(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】空気イオン化表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 13/39 20180101AFI20240816BHJP
H01S 3/23 20060101ALI20240816BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H04N13/39
H01S3/23
H01S3/00 Z
(21)【出願番号】P 2023101930
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021549105の分割
【原出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】202010057978.7
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020125167.1
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010048268.8
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020099626.3
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010049368.2
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020125100.8
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521009979
【氏名又は名称】安徽省東超科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI EASPEED TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Level 1, Building A3, Chuanggu Technology Park, No. 900 Wangjiang West Road, High-Tech District, Hefei, Anhui 230088, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】範 超
(72)【発明者】
【氏名】韓 東成
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-233339(JP,A)
【文献】特開2009-186654(JP,A)
【文献】特開2007-206588(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0001429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/39
G09F 9/00 - 9/46
G09G 3/00 - 5/42
H01S 3/23
H01S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光源モジュールと、光場調整制御モジュールとを含み、
前記パルス光源モジュールは、同期の複数のパルス光ビームを発生させるために使用され、
複数の前記パルス光ビームが前記光場調整制御モジュールに投射され、前記光場調整制御モジュールは複数の前記パルス光ビームを調整して集束し、表示領域で空気をイオン化してホログラフィック実像を形成
し、
前記パルス光源モジュールは、複数のパルス光源と、第1ビームコンバイナとを含み、
前記複数のパルス光源は、それぞれパルス光ビームを発生させるために使用され、
複数の前記パルス光源によって発生した光ビームはすべて、前記第1ビームコンバイナに投射されて1つの光ビームに併合され、併合された光ビームは、前記光場調整制御モジュールに投射され、
第1パルス時間遅延モニターと、少なくとも1つの第1時間遅延線とをさらに含み、
前記第1パルス時間遅延モニターは、前記第1ビームコンバイナと前記光場調整制御モジュールとの間に配置され、前記第1ビームコンバイナから射出される光ビームのパルス遅延信号を監視するために使用され、
前記第1時間遅延線は、前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に配置され、前記第1パルス時間遅延モニターに信号接続され、前記第1パルス時間遅延モニターからのフィードバック情報に基づいて、前記パルス光源の光ビーム出力のパルス時間遅延を補償するために使用される、ことを特徴とする空気イオン化表示装置。
【請求項2】
第1繰返し周波数調整アセンブリをさらに含み、前記第1繰返し周波数調整アセンブリは、前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に配置され、前記複数のパルス光源の出力パルスの繰返し周波数を調整するために使用される、ことを特徴とする請求項
1に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項3】
前記第1繰返し周波数調整アセンブリは、複数の第1光電検出器と、第1周波数参照源と、第1サーボコントローラとを含み、
複数の前記第1光電検出器は、複数の前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に1対1対応で配置され、前記パルス光源の繰返し周波数を検出するために使用され、
前記第1周波数参照源は、周波数の参照標準を提供するために使用され、
前記第1サーボコントローラは、前記第1光電検出器、前記第1周波数参照源及び前記パルス光源に信号接続され、前記第1光電検出器が受信したパルス繰返し周波数信号及び前記第1周波数参照源の参照周波数に基づいて、前記パルス光源の出力パルスの繰返し周波数を制御するために使用される、ことを特徴とする請求項
2に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項4】
前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に第1光スプリッターが設けられ、複数の前記第1光スプリッターは、複数の前記パルス光源の光ビームの一部を複数の前記第1光電検出器に1対1対応で反射する、ことを特徴とする請求項
3に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項5】
前記第1光スプリッターの透過率はA1であり、99%≦A1≦99.5%であり、前記第1光スプリッターの反射率はA2であり、0.5%≦A2≦1%である、ことを特徴とする請求項
4に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項6】
前記第1時間遅延線の数は、前記パルス光源の数よりも1つ少なく、前記第1時間遅延線は、同じ数の前記パルス光源に1対1対応する、ことを特徴とする請求項
1に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項7】
前記第1ビームコンバイナと光場調整制御
モジュールとの間に第2光スプリッターが設けられ、前記第2光スプリッターは、前記第1ビームコンバイナから射出された光ビームの一部を前記第1パルス時間遅延モニターに反射する、ことを特徴とする請求項
6に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項8】
前記第2光スプリッターの透過率はA3であり、98%≦A3≦99.5%であり、前記第2光スプリッターの反射率はA4であり、0.5%≦A4≦2%である、ことを特徴とする請求項
7に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項9】
前記第1ビームコンバイナは複数あり、前記第1ビームコンバイナの数は、前記パルス光源の数よりも1つ少なく、複数の前記第1ビームコンバイナは、1つの前記パルス光源から射出された光ビームに沿って間隔をおいて配置され、残りの前記パルス光源から射出された光ビームは、複数の前記第1ビームコンバイナに1対1対応で投射され、複数の前記パルス光源から射出された光ビームは1つの光ビームに併合される、ことを特徴とする請求項
1~8のいずれか一項に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項10】
複数の第1反射鏡をさらに含み、前記第1反射鏡は、前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に配置され、前記パルス光ビームの透射光ビームを前記第1ビームコンバイナに反射するために使用される、ことを特徴とする請求項
1~8のいずれか一項に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項11】
前記第1反射鏡の数は、前記パルス光源の数よりも1つ少ない、ことを特徴とする請求項
10に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項12】
複数の前記パルス光源の繰返し周波数は同じであり、前記パルス光源のパルス幅は50fs~100nsであり、前記パルス光源のパルスエネルギーは20μJ~10mJであり、前記パルス光源の繰返し周波数は500Hz~10MHzである、ことを特徴とする請求項
1~8のいずれか一項に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項13】
前記パルス光源モジュールは、パルスシード源と、光分岐カプラと、第2ビームコンバイナとを含み、
前記パルスシード源はパルス光ビームを発生させ、
前記光分岐カプラは、前記パルス光ビームの光路に配置され、前記パルス光ビームを複数のサブ光ビームに分割して、複数のパルス光ビームを生成するために使用され、
複数の前記サブ光ビームはすべて、前記第2ビームコンバイナに投射されて1つの光ビームに併合され、併合された光ビームは、前記光場調整制御モジュールに投射される、ことを特徴とする請求項1に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項14】
複数のパルス増幅モジュールをさらに含み、複数の前記パルス増幅モジュールは、複数の前記サブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、前記サブ光ビームのパルスを増幅するために使用され、前記パルス増幅モジュールは、前記第2ビームコンバイナと前記光分岐カプラとの間に位置する、ことを特徴とする請求項
13に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項15】
複数の第2時間遅延線をさらに含み、複数の前記第2時間遅延線は、複数の前記サブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、前記第2時間遅延線は、前記パルス増幅モジュールと前記第2ビームコンバイナとの間に位置し、前記第2時間遅延線は、複数の前記サブ光ビームが前記第2ビームコンバイナによって結合された後に、光ビーム中の複数のパルス時間が一致するように、前記サブ光ビームのパルス時間位置を調整するために使用される、ことを特徴とする請求項
14に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項16】
複数のパルス圧縮装置をさらに含み、複数の前記パルス圧縮装置は、複数の前記サブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、前記パルス圧縮装置は、前記パルス増幅モジュールと前記第2時間遅延線との間に位置し、前記パルス圧縮装置は、前記サブ光ビームのパルス幅を圧縮して、前記サブ光ビームのパルス光のピークパワーを高めるために使用される、ことを特徴とする請求項
15に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項17】
複数の光ビームコリメータ装置をさらに含み、複数の前記光ビームコリメータ装置は、複数の前記サブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、前記光ビームコリメータ装置は、前記パルス圧縮装置と前記第2時間遅延線との間に位置し、前記光ビームコリメータ装置は、前記サブ光ビームを調整して、結合後にイオン化閾値を満たすコリメート光ビームにするために使用される、ことを特徴とする請求項
16に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項18】
前記第2ビームコンバイナは複数あり、前記第2ビームコンバイナの数は、前記サブ光ビームの数よりも1つ少なく、複数の前記第2ビームコンバイナは、1つの前記サブ光ビームに沿って間隔をおいて配置され、残りの前記サブ光ビームは、複数の前記第2ビームコンバイナに1対1対応で投射され、複数の前記サブ光ビームは1つの光ビームに併合される、ことを特徴とする請求項
13~17のいずれか一項に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項19】
複数の第2反射鏡をさらに含み、前記第2反射鏡の数は、前記第2ビームコンバイナの数と同じであり、複数の前記第2反射鏡は、複数の前記第2時間遅延線と複数の前記第2ビームコンバイナとの間に1対1対応で配置され、前記サブ光ビームを前記第2ビームコンバイナに反射するために使用される、ことを特徴とする請求項
17に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項20】
水冷式放熱器をさらに含み、前記水冷式放熱器は、前記パルスシード源、前記光分岐カプラ、前記パルス増幅モジュール、前記パルス圧縮装置及び前記光ビームコリメータ装置に接続され、前記パルスシード源、前記光分岐カプラ、前記パルス増幅モジュール、前記パルス圧縮装置及び前記光ビームコリメータ装置を放熱するために使用される、ことを特徴とする請求項
19に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項21】
パルス光源箱体と、温度センサと、コントローラーとをさらに含み、
前記パルスシード源、前記光分岐カプラ、前記パルス増幅モジュール、前記パルス圧縮装置及び前記光ビームコリメータ装置はいずれも前記パルス光源箱体内に配置され、前記パルス光源箱体には、前記サブ光ビームが通過するための複数の光出口が形成され、
前記温度センサは、前記パルス光源箱体内に配置され、前記パルス光源箱体の内部の温度を検出するために使用され、
前記コントローラーは、前記温度センサ及び前記水冷式放熱器に信号接続され、前記パルス光源箱体内の温度を制御するために使用される、ことを特徴とする請求項
20に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項22】
前記コントローラーは、前記サブ光ビームの出力パラメーターを制御するために、前記パルスシード源、前記光分岐カプラ、前記パルス増幅モジュール、前記パルス圧縮装置及び前記光ビームコリメータ装置に信号接続される、ことを特徴とする請求項
21に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項23】
前記パルス増幅モジュールは、前置増幅モジュールと主増幅モジュールを含み、前記前置増幅モジュールは、前記主増幅モジュールと前記光分岐カプラとの間に位置する、ことを特徴とする請求項
14に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項24】
複数の前記サブ光ビームのパルスのパルス幅は10fs~100nsであり、パルスエネルギーは10μJ~100mJであり、パルス繰返し周波数は50Hz~10MHzである、ことを特徴とする請求項
13に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項25】
前記光場調整制御
モジュールは、振動ミラーアセンブリと、レンズアセンブリと、空間光変調器とを含み、
併合された光ビームは、前記振動ミラーアセンブリに投射され、前記振動ミラーアセンブリは、光ビームの方向を調整し、
前記振動ミラーアセンブリから射出された光ビームは、前記レンズアセンブリに投射され、前記レンズアセンブリは、光ビームを前記レンズアセンブリの焦点位置に集束し、空気をイオン化して実像を形成し、
前記空間光変調器は、ビームコンバイナと前記振動ミラーアセンブリとの間に位置し、光ビームのパラメーターを調整するために使用され、前記ビームコンバイナは、第1ビームコンバイナ又は第2ビームコンバイナである、ことを特徴とする請求項
1又は
13に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項26】
前記パルス光源モジュールは、
それぞれパルス光ビームを発生させるための複数のパルス光源を含み、
各前記パルス光源のパルスエネルギーは、空気イオン化閾値よりも小さく、複数の前記パルス光源のパルスエネルギーの合計は、空気イオン化閾値よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項27】
第2繰返し周波数調整アセンブリをさらに含み、前記第2繰返し周波数調整アセンブリは、前記パルス光源と前記表示領域との間に配置され、前記複数のパルス光源の繰返し周波数を調整するために使用される、ことを特徴とする請求項
26に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項28】
前記第2繰返し周波数調整アセンブリは、複数の第2光電検出器と、第2周波数参照源と、第2サーボコントローラとを含み、
複数の前記第2光電検出器は、複数の前記パルス光源と前記表示領域との間に1対1対応で配置され、前記パルス光源の繰返し周波数を検出するために使用され、
前記第2周波数参照源は、周波数参照標準を提供するために使用され、
前記第2サーボコントローラは、前記第2光電検出器、前記第2周波数参照源、及び前記パルス光源に信号接続され、前記第2光電検出器からのフィードバック情報及び前記第2周波数参照源からのフィードバック情報に基づいて、前記パルス光源の出力パルスの繰返し周波数を制御するために使用される、ことを特徴とする請求項
27に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項29】
前記パルス光源と前記表示領域との間に第3光スプリッターが設けられ、複数の前記第3光スプリッターは、複数の前記パルス光源の光ビームの一部を複数の前記第2光電検出器に1対1対応で反射する、ことを特徴とする請求項
28に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項30】
各前記パルス光源はパルス発生器を含み、前記パルス発生器は、パルス光ビームを発生させるために使用され、
前記光場調整制御モジュールは、複数の前記パルス光源に1対1対応する光場調整制御器を含み、前記光場調整制御器は、対応する前記パルス発生器と前記表示領域との間に位置し、前記パルス発生器によって発生したパルス光ビームは、前記光場調整制御器に照射され、前記光場調整制御器によって前記表示領域に投射され、前記第3光スプリッターは、対応する前記パルス発生器と前記光場調整制御器との間に位置する、ことを特徴とする請求項
29に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項31】
前記パルス光源モジュールは、第2パルス時間遅延モニターと、第3時間遅延線とをさらに含み、
前記第2パルス時間遅延モニターは、複数の前記パルス光源と前記表示領域との間に配置され、前記パルス光源のパルス遅延信号を監視するために使用され、
前記第3時間遅延線は、前記パルス発生器と前記光場調整制御器との間に配置され、前記第2パルス時間遅延モニターに信号接続され、前記第2パルス時間遅延モニターからのフィードバック情報に基づいて、前記パルス光源から射出された光ビームのパルス時間遅延を補償するために使用される、ことを特徴とする請求項
30に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項32】
前記第3時間遅延線の数は、前記パルス光源の数と同じであり、複数の前記第3時間遅延線は、複数の前記パルス光源に1対1対応する、ことを特徴とする請求項
31に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項33】
前記第3光スプリッターと前記
第2光電検出器との間に第4光スプリッターが設けられ、前記第4光スプリッターは、前記第3光スプリッターで反射された光ビームの一部を前記第2パルス時間遅延モニターに反射する、ことを特徴とする請求項
32に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項34】
前記第4光スプリッターは複数あり、1つの前記第4光スプリッターと前記第2パルス時間遅延モニターとの間に第3ビームコンバイナが設けられ、残りの前記第4光スプリッターと前記第3ビームコンバイナとの間に第3反射鏡が設けられ、前記第3反射鏡は、前記第4光スプリッターによって投射された光ビームを前記第3ビームコンバイナに反射するために使用される、ことを特徴とする請求項
33に記載の空気イオン化表示装置。
【請求項35】
複数の前記パルス光源の繰返し周波数は同じであり、前記パルス光源のパルス幅は50fs~100nsであり、前記パルス光源のパルスエネルギーは20μJ~10mJであり、前記パルス光源の繰返し周波数は500Hz~10MHzである、ことを特徴とする請求項
26~34のいずれか一項に記載の空気イオン化表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、安徽省東超科技有限公司により2020年1月16日に提出された、名称を「空気イオン化表示装置」とする中国特許出願第「2020100579787」と「2020201251671」、「2020100482688」と「2020200996263」及び「2020100493682」と「2020201251008」の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、空気イオン化技術の分野に関し、具体的には、空気イオン化表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
空気イオン化結像システムは、結像中に、レンズを使用して光ビームを収束させ、レンズの焦点で空気をイオン化して光点を形成する。空気イオン化を形成するために必要なパルスの単位面積当たりの光パワー閾値が比較的高いため、各イオン化点で空間光変調器によって光場を変調して形成された集束点の数は、パルスパワーによって制限される。即ち、表示画面の画素は、パルスパワーの大きさによって制限される。表示画面の画素を増加させるために、光源の出力パルスパワーを大きくする必要があるが、従来技術では、光源の出力パルスパワーを大幅に大きくすることが困難であるため、空気イオン化システムの表示画面の画素を増加させることが困難になる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、従来技術における技術的問題の少なくとも1つを解決することを目的としている。そのため、本開示は、空気イオン化表示装置を提供する。前記空気イオン化表示装置は、パルス光源モジュールによって多重光ビームを提供し、多重光ビームはエネルギーを大きくする、即ち、光源の出力パルスパワーを大きくするので、空気イオン化表示画面の画素を増加させることができる。
【0005】
本開示の実施例の空気イオン化表示装置は、パルス光源モジュールと、光場調整制御モジュールとを含み、前記パルス光源モジュールは、同期の複数のパルス光ビームを発生させるために使用され、複数の前記パルス光ビームが前記光場調整制御モジュールに投射され、前記光場調整制御モジュールは前記パルス光ビームを調整して集束し、表示領域で空気をイオン化してホログラフィック実像を形成する。
【0006】
本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置は、パルス光源モジュールによって複数のパルス光ビームを提供し、光源エネルギーを大きくする、即ち、光源の出力パルスパワーを大きくすることができる。それにより、各イオン化点で光場調整制御モジュールによって調整して集束された集束点の数が増加するので、表示画面の画素が増加し、表示画面の鮮明さが向上する。
【0007】
幾つかの実施例では、前記パルス光源モジュールは、それぞれパルス光ビームを発生させるための複数のパルス光源と、第1ビームコンバイナとを含み、複数の前記パルス光源によって発生した光ビームはすべて、前記第1ビームコンバイナに投射されて1つの光ビームに併合され、併合された光ビームは、前記光場調整制御モジュールに投射される。
【0008】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、第1繰返し周波数調整アセンブリをさらに含み、前記第1繰返し周波数調整アセンブリは、前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に配置され、前記複数のパルス光源の出力パルスの繰返し周波数を調整するために使用される。
【0009】
幾つかの実施例では、前記第1繰返し周波数調整アセンブリは、複数の第1光電検出器と、第1周波数参照源と、第1サーボコントローラとを含み、複数の前記第1光電検出器は、複数の前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に1対1対応で配置され、前記パルス光源の繰返し周波数を検出するために使用され、前記第1周波数参照源は、周波数の参照標準を提供するために使用され、前記第1サーボコントローラは、前記第1光電検出器、前記第1周波数参照源及び前記パルス光源に信号接続され、前記第1光電検出器が受信したパルス繰返し周波数信号及び前記第1周波数参照源の参照周波数に基づいて、前記パルス光源の出力パルスの繰返し周波数を制御するために使用される。
【0010】
幾つかの実施例では、前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に第1光スプリッターが設けられ、複数の前記第1光スプリッターは、複数の前記パルス光源の光ビームの一部を複数の前記第1光電検出器に1対1対応で反射する。
【0011】
幾つかの実施例では、前記第1光スプリッターの透過率はA1であり、99%≦A1≦99.5%であり、前記第1光スプリッターの反射率はA2であり、0.5%≦A2≦1%である。
【0012】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、第1パルス時間遅延モニターと、少なくとも1つの第1時間遅延線とをさらに含み、前記第1パルス時間遅延モニターは、前記第1ビームコンバイナと前記光場調整制御モジュールとの間に配置され、前記第1ビームコンバイナから射出される光ビームのパルス遅延信号を監視するために使用され、前記第1時間遅延線は、前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に配置され、前記第1パルス時間遅延モニターに信号接続され、前記第1パルス時間遅延モニターからのフィードバック情報に基づいて、前記パルス光源の光ビーム出力のパルス時間遅延を補償するために使用される。
【0013】
幾つかの実施例では、前記第1時間遅延線の数は、前記パルス光源の数よりも1つ少なく、前記第1時間遅延線は、同じ数の前記パルス光源に1対1対応する。
【0014】
幾つかの実施例では、前記第1ビームコンバイナと前記光場調整制御アセンブリとの間に第2光スプリッターが設けられ、前記第2光スプリッターは、前記第1ビームコンバイナから射出された光ビームの一部を前記第1パルス時間遅延モニターに反射する。
【0015】
幾つかの実施例では、前記第2光スプリッターの透過率はA3であり、98%≦A3≦99.5%であり、前記第2光スプリッターの反射率はA4であり、0.5%≦A4≦2%である。
【0016】
幾つかの実施例では、前記第1ビームコンバイナは複数あり、前記第1ビームコンバイナの数は、前記パルス光源の数よりも1つ少なく、複数の前記第1ビームコンバイナは、1つの前記パルス光源から射出された光ビームに沿って間隔をおいて配置され、残りの前記パルス光源から射出された光ビームは、複数の前記第1ビームコンバイナに1対1対応で投射され、複数の前記パルス光源から射出された光ビームは1つの光ビームに併合される。
【0017】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、複数の第1反射鏡をさらに含み、前記第1反射鏡は、前記パルス光源と前記第1ビームコンバイナとの間に配置され、前記パルス光ビームの透射光ビームを前記第1ビームコンバイナに反射するために使用される。
【0018】
幾つかの実施例では、前記第1反射鏡の数は、前記パルス光源の数よりも1つ少ない。
【0019】
幾つかの実施例では、複数の前記パルス光源の繰返し周波数は同じであり、前記パルス光源のパルス幅は50fs~100nsであり、前記パルス光源のパルスエネルギーは20μJ~10mJであり、前記パルス光源の繰返し周波数は500Hz~10MHzである。
【0020】
幾つかの実施例では、前記パルス光源モジュールは、パルスシード源と、光分岐カプラと、第2ビームコンバイナとを含み、前記パルスシード源はパルス光ビームを発生させ、前記光分岐カプラは、前記パルス光ビームの光路に配置され、前記パルス光ビームを複数のサブ光ビームに分割して、複数のパルス光ビームを生成するために使用され、複数の前記サブ光ビームはすべて、前記第2ビームコンバイナに投射されて1つの光ビームに併合され、併合された光ビームは、前記光場調整制御モジュールに投射される。
【0021】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、複数のパルス増幅モジュールをさらに含み、複数の前記パルス増幅モジュールは、複数の前記サブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、前記サブ光ビームのパルスを増幅するために使用され、前記パルス増幅モジュールは、前記第2ビームコンバイナと前記光分岐カプラとの間に位置する。
【0022】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、
複数の第2時間遅延線をさらに含み、複数の前記第2時間遅延線は、複数の前記サブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、前記第2時間遅延線は、前記パルス増幅モジュールと前記第2ビームコンバイナとの間に位置し、前記第2時間遅延線は、複数の前記サブ光ビームが前記第2ビームコンバイナによって結合された後に、光ビーム中の複数のパルス時間が一致するように、前記サブ光ビームのパルス時間位置を調整するために使用される。
【0023】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、複数のパルス圧縮装置をさらに含み、複数の前記パルス圧縮装置は、複数の前記サブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、前記パルス圧縮装置は、前記パルス増幅モジュールと前記第2時間遅延線との間に位置し、前記パルス圧縮装置は、前記サブ光ビームのパルス幅を圧縮して、前記サブ光ビームのパルス光のピークパワーを高めるために使用される。
【0024】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、複数の光ビームコリメータ装置をさらに含み、複数の前記光ビームコリメータ装置は、複数の前記サブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、前記光ビームコリメータ装置は、前記パルス圧縮装置と前記第2時間遅延線との間に位置し、前記光ビームコリメータ装置は、前記サブ光ビームを調整して、結合後にイオン化閾値を満たすコリメート光ビームにするために使用される。
【0025】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、複数の前記第2ビームコンバイナをさらに含み、前記第2ビームコンバイナの数は、前記サブ光ビームの数よりも1つ少なく、複数の前記第2ビームコンバイナは、1つの前記サブ光ビームに沿って間隔をおいて配置され、残りの前記サブ光ビームは、複数の前記第2ビームコンバイナに1対1対応で投射され、複数の前記サブ光ビームは1つの光ビームに併合される。
【0026】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、複数の第2反射鏡をさらに含み、前記第2反射鏡の数は、前記第2ビームコンバイナの数と同じであり、複数の前記第2反射鏡は、複数の前記第2時間遅延線と複数の前記第2ビームコンバイナとの間に1対1対応で配置され、前記サブ光ビームを前記第2ビームコンバイナに反射するために使用される。
【0027】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、水冷式放熱器をさらに含み、前記水冷式放熱器は、前記パルスシード源、前記光分岐カプラ、前記パルス増幅モジュール、前記パルス圧縮装置及び前記光ビームコリメータ装置に接続され、前記パルスシード源、前記光分岐カプラ、前記パルス増幅モジュール、前記パルス圧縮装置及び前記光ビームコリメータ装置を放熱するために使用される。
【0028】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、パルス光源箱体と、温度センサと、コントローラーとをさらに含み、前記パルスシード源、前記光分岐カプラ、前記パルス増幅モジュール、前記パルス圧縮装置及び前記光ビームコリメータ装置はいずれも前記パルス光源箱体内に配置され、前記パルス光源箱体には、前記サブ光ビームが通過するための複数の光出口が形成され、前記温度センサは、前記パルス光源箱体内に配置され、前記パルス光源箱体の内部の温度を検出するために使用され、前記コントローラーは、前記温度センサ及び前記水冷式放熱器に信号接続され、前記パルス光源箱体内の温度を制御するために使用される。
【0029】
幾つかの実施例では、前記コントローラーは、前記サブ光ビームの出力パラメーターを制御するために、前記パルスシード源、前記光分岐カプラ、前記パルス増幅モジュール、前記パルス圧縮装置及び前記光ビームコリメータ装置に信号接続される。
【0030】
幾つかの実施例では、前記パルス増幅モジュールは、前置増幅モジュールと主増幅モジュールを含み、前記前置増幅モジュールは、前記主増幅モジュールと前記光分岐カプラとの間に位置する。
【0031】
幾つかの実施例では、複数の前記サブ光ビームのパルスのパルス幅は10fs~100nsであり、パルスエネルギーは10μJ~100mJであり、パルス繰返し周波数は50Hz~10MHzである。
【0032】
幾つかの実施例では、前記光場調整制御アセンブリは、振動ミラーアセンブリと、レンズアセンブリと、空間光変調器とを含み、併合された光ビームは、前記振動ミラーアセンブリに投射され、前記振動ミラーアセンブリは、光ビームの方向を調整し、前記振動ミラーアセンブリから射出された光ビームは、前記レンズアセンブリに投射され、前記レンズアセンブリは、光ビームを前記レンズアセンブリの焦点位置に集束し、空気をイオン化して実像を形成し、前記空間光変調器は、ビームコンバイナと前記振動ミラーアセンブリとの間に位置し、光ビームのパラメーターを調整するために使用され、前記ビームコンバイナは、第1ビームコンバイナ又は第2ビームコンバイナである。
【0033】
幾つかの実施例では、前記パルス光源モジュールは、それぞれパルス光ビームを発生させるための複数のパルス光源を含み、各前記パルス光源のパルスエネルギーは、空気イオン化閾値よりも小さく、複数の前記パルス光源のパルスエネルギーの合計は、空気イオン化閾値よりも大きい。
【0034】
幾つかの実施例では、前記空気イオン化表示装置は、第2繰返し周波数調整アセンブリをさらに含み、前記第2繰返し周波数調整アセンブリは、前記パルス光源と前記表示領域との間に配置され、前記複数のパルス光源の繰返し周波数を調整するために使用される。
【0035】
幾つかの実施例では、前記第2繰返し周波数調整アセンブリは、複数の第2光電検出器と、第2周波数参照源と、第2サーボコントローラとを含み、複数の前記第2光電検出器は、複数の前記パルス光源と前記表示領域との間に1対1対応で配置され、前記パルス光源の繰返し周波数を検出するために使用され、前記第2周波数参照源は、周波数参照標準を提供するために使用され、前記第2サーボコントローラは、前記第2光電検出器、前記第2周波数参照源、及び前記パルス光源に信号接続され、前記第2光電検出器からのフィードバック情報及び前記第2周波数参照源からのフィードバック情報に基づいて、前記パルス光源の出力パルスの繰返し周波数を制御するために使用される。
【0036】
幾つかの実施例では、前記パルス光源と前記表示領域との間に第3光スプリッターが設けられ、複数の前記第3光スプリッターは、複数の前記パルス光源の光ビームの一部を複数の前記第2光電検出器に1対1対応で反射する。
【0037】
幾つかの実施例では、各前記パルス光源はパルス発生器を含み、前記パルス発生器は、パルス光ビームを発生させるために使用され、前記光場調整制御モジュールは、複数の前記パルス光源に1対1対応する光場調整制御器を含み、前記光場調整制御器は、対応する前記パルス発生器と前記表示領域との間に位置し、前記パルス発生器によって発生したパルス光ビームは、前記光場調整制御器に照射され、前記光場調整制御器によって前記表示領域に投射され、前記第3光スプリッターは、対応する前記パルス発生器と前記光場調整制御器との間に位置する。
【0038】
幾つかの実施例では、前記パルス光源モジュールは、第2パルス時間遅延モニターと第3時間遅延線をさらに含み、前記第2パルス時間遅延モニターは、複数の前記パルス光源と前記表示領域との間に配置され、前記パルス光源のパルス遅延信号を監視するために使用され、前記第3時間遅延線は、前記パルス発生器と前記光場調整制御器との間に配置され、前記第2パルス時間遅延モニターに信号接続され、前記第2パルス時間遅延モニターからのフィードバック情報に基づいて、前記パルス光源から射出される光ビームのパルス時間遅延を補償するために使用される。
【0039】
幾つかの実施例では、前記第3時間遅延線の数は、前記パルス光源の数と同じであり、複数の前記第3時間遅延線は、複数の前記パルス光源に1対1対応する。
【0040】
幾つかの実施例では、前記第3光スプリッターと前記光電検出器との間に第4光スプリッターが設けられ、前記第4光スプリッターは、前記第3光スプリッターで反射された光ビームの一部を前記第2パルス時間遅延モニターに反射する。
【0041】
幾つかの実施例では、前記第4光スプリッターは複数あり、1つの前記第4光スプリッターと前記第2パルス時間遅延モニターとの間に第3ビームコンバイナが設けられ、残りの前記第4光スプリッターと前記第3ビームコンバイナとの間に第3反射鏡が設けられ、前記第3反射鏡は、前記第4光スプリッターによって投射された光ビームを前記第3ビームコンバイナに反射するために使用される。
【0042】
幾つかの実施例では、複数の前記パルス光源の繰返し周波数は同じであり、前記パルス光源のパルス幅は50fs~100nsであり、前記パルス光源のパルスエネルギーは20μJ~10mJであり、前記パルス光源の繰返し周波数は500Hz~10MHzである。
【0043】
本開示の追加の態様及び利点は、部分的に以下の説明で与えられ、部分的に以下の説明から明らかになるか、又は本開示の実施により知られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本開示の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面と併せた実施例の説明から、明らかになり、理解しやすくなる。
【
図1】本開示の一実施例に係る空気イオン化表示装置のブロック図である。
【
図2】本開示の一実施例に係る双光源空気イオン化表示装置の構造模式図である。
【
図3】本開示の一実施例に係る三光源空気イオン化表示装置の構造模式図である。
【
図4】本開示の一実施例に係る2つのサブ光ビームの空気イオン化表示装置の構造模式図である。
【
図5】本開示の一実施例に係る空気イオン化表示装置の構造模式図である。
【
図6】本開示の一実施例に係るパルス光源の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下では、本開示の実施例を詳細に説明し、例示的な実施例を添付の図面に示す。同じ又は類似の符号は、同じ又は類似の要素、あるいは同じ又は類似の機能を有する要素を示す。添付の図面を参照しながら以下に説明する実施例は例示的なものであり、本開示を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものとして理解されるべきではない。
【0046】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置を説明する。
【0047】
図1は、本開示の一実施例に係る空気イオン化表示装置のブロック図である。
図1に示すように、本開示の実施例の空気イオン化表示装置100は、パルス光源モジュール1と光場調整制御モジュール2を含む。
【0048】
パルス光源モジュール1は、同期の複数のパルス光ビームを発生させるために使用される。例えば、パルス光源モジュール1は、同時に複数のパルス光ビームを放出する。同時に複数のパルス光ビームを提供することにより、光源エネルギーを大きくすることができる。複数のパルス光ビームは、光場調整制御モジュール2に投射され、光場調整制御モジュール2は、パルス光ビームを調整して集束し、表示領域で空気をイオン化してホログラフィック実像を形成する。
【0049】
光場調整制御モジュール2は、光ビームの方向を変更することができ、また、レンズを使用して光ビームを集束することができる。光ビームのエネルギーが焦点で集中することにより、空気をイオン化することができる。光ビーム方向の揺れに伴って、それに応じてイオン化点の位置が変化し、さらに、ホログラフィック実像を形成することができる。
【0050】
従来技術における空気イオン化表示装置は、ほとんどが単一のパルス光源を採用している。パルス光源のパワーが限られているため、表示画面の画素はユーザーの使用要求を満たすことができない。表示画面の画素を増加させ、図像の鮮明さを向上させるためには、パルス光源の出力パルスパワーをさらに大きくする必要がある。
【0051】
そのため、本開示の実施例の空気イオン化表示装置100は、パルス電源の数を増加させ、同期の複数のパルス光ビームを提供することで、パルス光源のエネルギーを大きくする、即ち、光源の出力パルスパワーを大きくすることができる。それにより、光場調整制御モジュール2によって調整して集束された集束点の数が増加するので、表示画面の画素が増加し、表示画面の鮮明さが向上する。
【0052】
本開示の実施例では、パルス電源モジュール1が同期の複数のパルス光ビームを発生させるための実現方法は複数あり、以下に異なる実施例で説明される。
【0053】
幾つかの実施例では、パルス光源モジュール1は、複数のパルス光源とビームコンバイナを含む。以下、
図2と
図3を参照しながら、パルス光源モジュール1に基づいた空気イオン化表示装置を説明する。
【0054】
図2に示すように、パルス光源モジュール1は、複数のパルス光源10及び第1ビームコンバイナ11を含む。複数のパルス光源10はそれぞれパルス光ビームを発生させるために使用される。複数のパルス光源によって発生した光ビームはすべて第1ビームコンバイナ11に投射されて1つの光ビームに併合され、併合された光ビームは、光場調整制御モジュール2に投射される。
【0055】
本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置100は、パルス光源10の数を増加させ、即ち、複数のパルス光ビームを提供し、第1ビームコンバイナ11を使用して複数のパルス光源10の光ビームを併合することで、複数のパルス光源10から出力された複数のパルスが表示領域200の同一位置に同一タイミングで出現し、空気をイオン化することを保証することができる。即ち、複数のパルス光源10から出力された複数のパルスの空間的同期及び時間的同期の問題が解決される。さらに、空気イオン化表示画面の画素を倍増し、画面の明瞭さを向上させ、ユーザーに良好な使用体験をもたらすことができる。
【0056】
幾つかの実施例では、
図2に示すように、空気イオン化表示装置100は、第1繰返し周波数調整アセンブリ3をさらに含む。第1繰返し周波数調整アセンブリ3は、パルス光源10と第1ビームコンバイナ11との間に配置され、複数のパルス光源10の繰返し周波数を調整するために使用される。第1繰返し周波数調整アセンブリ3は、複数のパルス光源10に信号接続され、複数のパルス光源10によって投射された光ビームの繰返し周波数信号を受信して、受信した繰返し周波数信号に基づいてパルス光源10を調整することができる。
【0057】
パルス光源10の繰返し周波数は、パルス光源から1秒あたりに出力される光パルスの数を指す。第1繰返し周波数調整アセンブリ3により、複数のパルス光源10から放出される複数のパルスの繰返し周波数を調整することができる。
【0058】
表示装置は、同じ繰返し周波数のパルス光源10を必要とするが、各パルス光源がパルスを出力するのは、レーザー装置の内部と外部の要因の影響により、異なる繰返し周波数ジッタが発生することがある。この場合、第1繰返し周波数調整アセンブリ3を配置することで、複数のパルス光源10の出力パルスの繰返し周波数が同じ数値にロックされる。
【0059】
本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置では、
図3に示すように、第1繰返し周波数調整アセンブリ3は、複数の第1光電検出器31、第1周波数参照源32、及び第1サーボコントローラ33を含む。
【0060】
複数の第1光電検出器31は、複数のパルス光源10と第1ビームコンバイナ11との間に1対1対応で配置され、パルス光源10の繰返し周波数を検出するために使用される。第1光電検出器31の数は、パルス光源10の数と同じである。
図2に示すように、本実施例では、パルス光源10と第1光電検出器31はいずれも2つある。2つのパルス光源10はそれぞれ第1パルス光源101と第2パルス光源102である。2つの第1光電検出器31はそれぞれ光電検出器311と光電検出器312である。光電検出器311は、第1パルス光源101と第1ビームコンバイナ11との間に対応的に配置され、第1パルス光源101の出力パルスの繰返し周波数を検出するために使用される。光電検出器312は、第2パルス光源102と第1ビームコンバイナ11との間に対応的に配置され、第2パルス光源102の出力パルスの繰返し周波数を検出するために使用される。
【0061】
第1サーボコントローラ33は、第1光電検出器31、第1周波数参照源32、及びパルス光源10に信号接続される。第1周波数参照源32は、第1サーボコントローラ33に周波数参照標準を提供するために使用される。
【0062】
第1サーボコントローラ33は、光電検出器311、第1周波数参照源32、第1パルス光源101、光電検出器312及び第2パルス光源102に接続され、光ビームがパルス光源10に対応する第1光電検出器31に照射されると、パルス繰返し周波数信号が生成する。第1サーボコントローラ33は、第1光電検出器31からのフィードバック信号及び第1周波数参照源32の参照周波数信号に基づいて、パルス光源10の出力パルスの繰返し周波数を制御することができる。
【0063】
具体的には、第1サーボコントローラ33は、光電検出器311によってフィードバックされた第1パルス光源101の出力パルスの繰返し周波数パラメーターを受信した後、第1周波数参照源32によって提供された周波数パラメーターと比較し、第1パルス光源101の出力パルスがパラメーターの要求を満たさない場合、第1パルス光源101の出力パルスが要求を満たすまで、第1パルス光源101を調整する。同様に、第1サーボコントローラ33は、第1周波数参照源32と光電検出器312に応じて、第2パルス光源102の出力パルスの繰返し周波数パラメーターを調整する。それにより、複数のパルス光源10の出力パルスの繰返し周波数が同じ数値にロックされ、周波数ジッタが低減される。
【0064】
幾つかの実施例では、
図2及び3に示すように、パルス光源10と第1ビームコンバイナ11との間に第1光スプリッター12が設けられ、複数の第1光スプリッター12は、複数のパルス光源10の光ビームの一部を複数の第1光電検出器31に1対1対応で反射する。第1光スプリッター12は複数あり、複数の第1光スプリッター12は、複数のパルス光源10に1対1対応する。例えば、
図2に示すように、第1光スプリッター12は、それぞれ、第1中間の光スプリッター121と第1下部光スプリッター122の2つとすることができる。第1パルス光源101によって発生した光ビームは、第1中間の光スプリッター121を通過して、2つの光ビームに分割される。一方の光ビームは、第1光電検出器311に投射され、第1パルス光源101によって発生した光ビームの繰返し周波数を検出するために使用される。他方の光ビームは、第1ビームコンバイナ11に投射される。同様に、第2パルス光源102によって発生した光ビームは、第1下部光スプリッター122を通過して、2つの光ビームに分割される。一方の光ビームは、光電検出器312に投射され、第2パルス光源102によって発生した光ビームの繰返し周波数を検出するために使用される。他方の光ビームは、第1ビームコンバイナ11に投射される。第1サーボコントローラ33は、光電検出器311と光電検出器312からのフィードバック信号に基づいて、第1パルス光源101と第2パルス光源102の実際の出力パルスの繰返し周波数パラメーターを調整する。
【0065】
図3に示すように、幾つかの具体的な実施例では、第1光スプリッター12は3つあり、それぞれが第1上部の光スプリッター123、第1中間の光スプリッター121、及び第1下部の光スプリッター122である。パルス光源10は3つあり、それぞれが第1パルス光源101、第2パルス光源102、及び第3パルス光源103である。第1光電検出器31は3つあり、それぞれが光電検出器311、光電検出器312、及び光電検出器313である。第1中間の光スプリッター121は、第1パルス光源101によって発生した光ビームの一部を光電検出器311に反射する。第1下部の光スプリッター122は、第2パルス光源102によって発生した光ビームの一部を光電検出器312に反射する。第1上部の光スプリッター123は、第3パルス光源103によって発生した光ビームの一部を光電検出器313に反射する。
【0066】
幾つかの具体的な実施例では、第1光スプリッター12の透過率はA1であり、99%≦A1≦99.5%であり、第1光スプリッター12の反射率はA2であり、0.5%≦A2≦1%である。パルス光源10によって発生した光ビームは、第1光スプリッター12を通過して、一部が第1光電検出器31に反射され、光ビームの繰返し周波数パラメーターを検出するために使用され、他の一部が第1光スプリッター12を通過して第1ビームコンバイナ11に投射される。第1光電検出器31が光ビームの繰返し周波数パラメーターを検出するとき、検出される光ビームのエネルギーに対する要求が比較的低く、非常に少量の光で繰返し周波数を検出することができる。そのため、第1光スプリッター12の透過率及び反射率を上記の範囲内に設定することで、第1光電検出器31が光ビームの繰返し周波数を安定して正確に検出するのを保証することができるとともに、第1ビームコンバイナ11に照射される光ビームエネルギーの割合を高めることができる。ほとんどの光ビームは、第1光スプリッター12を透過して、第1ビームコンバイナ11に照射された後、光場調整制御モジュール2に照射されて結像に使用される。それにより、ホログラフィック実像の画素をさらに増加させることができる。
【0067】
図示のように、本実施例では、空気イオン化表示装置100は、第1パルス時間遅延モニター4と少なくとも1つの第1時間遅延線5をさらに含む。
【0068】
第1パルス時間遅延モニター4は、第1ビームコンバイナ11と光場調整制御モジュール2との間に配置され、第1ビームコンバイナ11から射出された光ビームのパルス遅延信号を監視するために使用される。異なるパルス光源10によって発生した光ビームは、第1ビームコンバイナ11に到達するまでに異なる経路をとる。例えば、第2パルス光源102によって発生した光ビームは、直線的に第1ビームコンバイナ11に照射される。第1パルス光源101によって発生した光ビームは一回反射されてから、第1ビームコンバイナ11に照射される。その結果、2つのパルス光源10によって発生した光ビームが結合された後にパルス遅延がある。パルス光源10と第1ビームコンバイナ11との間に配置され、且つ第1パルス時間遅延モニター4に信号接続された第1時間遅延線5、例えば、図中の時間遅延線61、時間遅延線62及び時間遅延線63により、第1パルス時間遅延モニター4からのフィードバック信号に基づいて、第1パルス光源101によって発生した光ビームに対して、パルス伝送の光路差及び繰返し周波数の低周波数ジッタによるパルス時間遅延を補償することで、結合された2つのパルスが時間的に同期される。
【0069】
図示のように、本開示の幾つかの実施例によれば、複数のパルス光源10によって発生した光ビームが第1ビームコンバイナ11を通過して1つの光ビームを形成するプロセスにおいて、1つのパルス光源10によって発生した光ビームが第1ビームコンバイナ11を通過し、残りのパルス光源10によって発生した光ビームが反射されてから、第1ビームコンバイナ11を通過した光ビームと併合されてもよい。このようにして、第1ビームコンバイナ11を通過した光ビームを参照として、反射されてから併合される光ビームを調整することができる。
【0070】
このとき、反射された光ビームは、パルス光源10の数よりも1つ少ないため、第1時間遅延線5の数は、パルス光源10の数よりも1つ少ない。第1時間遅延線5は、同じ数のパルス光源10に1対1対応する。第1時間遅延線5のそれぞれは、1つのパルス光源10によって発生した光ビームのパルス時間遅延を制御する。このようにして、複数のパルス光源10によって発生した光ビームは、第1ビームコンバイナ11を通過するときに1つのパルス光ビームに結合することができ、パルス時間を同期させて、光ビームが結合された後のパルス遅延の存在により空気をイオン化できない状況を回避することができる。
【0071】
図2又は3に示すように、本開示の幾つかの実施例によれば、第1ビームコンバイナ11と光場調整制御モジュール2との間に第2光スプリッター13が設けられる。第2光スプリッター13は、第1ビームコンバイナ11で発生した1つの光ビームを2つの部分に分割する。一方の部分は、第2光スプリッター13を通過して光場調整制御モジュール2に投射され、光場調整制御モジュール2によって空気をイオン化して、ユーザーが望む図形を形成する。他方の部分は、第2光スプリッター13によって第1パルス時間遅延モニター4に反射される。第1パルス時間遅延モニター4によりコントローラー42と第1時間遅延線5に情報をフィードバックすることによって、パルス光源10から出力された光ビームのパルス時間遅延が制御される。第2光スプリッター13を配置することによって、第1パルス時間遅延モニター4が結合後のパルス遅延情報を取得するための利便性を提供することができ、構造も簡単で実現しやすい。
【0072】
本開示の幾つかの具体的な実施例によれば、第2光スプリッター13の透過率はA3であり、98%≦A3≦99.5%であり、第2光スプリッター13の反射率はA4であり、0.5%≦A4≦2%である。第1パルス時間遅延モニター4が光ビームの遅延パラメーターを検出するとき、検出される光ビームのエネルギーに対する要求が比較的低く、非常に少量の光でパルス遅延を検出することができる。そのため、第2光スプリッター13の透過率及び反射率を上記に範囲内に設定することで、パルス時間遅延モニターが光ビームの遅延情報を安定して正確に検出するのを保証することができるとともに、光場調整制御モジュール2に照射される光ビームエネルギーの割合を高めることができる。ほとんどの光ビームは、光スプリッター13を通過して光場調整制御モジュール2に照射されて結像に使用される。それにより、ホログラフィック実像の画素をさらに増加させることができる。
【0073】
幾つかの具体的な実施例では、第1ビームコンバイナ11は複数あり、
図3に示すように、第1ビームコンバイナ11は2つあり、それぞれがビームコンバイナ111及びビームコンバイナ112である。第1ビームコンバイナ11の数は、パルス光源10の数よりも1つ少なくてもよい。複数の第1ビームコンバイナ11は、1つのパルス光源10から射出された光ビームに沿って間隔をおいて配置され、残りのパルス光源10によって発生した光ビームは、複数の第1ビームコンバイナ11に1対1対応で投射され、複数のパルス光源10から射出された光ビームは、複数の第1ビームコンバイナ11によって1つの光ビームに併合される。
【0074】
図示のように、複数の第1ビームコンバイナ11は互いに平行に配置され、複数のパルス光源10のうちの1つによって発生した光ビームは、複数の第1ビームコンバイナ11を順に通過して照射され、残りのパルス光源によって発生した光ビームは、複数の第1ビームコンバイナ11に1対1対応で照射され、第1ビームコンバイナ11の反射作用下で、第1ビームコンバイナ11を通過した光ビームと併合される。
【0075】
複数の第1ビームコンバイナ11を配置することによって、複数のパルス光源3の併合方式を簡略化することができ、さらに、空気イオン化表示装置の構造設計を簡略化するとともに、光ビームの併合中に生じる損失を低減することができる。
【0076】
図2又は3に示すように、本開示の幾つかの実施例では、空気イオン化表示装置100は、複数の第1反射鏡14をさらに含む。第1反射鏡14は、パルス光源10と第1ビームコンバイナ11との間に配置され、パルス光ビームを第1ビームコンバイナ11に反射して併合するために使用される。第1反射鏡14を配置することで、平行に配置された複数の光ビームを第1ビームコンバイナ11に反射することができ、さらに、複数のパルス光源10の配置を容易にし、複数のパルス光源10の間の距離を短くすることができ、空気イオン化表示装置の全体的な構造を小さくすることに資する。
【0077】
さらに、
図3に示すように、第1反射鏡14の数は、パルス光源10の数よりも1つ少ない。例えば、
図2において、第1反射鏡14は1つあり、
図3において、第1反射鏡14は2つあり、それぞれが1番目の第1反射鏡71と2番目の第2反射鏡72である。複数のパルス光源10のうち、1つのパルス光源10によって発生した光ビームは第1ビームコンバイナ11を通過し、残りのパルス光源10によって発生した光ビームは、第1ビームコンバイナ11によって反射されてから、第1ビームコンバイナ11を通過した光ビームと併合される。第1ビームコンバイナ11を通過した光ビームは、反射構造を必要とせず、第1ビームコンバイナ11に直接照射すればよい。残りのパルス光源10によって発生した光ビームは、第1反射鏡14の反射作用で第1ビームコンバイナ11に照射される。このようにして、第1反射鏡14を1つ減らすことができ、空気イオン化表示装置100の構造設計をさらに簡略化することができる。
【0078】
本実施例では、複数のパルス光源10の繰返し周波数は同じであり、パルス光源10のパルス幅は50fs~100nsであり、パルス光源10のパルスエネルギーは20μJ~10mJであり、パルス光源10の繰返し周波数は500Hz~10MHzである。これにより、ホログラフィック実像の結像効果及び画素を増加させることができる。
【0079】
本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置100では、光場調整制御モジュール2は、振動ミラーアセンブリ、レンズアセンブリ、及び空間光変調器を含む。第1ビームコンバイナ11から射出された光ビームは、振動ミラーアセンブリに投射される。振動ミラーアセンブリは、垂直に配置された2組の反射鏡を含む。2組の反射鏡はそれぞれ前後方向及び左右方向に揺動して、光ビームの照射経路を制御する。振動ミラーアセンブリから射出された光ビームはレンズアセンブリに投射され、レンズアセンブリは光ビームを集束する。光ビームがレンズアセンブリの焦点位置に集中された後に、パワー密度が増加し、イオン化のためのパワー閾値に達する。最終的に、高パワーレーザーによって空気分子がイオン化されて、発光する輝点が形成されて、ユーザーの望む実像が形成される。
【0080】
空間光変調器は、第1ビームコンバイナ11と振動ミラーアセンブリとの間に位置し、光の振幅、位相、偏光状態などのパラメーターを変調することで、光波変調を実現する。光ビームは、光場を変調するように空間光変調器を通過し、次に集束システムを通過して複数の集束点を形成するため、表示画面の画素が増加する。
【0081】
レンズアセンブリは、可変焦点レンズとフラットフィールド集束レンズを含む。可変焦点レンズは、フラットフィールド集束レンズと振動ミラーアセンブリとの間に位置する。高パワーパルス光源から出力されたレーザーパルスは、光場を変調するように空間光変調器を通過し、次にその射出方向を調整するように振動ミラーアセンブリに反射される。光ビームは、可変焦点レンズ及びフラットフィールド集束レンズを透過した後に、空気イオン化領域中の指定された点に集束される。最終的に、高パワーレーザーで空気分子がイオン化されて、発光する輝点が形成される。
【0082】
可変焦点レンズは、結像要求に応じて焦点と可変焦点レンズとの間の距離を調整することができ、さらに、焦点位置を調整することによって3次元立体構造の実像を生成することができる。フラットフィールド集束レンズと可変焦点レンズの協働により、生成された実像が結像中に曲がったり歪んだりするのを防ぐことができる。コントローラー42は、空間光変調器、振動ミラーアセンブリ、及びレンズアセンブリを積極的に制御し、表示する必要のある画面に応じてレーザーイオン化点の位置及び表示画面の画素を調整する。
【0083】
別の幾つかの実施例では、パルス光源モジュール1は、光を分割して、ビームコンバイナとともに同期の複数のパルス光ビームを生成する。以下、
図4を参照しながら、パルス光源モジュール1に基づいた空気イオン化表示装置を説明する。
【0084】
図4に示すように、本開示の実施例の空気イオン化表示装置100は、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、第2ビームコンバイナ4-1、光場調整制御モジュール2、複数のパルス増幅モジュール、及び複数の第2時間遅延線2-12を含む。
【0085】
具体的には、パルスシード源1-1は、パルス光ビームを発生させることができる。光分岐カプラ1-2は、パルス光ビームの経路において、パルスシード源1-1の近くに配置され、パルス光ビームを複数のサブ光ビームに分割するために使用される。パルス光ビームは、光分岐カプラ1-2に照射されて複数のサブ光ビームに分割される。複数のサブ光ビームのエネルギーを均等に分配することができる。
【0086】
複数のサブ光ビームは、透過及び反射を経た後に、いずれも第2ビームコンバイナ4-1に投射されて1つの光ビームに併合される。第2ビームコンバイナ4-1によって併合された光ビームは、光場調整制御モジュール2に投射される。光場調整制御モジュール2は、光ビームを調整して集束し、表示領域6-1で空気をイオン化して実像画面を形成する。
【0087】
光場調整制御モジュール2は、光ビームの方向を変更することができ、また、レンズを使用して光ビームを集束することもできる。光ビームのエネルギーが焦点で集中することにより、空気がイオン化される。光ビーム方向の揺れに伴って、それに応じてイオン化点の位置が変化し、さらに、ホログラフィック実像を形成することができる。
【0088】
従来技術における空気イオン化表示装置では、パルス光源は、パルスシード源1-1によってパルス光ビームを出力し、分割せずにイオン化を直接行う解決策を採用するため、パルス光源のパワーが限られ、表示画面の画素がユーザーの使用要求を満たさない。表示画面の画素を増加させ、図像の鮮明さを向上させるためには、パルス光源の出力パルスパワーをさらに大きくする必要がある。従来技術は、単一の光ビームを出力する場合のパルス光源のパルスパワーを大幅に向上させるこが困難であるため、空気イオン化表示装置の表示画面の画素を増加させることが困難になる。
【0089】
そのため、本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置100は、光分岐カプラ1-2を使用して、パルスシード源1-1によって発生したパルス光ビームを多重サブ光ビームに分割し、第2ビームコンバイナ4-1を使用して、多重サブ光ビームを併合することで、多重サブ光ビームの複数のパルスが表示領域6-1の同一位置に同一タイミングで出現すること、及び空気をイオン化することを同時に保証する。即ち、多重サブ光ビームの複数のパルスの間の空間的同期及び時間的同期の問題を解決し、さらに、空気イオン化表示画面の画素を増加させ、ユーザーに良好な使用体験をもたらすことができる。
【0090】
本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置100では、複数のパルス増幅モジュールは、複数のサブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、サブ光ビームのパルスを増幅するために使用される。パルス増幅モジュールは、第2ビームコンバイナ4-1と光分岐カプラ1-2との間に位置する。パルス増幅モジュールを配置することで、サブ光ビームのパルスエネルギーを高めることができ、さらに、結像時の結像品質及び輝度を向上させることができる。
【0091】
本開示の一実施例によれば、
図4に示すように、複数の第2時間遅延線2-12は、複数のサブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、第2時間遅延線2-12は、パルス増幅モジュールと第2ビームコンバイナ4-1との間に位置する。第2時間遅延線2-12は、サブ光ビームが第2ビームコンバイナ4-1で結合された後に、複数のサブ光ビーム中の複数のパルスが時間的に一致するように、サブ光ビームのパルス時間位置を調整するために使用される。
【0092】
図4に示すように、幾つかの具体的な実施例では、第2ビームコンバイナ4-1は複数あり、第2ビームコンバイナ4-1の数は、サブ光ビームの数よりも1つ少なくてもよい。複数の第2ビームコンバイナ4-1は、1つのサブ光ビームに沿って互いに平行に間隔をおいて配置され、この光ビームは、複数の第2ビームコンバイナ4-1を順に通過して照射され、残りのサブ光ビームは、複数の第2ビームコンバイナ4-1に1対1対応で投射され、第2ビームコンバイナ4-1の反射作用下で、第2ビームコンバイナ4-1を通過したサブ光ビームと1つの光ビームに併合される。
【0093】
複数の第2ビームコンバイナ4-1を配置することで、複数のサブ光ビームの併合方式を簡略化することができ、さらに、空気イオン化表示装置100の構造設計を簡略化するとともに、光ビームの併合中に生じる損失を低減することができる。
【0094】
図4に示すように、本開示の一実施例によれば、空気イオン化表示装置100は、複数の第2反射鏡3-1をさらに含む。第2反射鏡3-1は、第2時間遅延線2-12と第2ビームコンバイナ4-1との間に配置され、サブ光ビームを第2ビームコンバイナ4-1に反射して併合するために使用される。第2反射鏡3-1を配置することで、平行に配置された複数のサブ光ビームを第2ビームコンバイナ4-1に反射することができ、空気イオン化表示装置100の全体的な構造を小さくすることが容易になる。
【0095】
さらに、
図4に示すように、第2反射鏡3-1の数は、サブ光ビームの数よりも1つ少ない。複数のサブ光ビームのうち、1つのサブ光ビームは第2ビームコンバイナ4-1を通過し、残りのサブ光ビームは、第2ビームコンバイナ4-1によって反射されてから、第2ビームコンバイナ4-1を通過した光ビームと併合される。第2ビームコンバイナ4-1を通過した光ビームは、反射構造を必要とせず、第2ビームコンバイナ4-1に直接照射すればよい。残りのサブ光ビームは、第2反射鏡3-1の反射により第2ビームコンバイナ4-1に照射される。このようにして、第2反射鏡3-1を1つ減らすことができ、空気イオン化表示装置100の構造設計をさらに簡略化することができる。
【0096】
本開示の一実施例によれば、空気イオン化表示装置100は、複数のパルス圧縮装置をさらに含む。複数のパルス圧縮装置は、複数のサブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、且つパルス圧縮装置は、パルス増幅モジュールと第2時間遅延線2-12との間に位置し、即ち、各サブ光ビームの経路に1つのパルス圧縮装置が配置される。即ち、サブ光ビームの進行方向において、パルス圧縮装置は、パルス増幅モジュールと第2時間遅延線2-12との間に配置される。パルス圧縮装置は、サブ光ビームのパルス幅を圧縮して、サブ光ビームのパルス光ピークパワーを高めるために使用される。
【0097】
図4に示すように、パルス圧縮装置は2つあり、それぞれが第1パルス圧縮装置1-4-1と第2パルス圧縮装置1-4-2である。第1パルス圧縮装1-4-1は第1サブ光ビームに配置され、第2パルス圧縮装置1-4-2は第2サブ光ビームに配置される。サブ光ビームにパルス圧縮装置を配置することで、サブ光ビームのパルス光ピークパワーを高めることができ、さらに、集束された光ビームのパルスピークパワーを高めることができ、結像効果の改善が容易になる。
【0098】
本開示の一実施例によれば、空気イオン化表示装置100は、複数の光ビームコリメータ装置をさらに含む。複数の光ビームコリメータ装置は、複数のサブ光ビームの経路に1対1対応で配置され、且つ、光ビームコリメータ装置は、パルス圧縮装置と第2時間遅延線2-12との間に位置する。光ビームコリメータ装置は、イオン化閾値を満たすコリメート光ビームにサブ光ビームを調整するために使用される。つまり、各サブ光ビーム経路には1つの光ビームコリメータ装置が設けられる。サブ光ビームの進行方向において、光ビームコリメータ装置は、サブ光ビーム経路上のパルス圧縮装置と第2時間遅延線2-12との間に位置する。サブ光ビームは、光ビームコリメータ装置を通過した後、イオン化閾値を満たすコリメート光ビームに調整される。
【0099】
図4に示すように、光ビームコリメータ装置は2つあり、それぞれが第1光ビームコリメータ装置1-5-1と第2光ビームコリメータ装置1-5-2である。第1光ビームコリメータ装置1-5-1は第1サブ光ビームに配置され、第2光ビームコリメータ装置1-5-2は第2サブ光ビームに配置される。サブ光ビームに光ビームコリメータ装置を配置することで、サブ光ビームがイオン化閾値の要求を満たすように、光ビームコリメータ装置を使用してサブ光ビームの光ビームパラメーターを調整することができ、さらに、イオン化結像の効果を改善することができる。
【0100】
本開示の一実施例によれば、空気イオン化表示装置100は水冷式放熱器8-1をさらに含む。水冷式放熱器8-1は、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置及び光ビームコリメータ装置に接続され、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置及び光ビームコリメータ装置を放熱するために使用される。
【0101】
パルスシード源1-1は高エネルギーパルス光源を発生され、光ビームは、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置及び光ビームコリメータ装置を順に通過し、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置及び光ビームコリメータ装置は動作中に大量の熱を発生させるため、水冷式放熱器8-1を配置することで、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置及び光ビームコリメータ装置を放熱して、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置及び光ビームコリメータ装置に熱か過度に集中することによる機器の損傷を防止することができる。また、水冷式放熱器8-1は、水路の流れ方向を調整することにより放熱領域を調整することができ、制御性が高く、複数の機器を同時に放熱することができ、且つ、水冷のコストが低く、効果が良好であり、空気イオン化表示装置の放熱要求を満たすことができる。
【0102】
本開示の一実施例によれば、空気イオン化表示装置100は、パルス光源箱体10-1、温度センサ及びコントローラー7-1をさらに含む。
【0103】
パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置、及び光ビームコリメータ装置はすべてパルス光源箱体10-1内に配置される。パルス光源箱体10-1には、サブ光ビームが通過するための複数の光出口が形成される。即ち、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置、及び光ビームコリメータ装置の外側にパルス光源箱体10-1でカバーされる。パルス光源箱体10-1を使用して、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置、及び光ビームコリメータ装置をカバーし、パルス光源箱体10-1に光出口を配置することによって、パルス光源箱体10-1を使用してパルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置、及び光ビームコリメータ装置を損傷から保護することができるとともに、構造が簡単であり、光ビームの通常の伝送には影響が与えられない。
【0104】
温度センサは、パルス光源箱体10-1内に配置され、パルス光源箱体10-1の内部の温度を検出するために使用される。コントローラー7-1は、温度センサ及び水冷式放熱器8-1に信号接続され、パルス光源箱体内10-1の温度を制御するために使用される。
【0105】
パルス光源箱体10-1内に温度センサを配置することで、温度センサを使用してパルス光源箱体10-1の温度を検出し、次に、温度情報をコントローラー7-1にフィードバックすることができる。コントローラー7-1は、水冷式放熱器8-1を制御して、パルス光源箱体10-1内の機器を放熱し、パルス光源箱体10-1内の機器に安定した良好な動作環境を提供する。
【0106】
本開示の一実施例によれば、コントローラー7-1は、サブ光ビームの出力パラメーターを制御するために、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置、及び光ビームコリメータ装置に信号接続される。即ち、コントローラー7-1はまた、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置、及び光ビームコリメータ装置を制御することができ、パルスシード源1-1、光分岐カプラ1-2、パルス増幅モジュール、パルス圧縮装置、及び光ビームコリメータ装置の動作状態を制御することで、サブ光ビームの出力パラメーターを調整し、サブ光ビームがイオン化結像の要求を満たすことを保証する。
【0107】
本開示の一実施例によれば、空気イオン化表示装置100はコンピューター9-1をさらに含む。コンピューター9-1は、第2時間遅延線2-12、光場調整制御モジュール2、及びコントローラー7-1に信号接続され、空気イオン化表示装置100の各モジュールの動作状態をリアルタイムで制御し、装置の安定した動作を保証するために使用される。
【0108】
本開示の一実施例によれば、パルス増幅モジュールは、前置増幅モジュールと主増幅モジュールを含む。前置増幅モジュールは、主増幅モジュールと光分岐カプラ1-2との間に位置する。即ち、パルス増幅モジュールは、前置増幅モジュールと主増幅モジュールにより構成される。サブ光ビームは、前置増幅モジュールを通過してから、主増幅モジュールを通過する。サブ光ビームに対するパルス増幅モジュールの増幅効果を向上させることができる。
【0109】
本開示の一実施例によれば、複数のサブ光ビームのパルス幅は10fs~100nsであり、パルスエネルギーは10μJ~100mJであり、パルス繰返し周波数は50Hz~10MHzである。
【0110】
本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置100では、光場調整制御モジュールは、振動ミラーアセンブリ、レンズアセンブリ、及び空間光変調器を含む。第2ビームコンバイナ-4-1から射出された光ビームは、振動ミラーアセンブリに投射される。振動ミラーアセンブリは、垂直に配置された2組の反射鏡を含む。2組の反射鏡はそれぞれ前後方向及び左右方向に揺動して、光ビームの照射経路を制御する。振動ミラーアセンブリから射出された光ビームはレンズアセンブリに投射され、レンズアセンブリは光ビームを集束する。光ビームがレンズアセンブリの焦点位置に集中された後に、パワー密度が増加し、イオン化のためのパワー閾値に達する。最終的に、高パワーレーザーによって空気分子がイオン化されて、発光する輝点が形成されて、ユーザーの望む実像が形成される。
【0111】
空間光変調器は、第2ビームコンバイナ4-1と振動ミラーアセンブリとの間に位置し、光の振幅、位相、偏光状態などのパラメーターを変調することで、光波変調を実現する。光ビームは、光場を変調するように空間光変調器を通過し、次に集束システムを通過して複数の集束点を形成するため、表示画面の画素が増加する。
【0112】
レンズアセンブリは、可変焦点レンズとフラットフィールド集束レンズを含む。可変焦点レンズは、フラットフィールド集束レンズと振動ミラーアセンブリとの間に位置する。光ビームは、光場を変調するように空間光変調器を通過し、次にその射出方向を調整するように振動ミラーアセンブリに反射される。光ビームは、可変焦点レンズ及びフラットフィールド集束レンズを透過した後に、空気イオン化領域中の指定された点に集束される。最終的に、高パワーレーザーで空気分子がイオン化されて、発光する輝点が形成される。
【0113】
可変焦点レンズは、結像要求に応じて焦点と可変焦点レンズとの間の距離を調整することができ、さらに、焦点位置を調整することによって3次元立体構造の実像を生成することができる。フラットフィールド集束レンズと可変焦点レンズの協働により、生成された実像が結像中に曲がったり歪んだりするのを防ぐことができる。コンピューター9-1は、空間光変調器、振動ミラーアセンブリ、及びレンズアセンブリを積極的に制御し、表示する必要のある画面に応じてレーザーイオン化点の位置及び表示画面の画素を調整する。
【0114】
本開示の別の幾つかの実施例では、パルス光源モジュール1は、複数のパルス光源を採用し、パルス光源のパルスエネルギーを限定する。以下、
図5と6を参照しながら、該パルス光源モジュール1に基づいた本開示の空気イオン化表示装置100を説明する。
【0115】
本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置100は複数のパルス光源10を含む。パルス光源10のパルスエネルギーは、空気イオン化閾値よりも小さく、複数のパルス光源10のパルスエネルギーの合計は、空気イオン化閾値よりも大きい。複数のパルス光源10によって発生した光ビームの大部分は、光場調整制御モジュール2に投射される。光場調整制御モジュール2は、複数のパルス光ビームを調整して集束し、表示領域の指定された位置で合流させ、空気をイオン化して、ホログラフィック実像を形成する。
【0116】
各パルス光源10のパルスパワー密度が比較的小さく、空気イオン化閾値よりも小さい。パルス光源10によって発生した単一の光ビームは、投射中に周囲の空気をイオン化することがない。複数の低パワーパルス光源10が互いに協働して同じ点を照射し、複数の光ビームが交差する位置でのレーザーパワー密度が重畳して空気イオン化の閾値を超えることで、合流点での空気をイオン化して、ホログラフィック実像を形成する。
【0117】
このようにして、本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置100は、複数のパルス光源10の協働により、光ビームの合流点でのレーザーパワー密度を向上させて、光ビームの合流点の位置で空気をイオン化してホログラフィック実像を形成することができる。その結果、単一のパルス光源10に対する規格要求を低減し、空気イオン化表示装置100の製造コストを大幅に低減することができるとともに、従来の空気イオン化表示装置100のレンズアセンブリを排除することができ、空気イオン化表示装置100の構造設計を簡略化することができる。
【0118】
図5に示すように、幾つかの具体的な実施例では、空気イオン化表示装置100は、第2繰返し周波数調整アセンブリ20をさらに含む。第2繰返し周波数調整アセンブリ20は、パルス光源10と表示領域との間に配置され、複数のパルス光源10の繰返し周波数を調整するために使用される。第2繰返し周波数調整アセンブリ20は、複数のパルス光源10に信号接続され、且つ、複数のパルス光源10によって投射された光ビームの繰返し周波数信号を受信して、受信した繰返し周波数信号に基づいてパルス光源10を調整することができる。
【0119】
パルス光源10の繰返し周波数は、1秒あたりにパルス光源10によって発生したトリガパルスの数を指す。第2繰返し周波数調整アセンブリ20により、複数のパルス光源10から放出された複数の光ビームのパルス繰返し周波数を調整することができる。
【0120】
本開示の実施例に係る空気イオン化表示装置100では、第2繰返し周波数調整アセンブリ20は、第2光電検出器21、第2周波数参照源22、及び第2サーボコントローラ23を含む。
【0121】
第2光電検出器21は複数とすることができ、その数がパルス光源10の数と同じであってもよい。複数の第2光電検出器21は、複数のパルス光源10と表示領域との間に1対1対応で配置され、パルス光源の繰返し周波数を検出するために使用される。
図5に示すように、本実施例では、パルス光源10と第2光電検出器21はいずれも2つある。2つのパルス光源10はそれぞれ第1パルス光源15と第2パルス光源16である。1番目の第2光電検出器21は、第1パルス光源15と表示領域との間に対応的に配置され、第1パルス光源15の光ビーム出力の繰返し周波数を検出するために使用される。2番目の第2光電検出器21は、第2パルス光源16と表示領域との間に対応的に配置され、第2パルス光源16の光ビーム出力の繰返し周波数を検出するために使用される。
【0122】
第2サーボコントローラ23は、第2光電検出器21、第2周波数参照源22、及びパルス光源10に信号接続される。第2周波数参照源22は、第2サーボコントローラ23に周波数参照標準を提供するために使用される。第2周波数参照源22には、所望の周波数の周波数標準パラメーターが予め設定される。機器起動後に、第2周波数参照源22によって出力された周波数パラメーターは周波数標準として、第2サーボコントローラ23に参照として提供される。
【0123】
第2サーボコントローラ23は、1番目の第2光電検出器、第2周波数参照源22、第1パルス光源15、2番目の第2光電検出器、及び第2パルス光源16に接続される。光ビームがパルス光源10に対応する第2光電検出器21に照射されると、フィードバック情報が生成される。第2サーボコントローラ23は、第2光電検出器21からのフィードバック情報、及び第2周波数参照源22による周波数標準信号に基づいて、パルス光源10を制御することにより、その出力パルスの繰返し周波数を制御する。
【0124】
具体的には、第2サーボコントローラ23は、1番目の第2光電検出器21によってフィードバックされた第1パルス光源15の光ビーム射出の繰返し周波数パラメーターを受信した後、第2周波数参照源22によって提供された周波数パラメーターと比較しており、第1パルス光源15の出力光ビームがパラメーター要求を満たさない場合、第1パルス光源15の出力光ビームが要求を満たすまで第1パルス光源15を調整する。同様に、第2サーボコントローラ23は、第2周波数参照源22及び2番目の第2光電検出器21に応じて、第2パルス光源16の光ビーム出力の繰返し周波数パラメーターを調整する。
【0125】
図6に示すように、パルス光源10と表示領域との間に第3光スプリッター17が設けられ、複数の第1光スプリッター17は、複数のパルス光源10の光ビームの一部を複数の第2光電検出器21に1対1対応で反射する。第3光スプリッター17は、これに対応して、第1パルス光源15の光ビームの一部を1番目の第2光電検出器21に反射する。第1パルス光源15によって発生した光ビームは、第3光スプリッター17を通過した後に、2つの光ビームに分割される。一方の光ビームは、第2光電検出器21に投射されて、第1パルス光源15が光ビームを発生する繰返し周波数を検出するために使用される。他方の光ビームは、表示領域に投射されて、イオン化結像のために使用される。同様に、第2パルス光源16によって発生した光ビームは、第3光スプリッター17を通過した後に、2つの光ビームに分割される。一方の光ビームは、第2光電検出器21に投射され、第2パルス光源16が光ビームを発生させる繰返し周波数を検出するために使用される。他方の光ビームは、表示領域に投射されて、イオン化結像のために使用される。第2サーボコントローラ23は、1番目の第2光電検出器21と2番目の第2光電検出器21からのフィードバック情報に基づいて、第1パルス光源15と第2パルス光源16のパルス繰返し周波数パラメーターを調整する。
【0126】
幾つかの具体的な実施例では、第3光スプリッター17の透過率はA1であり、99%≦A1≦99.5%であり、第3光スプリッター17の反射率はA2であり、0.5%≦A2≦1%である。パルス光源10によって発生した光ビームは、第3光スプリッター17を通過し、一方の部分は、周波数パラメーターを検出するために光電検出器に使用され、他方の部分は、結像のために使用される。第2光電検出器21が光ビームの繰返し周波数パラメーターを検討するとき、比較的少量のエネルギーの光ビームで繰返し周波数を検出することができるため、第3光スプリッター17の透過率と反射率を上記の範囲内に設定することで、光電検出器が光ビームの繰返し周波数を安定して正確に検出することができるとともに、結像のためのパルスエネルギーが占めるパルスの総エネルギーの割合を高めて、圧倒的多数の光ビームは、結像のために光スプリッターを通過する。
【0127】
本開示の幾つかの実施例によれば、各パルス光源10はパルス発生器011を含む。パルス発生器011は、パルス光ビームを発生させるために使用される。複数のパルス光源10は、複数のパルス光ビームを同期に発生させる。光場調整制御モジュール2は、複数のパルス光源10に1対1対応する光場調整制御器012を含む。光場調整制御器012は、それに対応するパルス発生器011と表示領域との間に位置する。パルス発生器011によって発生したパルス光ビームは、光場調整制御器012に照射され、光場調整制御を経て表示領域に投射される。第3光スプリッター17は、パルス発生器011と光場調整制御器012との間に位置する。
【0128】
パルス発生器011によって発生した光ビームは、光場調整制御器012を通過する。光場調整制御器012は、パルス発生器011によって発生した光ビームを調整し制御することにより、光ビームの方向を制御することができる。それにより、複数のパルス発生器011によって発生した光ビームを制御して結像領域40で合流させ、合流点で空気をイオン化して、必要に応じて特定の位置でホログラフィック実像を形成するための実像を形成することができる。
【0129】
第3光スプリッター17をパルス発生器011と光場調整制御器012との間に配置することで、パルス発生器011により光場調整制御器012に照射される光ビームの方向が固定であるため、第3光スプリッター17が光ビームを分離することに利便性を提供することができ、光ビームの投射方向に揺れが発生して分光効果に影響を与えるのを防止し、第2光電検出器21が常に光ビームを検出できることを保証することができる。
【0130】
本開示の幾つかの実施例によれば、パルス光源モジュール1は、第2パルス時間遅延モニター8と第3時間遅延線9をさらに含む。第2パルス時間遅延モニター8は、複数のパルス光源10と表示領域との間に配置され、パルス光源10の出力パルス遅延信号を監視するために使用される。第2パルス時間遅延モニター8は、監視して得たパルス遅延信号をコントローラー52に入力し、次に第3時間遅延線9を駆動して、複数のパルス光源10によって発生した複数のパルスを表示領域に同期に投射するように、複数のパルスの時間遅延を制御する。
【0131】
第3時間遅延線9は、パルス発生器011と光場調整制御器012との間に配置され、第2パルス時間遅延モニター8に信号接続され、第2パルス時間遅延モニター8からのフィードバック情報に基づいて、パルス光源10の出力光ビームのパルス時間遅延を補償するために使用される。
【0132】
第2パルス時間遅延モニター8及び第3時間遅延線9を配置することで、パルス光源10の出力パルスの遅延情報を監視し調整することができるので、パルス光源10によって発生したパルスが合流点で時間的に同期することを保証し、ひいては空気イオン化表示装置100が空中結像を完了することを保証することができる。
【0133】
本開示の幾つかの実施例によれば、第3時間遅延線9の数は、パルス光源10の数と同じである。複数の第3時間遅延線は、複数のパルス光源10に1対1対応する。複数の第3時間遅延線9を配置して、それぞれに対応するパルス光源10によって出力されたパルスを時間補償することで、パルス光源10によって発生したパルスの時間遅延の不一致により、パルスの合流点での空気分子がイオン化閾値に到達できずイオン化できないことを防止する。
【0134】
図5に示すように、本開示の幾つかの実施例によれば、第3光スプリッター17と第2光電検出器21との間に第4光スプリッター18が配置される。第4光スプリッター18は、第3光スプリッター17で反射された光ビームの一部を第2パルス時間遅延モニター8に反射する。即ち、パルス光源10によって発生した光ビームは、まず第3光スプリッター17を通過する。光ビームの一方の部分は、第3光スプリッター17を透過して、結像のために結像領域40に投射される。光ビームの他方の部分は、第2光電検出器21に照射される。第2光電検出器21に照射された光ビームは、第4光スプリッター18を通過しており、一部が、第2光電検出器上21に照射され、パルスの繰返し周波数信号を検出するために使用され、もう一部が、第2パルス時間遅延モニター8に照射され、パルスの時間遅延情報を監視するために使用される。このようにして、パルス光源10の様々なパラメーターを正確に検出することができる。
【0135】
本開示の幾つかの実施例によれば、第4光スプリッター18は複数ある。1つの第4光スプリッター18と第2パルス時間遅延モニター8との間に第3ビームコンバイナ19が設けられ、残りの第4光スプリッター18と第3ビームコンバイナ19との間に第3反射鏡34が設けられる。第3反射鏡34は、第4光スプリッター18によって反射された光ビームを第3ビームコンバイナ19に反射するために使用される。
【0136】
図5に示すように、第4光スプリッター18は2つあり、それぞれが前部第4光スプリッター181と後部第4光スプリッター182である。前部第4光スプリッター181と第2パルス時間遅延モニター8との間に第3ビームコンバイナ19が設けられ、後部第4光スプリッター182と第3ビームコンバイナ19との間に第3反射鏡34が設けられる。第3反射鏡34は、後部第4光スプリッター182によって分離された光ビームを第3ビームコンバイナ19に照射するために使用される。第3ビームコンバイナ19は、前部第4光スプリッター181及び後部第4光スプリッター182によって分離された光ビームを併合して、第2パルス時間遅延モニター8に投射する。
【0137】
幾つかの具体的な実施例では、第4光スプリッター18は、それぞれ、前部の第4光スプリッター、中間の第4光スプリッター、及び後部の第4光スプリッターの3つに分けることができる。第3反射鏡34は、それぞれ、1番目の第3反射鏡及び2番目の第3反射鏡の2つとすることができる。前部の第4光スプリッターと第2パルス時間遅延モニター8との間に第3ビームコンバイナ19が設けられ、中間の第4光スプリッターと第3ビームコンバイナ19との間に1番目の第3反射鏡が設けられる。1番目の第3反射鏡は、中間の第4光スプリッターによって分離された光ビームを第3ビームコンバイナ19に照射するために使用される。後部の第4光スプリッターと第3ビームコンバイナ19との間に2番目の第3反射鏡が設けられる。2番目の第3反射鏡は、後部の第4光スプリッターによって分離された光ビームを第3ビームコンバイナ19に照射するために使用される。第3ビームコンバイナ19は、前部の第4光スプリッター18、中間の第4光スプリッター18、及び後部の第4光スプリッター18によって分離された光ビームを併合して、第2パルス時間遅延モニター8に照射する。
【0138】
第3ビームコンバイナ19及び第3反射鏡34を配置することで、1つの第2パルス時間遅延モニター8を使用して、複数の光ビームの遅延情報を監視することができ、ひいては第2パルス時間遅延モニター8の動作効率を向上させることができるとともに、空気イオン化表示装置100の構造設計を簡略化することができる。
【0139】
本実施例では、複数のパルス光源10の繰返し周波数は同じであり、パルス光源10のパルス幅は50fs~100nsであり、パルス光源10のパルスエネルギーは20μJ~10mJであり、パルス光源10の繰返し周波数は500Hz~10MHzである。これにより、ホログラフィック実像の結像効果及び画素を増加させることができる。
【0140】
本開示の説明では、「第1特徴」、「第2特徴」は、1つ又は複数の該特徴を含み得る。
【0141】
本開示の説明では、「複数」の意味は、2つ又は2つ以上である。
【0142】
本開示の説明では、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」であるとは、第1と第2特徴が直接接触することを含んでもよいし、第1と第2特徴が直接接触せず、それらの間の別の特徴を介して接触することを含んでもよい。
【0143】
本開示の説明では、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上側」であるとは、第1特徴が第2特徴の真上方及び斜め上方であるか、又は単に第2特徴と比較して第1特徴の水平高さが高いことを意味する。
【0144】
本明細書の説明において、「一実施例」、「幾つかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「幾つかの例」などの用語を参照する説明は、該実施例又は例と併せて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。また、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において、適切な方式で組み合わせることができる。
【0145】
本開示の実施例が示され説明されているが、当業者は、本開示の原理及び趣旨から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、修正、置換、及び変形を行うことができることを理解できる。本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその同等物によって限定される。
【符号の説明】
【0146】
空気イオン化表示装置100;
パルス光源モジュール1、光場調整制御モジュール2;
第1繰返し周波数調整アセンブリ3、第1パルス時間遅延モニター4、第1時間遅延線5、表示領域200;
パルス光源10、第1ビームコンバイナ11、第1光スプリッター12、第2光スプリッター13、第1反射鏡14;
第1光電検出器31、第1周波数参照源32、第1サーボコントローラ33、コントローラー42;
第1パルス光源101、第2パルス光源102、光電検出器311、光電検出器312、光電検出器313、第1上部の光スプリッター123、第1中間の光スプリッター121、第1下部の光スプリッター122、ビームコンバイナ111、ビームコンバイナ112;1番目の第1反射鏡71、2番目の第2反射鏡72、第1時間遅延線5は、時間遅延線61、時間遅延線62及び時間遅延線63;
第2ビームコンバイナ4-1、第2時間遅延線2-12、第2反射鏡3-1、水冷式放熱器8-1、パルス光源箱体10-1、コンピューター9-1、コントローラー7-1;
第2繰返し周波数調整アセンブリ20、コントローラー52、第3光スプリッター17、第2光電検出器21、第2周波数参照源22、第2サーボコントローラ23、パルス発生器011、光場調整制御器012、結像領域40、第2パルス時間遅延モニター8、第3時間遅延線9、第4光スプリッター18、第3ビームコンバイナ19、第3反射鏡34、前部第4光スプリッター181、後部第4光スプリッター182