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特許7539558静翼、及びこれを備えているガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】静翼、及びこれを備えているガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20240816BHJP
   F02C 7/16 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F01D9/02 102
F02C7/16 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023509113
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2022012452
(87)【国際公開番号】W WO2022202636
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021053113
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】松尾 咲生
(72)【発明者】
【氏名】羽田 哲
(72)【発明者】
【氏名】宮久 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】水上 聡
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-019348(JP,A)
【文献】特開2020-097907(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035178(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/131385(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02
F02C 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンが備える静翼において、
断面の形状が翼形を成し、前記断面に対して垂直な方向成分を有する翼高さ方向に延びる翼体と、
筒状を成し、筒高さ方向に延び、前記筒高さ方向が前記翼高さ方向を向くよう、前記翼体内に配置されている第一インサート及び第二インサートと、
端部カバーと、
を備え、
前記翼体は、前記翼高さ方向に延びる前縁と、前記翼高さ方向に延びる後縁と、前記翼高さ方向に延び且つ前記前縁と前記後縁とをつなぐ正圧面及び負圧面と、前記翼体内で前記翼高さ方向に延びる複数の翼空気通路と、を有し、
前記複数の翼空気通路のうち、前側翼空気通路、第一翼空気通路、及び第二翼空気通路は、いずれも、前記翼高さ方向における翼高さ第一側と翼高さ第二側とのうちの一方側である翼高さ一方側の端が開口しており、
前記前側翼空気通路は、前記翼体内で、前記複数の翼空気通路のうちで、最も前記前縁の側に位置し、
前記第一翼空気通路及び前記第二翼空気通路は、前記翼体内で、前記前側翼空気通路よりも前記後縁の側に位置し、
前記第一インサート及び前記第二インサートは、いずれも、筒状を成し前記筒高さ方向に延びる外周板部と、前記筒高さ方向における二つの側のうち、前記外周板部の前記筒高さ方向の一方側である筒高さ封止側の端を塞ぐ封止板部と、を有し、
前記外周板部には、筒状の前記外周板部の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔が形成され、
前記外周板部の前記筒高さ方向の他方側である筒高さ開口側が開口しており、
前記第一インサートの外周板部は、前記第一インサートの前記外周板部と前記第一翼空気通路を画定する前記翼体の第一通路画定面との間に隙間が存在し、前記第一インサートの開口から外周板部内に冷却空気が流入するよう、前記第一翼空気通路内に配置され、
前記第二インサートの外周板部は、前記第二インサートの前記筒高さ開口側が前記翼高さ一方側を向き、前記第二インサートの前記外周板部と前記第二翼空気通路を画定する前記翼体の第二通路画定面との間に隙間が存在し、前記第二インサートの開口から冷却空気が流入するよう、前記第二翼空気通路内に配置され、
前記端部カバーは、前記第一インサートの前記複数のインピンジ孔から前記第一インサートの前記外周板部と前記第一通路画定面との間に噴出された冷却空気を、前記第一翼空気通路の前記開口を経て、前記第二インサートの前記開口から前記第二インサート内に導けるよう、前記翼体の前記翼高さ一方側に設けられて、前記第一翼空気通路の前記開口及び前記第二インサートの前記開口を覆い、前記前側翼空気通路の前記開口を覆わない、
静翼。
【請求項2】
請求項1に記載の静翼において、
前記翼体の外面である翼面は、前記第一通路画定面と背合わせの位置関係にある第一翼面部と、前記第二通路画定面と背合わせの位置関係にある第二翼面部と、を有し、
前記第一インサートにおける前記外周板部のうち、前記第一翼面部に対向する部分に、前記複数のインピンジ孔が形成され、
前記第二インサートにおける前記外周板部のうち、前記第二翼面部に対向する部分に、前記複数のインピンジ孔が形成されている、
静翼。
【請求項3】
請求項2に記載の静翼において、
前記翼体には、前記第二通路画定面から前記第二翼面部まで貫通している複数の噴出孔が形成され、
前記翼面中における前記第二翼面部の位置は、前記ガスタービンの駆動中、前記翼体の外側であって前記第二翼面部に沿った部分の圧力が、前記翼体の外側であって前記第一翼面部に沿った部分の圧力より低い、位置である、
静翼。
【請求項4】
請求項3に記載の静翼において、
前記第一翼面部は、前記正圧面と前記負圧面とのうち一方の翼面の一部であり、
前記第二翼面部は、前記一方の翼面中で、前記第一翼面部よりも前記後縁の側に位置している、
静翼。
【請求項5】
請求項3に記載の静翼において、
前記第一翼面部は、前記正圧面の一部であり、
前記第二翼面部は、前記負圧面の一部である、
静翼。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の静翼において、
前記第一翼空気通路は、前記第一翼空気通路の前記翼高さ第一側の端及び前記翼高さ第二側の端が開口しており、
前記第二翼空気通路は、前記第二翼空気通路の前記翼高さ第一側の端が閉じ、前記翼高さ第二側の端が開口しており、
前記第一インサートは、前記第一インサートの前記外周板部における前記筒高さ開口側の端から、前記第一インサートの前記外周板部の外周側に向かって広がり、前記第一通路画定面まで延びて、前記翼体に接続されているフランジ部を有し、
前記第二インサートは、前記第二インサートの前記外周板部における前記筒高さ開口側の端から、前記第二インサートの前記外周板部の外周側に向かって広がり、前記第二通路画定面まで延びて、前記翼体に接続されているフランジ部を有し、
前記第一インサートの前記外周板部は、前記第一インサートの前記筒高さ開口側が前記翼高さ第一側を向くよう、前記第一翼空気通路内に配置され、
前記第二インサートの前記外周板部は、前記第二インサートの前記筒高さ開口側が前記翼高さ第二側を向くよう、前記第二翼空気通路内に配置されている、
静翼。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の静翼において、
さらに、
前記第一翼空気通路内で、前記第一インサートの前記筒高さ方向における変位を許容し、前記第一インサートの前記断面が広がる方向への変位を規制する第一ガイド部材と、
前記第二翼空気通路内で、前記第二インサートの前記筒高さ方向における変位を許容し、前記第二インサートの前記断面が広がる方向への変位を規制する第二ガイド部材と、
を備える、
静翼。
【請求項8】
請求項7に記載の静翼において、
前記第一ガイド部材は、前記筒高さ方向に延びる第一溝を有する第一溝部材と、前記第一溝内に入り込み、前記第一溝に対して相対的に前記筒高さ方向に移動可能な第一凸部材と、を有し、
前記第一溝部材と前記第一凸部材とのうち、一方の部材が前記第一インサートに固定され、他方の部材が前記第一通路画定面に固定され、
前記第二ガイド部材は、前記筒高さ方向に延びる第二溝を有する第二溝部材と、前記第二溝内に入り込み、前記第二溝に対して相対的に前記筒高さ方向に移動可能な第二凸部材と、を有し、
前記第二溝部材と前記第二凸部材とのうち、一方の部材が前記第二インサートに固定され、他方の部材が前記第二通路画定面に固定されている、
静翼。
【請求項9】
請求項6に記載の静翼において、
さらに、
前記第一翼空気通路内で、前記第一インサートの前記筒高さ方向における変位を許容し、前記第一インサートの前記断面が広がる方向への変位を規制する第一ガイド部材と、
前記第二翼空気通路内で、前記第二インサートの前記筒高さ方向における変位を許容し、前記第二インサートの前記断面が広がる方向への変位を規制する第二ガイド部材と、
を備え、
前記第一ガイド部材は、前記筒高さ方向に延びる第一溝を有する第一溝部材と、前記第一溝内に入り込み、前記第一溝に対して相対的に前記筒高さ方向に移動可能な第一凸部材と、を有し、
前記第一溝部材と前記第一凸部材とのうち、一方の部材が前記第一インサートの前記外周板部に固定され、他方の部材が前記翼体の前記第一通路画定面に固定され、
前記第二ガイド部材は、前記筒高さ方向に延びる第二溝を有する第二溝部材と、前記第二溝内に入り込み、前記第二溝に対して相対的に前記筒高さ方向に移動可能な第二凸部材と、を有し、
前記第二溝部材と前記第二凸部材とのうち、一方の部材が前記第二インサートの前記封止板部に固定され、他方の部材が前記翼体中で前記第二翼空気通路における前記翼高さ第一側の端で閉じている部分に固定されている、
静翼。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の静翼において、
さらに、
前記翼体における前記翼高さ第一側の端に設けられている第一シュラウドと、
前記翼体における前記翼高さ第二側の端に設けられている第二シュラウドと、
複数のインピンジ孔が形成されているインピンジ板と、
を備え、
前記第一シュラウドは、
前記翼高さ第二側を向くガスパス面と、前記ガスパス面と相反する側を向く反ガスパス面とを有するシュラウド本体と、
前記シュラウド本体の周縁に沿って設けられ、前記反ガスパス面から前記翼高さ第一側に突出した周壁と、
を有し、
前記インピンジ板は、前記シュラウド本体と前記周壁とで形成され、前記翼高さ第二側に向かって凹む凹部内のキャビティを、前記翼高さ第一側の空間と翼高さ第二側の空間とに仕切れ、且つ前記インピンジ板の前記複数のインピンジ孔が前記翼高さ方向に延びるよう、前記第一シュラウドに固定されている、
静翼。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の静翼と、
軸線を中心として回転するロータと、
前記ロータの外周側を覆うケーシングと、
を備え、
前記静翼は、前記ケーシングの内周面に固定されている、
ガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静翼、及びこれを備えているガスタービンに関する。
本願は、2021年3月26日に、日本国に出願された特願2021-053113号に基づき優先権を主張し、この内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機と、圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃料ガスを生成する燃焼器と、燃焼ガスで駆動するタービンと、を備える。タービンは、軸線を中心として回転するタービンロータと、このロータを覆うタービンケーシングと、複数の静翼列と、を備える。タービンロータは、軸線を中心とするロータ軸と、ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有する。複数の動翼列は、軸線が延びる軸線方向に並んでいる。各動翼列は、いずれも、軸線に対する周方向に並ぶ複数の動翼を有する。複数の静翼列は、軸線方向に並んで、タービンケーシングの内周側に取り付けられている。複数の静翼列のそれぞれは、複数の動翼列のうちのいずれか一の動翼列の軸線上流側に配置されている。各静翼列は、いずれも、軸線に対する周方向に並ぶ複数の静翼を有する。
【0003】
静翼は、軸線に対する径方向に延びて翼形を成す翼体と、翼体の径方向内側に設けられている内側シュラウドと、翼体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、を有する。静翼の翼体は、燃焼ガスが通る燃焼ガス流路内に配置される。内側シュラウドは、燃焼ガス流路の径方向内側の縁を画定する。外側シュラウドは、燃焼ガス流路の径方向外側の縁を画定する。
【0004】
ガスタービンの静翼は、高温の燃焼ガスに晒される。このため、静翼は、一般的に、空気等で冷却される。
【0005】
例えば、以下の特許文献1に記載の静翼の翼体には、冷却空気が通る複数の冷却空気通路が形成されている。複数の冷却空気通路は、いずれも、軸線に対する径方向である翼高さ方向Dhに延びている。この静翼は、複数の冷却空気通路のうちの一の冷却空気通路内に配置されているインピンジ板を備える。このインピンジ板は、一の冷却空気通路内を翼高さ方向Dhに延びて、この一の冷却空気通路内を翼体の翼面側とその反対側である内側とに仕切れるよう、一の冷却空気通路内に配置されている。インピンジ板には、複数のインピンジ孔が形成されている。
【0006】
この静翼では、一の冷却通路内で、インピンジ板を基準にして前記内側に流入した冷却空気が、インピンジ板の複数のインピンジ孔から翼面側に噴出する。複数のインピンジ孔から噴出した冷却空気は、一の冷却空気通路を画定する通路画定面のうちで翼面と背合わせの関係にある部分に衝突して、この部分をインピンジ冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4885275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガスタービンの静翼に関しては、この静翼を冷却して、静翼の耐久性を向上させつつも、この静翼を冷却するための空気の使用量をできるかぎり減らすことが望まれている。
【0009】
そこで、本開示は、効率的に冷却可能な静翼、及びこの静翼を備えているガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための発明に係る一態様の静翼は、
ガスタービンが備える静翼において、断面の形状が翼形を成し、前記断面に対して垂直な方向成分を有する翼高さ方向に延びる翼体と、筒状を成し、筒高さ方向に延び、前記筒高さ方向が前記翼高さ方向を向くよう、前記翼体内に配置されている第一インサート及び第二インサートと、端部カバーと、を備える。前記翼体は、前記翼高さ方向に延びる前縁と、前記翼高さ方向に延びる後縁と、前記翼高さ方向に延び且つ前記前縁と前記後縁とをつなぐ正圧面及び負圧面と、前記翼体内で前記翼高さ方向に延びる複数の翼空気通路と、を有する。前記複数の翼空気通路のうち、前側翼空気通路、第一翼空気通路、及び第二翼空気通路は、いずれも、前記翼高さ方向における翼高さ第一側と翼高さ第二側とのうちの一方側である翼高さ一方側の端が開口している。前記前側翼空気通路は、前記翼体内で、前記複数の翼空気通路のうちで、最も前記前縁の側に位置する。前記第一翼空気通路及び前記第二翼空気通路は、前記翼体内で、前記前側翼空気通路よりも前記後縁の側に位置する。前記第一インサート及び前記第二インサートは、いずれも、筒状を成し前記筒高さ方向に延びる外周板部と、前記筒高さ方向における二つの側のうち、前記外周板部の前記筒高さ方向の一方側である筒高さ封止側の端を塞ぐ封止板部と、を有する。前記外周板部には、筒状の前記外周板部の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔が形成されている。前記外周板部の前記筒高さ方向の他方側である筒高さ開口側が開口している。前記第一インサートの外周板部は、前記第一インサートの前記外周板部と前記第一翼空気通路を画定する前記翼体の第一通路画定面との間に隙間が存在し、前記第一インサートの開口から外周板部内に冷却空気が流入するよう、前記第一翼空気通路内に配置されている。前記第二インサートの外周板部は、前記第二インサートの前記筒高さ開口側が前記翼高さ一方側を向き、前記第二インサートの前記外周板部と前記第二翼空気通路を画定する前記翼体の第二通路画定面との間に隙間が存在し、前記第二インサートの開口から冷却空気が流入するよう、前記第二翼空気通路内に配置されている。前記端部カバーは、前記第一インサートの前記複数のインピンジ孔から前記第一インサートの前記外周板部と前記第一通路画定面との間に噴出された冷却空気を、前記第一翼空気通路の前記開口を経て、前記第二インサートの前記開口から前記第二インサート内に導けるよう、前記翼体の前記翼高さ一方側に設けられて、前記第一翼空気通路の前記開口及び前記第二インサートの前記開口を覆い、前記前側翼空気通路の前記開口を覆わない
【0011】
本態様では、第一翼空気通路内に配置されている第一インサート内に流入した冷却空気は、第一通路画定面をインピンジ冷却する。さらに、この冷却空気の少なくとも一部は、第二翼空気通路内に配置されている第二インサート内に流入する。第二インサート内に流入した冷却空気は、第二通路画定面をインピンジ冷却する。したがって、本態様では、一つのインサート内に流入した冷却空気Acで翼体内をインピンジ冷却した後、直ちに、燃焼ガス流路に噴出させる場合よりも、静翼を効率的に冷却して、冷却空気の使用量を少なくすることができる。
【0012】
前記目的を達成するための発明に係る一態様のガスタービンは、
前記一態様の静翼と、軸線を中心として回転するロータと、前記ロータの外周側を覆うケーシングと、を備える。前記静翼は、前記ケーシングの内周面に固定されている。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、静翼を効果的に冷却して、耐久性の向上を図りつつも冷却空気の使用量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの模式的な断面図である。
図2】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの要部断面図である。
図3】本開示に係る第一実施形態における静翼の斜視図である。
図4】本開示に係る第一実施形態におけるキャンバーラインを含む面での静翼の断面図である。
図5図4におけるV-V線断面図である。
図6】本開示に係る第一実施形態におけるインサートの斜視図である。
図7】本開示に係る第二実施形態における軸線に対して垂直な面での静翼の断面図である。
図8図7におけるVIII-VIII線断面図である。
図9】本開示に係る第一実施形態の第一変形例におけるキャンバーラインを含む面での静翼の断面図である。
図10】本開示に係る第一実施形態の第二変形例におけるキャンバーラインを含む面での静翼の断面図である。
図11】本開示に係る第一実施形態の第三変形例におけるキャンバーラインを含む面での静翼の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各種実施形態及びその変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
「ガスタービンの実施形態」
ガスタービンの実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のガスタービン10は、空気Aを圧縮する圧縮機20と、圧縮機20で圧縮された空気A中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成する燃焼器30と、燃焼ガスGにより駆動するタービン40と、を備えている。
【0018】
圧縮機20は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ21と、圧縮機ロータ21を覆う圧縮機ケーシング25と、複数の静翼列26と、を有する。タービン40は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ41と、タービンロータ41を覆うタービンケーシング45と、複数の静翼列46と、を有する。なお、以下では、軸線Arが延びる方向を軸線方向Da、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。また、軸線方向Daの一方側を軸線上流側Dau、その反対側を軸線下流側Dadとする。また、径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0019】
圧縮機20は、タービン40に対して軸線上流側Dauに配置されている。
【0020】
圧縮機ロータ21とタービンロータ41とは、同一軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ11を成す。このガスタービンロータ11には、例えば、発電機GENのロータが接続されている。ガスタービン10は、さらに、中間ケーシング16を備える。この中間ケーシング16は、軸線方向Daで、圧縮機ケーシング25とタービンケーシング45との間に配置されている。圧縮機ケーシング25と中間ケーシング16とタービンケーシング45とは、互いに接続されてガスタービンケーシング15を成す。
【0021】
圧縮機ロータ21は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸22と、このロータ軸22に取り付けられている複数の動翼列23と、を有する。複数の動翼列23は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼列23は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼23aで構成されている。複数の動翼列23の各軸線下流側Dadには、複数の静翼列26のうちのいずれか一の静翼列26が配置されている。各静翼列26は、圧縮機ケーシング25の内側に設けられている。各静翼列26は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼26aで構成されている。
【0022】
タービンロータ41は、図1及び図2に示すように、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸42と、このロータ軸42に取り付けられている複数の動翼列43と、を有する。複数の動翼列43は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼列43は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼43aで構成されている。複数の動翼列43の各軸線上流側Dauには、複数の静翼列46のうちのいずれか一の静翼列46が配置されている。各静翼列46は、タービンケーシング45の内側に設けられている。各静翼列46は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼46aで構成されている。
【0023】
タービンケーシング45は、その外殻を構成する筒状の外側ケーシング45aと、外側ケーシング45aの内側に固定されている内側ケーシング45bと、内側ケーシング45bの内側に固定されている複数の分割環45cとを有する。複数の分割環45cは、いずれも、複数の静翼列46の相互の間の位置に設けられている。従って、各分割環45cの径方向内側Driには、動翼列43が配置されている。
【0024】
ロータ軸42の外周側とタービンケーシング45の内周側との間であって、軸線方向Daで静翼46a及び動翼43aが配置されている環状の空間は、燃焼器30からの燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路49を成す。
【0025】
燃焼器30は、中間ケーシング16に取り付けられている。
【0026】
図1に示すように、圧縮機20は、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成する。この圧縮空気は、燃焼器30内に流入する。燃焼器30には、燃料Fが供給される。燃焼器30内では、圧縮空気中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスGが生成される。この燃焼ガスGは、燃焼器30からタービン40内の燃焼ガス流路49に送られる。燃焼ガスGは、燃焼ガス流路49を軸線下流側Dadへ流れる過程で、タービンロータ41を回転させる。このタービンロータ41の回転で、ガスタービンロータ11に接続されている発電機GENのロータが回転する。この結果、発電機GENは発電する。
【0027】
以下、初段静翼列46を構成する静翼に関する各種実施形態について説明する。
【0028】
「静翼の第一実施形態」
以下、本発明に係る静翼の第一実施形態について、図3図6を参照して説明する。
【0029】
図3に示すように、本実施形態の静翼50は、翼体51と、内側シュラウド60iと、外側シュラウド60oと、を有する。翼体51は、その断面の形状が翼形を成し、断面に対して垂直な方向成分を有する翼高さ方向Dhに延びている。内側シュラウド60iは、翼体51における翼高さ方向Dhの一方側の端に設けられている。外側シュラウド60oは、翼体51における翼高さ方向Dhの他方側の端に設けられている。翼体51と、内側シュラウド60iと、外側シュラウド60oとは、鋳物等で一体形成されている。
【0030】
静翼50がタービンケーシング45に取り付けられた状態(図2参照)では、翼高さ方向Dhが径方向Drになる。また、翼高さ方向Dhの一方側である翼高さ第一側Dh1は、径方向内側Driになり、翼高さ方向Dhの他方側である翼高さ第二側Dh2は、径方向外側Droになる。このため、内側シュラウド60iは、翼体51の径方向内側Driに設けられ、外側シュラウド60oは、翼体51の径方向外側Droに設けられることになる。そこで、本実施形態では、翼高さ方向Dhを径方向Dr、翼高さ第一側Dh1を径方向内側Dri、翼高さ第二側Dh2を径方向外側Droという場合がある。
【0031】
翼体51の外面である翼面は、図3図5に示すように、前縁52と、後縁53と、凸状の面である負圧面54と、凹状の面である正圧面55と、を有する。前縁52及び後縁53は、負圧面54と正圧面55とのつながり部分に存在する。前縁52、後縁53、負圧面54及び正圧面55は、いずれも、翼高さ方向Dhである径方向Drに延びている。静翼50がタービンケーシング45に取り付けられた状態で、前縁52は、後縁53に対して軸線上流側Dauに位置する。また、静翼50がタービンケーシング45に取り付けられた状態で、負圧面54は、周方向Dcの一方側である周方向負圧側Dcnを向き、正圧面55は、周方向Dcの他方側である周方向正圧側Dcpを向く。
【0032】
翼体51は、燃焼ガスGが通る燃焼ガス流路49内に配置されている。この翼体51は、翼体51内で径方向Drに延びる複数の翼空気通路80を有する。内側シュラウド60iは、環状の燃焼ガス流路49の径方向内側Driの縁を画定する。また、外側シュラウド60oは、環状の燃焼ガス流路49の径方向外側Droの縁を画定する。
【0033】
内側シュラウド60iは、シュラウド本体61と、周壁71と、リテーナ76と、を有する。
【0034】
シュラウド本体61は、翼高さ方向Dhである径方向Drに垂直な方向の方向成分を含む方向に広がる板状の部材である。このシュラウド本体61は、ガスパス面64と、反ガスパス面65と、前端面62fと、後端面62bと、負圧側端面63nと、正圧側端面63pと、を有する。
【0035】
ガスパス面64は、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droを向き、燃焼ガスGが接する面である。反ガスパス面65は、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driを向く面である。この反ガスパス面65は、ガスパス面64と背合わせの関係である。前端面62fは、翼体51よりも軸線上流側Dauに位置し、軸線上流側Dauを向く面である。後端面62bは、翼体51よりも軸線下流側Dadに位置し、軸線下流側Dadを向く面である。負圧側端面63nは、シュラウド本体61中で、翼体51よりも周方向負圧側Dcnに位置し、且つ周方向負圧側Dcnを向く面である。この負圧側端面63nは、前端面62fと後端面62bとをつなぐ。正圧側端面63pは、シュラウド本体61中で、翼体51よりも周方向正圧側Dcpに位置し、且つ周方向正圧側Dcpを向く面である。この正圧側端面63pは、前端面62fと後端面62bとをつなぐ。後端面62bは、前端面62fから軸線下流側に間隔をあけて位置し、前端面62fに対してほぼ平行である。また、正圧側端面63pは、負圧側端面63nから周方向Dcの一方側に間隔をあけて位置し、負圧側端面63nに対してほぼ平行である。よって、シュラウド本体61は、径方向Drから見た場合、平行四辺形状を成している。
【0036】
周壁71は、シュラウド本体61の外周縁に沿ってシュラウド本体61から径方向内側Driに突出する壁である。周壁71は、軸線方向Daで互いに対向する前周壁71f及び後周壁71bと、周方向Dcで互いに対向する正圧側周壁71p及び負圧側周壁71nと、を有する。前周壁71fは、翼体51よりも軸線上流側Dauに位置している。前周壁71fの軸線上流側Dauを向く面は、内側シュラウド60iの前端面62fの一部を成す。後周壁71bは、翼体51よりも軸線下流側Dadに位置している。正圧側周壁71pは、翼体51よりも周方向正圧側Dcpに位置している。この正圧側周壁71pの周方向正圧側Dcpを向く面は、内側シュラウド60iの正圧側端面63pの一部を成す。負圧側周壁71nは、翼体51よりも周方向負圧側Dcnに位置している。この負圧側周壁71nの周方向負圧側Dcnを向く面は、内側シュラウド60iの負圧側端面63nの一部を成す。
【0037】
内側シュラウド60iには、シュラウド本体61と周壁71とにより、径方向内側Driに向かって凹むキャビティ72が形成されている。このキャビティ72は、シュラウド本体61の反ガスパス面65と、前周壁71fの軸線下流側Dadを向く面と、後周壁71bの軸線上流側Dauを向く面と、正圧側周壁71pの周方向負圧側Dcnを向く面と、負圧側周壁71nの周方向正圧側Dcpを向く面と、で画定されている。
【0038】
リテーナ76は、軸線方向Daにおいて前周壁71fと後周壁71bとの間に位置し、負圧側端面63nから正圧側端面63pにかけて形成されている。このリテーナ76は、ガスタービンケーシング15に固定されている内側カバー17の径方向外側Droの端17a(図2及び図4参照)に接続され、この静翼50の径方向内側Driの部分を内側カバー17に支持させるための役目を担う。
【0039】
外側シュラウド60oは、基本的に、内側シュラウド60iの構成と同じである。よって、外側シュラウド60oも、内側シュラウド60iと同様に、シュラウド本体61と、周壁71と、を有する。但し、外側シュラウド60oは、内側シュラウド60iのリテーナ76に相当する部分を有していない。この外側シュラウド60oのシュラウド本体61も、内側シュラウド60iのシュラウド本体61と同様、ガスパス面64と、反ガスパス面65と、前端面62fと、後端面62bと、負圧側端面63nと、正圧側端面63pと、を有する。また、この外側シュラウド60oの周壁71も、内側シュラウド60iの周壁71と同様、前周壁71fと、後周壁71bと、正圧側周壁71pと、負圧側周壁71nと、を有する。外側シュラウド60oの前周壁71f及び後周壁71bは、静翼50をタービンケーシング45(図2参照)の内周側に取り付ける役目を担う。
【0040】
翼体51内に形成されている複数の翼空気通路80は、図3及び図5に示すように、翼体51のキャンバーラインCLに沿って並んでいる。ここで、複数の翼空気通路80のうち、最も軸線上流側Dauの翼空気通路80を前側翼空気通路80fとし、最も軸線下流側Dadの翼空気通路80を後側翼空気通路80bとする。また、複数の翼空気通路80のうち、前側翼空気通路80fと後側翼空気通路80bとの間の二つの翼空気通路80を中間翼空気通路80mとする。さらに、二つの中間翼空気通路80mのうち、軸線上流側Dauの中間翼空気通路80mを第一翼空気通路81とし、軸線下流側Dadの中間翼空気通路80mを第二翼空気通路85とする。
【0041】
前側翼空気通路80fは、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端が閉じ、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が開口している。翼体51の前縁52を含む前側部分には、前側翼空気通路80fから燃焼ガス流路49へ貫通する複数の前側噴出孔80faが形成されている。なお、翼体51の径方向内側Driの端は、内側シュラウド60iの反ガスパス面65の一部を形成し、翼体51の径方向外側Droの端は、外側シュラウド60oの反ガスパス面65の一部を形成する。このため、前側翼空気通路80fの開口80foは、外側シュラウド60oの反ガスパス面65で開口していることになる。
【0042】
後側翼空気通路80bは、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端が閉じ、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が開口している。後側翼空気通路80bの開口80boは、外側シュラウド60oの反ガスパス面65で開口している。翼体51の後縁53を含む後側部分には、後側翼空気通路80bから燃焼ガス流路49へ貫通する複数の後側噴出孔80baが形成されている。
【0043】
第一翼空気通路81は、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端、及び翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が開口している。第一翼空気通路81の翼高さ第一側Dh1の開口である第一開口82fは、内側シュラウド60iの反ガスパス面65で開口している。また、第一翼空気通路81の翼高さ第二側Dh2の開口である第二開口82sは、外側シュラウド60oの反ガスパス面65で開口している。翼体51には、翼体51の第一翼空気通路81を画定する第一通路画定面81pから正圧面55の一部である正圧側第一翼面部55fに貫通する複数の正圧側第一噴出孔83pfが形成されている。なお、正圧側第一翼面部55fは、翼体51の正圧面55中で第一翼空気通路81と背合わせの関係にある部分である。また、翼体51には、翼体51の第一翼空気通路81を画定する第一通路画定面81pから負圧面54の一部である負圧側第一翼面部54fに貫通する複数の負圧側第一噴出孔83nfが形成されている。なお、負圧側第一翼面部54fは、翼体51の負圧面54中で第一翼空気通路81と背合わせの関係にある部分である。
【0044】
第二翼空気通路85は、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端が閉じ、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が開口している。第二翼空気通路85の開口86は、外側シュラウド60oの反ガスパス面65で開口している。翼体51には、翼体51の第二翼空気通路85を画定する第二通路画定面85pから正圧面55の一部である正圧側第二翼面部55sに貫通する複数の正圧側第二噴出孔87psが形成されている。
なお、正圧側第二翼面部55sは、翼体51の正圧面55中で第二翼空気通路85と背合わせの関係にある部分である。また、翼体51には、翼体51の第二翼空気通路85を画定する第二通路画定面85pから負圧面54の一部である負圧側第二翼面部54sに貫通する複数の負圧側第二噴出孔87nsが形成されている。なお、負圧側第二翼面部54sは、翼体51の負圧面54中で第二翼空気通路85と背合わせの関係にある部分である。
【0045】
以上のように、第一翼空気通路81と第二翼空気通路85とは、いずれも、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が開口している。
【0046】
本実施形態の静翼は、さらに、図3図6に示すように、第一インサート90と、第二インサート95と、端部カバー100、複数の第一ガイド部材110と、第二ガイド部材115と、を備える。
【0047】
第一インサート90は、第一翼空気通路81内に配置され、第二インサート95は、第二翼空気通路85内に配置されている。第一インサート90は、図6に示すように、外周板部91と、封止板部93と、フランジ部94と、を有する。また、第二インサート95も、外周板部96と、封止板部98と、フランジ部99と、を有する。第一インサート90及び第二インサート95の外周板部91,96は、筒状を成し筒高さ方向Dihに延びる。ここで、筒高さ方向Dihの二つの側のうち、一方の側を筒高さ封止側Dih1、他方の側を筒高さ開口側Dih2とする。封止板部93,98は、外周板部91,96の筒高さ封止側Dih1の端を塞ぐ。一方、外周板部91,96の筒高さ開口側Dih2の端部には、封止板部が設けられていない。このため、外周板部91,96の筒高さ開口側Dih2の端部には、冷却空気を外周板部91,96内に導入するインサート開口90o,95oが形成されている。フランジ部94,99は、外周板部91,96の全外周面における筒高さ開口側Dih2の端から外周側に向かって広がっている。
【0048】
第一インサート90の外周板部91は、その筒高さ開口側Dih2が翼高さ第一側Dh1を向き、外周板部91と第一翼空気通路81を画定する翼体51の第一通路画定面81pとの間に隙間が存在するよう、第一翼空気通路81内に配置されている。フランジ部94は、外周板部91と第一通路画定面81pとの間の隙間を塞ぐように、第一翼空気通路81の第一開口82fの縁に接続されている。第一インサート90の外周板部91の外周側と第一通路画定面81pとの間の隙間は、冷却空気Acが流入する翼内第一キャビティC1を形成する。
【0049】
第一インサート90の外周板部91のうち、正圧側第一翼面部55fに対向する部分及び負圧側第一翼面部54fに対向する部分には、外周板部91の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔92が形成されている。
【0050】
第二インサート95の外周板部96は、その筒高さ開口側Dih2が翼高さ第二側Dh2を向き、外周板部96と第二翼空気通路85を画定する翼体51の第二通路画定面85pとの間に隙間が存在するよう、第二翼空気通路85内に配置されている。フランジ部99は、外周板部96と第二通路画定面85pとの間の隙間を塞ぐように、第二翼空気通路85の開口86の縁に接続されている。第二インサート95の外周板部96の外周側と第二通路画定面85pとの間に隙間は、冷却空気Acが流入する翼内第二キャビティC2を形成する。
【0051】
第二インサート95の外周板部96のうち、正圧側第二翼面部55sに対向する部分及び負圧側第二翼面部54sに対向する部分には、外周板部96の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔97が形成されている。
【0052】
翼面中における第二翼面部54s,55sは、第一翼面部54f,55fよりも軸線下流側Dadに位置している。このため、第二翼面部54s,55sの位置は、ガスタービン10の駆動中、翼体51の外側であって第二翼面部54s,55sに沿った部分の圧力が、翼体51の外側であって第一翼面部54f,55fに沿った部分の圧力より低い、位置になる。
【0053】
端部カバー100は、天板部101と、外周板部102と、を有する。外周板部102は、天板部101の縁に沿って、天板部101に対して実質的に垂直な方向に延びている。この端部カバー100は、翼体51の翼高さ第二側Dh2に配置されている。天板部101は、外側シュラウド60oの反ガスパス面65中で、第一翼空気通路81及び第二空気通路が配置されている領域と翼高さ方向Dhで間隔をあけて対向する。端部カバー100の外周板部102は、外側シュラウド60oの反ガスパス面65中で、第一翼空気通路81及び第二空気通路が存在している領域の縁に接続されている。よって、この端部カバー100は、第一翼空気通路81の第二開口82sから流出した冷却空気Acを、第二翼空気通路85の開口86から第二翼空気通路85内に導くことが可能である。
【0054】
複数の第一ガイド部材110は、図6に示すように、それぞれ、筒高さ方向Dihに延びる第一溝112を有する第一溝部材111と、第一溝112内に入り込み、第一溝112に対して相対的に筒高さ方向Dihに移動可能な第一凸部材113と、を有する。複数の第一溝部材111は、第一通路画定面81pにおける周方向に互いに間隔をあけて、第一通路画定面81pに固定されている(図4及び図5参照)。複数の第一凸部材113のそれぞれは、複数の第一溝部材111毎の第一溝112のうち、いずれか一の第一溝112に入り込めるよう配置されて、第一インサート90の外周板部91に固定されている。よって、この第一ガイド部材110は、第一インサート90の筒高さ方向Dihにおける変位を許容し、第一インサート90の筒高さ方向Dihに対して垂直な方向への変位を規制する。
【0055】
第二ガイド部材115は、図6に示すように、筒高さ方向Dihに延びる第二溝117を有する第二溝部材116と、第二溝117内に入り込み、第二溝117に対して相対的に筒高さ方向Dihに移動可能な第二凸部材118と、を有する。第二溝部材116は、第二通路画定面85p中で、第二翼空気通路85の翼高さ第一側Dh1の面を画定する底面に固定されている(図4参照)。第二凸部材118は、第二溝部材116の第二溝117に入り込めるよう配置されて、第二インサート95の封止板部98に固定されている。よって、この第二ガイド部材115は、第二インサート95の筒高さ方向Dihにおける変位を許容し、第二インサート95の筒高さ方向Dihに対して垂直な方向への変位を規制する。
【0056】
外側シュラウド60oのキャビティ72には、この外側シュラウド60oの径方向外側Droから冷却空気Acが流入する。また、内側シュラウド60iのキャビティ72には、この内側シュラウド60iの径方向内側Driから冷却空気Acが流入する。冷却空気Acとしては、例えば、圧縮機20で圧縮された空気が用いられる。
【0057】
外側シュラウド60oのキャビティ72に流入した冷却空気Acは、外側シュラウド60oを冷却する。特に、この冷却空気Acは、外側シュラウド60oのガスパス面を冷却する。
【0058】
外側シュラウド60oのキャビティ72に流入した冷却空気Acの一部は、前側翼空気通路80fの開口80foから前側翼空気通路80f内に流入する。この冷却空気Acは、翼体51中で前側翼空気通路80f周りの部分を対流冷却する。さらに、この冷却空気Acは、複数の前側噴出孔80faから軸線上流側Dauに向かって燃焼ガス流路49内に噴出する。冷却空気Acは、複数の前側噴出孔80faを流れている過程で、複数の前側噴出孔80faの周りの部分を対流冷却する。燃焼ガス流路49内に噴出した冷却空気Acの一部は、翼体51の前縁52を含む翼面の前部が燃焼ガスGに晒されるのを抑制し、翼面の前部が燃焼ガスGによる加熱されるのを抑制する。
【0059】
外側シュラウド60oのキャビティ72に流入した冷却空気Acの他の一部は、後側翼空気通路80bの開口80boから後側翼空気通路80b内に流入する。この冷却空気Acは、翼体51中で後側翼空気通路80b周りの部分を対流冷却する。さらに、この冷却空気Acは、複数の後側噴出孔80baから軸線下流側Dadに向かって燃焼ガス流路49内に噴出する。冷却空気Acは、複数の後側噴出孔80baを流れている過程で、複数の後側噴出孔80baの周りの部分を対流冷却する。燃焼ガス流路49内に噴出した冷却空気Acの一部は、翼体51の後縁53を含む翼面の後部が燃焼ガスGに晒されるのを抑制し、翼面の後部が燃焼ガスGによる加熱されるのを抑制する。さらに、燃焼ガス流路49内に噴出した冷却空気Acの一部は、翼体51の軸線下流側Dadに渦流れが形成されるのを抑制する。
【0060】
内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acは、内側シュラウド60iを冷却する。特に、この冷却空気Acは、内側シュラウド60iのガスパス面64を冷却する。
【0061】
内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acは、第一翼空気通路81の第一開口82f及び第一インサート90のインサート開口90oから第一インサート90の外周板部91内に流入する。外周板部91内に流入した冷却空気Acは、外周板部91に形成されている複数のインピンジ孔92から、外周板部91の外周側に噴出し、翼内第一キャビティC1内に流入する。この冷却空気Acは、第一通路画定面81p中で、正圧側第一翼面部55fと背合わせの関係にある部分及び負圧側第一翼面部54fと背合わせの関係にある部分に衝突して、これらの部分をインピンジ冷却する。このインピンジ冷却は、対流冷却よりも、冷却対象の冷却効果が高い。冷却空気Acの噴出口と、この噴出口からの噴出した冷却空気Acが衝突する面との間の距離は、インピンジ冷却における冷却効果に影響する。このため、本実施形態では、第一インサート90の筒高さ方向Dihにおける変位を許容しつつ、第一インサート90の筒高さ方向Dihに対して垂直な方向への変位を規制する第一ガイド部材110を設けている。
【0062】
本実施形態では、第一ガイド部材110の第一溝部材111を第一通路画定面81pに固定し、第一ガイド部材110の第一凸部材113を第一インサート90の外周板部91に固定している。しかしながら、第一溝部材111を第一インサート90の外周板部91に固定し、第一凸部材113を第一通路画定面81pに固定してもよい。また、第一溝部材111と第一凸部材113とのうち、一方の部材を第一インサート90に固定し、他方の部材を端部カバー100に固定してもよい。但し、端部カバー100は、翼体51に比べて剛性が低いため、第一インサート90の筒高さ方向Dihに対して垂直な方向への変位を規制するという観点からは、この他方の部材を翼体51の側に固定することが好ましい。
【0063】
翼内第一キャビティC1内に流入した冷却空気Acの一部は、複数の正圧側第一噴出孔83pf及び複数の負圧側第一噴出孔83nfから燃焼ガス流路49内に噴出する。複数の正圧側第一噴出孔83pfから噴出した冷却空気Acは、翼面中の正圧側第一翼面部55fの下流側部分を主としてフィルム冷却する。また、複数の負圧側第一噴出孔83nfから噴出した冷却空気Acは、翼面中の負圧側第一翼面部54fの下流側部分を主としてフィルム冷却する。
【0064】
翼内第一キャビティC1内に流入した冷却空気Acの残りの一部は、この翼内第一キャビティC1内を翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droに向かって流れ、第一翼空気通路81の第二開口82sから流出して、端部カバー100内に流入する。冷却空気Acは、翼内第一キャビティC1内を流れる過程で、翼体51中で翼内第一キャビティC1周りを対流冷却する。
【0065】
端部カバー100内に流入した冷却空気Acは、第二翼空気通路85の開口86及び第二インサート95のインサート開口95oから第二インサート95の外周板部96内に流入する。外周板部96内に流入した冷却空気Acは、外周板部96に形成されている複数のインピンジ孔97から、外周板部96の外周側に噴出し、翼内第二キャビティC2内に流入する。この冷却空気Acは、第二通路画定面85p中で、正圧側第二翼面部55sと背合わせの関係にある部分及び負圧側第二翼面部54sと背合わせの関係にある部分に衝突して、これらの部分をインピンジ冷却する。前述したように、冷却空気Acの噴出口と、この噴出口からの噴出した冷却空気Acが衝突する面との間の距離は、インピンジ冷却における冷却効果に影響する。このため、本実施形態では、第二インサート95の筒高さ方向Dihにおける変位を許容しつつ、第二インサート95の筒高さ方向Dihに対して垂直な方向への変位を規制する第一ガイド部材110を設けている。
【0066】
本実施形態では、第二ガイド部材115の第二溝部材116を第二通路画定面85pに固定し、第二ガイド部材115の第二凸部材118を第二インサート95の封止板部98に固定している。しかしながら、第二溝部材116を第二インサート95の封止板部98に固定し、第二凸部材118を第二通路画定面85pに固定してもよい。
【0067】
翼内第二キャビティC2内に流入した冷却空気Acは、複数の正圧側第二噴出孔87ps及び複数の負圧側第二噴出孔87nsから燃焼ガス流路49内に噴出する。複数の正圧側第二噴出孔87psから噴出した冷却空気Acは、翼面中の正圧側第二翼面部55sの下流側部分を主としてフィルム冷却する。また、複数の負圧側第二噴出孔87nsから噴出した冷却空気Acは、翼面中の負圧側第二翼面部54sの下流側部分を主としてフィルム冷却する。
【0068】
以上のように、本実施形態では、第一翼空気通路81内に配置されている第一インサート90内に流入した冷却空気Acは、第一通路画定面81pをインピンジ冷却する。さらに、この冷却空気Acの一部が、正圧側第一翼面部55fの下流側部分及び負圧側第二翼面部54sの下流側部分をフィルム冷却し、残りの一部が、翼内第一キャビティC1内を流れる過程で、翼体51中で翼内第一キャビティC1周りを対流冷却する。本実施形態では、この残りの一部の冷却空気Acが、第二翼空気通路85内に配置されている第二インサート95内に流入する。第二インサート95内に流入した冷却空気Acは、第二通路画定面85pをインピンジ冷却する。さらに、この冷却空気Acは、正圧側第二翼面部55sの下流側部分及び負圧側第二翼面部54sの下流側部分をフィルム冷却する。したがって、本実施形態では、一つのインサート内に流入した冷却空気Acで翼体内をインピンジ冷却した後、直ちに、燃焼ガス流路に噴出させる場合よりも、静翼50を効率的に冷却して、冷却空気Acの使用量を少なくすることができる。
【0069】
「静翼の第二実施形態」
以下、本発明に係る静翼の第二実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。なお、図6は、静翼の軸線Arに対して垂直な面での断面図である。また、図8は、図7におけるVIII-VIII線断面図である。
【0070】
図7に示すように、本実施形態の静翼50aも、翼体51aと、内側シュラウド60iと、外側シュラウド60oと、を有する。本実施形態の内側シュラウド60i及び外側シュラウド60oは、第一実施形態の内側シュラウド60i及び外側シュラウド60oと同一である。
【0071】
本実施形態の翼体51aにも、図7及び図8に示すように、第一実施形態の翼体51と同様、複数の翼空気通路80が形成されている。複数の翼空気通路80のうち、最も軸線上流側Dauの翼空気通路80が前側翼空気通路80fを成し、最も軸線下流側Dadの翼空気通路80が後側翼空気通路80bを成す。前側翼空気通路80fの構成は、第一実施形態の前側翼空気通路80fの構成と同一である。また、後側翼空気通路80bの構成は、第一実施形態の後側翼空気通路80bの構成と同一である。また、複数の翼空気通路80のうち、前側翼空気通路80fと後側翼空気通路80bとの間の二つの翼空気通路80が中間翼空気通路80maを成す。二つの中間翼空気通路80maは、第一実施形態の二つの中間翼空気通路80mと異なり、周方向Dcに並んでいる。ここで、二つの中間翼空気通路80maのうち、周方向正圧側Dcpの中間翼空気通路80maを第一翼空気通路81aとし、周方向負圧側Dcnの中間翼空気通路80maを第二翼空気通路85aとする。
【0072】
第一翼空気通路81aは、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端、及び翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が開口している。第一翼空気通路81aの径方向内側Driの開口である第一開口82fは、内側シュラウド60iの反ガスパス面65で開口している。また、第一翼空気通路81aの径方向外側Droの開口である第二開口82sは、外側シュラウド60oの反ガスパス面65で開口している。翼体51aには、翼体51aの第一翼空気通路81aを画定する第一通路画定面81pから正圧面55の一部である正圧側第一翼面部55fに貫通する複数の正圧側第一噴出孔83pfが形成されている。なお、正圧側第一翼面部55fは、翼体51aの正圧面55中で第一翼空気通路81aと背合わせの関係にある部分である。
【0073】
第二翼空気通路85aは、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端が閉じ、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が開口している。第二翼空気通路85aの開口86は、外側シュラウド60oの反ガスパス面65で開口している。翼体51aには、翼体51aの第二翼空気通路85aを画定する第二通路画定面85pから負圧面54の一部である負圧側第二翼面部54sに貫通する複数の負圧側第二噴出孔87nsが形成されている。なお、負圧側第二翼面部54sは、翼体51aの負圧面54中で第二翼空気通路85aと背合わせの関係にある部分である。
【0074】
本実施形態においても、第一翼空気通路81aと第二翼空気通路85aとは、いずれも、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が開口している。
【0075】
本実施形態の静翼50aも、さらに、第一インサート90aと、第二インサート95aと、端部カバー100a、複数の第一ガイド部材110と、第二ガイド部材115と、を備える。
【0076】
第一インサート90aは、第一翼空気通路81a内に配置され、第二インサート95aは、第二翼空気通路85a内に配置されている。第一インサート90aは、第一実施形態の第一インサート90と同様、外周板部91と、封止板部93と、フランジ部94と、を有する。また、第二インサート95aは、第一実施形態の第二インサート95と同様、外周板部96と、封止板部98と、フランジ部99と、を有する。第一インサート90a及び第二インサート95aの外周板部91,96は、筒状を成し筒高さ方向Dihに延びる。封止板部93,98は、外周板部91,96の筒高さ封止側Dih1の端を塞ぐ。一方、外周板部91,96の筒高さ開口側Dih2の端部には、封止板部が設けられていない。このため、外周板部91,96の筒高さ開口側Dih2の端部には、冷却空気Acを外周板部91,96内に導入するインサート開口90o,95oが形成されている。フランジ部94,99は、外周板部91,96の全外周面における筒高さ開口側Dih2の端から外周側に向かって広がっている。
【0077】
第一インサート90aの外周板部91は、筒高さ開口側Dih2が翼高さ第一側Dh1を向き、外周板部91と第一翼空気通路81aを画定する翼体51aの第一通路画定面81pとの間に隙間が存在するよう、第一翼空気通路81a内に配置されている。フランジ部94は、外周板部91と第一通路画定面81pとの間の隙間を塞ぐように、第一翼空気通路81aの第一開口82fの縁に接続されている。第一インサート90aの外周板部91の外周側と第一通路画定面81pとの間に隙間は、冷却空気Acが流入する翼内第一キャビティC1を形成する。
【0078】
第一インサート90aの外周板部91のうち、正圧側第一翼面部55fに対向する部分には、外周板部91の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔92が形成されている。
【0079】
第二インサート95aの外周板部96は、筒高さ開口側Dih2が翼高さ第二側Dh2を向き、その外周板部91,96と第二翼空気通路85aを画定する翼体51aの第二通路画定面85pとの間に隙間が存在するよう、第二翼空気通路85a内に配置されている。フランジ部94,99は、外周板部91,96と第二通路画定面85pとの間の隙間を塞ぐように、第二翼空気通路85aの開口の縁に接続されている。第二インサート95aの外周板部91,96の外周側と第二通路画定面85pとの間に隙間は、冷却空気Acが流入する翼内第二キャビティC2を形成する。
【0080】
第二インサート95aの外周板部96のうち、負圧側第二翼面部54sに対向する部分には、外周板部96の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔97が形成されている。
【0081】
第二翼面部54sは、負圧面54の一部であり、第一翼面部55fは、正圧面55の一部である。このため、第二翼面部54sの位置は、ガスタービン10の駆動中、翼体51aの外側であって第二翼面部54sに沿った部分の圧力が、翼体51aの外側であって第一翼面部55fに沿った部分の圧力より低い、位置になる。
【0082】
端部カバー100aは、第一実施形態の端部カバー100と同様、天板部101aと、外周板部102と、を有する。但し、本実施形態では、第一翼空気通路81aに対する第二翼空気通路85aの並び方向が第一実施形態と異なるため、天板部101aの形状が第一実施形態の天板部101の形状と異なる。この端部カバー100aも、第一実施形態の端部カバー100と同様、第一翼空気通路81aの第二開口82sから流出した冷却空気Acを、第二翼空気通路85aの開口86から第二翼空気通路85a内に導くことが可能である。
【0083】
第一ガイド部材110は、第一実施形態の第一ガイド部材110と同様である。また、第二ガイド部材115は、第一実施形態の第二ガイド部材115と同様である。
【0084】
本実施形態の冷却空気Acの流れは、第一実施形態の冷却空気Acの流れと同じである。このため、本実施形態でも、第一翼空気通路81a内に配置されている第一インサート90a内に流入した冷却空気Acは、第一通路画定面81pをインピンジ冷却する。さらに、この冷却空気Acの一部が、正圧側第一翼面部55fの下流側部分をフィルム冷却し、残りの一部が、翼内第一キャビティC1内を流れる過程で、翼体51a中で翼内第一キャビティC1周りを対流冷却する。この残りの一部の冷却空気Acは、第二翼空気通路85a内に配置されている第二インサート95a内に流入する。第二インサート95a内に流入した冷却空気Acは、第二通路画定面85pをインピンジ冷却する。さらに、この冷却空気Acは、負圧側第二翼面部54sの下流側部分をフィルム冷却する。したがって、本実施形態でも、一つのインサート内に流入した冷却空気Acで翼体内をインピンジ冷却した後、直ちに、燃焼ガス流路に噴出させる場合よりも、静翼50aを効率的に冷却して、冷却空気Acの使用量を少なくすることができる。
【0085】
以上のように、第二翼空気通路は、第一実施形態のように、第一翼空気通路81の軸線下流側Dadに配置されていてもよいし、本実施形態のように、第一翼空気通路81aの周方向負圧側Dcnに配置されていてもよい。
【0086】
「静翼の第一変形例」
以下、本発明に係る静翼の第一実施形態における第一変形例について、図9を参照して説明する。
【0087】
本変形例の静翼50bは、第一実施形態の静翼50に対して、第一インサート90b及び第二インサート95bの形状及びこれらの取り付け方が異なっており、その他の構成は同じである。
【0088】
本変形例の第一インサート90bは、外周板部91と、封止板部93と、フランジ部94bと、を有する。外周板部91は、筒状を成し筒高さ方向Dihに延びる。封止板部93は、外周板部91の筒高さ封止側Dih1の端を塞ぐ。一方、外周板部91の筒高さ開口側Dih2の端部には、封止板部が設けられていない。このため、外周板部91の筒高さ開口側Dih2の端部には、冷却空気Acを外周板部91内に導入するインサート開口90oが形成されている。フランジ部94bは、第一実施形態における第一インサート90のフランジ部94と異なり、外周板部91の外周面の一部における筒高さ封止側Dih1の端から外周側に向かって広がっている。このため、第一インサート90bのフランジ部94bは、一部が切り欠かれた形状になっている。
【0089】
第一インサート90bの外周板部91は、筒高さ開口側Dih2が翼高さ第一側Dh1を向き、外周板部91と第一通路画定面81pとの間に隙間が存在するよう、第一翼空気通路81内に配置されている。フランジ部94bの外縁は、第一翼空気通路81の第二開口82sの付近に接続されている。よって、本変形例の第一インサート90bは、第一実施形態における第一インサート90と異なり、筒高さ封止側Dih1が翼体51に固定されている。第一翼空気通路81の第一開口82fの縁には、第一翼空気通路81の中心側に向かって突出して、第一インサート90bの外周板部91と対向するシールフランジ84が設けられている。このシールフランジ84は、内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acが、第一翼空気通路81内の翼内第一キャビティC1に流入するのを抑制する役目を担っている。なお、このシールフランジ84は、第一インサート90bの翼高さ方向Dhの変位を許容するため、第一インサート90bの外周板部91に固定されていない。
【0090】
第一インサート90bの外周板部91のうち、正圧側第一翼面部55fに対向する部分及び負圧側第一翼面部54fに対向する部分には、第一実施形態における第一インサート90の外周板部91と同様、外周板部91の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔92が形成されている。
【0091】
本変形例の第二インサート95bは、外周板部96と、封止板部98とを有し、フランジ部を有していない。外周板部96は、筒状を成し筒高さ方向Dihに延びる。封止板部98は、外周板部96の筒高さ封止側Dih1の端を塞ぐ。一方、外周板部96の筒高さ開口側Dih2の端部には、封止板部が設けられていない。このため、外周板部96の筒高さ開口側Dih2の端部には、冷却空気Acを外周板部96内に導入するインサート開口95oが形成されている。
【0092】
第二インサート95bの外周板部96は、筒高さ開口側Dih2が翼高さ第二側Dh2を向き、外周板部96と第二通路画定面85pとの間に隙間が存在するよう、第二翼空気通路85内に配置されている。第二インサート95bの封止板部98は、第二通路画定面85p中で、第二翼空気通路85の翼高さ第一側Dh1の面である底面に固定されている。よって、本変形例の第二インサート95bは、第一実施形態における第二インサート95と異なり、筒高さ封止側Dih1が翼体51に固定されている。第二翼空気通路85の開口86の縁には、第二翼空気通路85の中心側に向かって突出して、第二インサート95bの外周板部96と対向するシールフランジ88が設けられている。このシールフランジ88は、端部カバー100内の冷却空気Acが、第二翼空気通路85内の翼内第二キャビティC2に流入するのを抑制する役目を担っている。なお、このシールフランジ88は、第二インサート95bの翼高さ方向Dhの変位を許容するため、第二インサート95bの外周板部96に固定されていない。
【0093】
第二インサート95bの外周板部96のうち、正圧側第二翼面部55sに対向する部分及び負圧側第二翼面部54sに対向する部分には、第一実施形態における第一インサート90の外周板部96と同様、外周板部96の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔97が形成されている。
【0094】
本変形例においても、外側シュラウド60oのキャビティ72には、この外側シュラウド60oの径方向外側Droから冷却空気Acが流入する。また、内側シュラウド60iのキャビティ72には、この内側シュラウド60iの径方向内側Driから冷却空気Acが流入する。
【0095】
外側シュラウド60oのキャビティ72に流入した冷却空気Acの一部は、第一実施形態と同様、前側翼空気通路80fの開口80foから前側翼空気通路80f内に流入する。また、外側シュラウド60oのキャビティ72に流入した冷却空気Acの他の一部も、第一実施形態と同様、後側翼空気通路80bの開口80boから後側翼空気通路80b内に流入する。
【0096】
内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acのほとんどは、第一翼空気通路81の第一開口82f及び第一インサート90bのインサート開口90oから第一インサート90bの外周板部91内に流入する。但し、内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acのほんの僅かは、第一翼空気通路81の第一開口82fの縁に設けられているシールフランジ84と第一インサート90bの外周板部91との隙間から、第一翼空気通路81内の翼内第一キャビティC1に流入する。外周板部91内に流入した冷却空気Acは、外周板部91に形成されている複数のインピンジ孔92から、外周板部91の外周側に噴出し、翼内第一キャビティC1内に流入する。この冷却空気Acは、第一通路画定面81p中で、正圧側第一翼面部55fと背合わせの関係にある部分及び負圧側第一翼面部54fと背合わせの関係にある部分に衝突して、これらの部分をインピンジ冷却する。
【0097】
翼内第一キャビティC1内に流入した冷却空気Acの一部は、複数の正圧側第一噴出孔83pf及び複数の負圧側第一噴出孔83nfから燃焼ガス流路49内に噴出する。翼内第一キャビティC1内に流入した冷却空気Acの残りの一部は、この翼内第一キャビティC1内を翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droに向かって流れ、第一インサート90bのフランジ部94bの切り欠き部分及び第一翼空気通路81の第二開口82sを経て、端部カバー100内に流入する。
【0098】
端部カバー100内に流入した冷却空気Acのほとんどは、第二翼空気通路85の開口86及び第二インサート95bのインサート開口95oから第二インサート95bの外周板部96内に流入する。但し、端部カバー100内に流入した冷却空気Acのほんの僅かは、第二翼空気通路85の開口86の縁に設けられているシールフランジ88と第二インサート95bの外周板部96との隙間から、第二翼空気通路85内の翼内第二キャビティC2に流入する。外周板部96内に流入した冷却空気Acは、外周板部96に形成されている複数のインピンジ孔97から、外周板部96の外周側に噴出し、翼内第二キャビティC2内に流入する。この冷却空気Acは、第二通路画定面85p中で、正圧側第二翼面部55sと背合わせの関係にある部分及び負圧側第二翼面部54sと背合わせの関係にある部分に衝突して、これらの部分をインピンジ冷却する。
【0099】
翼内第二キャビティC2内に流入した冷却空気Acは、複数の正圧側第二噴出孔87ps及び複数の負圧側第二噴出孔87nsから燃焼ガス流路49内に噴出する。
【0100】
本変形例でも、第一実施形態と同様、第一翼空気通路81内に配置されている第一インサート90b内に流入した冷却空気Acは、第一通路画定面81pをインピンジ冷却する。さらに、この冷却空気Acの一部が、第二インサート95b内に流入し、第二通路画定面85pをインピンジ冷却する。したがって、本変形例でも、第一実施形態と同様、一つのインサート内に流入した冷却空気Acで翼体をインピンジ冷却した後、直ちに、燃焼ガス流路に噴出させる場合よりも、静翼50bを効率的に冷却して、冷却空気Acの使用量を少なくすることができる。
【0101】
但し、本変形例では、内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acの一部が、第一通路画定面81pをインピンジ冷却せずに、前述したように、第一翼空気通路81の第一開口82fの縁に設けられているシールフランジ84と第一インサート90bの外周板部91との隙間から、翼内第一キャビティC1に流入する。また、本変形例では、端部カバー100内に流入した冷却空気Acの一部が、第二通路画定面85pをインピンジ冷却せずに、前述したように、第二翼空気通路85の開口86の縁に設けられているシールフランジ88と第二インサート95bの外周板部96との隙間から、翼内第二キャビティC2に流入する。このため、本変形例は、翼体51のインピンジ冷却効果が、第一実施形態よりも低い。言い換えると、第一実施形態の翼体51のインピンジ冷却効果が、本変形例よりも高い。
【0102】
以上のように、第一インサート90b及び第二インサート95bは、第一実施形態のように、その筒高さ開口側Dih2が翼体51に固定されてもよいし、本変形例のように、その筒高さ封止側Dih1が翼体51に固定されてもよい。
【0103】
なお、本変形例は、第一実施形態の変形例であるが、第二実施形態に関しても、本変形例と同様に構成してもよい。
【0104】
「静翼の第二変形例」
以下、本発明に係る静翼の第一実施形態における第二変形例について、図10を参照して説明する。
【0105】
本変形例の静翼50cは、第一実施形態の静翼50に対して、第一翼空気通路81cの開口及び第二翼空気通路85cの開口、端部カバー100cの配置が異なっている。さらに、本変形例の静翼50cは、第一実施形態の静翼50に対して、第一インサート90cの形状及びその取り付け方、第二インサート95cの取り付け方が、異なっており、その他の構成は同じである。
【0106】
本変形例の第一翼空気通路81c及び第二翼空気通路85cは、いずれも、第一実施形態と同様、翼高さ方向Dhに延びている。但し、本変形例の第一翼空気通路81cは、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端が開口し、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が閉じている。第一翼空気通路81cの径方向内側Driの開口82fは、内側シュラウド60iの反ガスパス面65で開口している。また、第二翼空気通路85cは、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端が開口し、翼高さ第二側Dh2である径方向外側Droの端が閉じている。第二翼空気通路85cの開口86cは、内側シュラウド60iの反ガスパス面65で開口している。
【0107】
以上のように、本変形例では、第一翼空気通路81cと第二翼空気通路85cとが、いずれも、翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driの端が開口している。
【0108】
本変形例の第一インサート90cは、外周板部91と、封止板部93と、フランジ部94cと、を有する。外周板部91は、筒状を成し筒高さ方向Dihに延びる。封止板部93は、外周板部91の筒高さ封止側Dih1の端を塞ぐ。一方、外周板部91の筒高さ開口側Dih2の端部には、封止板部が設けられていない。このため、外周板部91の筒高さ開口側Dih2の端部には、冷却空気Acを外周板部91内に導入するインサート開口90oが形成されている。フランジ部94cは、第一実施形態における第一インサート90のフランジ部94と異なり、外周板部91の外周面の一部であって、外周板部91の筒高さ開口側Dih2の端から筒高さ封止側Dih1へ所定距離離れた位置から外周側に向かって広がっている。このため、第一インサート90cのフランジ部94cは、一部が切り欠かれた形状になっている。なお、所定距離は、端部カバー100の外周板部91の高さより大きい。
【0109】
第一インサート90cの外周板部91は、筒高さ開口側Dih2が翼高さ第一側Dh1を向き、外周板部91と第一通路画定面81pとの間に隙間が存在するよう、第一翼空気通路81c内に配置されている。フランジ部94cは、第一翼空気通路81cの第一開口82fの縁に接続されている。
【0110】
本変形例の第二インサート95cは、第一実施形態の第二インサート95と同様、外周板部96と、封止板部98と、フランジ部99と、を有する。但し、本変形例の第二インサート95cの外周板部96は、第一実施形態と異なり、筒高さ開口側Dih2が翼高さ第一側Dh1を向き、外周板部91と第二翼空気通路85cを画定する翼体51の第二通路画定面85pとの間に隙間が存在するよう、第二翼空気通路85c内に配置されている。フランジ部99は、外周板部96と第二通路画定面85pとの間の隙間を塞ぐように、第二翼空気通路85cの開口86cの縁に接続されている。
【0111】
端部カバー100cは、第一実施形態の端部カバー100と同様、天板部101と、外周板部102と、を有する。但し、本変形例の端部カバー100cは、翼体51の翼高さ第一側Dh1に配置されている。この端部カバー100cの天板部101は、内側シュラウド60iの反ガスパス面65中で、第一翼空気通路81c及び第二翼空気通路85cが配置されている領域と翼高さ方向Dhで間隔をあけて対向する。端部カバー100cの外周板部102は、内側シュラウド60iの反ガスパス面65中で、第一翼空気通路81c及び第二翼空気通路85cが存在している領域の縁に接続されている。第一インサート90cにおける外周板部91の筒高さ開口側Dih2は、この端部カバー100cの天板部101から径方向内側Driに突出している。
【0112】
本変形例においても、外側シュラウド60oのキャビティ72には、この外側シュラウド60oの径方向外側Droから冷却空気Acが流入する。また、内側シュラウド60iのキャビティ72には、この内側シュラウド60iの径方向内側Driから冷却空気Acが流入する。
【0113】
外側シュラウド60oのキャビティ72に流入した冷却空気Acの一部は、第一実施形態と同様、前側翼空気通路80fの開口80foから前側翼空気通路80f内に流入する。また、外側シュラウド60oのキャビティ72に流入した冷却空気Acの他の一部も、第一実施形態と同様、後側翼空気通路80bの開口80boから後側翼空気通路80b内に流入する。
【0114】
内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acは、第一インサート90cのインサート開口90oから第一インサート90cの外周板部91内に流入する。外周板部91内に流入した冷却空気Acは、外周板部91に形成されている複数のインピンジ孔92から、外周板部91の外周側に噴出し、翼内第一キャビティC1内に流入する。この冷却空気Acは、第一通路画定面81pに衝突して、ここをインピンジ冷却する。
【0115】
翼内第一キャビティC1内に流入した冷却空気Acの一部は、複数の正圧側第一噴出孔83pf及び複数の負圧側第一噴出孔83nfから燃焼ガス流路49内に噴出する。翼内第一キャビティC1内に流入した冷却空気Acの残りの一部は、この翼内第一キャビティC1内を翼高さ第一側Dh1である径方向内側Driに向かって流れ、第一インサート90cのフランジ部94cの切り欠き部分及び第一翼空気通路81cの開口82fを経て、端部カバー100c内に流入する。
【0116】
端部カバー100c内に流入した冷却空気Acは、第二翼空気通路85cの開口86c及び第二インサート95cのインサート開口95oから第二インサート95cの外周板部96内に流入する。外周板部96内に流入した冷却空気Acは、外周板部96に形成されている複数のインピンジ孔97から、外周板部96の外周側に噴出し、翼内第二キャビティC2内に流入する。この冷却空気Acは、第二通路画定面85pに衝突して、ここをインピンジ冷却する。
【0117】
翼内第二キャビティC2内に流入した冷却空気Acは、複数の正圧側第二噴出孔87ps及び複数の負圧側第二噴出孔87nsから燃焼ガス流路49内に噴出する。
【0118】
本変形例でも、第一実施形態と同様、第一翼空気通路81c内に配置されている第一インサート90c内に流入した冷却空気Acは、第一通路画定面81pをインピンジ冷却する。さらに、この冷却空気Acの一部が、第二インサート95c内に流入し、第二通路画定面85pをインピンジ冷却する。したがって、本変形例でも、第一実施形態と同様、一つのインサート内に流入した冷却空気Acで翼体をインピンジ冷却した後、直ちに、燃焼ガス流路に噴出させる場合よりも、静翼50cを効率的に冷却して、冷却空気Acの使用量を少なくすることができる。
【0119】
但し、本変形例では、第一インサート90cに流入した冷却空気Acは、第一インサート90c内を翼高さ第二側Dh2に流れてからインピンジ孔92から噴出し、その後、翼内第一キャビティC1内を翼高さ第一側Dh1に向かって流れてから、第二インサート95c内に流入する。このため、本変形例では、冷却空気Acが第一翼空気通路81c内を翼高さ方向Dhで往復することになり、この冷却空気Acが流れる流路長が長くなり、この冷却空気Acの流路抵抗が大きくなる。この結果、本変形例では、第二インサート95c内に流入する冷却空気Acの圧力が低下する。このため、本変形例は、翼体51cのインピンジ冷却効果が、第一実施形態よりも低い。言い換えると、第一実施形態の翼体51のインピンジ冷却効果が、本変形例よりも高い。
【0120】
以上のように、翼高さ第一側Dh1と翼高さ第二側Dh2とのうち、第一翼空気通路と第二翼空気通路との両方が開口している側は、第一実施形態のように、翼高さ第二側Dh2であってもよいし、本変形例のように、翼高さ第一側Dh1であってもよい。また、第二インサートの筒高さ開口側Dihは、第一実施形態のように、翼高さ第二側Dh2を向いてもよいし、本変形例のように、翼高さ第一側Dh1を向いてもよい。
【0121】
なお、本変形例は、第一実施形態の変形例であるが、第二実施形態に関しても、本変形例と同様に構成してもよい。
【0122】
「静翼の第三変形例」
以下、本発明に係る静翼の第一実施形態における第三変形例について、図11を参照して説明する。
【0123】
本変形例の静翼50dは、第一実施形態の静翼50における外側シュラウド60o内及び内側シュラウド60i内のそれぞれにインピンジ板78を追加した静翼である。
【0124】
外側シュラウド60o内のインピンジ板78は、翼高さ方向Dhで、外側シュラウド60oのキャビティ72を二つの空間に仕切る。このインピンジ板78には、翼高さ方向Dhに貫通する複数のインピンジ孔79が形成されている。
【0125】
内側シュラウド60i内のインピンジ板78は、翼高さ方向Dhで、内側シュラウド60iのキャビティ72を二つの空間に仕切る。このインピンジ板78には、翼高さ方向Dhに貫通する複数のインピンジ孔79が形成されている。
【0126】
外側シュラウド60oのキャビティ72に流入した冷却空気Acは、インピンジ板78の複数のインピンジ孔79から噴出して、外側シュラウド60oの反ガスパス面65に衝突し、ここをインピンジ冷却する。反ガスパス面65をインピンジ冷却した冷却空気Acの一部は、第一実施形態と同様、前側翼空気通路80fの開口80foから前側翼空気通路80f内に流入する。また、反ガスパス面65をインピンジ冷却した冷却空気Acの他の一部は、第一実施形態と同様、後側翼空気通路80bの開口80boから後側翼空気通路80b内に流入する。
【0127】
内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acは、インピンジ板78の複数のインピンジ孔79から噴出して、内側シュラウド60iの反ガスパス面65に衝突して、ここをインピンジ冷却する。反ガスパス面65をインピンジ冷却した冷却空気Acの一部は、第一実施形態と同様、第一インサート90内に流入する。第一インサート90内に流入した冷却空気Acは、第一実施形態と同様、第一通路画定面81pをインピンジ冷却し、その後、第二通路画定面85pをインピンジ冷却する。
【0128】
以上のように、本変形例では、内側シュラウド60iのキャビティ72に流入した冷却空気Acにより、静翼50dの内部を三回インピンジ冷却することができる。よって、本変形例では、第一実施形態やその各変形例よりも、静翼50dを効率的に冷却して、冷却空気Acの使用量を少なくすることができる。
【0129】
なお、本変形例は、第一実施形態の変形例であるが、第二実施形態、第一変形例、及び第二変形例に関しても、本変形例と同様に、インピンジ板78を追加してもよい。
【0130】
「静翼のその他の変形例」
以上の各実施形態及び各変形例では、翼高さ第一側Dh1が径方向内側Driで、翼高さ第二側Dh2が径方向外側Droである。しかしながら、翼高さ第一側Dh1が径方向外側Droで、翼高さ第二側Dh2が径方向内側Driであってもよい。
【0131】
以上の各実施形態及び各変形例の静翼は、中間翼空気通路80mとして、二つの翼空気通路を有し、一方を第一翼空気通路とし、他方を第二翼空気通路としている。しかしながら、静翼が、中間翼空気通路80mとして、三以上の翼空気通路を有し、これらのうち一つを第一翼空気通路とし、他の一つを第二翼空気通路としてもよい。また、第一翼空気通路と第二翼空気通路との両方が、前側翼空気通路80fと後側翼空気通路80bとの間の通路である必要はない。例えば、第一翼空気通路が中間翼空気通路80mの一つで、第二翼空気通路が後側翼空気通路80bであってもよい。
【0132】
以上の各実施形態及び各変形例の静翼は、いずれも、初段静翼列46を構成する静翼である。しかしながら、静翼が、初段静翼列46よりも軸線下流側Dadの静翼列を構成する静翼であってもよい。
【0133】
以上、本開示の実施形態及び変形例について詳述したが、本開示は上記実施形態及び上記変形例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0134】
「付記」
以上の実施形態及び変形例における静翼は、例えば、以下のように把握される。
【0135】
(1)第一態様における静翼は、
ガスタービン10が備える静翼において、断面の形状が翼形を成し、前記断面に対して垂直な方向成分を有する翼高さ方向Dhに延びる翼体51,51a,51cと、筒状を成し、筒高さ方向Dihに延び、前記筒高さ方向Dihが前記翼高さ方向Dhを向くよう、前記翼体51,51a,51c内に配置されている第一インサート90,90a,90b,90c及び第二インサート95,95a,95b,95cと、端部カバー100,100a,100cと、を備える。前記翼体51,51a,51cは、前記翼体51,51a,51c内で前記翼高さ方向Dhに延びる複数の翼空気通路80を有する。前記複数の翼空気通路80のうち、第一翼空気通路81,81a,81cと第二翼空気通路85,85a,85cとは、いずれも、前記翼高さ方向Dhにおける翼高さ第一側Dh1と翼高さ第二側Dh2とのうちの一方側である翼高さ一方側の端が開口している。前記第一インサート90,90a,90b,90c及び前記第二インサート95,95a,95b,95cは、いずれも、筒状を成し前記筒高さ方向Dihに延びる外周板部91,96と、前記筒高さ方向Dihにおける二つの側のうち、前記外周板部91,96の前記筒高さ方向Dihの一方側である筒高さ封止側Dih1の端を塞ぐ封止板部93,98と、を有する。前記外周板部91,96には、筒状の前記外周板部91,96の内側から外側に貫通する複数のインピンジ孔92,97が形成されている。前記外周板部91,96の前記筒高さ方向Dihの他方側である筒高さ開口側Dih2が開口している。前記第一インサート90,90a,90b,90cの外周板部91は、前記第一インサート90の前記外周板部91と前記第一翼空気通路81を画定する前記翼体51,51a,51cの第一通路画定面81pとの間に隙間が存在し、前記第一インサート90,90a,90b,90cの開口から外周板部91内に冷却空気Acが流入するよう、前記第一翼空気通路81,81a,81c内に配置されている。前記第二インサート95,95a,95b,95cの外周板部96は、前記第二インサート95,95a,95b,95cの前記筒高さ開口側Dih2が前記翼高さ一方側を向き、前記第二インサート95,95a,95b,95cの前記外周板部96と前記第二翼空気通路85を画定する前記翼体51,51a,51cの第二通路画定面85pとの間に隙間が存在し、前記第二インサート95,95a,95b,95cの開口から冷却空気Acが流入するよう、前記第二翼空気通路85,85a,85c内に配置されている。前記端部カバー100,100a,100cは、前記第一インサート90,90a,90b,90cの前記複数のインピンジ孔92から前記第一インサート90,90a,90b,90cの前記外周板部91と前記第一通路画定面81pとの間に噴出された冷却空気Acを、前記第一翼空気通路81の前記開口を経て、前記第二インサート95,95a,95b,95cの前記開口から前記第二インサート95,95a,95b,95c内に導けるよう、前記翼体51の前記翼高さ一方側に設けられて、前記第一翼空気通路81の前記開口及び前記第二インサート95,95a,95b,95cの前記開口を覆う。
【0136】
本態様では、第一翼空気通路81,81a,81c内に配置されている第一インサート90,90a,90b,90c内に流入した冷却空気Acは、第一通路画定面81pをインピンジ冷却する。さらに、この冷却空気Acの少なくとも一部は、第二翼空気通路85,85a,85c内に配置されている第二インサート95,95a,95b,95c内に流入する。第二インサート95,95a,95b,95c内に流入した冷却空気Acは、第二通路画定面85pをインピンジ冷却する。したがって、本態様では、一つのインサート内に流入した冷却空気Acで翼体内をインピンジ冷却した後、直ちに、燃焼ガス流路に噴出させる場合よりも、静翼を効率的に冷却して、冷却空気Acの使用量を少なくすることができる。
【0137】
(2)第二態様における静翼は、
前記第一態様における静翼において、前記翼体51,51a,51cの外面である翼面は、前記第一通路画定面81pと背合わせの位置関係にある第一翼面部54f,55fと、前記第二通路画定面85pと背合わせの位置関係にある第二翼面部54s,55sと、を有する。前記第一インサート90,90a,90b,90cにおける前記外周板部91のうち、前記第一翼面部54f,55fに対向する部分に、前記複数のインピンジ孔92が形成されている。前記第二インサート95,95a,95b,95cにおける前記外周板部96のうち、前記第二翼面部54s,55sに対向する部分に、前記複数のインピンジ孔97が形成されている。
【0138】
本態様では、燃焼ガスに晒される翼面を効果的に冷却することができる。
【0139】
(3)第三態様における静翼は、
前記第二態様における静翼において、前記翼体51,51a,51cには、前記第二通路画定面85pから前記第二翼面部54s,55sまで貫通している複数の噴出孔87ns,87psが形成されている。前記翼面中における前記第二翼面部54s,55sの位置は、前記ガスタービン10の駆動中、前記翼体51,51a,51cの外側であって前記第二翼面部54s,55sに沿った部分の圧力が、前記翼体51,51a,51cの外側であって前記第一翼面部54f,55fに沿った部分の圧力より低い、位置である。
【0140】
(4)第四態様における静翼は、
前記第三態様における静翼において、前記翼体51,51cは、前記翼高さ方向Dhに延びる前縁52と、前記翼高さ方向Dhに延びる後縁53と、前記翼高さ方向Dhに延び且つ前記前縁52と前記後縁53とをつなぐ正圧面55及び負圧面54と、を有する。前記第一翼面部54f,55fは、前記正圧面55と前記負圧面54とのうち一方の翼面の一部である。前記第二翼面部54s,55sは、前記一方の翼面中で、前記第一翼面部54f,55fよりも前記後縁53の側に位置している。
【0141】
(5)第五態様における静翼は、
前記第三態様における静翼において、前記翼体51aは、前記翼高さ方向Dhに延びる前縁52と、前記翼高さ方向Dhに延びる後縁53と、前記翼高さ方向Dhに延び且つ前記前縁52と前記後縁53とをつなぐ正圧面55及び負圧面54と、を有する。前記第一翼面部55fは、前記正圧面55の一部である。前記第二翼面部54sは、前記負圧面54の一部である。
【0142】
(6)第六態様における静翼は、
前記第一態様から前記第五態様のうちのいずれか一態様における静翼において、前記第一翼空気通路81,81aは、前記第一翼空気通路81,81aの前記翼高さ第一側Dh1の端及び前記翼高さ第二側Dh2の端が開口している。前記第二翼空気通路85,85aは、前記第二翼空気通路85,85aの前記翼高さ第一側Dh1の端が閉じ、前記翼高さ第二側Dh2の端が開口している。前記第一インサート90,90aは、前記第一インサート90,90aの前記外周板部91における前記筒高さ開口側Dih2の端から、前記第一インサート90,90aの前記外周板部91の外周側に向かって広がり、前記第一通路画定面81pまで延びて、前記翼体51に接続されているフランジ部94を有する。
前記第二インサート95,95aは、前記第二インサート95,95aの前記外周板部96における前記筒高さ開口側Dih2の端から、前記第二インサート95,95aの前記外周板部96の外周側に向かって広がり、前記第二通路画定面85pまで延びて、前記翼体51に接続されているフランジ部99を有する。前記第一インサート90,90aの外周板部91は、前記第一インサート90,90aの前記筒高さ開口側Dih2が前記翼高さ第一側Dh1を向くよう、前記第一翼空気通路81,81a内に配置されている。前記第二インサート95,95aの外周板部96は、前記第二インサート95,95aの前記筒高さ開口側Dih2が前記翼高さ第二側Dh2を向くよう、前記第二翼空気通路85,85a内に配置されている。
【0143】
本態様では、各インサートの構造が複雑にならない上に、翼体51のインピンジ冷却効果を高めることができる。
【0144】
(7)第七態様における静翼は、
前記第一態様から前記第六態様のうちのいずれか一態様における静翼において、さらに、前記第一翼空気通路81,81a,81c内で、前記第一インサート90,90a,90b,90cの前記筒高さ方向Dihにおける変位を許容し、前記第一インサート90,90a,90b,90cの前記断面が広がる方向への変位を規制する第一ガイド部材110と、前記第二翼空気通路85,85a,85c内で、前記第二インサート95,95a,95b,95cの前記筒高さ方向Dihにおける変位を許容し、前記第二インサート95,95a,95b,95cの前記断面が広がる方向への変位を規制する第二ガイド部材115と、を備える。
【0145】
本態様では、ガスタービン10が駆動して、第一インサート90,90a,90b,90cの外周板部91と第一通路画定面81pとの間に温度差により、両者間に熱変形量に差が生じた場合でも、第一インサート90,90a,90b,90cの外周板部91と第一通路画定面81pとの間の距離をほぼ一定に保つことができ、目的のインピンジ冷却効果を得ることができる。また、本態様では、ガスタービン10が駆動して、第二インサート95,95a,95b,95cの外周板部96と第二通路画定面85pとの間に温度差により、両者間に熱変形量に差が生じた場合でも、第二インサート95,95a,95b,95cの外周板部96と第二通路画定面85pとの間の距離をほぼ一定に保つことができ、目的のインピンジ冷却効果を得ることができる。
【0146】
(8)第八態様における静翼は、
前記第七態様における静翼において、前記第一ガイド部材110は、前記筒高さ方向Dihに延びる第一溝112を有する第一溝部材111と、前記第一溝112内に入り込み、前記第一溝112に対して相対的に前記筒高さ方向Dihに移動可能な第一凸部材113と、を有する。前記第一溝部材111と前記第一凸部材113とのうち、一方の部材が前記第一インサート90,90aに固定され、他方の部材が前記第一通路画定面81pに固定されている。前記第二ガイド部材115は、前記筒高さ方向Dihに延びる第二溝117を有する第二溝部材116と、前記第二溝117内に入り込み、前記第二溝117に対して相対的に前記筒高さ方向Dihに移動可能な第二凸部材118と、を有する。前記第二溝部材116と前記第二凸部材118とのうち、一方の部材が前記第二インサート95,95aに固定され、他方の部材が前記第二通路画定面85pに固定されている。
【0147】
(9)第九態様における静翼は、
前記第六態様における静翼において、さらに、前記第一翼空気通路81,81a内で、前記第一インサート90,90aの前記筒高さ方向Dihにおける変位を許容し、前記第一インサート90,90aの前記断面が広がる方向への変位を規制する第一ガイド部材110と、前記第二翼空気通路85,85a内で、前記第二インサート95,95aの前記筒高さ方向Dihにおける変位を許容し、前記第二インサート95,95aの前記断面が広がる方向への変位を規制する第二ガイド部材115と、を備える。前記第一ガイド部材110は、前記筒高さ方向Dihに延びる第一溝112を有する第一溝部材111と、前記第一溝112内に入り込み、前記第一溝112に対して相対的に前記筒高さ方向Dihに移動可能な第一凸部材113と、を有する。前記第一溝部材111と前記第一凸部材113とのうち、一方の部材が前記第一インサート90,90aの前記外周板部91に固定され、他方の部材が前記翼体51,51aの前記第一通路画定面81pに固定されている。前記第二ガイド部材115は、前記筒高さ方向Dihに延びる第二溝117を有する第二溝部材116と、前記第二溝117内に入り込み、前記第二溝117に対して相対的に前記筒高さ方向Dihに移動可能な第二凸部材118と、を有する。前記第二溝部材116と前記第二凸部材118とのうち、一方の部材が前記第二インサート95,95aの前記封止板部98に固定され、他方の部材が前記翼体51,51a中で前記第二翼空気通路85,85aにおける前記翼高さ第一側Dh1の端で閉じている部分に固定されている。
【0148】
(10)第十態様における静翼は、
前記第一態様から前記第九態様のうちのいずれか一態様における静翼において、さらに、前記翼体51,51a,51cにおける前記翼高さ第一側Dh1の端に設けられている第一シュラウド60iと、前記翼体51,51a,51cにおける前記翼高さ第二側Dh2の端に設けられている第二シュラウド60oと、複数のインピンジ孔79が形成されているインピンジ板78と、を備える。前記第一シュラウド60iは、前記翼高さ第二側Dh2を向くガスパス面64と、前記ガスパス面64と相反する側を向く反ガスパス面65とを有するシュラウド本体61と、前記シュラウド本体61の周縁に沿って設けられ、前記反ガスパス面65から前記翼高さ第一側Dh1に突出した周壁71と、を有する。前記インピンジ板78は、前記シュラウド本体61と前記周壁71とで形成され、前記翼高さ第二側Dh2に向かって凹む凹部内のキャビティ72を、前記翼高さ第一側Dh1の空間と翼高さ第二側Dh2の空間とに仕切れ、且つ前記インピンジ板78の前記複数のインピンジ孔79が前記翼高さ方向Dhに延びるよう、前記第一シュラウド60iに固定されている。
【0149】
本態様では、静翼に流入した冷却空気Acにより、静翼の内部を三回インピンジ冷却することができる。よって、本態様では、静翼を効率的に冷却して、冷却空気Acの使用量を少なくすることができる。
【0150】
以上の実施形態におけるガスタービンは、例えば、以下のように把握される。
(11)第十一態様におけるガスタービンは、
前記第一態様から前記第十態様のうちのいずれか一態様における静翼と、軸線Arを中心として回転するロータ41と、前記ロータ41の外周側を覆うケーシング45と、を備える。前記静翼は、前記ケーシング45の内周面に固定されている。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本開示の一態様によれば、静翼を効果的に冷却して、耐久性の向上を図りつつも冷却空気の使用量を抑えることができる。
【符号の説明】
【0152】
10:ガスタービン
11:ガスタービンロータ
15:ガスタービンケーシング
16:中間ケーシング
20:圧縮機
21:圧縮機ロータ
22:ロータ軸
23:動翼列
23a:動翼
25:圧縮機ケーシング
26:静翼列
26a:静翼
30:燃焼器
40:タービン
41:タービンロータ
42:ロータ軸
43:動翼列
43a:動翼
45:タービンケーシング
45a:外側ケーシング
45b:内側ケーシング
45c:分割環
46:静翼列
46a:静翼
49:燃焼ガス流路
50,50a,50b,50c,50d:静翼
51,51a,51c:翼体
52:前縁
53:後縁
54:負圧面
54f:負圧側第一翼面部
54s:負圧側第二翼面部
55:正圧面
55f:正圧側第一翼面部
55s:正圧側第二翼面部
60o:外側シュラウド
60i:内側シュラウド
61:シュラウド本体
62f:前端面
62b:後端面
63n:負圧側端面
63p:正圧側端面
64:ガスパス面
65:反ガスパス面
71:周壁
71f:前周壁
71b:後周壁
71n:負圧側周壁
71p:正圧側周壁
72:キャビティ
76:リテーナ
78:インピンジ板
79:インピンジ孔
80:翼空気通路
80f:前側翼空気通路
80fa:前側噴出孔
80fo:開口
80b:後側翼空気通路
80ba:後側噴出孔
80bo:開口
80m:中間翼空気通路
81,81a,81c:第一翼空気通路
81p:第一通路画定面
82f:第一開口(又は、単に開口)
82s:第二開口
83nf:負圧側第一噴出孔
83pf:正圧側第一噴出孔
84:シールフランジ
85,85a,85c:第二翼空気通路
85p:第二通路画定面
86,86c:開口
87ns:負圧側第二噴出孔
87ps:正圧側第二噴出孔
88:シールフランジ
90,90a,90b,90c:第一インサート
90o:インサート開口
91:外周板部
92:インピンジ孔
93:封止板部
94,94b,94c:フランジ部
95,95a,95b,95c:第二インサート
95o:インサート開口
96:外周板部
97:インピンジ孔
98:封止板部
99:フランジ部
100,100a,100c:端部カバー
101,101a:天板部
102:外周板部
110:第一ガイド部材
111:第一溝部材
112:第一溝
113:第一凸部材
115:第二ガイド部材
116:第二溝部材
117:第二溝
118:第二凸部材
A:空気
Ac:冷却空気
F:燃料
G:燃焼ガス
Ar:軸線
CL:キャンバーライン
C1:翼内第一キャビティ
C2:翼内第二キャビティ
Da:軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
Dc:周方向
Dcp:周方向正圧側
Dcn:周方向負圧側
Dr:径方向
Dri:径方向内側
Dro:径方向外側
Dh:翼高さ方向
Dh1:翼高さ第一側
Dh2:翼高さ第二側
Dih:筒高さ方向
Dih1:筒高さ封止側
Dih2:筒高さ開口側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11