロッド103との接続のための初期位置まで長さ方向304(双方向)に動くように、各アクセプタ部品302を個々に制御することができる。コネクティングロッド103がアクセプタ部品302と係合すると、作動部300は、駆動ワイヤ210に動き(又は駆動力)を機械的に伝達するようにアクセプタ部品302を制御する。
【0047】
初期化プロセスの間、一実施形態によれば、カテーテルの予想されるパッケージ設計に応じた初期位置に作動部300のアクセプタ部品302を設定するように、システムソフトウェアをプログラムすることができる。例えば、
図3Aに図示されるような一部の実施形態では、システムは、カテーテル100が製造業者の梱包材内で直線形状に拘束されると予測することができる。この場合、システムは、カテーテルの直線形状において駆動ワイヤ210のコネクティングロッド103を受け入れるための位置まで、アクセプタ部品302を動かすことができる。
図2Bから分かるように、カテーテルが線形(直線)形状であるとき、全ての駆動ワイヤ210の近位端は、ほぼ同じ平面にある。これに対して、
図2C及び
図6から分かるように、カテーテルが曲線(曲がった)形状にあるとき、駆動ワイヤ210の近位端は同じ平面にない(一部のワイヤが他のワイヤよりも近位側にずれている)。したがって、カテーテルが無菌パッケージに格納されている所定の姿勢又は形状に応じてコネクティングロッド103が配置される初期位置に、作動部300のアクセプタ部品302を配置することが必要である。
図3Bは、カテーテル100が所定の湾曲形状又は曲線形状にある(例えば
図2C及び
図6に示されるように)ときに、コネクティングロッド103との係合を容易にするために、アクセプタ部品302が個々に異なる平面に移動する例を示す。
【0048】
したがって、システムはまず、システムのソフトウェアを用いて、カテーテルの駆動ワイヤに対するアクセプタ部品302を初期位置に設定することにより、作動ハンドルを初期化する。アクセプタ部品302の位置は、パッケージ設計に基づいて事前にプログラムすることができる。或いは、パッケージ設計のタイプを入力して、初期化ステップを実行するように、システムがユーザを促すことができる。具体的には、システムは、パッケージ内でカテーテルが直線又は曲線の形状に拘束されることを予想し、カテーテルの形状に応じた位置まで駆動ワイヤ210に対するアクセプタ部品302を移動させるように構成されてよい。例えば、パッケージアセンブリが、
図6に示されるようにカテーテルを曲線形状に拘束する場合、コネクティングロッド103は、互いに長さ方向にずれることになる。したがって、システムのソフトウェアは、カテーテルの駆動ワイヤに対応する初期位置にアクセプタ部品302を設定することになる。ユーザが初期化ステップの完了を確認すると、ユーザは、
図4のワークフローに進む。
【0049】
図4に戻ると、手技の前に、無菌パッケージアセンブリ600に封入された新しいカテーテル100がユーザに提供される。パッケージアセンブリ600は、カテーテル100がその包装された姿勢に拘束された状態でパッケージ内にあるままで、作動部(作動ハンドル)を駆動ワイヤ210に接続できるように、設計される。
【0050】
パッケージアセンブリ600は、パッケージ601(パッケージ筐体)内に配置された操縦可能カテーテル100を含み、パッケージ601は、上部織布602によって密閉されている。パッケージ601内にはアライメントチューブ130(形状拘束部材)が設けられ、アライメントチューブ130は、操縦可能カテーテル100の少なくとも一部を受け入れて通すように構成されたルーメンを画定する。パッケージ601は、操縦可能カテーテル100の保護ハウジングとして機能する、実質的に矩形の容器(箱状の構造物)であってよい。一実施形態では、パッケージ601は、底面と、底面に接続され底面を囲む隆起縁とを有する箱又はトレイである。上部織布602は、底面と反対側の隆起縁上に配置された薄い蓋である。他の実施形態では、パッケージ601は、操縦可能カテーテル100及びアライメントチューブ130が取り付けられる台紙を含む。これに関して、パッケージ601は、従来の細長いカテーテル又は内視鏡用の周知の無菌梱包材に類似し得る。例えば、剥離可能な蓋を有するヒートシール可能な滅菌可能パッケージが周知である。このタイプの医療機器用パッケージ(医療機器の侵襲部分を汚染することなく、較正等の準備作業のために該機器の非侵襲部分にアクセスするために、蓋を剥がすことが望ましい)は、本開示の背景セクションに記載の1つ以上の刊行物から知ることができる。
【0051】
有利な点として、本開示では、操縦可能カテーテルの近位端から突出する駆動ワイヤの接続を容易にするために、アライメントチューブは、操縦可能カテーテルの少なくとも一部と解放可能に係合し、操縦可能カテーテルの該少なくとも一部を所定の形状に拘束された状態に維持するように構成される。一実施形態では、アライメントチューブ130は、細長いキャリアチューブであり、操縦可能カテーテル100の少なくとも一部を該チューブの所定の形状に拘束する。他の実施形態では、アライメントチューブ130は、操縦可能カテーテルの少なくとも一部と解放可能に係合し、操縦可能カテーテルの該少なくとも一部を所定の形状に拘束された状態に維持するように構成された他の構造物で置換されてよい。例えば、アライメントチューブは、パッケージ601に固定的に取り付けられたクリップ等の、一連の保持器で置換することができる。クリップは、成形、鋳造、3Dプリンティング、その他の適切なプロセスを介して形成することができる。この場合、クリップは、動きを制限してカテーテルを所望の形状に拘束するために、離散した位置でカテーテルの壁と係合するように構成された表面(例えばC字形状やU字形状の表面)を有してよい。
【0052】
ハブホルダ604(固定部材)は、パッケージ601の内部に含まれてもよいし、或いは、パッケージ601に取り付けられてもよい。ハブホルダ604は、アライメントチューブ130と予め組み立てられてもよいし、ユーザによってアライメントチューブ130と組み立てられるように、トレイ又はパッケージ601の内部に設けられてもよい。ハブホルダ604(トレイの隆起縁に取り付けられるか又は取付け可能である)は、操縦可能カテーテル100の近位セクション110をトレイ又はパッケージ601の縁まで持ち上げられた状態で保持し、駆動ワイヤと作動ハンドルの接続のためにコネクタハブ102を提示できるようにする。
【0053】
パッケージ601、アライメントチューブ130及び上部織布602は、様々な構成で製造されてよく、市販の生体適合性の滅菌可能材料から作られてよい。例えば、上部織布602は、Tyvek(登録商標)やその均等物のような、典型的なパッケージ材料から作られた薄い蓋であってよい。上部織布602は、押出成形されたMylar(登録商標)、又は、無菌性を維持するために使用されるとともにETO(エチレンオキシド)滅菌に適合する他の材料から作られてよい。パッケージ601は、無菌性を維持し、コストを最小限に抑えるために、真空成形されたスチレン構造体であってよい。他の実施形態では、パッケージ601は、隆起縁を有する平坦なトレイの形状に作られてよく、この場合、ハブホルダ604は、トレイの隆起縁に作り付けられてもよいし、予め取り付けられてもよい。パッケージ601は、カテーテルとアライメントチューブが配置される台紙に置き換えることができる。台紙、カテーテル及びアライメントチューブを覆うための熱収縮材料製のカバーシートを用いて、動きを制限するとともにカテーテルを所望の形状に拘束することができる。
【0054】
アライメントチューブ130は、適切な方法で形成することができる。例えば、アライメントチューブ130は、押出成形プロセスにより、所望の材料で形成することができる。或いは、アライメントチューブは、成形、鋳造、その他の適切なプロセスを介して形成することができる。パッケージのコストを最小限に抑えるために、従来のポリマー材料を用いて、アライメントチューブ130又はその代替構造物を形成することができる。代替の実施形態では、操縦可能カテーテル100をよりしっかりと所望の形状に拘束するために、アライメント130又はその代替構造物は、周知の生体適合性の金属、金属合金、ポリマー金属合成物等から作ることさえできる。
【0055】
アセンブリパッケージが輸送や保管等のために移動されるときでも、アライメントチューブ130とカテーテル100を所定の形状に保持するために、パッケージ601とハブホルダ604には十分な剛性が必要となる。カテーテルの少なくとも一部の所定の形状が作動ハンドルとの接続まで変わらずに維持されるように、アライメントチューブ130と係合した操縦可能カテーテル100をパッケージ601が封入できる限り、パッケージ601の具体的な形状や寸法は制限されない。ハブホルダ604には、ポリプロピレン等の安価なプラスチック材料を使用することができる。一部の実施形態では、滅菌厚紙や、滅菌プラスチックで覆われた厚紙も、ハブホルダ604に用いることができる。厚紙の場合、そのような材料を使用するかどうかを決定する際には、厚紙によって生じる微粒子の量を考慮する必要がある。アライメントチューブ130も、ポリプロピレン等の安価なプラスチックから作製することができ、これは見込みのある解決策であり得る。厚紙材料やプラスチック被覆材料も、滅菌が最大化されるとともに微粒子が最小限に抑えられる限り、アライメントチューブ130の選択肢となる。代替の実施形態では、アライメントチューブ130は、パッケージ601又はトレイの表面に形成された矩形の部品又はチャネル等の代替構造物によって実装されてよい。一般に、当業者には当然のことながら、パッケージ601の全ての要素について、アライメントチューブ130及び操縦可能カテーテル100をその所定の形状に拘束したまま保持するのに十分な最小限の剛性と、封入された機器の無菌性を維持できることと、カテーテルと作動部のアライメント及び接続時の微粒子の発生が最小限であることと、が求められる。
【0056】
インタベンション手技で使用される場合、パッケージアセンブリ600は、手術台や患者のベッド、システムのコンソール400等の清潔な表面に置くことができる。次に、ユーザは、
図4に示されるステップS402~S412に概説される手順に従う。ステップS402において、ユーザは、上部織布602を少なくとも部分的に除去して(例えば、剥がして)、パッケージ601を開き、操縦可能カテーテル100の少なくとも一部を露出させる。例えば、操縦可能カテーテル100の無菌性を維持するために、パッケージ601からカテーテルを取り出すことなく、カテーテルの近位セクションのみを部分的に露出させることができる。
【0057】
ステップS404において、ユーザは、アライメントチューブ130とともにコネクタ101を引っ張るか又は持ち上げて、部分的にパッケージ601の外に出す。ユーザは、ハブホルダ604を展開し、ハブホルダ604をアライメントチューブ130に載せた状態でハブホルダ604をパッケージ601を横切るように配置して、コネクタハブ102がパッケージ601の縁からわずかに突出するようにする。この時点で、カテーテル100の少なくとも一部はアライメントチューブ130内に封入されたままであり、コネクタハブ102は、作動部300(作動ハンドル)との接続のために予め構成され準備された駆動ワイヤ210の近位端を提示する。当然のことながら、カテーテル100の少なくとも一部はアライメントチューブ130内に残っており、カテーテルとアライメントチューブはパッケージ601内にあるので、カテーテル100は清潔に保たれ、曲がったり圧力をかけられたり、環境にさらされたりすることはない。一部の実施形態では、ハブホルダ604は、パッケージ601及びアライメントチューブ130と事前に組み立てられていてよい。この場合、ステップS404は必要のない場合がある。より具体的には、当業者には当然のことながら、ハブホルダ604を用いずにコネクタハブ102を作動ハンドルとの接続のために提示できることは明らかなので、ハブホルダ604は、パッケージアセンブリの任意の要素である。例えば、ユーザは、上部織布602を除去し、コネクタ101を手動で持ち上げることができる。或いは、パッケージ601の側面を手動で除去して、コネクタハブ102を露出させることができる。
【0058】
ステップS406において、パッケージ601がコンソール400の上又は近くにない場合、ユーザは、コンソール400の上又は近くにパッケージ601とその全ての内容物を置く。例えば、ユーザは、コンソール400の上面にパッケージアセンブリ600を置く。或いは、ユーザは、手術台又は患者のベッド90の上面にパッケージアセンブリ600を置く。
【0059】
次に、ステップS408では、ユーザは、露出したコネクタハブ102に作動ハンドルを接続するとともに、作動ハンドルのアクセプタ部品にカテーテルの駆動ワイヤを接続する。より具体的には、ステップS408において、ユーザは、アライメントチューブ130からカテーテル100を取り出すことも、パッケージ601からアライメントチューブ130を取り出すこともなく、露出したコネクタハブ102の方に作動部300を向けて、作動部300をカテーテルコネクタ101と接続する。
【0060】
ステップS410では、作動部300がカテーテル100と機械的に接続された後、コンピュータシステム400は、ソフトウェアルーティンを実行して、アクセプタ部品302をコネクティングロッド103と能動的に係合させて係止する。この時点で、連続体ロボット500が組み立てられる。ユーザ制御部320がコネクタ101への接続を感知(検出)すると、ソフトウェアシステムは、取付けの成功を示す。取付け後、自動較正ルーティンが自動的に発生する。自動較正が失敗した場合、システムは、画面上の手動較正を行うようユーザに促すことができる。自動較正を正常に機能させるためには、カテーテル100の少なくとも一部がアライメントチューブ130に保持(係合)され、カテーテルの所定の形状が変化していない間に、コネクタ101が作動部300に接続されなければならない。一部の実施形態では、カテーテルパッケージ601、アライメントチューブ130又はカテーテル100のうちの1つ以上に、
図3に示されるNFCチップ105等の安全機能を設けることができる。近距離無線通信(NFC)チップ105(例えばRFID回路)は、コネクタ101と作動ハンドルの接続を示すために、作動部300に信号を送るように構成されてよい。また、NFCチップ105は、パッケージ601が開封された後に、カテーテル100を「使用済み」としてマークすることもできる。
【0061】
ステップS412において、ユーザは、台90上にアライメントチューブ130、ハブホルダ604及びパッケージ601を残して、組み立てられた較正済みの連続体ロボット500をパッケージ601から取り外すことができる。その後、ユーザは、ユーザ制御部320(ジョイスティック)を介してカテーテル100を制御することにより、或いは、連続体ロボット500を支持プラットフォーム200に載せ、ソフトウェアシステムを介してカテーテル100をロボット制御することにより、所与の手技の実施に進むことができる。当業者には当然のことながら、ステップS402~S412は、連続体ロボットシステムのセットアップ手順の例示のワークフローであり、これらのステップは、必ずしも時系列であるとは限らない。
図4のワークフローは、大まかな手順から逸脱することなく変更することができる。
【0062】
有利な点として、システムは、事前設定手順(初期化ステップ)を実行して、カテーテルの所定の形状又は姿勢で駆動ワイヤを受け入れるための所定の位置にアクセプタ部品302を配置しているので、ユーザは、予期しない形状誤差が生じるリスクを最小限に抑えながら、カテーテル100を適切な形状(例えば
図4の実施形態では直線形状)のまま組み立てることができる。これは、アライメントチューブ130がカテーテルを直線状に拘束しているパッケージ601を活用することによって実現される。更に、パッケージ601を用いることにより、形状較正ステップに追加の部品又はプロセスを追加する必要がない。更に、カテーテルの予め定められた形状又は姿勢で駆動ワイヤを受け入れるための所定の位置にアクセプタ部品302があるので、駆動ワイヤをアクセプタ部品に手動接続するためのユーザ介入が最小限に抑えられる。したがって、カテーテルのコストを低減し、ユーザがセットアップのための部品の数を管理する負担を軽減することが可能である。
【0063】
<無菌パッケージの変形>
図4のステップS404では、ハブホルダ604は、コネクタハブ102がパッケージ601からわずかに突出するように提示されるように、コネクタ101とアライメントチューブ130を保持するために用いられる固体材料の部品として示されている。コネクタ101とアライメントチューブ130がパッケージ内で動いたり揺れたりしないようにするために、パッケージ601には、パッケージの縁に小さなスロット又は切込み605を設けて、パッケージスロットにハブホルダ604を収めることができる。他の実施形態では、ハブホルダ604には、
図5A~
図5Cに示されるように、パッケージ601と係合する切込み又はスロット607が設けられてよい。
【0064】
より具体的には、
図5A、
図5B及び
図5Cは、アライメントチューブ130と一体化されたハブホルダ604の様々な実施形態を図示する。
図5Aは、アライメントチューブ130と組立て済みのハブホルダ604の実施形態を図示する。パッケージアセンブリ600のサイズを最適化するために、ハブホルダ604は、プリーツ状にされるか又は折り畳まれて梱包されてよい。次に、カテーテル100を作動部300に接続する際、ハブホルダ604を展開し(
図5Aに示されるように)、それからパッケージ601に装着することができる(
図4:S404)。
【0065】
或いは、ハブホルダ604を折り畳んで、パッケージ601の縁と係合するように構成されたスロット607を備えたアコーディオンのような拡張構造にすることができる。
図5Bは、スロット607を備えたアコーディオン状拡張構造を有するハブホルダ604の実施形態を図示する。この実施形態では、ハブホルダ604は、アライメントチューブ130と予め組み立てられ(接着剤やレーザ溶接で取り付けられ)、チューブに平行に折り畳まれてよい。このように、パッケージ601のサイズ(幅)を最小限に抑えることができる。
【0066】
図5Cに示されるような別の実施形態では、ハブホルダ604は、パッケージ601の幅よりも長い直線状部品であってよい。この場合、ハブホルダ604は、特定の公差をもってアライメントチューブ130と予め組み立てることができるので、ハブホルダ604は、チューブ130の長さに関して斜めに箱詰めすることができる。次に、ステップS404において、ハブホルダ604をパッケージ601の縁に配置するために、ユーザは、スロット607がパッケージ601の平行な壁と係合するような形で、ハブホルダ604の端部を動かすことができる。
図5Cは、アライメントチューブ130に装着されたハブホルダ604を非開放状態と開放状態で示す。まず、非開放状態では、ハブホルダ604は斜めに(チューブ130に関して角度を成して)包装されている。次に、カテーテルの接続時には、ハブホルダ604は、アライメントチューブ130にほぼ垂直になるように動かされる。
【0067】
有利な点として、
図5Aと
図5Bの両方の概念において、パッケージ601の側面にスロット607が取り付けられることが意図されている。取り付けられると、ハブホルダ604全体に張力がかかり、折畳み位置に戻らないようになるので、作動部300がカテーテルに接続されるときに起こり得るアライメントチューブ130のずれや動きを防止することができる。同様に、ハブホルダ604に折り目がないことにより、ハブホルダの剛性が維持され、作動部300がカテーテルに接続されるときに起こり得るアライメントチューブ130のずれを防止したり、動きを制限したりする上で有利になり得る。
【0068】
少なくとも1つの実施形態では、カテーテル100は、カテーテルのツールチャネル150内に組込み済みのイメージングデバイス(カメラ)又はツール(エンドエフェクタ)を含む場合がある。そのような実施形態では、ハブホルダ604とアライメントチューブ130は、組込み済みの部品の重さに耐えるとともに無菌性を維持するように、適切に設計されてよい。カテーテル100にカメラが予め組み付けられている場合、カメラに電力供給するためのケーブルが必要である。したがって、コネクタ101を介して、カメラのケーブルコネクタ端が設けられる。この場合、作動部300をカテーテル100と組み立てた後のステップS410において、ユーザは、カメラのケーブルコネクタ端をシステムのコンソール400に接続して、システムが正常に機能していることを確認することができる。
【0069】
<カテーテル形状の拘束>
図6は、操縦可能カテーテル100を曲線状(非線形)の姿勢又は形状に拘束するように構成されたアライメントチューブ130の別の実施形態を図示する。曲線形状は、コイル形状、C字形状、U字形状又はS形状を含み得る。この実施形態では、パッケージアセンブリ600は、保護ハウジング又はパッケージ601として機能する実質的に正方形のトレイのような構造を含み、アライメントチューブ130は、直線形状ではなく曲線形状に配置されるカテーテル100は、アライメントチューブ130の内部に配置され、アライメントチューブ130と同じ曲線形状に拘束される。
図6から分かるように、アライメントチューブ130とカテーテル100が曲がっているので、コネクティングロッド103は互いにずれている(同じ平面にない)。
【0070】
したがって、
図6に示される実施形態によれば、システム1000のCPU410は、アライメントチューブ130内で曲線形状にあるカテーテル100を受け入れることを予測して、作動部300のアクセプタ部品302を適切な位置に設定するようにプログラムされてよい。
図4に示されるものと同じワークフローに従うことにより、ユーザは、予期せぬ形状誤差を最小限に抑えながら、カテーテルと作動ハンドルを組み立てることができる。
【0071】
より具体的には、カテーテル100をアライメントチューブ130に挿入し、実質的に円形に巻かれたパッケージ601に配置する。カテーテル100の近位端では、駆動ワイヤ210をコネクタ101に通して、コネクティングロッド103に取り付ける。駆動ワイヤ210は、カテーテルの壁を通って延び、湾曲セクションの遠位端で終端処理される。カテーテル100の本体はコネクタ101に取り付けられ、駆動ワイヤ210は、カテーテル100の本体とコネクタ101に対してスライドする。
【0072】
アライメントチューブ130の形状に応じて、駆動ワイヤ210のコネクティングロッド103(自由端)は異なる位置をとる。コネクティングロッド103の位置は、カテーテル100を作動部300に接続する前に、カテーテル100の寸法設計パラメータとアライメントチューブ130の形状に基づいて、決定又は計算することができる。したがって、この実施形態では、初期化手順において、無菌パッケージアセンブリの開封前であっても、無菌パッケージに配置されたカテーテル100の曲線形状を考慮することができる。
【0073】
有利な点として、カテーテルが曲線形状で包装されるので、パッケージのサイズ(長さ)を小さくすることができる。これは、保管スペースの最適化や、輸送の円滑化、手術台や患者のベッド等の狭くて混み合った空間でのカテーテルの操作に有益であろう。更に、長さを短くすることにより、ユーザによるパッケージアセンブリの取扱いが容易になり、カテーテルの接続とパッケージ除去が更に効率的になる。
【0074】
図6は、4分の3回転で湾曲した形状を示しているが、パッケージは、1回転や、外側から内側へらせん状になったコイルでの数回転分のカテーテルを保持することができる。コイル状のカテーテルでは、アライメントチューブ130がカテーテルよりも短くなる場合がある。例えば、アライメントチューブ130は4分の3回転の曲線形状を有し、カテーテル100は、外側から内側へらせん状になったコイル状に数回転している場合がある。この場合、アライメントチューブ130は、コネクタ101と作動部300の接続前に、カテーテルのセクション(近位セクション又は遠位セクション)を曲線形状(所望の形状)に保持する。
【0075】
<ソフトウェア関連の開示>
本明細書に開示される例示の実施形態の少なくとも特定の態様は、記憶媒体(「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ばれる場合もある)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム又は実行可能コード)を読み出して実行して、前述した1つ以上のブロック図、プロセス又はフローチャートの機能を実行するシステム又は装置のコンピュータによって実現することができる。コンピュータは、当業者に知られている各種コンポーネントを含んでよい。例えば、コンピュータは、例えば、コンピュータ実行可能命令を記憶媒体から読み出して実行して、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行することにより、かつ/又は、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路を制御することにより、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)や特定用途向け集積回路(ASIC))によって実装される信号プロセッサを含んでよい。コンピュータは、1つ以上のプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)、マイクロ処理ユニット(MPU))を含んでよく、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータ又は別個のプロセッサのネットワークを含んでよい。コンピュータ実行可能命令は、例えばクラウドベースのネットワークから、又は記憶媒体から、コンピュータに提供することができる。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムのストレージ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-ray Disc(BD)(商標)等)、フラッシュメモリデバイス、メモリカード等のうち1つ以上を含んでよい。コンピュータは、入出力デバイスに対して通信信号(データ)を送受信するために入出力(I/O)インタフェースを含んでよく、入出力デバイスとしては、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインタフェース(例えばジェスチャー認識デバイス)、印刷デバイス、ライトペン、光学式ストレージデバイス、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)が挙げられる。少なくとも1つの実施形態では、操縦可能カテーテルを操作するためのロボット制御システムに使用される装置は、以下を備える:電子制御部;電子制御部に結合されたコンピュータ可読メモリ;及び、メモリに保存されたコンピュータ実行可能命令。コンピュータ実行可能命令は、プログラムされたコードとして記述された制御ロジックを含み、当該制御ロジックは、操縦可能カテーテルの所定の形状に基づいてコネクティングロッド103を受け入れるための初期位置に各アクセプタ部品302を配置するように、作動部300の1つ以上のアクチュエータの動きを制御する作動制御信号を生成するために、電子制御部(例えばシステム1000のCPU)によって実行されるように構成される。
【0076】
<他の実施形態及び変更>
上記の実施形態では、新規のカテーテル梱包材設計により、従来のカテーテルパッケージに優るいくつかの利点と新たな特徴が提供される。本明細書に記載の新たな設計によれば、カテーテルパッケージに不可欠な部品であるアライメントチューブが、操縦可能カテーテルを所定の形状に保持する。所定の形状は、カテーテルと作動ハンドルの組立てプロセス中、作動ハンドルのアクセプタ部品の較正状態に一致するように構成される。システムは、初期化プロセスを完了して、カテーテルが包装されている所定の形状に対応する位置に作動ハンドルのアクセプタ部品を設定するように構成される。したがって、形状較正のために追加の部品やプロセスは必要ない。
【0077】
新規のカテーテル梱包材設計における有利な差別化要因は、作動ハンドル(作動部300)との接続のために駆動ワイヤ210の近位端を提示するように構成された嵌合接合部(コネクタハブ102)である。更に、アライメントチューブ130と一体化されたハブホルダ604を備える新規のパッケージ設計により、より大きなパッケージを必要としない手段によって、操縦可能カテーテルと作動ハンドルとの接続(
図5A~
図5Cに示されるプロセス)の改良が達成される。操縦可能カテーテルは、ひっくり返されたコネクタハブ102を収容するための突起や異形の成形部を有するパッケージを必要としない(そのようなパッケージは、出荷/保管のために積み重ねられるパッケージを作製する際に課題を生じるおそれがある)。新規のカテーテル梱包材設計により、直線的な縁をもつ実質的に矩形の形状で操縦可能カテーテルを保管することが可能となり、これは、操縦可能カテーテルの駆動ワイヤと作動ハンドルとの接続を改良するだけでなく、矩形パッケージを整頓して保管することにも有利である。
【0078】
新たなパッケージ設計により、カテーテルに損傷を与えるリスクを最小限に抑えながら、製造後のカテーテルの形状を使用直前まで維持することが可能となる。カテーテルは、使用時にアライメントチューブから取り出されるまで、清潔に保たれる。アライメントチューブは、無菌パッケージからカテーテルを取り出すことなく、作動ハンドルへの取付けのためにカテーテルのコネクタハブを提示する。カテーテルが作動ハンドルに取り付けられた後、アライメントチューブから引き出される直前まで、パッケージがカテーテルを清潔に保つ。言い換えれば、カテーテルが使用できる状態になるまで、カテーテルは、所定の形状に拘束された状態でアライメントチューブ内に保持される。
【0079】
新規のカテーテルパッケージ設計を用いる代替の実施形態及び方法は、以下のように実施することができる。代替実施形態1は、以下を備えるシステムである:アライメント部材を備えるパッケージアセンブリ;及び、操縦可能カテーテルの少なくとも近位セクションがアライメント部材に封入されるような形で、パッケージアセンブリ内に配置された操縦可能カテーテル。操縦可能カテーテルの近位セクションは、ロボットシステムの作動部との接続のためにアライメントされるように構成され、アライメント部材は、操縦可能カテーテルを所定の形状に拘束し、アライメント部材は、操縦可能カテーテルの所定の形状を変化させることなく、操縦可能カテーテルの近位セクションが少なくとも部分的にアライメント部材内に封入されたままで、作動部との接続のために、操縦可能カテーテルの近位セクションをアライメントする。
【0080】
操縦可能カテーテルの所定の形状に関する情報を保存するメモリ、を更に備える、代替実施形態1に記載のシステム。操縦可能カテーテルの所定の形状に関する情報に基づいて、作動部を初期化するように構成されたコントローラ、を更に備える、代替実施形態1に記載のシステム。操縦可能カテーテルは、操縦可能カテーテルの所定の形状を変化させるように構成された1つ以上の駆動ワイヤを含み、作動部は、駆動ワイヤのためのアクセプタ部品を動かすように構成された1つ以上のアクチュエータを含み、制御部は、1つ以上のアクチュエータを制御して、操縦可能カテーテルの所定の形状に応じた位置に駆動ワイヤに対するアクセプタ部品を動かすことにより、作動部を初期化する、代替実施形態1に記載のシステム。
【0081】
制御部は、作動部が初期化されたことが確認された後に、初期化された作動部に操縦可能カテーテルの近位セクションを接続するようユーザに促すように更に構成される、代替実施形態1に記載のシステム。
【0082】
代替実施形態2は、作動部との接続のために準備された操縦可能カテーテルを格納するためのパッケージアセンブリであって、パッケージアセンブリは、以下を備える:操縦可能カテーテルの少なくとも近位部分を所定の姿勢に保持するように構成されたアライメント部材;及び、作動部との接続のために操縦可能カテーテルをアライメントするように構成されたアライメント部材。アライメント部材が操縦可能カテーテルを所定の姿勢に拘束する一方で、作動部は、操縦可能カテーテルの所定の姿勢を変化させることなく、操縦可能カテーテルの近位セクションに接続する。
【0083】
アライメント部材は、操縦可能カテーテルの所定の姿勢と一致する形状を有するアライメントチューブを含み、接続後、作動部に接続された操縦可能カテーテルは、アライメントチューブの形状を変化させることなく、アライメントチューブから取外し可能である、代替実施形態2に記載のパッケージアセンブリ。
【0084】
操縦可能カテーテルは、操縦可能カテーテルの遠位セクションを作動せるように構成された1つ以上の駆動ワイヤを含み、作動部は、操縦可能カテーテルの所定の姿勢に関するデータを用いて、1つ以上の駆動ワイヤの近位端と係合するように構成された作動部のアクセプタ部品を初期化する、代替実施形態2に記載のパッケージアセンブリ。
【0085】
1つ以上の駆動ワイヤは、操縦可能カテーテルの近位端においてコネクタハブに配置され、駆動ワイヤは、コネクタハブと近位セクションを通り、操縦可能カテーテルの遠位端に向かって長さ方向に延びる、代替実施形態2に記載のパッケージアセンブリ。
【0086】
代替実施形態3は、細長い医療機器を取出し可能に格納するための無菌パッケージアセンブリであって、無菌パッケージアセンブリは、以下を備える:細長い医療機器を所定の姿勢に保持するように構成されたアライメント部材;及び、アライメント部材と細長い医療機器をともに収容するように構成されたパッケージ。アライメントチューブは、細長い医療機器の所定の姿勢を変化させることなく、細長い医療機器と作動部が接続された後に、除去されるように構成される。
【0087】
代替実施形態4は、代替実施形態3に記載の無菌パッケージアセンブリに含まれる細長い医療機器に接続するように構成されたロボットシステムを含み、ロボットシステムは、以下を備える:細長い医療機器の姿勢を変更するよう作動部に命令するように構成された制御部。
【0088】
細長い医療機器の所定の姿勢に関する情報を保存するように構成されたメモリを更に備え、制御部は、所定の姿勢に関する保存された情報に従って作動部を制御して、細長い医療機器とアライメント部材の接続前に作動部を初期化する、代替実施形態4に記載のロボットシステム。制御部は、細長い医療機器の所定の姿勢に基づいて、作動部を初期化する、代替実施形態4に記載のロボットシステム。
【0089】
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。一部の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び回路は、詳細には説明されない。本明細書において別段の定義がされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。その点に関して、本開示の広さ及び範囲は、明細書又は図面によって限定されるのではなく、むしろ、採用される特許請求の範囲の用語(全ての均等物を含む)の平易な意味によってのみ限定される。本開示の範囲から逸脱することなく、詳細(特に、形状、サイズ、ステップの再配置の事項)において変更がなされる場合がある。変更は、適切な範囲において、ある実施形態の任意の特徴を他の実施形態において使用することを含み得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【0090】
本明細書において参照により援用されるとされる特許、付与前特許公報、又は他の刊行物の全部又は一部は、援用される資料が、標準的な定義や用語、或いは本開示に記載された記述及び説明と矛盾しない範囲でのみ、援用される。そのため、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載された開示は、参照により援用される矛盾する資料に優先する。