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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】炭火焼き風調味料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240819BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20240819BHJP
【FI】
A23L27/00 C
A23L27/10 B
A23L27/10 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024006909
(22)【出願日】2024-01-19
【審査請求日】2024-01-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511012145
【氏名又は名称】宮崎食研有限会社
(73)【特許権者】
【識別番号】724010086
【氏名又は名称】株式会社Hinata
(72)【発明者】
【氏名】坂元 浩一
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-086859(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0035986(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0134350(KR,A)
【文献】特開2007-014271(JP,A)
【文献】Yakitori Barbecue Sauce with Grilled Charcoal Accent,Mintel GNPD,Record ID: 7618627,2020年05月
【文献】Chicken Seasoning,Mintel GNPE,Record ID: 10922232,2023年07月
【文献】日本化工食品株式会社,オーダーメイドの製品づくり,2022年08月04日,https://nihonkakosyokuhin.co.jp/media/case2/a21
【文献】食用日向備長炭パウダー1kg【業務用】緑仙白炭窯グリーンノーム,Amazon.co.jp,2023年03月22日,https://amzn.asia/d/3R1xTs6h
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭火で焼かずとも、炭火焼き風の味、風味及び外観に調理出来る炭火焼き風調味料の製造方法であって、5g程度にカットした食肉若しくは魚肉を180~220℃×50~90分間程度加熱し、粉砕して加熱粉末を得る工程、並びに任意の調味料に、調味料の全体量に対し、食肉若しくは魚肉の前記加熱粉末を2~10%、食用備長炭粉末を2~5%含有せしめる工程を含む事を特徴とする炭火焼き風調味料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭火で焼かずとも、炭火焼き風の味、風味及び外観に調理出来る炭火焼き風調味料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
令和5年5月8日現在、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、それまでの巣ごもり的な生活から徐々に通常の生活様式へと戻りつつある。
【0003】
外出の機会や人が集まる機会も増え、屋外やキャンプ場等での食事、特に焼き肉やバーベキュー等の炭火を使う調理の機会も増えてきている。
【0004】
炭火を使う調理は、ほとんど屋外での作業に限られ、屋内では七輪を使い炭火焼きが出来るが、炭に火を点ける手間がかかり、大量の煙も発生し、また、屋内での火の取り扱いも危険である。
【背景技術】
【0005】
この為、七輪以外の家庭調理器具を用い、簡単な炭火焼き風調理の可能性について、これまで種々の提案がなされてきた。
【0006】
エバラ食品工業株式会社の「鶏炭焼きのたれ545g」という商品は、鶏肉にまぶしてフライパン等で加熱調理する、鶏の炭火焼き風調味料の提案であるが、炭火焼きとは異なる味、風味及び外観の仕上がりになる。
【0007】
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/gourmet/entry/2019/020278.htmlでは、上記の欠点を補う為、鶏肉を上記の商品に漬け込み後調理する方法を提案し、また、鶏肉に竹炭パウダーをまぶし、塩で調味しフライパンで加熱後さらにバーナーで焙る方法を提案している。
【0008】
また、https://kakakumag.com/food/?id=16181では、「鶏炭焼きのたれ545g」、「スミヤキオイル」を使った調理方法並びに塩、胡椒で味付けした鶏肉をグリルで焼き、竹炭パウダーをまぶし、その後バーナーで焙る方法等で調理品を評価しながら鶏の炭火焼き風の調理方法を提案している。
【0009】
さらに、https://www.furusato-tax.jp/product/detail/45431/5774395では、鶏肉をフライパンで焼き、塩と備長炭粉末で味付けると炭火焼き風に出来ると提案している。
【0010】
これら従来の提案は、0006の提案で炭火焼きの再現に劣り、0007や0008の提案で竹炭パウダーの計量や取り扱いが面倒で、しかも、竹炭パウダーや備長炭粉末は無味無臭の着色料である為、これらの粉末だけで炭火焼き風の味や風味の再現は難しく、さらに、あまり一般家庭には無いバーナーを使う必要があり、火の扱いに注意が必要等、満足できる提案ではなかった。
【0011】
また、0009の提案も炭火焼きの再現に劣った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
見出せず。
【非特許文献】
【0013】
エバラ食品工業株式会社の「鶏炭焼きのたれ545g」。
https://gyoumuyou.ebarafoods.com/products/detail/TST500A.html
【0014】
炭パウダーをかけて炙るだけ!超カンタンで激旨な鶏の炭火焼きレシピ。
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/gourmet/entry/2019/020278.html
【0015】
七輪なしでも炭火焼きの味!家で簡単にお店レベルの焼き鳥を作る方法。
https://kakakumag.com/food/?id=16181
【0016】
食用日向備長炭パウダー100g。
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/45431/5774395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
一口大にカットした鶏肉、豚肉及び牛肉等の食肉、若しくは、切り身又は三枚におろした鯵や鯖等の魚肉に振り掛け、まぶし、味を馴染ませた後、フライパンやオーブン等で加熱調理するだけで炭火焼き風の味、風味及び外観に調理出来る、従来には無い調味料及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従来の提案の課題を解決するために、鋭意研究の結果、炭火で焼かずとも、炭火焼き風の味、風味及び外観に調理出来る炭火焼き風調味料であって、調味料の全体量に対し、鶏肉、豚肉及び牛肉等の食肉、若しくは、鯵や鯖等の魚肉の加熱粉末を2~10%、食用備長炭粉末を2~5%含有する事を特徴とする調味料並びに5g程度にカットした食肉若しくは魚肉を180~220℃×50~90分間程度加熱し、粉砕して得られる加熱粉末の製造方法及び任意の調味料に、調味料の全体量に対し、食肉若しくは魚肉の加熱粉末を2~10%、食用備長炭粉末を2~5%含有せしめる事を特徴とする炭火焼き風調味料の製造方法を発明するに至った。
【発明の効果】
【0019】
カットした食肉や魚肉に本調味料を振り掛け、まぶし、家庭調理器具で加熱調理するだけで、簡単に食肉や魚肉を炭火焼きしたような味、風味及び外観に調理出来るが故に、本発明は、家庭内で炭火を使わず、煙も発生させず、室内で手軽に安全な炭火焼き風調理の実現に貢献する。
【0020】
以下、実施例でその詳細を説明する。
【実施例1】
【0021】
鶏肉270gの皮を剥ぎ、脂肪を切除した後、5g程度にカットした物を200℃のオーブンで70分間加熱し、その後、得られた加熱品を0.3mmスクリーンの粉砕機で粉砕し、鶏肉の加熱粉末42gを得た。
【0022】
0021の鶏肉は、どの部位でも良く、皮や脂肪は出来るだけ除去するのが好ましく、脂肪が残っていると後工程の粉末化が困難になる。
【0023】
0021の加熱条件や加熱器具は、任意に変更できるが、180~220℃×50~90分間程度の加熱が好ましく、あまり高温で加熱し過ぎると鶏肉が炭化してしまい、また、加熱条件が弱すぎると炭火焼き風の味や風味が弱くなる。
【0024】
0021の粉末条件及び使用器具類は、特に指定は無いが、スクリーンの目が小さ過ぎると粉砕し辛く、スクリーンの目が大き過ぎると調味料と混合し辛くなる。
【0025】
食塩77.3%、グルタミン酸Na16.8%、ブラックペッパー粉末4.9%及び砂糖1%を混合し調味料を調製し、その調味料81gに0021の粉末6gと株式会社グリーンノーム製食用備長炭粉末3gを混合し、炭火焼き風調味料90gを得た。
【0026】
0025で使用する調味料の原料の種類や配合割合は、特に指定は無く、また、使用する食用備長炭粉末も株式会社グリーンノーム製に限らないが、竹炭パウダーに比べ株式会社グリーンノーム製食用備長炭粉末の方が炭火焼き風の色調の再現に優れていた。
【0027】
0025の鶏肉の加熱粉末、食用備長炭粉末の配合割合は、任意に変更出来るが、検討の結果、調味料の全体量に対し、加熱粉末を2~10%、食用備長炭粉末を2~5%の配合割合が好ましかった。
【0028】
0021の加熱粉末は、豚肉や牛肉でも応用可能であり、また、0025や0027の配合割合は、豚肉や牛肉の加熱粉末でも応用出来る為、豚肉や牛肉の炭火焼き風調味料としても利用可能である。
【0029】
鶏腿肉300gを一口大にカットし、それに0025の炭火焼き風調味料3.6gを振り掛け、まぶして味を馴染ませた後、フライパンで加熱調理し、約150gの調理品を得た。
【0030】
0029の炭火焼き風調味料の添加量は、任意に変更出来る。
【0031】
0029で得られた調理品を5名で試食した結果、バーナーで炙る以外の従来の提案方法で得られる調理品に比べ、味、風味及び外観が鶏の炭火焼きに近いと評価された。
【実施例2】
【0032】
鯵の三枚おろし333gの皮を剥ぎ、ハラミを除去した後、5g程度にカットした物を200℃のオーブンで70分間加熱し、その後、得られた加熱品を0.3mmスクリーンの粉砕機で粉砕し、鯵の加熱粉末51gを得た。
【0033】
0032の鯵の三枚おろしは、皮や脂肪の多い箇所は出来るだけ除去するのが好ましく、脂肪が残っていると後工程の粉末化が困難になる。
【0034】
0032の加熱条件や加熱器具は、任意に変更出来るが、180~220℃×50~90分間程度の加熱が好ましく、あまり高温で加熱し過ぎると魚肉が炭化してしまい、また、加熱条件が弱すぎると炭火焼き風の味や風味が弱くなる。
【0035】
0032の粉末条件及び使用器具類は、特に指定は無いが、スクリーンの目が小さ過ぎると粉砕し辛く、スクリーンの目が大き過ぎると調味料と混合し辛くなる。
【0036】
食塩82.2%、グルタミン酸Na16.8%及び砂糖1%を混合し調味料を調製し、その調味料81gに0032の粉末6gと株式会社グリーンノーム製食用備長炭粉末3gを混合し、炭火焼き風調味料90gを得た。
【0037】
0036で使用する調味料の原料の種類や配合割合は、特に指定は無く、また、使用する食用備長炭粉末も株式会社グリーンノーム製に限らないが、竹炭パウダーに比べ株式会社グリーンノーム製食用備長炭粉末の方が炭火焼き風の色調の再現に優れていた。
【0038】
0032の鯵の加熱粉末、食用備長炭粉末の配合割合は、任意に変更出来るが、検討の結果、調味料の全体量に対し、加熱粉末を2~10%、食用備長炭粉末を2~5%の配合割合が好ましかった。
【0039】
0032の加熱粉末は、鯖等でも応用可能であり、また、0036や0038の配合割合は、鯖等の加熱粉末でも応用出来る為、鯖等の炭火焼き風調味料としても利用可能である。
【0040】
鯵の切り身300gに0036の炭火焼き風調味料3.6gを振り掛け、まぶして味を馴染ませた後、フライパンで加熱調理し、約180gの調理品を得た。
【0041】
0040の炭火焼き風調味料の添加量は、任意に変更出来る。
【0042】
0040で得られた調理品を5名で試食した結果、味、風味及び外観が鯖の炭火焼きに近いと評価された。

【要約】      (修正有)
【課題】一口大にカットした鶏肉、豚肉及び牛肉等の食肉、若しくは、切り身又は三枚におろした鯵や鯖等の魚肉に振り掛け、まぶし、味を馴染ませた後、フライパンやオーブン等で加熱調理するだけで炭火焼き風の味、風味及び外観に調理出来る、従来には無い調味料を提供する。
【解決手段】課題を解決するために、鋭意研究の結果、炭火で焼かずとも、炭火焼き風の味、風味及び外観に調理出来る炭火焼き風調味料であって、調味料の全体量に対し、食肉若しくは魚肉の加熱粉末を2~10%、食用備長炭粉末を2~5%含有する事を特徴とする調味料並びに5g程度にカットした食肉若しくは魚肉を180~220℃×50~90分間程度加熱し、粉砕して得られる加熱粉末の製造方法及び任意の調味料に食肉若しくは魚肉の加熱粉末を2~10%、食用備長炭微粉末を2~5%含有せしめ製造する事を特徴とする炭火焼き風調味料の製造方法を発明するに至った。
【選択図】なし