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  • 特許-吹付施工方法および吹付ノズル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】吹付施工方法および吹付ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/02 20060101AFI20240816BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20240816BHJP
   B28B 1/32 20060101ALI20240816BHJP
   B28C 7/16 20060101ALI20240816BHJP
   F27D 1/16 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B05D1/02 Z
B05B1/02
B28B1/32 A
B28B1/32 E
B28C7/16
F27D1/16 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023117708
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2019148650の分割
【原出願日】2019-08-13
(65)【公開番号】P2023179399
(43)【公開日】2023-12-19
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390001373
【氏名又は名称】AGCプライブリコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】有坂 通
(72)【発明者】
【氏名】星野 南斗
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-123199(JP,U)
【文献】実開昭52-102914(JP,U)
【文献】実開昭54-131503(JP,U)
【文献】特開昭52-152946(JP,A)
【文献】実公昭58-032137(JP,Y2)
【文献】特表2009-519128(JP,A)
【文献】特開平05-246475(JP,A)
【文献】特開2004-255370(JP,A)
【文献】特開2008-302275(JP,A)
【文献】実開昭48-071862(JP,U)
【文献】特開2001-198492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05B 1/00-17/08
B28B 1/00-1/54
B28C 1/00-9/04
F27D 1/00-1/18
E04B 1/62-1/99
E04F 13/00-13/30
B08B 1/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹付ノズルを使用した吹付施工方法であって、
前記吹付ノズルは、
第一のノズルおよび第二のノズルが接続された構成を有し、
前記第一のノズルは、内面径が増加していく第一内面径拡大部および内面径が減少していく第一内面径縮小部を有し、
前記第二のノズルは、内面径が増加していく第二内面径拡大部および内面径が減少していく第二内面径縮小部を有し、
吹付方向に沿って、前記第一内面径拡大部、前記第一内面径縮小部、前記第二内面径拡大部、および前記第二内面径縮小部の順になっており、
前記第一内面径縮小部および前記第二内面径縮小部の少なくとも一方のノズル内面に段差部を有しており、
前記第一内面径拡大部側から前記第二内面径縮小部側に向かって、吹付材料を搬送する、吹付施工方法。
【請求項2】
乾式吹付である、請求項1に記載の吹付施工方法。
【請求項3】
前記第一のノズルおよび前記第二のノズルは直接接続された構成である、請求項1又は2に記載の吹付施工方法。
【請求項4】
前記第一のノズルおよび前記第二のノズルは接続管を介して接続された構成である、請求項1又は2に記載の吹付施工方法。
【請求項5】
ノズル先端および接続口を有する吹付ノズルであって、
前記吹付ノズルは、
第一のノズルおよび第二のノズルが接続された構成を有し、
前記第一のノズルは、内面径が増加していく第一内面径拡大部および内面径が減少していく第一内面径縮小部を有し、
前記第二のノズルは、内面径が増加していく第二内面径拡大部および内面径が減少していく第二内面径縮小部を有し、
前記接続口から前記ノズル先端に向かって、前記第一内面径拡大部、前記第一内面径縮小部、前記第二内面径拡大部、および前記第二内面径縮小部の順になっており、
前記第一内面径縮小部および前記第二内面径縮小部の少なくとも一方のノズル内面に段差部を有している、吹付ノズル。
【請求項6】
前記第一のノズルおよび前記第二のノズルは直接接続された構成である、請求項5に記載の吹付ノズル。
【請求項7】
前記第一のノズルおよび前記第二のノズルは接続管を介して接続された構成である、請求項5に記載の吹付ノズル。
【請求項8】
前記第一のノズルおよび前記第二のノズルは弾性体で構成される、請求項6又は7に記載の吹付ノズル。
【請求項9】
前記段差部は、
前記吹付ノズルの回転軸方向に平行又は平行から10度以内にテーパーを有する平坦部と、
前記吹付ノズルの回転軸方向に直交又は直交から10度以内のテーパーを有する高さ部と、で構成される、
請求項6又は7に記載の吹付ノズル。
【請求項10】
前記第一内面径拡大部および前記第二内面径拡大部の少なくとも一方のノズル内面に段差部を有する、請求項6又は7に記載の吹付ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鉄・セメント製造設備・石油精製関連炉・ボイラ・焼却炉等の築炉分野や土木・建築分野などで、不定形耐火物、モルタルやコンクリートなどの粉末材料を吹付施工する際の吹付ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
吹付ノズルを使用した施工方法(以下、吹付施工方法ともいう)としては、予め材料と水とを混練してスラリー状としたものをポンプ等でノズル部まで圧送して施工対象に吹付を行う湿式吹付と、乾燥または適度に湿らせた状態の粉末状材料を圧縮空気等を用いてノズル部まで搬送し、ノズル部において水を添加し、施工対象に吹付を行う乾式吹付の2つに大別される。
【0003】
前者の湿式吹付では、事前に材料と水とを充分に混練しているため、吹付施工体の物性のバラツキが少ないうえ、吹付施工時の発塵や材料の跳ね返りが少ないといった長所があるものの、混練装置や、スラリー圧送用ポンプ等の装置が必須で設備費用がかさむほか、施工後の清掃等の作業負荷も大きく、しかも施工終了後に配管中に残留するスラリーを廃棄せざるをえず材料ロス費用も高いといった問題がある。
【0004】
一方、後者の乾式吹付では、材料を粉末状で空気圧送するだけで混練装置が不要なため、小規模の装置で施工できることから設備コストが低い。また、装置の設置や運転が簡易であり、施工終了後の装置掃除が簡単で、長距離の材料搬送が可能といった長所がある。しかしながら、乾式吹付ではノズル部において粉末材料に水を瞬時に添加するため、材料と水との接触時間が短く、結果として粉末材料と水とが充分に混合されず不均質なまま吹付されるおそれがある。その場合には、施工体の品質バラツキが大きくなるほか、施工時の発塵がひどく、材料の跳ね返り(リバウンドロス)が多くなるといった問題がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、不定形耐火物粉に適量の水分を吐出直前に添加する方式の吹付装置が開示されている。しかし、この装置では大型で設備コストが嵩み、狭所での作業は不可能であり、粉体と水との混練も不十分であった。また、特許文献2には、内部混練助成装置を付帯したノズルが開示されている。しかし、内部混練助成装置を付帯することによりノズル全長が長くなる上、質量も重くなり、狭所でのノズルの取り回しができないため作業性も悪く、コストも嵩むといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭58-183258号公報
【文献】特開2004-255370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、具体的には、吹付施工時に発塵、跳ね返りが少なく、作業性に優れ、しかも施工体の品質バラツキの少ない、乾式吹付に好適な吹付ノズルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吹付ノズルは、ノズル先端と、搬送管の接続口とを有し、前記接続口から前記ノズル先端にいくにしたがって、ノズル内面の内面径が減少する内面径縮小部を少なくとも有し、前記内面径縮小部の内面に、高さ部と、平坦部と、前記高さ部と前記平坦部とを接続するコーナー部とで構成される段差を少なくとも1段形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吹付ノズル内面に形成した段差により粉末材料とノズル部で添加した水とを吹付ノズルの中で短時間で均質レベルの高い混合状態にすることが可能となり、均質性の高い施工体が得られるほか、吹付施工時に発塵、跳ね返りが少なく、かつ作業性に優れた吹付ノズルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の吹付ノズルの構成を模式的に示した断面図である。
図2図1の段差の部分拡大図である。
図3】本発明の一実施形態の吹付ノズルの他の構成を模式的に示した断面図である。
図4】本発明の一実施形態の吹付ノズルの他の構成を模式的に示した断面図である。
図5】本発明の一実施形態の吹付ノズルの他の構成を模式的に示した断面図である。
図6】本発明の一実施形態の吹付ノズルの他の構成を模式的に示した断面図である。
図7図1のA-A´の横断面図である。
図8】横断面図の他の構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の吹付ノズル(以下、特に断りのないかぎり単にノズルと略す)の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
本発明のノズルは、図面に示すようにノズル先端1と、搬送管の接続口9とを有し、前記接続口9から前記ノズル先端1にいくにしたがって、ノズル内面の内面径が減少する形状を少なくとも有し、前記ノズル内面に段差が形成されることを特徴とする。ノズル内面に形成された段差の働きについて、詳しくは分かっていないが、段差部分において粉体材料を搬送する空気に搬送方向とは逆方向などの異なる流れや乱流が形成され、それらによって粉体材料と水との混合が促進されるためと思われる。
【0013】
図1は、本発明のノズル10の回転軸方向、すなわち吹付方向(図中のX方向)の断面図であり、ノズル10は、回転軸を中心にして回転した形を有する。ノズル10において、吹付材料は、図示しない気流搬送機により同じく図示しない搬送管内を気流搬送されて、搬送管とノズル10とを接続する接続口9からノズル先端1へと搬送されて図1のX方向、すなわち回転軸方向に吹付される。なお、ノズル10は、前述の通り接続口9からノズル先端1へと吹付方向に沿ってノズル内径が減少していくノズル形状を有し、ストレートノズルや単にストレート型とも称される。吹付材の搬送方向に沿ってノズル内径(内面径とも称す)が減少する内面径縮小部5で構成されるのがストレートノズルである。
【0014】
図2は、図1の段差部の部分拡大図である。ノズルの内面2に形成される段差4は、図2の拡大図に示すように階段状の高さ部4aと、平坦部4bと、高さ部4aと平坦部4bとを接続するコーナー部4cとで構成される。1つの高さ部4aと1つの平坦部4bと1つのコーナー部4cを以下、1段の段差という。ノズルの内面2に形成される段差4は、1段の段差でも2段以上の複数段でもよい。ノズル内での粉末材料と水との混合を促進する点からは、複数段の段差が好ましい。複数段の段数としては、2~30が好ましく、3~20がより好ましく、4~10段が特に好ましい。前記図1の場合は、4段の段差の例である。なお、複数段の場合は、次の段との高さ部4aと接続する箇所を先端部4dとする。
【0015】
高さ部4aは、X方向との直交方向の面か又は直交方向から10度以内のテーパーを有する面でもよい。平坦部4bは、X方向と平行な面か又は平行から10度以内にテーパーを有する面でもよい。
【0016】
前記段差の高さ部4aの少なくとも1つが0.5~10mmであることが好ましく、1~8mmであることがより好ましく、2~6mmであることがさらに好ましい。また、高さ部4a全ての長さを同一としてもよいし、また、一部の長さを短くしても長くしてもよい。前記段差の平坦部4bの少なくとも1つが5~40mmであることが好ましく、10~30mmであることがより好ましく、15~25mmであることがさらに好ましい。また、平坦部4bの全ての長さを同一としてもよいし、また、一部の長さを短くしても長くしてもよい。
【0017】
また、高さ部4aと平坦部4bとを接続するコーナー部4cは、R形状またはテーパー形状であることが混合促進の点で好ましい。R形状の場合は、曲率R:0.1~2mmとするのが好ましい。テーパー形状の場合は、テーパーの長さが、0.1~2mmとするのが好ましい。同様に、先端部4dもR形状またはテーパー形状であることが混合促進の点で好ましい。コーナー部4cの全てにR形状を付与することが混合促進の点でより好ましい。同様に、1段の段差と次の1段の段差とをつなぐ先端部4dにR形状を付与することが好ましく、全ての先端部4dにR形状を付与することがより好ましい。コーナー部4cの全てと、先端部4dの全てとに、R形状を付与することが特に好ましい。
【0018】
前述したように、ノズル10は、回転軸を中心にして回転した形を有することから、段差4も、回転軸方向に回転させた形を有する。すなわち、段差4で形成される空間は円柱形状となる。
【0019】
図7は、ノズル10の図1のA-A′断面図である。A-A′断面図は、1つの段差の高さ部4aを含む面での断面図である。なお、図7において図1と共通する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。以下も同様である。
【0020】
また、図7の変形例を図8に示す。図8は、段差による空間が円柱状となるように形成せずに、段差を4つの独立した4分円として形成する。
【0021】
図3に、別の形状を有するノズル20を示す。ノズル20は、接続口9からノズル先端1へと吹付方向にいくにつれ内径が単純に増加していきノズル中央付近で内径が最大となった後、内径が単純に減少する形状を有し、ハム型ノズルとも称される。すなわち、ノズル20は、吹付材料の搬送方向に沿って、搬送管との接続口9、内面径が増加する内面径拡大部6、次に内面径縮小部5で構成されるノズルである。ノズル20の内径減少部にはノズル10と同様に4段の段差4が形成されている。ノズル20においても段差4の構成はノズル10と同様に構成できる。図1と共通する部分には同一の番号を付して説明を省略する。
【0022】
図4に、ノズル20の変形としてノズル30を示す。ノズル30は、段差4を内面径縮小部5に形成する他に、内面径拡大部6にも構成する点でノズル20と相違する。段差4が内面径縮小部5以外に内面径拡大部6にも構成されるため、ノズル内での粉末材料と水との混合がより促進されるため好ましい。
【0023】
図5に示すノズル40は、上記ノズル20(ハム型ノズル)と同じ外面を有するノズル21とノズル22が、直列に2個接続された構成をとる。ノズル21は、第1内面径拡大部6aと第1内面径縮小部5aとで構成され、ノズル22は、第2内面径拡大部6bと第2内面径縮小部5bとで構成される。
【0024】
よって、ノズル40は、内面径拡大部6として、第1内面径拡大部6aと第2内面径拡大部6bの2個の内面径拡大部と、内面径縮小部5として、第1内面径縮小部5aと第2内面径縮小部5bを有し、吹付材の搬送方向に沿って第1内面径拡大部6a、第1内面径縮小部5a、第2内面径拡大部6b、第2内面径縮小部5bの順に形成される。ノズル40は、ノズル21とノズル22との間は途中に接続管を挟まずに直接接続される
【0025】
ノズル40において、内面径縮小部5を構成する第1内面径縮小部5aと第2内面径縮小部5bの少なくともいずれかに、段差4が形成される。好ましくは、図5のように第1内面径縮小部5aと第2内面径縮小部5bの両方に段差4が形成されることが好ましい。図5の場合、第1内面縮小部5aには3段の段差が形成され、第2内面縮小部5bには4段の段差が形成されている。
【0026】
図5に図示はしていないが、ノズル40の別の形態として、第1内面径拡大部6aと第2内面径拡大部6bの少なくともいずれかに、段差4が形成されてもよく、第1内面径拡大部6aと第2内面径拡大部6bの両方に段差4が形成されてもよい。
【0027】
図6には、ノズル40の変形としてノズル50を示す。ノズル50は、ノズル21とノズル22の2つのノズルが直列に接続されて構成される点ではノズル40と共通するが、ノズル21とノズル22との間に接続管7を有する点でノズル40とは異なる。接続管7は、図6ではストレートな直管であるが、テーパー付き直管でもよい。すなわち、隣り合う二つのノズル、ノズル21とノズル22の間は、前記図5のように直接接続してもよいし、前記図6のように接続管7を介して接続してもよい。接続管7の長さは20~500mmが好ましく、20~100mmがより好ましく、20~50mmがさらに好ましい。
【0028】
なお、複数のノズルを連結する態様としては、同じ外面を有するノズル21とノズル22とを連結する場合の他に、ノズル10とノズル20をつなぐ構成でもよく、また連結するノズル数も2には限定されず、3以上でもよい。段差4についても、複数のノズルの少なくとも1つの内面径縮小部に形成されていればよく、複数のノズルの全ての内面径縮小部に段差4が形成されることが好ましく、全ての内面径縮小部と全ての内面径拡大部に段差4が形成されることがより好ましい。
【0029】
ノズル内面に段差を形成したノズルを少なくとも1つ含む複数のノズルを接続することにより水と粉末材料の混合がより促進されることが期待される。
【0030】
本発明のノズルは、1つの構成体で形成してもよく、外面側と内面側の2つの構成体で形成してもよい。ノズルの材質としては、例えば金属やゴムなどの弾性体が挙げられる。ノズルを2つの構成体で形成する場合、ノズル内面側とノズル外面側を異なる材質で形成してもよく、同じ材質で形成してもよい。異なる材質の場合は、少なくとも一方の材質が弾性体であることが好ましく、ノズル内面側が弾性体であることがより好ましい。ノズル内面側とノズル外面側の全体を一つの材質とする場合は、弾性体が好ましく、その中でもゴムが好ましい。ゴムは金属に比べて軽量化できるほか、吹付材料を搬送する空気によってノズル形状が多少変形し、その変形により混合が促進されるため好ましい。ノズルとしては、ノズル内面側とノズル外面側の両方が弾性体であることが好ましい。
【0031】
同様に接続管7の材質も金属やゴムなどの弾性体が挙げられ、ノズルの材質と同じ材質が好ましく、ノズルの材質がゴムの場合は接続管7もゴムであることが好ましい。
【0032】
前記弾性体はゴムであることが好ましく、ゴム硬度はJIS K6253に規定された測定法により30~90であることが好ましく、40~80がより好ましく、50~70であることより好ましく、60が最も好ましい。
【0033】
本発明のノズルは、接続口9で搬送管と接続される。搬送管の内径は、吹付の作業性の観点などから大体2.54cmから7.62cmまでであることから接続口9でのノズル内径も2.54cmから7.62cmまでとすることが好ましい。吹付量と作業性のバランスの点から3.81cmとすることが特に好ましい。
【実施例
【0034】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、例1~6、8~12、14~18、20~24が実施例、例7、13、19、25が比較例である。
図1に示すノズル10、図3に示すノズル20、図5に示すノズル40および図6に示すノズル50のノズルタイプを各々吹付ノズルとして使用し、乾式吹付施工を行った。段差の数は表1~4に記載の通りとし、ノズルは内面側と外面側の2つの構成体で形成した。
【0035】
表1にノズル10、表2にノズル20、表3にノズル40、表4にノズル50のノズル構成を示した。
【0036】
吹付材料としては、耐火性骨材、耐火性粉末、及び結合剤からなる粉末状の不定形耐火物組成物を準備した。
【0037】
<不定形耐火物組成物>
・耐火性骨材: 64質量%、
・耐火性粉末: 27質量%、
・結合剤(アルミナセメント): 8質量%。
【0038】
<ノズル10>
・全長:30cm(内面径縮小部5:23cm)
・先端内径:2.5cm、
・接続口内径:3.8cm
【0039】
<ノズル20>
・全長:30cm,(内面径縮小部5:14cm、内面径拡大部6:9cm)
・先端内径:2.5cm、
・接続口内径:3.8cm
・最大内径:5cm
【0040】
<ノズル40>
・全長:38.5cm,(内面径拡大部6a;8cm、内面径縮小部5a;7.6cm)
(内面径拡大部6b;5.4cm、内面径縮小部5b;11cm)
・先端内径:2.5cm、
・接続口内径:3.8cm
・最大内径:4.9cm
【0041】
<ノズル50>
・全長:45.0cm,(内面径拡大部6a;8cm、内面径縮小部5a;7.6cm)
(内面径拡大部6b;5.9cm、内面径縮小部5b;11cm)
・先端内径:2.5cm、
・接続口内径:3.8cm
・接続管:5cm
・最大内径:4.9cm
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
<吹付条件>
気流搬送機に粉体定量供給機から不定形耐火組成物を1m/hr.の量で連続的に定量供給しながら、エアーコンプレッサーから5Nm/min.の流量で圧縮空気を送り、不定形耐火組成物を搬送管内に送り込んだ。なお、搬送管として気流搬送機から吹付ノズルまでの長さは40m、内径3.8cmのゴム製ホースを使用した。
【0047】
搬送管内において、不定形耐火組成物を気流搬送しながら、搬送管の接続口9で水道水(施工水)を添加した。
【0048】
<発塵の評価>
上記不定形耐火物組成物を用い、下記の評価基準で発塵の評価を行った結果を表5~8に示す。
3:3人中3人のノズルマンが発塵を生じていないと目視判断
2:3人中2人のノズルマンが発塵を生じていないと目視判断
1:3人中3人のノズルマンが発塵を生じていると目視判断
【0049】
<跳ね返りの評価>
上記不定形耐火物組成物を用い、下記の評価基準で跳ね返り量の評価を行った結果を表5~8に示す。
3:3人中3人のノズルマンが跳ね返りが少ないと目視判断
2:3人中2人のノズルマンが跳ね返りが少ないと目視判断
1:3人中3人のノズルマンが跳ね返りが多いと目視判断
【0050】
<均質性の評価>
上記不定形耐火物組成物を用い、下記の評価基準で均質性の評価を行なった結果を表5~8に示す。
3:3人中3人のノズルマンが均質性に優れていると目視判断
2:3人中2人のノズルマンが均質性に優れていると目視判断
1:3人中3人のノズルマンが均質性に問題があると目視判断
【0051】
<作業性の評価>
上記不定形耐火物組成物を用い、ノズルの取り回し、及び作業に関する疲労度に関して下記の評価基準で作業性として評価を行なった結果を表5~8に示す
3:3人中3人のノズルマンが作業性に優れていると判断
2:3人中2人のノズルマンが作業性に優れていると判断
1:3人中3人のノズルマンが作業性が劣っていると判断
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のノズルを使用することにより、吹付施工時に発塵、跳ね返りが少なく、作業性に優れ、しかも施工体の品質バラツキの少ない、乾式吹付が容易に可能となる。
【符号の説明】
【0057】
10、20、30、40、50・・・吹付ノズル
1・・・ノズル先端
2・・・ノズル内面(側)
3・・・ノズル外面(側)
4・・・段差
4a・・・高さ部
4b・・・平坦部
4c・・・コーナー部
4d・・・先端部
5・・・内面径縮小部
5a・・・第1内面径縮小部
5b・・・第2内面径縮小部
6・・・内面径拡大部
6a・・・第1内面径拡大部
6b・・・第2内面径拡大部
7・・・接続管
9・・・接続口
X・・・粉末材料の吹付(搬送)方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8