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特許7539617路側安全システムおよびエネルギーを吸収する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】路側安全システムおよびエネルギーを吸収する方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/06 20060101AFI20240819BHJP
   F16F 7/12 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
E01F15/06 A
F16F7/12
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022081138
(22)【出願日】2022-05-17
(62)【分割の表示】P 2020184466の分割
【原出願日】2015-12-04
(65)【公開番号】P2022119839
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】701551
(32)【優先日】2014-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】515073551
【氏名又は名称】エディ・カーレント・リミテッド・パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ディール, アンドリュー カール
(72)【発明者】
【氏名】ウォルタース, デイヴ
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-224875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0236867(US,A1)
【文献】実開昭61-004087(JP,U)
【文献】特開2011-058574(JP,A)
【文献】特開2012-152316(JP,A)
【文献】実開昭49-142934(JP,U)
【文献】特開2003-321817(JP,A)
【文献】韓国特許第10-0872088(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 7/00- 7/14
A62B 1/00- 5/00
A62B 35/00- 99/00
E01F 15/06
E01F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー吸収装置を備える路側安全システムであって、前記エネルギー吸収装置が、
動可能質量体と、
前記動可能質量体と係合することによりエネルギーの散逸を経て衝突減衰を提供するように構成されたエネルギー吸収部材と、
を備えており、
前記動可能質量体の運動が所定の閾値を下回る場合に、前記エネルギー吸収部材が、係合せず、前記運動可能質量体が、前記エネルギー吸収部材に対して運動可能であり
前記動可能質量体が運動についての前記所定の閾値に達すると、前記エネルギー吸収部材が、前記動可能質量体と係合し、前記動可能質量体の運動を減速させる減速力を加えるように構成されており、
前記減速力が前記エネルギー吸収部材の材料変形により生じ、
運動についての前記所定の閾値が、前記動可能質量体の運動距離及び/又は前記動可能質量体の運動速度である、路側安全システム。
【請求項2】
前記減速力が、前記動可能質量体の動方向と実質的に反対の方向に加えられる、請求項1に記載の路側安全システム。
【請求項3】
前記材料変形が伸線によるものであり、前記エネルギー吸収部材がワイヤを含み、前記ワイヤが、細い腰部または肩部を有する口径の縮小する部材を通して前記ワイヤを引っ張ることによる伸線中に縮小された直径に塑性変形される、請求項1に記載の路側安全システム。
【請求項4】
前記ワイヤが膨出部分を有し、前記膨出部分が、狭められた容積部を有するハウジング内に位置しており、前記材料変形が生じるとき、前記膨出部分が、前記ハウジングのより狭められた領域に押し込まれる、請求項3に記載の路側安全システム。
【請求項5】
前記材料変形が、管反転によるものであり、前記エネルギー吸収部材がチューブを含み、前記チューブは、ダイを通して前記チューブを引き込むことにより管反転中に第2のチューブに塑性変形される、請求項1に記載の路側安全システム。
【請求項6】
前記材料変形が、バー曲げ形成または座屈形成によるものであり、前記エネルギー吸収部材がワイヤ、ロッド、バーまたはプレートを含み、前記材料変形が生じるとき、前記ワイヤ、ロッド、バーまたはプレートが、曲がりまたはねじれを生じる、請求項1に記載の路側安全システム。
【請求項7】
前記材料変形が、押出によるものであり、前記エネルギー吸収部材が一回使用の装置であり、前記一回使用の装置が、材料変形中に永久に変形する金属もしくは金属合金および/またはプラスチックを含む、請求項1に記載の路側安全システム。
【請求項8】
前記材料変形が、押出によるものであり、前記エネルギー吸収部材が複数回使用の装置であり、前記複数回使用の装置が、材料変形中に弾性変形する形状記憶を有する材料を含む、請求項1に記載の路側安全システム。
【請求項9】
前記形状記憶を有する材料が、再結晶化するゴム、ゲルまたは金属から選択される、請求項8に記載の路側安全システム。
【請求項10】
前記材料変形が、摩擦溶接によるものであり、
前記路側安全システムが、
前記動可能質量体に連結された回転バーと、
前記エネルギー吸収部材として作用する固定反作用バーと、
を備えており、
材料変形が生じるとき、前記回転バー及び固定反作用バーが、軸方向荷重により係合し、前記回転バーと固定反作用バーとの表面間の摩擦が、前記回転バー及び固定反作用バーの表面を一緒に溶接するのに十分な熱をもたらし、前記減速力が、前記回転バーの前記固定反作用バーへの付着によって得られる、請求項1に記載の路側安全システム。
【請求項11】
路側安全システムによりエネルギーを吸収する方法であって、
請求項1に記載された路側安全システムを選択するステップと、
前記動可能質量体に運動についての前記所定の閾値を超える動きを加えるステップであり、それにより、前記エネルギー吸収部材と係合させて、材料変形と前記動可能質量体の運動を減速させる減速力とを生じる、ステップと、
により、エネルギーを吸収する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、エネルギー吸収装置および使用方法が記載されている。より具体的には、エネルギー入力を吸収するために装置部材間のさまざまなエネルギー吸収関係を利用する装置および使用方法が記載されている。
【背景技術】
【0002】
エネルギー吸収装置はさまざまな形態をとることができ、その目的は広い意味で、エネルギーをいくつかの異なる態様で変換することによってエネルギー入力を吸収および/または伝達することである。1つの非限定的な例は、トルク力を熱エネルギーに転換させること、他の部材を移動させること、重力エネルギーを変化させること、機械的変形を引き起こすことなどにより、シャフトまたは継手に加えられるトルク力を分散させることであり得る。
【0003】
以下の説明の目的のために、簡潔にするために、安全装置、特にセルフリトラクティングライフライン(SRL)を参照するが、これは限定的であると見なされるべきではない。SRLは、フォールリミッタ(fall limiter)、パーソナルフォールリミッタ(personal fall limiter)、ヨーヨー(yo-yo)、路側バリア(road side barrier、ロードサイドバリア)、路側バリア終端(road side barrier terminal end、ロードサイドバリア・ターミナルエンド)、シートベルト(seatbelt)とも呼ばれることに留意されたい。
【0004】
SRLは産業安全用途で高所からの落下を防ぐために使用されている。SRLは、典型的には、スプールに巻かれた伸長可能かつ引込可能なラインを備える。ユーザは、通常、接続点を備えたハーネスを介して、ラインの一端を体に接続する。通常の運動の場合、SRLはラインの伸長および引込を可能にする。ラインの伸長力が所定の速度を超えて発生した場合、SRLは、さらなるラインの伸長を遅らせたり停止させたりするように作用する。迅速なラインの伸長は、落下の結果であってもよく、SRLの遅らせる/停止させる特性は、ユーザの外傷を防止するように作用する。
【0005】
SRLが有効であるためには、ラインの伸長によって生成される突然の力が迅速に検出されなければならず、力は迅速に吸収/伝達され、場合によっては低減されて、完全なエネルギー転換(例えば停止運動)となる。多くの従来装置が既に存在し、エネルギーを吸収して落下を遅らせる/停止させるために、部材間のラッチまたは他の機械的相互作用を利用することが多い。従来のSRL装置の潜在的な問題は、製造プロセスまたは現場での使用から生じる可能性のある汚染、環境崩壊、変形、および磨耗の影響を受けやすいエネルギーの吸収に利用される従来のメカニズムの信頼性であり得る。このような信頼性の問題には、煩雑なチェックおよびサービスの必要性が求められ、このような従来の装置はユーザにさらなる被害を与える可能性がある。本明細書で説明される装置は、これらの潜在的な問題のいくつかを対処することができ、あるいは少なくとも公衆に選択肢を提供することができる。
【0006】
エネルギー吸収装置およびその使用方法のさらなる態様および利点は、単なる例として与えられる次の説明から明らかとされよう。
【発明の概要】
【0007】
特にさまざまな金属変形プロセスによりエネルギー入力を吸収するために装置部材間のさまざまなエネルギー吸収関係を利用する装置および使用方法が本明細書に記載されている。
【0008】
第1の態様では、
第1のエネルギー生成部材と、
第2のエネルギー吸収部材と、
を備えたエネルギー吸収装置が提供され、
第1のエネルギー生成部材によって所定の閾値を超えるエネルギー入力が生成されると、第2のエネルギー吸収部材は、材料変形プロセスにより第1の部材エネルギーの少なくとも一部を吸収する。
【0009】
第2の態様では、
(a)実質的に上記のようなエネルギー吸収装置を選択するステップと、
(b)所定の閾値を超えるエネルギー入力を第1のエネルギー生成部材に加え、それにより、第2のエネルギー吸収部材をトリガして、材料変形プロセスにより第1の部材エネルギーの少なくとも一部を吸収するステップと、
によってエネルギーを吸収する方法が提供される。
【0010】
本発明者らは、材料変形プロセスがエネルギーを吸収する有用な方法を提供し得ることを立証した。上記の吸収は、第1のエネルギー生成部材の運動を遅らせるまたは停止させる抑止力として作用することができる。
【0011】
上記の材料変形プロセスの利点は、最終的な構成に依存して変更されることができ、以下を含んでもよい:
所定の閾値を超える吸収力の迅速な展開;
部分から完全なエネルギー転換までの迅速な吸収/伝達;
説明された装置は、機械的に単純であり、材料の既知の予測可能な特性に依存するので、固有の信頼性を有する;
従来のラッチ装置から発生する可能性がある突然の停止を、材料の選択と設計によって回避できる;
高密度の力が吸収されることがある;
エネルギー吸収部材またはその一部を起動後に交換することができるため、起動後に装置を再設定できる;
エネルギー吸収部材またはその一部は、長い変形可能な長さ(高い歪み量)を有する。
【0012】
エネルギー吸収装置および使用方法のさらなる態様は、単なる例として与えられる以下の説明からおよび添付の図面を参照して、明らかとされよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】伸線の実施形態の一例を示す図である。
図2】伸線を利用する可能なSRLの実施形態を示す図である。
図3】伸線を利用する別の可能なSRLの実施形態を示す図である。
図4】直線運動の押出の実施形態を示す図である。
図5】回転運動の押出の実施形態を示す図である。
図6】摩擦溶接の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述したように、特にさまざまな金属変形プロセスによりエネルギー入力を吸収するために装置部材間のさまざまなエネルギー吸収関係を利用する装置および使用方法が本明細書に記載されている。
【0015】
本明細書の目的のために、「約(about)」または「おおよそ(approximately)」という用語やその文法上の変形は、基準の数量、レベル、程度、値、数、頻度、比率、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対し、30,25,20,15,10,9,8,7,6,5,4,3,2,または1%だけ異なる、数量、レベル、程度、値、数、頻度、比率、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
【0016】
「実質的に(substantially)」という用語またはその文法上の変形は、少なくとも約50%、例えば、75%、85%、95%、または98%を参照する。
【0017】
「含む、備える(comprise)」という用語やその文法上の変形は、その包括的な意味を有するべきであり、すなわち、列挙されている直接参照する構成要素だけでなく、他の特定されていない構成要素または要素を含むことを意味すると解釈される。
【0018】
「ロッド」、「ワイヤ」および「バー」という用語が、同じ意味で使用されてもよい。簡潔にするために、以下の説明は、一般的に丸い円形断面のロッド、ワイヤまたはバーを指すことができるが、限定されるべきではなく、正方形、長円形または楕円形断面などの他の断面が使用されてもよく、依然として同じまたは類似の機能を達成し得る。さらに、ロッド、ワイヤ、バーなどを、単数の文脈で参照することができるが、本発明は、同時に、所望の機能を達成するために複数のこのような要素で可能であり、したがって本発明の範囲内にあることが理解されよう。これらの複数の要素は、それぞれ所望の機能および性能特性を達成するように選択された形態、領域、および材料などの異なるものであってもよい。
【0019】
「部材」という用語は、記載された機能を共に達成することができる1つの部品もしくは要素または複数の部品もしくは要素を参照することができる。
【0020】
第1の態様では、
少なくとも1つの移動質量体と、
少なくとも1つのエネルギー吸収部材と、
を備えた装置が提供され、
少なくとも1つの移動質量体が所定の閾値に達すると、少なくとも1つのエネルギー吸収部材が係合して、少なくとも1つの移動質量体の運動に減速力を加え、少なくとも1つのエネルギー吸収部材に関連する材料の塑性変形によって少なくとも1つの移動質量体の運動エネルギーを仕事エネルギーに転換させる。
【0021】
本発明者らは、材料変形プロセスがエネルギーを吸収する有用な方法を提供し得ることを立証した。上記の吸収は、第1のエネルギー生成部材の運動を遅らせるまたは停止させる抑止力として作用することができる。
【0022】
上述した所定の閾値は、移動質量体の運動距離および/または移動質量体の運動速度であってもよい。
【0023】
上記の係合は、少なくとも1つの移動質量体と少なくとも1つのエネルギー吸収部材の結合によるものであってもよい。
【0024】
減速力は、結果として、少なくとも1つの移動質量体の運動を停止させることがあるが、減速は、運動速度の低下を指し、運動の完全な停止を指さない場合もある。
【0025】
係合前に、少なくとも1つの移動質量体は、少なくとも1つのエネルギー吸収部材に対して自由に動くことができる。例えば、移動質量体は、所定の閾値まで自由に回転するラインのスプールであってもよく、例えばスプールからのラインが迅速に展開し、このポイントで結合および吸収が生じる。
【0026】
外力は、少なくとも1つの移動質量体に動きを加えることができる。
【0027】
少なくとも1つの移動質量体は、直線方向に移動してもよく、少なくとも1つの移動質体量に加えられる減速力は、線形的な力であってもよい。あるいは、少なくとも1つの移動質量体が回転し、移動質量体に加えられる減速力がトルク力であってもよい。
【0028】
減速力は、移動質量体の移動方向と実質的に反対の方向に加えられてもよい。
【0029】
運動エネルギーが少なくとも1つのエネルギー吸収部材によって吸収され得る割合は、
(a)少なくとも1つの移動質量体から少なくとも1つのエネルギー吸収部材に加えられる力またはトルク、および/または
(b)少なくとも1つの移動質量体によって移動または回転される距離
に関連していてもよい。
【0030】
上述の塑性変形は、伸線、深絞り、管反転、およびこれらの組み合わせから選択される態様によって達成され得る。
【0031】
伸線は、細い腰部または肩部を有するダイのような口径の縮小する部材を通してバーを引っ張ることによってワイヤまたはバーの直径を小さくすることができる工業的プロセスである。
【0032】
深絞りまたは管反転は、金属がダイを通して引き込まれる伸線のスタイルとプロセスが似ているが、深絞りはプレートを引き込むことを指し、管反転はチューブを引き込む。これらのプロセスを、上述したエネルギー吸収装置について上述したのと同様のスタイルに適合させることができる。
【0033】
上記の態様で使用されるワイヤ、シートまたはチューブは、実質的に均一な材料特性を有することができ、その結果、少なくとも1つの移動質量体に実質的に線形的な減速力が加えられる。
【0034】
上記で使用される「均一な特性」という用語は、実質的に一定の減速力に達することを意味するが、随意により、減速力における少なくとも1つの限定された持続時間の変動を含み、例えば、係合時には減速力を与える際の初期増加を可能にする。
【0035】
あるいは、使用されるワイヤ、シートまたはチューブは、非一様な材料特性を有することができ、その結果、少なくとも1つの移動質量体に非線形的な減速力が加えられる。
【0036】
材料特性を、ワイヤ長の一部または全体に沿って変化させることができ、特性は、ワイヤ/シート/チューブの直径または幅、ワイヤ/シート/チューブの組成、変形前のワイヤ/シート/チューブ材料の処理、およびこれらの組み合わせなどから選択される。
【0037】
ワイヤ/シート/チューブをダイに通すのに必要な力は予測可能であり、ダイ内の材料を変形させるのに必要な歪みエネルギーに関連する。材料の選択により、ダイを通してワイヤを引っ張るのに必要な力を調整することができる。このプロセスは、高エネルギー密度の力を吸収することもできる。これは、次の理由による可能性がある:
ダイを通過する際に材料の全体積に歪みが生じる;
加工中の材料はダイ内に閉じ込められ、静水圧縮力を受けるため、高い応力を持続することができる;
変形される材料は高強度であり得るため、少量の材料から相当量の歪みエネルギーを発生させることができる。
【0038】
上述したように、伸長速度が遅くなるかまたは停止する抑止力プロファイルは、ワイヤを予備成形することによって調整することができる。例えば、最初にダイに入るワイヤの部分は、完全に成形された直径から、成形されていない直径まで有限の長さにわたって先細りにされてもよい。さらに、ワイヤをダイに通すために必要な力を、例えば異なる材料の使用、異なる直径の使用、変形前の材料処理などにより調整することができる。上記の変化の結果として、第1のエネルギー発生部材(例えば、スプール)に及ぼされるトルクを、さまざまな所定の態様に応じて、線形的なまたは非線形的ないずれかの態様で制御することができる。
【0039】
別の実施形態では、塑性変形は、バー曲げ形成または制御された座屈形成から選択される態様によるものであってもよく、ワイヤ、ロッド、バーまたはプレートは所定の態様で曲がったり座屈したりして、運動エネルギーを吸収し、減速力を加える。回転の実施形態では、曲げまたは座屈は、ワイヤ、ロッドまたはバーをねじる動作によるねじり変形であってもよい。
【0040】
ワイヤ、ロッド、バーまたはプレートは、実質的に均一な材料特性を有することができ、その結果、移動質量体に実質的に均一な減速力が加えられる。
【0041】
あるいは、ワイヤ、ロッド、バーまたはプレートは、不均一な材料特性を有することがあり、その結果、非線形的な減速力(1つまたは複数)が移動質量体に加えられる。
【0042】
不均一な特性は、複数の材料層を含むことができ、複数の材料層は異なる変形係数を有し、したがって、エネルギー吸収特性の変化を互いにもたらす。
【0043】
あるいは、材料変形プロセスは、バー曲げ形成または制御された座屈形成であってもよい。これらの実施形態では、ワイヤ、ロッド、バーまたはプレートは、第1の部材の力が所定のレベルを超えて加えられたときに、所定の態様で曲がったり座屈したりすることができる。別の形態では、これは、回転の意味で曲がっている可能性があり、一般に、ワイヤ、ロッドまたはバーをねじる動作によってねじり変形と呼ばれる。材料の歪みの程度は、エネルギー吸収の割合を制御し得る。この実施形態では、歪み量は材料の厚さによって異なることができ、その結果、エネルギー吸収の程度が調整され得る。例えば、複数の材料層を使用することができ、これらの材料は異なる弾性率を有し、したがって、エネルギー吸収特性の変化を互いにもたらす。
【0044】
さらなる別の実施形態では、塑性変形はスリッティングまたはせん断によるものであり、ワイヤまたはバーがスリッティングまたはせん断されて運動エネルギーを吸収し、減速力を加える。この実施形態では、第2のエネルギー吸収部材に所定の力が加えられた場合に、ワイヤ、ロッドまたはバーはスリッティングまたはせん断されてもよい。
【0045】
さらなる実施形態では、塑性変形は、室温で再結晶する材料を用いた押出によるものであってもよい。さらに、塑性変形は、エネルギー負荷の下で変形可能になる材料を用いた押出によるものであってもよい。これらの実施形態の両方において、複数の態様が、単独でまたは一緒に運動エネルギーを吸収し、減速力を加える。変形のために使用される材料は、実現された物品が一回使用の装置であるか複数回使用の装置であるかに依存し得る。一回使用の装置は、永久に変形する材料、例えば金属もしくは金属合金および/またはプラスチックを使用することができる。複数回使用の装置を設計することが意図されている場合、(例えば材料の記憶により)変わらないままであるか、変形後に元の位置に戻る性質を有する材料を有することが有用であり得る。複数回使用の材料の例は、再結晶化するゴム、ゲルまたは金属を含み得る。一実施形態では、材料は鉛または鉛合金であってもよい。
【0046】
材料は、押出可能な材料の形状およびサイズに対して狭められた容積部を通過する膨出部分を伴うワイヤとして形成されてもよい。直線運動の実施形態では、膨出部分は、ハウジング内に囲まれたロッドであってもよく、ロッドとハウジングとの間に相対運動が生じると、膨出部分はハウジングのより狭められた領域に押し込まれる。あるいは、回転運動の実施形態では、膨出部分がハウジングの内部に形成され、ハウジングは、異なる速度で共に回転する複数の回転要素または逆回転する複数の回転要素と、回転要素間における押出可能な材料が収容される円形の開口部とから形成され、回転要素間に相対回転が生じると、押出可能な材料は、より狭められた空間に押し込まれて、材料変形を引き起こし、回転要素間の相対運動を遅らせる。
【0047】
さらなる実施形態では、塑性変形は摩擦溶接によるものであってもよい。例えば、少なくとも1つの移動質量体が、エネルギー吸収部材として作用する固定反作用バーに軸方向荷重により係合することができる回転バーであることにより、摩擦溶接が達成されてもよく、質量体と部材が接触したときに、軸方向荷重によって生じる2つの表面間の摩擦は、2つの構成要素を一緒に溶接するのに十分な熱をもたらし、減速力は、溶接プロセス中の吸収部材の付着によって得られる。移動質量体に加えられる減速力の割合は、実質的に均一であり得る。あるいは、少なくとも1つの移動質量体に加えられる減速力の割合は、使用される材料および少なくとも1つの移動質量体の運動の速度または適用される軸方向荷重のレベルを変化させることによって、不均一となる場合がある。例えば、SRLの実施形態では、落下検出機構は、ばね力の印加をトリガすることによって、溶接された構成要素の軸方向荷重を作動させることができる。この実施形態は、例えば、落下事象後に溶接された構成要素を取り外し、交換することによって、SRLの容易なリセットを可能にするために有用であり得る。
【0048】
第2の態様では、
(a)実質的に上記のような装置を選択するステップと、
(b)所定の閾値を超えるエネルギー入力を生じさせる動きを少なくとも1つの移動質量体に加え、それにより、少なくとも1つのエネルギー吸収部材をトリガして、材料変形プロセスにより少なくとも1つの移動質量体の運動エネルギーの少なくとも一部を吸収するステップと、
によって、エネルギーを吸収する方法が提供されている。
【0049】
本明細書に記載された装置の最終的な実施形態は変更されてもよい。例えば、オートビレイまたはセルフリトラクティングライフライン(SRL)の実施形態は、エネルギー吸収機構を使用することができる。SRLの実施形態では、ラインはSRL装置に対して伸長および引込が可能であり、ラインがSRL装置から所定の閾値を超える速度で伸長するとき、エネルギー吸収部材は係合して、ラインの伸長速度に減速力を加え、エネルギー吸収部材に関連する材料の塑性変形によってラインの運動エネルギーを仕事エネルギーに転換させる。記載された装置を他の多種多様な用途に使用することができるので、SRLおよびオートビレイの用途は限定的であると見なされるべきではなく、非限定的な例には以下の速度制御および負荷制御が挙げられる:
ロータリタービンのロータ;
運動器具、例えば、ローイングマシン、エピサイクリックトレーナ、ウェイトトレーニング機器;
ローラコースタおよび他の娯楽用乗り物;
エレベータおよびエスカレータシステム;
避難降下装置と火災避難装置;
コンベヤシステム;
工場の生産施設におけるロータリドライブ;
コンベヤベルトやシュート内の制動装置などのマテリアルハンドリング装置;
路側安全システム、例えば、路側バリアまたは路側バリア終端のようなエネルギー吸収器が、エネルギー吸収器を介したエネルギーの散逸を経て衝突減衰を提供するシステムに接続されてもよい;
車両のシートベルト;
ジップライン;
トロリおよびキャリッジの制動機構;
輸送用途におけるバンプストップ;
クレーン用途におけるバンプストップ;
機械式ドライブトレインのトルクまたは力制限装置;
風力タービンの構造過負荷保護;
構造物、建物および橋梁における荷重制限およびエネルギー散逸。
【0050】
上記の材料変形プロセスの利点は、最終的な構成に依存して変更されることができ、以下を含んでもよい:
所定の閾値を超える吸収力の迅速な展開;
部分から完全な移動までの迅速な吸収/伝達;
説明された装置は、機械的に単純であり、材料の既知の予測可能な特性に依存するので、固有の信頼性を有する;
従来のラッチ装置から発生する可能性がある突然の停止を、材料の選択と設計によって回避できる;
高密度の力が吸収されることがある;
エネルギー吸収部材またはその一部を起動後に交換することができるため、起動後に装置を再設定できる。
【0051】
上述の実施形態は、本出願の明細書において個別にまたは集合的に参照されるかまたは示される部品、要素および特徴、ならびに任意の2つ以上の前記部品、要素または特徴の任意のまたはすべての組み合わせからなると広く言及されてもよい。
【0052】
また、特定の完全体が、本実施形態が関連する技術で均等物と知られているものとして本明細書に記載されている場合には、このような既知の均等物は、個別に記載のように本明細書に組み込まれると見なされる。
【0053】
ここで、上述のエネルギー吸収装置および使用方法は、具体例を参照して説明される。
【0054】
例1
図1は、伸線の原理を示している。矢印1で全体的に示されるエネルギー吸収部材は、異なる直径2A,2Bのワイヤまたはロッド2であってもよい。ワイヤ2は、エネルギー入力がワイヤ2に加えられると、腰部のくびれたダイ3を通って方向Xに進み、その際、ワイヤ2の伸線が腰部のくびれたダイ3を通って発生することにより、ワイヤ2は、ダイ3を通る直径の減少によって変形する。このワイヤの変形による面積の減少によりエネルギーが吸収される。
【0055】
例2
図2は、例1に記載されたワイヤまたはバー2がディスク11のリム10に取り付けられた状態のSRLの実施形態を示しており、このディスクは、ライン(図示せず)が取り付けられているスプール(図示せず)の伸長/引込動作中には通常静止している。落下が発生すると、ラインの伸長(第1のエネルギー生成部材)の急速な速度増加によってスプールの運動を引き起こす。起動機構は、スプールをディスク11(第2のエネルギー吸収部材)に接続し、ディスク11を回転させ、その後、ダイ12を通してワイヤ2を引き込む。結果として生じる材料変形プロセスは、落下エネルギーを吸収し、それによってラインからの繰り出しを遅くする(または停止させる)。
【0056】
例3
あるいは、図3に示すように、SRLは回転ディスク20を有してもよく、ダイ21は回転ディスク20の一部を形成するか、回転ディスク20に一体化される。未変形のワイヤ2はディスク20の周りに巻き付けられ、自由端はSRLハウジング22に固定される。エネルギー入力が所定のレベルを超えて回転ディスク20に加えられると、ワイヤ2はダイ21を通って押し出され、それにより材料変形が行われる。
【0057】
例4
代わりに、押出によって金属変形を完了してもよい。図4は、ハウジング30a内に支持された第1のエネルギー生成部材30を使用する押出変形の実施形態を示している。ハウジング30aおよび第1のエネルギー生成部材30は、膨出部32領域を有する細長いロッドとして示されている図4の第2のエネルギー吸収部材31を囲んでいる。第1のエネルギー吸収部材30は、鉛などの展性のある材料から製造されてもよい。
【0058】
エネルギー入力は、加えられた力を受けたときに移動するハウジング30aによって生成されてもよい。この入力が所定の閾値を下回ると、エネルギー吸収部材30は変形せず、したがって、膨出部32領域の周りのハウジング30aの運動を防止する。エネルギー入力が所定の閾値を超えると、第1のエネルギー吸収部材30(鉛)は膨出部32の付近で変形する。これにより、膨出部32の材料がハウジング30a内のより狭められた空間に押し込まれ、その際、材料変形プロセスによって第1の部材30およびハウジング30aのエネルギーの少なくとも一部が吸収される。
【0059】
例5
図5は、例4に対する代替的な押出の実施形態を示している。上記の例4および図4は、ハウジング30の直線または略直線の移動方向を示している。代わりに、ハウジング40内に支持された第1のエネルギー生成部材41を使用して、図5に示すように回転手段を使用することができる。ハウジング40および第1のエネルギー生成部材41は、図5において周縁部に沿って2つの膨出部43を有する環として示されている、第2のエネルギー吸収部材42を囲んでいる。エネルギー吸収部材42を、鉛などの展性のある材料で作ることができる。エネルギー入力は、加えられた力を受けたときに回転するハウジング40によって生成されてもよい。この入力が所定の閾値を下回ると、第1のエネルギー吸収部材42は変形せず、したがってハウジング40の運動を防止する。エネルギー入力が所定の閾値を超える場合、第1のエネルギー吸収部材42は、膨出部43の付近で変形する。これにより、膨出部43の材料がハウジング40内のより狭められた空間に押し込まれ、その際、材料変形プロセスによって第1の部材41およびハウジング40のエネルギーの少なくとも一部が吸収される。
【0060】
例6
あるいは、材料変形プロセスは摩擦溶接を介してもよい。図6は、金属変形を達成するための1つの手段を示している。図6に示すように、伸長可能なライン51を有するスプール50(第1のエネルギー生成部材)は、固定バー53と軸方向に整列した回転バー52に連結され、回転バー52と固定バー53は、エネルギー吸収部材である。
【0061】
通常の動作では、回転バー52と固定バー53は接続されていない。所定の閾値に達した場合には、回転バー52は、固定バー53または回転バー52の軸方向移動によって固定バー53に対して軸方向に負荷される。回転バー52と固定バー53の表面が接触するとき、2つの表面の間の摩擦は、材料の選択、部材52,53の運動速度などによって、2つの構成要素52,53を共に溶接するのに十分な熱をもたらし得る。溶接が行われると、回転構成要素52は、固定構成要素53への付着によって引き起こされる制動力を受けることになるので、溶接プロセス中にエネルギーが吸収される。SRLの実施形態では、落下検出機構は、例えば、ばね力を介して軸方向移動をトリガすることによって、構成要素52,53の軸方向荷重を起動することができる。溶接後に、構成要素52,53を取り外し、新しい別個の構成要素52,53と交換することができる。
【0062】
エネルギー吸収装置の態様および使用方法は、単なる一例として記載されており、修正や追加が、本明細書の特許請求の範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解されるべきである。
[発明の項目]
[項目1]
少なくとも1つの移動質量体と、
少なくとも1つのエネルギー吸収部材と、
を備えた装置であって、
前記少なくとも1つの移動質量体が所定の閾値に達すると、前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材が、係合して、前記少なくとも1つの移動質量体の運動に減速力を加え、前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材に関連する材料の塑性変形によって前記少なくとも1つの移動質量体の運動エネルギーを仕事エネルギーに転換させる、
装置。
[項目2]
前記係合が、前記少なくとも1つの移動質量体と前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材の結合によるものである、項目1に記載の装置。
[項目3]
前記減速力が、前記少なくとも1つの移動質量体の運動を停止させる、項目1または2に記載の装置。
[項目4]
前記係合の前に、前記少なくとも1つの移動質量体が、前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材に対して自由に動く、項目1~3のいずれか一項に記載の装置。
[項目5]
外力が前記少なくとも1つの移動質量体に動きを加える、項目1~4のいずれか一項に記載の装置。
[項目6]
前記少なくとも1つの移動質量体が直線方向に移動し、前記少なくとも1つの移動質量体に加えられる前記減速力が線形的な力である、項目1~5のいずれか一項に記載の装置。
[項目7]
前記少なくとも1つの移動質量体が回転し、前記移動質量体に加えられる前記減速力がトルク力である、項目1~5のいずれか一項に記載の装置。
[項目8]
前記減速力が、前記移動質量体の移動方向と実質的に反対の方向に加えられる、項目1~7のいずれか一項に記載の装置。
[項目9]
運動エネルギーが前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材によって吸収される割合が、
(a)前記少なくとも1つの移動質量体から前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材に加えられる力またはトルク、および/または
(b)前記少なくとも1つの移動質量体によって移動または回転される距離
に関連している、項目1~8のいずれか一項に記載の装置。
[項目10]
前記塑性変形が、伸線、深絞り、管反転、およびそれらの組み合わせから選択される態様によるものである、項目1~9のいずれか一項に記載の装置。
[項目11]
使用されるワイヤ、シートまたはチューブが、実質的に均一な材料特性を有し、その結果、前記少なくとも1つの移動質量体に実質的に線形的な減速力が加えられる、項目10に記載の装置。
[項目12]
前記ワイヤが、不均一な材料特性を有し、その結果、前記少なくとも1つの移動質量体に非線形的な減速力が加えられる、項目10に記載の装置。
[項目13]
前記材料特性が、前記ワイヤの長さの一部または全体に沿って変化し、ワイヤの直径、ワイヤの組成、変形前のワイヤ材料の処理、およびこれらの組み合わせから選択される、項目12に記載の装置。
[項目14]
前記塑性変形が、バー曲げ形成または制御された座屈形成から選択される態様によるものであり、ワイヤ、ロッド、バーまたはプレートは所定の態様で曲がったり座屈したりして、運動エネルギーを吸収し、前記減速力を加える、項目1~9のいずれか一項に記載の装置。
[項目15]
回転の実施形態では、前記曲げ形成または座屈形成が、ワイヤ、ロッドまたはバーをねじる動作によるねじれ変形である、項目14に記載の装置。
[項目16]
前記ワイヤ、ロッド、バーまたはプレートが、実質的に均一な材料特性を有し、その結果、前記移動質量体に実質的に均一な減速力が加えられる、項目14または15に記載の装置。
[項目17]
前記ワイヤ、ロッド、バーまたはプレートが、不均一な材料特性を有し、その結果、非線形的な減速力が前記移動質量体に加えられる、項目14または15に記載の装置。
[項目18]
前記不均一な特性が、複数の材料層を含み、前記複数の材料層は、異なる変形係数を有し、したがって、エネルギー吸収特性の変化を互いにもたらす、項目17に記載の装置。
[項目19]
前記塑性変形がスリッティングまたはせん断によるものであり、ワイヤまたはバーがスリッティングまたはせん断されて運動エネルギーを吸収し、前記減速力を加える、項目1~9のいずれか一項に記載の装置。
[項目20]
前記塑性変形が、室温で再結晶する材料を用いた押出によるものである、項目1~9のいずれか一項に記載の装置。
[項目21]
前記塑性変形が、エネルギー負荷の下で変形可能になる材料を用いた押出によるものであり、それによって運動エネルギーを吸収し、前記減速力を加える、項目1~9のいずれか一項に記載の装置。
[項目22]
前記材料が鉛または鉛合金である、項目20または21に記載の装置。
[項目23]
前記材料が、押出可能な材料の形状およびサイズに対して狭められた容積部を通過する膨出部分を伴うワイヤとして形成される、項目20~22のいずれか一項に記載の装置。
[項目24]
直線運動の実施形態では、前記膨出部分が、ハウジング内に囲まれたロッドであり、前記ロッドと前記ハウジングとの間に相対運動が生じると、前記膨出部分は前記ハウジングのより狭められた領域に押し込まれる、項目20~23のいずれか一項に記載の装置。
[項目25]
回転運動の実施形態では、前記膨出部分が前記ハウジングの内部に形成され、前記ハウジングは、異なる速度で共に回転する複数の回転要素または逆回転する複数の回転要素と、前記回転要素間における前記押出可能な材料が収容される円形の開口部とから形成され、前記回転要素間に相対回転が生じると、前記押出可能な材料は、より狭められた空間に押し込まれて、材料変形を引き起こし、前記回転要素間の相対運動を遅らせる、項目20~23のいずれか一項に記載の装置。
[項目26]
前記塑性変形が摩擦溶接によるものである、項目1~9のいずれか一項に記載の装置。
[項目27]
前記少なくとも1つの移動質量体が、前記エネルギー吸収部材として作用する固定反作用バーに、軸方向荷重により係合する回転バーであり、前記質量体と前記部材が接触したときに、前記軸方向荷重によって生じる2つの表面間の摩擦は、前記2つの構成要素を溶接するのに十分な熱をもたらし、前記減速力は、溶接プロセス中の前記吸収部材の付着によって得られる、項目25に記載の装置。
[項目28]
前記移動質量体に加えられる前記減速力の割合が、実質的に均一である、項目26に記載の装置。
[項目29]
前記少なくとも1つの移動質量体に加えられる前記減速力の割合が、使用される材料および前記少なくとも1つの移動質量体の運動速度を変化させることによって不均一となる、項目26に記載の装置。
[項目30]
セルフリトラクティングライフライン(SRL)装置であって
前記SRL装置に対して伸長しおよび引き込められるラインと、
エネルギー吸収部材と、
を備え、
前記ラインが前記SRL装置から所定の閾値を超える速度で伸長するとき、前記エネルギー吸収部材が、係合して、前記ラインの伸長速度に減速力を加え、前記エネルギー吸収部材に関連する材料の塑性変形によって前記ラインの運動エネルギーを仕事エネルギーに転換させる、
SRL装置。
[項目31]
a.項目1~28のいずれか一項に記載の装置を選択するステップと、
b.前記所定の閾値を超えるエネルギー入力を生じさせる動きを前記少なくとも1つの移動質量体に加え、それにより、前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材をトリガして、材料変形プロセスにより前記少なくとも1つの移動質量体の運動エネルギーの少なくとも一部を吸収するステップと、
によって、エネルギーを吸収する方法。
[項目32]
実質的に例および図を参照して上に説明した装置。
[項目33]
実質的に例および図を参照して上に説明したSRL装置。
[発明の条項]
[条項1]
エネルギー吸収装置であって、
スプールに巻かれたラインであって、前記エネルギー吸収装置に対して伸長しおよび引き込められる第1の端部と、前記スプールに結合される反対の端部とを有するラインと、
少なくとも1つのエネルギー吸収部材と、
を備えており、
前記ラインの前記第1の端部が所定の閾値未満の速度で前記エネルギー吸収装置に対して伸長すると、前記ラインの前記第1の端部が、前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材に対して自由に動き、
前記ラインの前記第1の端部が所定の閾値を超える速度で前記エネルギー吸収装置に対して伸長すると、前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材が、前記ライン及びスプールに係合して、前記ラインの伸長の速度に減速力を加え、前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材の塑性変形によって前記ラインの運動エネルギーを仕事エネルギーに転換させ、塑性変形が、
管反転であり、前記エネルギー吸収部材がチューブを含み、ダイを通して前記チューブを引っ張ることによりチューブの引き込み中に、前記チューブが反転されたチューブに塑性変形される、管反転
によりなされる、エネルギー吸収装置。
[条項2]
前記減速力が、前記ラインの前記第1の端部の運動を停止させる、条項1に記載のエネルギー吸収装置。
[条項3]
外力が前記ラインの前記第1の端部に動きを加える、条項1又は2に記載のエネルギー吸収装置。
[条項4]
前記ラインの前記第1の端部が直線方向に移動し、前記ラインの前記第1の端部に加えられる前記減速力が線形的な力である、条項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置。
[条項5]
前記減速力が、前記ラインの前記第1の端部の移動方向と実質的に反対の方向に加えられる、条項1~4のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置。
[条項6]
運動エネルギーが前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材によって吸収される割合が、
(a)前記ラインにより前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材に加えられる力またはトルク、および/または
(b)前記ラインの前記第1の端部が移動する距離
に関連している、条項1~5のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置。
[条項7]
前記エネルギー吸収部材が、実質的に均一な材料特性を有し、その結果、前記ラインの前記第1の端部に実質的に線形的な減速力が加えられる、条項1~6のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置。
[条項8]
前記エネルギー吸収部材が、不均一な材料特性を有し、その結果、前記ラインの前記第1の端部に非線形的な減速力が加えられる、条項1~7のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置。
[条項9]
前記エネルギー吸収装置がセルフリトラクティングライフラインである、条項1~8のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置。
[条項10]
エネルギー吸収装置によりエネルギーを吸収する方法であって、
a.条項1~8のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置を選択するステップと、
b.前記所定の閾値を超えるエネルギー入力を生じさせる動きを前記ラインの前記第1の端部に加え、それにより、前記少なくとも1つのエネルギー吸収部材をトリガして、前記管反転のプロセスにより前記ラインの前記第1の端部の運動エネルギーの少なくとも一部を吸収するステップと、
を含む、エネルギーを吸収する方法。
[条項11]
条項1~8のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置を少なくとも一つ備える路側バリア。
[条項12]
条項1~8のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置を少なくとも一つ備える路側バリア終端。
図1
図2
図3
図4
図5
図6