(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電気機械を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240816BHJP
H02M 7/493 20070101ALI20240816BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H02M7/48 F
H02M7/493
B60L9/18 L
(21)【出願番号】P 2023502930
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2021069267
(87)【国際公開番号】W WO2022013123
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102020118886.2
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523014902
【氏名又は名称】アーファオエル ソフトウェア アンド ファンクションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】AVL SOFTWARE AND FUNCTIONS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイムル、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ビール、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】シュネック、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマ、アンキット
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-248495(JP,A)
【文献】特開2017-147933(JP,A)
【文献】特開2015-100262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/493
B60L 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(4、5)に配置された少なくとも2つの電気機械を制御するための方法であって、
a.上位の制御装置(1)によって出力される動力信号を、第1のインバータ(2)および少なくとも1つの第2のインバータ(3)によって受信するステップと、
;
b.前記動力信号に基づいて変調され、第1の信号パラメータを有する第1のパルス幅変調制御信号を、前記第1のインバータ(2)によって第1の電気機械(4)へと出力し、前記動力信号に基づいて変調され、第2の信号パラメータを有する少なくとも1つの第2のパルス幅変調制御信号を、前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)によって少なくとも1つの第2の電気機械(5)へと出力するステップと、
;
c.前記第1の信号パラメータを含む少なくとも1つの同期信号を、前記第1のインバータ(2)によって前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)へと出力するステップと、
ここで、予め決定可能な同期パラメータは、前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)にとって取り出し可能な格納済み情報として存在し、;
d.前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)によって、前記第1の信号パラメータおよび予め決定可能な同期パラメータに基づいて決定される第3の信号パラメータを有する少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号を変調するステップと、
ここで、複数の同期パラメータが、取り出し可能な格納済み情報として存在し、前記第3の信号パラメータを決定するために使用される前記同期パラメータは、前記複数の同期パラメータから、前記動力信号ならびに/あるいは前記第1のパルス幅変調制御信号および/または前記第2のパルス幅変調制御信号の関数として選択される、;
e.前記第3の信号パラメータを有する前記少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号を、前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)によって前記少なくとも1つの第2の電気機械(5)へと出力するステップと
を含み、
前記第1のパルス幅変調制御信号および前記少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号は、前記予め決定可能な同期パラメータによって予め決定することができる位相関係を有
し、
前記第1、第2及び第3の信号パラメータおよび前記同期パラメータは、時間値を表し、前記信号パラメータの各々は、前記対応するパルス幅変調制御信号のエッジまたは中心点の時間を示し、前記同期パラメータは、位相シフト時間または位相シフト角度を指定し、
前記同期パラメータによって示される前記位相シフト時間は、少なくとも2つの位相シフト時間部分に分割され、前記少なくとも1つの第2のパルス幅変調制御信号から前記少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号への段階的な移行を保証するために、前記少なくとも2つの位相シフト時間部分の各々についてステップd)およびe)が、個別に順次に実行される、方法。
【請求項2】
前記予め決定可能な同期パラメータは、前記上位の制御装置(1)によって前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)へと出力される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位相シフト角度は、±180°の範囲内の値または±(90°~120°)の範囲内の値を有する、ことを特徴とする請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のインバータ(2)および前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)の各々は、クロック発生部を有し、前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)の前記クロック発生部は、前記
第1、第2及び第3のパルス幅変調制御信号を出力するための前記第1のインバータ(2)および前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)の同期したクロックを保証するために、ステップd)の前、最中、または後に、前記第1の信号パラメータおよび前記同期パラメータに基づいて調整される、ことを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記同期信号は、前記第1のインバータ(2)によって、前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)へと、前記第1のインバータ(2)と前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)とを信号技術の点で接続する別個の同期線(6)を介して出力され、前記別個の同期線(6)は、プッシュプルライン、シングルエンドライン、または無線リンクであり、双方向の接続が前記別個の同期線(6)を介して前記第1のインバータ(2)と前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)との間に確立される、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップb)およびc)は、同時または立て続けに行われる、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1のインバータ(2)は、前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)によって検出され、前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)によって採用される調整可能なスイッチング周波数で動作する、ことを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれかに記載の方法を実行するためのシステムであって、
第1の電気機械(4)および少なくとも1つの第2の電気機械(5)、上位の制御装置(1)、ならびに第1のインバータ(2)および少なくとも1つの第2のインバータ(3)を備えており、前記第1のインバータ(2)と前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)とが、別個の同期線(6)を介して信号技術の点で接続されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に配置された少なくとも2つの電気機械、好ましくは電気モータを制御するための方法、およびそのような方法を実行するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駆動ユニットとして機能する任意の種類の電気モータを1つだけ有する電気車両が、先行技術から知られている。さらに、いくつかの電気モータが駆動ユニットとして電気車両に同時に配置される解決策も知られている。とくには、電気車両の車軸上の別個の電気モータ、いわゆる車軸駆動装置、または電気車両の車輪内に設置された別個の電気モータ、いわゆる車輪ハブモータの配置が、この文脈において言及されるべきである。
【0003】
通常は、個々の電気モータの各々が、バッテリまたは燃料電池などのDC電圧源からのDC電圧を、電気モータを動作させるためのAC電圧に変換する別個のインバータを有する。例えば、運転者の対応する入力が、電気モータによってもたらされるべき動力に関するデータを含む動力信号として、上位のエンジンコントローラから個々のインバータへと出力され、それに応答して、個々のインバータが、制御対象の電気モータに制御信号を出力する。ここで、これらの制御信号が、パルス幅変調信号(PWM信号)の形態で出力されることが知られている。
【0004】
インバータによって電気モータへと出力される前述のパルス幅変調制御信号は、時間軸に関して、お互いに対し、すなわち互いに自由に動作し、(時間的)オフセット(位相シフトとも呼ばれる)が変化し、制御されていない。結果として、個々の制御信号のお互いに対する一致または位相シフトが無作為になる。この文脈において、とりわけPWM信号がよく一致し、あるいはPWM信号の位相シフトが小さい場合に、大きなリップル電流(電流リップル係数)が発生する可能性がある。大きなリップル電流は、熱へと変換される電力損失が等価直列抵抗(ESR)を介して発生するため、とくにバッテリ/燃料電池および車載の電源システムの残りの部分にとって問題となる。したがって、システム全体または個々の構成要素を、発生するリップル電圧において機能し、より長い期間にわたって機能し続けるようなやり方で設計しなければならない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、先行技術の前述の欠点を排除することができる方法および対応するシステムを提供することである。
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法および請求項10に記載のシステムによって達成される。
【0007】
本発明の核となるアイデアは、車両に配置された少なくとも2つの電気機械、好ましくは電気モータを制御するための方法であって、
a)上位の制御装置によって出力される動力信号を、第1のインバータおよび少なくとも1つの第2のインバータによって受信するステップと、
b)前記動力信号に基づいて変調され、第1の信号パラメータを有する第1のパルス幅変調制御信号を、前記第1のインバータによって第1の電気機械へと出力し、前記動力信号に基づいて変調され、第2の信号パラメータを有する少なくとも1つの第2のパルス幅変調制御信号を、前記少なくとも1つの第2のインバータによって少なくとも1つの第2の電気機械へと出力するステップと、
c)前記第1の信号パラメータを含む少なくとも1つの同期信号を、前記第1のインバータによって前記少なくとも1つの第2のインバータへと出力するステップと、
d)前記少なくとも1つの第2のインバータによって、前記第1の信号パラメータおよび予め決定可能な同期パラメータに基づいて決定される第3の信号パラメータを有する少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号を変調するステップと、
e)前記第3の信号パラメータを有する前記少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号を、前記少なくとも1つの第2のインバータによって前記少なくとも1つの第2の電気機械(5)へと出力するステップと
を含み、
前記第1のパルス幅変調制御信号および前記少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号は、前記予め決定可能な同期パラメータによって予め決定することができる位相関係を有する。
【0008】
本方法は、車両に配置された少なくとも2つの電気機械を制御する役割を果たし、この正確な数は、さまざまであってよい。本方法は、好ましくは少なくとも3つの電気機械、より好ましくは少なくとも4つの電気機械、とくに好ましくは少なくとも6つの電気機械を制御するために使用される。電気機械は、好ましくは電気モータである。これは、インバータにも同様に当てはまり、好ましくは少なくとも3つのインバータ、より好ましくは少なくとも4つのインバータ、とくに好ましくは少なくとも6つのインバータが設けられる。好ましくは、電気モータは、交流モータまたは三相モータとして設計され、とくに好ましくは同期モータまたは非同期モータである。さらに好ましくは、本方法によって制御される電気機械は、電気車両あるいは燃焼機関と電気モータとを備えるハイブリッド車両に配置され、車両は、例えば乗用車またはトラックであってよい。好ましくは、電気機械は、車両の駆動ユニットに相当し、好ましくは各々が車両の軸に機械的に接続され(軸駆動)、あるいは車両の車輪に組み込まれる(車輪ハブモータ)。好ましくは、各々の電気機械は、別個のインバータによって制御され、あるいは自身の固有のインバータに、少なくとも信号技術の点で接続され、好ましくはパワーエレクトロニクス的に接続される。
【0009】
本発明による上位の制御装置は、例えば、とりわけ、エンジン機能の制御、調整、および監視を引き受けるエンジンコントローラ、またはインバータをとくに制御するインバータコントローラであってよい。これらは、好ましくは、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラであってよい。好ましくは、上位の制御装置は、とりわけ、スイッチオンまたは必要な動力などの運転者からの入力を受信し、これらの入力を、動力信号によって、電気機械またはインバータに転送し、インバータは、バッテリまたは燃料電池などのDC電圧源のDC電圧から出発して、電気機械を動作させるためのAC電圧を供給する。電気機械を制御する/動作させるインバータへと上位の制御装置によって送信されるそのような動力信号は、一般に、対応する制御信号を電気機械へと出力するためにインバータが必要とするデータまたはパラメータを含み、例えば、電気機械が供給すべき動力/負荷であって、インバータが制御信号へと変換する必要な動力/負荷の指示を含み、あるいは周波数、デューティサイクル、周期の長さなど、すでに制御信号のパラメータである。結果として、第1の制御信号および少なくとも1つの第2の制御信号は、動力信号または動力信号を含むデータに基づいて変調され、これは既知のパルス幅変調(以下を参照)である。
【0010】
本発明によるインバータは、少なくとも信号技術の点で、好ましくは、パワーエレクトロニクスの点で、電気機械、電圧源、好ましくはバッテリまたは燃料電池などのDC電圧源に接続され、また少なくとも信号技術の点で上位の制御装置に接続される。パワーエレクトロニクス的な接続は、電力も信号へと伝送され、あるいは信号と一緒に伝送される接続を意味すると理解される。好ましくは、インバータは、電圧源のDC電圧を電気機械を動作させるためのAC電圧へと供給するために適した先行技術から知られているインバータである。
【0011】
本発明によるパルス幅変調制御信号は、少なくとも信号技術の点で接続され、好ましくはパワーエレクトロニクスの点で接続された電気機械へとインバータから伝送され、電気機械を制御するように設計された信号を意味すると理解され、電気機械が発生させる動力が、パルス幅変調制御信号を介して設定または制御される。パルス幅変調(PWM)は、電圧または電流などが2つの固定値の間を固定された周波数で変化する変調方式である。伝送される情報は、デューティサイクルに収容される。パルス幅変調の周期は、パルスと休止とからなる。変調度は、サイクル時間(パルス+休止)に対するパルス長のデューティサイクルにおいてパーセントで表される。通常は、PWM信号の2つのエッジの一方が固定され、他方のエッジの位置が変調によって可変である。したがって、PWM信号を、固定エッジから始まる変調(「エッジ整列」、例えば左エッジ/立ち上がりエッジまたは右エッジ/立ち下がりエッジ(「右整列」))、または信号の中心点から始まる変調(両方のエッジが変調される(「中心整列」)で生成することができる。したがって、パルス幅変調のために、少なくとも1つの基準点が知られていなければならず、基準点は、好ましくは、信号の対応するエッジまたは中心点が発生する時間である。パルス幅変調信号の生成および適用は、先行技術から当業者に充分に知られているため、ここではさらに詳細には説明しない。
【0012】
この場合、信号パラメータは、関連のパルス幅変調制御信号の特性パラメータを意味すると理解される。好ましくは、PWM信号は、2つの値の間で時間的に変化する電圧である。さらに好ましくは、信号パラメータは、PWM信号のエッジまたは中心点が生じる時点(いわば、エッジまたは中心点の位置)、デューティサイクル/パルスデューティファクタ、周期の長さ、パルスの長さ、休止時間の長さ、電圧、電流、および/または周波数であってよい。
【0013】
本発明による予め決定可能な同期パラメータは、第1のパルス幅変調制御信号と少なくとも1つの第2のパルス幅変調制御信号との間に存在すべき位相差または位相角度とも呼ばれる位相シフトを反映する。これは、好ましくは、位相シフト角度、位相シフト時間、位相シフト長、などである。したがって、第3のパルス幅変調制御信号の第3の信号パラメータを、好ましくは、第1のパルス幅変調制御信号の第1の信号パラメータおよび予め決定可能な同期パラメータに基づいて決定または計算することができ、少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号を、少なくとも1つの第2のインバータによって少なくとも1つの第2のパルス幅変調制御信号の代わりに出力することができる一方で、第1のインバータは、第1の信号パラメータを有する第1のパルス幅変調制御信号をさらに出力し、したがって、第1のパルス幅変調制御信号と少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号とが、予め決定可能な位相関係を有する。この場合、同期パラメータは、予め決定可能または調整可能であり、好ましくは、車両または電気機械の動作中であっても所望に応じて変更することができ、その結果として、第1のパルス幅変調制御信号と少なくとも1つの第2のパルス幅変調制御信号との間の所望の位相シフトを、第2の信号パラメータを有する少なくとも1つの第2の制御信号の出力の代わりに、第3の信号パラメータを有する少なくとも1つの第3の制御信号の出力によって可変に調整することができる。
【0014】
したがって、本発明による方法によって、第1のインバータによって出力されるパルス幅変調制御信号と少なくとも1つの第2のインバータによって出力される少なくとも1つのパルス幅変調制御信号との間の位相シフトまたは位相関係を調整することができ、これが、本発明による同期と呼ばれる。これは、結果として、中間回路の電流がPWM信号の周期の全体に分散され、中間回路コンデンサに適応するより高い有効周波数がもたらされるという利点を有する。この結果として、必要とされる中間回路の容量が少なくて済み、好ましくは中間回路の容量の半分しか必要とされず、発生するリップル電流が、互いに自由に動作するパルス幅変調制御信号と比較して、大幅に低減される。したがって、車上の電気システムにおけるリップル負荷およびコンデンサに対する要求が低減され、したがって部品コストを節約することができる。
【0015】
このように、第1のインバータを、第1の信号パラメータを少なくとも1つの第2のインバータ(いわゆる、「スレーブ」)へと出力する「マスタ」と呼ぶことができる。この場合、マスタインバータを1回、例えば車両の生産時に設定することができ、あるいはマスタまたはスレーブ位置は、車両がスイッチオンされたときに新たに割り当てられる。これを、例えば、対応するマスタ信号を或るインバータから、この現在のマスタインバータが存在する他のインバータへと送信することによって行うことができる。スレーブインバータまたは少なくとも1つの第2のインバータは、好ましくは、マスタインバータまたは第1のインバータの仕様に従う。
【0016】
好ましい実施形態によれば、前記予め決定可能な同期パラメータは、前記少なくとも1つの第2のインバータによって取り出し可能な格納済み情報として存在する。好ましくは、前記予め決定可能な同期パラメータは、前記上位の制御装置によって前記少なくとも1つの第2のインバータへと出力される。インバータは、好ましくは、メモリユニットを備え、あるいは同期パラメータを格納したメモリユニットにアクセスすることができる。この同期パラメータは、好ましくは可変に設定することができ、変更することが可能である。さらに好ましくは、上位の制御装置がメモリユニットを備え、あるいは同期パラメータが格納されたメモリユニットにアクセスし、それを少なくとも1つの第2のインバータに送信することができる。この同期パラメータは、好ましくは可変に設定することが可能である。同期パラメータは、好ましくは、少なくとも1つの第2のインバータにとって格納された情報として利用可能であってよく、あるいは上位の制御装置から少なくとも1つの第2のインバータへと(例えば、同期パラメータを含むことができる動力信号によって)直接出力されても、場合によっては、同期パラメータを同期線を介して少なくとも1つの第2のインバータへと同期信号によって送信する第1のインバータを介して間接的に出力されてもよい。このようにして、状況に応じて、同期パラメータを設定することによって位相関係またはシフトを調整することができ、したがって、これに応じてリップル電流を低減することができる。
【0017】
好ましい実施形態によれば、複数の同期パラメータが、取り出し可能な格納済み情報として存在し、前記第3の信号パラメータを決定するために使用される前記同期パラメータは、前記複数の同期パラメータから、前記動力信号ならびに/あるいは前記第1のパルス幅変調制御信号および/または前記第2のパルス幅変調制御信号の関数として選択される。好ましくは、第2のインバータ、第1のインバータ、および/または上位の制御装置は、第3の信号パラメータを決定するために複数の格納済み同期パラメータから選択を行うことができる。好ましくは、第3の信号パラメータを決定するために使用される同期パラメータは、動力信号ならびに/あるいは第1および/または第2のパルス幅変調制御信号の関数として、複数の同期パラメータから選択される。さらに好ましくは、複数の同期パラメータからの第3の信号パラメータを決定するための同期パラメータは、電気機械の動力または負荷の関数として選択され、電気機械の動力または負荷は、動力信号および/またはパルス幅変調制御信号を介して決定される。さらに好ましくは、複数の同期パラメータからの第3の信号パラメータを決定するための同期パラメータは、動力信号によってインバータへと指定され、および/または好ましくは電気機械の動力を決定するパルス幅変調制御信号によってインバータから電気機械へと出力される周波数、デューティサイクル、および/または電圧に依存する。各々の動力または負荷、したがってデューティサイクル、周波数、および/または電圧ごとに、リップル電流が最小となる同期パラメータまたは同期パラメータの値が存在することが明らかになっている。したがって、各々の動力/負荷または各々のデューティサイクル、各々の周波数、各々の電圧および/または対応する範囲について、好ましくは(例えば、テストベンチでの)実験および/またはシミュレーションによって、その動力/負荷またはデューティサイクル、周波数および/または電圧においてリップル電流を最小にする同期パラメータを事前に決定し、これらの同期パラメータを、第2のインバータ、第1のインバータ、および/または上位の制御装置にとって取り出し可能に格納することが考えられる。このようにして、基準値と呼ぶこともでき、動力信号ならびに/あるいは第1および/または第2のパルス幅変調制御信号に応じて選択することができる複数の格納済みの同期パラメータを得ることができ、同期パラメータの選択は、好ましくは、パルス幅変調制御信号のデューティサイクル、周波数、および/または電圧、あるいはパルス幅変調制御信号のために提供されるデューティサイクル、周波数、および/または電圧の関数として行われる。したがって、好都合には、所定の同期パラメータが、各々のデューティサイクル、各々の周波数および/または各々の電圧、あるいはデューティサイクル、周波数、および/または電圧の各々の所定の範囲に割り当てられ、さらには/あるいは割り当てられると仮定することができる。これに関連して、第3の信号パラメータを決定するための複数の同期パラメータからの同期パラメータの選択を、好ましくは、同期パラメータを指定することと理解することができる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、前記信号パラメータおよび前記同期パラメータは、時間値を表し、前記信号パラメータの各々は、前記対応するパルス幅変調制御信号のエッジまたは中心点の時間を示し、前記同期パラメータは、位相シフト時間または位相シフト角度を指定する。好ましくは、位相シフト時間および位相シフト角度は、既知の方法(位相シフト角度/360°=位相シフト時間/周期の長さ)で互いに変換することができる。したがって、第3の信号パラメータを、第1の信号パラメータおよび同期パラメータに基づいて簡単なやり方で決定することができる。
【0019】
好ましくは、第3の信号パラメータの決定は、第1の信号パラメータおよび予め決定可能な同期パラメータに基づいて、第1の信号パラメータによって示される時点と同期パラメータによって示される位相シフト時間との加算によって行われる。好ましくは、同期パラメータが再現することができる位相シフト角度を、最初に位相シフト時間に変換することができる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、前記位相シフト角度は、±180°の範囲内の値または±(90°~120°)の範囲内の値を有する。さらに、位相シフト角度が±π(パイ)の範囲内の値を有することが考えられる。同期パラメータの位相シフト角度の上述の角度範囲内で、結果として生じるリップル電流を効果的に低減することが可能である。結果として生じるリップル電流の最小値を、これらの角度範囲内で達成できることが示されている。
【0021】
好ましい実施形態によれば、前記同期パラメータによって示される前記位相シフト時間は、少なくとも2つの位相シフト時間部分に分割され、前記少なくとも1つの第2のパルス幅変調制御信号から前記少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号への段階的な移行を保証するために、前記少なくとも2つの位相シフト時間部分の各々についてステップd)およびe)が、個別に順次に実行される。少なくとも1つの第2のパルス幅変調制御信号から少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号への可能な限り緩やかな移行を保証し、少なくとも1つの第2の機械の急激な信号変化および対応する動力変化を防止するために、位相シフト時間または位相シフト角度が大きいほど、後者はより多くの位相シフト時間部分に分割される。
【0022】
好ましい実施形態によれば、前記第1のインバータおよび前記少なくとも1つの第2のインバータの各々は、クロック発生部を有し、前記少なくとも1つの第2のインバータの前記クロック発生部は、前記パルス幅変調制御信号を出力するための前記第1のインバータおよび前記少なくとも1つの第2のインバータの同期したクロックを保証するために、ステップd)の前、最中、または後に、前記第1の信号パラメータおよび前記同期パラメータに基づいて調整される。クロック発生部は、プロセッサおよびクロック依存の周辺機器の動作周波数を指定し、従来技術から知られている。第1の信号パラメータおよび同期パラメータに基づいて少なくとも1つの第2のインバータのクロック発生部を調整することによって、その動作周波数を、第1のインバータまたは第1のインバータのクロック発生部の動作周波数に同調または同期させることができる。
【0023】
好ましい実施形態によれば、前記同期信号は、前記第1のインバータから前記少なくとも1つの第2のインバータへ、前記第1のインバータと前記少なくとも1つの第2のインバータ(3)とを信号技術の点で接続する別個の同期線を介して出力される。前記別個の同期線は、好ましくは、プッシュプルライン、シングルエンドライン、または無線リンクである。とくに好ましくは、同期線は、ナノ秒範囲内の第1のインバータと少なくとも1つの第2のインバータとの間の通信を可能にする接続である。さらに好ましくは、第1のインバータと少なくとも1つの第2のインバータとの間の双方向接続が、別個の同期線によって確立される。このようにして、信号を、第1のインバータから少なくとも1つの第2のインバータへと、およびその逆に送信することができ、その結果として、例えば、いわゆるハンドシェイクを実行することができ、既存のインバータが互いを認識し、同期線において生じうる障害が検出可能となり、エラーメッセージを送信することができる。また、別個の同期線を、もっぱら同期信号の伝送のみ使用することも考えられる。
【0024】
好ましくは、第1のインバータ(マスタ)は、少なくとも信号技術の点で、別個の同期線を介して少なくとも1つの第2のインバータ(スレーブ)または各々の既存の第2のインバータ(スレーブ)に接続されることにより、第1のインバータは、設けられた第2のインバータの各々にそれぞれの同期線を介して個別に同期信号を出力することができる(直接的な同期信号の伝送)。したがって、第1のインバータは、少なくとも信号技術の点で、別個の同期線を介して、各々の第2のインバータに接続され、これら第2のインバータは、同期線によって信号技術の点で互いに接続されることがないと考えられる。このようにして、高速および単純な信号伝送を可能にすることができる。しかしながら、第1のインバータを、信号技術の点で、同期線によって第2のインバータまたは2つの第2のインバータにのみ接続し、第2のインバータを、信号技術の点で、別個の同期線を介して、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは正確に2つのさらなる第2のインバータによって互いに接続することも考えられる。したがって、同期信号を、第1のインバータから、同期線によって信号技術の点で第1のインバータに接続された第2のインバータへと出力し、第2のインバータを介して、同期線を介して信号技術の点で第2のインバータに接続された少なくとも1つのさらなる第2のインバータへと出力することができ(間接的な同期信号の伝送)、同期信号は、いずれの場合も、第1のパルス幅変調制御信号の第1の信号パラメータを含む。このようにして、材料およびコストを節約することができる。さらに、同期線を無線リンクとして設計し、各々の既存のインバータは、同期信号を出力および/または受信することができる対応するトランシーバユニットを有することも考えられる。
【0025】
好ましくは、車両がオンにされるときに、好ましくは初期化信号の出力によって、それぞれ設けられた同期線を介して既存の(第1および第2の)インバータの間でハンドシェイクを行うことができ、インバータが、接続されたインバータとのハンドシェイクが不可能であると判定すると、上位の制御装置に、対応する同期ラインを介したハンドシェイクが不可能であり、したがって同期を行うことができない旨のエラーメッセージが出力される。結果として、ハンドシェイクまたは初期化信号の伝送が不可能である旨の同期ラインを介して接続された2つのインバータからのエラーメッセージは、対応する同期線が不良であるという結論をもたらすことができる。不良の同期線が存在する場合、好ましくは、間接的な同期信号の伝送を介して同期信号をそれぞれのインバータに伝送する試みを行うことができる。さらに好ましくは、指定されたインバータ間のハンドシェイクまたは初期化信号の送信は、ステップa)の前または最中に行われる。
【0026】
好ましい実施形態によれば、ステップb)およびc)は、同時に、または立て続けに行われる。このようにして、第1のインバータおよび少なくとも1つの第2のインバータが可能な限り迅速に同期状態に移行すること、または第1のPWM制御信号と少なくとも1つの第3のPWM制御信号との間の位相関係が設定されることを、保証することができる。
【0027】
好ましい実施形態によれば、第1のインバータは、前記少なくとも1つの第2のインバータによって検出され、前記少なくとも1つの第2のインバータによって採用される調整可能なスイッチング周波数で動作する。このようにして、一方では、第1のインバータまたは第1のインバータの回路遮断器のスイッチング周波数を可変に調整することができ、少なくとも1つの第2のインバータが、好ましくは適切なセンサによって検出される第1のインバータのスイッチング周波数を検出し、第1のインバータ自体または第1のインバータのスイッチング周波数を有するスイッチの検出または検出されたスイッチング周波数を採用する。第1のインバータのスイッチング周波数の可変の調整を、好ましくは、スイッチ制御方式で行うことができ、可変の周波数による対応するスイッチング制御方式が、先行技術から知られている。これにより、インバータの制御信号の周波数に関する同期も保証することができる。
【0028】
さらにまた、前記目的は、第1の電気機械および少なくとも1つの第2の電気機械、上位の制御装置、ならびに第1のインバータおよび少なくとも1つの第2のインバータを備えており、前記第1のインバータと前記少なくとも1つの第2のインバータとが、別個の同期線を介して信号技術の点で接続されている、請求項1~9のいずれかの一項に記載の方法を実行するためのシステムにより達成される。
【0029】
本発明による方法に関する上述の説明および特徴は、必要な変更を加えて、本発明によるシステムにも適用されるように意図され、逆もまた同様である。
【0030】
さらなる好都合な実施形態が、従属請求項からもたらされる。
【0031】
本発明のさらなる目的、利点、および好都合性を、以下の説明において、図面と併せて見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の好ましい実施形態によるシステムを示している。
【
図2a】本発明の好ましい実施形態による種々のシステム部分を示している。
【
図2b】本発明の好ましい実施形態による種々のシステム部分を示している。
【
図2c】本発明の好ましい実施形態による種々のシステム部分を示している。
【
図2d】本発明の好ましい実施形態による種々のシステム部分を示している。
【
図3】本発明の好ましい実施形態による方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1が、本発明の好ましい実施形態によるシステム1000を示している。システム1000は、好ましくは完全に車両内に配置され、分かりやすくするために、車両およびさらなる構成要素は図示されていない。
【0034】
システム1000は、少なくとも信号技術の点で第1のインバータ2および第2のインバータ3に接続された上位の制御装置1を備える。さらに、第1のインバータ2は、第1の電気機械4に少なくともパワーエレクトロニクス的に接続され、第2のインバータ3は、第2の電気機械5に少なくともパワーエレクトロニクス的に接続される。図示の実施形態によれば、いずれの場合も、2つのインバータ2、3、および2つのインバータ2、3に信号技術の点で接続された2つの電気機械4、5が設けられ、ここで、インバータおよび少なくとも信号技術の点でインバータに接続されたインバータの数は、さまざまであってよい。
【0035】
上位の制御装置1が、第1のインバータ2および第2のインバータ3に電力信号を出力するように設計され、これに基づいて、第1の信号パラメータを有する第1のパルス幅変調制御信号が、第1のインバータ2によって変調され、第1の電気機械4へと出力され、第2の信号パラメータを有する第2のパルス幅変調制御信号が、第2のインバータ3によって変調され、第2の電気機械5へと出力される。
【0036】
さらに、第1のインバータ2および第2のインバータ3は、少なくとも信号技術の点で、好ましくは双方向同期線6によって接続される。この場合、第1のインバータは、第1のパルス幅変調制御信号の第1の信号パラメータを含む同期信号を、同期線6を介して第2のインバータに送信するように設計される。同期線は、好ましくは、ナノ秒(ns)範囲の同期信号の伝送が保証されるように設計される。例えば、同期線は、プッシュプルライン、シングルエンドライン、または無線リンクとして設計される。この実施形態によれば、第1のインバータ2がマスタとして提供され、第2のインバータ3がスレーブとして提供され、第2のインバータ3によって出力されるパルス幅変調制御信号は、第1のパルス幅変調制御信号との同期信号によって出力され、第1のインバータ2によって同期され、あるいは位相関係または位相シフトが設定される。
【0037】
さらに、第2のインバータ3が、受信した第1の信号パラメータおよび同期パラメータに基づいて第3の信号パラメータを有する第3のパルス幅変調制御信号を変調し、それを第2のパルス幅変調制御信号の代わりに出力するように設計される一方で、第1のパルス幅変調制御信号は、第1のインバータによって出力され続ける。同期パラメータが、好ましくは、予め決定可能または調整可能な位相シフト角度または位相シフト時間を指定することによって、第1のパルス幅変調制御信号と第3のパルス幅変調制御信号との間の所望の位相関係または位相シフトを設定することができる。
【0038】
図2a~
図2dが、本発明によるシステムに使用することができ、本発明による方法の実行に適しているインバータおよび電気機械の構成の種々の好ましい実施形態を示している。
図1からの参照符号が、
図2a~
図2dにおいても同様に使用されており、
図1によるシステムに関する説明は、
図2a~
図2dによるシステムについて準用される。
【0039】
図2a~
図2dの各々は、電気機械4、5、インバータ2、3、および同期線6を備えるシステムの一部分を示している。
【0040】
この場合、
図2aは、第1のインバータ2および第2のインバータ3を有し、第1のインバータ2が第1の電気機械4にパワーエレクトロニクス的に接続され、第2のインバータ3が第2の電気機械5にパワーエレクトロニクス的に接続されているシステムを示している。第1のインバータ2および第2のインバータ3は、同期線6によって少なくとも信号技術的に接続される。第1のインバータ2および第2のインバータ3は、別々のハウジングに配置され、別々の中間回路で動作する。したがって、2つの個別の駆動部と呼ぶことが可能である。この構成は、
図1の構成に対応する。
【0041】
図2bは、第1のインバータ2および第2のインバータ3を示しており、第1のインバータ2が第1の電気機械4にパワーエレクトロニクス的に接続され、第2のインバータ3が第2の電気機械5にパワーエレクトロニクス的に接続されている。第1のインバータ2および第2のインバータ3は、同期線6によって少なくとも信号技術的に接続される。第1のインバータ2および第2のインバータ3は、共通のハウジングに配置され、共通の中間回路で動作する。これは、2つの個別の駆動部を有するイーアクシス(e-axis)であってよい。
【0042】
図2cは、第1のインバータ2および第2のインバータ3を示しており、第1のインバータ2が第1の電気機械4にパワーエレクトロニクス的に接続され、第2のインバータ3が第2の電気機械5にパワーエレクトロニクス的に接続されている。第1のインバータ2および第2のインバータ3は、同期線6によって少なくとも信号技術的に接続される。第1のインバータ2および第2のインバータ3は、それぞれ別々のハウジングに配置され、別々の中間回路で動作する。これは、1つの個別の駆動部が前車軸および後車軸にそれぞれ存在する2つのイーアクシス(e-axes)であってよい。
【0043】
図2dは、第1のインバータ2および3つの第2のインバータ3を示しており、第1のインバータ2が第1の電気機械4にパワーエレクトロニクス的に接続され、3つの第2のインバータ3の各々が第2の電気機械5にパワーエレクトロニクス的に接続されている。第1のインバータ2は、いずれの場合も、少なくとも信号技術の点で同期線6によって3つの第2のインバータ3に接続される。第1のインバータ2は、3つの第2のインバータ3の各々に同期信号を出力する。第2のインバータ3を同様に同期線によって互いに接続することも考えられる。これは、2つの個別の駆動部が前車軸および後車軸にそれぞれ存在する2つのイーアクシスであってよい。
【0044】
図3が、本発明の好ましい実施形態による車両に配置された少なくとも2つの電気機械4、5を制御するための方法100のフローチャートを示している。
【0045】
ステップa)に対応するステップS1において、上位の制御装置1、好ましくはエンジンコントローラは、第1のインバータ2および少なくとも1つの第2のインバータ3によって受信される動力信号を出力する。
【0046】
ステップb)に対応する次のステップS2において、動力信号または動力信号を含むデータ/パラメータに基づいて、第1の信号パラメータを有する第1のパルス幅変調制御信号が第1のインバータ2によって第1の電気機械4へと出力され、第2の信号パラメータを有する第2のパルス幅変調制御信号が少なくとも1つの第2のインバータ3によって第2の電気機械5へと出力される。
【0047】
ステップc)に対応するステップS3において、第1の信号パラメータを含む同期信号が、ステップS2の直後または最中に、同期線6を介して第1のインバータ2から少なくとも1つの第2のインバータ3へと出力される。
【0048】
ステップS3の後に、ステップd)に対応するステップS4に従って、第3の信号パラメータを有する少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号が、少なくとも1つの第2のインバータによって変調され、少なくとも1つの第2のインバータによって第2のパルス幅変調制御信号の代わりに出力される。この場合、第3の信号パラメータは、第1の信号パラメータおよび予め決定可能な同期パラメータに基づいて決定される。同期パラメータは、好ましくは、少なくとも1つの第2のインバータにとって格納された情報として利用可能であってよく、あるいは上位の制御装置1から少なくとも1つの第2のインバータ3へと(例えば、同期パラメータを含むことができる動力信号によって)直接出力されても、場合によっては、同期パラメータを同期線6を介して少なくとも1つの第2のインバータ3へと同期信号によって送信する第1のインバータ2を介して間接的に出力されてもよい。
【0049】
ステップe)に対応する次のステップS5において、第3の信号パラメータを有する少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号が、少なくとも1つの第2のインバータ3によって、少なくとも1つの第2の電気機械5へと、第2の信号パラメータを有する第2のパルス幅変調制御信号の代わりに出力される。第1の信号パラメータおよび同期パラメータに基づいて少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号を第3の信号パラメータで変調することにより、第1のパルス幅変調制御信号と少なくとも1つの第3のパルス幅変調制御信号との間の位相関係または位相シフトを、設定または予め決定することができる。
【0050】
すべてのそれぞれの特徴を有する種々の実施形態を、必要に応じて組み合わせたり、交換したりすることができる。
【0051】
出願書類に開示されるすべての特徴が、単独または組み合わせにて先行技術に対して新規である限りにおいて、本発明に不可欠であると主張される。
【符号の説明】
【0052】
100 方法
1000 システム
1 制御装置
2 第1のインバータ
3 第2のインバータ
4 第1の電気機械
5 第2の電気機械
6 同期線