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  • 特許-電気抵抗溶接電極 図1
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  • 特許-電気抵抗溶接電極 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】電気抵抗溶接電極
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/30 20060101AFI20240819BHJP
   B23K 11/24 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B23K11/30 310
B23K11/24 338
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019039003
(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2020131285
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-01-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】512035918
【氏名又は名称】青山 省司
(72)【発明者】
【氏名】青山 好高
(72)【発明者】
【氏名】青山 省司
【合議体】
【審判長】渋谷 善弘
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-183414(JP,A)
【文献】特開平10-58158(JP,A)
【文献】実開昭61-182684(JP,U)
【文献】特開2010-247221(JP,A)
【文献】特開2003-136254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/14
B23K 11/24
B23K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形とされ導通性金属材料で構成された電極本体が、エアシリンダなどの進退駆動手段に結合される第1部材と、この第1部材にねじ部を介して結合されている第2部材と、この第2部材にねじ部を介して結合されているとともに平坦な加圧端面が形成された第3部材から構成され、
第1部材と第2部材に大径孔が形成され、
第3部材に小径孔が形成され、
第2部材の大径孔に絶縁性合成樹脂材料で構成された筒状部材である断面円形の主案内筒がはめ込まれて、主案内筒が電極本体に固定されているとともに、大径孔よりも小径で第3部材に形成された小径孔に絶縁性合成樹脂材料で構成された筒状部材である断面円形の副案内筒がはめ込まれて、副案内筒が電極本体に固定されていることにより、第2部材の大径孔の内面と第3部材の小径孔の内面が主案内筒と副案内筒によって覆われており、
導通性金属材料で作られた断面円形の主検知部材が、主案内筒内に摺動可能な状態ではめ込まれ、
主検知部材よりも小径で断面円形とされているとともに、主検知部材と一体化されている導通性金属材料で作られた断面円形の副検知部材が、副案内筒内に摺動可能な状態ではめ込まれ、
進出作動前の待機状態において、副検知部材は電極本体の加圧端面よりも突き出るようにその長さが設定され、
主検知部材への通電性を良好にする平坦な通電端面が、主検知部材自体の端面によって主検知部材の端部に形成され、
第1部材における大径孔の内端部に絶縁状態で配置された通電端子板と、主検知部材の通電端面との間に圧縮コイルスプリングが挿入されており、
通電端子板が配置された第1部材と、主案内筒がはめ込まれているとともに、主案内筒内に主検知部材と圧縮コイルスプリングが挿入された第2部材と、副検知部材が貫通する副案内筒がはめ込まれた第3部材の3部材を、ねじ部を介して一体化するように構成し、
主案内筒は、第1部材側が開放形状とされ、第3部材側に副検知部材が貫通する通孔が設けられた底板が形成され、
主案内筒の厚さと、主案内筒の底板の厚さはほぼ同じ厚さ寸法に設定され、
第3部材をねじ部を介して第2部材に一体化したとき、副案内筒の端部が底板に接触するように構成し、
通電端子板と電極本体に検知電流の導通線が結線してあることを特徴とする電気抵抗溶接電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、相手方電極に部品がセットされていないことを検知する、電気抵抗溶接電極に関している。
【背景技術】
【0002】
特開平10-58158号公報には、相手方電極にプロジェクションボルトなどの部品が正しくセットされていないことを検知する電極が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-58158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献には、相手方電極に部品が正しく保持されているときには、正常に溶接電流が通電されて溶接が完了し、もしも、部品が相手方電極に保持されていないときには、部品不存在を検知することが記載されている。
【0005】
特許文献1に記載されている電気抵抗溶接電極は、電極本体内を進退する検知用部品が、合成樹脂製の摺動部材、金属製の検知ピン、ワッシャ、ボルトなど、複数の部品が複雑に組み合わされたものなので、コイルスプリングの着座性が不安定になって、この部分において通電不良が発生したり、複数部品間の導通性が不良になったり、複数部品の組立工数が増加したりして、生産性が向上しない、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、進退動作をする検知部材への通電性を向上し、構造を簡素化して、生産性向上、作動耐久性向上などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、
断面円形とされ導通性金属材料で構成された電極本体が、エアシリンダなどの進退駆動手段に結合される第1部材と、この第1部材にねじ部を介して結合されている第2部材と、この第2部材にねじ部を介して結合されているとともに平坦な加圧端面が形成された第3部材から構成され、
第1部材と第2部材に大径孔が形成され、
第3部材に小径孔が形成され、
第2部材の大径孔に絶縁性合成樹脂材料で構成された筒状部材である断面円形の主案内筒がはめ込まれて、主案内筒が電極本体に固定されているとともに、大径孔よりも小径で第3部材に形成された小径孔に絶縁性合成樹脂材料で構成された筒状部材である断面円形の副案内筒がはめ込まれて、副案内筒が電極本体に固定されていることにより、第2部材の大径孔の内面と第3部材の小径孔の内面が主案内筒と副案内筒によって覆われており、
導通性金属材料で作られた断面円形の主検知部材が、主案内筒内に摺動可能な状態ではめ込まれ、
主検知部材よりも小径で断面円形とされているとともに、主検知部材と一体化されている導通性金属材料で作られた断面円形の副検知部材が、副案内筒内に摺動可能な状態ではめ込まれ、
進出作動前の待機状態において、副検知部材は電極本体の加圧端面よりも突き出るようにその長さが設定され、
主検知部材への通電性を良好にする平坦な通電端面が、主検知部材自体の端面によって主検知部材の端部に形成され、
第1部材における大径孔の内端部に絶縁状態で配置された通電端子板と、主検知部材の通電端面との間に圧縮コイルスプリングが挿入されており、
通電端子板が配置された第1部材と、主案内筒がはめ込まれているとともに、主案内筒内に主検知部材と圧縮コイルスプリングが挿入された第2部材と、副検知部材が貫通する副案内筒がはめ込まれた第3部材の3部材を、ねじ部を介して一体化するように構成し、
主案内筒は、第1部材側が開放形状とされ、第3部材側に副検知部材が貫通する通孔が設けられた底板が形成され、
主案内筒の厚さと、主案内筒の底板の厚さはほぼ同じ厚さ寸法に設定され、
第3部材をねじ部を介して第2部材に一体化したとき、副案内筒の端部が底板に接触するように構成し、
通電端子板と電極本体に検知電流の導通線が結線してあることを特徴とする電気抵抗溶接電極である。
【発明の効果】
【0008】
相手方電極に部品が正常に保持されているときには、導通線、通電端子板、圧縮コイルスプリング、通電端面、主検知部材と副検知部材からなる検知部材、部品の一部、電極本体、導通線からなる導通回路が形成されるので、この導通によって部品が正常に相手方電極に保持されていることが確認され、この確認信号をトリガーにして溶接電流の通電がなされて、溶接が完了する。
【0009】
検知部材は、主検知部材と副検知部材によって形成された簡素化された構造であるから、細長い金属素材に切削加工を施したり、主検知部材に副検知部材を結合したりして、簡単に製作することができる。上記のような製作方法を採用することによって、主検知部材から副検知部材への導電性が確実なものとなる。
【0010】
導通性金属材料で作られた主検知部材と副検知部材の形状は、主検知部材を円柱型とし、副検知部材を主検知部材よりも小径の丸棒型にすることができる。したがって、金属製の検知部材を大径部材と小径部材からなる簡素化された形状とすることができる。また、このように簡素化された形状の検知部材が、絶縁性合成樹脂材料で構成された主案内筒と副案内筒内に収容されているので、電極本体内には合成樹脂製の筒状部材と金属製の円柱・丸棒状部材が収容され、電極全体としての構造が簡素化される。
【0011】
主検知部材の端部に形成された通電端面は平坦な形状であるから、圧縮コイルスプリングの着座状態が密着性の良好なものとなり、圧縮コイルスプリングから主検知部材への通電性が良好なものとなる。主検知部材と副検知部材は、それぞれ主案内筒と副案内筒内を摺動するものであるから、検知部材の進退案内が確実に果たされるとともに、確実な絶縁性が確保できる。
【0012】
電極本体側の絶縁構造が、絶縁性合成樹脂材料製の主案内筒と副案内筒によるものであるから、両案内筒を簡素な形状の筒状部材で構成することができ、構造簡素化において効果的である。主案内筒と副案内筒が電極本体内に静止状態ではめ込まれ、両案内筒内を簡素化された形状の主検知部材と副検知部材が摺動する。このため、両検知部材の進退動作が円滑に達成され、電極としての作動信頼性が向上する。
【0013】
相手方電極に部品が存在しないときには、電極進出の際に、突出している副検知部材が部品に加圧されないので、上述のような部品を介した通電回路が不成立となって、部品欠如が検知され、溶接動作の停止が確実になされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電極の断面図や検知部材の斜視図である。
図2】主検知部材の部分的な断面図である。
図3】主検知部材と副検知部材の結合構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明の電気抵抗溶接電極を実施するための形態を説明する。
【実施例
【0016】
図1図3は、本発明の実施例を示す。
【0017】
最初に、部品について説明する。
【0018】
ここでの部品は、鉄製のプロジェクションボルト1である。雄ねじが切られた軸部2と、軸部2と一体化されている平板状で円形のフランジ3と、軸部2側のフランジ面に設けられた複数の溶着用突起4から構成されている。溶着用突起4は、同一円上に120度間隔で3個設けてある。以下の説明において、プロジェクションボルトを単にボルトと表現する場合もある。
【0019】
固定電極5には、軸部2の受入孔6が開けてある。固定電極5上に平坦な鋼板部品7が載置され、鋼板部品7に開けた下孔8が受入孔6に同軸状態で連通している。ボルト1を下孔8や受入孔6に挿入するのは、進退式の供給ロッドや作業者の手作業などで行われる。
【0020】
つぎに、電極本体について説明する。
【0021】
クロム銅のような銅合金製導電性材料で作られた電極本体10は、円筒状の形状であり、断面円形とされ、エアシリンダなどの進退駆動手段11に結合される円筒状の第1部材12と、円筒状の第2部材13と、円形の第3部材14から構成されている。第1部材12と第2部位13はねじ部15で一体化され、第2部材13と第3部材14はねじ部16で一体化されている。電極本体10には、少なくとも断面円形の大径孔17と、それに連続している小径孔18が形成されている。大径孔17は、第1部材12と第2部材13に設けられ、小径孔18は、第3部材14に設けられている。上記のように電極本体10は、可動電極の主要な構成部材となっている。
【0022】
つぎに、案内筒について説明する。
【0023】
大径孔17に、絶縁性合成樹脂材料で構成された主案内筒20がはめ込んである。主案内筒20の底板21に、通孔22が設けてある。この絶縁性合成樹脂材料には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン・登録商標)が用いてあり、他の材料としては、ポリアミド樹脂の中から、耐熱性、耐摩耗性にすぐれた合成樹脂材料を採用することも可能である。また、小径孔18に、絶縁性合成樹脂材料で構成された副案内筒23がはめ込んである。この絶縁性合成樹脂材料には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン・登録商標)が用いてあり、他の材料としては、ポリアミド樹脂の中から、耐熱性、耐摩耗性にすぐれた合成樹脂材料を採用することも可能である。
【0024】
第3部材14は、平坦な加圧端面24が形成された電極の端部材であり、加圧端面24が加圧で摩耗したり変形したりすると、交換するようになっている。加圧端面24の中央に開口し副案内筒23に連通している連通孔25が第3部材14に設けてある。
【0025】
つぎに、検知部材について説明する。
【0026】
導通性金属材料で作られた断面円形の主検知部材27が、主案内筒20内に摺動可能な状態ではめ込まれている。主検知部材27は、円柱状の部材で構成され、その端部に平坦な通電端面19が形成してある。主検知部材27よりも小径で断面円形とされているとともに、主検知部材27と一体化されている導通性金属材料で作られた断面円形の副検知部材28が、副案内筒23内に摺動可能な状態ではめ込まれている。副検知部材28は、丸棒状の部材で構成されている。主検知部材27、副検知部材28を構成している導電性金属材料としては、ステンレス鋼が用いてある。主検知部材27と副検知部材28は、1本の素材に切削加工を施して形成してある。
【0027】
連通孔25の内径は、副検知部材28の直径よりも大きく設定してあり、こうすることによって副検知部材28と連通孔25の間に、絶縁空隙26が形成されている。
【0028】
大径孔17の最奥部である内端部にカップ状の絶縁部材30がはめ込んであり、その中に銅合金製で平板状の通電端子板31が組み込んである。検知電流の導通線32が、通電端子板31に接合してある。もう一方の導通線33は、電極本体10の外側面に結合してある。
【0029】
通電端子板31と通電端面19の間に、圧縮コイルスプリング34が挿入され、その張力は、主検知部材27の下端面が底板21に押し付けられることによって、受け止められている。圧縮コイルスプリング34は、平坦な通電端面19と平坦な通電端子板31に着座しているので、導通性が良好になっている。
【0030】
電極の進出作動前の待機状態において、副検知部材28が電極本体10の加圧端面24よりも突き出るようにその長さが設定されている。その突出長さは、符号Lで示してある。
【0031】
主検知部材27に、合成ゴム製のOリング35がはめ込まれて、導通性に支障をきたすような不純物が圧縮コイルスプリング34の導通箇所に到達しないようにしてある。
【0032】
上記実施例では、可動電極側に検知部材や案内筒などを組み込んだ場合を示したが、これらの部材を固定電極側に配置することも可能である。
【0033】
図2に示した変形例は、主検知部材27の端面に浅い窪み凹部36を設けて、そこに平坦な通電端面19を形成したものであり、圧縮コイルスプリング34のずれ防止が図られている。
【0034】
図3に示した変形例は、主検知部材27に副検知部材28をねじ込んで溶接したもので、黒く塗り潰した箇所が溶着部37である。
【0035】
つぎに、作動を説明する。
【0036】
図1(A)に示す状態は、ボルト1が鋼板部品7の下孔8と固定電極5の受入孔6に挿入され、副検知部材28が突出した状態の待機状態である。このときには、絶縁空隙26によって副検知部材28と第3部材14は導通していない。すなわち、主検知部材27と副検知部材28は、主案内筒20と副案内筒23内に収容され、しかも絶縁空隙26が設置してあるので、導通線32から圧縮コイルスプリング34をへて主検知部材27と副検知部材28に流れた検知電流は、電極本体10へ通電されない。
【0037】
この状態から電極が進出すると、副検知部材28の先端がフランジ3に突き当たり、副検知部材28は圧縮コイルスプリング34を縮めながら電極本体10内へ相対的に後退する。さらに、図1(A)の2点鎖線図示のように、電極が進出して加圧端面24がフランジ3に当たると、副検知部材28と電極本体10は、フランジ3を介して導通状態になる。
【0038】
したがって、導通線32、通電端子板31、圧縮コイルスプリング34、通電端面19、主検知部材27と副検知部材28からなる検知部材、フランジ3、電極本体10、他方の導通線33からなる導通回路が形成される。この導通回路の通電をトリガーにして、溶接電流の通電がなされる。
【0039】
ボルト1が何等かの原因で供給されていない場合には、図1(C)に示した状態になる。副検知部材28が突出したまま下孔8や受入孔6に入り込んで、加圧端面24が鋼板部品7に密着する。この状態では、絶縁空隙26の介在によって副検知部材28と電極本体10の導通がなされていないので、検知電流は通電されない。ボルト欠如の検知は色々な回路で実施することができるが、タイマーを用いるのが望ましい。すなわち、上記のような電極進出がなされてから、一定時間を経過したことを検知して、ボルト1の欠如を検知する。なお、上述の検知電流の不通電の動作から明らかなように、副検知部材28の直径は、下孔8や受入孔6の内径よりも小さく設定してある。
【0040】
なお、上記の作動では、検知電流が導通線32から導通線33に向かって通電される。この通電方向を逆向きにして、導通線33から導通線32に向かって通電するようにしてもよい。
【0041】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0042】
固定電極5側にボルト1が正常に保持されているときに、電極の進出で副検知部材28と加圧端面24がフランジ3に密着すると、導通線32、通電端子板31、圧縮コイルスプリング34、通電端面19、主検知部材27と副検知部材28からなる検知部材、フランジ3、電極本体10、導通線33からなる導通回路が形成されるので、この導通によってボルト1が正常に固定電極5側に保持されていることが確認され、この確認信号をトリガーにして溶接電流の通電がなされて、溶接が完了する。
【0043】
検知部材は、主検知部材27と副検知部材28によって形成された簡素化された構造であるから、細長い金属素材に切削加工を施したり、主検知部材27に副検知部材28を結合したりして、簡単に製作することができる。上記のような製作方法を採用することによって、主検知部材27から副検知部材28への導電性が確実なものとなる。
【0044】
導通性金属材料で作られた主検知部材27と副検知部材28の形状は、主検知部材27を円柱型とし、副検知部材28を主検知部材27よりも小径の丸棒型にすることができる。したがって、金属製の検知部材を大径部材と小径部材からなる簡素化された形状とすることができる。また、このように簡素化された形状の検知部材が、絶縁性合成樹脂材料で構成された主案内筒20と副案内筒内23に収容されているので、電極本体10内には合成樹脂製の筒状部材と金属製の円柱・丸棒状部材が収容され、電極全体としての構造が簡素化される。
【0045】
主検知部材27の端部に形成された通電端面19は平坦な形状であるから、圧縮コイルスプリング34の着座状態が密着性の良好なものとなり、圧縮コイルスプリング34から主検知部材27への通電性が良好なものとなる。主検知部材27と副検知部材28は、それぞれ主案内筒20と副案内筒内23を摺動するものであるから、検知部材の進退案内が確実に果たされるとともに、確実な絶縁性が確保できる。
【0046】
電極本体10側の絶縁構造が、絶縁性合成樹脂材料製の主案内筒20と副案内筒23によるものであるから、両案内筒20、23を簡素な形状の筒状部材で構成することができ、構造簡素化において効果的である。主案内筒20と副案内筒23が電極本体10内に静止状態ではめ込まれ、両案内筒20、23内を簡素化された形状の主検知部材27と副検知部材28が摺動する。このため、両検知部材27、28の進退動作が円滑に達成され、電極としての作動信頼性が向上する。
【0047】
固定電極5側にボルト1が存在しないときには、電極進出の際に、突出している副検知部材28がフランジ3に加圧されないので、上述のようなフランジ3を介した通電回路が不成立となって、ボルト欠如が検知され、溶接動作の停止が確実になされる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述のように、本発明の電極によれば、進退動作をする検知部材への通電性を向上し、構造を簡素化して、生産性向上、作動耐久性向上がなされる。したがって、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 部品、プロジェクションボルト
2 軸部
3 フランジ
5 固定電極
6 受入孔
7 鋼板部品
8 下孔
10 電極本体
12 第1部材
13 第2部材
14 第3部材
17 大径孔
18 小径孔
19 通電端面
20 主案内筒
23 副案内筒
24 加圧端面
25 連通孔
26 絶縁空隙
27 主検知部材
28 副検知部材
31 通電端子板
32 導通線
33 導通線
34 圧縮コイルスプリング
L 突出長さ
図1
図2
図3