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特許7539462レバウディオサイドA含有飲料、その製造方法及びレバウディオサイドAの苦味を低減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】レバウディオサイドA含有飲料、その製造方法及びレバウディオサイドAの苦味を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/60 20060101AFI20240816BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240816BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20240816BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20240816BHJP
【FI】
A23L2/60
A23L2/00 B
A23L2/00 C
A23L27/00 Z
A23L27/00 101A
A23L27/20 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022518069
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2021016705
(87)【国際公開番号】W WO2021221033
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020079217
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】吉井 孝彰
(72)【発明者】
【氏名】秦 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】中原 光一
(72)【発明者】
【氏名】植村 真秀
【審査官】長谷川 莉慧霞
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03222706(EP,A1)
【文献】特開平03-112460(JP,A)
【文献】特開平7-250644(JP,A)
【文献】特表2015-500653(JP,A)
【文献】RUIZ-MATUTE A. I., et al.,Identification of free disaccharides and other glycosides in wine,Journal of Chromatography A,2009年,Vol.1216,pp.7296-7300
【文献】GARDANA, C., SIMONETTI, P.,Determination of steviol glycosides in commercial extracts of Stevia rebaudiana and sweeteners by ul,Journal of Chromatography A,2018年,Vol. 1578,pp.8-14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバウディオサイドAの濃度が50~2000ppmであり、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmであるレバウディオサイドA含有飲料(但し、ステビアを含むワインを除く)
【請求項2】
エチルグリコシドの濃度が100~5000ppmである請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
エチルグリコシドがエチルグルコシドである請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
レバウディオサイドA及びエチルグリコシドを含むレバウディオサイドA含有飲料の製造方法であって、飲料中のレバウディオサイドAの濃度が50~2000ppm、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmとなるようにレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整する工程を含む、レバウディオサイドA含有飲料の製造方法。
【請求項5】
レバウディオサイドA含有飲料にエチルグリコシドを配合する工程を含
飲料中のレバウディオサイドAの濃度が50~2000ppm、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmとなるようにレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整する、レバウディオサイドA含有飲料におけるレバウディオサイドAの苦味を低減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバウディオサイドA含有飲料及びその製造方法に関する。また、本発明は、レバウディオサイドAの苦味を低減する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ステビア抽出物は甘味料として広く用いられており、レバウディオサイドA等のテルペノイドの配糖体が甘味成分として機能することが知られている。しかしながらレバウディオサイドAは、甘味が砂糖と異なり、甘味の立ち上がりが若干遅い、苦味があり、しかも後味に苦味が残る等の問題がある。レバウディオサイドAの甘味を改善する技術が検討されており、特許文献1には、少なくとも1つの酸化防止剤、少なくとも1つの高甘味度甘味料及び少なくとも一つの甘味改善組成物を含む機能性甘味料組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2009-523407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1では、レバウディオサイドAの苦味を低減させることは検討されていない。
本発明は、レバウディオサイドAの苦味、特に後味の苦味が低減された、レバウディオサイドA含有飲料及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、レバウディオサイドAの苦味を低減する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、レバウディオサイドAを含有する飲料に、エチルグリコシドを含有させることによって、レバウディオサイドAに由来する後味の苦味(苦味の後引き)を低減することができることを見出した。
【0006】
すなわち、これに限定されるものではないが、本発明は、以下の飲料等に関する。
〔1〕レバウディオサイドAの濃度が30~2000ppmであり、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmであるレバウディオサイドA含有飲料。
〔2〕エチルグリコシドの濃度が100~5000ppmである上記〔1〕に記載の飲料。
〔3〕エチルグリコシドがエチルグルコシドである上記〔1〕又は〔2〕に記載の飲料。
〔4〕レバウディオサイドA及びエチルグリコシドを含むレバウディオサイドA含有飲料の製造方法であって、飲料中のレバウディオサイドAの濃度が30~2000ppm、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmとなるようにレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整する工程を含む、レバウディオサイドA含有飲料の製造方法。
〔5〕レバウディオサイドAにエチルグリコシドを配合する工程を含む、レバウディオサイドAの苦味を低減する方法。
〔6〕レバウディオサイドA含有飲料におけるレバウディオサイドAの苦味を低減する方法であり、飲料中のレバウディオサイドAの濃度が30~2000ppm、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmとなるようにレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整する上記〔5〕に記載の苦味を低減する方法。
〔7〕エチルグリコシドを有効成分として含む、レバウディオサイドAの苦味低減剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レバウディオサイドAの苦味、特に後味の苦味が低減された、レバウディオサイドA含有飲料及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、レバウディオサイドAの苦味、特に後味の苦味を低減する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のレバウディオサイドA含有飲料は、レバウディオサイドAの濃度が30~2000ppmであり、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmである。
レバウディオサイドA(RebA)は、ステビア抽出物に含まれる甘味成分として知られている。本発明のレバウディオサイドA含有飲料では、レバウディオサイドAに由来する苦味、特に後味の苦味が、エチルグリコシドによって低減されている。
【0009】
レバウディオサイドAは、その由来や製造方法に特に制限されない。レバウディオサイドAは、有機化学的手法等による合成品であってよく、天然物から分離又は精製されたものであってもよい。
レバウディオサイドAを分離又は精製する場合、ステビア抽出物を出発原料として用いることができる。ステビア抽出物は、キク科ステビア(Stevia rebaudiana)の乾燥葉を抽出し、精製することにより得ることができる。レバウディオサイドAは、例えば、特表2009-517043号公報に記載された方法に従って精製することができる。レバウディオサイドAは、ステビア抽出物の形態で飲料に含有させてもよい。
【0010】
本発明のレバウディオサイドA含有飲料は、レバウディオサイドAの濃度が30~2000ppmである。エチルグリコシドによって、レバウディオサイドAの濃度が上記範囲である飲料におけるレバウディオサイドAに由来する苦味(特に後味の苦味)を低減することができる。レバウディオサイドA含有飲料は、レバウディオサイドAの濃度が50ppm以上であることが好ましく、100ppm以上であることがより好ましく、また、1500ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましい。一態様において、飲料におけるレバウディオサイドAの濃度は、50~1500ppmであることが好ましく、100~1000ppmであることがより好ましい。レバウディオサイドAの濃度が上記範囲であると、エチルグリコシドによるレバウディオサイドAの苦味の低減が特に有効である。
本明細書中、ppmは、重量/容量(w/v)のppmを意味する。
レバウディオサイドAの濃度は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析することができる。
【0011】
エチルグリコシドは、還元糖の1位の炭素のヒドロキシ基がエトキシ基で置換された構造の化合物である。エチルグリコシドを構成する還元糖としては単糖が好ましく、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース等が挙げられる。還元糖は、D体、L体及びDL体のいずれであってもよい。好ましくはD体である。
エチルグリコシドとして、例えば、エチルグルコシド、エチルフルクトシド、エチルガラクトシド、エチルマンノシド、エチルキシロシドが挙げられる。エチルグリコシドは、これらの1種であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。中でも、エチルグリコシドとして、エチルグルコシドが好ましい。エチルグルコシドとしては、エチル-α-グルコシド、エチル-β-グルコシドのいずれであってもよく、エチル-α-グルコシド及びエチル-β-グルコシドの組合せであってもよい。エチルグリコシドは、好ましくは、エチル-α-グルコシドであり、より好ましくはエチル-α-D-グルコシドである。
【0012】
エチルグリコシドの製造方法は特に限定されない。例えば、還元糖と、エタノールとを反応させることによりエチルグリコシドを得ることができる。エチルグルコシドは、例えば、グルコースとエタノールとを反応させることにより得ることができる。
【0013】
レバウディオサイドA含有飲料中のエチルグリコシドの濃度は、5~5000ppmである。レバウディオサイドA含有飲料中のエチルグリコシドの濃度が5ppm以上であると、レバウディオサイドAの苦味、特に後味の苦味を低減することができる。レバウディオサイドAを含有する飲料においてエチルグリコシドの濃度が5000ppm以下であると、エチルグリコシドによる苦味等が生じにくい。飲料中のエチルグリコシドの濃度は、10ppm以上が好ましく、50ppm以上がより好ましく、100ppm以上がさらに好ましく、また、1000ppm以下がより好ましい。一態様において、飲料におけるエチルグリコシドの濃度は、10~5000ppmであることが好ましく、50~5000ppmであることがより好ましく、100~5000ppmであることがさらに好ましく、100~1000ppmであることが特に好ましい。エチルグリコシドの濃度は、エチルグリコシドの合計の濃度を指す。
レバウディオサイドA含有飲料中のエチルグリコシドの濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により公知の方法で測定することができる。
【0014】
一態様において、レバウディオサイドA含有飲料中のレバウディオサイドAの濃度と、エチルグリコシドの濃度の好ましい範囲として以下の範囲が挙げられる。
レバウディオサイドAが30ppm以上、50ppm未満の場合に、エチルグリコシドが10~5000ppm、好ましくは100~1000ppm
レバウディオサイドAが50ppm以上、100ppm未満の場合に、エチルグリコシドが10~5000ppm、好ましくは100~5000ppm
レバウディオサイドAが100ppm以上、250ppm未満の場合に、エチルグリコシドが10~5000ppm、好ましくは50~5000ppm
レバウディオサイドAが250ppm以上、500ppm未満の場合に、エチルグリコシドが10~5000ppm、好ましくは100~1000ppm
レバウディオサイドAが500ppm以上、1000ppm未満の場合に、エチルグリコシドが5~5000ppm、好ましくは100~5000ppm
レバウディオサイドAが1000ppm以上、1500ppm未満の場合に、エチルグリコシドが10~5000ppm
レバウディオサイドAが1500~2000ppmの場合に、エチルグリコシドが10~5000ppm
上記のような範囲であると、レバウディオサイドAの苦味、特に後味の苦味をより低減することができる。
【0015】
本発明のレバウディオサイドA含有飲料は、本発明の効果を妨げない限り、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、酸味料、レバウディオサイドA以外の甘味料、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤の1種又は2種以上を含んでいてもよい。本発明のレバウディオサイドA含有飲料は、水を含む。本発明のレバウディオサイドA含有飲料は炭酸ガスを含む飲料であってよく、炭酸ガスが圧入されていてもよい。
【0016】
レバウディオサイドA含有飲料は特に限定されず、例えば、コーラ飲料、炭酸飲料、茶飲料、コーヒー飲料、果汁飲料、フレーバーウォーター等であってよい。
【0017】
本発明において、飲料の形態は特に限定されないが、容器詰めの飲料とすることができる。一態様において、レバウディオサイドA含有飲料は、好ましくは容器詰め飲料である。容器の形態は特に限定されず、瓶(例えば、ガラス瓶)、缶、樹脂ボトル(例えば、ペットボトル)、アルミパウチ、ビニールパウチ等の密封容器に充填して、容器詰め飲料等とすることができる。本発明においては、容器としてガラス瓶、ペットボトルが好ましく用いられ、ガラス瓶詰飲料、ペットボトル詰飲料とすることができる。
【0018】
<レバウディオサイドA含有飲料の製造方法>
本発明は、以下のレバウディオサイドA含有飲料の製造方法も包含する。
レバウディオサイドA及びエチルグリコシドを含むレバウディオサイドA含有飲料の製造方法であって、飲料中のレバウディオサイドAの濃度が30~2000ppm、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmとなるようにレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整する工程を含む、レバウディオサイドA含有飲料の製造方法。
レバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整する方法や順序は特に限定されず、得られるレバウディオサイドA含有飲料がレバウディオサイドA及びエチルグリコシドを上記の濃度で含んでいればよい。上記方法は、飲料を容器に充填する工程等の上記以外の工程を含んでもよい。
レバウディオサイドA、エチルグリコシド、これらの含有量(濃度)及びその好ましい態様等は、上記のレバウディオサイドA含有飲料と同じである。
【0019】
<レバウディオサイドAの苦味を低減する方法>
以下のレバウディオサイドAの苦味を低減する方法も、本発明の一つである。
レバウディオサイドAにエチルグリコシドを配合する工程を含む、レバウディオサイドAの苦味を低減する方法。
レバウディオサイドAにエチルグリコシドを配合することによって、レバウディオサイドAの苦味、特に後味の苦味を低減させることができる。このため例えばレバウディオサイドAを含有する飲料等の飲食品において、レバウディオサイドAの苦味(特に後味の苦味)を低減することができる。レバウディオサイドAにエチルグリコシドを配合する方法は特に限定されず、例えば、レバウディオサイドA又はこれを含有する飲料等の組成物にエチルグリコシドを配合してもよく、レバウディオサイドAにエチルグリコシド又はこれを含有する組成物を配合してもよい。
本発明の方法は、例えば、レバウディオサイドA含有飲料におけるレバウディオサイドAの苦味(レバウディオサイドAに由来する苦味)を低減するために好ましく使用される。
【0020】
レバウディオサイドA含有飲料においてレバウディオサイドAに由来する苦味を低減する場合、レバウディオサイドA、エチルグリコシド、これらの濃度の好ましい態様等は、上記のレバウディオサイドA含有飲料と同じである。
レバウディオサイドA含有飲料におけるレバウディオサイドAの苦味を低減する方法の一態様においては、飲料中のレバウディオサイドAの濃度が30~2000ppm、エチルグリコシドの濃度が5~5000ppmとなるようにレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整することが好ましい。
別の一態様においては、飲料中のレバウディオサイドAの濃度が10ppm以上、30ppm未満、エチルグリコシドの濃度が50~5000ppm(好ましくは100~5000ppm)となるようにレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整することが好ましい。
レバウディオサイドAを含有する飲料において、飲料中のレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度が上記の範囲であると、レバウディオサイドAに由来する苦味、特に後味の苦味を低減させることができる。レバウディオサイドAにエチルグリコシドを配合する際に、飲料中のレバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度が上記範囲となるようにこれらの濃度を調整することが好ましい。
【0021】
レバウディオサイドA及びエチルグリコシドの濃度を調整する方法や順序は特に限定されない。上記方法は、飲料を容器に充填する工程等の工程を含んでもよい。上記方法は、飲料を容器に充填する工程を含んでもよい。
【0022】
本発明は、エチルグリコシドを有効成分として含む、レバウディオサイドAの苦味低減剤も包含する。
エチルグリコシドは、レバウディオサイドAの苦味、特に後味のマスキングに有効であり、レバウディオサイドAの苦味を低減するための有効成分として使用することができる。本発明の苦味低減剤は、例えば、飲料等に配合して、レバウディオサイドAに由来する苦味を低減するために使用することができる。一態様において、例えば、レバウディオサイドAを含有する飲料に、本発明の苦味低減剤を飲料に含有させることが好ましい。
一態様においては、レバウディオサイドAの濃度が30~2000ppmである飲料に本発明の苦味低減剤を配合し、エチルグリコシドの濃度を5~5000ppmに調整することが好ましい。別の一態様においては、レバウディオサイドAの濃度が10ppm以上、30ppm未満である飲料に本発明の苦味低減剤を配合し、エチルグリコシドの濃度を50~5000ppm(好ましくは100~5000ppm)に調整することが好ましい。
【0023】
本明細書には、以下のレバウディオサイドA含有飲料も記載されている。
レバウディオサイドA及びエチルグリコシドを含有し、レバウディオサイドAの濃度が10ppm以上、30ppm未満であるレバウディオサイド含有飲料。
上記のレバウディオサイドA含有飲料において、エチルグリコシドの濃度は、50ppm以上が好ましく、50~5000ppmがより好ましく、100~5000ppmがさらに好ましい。飲料中のレバウディオサイドAが10ppm以上、30ppm未満である場合に、エチルグリコシドの濃度が上記範囲であると、レバウディオサイドAに由来する苦味を低減することができる。
【実施例
【0024】
以下、本発明をより具体的に説明する実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
実施例では、エチルグリコシドとしてエチル-α-D-グルコシド(以下EGと記載する)を用いた。
【0026】
(実施例1)
レバウディオサイドA(以下、RebAと記載することもある)及びEGを水(硬度が0~100mg/Lの市販のミネラルウォーター)に溶解させて試料を作製した。具体的には、RebAの濃度を0ppm、0.5ppm、10ppm、25ppm、50ppm、100ppm、250ppm、500ppm、1000ppm、1500ppm、2000ppmの11段階で変化させ、EGの濃度を0ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、250ppm、500ppm、1000ppm、5000ppmの9段階で変化させた試料を作製した。
各試料の後味の苦味について、官能評価に熟練したパネラー2名(パネラーA及びB)が官能評価を行った。官能評価では、試料10mLを口に含み5秒間味わった後、吐き出し、後味の苦味(吐き出した後口の中に残る苦味)の強度を評価した。異なる試料を評価する際には、口の中の味がなくなるまで口を水でゆすいだ。官能評価を実施するにあたり、事前にパネラーの間で討議を行い、苦味強度についてすり合わせを行った。各パネラーが評価基準を下記とすることの共通認識を持ったうえで官能評価を実施した。
EGを含まない試料の後味の苦味の強度で苦味の基準点を設定した。RebA及びEGを含まない試料(水)の後味の苦味強度を評点「1」、RebA25ppmでEG0ppm(EGを添加していない)の試料の後味の苦味強度を評点「2」、RebA100ppmでEG0ppmの試料の後味の苦味強度を評点「3」、RebA500ppmでEG0ppmの試料の後味の苦味強度を評点「4」、RebA1000ppmでEG0ppmの試料の後味の苦味強度を評点「5」、RebA1500ppmでEG0ppmの試料の後味の苦味の強度を評点「6」と設定した。具体的には、下記の評価基準1~6点で、0.5点刻みの11段階で後味の苦味強度を評価した。その後パネラーの評点の平均値を求めた。
【0027】
後味の苦味の評価基準
1:後味の苦味を全く感じない(RebA及びEGを含まない水と同等又はそれ以下)
2:後味の苦味を僅かに感じる (RebA25ppmでEG0ppmの試料と同等)
3:後味の苦味を少し感じる (RebA100ppmでEG0ppmの試料と同等)
4:後味の苦味を感じる(RebA500ppmでEG0ppmの試料と同等)
5:後味の苦味を強く感じる(RebA1000ppmでEG0ppmの試料と同等)
6:後味の苦味を非常に強く感じる(RebA1500ppmでEG0ppmの試料と同等又はそれ以上に強い苦味)
【0028】
表1には各試料中のレバウディオサイドA(RebA)に対するエチルグリコシド(EG)の重量割合(EG/RebA)を示した。
表2には、各パネラーの試料の官能評価の結果(後味の苦味の評点)を、表3には、後味の苦味の評点の平均を示した。
表4に、表3に示す結果から算出したEG添加によるRebAの後味の苦味の低減度を示した。苦味低減度は、表3に示すEGを含む試料の評点(X)から、当該試料とRebA濃度が同じでEGを含まない試料の評点(Y)を引いた値(X-Y)である。例えば、RebA100ppmでEG50ppmの試料を例に挙げて説明すると、この試料の後味の苦味強度の評点の平均(X)は2.00であり、当該試料とRebA濃度が同じでEGを含まない試料(RebA100ppmでEG0ppm)の後味の苦味強度は3.00(Y)であることから、苦味低減度(X-Y)は-1.00である。
表3に示す評点の平均点について、EGが0ppmの試料(EGを添加しないRebA水溶液)に対して0.25点以上評点が低い(表4に示す苦味の低減度が-0.25以下である)場合に、後味の苦味が低減されたと判定した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
上記の結果から、例えば飲料中のエチルグリコシドの濃度が5ppm以上であると、RebAの濃度が50~2000ppmにおいてRebAの後味の苦味を低減することができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、レバウディオサイドAの苦味が低減されたレバウディオサイドA含有飲料等を提供することができる。