(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】クロロプレン系ブロック共重合体ラテックス
(51)【国際特許分類】
C08F 293/00 20060101AFI20240816BHJP
B29C 41/14 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C08F293/00
B29C41/14
(21)【出願番号】P 2022510497
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2021011777
(87)【国際公開番号】W WO2021193561
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2020056388
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 雄志
(72)【発明者】
【氏名】西野 渉
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】小林 直紀
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-001458(JP,A)
【文献】特開2007-297502(JP,A)
【文献】特開2011-012196(JP,A)
【文献】国際公開第2016/133192(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/166998(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/181801(WO,A1)
【文献】中国特許第106433158(CN,B)
【文献】国際公開第2019/026914(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 293/00
B29C 41/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独重合時にガラス転移温度が80℃以上の重合体が得られる単量体由来の重合体ブロック(A)5~30質量%と、クロロプレン単量体単位を含むクロロプレン系重合体ブロック(B)70~95質量%を含むクロロプレン系ブロック共重合体を含むクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスであり、
前記クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを浸漬成形して得られた被膜を130℃で30分間熱処理した後にJIS K 6251に準拠して測定した切断時引張強さが17MPa以上であるクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス
であって、
前記クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを、動的光散乱法によって測定した平均粒子径が300nm以下である、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【請求項2】
前記クロロプレン系ブロック共重合体100質量%中に、前記重合体ブロック(A)5~15質量%と、前記クロロプレン系重合体ブロック(B)を85~95質量%を含有する請求項1に記載のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【請求項3】
前記クロロプレン系重合体ブロック(B)が、クロロプレン単量体単位及び多官能性単量体単位を有するものである請求項1
又は請求項2のいずれか一項に記載のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【請求項4】
浸漬成形体用である請求項1~
3のいずれか一項に記載のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリクロロプレンラテックスは、医療用手術手袋、検査手袋、工業手袋、風船、カテーテル、ゴム長靴などの浸漬成形品の材料として知られている。また、各種添加剤を配合することで塗料や粘着剤、接着剤として用いられている。
【0003】
浸漬成形製品用のポリクロロプレンに関する技術は種々提案されている。先行技術文献としては、クロロプレンと2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンとの共重合体ラテックス(例えば特許文献1参照)、クロロプレンとメタクリル酸を共重合させた変性ポリクロロプレンラテックス(例えば特許文献2参照)、加硫促進剤を含まないクロロプレン系重合体ラテックス(例えば特許文献3参照)、無機塩と酸化亜鉛を含む複合亜鉛華を含有するポリクロロプレンラテックス(例えば特許文献4参照)が知られている。
また、クロロプレン系ブロック共重合体に関する技術としては、アゾ基を含有するポリスチレンを開始剤としてクロロプレンを重合して得られる共重合体(例えば特許文献5参照)や、ジチオカルバメート化したポリクロロプレンに芳香族ビニル単量体を重合させた共重合体(例えば特許文献6参照)、クロロプレン系ポリマーに親水性オリゴマー又は親水性ポリマーを連結させた共重合体(例えば特許文献7参照)、芳香族ビニル化合物重合体のブロックとクロロプレン重合体のブロックを有し全体の数平均分子量とクロロプレン重合体のブロックの数平均分子量を特定した共重合体(例えば特許文献8参照)、アクリル酸エステル重合体のブロックとクロロプレン重合体のブロックを有する共重合体(例えば特許文献9参照)さらに、加硫を用いずに、分子間を化学結合する方法として、特許文献10記載の技術がある。
【0004】
また、加硫を用いずに高い強度が得られるエラストマーとして、種々の熱可塑性エラストマーが開発されている。浸漬成形製品用の熱可塑性エラストマーとして、強制乳化法により乳化させたスチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体ラテックス(例えば特許文献11参照)が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開2019/009038号
【文献】特開2014-114342号公報
【文献】国際公開第2016/166998号
【文献】国際公開第2013/015043号
【文献】特開平3-207710号公報
【文献】特開平3-212414号公報
【文献】特開2007-297502号公報
【文献】国際公開第2018/181801号
【文献】国際公開第2019/026914号
【文献】特開2014-221901号公報
【文献】米国特許第3238173号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ポリクロロプレン系ゴム組成物は目的とする機械的強度を得るために、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の加硫剤、及びチウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系、グアニジン系、キサントゲン酸塩系、チアゾール系等の加硫促進剤の使用が不可欠であった。加硫促進剤は皮膚炎等の皮膚疾患を発症させるIV型アレルギーの原因物質であることから、加硫促進剤の削減や不使用化が重要なテーマとなっている。また、加硫促進剤の不使用化は、アレルギーの低減だけではなくコストダウンにも繋がることから、加硫促進剤を使用せずに十分な機械的強度を発現するゴム組成物が望まれている。
【0007】
一方、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体ラテックスやスチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体ラテックスでは加硫促進剤を使用せずに十分な機械的強度を発現することができるが、これらは強制乳化法によって製造されるため、ラテックスの粒子径を小さくすることができず、ラテックスの機械的安定性に劣るという課題がある。
【0008】
そこで本発明は、ラテックスの機械的安定性に優れ、また加硫剤や加硫促進剤を使用しなくても、柔軟性、引張特性、及び耐熱老化性に優れた浸漬成形被膜が得られるクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下を要旨とするものである。
(1)単独重合時にガラス転移温度が80℃以上の重合体が得られる単量体由来の重合体ブロック(A)5~30質量%と、クロロプレン単量体単位を含むクロロプレン系重合体ブロック(B)70~95質量%を含むクロロプレン系ブロック共重合体を含むクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスであり、
前記クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを浸漬成形して得られた被膜を130℃で30分間熱処理した後にJIS K 6251に準拠して測定した切断時引張強さが17MPa以上であるクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【0010】
(2)前記クロロプレン系ブロック共重合体100質量%中に、前記重合体ブロック(A)5~15質量%と、前記クロロプレン系重合体ブロック(B)を85~95質量%含有する(1)に記載のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【0011】
(3)前記クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを動的光散乱法によって測定した平均粒子径が300nm以下である、(1)または(2)に記載のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【0012】
(4)前記クロロプレン系重合体ブロック(B)が、クロロプレン単量体単位及び多官能性単量体単位を有するものである(1)~(3)のいずれか一項に記載のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【0013】
(5)浸漬成形体用である(1)~(4)のいずれか一項に記載のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックス。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラテックスの機械的安定性に優れ、また加硫剤や加硫促進剤を使用しなくても、柔軟性、引張特性、及び耐熱老化性に優れた浸漬成形被膜を得ることができるクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「A~B」という記載は、A以上でありB以下であるという意味である。
【0016】
<クロロプレン系ブロック共重合体ラテックス>
クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスは、重合体ブロック(A)5~30質量%と、クロロプレン単量体単位を含むクロロプレン系重合体ブロック(B)70~95質量%を含むクロロプレン系ブロック共重合体を含むものである。
【0017】
[重合体ブロック(A)]
重合体ブロック(A)は、単独重合時にガラス転移温度が80℃以上の重合体が得られる単量体由来の重合体ブロックである。このような単量体を用いることで、得られる浸漬成形被膜の切断時引張強さ、耐熱老化性が向上する。好ましくはガラス転移温度が85℃以上の重合体が得られる単量体を用いるとよい。成形性の観点からは、ガラス転移温度が150℃以下の重合体が得られる単量体であれば好ましく、特に好ましくは120℃以下の重合体が得られる単量体である。ガラス転移温度は、例えば、80、85、90、95、100、105、110、120、130、140、150℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、本明細書においてガラス転移温度とは、JIS K 7121に準拠して測定した補外ガラス転移温度(T eg)である。重合体ブロック(A)が、単量体(A)を重合することで得られる重合体ブロックである場合、単量体(A)は、単量体Aを単独重合して、数平均分子量10000~30000のホモポリマー(A)としたとき、該ホモポリマー(A)が、上記ガラス転移温度を有する単量体であることが好ましい。
【0018】
重合体ブロック(A)を構成する単量体単位としては、芳香族ビニル単量体単位、メタクリル酸メチル単量体単位、アクリロニトリル単量体単位が挙げられる。好ましくは芳香族ビニル単量体に由来する単位が用いられ、スチレン単位が好適に用いられる。重合体ブロック(A)は、本発明の目的を損なわない範囲において、これら単量体同士の共重合により得られる重合体ブロック、またはこれら単量体と共重合可能な単量体に由来する単位からなる重合体ブロックであっても構わない。
【0019】
重合体ブロック(A)の数平均分子量は、得られる浸漬成形被膜の引張特性、耐熱老化性、成形性の観点から、10,000以上であることが好ましい。重合体ブロック(A)の数平均分子量は、例えば、10000、15000、20000、25000、30000とすることができ、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、重合体ブロック(A)の分子量分布は、成形性の観点から、2.0以下であることが好ましい。重合体ブロック(A)の分子量分布は、例えば、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0とすることができ、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
なお、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値であり、以下記載の測定条件における測定値である。
装置名:HLC-8320(東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR-Hを3本直列 温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラヒドロフラン
検量線:標準ポリスチレン(PS)を用いて作製した。
【0020】
[クロロプレン系重合体ブロック(B)]
クロロプレン系重合体ブロック(B)は、クロロプレン単量体(2-クロロ-1,3-ブタジエン)単位を含み、クロロプレン単量体単位を主体とする。クロロプレン系重合体ブロック(B)は多官能性単量体単位を含んでいても構わない。なお、本発明の目的を損なわない範囲において、クロロプレン系重合体ブロック(B)は、クロロプレン単量体単位と、多官能性単量体単位と、これらと共重合可能な単量体に由来する単位からなる重合体ブロックであっても構わない。クロロプレン系重合体ブロック(B)は、クロロプレン系重合体ブロック(B)を100質量%としたとき、クロロプレン単量体由来の構造単位を90質量%以上含むことが好ましい。
【0021】
クロロプレン系重合体ブロック(B)中の各構造単位の含有量は、特に限定するものではないが、好ましくはクロロプレン単量体単位90~99.95質量%、多官能性単量体単位0.05~10質量%である。クロロプレン系重合体ブロック(B)中の多官能性単量体単位の含有量は、例えば、0.05、0.50、1.00、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、10.00質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0022】
[多官能性単量体]
多官能性単量体は、得られる浸漬成形被膜の引張特性や耐熱老化性を向上させるために用いるものである。多官能性単量体は、分子中にラジカル性重合基を2個以上有する化合物である。得られる浸漬成形被膜の柔軟性、及び切断時引張強さ、及び成形性の観点から、化学式(1)で表される単量体、芳香族ポリエン単量体が好適に用いられる。化学式(1)で表される単量体としては、1.9-ノナンジオールジメタクリレート、1.9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1.6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1.6-ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートが特に好適に用いられる。芳香族ポリエン単量体としては、10以上30以下の炭素数を持ち、複数の二重結合(ビニル基)と単数又は複数の芳香族基を有した芳香族ポリエンであり、例えば、o-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、1,4-ジビニルナフタレン、3,4-ジビニルナフタレン、2,6-ジビニルナフタレン、1,2-ジビニル-3,4-ジメチルベンゼン、1,3-ジビニル-4,5,8-トリブチルナフタレン等、芳香族ポリエン単量体に由来する単位が挙げられ、好ましくはオルトジビニルベンゼン単位、パラジビニルベンゼン単位及びメタジビニルベンゼン単位のいずれか1種又は2種以上の混合物が好適に用いられる。
【0023】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、メルカプト基又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を表す。W
1は飽和もしくは不飽和炭化水素基、又は飽和もしくは不飽和環状炭化水素基、又はヘテロ原子を含む飽和もしくは不飽和炭化水素基、又はヘテロ原子を含む飽和、もしくは不飽和炭化水素基、をそれぞれ1つ以上含む構造を表す。Z
1は酸素、窒素、硫黄を表す。)
【0024】
クロロプレン系ブロック共重合体の各構造単位の含有量は、重合体ブロック(A)5~30質量%、クロロプレン系重合体ブロック(B)70~95質量%であり、好ましくは重合体ブロック(A)5~15質量%、クロロプレン系重合体ブロック(B)85~95質量%である。重合体ブロック(A)が5質量%以上である場合に、得られる浸漬成形被膜の切断時引張強さ、耐熱老化性が向上する。重合体ブロック(A)が30質量%以下である場合に、得られる浸漬成形被膜の柔軟性が向上する。重合体ブロック(A)は好ましくは15質量%以下である。クロロプレン系重合体ブロック(B)が70質量%以上である場合に、得られる浸漬成形被膜の柔軟性が向上する。クロロプレン系重合体ブロック(B)は、好ましくは85質量%以上である。クロロプレン系重合体ブロック(B)が95質量%以下である場合に、得られる浸漬成形被膜の切断時引張強さが向上する。クロロプレン系ブロック共重合体を100質量%としたとき、クロロプレン系ブロック共重合体に含まれる重合体ブロック(A)の含有率は、例えば、5、10、15、20、25、30質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
本発明の一実施形態に係るクロロプレン系ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)からなるものとすることができ、他の重合体ブロックを含まないものとすることができる。クロロプレン系ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)-重合体ブロック(B)のジブロック共重合体とすることができる。
【0025】
[ラテックスの平均粒子径]
クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスについて、動的光散乱法により測定された平均粒子径は、ラテックスの機械的安定性の観点から、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることが更に好ましく、200nm以下であることがより更に好ましい。下限は、例えば、100nm以上とできる。平均粒子径は、例えば、100、120、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300nmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
なお、本明細書において、平均粒子径とは、動的光散乱法により測定され、光子相関法により算出した平均粒子径である。平均粒子径は、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスの配合の種類や量、製造条件を制御することで調整することができる。
【0026】
クロロプレン系ブロック共重合体の重量平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性の観点から、好ましくは5~60万であり、特に好ましくは10~50万である。
【0027】
本発明の一実施形態に係るクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスの機械的安定性は、1質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらにより好ましい。なお、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスの機械的安定性は、実施例に記載の測定方法によって評価することができる。機械的安定性は、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスの配合の種類や量、製造条件を制御することで調整することができ、例えば、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスに係る平均粒子径を制御することによって、調整することができる。
【0028】
[浸漬成形被膜]
本実施形態のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスは、該クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを浸漬成形することで得られる浸漬成形被膜を、130℃で30分間熱処理した後にJIS K 6251に準拠して測定した切断時引張強さが17MPa以上であり、加硫剤及び加硫促進剤を含まない未加硫浸漬成形被膜を与えうる。当該未加硫浸漬成形被膜は、柔軟性を備え、加硫剤及び加硫促進剤を含まずとも十分な機械的強度を発揮する。切断時引張強さは、18MPa以上であることがより好ましく、19MPa以上であることがさらにより好ましく、20MPa以上であることがさらにより好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、30MPa以下である。
本発明の一実施形態に係るクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスは、上記浸漬成形被膜を、30℃で30分間熱処理した後、さらに、100℃、22時間の条件で熱老化試験を行った後にJIS K 6251に準拠して測定した切断時引張強さが、17MPa以上であることが好ましく、18MPa以上であることがより好ましく、19MPa以上であることがさらにより好ましく、20MPa以上であることがさらにより好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、30MPa以下である。
【0029】
また、本実施形態のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスは、該クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを浸漬成形することで得られる浸漬成形被膜を、130℃で30分間熱処理した後にJIS K 6251に準拠して測定した切断時伸びが900%以上であることが好ましく、905%以上であることがより好ましく、910%以上であることがさらにより好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、1300%以下である。
本発明の一実施形態に係るクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスは、上記浸漬成形被膜を、30℃で30分間熱処理した後、さらに、100℃、22時間の条件で熱老化試験を行った後にJIS K 6251に準拠して測定した切断時伸びが900%以上であることが好ましく、905%以上であることがより好ましく、910%以上であることがさらにより好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、1300%以下である。
【0030】
本実施形態のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスは、該クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを浸漬成形することで得られる浸漬成形被膜を、130℃で30分間熱処理した後にJIS K 6251に準拠して測定した500%伸長時モジュラスが、3.0MPa以下であることが好ましく、2.9MPa以下であることがより好ましく、2.8MPa以下であることがさらにより好ましい。下限は特に制限されないが、例えば、1.0MPa以上である。
本発明の一実施形態に係るクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスは、上記浸漬成形被膜を、30℃で30分間熱処理した後、さらに、100℃、22時間の条件で熱老化試験を行った後に、JIS K 6251に準拠して測定した500%伸長時モジュラスが3.0MPa以下であることが好ましく、2.9MPa以下であることがより好ましく、2.8MPa以下であることがさらにより好ましい。下限は特に制限されないが、例えば、1.0MPa以上である。
なお、上記浸漬成形被膜は、実施例に記載の方法で得ることができ、浸漬成形被膜は、成形に際し、加硫剤及び加硫促進剤を用いないものとできる。
【0031】
クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを浸漬成形することで得られる浸漬成形被膜の切断時引張強さ、切断時伸び、500%伸長時モジュラスを調整するには、多官能性単量体の添加量を調整したり、クロロプレン系重合体ブロック(B)に含める多官能性単量体単位の含有量やクロロプレン系ブロック共重合体中の当該クロロプレン系重合体ブロック(B)の含有量を調整したり、後述のRAFT剤の存在下で重合することにより導入される官能基の種類や量を調整したりすればよい。
【0032】
本実施形態のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスから得られる浸漬成形被膜は、加硫剤又は加硫促進剤を含んでもよい。浸漬成形被膜は、加硫剤及び加硫促進剤を含む場合、その合計含有率を5質量%以下とすることができ、1質量%以下とすることがより好ましく、0.1質量%とすることがより好ましい。しかしながら、上記未加硫浸漬成形被膜は、加硫剤及び加硫促進剤を含まずとも、十分な機械的強度を有しているため、アレルギーの低減及びコストダウンの観点から、加硫剤及び加硫促進剤を含まないものが好ましい。
【0033】
[クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスの製造方法]
本発明に係るクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスの製造方法について説明する。製造方法は、所望のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスが得られれば特に限定されないが、重合体ブロック(A)を合成する乳化重合工程1の後に、クロロプレン系重合体ブロック(B)を合成する乳化重合工程2からなる二段階の重合工程を経てクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを得る製造方法により得ることが可能である。
【0034】
(乳化重合工程1)
乳化重合工程1について具体的に説明する。乳化重合工程1では、重合体ブロック(A)を構成する単量体をリビングラジカル乳化重合して重合体ブロック(A)を合成する。上記したように、ここで得られる重合体ブロック(A)は、上記したガラス転移温度を有することが好ましい。乳化重合で用いる乳化剤としては、特に限定されるものではないが、乳化安定性の観点からアニオン系又はノニオン系の乳化剤が好ましい。特に得られるクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスから得られる浸漬成形被膜に適当な強度を持たせて過度の収縮及び破損を防ぐことができるという理由から、ロジン酸アルカリ金属塩を使用することが好ましい。乳化剤の濃度は、重合反応を効率的に行う観点から、重合体ブロック(A)を構成する単量体100質量%に対して、5~50質量%であることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、アゾ系化合物などを用いることができる。純水の添加量は、重合体ブロック(A)を構成する単量体100質量%に対して、100~300質量%が好ましい。純水の添加量が300質量%以下である場合に、得られる浸漬成形被膜の切断時引張強さが向上する。重合温度は、単量体の種類に応じて適宜決定すればよいが、10~100℃が好ましく、20~80℃が特に好ましい。
【0035】
(乳化重合工程2)
乳化重合工程2では、上記乳化重合工程1のリビングラジカル乳化重合で得られた重合体ブロック(A)を含むラテックスに対して、純水、乳化剤、クロロプレン単量体、及び多官能性単量体を添加して乳化重合することでクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを得る。クロロプレン単量体は、一括添加でも分添でも構わない。乳化重合工程2の重合温度は、重合制御のしやすさの観点から10~50℃であることが好ましい。重合反応は重合停止剤を加えることにより停止させる。重合停止剤としては、例えばチオジフェニルアミン、4-第3ブチルカテコール、2,2'-メチレンビス-4-メチル-6-第3-ブチルフェノール等がある。乳化重合終了後の未反応単量体は、常法の減圧蒸留等の方法で除去することができる。
【0036】
乳化重合工程2で得られたクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスには、本発明の目的を損なわない範囲で、重合後に凍結安定剤、乳化安定剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防腐剤などを任意に添加することができる。
【0037】
クロロプレン系ブロック共重合体は、下記化学式(2)又は化学式(3)で表される構造の官能基を有することが好ましい。
【0038】
【0039】
【化3】
(化学式(2)中、R8は水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、メルカプト基又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を表す。)
【0040】
上記化学式(2)、又は化学式(3)で表される末端構造は、公知のRAFT剤の存在下で乳化重合を行うことで、ブロック共重合体に導入される。上記化学式(2)で表される構造を導く化合物は特に限定されるものではなく一般的な化合物を使用することができ、例えばジチオカルバメート類、ジチオエステル類が挙げられる。具体的にはベンジル1-ピロールカルボジチオエート(慣用名:ベンジル1-ピロールジチオカルバメート)、ベンジルフェニルカルボジチオエート、1-ベンジル-N,Nジメチル-4-アミノジチオベンゾエート、1-ベンジル-4-メトキシジチオベンゾエート、1-フェニルエチルイミダゾールカルボジチオエート(慣用名:1-フェニルエチルイミダゾールジチオカルバメート)、ベンジル-1-(2-ピロリジノン)カルボジチオエート)(慣用名:ベンジル-1-(2-ピロリジノン)ジチオカルバメート)、ベンジルフタルイミジルカルボジチオエート、(慣用名:ベンジルフタルイミジルジチオカルバメート)、2-シアノプロプ-2-イル-1-ピロールカルボジチオエート、(慣用名:2-シアノプロプ-2-イル-1-ピロールジチオカルバメート)、2-シアノブト-2-イル-1-ピロールカルボジチオエート、(慣用名:2-シアノブト-2-イル-1-ピロールジチオカルバメート)、ベンジル-1-イミダゾールカルボジチオエート、(慣用名ベンジル-1-イミダゾールジチオカルバメート)、2-シアノプロプ-2-イル-N,N-ジメチルジチオカルバメート、ベンジル-N,N-ジエチルジチオカルバメート、シアノメチル-1-(2-ピロリドン)ジチオカルバメート、2-(エトキシカルボニルベンジル)プロプ-2-イル-N,N-ジエチルジチオカルバメート、1-フェニルエチルジチオベンゾエート、2-フェニルプロプ-2-イルジチオベンゾエート、1-酢酸-1-イル-エチルジチオベンゾエート、1-(4-メトキシフェニル)エチルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、エトキシカルボニルメチルジチオアセタート、2-(エトキシカルボニル)プロプ-2-イルジチオベンゾエート、2-シアノプロプ-2-イルジチオベンゾエート、tert-ブチルジチオベンゾエート、2,4,4-トリメチルペンタ-2-イルジチオベンゾエート、2-(4-クロロフェニル)-プロプ-2-イルジチオベンゾエート、3-ビニルベンジルジチオベンゾエート、4-ビニルベンジルジチオベンゾエート、ベンジルジエトキシホスフィニルジチオフォルマート、tert-ブチルトリチオペルベンゾエート、2-フェニルプロプ-2-イル-4-クロロジチオベンゾエート、ナフタレン-1-カルボン酸-1-メチル-1-フェニル-エチルエステル、4-シアノ-4-メチル-4-チオベンジルスルファニル酪酸、ジベンジルテトラチオテレフタラート、カルボキシメチルジチオベンゾエート、ジチオベンゾエート末端基を持つポリ(酸化エチレン)、4-シアノ-4-メチル-4-チオベンジルスルファニル酪酸末端基を持つポリ(酸化エチレン)、2-[(2-フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸、2-[(2-フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸、3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエートカリウム、シアノメチル-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエート、シアノメチルメチル-(フェニル)ジチオカルバメート、ベンジル-4-クロロジチオベンゾエート、フェニルメチル-4-クロロジチオベンゾエート、4-ニトロベンジル-4-クロロジチオベンゾエート、フェニルプロプ-2-イル-4-クロロジチオベンゾエート、1-シアノ-1-メチルエチル-4-クロロジチオベンゾエート、3-クロロ-2-ブテニル-4-クロロジチオベンゾエート、2-クロロ-2-ブテニルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、3-クロロ-2-ブテニル-1H-ピロール-1-ジチオカルボン酸、2-シアノブタン-2-イル4-クロロ-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオエートが挙げられる。これらのなかでも特に好ましくは、ベンジル1-ピロールカルボジチオエート、ベンジルフェニルカルボジチオエートが用いられる。上記化学式(3)で表される構造を導く化合物は、特に限定されるものではなく一般的な化合物を使用することができ、例えば、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボナート、ジベンジルトリチオカルボナート、ブチルベンジルトリチオカルボナート、2-[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2-[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]-2-メチルプロピオン酸、2,2′-[カルボノチオイルビス(チオ)]ビス[2-メチルプロピオン酸]、2-アミノ-1-メチル-2-オキソエチルブチルトリチオカルボナート、ベンジル2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-2-オキソエチルトリチオカルボナート、3-[[[(tert-ブチル)チオ]チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、シアノメチルドデシルトリチオカルボナート、ジエチルアミノベンジルトリチオカルボナート、ジブチルアミノベンジルトリチオカルボナートなどのトリチオカルボナート類が挙げられる。これらのなかでも特に好ましくは、ジベンジルトリチオカルボナート、ブチルベンジルトリチオカルボナートが用いられる。
【0041】
[浸漬成形体]
本実施形態に係る浸漬成形体は、前述したクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを浸漬成形したものであり、モジュラスが低く柔軟でかつ切断時引張強さや切断時伸びなどの機械的特性に優れ、また耐熱老化性にも優れている。当該浸漬成形体としては、手袋、風船、及びカテーテルが好適である。本発明の一実施形態に係る浸漬成形体は、上記したクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを含む、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックス組成物を成形することによって得ることもできる。
【0042】
本実施形態の浸漬成形体を製造する際の成型方法としては、例えば凝固液浸漬法が挙げられるが、これに限定されるものではなく、常法に従って成形すれば良い。
【0043】
本実施形態の浸漬成形体は、本発明の目的を損なわない範囲において、充填剤又は補強剤、可塑剤、加工助剤や滑剤、老化防止剤、シランカップリング剤などを含んでいても良い。これら薬剤は、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
【0044】
本実施形態の浸漬成形体は、加硫剤及び/又は加硫促進剤を含まないものであってもよい。すなわち、上記浸漬成形体は、加硫剤を含み加硫促進剤を含まないもの、加硫剤及び加硫促進剤を含むもの、加硫剤及び加硫促進剤を含まないものを包含する。加硫剤及び加硫促進剤を配合するか否かは、目的とする浸漬成形体に応じて決定すればよい。本発明の一実施形態に係る浸漬成形体が加硫剤及び/又は加硫促進剤を含む場合、該浸漬成形体を100質量%としたとき、加硫剤及び加硫促進剤の合計含有率を5質量%以下とすることができ、1質量%以下とすることがより好ましく、0.1質量%とすることがより好ましい。本発明の一実施形態に係る浸漬成形体は、アレルギーの低減及びコストダウンの観点から、加硫剤及び加硫促進剤を含まないものとすることもでき、浸漬成形体は、加硫剤及び加硫促進剤を含まずとも、十分な機械的強度を有する。
【0045】
加硫剤としては、例えば、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0046】
加硫促進剤は、原料ゴムの加硫に際して、加硫剤と作用して加硫速度を増大させ加硫時間の短縮、加硫温度の低下、加硫剤の減量、加硫ゴムの物性向上を目的として添加する薬剤であり、通常は硫黄加硫反応を促進する薬剤を指す。
【0047】
クロロプレン系共重合体ラテックスの加硫に一般的に用いられる加硫促進剤としては、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系、グアニジン系、キサントゲン酸塩系、チアゾール系等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0048】
本実施形態の浸漬成形体は、加硫剤及び加硫促進剤の有無を問わず優れた機械的特性を発揮するが、アレルギー低減及びコストダウンの観点からは、加硫剤及び加硫促進剤を含まないものが好ましい。
【0049】
本実施形態の浸漬成形体に添加する老化防止剤として、通常のゴム用途に使用されている、ラジカルを捕捉して自動酸化を防止する一次老化防止剤と、ハイドロパーオキサイドを無害化する二次老化防止剤を添加することができる。それらの老化防止剤はクロロプレン系共重合体ラテックス中のゴム成分100質量部に対して、それぞれ0.1質量部以上10質量部以下の割合で添加することができ、好ましくは2質量部以上5質量部以下の範囲である。これらの老化防止剤は単独使用のみならず2種以上を併用することも可能である。なお、一次老化防止剤の例としては、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、アクリレート系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、カルバミン酸金属塩、ワックスを挙げることができる。また、二次老化防止剤として、リン系老化防止剤、硫黄系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤などを挙げることができる。老化防止剤の例として特に限定するものではないが、N-フェニル-1-ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4'-ブチリデンビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、7-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)-ヒドロシンナアミド、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-ホスホネート-ジエチルエステル、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメイト)]メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル及び3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(ノニル・フェニル)フォスファイト、トリス(混合モノ-及びジ-ノニルフェニル)フォスファイト、ジフェニル・モノ(2-エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニル・モノトリデシル・フォスファイト、ジフェニル・イソデシル・フォスファイト、ジフェニル・イソオクチル・フォスファイト、ジフェニル・ノニルフェニル・フォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)フォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジフォスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリデシルフォスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチル-ジ-トリデシルフォスファイト)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)フルオロフォスファイト、4,4'-イソプロピリデン-ジフェノールアルキル(C12~C15)フォスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルフォスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-フェニルフォスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルフォスファイト)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジブチルハイドロゲンフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトール・ジフォスファイト及び水添ビスフェノールAペンタエリスリトールフォスファイトポリマー、2-メルカプトベンゾイミダゾール、p-クレソールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物などが挙げられる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を説明するが、これらは何れも例示的なものであって本発明の内容を限定するものではない。
【0051】
(実施例1)
(重合工程1)重合体ブロック(A-1)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、スチレン単量体350g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.07gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.82gを添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。
【0052】
サンプリングしたラテックスは、多量のメタノールに混合することで樹脂分を析出させ、濾過、乾燥して重合体ブロック(A-1)のサンプルを得た。得られたサンプルより重合体ブロック(A)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を分析により求めた。分析結果を表1に示す。なお、「数平均分子量」、「分子量分布」、「ガラス転移温度」の測定方法については後述する。
【0053】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-1)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4480g、及び1.9-ノナンジオールジメタクリレート91.4gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。
【0054】
サンプリングしたラテックスの一部を用いて、ラテックスの平均粒子径及びラテックスの機械的安定性を測定した。分析結果を表1に示す。なお、測定方法については後述する。またサンプリングしたラテックスを多量のメタノールに混合することで樹脂分を析出させ、濾過、乾燥してクロロプレン系ブロック共重合体のサンプルを得た。得られたサンプルよりクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-1)とクロロプレン系重合体ブロック(B-1)の含有量(質量%)を分析により求めた。分析結果を表1に示す。なお、測定方法については後述する。
【0055】
(実施例2)
(重合工程1)重合体ブロック(A-2)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水3333g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)160g、水酸化カリウム26.0g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)13.3g、スチレン単量体250g、ブチルベンジルトリチオカルボナート4.33gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)2.73g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-2)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0056】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-2)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体5584g、及び1.9-ノナンジオールジメタクリレート114.0gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-2)とクロロプレン系重合体ブロック(B-2)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0057】
(実施例3)
(重合工程1)重合体ブロック(A-3)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水5733g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)275g、水酸化カリウム44.7g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)22.9g、スチレン単量体430g、ブチルベンジルトリチオカルボナート7.45gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)4.69g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-3)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0058】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-3)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体3094g、及び1.9-ノナンジオールジメタクリレート63.1gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-3)とクロロプレン系重合体ブロック(B-3)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0059】
(実施例4)
(重合工程1)重合体ブロック(A-4)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、スチレン単量体350g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.07gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.82g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-4)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0060】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-4)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4480g、及び1.9-ノナンジオールジアクリレート91.4gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-4)とクロロプレン系重合体ブロック(B-4)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0061】
(実施例5)
(重合工程1)重合体ブロック(A-5)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、スチレン単量体350g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.07gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.82g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-5)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0062】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-5)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4480g、及びエチレングリコールジアクリレートであるライトエステルEG(共栄社化学社製)91.4gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-5)とクロロプレン系重合体ブロック(B-5)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0063】
(実施例6)
(重合工程1)重合体ブロック(A-6)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、スチレン単量体350g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.07gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.82g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-6)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0064】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-6)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4480g、及びジビニルベンゼン93.3gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-6)とクロロプレン系重合体ブロック(B-6)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0065】
(実施例7)
(重合工程1)重合体ブロック(A-7)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水5450g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)262g、水酸化カリウム42.5g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)21.8g、スチレン単量体2500g、ブチルベンジルトリチオカルボナート43.3gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)27.3g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-7)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0066】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-7)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水2732g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)131g、水酸化カリウム21.3g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)10.9g、重合工程1で作製した重合体ブロック(A-2)を含むラテックス783gを仕込み、内温45℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。その後クロロプレン単量体3000gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-7)とクロロプレン系重合体ブロック(B-7)の含有量(質量%)とトルエン不溶分を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0067】
(実施例8)
(重合工程1)重合体ブロック(A-8)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、スチレン単量体350g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.07gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.82g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-8)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0068】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-8)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4480g、及びトリアリルイソシアヌレート91.4gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-8)とクロロプレン系重合体ブロック(B-8)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0069】
(実施例9)
(重合工程1)重合体ブロック(A-9)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、スチレン単量体350g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.07gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.82g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-9)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0070】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-9)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4480g、及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物(共栄社化学社製)91.4gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-9)とクロロプレン系重合体ブロック(B-9)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0071】
(実施例10)
(重合工程1)重合体ブロック(A-10)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、スチレン単量体350g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.07gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.82g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-10)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0072】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-10)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4480g、及びトリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製)91.4gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-10)とクロロプレン系重合体ブロック(B-10)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0073】
(実施例11)
(重合工程1)重合体ブロック(A-11)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水6667g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)320g、水酸化カリウム52.0g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)26.7g、スチレン単量体500g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.50gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)4.09g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-11)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0074】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-11)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体1607g、及び1.9-ノナンジオールジメタクリレート32.8gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-11)とクロロプレン系重合体ブロック(B-11)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0075】
(実施例12)
(重合工程1)重合体ブロック(A-12)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水5450g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)262g、水酸化カリウム42.5g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)21.8g、スチレン単量体2500g、ブチルベンジルトリチオカルボナート32.5gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)20.5g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-12)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-4)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水1188g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)57g、水酸化カリウム9.3g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)4.8g、重合工程1で作製した重合体ブロック(A-4)を含むラテックス3147gを仕込み、内温45℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。その後クロロプレン単量体3000gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-12)とクロロプレン系重合体ブロック(B-12)の含有量(質量%)とトルエン不溶分を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0076】
(実施例13)
(重合工程1)重合体ブロック(A-13)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、メチルメタクリレート単量体350g、ブチル-2-シアノイソプロピルトリチオカルボネート4.14gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)2.87g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-13)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0077】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-13)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4424g、及び1.9-ノナンジオールジメタクリレート90.3gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-13)とクロロプレン系重合体ブロック(B-13)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0078】
(比較例1)
(重合工程1)重合体ブロック(A-14)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水3067g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)147g、水酸化カリウム23.9g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)12.3g、スチレン単量体230g、ブチルベンジルトリチオカルボナート3.99gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)2.51g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-14)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0079】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-14)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体7278g、及び1.9-ノナンジオールジメタクリレート148.5gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-14)とクロロプレン系重合体ブロック(B-14)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0080】
(比較例2)
(重合工程1)重合体ブロック(A-15)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水6667g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)320g、水酸化カリウム52.0g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)26.7g、スチレン単量体500g、ブチルベンジルトリチオカルボナート4.27gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)2.69g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-15)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0081】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-15)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体1607g、及び1.9-ノナンジオールジメタクリレート32.8gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-15)とクロロプレン系重合体ブロック(B-15)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0082】
(比較例3)
クロロプレン系重合体ブロック(B-16)のみの共重合体の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水3600g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)175g、水酸化カリウム28.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)16.0g、クロロプレン単量体4000g、1.9-ノナンジオールジメタクリレート81.6g、ブチルベンジルトリチオカルボナート4.72gを仕込み、内温45℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)2.96g添加して重合を開始した。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径及びラテックスの機械的安定性を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0083】
(比較例4)
(重合工程1)重合体ブロック(A-17)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4616g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)206g、水酸化カリウム2.3g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)46.2g、スチレン単量体462g、ブチルベンジルトリチオカルボナート9.2gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)6.0g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-17)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0084】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-17)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4154gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-17)とクロロプレン系重合体ブロック(B-17)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0085】
(比較例5)
(重合工程1)重合体ブロック(A-18)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4616g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)206g、水酸化カリウム2.3g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)46.2g、スチレン単量体692g、ブチルベンジルトリチオカルボナート9.2gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)6.0g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは重合工程2に使用した。重合体ブロック(A-18)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0086】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-18)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体3924gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-18)とクロロプレン系重合体ブロック(B-18)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表1に示す。
【0087】
(比較例6)
トリブロック共重合体の合成
(第1ブロックの合成)
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4613g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)204.4g、水酸化カリウム2.3g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)46.1g、スチレン単量体230g、ベンジル1-ピロールカルボジチオエート9.2gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)6.0g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスは次の重合工程に使用した。第1ブロックの数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表2に示す。
(第2ブロックの合成)
第1ブロックの合成の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体4424gを添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。得られたラテックスを用いて次の重合工程に使用した。
(第3ブロックの合成)
第2ブロックの合成の後、内温を80℃まで昇温にし、スチレン単量体230gを仕込み、重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)6.0g添加して重合を開始した。重合を行った後、25℃まで冷却し重合を停止した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及び合成したトリブロック共重合体の第1ブロックと第3ブロックであるスチレンブロックと、第2ブロックであるクロロプレンブロックの含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表2に示す。
【0088】
(比較例7)
重合体ブロック(A)の単独重合体とクロロプレン系重合体ブロック(B)の単独重合体の混合物の作製
(重合体ブロック(A)の単独重合体の合成)
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水4666g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)224g、水酸化カリウム36.4g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)18.7g、スチレン単量体350g、ブチルベンジルトリチオカルボナート6.07gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.82gを添加して重合を開始した。スチレン単量体の重合率95%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させた。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングした。重合体ブロック(A)の単独重合体の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表3に示す。
【0089】
(クロロプレン系重合体ブロック(B)の単独重合体の合成)
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。純水3960g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)193g、水酸化カリウム31.2g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)17.6g、クロロプレン単量体4400g、1.9-ノナンジオールジメタクリレート89.8g、ブチルベンジルトリチオカルボナート5.19gを仕込み、内温45℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩化水素(富士フイルム和光純薬社製、商品名:VA-044)3.26g添加して重合を開始した。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるN,N-ジエチルヒドロキシルアミンの10重量%水溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体を除去した。
【0090】
(重合体ブロック(A)の単独重合体ラテックスとクロロプレン系重合体ブロック(B)の単独重合体ラテックスの混合)
得られた重合体ブロック(A)の単独重合体ラテックス4000gとクロロプレン系重合体ブロック(B)の単独重合体のラテックス4000gを容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブに仕込み、内温45℃にして200rpmで攪拌した。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及び混合して得られるポリマー中の重合体ブロック(A)の単独重合体とクロロプレン系重合体ブロック(B)の単独重合体の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表3に示す。
【0091】
(比較例8)
強制乳化法によるクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスの合成
(重合工程1)重合体ブロック(A-19)の合成
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。テトラヒドロフラン4616g、スチレン単量体87.5g、ベンジルブチルトリチオカルボナート1.5gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬社製、商品名:AIBN)0.49g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られた溶液を20mlサンプリングし、残りのラテックスは次の重合工程に使用した。重合体ブロック(A-19)の数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表4に示す。
【0092】
(重合工程2)クロロプレン系重合体ブロック(B-19)の合成
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体1120g及び1.9-ノナンジオールジメタクリレート22.8gを2時間かけてゆっくり添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるフェノチアジンの10重量%テトラヒドロフラン溶液を添加することで重合を停止させ、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体及びテトラヒドロフランを除去してクロロプレン系ブロック共重合体のサンプルを得た。
【0093】
(強制乳化工程)
クロロプレン系ブロック共重合体の強制乳化
重合工程2で得られたクロロプレン系ブロック共重合体350gを4200gのベンゼンに溶解させた。得られた溶液に対して純水4725g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)70g、水酸化カリウム0.78g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)1.4gを加え、ホモジナイザーを使用して強制的に乳化させた。得られたラテックスの固形分濃度が50%となるように、減圧蒸留によってベンゼン及び水を除去し、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを得た。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及びクロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A-19)とクロロプレン系重合体ブロック(B-19)の含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表4に示す。
【0094】
(比較例9)
強制乳化法によるトリブロック共重合体ラテックスの合成
(第1ブロックの合成)
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。テトラヒドロフラン4616g、スチレン単量体70g、ベンジル1-ピロールカルボジチオエート2.8gを仕込み、内温80℃にし窒素気流下にて200rpmで攪拌した。重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬社製、商品名:AIBN)0.93g添加して重合を開始した。物性測定のために、得られた溶液を20mlサンプリングし、残りのラテックスは次の重合工程に使用した。第1ブロックの数平均分子量、分子量分布、及びガラス転移温度を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表5に示す。
(第2ブロックの合成)
重合工程1の後、内温が45℃まで下がったところで、クロロプレン単量体1346gを添加し重合を行った。クロロプレン単量体の重合率80%となった時点で重合停止剤であるフェノチアジンの10重量%テトラヒドロフラン溶液を添加することで重合を停止させた。
(第3ブロックの合成)
第2ブロックの合成の後、内温を80℃まで昇温にし、スチレン単量体70gを仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬社製、商品名:AIBN)0.93g添加して重合を開始した。重合を行った後、減圧蒸留により未反応のクロロプレン単量体及びテトラヒドロフランを除去してトリブロック共重合体を得た。
(強制乳化工程)トリブロック共重合体の強制乳化
第3ブロックの合成で得られたトリブロック共重合体350gを4200gのベンゼンに溶解させた。得られた溶液に対して純水4725g、不均化ロジン酸カリウム(ハリマ化成社製)70g、水酸化カリウム0.78g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製、商品名:デモールN)1.4gを加え、ホモジナイザーを使用して強制的に乳化させた。得られたラテックスの固形分濃度が50%となるように、減圧蒸留によってベンゼン及び水を除去し、クロロプレン系ブロック共重合体ラテックスを得た。物性測定のために、得られたラテックスを20mlサンプリングし、残りのラテックスを用いて評価用のフィルム作製を行った。ラテックスの平均粒子径、ラテックスの機械的安定性及び合成したトリブロック共重合体の第1ブロックと第3ブロックであるスチレンブロックと、第2ブロックであるクロロプレンブロックの含有量(質量%)を実施例1と同様に分析により求めた。分析結果を表5に示す。
【0095】
[分析]
(重合体ブロック(A)の数平均分子量及び分子量分布測定)
数平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値であり、下記記載の測定条件における測定値である。
装置名:HLC-8320(東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR-Hを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラヒドロフラン
検量線:標準ポリスチレン(PS)を用いて作製した。
【0096】
(重合体ブロック(A)のガラス転移温度)
ガラス転移温度は、JIS K 7121に準拠して示差走査熱量計を用い、以下の方法で測定した。
装置名:DSC1(Mettler Toledo社製)
手順:50ml/minの窒素気流下で、昇温速度10℃/minで120℃まで昇温して、10分間120℃に保った後、-60℃まで冷却し、昇温速度10℃/minで120℃まで昇温して得られたDSC曲線から、高温側のペースラインを低温側に延長した直線と、ピークの高温側の曲線にこう配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0097】
(クロロプレン系ブロック共重合体の重合体ブロック(A)とクロロプレン系重合体ブロック(B)の含有量測定)
熱分解ガスクロマトグラムと1H-NMRを用い、以下の方法で測定した。
熱分解ガスクロマトグラム 装置名:HP5890-II
カラム:DB-5 0.25mmφ×30m(膜厚1.0μm)
カラム温度:50℃(5min)→10℃/min→150℃→25℃/min→300℃
注入口温度:250℃
検出器温度:280℃
検出器:FID
1H-NMR 装置名:JNM-ECX-400(日本電子社製)
手順:重合体ブロック(A)と多官能性単量体単位を含まないクロロプレン系重合体ブロック(B)からなるクロロプレン系ブロック共重合体を熱分解ガスクロマトグラムで測定し、重合体ブロック(A)由来のピークとクロロプレン系重合体ブロック(B)由来のピークの面積比と、1H-NMRを測定して得られたクロロプレン系ブロック共重合体中の重合体ブロック(A)とクロロプレン系重合体ブロック(B)の含有量から検量線を作成した。サンプリングしたラテックスをメタノールに混合して析出したクロロプレン系ブロック共重合体のサンプルを熱分解ガスクロマトグラムで測定し、重合体ブロック(A)由来のピークとクロロプレン系重合体ブロック(B)由来のピークの面積比から、上記で作成した検量線を用いてクロロプレン系ブロック共重合体中の重合体ブロック(A)とクロロプレン系重合体ブロック(B)の含有量を求めた。
【0098】
(ラテックスの平均粒子径の測定)
サンプリングしたラテックス0.1gを純水50gに溶解したサンプルを用い、大塚電子社製ELSZ-2にて動的光散乱法により測定し、光子相関法でラテックスの平均粒子径を算出した。
【0099】
(ラテックスの機械的安定性の測定)
ラテックスの機械的安定性は、JIS K 6392に準拠して、マロン機械的安定度試験機を用い、以下の方法で測定した。
手順:サンプリングしたラテックスを金網で濾過し不純物を取り除いた後、濾過したラテックスを20℃に調整し、50gを試験容器に計量した。試験容器を試験機に装着し、荷重10kgで10min測定を行った。測定後の試験容器内の試料を予め125℃×1時間乾燥してデシケータ内で放冷した80メッシュ金網で濾過し、80メッシュ金網と析出物を125℃の乾燥機内で1時間乾燥した後デシケータ内で放冷して、80メッシュ金網と析出物を秤量した。また、サンプリングしたラテックスの全固形分(単位:%)をJIS K 6387に準拠して求めた。次に以下式を用いてラテックスの凝固率(単位:質量%)を求めた。
[(乾燥後の80メッシュ金網と析出物の重量(単位:g))-(80メッシュ金網の重量(単位:g))]/[50×((ラテックスの全固形分(単位:質量%))/100)]×100
求めたラテックスの凝固率をラテックスの機械的安定性とした。ラテックスの機械的安定性は、1質量%以下を合格レベルとした。
【0100】
[引張試験用サンプルの作製]
(クロロプレン系ブロック共重合体を含むラテックスの調製)
重合工程2で得られたラテックス中のクロロプレン系ブロック共重合体100質量部(固形分換算)に対して、老化防止剤としてp-クレソールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物(商品名「ノクラックPBK」、大内新興化学工業株式会社製)2質量部、ラウリル硫酸ナトリウム(商品名「エマール10」、花王株式会社製)0.3質量部、及び水を加えて配合物の固形分濃度が30質量%になるように調製し、陶器製ボールミルを用いて、20℃で16時間混合し、調製した。
(フィルムの作製)
外径50mmの陶器製の筒を、水62質量部、硝酸カリウム四水和物35質量部、及び炭酸カルシウム3質量部を混合した凝固液に1秒間浸して取り出した。4分間乾燥させた後、上記で調製したラテックスに2分間浸した。その後45℃の流水で1分間洗浄し、130℃で30分間加熱して水分を除去し、引張試験用のフィルム(140×150mm、厚み:0.2mm)を作製した。
【0101】
[引張特性の評価]
作製したフィルムを、130℃で30分間熱処理した後にJIS K 6251に準拠して500%伸長時モジュラス、切断時引張強さ破断強度及び切断時伸びを測定した。なお、500%伸長時モジュラスは3.0MPa以下、切断時引張強さは17MPa以上、切断時伸びは900%以上を合格レベルとした。
【0102】
[熱老化特性の評価]
作製したフィルムを強制循環型熱老化試験機内で100℃、22時間の条件で熱老化試験を行った後、JIS K 6251に準拠して500%伸長時モジュラス、切断時引張強さ及び切断時伸びを測定した。500%伸長時モジュラスは3.0MPa以下、切断時引張強さは17MPa以上、切断時伸びは900%以上を合格とした。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
実施例1~13については、いずれもラテックスの機械的安定性が1質量%以下でラテックスの
機械的安定性に優れていた。また加硫剤や加硫促進剤を使用しなくても、フィルムの500%伸長時モジュラス3.0MPa以下で柔軟性に優れ、切断時引張強さ17MPa以上、切断時伸び900%以上であり、引張特性に優れていた。また、熱老化試験後の500%伸長時モジュラス3.0MPa以下で柔軟性に優れ、切断時引張強さ17MPa以上、切断時伸び900%以上であり、耐熱老化性にも優れていた。一方、比較例1~8については、ラテックスの機械的安定性、フィルムの柔軟性、引張特性、及び耐熱老化性のうちいずれかの物性において劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスから得られる浸漬成形体は、柔軟性、引張特性、耐熱老化性に優れており、手術用手袋、手袋、風船、カテーテルなどに好適に用いることができる。また本発明のクロロプレン系ブロック共重合体ラテックスは、塗料、接着剤、粘着剤などに好適に用いることができる。