(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】発光ダイオード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/10 20100101AFI20240816BHJP
H01L 33/38 20100101ALI20240816BHJP
H01L 33/30 20100101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L33/10
H01L33/38
H01L33/30
(21)【出願番号】P 2023004238
(22)【出願日】2023-01-16
【審査請求日】2023-01-17
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】503194244
【氏名又は名称】鼎元光電科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】傳元慧
(72)【発明者】
【氏名】陳怡宏
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-535052(JP,A)
【文献】特開2013-118331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0117103(US,A1)
【文献】特開2019-012816(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113903836(CN,A)
【文献】特開2001-177150(JP,A)
【文献】特開2001-203386(JP,A)
【文献】特開昭60-253286(JP,A)
【文献】中国実用新案第208608218(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113437201(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードであって、
上面及び底面を有し、前記上面と前記底面とは互いの背側に位置している基板と、
前記基板の上面に形成されている不透明な反射層と、
内部エピタキシャル層及び外部エピタキシャル層を含むエピタキシャル層であって、前記内部エピタキシャル層は一部分の前記不透明な反射層の上面に形成され、前記外部エピタキシャル層は一部分の前記不透明な反射層の上面に形成されていると共に前記内部エピタキシャル層を包囲し、前記内部エピタキシャル層は前記外部エピタキシャル層に接触せず、前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間には間隔スペースを有し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースは閉塞経路を形成し、前記閉塞経路に対し垂直な断面には、前記内部エピタキシャル層の外壁、前記外部エピタキシャル層の内壁、及び一部分の前記不透明な反射層の上面は逆台形断面を画定し、前記逆台形断面の両側辺は内部エピタキシャル層の外壁及び外部エピタキシャル層の内壁によりそれぞれ画定されて形成され、前記逆台形断面の底辺は一部分の前記不透明な反射層の上面により画定されて形成され、前記内部エピタキシャル層の外壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であり、前記外部エピタキシャル層の内壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であるエピタキシャル層と、
前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁、前記外部エピタキシャル層の上面及び内壁、及び前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間にある不透明な反射層の上面を被覆し、透明材質である非導電層と、
前記非導電層中に設置され、前記内部エピタキシャル層に電気的に接続されているオーミックメタルと、
前記オーミックメタルに電気的に接続されている第一電極であって、前記第一電極は反射材質であり、前記第一電極中には円形の光射出孔が形成され、前記光射出孔は前記発光ダイオードの上側に位置し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースによって形成される閉塞経路が前記光射出孔を包囲している第一電極と、
前記内部エピタキシャル層に電気的に接続されている第二電極と、を備え
、
前記第一電極は、前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面の部位に被覆して前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光を遮蔽しない箇所に設置され、前記非導電層は1層または複数層の積層する薄膜を有し、前記非導電層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて屈折するように設置され、前記発光ダイオードは側光反射層を更に備え、前記側光反射層は前記非導電層が前記外部エピタキシャル層の内壁の部位に被覆する箇所に設置され、前記側光反射層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて反射するように設置されている
ことを特徴とする発光ダイオード。
【請求項2】
発光ダイオードであって、
上面及び底面を有し、前記上面と前記底面とは互いの背側に位置している基板と、
前記基板の上面に形成されている不透明な反射層と、
内部エピタキシャル層及び外部エピタキシャル層を含むエピタキシャル層であって、前記内部エピタキシャル層は一部分の前記不透明な反射層の上面に形成され、前記外部エピタキシャル層は一部分の前記不透明な反射層の上面に形成されていると共に前記内部エピタキシャル層を包囲し、前記内部エピタキシャル層は前記外部エピタキシャル層に接触せず、前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間には間隔スペースを有し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースは閉塞経路を形成し、前記閉塞経路に対し垂直な断面には、前記内部エピタキシャル層の外壁、前記外部エピタキシャル層の内壁、及び一部分の前記不透明な反射層の上面は逆台形断面を画定し、前記逆台形断面の両側辺は内部エピタキシャル層の外壁及び外部エピタキシャル層の内壁によりそれぞれ画定されて形成され、前記逆台形断面の底辺は一部分の前記不透明な反射層の上面により画定されて形成され、前記内部エピタキシャル層の外壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であり、前記外部エピタキシャル層の内壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であるエピタキシャル層と、
前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁、前記外部エピタキシャル層の上面及び内壁、及び前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間にある不透明な反射層の上面を被覆し、透明材質である非導電層と、
前記非導電層中に設置され、前記内部エピタキシャル層に電気的に接続されているオーミックメタルと、
前記オーミックメタルに電気的に接続されている第一電極であって、前記第一電極は反射材質であり、前記第一電極中には円形の光射出孔が形成され、前記光射出孔は前記発光ダイオードの上側に位置し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースによって形成される閉塞経路が前記光射出孔を包囲している第一電極と、
前記内部エピタキシャル層に電気的に接続されている第二電極と、を備え、
前記第一電極は前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面の部位に被覆して前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光を遮蔽しない箇所に設置され、前記非導電層は1層または複数層の積層する薄膜を有し、前記非導電層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて屈折
および反射するように設置されていることを特徴とする発光ダイオード。
【請求項3】
前記非導電層は窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、二酸化ケイ素、二酸化チタンのうちの1種類以上の薄膜で構成されていることを特徴とする請求項
1または2に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記閉塞経路は円形であり、前記間隔スペース及び前記光射出孔は同心円に形成されることを特徴とする請求項1
または2に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記基板はシリコン基板、酸化アルミニウム基板、または窒化アルミニウム基板であることを特徴とする請求項
1または2に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記エピタキシャル層の材質はリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlInGaP)またはヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)であることを特徴とする請求項
1または
2に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
発光ダイオード製造方法であって、
基板を提供するステップであって、前記基板は上面及び底面を有し、前記上面及び前記底面は互いの背側に位置している基板を提供するステップと、
前記基板の上面に不透明な反射層を形成するステップと、
前記不透明な反射層の上面にエピタキシャル層を形成するステップと、
前記不透明な反射層を露出するように前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去するステップであって、前記エピタキシャル層が除去される部分には間隔スペースが形成され、前記間隔スペースは前記エピタキシャル層を内部エピタキシャル層及び外部エピタキシャル層に分割し、前記外部エピタキシャル層は前記内部エピタキシャル層を包囲し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースは閉塞経路を形成し、前記閉塞経路に対し垂直な断面には、前記内部エピタキシャル層の外壁、前記外部エピタキシャル層の内壁、及び一部分の前記不透明な反射層の上面は逆台形断面を画定し、前記逆台形断面の両側辺は内部エピタキシャル層の外壁及び外部エピタキシャル層の内壁によりそれぞれ画定されて形成され、前記逆台形断面の底辺は一部分の前記不透明な反射層の上面により画定されて形成され、前記内部エピタキシャル層の外壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であり、前記外部エピタキシャル層の内壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲である、前記不透明な反射層を露出するように前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去するステップと、
非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁、前記外部エピタキシャル層の上面及び内壁、及び前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間にある不透明な反射層の上面を被覆するように前記非導電層を形成し、前記非導電層は透明材質である非導電層を形成するステップと、
前記非導電層の部分的な材料を除去すると共に前記非導電層の材料を除去した部位にオーミックメタルを形成し、前記オーミックメタルを前記エピタキシャル層に電気的に接続させるステップと、
第一電極を前記オーミックメタルに電気的に接続させ、且つ前記第一電極を貫通して光射出孔を形成するように前記第一電極を形成し、前記第一電極は不透明であり、前記光射出孔は前記発光ダイオードの上側に位置し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースによって形成される閉塞経路が前記光射出孔を包囲する前記第一電極を形成するステップと、
第二電極を前記内部エピタキシャル層に電気的に接続させるように前記第二電極を形成するステップと、を含
み、
前記第一電極は、前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面の部位に被覆して前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光を遮蔽しない箇所に設置され、前記非導電層は1層または複数層の積層する薄膜を有し、前記非導電層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて屈折するように設置され、
前記発光ダイオード製造方法は側光反射層を形成するステップを更に含み、前記側光反射層は前記非導電層が前記外部エピタキシャル層の内壁の部位に被覆する箇所に設置され、前記側光反射層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて反射するように設置されている
ことを特徴とする発光ダイオード製造方法。
【請求項8】
発光ダイオード製造方法であって、
基板を提供するステップであって、前記基板は上面及び底面を有し、前記上面及び前記底面は互いの背側に位置している基板を提供するステップと、
前記基板の上面に不透明な反射層を形成するステップと、
前記不透明な反射層の上面にエピタキシャル層を形成するステップと、
前記不透明な反射層を露出するように前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去するステップであって、前記エピタキシャル層が除去される部分には間隔スペースが形成され、前記間隔スペースは前記エピタキシャル層を内部エピタキシャル層及び外部エピタキシャル層に分割し、前記外部エピタキシャル層は前記内部エピタキシャル層を包囲し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースは閉塞経路を形成し、前記閉塞経路に対し垂直な断面には、前記内部エピタキシャル層の外壁、前記外部エピタキシャル層の内壁、及び一部分の前記不透明な反射層の上面は逆台形断面を画定し、前記逆台形断面の両側辺は内部エピタキシャル層の外壁及び外部エピタキシャル層の内壁によりそれぞれ画定されて形成され、前記逆台形断面の底辺は一部分の前記不透明な反射層の上面により画定されて形成され、前記内部エピタキシャル層の外壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であり、前記外部エピタキシャル層の内壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲である、前記不透明な反射層を露出するように前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去するステップと、
非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁、前記外部エピタキシャル層の上面及び内壁、及び前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間にある不透明な反射層の上面を被覆するように前記非導電層を形成し、前記非導電層は透明材質である非導電層を形成するステップと、
前記非導電層の部分的な材料を除去すると共に前記非導電層の材料を除去した部位にオーミックメタルを形成し、前記オーミックメタルを前記エピタキシャル層に電気的に接続させるステップと、
第一電極を前記オーミックメタルに電気的に接続させ、且つ前記第一電極を貫通して光射出孔を形成するように前記第一電極を形成し、前記第一電極は不透明であり、前記光射出孔は前記発光ダイオードの上側に位置し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースによって形成される閉塞経路が前記光射出孔を包囲する前記第一電極を形成するステップと、
第二電極を前記内部エピタキシャル層に電気的に接続させるように前記第二電極を形成するステップと、を含み、
前記第一電極は、前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面の部位に被覆して前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光を遮蔽しない箇所に設置され、前記非導電層は1層の薄膜により形成されるか、複数層の薄膜が積層されることで形成され
、前記非導電層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて屈折および反射するように設置されることを特徴とする発光ダイオード製造方法。
【請求項9】
前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記閉塞経路は円形であり、前記間隔スペース及び前記光射出孔は同心円に形成されていることを特徴とする請求項
7または8に記載の発光ダイオード製造方法。
【請求項10】
前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去する方法は、薬液を使用して前記エピタキシャル層に対しエッチングを行うことを特徴とする請求項
7または8に記載の発光ダイオード製造方法。
【請求項11】
前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去する方式は、誘導結合プラズマ(ICP)を使用して前記エピタキシャル層に対しエッチングを行うことを特徴とする請求項
7または8に記載の発光ダイオード製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード及びその製造方法に関し、より詳しくは、間隔スペースによりエピタキシャル層の電流を絶縁して側面からの光の射出を減少させる発光ダイオード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式エンコーダは電子及び機械素子中に常用される感知装置であり、素子の移動及び回転状態を感知するために用いられている。光学式エンコーダは、コードホイール、光信号生成器、光センサー等の素子を有している。コードホイールは複数の透明エリア及び非透明エリアを有している。コードホイールが回転することで光センサーが特定の光信号を受信し、且つ光センサーが光信号を電気信号に変換することで素子の変位を判断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発光ダイオード(LED)は反射型エンコーダの光信号生成器としてよく用いられる。発光ダイオードEを
図1に示す反射型エンコーダREに使用する場合、発光ダイオードEが発射する光線Lは上方のコードホイールEDの不透明エリアを経て光センサーDに反射される(
図1参照)。発光ダイオードE及び光センサーDが同じ一側に位置しているため、発光ダイオードEの側光SLが光センサーにより受光されてノイズが形成されてしまい、測定精度に影響を与えることがあった。そこで、発光ダイオードの側面からの光射出を如何に減らすかが課題であった。
【0004】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明は、発光ダイオードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、
上面及び底面を有し、前記上面と前記底面とは互いの背側に位置している基板と、
前記基板の上面に形成されている不透明な反射層と、
内部エピタキシャル層及び外部エピタキシャル層を含むエピタキシャル層であって、前記内部エピタキシャル層は一部分の前記不透明な反射層の上面に形成され、前記外部エピタキシャル層は一部分の前記不透明な反射層の上面に形成されていると共に前記内部エピタキシャル層を包囲し、前記内部エピタキシャル層は前記外部エピタキシャル層に接触せず、前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間には間隔スペースを有し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースは閉塞経路を形成し、前記閉塞経路に対し垂直な断面には、前記内部エピタキシャル層の外壁、前記外部エピタキシャル層の内壁、及び一部分の前記不透明な反射層の上面は逆台形断面を画定し、前記逆台形断面の両側辺は内部エピタキシャル層の外壁及び外部エピタキシャル層の内壁によりそれぞれ画定されて形成され、前記逆台形断面の底辺は一部分の前記不透明な反射層の上面により画定されて形成され、前記内部エピタキシャル層の外壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であり、前記外部エピタキシャル層の内壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であるエピタキシャル層と、
前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁、前記外部エピタキシャル層の上面及び内壁、及び前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間にある不透明な反射層の上面を被覆し、透明材質である非導電層と、
前記非導電層中に設置され、前記内部エピタキシャル層に電気的に接続されているオーミックメタルと、
前記オーミックメタルに電気的に接続されている第一電極であって、前記第一電極は反射材質であり、前記第一電極中には円形の光射出孔が形成され、前記光射出孔は前記発光ダイオードの上側に位置し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースによって形成される閉塞経路が前記光射出孔を包囲している第一電極と、
前記内部エピタキシャル層に電気的に接続されている第二電極と、を備えることを特徴とする発光ダイオードである。
【0006】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードにおいて、前記第一電極は、前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁の部位に被覆する箇所、前記非導電層が前記外部エピタキシャル層の上面及び内壁の部位に被覆する箇所、及び前記非導電層が前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間の不透明な反射層の上面の部位に被覆する箇所に設置されている。
【0007】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードにおいて、前記第一電極は、前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面の部位に被覆して前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光を遮蔽しない箇所に設置されている。前記非導電層は1層または複数層の積層する薄膜を有し、前記非導電層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて屈折するように設置されている。前記発光ダイオードは側光反射層を更に備え、前記側光反射層は前記非導電層が前記外部エピタキシャル層の内壁の部位に被覆する箇所に設置され、前記側光反射層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて反射するように設置されている。
【0008】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードにおいて、前記第一電極は前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面の部位に被覆して前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光を遮蔽しない箇所に設置されている。前記非導電層は1層または複数層の積層する薄膜を有し、前記非導電層は前記内部エピタキシャル層の外壁から発射される光線を前記発光ダイオードの上方に向けて屈折および反射するように設置されている。
【0009】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードにおいて、前記非導電層は窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、二酸化ケイ素、二酸化チタンのうちの1種類以上の薄膜で構成されている。
【0010】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードにおいて、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記閉塞経路は円形であり、前記間隔スペース及び前記光射出孔は同心円に形成される。
【0011】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードにおいて、前記基板はシリコン基板、酸化アルミニウム基板、または窒化アルミニウム基板である。
【0012】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードにおいて、前記エピタキシャル層の材質はリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlInGaP)またはヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)である。
【0013】
なお、本発明はまた、発光ダイオードの製造方法を提供する。本発明に係る発光ダイオードの製造方法は、基板を提供するステップであって、前記基板は上面及び底面を有し、前記上面及び前記底面は互いの背側に位置している基板を提供するステップと、前記基板の上面に不透明な反射層を形成するステップと、前記不透明な反射層の上面にエピタキシャル層を形成するステップと、前記不透明な反射層を露出するように前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去するステップであって、前記エピタキシャル層が除去される部分には間隔スペースが形成され、前記間隔スペースは前記エピタキシャル層を内部エピタキシャル層及び外部エピタキシャル層に分割し、前記外部エピタキシャル層は前記内部エピタキシャル層を包囲し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースは閉塞経路を形成し、前記閉塞経路に対し垂直な断面には、前記内部エピタキシャル層の外壁、前記外部エピタキシャル層の内壁、及び一部分の前記不透明な反射層の上面は逆台形断面を画定し、前記逆台形断面の両側辺は内部エピタキシャル層の外壁及び外部エピタキシャル層の内壁によりそれぞれ画定されて形成され、前記逆台形断面の底辺は一部分の前記不透明な反射層の上面により画定されて形成され、前記内部エピタキシャル層の外壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲であり、前記外部エピタキシャル層の内壁と前記不透明な反射層の上面の法線との夾角は2度乃至30度の間の範囲である、前記不透明な反射層を露出するように前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去するステップと、前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁、前記外部エピタキシャル層の上面及び内壁、及び前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間にある不透明な反射層の上面を被覆するように前記非導電層を形成し、前記非導電層は透明材質である非導電層を形成するステップと、前記非導電層の部分的な材料を除去すると共に前記非導電層の材料を除去した部位にオーミックメタルを形成し、前記オーミックメタルを前記エピタキシャル層に電気的に接続させるステップと、前記第一電極を前記オーミックメタルに電気的に接続させ、且つ前記第一電極を貫通して光射出孔を形成するように第一電極を形成し、前記第一電極は不透明であり、前記光射出孔は前記発光ダイオードの上側に位置し、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記間隔スペースによって形成される閉塞経路が前記光射出孔を包囲する第一電極を形成するステップと、前記第二電極を前記内部エピタキシャル層に電気的に接続させるように第二電極を形成するステップと、を含む。
【0014】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法において、前記第一電極は、前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁の部位に被覆する箇所、前記非導電層が前記外部エピタキシャル層の上面及び内壁の部位に被覆する箇所、及び前記非導電層が前記内部エピタキシャル層と前記外部エピタキシャル層との間にある不透明な反射層の上面の部位に被覆する箇所に形成されている。
【0015】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法において、前記第一電極は前記非導電層が前記内部エピタキシャル層の上面及び外壁の部位に被覆する箇所に形成され、前記ダイオードの製造方法は、前記非導電層が前記外部エピタキシャル層の内壁の部位に被覆する箇所に側光反射層を形成するステップを更に含む。
【0016】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法において、前記非導電層は1層の膜により形成されるか、複数層の膜が積層されることで形成されている。
【0017】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法において、前記発光ダイオードの上方から観察すると、前記閉塞経路は円形であり、前記間隔スペース及び前記光射出孔は同心円に形成される。
【0018】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法において、前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去する方法は、薬液を使用して前記エピタキシャル層に対しエッチングを行う。
【0019】
また、本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法において、前記エピタキシャル層の部分的な材料を除去する方式は、誘導結合プラズマ(ICP)を使用して前記エピタキシャル層に対しエッチングを行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明の発光ダイオードは、通電時の電流及び発光領域を間隔スペースにより内部エピタキシャル層に限定する。いくつかの実施形態では、発光ダイオードは反射する第一電極により内部エピタキシャル層の上面及び外壁を被覆することで、内部エピタキシャル層から反射される光線を阻害及び反射し、光線が内部エピタキシャル層の側面から発出されないようにし、且つ光線を発光ダイオードの上側の光射出孔に向けてガイドする。いくつかの実施形態では、発光ダイオードが単層または複数層が積層され、傾斜して設置され、透明材質の非導電層及び傾斜して設置される反射材質の側光反射層が内部エピタキシャル層の側面光射出を発光ダイオードの上面に向けてガイドする。本発明は、発光ダイオードが通電する際に複数の側面光射出を発光ダイオードの上面に向けてガイドする技術的手段を掲示し、本発明の発光ダイオードは低い側光比を有している。本発明の発光ダイオードを反射型エンコーダに応用すると、光センサーのノイズを低減し、感知の誤差が生じる確率を低下させる。
【0021】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る反射型エンコーダを示す概略構成図である。
【
図2A】本発明の一実施例に係る発光ダイオードを示す概略前面図であり、B-B線に沿う断面図である。
【
図2B】
図2Aにおける発光ダイオードの一実施例の上面図を示す。
【
図2C】
図2DのC-C線に沿う断面図であり、
図2Aにおいて、非導電層、オーミックメタル、第一電極、第二電極が省略される発光ダイオードの概略構成図を示し、本発明の発光ダイオードの内部エピタキシャル層の外壁と外部エピタキシャル層の内壁が不透明反射層の上面に対する角度を示す。
【
図3】本発明の他の実施例に係る発光ダイオードを示す概略前面断面図である。
【
図4】本発明のさらなる他の実施例に係る発光ダイオードを示す概略前面断面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法を示すフローチャートである。
【
図6A】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図6B】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図6C】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図6D1】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図であり、
図6D2のD-D線に沿う断面図である。
【
図6D2】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図6E】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図6F】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図6G】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図6H】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図6I】本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【
図7】本発明に係る発光ダイオードの正面写真、背面写真、側面写真、点灯外観写真である。
【
図8A】本発明に係る発光ダイオードのチップがパッケージ化されていないベアダイ状態で光電テストを行う光パワー-電流結果を示すグラフである。
【
図8B】本発明に係る発光ダイオードのチップがパッケージ化されていないベアダイ状態で光電テストを行う電圧-電流結果を示すグラフである。
【
図9】本発明に係る発光ダイオードが順電流20mAの条件での光パワー分布の極座標図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0024】
本発明に係る発光ダイオードの一実施例において、発光ダイオード100は、基板1と、不透明な反射層2と、エピタキシャル層3と、非導電層4と、オーミックメタル5と、第一電極61と、第二電極62と、を含んで構成される(
図2Aと
図2B参照)。
【0025】
基板1は互いの背側に位置している上面S1及び底面S2を有している。前記基板1はシリコン基板であるが、酸化アルミニウム(Al2O3)基板または窒化アルミニウム(AlN)基板でもよい。
【0026】
不透明な反射層2は前記基板1の上面S1に形成され、前記内部エピタキシャル層31から発射された光を上に向けて反射する。不透明な反射層2の材質は金属でもよく、適切な積層技術により前記基板1の上面S1に形成する。
【0027】
図2Cと
図2Dは
図2A、
図2Bにおいて、非導電層4、オーミックメタル5、第一電極61、第二電極62が省略される発光ダイオード100の概略構成図を示す。エピタキシャル層3は内部エピタキシャル層31及び外部エピタキシャル層32を備えている。内部エピタキシャル層31は一部分の前記不透明な反射層2の上面21に形成されている。外部エピタキシャル層32は一部分の前記不透明な反射層2の上面21に形成されていると共に前記内部エピタキシャル層31を包囲している。前記内部エピタキシャル層31は前記外部エピタキシャル層32に接触しない。前記内部エピタキシャル層31と前記外部エピタキシャル層32との間には間隔スペースVを有している。
図6C、
図6D1、
図6D2に示す如く、不透明な反射層2の上面にエピタキシャル層3を形成した後、エピタキシャル層3の部分的な材料を除去して前記間隔スペースV、前記内部エピタキシャル層31及び前記外部エピタキシャル層32を形成している。エピタキシャル層3の材料はリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlInGaP)またはヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)でもよく、適切なエピタキシー(または、平行成長という)技術により前記不透明な反射層2に成長する。エピタキシャル層3中にはp型ドープ領域、n型ドープ領域、及び発光領域(図示省略)を有し、電流が通過する際に光線を発射する。
【0028】
図2B、
図2Dに示す如く、前記発光ダイオード100の上方から観察すると、前記間隔スペースVは閉塞経路Rを形成している。
図2Bに示す実施例において、前記閉塞経路Rは円形である。前記閉塞経路Rは方形や他の閉塞形状でもよい。
図2Cに示す如く、前記閉塞経路Rに対し垂直な断面
には、前記内部エピタキシャル層31の外壁311、前記外部エピタキシャル層32の内壁321、及び一部分の前記不透明な反射層2の上面2
1は逆台形断面
を画定
している。前記逆台形断面の両側辺は内部エピタキシャル層31の外壁311及び外部エピタキシャル層32の内壁321によりそれぞれ画定されて形成され、前記逆台形断面の底辺は一部分の前記不透明な反射層2の上面21により画定されて形成されている。前記内部エピタキシャル層31の外壁311と前記不透明な反射層2の上面21の法線Nとの夾角θ1は2度乃至30度の間の範囲であり、前記外部エピタキシャル層32の内壁321と前記不透明な反射層2の上面21の法線Nとの夾角θ2は2度乃至30度の間の範囲である。
【0029】
非導電層4は前記内部エピタキシャル層31の上面31t及び外壁311、前記外部エピタキシャル層32の上面32t及び内壁321、及び前記内部エピタキシャル層31と前記外部エピタキシャル層32との間にある不透明な反射層2の上面21を被覆している。非導電層4の材質は透明材質であり、単層または複数層の薄膜が積層されることで形成されている(図示省略)。非導電層4は窒化ケイ素(SiNy)、酸窒化ケイ素(SiON)、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)のうちの1種類以上の薄膜で形成されている。
【0030】
オーミックメタル5は前記非導電層4中に設置され、前記オーミックメタル5は前記内部エピタキシャル層31に電気的に接続されている。前記オーミックメタル5の材質は前記内部エピタキシャル層31とのオーミック接触及び導電を形成するのに適した金属または合金である。
【0031】
第一電極61は前記オーミックメタル5に電気的に接続されている。第二電極62は前記内部エピタキシャル層31に電気的に接続されている。前記基板1及び前記不透明な反射層2の導電性により、前記第二電極62が前記基板1の底面S2に設置され、前記基板1及び前記不透明な反射層2を介して前記内部エピタキシャル層31に直接的に電気的に接続され、或いは、適切なスルーホール及び導体構造(図示省略)を利用し、前記内部エピタキシャル層31に電気的に接続されている。発光ダイオード100は第一電極61及び第二電極62を介して外部回路に接続され、外部電圧を受電する。本実施例において、第一電極61は発光ダイオード100の上側に設置され、第二電極62は発光ダイオード100の底側(基板1の底面S2)に設置され、第一電極61及び第二電極62の材質は前記オーミックメタル5及び前記内部エピタキシャル層31とのオーミック接触及び導電をそれぞれ形成するのに適した金属または合金である。
【0032】
前記第一電極は反射材質であり、前記第一電極61中には円形の光射出孔Aが形成されている。前記光射出孔Aは前記内部エピタキシャル層31が発射する光線を発射するために用いられている。
図2Bに示す如く、前記発光ダイオード100の上方から観察すると、前記間隔スペースVは閉塞経路R
を形成
すると共に前記光射出孔Aを包囲している。前記間隔スペースV及び前記光射出孔Aは同心円に形成されている。
【0033】
前記内部エピタキシャル層31が前記外部エピタキシャル層32に接触しないため、通電時の電流が内部エピタキシャル層31に限定され、発光ダイオード100の出力パワーが向上する。前記内部エピタキシャル層31の側面が遮蔽されず、光が射出する構造では、内部エピタキシャル層31と外部エピタキシャル層32との間に逆台形断面形状が画定され、内部エピタキシャル層31の側面(外壁311)から発射される光が発光ダイオード100の上方の方向にガイドされる。前記内部エピタキシャル層31の外壁311と前記不透明な反射層2の上面21の法線Nとの夾角が2度乃至30度の間の範囲であり、且つ前記外部エピタキシャル層32の内壁321と前記不透明な反射層2の上面21の法線Nとの夾角が2度乃至30度の間の範囲である場合、他の角度よりも低い側光を有する。
【0034】
図2Aに示す発光ダイオード100において、前記第一電極61は、前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31の上面31t及び外壁311の部位に被覆する箇所、前記非導電層4が前記外部エピタキシャル層32の上面32t及び内壁321の部位に被覆する箇所、及び前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31と前記外部エピタキシャル層32との間にある不透明な反射層2の上面21の部位に被覆する箇所に設置されている。発光ダイオード100において、第一電極61は前記内部エピタキシャル層31の上面31t及び大部分の外壁311から離間する光を遮蔽すると共に内部エピタキシャル層31に戻すように反射し、前記内部エピタキシャル層31から発射される大部分の光を前記光射出孔Aから前記発光ダイオード100に射出させる。また、前記第一電極61は外部エピタキシャル層32の外側まで被覆しないため、発光ダイオード100の辺縁との距離が近すぎるために素子が漏電して失効するのを回避している。
【0035】
図3の発光ダイオード100Aは前記内部エピタキシャル層31の側面が遮蔽されず、光を射出可能にする実施例である。発光ダイオード100Aにおいて、前記第一電極61は、前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31の上面31tの部位に被覆する箇所に設置され、前記内部エピタキシャル層31の外壁311から発射される光が遮蔽されない。前記非導電層4は透明材質であり、1層または複数層の薄膜で構成されている(図示省略)。非導電層4は窒化ケイ素(SiN
y)、酸窒化ケイ素(SiON)、二酸化ケイ素(SiO
2)、二酸化チタン(TiO
2)のうちの1種類以上の薄膜で構成されている。前記非導電層4の1層または複数層の薄膜の屈折率を利用して光線の屈折を調整し、図中に矢印で示す如く、前記内部エピタキシャル層31の側面(外壁311)から発射される光線を前記発光ダイオード100Aの上方に向けて屈折させる。
【0036】
前記発光ダイオード100Aは、前記非導電層4が前記外部エピタキシャル層32の内壁321の部位に被覆する箇所に設置されている側光反射層63を更に備えている。前記側光反射層63は前記内部エピタキシャル層31の外壁311から発射される光線を前記発光ダイオード100Aの上方に向けて反射するように設置され、前記非導電層4により発光ダイオード100の上方に向けて完全にはガイドされなかった光線L1を上方に向けて反射する。前記第一電極61及び前記側光反射層63には同じ反射材質を使用し、同じ積層プロセス(例えば、蒸着)により完成する。前記側光反射層63の好ましい材料は金属であるが、但し金属に限られない。前記側光反射層63は前記非導電層4が前記外部エピタキシャル層32の上面32tの部位に被覆する箇所まで延伸され、前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31と前記外部エピタキシャル層32との間にある不透明な反射層2の上面21の部位に被覆する箇所まで延伸されてもよい。また、前記側光反射層63はワイヤボンドを行うための導電材質であり、且つ透明な導電層(例えば、酸化インジウム錫(ITO))や回路を介して前記第一電極61に電気的に接続されている(図示省略)。
【0037】
図4の発光ダイオード100Bは前記内部エピタキシャル層31の側面から光を射出する他の実施例である。発光ダイオード100Bにおいて、前記第一電極61は前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31の上面31tの部位に被覆する箇所に設置され、前記内部エピタキシャル層31の外壁311から発射される光を遮蔽しない。発光ダイオード100Bと
図3の発光ダイオード100Aとの相違点について、前記側光反射層63が未設置であり、非導電層4により前記内部エピタキシャル層31の外壁311から発射される光線を前記発光ダイオード100Bの上方に向けて屈折
および反射させている。このような発光ダイオード100Bの構造は、僅かな側光L2を発する(
図4参照)。また、発光ダイオード100Bは需要に応じて導電可能なワイヤボンド部64を設けてワイヤボンドを行ってもよく、且つ透明な導電層(例えば、酸化インジウム錫(ITO))や回路を介して前記第一電極61に電気的に接続される(図示省略)。
【0038】
図5は本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造方法を示すフローチャートである。
図6A乃至
図6Iは、本発明に係る発光ダイオードの各要素の形成プロセスを示す概略図である。
【0039】
本発明に係る発光ダイオードの製造方法には、以下のステップが主に含まれる。
<ステップSP1>:基板1を提供する(
図6A参照)。
<ステップSP2>:基板1の上面S1に不透明な反射層2を形成する(
図6B参照)。
<ステップSP3>:不透明な反射層の上面21にエピタキシャル層3を形成する(
図6C参照)。
<ステップSP4>:不透明な反射層2を露出するようにエピタキシャル層3の部分的な材料を除去し、前記エピタキシャル層3を内部エピタキシャル層31及び外部エピタキシャル層32に分離し、前記外部エピタキシャル層32は前記内部エピタキシャル層31を包囲する(
図6D1、6D2参照)。前記エピタキシャル層3が除去される部分には間隔スペースVが形成され、エピタキシャル層3の上方から観察すると、前記間隔スペースVは閉塞経路R
を形成
する。前記閉塞経路Rに対し垂直な断面
には、前記内部エピタキシャル層31の外壁311、前記外部エピタキシャル層32の内壁321、及び一部分の前記不透明な反射層2の上面2
1は逆台形断面
を画定
する。前記逆台形断面の両側辺は内部エピタキシャル層31の外壁311及び外部エピタキシャル層32の内壁321によりそれぞれ画定されて形成され、前記逆台形断面の底辺は一部分の前記不透明な反射層2の上面21により画定されて形成される。前記内部エピタキシャル層31の外壁311と前記不透明な反射層2の上面21の法線Nとの夾角θ1は2度乃至30度の間の範囲であり、前記外部エピタキシャル層32の内壁321と前記不透明な反射層2の上面21の法線Nとの夾角θ2は2度乃至30度の間の範囲である。前記エピタキシャル層3の部分的な材料を除去する方法は、薬液を使用して前記エピタキシャル層3に対しエッチングを行う、または誘導結合プラズマ(ICP)を使用して前記エピタキシャル層3に対しエッチングを行う。
<ステップSP5>:非導電層4を形成し、前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31の上面31t及び外壁311、前記外部エピタキシャル層32の上面32t及び内壁321、及び前記内部エピタキシャル層31と前記外部エピタキシャル層32との間にある不透明な反射層2の上面21を被覆する(
図6E参照)。前記非導電層4は透明材質である。いくつかの実施形態では、前記非導電層4は1層の膜により形成されるか、複数層の膜が積層されることで形成される。前記非導電層4は窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、二酸化ケイ素、二酸化チタンのうちの1種類以上の薄膜で形成されている。
<ステップSP6>:前記非導電層4の部分的な材料を除去する(
図6F参照)。非導電層4の形成後に、非導電層4に対しリソグラフィ及びエッチングを行うことで前記非導電層4の部分的な材料を除去し、溝部Tを形成する。
<ステップSP7>:前記非導電層4の材料が除去された部位(溝部T中)にオーミックメタル5を形成し、前記オーミックメタル5を前記内部エピタキシャル層31に電気的に接続させる(
図6G参照)。オーミックメタル5は蒸着により形成する。オーミックメタル5の形成後に、リフトオフ(lift-off)プロセスを採用する。
<ステップSP8>:第一電極61を形成し、前記第一電極61を前記オーミックメタル5に電気的に接続させ、前記第一電極61を貫通して光射出孔Aを形成する(
図6H参照)。第一電極61は蒸着(evaporation)により積層することで形成する。光射出孔Aの形成にはリフトオフ(lift-off)プロセスを採用し、第一電極61の部分的な材料を除去して形成する。
図2Bに示す如く、発光ダイオードの上方から観察すると、光射出孔Aは前記間隔スペースVにより形成される閉塞経路Rにより包囲されている。ステップSP8において、前記第一電極61の積層領域を調整し、
図2Aに示すような発光ダイオード100、
図3の発光ダイオード100A、または
図4の発光ダイオード100Bを形成する。
図2Aの発光ダイオード100において、前記第一電極61は、前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31の上面31t及び外壁311の部位に被覆する箇所、前記非導電層4が前記外部エピタキシャル層32の上面32t及び内壁321の部位に被覆する箇所、及び前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31と前記外部エピタキシャル層32との間にある不透明な反射層2の上面21の部位に被覆する箇所に形成されている。
図3の発光ダイオード100A及び
図4の発光ダイオード100Bにおいて、前記第一電極61は、前記非導電層4が前記内部エピタキシャル層31の上面31tの部位に被覆する箇所に形成されている。
【0040】
図3の発光ダイオード100Aについて、前記非導電層4が前記外部エピタキシャル層32の内壁321の部位に被覆する箇所に側光反射層63を形成するステップSP8Aを更に含む。前記側光反射層63は前記第一電極61と同じプロセスにおいて積層されることで完成し、或いは個別に積層される。側光反射層63をワイヤボンド位置とする場合、側光反射層63と前記第一電極61とを電気的に接続するための透明導電層(例えば、酸化インジウム錫(ITO))または回路(図示省略)を別途形成する。
【0041】
図4の発光ダイオード100Bについて、必要に応じて、前記非導電層4が前記外部エピタキシャル層32の上面32tの部位に被覆する箇所にワイヤボンド部64を形成し、且つワイヤボンド部64と前記第一電極61とを電気的に接続するための透明導電層(例えば、酸化インジウム錫(ITO))または回路(図示省略)を形成するステップSP8Bを更に含む。
【0042】
<ステップSP9>:第二電極62を形成し、前記第二電極62と前記内部エピタキシャル層31とを電気的に接続する(
図6I参照)。第二電極62は蒸着により積層することで形成する。
【0043】
以下、本発明の発光ダイオード100に対する光電テスト結果を示す。本発明の発光ダイオード100の効果は、光電テスト結果に示す。光電テストでは市販のダイ試験機及び積分球システムを使用してテストを行った。
【0044】
図7は本発明に係る発光ダイオード100の正面写真(上面図)、背面写真(底面図)、側面写真、点灯外観写真である。
図5にはチップのサイズ、厚さ、及び光射出孔のサイズの測定値を列挙している。
【0045】
光電テストに使用する発光ダイオード100のチップの仕様値は表1に示す。
【0046】
【0047】
図8Aは本発明に係る発光ダイオード100のチップがパッケージ化されていないベアダイ状態で光電テストを行う光パワー-電流結果を示すグラフである。
図8Bは本発明に係る発光ダイオード100のチップがパッケージ化されていないベアダイ状態で光電テストを行う電圧-電流結果を示すグラフである。
図8Aの縦座標の光パワー(mW)は、光射出口から射出される光パワーに側光パワーの値を加算したものを示す。
図8Aと
図8Bの例では、順電流20mAの条件での各チップの順電圧、光パワー、及び飽和電流を表2に示す。
【0048】
【0049】
発光ダイオード100をTo-Can形式にパッケージした後、順電流20mAの条件で試験を行い、順電圧、光パワー、側光比、ピーク値の波長、及び発光角度を表3に示す。
【0050】
【0051】
図9は本発明に係る発光ダイオード100が順電流20mAの条件での光パワー分布の極座標図である。表3の発光角度は第9図の50%の光パワーのパワー角を指す。側光比とは側光パワー及び光射出口から射出される光パワーと側光パワーとの総和の比率を指す。以上のデータから分かるように、To-Can形式でパッケージされた後、順電流20mAの条件において、発光ダイオード100が1%未満の低い側光比を有している。
【0052】
以上の試験結果から分かるように、本発明の発光ダイオードは間隔スペースにより内部エピタキシャル層の電流を隔絶する構造により、チップの側面からの光の射出を効果的に減少させ、チップが低い側光比を有している。よって、本発明の発光ダイオードを反射型エンコーダに応用すると、光センサーのノイズが減り、感知誤差が生じる確率が低下する。
【0053】
ここで留意すべき点は、本明細書及び特許請求の範囲において、「上方」、「上面」、「上側」、「上面図」、「下面図」、「側面」、「外側」は相対的な位置を示す用語であり、図面における各素子の相対的な位置に基づいて描写しているが、本発明を描写して理解を促すためのものにすぎず、本発明の発光ダイオードの各素子及び特徴の絶対的な位置を限定するものではない。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0055】
100 発光ダイオード
1 基板
S1 上面
S2 底面
2 不透明な反射層
21 上面
3 エピタキシャル層
31 内部エピタキシャル層
311 外壁
31t 上面
32 外部エピタキシャル層
321 内壁
32t 上面
4 非導電層
5 オーミックメタル
61 第一電極
62 第二電極
A 光射出孔
V 間隔スペース
T 溝部
R 閉塞経路
N 法線
θ1 夾角
θ2 夾角
SP1~SP9 ステップ
SP8A ステップ
SP8B ステップ
100A 発光ダイオード
63 側光反射層
100B 発光ダイオード
64 ワイヤボンド部
L1 光線
L2 側光
RE 反射型エンコーダ
E 発光ダイオード
D 光センサー
L 光線
SL 側面光射出