(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】物品管理システム、読取装置、及び管理装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240816BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G06K7/10 184
G06K7/10 144
G06K7/10 264
B65G1/137 B
(21)【出願番号】P 2022544557
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2021030645
(87)【国際公開番号】W WO2022045019
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2020142751
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】保▲高▼ 拓哉
【審査官】高橋 克
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-059106(JP,A)
【文献】特開2018-163602(JP,A)
【文献】特開2006-048108(JP,A)
【文献】特開2008-165802(JP,A)
【文献】特開2015-033033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを用いて物品を管理するための物品管理システムであって、
1つ又は複数の対象物品のそれぞれに付された対象無線タグから無線通信により物品識別情報を読取る読取動作を実行する読取装置と、
前記1つ又は複数の対象物品を挟んで前記読取装置と反対側に設置された参照無線タグと、を備え、
前記読取装置は、前記参照無線タグから受信する電波に基づいて、前記読取装置から送信する電波の送信電力を調整する電力調整動作を実行
し、
前記読取装置は、前記参照無線タグから受信する電波の受信強度を測定し、測定した受信強度に応じて前記電力調整動作を実行する、物品管理システム。
【請求項2】
前記参照無線タグは、前記読取装置から受信する電波の受信強度を測定し、測定した受信強度を示す受信強度情報を含む電波を送信し、
前記読取装置は、前記受信強度情報が示す前記受信強度に応じて前記電力調整動作を実行する、請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項3】
前記電力調整動作は、前記受信強度が所定の受信強度範囲内に収まるように、前記読取装置から送信する電波の送信電力を調整する動作である、請求項
1又は
2に記載の物品管理システム。
【請求項4】
前記読取装置と別体又は一体に構成された管理装置をさらに備え、
前記管理装置は、対象物品の数が減少又は増加したことに応じて、前記電力調整動作を前記読取装置に実行させる、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の物品管理システム。
【請求項5】
前記読取装置は、前記対象無線タグから読取った前記物品識別情報に基づいて、減少又は増加した対象物品の物品識別情報を特定し、
前記管理装置は、前記特定された物品識別情報に基づいて、前記電力調整動作を前記読取装置に実行させるか否かを決定する、請求項
4に記載の物品管理システム。
【請求項6】
前記電力調整動作は、前記管理装置から指定された指定送信電力を基準として、前記読取装置から送信する電波の送信電力を調整する動作であり、
前記管理装置は、前記電力調整動作を前記読取装置に実行させる場合、前記特定された物品識別情報に基づいて決定した前記指定送信電力を示す情報を前記読取装置に送信する、請求項
5に記載の物品管理システム。
【請求項7】
前記1つ又は複数の対象物品のそれぞれは、無線送信機を有する器具に掛けられる又は保持されており、
前記読取装置は、前記器具の移動が検知されたことに基づく通知信号を前記無線送信機から受信し、前記通知信号の受信に応じて前記読取動作を実行する、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の物品管理システム。
【請求項8】
無線タグを用いて物品を管理するための物品管理システムで用いる読取装置であって、
1つ又は複数の対象物品のそれぞれに付された対象無線タグから無線通信により物品識別情報を読取る読取動作を実行するタグリーダと、
前記1つ又は複数の対象物品を挟んで前記読取装置と反対側に設置された参照無線タグから受信する電波に基づいて、前記タグリーダから送信する電波の送信電力を調整する電力調整動作を実行するコントローラと、を備え
、
前記コントローラは、前記参照無線タグから受信する電波の受信強度を測定し、測定した受信強度に応じて前記電力調整動作を実行する、読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理システム、読取装置、及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線タグが付された商品を陳列するための商品陳列用ラックであって、商品が陳列される空間内又は当該空間に面して敷設されたケーブル状のリーダライタアンテナと、当該空間と外部空間とを区切るシールド部材とを有する商品陳列用ラックが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術によれば、リーダライタアンテナにより無線タグの情報を読取ることでリアルタイムの商品管理ができるとともに、隣接するラックのアンテナとの干渉を生じにくく、隣接するラックに陳列された商品の無線タグを読みにくくするとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
第1の態様に係る物品管理システムは、無線タグを用いて物品を管理するためのシステムである。前記物品管理システムは、1つ又は複数の対象物品のそれぞれに付された対象無線タグから無線通信により物品識別情報を読取る読取動作を実行する読取装置と、前記1つ又は複数の対象物品を挟んで前記読取装置と反対側に設置された参照無線タグとを備える。前記読取装置は、前記参照無線タグから受信する電波に基づいて、前記読取装置から送信する電波の送信電力を調整する電力調整動作を実行する。
【0006】
第2の態様に係る読取装置は、無線タグを用いて物品を管理するための物品管理システムで用いる装置である。前記読取装置は、1つ又は複数の対象物品のそれぞれに付された対象無線タグから無線通信により物品識別情報を読取る読取動作を実行するタグリーダと、前記1つ又は複数の対象物品を挟んで前記読取装置と反対側に設置された参照無線タグから受信する電波に基づいて、前記タグリーダから送信する電波の送信電力を調整する電力調整動作を実行するコントローラとを備える。
【0007】
第3の態様に係る管理装置は、1つ又は複数の対象物品のそれぞれに付された対象無線タグから無線通信により物品識別情報を読取る読取動作を実行する読取装置と別体又は一体に構成された装置である。前記管理装置は、前記対象物品の数が減少又は増加したことに応じて、前記読取装置から送信する電波の送信電力を調整する電力調整動作を前記読取装置に実行させるコントローラを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る商品管理システムの構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る読取装置及び参照無線タグの設置例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る器具通信装置の構成を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る読取装置の構成を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る管理装置の構成を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る商品管理システムの動作例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る商品管理システムの動作の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特許文献1に記載の方法は、読取装置(リーダライタ)から電波の送信電力が固定されており、かつ商品陳列空間から電波が漏れ出る程度の大きな送信電力であることを前提として、シールド部材によって外部への電波の漏れ出しを阻止する構成であるため、読取動作に伴う消費電力が大きいという問題がある。
【0010】
特に、商品陳列用ラックは電源をとれる場所に設置されるとは限らず、バッテリにより読取装置を駆動する場合があるため、読取動作に伴う消費電力を削減する必要性が高い。
【0011】
そこで、本開示は、無線タグを用いて物品を管理可能としつつ、読取動作に伴う消費電力を削減可能とすることを目的とする。
【0012】
図面を参照して実施形態に係る物品管理システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
物品管理システムは、無線タグを用いて物品を管理するためのシステムである。無線タグは、電子タグ、IC(Integrated Circuit)タグ、又はRF(Radio Frequency)タグと呼ばれることもある。以下において、無線タグを用いて管理する対象物品が商品であるシステム(すなわち、商品管理システム)を例に挙げて説明する。また、無線タグがパッシブ型の無線タグである一例について説明する。
【0014】
(商品管理システムの構成)
まず、一実施形態に係る商品管理システムの構成について説明する。
図1は、一実施形態に係る商品管理システム1の構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、商品管理システム1は、器具通信装置100(100a,100b,100c…)と、読取装置200と、無線タグ300(300a,300b,300c…)と、参照無線タグ400と、管理装置500とを有する。
【0016】
一実施形態において、器具通信装置100、読取装置200、無線タグ300、参照無線タグ400、及び管理装置500は、店舗に設けられている。以下において、店舗がアパレル店舗であり、商品Pが被服である一例について主として説明する。但し、店舗は、商品Pを販売する店舗であればどのような店舗であってもよく、例えばスーパーマーケット等であってもよい。
【0017】
器具通信装置100、読取装置200、無線タグ300、及び参照無線タグ400は、商品Pと器具Hとのセットが少なくとも1つ配置される陳列ゾーンZ内にある。一実施形態において、陳列ゾーンZは、ハンガーラック600(
図2参照)により構成される。以下において、陳列ゾーンZがハンガーラックにより構成される一例について主として説明するが、陳列ゾーンZは、商品Pを陳列するゾーンであればどのようなゾーンであってもよく、例えば陳列棚又はショーケース等であってもよい。また、陳列ゾーンZが1つである一例を図示しているが、陳列ゾーンZが複数であってもよい。
【0018】
器具通信装置100は、商品Pを掛ける又は保持する器具Hに設けられている。一実施形態において、器具Hは、商品Pを掛けるハンガーである。以下において、器具Hがハンガーである一例について主として説明するが、器具Hは、商品Pを掛ける又は保持するための器具であればどのようなものであってもよく、例えばトレー又は商品固定具等であってもよい。また、陳列ゾーンZに配置される器具H及び商品Pのセットが複数である一例について主として説明するが、陳列ゾーンZに配置される器具H及び商品Pのセットが1つであってもよい。
【0019】
器具通信装置100は、器具Hに設けられる装置である。器具通信装置100は、器具H内に組み込まれていてもよいし、器具Hの表面に取り付けられていてもよい。
【0020】
無線タグ300は、商品Pに付されたパッシブ型の無線タグであって、読取対象となる対象無線タグである。無線タグ300には、対応する商品Pを示す商品識別情報が書き込まれている。商品識別情報は、物品識別情報の一例である。無線タグ300は、商品Pの表面に取り付けられていてもよいし、商品Pに取り付けられるラベルに貼り付けられていてもよい。なお、「無線タグ300が商品Pに付される」とは、商品Pに対応する器具Hに無線タグ300が取り付けられることを含むものとする。
【0021】
参照無線タグ400は、陳列ゾーンZに設けられるパッシブ型の無線タグであって、読取装置200の電波の送信電力の調整に用いる無線タグである。参照無線タグ400は、商品Pを挟んで読取装置200と反対側に設置される。参照無線タグ400は、読取装置200の方向に送信指向性を有していてもよい。
【0022】
読取装置200は、陳列ゾーンZに設けられるリーダ又はリーダライタである。読取装置200は、商品Pのそれぞれに付された無線タグ300から無線通信により商品識別情報を読取る読取動作を実行する。読取装置200は、陳列ゾーンZ内に組み込まれていてもよいし、陳列ゾーンZの表面に取り付けられていてもよい。読取装置200は、無線タグ300から商品識別情報を読み取るタグリーダ220を有する。タグリーダ220は、参照無線タグ400の方向に送信指向性を有していてもよい。読取装置200は、有線回線又は無線回線を介してネットワークNWに接続されており、ネットワークNWを介して管理装置500と通信する。
【0023】
読取装置200による読取動作において、第1に、タグリーダ220が電波を送信する。第2に、無線タグ300が、タグリーダ220からの電波を受けて発電し、発電した電力を用いて商品識別情報をタグリーダ220に送信する。第3に、タグリーダ220が、無線タグ300からの商品識別情報を受信する。このようにして、読取装置200は無線タグ300の商品識別情報を読取る。
【0024】
管理装置500は、商品Pを管理する装置である。管理装置500は、有線回線又は無線回線を介してネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介して読取装置200と通信する。管理装置500は、店舗外又は店舗内に設けられるサーバであってもよい。管理装置500は、読取装置200と一体に構成されていてもよい。
【0025】
このように構成された商品管理システム1において、参照無線タグ400は、読取装置200から受信する電波の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定し、測定した受信強度を示す受信強度情報(RSSI値)を読取装置200に送信する。読取装置200は、参照無線タグ400から受信する受信強度情報に基づいて、電波の送信電力を調整する電力調整動作を実行する。
【0026】
これにより、読取装置200の電波の送信電力をフィーバック制御により適切に調整できる。このため、読取装置200の電波の送信電力を必要最小限とすることができるため、読取動作に伴う消費電力を削減できる。
【0027】
(読取装置及び参照無線タグの設置例)
次に、一実施形態に係る読取装置200及び参照無線タグ400の設置例について説明する。
図2は、読取装置200及び参照無線タグ400の設置例を示す図である。
【0028】
図2に示すように、商品Pを陳列する陳列ゾーンZがハンガーラック600により構成される。ハンガーラック600の上側の支柱600Tには複数の器具H(ハンガー)が吊り下げられており、各器具Hには商品P(被服)が掛けられている。
【0029】
読取装置200は、ハンガーラック600の左側の支柱600Lの上部に設置されている。読取装置200は、各商品Pに付された無線タグ300から商品識別情報を読取ることにより、陳列ゾーンZ内にある各商品Pを把握する。
【0030】
参照無線タグ400は、ハンガーラック600の右側の支柱600Rの上部に設置されている。すなわち、参照無線タグ400は、商品Pを挟んで読取装置200と反対側に設置される。
【0031】
読取装置200からの電波は、各商品Pを透過して参照無線タグ400に到達する。電波が商品Pを透過する際に、商品Pの素材及び厚み等に応じて電波が減衰し得る。
【0032】
このため、商品P及び器具Hのセットが陳列ゾーンZから移動した場合(すなわち、ハンガーラック600から商品P及び器具Hのセットから取られた場合)、参照無線タグ400に到達する電波の受信強度が上昇し得る。このような場合、読取装置200の電波の送信電力が過多になり得る。
【0033】
一方、商品P及び器具Hのセットが陳列ゾーンZへ移動した場合(例えば、ハンガーラック600へ商品P及び器具Hのセットが戻された場合)、参照無線タグ400に到達する電波の受信強度が低下し得る。このような場合、読取装置200の電波の送信電力が過小になり得る。
【0034】
読取装置200は、陳列ゾーンZ内にある商品P(無線タグ300)が減少又は増加したことに応じて、電力調整動作を実行する。ここで、一実施形態に係る電力調整動作は、参照無線タグ400における受信強度が所定の受信強度範囲内に収まるように読取装置200の電波の送信電力を調整する動作である。これにより、陳列ゾーンZ内にある商品Pの数が減少又は増加しても、読取装置200の電波の送信電力を適切な値に設定できる。
【0035】
(器具通信装置の構成)
次に、一実施形態に係る器具通信装置100の構成について説明する。
図3は、一実施形態に係る器具通信装置100の構成を示す図である。
【0036】
図3に示すように、器具通信装置100は、無線送信機110と、コントローラ120と、検知部130と、バッテリ140とを有する。
【0037】
無線送信機110は、自器具Hの移動が検知されたことに基づく通知信号を送信する。以下において、通知信号としてブルートゥース(登録商標)の規格に基づくBTビーコンを用いる一例について主として説明する。但し、BTビーコンに限定されるものではなく、BT以外の規格を用いてもよい。
【0038】
コントローラ120は、器具通信装置100における各種の機能を制御する。コントローラ120は、少なくとも1つのメモリ122と、メモリ122と電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサ121とを有する。メモリ122は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサ121における処理に用いる情報と、プロセッサ121により実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサ121は、メモリ122に記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0039】
検知部130は、陳列ゾーンZから自器具Hが取り出されたこと、及び、陳列ゾーンZへ自器具Hが戻されたことを検知し、検知結果を示す信号をコントローラ120に出力する。例えば、検知部130は、自器具H(ハンガー)が陳列ゾーンZ(ハンガーラック)に掛けられたことに応じてオン/オフするスイッチを含んでもよいし、自器具H(ハンガー)が陳列ゾーンZ(ハンガーラック)に掛けられた際の物理量(例えば、質量等)の変化を検知するセンサを含んでもよい。
【0040】
バッテリ140は、器具通信装置100の各部に供給する電力を蓄える。
【0041】
このように構成された器具通信装置100において、コントローラ120は、陳列ゾーンZから自器具Hが取り出されたことを検知部130が検知したとき、第1通知信号を一定期間にわたって送信するように無線送信機110を制御する。第1通知信号は、陳列ゾーンZから自器具Hが取り出された状態、すなわち、ユーザが自器具Hを持っている状態を示す信号である。
【0042】
また、コントローラ120は、陳列ゾーンZから自器具Hが取り出されたことを検知部130が検知した後、陳列ゾーンZに自器具Hが戻されたことを検知部130が検知した場合、第2通知信号を一定期間にわたって送信するように無線送信機110を制御する。第2通知信号は、陳列ゾーンZへ自器具Hが戻されたことを示す信号である。
【0043】
(読取装置の構成)
次に、一実施形態に係る読取装置200の構成について説明する。
図4は、一実施形態に係る読取装置200の構成を示す図である。
【0044】
図4に示すように、読取装置200は、無線受信機210と、タグリーダ220と、コントローラ230と、通信インターフェイス240と、バッテリ250とを有する。読取装置200が商用電源からの給電により駆動される場合、読取装置200がバッテリ250を有していなくてもよい。
【0045】
無線受信機210は、器具通信装置100から送信される通知信号を受信し、受信した通知信号をコントローラ230に出力する。
【0046】
タグリーダ220は、商品Pのそれぞれに付された無線タグ300から無線通信により商品識別情報を読取る読取動作を行い、読み取った商品識別情報をコントローラ230に出力する。
【0047】
コントローラ230は、読取装置200における各種の機能を制御する。例えば、コントローラ230は、タグリーダ220を制御する。コントローラ230は、少なくとも1つのメモリ232と、メモリ232と電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサ231とを有する。メモリ232は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサ231における処理に用いる情報と、プロセッサ231により実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサ231は、メモリ232に記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0048】
通信インターフェイス240は、有線回線又は無線回線を介してネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介して管理装置500と通信する。
【0049】
バッテリ250は、読取装置200の各部に供給する電力を蓄える。
【0050】
このように構成された読取装置200において、コントローラ230は、器具通信装置100の無線送信機110から無線受信機210が第1通知信号又は第2通知信号を受信したことに応じて、読取動作をタグリーダ220に実行させる。すなわち、コントローラ230は、陳列ゾーンZ内にある商品Pの数が減少又は増加したとき、読取動作をタグリーダ220に実行させる。コントローラ230は、その他のタイミングでは読取動作をタグリーダ220に実行させない。このように、読取動作をタグリーダ220に実行させるタイミングを限定することにより、読取動作に伴う消費電力を削減できる。
【0051】
コントローラ230は、無線タグ300から読取った商品識別情報に基づいて、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報を特定する。具体的には、コントローラ230は、第1の読取りタイミングにおいて商品識別情報の読取りを行った後、第2の読取りタイミングにおいて商品識別情報の読取りを行う。コントローラ230は、第2の読取りタイミングにおいて読み取った商品識別情報が、第1の読取りタイミングにおいて読み取った商品識別情報に対して減少している場合、この減少分に相当する商品識別情報を、減少した商品Pの商品識別情報として特定する。一方、コントローラ230は、第2の読取りタイミングにおいて読み取った商品識別情報が、第1の読取りタイミングにおいて読み取った商品識別情報に対して増加している場合、この増加分に相当する商品識別情報を、増加した商品Pの商品識別情報として特定する。
【0052】
コントローラ230は、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報を特定すると、特定した商品識別情報を管理装置500に送信するように通信インターフェイス240を制御する。なお、無線タグ300から読取った商品識別情報のすべてを読取装置200から管理装置500に送信し、管理装置500において、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報を特定してもよい。
【0053】
そして、コントローラ230は、送信電力調整指令を管理装置500から通信インターフェイス240が受信すると、電力調整動作を実行する。ここで、電力調整動作は、管理装置500から指定された指定送信電力を基準として、電波の送信電力を調整する動作であってもよい。この場合、通信インターフェイス240は、送信電力調整指令と共に指定送信電力の情報を管理装置500から受信する。このような指定送信電力を基準とすることにより、電力調整動作を効率的に実施することが可能である。
【0054】
コントローラ230は、指定送信電力で電波を送信するようにタグリーダ220を制御した後、タグリーダ220が参照無線タグ400から受信する受信強度情報に基づいて、タグリーダ220の電波の送信電力を調整する電力調整動作を実行する。
【0055】
(管理装置の構成)
次に、一実施形態に係る管理装置500の構成について説明する。
図5は、一実施形態に係る管理装置500の構成を示す図である。
【0056】
図5に示すように、管理装置500は、通信インターフェイス510と、コントローラ520とを有する。
【0057】
通信インターフェイス510は、有線回線又は無線回線を介してネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介して読取装置200と通信する。
【0058】
コントローラ520は、管理装置500における各種の機能を制御する。コントローラ520は、少なくとも1つのメモリ522と、メモリ522と電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサ521とを有する。メモリ522は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサ521における処理に用いる情報と、プロセッサ521により実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサ521は、メモリ522に記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0059】
このように構成された管理装置500において、通信インターフェイス510は、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報を読取装置200から受信する。通信インターフェイス510は、読取装置200が無線タグ300から読取った商品識別情報のすべてを読取装置200から受信し、コントローラ520が、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報を特定してもよい。
【0060】
コントローラ520は、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報に基づいて、電力調整動作を読取装置200に実行させるか否かを決定する。例えば、商品識別情報と電力調整動作の要否の情報とを予め対応付けてメモリ522に記憶させておく。
【0061】
コントローラ520は、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pにおける電波の減衰量(電力損失量)がゼロ又は非常に小さい場合(例えば、減少又は増加した商品PがTシャツのような薄い商品である場合)、電力調整動作を読取装置200に実行させないと決定する。そうではない場合、コントローラ520は、電力調整動作を読取装置200に実行させると決定する。
【0062】
コントローラ520は、電力調整動作を読取装置200に実行させる場合、特定された商品識別情報に基づいて、電力調整動作における基準の送信電力とする指定送信電力を決定する。例えば、商品識別情報と電波の減衰量(電力損失量)とを予め対応付けてメモリ522に記憶させておく。例えば、コントローラ520は、ジッパー等の金属が付属している商品は例えば3dBの損失と判定する。
【0063】
増加した商品Pがこのような商品である場合、コントローラ520は、送信電力を3[dB]上げることを示す情報を読取装置200に送信するように通信インターフェイス510を制御する。一方、減少した商品Pがこのような商品である場合、コントローラ520は、送信電力を3dB下げることを示す情報を読取装置200に送信するように通信インターフェイス510を制御する。
【0064】
(商品管理システムの動作例)
次に、一実施形態に係る商品管理システム1の動作例について説明する。
図6は、一実施形態に係る商品管理システム1の動作例を示す図である。
【0065】
図6に示すように、ステップS1において、読取装置200のコントローラ230は、通知信号の受信を待機するように無線受信機210を制御する。また、読取装置200のコントローラ230は、読取動作を休止するようにタグリーダ220を制御する。
【0066】
ステップS2において、器具通信装置100の検知部130は、陳列ゾーンZから自器具Hが取り出されたこと又は陳列ゾーンZへ自器具Hが戻されたことを検知する。
【0067】
ステップS3及びS4において、器具通信装置100のコントローラ120は、第1通知信号又は第2通知信号を一定期間にわたって送信するように無線送信機110を制御する。
【0068】
ステップS5において、読取装置200のコントローラ230は、無線受信機210が第1通知信号又は第2通知信号を受信したか否かを判定する。無線受信機210が第1通知信号又は第2通知信号を受信していない場合(ステップS5:No)、読取装置200のコントローラ230は、ステップS1に処理を戻す。
【0069】
無線受信機210が第1通知信号又は第2通知信号を受信した場合(ステップS5:Yes)、ステップS6において、読取装置200のコントローラ230は、読取動作を実行するようにタグリーダ220を制御する。具体的には、タグリーダ220が電波を送信し、無線タグ300からの商品識別情報を受信する。
【0070】
ステップS7において、読取装置200のコントローラ230は、陳列ゾーンZから取り出された又は陳列ゾーンZへ戻された商品Pの商品識別情報(商品ID)、すなわち、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報が特定されたか否かを判定する。陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報が特定されない場合(ステップS7:No)、読取装置200のコントローラ230は、ステップS6に処理を戻す。
【0071】
陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報が特定された場合(ステップS7:Yes)、ステップS8において、読取装置200のコントローラ230は、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報を管理装置500に送信するように通信インターフェイス240を制御する。管理装置500の通信インターフェイス510は、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報を受信する。
【0072】
ステップS9において、管理装置500のコントローラ520は、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報に基づいて、電力調整動作(すなわち、送信電力の変更)を読取装置200に実行させるか否かを決定する。電力調整動作を読取装置200に実行させると決定した場合、管理装置500のコントローラ520は、陳列ゾーンZにおいて減少又は増加した商品Pの商品識別情報に基づいて、電力調整動作における基準の送信電力とする指定送信電力を決定する。
【0073】
ステップS10において、管理装置500のコントローラ520は、電力調整指令と、指定送信電力を示す情報とを読取装置200に送信するように通信インターフェイス510を制御する。読取装置200の通信インターフェイス240は、電力調整指令と、指定送信電力を示す情報とを受信する。
【0074】
ステップS11において、読取装置200のコントローラ230は、管理装置500から電力調整指令を受信したか否かを判定する。管理装置500から電力調整指令を受信した場合(ステップS11:Yes)、ステップS12において、読取装置200のコントローラ230は、現在の送信電力から指定送信電力に変更し、指定送信電力で電波を送信するようにタグリーダ220を制御する。
【0075】
ステップS13において、読取装置200のタグリーダ220は、参照無線タグ400から受信強度情報(RSSI値)を受信する。ここで、読取装置200のタグリーダ220は、参照無線タグ400から識別情報(タグID)をさらに受信し、この識別情報により参照無線タグ400を識別してもよい。
【0076】
ステップS14において、読取装置200のコントローラ230は、ステップS13で受信したRSSI値が所定範囲内にあるか否かを判定する。ステップS13で受信したRSSI値が所定範囲内にある場合、電力調整動作が完了する。
【0077】
一方、ステップS13で受信したRSSI値が所定範囲内にない場合(ステップS14:No)、ステップS12において、読取装置200のコントローラ230は、タグリーダ220からの電波の送信電力を微調整する。例えば、ステップS13で受信したRSSI値が所定範囲を超える場合、読取装置200のコントローラ230は、RSSI値が所定範囲内に収まるように、前回の電波の送信時に比べて今回の電波の送信電力を下げる。一方、ステップS13で受信したRSSI値が所定範囲を下回る場合、読取装置200のコントローラ230は、RSSI値が所定範囲内に収まるように、前回の電波の送信時に比べて今回の電波の送信電力を上げる。
【0078】
なお、ステップS13において参照無線タグ400から受信強度情報(RSSI値)を受信できない場合、読取装置200のコントローラ230は、前回の電波の送信電力が低すぎると考えられるため、前回の電波の送信時に比べて今回の電波の送信電力を上げる。
【0079】
(変更例)
上述の実施形態において、電力調整動作が、参照無線タグ400が読取装置200から受信する電波の受信強度が所定の受信強度範囲内に収まるように読取装置200の電波の送信電力を調整する動作である一例について説明した。具体的には、参照無線タグ400は、読取装置200から受信する電波の受信強度を測定し、測定した受信強度を示す受信強度情報を含む電波を送信していた。
【0080】
しかしながら、電力調整動作は、読取装置200が参照無線タグ400から受信する電波の受信強度が所定の受信強度範囲内に収まるように読取装置200の電波の送信電力を調整する動作であってもよい。すなわち、本変更例において、受信強度の測定主体は、参照無線タグ400ではなく、読取装置200である。読取装置200が参照無線タグ400から受信する電波の受信強度を測定するため、参照無線タグ400は、自身の識別情報を含む電波を送信すればよく、受信強度情報を送信する必要がない。なお、参照無線タグ400は、読取装置200から受信する電波の受信強度に応じた大きさの電力で電波を送信する。
【0081】
本変更例において、読取装置200のコントローラ230は、指定送信電力で電波を送信するようにタグリーダ220を制御した後、タグリーダ220が参照無線タグ400から受信する電波の受信強度を測定し、測定した受信強度に応じてタグリーダ220の電波の送信電力を調整する電力調整動作を実行する。
【0082】
図7は、商品管理システム1の動作の変更例を示す図である。
【0083】
図7に示すように、ステップS101乃至S112の動作は、上述の実施形態と同様である。
【0084】
ステップS113において、読取装置200のタグリーダ220は、参照無線タグ400から、参照無線タグ400の識別情報を含む電波を受信する。読取装置200のコントローラ230は、タグリーダ220が参照無線タグ400から受信した電波の受信強度(RSSI)を測定する。
【0085】
ステップS114において、読取装置200のコントローラ230は、ステップS113で測定したRSSI値が所定範囲内にあるか否かを判定する。ステップS113で測定したRSSI値が所定範囲内にある場合、電力調整動作が完了する。
【0086】
一方、ステップS113で測定したRSSI値が所定範囲内にない場合(ステップS114:No)、ステップS112において、読取装置200のコントローラ230は、タグリーダ220からの電波の送信電力を微調整する。例えば、ステップS113で測定したRSSI値が所定範囲を超える場合、読取装置200のコントローラ230は、RSSI値が所定範囲内に収まるように、前回の電波の送信時に比べて今回の電波の送信電力を下げる。一方、ステップS113で測定したRSSI値が所定範囲を下回る場合、読取装置200のコントローラ230は、RSSI値が所定範囲内に収まるように、前回の電波の送信時に比べて今回の電波の送信電力を上げる。
【0087】
なお、ステップS113において参照無線タグ400から参照無線タグ400の識別情報を受信できない場合、読取装置200のコントローラ230は、前回の電波の送信電力が低すぎると考えられるため、前回の電波の送信時に比べて今回の電波の送信電力を上げる。
【0088】
(その他の実施形態)
上述の実施形態において、参照無線タグ400がパッシブ型の無線タグである一例について主として説明した。しかしながら、参照無線タグ400は、アクティブ型若しくはセミアクティブ型の無線タグであってもよい。
【0089】
上述の実施形態に係る各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0090】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0091】
本願は、日本国特許出願第2020-142751号(2020年8月26日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0092】
1 :商品管理システム
100 :器具通信装置
110 :無線送信機
120 :コントローラ
121 :プロセッサ
122 :メモリ
130 :検知部
140 :バッテリ
200 :読取装置
210 :無線受信機
220 :タグリーダ
230 :コントローラ
231 :プロセッサ
232 :メモリ
240 :通信インターフェイス
250 :バッテリ
300 :無線タグ
400 :参照無線タグ
500 :管理装置
510 :通信インターフェイス
520 :コントローラ
521 :プロセッサ
522 :メモリ
600 :ハンガーラック