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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】燃料ノズルおよびガスタービン燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/28 20060101AFI20240816BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20240816BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F23R3/28 D
F23R3/00 D
B23K20/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023129450
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2020155193の分割
【原出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2023153214
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長橋 裕明
(72)【発明者】
【氏名】寺田 義隆
(72)【発明者】
【氏名】沼田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 祥太
(72)【発明者】
【氏名】和田 康弘
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-183960(JP,A)
【文献】特開2001-141243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0219211(US,A1)
【文献】特開2010-249449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
F23D 14/20-14/24
F23D 14/00-14/18;14/26-14/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路を備える燃料ノズルであって、
燃料または燃焼空気が導通する第1の流路と、
燃料または燃焼空気が導通し、前記第1の流路とは異なる第2の流路と、を有し、
前記燃料ノズルの軸方向に垂直な断面において前記第1の流路と前記第2の流路の両方が配置される、前記燃料ノズルの軸方向の範囲全体において、前記第1の流路および前記第2の流路がいずれも前記燃料ノズルの周方向に複数に分割されて配置されていることを特徴とする燃料ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料ノズルであって、
前記燃料ノズルは、少なくとも前記燃料ノズルの軸方向に垂直な断面において前記第1の流路と前記第2の流路の両方が配置される範囲の部位が、接合部の無い一体の部材で構成されていることを特徴とする燃料ノズル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料ノズルであって、
前記第1の流路を燃焼空気が導通し、
前記第2の流路を前記燃焼空気より温度の低い燃料が導通することを特徴とする燃料ノズル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料ノズルであって、
前記燃料ノズルの先端近傍は、前記第1の流路および前記第2の流路の内、前記第1の流路のみが配置されており、
前記第1の流路のみが配置されている部位は、前記第1の流路と前記第2の流路が配置されている部位と接合されていることを特徴とする燃料ノズル。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料ノズルであって、
前記第1の流路のみが配置されている部位は、前記第1の流路と前記第2の流路が配置されている部位と、溶接または熱間等方圧加圧(HIP)法により接合されていることを特徴とする燃料ノズル。
【請求項6】
燃料と燃焼空気の混合気を燃焼させる燃焼室を構成する燃焼器ライナと、
前記燃焼室からタービンに燃焼ガスを導く尾筒と、
前記燃焼室に燃料と燃焼空気を供給するパイロットノズルと、
前記パイロットノズルの周囲に複数配置され、前記燃焼室に燃料と燃焼空気を供給するメインノズルと、を備え、
前記パイロットノズルは、燃料または燃焼空気が導通する第1の流路と、
燃料または燃焼空気が導通し、前記第1の流路とは異なる第2の流路と、を有し、
前記パイロットノズルの軸方向に垂直な断面において前記第1の流路と前記第2の流路の両方が配置される、前記パイロットノズルの軸方向の範囲全体において、前記第1の流路および前記第2の流路がいずれも前記パイロットノズルの周方向に複数に分割されて配置されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項7】
請求項6に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記パイロットノズルは、少なくとも前記パイロットノズルの軸方向に垂直な断面において前記第1の流路と前記第2の流路の両方が配置される範囲の部位が、接合部の無い一体の部材で構成されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項8】
請求項6または7に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記第1の流路を燃焼空気が導通し、
前記第2の流路を前記燃焼空気より温度の低い燃料が導通することを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記パイロットノズルの先端近傍は、前記第1の流路および前記第2の流路の内、前記第1の流路のみが配置されており、
前記第1の流路のみが配置されている部位は、前記第1の流路と前記第2の流路が配置されている部位と接合されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項10】
請求項9に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記第1の流路のみが配置されている部位は、前記第1の流路と前記第2の流路が配置されている部位と、溶接または熱間等方圧加圧(HIP)法により接合されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン燃焼器に用いられる燃料ノズルの構造に係り、特に、パイロットノズルに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンに使用する燃料の種類には様々なものがあり、燃料カロリーと燃焼速度により使用する燃焼器を選定している。カロリーの低い燃料については、拡散燃焼器を使用し、カロリーの高い燃料については予混合燃焼器を使用する。予混合燃焼は拡散燃焼に比べ火炎温度を低減できるため、水や蒸気の噴霧なしでNOxの低減が可能であり、現在ガスタービンに広く適用されている。
【0003】
発電用に使用されているガスタービンでは主に天然ガスを燃料としているが、多くの天然ガス焚き予混合燃焼器はパイロットノズルとメインノズルを備えており、パイロットノズルで形成される火炎によりメイン予混合火炎の安定化を図っている。
【0004】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には「ガスタービンの燃焼器の軸心に配置されてなるガスタービンのパイロット燃焼バーナであって、軸方向に沿って、その内部に複数の予混合燃焼用の燃料流路と、複数の拡散燃焼用の燃料流路とが独立して形成されたパイロット燃焼ノズルと、このパイロット燃焼ノズルに対して同心状で、かつ、その上流側の端部が、前記パイロット燃焼ノズルの下流側の端部を囲繞する状態で配置されるパイロットバーナ筒と、前記パイロット燃焼ノズルの下流側の端部に放射状に配置されて、前記パイロット燃焼ノズルの下流側の端部と、前記バーナ筒の上流側の端部との間に形成されたリング状の空気通路を通過する圧縮空気に旋回力を付与して、この圧縮空気を旋回空気流にする複数枚の旋回翼とを備えているガスタービンのパイロット燃焼バーナ」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-249449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、多くの天然ガス焚き予混合燃焼器は1本のパイロットノズルと8本のメインノズルを備えており、燃料系統はメイン系統とパイロット系統の2系統から構成される。パイロット比率(パイロット燃料流量/全体燃料流量)は着火時に最も多く、負荷上昇と共に低下させ、定格負荷ではパイロット比率を最も低くしNOxの排出量を抑えている。
【0007】
また、燃料中のメタン濃度が変化した場合、燃焼性が変化するため、空気バイパス弁の調節により燃焼領域の燃空比を調整したり、パイロット比率を変化させて、安定な燃焼状態に調整することが必要となる。
【0008】
ところで、ガスタービン燃焼器の燃料ノズルでは燃焼空気と燃料との温度差に起因した熱応力の発生がしばしば問題となる。過大な熱応力が発生すると低サイクル疲労寿命が不足し、運用上の制限が発生する。特に、上述した天然ガス焚き予混合燃焼器のように複数の燃料系統を備えた燃料ノズルにおいては、運転状態に応じて燃料及び燃焼空気(パージ空気)などの温度が異なる流体が導通し、これに起因して熱応力が増大する場合がある。
燃料ノズルに発生する熱応力は、燃料ノズルの信頼性及び耐久性の低下に繋がる。
【0009】
上記特許文献1によれば、圧縮空気が流動することによって生じる振動を低減させることができ、かつ、起動時における吹き消えを防止することができるが、上記のような燃料及び燃焼空気(パージ空気)などの温度が異なる流体の導通に起因して発生する燃料ノズルの熱応力については何ら考慮されていない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、複数の燃料系統を備える燃料ノズルにおいて、導通する燃料及び燃焼空気の温度差に起因する熱応力の少ない燃料ノズル及びそれを用いたガスタービン燃焼器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の流路を備える燃料ノズルであって、燃料または燃焼空気が導通する第1の流路と、燃料または燃焼空気が導通し、前記第1の流路とは異なる第2の流路と、を有し、前記燃料ノズルの軸方向に垂直な断面において前記第1の流路と前記第2の流路の両方が配置される、前記燃料ノズルの軸方向の範囲全体において、前記第1の流路および前記第2の流路がいずれも前記燃料ノズルの周方向に複数に分割されて配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、燃料と燃焼空気の混合気を燃焼させる燃焼室を構成する燃焼器ライナと、前記燃焼室からタービンに燃焼ガスを導く尾筒と、前記燃焼室に燃料と燃焼空気を供給するパイロットノズルと、前記パイロットノズルの周囲に複数配置され、前記燃焼室に燃料と燃焼空気を供給するメインノズルと、を備え、前記パイロットノズルは、燃料または燃焼空気が導通する第1の流路と、燃料または燃焼空気が導通し、前記第1の流路とは異なる第2の流路と、を有し、前記パイロットノズルの軸方向に垂直な断面において前記第1の流路と前記第2の流路の両方が配置される、前記パイロットノズルの軸方向の範囲全体において、前記第1の流路および前記第2の流路がいずれも前記パイロットノズルの周方向に複数に分割されて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の燃料系統を備える燃料ノズルにおいて、導通する燃料及び燃焼空気の温度差に起因する熱応力の少ない燃料ノズル及びそれを用いたガスタービン燃焼器を実現することができる。
【0014】
これにより、信頼性及び耐久性に優れた高性能なガスタービン燃焼器を提供することができる。
【0015】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一般的なガスタービンの構成例を示す図である。
図2】一般的な燃焼器の構成例を示す図である。
図3】本発明の実施例1に係る燃料ノズルの構造を示す断面図である。
図4A図3のA-A’断面図である。
図4B図3のB-B’断面図である。
図5】従来の燃料ノズルの構造を示す断面図である。
図6A図5のC-C’断面図である。
図6B図5のD-D’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例1】
【0018】
先ず、図1図2及び図5から図6Bを参照して、本発明の対象となるガスタービン燃焼器と従来の問題点について説明する。図1は、一般的なガスタービンの構成例を示す図である。図2は、一般的な燃焼器の構成例を示す図であり、燃焼室15を構成する燃焼器ライナ4及び尾筒(トランジションピース)5を含む燃焼器として示している。図5は、従来のパイロットノズル7の構造を示す断面図であり、図6A図6Bは、それぞれ図5のC-C’断面、D-D’断面を示している。
【0019】
図1に示すように、ガスタービンは大きく分けて圧縮機1、燃焼器2及びタービン3から構成されている。圧縮機1は大気から吸い込んだ空気を作動流体として断熱圧縮し、燃焼器2は圧縮機1から供給された圧縮空気に燃料を混合し燃焼させることで高温高圧の燃焼ガスを生成し、タービン3では燃焼器2から導入された燃焼ガスが膨張する際に回転動力を発生する。タービン3からの排気は大気中に放出される。
【0020】
図2に示すように、燃焼器2は、燃料と燃焼空気の混合気を燃焼させる燃焼室15を構成する燃焼器ライ4と、燃焼室15からタービン3に燃焼ガスを導く(燃焼ガスの流れ方向8)尾筒(トランジションピース)5と、燃焼室15に燃料と燃焼空気を供給するメインノズル6及びパイロットノズル7を備えている。メインノズル6は、上述したように、1本のパイロットノズル7の周囲に複数(例えば8本)配置されている。
【0021】
図5に示すように、従来のパイロットノズル7は、ドリル等による穴加工により流路A13や流路B14が予め形成されたノズル構成部材9,10,11を接合部12で互いに接合することで構成されている。ノズル構成部材9,10,11の接合には、例えば、ロウ付けによる溶接が用いられる。
【0022】
一般的に、ガスタービンの定格負荷時には、流路A13に相対的に温度の高いスイープ空気(燃焼空気)が導通し、流路B14に相対的に温度の低い天然ガス等の燃料が導通する。このため、パイロットノズル7の主として径方向の温度差、及びそれに起因する径方向、軸方向の熱伸び差により、熱応力が発生する。一般に溶接部においては、未溶着部等による形状の不連続性に起因して熱応力が助長されやすく、また溶接部では母材に比べて疲労強度が低下する。
【0023】
以上より、従来のパイロットノズル7では、特に流路A13と流路B14の両方が配置される部位の接合部12が、流路A13と流路B14のそれぞれを導通する燃料または燃焼空気の温度差に起因して強度のボトルネックとなり、低サイクル疲労により運用が制限される。
【0024】
また、図6Aに示すように、従来のパイロットノズル7の根元部においては、流路A13と流路B14の両方がパイロットノズル7の周方向に環状(アニュラ状:Annular)に配置されているため、パイロットノズル7は径方向において流路A13及び流路B14により熱的に分断された構造となる。このため、流路A13と流路B14のそれぞれを導通する燃料または燃焼空気の温度差によるパイロットノズル7への熱応力がさらに助長される。
【0025】
また、図6Bに示すように、従来のパイロットノズル7の先端近傍においては、流路B14はパイロットノズル7の周方向に複数に分割して配置されているが、流路A13は根元部と同様に、パイロットノズル7の周方向に環状(アニュラ状)に配置されており、パイロットノズル7は径方向において流路A13により熱的に分断された構造となる。
【0026】
次に、図3から図4Bを参照して、本発明の実施例1に係る燃料ノズルについて説明する。図3は、本実施例のパイロットノズル7の構造を示す断面図であり、図4A図4Bは、それぞれ図3のA-A’断面、B-B’断面を示している。
【0027】
図3に示すように、本実施例のパイロットノズル7は、燃料または燃焼空気が導通する流路A13(第1の流路)と、燃料または燃焼空気が導通し、流路A13(第1の流路)とは異なる流路B14(第2の流路)を有しており、パイロットノズル7のノズル構成部材9,10の内、少なくとも流路A13(第1の流路)と流路B14(第2の流路)の両方が配置されている部位は、接合部12の無い一体のノズル構成部材10で構成されている。
【0028】
図3のように、流路A13(第1の流路)と流路B14(第2の流路)の両方が配置される部位を接合部12の無い一体のノズル構成部材10で構成することにより、上述したような、流路A13と流路B14のそれぞれを導通する燃料または燃焼空気の温度差に起因して接合部12が強度のボトルネックとなるのを防ぐことができ、パイロットノズル7の信頼性及び耐久性を向上することができる。
【0029】
また、図4A及び図4Bに示すように、本実施例のパイロットノズル7は、流路A13(第1の流路)及び流路B14(第2の流路)が、パイロットノズル7の周方向において、いずれも複数に分割して配置されている。
【0030】
図4A及び図4Bのように、流路A13(第1の流路)と流路B14(第2の流路)の両方を、パイロットノズル7の周方向において、複数に分割して配置することで、パイロットノズル7が径方向において、流路A13(第1の流路)及び流路B14(第2の流路)により熱的に完全に分断されるのを防いでいる。これにより、流路A13と流路B14のそれぞれを導通する燃料または燃焼空気の温度差によるパイロットノズル7への熱応力を緩和することができる。
【0031】
例えば、流路A13(第1の流路)に燃焼空気を導通させ、流路B14(第2の流路)に燃焼空気より温度の低い燃料を導通させるような場合であっても、燃料及び燃焼空気の温度差によるパイロットノズル7への熱応力が緩和されるため、接合部12の無い一体のノズル構成部材10で構成することによる効果に加えて、パイロットノズル7の信頼性及び耐久性をさらに向上することができる。
【0032】
また、図3に示すように、パイロットノズル7の先端近傍のノズル構成部材9は、流路A13(第1の流路)及び流路B14(第2の流路)の内、流路A13(第1の流路)のみが配置されており、流路A13(第1の流路)のみが配置されているノズル構成部材9は、流路A13(第1の流路)と流路B14(第2の流路)の両方が配置されているノズル構成部材10と、例えば、ロウ付けによる溶接または熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)法により接合されている。
【0033】
図3のように、流路A13(第1の流路)及び流路B14(第2の流路)の内、一方の流路A13(第1の流路)のみが形成されている領域に限定して接合部12が配置されるような構造とすることで、流路を導通する燃料または燃焼空気の温度差によるパイロットノズル7への熱応力の発生を防止することができ、接合部12の接合信頼性を担保することができる。
【0034】
なお、ノズル構成部材9とノズル構成部材10との接合部12での接合には、上述した熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)法を用いるのが望ましい。熱間等方圧加圧(HIP)法を用いることにより、未溶着部を極力無くすことができるため、接合部12における形状の不連続性に起因する熱応力を抑制することができる。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、導通する燃料及び燃焼空気の温度差に起因する熱応力の少ない燃料ノズル及びそれを用いたガスタービン燃焼器を実現することができ、ガスタービン燃焼器の信頼性及び耐久性を向上することができる。
【0036】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…圧縮機
2…燃焼器
3…タービン
4…燃焼器ライナ
5…尾筒(トランジションピース)
6…メインノズル
7…パイロットノズル
8…燃焼ガスの流れ方向
9,10,11…ノズル構成部材
12…接合部
13…流路A
14…流路B
15…燃焼室
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B