(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】折曲げ加工機の金型交換装置、及び折曲げ加工機の金型交換方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/04 20060101AFI20240816BHJP
B21D 37/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B21D5/04 F
B21D37/04 P
B21D37/04 R
(21)【出願番号】P 2023097656
(22)【出願日】2023-06-14
【審査請求日】2024-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴治
(72)【発明者】
【氏名】長橋 博仁
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-319491(JP,A)
【文献】特許第4152524(JP,B2)
【文献】特許第3485688(JP,B2)
【文献】特公平6-75735(JP,B2)
【文献】特許第4106290(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/04
B21D 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ金型を含むトップダイが設けられ、上下方向に可動する上部フレームと、前記トップダイと対向するボトムダイが設けられた下部フレームと、を備え、
前記トップダイと前記ボトムダイとでワークを固定した状態で前記ワークの折曲げ加工を行う折曲げ加工機に搭載される金型交換装置において、
長さの異なる複数のセンタ金型をそれぞれ格納可能な複数の格納スロットを備えた金型格納装置と、
前記センタ金型が装着可能なセンタアームを備え、前記センタアームが左右方向に延在する回転軸を中心に旋回することで、前記トップダイの一部として前記センタ金型が整列する基準状態と、前記センタ金型の交換が可能な跳上げ状態とで切り替え可能なセンタ金型ユニットと、
左右方向に並んで配置されて互いの距離を維持したまま左右方向に移動する左右のハンドを備え、前記左右のハンドの移動方向の延長線上に配置される前記格納スロットと前記センタアームとの間で前記センタ金型を移送する移送ユニットと、を有し、
前記左右のハンドの移動方向は、前記格納スロット及び前記センタアームに対する前記センタ金型の挿抜方向と対応している
折曲げ加工機の金型交換装置。
【請求項2】
前記格納スロットと前記センタアームとの間の左右方向における距離は、前記左右のハンドの左右方向における距離と同じである
請求項1記載の折曲げ加工機の金型交換装置。
【請求項3】
前記左右のハンドのそれぞれは、
互いに近接する方向及び互いに離隔する方向に移動自在に構成され、前記センタ金型を左右両側から保持する左右のフィンガと、
前記左右のフィンガが搭載されるハウジングと、を有し、
前記左右のフィンガのそれぞれは、
ハンド中心から遠ざかるように斜め上方に延出するフィンガベースと、
前記フィンガベースから前方に延出し、前記センタ金型を保持するフィンガ本体と、を含んでいる
請求項1記載の折曲げ加工機の金型交換装置。
【請求項4】
前記左右のハンドを制御する制御装置をさらに有する
請求項1記載の折曲げ加工機の金型交換装置。
【請求項5】
前記制御装置は、3つの状態間を遷移するように、前記左右のハンドの左右方向の移動と位置決めとを制御し、
前記3つの状態は、
前記左右のハンドのうち一方のハンドが前記格納スロットと対応する格納位置にいる状態、
前記一方のハンドが前記センタアームと対応する交換位置にいて、前記左右のハンドのうち他方のハンドが前記格納位置にいる状態、及び
前記他方のハンドが前記交換位置にいる状態、を含む
請求項4記載の折曲げ加工機の金型交換装置。
【請求項6】
前記金型格納装置は、前記センタ金型ユニットよりも左側にシフトした位置に配置されており、
前記制御装置は、
前記左右のハンドを右方向へ移動させて、右ハンドが前記格納位置にいる状態から、前記右ハンドが前記交換位置にいて左ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記左ハンドを閉じて、前記格納スロットに格納されている使用予定センタ金型を前記左ハンドで保持し、
前記右ハンドを閉じて、前記跳上げ状態の前記センタアームに装着されている使用済センタ金型を前記右ハンドで保持し、
前記左右のハンドを右方向へ移動させて、前記左ハンドが前記交換位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記左ハンドを開いて前記使用予定センタ金型を前記センタアームに引き渡し、
前記左右のハンドを左方向へ移動させて、前記右ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記右ハンドを開いて前記使用済センタ金型を前記格納スロットに引き渡し、
前記左右のハンドを右方向へ移動させて、前記右ハンドが前記交換位置にいて前記左ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させる
請求項5記載の折曲げ加工機の金型交換装置。
【請求項7】
前記金型格納装置は、前記センタ金型ユニットよりも左側にシフトした位置に配置されており、
前記制御装置は、
前記左右のハンドを右方向へ移動させて、右ハンドが前記格納位置にいる状態から、前記右ハンドが前記交換位置にいて左ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記左ハンドを閉じて、前記格納スロットに格納されている使用予定センタ金型を前記左ハンドで保持し、
前記右ハンドを閉じて、前記跳上げ状態の前記センタアームに装着されている使用済センタ金型を前記右ハンドで保持し、
前記左右のハンドを右方向へ移動させて、前記左ハンドが前記交換位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記左ハンドを開いて前記使用予定センタ金型を前記センタアームに引き渡し、
前記左右のハンドを左方向へ移動させて、前記右ハンドが前記交換位置にいて前記左ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記左ハンドを閉じて、前記格納スロットの新たな使用予定センタ金型を前記左ハンドで保持し、
前記左右のハンドを左方向へ移動させ、前記右ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記右ハンドを開いて前記使用済センタ金型を前記格納スロットに引き渡し、
前記左右のハンドを右方向へ移動させて、前記右ハンドが前記交換位置にいて前記左ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させる
請求項5記載の折曲げ加工機の金型交換装置。
【請求項8】
前記金型格納装置は、前記センタ金型ユニットよりも左側にシフトした位置に配置されており、
前記制御装置は、
右ハンドが前記格納位置にいる状態で前記右ハンドを閉じて、前記格納スロットの使用予定センタ金型を前記右ハンドで保持し、
前記左右のハンドを右方向へ移動させて、左ハンドが前記交換位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記左ハンドを閉じて、前記跳上げ状態の前記センタアームに装着されている使用済センタ金型を前記左ハンドで保持し、
前記左右のハンドを左方向へ移動させて、前記右ハンドが前記交換位置にいて前記左ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させ、
前記右ハンドを開いて前記使用予定センタ金型を前記センタアームに引き渡し、
前記左ハンドを開いて前記使用済センタ金型を前記格納スロットに引き渡し、
前記左右のハンドを左方向へ移動させ、前記右ハンドが前記格納位置にいる状態へと前記左右のハンドを遷移させる
請求項5記載の折曲げ加工機の金型交換装置。
【請求項9】
センタ金型を含むトップダイが設けられ、上下方向に可動する上部フレームと、前記トップダイと対向するボトムダイが設けられた下部フレームと、を備え、
前記トップダイと前記ボトムダイとでワークを固定した状態で前記ワークの折曲げ加工を行う折曲げ加工機の金型交換方法において、
前記折曲げ加工機の金型交換装置は、
長さの異なる複数のセンタ金型をそれぞれ格納可能な複数の格納スロットを備えた金型格納装置と、
前記センタ金型が装着可能なセンタアームを備え、前記センタアームが左右方向に延在する回転軸を中心に旋回することで、前記トップダイの一部として前記センタ金型が整列する基準状態と、前記センタ金型の交換が可能な跳上げ状態とで切り替え可能なセンタ金型ユニットと、
左右方向に並んで配置されて互いの距離を維持したまま左右方向に移動する左右のハンドを備え、前記左右のハンドの移動方向の延長線上に配置される前記格納スロットと前記センタアームとの間で前記センタ金型を移送する移送ユニットと、を有し、
前記左右のハンドが、
前記左右のハンドのうち一方のハンドが前記格納スロットと対応する格納位置にいる状態、
前記一方のハンドが前記センタアームと対応する交換位置にいて、前記左右のハンドのうち他方のハンドが前記格納位置にいる状態、及び
前記他方のハンドが前記交換位置にいる状態、を含む3つの状態を遷移しながら前記格納スロットと前記センタアームとの間で前記センタ金型の交換を行う
折曲げ加工機の金型交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折曲げ加工機の金型交換装置、及び折曲げ加工機の金型交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センタ金型とセンタ金型の左右に設けられた多数の基準金型とを含むトップダイと、このトップダイに対向するボトムダイとを備える折曲げ加工機が知られている。折曲げ加工機は、トップダイ及びボトムダイの後方に設けられ、上下方向へ揺動自在に構成されたベンドビームをさらに備えている。
【0003】
トップダイとボトムダイとによりワークが固定された状態で、ベンドビームが上方向又は下方向へ揺動させられる。トップダイ及びボトムダイから後方へ突出したワークの端部に対して、ベンドビームの前側上部又はベンドビームの前側下部に装着された曲げ型によって折曲げ加工(しごき曲げ加工)が行われる。折曲げ加工機では、折曲げ加工に先立ち、ワークの曲げ長さに応じてセンタ金型のサイズ(左右方向の金型長さ)及び左右の基準金型の枚数が選択される。
【0004】
特許文献1には、センタ金型を交換する金型交換装置が開示されている。この金型交換装置は、金型マガジンと、センタ金型ユニットとを備えている。金型マガジンは、上部フレームの前側に設けられた左右の金型格納ドラムを備えている。個々の金型格納ドラムには、複数のセンタ金型が格納されている。センタ金型ユニットは、上部フレームの下端に設けられた金型支持用ビームに、左右方向に移動自在、且つ旋回自在に設けられている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される金型交換装置においては、加工を行うことができない時間が長期に及んでしまうという問題がある。すなわち、センタ金型ユニットは、トップダイにセットされている使用済みのセンタ金型を金型格納ドラムに格納した後、金型格納ドラムが回転して所望のセンタ金型がセンタ金型ユニットに到達するまで待機しなければならないからである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、センタ金型を含むトップダイが設けられ、上下方向に可動する上部フレームと、トップダイと対向するボトムダイが設けられた下部フレームと、を備え、トップダイとボトムダイとでワークを固定した状態でワークの折曲げ加工を行う折曲げ加工機に搭載される金型交換装置に関する。この金型交換装置は、長さの異なる複数のセンタ金型をそれぞれ格納可能な複数の格納スロットを備えた金型格納装置と、センタ金型が装着可能なセンタアームを備え、センタアームが左右方向に延在する回転軸を中心に旋回することで、トップダイの一部としてセンタ金型が整列する基準状態と、センタ金型の交換を行う跳上げ状態とで切り替え可能なセンタ金型ユニットと、左右方向に並んで配置されて互いの距離を維持したまま左右方向に移動する左右のハンドを備え、左右のハンドの移動方向の延長線上に配置される格納スロットとセンタアームとの間でセンタ金型を移送する移送ユニットと、を有する。左右のハンドの移動方向は、格納スロット及びセンタアームに対するセンタ金型の挿抜方向と対応している。
【0008】
この金型交換装置によれば、格納スロット及びセンタアームは、左右のハンドの移動方向の延長線上に配置され、且つ、左右のハンドの移動方向は、格納スロット及びセンタアームに対するセンタ金型の挿抜方向と対応している。加えて、移送ユニットは左右のハンドを備えている。
【0009】
このため、左右のハンドは、使用済センタ金型と使用予定センタ金型とをそれぞれ保持することができるので、一つのハンドでセンタ金型を持ち替える場合のように金型格納装置の動作を待機する必要がない。加えて、左右のハンドが左右方向への移動を行うことで、一方のハンドでセンタアームから使用済センタ金型を取り外しつつ、他方のハンドでセンタアームに使用予定センタ金型を装着することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、センタアームに対するセンタ金型の交換動作を効率的に行うことができる。これにより、加工を行うことができない時間が長期化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る折曲げ加工機を示す正面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る折曲げ加工機を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す正面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る金型交換装置が備えるセンタ金型ユニットの旋回動作を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るセンタアームの跳上げ状態を示す側面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る金型交換方法を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る金型交換方法を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る金型交換方法を示す図である。
【
図13】
図13は、第3の実施形態に係る金型交換方法を示す図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係る金型交換方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本実施形態に係る折曲げ加工機の金型交換装置、及びその金型交換方法について説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、
図1から
図3を参照し、第1の実施形態に係る折曲げ加工機1の概要を説明する。
図1は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す図である。
図2は、本実施形態に係る折曲げ加工機を示す正面図である。
図3は、本実施形態に係る折曲げ加工機を示す側面図である。折曲げ加工機1の構成を説明するにあたり、方向の定義として、左右方向、前後方向、及び上下方向を用いる。左右方向及び前後方向は水平方向において直交する2つの方向に対応し、上下方向は鉛直方向に対応する。ただし、これらの方向は、本実施形態に係る加工機を説明するために、便宜的に定義された方向に過ぎない。
【0014】
本実施形態に係る金型交換装置50は、折曲げ加工機1に搭載される。折曲げ加工機1は、センタ金型32を含むトップダイ30が設けられ、上下方向に可動する上部フレーム20と、トップダイ30と対向するボトムダイ14が設けられた下部フレーム10と、を備え、トップダイ30とボトムダイ14とでワークWを固定した状態でワークWの折曲げ加工を行う。金型交換装置50は、長さの異なる複数のセンタ金型32をそれぞれ格納可能な複数の格納スロット63を備えた金型格納ドラム60と、センタ金型32が装着可能なセンタアーム72を備え、センタアーム72が左右方向に延在する回転軸A1を中心に旋回することで、トップダイ30の一部としてセンタ金型32が整列する基準状態と、センタ金型32の交換が可能な跳上げ状態とで切り替え可能なセンタ金型ユニット70と、左右方向に並んで配置されて互いの距離を維持したまま左右方向に移動する左右のハンド81L、81Rを備え、左右のハンド81L、81Rの移動方向の延長線上に配置される格納スロット63とセンタアーム72との間でセンタ金型32を移送する移送ユニット80と、を有する。左右のハンド81L、81Rの移動方向は、格納スロット63及びセンタアーム72に対するセンタ金型32の挿抜方向と対応している。
【0015】
以下、
図2及び
図3を参照し、第1の実施形態に係る折曲げ加工機1の詳細な構成を説明する。本実施形態に係る折曲げ加工機1は、板状のワークWの端縁部に折曲げ加工(しごき曲げ加工)を行うことより、ワークWを所望の形状に折曲げる加工機であり、パネルベンダーとも称される。この折曲げ加工機1の前方には、ワークWの供給及び位置決めを行うマニピュレータ(図示せず)が配置されている。
【0016】
折曲げ加工機1は、下部フレーム10と、上部フレーム20と、ボトムダイ14と、トップダイ30と、ベンドビーム40と、金型交換装置50と、制御装置100とを備えている。
【0017】
下部フレーム10は、左右方向に沿って横長に形成されており、固定フレーム12の前部に固定されている。下部フレーム10の上部には、左右方向に延在する、固定金型としてのボトムダイ14が設けられている。
【0018】
上部フレーム20は、左右方向に沿って横長に形成されており、可動フレーム22の前部に固定されている。可動フレーム22は、固定フレーム12の上方に設けられており、回転軸24を支点として上下方向へ揺動自在に構成されている。上部フレーム20の下部には、ボトムダイ14と対向した可動金型としてのトップダイ30が設けられている。
【0019】
可動フレーム22には、図示しないフレーム駆動機構が設けられている。フレーム駆動機構が駆動し、可動フレーム22が回転軸24を中心として上方向に揺動すると、ボトムダイ14とトップダイ30とによるワークWの押圧が解放される。逆に、可動フレーム22が回転軸24を中心として下方向に揺動すると、ボトムダイ14とトップダイ30とによってワークWが押圧される。この押圧によってワークWを強固に固定することができる。
【0020】
トップダイ30は、センタ金型32と、複数の基準金型34とから構成されている。
【0021】
上部フレーム20の下部には、金型支持用ビーム26が設けられている。この金型支持用ビーム26における左右方向の略中央には、後述するセンタ金型ユニット70に保持されたセンタ金型32が設けられている。金型支持用ビーム26におけるセンタ金型32の左側には、一つ以上の基準金型34が設けられ、金型支持用ビーム26におけるセンタ金型32の右側には、一つ以上の基準金型34が設けられている。
【0022】
この折曲げ加工機1には、サイズ(左右方向の金型長さ)の異なる複数のセンタ金型32が用意されている。例えば、100mmから197.5mmまで7.5mm刻みで14種類のセンタ金型32が用意されている。センタ金型ユニット70は、複数のセンタ金型32の中から選択された、任意のサイズのセンタ金型32を保持している。残余のセンタ金型32は、後述する金型格納ドラム60に格納されている。なお、図面では、金型格納ドラム60に格納されるセンタ金型32の記載が省略されている。なお、複数のセンタ金型32は、上述した形態に限定されない。例えば、100mmから195mmまで5.0mm刻みで20種類のセンタ金型32を用意することも可能である。
【0023】
各基準金型34の上部には、金型選択用シリンダ28がそれぞれ設けられている。また、上部フレーム20には、開閉用シリンダ36が設けられている。選択した金型選択用シリンダ28を作動させることにより、左側及び右側の基準金型34の中から、必要な基準金型34を選択することができる。これにより、トップダイ30を構成する基準金型34をセンタ金型32側へ接近させたり、センタ金型32から離隔したりすることができる。
【0024】
センタ金型32のサイズ及び左右の基準金型34の枚数は、ワークWの曲げ長さに応じて決定されている。そして、センタ金型32の交換は、金型交換装置50によって行われる。
【0025】
ベンドビーム40は、ボトムダイ14及びトップダイ30の後方に配置されている。ベンドビーム40は、左右方向に延在している。ベンドビーム40は、前後方向に移動可能、且つ、連結シャフト42を中心に上下方向に揺動可能に構成されており、図示しないベンドビーム駆動機構によって駆動される。ベンドビーム40は、上下方向及び前後方向の動きによって、ベンドビーム40の前端側が円弧を描くように動作する。ベンドビーム40の前端側の下部には、正曲げの折曲げ加工を行うための正曲げ用金型44が設けられている。ベンドビーム40の前端側の上部には、逆曲げの折曲げ加工を行うための逆曲げ用金型46が設けられている。
【0026】
金型交換装置50は、トップダイ30の一部をなすセンタ金型32の交換を行う装置である。金型交換装置50の詳細については後述する。
【0027】
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、制御装置100が備える種々の機能が実現される。
【0028】
制御装置100は、折曲げ加工機1の動作を制御する。加えて、制御装置100は、金型交換装置50の動作を制御する制御装置でもある。
【0029】
このような折曲げ加工機1において、ワークWに対する折曲げ加工は以下の通り行われる。すなわち、制御装置100は、フレーム駆動機構を駆動させ、マニピュレータによって位置決めされたワークWに対して可動フレーム22を下降させる。可動フレーム22が下降すると、ボトムダイ14とトップダイ30とによってワークWが押圧され、ワークWが固定される。制御装置100は、ベンドビーム駆動機構を駆動させ、ベンドビームを上方向又は下方向に揺動させる。ベンドビームが上方向に揺動させられると、正曲げ用金型44によって正曲げの折曲げ加工が行われ、ベンドビームが下方向に揺動させられると、逆曲げ用金型46によって逆曲げの折曲げ加工が行われる。
【0030】
以下、
図2から
図7を参照し、本実施形態の特徴の一つである金型交換装置50について説明する。
図4は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す正面図である。
図5は、本実施形態に係る金型交換装置が備えるセンタ金型ユニットの旋回動作を示す図である。
図6は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す斜視図である。
図7は、本実施形態に係るセンタアームの跳上げ状態を示す側面図である。
【0031】
図2及び
図3に示すように、金型交換装置50は、金型格納ドラム60と、センタ金型ユニット70と、移送ユニット80とを備えている。センタ金型32の交換は、センタ金型ユニット70及び移送ユニット80によって行われる。交換可能なセンタ金型32は、金型格納ドラム60に格納されている。
【0032】
金型格納ドラム60は、上部フレーム20の前側に取り付けられており、後述するセンタ金型ユニット70よりも上方に配置されている。金型格納ドラム60は、複数のセンタ金型32を格納する回転式の金型格納装置である。なお、金型交換装置50に適用可能な金型格納装置としては、回転式の構成以外にも、上下方向に昇降する昇降式の構成、その他の構成であってもよい。金型格納ドラム60は、チェーン61と、ドラム駆動機構62と、複数の格納スロット63とを備えている。
【0033】
チェーン61は、一対のスプロケット(図示せず)に掛け渡されている。一対のスプロケットは、左右方向に延在する一対の回転軸A21、A22を中心に回転自在であり、一対の回転軸A21、A22は、上下方向に離隔している。このチェーン61には、チェーン61の走行方向に沿って一定の間隔で配置された複数の格納スロット63が設けられている。なお、チェーン61に代えて、ベルトを用いてもよい。
【0034】
ドラム駆動機構62は、例えば駆動モータ、ギアなどを含み、一方のスプロケットを回転駆動する。一方のスプロケットが回転駆動することで、チェーン61が回転走行する。
【0035】
図6に示すように、複数の格納スロット63は、チェーン61の回転走行に従って周回する。制御装置100の制御の下、チェーン61が回転走行することで、複数の格納スロット63のうち任意の格納スロット63が、ドラム最下位置に対して位置決めされる。ドラム最下位置は、格納スロット63の周回軌道のうち最も下方となる位置であり、移送ユニット80によってセンタ金型32の挿抜が可能となる位置である。なお、以下の説明では、チェーン61が回転走行し、複数の格納スロット63をチェーン61に沿って周回させることを、金型格納ドラム60を回転させると表現する。
【0036】
格納スロット63は、センタ金型32を格納する。格納スロット63は、センタ金型32を保持する一対の保持部材63a、63bで構成されている。一対の保持部材63a、63bは、センタ金型32を両側から挟み込むように、互いに対向している。
【0037】
ドラム最下位置に存在する格納スロット63を例に挙げると、一方の保持部材63aは前側に位置し、他方の保持部材63bは後側に位置する。前側の保持部材63aは、後方に向かって突き出したフランジ形状を有し、後側の保持部材63bは、前方に向かって突き出したフランジ形状を有している。後側の保持部材63bの前後方向のフランジ長さは、前側の保持部材63aの前後方向のフランジ長さよりも短く設定されている。
【0038】
前側の保持部材63aと後側の保持部材63bとは、一定距離だけ離隔した状態で配置されており、一対の保持部材63a、63bの間に、左右方向に沿って空間部が延在している。この空間部により、格納スロット63に対してセンタ金型32を挿抜することができる。格納スロット63に対するセンタ金型32の挿抜方向は、左右方向と対応している。
【0039】
後側の保持部材63bのフランジ先端部には、格納されるセンタ金型32の位置決め、固定を行うためのプランジャ63cが設けられている。プランジャ63cは、前側の保持部材63aにも同様に設けられている。なお、プランジャ63cは、前側の保持部材63a及び後側の保持部材63bの一方のみに設けられていてもよい。
【0040】
図2に示すように、センタ金型ユニット70は、上部フレーム20の前側に取り付けられており、金型格納ドラム60よりも下方に配置されている。センタ金型ユニット70は、トップダイ30の一部として整列するようにセンタ金型32を保持したり、このセンタ金型32を交換したりするためのユニットである。
【0041】
図4に示すように、センタ金型ユニット70は、ユニットベース71と、センタアーム72と、アーム旋回機構73と、アーム移動機構74とを主体に構成されている。
【0042】
ユニットベース71は、センタアーム72を支持する部材である。上部フレーム20には左右方向に延在するガイド部材(図示せず)が設けられており、ユニットベース71は、ガイド部材を介して、左右方向に移動自在に構成されている。
【0043】
センタアーム72は、ユニットベース71に取り付けられている。センタアーム72は、左右方向に延在する回転軸A1を中心に回転自在に構成されている。センタアーム72の先端にはセンタ金型32が装着されている。センタアーム72は、
図5の実線で示すように、センタ金型32がトップダイ30の一部として整列する下向きの状態(以下「基準状態」という)と、
図5の二点鎖線で示すように、センタ金型32が上方に位置する上向き状態(以下「跳上げ状態」という)との間で旋回することができる。この跳上げ状態は、センタ金型32の交換、すなわち、移送ユニット80によってセンタアーム72に対するセンタ金型32の挿抜が可能となる状態である。
【0044】
図5及び
図7に示すように、センタアーム72は、アーム本体72aと、ホルダ72bと、ピストン72cとを備えている。なお、センタアーム72に装着されるセンタ金型32は、金型本体32aと、金型本体32aを保持する保持ブロック32bと、保持ブロック32bの先端に設けられた、断面T字形状の保持片32cとで構成されている。
【0045】
アーム本体72aの基端側は、ユニットベース71に回転自在に取り付けられており、アーム本体72aの先端側には、センタ金型32を保持するためのホルダ72bが取り付けられている。ホルダ72bには、左右方向の延在する空間部が設けられている。この空間部は、センタ金型32の保持片32cよりも一回り以上大きく形成されており、この空間部にピストン72cが設けられている。
【0046】
ピストン72cには、左右方向に延在するスロット72c1が設けられている。スロット72c1は、センタ金型32の保持片32cよりも僅かに大きい形状に設計されており、このスロット72c1を介して、センタ金型32の保持片32cをホルダ72bに対して挿抜することができる。すなわち、センタアーム72に対するセンタ金型32の挿抜方向は、左右方向と対応している。
【0047】
図7に示すように、ホルダ72bの空間部とピストン72cとの間には上下方向に隙間が設けられており、アーム本体72aに内蔵されたエアシリンダによってピストン72cを上下方向に移動させることができる。エアシリンダによってピストン72cが下方に引き下げられると、センタアーム72とセンタ金型32との接続部が密着する。これにより、センタ金型32をセンタアーム72に固定することができる。一方で、エアシリンダによってピストン72cが上方に押し上げられると、センタアーム72とセンタ金型32との接続部にゆとりが発生する。これにより、センタアームに対してセンタ金型32の挿抜を行うことができる。エアシリンダは、制御装置100の制御の下、センタ金型32の交換動作と連動して動作する。
【0048】
図4に示すように、アーム旋回機構73は、例えば駆動モータ、ギアなどを含み、センタアーム72を回転駆動する。アーム旋回機構73が動作することで、センタアーム72を基準状態と跳上げ状態とで切り替えることができる。
【0049】
アーム移動機構74は、例えばエアシリンダなどを含み、ユニットベース71、すなわち、センタアーム72を左右方向に移動させることができる。アーム移動機構74が動作することで、センタアーム72の左右方向への移動、及び位置決めを行うことができる。
【0050】
センタアーム72は、センタアーム72における左右方向の中心が、折曲げ加工機1における左右方向の機械中心と一致するように位置決めされている。このとき、センタ金型32は、折曲げ加工機1の機械中心に位置決めされる。一方、必要に応じて、アーム移動機構74を動作させることで、センタアーム72を機械中心よりも左方向又は右方向へとシフトした位置に位置決めすることができる。これにより、センタ金型32を、機械中心よりも左方向又は右方向へとシフトした位置に位置決めすることができる。
【0051】
図2に示すように、移送ユニット80は、上部フレーム20の前側に取り付けられており、金型格納ドラム60よりも下方、且つ、センタ金型ユニット70よりも上方に配置されている。移送ユニット80は、金型格納ドラム60とセンタ金型ユニット70との間でセンタ金型32を移送する。具体的には、移送ユニット80は、ドラム最下位置にある格納スロット63に格納されたセンタ金型32を移送して、跳ね上げ位置にあるセンタアーム72へ装着する。また、移送ユニット80は、跳ね上げ位置にあるセンタアーム72に装着されているセンタ金型32を移送して、ドラム最下位置にある格納スロット63に格納する。
【0052】
図4に示すように、移送ユニット80は、左右のハンド81L、81Rと、ガイドレール82と、ハンド移動機構83とを主体に構成されている。
【0053】
左ハンド81L及び右ハンド81Rは、一定距離だけ間隔を空けて左右方向に並んで配置されている。左ハンド81L及び右ハンド81Rは、センタ金型32を左右両側から保持する。
【0054】
図6に示すように、左ハンド81Lは、ハウジング81aと、ハウジング81aに搭載された左右のフィンガ81b、81cとを備えている。左右のフィンガ81b、81cは、左右方向に並んで配置されている。左右のフィンガ81b、81cは、ハウジング81aに収容されたフィンガ駆動機構(図示せず)によって駆動されることで、互いに近接する方向及び互いに離隔する方向に移動することができる。左右のフィンガ81b、81cが互いに近接する方向に移動すると、左右のフィンガ81b、81cが閉じ、センタ金型32を保持することができる。一方、左右のフィンガ81b、81cが互いに離隔する方向に移動すると、左右のフィンガ81b、81cが開き、センタ金型32をリリースすることができる。なお、ハウジング81aは、フィンガ駆動機構そのものであってもよい。
【0055】
左フィンガ81bは、フィンガベース81b1と、フィンガ本体81b2とを主体に構成されている。フィンガベース81b1は、フィンガ駆動機構とフィンガ本体81b2とを連結する部材である。左フィンガ81bのフィンガベース81b1は、左上方、すなわち、ハンド中心から遠ざかるように斜め上方に延出している。フィンガ本体81b2は、フィンガベース81b1の先端に設けられており、前方に向かって延在している。
【0056】
右フィンガ81cは、左フィンガ81bと同様、フィンガベース81c1と、フィンガ本体81c2とを主体に構成されている。右フィンガ81cのフィンガベース81c1は、右上方、ハンド中心から遠ざかるように斜め上方に延出している。フィンガ本体81c2は、フィンガベース81c1の先端に取り付けられており、前方に向かって延在している。
【0057】
このように、左右のフィンガ本体81b2、81c2は、フィンガベース81b1を介してハウジング81aに取り付けられている。左側のフィンガ本体81b2は、ハウジング81aよりも左上方に離隔して配置されるとともに、右側のフィンガ本体81c2は、ハウジング81aよりも右上方に離隔して配置される。すなわち、左右のフィンガ本体81b2、81c2は、ハウジング81aに対して遠い位置に配置される。これにより、ハウジング81aは、左右のフィンガ本体81b2、81c2よりも相対的に下方に配置される。
【0058】
右ハンド81Rは、ハウジング81aと、ハウジング81aに搭載された左右のフィンガ81b、81cとで構成されており、その構成は左ハンド81Lと同様である。
【0059】
図2に示すように、ガイドレール82は、上部フレーム20の前側に取り付けられており、左右方向に延在している。
図4に示すように、左右のハンド81L、81Rは、ガイドレール82にスライド自在に取り付けられており、ガイドレール82に沿って移動することができる。左右のハンド81L、81Rは、互いに一体化された状態でガイドレール82に取り付けられている。したがって、左右のハンド81L、81Rは、互いの間隔を維持したまま左右方向に移動する。
【0060】
また、上述した格納スロット63及びセンタアーム72は、左右のハンド81L、81Rの移動方向の延長線上に配置されている。本実施形態において、格納スロット63は、センタアーム72の左側に位置する。左右のハンド81L、81Rは、格納スロット63とセンタアーム72との間でセンタ金型32を移送することができる。
【0061】
ハンド移動機構83は、例えば電動アクチュエータなどで構成され、左右のハンド81L、81Rを左右方向に移動させる。ハンド移動機構83は、制御装置100の制御の下、左右のハンド81L、81Rの左右方向への移動、及び所定位置への位置決めを行うことができる。
【0062】
つぎに、
図1、
図8及び
図9を参照し、金型格納ドラム60、センタ金型ユニット70、及び移送ユニット80の相対関係について説明する。
図8及び
図9は、本実施形態に係る金型交換装置の要部を示す図である。
図1、
図8及び
図9には、ドラム最下位置にある格納スロット63と、跳上げ状態のセンタアーム72と、左右のハンド81L、81Rとが示されている。センタ金型ユニット70のセンタアーム72は、センタアーム72における左右方向の中心が折曲げ加工機1における左右方向の中心(機械中心)と一致するように位置決めされている。
【0063】
図1に示すように、左右のハンド81L、81Rの間隔は、距離Daに設定されている。上述したように、左右のハンド81L、81Rは、互いの間隔を維持したまま左右方向に移動するので、左右方向の位置に関わらず、左右のハンド81L、81Rの間隔は距離Daのままとなる。
【0064】
金型格納ドラム60は、センタ金型ユニット70よりも左方向にオフセットした位置に配置されており、格納スロット63もセンタアーム72よりも左方向にオフセットした位置に配置されている。格納スロット63の機械中心と、センタアーム72の機械中心との間隔は、距離Dbに設定されている。
【0065】
これらの距離Da、Dbは同一の値に設定されている。そして、このような距離Da、Dbを前提に、左右のハンド81L、81Rが動作するための4つの位置が設定されている。4つの位置は、格納位置Pc1、交換位置Pc2、左待機位置Pc3、右待機位置Pc4である。
【0066】
図1及び
図8に示すように、格納位置Pc1は、左右のハンド81L、81Rが格納スロット63の下方に存在し、それぞれの機械中心が一致する位置である。
図8及び
図9に示すように、交換位置Pc2は、左右のハンド81L、81Rがセンタアーム72の上方に存在し、それぞれの機械中心が一致する位置である。交換位置Pc2は、格納位置Pc1に対して右方向に距離Dmだけ離れた位置でもある。
【0067】
左待機位置Pc3は、格納位置Pc1に対して左方向に距離Dmだけ離れた位置である。右待機位置Pc4は、交換位置Pc2に対して右方向に距離Dmだけ離れた位置である。
【0068】
上述した距離Dmは、距離Da、距離Dbと同一である。したがって、左右のハンド81L、81Rは、上記の4つの位置Pc1~Pc4のうち、隣接する2つの位置に存在することとなる。
【0069】
すなわち、
図1に示すように、左ハンド81Lが左待機位置Pc3に存在する場合、右ハンド81Rは格納位置Pc1に存在する。
図8に示すように、左ハンド81Lが格納位置Pc1に存在する場合、右ハンド81Rは交換位置Pc2に存在する。
図9に示すように、左ハンド81Lが交換位置Pc2に存在する場合、右ハンド81Rは右待機位置Pc4に存在する。
【0070】
このような関係を前提に、制御装置100は、ハンド移動機構83を制御して、左右のハンド81L、81Rを、上記の4つの位置Pc1~Pc4に対して位置決めしたり、左右方向に沿って距離Dmだけ移動させたりする。これにより、制御装置100は、3つの状態間を遷移するように、左右のハンド81L、81Rを制御する。
【0071】
図1に示すように、第1状態は、左右のハンド81L、81Rのうち一方のハンド81R(81L)が格納スロット63と対応する位置(格納位置Pc1)にある状態である。本実施形態の機械構成においては、右ハンド81Rが格納位置Pc1にある状態がこれに相当し、このとき、左ハンド81Lは左待機位置Pc3にある。
【0072】
図8に示すように、第2状態は、一方のハンド81R(81L)がセンタアーム72と対応する位置(交換位置Pc2)に、他方のハンド81L(81R)が格納スロット63と対応する位置(格納位置Pc1)にある状態である。本実施形態の機械構成においては、右ハンド81Rが交換位置Pc2にあり、左ハンド81Lが格納位置Pc1にある状態がこれに相当する。
【0073】
図9に示すように、第3状態は、左右のハンド81L、81Rのうち一方のハンド81L(81R)のみがセンタアーム72と対応する位置(交換位置Pc2)にある状態である。本実施形態の機械構成においては、左ハンド81Lが交換位置Pc2にある状態がこれに相当し、このとき、右ハンド81Rは右待機位置Pc4にある。
【0074】
つぎに、
図10及び
図11を参照し、金型交換装置50による金型交換方法を説明する。
図10及び
図11は、第1の実施形態に係る金型交換方法を示す図である。この金型交換方法は、制御装置100の制御の下、実行される。
【0075】
以下の説明では、新たにセンタアーム72に装着するセンタ金型32を「使用予定センタ金型32A」といい、センタアーム72に既に装着されているセンタ金型32を「使用済センタ金型32B」という。
【0076】
図10に示すように、左ハンド81Lが左待機位置Pc3、右ハンド81Rが格納位置Pc1にある状態を、左右のハンド81L、81Rの初期状態とする(S10)。このとき、左右のハンド81L、81Rは、開いた状態にある。また、ドラム最下位置には、センタ金型32が格納されていない空の格納スロット63が配置されている。
【0077】
ステップS11において、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを右方向に移動させ、左右のハンド81L、81Rを格納位置Pc1、交換位置Pc2にそれぞれ位置決めする。そして、制御装置100は、金型格納ドラム60を回転させて、使用予定センタ金型32Aが格納された格納スロット63をドラム最下位置に位置決めする。制御装置100は左ハンド81Lを閉じて、左ハンド81Lで使用予定センタ金型32Aを保持する。
【0078】
ステップS12において、制御装置100は、使用済センタ金型32Bが装着されているセンタアーム72を跳上げ状態まで旋回させる。センタアーム72の旋回後、制御装置100は、右ハンド81Rを閉じて、右ハンド81Rで使用済センタ金型32Bを保持する。制御装置100は、ピストン72c(
図7参照)を上方に引き上げて、センタアーム72に対する使用済センタ金型32Bの固定を解除する。
【0079】
ステップS13において、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを右方向に移動させる。このとき、使用予定センタ金型32Aは格納スロット63から引き抜かれ、使用済センタ金型32Bはセンタアーム72から引き抜かれる。制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを交換位置Pc2、右待機位置Pc4にそれぞれ位置決めする。左ハンド81Lが交換位置Pc2に位置決めされる過程で、使用予定センタ金型32Aがセンタアーム72に挿入される。制御装置100は、ピストン72c(
図7参照)を下方に引き下げて、センタアーム72に対して使用予定センタ金型32Aを固定する。
【0080】
図11のステップS14において、制御装置100は、左ハンド81Lを開いて、左ハンド81Lの使用予定センタ金型32Aをセンタアーム72に引き渡す。使用予定センタ金型32Aが引き渡されると、制御装置100は、使用予定センタ金型32Aが装着されているセンタアーム72を基準状態まで旋回させる。
【0081】
ステップS15において、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを左方向に移動させ、左右のハンド81L、81Rを左待機位置Pc3、格納位置Pc1にそれぞれ位置決めする。右ハンド81Rが格納位置Pc1に位置決めされる過程で、使用済センタ金型32Bは、格納スロット63に挿入される。
【0082】
ステップS16において、制御装置100は、右ハンド81Rを開いて、使用済センタ金型32Bを格納スロット63に引き渡す。使用済センタ金型32Bが引き渡されると、制御装置100は、金型格納ドラム60を回転させて、センタ金型32が格納されていない空の格納スロット63をドラム最下位置に配置する。
【0083】
ステップS17において、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを右方向に移動させ、左右のハンド81L、81Rを格納位置Pc1、交換位置Pc2にそれぞれ位置決めする。そして、新たな金型交換動作を行う場合には、上述したステップS11以降の動作が繰り替えされる。
【0084】
上述した一連の動作のうち、ステップS10~S11、S15~S17の工程は、折曲げ加工機1の加工動作時に実施される。そして、ステップS12~S14の工程は、折曲げ加工機1の非加工動作時に実施される。
【0085】
このように本実施形態の金型交換装置50によれば、格納スロット63及びセンタアーム72は、左右のハンド81L、81Rの移動方向の延長線上に配置され、且つ、左右のハンド81L、81Rの移動方向は、格納スロット63及びセンタアーム72に対するセンタ金型32の挿抜方向と対応している。加えて、移送ユニット80が左右のハンド81L、81Rを備えている。
【0086】
このため、左右のハンド81L、81Rは、使用済センタ金型32Bと使用予定センタ金型32Aとをそれぞれ保持することができるので、一つのハンドでセンタ金型32を持ち替える場合のように金型格納ドラム60の回転を待機する必要がない。加えて、左右のハンド81L、81Rが左右方向への移動を行うことで、一方のハンド81R(81L)でセンタアーム72から使用済センタ金型32Bを取り外しつつ、他方のハンド81L(81R)でセンタアーム72に使用予定センタ金型32Aを装着することができる。
【0087】
したがって、本実施形態の金型交換装置50によれば、センタアーム72に対するセンタ金型32の交換動作を効率的に行うことができる。これにより、加工を行うことができない時間が長期化することを抑制することができる。
【0088】
本実施形態において、格納スロット63とセンタアーム72との間の左右方向における距離Dbは、左右のハンド81L、81Rの左右方向における距離Daと同じである。
【0089】
この構成によれば、他方のハンド81L(81R)が格納位置Pc1にある場合には、一方のハンド81R(81L)が交換位置Pc2に存在する。これにより、左右のハンド81L、81Rが左右方向へと一定距離だけ移動することで、他方のハンド81L(81R)によって、格納スロット63から使用予定センタ金型32Aを取り外しつつ、一方のハンド81R(81L)によって、センタアーム72から使用済センタ金型32Bを取り外すことができる。加えて、一方のハンド81R(81L)によって使用済センタ金型32Bを取り外したセンタアーム72に対して、他方のハンド81L(81R)が、格納スロット63から取り外した使用予定センタ金型32Aをそのまま装着することができる。これにより、センタアーム72に対するセンタ金型32の交換動作を効率的に行うことができるので、加工を行うことができない時間が長期化することを抑制することができる。
【0090】
本実施形態において、左右のハンド81L、81Rのそれぞれは、互いに近接する方向及び互いに離隔する方向に移動自在に構成され、センタ金型32を左右両側から保持する左右のフィンガ81b、81cと、左右のフィンガ81b、81cが搭載されるハウジング81aと、を有している。左右のフィンガのそれぞれは、ハンド中心から遠ざかるように斜め上方に延出するフィンガベース81b1、81c1と、フィンガベース81b1、81c1から前方に延出し、センタ金型32を保持するフィンガ本体81b2、81c2と、を含んでいる。
【0091】
この構成によれば、ハウジング81aは、左右のフィンガ本体81b2、81c2よりも相対的に下方位置に配置される。これにより、金型格納ドラム60が回転した際に、格納スロット63に格納されたセンタ金型32が、ハウジング81aと干渉するといった事態を抑制することができる。
【0092】
本実施形態において、金型交換装置50は、左右のハンドを制御する制御装置をさらに有する。
【0093】
この構成によれば、制御装置100が左右のハンド81L、81Rを制御することで、センタ金型32の交換を適切に行うことができる。
【0094】
本実施形態において、制御装置100は、3つの状態間を遷移するように、左右のハンド81L、81Rの左右方向の移動と位置決めとを制御する。3つの状態は、左右のハンド81L、81Rのうち一方のハンドが前記格納スロットと対応する格納位置にいる状態、一方のハンド81R(81L)がセンタアーム72と対応する交換位置Pc2にいて、左右のハンド81L、81Rのうち他方のハンド81L(81R)が格納位置Pc1にいる状態、及び、他方のハンド81L(81R)が交換位置Pc2にいる状態、を含む。
【0095】
この構成によれば、左右のハンド81L、81Rの状態を1回遷移させるだけで、一方のハンド81R(81L)でセンタアーム72から使用済センタ金型32Bを取り外しつつ、他方のハンド81L(81R)でセンタアーム72に使用予定センタ金型32Aを装着することができる。これにより、センタアーム72に対するセンタ金型32の交換動作を効率的に行うことができるので、加工を行うことができない時間が長期化することを抑制することができる。
【0096】
本実施形態において、金型格納ドラム60は、センタ金型ユニット70よりも左側にシフトした位置に配置されている。制御装置100は、以下の(1a)~(8a)までの各工程を行う。
(1a)左右のハンド81L、81Rを右方向へ移動させて、右ハンド81Rが格納位置Pc1にいる状態から、右ハンド81Rが交換位置Pc2にいて左ハンド81Lが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(2a)左ハンド81Lを閉じて、格納スロット63に格納されている使用予定センタ金型32Aを左ハンド81Lで保持する。
(3a)右ハンド81Rを閉じて、跳上げ状態のセンタアーム72に装着されている使用済センタ金型32Bを右ハンド81Rで保持する。
(4a)左右のハンド81L、81Rを右方向へ移動させて、左ハンド81Lが交換位置Pc2にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(5a)左ハンド81Lを開いて使用予定センタ金型32Aをセンタアーム72に引き渡す。
(6a)左右のハンド81L、81Rを左方向へ移動させて、右ハンド81Rが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(7a)右ハンド81Rを開いて使用済センタ金型32Bを格納スロット63に引き渡す。
(8a)左右のハンド81L、81Rを右方向へ移動させて、右ハンド81Rが交換位置Pc2にいて左ハンド81Lが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
【0097】
この構成によれば、左ハンド81Lが使用予定センタ金型32Aを取り扱い、右ハンド81Rが使用済センタ金型32Bを取り扱うこととなる。これにより、左右のハンド81L、81Rの右方向への移動のなかで、右ハンド81Rでセンタアーム72から使用済センタ金型32Bを取り外しつつ、左ハンド81Lでセンタアーム72に使用予定センタ金型32Aを装着することができる。これにより、センタアーム72に対するセンタ金型32の交換動作を効率的に行うことができるので、加工を行うことができない時間が長期化することを抑制することができる。
【0098】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る折曲げ加工機1の金型交換装置50、及びその金型交換方法について説明する。第2の実施形態に係る折曲げ加工機1及び金型交換装置50の構成は、第1の実施形態のそれと同じであり、金型交換方法の流れが相違する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明を行う。
【0099】
図12は、第2の実施形態に係る金型交換方法を示す図である。第2の実施形態に係る金型交換方法において、ステップS10からステップS14までの工程は第1の実施形態と同じであるため、ステップS14に続くステップS15aの工程から説明を行う。
【0100】
ステップS15aにおいて、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを左方向に移動させ、左右のハンド81L、81Rを格納位置Pc1、交換位置Pc2にそれぞれ位置決めする。
【0101】
ステップS16aにおいて、制御装置100は、金型格納ドラム60を回転させて、新たな使用予定センタ金型32Cが格納された格納スロット63をドラム最下位置に位置決めする。制御装置100は左ハンド81Lを閉じて、左ハンド81Lで新たな使用予定センタ金型32Cを保持する。
【0102】
ステップS17aにおいて、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを左方向に移動させ、左右のハンド81L、81Rを左待機位置Pc3、格納位置Pc1にそれぞれ位置決めする。左右のハンド81L、81Rが位置決めされる過程で、新たな使用予定センタ金型32Cが格納スロット63から引き抜かれ、そして、使用済センタ金型32Bが格納スロット63に挿入される。
【0103】
ステップS18aにおいて、制御装置100は、右ハンド81Rを開いて、使用済センタ金型32Bを格納スロット63に引き渡す。使用済センタ金型32Bが引き渡されると、制御装置100は、金型格納ドラム60を動作させて、センタ金型32が格納されていない空の格納スロット63をドラム最下位置に配置する。
【0104】
ステップS19aにおいて、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを右方向に移動させ、左右のハンド81L、81Rを格納位置Pc1、交換位置Pc2にそれぞれ位置決めする。左ハンド81Lが格納位置Pc1に位置決めされる過程で、新たな使用予定センタ金型32Cが格納スロット63に一時的に挿入される。そして、新たな使用予定センタ金型32Cに対する金型交換動作を行うべく、第1の実施形態に示すステップS12以降の動作が行われる。
【0105】
本実施形態において、金型格納ドラム60は、センタ金型ユニット70よりも左側にシフトした位置に配置されている。制御装置100は、以下の(1b)~(10b)までの各工程を行う。
(1b)左右のハンド81L、81Rを右方向へ移動させて、右ハンド81Rが格納位置Pc1にいる状態から、右ハンド81Rが交換位置Pc2にいて左ハンド81Lが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(2b)左ハンド81Lを閉じて、格納スロット63に格納されている使用予定センタ金型32Aを左ハンド81Lで保持する。
(3b)右ハンド81Rを閉じて、跳上げ状態のセンタアーム72に装着されている使用済センタ金型32Bを右ハンド81Rで保持する。
(4b)左右のハンド81L、81Rを右方向へ移動させて、左ハンド81Lが交換位置Pc2にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(5b)左ハンド81Lを開いて使用予定センタ金型32Aをセンタアーム72に引き渡す。
(6b)左右のハンド81L、81Rを左方向へ移動させて、右ハンド81Rが交換位置Pc2にいて左ハンド81Lが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(7b)左ハンド81Lを閉じて、格納スロット63の新たな使用予定センタ金型32Cを左ハンド81Lで保持する。
(8b)左右のハンド81L、81Rを左方向へ移動させ、右ハンド81Rが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(9b)右ハンド81Rを開いて使用済センタ金型32Bを格納スロット63に引き渡す。
(10b)左右のハンド81L、81Rを右方向へ移動させて、右ハンド81Rが交換位置Pc2にいて左ハンド81Lが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
【0106】
この構成によれば、第1の実施形態と同様、左ハンド81Lが使用予定センタ金型32Aを取り扱い、右ハンド81Rが使用済センタ金型32Bを取り扱うこととなる。これにより、左右のハンド81L、81Rの右方向への移動のなかで、右ハンド81Rでセンタアーム72から使用済センタ金型32Bを取り外しつつ、左ハンド81Lでセンタアーム72に使用予定センタ金型32Aを装着することができる。これにより、センタアーム72に対するセンタ金型32の交換動作を効率的に行うことができるので、加工を行うことができない時間が長期化することを抑制することができる。
【0107】
加えて、右ハンド81Rが使用済センタ金型32Bを格納スロット63に格納する前に、左ハンド81Lで新たな使用予定センタ金型32Cを保持することができる。これにより、左ハンド81Lが、新たな使用予定センタ金型32Cをスムーズに受け取ることができる。
【0108】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る折曲げ加工機1の金型交換装置50、及びその金型交換方法について説明する。第3の実施形態に係る折曲げ加工機1及び金型交換装置50の構成は、第1の実施形態のそれと同じであり、金型交換方法の流れが相違する。具体的には、第1の実施形態では、使用予定センタ金型32Aを左ハンド81Lで取り扱うのに対して、第3の実施形態では、使用予定センタ金型32Aを右ハンド81Rで取り扱う。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明を行う。
【0109】
図13及び
図14を参照し、金型交換装置50による金型交換方法を説明する。
図13及び
図14は、第3の実施形態に係る金型交換方法を示す図である。この金型交換方法は、制御装置100の制御の下、実行される。
【0110】
図13に示すように、左ハンド81Lが左待機位置Pc3、右ハンド81Rが交換位置Pc2にある状態を、左右のハンド81L、81Rの初期状態とする(S20)。このとき、左右のハンド81L、81Rは、開いた状態にある。また、ドラム最下位置には、センタ金型32が格納されていない空の格納スロット63が配置されている。
【0111】
ステップS21において、制御装置100は、金型格納ドラム60を回転させて、使用予定センタ金型32Aが格納された格納スロット63をドラム最下位置に位置決めする。制御装置100は右ハンド81Rを閉じて、右ハンド81Rで使用予定センタ金型32Aを保持する。
【0112】
ステップS22において、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを右方向に移動させ、左右のハンド81L、81Rを交換位置Pc2、右待機位置Pc4にそれぞれ位置決めする。
【0113】
ステップS23において、制御装置100は、使用済センタ金型32Bが装着されているセンタアーム72を跳上げ状態まで旋回させる。センタアーム72の旋回後、制御装置100は、左ハンド81Lを閉じて、左ハンド81Lで使用済センタ金型32Bを保持する。制御装置100は、ピストン72c(
図7参照)を上方に引き上げて、センタアーム72に対する使用済センタ金型32Bの固定を解除する。
【0114】
図14のステップS24において、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rをそれぞれ左方向に移動させる。このとき、使用済センタ金型32Bはセンタアーム72から引き抜かれる。制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを格納位置Pc1、交換位置Pc2にそれぞれ位置決めする。左右のハンド81L、81Rが格納位置Pc1、交換位置Pc2にそれぞれ位置決めされる過程で、使用予定センタ金型32Aがセンタアーム72に挿入され、使用済センタ金型32Bが格納スロット63に挿入される。制御装置100は、ピストン72c(
図7参照)を下方に引き下げて、センタアーム72に対して使用予定センタ金型32Aを固定する。
【0115】
ステップS25において、制御装置100は、右ハンド81Rを開いて、使用予定センタ金型32Aをセンタアーム72に引き渡す。使用予定センタ金型32Aが引き渡されると、制御装置100は、使用予定センタ金型32Aが装着されているセンタアーム72を基準状態まで旋回させる。
【0116】
ステップS26において、制御装置100は、左ハンド81Lを開いて、使用済センタ金型32Bを格納スロット63に引き渡す。使用済センタ金型32Bが引き渡されると、制御装置100は、金型格納ドラム60を動作させて、センタ金型32が格納されていない空の格納スロット63をドラム最下位置に配置する。なお、ステップS26の処理は、ステップS25の処理と同時に行ってもよい。
【0117】
ステップS27において、制御装置100は、左右のハンド81L、81Rを左方向に移動させ、左右のハンド81L、81Rを左待機位置Pc3、格納位置Pc1にそれぞれ位置決めする。そして、新たな金型交換動作を行う場合には、上述したステップS21以降の動作が繰り替えされる。
【0118】
上述した一連の動作のうち、ステップS20~S22、S26~S27の工程は、折曲げ加工機1の加工動作時に実施される。一方、ステップS23~S25の工程は、折曲げ加工機1の非加工動作時に実施される。
【0119】
このように本実施形態において、金型格納ドラム60は、センタ金型ユニット70よりも左側にシフトした位置に配置されている。制御装置100は、以下の(1c)~(7c)までの各工程を行う。
(1c)右ハンド81Rが格納位置Pc1にいる状態で右ハンド81Rを閉じて、格納スロット63の使用予定センタ金型32Aを右ハンド81Rで保持する。
(2c)左右のハンド81L、81Rを右方向へ移動させて、左ハンド81Lが交換位置Pc2にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(3c)左ハンド81Lを閉じて、跳上げ状態のセンタアーム72に装着されている使用済センタ金型32Bを左ハンド81Lで保持する。
(4c)左右のハンド81L、81Rを左方向へ移動させて、右ハンド81Rが交換位置Pc2にいて左ハンド81Lが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
(5c)右ハンド81Rを開いて使用予定センタ金型32Aをセンタアーム72に引き渡す。
(6c)左ハンド81Lを開いて使用済センタ金型32Bを格納スロット63に引き渡す。
(7c)左右のハンド81L、81Rを左方向へ移動させ、右ハンド81Rが格納位置Pc1にいる状態へと左右のハンド81L、81Rを遷移させる。
【0120】
この構成によれば、右ハンド81Rが使用予定センタ金型32Aを取り扱い、左ハンド81Lが使用済センタ金型32Bを取り扱うことができる。これにより、一つのハンドでセンタ金型32を持ち替える場合のように金型格納ドラム60の回転を待機する必要がない。加えて、左右のハンド81L、81Rの左方向への移動のなかで、左ハンド81Lでセンタアーム72から使用済センタ金型32Bを取り外しつつ、右ハンド81Rでセンタアーム72に使用予定センタ金型32Aを装着することができる。これにより、センタアーム72に対するセンタ金型32の交換動作を効率的に行うことができるので、加工を行うことができない時間が長期化することを抑制することができる。
【0121】
以上の通り、第1から第3の実施形態に係る折曲げ加工機1の金型交換装置50について説明した。そして、折曲げ加工機1の金型交換方法も、本発明の一部として機能する。すなわち、折曲げ加工機1の金型交換装置50は、長さの異なる複数のセンタ金型32をそれぞれ格納可能な複数の格納スロット63を備えた金型格納ドラム60と、センタ金型32が装着可能なセンタアーム72を備え、センタアーム72が左右方向に延在する回転軸A1を中心に旋回することで、トップダイ30の一部としてセンタ金型32が整列する基準状態と、センタ金型32の交換が可能な跳上げ状態とで切り替え可能なセンタ金型ユニット70と、左右方向に並んで配置されて互いの距離を維持したまま左右方向に移動する左右のハンド81L、81Rを備え、左右のハンド81L、81Rの移動方向の延長線上に配置される格納スロットとセンタアームとの間で前記センタ金型を移送する移送ユニットと、を有する。この金型交換方法は、左右のハンド81L、81Rが、左右のハンド81L、81Rのうち一方のハンド81R(81L)が格納スロット63と対応する格納位置Pc1にいる状態、一方のハンド81R(81L)がセンタアーム72と対応する交換位置Pc2にいて左右のハンド81L、81Rのうち他方のハンド81L(81R)が格納位置Pc1にいる状態、及び他方のハンド81L(81R)が交換位置Pc2にいる状態、を含む3つの状態を遷移しながら、格納スロット63とセンタアーム72との間で前記センタ金型の交換を行う。
【0122】
本実施形態の金型交換方法によれば、格納スロット63及びセンタアーム72は、左右のハンド81L、81Rの移動方向の延長線上に配置されている。このため、左右のハンド81L、81Rは、使用済センタ金型32Bと、使用予定センタ金型32Aとをそれぞれ保持することができるので、金型格納ドラム60の回転を待機する必要がない。
【0123】
加えて、左右のハンド81L、81Rの状態を1回遷移させるだけで、一方のハンド81R(81L)でセンタアーム72から使用済センタ金型32Bを取り外しつつ、他方のハンド81L(81R)でセンタアーム72に使用予定センタ金型32Aを装着することができる。
【0124】
したがって、本実施形態の金型交換方法によれば、センタアーム72に対するセンタ金型32の交換動作を効率的に行うことができる。これにより、加工を行うことができない時間が長期化することを抑制することができる。
【0125】
なお、上述した各実施形態では、金型格納ドラム60は、センタ金型ユニット70よりも左側にシフトした位置に配置されている。しかしながら、金型格納ドラム60は、センタ金型ユニット70よりも右側にシフトした位置に配置されていてもよい。この場合、金型交換方法は、第1から第3の実施形態で説明した左右のハンド81L、81Rの動きを入れ替えて考えることができる。
【0126】
上記のように、本実施形態を記載したが、この実施形態の一部をなす論述及び図面はこの実施形態を限定するものであると理解すべきではない。この実施形態から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0127】
1 折曲げ加工機
10 下部フレーム
14 ボトムダイ
20 上部フレーム
30 トップダイ
32 センタ金型
34 基準金型
40 ベンドビーム
50 金型交換装置
60 金型格納ドラム
63 格納スロット
70 センタ金型ユニット
71 ユニットベース
72 センタアーム
80 移送ユニット
81L、81R 左右のハンド
81a ハウジング
81b、81c 左右のフィンガ
81b1、81c1 フィンガベース
81b2、81c2 フィンガ本体
100 制御装置
A1、A21、A22 回転軸
Da、Db、Dm 距離
Pc1 格納位置
Pc2 交換位置
Pc3 左待機位置
Pc4 右待機位置
W ワーク
【要約】
【課題】加工を行うことができない時間が長期化することを抑制する。
【解決手段】金型格納ドラム60は、長さの異なる複数のセンタ金型32をそれぞれ格納可能な複数の格納スロット63を備える。センタ金型ユニット70は、センタ金型32が装着可能なセンタアーム72を備え、センタアーム72が左右方向に延在する回転軸A1を中心に旋回することで、センタ金型32の交換が可能な跳上げ状態に切り替え可能である。移送ユニット80は、左右方向に並んで配置されて互いの距離を維持したまま左右方向に移動する左右のハンド81L、81Rを備える。移送ユニット80は、左右のハンド81L、81Rの移動方向の延長線上に配置される格納スロットとセンタアームとの間でセンタ金型32を移送する。左右のハンド81L、81Rの移動方向は、格納スロット63及びセンタアーム72に対するセンタ金型32の挿抜方向と対応している。
【選択図】
図1