(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】本立て
(51)【国際特許分類】
A47B 65/00 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
A47B65/00 601Q
A47B65/00 603B
(21)【出願番号】P 2020048497
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000104087
【氏名又は名称】カール事務器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112162
【氏名又は名称】朝日 直子
(72)【発明者】
【氏名】石原 宗幸
(72)【発明者】
【氏名】浦辺 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】橘 竜人
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107183954(CN,A)
【文献】実公昭07-003625(JP,Y1)
【文献】実開昭51-078027(JP,U)
【文献】実開昭60-004250(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本が載置される底板(11)と、該底板から起立した側板(12)と、を備えた左右一対のブックエンド部材(10)と、該ブックエンド部材(10)の間にリンク部材(20)を介して取り付けられる仕切板(30)と、からなり、
軸孔(34)と誘導孔(35)を備えたリンク取付部が2つ左右に並べて配置された奥板(33)を備えてなる前記仕切板(30)を前記側板(12)に平行に配置し、
2本のリンクバー(21,22)を、表面湾曲状に構成された合成樹脂製のワッシャー (43)を介して中央で回動可能に取り付けてなる前記リンク部材(20)の一方の端部を前記軸孔(34)に回動可能に取り付けると共に、他方の端部を前記誘導孔(35)でスライド可能に受けるように組み立てられる本立て(1)であって、
複数の仕切部材(30a,30b)を連結するための仕切間リンク部材(50)を、同一長さのリンクバー(51、52)を中央で回動可能に取り付けて単位リンク部材(53)を構成し、該単位リンク部材(53)を1又は2以上連結して構成された前記リンク部材(20)を介して、所望の数の前記仕切部材(30a,30b)を前記ブックエンド部材(10)の間に取り付け可能としたことを特徴とする本立て。
【請求項2】
前記リンク取付部の軸孔を前記リンク部材(20)の一端部をスライドさせることができる第2の誘導孔(19、39)とし、ボルト(41)と、ナット(42)と、表面湾曲状に構成された合成樹脂製のワッシャー(43)とで構成された締結具(40)によって 、前記リンクバー(21)の他方を着脱可能に組み付けたことを特徴とする請求項1に記載の本立て
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍の収容数に応じて長さを調節できる伸縮自在本立てに関し、特に、仕切り板間の幅を任意に設定することができる本立てに関する。
【背景技術】
【0002】
書籍の収容数に応じて長さを調節することができる本立てとして、側板の後部に誘導孔を有する止め具を固着し、マジックハンドの両端上部を夫々止め具にリベットで固定し、両端下部はネジにより止め具の誘導孔に挿入し、ナットで固定するようにした伸縮自在本立てが提案されている。マジックハンドの両端下部を誘導孔の所望の位置にて固定することで所望の長さの本立てとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の本立ては、収容数が少ない場合は本が倒れてしまい、書籍を分類して収容することができない、という不都合があった。
そこで、本発明は、収容数が少なくても本が倒れることはなく、本を分類して収容することができる本立ての提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、本が載置される底板と、該底板から起立した側板と、を備えた左右一対のブックエンド部材と、該ブックエンド部材の間にリンク部材を介して取り付けられる仕切板と、からなり、軸孔と誘導孔を備えたリンク取付部が2つ左右に並べて配置された奥板を備えてなる前記仕切板を前記側板に平行に配置し、2本のリンクバーを、表面湾曲状に構成された合成樹脂製のワッシャーを介して中央で回動可能に取り付けてなる前記リンク部材の一方の端部を前記軸孔に回動可能に取り付けると共に、他方の端部を前記誘導孔でスライド可能に受けるように組み立てられる本立てであって、複数の仕切部材を連結するための仕切間リンク部材を、同一長さのリンクバーを中央で回動可能に取り付けて単位リンク部材を構成し、該単位リンク部材を1又は2以上連結して構成された前記リンク部材を介して、所望の数の前記仕切部材を前記ブックエンド部材の間に取り付け可能としたことを特徴とするものである。
この場合、前記リンク取付部の軸孔を前記リンク部材の一端部をスライドさせることができる第2の誘導孔とし、ボルトと、ナットと、表面湾曲状に構成された合成樹脂製のワッシャーとで構成された締結具によって、前記リンクバーの他方を着脱可能に組み付けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る本立ては、底板と側板とを備えた左右一対のブックエンド部材と、その間にリンク部材を介して取り付けられる仕切板と、からなる本立てにおいて、仕切板かブックエンド部材かの何れか一方に、リンク部材の一端部が回動可能に取り付ける軸孔を設けると共に、他方に該リンク部材の他端部をスライド可能に受ける誘導孔を設けたので、リンク部材の他端部を誘導孔に沿ってスライドさせることで、仕切板と側板間の距離を任意に設定することができる。厚みの薄い本を収容する場合は、リンク部材を収縮させて、ブックエンド部材と仕切り部材との間を狭めることで、収容数が少なくても本が倒れることがない。
【0009】
特に、リンク取付部を左右に並べて配置し、リンク部材をそれぞれの取付部に取り付けたので、各リンク部材を独立して伸縮させることができる。仕切板とブックエンド部材との間を所望の幅に設定することができるので、本の両側を側板と仕切板とで挟むようにすれば、厚みのない本であっても起立状態を維持させることができる。
【0010】
また、上記仕切板は、仕切間リンク部材によって複数連結して構成されるので、収容する本の種類に応じた数の仕切部材をつなげることで、使用場面に応じた本立てとすることができる。
請求項2に係る本立ては、リンク取付部の軸孔を、リンク部材の一端部をスライドさせることができる第2の誘導孔としたので、仕切板の上下方向を自由に設定することができる。これによって、少ない種類の部品で、多様な本立てを製造することができ、使用場面に応じてカスタマイズされた本立てに作りかえることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る本立てを示す斜視図であり、(a)は仕切板間の幅を狭めた状態、(b)は広げた状態を示す。
【
図2】上記本立ての(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図、(d)は底面図を示す。
【
図3】上記本立ての背面図であり、(a)は仕切板の幅を狭めた状態、(b)は広げた状態を示す。
【
図4】リンク部材を分解した状態を示す説明図である。
【
図5】2本のリンクバーを締結具で組み付けて上記リンク部材が構成される状態の断面を示す説明図である。
【
図6】ブックエンド部材にリンク部材が取り付けられる状態の説明図であり、(a)は組付け前、(a)は組付け後の状態を示す。
【
図7】上記リンク部材を、ブックエンド部材と仕切板から取り外した状態を示す説明図である。
【
図8】上記本立ての第1及び第2の変形例を示し、(a)は、ブックエンド部材に軸孔を設け、仕切部材に誘導孔を設けた例、(b)はブックエンド部材に誘導孔を設け、仕切部材に軸孔を設けた例を示す背面図である。
【
図9】上記本立ての第3変形例として、軸孔を第2の誘導孔としたものを示す背面図である。
【
図10】上記本立ての第4の変形例として、底板に滑り止め用の溝部を設けた例を示す背面図である。
【
図11】上記本立ての第5変形例として、ブックエンド部材の側板を傾斜させたものを示す斜視図である。
【
図12】上記ブックエンド部材の変形例として溝部から上方に向けて延びるガイド板を設けた本立てを示し、(a)は背面図であり、(b)は使用状態を示す正面図である。
【
図13】上記仕切部材の変形例としてインデックス部を設けたものを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、書籍の収容数に応じて長さを調節できる本立てであり、左右一対のブックエンド部材と、その間にリンク部材を介して仕切板部材を取り付けることで、仕切り板間の幅を任意に設定できるようにしたものである。以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係る本立てを示す斜視図であり、
図2は、その正面図、右側面図、平面図、底面図である。
この本立て1は、ブックエンド部材10と、リンク部材20と、複数の仕切部材30と、によって構成されており、左右に対称に配置されたブックエンド部材10の間に、リンク部材20を介し、仕切板部材30を取り付けて伸縮可能としたものである(
図3を参照)。
ブックエンド部材10は、金属板を折り曲げて形成されたもので、本が載置される底板11と、その底板11から起立した側板12と、側板12に直角に設けられた奥板13とによって構成される。
側板12は、本を立てかけて保持することができる大きさの板面を有し、その板面に対して直角に奥板13が設けられる。奥板13には、リンク部材20の一端部20aを取り付けるための軸孔14と誘導孔15が、上下に並べて設けられている。
【0015】
リンク部材20は、ブックエンド部材10と仕切板30を組み付けて伸縮可能な本立てを作るためのもので、
図4に示すように、同一長さの2本のリンクバー21,22を、中央で回動可能に取り付けて構成された平行リンク装置である。
各リンクバーの中央部と両端部(一端部21a,22a、他端部21b,22b)には軸孔が設けられており、締結具40を挿通させることで、各部材を着脱可能に組み付けることができるようにしている。
即ち、締結具40は、
図5に示すように、ボルト41と、ナット42と、複数のワッシャー43とによって構成されており、部材間に改装されるワッシャー43は、手操作によってリンクバーを開閉させることができ、かつ、弾性変形によって開閉状態を維持させることができるよう、所定の摩擦係数を有する合成樹脂製の材料で表面湾曲状に構成されている。
このように設計されたワッシャー43を介して2本のリンクバーが連結されているので、リンク部材20を左右方向に引っ張ることで、仕切板との距離Mを可変とすることができる。
【0016】
リンク部材20の一端部20aは、
図6に示すように、ブックエンド部材10に設けられた軸孔14に回動可能に取り付けられる。
即ち、ブックエンド部材10の奥板13には、
図7に示すように、リンク部材20の第1のリンクバー21の一端部21aを取り付けるための軸孔14と、第2のリンクバー22の他端部22bをスライド可能に受けることができる誘導孔15とが、誘導孔14の長手方向に沿って、上下に並べて配置されており、上方の軸孔14においてリンク部材20の高さ(リンクバーの上端部21a)を維持した状態で、下端部22bを上下させ、ブックエンド部材10と仕切部材30との間の距離Mを調節できるようにしている。
【0017】
仕切部材30にも、後方に向けて奥板部33が折り曲げ形成されている。その奥板部33に、第1の取付部(軸孔34a,誘導孔35a)と、第2の取付部(軸孔34b,誘導孔35b)が左右に並べて配置される。
第1の取付部は、前記リンク部材20の他端部20bを取り付けるためのもので、上方の軸孔34aに、第2のリンクバー22の一端部22aを回動可能に取り付け、下方の誘導孔35aで、第1のリンクバー21の他端部21bをスライド可能に受ける。第2の取付部には、仕切間リンク部材50が取り付けられる。
この仕切間リンク部材50は、複数の仕切部材30a,30bを連結するためのものであり、同一長さのリンクバー51、52を中央で回動可能に取り付けて構成された単位リンク部材53を、1又は2以上連結して構成される。
【0018】
仕切部材30aの第2の取付部では、この仕切間リンク部材50の一端部50aを軸孔34bに取り付け、他端部50bを、第2の仕切部材30bの取付部(軸孔34a,35a)に取り付けている。
所望の数の仕切部材30を間に入れて、他端部側のブックエンド部材10を左右対称に組み付けることで、所望の長さの伸縮自在本立てとすることができる。ブックエンド部材10と、2つのリンク部材20と、複数の仕切り部材30と、それに対応する仕切間リンク部材50を、締結具40を、ばらした状態でセット販売することで、ライフスタイルに応じた本立てを作ることが可能となる。
【0019】
本実施形態の本立て1によれば、左右一対のブックエンド部材10と仕切板30との双方に、リンク部材20の上端部を回動可能に取り付ける軸孔14,34と、下端部をスライド可能に受ける誘導孔15,35を設けたので、リンク部材20の下端部を誘導孔15,35に沿ってスライドさせることで、仕切板30と側板12との間の距離Mを任意に設定することができる。厚みの薄い本を収容する場合は、リンク部材20を収縮させて、ブックエンド部材と仕切り部材との間を狭めることで、収容数が少ない場合に本が倒れるのを防止できる。
特に、仕切部材30の奥板部33に、軸孔34と誘導孔35とからなるリンク取付部を、2つ左右に並べて配置し、各取付部にそれぞれリンク部材を組み付けるようにしたので、それぞれリンク部材20,50を独立して伸縮させることができ、仕切板とブックエンド部材との間を所望の幅に設定することが可能となる。本の両側を仕切板で挟むようにすれば、厚みのない本であっても起立状態を維持させることが可能となる。
【0020】
本発明は、底板と側板とを備えた左右一対のブックエンド部材と、そのブックエンド部材の間にリンク部材を介して取り付けられる仕切板とからなる本立てにおいて、仕切板かブックエンド部材かの何れか一方に、リンク部材の一端部が回動可能に取り付けられる軸孔を設けると共に、他方に該リンク部材の他端部をスライド可能に受ける誘導孔を設ければよい。
そのため、例えば、
図8(a)に示すように、ブックエンド部材10に軸孔14のみを設け、仕切り板部材30に誘導孔15のみを設けてもよいし、或いは
図8(b)に示すように、その逆であってもよい。
【0021】
あるいは、
図9に示すように、軸孔を、リンク部材20の一端部をスライドさせることができる第2の誘導孔19とし、双方の誘導孔15,19に、リンク部材20の上端部と、下端部を、それぞれワッシャー43を介して締結具40によって回動可能に取り付けてもよい。この場合、誘導孔19,15においても、ボルト41とナット42とワッシャー43からなる締結具40によって、手操作によってリンクバー21,22を開閉させることができ、かつ、弾性変形によって開閉状態を維持させることができるようにする。
このようにすれば、ブックエンド部材10や仕切部材30を左右反転させて使用することができるので、底板11を外側に向けたり、仕切り間の長さを調節したりすることで、所望の態様の本立てとすることができる。
【0022】
仕切部材30’は、板面に対してT字状になるように奥板部33’が設けられたものであってもよい。奥板部33’のそれぞれの側にリンク取付部(第2の誘導孔39、誘導孔35)を設けることで、仕切部材30と仕切部材30との間を同一にすることができる。
或いは、
図10に示すように、ブックエンド部材10の底板11又は仕切板30に設けられた底板36に、前記側板12又は仕切板30の板面に平行に延びる溝部60を複数条設けてもよい。この場合、裏面に磁石61を設けた滑り止め部材62を別個設け、適宜取り付けて使用できるようにしてもよいし、滑り止め部を有する底板部36を備えた仕切部材30”を別個設けてもよい。底板11の溝部60で本の底を受けることができるので、厚みの薄い本を収容した際に、本が倒れるのを防止できる。
【0023】
また、この図の仕切部材30”のように、軸孔34と誘導孔35からなる取付部を単一とし、その軸孔34と誘導孔35に、複数のリンク部材20,20の上端部と下端部をそれぞれ組み付けるようにしてもよい。これによって、ブックエンド部材10を左右にスライドさせて本立てを伸縮させた際に、仕切部材30と仕切部材30”との間の長さNを一定にすることが可能となる。
また、
図11に示すブックエンド部材10’のように、側板12’を、底板11’に向けて僅かに傾斜させ、側板の傾斜面の底部に、傾斜面に沿って傾斜状の凹凸からなる溝部60’を設けてもよい。傾斜面に立てかけた状態で本を収納できるので、本が倒れるのを回避できる。
【0024】
或いは、
図12のブックエンド部材10”のように、溝部60から上方に向けて延びるガイド板65を側板12と平行に設けてもよい。このガイド板65に立てかけることでシート状のものでも滑り落ちることなく、整然と並べて収容することが可能となる。
或いは、
図13に示すように、正面側に向けて延びるインデックス部70を設けたインテックス板71に、リンク部材20を取り付けるための取付部を設け、それをこの場合、誘導孔19,15においても、ボルト41とナット42とワッシャー43からなる締結具40によって、手操作によってリンクバー21,22を開閉させることができ、かつ、弾性変形によって開閉状態を維持させることができるようにしている。
この場合、誘導孔19,15においても、ボルト41とナット42とワッシャー43からなる締結具40によって、手操作によってリンクバー21,22を開閉させることができ、かつ、弾性変形によって開閉状態を維持させることができるようにしている。
仕切板として利用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、文具・事務用品としての本立てに限らず、家庭や工場など、あらゆる場面に使用される収納用具として利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…本立て
10…ブックエンド部材
11…底板
12…側板
13…奥板
14…軸孔
15…誘導孔
20…リンク部材
21,22…リンクバー
30…仕切部材
33…奥板部
34…軸孔
35…誘導孔
36…底板部
40…締結具
41…ボルト
42…ナット
43…ワッシャー
50…仕切間リンク部材
51,52…リンクバー
53…単位リンク部材
60…溝部
61…磁石
62…滑り止め部材
65…ガイド板
70…インデックス部
71…インデックス板(仕切板)