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特許7539541バックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】バックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240816BHJP
   B60K 35/234 20240101ALI20240816BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/234
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023160179
(22)【出願日】2023-09-25
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】593061064
【氏名又は名称】怡利電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】陳錫勳
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-14861(JP,A)
【文献】特開2015-45735(JP,A)
【文献】特開2023-58418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0033600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像ハーフミラーと組み合わせて使用するのに適合するバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイであって、
バックライトビームを投射するためのバックライト光源と、
回転可能であると共にX軸上にX軸曲率を有し、Y軸方向上にY軸曲率を有し、前記X軸曲率は前記Y軸曲率とは相違するバックライトトロイダルミラーであって、前記バックライトトロイダルミラーは前記バックライト光源の前記バックライトビームを反射するために用いられているバックライトトロイダルミラーと、
イメージを表示すると共に前記バックライトトロイダルミラーにより反射された前記バックライトビームを透過させてイメージビームを形成させるように配置されている表示パネルと、
前記イメージビームを前記結像ハーフミラーに反射し、前記結像ハーフミラーの観察者から離間する一側の位置に表示パネル虚像を形成し、前記結像ハーフミラーの前記観察者に接近する一側且つ前記観察者の目の位置にバックライト光源実像を形成するように配置され、前記バックライト光源実像はアイボックスである結像凹面鏡と、を備え、
前記バックライト光源と前記バックライトトロイダルミラーとの間は軸外光路であり、前記バックライト光源は前記X軸曲率によりX 軸バックライト焦点面に集光するように反射され、前記バックライト光源は前記Y軸曲率によりY軸バックライト焦点面に集光するように反射され、前記アイボックスの範囲は前記X 軸バックライト焦点面から前記Y軸バックライト焦点面までであり、前記バックライトトロイダルミラーが回転することにより前記アイボックスの範囲が前記バックライト光源実像の結像光路上で伸長または短縮することで、前記観察者の目が前記バックライト光源実像の結像光路上を移動する際に依然として前記アイボックス内に保持されることを特徴とするバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記バックライトトロイダルミラーはその中心軸を回転の中心として回転することを特徴とする請求項1に記載のバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記バックライトビームの光軸と前記バックライトトロイダルミラーの中心軸との間にY軸方向の夾角を有し、前記バックライトトロイダルミラーがその中心軸を回転の中心として回転角度で回転し、且つ前記バックライトトロイダルミラーの前記バックライトビームが照射される表面の前記X軸曲率が前記Y軸曲率より小さい場合、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が0度から90度に増加する際に連れて伸長し、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が90度から0度に減少する際に連れて短縮することを特徴とする請求項1に記載のバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記バックライトビームの光軸と前記バックライトトロイダルミラーの中心軸との間にY軸方向の夾角を有し、前記バックライトトロイダルミラーがその中心軸を回転の中心として回転角度で回転し、且つ前記バックライトトロイダルミラーの前記バックライトビームが照射される表面の前記X軸曲率が前記Y軸曲率より大きい場合、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が0度から90度に増加する際に連れて短縮し、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が90度から0度に減少する際に連れて伸長することを特徴とする請求項1に記載のバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記バックライトビームの光軸と前記バックライトトロイダルミラーの中心軸との間にX軸方向の夾角を有し、前記バックライトトロイダルミラーがその中心軸を回転の中心として回転角度で回転し、且つ前記バックライトトロイダルミラーの前記バックライトビームが照射される表面の前記X軸曲率が前記Y軸曲率より小さい場合、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が0度から90度に増加する際に連れて短縮し、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が90度から0度に減少する際に連れて伸長することを特徴とする請求項1に記載のバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記バックライトビームの光軸と前記バックライトトロイダルミラーの中心軸との間にX軸方向の夾角を有し、前記バックライトトロイダルミラーがその中心軸を回転の中心として回転角度で回転し、且つ前記バックライトトロイダルミラーの前記バックライトビームが照射される表面の前記X軸曲率が前記Y軸曲率より大きい場合、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が0度から90度に増加する際に連れて伸長し、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が90度から0度に減少する際に連れて短縮することを特徴とする請求項1に記載のバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記バックライトトロイダルミラーが回転することで前記アイボックスの範囲が伸長すると、前記バックライト光源の輝度が向上することを特徴とする請求項1に記載のバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記バックライトトロイダルミラーが回転することで前記アイボックスの範囲が短縮すると、前記バックライト光源の輝度が低下することを特徴とする請求項1に記載のバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
前記結像ハーフミラーはフロントガラスまたはコンバイナーであり、前記結像凹面鏡からの前記イメージビームを前記観察者の目に部分的に反射し、同時にその前方の景色の光線を前記観察者の目に部分的に透過させるために用いられていることを特徴とする請求項1に記載のバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイに関し、更に詳しくは、バックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイ(A head-up display device with eyebox adjusted by backlight toroidal mirror)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、バックライト凹面鏡Mr_BLを使用してバックライト光源BLが発するバックライト光源Lt_BLを反射してバックライトビームBm_BLを形成し、バックライト凹面鏡Mr_BLの後方にバックライト光源虚像BL_imを形成する。バックライトビームBm_BLが表示パネルDPを透過した後にイメージビームBm_Gを形成し、イメージビームBm_Gが結像凹面鏡Mr_Fにより反射され、表示パネルDPが結像凹面鏡Mr_Fの後方にイメージ虚像DP_imを形成し、バックライト光源虚像BL_imが結像凹面鏡Mr_Fの前方にバックライト光源実像BL_reを形成する(図1A図1B参照)。
【0003】
結像凹面鏡Mr_Fの後方にあるイメージ虚像DP_imが結像ハーフミラーMr_SRにより反射された後、車両の前方にイメージ虚像DP_imが形成される。結像凹面鏡Mr_Fの前方にあるバックライト光源実像BL_reが結像ハーフミラーMr_SRにより反射された後、観察者の目Eにバックライト光源実像BL_reが形成され、すなわち、アイボックスEBである。
【0004】
結像ハーフミラーMr_SRは図1Aに示すようなフロントガラス(windshield)や、図1Bに示すようなコンバイナー(combiner)である。
【0005】
図1Cに示す如く、観察者の目Eが前後に移動する際に、本来のアイボックスEBの位置が移動後の目Eに重ならず、観察者が観察するイメージが不鮮明になり、イメージが欠損し、イメージが見えなくなることもあった。
【0006】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の目的は、観察者の目が前後に移動しても、完全なイメージを明瞭に観察可能にするバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイを提供することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の一態様に係るバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイは、結像ハーフミラーと組み合わせて使用するのに適合し、且つ、バックライトビームを投射するためのバックライト光源と、回転可能であると共にX軸曲率及びY軸曲率を有し、前記X軸曲率は前記Y軸曲率とは相違するバックライトトロイダルミラーであって、前記バックライトトロイダルミラーは前記バックライト光源の前記バックライトビームを反射するために用いられているバックライトトロイダルミラーと、イメージを表示すると共に前記バックライトトロイダルミラーにより反射された前記バックライトビームを透過させてイメージビームを形成させるように配置されている表示パネルと、前記イメージビームを前記結像ハーフミラーに反射し、前記結像ハーフミラーの観察者から離間する一側の位置に表示パネル虚像を形成し、前記結像ハーフミラーの前記観察者に接近する一側且つ前記観察者の目の位置にバックライト光源実像を形成するように配置され、前記バックライト光源実像はアイボックスである結像凹面鏡と、を備えている。前記バックライト光源と前記バックライトトロイダルミラーとの間は軸外光路であり、前記バックライト光源は前記X軸曲率によりX 軸バックライト焦点面に集光するように反射され、前記バックライト光源は前記Y軸曲率によりY軸バックライト焦点面に集光するように反射され、前記アイボックスの範囲は前記X 軸バックライト焦点面から前記Y軸バックライト焦点面までであり、前記バックライトトロイダルミラーが回転することにより前記アイボックスの範囲が前記バックライト光源実像の結像光路上で伸長または短縮することで、前記観察者の目が前記バックライト光源実像の結像光路上を移動する際に依然として前記アイボックス内に保持される。
【0009】
本発明の好適例において、前記バックライトトロイダルミラーはその中心軸を回転の中心として回転する。
【0010】
本発明の好適例において、前記バックライトビームの光軸と前記バックライトトロイダルミラーの中心軸との間にY軸方向の夾角を有し、前記バックライトトロイダルミラーがその中心軸を回転の中心として回転角度で回転し、且つ前記バックライトトロイダルミラーの前記バックライトビームが照射される表面の前記X軸曲率が前記Y軸曲率より小さい場合、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が0度から90度に増加する際に連れて伸長し、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が90度から0度に減少する際に連れて短縮する。
【0011】
本発明の好適例において、前記バックライトビームの光軸と前記バックライトトロイダルミラーの中心軸との間にY軸方向の夾角を有し、前記バックライトトロイダルミラーがその中心軸を回転の中心として回転角度で回転し、且つ前記バックライトトロイダルミラーの前記バックライトビームが照射される表面の前記X軸曲率が前記Y軸曲率より大きい場合、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が0度から90度に増加する際に連れて短縮し、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が90度から0度に減少する際に連れて伸長する。
【0012】
本発明の好適例において、前記バックライトビームの光軸と前記バックライトトロイダルミラーの中心軸との間にX軸方向の夾角を有し、前記バックライトトロイダルミラーがその中心軸を回転の中心として回転角度で回転し、且つ前記バックライトトロイダルミラーの前記バックライトビームが照射される表面の前記X軸曲率が前記Y軸曲率より小さい場合、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が0度から90度に増加する際に連れて短縮し、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が90度から0度に減少する際に連れて伸長する。
【0013】
本発明の好適例において、前記バックライトビームの光軸と前記バックライトトロイダルミラーの中心軸との間にX軸方向の夾角を有し、前記バックライトトロイダルミラーがその中心軸を回転の中心として回転角度で回転し、且つ前記バックライトトロイダルミラーの前記バックライトビームが照射される表面の前記X軸曲率が前記Y軸曲率より大きい場合、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が0度から90度に増加する際に連れて伸長し、前記アイボックスの範囲は前記回転角度が90度から0度に減少する際に連れて短縮する。
【0014】
本発明の好適例において、前記バックライトトロイダルミラーが回転することで前記アイボックスの範囲が伸長すると、前記バックライト光源の輝度が向上する。
【0015】
本発明の好適例において、前記バックライトトロイダルミラーが回転することで前記アイボックスの範囲が短縮すると、前記バックライト光源の輝度が低下する。
【0016】
本発明の好適例において、前記結像ハーフミラーはフロントガラスまたはコンバイナーであり、前記結像凹面鏡からの前記イメージビームを前記観察者の目に部分的に反射し、同時にその前方の景色の光線を前記観察者の目に部分的に透過させるために用いられている。
【0017】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】従来のフロントガラスを使用して投影するヘッドアップディスプレイを示す概略図である。
図1B】従来のコンバイナーを使用して投影するヘッドアップディスプレイを示す概略図である。
図1C図1Aに示す従来のヘッドアップディスプレイにおける観察者の目の位置の前後移動を示す概略図である。
図2A】本発明の一実施例に係るヘッドアップディスプレイに使用されるバックライトトロイダルミラーを示す概略構成図である。
図2B】本発明の一実施例に係るヘッドアップディスプレイに使用されるバックライトトロイダルミラーを示す概略構成図である。
図3A】本発明の一実施例に係るバックライトトロイダルミラーの入射角が異なる場合の X 軸と Y 軸の等価焦点距離を示す概略図である。
図3B】本発明の一実施例に係るバックライトトロイダルミラーの入射角が異なる場合の X 軸と Y 軸の等価焦点距離を示す概略図である。
図3C】本発明の一実施例に係るバックライトトロイダルミラーの入射角が異なる場合の X 軸と Y 軸の等価焦点距離を示す概略図である。
図4】本発明の一実施例に係る点光源がバックライトトロイダルミラーの中心軸上にあって、物体距離が焦点距離よりも大きい場合の実像結像状態を示す概略図である。
図5】本発明の一実施例に係る点光源がバックライトトロイダルミラーの中心軸上にあって、物体距離が焦点距離よりも小さい場合の虚像結像状態を示す概略図である。
図6】本発明の一実施例に係る矩形光源がバックライトトロイダルミラーの中心軸上にあって、物体距離が焦点距離よりも大きい場合の実像結像状態を示す模式図である。
図7】本発明の一実施例に係る矩形光源がバックライトトロイダルミラーの中心軸からY軸上にずれ、物体距離が等価焦点距離よりも大きい場合の実像結像状態を示す概略図である。
図8】本発明の一実施例に係る図7のバックライトトロイダルミラーを90度回転させた実像結像状態を示す概略図である。
図9】本発明の一実施例に係る矩形光源がバックライトトロイダルミラーの中心軸上にあって、物体距離が焦点距離よりも小さい場合の虚像結像状態を示す概略図である。
図10】本発明の一実施例に係る矩形光源がバックライトトロイダルミラーの中心軸からY軸上にずれ、物体距離が等価焦点距離未満の場合の虚像結像状態を示す概略図である。
図11】本発明の一実施例に係る図10のバックライトトロイダルミラーを90度回転させた虚像結像状態を示す概略図である。
図12】本発明の一実施例に係る異なるバックライトトロイダルミラーの曲率構成により、異なる軸外方向、異なる回転角度度の変化、及び対応するバックライト光源実像を合わせて伸長または短縮を示すリストである。
図13A】本発明の一実施例に係るバックライトトロイダルミラーが回転していないときに表示されるアイボックスを示す概略図である。
図13B】本発明の一実施例に係るバックライトトロイダルミラーが回転していないときに表示されるアイボックスを示す概略図である。
図13C】本発明の一実施例に係る観察者が前後に動くにつれて、バックライトトロイダルミラーを回転させてアイボックスを伸ばす概略図である。
図14A】本発明の一実施例に係るバックライト光源がバックライトトロイダルミラーのY軸の軸外方向に配置された場合に形成される小さなアイボックスを示す概略図である。
図14B】本発明の一実施例に係る図14Aのバックライトトロイダルミラーを90度回転させたときに形成される伸長するアイボックスを示す概略図である。
図15A】本発明の一実施例に係るバックライト光源をバックライトトロイダルミラーのY軸の軸外方向に設置した場合に形成される少し大きめのアイボックスを示す概略図である。
図15B】本発明の一実施例に係る図15Aのバックライトトロイダルミラーが45度回転されたときに形成される伸長するアイボックスを示す概略図である。
図15C】本発明の一実施例に係る図15Aのバックライトトロイダルミラーが90度回転されたときに形成される長く伸びたアイボックスを示す概略図である。
図16A】本発明の一実施例に係るバックライト光源をバックライトトロイダルミラーのX軸の軸外方向に配置した場合に形成される小さなアイボックスを示す概略図である。
図16B】本発明の一実施例に係る図16Aのバックライトトロイダルミラーが90度回転されたときに形成される伸長するアイボックスを示す概略図である。
図17A】本発明の一実施例に係るバックライト光源をバックライトトロイダルミラーのX軸の軸外方向に設置した場合に形成される少し大きめのアイボックスを示す概略図である。
図17B】本発明の一実施例に係る図17Aのバックライトトロイダルミラーを45度回転させたときに形成される伸長するアイボックスを示す概略図である。
図17C】本発明の一実施例に係る図17Aのバックライトトロイダルミラーが90度回転されたときに形成される長く伸びたアイボックスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0020】
次に、図2A~17Cを参照しながら、本発明に係るバックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイについて説明する。
【0021】
本発明に係るバックライトトロイダルミラーでアイボックスEBを調整するヘッドアップディスプレイは、結像ハーフミラー(semi-reflective mirror)Mr_SRと組み合わせて使用するのに適合し、且つ、バックライト光源(backlight source)BLと、バックライトトロイダルミラー(backlight toroidal mirror)TMrと、表示パネル(display panel)DPと、結像凹面鏡(imaging concave mirror)Mr_Fと、を含んで構成されている。結像ハーフミラーMr_SRは図1Aに示すようなフロントガラスや、図1Bに示すようなコンバイナーでもよい。以下、結像ハーフミラーMr_SRがフロントガラスである場合を例に挙げて説明する。
【0022】
バックライト光源BLはバックライトビームをバックライトトロイダルミラーTMrに投射する。
ヘッドアップディスプレイは軸外光路で設計され、非同軸光路の設計であり、明瞭で歪曲しないようにイメージが維持される。よって、使用するバックライト凹面鏡及び結像凹面鏡は共に2種類の曲率を有している凹面鏡であり、すなわち、トロイダルミラー(Toroidal mirror)である。バックライト光源BLとバックライトトロイダルミラーTMrとの間は軸外光路であり、バックライトビームの光軸とバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸との間には0度超90度未満の夾角を有し、バックライトトロイダルミラーTMrは回転可能であると共にX軸曲率及びY軸曲率を有している。X軸曲率とは、軸方向X上における曲率を指し、Y軸曲率とは、軸方向Y上における曲率を指し、且つX軸曲率はY軸曲率とは相違する。バックライトトロイダルミラーTMrはバックライト光源BLのバックライトビームを表示パネルDPまで反射する。バックライトトロイダルミラーTMrは、図2Aに示すようなバックライトトロイダルミラーTMrでもよく、そのX軸曲率が対応する焦点距離FL_xはY軸曲率が対応する焦点距離FL_yより大きい。或いは、図2Bに示すようなトロイダルミラーTMrでもよく、そのX軸曲率が対応する焦点距離FL_xはY軸曲率が対応する焦点距離FL_yより小さい。
【0023】
表示パネルDPはイメージを表示すると共にバックライトトロイダルミラーTMrからのバックライトビームを透過させてイメージビームを形成させる。
【0024】
結像凹面鏡Mr_Fはイメージビームを結像ハーフミラーMr_SRまで反射させ、結像ハーフミラーMr_SRの観察者から離間する一側の位置に表示パネル虚像を形成し、結像ハーフミラーMr_SRの観察者に接近する一側且つ観察者の目の位置にバックライト光源実像(BL_re1~BL_re15)を形成する。このバックライト光源実像はアイボックスEBである。
【0025】
バックライトトロイダルミラーTMrが回転することによりアイボックスEBがバックライト光源実像の結像光路上で伸長または短縮することで、観察者の目がバックライト光源実像の結像光路上を移動する際に依然としてアイボックスEB内に保持される。
【0026】
以下、バックライトトロイダルミラーTMrの作用及びその原理を、例を挙げて説明する。
図3Aに示す如く、光線LtがバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CA上を進行すると、軸方向X上の焦点Fxの焦点距離FL_xが軸方向Yの焦点Fyの焦点距離FL_yより大きくなる。
【0027】
図3Bに示す如く、光線Ltの光路がバックライトトロイダルミラーTMrの中心を枢動点として軸方向Y上で0度超の角度θyで回転すると、X軸曲率が対応する等価焦点距離FL_x1がFL_x×cosθyに短縮し、Y軸曲率が対応する等価焦点距離FL_y1がFL_y/cosθyに伸長する。適合する焦点距離FL_x並びにFL_y及び角度θyを設計すると、等価焦点距離FL_x1が等価焦点距離FL_y1にほぼ等しくなり、すなわち、FL_x×cosθy ≒ FL_y/cosθyとなる。
【0028】
図3Cに示す如く、図3BのバックライトトロイダルミラーTMrがその中心軸CAを回転の中心として90度回転し、X軸曲率の値がY軸曲率の値と代わると、X軸曲率が対応する等価焦点距離FL_x2が更に短いFL_y×cosθyとなり、Y軸曲率が対応する等価焦点距離FL_y2が更に長いFL_x/cosθyとなり、すなわち、FL_x/cosθy>FL_x>FL_y>FL_y×cosθyとなる。
【0029】
点光源PがバックライトトロイダルミラーTMrの前方に実像を形成する状況において(図4参照)、点光源PがバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CA上にある場合、X軸曲率が対応する焦点Fxの焦点距離FL_xはY軸曲率が対応する焦点Fyの焦点距離FL_yより大きく、点光源PからバックライトトロイダルミラーTMrまでの距離は焦点距離FL_xより大きく、焦点距離FL_yよりも大きい。点光源Pから焦点Fxまでの距離が近く、焦点Fyまでの距離が遠いため、点光源Pが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMr上でX軸曲率の表面により反射された後に位置q1に集光し、点光源Pが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMr上でY軸曲率の表面に反射された後に位置q2に集光する。位置q1からバックライトトロイダルミラーTMrまでの距離は位置q2からバックライトトロイダルミラーTMrまでの距離よりも大きい。
【0030】
X軸曲率の表面により反射された光線が位置q1に到達する前に、位置q2を経由すると共に集光されない。Y軸曲率の表面により反射された光線が位置q2に集光された後、前に向けて発散を開始し、その後に位置q1を経由する。最小錯乱円(circle of least confusion)は位置q1と位置q2との間の位置q3に位置している。よって、中心軸CA上の光線の輝度が最高となる領域は位置q1から位置q2までの領域であり、光線の輝度はこの領域の前後にある他の領域では何れも低下する。
【0031】
点光源PがバックライトトロイダルミラーTMrの後方に虚像を形成する状況において(図5参照)、点光源PがバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CA上にある場合、焦点Fxの焦点距離FL_xは焦点Fyの焦点距離FL_yより小さく、点光源PからバックライトトロイダルミラーTMrまで距離は焦点距離FL_xより小さく、焦点距離FL_yよりも小さい。点光源Pから焦点Fxまでの距離が近く、焦点Fyまでの距離が遠いため、点光源Pが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMr上でX軸曲率の表面により反射される際に後に向けて延伸されることで生成される虚像光線が位置q4に集光し、点光源Pが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMr上でY軸曲率の表面により反射される際に後に向けて延伸されることで生成される虚像光線が位置q5に集光する。位置q4からバックライトトロイダルミラーTMrまでの距離は位置q5からバックライトトロイダルミラーTMrまでの距離より大きい。
【0032】
X軸曲率の表面により反射された光線が後に向けて延伸されることで生成される虚像光線は、後方から遠い箇所が先に位置q4に集光した後、前に向けて発散されて位置q5を経由する。Y軸曲率の表面により反射された光線が後に向けて延伸されることで生成される虚像光線は、後方から遠い箇所が位置q5に集光する前に、まず位置q4を経由すると共に集光されない。最小錯乱円が位置q4と位置q5との間の位置q6に位置しているため、中心軸CA上の虚像光線の輝度が最高となる領域は位置q4から位置q5までの領域であり、虚像光線の輝度はこの領域の前後にある他の領域では何れも低下する。
【0033】
面光源がバックライトトロイダルミラーTMrの前方に実像を形成する状況において(図6参照)、矩形のバックライト光源BLがバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CA上にある場合、X軸曲率が対応する焦点Fxの焦点距離FL_xはY軸曲率が対応する焦点Fyの焦点距離FL_yより大きく、バックライト光源BLからバックライトトロイダルミラーTMrまでの距離は焦点距離FL_xより大きく、焦点距離FL_yよりも大きい。バックライト光源BLから焦点Fxまでの距離が近く、焦点Fyまでの距離が遠いため、バックライト光源BLが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMr上でX軸曲率の表面により反射された後に位置q7に集光し、すなわち、X 軸バックライト焦点面FPXは、中心軸CAに近い軸方向X上の輝度が高く、バックライト光源BLが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMr上でY軸曲率の表面により反射された後に位置q8に集光し、すなわち、Y軸バックライト焦点面FPYは、中心軸CAに近い軸方向Y上の輝度が高くなる。位置q7からバックライトトロイダルミラーTMrまでの距離は位置q8からバックライトトロイダルミラーTMrまでの距離より大きい。
【0034】
X軸曲率の表面により反射された光線が位置q7に到達する前に、まず位置q8を経由すると共に集光されない。Y軸方向曲率の表面により反射された光線が位置q8に集光した後、前に向けて発散されると共に位置q7を経由する。よって、中心軸CA付近の光線の輝度が最高となる領域は位置q7から位置q8までの領域であり、位置q7において中心軸CAに近接する軸方向X上の輝度が高く、位置q8において中心軸CAの軸方向Y上の輝度が高く、光線の輝度は位置q7から位置q8までの領域の前後にある他の領域では何れも低下する。
【0035】
よって、バックライト光源BLが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMrにより反射された後、バックライトトロイダルミラーTMrの前方に、面積が拡大され、範囲(深度)が伸長されている1つのバックライト光源実像BL_re1が形成される。
【0036】
図7に示す如く、この矩形のバックライト光源BLがバックライトトロイダルミラーTMrの中心を枢動点として軸方向Y上に角度θy1で回転すると(すなわち、軸方向Y上におけるバックライト光源BLのバックライトビームの光軸とバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CAとの夾角が角度θy1である)、X軸曲率が対応する等価焦点距離FL_x2がFL_x×cosθy1に短縮し、Y軸曲率が対応する等価焦点距離FL_y2がFL_y/cosθy1に伸長する。焦点距離FL_x並びにFL_y及び角度θy1を適切に調整すれば、FL_x×cosθy1がFL_y/cosθy1にほぼ等しくなる可能性がある。この条件において、バックライト光源BLが発する光線はバックライトトロイダルミラーTMrにより反射された後に位置q9に集光し、面積が拡大され、体積が小さく、全体的に明るい1つのバックライト光源実像BL_re2となる。
【0037】
図8に示す如く、図7のバックライトトロイダルミラーTMrがその中心軸CAを回転の中心として90度回転すると、X軸曲率が対応する等価焦点距離FL_x3がFL_y×cosθy1に短縮し、Y軸曲率が対応する等価焦点距離FL_y3がFL_x/cosθy1に伸長し、FL_x/cosθy1>FL_x>FL_y>FL_y×cosθy1となる。この条件において、バックライト光源BLが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMrにより反射された後に、面積が拡大され、範囲が更に長い1つのバックライト光源実像BL_re3となり、範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでである。
【0038】
図9に示す如く、矩形のバックライト光源BLがバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CA上にある場合、X軸曲率が対応する焦点Fxの焦点距離FL_xが、Y軸曲率が対応する焦点Fyの焦点距離FL_yより大きく、バックライト光源BLとバックライトトロイダルミラーTMrとの距離が焦点距離FL_xより小さく、焦点距離FL_yよりも小さい。バックライト光源BLから焦点Fxまでの距離が遠く、焦点Fyまでの距離が近いため、バックライト光源BLが発する光線はバックライトトロイダルミラーTMr上でX軸曲率の表面により反射された後に後に向けて延伸されることで生成される虚像光線が位置q9に集光し、中心軸CAに近接する軸方向Xの輝度が高くなり、バックライト光源BLが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMr上でY軸曲率の表面により反射された後に後に向けて延伸されることで生成される虚像光線が位置q10に集光し、中心軸CAに近接する軸方向Yの輝度が高くなる。位置q9とバックライトトロイダルミラーTMrとの距離は位置q10とバックライトトロイダルミラーTMrとの距離よりも小さい。
【0039】
X軸曲率の表面により反射された光線が後に向けて延伸されることで生成される虚像光線が後方から遠い箇所から位置q9に集光する前に、まず位置q10を経由すると共に集光されない。Y軸曲率の表面により反射された光線が後に向けて延伸されることで生成される虚像光線は、後方から遠い箇所が位置q10に集光された後、前に向けて発散されて位置q9を経由する。中心軸CA上の光線の輝度が最高となる領域は位置q9から位置q10までの領域であり、位置q9において中心軸CAに近接する軸方向X上の輝度が高く、位置q10において中心軸CAに近接する軸方向Y上の輝度が高く、光線の輝度は位置q9から位置q10までの領域の前後にある他の領域が何れも低下する。
【0040】
よって、バックライト光源BLが発する光線がバックライトトロイダルミラーTMrにより反射された後、バックライトトロイダルミラーTMrの後方に、面積が拡大され、範囲が伸長された1つのバックライト光源虚像BL_im1が形成され、範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでである。
【0041】
図10に示す如く、矩形のバックライト光源BLがバックライトトロイダルミラーTMrの中心を枢動点として、軸方向Y上で角度θy2で回転すると、X軸曲率が対応する等価焦点距離FL_x4がFL_x×cosθy2に短縮し、Y軸曲率が対応する等価焦点距離FL_y4がFL_y/cosθy2に伸長する。焦点距離FL_x並びにFL_y及び角度θy2を適切に調整すれば、FL_x×cosθy2がFL_y/cosθy2にほぼ等しくなる可能性がある。この条件において、バックライト光源BLが発する光線はバックライトトロイダルミラーTMrにより反射された後に位置q11に集光し、面積が拡大され、体積が小さく、全体的に明るい1つのバックライト光源虚像BL_im2となる。
【0042】
図11に示す如く、図10のバックライトトロイダルミラーTMrがその中心軸CAを回転の中心として90度回転すると、X軸曲率が対応する等価焦点距離FL_x5がFL_y×cosθy2に短縮し、Y軸曲率が対応する等価焦点距離FL_y5がFL_x/cosθy2に伸長し、FL_x/cosθy2>FL_x>FL_y>FL_y×cosθy2となる。この条件において、バックライト光源BLが発する光線はバックライトトロイダルミラーTMrにより反射された後に、面積が拡大され、範囲が更に長い1つのバックライト光源虚像BL_im3となり、範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでである。
【0043】
図12には、バックライトトロイダルミラーX軸曲率がY軸曲率より大きく、或いはX軸曲率がY軸曲率より小さい条件において、軸外方向がX軸であり、或いは軸外方向がY軸である場合に回転角度が0度から90度、または90度から0度になった場合のバックライト光源実像が伸長または短縮する変化を示した表を図示する。
【0044】
以上の結果から分かるように、軸方向X及び軸方向YにおけるバックライトトロイダルミラーTMrの等価焦点距離が略同じである場合(図13A参照)、バックライト光源BLが発する光線はバックライトトロイダルミラーTMrにより反射された後に、面積が拡大され、体積が小さく、全体的に明るい1つのバックライト光源虚像BL_im4として集光された後、バックライト光源虚像BL_im4が結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、体積が小さく、全体的に明るい1つのバックライト光源実像BL_re4が形成され、すなわち、アイボックスEBである。
【0045】
軸方向X及び軸方向YにおけるバックライトトロイダルミラーTMrの等価焦点距離が相違する場合(図13B参照)、バックライト光源BLが発する光線はバックライトトロイダルミラーTMrにより反射された後に、面積が拡大され、体積がやや大きく、明るい1つのバックライト光源虚像BL_im5として集光された後、バックライト光源虚像BL_im5が結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲がやや長く、明るい1つのバックライト光源実像BL_re5が形成され、すなわち、アイボックスEBである。
【0046】
ヘッドアップディスプレイを使用する際に、観察者の目が前後に移動すると、図13A及び図13Bに示すアイボックスEBは移動後の目と重なることができず、観察者が観察するイメージが不鮮明となる。この際に、バックライトトロイダルミラーTMrはその中心軸CAを回転の中心として90度回転し(図13C参照)、アイボックスEBが前後に伸長することで、アイボックスEBが観察者の移動後の目をカバーし、明晰なイメージを観察可能にする。
【0047】
以下、バックライトトロイダルミラーTMrによりアイボックスEBの範囲を調整するヘッドアップディスプレイについて例を挙げて説明する。
<例一>
【0048】
図14Aに示す如く、バックライトトロイダルミラーTMrのY軸曲率はX軸曲率より大きく、軸方向Yの焦点距離は軸方向Xの焦点距離より小さい。バックライト光源BLはバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CAから軸方向Y上で下に向けて角度θy3で偏向する。この条件において、バックライトビームがバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、面積が拡大され、体積が小さく、全体的に明るい1つのバックライト光源虚像BL_im6を形成する。
【0049】
バックライト光源虚像BL_im6が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRに反射され、体積が小さく、全体的に明るい1つのバックライト光源実像BL_re6を形成し、すなわち、アイボックスEBである。この際、観察者の目はアイボックスEBと重なる。
【0050】
図14Bに示す如く、図14AのバックライトトロイダルミラーTMrはその中心軸CAを回転の中心として90度回転し、バックライト光源BLのバックライトビームがバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、範囲が伸長された1つのバックライト光源虚像BL_im7を形成する。
【0051】
バックライト光源虚像BL_im7が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲が伸長された1つのバックライト光源実像BL_re7を形成し、すなわち、前後が伸長された1つのアイボックスEBである。このアイボックスEBの範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでであり、観察者の目が前後に移動しても、依然としてアイボックスEB内に保持される。
【0052】
この伸長されたアイボックスEBは、輝度が伸長された範囲内に分散されているが、但し、バックライト光源の輝度を高めるのみで、観察者がこの伸長されたアイボックス範囲内で観察するイメージは、依然として明瞭に保持される。
<例二>
【0053】
図15Aに示す如く、バックライトトロイダルミラーTMrのY軸曲率がX軸曲率より大きく、その軸方向Yの焦点距離が軸方向Xの焦点距離より小さい。バックライト光源BLはバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CAから軸方向Y上で下に向けて角度θy4で偏向する。この条件において、バックライトビームがバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、面積が拡大され、体積がやや大きく、明るい1つのバックライト光源虚像BL_im8を形成する。
【0054】
バックライト光源虚像BL_im8が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲がやや長く、全体的に明るい1つのバックライト光源実像BL_re8を形成し、すなわち、アイボックスEBである。このアイボックスEBの範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでであり、この際に観察者の目はアイボックスEB内に留まる。
【0055】
図15Bに示す如く、図15AのバックライトトロイダルミラーTMrはその中心軸CAを回転の中心として45度回転し、バックライト光源BLのバックライトビームはバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、範囲が伸長された1つのバックライト光源虚像BL_im9を形成する。
【0056】
バックライト光源虚像BL_im9が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲が伸長された1つのバックライト光源実像BL_re9を形成し、すなわち、前後が伸長された1つのアイボックスEBである。このアイボックスEBの範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでであり、観察者の目が短い距離を前後に移動しても、観察者の目が依然としてアイボックスEB内に保持される。
【0057】
図15Cに示す如く、図15AのバックライトトロイダルミラーTMrは中心軸CAを回転の中心として90度回転し、バックライト光源BLのバックライトビームはバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、範囲が長い1つのバックライト光源虚像BL_im10を形成する。
【0058】
バックライト光源虚像BL_im10が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲が伸長された1つのバックライト光源実像BL_re10を形成し、すなわち、前後に更に伸長された1つのアイボックスEBである。このアイボックスEBの範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでであり、観察者の目が前後に長い距離を移動しても、観察者の目が依然としてアイボックスEB内に保持される。
【0059】
この更に伸長されたアイボックスEBは、輝度が更に伸長された範囲内に分散されているが、但し、バックライト光源BLの輝度を高めるのみで、観察者がこの更に伸長されたアイボックスEB内で観察するイメージが依然として明瞭に保持される。
<例三>
【0060】
図16Aに示す如く、バックライトトロイダルミラーTMrのX軸曲率がY軸曲率より大きく、軸方向Xの焦点距離が軸方向Yの焦点距離より小さい。バックライト光源BLはバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CAから軸方向X上で右に向けて角度θx5で偏向する。この条件において、バックライトビームはバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、面積が拡大され、範囲が浅く、全体的に明るい1つのバックライト光源虚像BL_im11を形成する。
【0061】
バックライト光源虚像BL_im11が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲が浅く、全体的に明るい1つのバックライト光源実像BL_re11を形成し、すなわち、アイボックスEBである。この際、観察者の目はアイボックスEBに重なる。
【0062】
図16Bに示す如く、図16AのバックライトトロイダルミラーTMrがその中心軸CAを回転の中心として90度回転し、バックライト光源BLのバックライトビームがバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、範囲が伸長された1つのバックライト光源虚像BL_im12を形成する。
【0063】
バックライト光源虚像BL_im12が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲が伸長された1つのバックライト光源実像BL_re12を形成し、すなわち、前後が伸長された1つのアイボックスEBである。このアイボックスEBの範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでであり、観察者の目が前後に移動しても、観察者の目が依然としてアイボックスEB内に保持される。
【0064】
この伸長されたアイボックスEBは、輝度が伸長された範囲内に分散されているが、但し、バックライト光源BLの輝度を高めるのみで、観察者がこの伸長されたアイボックスEB内で観察するイメージが依然として明瞭に保持される。
<例四>
【0065】
図17Aに示す如く、バックライトトロイダルミラーTMrのX軸曲率がY軸曲率より大きく、軸方向Xの焦点距離が軸方向Yの焦点距離より小さい。バックライト光源BLはバックライトトロイダルミラーTMrの中心軸CAから軸方向X上で右に向けて角度θx6で偏向する。この条件において、バックライトビームはバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、面積が拡大され、範囲がやや長く、明るい1つのバックライト光源虚像BL_im13を形成する。
【0066】
バックライト光源虚像BL_im13が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲がやや長く、全体的に明るい1つのバックライト光源実像BL_re13を形成し、すなわち、アイボックスEBである。このアイボックスEBの範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでである。この際、観察者の目はアイボックスEB内に留まる。
【0067】
図17Bに示す如く、図17AのバックライトトロイダルミラーTMrはその中心軸CAを回転の中心として45度回転し、バックライト光源BLのバックライトビームはバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、範囲が伸長された1つのバックライト光源虚像BL_im14を形成する。
【0068】
バックライト光源虚像BL_im14が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲が伸長された1つのバックライト光源実像BL_re14を形成し、すなわち、前後が伸長された1つのアイボックスEBである。このアイボックスEBの範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでであり、観察者の目が短い距離を前後に移動しても、観察者の目が依然としてアイボックスEB内に保持される。
【0069】
図17Cに示す如く、図17AのバックライトトロイダルミラーTMrはその中心軸CAを回転の中心として90度回転し、バックライト光源BLのバックライトビームはバックライトトロイダルミラーTMrの後方に、範囲が長い1つのバックライト光源虚像BL_im15を形成する。
【0070】
バックライト光源虚像BL_im15が発する光線は表示パネルDPを透過した後、結像凹面鏡Mr_F及び結像ハーフミラーMr_SRにより反射され、範囲が伸長された1つのバックライト光源実像BL_re15を形成し、すなわち、前後に更に伸長された1つのアイボックスEBである。このアイボックスEBの範囲はX 軸バックライト焦点面FPXからY軸バックライト焦点面FPYまでであり、観察者の目が長い距離を前後に移動しても、観察者の目は依然としてアイボックスEB内に保持される。
【0071】
この更に伸長されたアイボックスEBは輝度が更に伸長された範囲内に分散されているが、但し、バックライト光源BLの輝度を高めるのみで、観察者がこの更に伸長されたアイボックスEB内で観察するイメージが依然として明瞭に保持される。
【0072】
この図17Cの状況において、バックライトトロイダルミラーTMrがその中心軸CAを回転の中心として逆方向に45度回転すると、アイボックスEBが、範囲が長い状態から、図17Bの範囲がやや短縮した状態に戻る。
【0073】
図17Cの状態において、バックライトトロイダルミラーTMrがその中心軸CAを回転の中心として逆方向に90度回転すると、アイボックスEBが、範囲が長い状態から、図17Aの範囲が短い状態に戻る。
【0074】
本発明において、バックライトトロイダルミラーTMrが原位置で回転する角度は45度及び90度以外、任意の角度の回転角度でもよい。回転角度の幅が異なると、アイボックスEBの伸長または短縮程度も異なる。一例を挙げると、0度から90度の範囲内で、回転角度の幅が大きくなる程、アイボックスEBの範囲の変化も大きくなり、回転角度の幅が小さくなる程、アイボックスEBの範囲の変化も小さくなる。90度を超えて180度までの効果は、90度から0度までの効果と同じである。180度を超えて270度までの効果も、0度から90度までの効果と同じである。270度を超えて360度までの効果も、90度から0度までの効果と同じである。
【0075】
本発明において、アイボックスEBの伸長が長くなる程、輝度もより分散され、バックライト光源BLの輝度を高める必要性も高くなる。アイボックスEBの短縮が短くなる程、輝度が分散されなくなり、バックライト光源BLの輝度を高める必要性も低くなる。
【0076】
また、本発明のヘッドアップディスプレイはコントローラー(図示省略)と、アイトラッキングシステム(図示省略)と、駆動モジュール(図示省略)と、を更に備えている。コントローラーはアイトラッキングシステム、駆動モジュール、バックライト光源、及び表示パネルDPに電気的に接続され、アイトラッキングシステムが提供した情報に基づいて、駆動モジュール及びバックライト光源の動作を制御する。
【0077】
アイトラッキングシステムは観察者の目の前後の変位程度を検出し、これに基づいてコントローラーがバックライトトロイダルミラーTMrの回転角度を調整し、且つバックライト光源の輝度も対応するように調整し、アイボックスEBが目の位置まで伸長または短縮し、観察者が明瞭且つ完全なイメージを継続して観察可能になる。
【0078】
駆動モジュールはバックライトトロイダルミラーTMrを駆動し、バックライトトロイダルミラーTMrはコントローラーが設定した角度に基づいて回転する。
【0079】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0080】
BL バックライト光源
BL_im バックライト光源虚像
BL_im1 バックライト光源虚像
BL_im2 バックライト光源虚像
BL_im3 バックライト光源虚像
BL_im4 バックライト光源虚像
BL_im5 バックライト光源虚像
BL_im6 バックライト光源虚像
BL_im7 バックライト光源虚像
BL_im8 バックライト光源虚像
BL_im9 バックライト光源虚像
BL_im10 バックライト光源虚像
BL_im11 バックライト光源虚像
BL_im12 バックライト光源虚像
BL_im13 バックライト光源虚像
BL_im14 バックライト光源虚像
BL_im15 バックライト光源虚像
BL_re バックライト光源実像
BL_re1 バックライト光源実像
BL_re2 バックライト光源実像
BL_re3 バックライト光源実像
BL_re4 バックライト光源実像
BL_re5 バックライト光源実像
BL_re6 バックライト光源実像
BL_re7 バックライト光源実像
BL_re8 バックライト光源実像
BL_re9 バックライト光源実像
BL_re10 バックライト光源実像
BL_re11 バックライト光源実像
BL_re12 バックライト光源実像
BL_re13 バックライト光源実像
BL_re14 バックライト光源実像
BL_re15 バックライト光源実像
Bm_G イメージビーム
Bm_BL バックライトビーム
CA 中心軸
DP 表示パネル
DP_im イメージ虚像
E 目
EB アイボックス
Fx 焦点
Fy 焦点
FL_x 焦点距離
FL_x1 等価焦点距離
FL_x2 等価焦点距離
FL_x3 等価焦点距離
FL_x4 等価焦点距離
FL_x5 等価焦点距離
FL_y 焦点距離
FL_y1 等価焦点距離
FL_y2 等価焦点距離
FL_y3 等価焦点距離
FL_y4 等価焦点距離
FL_y5 等価焦点距離
FPX X軸バックライト焦点面
FPY Y軸バックライト焦点面
Lt_BL バックライト光源
Mr_BL バックライト凹面鏡
Mr_F 結像凹面鏡
Mr_SR 結像ハーフミラー
P 点光源
q1 位置
q2 位置
q3 位置
q4 位置
q5 位置
q6 位置
q7 位置
q8 位置
q9 位置
q10 位置
q11 位置
TMr バックライトトロイダルミラー
X 軸方向
Y 軸方向
θy 角度
θy1 角度
θy2 角度
θy3 角度
θy4 角度
θx5 角度
θx6 角度
【要約】
【課題】バックライトトロイダルミラーでアイボックスを調整するヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】結像ハーフミラーと組み合わせて使用するものに適合し、且つ、バックライト光源と、バックライトトロイダルミラーと、表示パネルと、結像凹面鏡と、を含んで構成されている。バックライトトロイダルミラーは回転可能であり、X軸曲率及びX軸曲率とは相違するY軸曲率を有し、且つバックライト光源のバックライトビームを反射可能である。バックライトトロイダルミラーにより反射されたバックライトビームは表示パネル、結像凹面鏡、及び結像ハーフミラーを経由した後に観察者の目の位置にバックライト光源実像を形成し、バックライト光源実像はアイボックスである。バックライトトロイダルミラーが回転することによりアイボックスが伸長または短縮することで、観察者の目が前後に移動してもアイボックス内に尚も保持される。
【選択図】図14B
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C