IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-燃焼器用筒、燃焼器、及びガスタービン 図1
  • 特許-燃焼器用筒、燃焼器、及びガスタービン 図2
  • 特許-燃焼器用筒、燃焼器、及びガスタービン 図3
  • 特許-燃焼器用筒、燃焼器、及びガスタービン 図4
  • 特許-燃焼器用筒、燃焼器、及びガスタービン 図5
  • 特許-燃焼器用筒、燃焼器、及びガスタービン 図6
  • 特許-燃焼器用筒、燃焼器、及びガスタービン 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】燃焼器用筒、燃焼器、及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/18 20060101AFI20240816BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20240816BHJP
   F23R 3/06 20060101ALI20240816BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F23R3/18
F02C7/18 Z
F23R3/06
F23R3/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023108607
(22)【出願日】2023-06-30
(65)【公開番号】P2024031822
(43)【公開日】2024-03-07
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】63/400,539
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ディー・マイヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健司
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200493(JP,A)
【文献】特開2017-160874(JP,A)
【文献】特開2015-114097(JP,A)
【文献】特開2013-195057(JP,A)
【文献】特開2017-166808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0301738(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/00
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線周りに筒状を成し、内周側で燃料が燃焼可能な燃焼空間を形成する筒と、
前記筒に取り付けられ、前記軸線に対する径方向内側への方向成分を有する方向に向かって前記燃焼空間内に燃料を噴射可能な燃料ノズルと、
を備え、
前記筒は、
前記燃焼空間の前記軸線に対する径方向外側の縁を画定する内周面と、
前記内周面と背合わせの関係にある外周面と、
前記内周面と前記外周面との間に形成され、冷却空気が流通可能な複数の冷却通路と、
前記外周面から前記内周面にかけて貫通しているノズル取付貫通孔と、
前記ノズル取付貫通孔の周りに前記ノズル取付貫通孔の縁に沿って形成され、前記冷却空気が流通可能なノズル周り通路と、
を有し、
前記複数の冷却通路のうちの少なくとも一部が、前記ノズル周り通路と連通しており、
前記燃料ノズルは、前記燃料ノズルの少なくとも一部が前記ノズル取付貫通孔に挿通されて、前記筒に取り付けられ、
前記燃料ノズルは、混合通路と、前記混合通路と連通し、前記混合通路内に前記燃料を供給可能な燃料通路と、前記筒の前記ノズル周り通路及び前記混合通路に連通し、前記混合通路内に前記ノズル周り通路からの冷却空気を供給可能な連結通路と、を有し、
前記混合通路は、前記軸線に対する径方向成分を有する方向に延び、前記燃焼空間内に前記燃料を噴出可能な噴出口を有し、
前記混合通路中で、前記連結通路と連通している位置は、前記混合通路が前記燃料通路と連通している位置よりも、前記噴出口が存在する側である、
燃焼器用筒。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼器用筒において、
前記混合通路は、前記筒の外周側に存在する圧縮空気を前記混合通路内に導くことができる圧縮空気口を有し、
前記混合通路中で、前記圧縮空気口は、前記燃料通路と前記混合通路とが連通している位置を基準にして、前記噴出口とは反対側に位置する、
燃焼器用筒。
【請求項3】
請求項1に記載の燃焼器用筒において、
前記燃料通路は、前記混合通路の周りに形成されている環状の燃料分配通路と、前記燃料分配通路と連通し、外部からの燃料を前記燃料分配通路に送ることができる燃料受入通路と、前記燃料分配通路と連通し、前記燃料分配通路からの燃料を前記混合通路内に導くことができる複数の分岐燃料通路と、を有する、
燃焼器用筒。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の燃焼器用筒において、
前記複数の冷却通路は、いずれも、前記冷却空気が流入可能な入口と、前記冷却空気が流出可能な出口と、を有し、
前記複数の冷却通路のうちの前記少なくとも一部は、互に隣り合っている複数の第一冷却通路と、互に隣り合っている複数の第二冷却通路と、を成し、
前記複数の第一冷却通路は、それぞれの前記出口で、前記ノズル周り通路と連通し、
前記複数の第二冷却通路は、それぞれの前記入口で、前記ノズル周り通路と連通している、
燃焼器用筒。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼器用筒において、
前記ノズル周り通路の断面積は、前記複数の第一冷却通路のそれぞれの断面積、及び前記複数の第二冷却通路のそれぞれの断面積よりも、大きく、
前記ノズル周り通路は、前記複数の第一冷却通路のそれぞれの前記出口及び前記複数の第二冷却通路のそれぞれの前記入口よりも、前記径方向外側に配置されている、
燃焼器用筒。
【請求項6】
請求項4に記載の燃焼器用筒において、
前記ノズル周り通路の断面積は、互に隣り合っている前記複数の第一冷却通路のうち、最も中央部に近い第一冷却通路が前記ノズル周り通路に連通している位置から、両端の第一冷却通路が前記ノズル周り通路に連通している位置に向かうに連れて、次第に大きくなっており、
さらに、前記ノズル周り通路の断面積は、互に隣り合っている前記複数の第二冷却通路のうち、両端の第二冷却通路が前記ノズル周り通路に連通している位置から、最も中央部に近い第二冷却通路が前記ノズル周り通路に連通している位置に向かうに連れて、次第に小さくなっている、
燃焼器用筒。
【請求項7】
請求項4に記載の燃焼器用筒において、
前記複数の第一冷却通路は、前記軸線に沿った軸線方向に延び、且つ前記軸線に対する周方向に並び、
前記複数の第一冷却通路は、前記軸線方向における先端側と基端側とのうち、前記基端側の端に前記出口が形成され、
前記複数の第二冷却通路は、前記軸線方向に延び、且つ前記周方向に並び、前記複数の第一冷却通路よりも前記基端側に配置され、
前記複数の第二冷却通路は、前記先端側の端に前記入口が形成されている、
燃焼器用筒。
【請求項8】
請求項7に記載の燃焼器用筒において、
前記ノズル周り通路の断面積は、前記周方向における前記ノズル周り通路の中央部から前記周方向における前記ノズル周り通路の両端部に向かうに連れて、次第に大きくなっている、
燃焼器用筒。
【請求項9】
請求項8に記載の燃焼器用筒において、
前記ノズル周り通路の前記軸線に対する径方向の高さは、前記周方向のおける前記ノズル周り通路の中央部から前記周方向における前記ノズル周り通路の両端部に向かうに連れて、次第に高くなっている、
燃焼器用筒。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか一項に記載の燃焼器用筒と、
前記筒内に、前記軸線に沿った軸線方向における先端側と基端側とのうち前記先端側への方向成分を有する方向に向かって一次燃料を噴射可能な一次燃料ノズルと、
を備え、
前記燃焼器用筒の前記燃料ノズルは、二次燃料を噴射可能な二次燃料ノズルである、
燃焼器。
【請求項11】
請求項10に記載の燃焼器と、
空気を圧縮して、前記筒内での燃料の燃焼に用いられる圧縮空気を生成可能な圧縮機と、
前記筒内での燃料の燃焼で生成された燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、
を備えるガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内周側で燃料が燃焼可能な燃焼器用筒、この燃焼器用筒を有する燃焼器、及びこの燃焼器を有するガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼器からの燃焼ガスで駆動するタービンと、を備えている。
【0003】
燃焼器は、燃料が燃焼可能な筒(燃焼筒又は尾筒)を有する。この筒の内周面は、高温の燃焼ガスに晒されるため、極めて高温になる。そこで、以下の特許文献1に記載の技術では、筒の内周面と外周面との間に、一定の方向の延びている複数の冷却通路を形成し、ここに冷却媒体を流すようにしている。
【0004】
また、以下の特許文献2に記載の燃焼器は、内部で燃料が燃焼可能な筒と、この筒内に燃料を噴射する複数のノズルと、を有する。筒は、燃焼器軸線周りに筒状を成している。ここで、以下の説明の都合上、燃焼器軸線が延びる方向を軸線方向とし、この軸線方向における両側のうち、一方側を基端側、他方側を先端側とする。ノズルとしては、一次燃料ノズルと、二次燃料ノズルと、を有する。一次燃料ノズルは、筒の基端側に配置され、筒内に先端側に向かって一次燃料を噴射する。二次燃料ノズルは、一次燃料ノズルよりも先端側の位置で筒に取り付けられ、筒内に径方向内側に向かって二次燃料を噴射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-261318号公報
【文献】特開2013-238387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2では、一次燃料が燃焼している筒内に、二次燃料ノズルからの二次燃料を噴出するため、二次燃料ノズル内で二次燃料が着火してしまうフラッシュバック現象を起こす可能性がある。フラッシュバック現象が起こると、二次燃料ノズルが損傷する虞がある。このため、フラッシュバック現象の発生を抑えることが望まれる。
【0007】
そこで、本開示は、燃料ノズル内で燃料が着火してしまうフラッシュバック現象の発生を抑えることができる燃焼器用筒、この燃焼器用筒を有する燃焼器、及びこの燃焼器を有するガスタービンを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様としての燃焼器用筒は、
軸線周りに筒状を成し、内周側で燃料が燃焼可能な燃焼空間を形成する筒と、前記筒に取り付けられ、前記軸線に対する径方向内側への方向成分を有する方向に向かって前記燃焼空間内に燃料を噴射可能な燃料ノズルと、を備える。
前記筒は、前記燃焼空間の前記軸線に対する径方向外側の縁を画定する内周面と、前記内周面と背合わせの関係にある外周面と、前記内周面と前記外周面との間に形成され、冷却空気が流通可能な複数の冷却通路と、前記外周面から前記内周面にかけて貫通しているノズル取付貫通孔と、前記ノズル取付貫通孔の周りに前記ノズル取付貫通孔の縁に沿って形成され、前記冷却空気が流通可能なノズル周り通路と、を有する。前記複数の冷却通路のうちの少なくとも一部が、前記ノズル周り通路と連通している。前記燃料ノズルは、前記燃料ノズルの少なくとも一部が前記ノズル取付貫通孔に挿通されて、前記筒に取り付けられている。前記燃料ノズルは、混合通路と、前記混合通路と連通し、前記混合通路内に前記燃料を供給可能な燃料通路と、前記筒の前記ノズル周り通路及び前記混合通路に連通し、前記混合通路内に前記ノズル周り通路からの冷却空気を供給可能な連結通路と、を有する。前記混合通路は、前記軸線に対する径方向成分を有する方向に延び、前記燃焼空間内に前記燃料を噴出可能な噴出口を有する。前記混合通路中で、前記連結通路と連通している位置は、前記混合通路が前記燃料通路と連通している位置よりも、前記噴出口が存在する側である。
【0009】
混合通路内に流入した燃料は、混合通路の噴出口から筒内の燃焼空間に噴出される。この混合通路内を流れる流体に関する混合通路の断面内での流速分布は、均一ではない。混合通路の断面の中央では、この断面中で流速が最も高い。一方、混合通路内であって混合通路を画定する壁面近傍で流速は、ほぼ0である。このため、仮に、混合通路の断面内での燃料濃度分布が均一であっても、筒の燃焼空間内での火炎又は熱の影響で、混合通路内で混合通路を画定する壁面近傍に存在する燃料が着火する可能性がある。つまり、フラッシュバック現象を起こす可能性がある。
【0010】
本態様では、混合通路内に燃料が供給される位置よりも混合通路の噴出口が存在する側に、筒の冷却通路を通ってきた冷却空気が連結通路を介して供給される。このため、本態様では、混合通路内に燃料が供給される位置よりも混合通路の噴出口が存在する側であって、混合通路内で混合通路を画定する壁面近傍における燃料の濃度が低下する。従って、本態様では、混合通路内で燃料が着火するフラッシュバック現象の発生を抑えることができる。
【0011】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様としての燃焼器は、
前記一態様における燃焼器用筒と、前記筒内に、前記軸線に沿った軸線方向における先端側と基端側とのうち前記先端側への方向成分を有する方向に向かって一次燃料を噴射可能な一次燃料ノズルと、を備える。前記燃焼器用筒の前記燃料ノズルは、二次燃料を噴射可能な二次燃料ノズルである。
【0012】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様としてのガスタービンは、
前記一態様における燃焼器と、空気を圧縮して、前記筒内での燃料の燃焼に用いられる圧縮空気を生成可能な圧縮機と、前記筒内での燃料の燃焼で生成された燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様では、燃料ノズル内で燃料が着火してしまうフラッシュバック現象の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの構成を示す模式図である。
図2】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの燃焼器周りの断面図である。
図3】本開示に係る一実施形態における筒の要部平面図である。
図4図3におけるIV-IV線で切欠いた燃焼器用筒の要部斜視図である。
図5図3におけるV-V線断面図である。
図6図3におけるVI-VI線断面図である。
図7】本開示に係る一実施形態における燃焼器用筒の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る燃焼器用筒を備える燃焼器、及び燃焼器を備えるガスタービン設備の実施形態、さらに燃焼器用筒の変形例ついて、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
「ガスタービン設備の実施形態」
ガスタービン設備の実施形態について、図1を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態におけるガスタービン設備は、ガスタービンと、強制冷却設備16と、を備える。
【0018】
ガスタービンは、外気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成可能な圧縮機20と、燃料Fを圧縮空気Acom中で燃焼させ燃焼ガスGを生成可能な複数の燃焼器40と、燃焼ガスGにより駆動可能なタービン30と、を備えている。
【0019】
圧縮機20は、ロータ軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ21と、圧縮機ロータ21を覆う圧縮機ケーシング25と、複数の静翼列26と、を有する。タービン30は、ロータ軸線Arを中心として回転するタービンロータ31と、タービンロータ31を覆うタービンケーシング35と、複数の静翼列36と、を有する。なお、以下では、ロータ軸線Arが延びる方向をロータ軸線方向Da、このロータ軸線方向Daの両側のうち一方側を軸線上流側Dau、他方側を軸線下流側Dadとする。
【0020】
圧縮機20は、タービン30に対して軸線上流側Dauに配置されている。圧縮機ロータ21とタービンロータ31とは、同一ロータ軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ11を成す。このガスタービンロータ11には、例えば、発電機GENのロータが接続されている。ガスタービンは、さらに、圧縮機ケーシング25とタービンケーシング35との間に配置されている中間ケーシング14を備えている。この中間ケーシング14内には、圧縮機20からの圧縮空気Acomが流入する。複数の燃焼器40は、ロータ軸線Arに対する周方向に並んで、中間ケーシング14に取り付けられている。圧縮機ケーシング25と中間ケーシング14とタービンケーシング35とは、互いに接続されてガスタービンケーシング15を成す。
【0021】
圧縮機ロータ21は、ロータ軸線Arを中心としてロータ軸線方向Daに延びるロータ軸22と、このロータ軸22に取り付けられている複数の動翼列23と、を有する。複数の動翼列23は、ロータ軸線方向Daに並んでいる。各動翼列23は、いずれも、ロータ軸線Arに対する周方向に並んでいる複数の動翼で構成されている。複数の動翼列23の各軸線下流側Dadには、複数の静翼列26のうちいずれか一の静翼列26が配置されている。各静翼列26は、圧縮機ケーシング25の内側に設けられている。各静翼列26は、いずれも、ロータ軸線Arに対する周方向に並んでいる複数の静翼で構成されている。
【0022】
タービンロータ31は、ロータ軸線Arを中心としてロータ軸線方向Daに延びるロータ軸32と、このロータ軸32に取り付けられている複数の動翼列33と、を有する。複数の動翼列33は、ロータ軸線方向Daに並んでいる。各動翼列33は、いずれも、ロータ軸線Arに対する周方向に並んでいる複数の動翼で構成されている。複数の動翼列33の各軸線上流側Dauには、複数の静翼列36のうちいずれか一の静翼列36が配置されている。各静翼列36は、タービンケーシング35の内側に設けられている。各静翼列36は、いずれも、ロータ軸線Arに対する周方向に並んでいる複数の静翼で構成されている。タービンケーシング35の内周側とロータ軸32の外周側との間の環状の空間中で、複数の静翼列36及び複数の動翼列33が配置されている領域は、燃焼器からの燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路39を形成する。
【0023】
燃焼器40には、燃料ライン45が接続されている。燃焼器40は、燃料ライン45からの燃料Fを、圧縮機20からの圧縮空気Acom中で燃焼させて燃焼ガスGを生成可能である。
【0024】
強制冷却設備16は、ガスタービンを構成する部品のうちで、高温の燃焼ガスGに晒される燃焼器の高温部品に強制冷却空気Aclを送る設備である。この強制冷却設備16は、冷却空気ライン17と、冷却器18と、ブースト圧縮機19と、を有する。冷却空気ライン17は、中間ケーシング14内の圧縮空気Acomをこの中間ケーシング14内から抽気して、この圧縮空気Acomを高温部品に導くことが可能なラインである。冷却空気ライン17は、抽気ライン17eと、冷却空気メインライン17mと、複数の冷却空気分岐ライン17bと、を有する。抽気ライン17eは、中間ケーシング14に接続され、中間ケーシング14内の圧縮空気Acomをブースト圧縮機19に導く。冷却器18は、抽気ライン17eに設けられ、この抽気ライン17eを流れる圧縮空気Acomを冷却できる。ブースト圧縮機19は、冷却器18で冷却された圧縮空気Acomを昇圧して、この圧縮空気Acomを強制冷却空気Aclとして高温部品に送る。冷却空気メインライン17mは、ブースト圧縮機19の吐出口に接続されている。この冷却空気メインライン17mには、ブースト圧縮機19で昇圧された空気である強制冷却空気Aclが流れる。冷却空気分岐ライン17bは、冷却空気メインライン17mから複数の高温部品毎に分岐したラインである。複数の冷却空気分岐ライン17bのそれぞれは、いずれか一の高温部品に強制冷却空気Aclを導く。
【0025】
「燃焼器用筒、及びこの燃焼器用筒を有する燃焼器の実施形態」
燃焼器用筒、及びこの燃焼器用筒を有する燃焼器の実施形態について、図2図6を参照して説明する。
【0026】
図2に示すように、本実施形態における燃焼器40は、フランジ41と、内筒43と、燃焼器用筒(燃焼筒又は尾筒)50と、複数の一次燃料配管46と、複数の一次燃料ノズル47と、二次燃料配管48と、分岐二次燃料配管48bと、燃料マニホールド48mと、音響減衰器70と、冷却空気ジャケット75と、を備える。
【0027】
フランジ41は、燃焼器軸線Acから放射方向に広がっている。内筒43及び燃焼器用筒50は、いずれも、中間ケーシング14内に配置されている。また、内筒43及び燃焼器用筒50は、いずれも、燃焼器軸線Ac周りに筒状を成している。ここで、以下の説明の都合上、燃焼器軸線(以下、単に軸線とする)Acが延びる方向を軸線方向Dcとする。この軸線方向Dcの両側のうち、一方側を先端側Dct、他方側を基端側Dcbとする。なお、先端側Dctは、ロータ軸線方向Daにおいて軸線下流側Dadであり、基端側Dcbはロータ軸線方向Daにおいて軸線上流側Dauである。また、軸線Acは、先端側Dctに向かうに連れてロータ軸線Arに近づくよう、ロータ軸線Arに対して傾いている。軸線Acに対する周方向を単に周方向Dccとする。また、軸線Acに対する径方向を単に径方向Drとする。この径方向Drで軸線Acに近づく側を径方向内側Dri、この径方向内側Driとは反対側を径方向外側Droとする。
【0028】
中間ケーシング14には、この中間ケーシング14外から中間ケーシング14内に貫通する燃焼器取付孔14hが形成されている。フランジ41は、この燃焼器取付孔14hを塞ぐように、中間ケーシング14にボルト42で取り付けられている。内筒43は、フランジ41に取り付けられている。この内筒43の内周側に複数の一次燃料ノズル47が配置されている。燃焼器用筒50は、内筒43の先端側Dctの部分に、シール部材等を介して接続されている。燃焼器用筒50は、中間ケーシング14の内面に固定された筒サポート44等により支持されている。
【0029】
燃焼器用筒50は、燃焼器軸線Ac周りに筒状の筒50Xと、この筒50Xに取り付けられている複数の二次燃料ノズル60と、を有する。筒50Xの内周側は、燃料が燃焼可能な燃焼空間50sを形成する。複数の二次燃料ノズル60は、径方向内側Driへの方向成分を有する方向に向かって燃焼空間50s内に二次燃料F2を噴射可能である。
【0030】
複数の一次燃料ノズル47は、いずれも、軸線方向Dcに延びている。複数の一次燃料ノズル47は、いずれも、先端側Dctへの方向成分を有する方向に向かって一次燃料F1を噴射可能である。複数の一次燃料ノズル47は、いずれも、フランジ41に固定されている。複数の一次燃料ノズル47のうち、一のノズルがパイロットノズル47pであり、他の複数のノズルがメインノズル47mである。パイロットノズル47pは、軸線Ac上に配置されている。複数のメインノズル47mは、パイロットノズル47pの周りで、周方向Dccに並んでいる。
【0031】
複数の一次燃料配管46は、いずれも、燃料ライン45から分岐した配管で、フランジ41に固定されている。複数の一次燃料配管46のうち、一の一次燃料配管46がパイロット燃料配管46pであり、他の複数の一次燃料配管46がメイン燃料配管46mである。パイロット燃料配管46pは、パイロットノズル47pに接続されている。複数のメイン燃料配管46mは、それぞれ、複数のメインノズル47mのうちのいずれか一のメインノズル47mに接続されている。
【0032】
前述の複数の二次燃料ノズル60は、複数の一次燃料ノズル47よりも先端側Dctの位置で、周方向Dccに並んで筒50Xに取り付けられている。
【0033】
燃料マニホールド48mは、筒50Xの外周側であって、一次燃料ノズル47よりも先端側Dctであって二次燃料ノズル60よりも基端側Dcbに配置されている。燃料マニホールド48mは、軸線Acに対して環状に形成されている。燃料マニホールド48mは、軸線Acに対して環状を成し、二次燃料F2を一時的に溜めておくことができる燃料空間を形成する。前述の二次燃料配管48は、この燃料マニホールド48mに接続されている。この二次燃料配管48も、燃料ライン45から分岐した配管で、フランジ41に固定されている。燃料マニホールド48mと複数の二次燃料ノズル60とは、複数の分岐二次燃料配管48bで接続されている。よって、燃料マニホールド48mは、燃料空間内の二次燃料F2を複数の二次燃料ノズル60に供給可能に、複数の分岐二次燃料配管48bを介して、複数の二次燃料ノズル60と連通している。
【0034】
筒50Xは、図2及び図4に示すように、燃料が燃焼可能な燃焼空間50sの径方向外側Droの縁を画定する内周面50iと、内周面50iと背合わせの関係にある外周面50oと、外周面50oから内周面50iにかけて貫通しているノズル取付貫通孔51と、を有する。この筒50Xは、軸線Ac周りに筒状の筒本体52と、出口フランジ55と、を有して構成されている。筒本体52の内周側は、前述の燃焼空間50sを形成する。出口フランジ55は、筒本体52の先端側Dctの端に設けられている。この出口フランジ55は、筒本体52の先端側Dctの端から径方向外側Droに向かって延びている。
【0035】
音響減衰器70は、筒本体52を形成する板の一部と共同して筒本体52の外周側に音響空間70sを形成する音響カバー71を有する。この音響カバー71は、筒本体52の基端側Dcbの部分に、軸線Acに対して環状に設けられている。筒本体52を形成する板の一部には、筒本体52の外周側から内周側に向かって貫通する音響孔73が形成されている。
【0036】
冷却空気ジャケット75は、筒本体52を形成する板の一部及び出口フランジ55と共同して筒本体52の外周側に冷却空気空間75sを形成するカバーである。この冷却空気ジャケット75は、筒本体52の外周側に軸線Acに対して環状に設けられている。この冷却空気ジャケット75には、図1を用いて前述した冷却空気分岐ライン17bが接続されている。よって、この冷却空気ジャケット75内の冷却空気空間75sには、強制冷却設備16からの強制冷却空気Aclが流入する。
【0037】
筒50Xのノズル取付貫通孔51は、図3図6に示すように、軸線Acに対して径方向Drに延びるノズル軸線Anを中心として円柱状に形成されている。このノズル取付貫通孔51は、軸線方向Dcで、音響減衰器70と冷却空気ジャケット75の間に形成されている。なお、図3は、筒50Xを径方向外側Droから見たときの筒50Xの要部平面図である。図4は、図3におけるIV-IV線で切欠いた燃焼器用筒50の要部斜視図である。図5は、図3におけるV-V線断面図である。図6は、図3におけるVI-VI線断面図である。
【0038】
筒50Xは、前述した筒本体52及び出口フランジ55の他に、ノズル取付座57を有する。このノズル取付座57は、例えば、ノズル軸線Anを中心とした円筒状の部材で、筒本体52の外周側に取り付けられている。なお、円筒状の部材であるノズル取付座57の両端面のうち、一方の端面が二次燃料ノズル60が取り付けられるノズル取付面57pである。このノズル取付面57pは、筒50Xの外周面50oの一部を形成する。また、円筒状の部材であるノズル取付座57の貫通孔57hは、ノズル取付貫通孔51の一部を形成する。筒本体52には、その外周側から内周側にかけて貫通した円柱状の貫通孔52hが形成されている。この貫通孔52hは、ノズル取付貫通孔51の一部を形成する。すなわち、本実施形態におけるノズル取付貫通孔51は、ノズル取付座57の貫通孔57hと筒本体52の貫通孔52hとで構成されている。このノズル取付貫通孔51内には、二次燃料ノズル60の円柱状の先端部60tが挿入される。このノズル取付座57には、ノズル取付貫通孔51の周りにノズル取付貫通孔51の縁に沿って形成され、冷却空気Aclが流通可能なノズル周り通路58が形成されている。このノズル周り通路58は、ノズル軸線Anを中心として環状の環状通路58aと、複数の連結通路58bと、を有する。複数の連結通路58bは、ノズル軸線Anに対する径方向に延び、環状通路58a内の空間からノズル取付貫通孔51内の空間に貫通する通路である。
【0039】
筒本体52は、図5に示すように、外側板53と内側板54とを有する。外側板53で相反する方向を向いている一対の面のうち、一方の面が外周面50oを成し、他方の面が接合面53cを成す。また、内側板54で相反する方向を向いている一対の面のうち、一方の面が接合面54cを成し、他方の面が内周面50iを成す。外側板53の接合面53cには、外周面50o側に凹み、一定の方向に長い複数の長溝53gが形成されている。外側板53と内側板54とは、互いの接合面53c,54c相互がろう付け等で接合されている。外側板53と内側板54との接合により、外側板53に形成されている長溝53gの開口が内側板54により塞がり、この長溝53g内が冷却通路56になる。
【0040】
図3及び図4に示すように、複数の冷却通路56は、いずれも、軸線方向Dcに延びている。複数の冷却通路56は、いずれも、強制冷却空気Aclが流入可能な入口56iと、この強制冷却空気Aclが流出可能な出口56oと、を有する。複数の冷却通路56のうち、ノズル軸線Anよりも先端側Dctに配置され、自身の延在方向の先にノズル周り通路58が存在して、周方向Dccで互いに隣り合っている複数の冷却通路56が複数の第一冷却通路56aを成す。また、複数の冷却通路56のうち、ノズル軸線Anよりも基端側Dcbに配置され、自身の延在方向の先にノズル周り通路58が存在して、周方向Dccで互いに隣り合っている複数の冷却通路56が複数の第二冷却通路56bを成す。
【0041】
第一冷却通路56aの先端側Dctの端に、この第一冷却通路56aの入口56iが形成されている。この入口56iは、冷却空気空間75sに臨んでいる。よって、この第一冷却通路56aには、冷却空気空間75s内の強制冷却空気Aclが流入可能である。第一冷却通路56aの基端側Dcbの端は、軸線方向Dcで、ノズル周り通路58が存在する領域に位置している。この第一冷却通路56aの基端側Dcbの端に、この第一冷却通路56aの出口56oが形成されている。第一冷却通路56aの出口56oとノズル周り通路58とは、第一連絡通路59aで接続されている。この第一連絡通路59aは、第一冷却通路56aの出口56oから径方向外側Droに向かって延びている。よって、第一冷却通路56a内に流入した強制冷却空気Aclは、この第一連絡通路59aを介して、ノズル周り通路58内に流入可能である。
【0042】
第二冷却通路56bの先端側Dctの端は、軸線方向Dcで、ノズル周り通路58が存在する領域に位置している。この第二冷却通路56bの先端側Dctの端に、この第二冷却通路56bの入口56iが形成されている。第二冷却通路56bの入口56iとノズル周り通路58とは、第二連絡通路59bで接続されている。この第二連絡通路59bは、第二冷却通路56bの入口56iから径方向外側Droに向かって延びている。よって、ノズル周り通路58内に流入した強制冷却空気Aclは、この第二連絡通路59bを介して、第二冷却通路56b内に流入可能である。
【0043】
複数の第二冷却通路56bのうち、一部の第二冷却通路56bの基端側Dcbの端は、軸線方向Dcで、音響カバー71が存在する領域に位置している。一部の第二冷却通路56bの基端側Dcbの端には、この一部の第二冷却通路56bの出口56oが形成されている。この出口56oは、第二冷却通路56b内から径方向外側Droに向かって開口し、音響カバー71内の音響空間70sに臨んでいる。よって、この一部の第二冷却通路56b内に流入した強制冷却空気Aclは、音響空間70sに流入可能である。音響空間70sに流入した強制冷却空気Aclは、音響孔73から筒50Xの内周側の燃焼空間50sに流入可能である。複数の第二冷却通路56bのうち、他の一部の第二冷却通路56bの基端側Dcbの端は、軸線方向Dcで、音響カバー71が存在する領域に位置していない。他の一部の第二冷却通路56bの基端側Dcbの端には、この他の一部の第二冷却通路56bの出口56oが形成されている。この出口56oは、第二冷却通路56b内から径方向内側Driに向かって開口し、燃焼空間50sに臨んでいる。よって、この他の一部の第二冷却通路56b内に流入した強制冷却空気Aclは、燃焼空間50sに流入可能である。よって、全ての第二冷却通路56b内に流入した強制冷却空気Aclは、燃焼空間50sに流入可能である。
【0044】
前述したように、ノズル取付座57は、筒本体52の外周側に取り付けられている関係で、このノズル取付座57に形成されているノズル周り通路58は、複数の第一冷却通路56aの出口56o及び複数の第二冷却通路56bの入口56iより、径方向外側Droに配置されている。このノズル周り通路58の断面積は、複数の第一冷却通路56aのそれぞれの断面積及び複数の第二冷却通路56bのそれぞれの断面積より大きい。このため、本実施形態では、ノズル周り通路58を流れる強制冷却空気Aclの流速を抑えることができる。よって、本実施形態では、環状のノズル周り通路58を流れる強制冷却空気Aclの圧力損失を抑えることができる。
【0045】
ノズル周り通路58の断面積は、図3に示すように、周方向Dccのおけるノズル周り通路58の中央部、つまりノズル周り通路58中でノズル軸線Anと周方向Dccにおける位置が同じ位置P1から、周方向Dccにおけるノズル周り通路58の両端の位置P2に向かうに連れて、次第に大きくなっている。言い換えると、ノズル周り通路58の断面積は、互に隣り合っている複数の第一冷却通路56aのうち、最も中央部に近い第一冷却通路56aがノズル周り通路58に連通している位置から、両端の第一冷却通路56aがノズル周り通路58に連通している位置に向かうに連れて、次第に大きくなっている。さらに、ノズル周り通路58の断面積は、互に隣り合っている複数の第二冷却通路56bのうち、両端の第二冷却通路56bがノズル周り通路58に連通している位置から、最も中央部に近い第二冷却通路56bがノズル周り通路58に連通している位置に向かうに連れて、次第に小さくなっている。
【0046】
具体的に、図3に示すように、ノズル周り通路58の幅は、ノズル周り通路58中でノズル軸線Anと周方向Dccにおける位置が同じ位置P1から周方向Dccにおけるノズル周り通路58の両端の位置P2に向かうに連れて、広くなっている。このため、ノズル周り通路58中でノズル軸線Anと周方向Dccにおける位置が同じ位置P1の幅W1が、ノズル周り通路58の最小幅になり、周方向Dccにおけるノズル周り通路58の両端の位置P2の幅W2が、ノズル周り通路58の最大幅になる。
【0047】
また、ノズル周り通路58の径方向Drの高さは、図6に示すように、ノズル周り通路58中でノズル軸線Anと周方向Dccにおける位置が同じ位置P1から周方向Dccにおけるノズル周り通路58の両端の位置P2に向かうに連れて、高くなっている。このため、ノズル周り通路58中でノズル軸線Anと周方向Dccにおける位置が同じ位置P1の高さH1が、ノズル周り通路58の最小高さになり、周方向Dccにおけるノズル周り通路58の両端の位置P2の高さH2が、ノズル周り通路58の最大高さになる。
【0048】
二次燃料ノズル60は、図4及び図7に示すように、円柱状のヘッド部60hと、円柱状の先端部60tとを有する。円柱状の先端部60tは、ノズル取付貫通孔51内に挿入可能に、この先端部60tの外径は、ノズル取付貫通孔51の内径とほぼ同じである。円柱状のヘッド部60hの外径は、ノズル取付貫通孔51の内径よりも大きい。
【0049】
二次燃料ノズル60は、ヘッド部60hから先端部60tにかけて形成されている混合通路61と、ヘッド部60hに形成されている燃料通路62と、先端部60tに形成されている複数の連結通路63と、を有する。
【0050】
混合通路61は、ヘッド部60hから先端部60tにかけて、径方向Dr成分を有する方向に延びている。混合通路61は、筒50Xの外周側に存在する圧縮空気Acomを混合通路61内に導くことができる圧縮空気口61iと、燃焼空間50s内に二次燃料F2を噴出可能な噴出口61oと、を有する。圧縮空気口61iは、混合通路61の径方向外側Droの端に形成されている。噴出口61oは、混合通路61の径方向内側Driの端に形成されている。
【0051】
燃料通路62は、混合通路61と連通し、この混合通路61内に二次燃料F2を供給可能である。この燃料通路62は、混合通路61の周りに、ノズル軸線Anを中心として環状の燃料分配通路62bと、燃料分配通路62bと連通し、外部からの二次燃料F2を燃料分配通路62bに送ることができる燃料受入通路62aと、燃料分配通路62bと連通し、燃料分配通路62bからの二次燃料F2を混合通路61内に導くことができる複数の分岐燃料通路62cと、を有する。燃料受入通路62aは、図2を用いて説明した分岐二次燃料配管48bと連通している。複数の分岐燃料通路62cは、それぞれ、分岐燃料通路62c内を流れてきた二次燃料F2を混合通路61内に流出させる燃料出口62oを有する。
【0052】
複数の連結通路63は、筒50Xのノズル周り通路58及び混合通路61に連通し、混合通路61内にノズル周り通路58からの強制冷却空気Aclを供給できる。具体的に、二次燃料ノズル60が筒50Xに取り付けられている状態で、複数の連結通路63のそれぞれは、ノズル周り通路58のいずれかの連結通路58bと連通している。複数の連結通路63は、混合通路61内に強制冷却空気Aclを流出させる冷却空気出口63oを有する。
【0053】
混合通路61中で、連結通路63と連通している位置は、混合通路61が燃料通路62と連通している位置よりも、噴出口61oが存在する側である。つまり、混合通路61中で、連結通路63の冷却空気出口63oが存在している位置は、燃料通路62の燃料出口62oが存在している位置よりも、噴出口61oが存在する側である。なお、本実施形態において、噴出口61oが存在する側は、径方向内側Driである。
【0054】
また、混合通路61中で、圧縮空気口61iは、燃料通路62と混合通路61とが連通している位置を基準にして、噴出口61oとは反対側に位置する。つまり、混合通路61中で、圧縮空気口61iは、燃料通路62の燃料出口62oを基準にして、噴出口61oとは反対側に位置する。なお、本実施形態において、噴出口61oとは反対側とは、径方向外側Droである。
【0055】
本実施形態における燃料通路62は、複数の分岐燃料通路62cを有するので、混合通路61内に、複数個所から二次燃料F2を供給することができる。このため、本実施形態では、混合通路61内に一箇所から二次燃料F2を供給する場合よりも、混合通路61内の燃料濃度分布の均一化を図ることができる。
【0056】
混合通路61内に流入した二次燃料F2は、圧縮空気口61iから混合通路61内に流入した圧縮空気Acomと混ざる。圧縮空気Acomと混ざった二次燃料F2は、混合通路61の噴出口61oから筒50X内の燃焼空間50sに噴出される。この混合通路61内を流れる流体に関する混合通路61の断面内での流速分布は、均一ではない。混合通路61の断面の中央では、この断面中で流速が最も高い。一方、混合通路61内であって混合通路61を画定する壁面近傍で流速は、ほぼ0である。このため、仮に、混合通路61の断面内での燃料濃度分布が均一であっても、筒50Xの燃焼空間50s内での火炎又は熱の影響で、混合通路61内で混合通路61を画定する壁面近傍に存在する二次燃料F2が着火する可能性がある。つまり、フラッシュバック現象を起こす可能性がある。
【0057】
本実施形態では、混合通路61内に二次燃料F2が供給される位置よりも混合通路61の噴出口61oが存在する側に、筒50Xの第一冷却通路56aを通ってきた強制冷却空気Aclが連結通路63を介して供給される。このため、本実施形態では、混合通路61内に二次燃料F2が供給される位置よりも混合通路61の噴出口61oが存在する側であって、混合通路61内で混合通路61を画定する壁面近傍における二次燃料F2の濃度が低下する。従って、本実施形態では、混合通路61内で二次燃料F2が着火するフラッシュバック現象の発生を抑えることができる。
【0058】
以上、本実施形態では、強制冷却空気Aclが第一冷却通路56aの入口56iから第一冷却通路56a内に流入する。強制冷却空気Aclは、この第一冷却通路56aを流れる過程で、筒50Xの第一冷却通路56a周りを冷却する。この強制冷却空気Aclは、第一冷却通路56aの出口56oから流出する。第一冷却通路56aから流出した強制冷却空気Aclは、ノズル取付貫通孔51の周りに形成されているノズル周り通路58内に流入する。ノズル周り通路58内に流入した強制冷却空気Aclは、このノズル周り通路58を流れる過程で、筒50Xのノズル周り通路58周りを冷却する。ノズル周り通路58内に流入した強制冷却空気Aclは、第二冷却通路56bの入口56iから第二冷却通路56b内に流入する。強制冷却空気Aclは、この第二冷却通路56bを流れる過程で、筒50Xの第二冷却通路56b周りを冷却する。この強制冷却空気Aclは、第二冷却通路56bの出口56oから流出する。
【0059】
筒50Xのノズル取付貫通孔51周りは、第一冷却通路56a中の出口56o近傍を流れる強制冷却空気Acl、ノズル取付貫通孔51周りに形成されているノズル周り通路58を流れる強制冷却空気Acl、及び第二冷却通路56b中の入口56i近傍を流れる強制冷却空気Aclにより冷却される。
【0060】
よって、本実施形態では、二次燃料ノズル60が取り付けられるノズル取付貫通孔51周りを強制冷却空気Aclで冷却することができる。しかも、本実施形態では、第一冷却通路56aを流れてきた強制冷却空気Aclをノズル周り通路58を介して第二冷却通路56bに導いている。よって、本実施形態では、筒50Xに供給する強制冷却空気Aclの流量を抑えることができる。
【0061】
前述したように、ノズル周り通路58を流れる強制冷却媒体Aclの流速が抑えられるため、ノズル周り通路58を流れる強制冷却空気Aclと筒50Xのノズル周り通路58周りとの熱伝達率は、第一冷却通路56aを流れる強制冷却空気Aclと筒50Xの第一冷却通路56a周りとの熱伝達率、及び第二冷却通路56bを流れる強制冷却空気Aclと筒50Xの第二冷却通路56b周りとの熱伝達率よりも低くなる。言い換えると、第一冷却通路56aを流れる強制冷却空気Aclと筒50Xの第一冷却通路56a周りとの熱伝達率、及び第二冷却通路56bを流れる強制冷却空気Aclと筒50Xの第二冷却通路56b周りとの熱伝達率は、ノズル周り通路58を流れる強制冷却空気Aclと筒50Xのノズル周り通路58周りとの熱伝達率より高くなる。
【0062】
そこで、本実施形態では、ノズル周り通路58よりも、複数の第一冷却通路56aのそれぞれの出口56o及び複数の第二冷却通路56bのそれぞれの入口56iを径方向内側Driに配置し、筒50Xのノズル取付貫通孔51周りであって、筒50Xの内周面50iの冷却性能を高めている。
【0063】
前述したように、ノズル周り通路58の断面積は、周方向Dccのおけるノズル周り通路58の中央部から周方向Dccにおけるノズル周り通路58の両端部に向かうに連れて、次第に大きくなっている。このため、本実施形態では、複数の第一冷却通路56aからノズル周り通路58内に強制冷却空気Aclが流入し、このノズル周り通路58から複数の第二冷却通路56b内に強制冷却空気Aclが流出しても、ノズル周り通路58内の強制冷却空気Aclの流速の均一化を図ることができる。よって、本実施形態では、ノズル周り通路58を流れる強制冷却空気Aclの圧力損失を抑えることができる。さらに、本実施形態では、ノズル周り通路58を流れる強制冷却空気Aclと筒50Xのノズル周り通路58周りとの熱伝達率の均一化を図ることができる。
【0064】
「変形例」
以上の実施形態の燃料通路62は、燃料受入通路62aと、環状の燃料分配通路62bと、燃料分配通路62bから分岐している複数の分岐燃料通路62cと、を有する。しかしながら、燃料通路は、環状の分配通路を有していなくてもよい。この場合、燃料通路は、外部からの燃料を受け入れ且つ混合通路61内に燃料を流出可能な複数の通路を有していればよい。
【0065】
以上の実施形態では、強制冷却空気Aclを冷却空気として用いている。しかしながら、冷却空気として、中間ケーシング14内の圧縮空気Acom、又は、中間ケーシング14内の圧縮空気Acomを抽気して冷却した空気を用いてもよい。
【0066】
以上の実施形態では、一部の第二冷却通路56bの出口56oが第二冷却通路56b内から径方向外側Droに向かって開口し、音響カバー71内の音響空間70sに臨み、他の一部の第二冷却通路56bの出口56oが第二冷却通路56b内から径方向内側Driに向かって開口し、燃焼空間50sに臨んでいる。しかしながら、全ての第二冷却通路56bの出口56oが第二冷却通路56b内から径方向外側Droに向かって開口し、音響カバー71内の音響空間70sに臨んでいてもよい。また、全ての第二冷却通路56bの出口56oが第二冷却通路56b内から径方向内側Driに向かって開口し、燃焼空間50sに臨んでいてもよい。
【0067】
以上の実施形態では、複数の第一冷却通路56aとノズル周り通路58とを複数の第一連絡通路59aで接続し、複数の第二冷却通路56bとノズル周り通路58とを複数の第二連絡通路59bで接続している。しかしながら、複数の第一冷却通路56aとノズル周り通路58との相対位置関係で、複数の第一冷却通路56aとノズル周り通路58とを直接接続できる場合には、複数の第一連絡通路59aを省略してもよい。また、複数の第二冷却通路56bとノズル周り通路58との相対位置関係で、複数の第二冷却通路56bとノズル周り通路58とを直接接続できる場合には、複数の第二連絡通路59bを省略してもよい。
【0068】
以上の実施形態では、ノズル周り通路58の断面積をノズル周り通路58中の位置に応じて変えるために、ノズル周り通路58中の位置に応じてノズル周り通路58の幅及びノズル周り通路58の高さを変えている。しかしながら、ノズル周り通路58の断面積をノズル周り通路58中の位置に応じて変えるために、ノズル周り通路58の幅とノズル周り通路58の高さとのうち、いずれか一方のみを変えてもよい。
【0069】
また、本開示は、以上で説明した一実施形態及び変形例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0070】
「付記」
以上の実施形態及び変形例における燃焼器用筒50は、例えば、以下のように把握される。
【0071】
(1)第一態様における燃焼器用筒は、
軸線Ac周りに筒状を成し、内周側で燃料Fが燃焼可能な燃焼空間50sを形成する筒50Xと、前記筒50Xに取り付けられ、前記軸線Acに対する径方向内側Driへの方向成分を有する方向に向かって前記燃焼空間50s内に燃料F2を噴射可能な燃料ノズル60と、を備える。前記筒50Xは、前記燃焼空間50sの前記軸線Acに対する径方向外側Droの縁を画定する内周面50iと、前記内周面50iと背合わせの関係にある外周面50oと、前記内周面50iと前記外周面50oとの間に形成され、冷却空気Aclが流通可能な複数の冷却通路56と、前記外周面50oから前記内周面50iにかけて貫通しているノズル取付貫通孔51と、前記ノズル取付貫通孔51の周りに前記ノズル取付貫通孔51の縁に沿って形成され、前記冷却空気Aclが流通可能なノズル周り通路58と、を有する。前記複数の冷却通路56のうちの少なくとも一部が、前記ノズル周り通路58と連通している。前記燃料ノズル60は、前記燃料ノズル60の少なくとも一部が前記ノズル取付貫通孔51に挿通されて、前記筒50Xに取り付けられている。前記燃料ノズル60は、混合通路61と、前記混合通路61と連通し、前記混合通路61内に前記燃料F2を供給可能な燃料通路62と、前記筒50Xの前記ノズル周り通路58及び前記混合通路61に連通し、前記混合通路61内に前記ノズル周り通路58からの冷却空気Aclを供給可能な連結通路63と、を有する。前記混合通路61は、前記軸線Acに対する径方向Dr成分を有する方向に延び、前記燃焼空間50s内に前記燃料F2を噴出可能な噴出口61oを有する。前記混合通路61中で、前記連結通路63と連通している位置は、前記混合通路61が前記燃料通路62と連通している位置よりも、前記噴出口61oが存在する側である。
【0072】
混合通路61内に流入した燃料F2は、混合通路61の噴出口61oから筒50X内の燃焼空間50sに噴出される。この混合通路61内を流れる流体に関する混合通路61の断面内での流速分布は、均一ではない。混合通路61の断面の中央では、この断面中で流速が最も高い。一方、混合通路61内で混合通路61を画定する壁面近傍で流速は、ほぼ0である。このため、仮に、混合通路61の断面内での燃料濃度分布が均一であっても、筒50Xの燃焼空間50s内での火炎又は熱の影響で、混合通路61内で混合通路61を画定する壁面近傍に存在する燃料F2が着火する可能性がある。つまり、フラッシュバック現象を起こす可能性がある。
【0073】
本態様では、混合通路61内に燃料F2が供給される位置よりも混合通路61の噴出口61oが存在する側に、筒50Xの冷却通路56を通ってきた冷却空気Aclが連結通路63を介して供給される。このため、本態様では、混合通路61内に燃料F2が供給される位置よりも混合通路61の噴出口61oが存在する側であって、混合通路61内で混合通路61を画定する壁面近傍における燃料F2の濃度が低下する。従って、本態様では、混合通路61内で燃料F2が着火するフラッシュバック現象の発生を抑えることができる。
【0074】
(2)第二態様における燃焼器用筒は、
前記第一態様における燃焼器用筒50において、前記混合通路61は、前記筒50Xの外周側に存在する圧縮空気Acomを前記混合通路61内に導くことができる圧縮空気口61iを有する。前記混合通路61中で、前記圧縮空気口61iは、前記燃料通路62と前記混合通路61とが連通している位置を基準にして、前記噴出口61oとは反対側に位置する。
【0075】
本態様では、混合通路61内に流入した燃料F2は、圧縮空気口61iから混合通路61内に流入した圧縮空気Acomと混ざる。本態様では、圧縮空気Acomと混ざった燃料F2を、混合通路61の噴出口61oから筒50X内の燃焼空間50s内に噴出させることができる。
【0076】
(3)第三態様における燃焼器用筒は、
前記第一態様又は前記第二態様における燃焼器用筒50において、
前記燃料通路62は、前記混合通路61の周りに形成されている環状の燃料分配通路62bと、前記燃料分配通路62bと連通し、外部からの燃料F2を前記燃料分配通路62bに送ることができる燃料受入通路62aと、前記燃料分配通路62bと連通し、前記燃料分配通路62bからの燃料F2を前記混合通路61内に導くことができる複数の分岐燃料通路62cと、を有する。
【0077】
本態様における燃料通路62は、複数の分岐燃料通路62cを有するので、混合通路61内に、複数個所から燃料F2を供給することができる。このため、本態様では、混合通路61内に一箇所から燃料F2を供給する場合よりも、混合通路61内の燃料濃度分布の均一化を図ることができる。
【0078】
(4)第四態様における燃焼器用筒は、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様における燃焼器用筒50において、前記複数の冷却通路56は、いずれも、前記冷却空気Aclが流入可能な入口56iと、前記冷却空気Aclが流出可能な出口56oと、を有する。前記複数の冷却通路56のうちの前記少なくとも一部は、互に隣り合っている複数の第一冷却通路56aと、互に隣り合っている複数の第二冷却通路56bと、を成す。前記複数の第一冷却通路56aは、それぞれの前記出口56oで、前記ノズル周り通路58と連通している。前記複数の第二冷却通路56bは、それぞれの前記入口56iで、前記ノズル周り通路58と連通している。
【0079】
本態様では、燃料ノズル60が取り付けられるノズル取付貫通孔51の周りに形成されているノズル周り通路58内を冷却媒体Aclが流れる。このため、本態様では、燃料ノズル60が取り付けられるノズル取付貫通孔51周りを冷却媒体Aclで冷却することができる。しかも、本態様では、第一冷却通路56aを流れてきた冷却媒体Aclを、ノズル周り通路58を介して第二冷却通路56bに導いている。よって、本態様では、筒50Xに供給する冷却媒体Aclの流量を抑えることができる。
【0080】
(5)第五態様における燃焼器用筒は、
前記第四態様における燃焼器用筒50において、前記ノズル周り通路58の断面積は、前記複数の第一冷却通路56aのそれぞれの断面積、及び前記複数の第二冷却通路56bのそれぞれの断面積よりも、大きい。前記ノズル周り通路58は、前記複数の第一冷却通路56aのそれぞれの前記出口56o及び前記複数の第二冷却通路56bのそれぞれの前記入口56iよりも、前記径方向外側Droに配置されている。
【0081】
本態様では、ノズル周り通路58の断面積は、複数の第一冷却通路56aのそれぞれの断面積、及び複数の第二冷却通路56bのそれぞれの断面積よりも、大きい。このため、本態様では、ノズル周り通路58を流れる冷却媒体Aclの流速を抑えて、ノズル周り通路58を流れる冷却媒体Aclの圧力損失を抑えることができる。
【0082】
従って、ノズル周り通路58を流れる冷却媒体Aclと筒50Xのノズル周り通路58周りとの熱伝達率は、第一冷却通路56aを流れる冷却媒体Aclと筒50Xの第一冷却通路56a周りとの熱伝達率、及び第二冷却通路56bを流れる冷却媒体Aclと筒50Xの第二冷却通路56b周りとの熱伝達率よりも低くなる。言い換えると、第一冷却通路56aを流れる冷却媒体Aclと筒50Xの第一冷却通路56a周りとの熱伝達率、及び第二冷却通路56bを流れる冷却媒体Aclと筒50Xの第二冷却通路56b周りとの熱伝達率は、ノズル周り通路58を流れる冷却媒体Aclと筒50Xのノズル周り通路58周りとの熱伝達率より高くなる。
【0083】
そこで、本態様では、ノズル周り通路58よりも、複数の第一冷却通路56aのそれぞれの出口56o及び複数の第二冷却通路56bのそれぞれの入口56iを径方向内側Driに配置し、筒50Xのノズル取付貫通孔51周りであって、筒50Xの内周面50iの冷却性能を高めている。
【0084】
(6)第六態様における燃焼器用筒は、
前記第四態様又は前記第五態様における燃焼器用筒50において、前記ノズル周り通路58の断面積は、互に隣り合っている前記複数の第一冷却通路56aのうち、最も中央部に近い第一冷却通路56aが前記ノズル周り通路58に連通している位置から、両端の第一冷却通路56aが前記ノズル周り通路58に連通している位置に向かうに連れて、次第に大きくなっている。さらに、前記ノズル周り通路58の断面積は、互に隣り合っている前記複数の第二冷却通路56bのうち、両端の第二冷却通路56bが前記ノズル周り通路58に連通している位置から、最も中央部に近い第二冷却通路56bが前記ノズル周り通路58に連通している位置に向かうに連れて、次第に小さくなっている。
【0085】
本態様では、複数の第一冷却通路56aからノズル周り通路58内に冷却媒体Aclが流入し、このノズル周り通路58から複数の第二冷却通路56b内に冷却媒体Aclが流出しても、ノズル周り通路58内の冷却媒体Aclの流速の均一化を図ることができる。このため、本態様では、ノズル周り通路58を流れる冷却媒体Aclの圧力損失を抑えることができる。さらに、本態様では、ノズル周り通路58を流れる冷却媒体Aclと筒50Xのノズル周り通路58周りとの熱伝達率の均一化を図ることができる。
【0086】
(7)第七態様における燃焼器用筒は、
前記第四態様から前記第六態様のうちのいずれか一態様における燃焼器用筒50において、前記複数の第一冷却通路56aは、前記軸線Acに沿った軸線方向Dcに延び、且つ前記軸線Acに対する周方向Dccに並ぶ。前記複数の第一冷却通路56aは、前記軸線方向Dcにおける先端側Dctと基端側Dcbとのうち、前記基端側Dcbの端に前記出口56oが形成されている。前記複数の第二冷却通路56bは、前記軸線方向Dcに延び、且つ前記周方向Dccに並び、前記複数の第一冷却通路56aよりも前記基端側Dcbに配置されている。前記複数の第二冷却通路56bは、前記先端側Dctの端に前記入口56iが形成されている。
【0087】
(8)第八態様における燃焼器用筒は、
前記第七態様における燃焼器用筒50において、前記ノズル周り通路58の断面積は、前記周方向Dccにおける前記ノズル周り通路58の中央部から前記周方向Dccにおける前記ノズル周り通路58の両端部に向かうに連れて、次第に大きくなっている。
【0088】
本態様では、複数の第一冷却通路56aからノズル周り通路58内に冷却媒体Aclが流入し、このノズル周り通路58から複数の第二冷却通路56b内に冷却媒体Aclが流出しても、ノズル周り通路58内の冷却媒体Aclの流速の均一化を図ることができる。このため、本態様では、ノズル周り通路58を流れる冷却媒体Aclの圧力損失を抑えることができる。さらに、本態様では、ノズル周り通路58を流れる冷却媒体Aclと筒50Xのノズル周り通路58周りとの熱伝達率の均一化を図ることができる。
【0089】
(9)第九態様における燃焼器用筒は、
前記第八態様における燃焼器用筒50において、前記ノズル周り通路58の前記軸線Acに対する径方向Drの高さは、前記周方向Dccのおける前記ノズル周り通路58の中央部から前記周方向Dccにおける前記ノズル周り通路58の両端部に向かうに連れて、次第に高くなっている。
【0090】
以上の実施形態及び変形例における燃焼器40は、例えば、以下のように把握される。
(10)第十態様における燃焼器は、
前記第一態様から前記第九態様のうちのいずれか一態様における燃焼器用筒50と、前記筒50X内に、前記軸線Acに沿った軸線方向Dcにおける先端側Dctと基端側Dcbとのうち前記先端側Dctへの方向成分を有する方向に向かって一次燃料F1を噴射可能な一次燃料ノズル47と、を備える。前記燃焼器用筒50の前記燃料ノズル60は、二次燃料F2を噴射可能な二次燃料ノズルである。
【0091】
以上の実施形態及び変形例におけるガスタービン10は、例えば、以下のように把握される。
(11)第十一態様におけるガスタービンは、
前記第十態様における燃焼器40と、空気Aを圧縮して、前記筒50X内での燃料の燃焼に用いられる圧縮空気Acomを生成可能な圧縮機20と、前記筒50X内での燃料の燃焼で生成された燃焼ガスGにより駆動可能なタービン30と、を備える。
【符号の説明】
【0092】
10:ガスタービン
11:ガスタービンロータ
14:中間ケーシング
14h:燃焼器取付孔
15:ガスタービンケーシング
16:強制冷却設備
17:冷却空気ライン
17e:抽気ライン
17m:冷却空気メインライン
17b:冷却空気分岐ライン
18:冷却器
19:ブースト圧縮機
20:圧縮機
21:圧縮機ロータ
22:ロータ軸
23:動翼列
25:圧縮機ケーシング
26:静翼列
30:タービン
31:タービンロータ
32:ロータ軸
33:動翼列
35:タービンケーシング
36:静翼列
39:燃焼ガス流路
40:燃焼器
41:フランジ
42:ボルト
43:内筒
44:筒サポート
45:燃料ライン
46:一次燃料配管
46p:パイロット燃料配管
46m:メイン燃料配管
47:一次燃料ノズル
47p:パイロットノズル
47m:メインノズル
48:二次燃料配管
48b:分岐二次燃料配管
48m:燃料マニホールド
50:燃焼器用筒(燃焼筒又は尾筒)
50X:筒
50i:内周面
50o:外周面
50s:燃焼空間
51:ノズル取付貫通孔
52:筒本体
52h:貫通孔
53:外側板
53c:接合面
53g:長溝
54:内側板
54c:接合面
55:出口フランジ
56:冷却通路
56a:第一冷却通路
56b:第二冷却通路
56i:入口
56o:出口
57:ノズル取付座
57h:貫通孔
57p:ノズル取付面
58:ノズル周り通路
58a:環状通路
58b:連結通路
59a:第一連絡通路
59b:第二連絡通路
60:二次燃料ノズル(または、単に燃料ノズル)
60h:ヘッド部
60t:先端部
61:混合通路
61i:圧縮空気口
61o:噴出口
62:燃料通路
62a:燃料受入通路
62b:燃料分配通路
62c:分岐燃料通路
62o:燃料出口
63:連結通路
63o:冷却空気出口
70:音響減衰器
70s:音響空間
71:音響カバー
73:音響孔
75:冷却空気ジャケット
75s:冷却空気空間
A:外気(又は単に空気)
Acom:圧縮空気
Acl:強制冷却空気(又は単に空気)
F:燃料
F1:一次燃料
F2:二次燃料
G:燃焼ガス
Ar:ロータ軸線
Ac:燃焼器軸線(または、単に軸線)
An:ノズル軸線
Da:ロータ軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
Dc:軸線方向
Dcb:基端側
Dct:先端側
Dcc:周方向
Dr:径方向
Dri:径方向内側
Dro:径方向外側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7